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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】スパッタリング成膜源および成膜装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
C23C14/34 C
C23C14/34 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023029171
(22)【出願日】2023-02-28
【審査請求日】2023-05-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522176805
【氏名又は名称】株式会社アドバンスト・スパッタテック
(74)【代理人】
【識別番号】100120640
【弁理士】
【氏名又は名称】森 幸一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 寛
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-086471(JP,A)
【文献】特開2014-005488(JP,A)
【文献】特開昭51-147484(JP,A)
【文献】特公昭51-041031(JP,B2)
【文献】特開昭62-222063(JP,A)
【文献】特公昭49-049119(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのターゲットと、
作動時にプラズマが形成される空間に上記ターゲットの少なくとも一つのエロージョン部に対向または隣接して設けられた断面積が0.03mm2 以上3mm2 以下の少なくとも1本の線状のアノードと、
を有し、
上記線状のアノードの少なくとも一部がらせん状の形状またはジグザグ形状を有することにより上記線状のアノードは膜厚分布調整機能およびスプリング機能を有し、
上記線状のアノードはスパッタリング電源のプラス極に直接または間接的に接続されるスパッタリング成膜源。
【請求項2】
作動時に、上記線状のアノードはプラズマから与えられる熱と上記線状のアノードに流れ込むアノード電流によるジュール熱との相乗効果により500℃以上3500℃以下の高温に加熱される請求項1記載のスパッタリング成膜源
【請求項3】
上記ターゲットがプレーナーターゲットまたはロータリーターゲットである請求項1記載のスパッタリング成膜源
【請求項4】
一つまたは互いに対向した一対の上記プレーナーターゲットまたは上記ロータリーターゲットを有する請求項3記載のスパッタリング成膜源
【請求項5】
上記線状のアノードが上記プレーナーターゲットまたは上記ロータリーターゲットに平行である請求項3記載のスパッタリング成膜源
【請求項6】
上記線状のアノードがワイヤーまたはリボンからなる請求項1記載のスパッタリング成膜源
【請求項7】
上記ターゲットが互いに対向した一対のロータリーターゲットであり、
上記一対のロータリーターゲットの間の空間の下部の作動時にプラズマが形成される空間に上記一対のロータリーターゲットのエロージョン部に対向し、かつ平行に1本の上記線状のアノードが設けられ、
上記線状のアノードの下方に上記線状のアノードにプラズマが誘導されるように磁気回路が設けられ、
上記磁気回路は、上記一対のロータリーターゲットの中心軸を含む平面に平行な平面に設けられた長方形の平板状のヨーク、当該ヨークの上記一対のロータリーターゲット側の面の両端部上に磁化方向が当該ヨークに垂直となるように設けられた一対の永久磁石および当該ヨークの中央部に設けられた上記一対の永久磁石と逆極性の永久磁石からなる請求項1記載のスパッタリング成膜源
【請求項8】
上記ターゲットが互いに対向した一対のロータリーターゲットであり、
上記一対のロータリーターゲットの間の空間の下部の作動時にプラズマが形成される空間に上記一対のロータリーターゲットのエロージョン部に対向し、かつ平行に2本の上記線状のアノードが設けられ、
上記2本の上記線状のアノードの下方に上記2本の上記線状のアノードにプラズマが誘導されるように磁気回路が設けられ、
上記磁気回路は、上記一対のロータリーターゲットの中心軸を含む平面に平行な平面に設けられた長方形の平板状のヨークおよび当該ヨークの上記一対のロータリーターゲット側の面の両端部上に磁化方向が当該ヨークに垂直となり、かつ互いに逆極性となるように設けられた一対の永久磁石からなる請求項1記載のスパッタリング成膜源
【請求項9】
少なくとも一つのスパッタリング成膜源を有し、
上記スパッタリング成膜源が、
少なくとも一つのターゲットと、
作動時にプラズマが形成される空間に上記ターゲットの少なくとも一つのエロージョン部に対向または隣接して設けられた断面積が0.03mm2 以上3mm2 以下の少なくとも1本の線状のアノードと、
を有し、
上記線状のアノードの少なくとも一部がらせん状の形状またはジグザグ形状を有することにより上記線状のアノードは膜厚分布調整機能およびスプリング機能を有し、
上記線状のアノードはスパッタリング電源のプラス極に直接または間接的に接続されるスパッタリング成膜源
