(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】回転操作棒
(51)【国際特許分類】
G05G 1/08 20060101AFI20231019BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G05G1/08 A
H02G1/02
(21)【出願番号】P 2019106628
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2022-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000207311
【氏名又は名称】大東電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】龍 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】柳原 正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信也
(72)【発明者】
【氏名】小畑 昇一
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-175815(JP,A)
【文献】実開昭60-081323(JP,U)
【文献】特開平06-173966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/08
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転棒と、
電動駆動部と、
手動用の回転ハンドルが取り付けられる回転ハンドル取付部と、
前記電動駆動部および前記回転ハンドル取付部からの回転力を前記回転棒の手元側端に伝達する回転力伝達部とを有する回転操作棒であって、
前記回転力伝達部は、
前記回転ハンドルが前記回転ハンドル取付部から外れている場合には、前記電動駆動部からの回転力が前記回転棒の手元側端に伝達されるようにでき、
前記回転ハンドルが前記回転ハンドル取付部に取り付けられている場合には、
前記回転力伝達部に取り付けられた状態の前記電動駆動部からの回転力が前記回転棒の手元側端および前記回転ハンドル取付部に対して伝達されないようになっている
回転操作棒。
【請求項2】
前記回転力伝達部は、
前記回転棒の手元側端に取り付けられた回転ギアと、
前記回転ハンドル取付部からの回転力を受けて前記回転ギアに手動回転力を伝達する手動回転ギアと、
前記電動駆動部からの回転力を受けて前記回転ギアに電動回転力を伝達する電動回転ギアと、
前記回転ハンドルが前記回転ハンドル取付部に取り付けられている場合に、前記電動回転ギアからの回転力を前記回転ギアから切り離す分離手段とを有している
請求項1に記載の回転操作棒。
【請求項3】
前記分離手段は、
前記電動駆動部からの回転力を受けるとともに、前記回転力伝達部における前記電動回転ギアに対して出没自在に取り付けられた出没軸と、
前記出没軸の出没の度合いを調節する出没調節手段とを有しており、
前記出没軸が第1の位置にあるときは、前記電動駆動部と前記電動回転ギアとが互いに連動するようになっており、
前記出没軸が第2の位置にあるときは、前記電動駆動部が前記電動回転ギアから分離されており、
前記回転ハンドルが前記回転ハンドル取付部から外れている場合、前記出没調節手段は、前記出没軸を第1の位置に設定することができ、
前記回転ハンドルが前記回転ハンドル取付部に取り付けられている場合、前記出没調節手段は、前記出没軸を第2の位置に設定する
請求項2に記載の回転操作棒。
【請求項4】
前記回転ハンドル取付部における回転ハンドル挿入孔の少なくとも一部を覆うことができる回転ハンドル挿入孔遮閉部が形成されており、前記回転棒の長手方向に沿って摺動するスライドカバーをさらに有しており、
前記回転ハンドル挿入孔遮閉部が前記回転ハンドル挿入孔の少なくとも一部を覆う状態に前記スライドカバーが位置している場合には、前記電動駆動部からの回転力が前記回転棒の手元側端に伝達されるようになっており、
前記回転ハンドル挿入孔遮閉部が前記回転ハンドル挿入孔から離れて前記回転ハンドル取付部に前記回転ハンドルを取り付けることができる状態に前記スライドカバーが位置している場合には、前記電動駆動部からの回転力が前記回転棒の手元側端および前記回転ハンドル取付部に対して縁切りされるようになっている
請求項1に記載の回転操作棒。
【請求項5】
前記回転棒の手元側端部には、係合部材が取り付けられており、
前記電動駆動部は、前記係合部材と係合する切換部材を有しており、
