(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】小動物管理装置
(51)【国際特許分類】
A01K 1/03 20060101AFI20231019BHJP
A01K 67/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A01K1/03 A
A01K67/00 E
(21)【出願番号】P 2019192509
(22)【出願日】2019-10-23
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504177284
【氏名又は名称】国立大学法人滋賀医科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】519380288
【氏名又は名称】日本テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 英明
(72)【発明者】
【氏名】寺門 一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 朋和
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-530007(JP,A)
【文献】特開2006-311863(JP,A)
【文献】登録実用新案第3022196(JP,U)
【文献】実開昭56-097953(JP,U)
【文献】登録実用新案第3070057(JP,U)
【文献】登録実用新案第3203569(JP,U)
【文献】米国特許第06293229(US,B1)
【文献】実開平02-112873(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/03-1/12
A01K 67/00-67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小動物用のケージが収納される複数の収納部を有するラック装置と、
前記複数の収納部の各々に対して前記ケージが収納されていることを検知するセンサと、
前記センサの検知結果を用いて、前記複数の収納部のうちの前記ケージが収納された収納部を示す管理情報を生成する処理装置と、
を備え、
前記複数の収納部の各々は、
前記ケージを収納する際に前記ケージを通すための開口面と、
前記ケージを、前記開口面を通した始端位置から前記収納部に収納した収納位置まで案内するガイドレールと、
前記収納位置にある前記ケージに対し、前記始端位置側への移動を制限する移動制限部と、
を有
し、
前記移動制限部は、
前記収納位置にある前記ケージに対し、前記ガイドレールの長手方向の前記始端位置側を向く一部分に対向する位置である第一位置と、
前記第一位置とは異なる位置であり、前記ガイドレールに沿った前記ケージの移動軌跡から外れた第二位置と、
で切替え可能な移動体を有し、
前記移動制限部は、前記移動体を前記第一位置に切り替えることで、前記ケージの前記始端位置側への移動を制限するものであり、
前記ラック装置は、前記収納位置にある前記ケージに対し、前記始端位置側へ弾性的に力を加える弾性部を更に備え、
前記弾性部は、前記移動体が前記第二位置に切り替えられると、前記ケージを前記収納位置から前記始端位置側へ押し出す、
小動物管理装置。
【請求項2】
前記管理情報を用いて、前記複数の収納部に対して収納された前記ケージの有無について出力する出力装置を更に備える、
請求項1記載の小動物管理装置。
【請求項3】
前記移動体が前記第二位置にあることを報知する報知部を更に備える、
請求項1又は2に記載の小動物管理装置。
【請求項4】
前記移動体は、上下方向に平行に延びた中心軸を有する棒状であり、前記中心軸に沿ってスライド移動可能に構成されており、
前記中心軸は、前記ガイドレールの長手方向に見て、前記収納位置にある前記ケージの中央に対して、左右方向のいずれかにずれている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の小動物管理装置。
【請求項5】
前記ケージの通気口に対向する換気口を有し、前記ケージ内を換気する換気装置を更に備え、
前記換気装置は、前記換気口を閉じる閉じ位置と前記換気口を開放する開き位置との間で切替え可能に構成され、かつ前記閉じ位置に向かって弾性力が与えられた前記弾性部としての蓋部を有し、
前記蓋部は、前記収納位置にあるケージに押された状態で前記開き位置に切り替えられる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の小動物管理装置。
【請求項6】
前記ケージが前記収納位置にあるときに、前記ケージの内部に挿し入れられる給水ノズルと、
前記ケージが前記収納位置とは異なる位置にあるときに、前記給水ノズルから出る水を受けるドレンパンと、
を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の小動物管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小動物管理装置及びラック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の小動物飼育装置が記載されている。この特許文献1に記載の小動物飼育装置は、複数のケージを、縦横に並べて収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の小動物飼育装置では、全ての収納部に対して、ケージを収納するのではなく、小動物の数量に応じてケージが収納部に収納されるのが一般的である。すなわち、この種の小動物飼育装置では、全ての収納部のうち、ケージが収納された収納部と、ケージが収納されていない収納部とが混在し得る。
