(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/338 20190101AFI20231019BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20231019BHJP
【FI】
G06F16/338
G06F3/0481
(21)【出願番号】P 2022189687
(22)【出願日】2022-11-28
【審査請求日】2022-11-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年4月1日に株式会社セルズの製品サポートページ(以下URL)にて発表 https://forrou-support.zendesk.com/hc/ja
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520447776
【氏名又は名称】株式会社セルズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】中 亮介
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/111197(WO,A1)
【文献】特開2010-086472(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033377(WO,A1)
【文献】特開2013-050884(JP,A)
【文献】特開2012-037920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06F 3/01-3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスト入力欄である検索ボックスを有するフォーム又はページである第1画面と、
ユーザにより登録されるデータである登録情報を保持するデータストアと、
ユーザが前記登録情報を登録、編集、又は閲覧するための複数種類のフォーム又はページである第2画面と、
ユーザが前記検索ボックスに入力した文字または文字列を前記登録情報から検索する検索手段と、
前記検索手段が抽出した一又は複数のデータである候補テキストを前記検索ボックスの近傍に列挙するサジェスト手段と、を備え、
列挙された前記候補テキストには、いずれかの前記第2画面を表示するリンク部品である候補リンクのうち、ユーザが前記登録情報を登録又は編集するための前記第2画面を表示する候補リンクが、その候補テキストとともに表示されることがあり、
前記各候補テキストが示す前記登録情報には複数の種類があり、
前記各候補リンクに関連付けられる前記第2画面の種類は、その候補リンクが並べて表示された前記候補テキストが示す前記登録情報の種類によって異なる、
情報処理システム。
【請求項2】
前記候補テキストはリンクテキストであり、
前記候補テキストと、これとともに表示された前記候補リンクは、それぞれ異なる前記第2画面に関連付けられる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記各候補リンクは、これを実行することにより、その候補リンクとともに表示された前記候補テキストに紐づく前記登録情報を前記第2画面の各項目に入力した状態で、該第2画面を立ち上げる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
列挙された前記候補テキストの少なくとも一部には、いずれかの前記第2画面を表示するリンク部品である候補リンクが、各候補テキストとともに複数表示される、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
列挙される前記候補テキストは、ユーザが前記検索ボックスに文字を入力した都度更新される、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記候補テキストは、重ねられた、又は並べられた複数の表示領域を有するコンテナ上に表示され、
前記各候補テキストが示す前記登録情報には複数の種類があり、
前記各候補テキストは、その候補テキストが示す前記登録情報の種類に応じて、いずれかの、又は複数の前記表示領域に表示される、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記コンテナは、前記各表示領域がそれぞれタブを有し、これら表示領域が重ねて表示されるタブ付きコンテナである、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記各候補テキストが示す前記登録情報には複数の種類があり、
列挙された前記候補テキストの少なくとも一部には、該候補テキストが示す前記登録情報の種類を示す図形または記号が、各候補テキストとともに表示される、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