前記回転ハンドル挿入孔遮閉部が前記回転ハンドル挿入孔の少なくとも一部を覆う状態に前記スライドカバーが位置している場合には、前記スライドカバーによって前記切換部材が前記係合部材と係合する位置に移動されており、
前記回転ハンドル取付部に前記回転ハンドルを取り付けることができる状態に前記スライドカバーが位置している場合には、前記スライドカバーによって前記切換部材が前記係合部材から離間した位置に移動されている
請求項4に記載の回転操作棒。
【請求項6】
前記回転ハンドルを前記回転ハンドル取付部から外すことにより、前記出没調節手段が自動的に前記出没軸を第1の位置に設定する
請求項3に記載の回転操作棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電線工事において、例えば、架空電線の被覆を剥いだり、絶縁テープを巻いたりする作業に使用される回転操作棒に関する。
【背景技術】
【0002】
架空電線(以下、単に「電線」という。)を切断して分岐させたり、電線同士を互いに接続させるために電線被覆を剥いだりする、いわゆる配電線工事において、絶縁棒を使用して充電部に直接触れることなく間接的に当該工事を行う技術が普及している。
【0003】
そのような工事において、電線の被覆を剥いだり、絶縁テープを巻いたりする作業に回転操作棒が使用されている。
【0004】
従来は、この回転操作棒に取り付けた回転ハンドルを手動で回していたが、省力化のために当該回転ハンドルに代えて電動ドライバーを回転操作棒に取り付けて回す作業も行われている。
【0005】
一般に、上記電動ドライバーとしてはガンタイプのものが使用される。このため、ガンタイプの電動ドライバーで回転操作棒を回そうとしたとき、当該回転操作棒が回転反力を受けて作業者の手が強く振られてしまうことがあった。
【0006】
さらに言えば、ガンタイプの電動ドライバーを回転操作棒に取り付けたり、取り外したりする作業は両手を使用しなければならず不便であり、かつ、手元が狂って電動ドライバー等を落下させてしまうおそれもあった。
【0007】
このような問題に対応するため、回転操作棒内にモーターやバッテリーを内蔵して、電動ドライバーを用いることなく、電動で回転操作棒を回転させることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されている回転操作棒は、モーター側の出力軸と、回転ハンドルを取り付けて手動で回転させる歯車とが、回転軸に対して常に噛み合った(結合し合った)状態になっている。このため、回転ハンドルを取り付けたままでモーターを用いて電動で回転軸を回転させると、回転ハンドルまで回転してしまって危険なことがあった。
【0010】
逆に、回転ハンドルを手動で回転させる際には、モーターを回すための力も必要になることから不要な力が必要になってしまい、これを回避しようとすると、手間をかけて回転操作棒からモーターを取り外す必要があった。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電動および手動のどちらでも回転させることができ、かつ、回転ハンドルを取り付けたままで誤って電動で回転させてしまうことがなく、さらに、回転ハンドルを用いて手動で回転させる際に、モーターを回すための余分な力を必要とせず、モーターを外す手間も不要となる回転操作棒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面によれば、
回転棒と、
電動駆動部と、
手動用の回転ハンドルが取り付けられる回転ハンドル取付部と、
前記電動駆動部および前記回転ハンドル取付部からの回転力を前記回転棒の手元側端に伝達する回転力伝達部とを有する回転操作棒であって、
前記回転力伝達部は、
前記回転ハンドルが前記回転ハンドル取付部から外れている場合には、前記電動駆動部からの回転力が前記回転棒の手元側端に伝達されるようにでき、
前記回転ハンドルが前記回転ハンドル取付部に取り付けられている場合には、前記回転力伝達部に取り付けられた状態の前記電動駆動部からの回転力が前記回転棒の手元側端および前記回転ハンドル取付部に対して伝達されないようになっている
回転操作棒が提供される。
【0013】
好適には、
前記回転力伝達部は、
前記回転棒の手元側端に取り付けられた回転ギアと、
前記回転ハンドル取付部からの回転力を受けて前記回転ギアに手動回転力を伝達する手動回転ギアと、
前記電動駆動部からの回転力を受けて前記回転ギアに電動回転力を伝達する電動回転ギアと、
前記回転ハンドルが前記回転ハンドル取付部に取り付けられている場合に、前記電動回転ギアからの回転力を前記回転ギアから切り離す分離手段とを有している。