【0005】
このため、従来の小動物飼育装置では、例えば、収納部へケージの収納をし忘れていないか、収納部に対してケージが正しく収納されているか、給水ノズルから漏水が生じていないか等について、管理者又は飼育者(以下、管理者等)が一見するだけで判断することは難しく、管理者等の負担が大きい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、管理者等の負担を軽減することができる小動物管理装置及びラック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の小動物管理装置は、小動物用のケージが収納される複数の収納部を有するラック装置と、前記複数の収納部の各々に対して前記ケージが収納されていることを検知するセンサと、前記センサの検知結果を用いて、前記複数の収納部のうちの前記ケージが収納された収納部を示す管理情報を生成する処理装置と、を備える。
【0008】
本発明に係る一態様のラック装置は、小動物用のケージが収納される複数の収納部を有するラック装置であって、前記複数の収納部の各々は、前記ケージを収納する際に前記ケージを通すための開口面と、前記ケージを、前記開口面を通した始端位置から前記収納部に収納した収納位置まで案内するガイドレールと、前記収納位置にある前記ケージに対し、前記始端位置側への移動を制限する移動制限部と、を備える。
【0009】
本発明に係る一態様のラック装置は、小動物用のケージが、収納位置と前記収納位置とは異なる位置との間で引き出し可能に収納される複数の収納部を有するラック装置であって、前記ケージが前記収納位置にあるときに、前記ケージの内部に挿し入れられる給水ノズルと、前記ケージが前記収納位置とは異なる位置にあるときに、前記給水ノズルから出る水を受けるドレンパンと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る上記態様の小動物管理装置及びラック装置は、管理者等の負担を軽減することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る小動物管理装置のブロック図である。
【
図2】
図2(A)は、同上の小動物飼育装置に用いられるケージの斜視図である。
図2(B)は、ケージの後壁の部分断面図である。
【
図4】
図4(A)は、同上のラック装置の収納部に対し、ケージが収納位置にある斜視図である。
図4(B)は、同上のラック装置の収納部に対し、ケージが非収納位置にある斜視図である。
【
図6】
図6(A)は、同上のダクト部において、収納部にケージが収納されていないときの断面図である。
図6(B)は、同上のダクト部において、収納部にケージが収納されたときの断面図である。
【
図7】
図7は、同上のドレンパンを説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態
以下、本実施形態に係る小動物管理装置1について、詳細に説明する。
【0013】
(1.1)全体構成
小動物管理装置1は、
図1に示すように、ラック装置3と、処理装置8と、出力装置9と、を備える。ラック装置3は、小動物が収容されるケージ2(
図2(A))を収納する複数の収納部4を有する。ラック装置3には、複数の収納部4の各々に対し、ケージ2が収納されていることを検知するセンサ6が設けられている。センサ6によって検知された情報は、処理装置8に出力される。
【0014】
処理装置8は、センサ6の検知結果を用いて、複数の収納部4のうちのケージ2が収納された収納部4を示す管理情報を生成する。処理装置8によって生成された管理情報は、出力装置9に出力される。ユーザは、出力装置9により出力された結果物(例えば、ディスプレイ表示、印刷物等)を見ることで、ラック装置3におけるケージ2の収納状態を確認することができる。
【0015】
これによって、例えば、ラック装置3を、小動物を飼育するための飼育施設に設置し、処理装置8及び出力装置9を、飼育施設とは別の管理棟等に設置することができる。これによれば、小動物のケージ2の管理を、飼育施設から離れた遠隔地である管理棟等で行うことができる。
【0016】
本発明でいう「小動物」とは、ケージ2で飼育し得る小型の動物を意味する。「小動物」としては、例えば、マウス、ラット、モルモット、スナネズミ、フェレット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ミニブタ、トカゲ、モモンガ、ハリネズミ、インコ等が挙げられる。「小動物」は、例えば、実験動物であってもよいし、販売用の動物であってもよいし、観賞用の動物であってもよい。本実施形態では、小動物として、実験動物のマウスを想定している。
【0017】
以下では、収納部4に対してケージ2を収納する際に、ケージ2を移動させる方向を「後ろ方向」とし、その反対方向を「前方向」として定義する(
図5参照)。ただし、この方向の定義は使用態様を制限する趣旨ではない。また、本実施形態に係る小動物管理装置1は、複数のラック装置3を備え、一又は複数の処理装置8で処理し得るが、全てのラック装置3は同じ構造であるため、以下では一つのラック装置3についてのみ説明する。これは、説明の便宜上のためであり、一つのラック装置3に限定する趣旨ではない。