ユーザの認証手段を備え、
前記第1画面は、ユーザの認証後、前記第2画面よりも先にユーザに表示される、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第1画面には、前記検索ボックスに加え、いずれかの前記第2画面を表示する一又は複数のリンク部品であるショートカットリンクが設けられる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
少なくとも一部の前記第2画面にも、前記検索ボックスが設けられる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記第1画面も、ユーザが前記登録情報を登録、編集、又は閲覧する機能を有する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記登録情報は、ユーザが登録したデータを加工した検索用内部データを含み、
前記検索手段は前記検索用内部データを走査し、
前記サジェスト手段が列挙する前記候補テキストは、前記検索用内部データとは異なるデータの場合がある、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記登録情報には、従業員に関するデータである従業員情報と、該従業員が属する事業所に関するデータである事業所情報と、が含まれ、
前記従業員情報には従業員名とその別名が含まれ、前記事業所情報には事業所名とその別名が含まれ、
前記検索手段は、少なくとも、前記従業員名、前記事業所名、及びこれらの別名が含まれるデータを走査する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項15】
コンピュータを、
テキスト入力欄である検索ボックスを有するフォーム又はページである第1画面の表示手段、
ユーザにより登録されるデータである登録情報を、ユーザが登録、編集、又は閲覧するための複数種類のフォーム又はページである第2画面の表示手段、及び、
ユーザが前記検索ボックスに入力した文字または文字列を検索キーとして前記登録情報から抽出された一又は複数のデータである候補テキストを前記第1画面上に列挙するサジェスト手段、
として機能させ、
列挙された前記候補テキストには、いずれかの前記第2画面を表示するリンク部品である候補リンクのうち、ユーザが前記登録情報を登録又は編集するための前記第2画面を表示する候補リンクが、その候補テキストとともに表示されることがあ
り、
前記各候補テキストが示す前記登録情報には複数の種類があり、
前記各候補リンクに関連付けられる前記第2画面の種類は、その候補リンクが並べて表示された前記候補テキストが示す前記登録情報の種類によって異なる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムにおけるデータ検索技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ナビゲーション装置等に搭載される検索装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/097392(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多種大量のデータを保持する情報処理システムは、一般に、その保持するデータを大分類から小分類へとツリー状に整理したメニュー等を備えており、ユーザはその案内に従って目的とするデータにアクセスする。この場合、ユーザがその目的とするデータにたどり着くためには、複数回のクリックやタップ、タッチ、スクロール等の操作が必要になる。
【0005】
一方、情報処理システムが、その保持するデータを横断的に走査可能な逐次検索(インクリメンタルサーチ)機能を備えることがある。逐次検索によってサジェストされる入力候補は、一般にリンクテキストとして表示される。ユーザがその入力候補のいずれかを選択すると、その入力候補テキストに紐づく情報を表示する画面(フォームやページ)が立ち上がる。その情報を取り扱う画面が複数種類ある場合、必ずしも期待している画面が表示されるとは限らない。
【0006】
このような問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、情報処理システムのユーザが、極力少ない操作回数で、その探しているデータを、所望のフォーム又はページで表示できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の情報処理システムは、テキスト入力欄である検索ボックスを有するフォーム又はページである第1画面と、ユーザにより登録されるデータである登録情報を保持するデータストアと、ユーザが前記登録情報を登録、編集、又は閲覧するための複数種類のフォーム又はページである第2画面と、ユーザが前記検索ボックスに入力した文字または文字列を前記登録情報から検索する検索手段と、前記検索手段が抽出した一又は複数のデータである候補テキストを前記検索ボックスの近傍に列挙するサジェスト手段と、を備え、列挙された前記候補テキストには、いずれかの前記第2画面を表示するリンク部品である候補リンクのうち、ユーザが前記登録情報を登録又は編集するための前記第2画面を表示する候補リンクが、その候補テキストとともに表示されることがあり、前記各候補テキストが示す前記登録情報には複数の種類があり、前記各候補リンクに関連付けられる前記第2画面の種類は、その候補リンクが並べて表示された前記候補テキストが示す前記登録情報の種類によって異なることを要旨とする。