【0014】
好適には、
前記分離手段は、
前記電動駆動部からの回転力を受けるとともに、前記回転力伝達部における前記電動回転ギアに対して出没自在に取り付けられた出没軸と、
前記出没軸の出没の度合いを調節する出没調節手段とを有しており、
前記出没軸が第1の位置にあるときは、前記電動駆動部と前記電動回転ギアとが互いに連動するようになっており、
前記出没軸が第2の位置にあるときは、前記電動駆動部が前記電動回転ギアから分離されており、
前記回転ハンドルが前記回転ハンドル取付部から外れている場合、前記出没調節手段は、前記出没軸を第1の位置に設定することができ、
前記回転ハンドルが前記回転ハンドル取付部に取り付けられている場合、前記出没調節手段は、前記出没軸を第2の位置に設定する。
【0015】
好適には、
前記回転ハンドル取付部における回転ハンドル挿入孔の少なくとも一部を覆うことができる回転ハンドル挿入孔遮閉部が形成されており、前記回転棒の長手方向に沿って摺動するスライドカバーをさらに有しており、
前記回転ハンドル挿入孔遮閉部が前記回転ハンドル挿入孔の少なくとも一部を覆う状態に前記スライドカバーが位置している場合には、前記電動駆動部からの回転力が前記回転棒の手元側端に伝達されるようになっており、
前記回転ハンドル挿入孔遮閉部が前記回転ハンドル挿入孔から離れて前記回転ハンドル取付部に前記回転ハンドルを取り付けることができる状態に前記スライドカバーが位置している場合には、前記電動駆動部からの回転力が前記回転棒の手元側端および前記回転ハンドル取付部に対して縁切りされるようになっている。
【0016】
好適には、
前記回転棒の手元側端部には、係合部材が取り付けられており、
前記電動駆動部は、前記係合部材と係合する切換部材を有しており、
前記回転ハンドル挿入孔遮閉部が前記回転ハンドル挿入孔の少なくとも一部を覆う状態に前記スライドカバーが位置している場合には、前記スライドカバーによって前記切換部材が前記係合部材と係合する位置に移動されており、
前記回転ハンドル取付部に前記回転ハンドルを取り付けることができる状態に前記スライドカバーが位置している場合には、前記スライドカバーによって前記切換部材が前記係合部材から離間した位置に移動されている。
【0017】
好適には、
前記回転ハンドルを前記回転ハンドル取付部から外すことにより、前記出没調節手段が自動的に前記出没軸を第1の位置に設定する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一局面によれば、電動および手動のどちらでも回転させることができ、かつ、回転ハンドルを取り付けたままで誤って電動で回転させてしまうことがなく、さらに、回転ハンドルを用いて手動で回転させる際に、モーターを回すための余分な力を必要とせず、モーターを外す手間も不要となる回転操作棒を提供できた。
【0020】
また、本発明の他の局面によれば、回転ハンドル取付部を設けることなく、かつ、回転棒、電動駆動部、および、回転力伝達部を内蔵することで、これらをまとめて防水防塵するのに適した回転操作棒を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る回転操作棒10の外観を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る回転操作棒10の手元部分についての拡大断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る回転操作棒10における回転力伝達部20を中心とする拡大断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る回転操作棒10における、回転ハンドル100が取り付けられたときの回転力伝達部20を中心とする拡大断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る回転操作棒10における回転力伝達部20を中心とする分解斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る回転操作棒10の外観(電動回転時)を示す正面図である。
【
図7】第2実施形態に係る回転操作棒10の外観(電動回転時)を示す右側面図である。
【
図8】第2実施形態に係る回転操作棒10の外観(手動回転時)を示す正面図である。
【
図9】第2実施形態に係る回転操作棒10の外観(手動回転時)を示す右側面図である。
【
図14】第1実施形態の変形例2に係る回転操作棒10における回転力伝達部20を中心とする拡大断面図である。