【0018】
(1.1.1)ケージ
ケージ2は、
図2(A)に示すように、小動物が収容される箱体である。ケージ2としては、特に制限はなく、例えば、網かご状、槽状等が挙げられる。ケージ2の材料は、例えば、金属製、プラスチック製、布製、陶器製等が挙げられる。本実施形態に係るケージ2は、容器21と、蓋23と、を備える。
【0019】
容器21は、底壁211、前壁212、後壁213、右側壁215及び左側壁214を有し、上面に開口面(不図示)を有している。容器21は、透明又は半透明なプラスチック製である。後壁213には、
図2(B)に示すように、後述の給水ノズル73が外側から内側に挿し入れられる給水孔部22が形成されている。給水孔部22は、後壁213を前後方向に貫通する孔221と、閉塞体222と、ねじりコイルばね223と、を備える。
【0020】
閉塞体222は、後壁213に対し、回転可能に取り付けられている。閉塞体222の回転軸は、左右方向に略平行である。閉塞体222は、後壁213の内面に沿って取り付けられている。閉塞体222には、ねじりコイルばね223から弾性的に力が加えられており、常時、後壁213の内面に向かって押し付けられている。これによって、閉塞体222は、容器21の外側から内側に向かう方向に外力を加えることで孔221を開放し、当該外力を除くと孔221を閉じる。
【0021】
蓋23は、
図2(A)に示すように、容器21の上面の開口面を閉じる。蓋23は、容器21に対して取外し可能に取り付けられている。蓋23には、複数の通気口231が形成されており、通気口231を介してケージ2内とケージ2外とを通気することができる。通気口231は、フィルタ(不図示)で塞がれており、フィルタによって、空気を通す一方、チリや埃の通過を妨げることができる。
【0022】
容器21と蓋23とは、フランジ24で接続されている。フランジ24は、容器21と蓋23との接続する部分を意味し、本実施形態では、容器21の容器本体の開口面の外周から張り出した部分と、これに接続された蓋23の外周部分と、で構成された部分を指す。
【0023】
(1.2)ラック装置
ラック装置3は、
図3に示すように、複数のケージ2を収納し得る装置である。ラック装置3は、複数のケージ2を収納した上で、各ケージ2に対し、換気及び給水を行うことができる。ラック装置3は、ラック本体31と、換気装置5(
図5)と、複数のセンサ6(
図5)と、台車部7と、複数の給水ノズル73(
図5)と、複数のドレンパン74と、を備える。
【0024】
(1.2.1)ラック本体
ラック本体31は、ラック装置3の主体を構成する部分である。ラック本体31は、
図5に示すように、前枠部311と、後枠部312と、前枠部311と後枠部312とをつなぐ複数の連結部313と、を備える。前枠部311及び後枠部312は、それぞれ、
図3に示すように、左右方向に離れた一対の支柱314と、一対の支柱314同士を上端でつなぐ上桟315と、一対の柱同士を上桟315よりも下方でつなぐ複数の中桟316と、を備える。中桟316は、左右方向に略水平に延びており、上下方向に一定の間隔をおいて配置されている。
【0025】
支柱314、上桟315及び中桟316の各々は、一方向に延びた長尺材料で構成されている。長尺材料としては、例えば、角パイプ、丸パイプ、L形鋼、溝形鋼、C形鋼等により構成される。なお、ここでいう「形鋼」は軽量形鋼を含む。また、長尺材料の材質としては、特に制限はないが、例えば、ステンレス、アルミニウム、スチール、鋼材、セラミック、合成樹脂等が挙げられる。ただし、本発明では、ラック本体31は、長尺材料に限らず、面材を一部又は全部に含んでいてもよい。
【0026】
ラック本体31は、
図3に示すように、複数のケージ2を整然と並べて収納することができる。以下、ラック本体31において、各ケージ2が収まる空間及び各ケージ2を収納するための機構を「収納部4」という。したがって、本発明にいう「収納部4」は、仕切り板等の実体物に区切られていてもよいし、仕切り板等で区切られることなく、仮想的な区画であってもよい。また、ここでいう「収まる」とは、収納部4に対して、ケージ2が所定の位置に位置して、収納スペース41に大部分が収まることを意味し、ゲージの一部が収納スペース41からはみ出していてもよい。
【0027】
ラック本体31は、中桟316の長手方向に沿って複数(ここでは五つ)の収納部4を備える。また、ラック本体31は、水平方向に並ぶ複数の収納部4を、上下方向に複数列(ここでは8列)有する。本実施形態に係るラック本体31は、最大で40個(5×8列)のケージ2を収納することができる。ただし、本発明では、収納可能なケージ2の数量は、例えば、4×6列としてもよく、特に制限はない。
【0028】
各収納部4は、開口面411を有する収納スペース41と、一対のガイドレール42と、移動制限部43と、を備える。
【0029】
収納スペース41は、一のケージ2を収め得る空間である。収納スペース41は前面に開口面411を有する。開口面411は、ケージ2を収納する際にケージ2が通される仮想面であり、必ずしも実体を持つ枠等で仕切られていなくてもよい。ケージ2は、開口面411を通して収納スペース41に収まることで、収納部4に収納される。
【0030】
ガイドレール42は、ケージ2を、開口面411を通した始端位置から収納部4に収納した収納位置まで案内する。一対のガイドレール42は、