【0008】
ユーザが探していると思われるデータの候補を列挙するだけでなく、それとともに、そのデータを閲覧または編集するための第2画面へのリンクも表示することにより、ユーザは、そのリンクを実行することで、目当てのデータを直接その第2画面で表示することができる。すなわち、本発明によれば、探しているデータをキーワードで抽出することができるというキーワード検索の利便性と、メニューやリンクをたどって所望の画面を表示するというツリー構造ナビゲーションの確実性とを両立させることができる。これによりユーザは、少ない操作回数で、その探しているデータを、所望のフォーム又はページで表示することが可能となる。また、列挙される候補テキストが一種類だけではない場合、その候補テキストの種類によってそれを表示すべき第2画面も変わる。候補テキストが示す登録情報の種類に応じて候補リンクに関連付けられる第2画面の種類も変えることにより、ユーザは、種類の異なる候補テキストを適切な第2画面で表示することが可能となる。
【0009】
このとき、前記候補テキストはリンクテキストであり、前記候補テキストと、これとともに表示された前記候補リンクは、それぞれ異なる前記第2画面に関連付けられることが好ましい。候補テキストと、これとともに表示される候補リンクとが、それぞれ別々の第2画面に関連付けされることにより、例えば、最も利用頻度が高く一般的な第2画面をテキストの方に関連付け、その次に利用頻度の高い第2画面をリンクの方に関連付けること等ができ、ユーザがより直感的に、かつ柔軟にデータにアクセスすることが可能となる。
【0010】
また、このとき、前記各候補リンクは、これを実行することにより、その候補リンクとともに表示された前記候補テキストに紐づく前記登録情報を前記第2画面の各項目に入力した状態で、該第2画面を立ち上げることが好ましい。
【0012】
また、列挙された前記候補テキストの少なくとも一部には、いずれかの前記第2画面を表示するリンク部品である候補リンクが、各候補テキストとともに複数表示されることが好ましい。これによりユーザは、その候補テキストに関するデータを様々な第2画面で表示することが可能となる。
【0013】
また、列挙される前記候補テキストは、ユーザが前記検索ボックスに文字を入力した都度更新されることが好ましい。これによりユーザの入力作業が必要最小限に抑えられる。
【0014】
また、前記候補テキストは、重ねられた、又は並べられた複数の表示領域を有するコンテナ上に表示され、前記各候補テキストが示す前記登録情報には複数の種類があり、前記各候補テキストは、その候補テキストが示す前記登録情報の種類に応じて、いずれかの、又は複数の前記表示領域に表示されることが好ましい。候補テキストをその種類ごとに分けて表示することにより、サジェストされる候補テキストが多い場合でも、ユーザはその探しているデータをスムーズに見つけることができる。
【0015】
このとき、前記コンテナは、前記各表示領域がそれぞれタブを有し、これら表示領域が重ねて表示されるタブ付きコンテナであることが好ましい。タブ付きコンテナを用いることにより、多数の候補テキストを小さな画面領域に整理して表示することができる。
【0016】
また、前記各候補テキストが示す前記登録情報には複数の種類があり、列挙された前記候補テキストの少なくとも一部には、該候補テキストが示す前記登録情報の種類を示す図形または記号が、各候補テキストとともに表示されることが好ましい。これによりユーザは、各候補テキストの種類を視覚的に判別することができ、その探しているデータをよりスムーズに見つけることができる。
【0017】
また、本発明の情報処理システムは、ユーザの認証手段を備え、前記第1画面は、ユーザの認証後、前記第2画面よりも先にユーザに表示されることが好ましい。これによりユーザは、システムへのサインイン後、速やかに目的とするデータへのアプローチを開始することができる。
【0018】
また、前記第1画面には、前記検索ボックスに加え、いずれかの前記第2画面を表示する一又は複数のリンク部品であるショートカットリンクが設けられることが好ましい。例えば特定の種類のデータを一覧表示する画面など、検索ボックスからのアプローチに適さないフォームやページや、アクセス頻度の極めて高い特定のデータがある場合には、第1画面にそのショートカットを配置することにより、第1画面の利便性をより高めることができる。
