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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】落雪回転屋根
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/60 20160101AFI20231019BHJP
   E01H 5/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
E01F9/60
E01H5/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021111050
(22)【出願日】2021-07-02
(65)【公開番号】P2023007913
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】521292010
【氏名又は名称】株式会社越後交通鉄工所
(73)【特許権者】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諏訪部 達
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勉
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3107487(JP,U)
【文献】特開2004-316248(JP,A)
【文献】特開2011-109796(JP,A)
【文献】特開2015-136029(JP,A)
【文献】特開2011-047185(JP,A)
【文献】特開2001-323421(JP,A)
【文献】特開平10-018241(JP,A)
【文献】特開2009-165233(JP,A)
【文献】特開2000-045235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/60
E01H 5/00
H02G 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上空に設置された構造物への着雪を防止するために前記構造物の上方に設けられる落雪回転屋根であって、筒形であって回動中心が略水平方向をなす回転体と、この回転体を回動自在に支持する支持体と、この支持体を前記構造物に揺動可能に連結する連結体とを備えたことを特徴とする落雪回転屋根。
【請求項2】
前記構造物と前記回転体との間に開口部を有することを特徴とする請求項1記載の落雪回転屋根。
【請求項3】
前記連結体がばね手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の落雪回転屋根。
【請求項4】
前記支持体は、前記回転体を軸支する軸体と、この軸体を前記支持体に揺動可能に連結する軸連結体とを備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の落雪回転屋根。
【請求項5】
前記軸連結体がばね手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の落雪回転屋根。
【請求項6】
前記回転体の断面が円形であって、前記回転体の外周に近接して前記回転体と略平行にワイヤが張設されたことを特徴とする請求項1~5のいずれか記載の落雪回転屋根。
【請求項7】
前記回転体の断面が三角形であって、前記回転体の回動を前記回転体の一面が略垂直になる位置で停止させる停止手段を備えたことを特徴とする請求項1~5のいずれか記載の落雪回転屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標識などの構造物への着雪を防止する落雪回転屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪の多い地方では、降雪時に、道路上空に設置されている大型案内標識や橋梁構造物に着雪、積雪し、場合によっては、雪庇が形成されることがある。そして、着雪等が生じた場合には、落雪事故を予防するために、道路の管理者は、高所作業車を用いた人力による除雪作業を余儀なくされていた。例えば、高速道路においては、高速道路を通行止めにしてから、高速道路の上を交差する橋梁や標識看板の雪下ろしが人力により行われていた。さらに、道路管理者には、豪雪時においては、緊急対応、安全維持、除雪費用など、極めて多大な負担が強いられていた。
【0003】
このような事情から、従来、落雪事故の予防対策として、着雪させないことによる対策、融雪することによる対策、積雪量が少ないうちに落雪させることによる対策など、様々な対策が提案されてきた。
【0004】