である成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スパッタリング成膜源および成膜装置に関し、スパッタリング法により薄膜を成膜する各種のデバイス等の製造に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
対向ターゲット式スパッタリング成膜源は、ダメージに弱い材料へのダメージを低減させて薄膜を形成する目的で開発された成膜源である(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、従来の対向ターゲット式スパッタリング成膜源では、多かれ少なかれプラズマが被成膜体方向へ漏れ出してしまうため、被成膜体へのダメージを十分に低減することができなかった。そのため、例えば、有機EL表示素子の上部透明導電膜、ペロブスカイト太陽電池の上部透明導電膜、タンデム型太陽電池における透明導電膜からなる中間電極等の形成を十分な性能を以て実現することができなかった。
【0003】
一方、被成膜体とプレーナーターゲットとが互いに対向するスパッタリング成膜源を用いて絶縁体を反応性スパッタリングにより成膜する際には、アノード表面が経時的に絶縁体で覆われていくため、アノード消失現象が発生し、長時間安定にスパッタリング成膜を継続することができない。このため、2枚のターゲットを並べてそれらを交互にカソードおよびアノードに速い周期で切り替えて使用するデュアルターゲット式スパッタリング成膜源(例えば、特許文献3参照)を用いないと、一般的な1枚のプレーナーターゲットでは長時間安定に成膜することができなかった。しかしながら、従来のデュアルターゲット式スパッタリング成膜源では、スパッタリング成膜源を配置する真空容器の容積が2倍になり、設置面積および真空排気ポンプ容量が大きくなることから、スパッタリング成膜源およびこのスパッタリング成膜源を用いた成膜装置のコストの上昇を招いていた。
【0004】
また、真空の成膜室内のカソードに設けたターゲットと対向した静止または移動する基板上にスパッタ成膜を行うスパッタ装置において、ターゲットと基板との間に直径3mmの棒状の導電体で構成された格子状のアノードを設置することが記載されている(特許文献4参照)。しかしながら、特許文献4に記載されたスパッタ装置では、作動中に、格子状のアノードの表面にスパッタ粒子が堆積してしまうため、絶縁体を反応性スパッタリングにより成膜する際には、アノード消失現象が発生し、長時間安定にスパッタリング成膜を継続することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-155564号公報
【文献】特開2004-107733号公報
【文献】特開2006-52419号公報
【文献】特開平9-111448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、被成膜体に与えるダメージの大幅な低減を図ることができるとともに、絶縁体を成膜する場合のアノード消失効果を防止することができることにより長時間安定に絶縁体を成膜することができ、しかも低コストで実現することができるスパッタリング成膜源およびこのスパッタリング成膜源を用いた成膜装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は、
少なくとも一つのターゲットと、
作動時にプラズマが形成される空間に上記ターゲットの少なくとも一つのエロージョン部に対向または隣接して設けられた断面積が0.03mm2 以上3mm2 以下の少なくとも1本の線状のアノードと、
を有するスパッタリング成膜源である。
【0008】
ターゲットは一つであっても複数、例えば一対であってもよい。ターゲットは、典型的にはプレーナーターゲットまたはロータリーターゲットであるが、これに限定されるものではない。典型的には、線状のアノードはプレーナーターゲットまたはロータリーターゲットに平行である。線状のアノードは、典型的には、スパッタリング電源のプラス極に直接または間接的に接続され、一般的には、スパッタリング成膜源が収容される真空容器と接続されて真空容器と同電位になる。こうすることで、線状のアノードの電位はプラズマ電位より高くなるため、プラスイオン、例えばアルゴンイオン(Ar+ )によるスパッタリングがされることはなく、線状のアノードの材料がスパッタリングされた膜中に混入するのを防止することができる。線状のアノードは、ターゲットのエロージョン部(スパッタリング領域)が二つ以上ある場合は、これらのエロージョン部の数に合わせた本数設けてもよい。線状のアノードは、例えば、ワイヤーまたはリボンからなる。線状のアノードの断面積は0.03mm2 以上3mm2 以下の範囲内でスパッタリング電力条件等に応じて適宜選択されるが、熱容量を小さくし、加熱されやすいようにする観点から、好適には、0.03mm2 以上1mm2 以下とされる。線状のアノードの断面形状は特に限定されず、必要に応じて選択されるが、典型的には、円形である。線状のアノードは、少なくとも一部がらせん状の形状またはジグザグ形状(山谷形状)を有する。らせん状の形状またはジグザグ形状を有する部分は一つまたは複数設けられる。