【0019】
また、本発明の情報処理システムは、少なくとも一部の前記第2画面にも、前記検索ボックスが設けられることが好ましい。これによりユーザは、第2画面を表示中に、第1画面に移動することなく本発明の検索ボックスの機能を利用することができる。同様に、前記第1画面も、ユーザが前記登録情報を登録、編集、又は閲覧する機能を有してもよい。
【0020】
また、前記登録情報は、ユーザが登録したデータを加工した検索用内部データを含み、前記検索手段は前記検索用内部データを走査し、前記サジェスト手段が列挙する前記候補テキストは、前記検索用内部データとは異なるデータの場合があることが好ましい。検索用に最適化された内部データを使って検索を行うことにより、検索時のレスポンス(ターンアラウンドタイム)や検索精度が向上する。
【0021】
また、前記登録情報には、従業員に関するデータである従業員情報と、該従業員が属する事業所に関するデータである事業所情報と、が含まれ、前記従業員情報には従業員名とその別名が含まれ、前記事業所情報には事業所名とその別名が含まれ、前記検索手段は、少なくとも、前記従業員名、前記事業所名、及びこれらの別名が含まれるデータを走査する構成としてもよい。これにより、ユーザが従業員や事業所の正式名称を記憶していなかったり、断片的にしか記憶していなかったりしても、ユーザがそのデータを見つけられる可能性が高められる。
【0022】
上記課題を解決するため、本発明のプログラムは、コンピュータを、テキスト入力欄である検索ボックスを有するフォーム又はページである第1画面の表示手段、ユーザにより登録されるデータである登録情報を、ユーザが登録、編集、又は閲覧するための複数種類のフォーム又はページである第2画面の表示手段、及び、ユーザが前記検索ボックスに入力した文字または文字列を検索キーとして前記登録情報から抽出された一又は複数のデータである候補テキストを前記第1画面上に列挙するサジェスト手段、として機能させ、列挙された前記候補テキストには、いずれかの前記第2画面を表示するリンク部品である候補リンクのうち、ユーザが前記登録情報を登録又は編集するための前記第2画面を表示する候補リンクが、その候補テキストとともに表示されることがあり、前記各候補テキストが示す前記登録情報には複数の種類があり、前記各候補リンクに関連付けられる前記第2画面の種類は、その候補リンクが並べて表示された前記候補テキストが示す前記登録情報の種類によって異なることを要旨とする。その効果は上で述べた通りである。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明の情報処理システム及びプログラムによれば、ユーザが、極力少ない操作回数で、その探しているデータを、所望のフォーム又はページで表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】人事労務管理システムHRが有する検索画面の構成を示す模式図である。
【
図8】従業員テーブルの列構成を示す表(a)及び事業所テーブルの列構成を示す表(b)である。
【
図9】人事労務管理システムHRのシステム構成パターンを示す模式図である。
【
図10】人事労務管理システムHRの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の情報処理システム及びプログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。本形態の情報処理システム及びプログラムは、給与計算や社会保険手続、交通費計算、入社、退職手続などを管理する人事労務管理システムに関するものである。
【0026】
以下に説明する人事労務管理システムHRは、従業員情報や事業所情報の検索・表示機能にその特徴を有している。具体的には、人事労務管理システムHRは、ユーザのキー入力に応じてサジェストされる入力候補とともに、その入力候補に関するデータを表示するフォームやページ(以下、フォームやページのことを「画面」ともいう。)の候補も同時に表示する。これによりユーザは、目当てとするデータを所望の画面で表示することができる。以下、この特徴とその付随的な特徴について説明する。
【0027】
<検索・表示機能>
図1は、人事労務管理システムHRが有する検索画面10(第1画面)の構成を示す模式図である。
【0028】
図1(a)に示される検索画面10は、ユーザのウェブブラウザ上に表示されるウェブページである。検索画面10は、テキスト入力欄である検索ボックス11をその主な構成要素としている。人事労務管理システムHRは、ユーザによって登録された従業員に関するデータである従業員情報と、その従業員が属する事業所に関するデータである事業所情報とを保持している。検索ボックス11は、ユーザが入力した文字や文字列(以下「キーワード」ともいう。)を、登録情報の中から検索し、その結果をユーザに表示する。
【0029】