【
図15】第1実施形態の変形例2に係る回転操作棒10における、回転ハンドル100が取り付けられたときの回転力伝達部20を中心とする拡大断面図である。
【
図16】第1実施形態の変形例2に係る回転操作棒10における回転力伝達部20を中心とする分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態に係る回転操作棒10の構成)
図1および
図2は、本発明が適用された第1実施形態に係る回転操作棒10を示す。この第1実施形態に係る回転操作棒10は、大略、本体部12と、回転棒14と、電動駆動部16と、回転ハンドル取付部18と、回転力伝達部20とを備えている。
【0023】
本体部12は、回転棒14の一部分と、電動駆動部16と、回転力伝達部20とを収容する中空長尺状の部材である。本体部12の材質は特に限定されるものではなく、電気絶縁性が高く、防水性に優れており、かつ、軽量であれば特によい。
【0024】
回転棒14は、電線の被覆を剥いだり、絶縁テープを巻いたりする作業に使用される装置にその先端を取り付けて回転力を付与する部材であり、大部分が本体部12内に回転自在に収容されており、先端部のみが当該本体部12の先端から露出している。
【0025】
電動駆動部16は、回転棒14の他端に回転力を付与する部材であり、大略、モーター22と、バッテリー24と、カップリング26とを備えている。
【0026】
モーター22は、回転棒14と同一軸上であり、かつ、本体部12内に収容された部材であり、カップリング26を介して回転力伝達部20に連結されている。また、モーター22は、バッテリー24からの電力を受けて回転するようになっている。
【0027】
バッテリー24は、モーター22を回転させる電力を蓄えておくものであり、回転棒14と同一軸上であり、かつ、本体部12内に収容されている。バッテリー24の形式としては、例えば、リチウムイオンバッテリーや、ニッケル・カドミウムバッテリーが考えられるが、必要な容量の電力を蓄えられるものであれば、どのような形式のものでもよい。また、本実施形態では、バッテリー24は本体部12に内蔵されて取り出すことができず、外部の電源を用いて充電するようになっている。もちろん、充電時等の必要に応じてバッテリー24を本体部12から着脱できるようにしてもよい。
【0028】
カップリング26は、モーター22(より詳しくは、モーター22の出力軸)と回転力伝達部20とを互いに連結して、モーター22からの回転力を回転力伝達部20に伝える部材である。
【0029】
さらに、
図1に示すように、電動駆動部16はスイッチ28を備えている。当該スイッチ28としては、モーター22を正転あるいは逆転させることができるものが好適に使用されているが、これに代えて、正転のみ、あるいは、逆転のみができるものであってもよい。
【0030】
回転ハンドル取付部18は、作業者が手動で回転させる回転ハンドル100を取り付ける部材であり、本体部12の側表面であって、かつ、回転力伝達部20に近接した位置に設けられている。
【0031】
回転力伝達部20は、電動駆動部16および回転ハンドル取付部18からの回転力を回転棒14の手元側端に伝達するための部材であり、本体部12内における、回転棒14の手元側端と電動駆動部16との間に配設されている。
【0032】
この回転力伝達部20は、
図3から
図5に示すように、大略、回転ギア30と、手動回転ギア32と、電動回転ギア34と、分離手段36とを有している。
【0033】
回転ギア30は、回転棒14の手元側端に取り付けられたかさ歯車であり、手動回転ギア32と互いに噛み合った状態で配置されている。
【0034】
手動回転ギア32は、上述のように回転ギア30と互いに噛み合った状態で配置されているかさ歯車であり、回転ハンドル取付部18からの回転力を受けて回転ギア30に手動回転力を伝達する。また、手動回転ギア32は、その中心軸に一致して回転ハンドル100の先端部が挿入される回転ハンドル挿入孔38が設けられている。当該回転ハンドル挿入孔38の外側端が回転ハンドル取付部18となっている。
【0035】
電動回転ギア34は、回転ギア30に対向する位置であって、かつ、手動回転ギア32と互いに噛み合った状態で配置されているかさ歯車である。また、電動回転ギア34は、電動駆動部16からの回転力を受けて、手動回転ギア32を介して回転ギア30に電動回転力を伝達する。
【0036】
分離手段36は、回転ハンドル100が回転ハンドル取付部18に取り付けられている場合に、電動回転ギア34からの回転力を回転ギア30から切り離す役割を有している。本実施形態の場合、分離手段36は、出没軸40と、出没調節手段42とを有している。