このように線状のアノードの少なくとも一部がらせん状の形状またはジグザグ形状を有することにより、断面積が0.03mm2 以上3mm2 以下と小さいこともあって、線状のアノードにスプリング機能を持たせることができる。このため、線状のアノードの両端を真空容器の内壁等に固定する場合、このスプリング機能を用いて、断面積が0.03mm2 以上3mm2 以下と小さいにもかかわらず、線状のアノードの両端を引っ張った状態で直線状に張り渡すことができる。線状のアノードの材料は必要に応じて選択されるが、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、カーボン(C)、チタン(Ti)あるいはこれらのうちの二種類以上の元素の合金、あるいはニクロム(ニッケル-クロム合金)等である。必要に応じて、線状のアノードの近傍にこの線状のアノードにプラズマが誘導されるように磁気回路が設けられる。
【0009】
スパッタリング成膜源の作動時には、線状のアノードがプラズマに晒されることにより加熱されるととも、線状のアノードが優先的にプラズマ中の電子を取り込んでアノード電流が流れることによりジュール熱が発生して加熱される。この結果、線状のアノードは、断面積が0.03mm2 以上3mm2 以下と小さいことにより、例えば500℃以上3500℃以下の高温に加熱される。このため、絶縁体を成膜する場合でも、この線状のアノードの表面にスパッタ粒子が堆積しないため、デュアルターゲット式スパッタリング成膜源を用いずともアノード消失効果を解消することができる。このため、絶縁体を長時間安定して成膜することができる。この場合、線状のアノードの加熱用電源は不要であるため、省エネルギー化を図ることができる。また、線状のアノードが優先的にプラズマ中の電子を取り込むため、プラズマが被成膜体の方向へ漏れ出すのを効果的に抑えることができ、被成膜体のダメージの大幅な低減を図ることができる。また、このスパッタリング成膜源は、従来の一般的なスパッタリング成膜源に線状のアノードを付加するだけで構成することができるため、上述のように優れた性能を有するスパッタリング成膜源を低コストで実現することができる。
【0010】
また、この発明は、
少なくとも一つのスパッタリング成膜源を有し、
上記スパッタリング成膜源が、
少なくとも一つのターゲットと、
作動時にプラズマが形成される空間に上記ターゲットの少なくとも一つのエロージョン部に対向または隣接して設けられた断面積が0.03mm2 以上3mm2 以下の少なくとも1本の線状のアノードと、
を有するスパッタリング成膜源
である成膜装置である。
【0011】
成膜装置は、特に制限はないが、例えば、被成膜体、典型的には基板を一方向に搬送しながら、あるいは往復運動を繰り返しながら、あるいはこれらの両方を繰り返しながら成膜を行うタイプの成膜装置、被成膜体を静止させて成膜を行うタイプの成膜装置、被成膜体を一方向に回転させながら、あるいはこの一方向の回転と逆方向の回転とを繰り返しながら、あるいはこれらの両方を繰り返しながら成膜を行うタイプの成膜装置、ロール状の被成膜体フィルムを一方向に搬送しながら、あるいは往復運動を繰り返しながら、あるいはこれらの両方を繰り返しながら成膜を行うロールツーロールタイプの成膜装置等である。
【0012】
この成膜装置の発明においては、上記以外のことは、上記のスパッタリング成膜源の発明に関連して説明したことが成立する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、作動時にプラズマが形成される空間にターゲットの少なくとも一つのエロージョン部に対向または隣接して設けられた断面積が0.03mm2 以上3mm2 以下の少なくとも1本の線状のアノードを有することにより、被成膜体に与えるダメージの大幅な低減を図ることができるとともに、絶縁体を成膜する場合のアノード消失効果を防止することができることにより長時間安定に絶縁体を成膜することができ、しかも低コストなスパッタリング成膜源を実現することができ、この優れたスパッタリング成膜源を用いて高性能の成膜装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す斜視図である。
図2】この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源における電気配線の一例を示す略線図である。
図3】この発明の第2の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す斜視図である。
図4】この発明の第3の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す斜視図である。
図5】この発明の第4の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す斜視図である。
図6】この発明の第5の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す斜視図である。
図7】この発明の第6の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す斜視図である。