本形態の検索画面10は、この検索ボックス11に加え、複数のショートカットアイコン12(ショートカットリンク)とメニューボタン13も備えている。ショートカットアイコン12は、それぞれ特定の業務画面(第2画面)やデータに関連付けられており、クリックされることでこれらを表示する。ここで「業務画面」とは、人事労務管理システムHRが保持する登録情報を、登録、編集、又は閲覧するための画面である。ショートカットアイコン12は、例えば、ある条件に合致するデータを一覧表示する画面のように、検索ボックス11からのアプローチに向いていない業務画面や、アクセス頻度が極めて高いデータを表示する画面に関連付けられている。メニューボタン13は、人事労務管理システムHRが有する業務画面とそのデータを大分類から小分類へとツリー状に整理したメニューを表示するボタンである。
【0030】
図1(b)は、検索ボックス11に文字が入力されたときの検索画面10の挙動を示す模式図である。
図1(b)に示されるように、ユーザが検索ボックス11に文字を入力すると、検索ボックス11の近傍に入力候補フォーム20がポップアップ表示される。入力候補フォーム20は、ユーザが探していると思われるデータをサジェスト表示するコンテナである。本形態の入力候補フォーム20は、各表示領域がそれぞれタブ21を有し、これら表示領域が重ねて表示されるタブ付きコンテナである。
【0031】
図1(b)の例では、ユーザは、検索ボックス11に「山」という文字を入力している。入力候補フォーム20に列挙される候補データ30は、ユーザが検索ボックス11に文字を入力した都度(文字入力を確定させた都度)更新される。
【0032】
図2は、入力候補フォーム20の拡大図である。
図2に示されるように、入力候補フォーム20には、「山」という文字を含む候補データ30が複数列挙されている。尚、「鈴木花子」という候補データ30には「山」という文字が含まれていないが、ここに表示されている。その理由については後ほど説明をする。
【0033】
本形態の入力候補フォーム20には、「従業員」「事業所」「すべて」という3種類のタブ21が設けられている。「従業員」タブには、従業員名を主とする候補データ30である従業員候補データ30aのみが表示され、「事業所」タブには、事業所名を主とする候補データ30である事業所候補データ30bのみが表示され、「すべて」タブには、事業所候補データ30bと従業員候補データ30aの両方が表示される。
図2の例では、「すべて」タブが選択されている。入力候補フォーム20が候補データ30をその種類ごとに分けて表示することにより、サジェストされる候補データ30が多い場合でも、ユーザはその探しているデータをスムーズに見つけることができる。尚、本形態の入力候補フォーム20は、タブ付きコンテナを採用することで、多数の候補データ30をコンパクトに整理して表示しているが、画面上の表示サイズの制限が緩やかであれば、候補データ30をグループ分けした表示領域を並べて同時に表示してもよい。
【0034】
また、各候補データ30には、それぞれ、その候補データ30の種類を示す図形であるデータ種アイコン39が付けられている。ユーザは、このデータ種アイコン39によっても、その候補データ30の種類を判別することができる。
【0035】
また、各候補データ30は、それぞれ、従業員名または事業所名を表示するリンクテキスト31(候補テキスト)と、いずれかの業務画面に関連付けられたアイコンである複数のリンクアイコン35,36(候補リンク)と、を有している。以下、これらリンクテキスト31、及びリンクアイコン35,36をクリックしたときに表示される画面について説明する。
【0036】
図3は従業員情報画面40aの模式図である。従業員情報画面40aは、従業員候補データ30aのリンクテキスト31をクリックしたときに表示される業務画面である。従業員情報画面40aの各フィールドには、クリックされたリンクテキスト31に関連するデータが予め入力されており、ユーザはその目的とする作業に速やかに取りかかることができる。
【0037】
図3に示されるように、人事労務管理システムHRでは、従業員名として、実際の姓名41やそのカナ42だけでなく、ビジネスネーム43(別名)を用いることもできる。本形態の検索ボックス11はこのビジネスネーム43も走査している。ビジネスネーム43が設定されている場合、人事労務管理システムHRは、従業員名として、姓名41よりもビジネスネーム43の方を優先的に表示する。その結果、「山」というキーワードによって抽出された「小山花子」のビジネスネーム43である「鈴木花子」が入力候補フォーム20に表示されている。その他、姓名41に「山」という文字が含まれず、ビジネスネーム43にのみ「山」という文字が含まれる従業員情報がある場合には、そのビジネスネーム43も入力候補フォーム20に表示される。
【0038】