【0037】
出没軸40は、電動回転ギア34の回転中心軸であって当該電動回転ギア34に対して出没自在に取り付けられている。また、出没軸40の先端部には当該出没軸40の長手方向に直交する向きに係合突起44が設けられており、かつ、出没軸40の他方端部には、電動駆動部16のカップリング26が取り付けられている。
【0038】
ところで、電動回転ギア34には上記係合突起44が嵌合する複数の係合溝46(
図5を参照)が形成されており、
図3に示すように出没軸40が電動回転ギア34に没している状態において、係合突起44が当該係合溝46に嵌まるようになっている。このように係合突起44と係合溝46とが互いに嵌合しており、電動駆動部16と電動回転ギア34とが互いに連動するようになっている出没軸40の位置を「第1の位置」という。
【0039】
逆に、
図4に示すように出没軸40が電動回転ギア34から出ている状態にあって係合突起44が係合溝46から外れているとき、電動駆動部16は電動回転ギア34から(回転力の伝達という点で)互いに分離されている。このような出没軸40の位置を「第2の位置」という。
【0040】
なお、出没軸40は、出没軸付勢部材60(
図5を参照)により、常に「第2の位置」に向けて移動するように付勢されている。
【0041】
出没調節手段42は、上記出没軸40の出没の度合い(「第1の位置」にあるか、「第2の位置」にあるか)を調節する役割を有しており、本実施形態では、大略、ベース部材48と、出没軸位置調節部材50と、付勢部材52とを有している。
【0042】
ベース部材48は、出没軸位置調節部材50を一定方向に往復移動させるための中心軸53と、当該中心軸53の一端が接続された底板部55とで構成されている。このベース部材48は、中心軸53の長手方向が手動回転ギア32の回転ハンドル挿入孔38および回転ハンドル取付部18の中心と一致する位置に配設されている。
【0043】
出没軸位置調節部材50は大径部54と小径部56とを有する略円柱状の部材である。また、出没軸位置調節部材50の中心には、ベース部材48の中心軸53が挿設される中心軸挿設孔58が形成されている。これにより、出没軸位置調節部材50は、ベース部材48の中心軸53に沿って往復移動するようになっている。また、出没軸位置調節部材50における、ベース部材48の底板部55に近い側に大径部54が形成されており、手動回転ギア32に近い側に小径部56が形成されている。なお、大径部54と小径部56との間は、テーパー状に形成されている。
【0044】
また、出没軸位置調節部材50と、ベース部材48の中心軸53との間には、当該出没軸位置調節部材50を常に底板部55から離間する方向、つまり、手動回転ギア32に向けて移動するように付勢する付勢部材52が配設されている。
【0045】
図3に示すように回転ハンドル100が回転ハンドル取付部18に取り付けられていない場合、出没軸位置調節部材50は、付勢部材52の付勢力によって手動回転ギア32側に寄った状態になっている。この場合、出没軸位置調節部材50の小径部56の一部が手動回転ギア32の回転ハンドル挿入孔38内に嵌まっており、かつ、出没軸40の先端が出没軸位置調節部材50の大径部54に接触した状態になっている。
【0046】
逆に、
図4に示すように回転ハンドル100が回転ハンドル取付部18に取り付けられている場合、出没軸位置調節部材50は、回転ハンドル100に押され、付勢部材52の付勢力に抗して手動回転ギア32側から離れた状態(底板部55に近づいた状態)になっている。この場合、出没軸40の先端が出没軸位置調節部材50の小径部56に接触した状態になっている。
【0047】
(第1実施形態に係る回転操作棒10の動作)
回転操作棒10を電動で回転させるときは、回転ハンドル100を回転ハンドル取付部18から外す。すると、
図3に示すように出没軸位置調節部材50の大径部54が出没軸付勢部材60の付勢力に抗して出没軸40を電動回転ギア34に没する方向に移動させるので、出没軸40の先端部に設けられた係合突起44が電動回転ギア34の係合溝46に嵌合した「第1の位置」となり、電動回転ギア34が電動駆動部16からの回転力を受けることのできる状態となる。
【0048】
これにより、電動駆動部16のスイッチ28をオンにしてモーター22を回転させると、モーター22の回転力が、カップリング26、出没軸40、電動回転ギア34、手動回転ギア32、および、回転ギア30を介して回転棒14の手元側端に伝達され、回転棒14が回転する。
【0049】
回転操作棒10を手動で回転させるときは、回転ハンドル100を回転ハンドル取付部18に嵌挿する。すると、