図3に示すように、左右方向に離れており、ケージ2のフランジ24のうちの左右方向の両側部分を支持する。各ガイドレール42は、開口面411から後ろ方向に一直線に沿って延びており、その長手方向が前後方向に略平行である。各ガイドレール42は、一面に開口面を有する断面略C字状に形成されており、一対のガイドレール42は、各ガイドレール42の開口面が互いに向き合うように配置されている。
【0031】
ここでいう「始端位置」とは、ケージ2のフランジ24の後ろ側の端部をガイドレール42の前端に載せたときのケージ2の位置を意味する。また、「収納位置」とは、収納スペース41に収まったときのケージ2の位置を意味する。
【0032】
移動制限部43は、収納位置にあるケージ2に対し、始端位置側への移動を制限する。移動制限部43によるケージ2の位置制限は、例えば、磁力による位置保持、吸着による位置保持、ガイドレール42からケージ2を一段落とし込むことによる位置保持、ケージ2の前方向に移動体を位置させることによるケージ2の移動の制限等で実現される。本実施形態では、
図4(A)に示すように、収納位置にあるケージ2に対し、移動体432を、前方向(つまり、ガイドレール42の長手方向の始端位置側)を向く一部分に当てることで、ケージ2の始端位置側への移動を制限する。ここでいう、「前方向を向くケージ2の一部分に当たる」とは、ケージ2における前方向を向く部分、例えば、フランジ24の前面、前壁212の前面、ケージ2に形成された凹部の前方向を向く面、突起の前方向を向く面等に対し、ラック装置3に設けられた一部(例えば、板状、棒状をした部分)を当てることを意味する。本実施形態では、ガイドレール42上において、収納位置にあるケージ2のフランジ24の前面に対して、棒状をした部分を当てることで、収納位置側へのケージ2の移動を制限する。移動制限部43は、取付け部431と、移動体432と、を備える。
【0033】
取付け部431は、移動体432をラック本体31の中桟316に取り付けるための部材である。ラック本体31に対する取付け部431の取付け方法は、例えば、ねじ止め、溶接、接着、嵌め合わせ等により実現される。取付け部431は、上下方向に貫通する貫通孔を有する。貫通孔には、移動体432が上下方向にスライド移動可能に通される。ここで、本発明でいう「スライド移動」とは、同じ姿勢のまま、一定の方向に沿って移動する、いわゆる平行移動を意味する。
【0034】
移動体432は、ケージ2の前方向を向く一部分(ここでは、ケージ2のフランジ24の前面)に当たることで、ケージ2の始端位置側への移動を制限する。移動体432は、ケージ2の移動を規制する「第一位置」(
図4(A)参照)と、第一位置とは異なる位置である「第二位置」(
図4(B)参照)とに切替え可能に取付け部431に取り付けられている。移動体432の形状は、例えば、棒状、板状、ブロック状等が挙げられるが、本実施形態では、棒状に形成されている。ここでいう「棒状」とは、一方向に延びた細長い形状を意味し、例えば、針状、軸状を含む。移動体432の中心軸は上下方向に略平行である。移動体432は、移動体本体433と、鍔部434と、を備える。
【0035】
移動体本体433は、移動体432の主体を構成する。移動体432は、棒状に形成されており、例えば、断面略円形状、断面略四角形状、断面略五角形状、断面六角形状等が例示されるが、スムーズなスライド移動を実現する観点から、本実施形態では、断面略円形状に形成されている。
【0036】
鍔部434は、移動体本体433の長手方向の一端部(ここでは上端)に形成されており、移動体本体433が取付け部431から抜け出るのを妨げる。鍔部434の外径は、移動体本体433の外径よりも大きく、取付け部431の貫通孔の外径よりも大きい。したがって、移動制限部43は、移動体432に対して外力が加えられていない状態では、鍔部434が取付け部431に載り、移動体本体433の一部が、ケージ2のフランジ24の前面に対向する。
【0037】
ケージ2を収納部4に収納する際、作業者は、移動体432を第二位置に切り替えたまま、例えば第一指で移動体432を押さえ、ケージ2のフランジ24をガイドレール42の始端位置に載せる。作業者は、ケージ2を収納位置に向かって押し、ガイドレール42に沿ってケージ2を移動させ、収納位置にまで押し込む。
【0038】
すると、移動体432は、重力に従って下方に移動し、第一位置に切り替えられる。移動体432が第一位置に切り替えられると、ケージ2は、前方向(ガイドレール42の長手方向の始端位置側)への移動が制限される。この状態では、仮に地震等が起こっても、ケージ2が収納部4から外れることが防止される。
【0039】
また、移動制限部43は、移動体432が第二位置にあることを報知する報知部44を備える。報知部44は、移動体432が第二位置に切り替えられると現れる。報知部44は、例えば、赤色、黄色、橙色、金色、発光色等の目立つ色を持つことが好ましい。報知部44は、第一位置にある移動体432において、取付け部431に覆われた部分に形成されている。
【0040】
報知部44は、本実施形態では、第二位置に切り替えられると現れる色をもって、移動体432が第二位置にあることを報知するが、本発明では、例えば、第一位置に切り替えられると色又は表示(例えば、「LOCK」等)が現れることをもって、移動体432が第二位置にあることを報知してもよい。また、報知は、色又は表示による報知に限らず、例えば、光、音(例えば、ブザー、音声等)、点滅光等で報知してもよい。この場合、報知部44は、移動体432の一部になくてもよく、制御器を介して、ディスプレイ、スピーカ、LED(light emitting diode)ランプ等で報知してもよい。
【0041】