着雪させないことによる対策としては、超撥水塗料を塗布する、酸化チタンを含む光触媒塗料を塗布する、屋根にシートを被せる、という対策が提案されている。しかし、超撥水塗料を塗布する対策においては、超撥水塗料の性能が発揮されるのは1、2年程度であり、5年ごとの塗り替えが必要であった。光触媒を塗布する対策においては、機能維持のための継続的な清掃が必要であった。屋根にシートを被せる対策においては、シートの耐久性が1、2年であるのに加え、毎年設置、撤去の作業が必要であった。
【0005】
融雪することによる対策としては、電気ヒータを用いる、雨樋を設置して水を流す、という対策が提案されている。しかし、電気ヒータを用いる対策においては、電源が必要であるためランニングコストが大きく、つらら対策も必要であった。雨樋を設置する対策においては、雨樋の設置費用が大きく、平面トラス専用であって、急勾配には適用できなかった。
【0006】
積雪量が少ないうちに落雪させることによる対策としては、屋根を設ける方法が提案されており、大きく二つに分けて、固定屋根による対策と、可動屋根による対策が提案されている。
【0007】
固定屋根による対策としては、屋根を急勾配にして自重で落雪させる、格子フェンスを設置する、スピーカーを設置して振動で落雪させる、という対策が提案されている。しかし、屋根を急勾配にする対策においては、60度以上の勾配で効果があり広く採用されているが、豪雪時は雪庇になることがあるという課題があった。また、より急勾配にすれば効果が増すが、急勾配にするほど屋根の高くなるため限度があった。格子フェンスを設置する対策においては、積雪を格子フェンスの内側に溜め込み、自然に融雪させたり、格子フェンスからはみ出た雪を少しずつ落としたりするものであるが、降り始めから落雪までの累計積雪量が300mm程度までは効果があるが、これを超えるとフェンスから溢れて雪庇となるという課題があり、つらら対策も必要であった。スピーカーを設置する対策においては、LED信号灯の実験で一定の効果があったが、氷点下での落雪効果はなかった。
【0008】
可動屋根による対策としては、屋根上をゴム膜としてエアーで伸縮させる、屋根を回転させ自重で落雪させる、という対策が提案されている。しかし、屋根上をゴム膜とする対策においては、設置費用が大きく、落雪時に道路を通行止めにする必要があった。屋根を回転させる対策においては、直線形状は対応可能であるが、トラス交差部は対応できなかった。
【0009】
これらのほか、可動屋根による対策として、特許文献1には、道路に設けられる標識体の上方に、中心軸がほぼ水平方向をなす雪受け用ドラムを回動自在に設けたドラム式雪除去装置が開示されている。このドラム式雪除去装置は、雪受け用ドラム上に雪が積もると、雪の重みでドラムが回転して雪が落下するから、標識体に雪が積もって付着することを防止できる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】登録実用新案第3107487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示されているドラム式雪除去装置は、比較的簡単な構造であるため、落雪事故の予防対策として有効であると考えられた。しかし、発明者らが実験したところ、雪受けドラムに付着した雪が固まってしまい、ドラムが回転しても雪が落下しないことがあった。
【0012】
そこで、本発明は、このドラム式雪除去装置を改良し、付着した雪が固まることを防止し、積雪量が少ないうちに確実に雪を落下させることのできる、新たな落雪回転屋根を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の落雪回転屋根は、道路上空に設置された構造物への着雪を防止するために前記構造物の上方に設けられる落雪回転屋根であって、筒形であって回動中心が略水平方向をなす回転体と、この回転体を回動自在に支持する支持体と、この支持体を前記構造物に揺動可能に連結する連結体とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、前記構造物と前記回転体との間に開口部を有することを特徴とする。
【0015】
また、前記連結体がばね手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、前記支持体は、前記回転体を軸支する軸体と、この軸体を前記支持体に揺動可能に連結する軸連結体とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、前記軸連結体がばね手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、前記回転体の断面が円形であって、前記回転体の外周に近接して前記回転体と略平行にワイヤが張設されたことを特徴とする。
【0019】