図4に示すように、出没軸40の先端が出没軸位置調節部材50の小径部56に接触した状態となり、出没軸付勢部材60の付勢力によって出没軸40が電動回転ギア34から出る方向に移動するので、出没軸40の先端部に設けられた係合突起44が電動回転ギア34の係合溝46から外れた「第2の位置」となり、電動回転ギア34に電動駆動部16からの回転力が伝達されない「電動駆動部16から分離した」状態になる。
【0050】
このような状態で作業者が回転ハンドル100を手動で回転させると、その回転力が、手動回転ギア32、および、回転ギア30を介して回転棒14の手元側端に伝達され、回転棒14が回転する。
【0051】
このとき、手動回転ギア32によって電動回転ギア34も回転するが、出没軸40の係合突起44は電動回転ギア34の係合溝46から外れた状態になっているので、電動回転ギア34の回転力は出没軸40には伝達されない。もちろん、電動駆動部16からの回転力も電動回転ギア34には伝達されない。
【0052】
(第1実施形態に係る回転操作棒10の特徴)
第1実施形態に係る回転操作棒10によれば、電動および手動のどちらでも回転させることができる。また、回転ハンドル100を取り付けたままで誤って電動駆動部16のスイッチをオンにしても電動駆動部16からの回転力を受ける出没軸40と電動回転ギア34とが互いに分離・縁切りされて、電動回転ギア34に回転力が伝達されないので、回転ハンドル100が不所望に回転して作業者が怪我をすることがない。
【0053】
同様に、出没軸40と電動回転ギア34とが互いに分離・縁切りされているので、回転ハンドル100を用いて手動で回転させる際に、モーター22を回すための余分な力を必要とせず、モーター22を外す手間も不要となる。
【0054】
(第2実施形態に係る回転操作棒10の構成)
次に、第2実施形態に係る回転操作棒10の構成について、
図6から
図13を用いて説明する。この第2実施形態に係る回転操作棒10は、大略、本体部12と、回転棒14と、電動駆動部16と、回転ハンドル取付部18と、回転力伝達部20と、スライドカバー62とを備えている。なお、第2実施形態に係る回転操作棒10の構成についての説明は、上述した第1実施形態に係る回転操作棒10の構成と共通する点についてはその説明を省略して第1実施形態における説明を援用し、相違する点について重点的に説明する。
【0055】
第2実施形態における回転棒14の他端(手元側端)は、回転ギア30を貫通して、電動駆動部16におけるカップリング26の先端に近接する位置まで延びている。また、回転棒14における他端部、つまりカップリング26側の端部には、当該回転棒14の長手方向に直交する方向に延びる丸ピン状の係合部材64が取り付けられている。もちろん、係合部材64の形状は丸ピン状に限定されるものではなく、多角柱状等であってもよい。
【0056】
また、上述のように第2実施形態における回転棒14は、カップリング26の先端に近接する位置まで延びる長尺部材であることから、本体部12の内面から回転棒14に向けて突設された回転棒保持部66によって支持されている。
【0057】
電動駆動部16におけるカップリング26の先端には、上述した係合部材64と係合・離間することによって当該カップリング26の回転力を回転棒14に伝達する状態と伝達しない状態とを切り換える切換部材68が取り付けられている。
【0058】
この切換部材68は、略円柱状の部材であり、その中心部には、図中下方からカップリング26の先端が挿設されるとともに、図中上方からは回転棒14の他端が挿設されるカップリング挿設孔70が形成されている。
【0059】
また、この切換部材68における回転棒14側の先端(図中上端)には、回転棒14に取り付けられた係合部材64が嵌まることによって当該係合部材64と係合する複数の係合溝72が形成されている。第2実施形態における係合部材64と係合溝72との関係は、上述した第1実施形態における係合突起44と係合溝46との関係と基本的に同じである。
【0060】
さらに、この切換部材68の側周面には、スライドカバー62の摺動に合わせてカップリング26の長手方向(図中上下方向)に移動するスライド部材74の内側端部が嵌め込まれるスライド部材嵌合溝76が形成されている。
【0061】
なお、このスライド部材74が移動する範囲に合わせて、本体部12にスライド部材移動用切り欠き90が設けられている。これにより、スライド部材74の内側端部は、本体部12の内側に配置されており、かつ、スライド部材74の外側端部は、本体部12の外側に配置されている。
【0062】
第2実施形態における回転力伝達部20は、大略、回転ギア30と、手動回転ギア32と、上述した係合部材64および切換部材68を有している。