また、移動体432の中心軸は、ガイドレール42の長手方向にみて(つまり、前後方向にみて)収納位置にあるケージ2の中央に対して、左右方向のいずれかにずれている。このため、収納位置にあるケージ2を収納部4から取り外す際に、作業者は、ケージ2を持ちながら第一指が移動体432に届きやすく、すなわち、第一指で移動体432を第二位置に切り替えやすい。この結果、作業性を向上させることができる。
【0042】
(1.2.2)換気装置
換気装置5は、ケージ2内を換気する。換気装置5は、
図5に示すように、ラック本体31の後方に配置されている。換気装置5の素材は、特に制限はないが、例えば、ステンレス鋼、鋼板、スチール、合成樹脂等が挙げられる。換気装置5は、本体部51と、複数のダクト部52と、複数の扉部53(
図6)と、を備える。
【0043】
本体部51は、換気装置5の主体を構成しており、中空の扁平な箱状に形成されている。本体部51は、ラック本体31の後方に配置されており、本体部51の前面は、後枠部312に対向している。本体部51は、正面視で、ラック本体31と略同じ形状に形成されている。本体部51内は、建物の換気路に通じており、屋外に排気することができる。
【0044】
各ダクト部52は、
図6(B)に示すように、複数の換気口521を有し、左右方向に並ぶ複数のケージ2内の換気を行う。各ダクト部52は、本体部51の前面から前方に突出しており、中空箱状に形成されてその内部が、本体部51の内部に通じている。複数のダクト部52は、上下方向に一定の間隔をおいて形成されており、上下方向に並ぶ複数列の収納部4に対応する位置に配置されている。
【0045】
複数の換気口521は、複数の収納部4に対応する位置に形成されており、複数の収納部4に収納されたケージ2の通気口231に対して対向する。換気口521は、下方向に面しており、ダクト部52の下板を貫通する。これにより、ダクト部52は、複数のケージ2を個別に換気することができる。
【0046】
扉部53は、換気口521を閉じる閉じ位置と、換気口521を開放する開き位置との間で切替え可能に構成され、かつ閉じ位置に向かって移動する弾性力が与えられている。したがって、自然状態にある扉部53は、閉じ位置に位置している。ここでいう「自然状態」とは、外力を加えられていない状態を意味する。扉部53は、
図6(A)に示すように、扉体54と、駆動機構55と、作動アーム56と、を備える。
【0047】
扉体54は、各換気口521を開閉可能に閉じる部材である。扉体54は、ダクト部52の下板に対し、前後方向にスライド移動可能に取り付けられている。本実施形態では、移動範囲のうちの後ろ側の端部にある扉体54の位置が「開き位置」であり、前側の端部にある扉体54の位置が「閉じ位置」である。扉体54は、板状に形成されており、駆動機構55のスライダ551との間でダクト部52の下板が挟まれている。
【0048】
駆動機構55は、扉体54に対して、扉体54の移動範囲において「開き位置」から「閉じ位置」に向かって弾性的に力を加える。ここでいう「弾性的に力を加える」とは、扉体54に対して、常時、閉じ位置に向かう力を加えるが、開き位置に向かう一定以上の外力が加えられると、閉じ位置に向かう力を扉体54に加えながらも、開き位置に向かう移動を許容することを意味する。駆動機構55は、扉体54に対して接続されたスライダ551と、スライド軸552と、軸取付け部553と、弾性体554と、を備える。
【0049】
スライド軸552は、スライダ551の移動をガイドする。スライド軸552の中心軸は前後方向に略平行である。スライド軸552は、軸取付け部553によって支えられており、ダクト部52に対して固定されている。スライド軸552は、一つのみで構成されてもよいし、複数あってもよい。
【0050】
軸取付け部553は、スライド軸552を、ダクト部52の内部に対して固定する部材である。軸取付け部553は、断面略C字状に形成されており、スライド軸552を支える。
【0051】
スライダ551は、スライド軸552に対して、スライド軸552の長手方向に沿って移動可能に取り付けらえている。スライダ551は、扉体54に対して接続されており、移動することで扉体54を移動させることができる。スライダ551と扉体54とは、ねじ具によって接続されている。
【0052】
弾性体554は、スライダ551に対して弾性力を加え、これによって、扉体54に対して弾性的に力を加える。弾性体554は、スライド軸552に対して同芯状に取り付けられたコイルばねによって構成されている。ただし、本発明では、弾性体554は、コイルばねに限らず、例えば、板ばね、ゴム、空気ばね、磁気ばね等であってもよい。
【0053】
作動アーム56は、扉体54に対して固定されており、収納位置にあるケージ2によって押される部分である。作動アーム56は、扉体54の下面から下方向に突出している。作動アーム56の前面は、
図6(B)に示すように、ガイドレール42に沿って移動するケージ2の後面(ここではフランジ24の後面)に対向する。したがって、ケージ2が、始端位置から収納位置に移動すると、作動アーム56は、ケージ2の後面によって後ろ方向に押され、扉体54を開き位置に切り替える。扉体54が開き位置に切り替えられると、換気口521がケージ2の通気口231に対向し、これによって、ケージ2内が換気口521を介して換気される。
【0054】
収納位置にあるケージ2は、作動アーム56を押したままとするが、その反作用として、始端位置側に弾性的に力が加えられる。このため、本実施形態では、扉部53を「弾性部」という場合がある。本発明にいう「弾性部」とは、収納位置にあるケージ2に対し、始端位置側へ弾性的に力を加える機能を持つ部分を意味する。