また、前記回転体の断面が三角形であって、前記回転体の回動を前記回転体の一面が略垂直になる位置で停止させる停止手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の落雪回転屋根によれば、筒形であって回動中心が略水平方向をなす回転体と、この回転体を回動自在に支持する支持体と、この支持体を前記構造物に揺動可能に連結する連結体とを備えたため、回転体に積もった雪の重さによって回転体が回転するとともに、自然風により回転体が揺動、振動する。このため、回転体に付着した雪が固まることを防止し、積雪量が少ないうちに確実に雪を落下させることができる。
【0021】
また、前記構造物と前記回転体との間に開口部を有するため、開口部を吹き抜ける自然風によって回転体に下方向の力が働いて回転体の揺動、振動が大きくなるとともに、この揺動によって回転体のバランスが崩れて回転体が回転する。このため、より確実に雪を落下させることができる。
【0022】
また、前記連結体がばね手段を備えたため、簡単な構成で確実に回転体を揺動、振動させることができる。
【0023】
また、前記支持体は、前記回転体を軸支する軸体と、この軸体を前記支持体に揺動可能に連結する軸連結体とを備えたため、回転体の揺動、振動をより大きくすることで、より確実に雪を落下させることができる。
【0024】
また、前記軸連結体がばね手段を備えたため、簡単な構成で確実に回転体を揺動、振動させることができる。
【0025】
また、前記回転体の断面が円形であって、前記回転体の外周に近接して前記回転体と略平行にワイヤが張設されたため、回転体の回転時にワイヤが積雪を切断する。このため、さらに確実に雪を落下させることができる。
【0026】
また、前記回転体の断面が三角形であって、前記回転体の回動を前記回転体の一面が略垂直になる位置で停止させる停止手段を備えたため、積もった雪の重さによって回転体が回転して、雪が積もった面が略垂直になって回転が停止する。一方で、これまで略垂直であった面が上を向き、この面に新たに雪が積もると雪の重さによって回転体が回転してこの面が再び略垂直になって回転が停止する。このため、確実に雪を落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の落雪回転屋根の一実施例において、案内標識板に取り付けた様子を示す正面図である。
図2】同上、案内標識板とその支柱に取り付けた様子を示す右側面図である。
図3】同上、案内標識板の支柱に取り付けた様子を示す背面図である。
図4】同上、案内標識板に取り付けた様子を示す拡大右側面図である。
図5】同上、案内標識板の支柱に取り付けた様子を示す拡大右側面図である。
図6】同上、案内標識板に取り付けた様子を示す拡大縦断面図である。
図7】同上、図6のA-A線断面図である。
図8】同上、図6のB-B線断面図である。
図9】本発明の落雪回転屋根の別の実施例において、案内標識板に取り付けた様子を示す正面図である。
図10】同上、案内標識板とその支柱に取り付けた様子を示す右側面図である。
図11】同上、案内標識板の支柱に取り付けた様子を示す背面図である。
図12】同上、案内標識板に取り付けた様子を示す拡大右側面図である。
図13】同上、案内標識板の支柱に取り付けた様子を示す拡大右側面図である。
図14】同上、案内標識板に取り付けた様子を示す拡大縦断面図である。
図15】同上、図14のA-A線断面図である。
図16】同上、図14のB-B線断面図である。
図17】同上、図14のC-C線断面図である。
図18】同上、図14のD-D線断面図である。
図19】同上、図14のE-E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の落雪回転屋根は、道路上空に設置された構造物への着雪を防止するために構造物の上方に設けられるものである。本発明の落雪回転屋根の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態によって限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
【実施例1】
【0029】
本発明の落雪回転屋根の一実施例を示す図1~3を参照すると、101は道路側縁に立設される柱であり、この柱101の上部には、水平方向に延びる2本の梁102a,102bの一端側が固定されている。これら柱101と梁102a,102bにより、F型の支柱が構成されている。また、支柱を構成する2本の梁102a,102bには、板取付具103が固定されており、この板取付具103を介して梁102a,102bに案内標識板104が固定されている。そして、案内標識板104の上方には、第1の落雪回転屋根1が設けられ、支柱の上側の梁102aの上方には、第2の落雪回転屋根2が設けられている。さらに、案内標識板104と第1の落雪回転屋根1の間には、開口部1aが設けられ、梁102aと第2の落雪回転屋根2の間には、開口部2aが設けられている。