図8】この発明の第7の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す斜視図である。
図9】この発明の第7の実施の形態によるスパッタリング成膜源において用いられる磁気回路の詳細を説明するための断面図である。
図10】この発明の第8の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す斜視図である。
図11】この発明の第8の実施の形態によるスパッタリング成膜源において用いられる磁気回路の作用を説明するための断面図である。
図12】この発明の第9の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
【0016】
〈第1の実施の形態〉
[スパッタリング成膜源]
図1は第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す。図1に示すように、このスパッタリング成膜源においては、一対のプレーナーターゲット1a、1bが互いに対向し、かつ一般的には互いに平行に設けられている。プレーナーターゲット1a、1bの平面形状は特に限定されず、必要に応じて選択されるが、例えば長方形、正方形、円形等である。図1においては、プレーナーターゲット1a、1bの平面形状が長方形である場合が示されている。プレーナーターゲット1aとプレーナーターゲット1bとの間の空間には、作動時にプラズマが形成される空間に、プレーナーターゲット1aのエロージョン部に対向し、かつ平行または概ね平行に線状のアノード2が設けられているとともに、プレーナーターゲット1bのエロージョン部に対向し、かつ平行または概ね平行に線状のアノード3が設けられている。線状のアノード2、3はそれぞれプレーナーターゲット1a、1bの上下の辺と平行または概ね平行に延びている。これらの線状のアノード2、3の長さはこれらの線状のアノード2、3に平行な方向のプレーナーターゲット1a、1bの長さより大きくなっている。線状のアノード2、3の断面積は0.03mm2 以上3mm2 以下である。線状のアノード2、3の断面形状は例えば円形である。線状のアノード2、3は、例えば既に述べた材料のいずれかにより構成される。線状のアノード2、3の両端は、このスパッタリング成膜源が収容される真空容器(図示せず)に接続されている。線状のアノード2は、プレーナーターゲット1aに対向する部分の例えば2箇所にらせん状部2aを有する。同様に、線状のアノード3は、プレーナーターゲット1bに対向する部分の例えば2箇所にらせん状部3aを有する。
【0017】
このスパッタリング成膜源においては、成膜が行われる被成膜体10はプレーナーターゲット1aとプレーナーターゲット1bとの間の空間の上方に配置され、あるいは、この空間の上方を搬送される。
【0018】
図2はこのスパッタリング成膜源における電気配線の一例を示す。図2に示すように、プレーナーターゲット1bにスパッタリング電源20のマイナス極が直接または間接的に接続され、図示は省略するが、同様にプレーナーターゲット1aにもスパッタリング電源20のマイナス極が直接または間接的に接続され、従ってプレーナーターゲット1a、1bは同電位になっている。本実施の形態では、スパッタリング電源20をプレーナーターゲット1a、1bへの共通の電力供給源として使用しているが、プレーナーターゲット1a、1bのそれぞれに互いに独立したスパッタリング電源で電力を供給してもよい。スパッタリング電源20は直流電力またはパルス化された直流電力を供給する。スパッタリング電源20のプラス極は、このスパッタリング成膜源が収容される真空容器に接続される。プレーナーターゲット1aの外周部にこのプレーナーターゲット1aに近接してターゲットシールドアノード21が設けられている。同様に、プレーナーターゲット1bの外周部にこのプレーナーターゲット1bに近接してターゲットシールドアノード22が設けられている。これらのターゲットシールドアノード21、22は、真空容器と直接または間接的に接続されている。既に述べたように、線状のアノード2、3も真空容器と直接または間接的に接続されている。従って、ターゲットシールドアノード21、22および線状のアノード2、3はスパッタリング電源20のプラス極と同電位になっている。
【0019】
[スパッタリング成膜源の作動方法]
真空容器を真空ポンプにより高真空に排気した後、プレーナーターゲット1a、1bの間の空間にスパッタリングガス(例えばアルゴン(Ar)ガス)を導入し、スパッタリング電源20をオンとする。これによって、プラズマ放電が起こり、プレーナーターゲット1a、1bの表面近傍にプラズマが発生し、エロージョン部からスパッタ粒子が発生することにより被成膜体10上に成膜が行われる。このプラズマから流れ出る電子は、アノード電流という形でターゲットシールドアノード21、22および線状のアノード2、3を介してスパッタリング電源20のプラス極に戻る。このため、プラズマ放電が維持される。このとき、線状のアノード2、3はプラズマから与えられる熱と線状のアノード2、3に流れ込むアノード電流によるジュール熱との相乗効果により500℃以上3500℃以下(例えば900℃)の高温に加熱されることで、線状のアノード2、3にはターゲットシールドアノード21、22よりも相対的に多くのアノード電流が流れ込み、プラズマ放電を維持するための機能を多く担うことになる。この結果、プレーナーターゲット1a、1bの表面近傍にプラズマがより多く存在するようになるため、被成膜体10の存在する方向にはプラズマが拡散されず、極めて低いダメージでスパッタリング成膜を行うことができる。