また、従業員情報画面40aには、検索画面10に設置されている検索ボックス11、メニューボタン13、及びショートカットアイコン12と同様の機能を有する、検索ボックス47、ショートカットアイコン48、及びメニューボタン49が設けられている。これによりユーザは、従業員情報画面40aを表示中に、検索画面10に移動することなく検索画面10の諸機能を利用することができる。また、本形態の検索画面10は専ら他の業務画面へのリンクを提供するものであるが、検索画面10自体が何らかの登録情報を登録、編集、又は閲覧する機能を備えてもよい。
【0039】
図4は賃金台帳画面40bの模式図である。
図5は退社連絡登録画面40cの模式図である。賃金台帳画面40bは、従業員候補データ30aのリンクアイコン35をクリックしたときに表示される業務画面である。退社連絡登録画面40cは、従業員候補データ30aのリンクアイコン36をクリックしたときに表示される業務画面である。このように、一つの従業員候補データ30aであっても、ユーザがリンクテキスト31を選択するか、又はリンクアイコン35,36のいずれかを選択するかによって、その従業員に関する情報を表示する業務画面が変わる。
【0040】
図6は事業所情報画面50の模式図である。事業所情報画面50は、事業所候補データ30bのリンクテキスト31をクリックしたときに表示される業務画面である。事業所情報画面50の各フィールドには、クリックされたリンクテキスト31に関連するデータが予め入力されており、ユーザはその目的とする作業に速やかに取りかかることができる。
【0041】
図6に示されるように、人事労務管理システムHRでは、事業所名として、登記上の会社名51やそのカナ52だけでなく、「アプリ表示名53」として、その略称や別名を用いることもできる。本形態の検索ボックス11はこのアプリ表示名53も検索している。また、事業所情報画面50にも、検索画面10に設置されている検索ボックス11、メニューボタン13、及びショートカットアイコン12と同様の、検索ボックス57、メニューボタン59、及びショートカットアイコン58が設けられている。
【0042】
図示は省略するが、事業所候補データ30bのリンクアイコン35をクリックしたときは、その事業所に所属する全従業員の賃金台帳を閲覧可能な業務画面が表示され、リンクアイコン36をクリックしたときには、入社連絡登録画面が表示される。
【0043】
このように、従業員候補データ30a及び事業所候補データ30bのリンクテキスト31や各リンクアイコン35,36に関連付けられる業務画面の種類は、その候補データ30の種類(従業員候補データ30aか事業所候補データ30bか)によって異なっている。本形態のように、列挙される候補データ30が一種類だけではない場合、その候補データ30の種類によってそれを表示すべき業務画面も変わる。人事労務管理システムHRでは、候補データ30の種類に応じて、そのリンクテキスト31や各リンクアイコン35,36に関連付けられる業務画面の種類が変えられることで、ユーザは、種類の異なる候補データ30をそれぞれ適当な業務画面で表示することができる。
【0044】
以上、説明したように、人事労務管理システムHRの検索・表示機能は、ユーザが探していると思われる従業員情報や事業所情報の候補をサジェストするだけでなく、それとともに、その情報を閲覧・編集可能な複数種類の業務画面へのリンクを提示する。これによりユーザは、少ない操作回数で、その探しているデータを、所望のフォーム又はページで表示することができる。すなわち、本形態の人事労務管理システムHRによれば、探しているデータをキーワードで抽出することができるというキーワード検索の利便性と、メニューやリンクをたどって所望の画面を表示するというツリー構造ナビゲーションの確実性とを両立させることができる。
【0045】
図7は事業所一覧画面60の模式図である。事業所一覧画面60は、人事労務管理システムHRに登録されている事業所情報を一覧表示する、この事業所一覧画面60のように、検索ボックス11からのアプローチに適さず、かつ、利用頻度の高い画面は、検索画面10にショートカットアイコン12として登録しておくことが望ましい。
【0046】
また、人事労務管理システムHRでは、ユーザが認証を経てシステムにログインすると、まず検索画面10が立ち上がる。これによりユーザは、速やかにその目的とするデータへのアプローチを開始することができる。
【0047】
<データ構成>
図8は、従業員情報を保持する従業員テーブルの列構成を示す表(a)、及び、事業所情報を保持する事業所テーブルの列構成を示す表(b)である。表中の列名に「*」印が付記されているものは、ユーザが検索ボックス11に入力したキーワードが検索される列である。
【0048】
上でも述べたように、人事労務管理システムHRの検索ボックス11は、従業員の実際の姓名41やそのカナ42だけでなく、ビジネスネーム43もその検索対象としている。また、事業所についても、登記上の会社名51やそのカナ52だけでなく、その略称や別名であるアプリ表示名53もその検索対象としている。これにより、ユーザが従業員や事業所の正式名称を記憶していなかったり、断片的にしか記憶していなかったりしても、ユーザがそのデータを見つけられる可能性が高められる。
【0049】