【0030】
第1の落雪回転屋根1の右側面を示す図4を参照すると、第1の落雪回転屋根1は、回転体11を備えている。回転体11は、断面が円形の筒形であって、回動中心が略水平方向をなしている。回転体11は、支持体12により回動自在に支持されており、支持体12は、ばね手段として圧縮コイルばね13を備えた連結体14によって、板取付具103に揺動可能に連結されている。また、支持体12には、2本のワイヤ15が回転体11と略平行に張設されている。ワイヤ15は、回転体11の外周から離間し、かつ、回転体11と近接しており、回転体11の前後において、回転体11の回動中心よりもやや下方に位置している。
【0031】
第2の落雪回転屋根2の右側面を示す図5を参照すると、第2の落雪回転屋根2は、第1の落石回転屋根1の回転体11よりも回転面積が大きい回転体21を備えている。回転体21は、断面が円形の筒形であって、回動中心が略水平方向をなしている。回転体21は、支持体22により回動自在に支持されており、支持体22は、ばね手段として圧縮コイルばね23を備えた連結体24によって、梁102aに揺動可能に連結されている。また、支持体22には、2本のワイヤ25が回転体21と略平行に張設されている。ワイヤ25は、回転体21の外周から離間して、回転体21の前後において、回転体21の回動中心よりもやや下方に位置している。
【0032】
第1の落雪回転屋根1の拡大縦断面を示す図6図6のA-A線断面とB-B線断面をそれぞれ示す図7図8を参照すると、回転体11は、中央に配置される回転体11aと、回転体11aの端部に配置される回転体11bからなる。支持体12は、回転体11a,11bを軸支するための軸体16を備えており、軸体16は、ばね手段として圧縮コイルばね17を備えた軸連結体18によって、支持体12に揺動可能に連結されている。図6には図示しないが、中央の回転体11aの右側にも、回転体11b、支持体12、連結体14と同様の構造を有する回転体、支持体、連結体が、回転体11b、支持体12、連結体14と対称に配置されている。そして、中央の回転体11aの両端近傍は、左側の軸体16の右端近傍と、軸体16とは別体の右側の軸体(図示せず)の左側近傍において、ボールベアリングからなる軸受19を介して回動自在に軸支されている。端部の回転体11bの両端近傍は、軸体16の左端近傍と、中央と右端の中間において、軸受19を介して回動自在に軸支されている。このようにして、中央の回転体11aは、その両端近傍において2つの支持体12によって支持され、端部の回転体11bは、1つの支持体12のみによって支持されている。
【0033】
なお、第2の落雪回転屋根2は、梁102aに連結され、第1の落雪回転屋根1よりも直径が大きい回転体21を備えているほかは、第1の落雪回転屋根1と同様の構造を有している。
【0034】
つぎに、本実施例の落雪回転屋根の作用について説明する。第1の落雪回転屋根1、第2の落雪回転屋根2に雪が積もると、積雪の自重によって発生するアンバランスモーメントにより回転体11,21が回転し、積雪面が反転することにより自然に雪が落下する。また、回転体11,21が回転する際に、回転体11,21に近接した位置に設置されたワイヤ15,25によって、自然に落下せずに回転体11,21に依然として付着している雪が切り離されて落下する。すなわち、ワイヤ15,25は、回転体11,21の回転力により積雪を切断するスクレーパとして作用する。
【0035】
回転体11,21は、圧縮コイルばね13,23を介して支持されるため、自然風や道路からの振動によってバランスが崩れると、上部を安定させようとして回転する。また、開口部1a,1bに自然風が吹き抜けることによって回転体11,21に下方向の力が働き、回転体11,21の揺動、振動が大きくなる。この揺動、振動によって回転体11,21のバランスが崩れると回転体11,21が回転する。
【0036】
さらに、回転体11が軸支されている軸体16は、圧縮コイルばね17を備えた軸連結体18によって、支持体12に揺動可能に連結されているため、自然風や道路からの振動によって、一層大きく揺動、振動する。特に、端部の回転体11bは、1つの支持体12のみによって支持されている片持ち構造になっているため、さらに一層大きく揺動、振動する。その結果、バランスが大きく崩れて回転体11,21の回転力が強くなり、より確実に第1の落雪回転屋根1、第2の落雪回転屋根2に積もった雪を落下させることができる。回転体21も回転体11と同様の構造を有しているため、回転体11と同様にして雪を落下させることができる。
【0037】