【0063】
回転ギア30は、回転棒14が貫通挿設されたかさ歯車であり、手動回転ギア32と互いに噛み合った状態で配置されている。また、回転ギア30は、回転棒14に対して固定されており、当該回転棒14と共回りするようになっている。
【0064】
スライドカバー62は、回転操作棒10の本体部12の外面であって、主に切換部材68がある位置に対応する位置を回転棒14の長手方向に沿って摺動する部材であり、カバー本体部78と、回転ハンドル挿入孔遮閉部80と、スライド部材受入部82とを有している。
【0065】
カバー本体部78は、上述のように本体部12の外面を摺動する略筒状部材であり、その外表面には、作業者が操作しやすいように、溝84が形成されている。
【0066】
回転ハンドル挿入孔遮閉部80は、カバー本体部78における回転ハンドル取付部18側の端縁に形成された部分であり、後述するように、スライドカバー62を回転ハンドル取付部18側に摺動させたとき、回転ハンドル挿入孔38の少なくとも一部を覆うことにより、回転ハンドル100を回転ハンドル挿入孔38に挿入することができないようにする部分である。また、スライドカバー62を回転ハンドル取付部18から離間する方向に摺動させたときには、回転ハンドル挿入孔遮閉部80は回転ハンドル挿入孔38に干渉することなく、回転ハンドル100を回転ハンドル挿入孔38に挿入できるようになっている。かつ、回転ハンドル100が回転ハンドル挿入孔38に挿入されている状態では、スライドカバー62の位置を戻すことができないので電動に切り換えることができず、回転ハンドル100を挿入している際に誤って電動させてしまうおそれがなくなる。
【0067】
加えて、略筒状のスライドカバー62における「開状態」および「閉状態」のそれぞれの位置決めを実施するため、本実施形態では、回転ハンドル挿入孔遮閉部80から約90°ずれた位置に開閉時位置決め機構92が設けられている。
【0068】
この開閉時位置決め機構92は、球体98およびこの球体98を本体部12に向けて押圧する球体押圧部材94で構成されたプランジャー93と、本体部12の表面における当該プランジャー93の先端にある球体98に対応する位置において本体部12の長手方向に延びるように形成されており、球体98が滑らかに摺動する位置決め溝96と、この位置決め溝96内において、スライドカバー62の「開位置」および「閉位置」のそれぞれにおける球体98の位置に対応する位置に形成された球体位置決め凹所97とで構成されている。
【0069】
スライド部材受入部82は、カバー本体部78の(回転ハンドル取付部18とは反対側の)電動駆動部16側における内側に形成された凹部であり、スライド部材74の外側端部が収容されている。
【0070】
また、このスライド部材受入部82には、スライドカバー62とは別部材のスライド部材付勢部材86が収容されており、スライド部材74の外側端部を常に回転ハンドル挿入孔遮閉部80に向けて付勢している。なお、本実施形態では、スライド部材付勢部材86として「つるまきバネ」が使用されているが、上述したようにスライド部材74に付勢できるものであれば、「つるまきバネ」に限定されない。
【0071】
(第2実施形態に係る回転操作棒10の動作)
回転操作棒10を電動で回転させるときは、
図6、
図7、
図10、および、
図11に示すように、スライドカバー62を回転ハンドル取付部18側(図中上方)に摺動させ、回転ハンドル挿入孔遮閉部80が回転ハンドル挿入孔38の少なくとも一部を覆うようにする。このスライドカバー62の移動に伴い、スライド部材付勢部材86に付勢されたスライド部材74も回転ハンドル取付部18側に移動していき、スライド部材嵌合溝76に嵌合しているスライド部材74の内側端部が切換部材68を押圧して回転ハンドル取付部18側に移動させる。
【0072】
切換部材68が回転ハンドル取付部18側に移動していくと、切換部材68に形成されている係合溝72に対して係合部材64が嵌まり込む。これにより、電動駆動部16のカップリング26と回転棒14とが、切換部材68と係合部材64とを介して連結された状態となり、回転棒14がカップリング26の回転力を受けることのできる状態となる。なお、スライド部材付勢部材86がスライド部材74を介して切換部材68を常に係合部材64に向けて付勢していることにより、当該係合部材64が切換部材68の係合溝72に嵌まらない位置にあったとしても、切換部材68が係合部材64に押し付けられた状態で回転するので、係合部材64および係合溝72の位置が互いに一致したときに、係合部材64および係合溝72の係合状態を実現できる。