さらに、人事労務管理システムHRは、検索ボックス11の検索精度を高めるとともに、検索処理のレスポンスを高めるべく、検索処理専用のデータを内部的に保持している。具体的には、従業員レコードについて、姓名を結合した「姓名検索用」データ、姓名のカナを結合した「姓名カナ検索用」データ、ビジネスネームの姓名を結合した「ビジネスネーム姓名検索用」データ、及び、ビジネスネームの姓名のカナを結合した「ビジネスネーム姓名カナ検索用」データを保持している。検索ボックス11に入力されたキーワードは、姓名やビジネスネーム、それらのカナではなく、専らこの検索用内部データから検索される。
【0050】
<システム構成>
図9は、人事労務管理システムHRのシステム構成パターンを示す模式図である。本形態の人事労務管理システムHRは、
図9(a)に示される一般的なクラウドシステムである。ユーザはPC80のウェブブラウザをUIとしてシステムにアクセスし、インターネットで接続されたデータセンターのサーバ装置90が、システムのウェブサーバ機能、アプリケーションサーバ機能、及びデータベースサーバ機能を提供する。
【0051】
人事労務管理システムHRのシステム構成は特にクラウドシステム型には限定されず、他の構成をとってもよい。例えば、
図9(b)に示すように、ユーザのPC80に専用のUIプログラムやアプリケーションプログラムをインストールし、ネットワークで接続されたサーバ装置90にデータベースサーバ機能のみを配置してもよい。サーバ装置90はクラウドでもオンプレミスでもよい。また、
図9(c)に示すように、データベースサーバ機能も含めてユーザのPC80にインストールし、スタンドアローンのシステムとしてもよい。
【0052】
図10は、人事労務管理システムHRの機能構成を示すブロック図である。繰り返しになるが、本形態の人事労務管理システムHRは一般的なクラウドシステムである。PC80のウェブブラウザはユーザの入力を受け付ける入力受付機能81と、ページやフォームを表示する画面出力機能82(サジェスト手段含む)を提供する。サーバ装置90は、ユーザの認証機能91、検索ボックス11に入力されたキーワードを元にデータベース94からデータを抽出するデータ検索機能92(検索手段)、データ登録・編集機能93、従業員レコードや事業所レコードを保持するデータベース94(データストア)、レスポンス生成機能98、その他の機能99を有する。人事労務管理システムHRの機能についても、これをオンプレミスにしたり、スタンドアローンにしたりできることは上で述べた通りである。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることができる。例えば、上記実施形態は人事労務管理システムを例としたが、本発明の情報処理システム及びプログラムは人事労務管理システムに限られるものではない。また、ユーザインタフェースもPCには限られず、タブレットやスマートフォンであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
HR:人事労務管理システム(情報処理システム及びプログラム),10:検索画面(第1画面),11:検索ボックス,12:ショートカットアイコン(ショートカットリンク),13:メニューボタン,20:入力候補フォーム(タブ付きコンテナ),21:タブ,30:候補データ,30a:従業員候補データ,30b:事業所候補データ,31:リンクテキスト,35:リンクアイコン,36:リンクアイコン,39:データ種アイコン,40a:従業員情報画面(第2画面),40b:賃金台帳画面(第2画面),40c:退社連絡登録画面(第2画面),41:姓名,42:姓名カナ(別名),43:ビジネスネーム(別名),47:検索ボックス,48:ショートカットアイコン,49:メニューボタン,50:事業所情報画面(第2画面),51:会社名,52:会社名カナ(別名),53:アプリ表示名(別名),57:検索ボックス,58:ショートカットアイコン,59:メニューボタン,60:事業所一覧画面(第2画面),80:PC,81:入力受付機能,82:画面出力機能(サジェスト手段),90:サーバ装置,91:認証機能(認証手段),92:データ検索機能(検索手段),93:データ登録・編集機能,94:データベース(データストア),98:レスポンス生成機能,99:その他の機能
【要約】
【課題】情報処理システムのユーザが、極力少ない操作回数で、その探しているデータを、所望のフォーム又はページで表示できるようにする。
【解決手段】検索ボックスを有する第1画面と、登録情報を保持するデータストアと、登録情報を登録、編集、又は閲覧するための複数種類の第2画面と、ユーザが検索ボックスに入力した文字を検索する検索手段と、検索手段が抽出した候補テキストを検索ボックスの近傍に列挙するサジェスト手段と、を備え、列挙された候補テキストの少なくとも一部には、いずれかの第2画面を表示するリンク部品が、各候補テキストとともに表示される情報処理システム、及びそのプログラムによりこれを解決する。
【選択図】
図1