以上のように、本実施例の落雪回転屋根は、道路上空に設置された構造物としての梁102a、案内標識板104などへの着雪を防止するために前記構造物の上方に設けられる落雪回転屋根としての第1の落雪回転屋根1、第2の落雪回転屋根2であって、筒形であって回動中心が略水平方向をなす回転体11,21と、この回転体11,21を回動自在に支持する支持体12,22と、この支持体12,22を前記構造物に揺動可能に連結する連結体14,24とを備えたため、回転体11,21に積もった雪の重さによって回転体11,12が回転するとともに、自然風により回転体11,12が揺動、振動する。このため、回転体11,12に付着した雪が固まることを防止し、積雪量が少ないうちに確実に雪を落下させることができる。
【0038】
また、前記構造物と前記回転体11,21との間に開口部1a,2aを有するため、開口部1a,2aを吹き抜ける自然風によって回転体11,21に下方向の力が働いて回転体11,21の揺動、振動が大きくなるとともに、この揺動によって回転体11,21のバランスが崩れて回転体11,21が回転する。このため、より確実に雪を落下させることができる。
【0039】
また、前記連結体14,24がばね手段として圧縮コイルばね13,23を備えたため、簡単な構成で確実に回転体11,21を揺動、振動させることができる。
【0040】
また、前記支持体12は、前記回転体11を軸支する軸体16と、この軸体16を前記支持体12に揺動可能に連結する軸連結体18とを備えたため、回転体11の揺動、振動をより大きくすることで、より確実に雪を落下させることができる。
【0041】
また、前記軸連結体18がばね手段として圧縮コイルばね17を備えたため、簡単な構成で確実に回転体を揺動、振動させることができる。
【0042】
また、前記回転体11,21の断面が円形であって、前記回転体11,21の外周に近接して前記回転体11,21と略平行にワイヤ15,25が張設されたため、回転体11,21の回転時にワイヤ15,25が積雪を切断する。このため、さらに確実に雪を落下させることができる。
【0043】
なお、本実施例では、ばね手段の例として圧縮コイルばね13,17,23を示したが、圧縮コイルばねに限らず、引張コイルばね、皿ばね等、ほかのばね手段を用いる構成に変更してもよい。
【実施例2】
【0044】
本発明の落雪回転屋根の別の実施例を示す図9~11を参照すると、101は道路側縁に立設される柱であり、この柱101の上部には、水平方向に延びる2本の梁102a,102bの一端側が固定されている。これら柱101と梁102a,102bにより、F型の支柱が構成されている。また、支柱を構成する2本の梁102a,102bには、板取付具103が固定されており、この板取付具103を介して梁102a,102bに案内標識板104が固定されている。そして、案内標識板104の上方には、第1の落雪回転屋根3が設けられ、支柱の上側の梁102aの上方には、第2の落雪回転屋根4が設けられている。さらに、案内標識板104と第1の落雪回転屋根3の間には、開口部3aが設けられ、梁102aと第2の落雪回転屋根4の間には、開口部4aが設けられている。
【0045】
第1の落雪回転屋根3の右側面を示す図12を参照すると、第1の落雪回転屋根3は、回転体31を備えている。回転体31は、断面が正三角形の筒形であって、回動中心が略水平方向をなしている。回転体31は、支持体32により回動自在に支持されており、支持体32は、ばね手段として圧縮コイルばね33を備えた連結体34によって、板取付具103に揺動可能に連結されている。
【0046】
第2の落雪回転屋根4の右側面を示す図13を参照すると、第2の落雪回転屋根4は、第1の落石回転屋根3の回転体31よりも回転面積が大きい回転体41を備えている。回転体41は、断面が正三角形の筒形であって、回動中心が略水平方向をなしている。回転体41は、支持体42により回動自在に支持されており、支持体42は、ばね手段として圧縮コイルばね43を備えた連結体44によって、梁102aに揺動可能に連結されている。
【0047】
第1の落雪回転屋根3の拡大縦断面を示す図14図14のA-A線断面、B-B線断面、C-C線断面、D-D線断面、E-E線断面をそれぞれ示す図15図19を参照すると、回転体31は、相互に左右対称に配置される2つの回転体31aからなる。それぞれの回転体31aは、1対の支持体32によって両端から挟まれた位置にあり、回転体31aの両端近傍には、軸体35が固定されている。そして、回転体31aの軸体35は、支持体32に設けられたボールベアリングからなる軸受36を介して回動自在に軸支されている。
【0048】
2つの軸体35のうち、一方の軸体35aの外周には、外周を六等分する6本の溝37が形成されており、そのうちの3本の溝37には、溝37の外周を三等分する三方向から、支持体32に設けられたボールプランジャー38が当接している。溝37とボールプランジャー38により停止手段が構成され、これにより、回転体31aの回転を60度ごとに一時停止させて、回転体31aの1面を垂直に、別の1面の傾斜角度を30度にすることができるようになっている。
【0049】