【0020】
このように、第1の実施の形態によれば、作動時にプラズマが形成される空間に、プレーナーターゲット1aのエロージョン部に対向して線状のアノード2が設けられているとともに、プレーナーターゲット1bのエロージョン部に対向して線状のアノード3が設けられていることにより、被成膜体10に与えるダメージの大幅な低減を図ることができるとともに、絶縁体を成膜する場合のアノード消失効果を防止することができることにより長時間安定に絶縁体を成膜することができ、しかも低コストなスパッタリング成膜源を実現することができる。また、線状のアノード2、3はそれぞれ2箇所にらせん状部2a、3aを有することにより次のような利点を得ることができる。すなわち、これらのらせん状部2a、3aの部位のプラズマ密度が相対的に高くなることにより、当該部位と対向する部分の被成膜体10の表面に堆積するスパッタリング粒子からなる膜の厚さが厚くなるため、膜厚分布を調整することができる。加えて、線状のアノード2、3はらせん状部2a、3aを有することによりスプリング機能を有するため、線状のアノード2、3の両端を真空容器の内壁等に固定する場合、断面積が0.03mm2 以上3mm2 以下と小さいにもかかわらず、線状のアノード2、3の両端を引っ張った状態で直線状に張り渡すことができる。これは、特許文献4のように直径3mmの棒状の導電体からなるアノードを用いる場合には到底不可能なことである。このスパッタリング成膜源によれば、例えば、有機EL表示素子の上部透明導電膜、ペロブスカイト太陽電池の上部透明導電膜、タンデム型太陽電池における透明導電膜からなる中間電極等の膜をダメージに弱い発光材料あるいは発電材料からなる膜に関して十分な性能を以て形成することができる。また、このスパッタリング成膜源では、線状のアノード2、3の加熱用電源は不要であるため、昨今の社会的課題となっているSDGsおよびカーボンニュートラルに関して省エネルギーという観点で貢献することができる。
【0021】
〈第2の実施の形態〉
[スパッタリング成膜源]
図3は第2の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す。図3に示すように、このスパッタリング成膜源においては、線状のアノード2、3がプレーナーターゲット1a、1bの上下方向に互いに離れて、かつそれぞれプレーナーターゲット1a、1bのエロージョン部に対向してそれぞれ2本設けられていることが第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源と異なり、その他のことは第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源と同様である。
【0022】
[スパッタリング成膜源の作動方法]
このスパッタリング成膜源の作動方法は、線状のアノード2、3がプレーナーターゲット1a、1bの上下方向に互いに離れてそれぞれ2本設けられていることを除いて第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源と同様である。
【0023】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。さらには、プレーナーターゲット1a、1bの表面におけるエロージョン部が上下方向に発生する場合は、線状のアノード2、3の効果がより一層高まる。
【0024】
〈第3の実施の形態〉
[スパッタリング成膜源]
図4は第3の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す。図4に示すように、このスパッタリング成膜源においては、一対のロータリーターゲット31a、31bが互いに対向し、かつ一般的には互いに平行に設けられている。ロータリーターゲット31a、31bは全体として円筒状の形状を有する。ロータリーターゲット31aとロータリーターゲット31bとの間の空間の下部には、作動時にプラズマが形成される空間に、ロータリーターゲット31aのエロージョン部に対向し、かつ平行または概ね平行に線状のアノード2が設けられているとともに、ロータリーターゲット31bのエロージョン部に対向し、かつ平行または概ね平行に線状のアノード3が設けられている。線状のアノード2、3は第1の実施の形態と同様である。
【0025】
[スパッタリング成膜源の作動方法]
このスパッタリング成膜源の作動方法は、ロータリーターゲット31a、31bを用いていることを除いて第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源と同様である。
【0026】
第3の実施の形態によれば、ロータリーターゲット31a、31bを用いた場合に第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0027】
〈第4の実施の形態〉
[スパッタリング成膜源]