【0055】
作動アーム56は、センサ6により検知されるセンサドグ561を有する。センサドグ561は、ケージ2が収納位置に移動すると、センサ6を動作させる。センサドグ561は、特に制限はないが、ねじ具によって構成されている。センサドグ561がねじ具であることで、作動アーム56が収納位置にあるときの、センサドグ561の後端面の前後方向の位置を調整することができるため、センサ6の微調整を行うことができる。ただし、センサドグ561としては、ねじ具に限らず、検知対象となり得る金属突起、ピン、ゴム等で構成されてもよい。
【0056】
(1.2.3)センサ
センサ6は、複数の収納部4の各々に対して、ケージ2が収納されていることを検知する。センサ6は、本実施形態では、接触式の位置検出センサであり、ケージ2が収納位置に位置すると、センサドグ561に接触し、検知した電気信号を出力する。ただし、本発明に係るセンサ6は、非接触センサであってもよい。センサ6としては、例えば、近接センサ、変位センサ、圧力センサ、静電容量式センサ、超音波センサ等を用いることもできる。
【0057】
センサ6は、本実施形態では、ケージ2が収納位置に位置すると、スイッチがONされ、これをもってケージ2が収納されていることを検知するが、本発明では、ケージ2が収納位置以外の位置にあるときにはON状態を保ち、ケージ2が収納位置に位置すると、スイッチがOFFされ、これをもってケージ2が収納されていることを検知してもよい。また、センサ6は、移動制限部43が第一位置に切り替えられたことをもって、ケージ2が収納されていることを検知してもよい。
【0058】
センサ6の検知に応じて生成された電気信号は、後述の通信部61(
図1)を介して、処理装置8に送信される。この詳細については、後述の「(1.3)処理装置」の欄で説明する。
【0059】
(1.2.4)台車部
台車部7は、
図5に示すように、ラック本体31と、換気装置5とを支える。台車部7は、ラック本体31と換気装置5とを支える支持台71と、複数のキャスター72と、を備える。支持台71は、平面視矩形枠状に形成されている。支持台71は、ラック本体31と同様、複数の長尺部材で構成されている。複数のキャスター72は、支持台71の下面に取り付けられており、支持台71を設置面G1(
図3)に沿って移動させることができる。
【0060】
ここで「設置面G1」とは、ラック装置3が設置される面を意味し、例えば、床面、廊下面、地面、カーペットの上面、コンクリート上面、アスファルト面等が挙げられる。設置面G1は、水平な平面であることが好ましいが、凹凸面であってもよいし、勾配を有してもよい。
【0061】
(1.2.5)給水ノズル
給水ノズル73は、ケージ2内に入っている小動物に対して給水することができる。給水ノズル73は、
図7に示すように、ケージ2が収納位置にあるときに、ケージ2の内部に挿し入れられる。給水ノズル73は、換気装置5の本体部51の前面から前方向に突出しており、前後方向に直線状に形成されている。したがって、ケージ2がガイドレール42に沿って、収納位置に向かって移動すると、給水孔部22の閉塞体222に給水ノズル73の先端が当たるが、ケージ2が収納位置にまで押し込まれると、閉塞体222が開き、給水ノズル73が給水孔部22から挿し入れられる。
【0062】
給水ノズル73は、シールド731を有する。シールド731は、給水ノズル73が給水孔部22に挿し入れられると、ケージ2の後壁213の後面に弾性的に接触し、孔221の周囲を囲む。これによって、収納位置にあるケージ2は、孔221が外側に開放するのを防ぐことができる。
【0063】
(1.2.6)ドレンパン
ドレンパン74は、ケージ2が非収納位置(収納位置以外の位置)にあるときに、給水ノズル73から出る水を受ける。
図7に示すように、ドレンパン74は、水を受ける水受け部741と、水受け部741の外周から立ち上げられた立上げ部742と、を有している。ドレンパン74は、ダクト部52の上面に配置されており、水受け部741が給水ノズル73の下方に位置するように配置されている。ドレンパン74の水受け部741は、前方向に行くに従って下方向に行くように、水平面に対して傾斜している。
【0064】
ドレンパン74の素材は、特に制限はないが、例えば、ステンレス鋼板、塗装鋼板、合成樹脂板等が好ましい。ドレンパン74で受けられた水は、ドレンパン74の左右方向のいずれかの端部に向かって流れる。水は、ドレンパン74の端部から、例えば、配管、チェーン、ワイヤ等を伝って床面等に排水される。
【0065】
ドレンパン74は、当該ドレンパン74の下方に配置されたケージ2と、当該ドレンパン74の上方に配置された給水ノズル73の給水口との間に配置される。このため、給水ノズル73の給水口から漏水してもドレンパン74によって受けることができ、給水ノズル73からの漏水がケージ2に浸水するのを防ぐことができる。
【0066】
(1.3)処理装置
処理装置8は、センサ6の検知結果を用いて、複数の収納部4のうちのケージ2が収納された収納部4を示す管理情報を生成する。この管理情報によれば、例えば、ラック装置3から離れた遠隔地から、ケージ2が収納された収納部4を管理することができる。これによって、ケージ2が収納されているはずの収納部4に対してケージ2が収納されていなかったり、ケージ2が収納されないはずの収納部4に対してケージ2が収納されていたり等の情報を、遠隔地でリアルタイムに把握することができる。
【0067】