また、回転体31aの一方の端部近傍には、外側に向かって凸部39が形成され、支持体32には、凸部39と当接する当接部40が設けられている。そして、凸部39と当接部40によって、回転体31aの回転範囲が規制され、回転体31aを構成する3つの外面のうちの2つだけが上を向くようになっている。
【0050】
なお、第2の落雪回転屋根4は、梁102aに連結され、第1の落雪回転屋根3よりも回転面積が大きい回転体41を備えているほかは、第1の落雪回転屋根3と同様の構造を有している。
【0051】
つぎに、本実施例の落雪回転屋根の作用について説明する。第1の落雪回転屋根3、第2の落雪回転屋根4に雪が積もると、積雪の自重によって発生する回転モーメントにより回転体31,41が回転する。
【0052】
このとき、回転体31の軸体35aの外周に形成された溝37にボールプランジャー38が当接し、回転体31の回転が60度ごとに一時停止し、回転体31の1面が垂直に、別の1面の傾斜角度が30度になる。また、回転体31の凸部39と支持体32の当接部40によって回転体31の回転範囲が規制され、回転体31を構成する3つの外面のうちの2つだけが上を向く。回転体41も回転体31と同様の構造を有しているため、回転体11と同様に回転する。
【0053】
したがって、回転体31,41が回転する際は、回転体31,41の傾斜角度が30度であった積雪面が垂直になり、垂直であった面の傾斜角度が30度になる。その後、第1の落雪回転屋根3、第2の落雪回転屋根4に雪が積もると、回転体31,41の傾斜角度が30度であった積雪面が再び垂直になり、垂直であった面の傾斜角度が再び30度になる。このように、積雪面が交互に替わることにより、積雪の自重により回転体31,41が回転し、垂直になった面から自然に雪が落下する。
【0054】
回転体31,41は、圧縮コイルばね33,43を介して支持されるため、自然風や道路からの振動によって、回転体31,41が揺動、振動する。また、開口部3a,4bに自然風が吹き抜けることによって回転体31,41に下方向の力が働き、回転体31,41の揺動、振動が大きくなる。この揺動、振動によって自然に落下せずに回転体31,41に依然として付着した雪が落下する。
【0055】
以上のように、本実施例の落雪回転屋根は、道路上空に設置された構造物としての梁102a、案内標識板104などへの着雪を防止するために前記構造物の上方に設けられる落雪回転屋根としての第1の落雪回転屋根3、第2の落雪回転屋根4であって、筒形であって回動中心が略水平方向をなす回転体31,41と、この回転体31,41を回動自在に支持する支持体32,42と、この支持体32,42を前記構造物に揺動可能に連結する連結体34,44とを備えたため、回転体31,41に積もった雪の重さによって回転体31,42が回転するとともに、自然風により回転体31,42が揺動、振動する。このため、回転体31,42に付着した雪が固まることを防止し、積雪量が少ないうちに確実に雪を落下させることができる。
【0056】
また、前記構造物と前記回転体31,41との間に開口部3a,4aを有するため、開口部3a,4aを吹き抜ける自然風によって回転体31,41に下方向の力が働いて回転体31,41の揺動、振動が大きくなるため、より確実に雪を落下させることができる。
【0057】
また、前記連結体34,44がばね手段として圧縮コイルばね33,43を備えたため、簡単な構成で確実に回転体31,41を揺動、振動させることができる。
【0058】
また、前記回転体31,41の断面が三角形であって、前記回転体31,41の回動を前記回転体31,41の一面が略垂直になる位置で停止させる停止手段としての溝37とボールプランジャー38を備えたため、積もった雪の重さによって回転体31,41が回転して、雪が積もった面が略垂直になって回転が停止する。一方で、これまで略垂直であった面が上を向き、この面に新たに雪が積もると雪の重さによって回転体が回転してこの面が再び略垂直になって回転が停止する。このため、確実に雪を落下させることができる。
【0059】
なお、本実施例では、ばね手段の例として圧縮コイルばね33,43を示したが、圧縮コイルばねに限らず、引張コイルばね、皿ばね等、ほかのばね手段を用いる構成に変更してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,3 第1の落雪回転屋根
1a,2a,3a,4a 開口部
2,4 第2の落雪回転屋根
11,21,31,41 回転体
12,22,32,42 支持体
13,23,33,43 圧縮コイルばね(ばね手段)
14,24,34,44 連結体
15,25 ワイヤ
16 軸体
17 圧縮コイルばね(ばね手段)
18 軸連結体
37 溝(停止手段)
38 ボールプランジャー(停止手段)
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