図5は第4の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す。図5に示すように、このスパッタリング成膜源においては、水平に設けられた一つのプレーナーターゲット1に対向し、かつ平行に線状のアノード2が設けられている。線状のアノード2は第1の実施の形態と同様である。なお、プレーナーターゲット1の表面におけるエロージョン部が複数箇所に発生する場合は、その数に合わせて線状のアノードの本数を選択してもよい。
【0028】
[スパッタリング成膜源の作動方法]
このスパッタリング成膜源の作動方法は、一つのプレーナーターゲット1と一つの線状のアノード2とを用いていることを除いて第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源と同様である。
【0029】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0030】
〈第5の実施の形態〉
[スパッタリング成膜源]
図6は第5の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す。図6に示すように、このスパッタリング成膜源においては、一つのロータリーターゲット31のエロージョン部に対向し、かつ平行に線状のアノード2が設けられている。線状のアノード2は第1の実施の形態と同様である。なお、ロータリーターゲット31の表面におけるエロージョン部が複数箇所に発生する場合は、その数に合わせて線状のアノードの本数を選択してもよい。
【0031】
[スパッタリング成膜源の作動方法]
このスパッタリング成膜源の作動方法は、一つのロータリーターゲット31と一つの線状のアノード2とを用いていることを除いて第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源と同様である。
【0032】
第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0033】
〈第6の実施の形態〉
[スパッタリング成膜源]
図7は第6の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す。図7に示すように、このスパッタリング成膜源においては、一対のプレーナーターゲット1a、1bの間の空間の下部の作動時にプラズマが形成される空間に、プレーナーターゲット1a、1bのエロージョン部に対向して線状のアノード2、3が設けられているが、これらの線状のアノード2、3はそれぞれプレーナーターゲット1a、1bに対向する部分の2箇所にそれぞれジグザグ状部2b、3bを有することが第1の実施の形態と異なり、その他のことは第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源と同様である。
【0034】
[スパッタリング成膜源の作動方法]
スパッタリング成膜源の作動方法は、線状のアノード2、3がジグザグ状部2b、3bを有することを除いて第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源と同様である。
【0035】
第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて次のような利点を得ることができる。すなわち、線状のアノード2、3がジグザグ状部2b、3bを有するため、第1の実施の形態のように線状のアノード2、3がらせん状部2a、3aを有する場合に比べて、線状のアノード2、3の電気的なインダクタンス成分を減少させることができる。このため、スパッタリング電源20から供給される電力が高周波あるいはパルス化された直流であっても、線状のアノード2、3をアノードとして有効に機能させることができ、スパッタリング成膜される膜の膜厚分布を調整することができる。
【0036】
〈第7の実施の形態〉
図8は第7の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す。図8に示すように、このスパッタリング成膜源においては、一対のロータリーターゲット31a、31bの間の空間の作動時にプラズマが形成される空間にこれらのロータリーターゲット31a、31bのエロージョン部に対向し、かつ平行に1本の線状のアノード2が設けられている。線状のアノード2は第1の実施の形態と同様である。この線状のアノード2の下方にはプラズマ誘導磁気回路40が設けられている。このプラズマ誘導磁気回路40は、永久磁石とヨークとを組み合わせることにより構成され、線状のアノード2にプラズマを誘導するような磁力線が発生するように構成される。なお、ロータリーターゲット31a、31bの表面におけるエロージョン部が複数箇所に発生する場合は、その数に合わせて線状のアノードの本数を選択してもよい。
【0037】