ここで、
図1には、ラック装置3、処理装置8及び出力装置9の機能構成を示すブロック図を示す。処理装置8は、
図1に示すように、通信部81と、処理部82と、を備える。
【0068】
通信部81は、処理装置8において、ラック装置3から送信されたセンサ6の電気信号を受信する。ラック装置3の通信部61と、処理装置8の通信部81とは、無線通信又は有線通信によって、通信可能に接続されている。ラック装置3の通信部61と、処理装置8の通信部81との無線通信による通信方式は、例えば、920MHz帯又は2.4GHz帯の周波数を利用した特定小電力無線、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)等の方式が用いられる。
【0069】
処理部82は、処理装置8の動作を制御する電気回路である。処理部82は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラムを実行することで、処理部82として機能する。1以上のプログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0070】
複数の収納部4には、ラック装置3における行及び列の位置に応じて、アドレスが割り当てられている。つまり、複数のセンサ6に対し、収納部4の位置に応じたアドレスが割り当てられている。したがって、処理部82は、センサ6から入力された電気信号から、複数の収納部4ごとのケージ2の有無についての管理情報を生成することができる。処理部82によって生成された管理情報は、出力装置9に出力される。
【0071】
(1.4)出力装置
出力装置9は、管理情報を用いて、複数の収納部4に対して収納されたケージ2の有無について出力する。出力装置9は、例えば、ディスプレイ、タブレット、スマートフォン、プリンタ、スピーカ等が挙げられるが、本実施形態に係る出力装置9は、ディスプレイである。
【0072】
管理情報を用いた出力画面は、ユーザの好みや管理のしやすさに応じて適宜設定され得る。管理情報を用いた出力画面は、例えば、アドレスに応じて収納部4を表示し、その収納部4について、ケージ2の有無を「〇」「×」と表示したり、ケージ2が収納された収納部4について「〇」を表示したり、ケージ2が収納された収納部4のアドレスを一覧表示したりすることができる。これによって、ケージ2が収納された収納部4を、遠隔地で把握することができる。
【0073】
(2)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0074】
上記実施形態に係る小動物管理装置1では、アドレスが割り当てられた収納部4に対して、任意のケージ2が収納されているか否かを検知したが、本発明では、特定の収納部4に対して、特定のケージ2が収納されているか否かを検知してもよい。これにより、特定の収納部4に対して、収納されるべきケージ2が収納されていることを管理することができ、より厳密な管理を実現することができる。
【0075】
上記実施形態に係る小動物管理装置1では、処理装置8を備えたが、ラック装置3に対して管理棟が近い場所にあれば、処理装置8はなくてもよい。また、処理装置8は、ラック装置3と同じ部屋に配置されてもよく、ラック装置3におけるケージ2の収納状態を容易に管理することができるという利点がある。
【0076】
本明細書にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0077】
また、本明細書において「端部」及び「端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「端部」とは、「端」を含む一定の範囲を持つ部分を意味する。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
【0078】
(3)態様
以上説明したように、第1の態様に係る小動物管理装置1は、小動物用のケージ2が収納される複数の収納部4を有するラック装置3と、複数の収納部4の各々に対してケージ2が収納されていることを検知するセンサ6と、センサ6の検知結果を用いて、複数の収納部4のうちのケージ2が収納された収納部4を示す管理情報を生成する処理装置8と、を備える。
【0079】
この態様によれば、複数の収納部4に対してケージ2が適切に収納されていることについての情報を、リアルタイムに得ることができる。この結果、処理装置8で生成された管理情報を用いることで、収納部へケージの収納をし忘れていないかについて、管理者等は直ちに把握することができ、管理者等の負担を軽減することができる。
また、従来の小動物飼育装置では、小動物飼育装置が複数の部屋に設置されていたり、小動物飼育装置が設置されている部屋と管理者等が駐在する部屋とが離れていたりすると、管理者等が巡回する際の負担が大きいという問題があったが、この態様に係る小動物管理装置1によれば、この管理者等の負担を軽減することができる。
【0080】
第2の態様に係る小動物管理装置1では、第1の態様において、管理情報を用いて、複数の収納部4に対して収納されたケージ2の有無について出力する出力装置9を更に備える。
【0081】
この態様によれば、管理者は、出力装置9によって出力された結果物を参照して、ケージ2が収納部4に収納されていることを管理することができる。
【0082】