図9にロータリーターゲット31a、31bおよびプラズマ誘導磁気回路40の詳細を示す。図9に示すように、プラズマ誘導磁気回路40は、ロータリーターゲット31a、31bの中心軸を含む平面に平行な平面に設けられた長方形の平板状のヨーク41、このヨーク41の両端部上に磁化方向がこのヨーク41に垂直となるように設けられた永久磁石42a、42bおよびこのヨーク41の中央部に設けられた、永久磁石42a、42bと逆極性の永久磁石43からなる。永久磁石42a、42b、43のN極およびS極は図9に示す通りである。これらの永久磁石42a、42b、43上には非磁性の金属板44が設けられている。この金属板44は、このスパッタリング成膜源が収容される真空容器(図示せず)に接続されている。線状のアノード2はこの金属板44を介して真空容器に接続されている。一方、ロータリーターゲット31aには、このロータリーターゲット31aの中心軸方向に延在するヨーク51、このヨーク51の外周部上に磁化方向がこのヨーク51に垂直となるように設けられた永久磁石52およびこのヨーク51の中央部に設けられた、永久磁石52と逆極性の永久磁石53からなるスパッタリング磁気回路50が内蔵されている。同様に、ロータリーターゲット31bには、このロータリーターゲット31bの中心軸方向に延在するヨーク61、このヨーク61の外周部上に磁化方向がこのヨーク61に垂直となるように設けられた永久磁石62およびこのヨーク61の中央部に設けられた、永久磁石62と逆極性の永久磁石63からなるスパッタリング磁気回路60が内蔵されている。スパッタリング磁気回路50とスパッタリング磁気回路60とは互いに対向している。スパッタリング磁気回路50、60のヨーク51、61はプラズマ誘導磁気回路40の永久磁石42と対応する位置に設けられている。永久磁石52、53、62、63のN極およびS極は図9に示す通りである。これらのプラズマ誘導磁気回路40およびスパッタリング磁気回路50、60により、線状のアノード2を通る磁力線70a、70bが形成される。これらの磁力線70a、70bによって線状のアノード2にプラズマが誘導される。
【0038】
[スパッタリング成膜源の作動方法]
スパッタリング成膜源の作動方法は、一対のロータリーターゲット31a、31bと線状のアノード2とを用いていることを除いて第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源と基本的には同様であるが、この場合、プラズマ誘導磁気回路40およびスパッタリング磁気回路50、60により発生する磁力線70a、70bにより、プラズマが線状のアノード2に誘導される。このため、線状のアノード2の材料がスパッタリングにより成膜された膜中に混入するのをより防止することができる。
【0039】
第7の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0040】
〈第8の実施の形態〉
[スパッタリング成膜源]
図10は第8の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す。図10に示すように、このスパッタリング成膜源においては、一対のロータリーターゲット31a、31bの間の空間の下部の作動時にプラズマが形成される空間にこれらのロータリーターゲット31a、31bのエロージョン部に対向し、かつ平行に線状のアノード2、3が設けられている。線状のアノード2、3は第1の実施の形態と同様である。これらの線状のアノード2、3の下方にはプラズマ誘導磁気回路40が設けられている。このプラズマ誘導磁気回路40は、永久磁石とヨークとを組み合わせることにより構成され、線状のアノード2、3にプラズマを誘導するような磁力線が発生するように構成される。なお、ロータリーターゲット31a、31bの表面におけるエロージョン部が複数箇所に発生する場合は、その数に合わせて線状のアノードの本数を選択してもよい。
【0041】
図11にロータリーターゲット31a、31bおよびプラズマ誘導磁気回路40の詳細を示す。図11に示すように、プラズマ誘導磁気回路40は、ロータリーターゲット31a、31bの中心軸を含む平面に平行な平面に設けられた長方形の平板状のヨーク41と、このヨーク41の両端部上に磁化方向がこのヨーク41に垂直となり、かつ互いに逆極性となるように設けられた永久磁石44、45とからなる。これらの永久磁石44、45上には非磁性の金属板44が設けられている。この金属板44は、このスパッタリング成膜源が収容される真空容器(図示せず)に接続されている。線状のアノード2、3はこの金属板44を介して真空容器に接続されている。一方、ロータリーターゲット31a、31bには、第7の実施の形態と同様なスパッタリング磁気回路50、60がそれぞれ内蔵されている。これらのプラズマ誘導磁気回路40およびスパッタリング磁気回路50、60により、線状のアノード2、3を通る磁力線70a、70bが形成される。これらの磁力線70a、70bによって線状のアノード2にプラズマが誘導される。永久磁石52、53、62、63のN極およびS極は図11に示す通りである。
【0042】
[スパッタリング成膜源の作動方法]
スパッタリング成膜源の作動方法は、一対のロータリーターゲット31a、31bと線状のアノード2、3とを用いていることを除いて基本的には第1の実施の形態によるスパッタリング成膜源と同様であるが、この場合、プラズマ誘導磁気回路40およびスパッタリング磁気回路50、60により発生する磁力線70a、70bにより、プラズマが線状のアノード2、3に誘導される。このため、線状のアノード2、3の材料がスパッタリングにより成膜された膜中に混入するのをより防止することができる。