第3の態様に係るラック装置3は、小動物用のケージ2が収納される複数の収納部4を有するラック装置3である。複数の収納部4の各々は、ケージ2を収納する際にケージ2を通すための開口面411と、ケージ2を、開口面411を通した始端位置から収納部4に収納した収納位置まで案内するガイドレール42と、収納位置にあるケージ2に対し、始端位置側への移動を制限する移動制限部43と、を備える。
【0083】
この態様によれば、管理者等は、ケージ2をガイドレール42に沿って移動させるだけで、ケージ2を収納部4に対して正しく収納させることができるため、管理者等の負担を軽減することができる。
また、従来の小動物飼育装置では、複数のケージ2を管理する際、例えば、棚板上に複数のケージ2を並べていた。しかし、この場合、地震等が起こり、小動物飼育装置が揺れた場合には、棚板から複数のケージ2が落下する等の問題が起こり得るという問題があった。しかしながら、この態様では、移動制限部43によって、ケージ2が収納部4から外れることを防ぐことができるため、地震等で設置面G1が揺れた場合でも、ケージ2がラック装置3から落下するのを防ぐことができる。
【0084】
第4の態様に係るラック装置3では、第3の態様において、移動制限部43は、収納位置にあるケージ2に対し、ガイドレール42の長手方向の始端位置側を向く一部分に当たることで、ケージ2の始端位置側への移動を制限する。
【0085】
この態様によれば、単純な構造によって、ケージ2が収納部4から外れることを防ぐことができる。
【0086】
第5の態様に係るラック装置3では、第4の態様において、移動制限部43は、一部分に対向する位置である第一位置と、第一位置とは異なる位置である第二位置とで切替え可能な移動体432を有する。
【0087】
この態様によれば、移動体432を第一位置に切り替えることで、ケージ2が収納部4から外れることを防ぐことができる上に、移動体432を第二位置に切り替えることで、ケージ2を収納部4から外すことができ、作業者はケージ2を収納部4から外す作業を容易に行うことができる。
【0088】
第6の態様に係るラック装置3では、第5の態様において、移動体432が第二位置にあることを報知する報知部44を更に備える。
【0089】
この態様によれば、移動制限部43の移動体432が適切な位置に切り替えられていないことを作業者等に知らせることができる。この結果、作業者の移動制限部43の切替えミスにより、移動制限部43による機能が正しく作用しないことを防ぐことができる。
【0090】
第7の態様に係るラック装置3では、第5又は第6の態様において、移動体432は、上下方向に平行に延びた中心軸を有する棒状であり、中心軸に沿ってスライド移動可能に構成されている。中心軸は、ガイドレール42の長手方向に見て、収納位置にあるケージ2の中央に対して、左右方向のいずれかにずれている。
【0091】
この態様によれば、ケージ2を収納部4から外すときに、ケージ2を持ちながら、第一指によって移動体432を第二位置に切り替えやすく、作業性がよい。
【0092】
第8の態様に係るラック装置3では、第3~7のいずれか一つの態様において、収納位置にあるケージ2に対し、始端位置側へ弾性的に力を加える弾性部を更に備える。
【0093】
この態様によれば、第一位置にある移動体432にケージ2を押し付けることができ、移動体432が意図せず第二位置に切り替えられるのを防ぐことができる。また、移動体432を第二位置に切り替えるだけで、ケージ2を始端位置側に押し出すことができる。
【0094】
第9の態様に係るラック装置3では、第8の態様において、ケージ2の通気口231に対向する換気口521を有し、ケージ2内を換気する換気装置5を更に備える。換気装置5は、換気口521を閉じる閉じ位置と換気口521を開放する開き位置との間で切替え可能に構成され、かつ閉じ位置に向かって弾性力が与えられた弾性部としての扉部53を有する。扉部53は、収納位置にあるケージ2に押された状態で開き位置に切り替えられる。
【0095】
この態様によれば、ケージ2を収納部4に収納するだけで、自動的に、ケージ2内を換気口521に通じさせることができ、また、ケージ2を収納部4から外すことによって、自動的に、換気口521を閉じることができる。
【0096】
第10の態様に係るラック装置3は、小動物用のケージ2が、収納位置と収納位置とは異なる位置との間で引き出し可能に収納される複数の収納部4を有するラック装置3である。ケージ2が収納位置にあるときに、ケージ2の内部に挿し入れられる給水ノズル73と、ケージ2が収納位置とは異なる位置にあるときに、給水ノズル73から出る水を受けるドレンパン74と、を備える。
【0097】
この態様によれば、給水ノズル73の給水口から漏水してもドレンパン74によって受けることができ、給水ノズル73からの漏水がケージ2に浸水するのを防ぐことができる。すなわち、全ての供給ノズル73について、漏水が生じていないかについて、管理者等が逐一チェックする手間を省くことができ、管理者等の負担を軽減することができる。
【0098】
第2の態様に係る構成については、小動物管理装置1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。第4~第9の態様に係る構成については、ラック装置3に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 小動物管理装置
2 ケージ
231 通気口
3 ラック装置
4 収納部
411 開口面
42 ガイドレール
43 移動制限部
432 移動体
44 報知部
5 換気装置
52 ダクト部
521 換気口
53 扉部
6 センサ
73 給水ノズル
74 ドレンパン
8 処理装置
9 出力装置