【0043】
第8の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0044】
〈第9の実施の形態〉
[スパッタリング成膜源]
図12は第9の実施の形態によるスパッタリング成膜源を示す。図12に示すように、このスパッタリング成膜源においては、プレーナーターゲット1の周りを囲むようにターゲットシールドアノード21が設けられている。ターゲットシールドアノード21は、このスパッタリング成膜源が収容される真空容器(図示せず)に接続されている。図示は省略するが、この場合、被成膜体10は、プレーナーターゲット1の上方に配置され、あるいは上方をプレーナーターゲット1に平行な方向に移動される。ターゲットシールドアノード21の両端部の上方にそれぞれ線状のアノード2、3がプレーナーターゲット1のエロージョン部に隣接して設けられている。線状のアノード2、3は第1の実施の形態と同様である。プレーナーターゲット1の下方には第7の実施の形態と同様な構成のスパッタリング磁気回路50が設けられている。ターゲットシールドアノード21の両端部の下方にはそれぞれプラズマ誘導磁気回路40a、40bが設けられている。プラズマ誘導磁気回路40aは、ヨーク41aおよびこのヨーク41aの外側の一端部に磁化方向がこのヨーク41aと垂直になるように、かつスパッタリング磁気回路50の永久磁石52と逆極性になるように設けられた永久磁石46からなる。ヨーク41aはスパッタリング磁気回路50のヨーク51と同一平面上にこのヨーク51と結合または近接して設けられている。永久磁石46は線状のアノード2とほぼ対応した位置に設けられている。同様に、プラズマ誘導磁気回路40bは、ヨーク41bおよびこのヨーク41bの外側の一端部に磁化方向がこのヨーク41bと垂直になるように、かつスパッタリング磁気回路50の永久磁石52と逆極性になるように設けられた永久磁石47からなる。ヨーク41bはスパッタリング磁気回路50のヨーク51と同一平面上にこのヨーク51と結合または近接して設けられている。永久磁石47は線状のアノード3とほぼ対応した位置に設けられている。永久磁石46、47、52、53のN極およびS極は図12に示す通りである。線状のアノード2、3はそれぞれターゲットシールドアノード21に接続され、従ってターゲットシールドアノード21を介して真空容器に接続されている。プラズマ誘導磁気回路40a、40bにより、それぞれ線状のアノード2、3を通る磁力線90a、90bが形成される。これらの磁力線90a、90bによって線状のアノード2、3にプラズマが誘導される。
【0045】
[スパッタリング成膜源の作動方法]
スパッタリング成膜源の作動方法は、プレーナーターゲット1と一対の線状のアノード2、3とを用いてスパッタリングを行う。この場合、プラズマ誘導磁気回路40a、40bにより発生する磁力線90a、90bにより、プラズマが線状のアノード2、3に誘導される。このため、線状のアノード2、3の材料がスパッタリングにより成膜された膜中に混入するのをより防止することができる。
【0046】
第9の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0047】
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0048】
例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、材料、構造、形状等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、構造、形状等を用いてもよい。
【0049】
また、必要に応じて、第1~第6の実施の形態における線状のアノード2、3に対して第7、第8および第9の実施の形態と同様な磁気回路を設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1、1a、1b…プレーナーターゲット、2、3…線状のアノード、2a、3a…らせん状部、2b、3b…ジグザグ状部、10…被成膜体、20…スパッタリング電源、21、22…ターゲットシールドアノード、31、31a、31b…ロータリーターゲット、40、40a、40b…プラズマ誘導磁気回路、41、41a、41b、51、61…ヨーク、50、60…スパッタリング磁気回路
【要約】
【課題】被成膜体に与えるダメージの大幅な低減を図ることができるとともに、絶縁体を成膜する場合のアノード消失効果を防止することができることにより長時間安定に絶縁体を成膜することができ、しかも低コストで実現することができるスパッタリング成膜源およびこのスパッタリング成膜源を用いた成膜装置を提供する。
【解決手段】スパッタリング成膜源は、ターゲット(1a、1b)と、作動時にプラズマが形成される空間にターゲットの少なくとも一つのエロージョン部に対向または隣接して設けられた断面積が0.03mm2 以上3mm2 以下の線状のアノード(2、3)とを有する。ターゲットはプレーナーターゲットまたはロータリーターゲットである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12