【0073】
この状態で電動駆動部16のスイッチ28をオンにすると、モーター22からの回転力がカップリング26、切換部材68、係合部材64、そして回転棒14の順に伝達していき、回転棒14が回転する。
【0074】
次に、回転操作棒10を手動で回転させるときは、
図8、
図9、
図12、および、
図13に示すように、スライドカバー62を回転ハンドル取付部18から離間する方向(図中下方)に摺動させる。すると、スライドカバー62の回転ハンドル挿入孔遮閉部80が回転ハンドル挿入孔38から離れていき、当該回転ハンドル挿入孔38に対して回転ハンドル100を挿入できる状態になる。
【0075】
さらに、スライドカバー62の移動に伴い、スライド部材嵌合溝76の段部88に押されてスライド部材74も回転ハンドル取付部18から離間する方向に移動していき、スライド部材嵌合溝76に嵌合しているスライド部材74の内側端が切換部材68を押圧して回転ハンドル取付部18とは反対側(電動駆動部16側)に移動させる。
【0076】
切換部材68が回転ハンドル取付部18とは反対側に移動すると、当該切換部材68の係合溝72から係合部材64が離間していき、切換部材68と係合部材64とが互いに縁切りされる。これにより、回転棒14がカップリング26の回転力を受けることができない状態となる。
【0077】
然る後、回転ハンドル挿入孔38に回転ハンドル100を挿入して、当該回転ハンドル100を回転させることにより、手動回転ギア32を回転させる。すると、この手動回転ギア32は常に回転ギア30と噛み合った状態になっていることから、手動回転ギア32の回転力は回転ギア30に伝達され、当該回転ギア30に対して固定された回転棒14にまで回転力が伝達される。これにより、回転ハンドル100を回転させることにより、手動で回転棒14を回転させることができる。
【0078】
(第2実施形態に係る回転操作棒10の特徴)
第2実施形態に係る回転操作棒10によれば、電動および手動のどちらでも回転させることができる。また、回転ハンドル100を取り付けたままで誤って電動駆動部16のスイッチをオンにしても電動駆動部16からの回転力を受ける切換部材68と係合部材64とが互いに分離・縁切りされて、回転棒14に回転力が伝達されないので、回転ハンドル100が不所望に回転して作業者が怪我をすることがない。
【0079】
加えて、切換部材68と係合部材64とが互いに分離・縁切りされているので、回転ハンドル100を用いて手動で回転させる際にモーター22を回すための余分な力を必要とせず、モーター22を外す手間も不要となる。
【0080】
また、電動で回転させる際には、スライドカバー62の回転ハンドル挿入孔遮閉部80が回転ハンドル挿入孔38の少なくとも一部を覆い、回転ハンドル挿入孔38に回転ハンドル100を取り付けることができないようになっていることから、電動駆動部16からの回転力によって回転ハンドル100が不所望に回転することがない。
【0081】
(変形例1)
上述した第1実施形態では、回転ハンドル100を取り付ける回転ハンドル取付部18が設けられていたが、これに代えて、回転ハンドル取付部18を廃止することにより、回転力伝達部20を本体部12で完全に覆ってしまってもよい。これにより、回転棒14、電動駆動部16、および、回転力伝達部20を内蔵することで、より防水防塵性能の高い回転操作棒10としてもよい。
【0082】
(変形例2)
また、上述した第1実施形態の分離手段36は、出没軸40の位置を調節することによって電動駆動部16からの回転力を回転ギア30から切り離すことを実現させていたが、分離手段36の構造は当該実施形態に限定されるものではなく、例えば電磁クラッチ等を用いた別の構造としてもよい。
【0083】
さらに言えば、出没調節手段42の構造を、出没軸40の位置を手動で調整するようなものにしてもよい。以下では、上述した第1実施形態の変形例として、出没軸40の位置を手動で調整する出没調節手段42の構造の一例について説明する。なお、本説明では、第1実施形態との違いを中心に説明し、第1実施形態と同じ部材については同じ参照番号を付すとともに、特別な場合を除いて同じ部材の説明は第1実施形態における説明を援用して省略する。
【0084】
図14および
図16に示すように、本変形例2では、出没軸位置調節部材50が出没軸40に向かう方向の厚さが大きい大厚部110と、この大厚部110に比べて出没軸40に向かう方向の厚さが小さい小厚部112とで構成されている。また、出没軸位置調節部材50は、回転操作棒10の長手方向に直交する方向に延びるように配置されており、一方の端部が回転ハンドル挿入孔38内に嵌挿されており、他方の端部が本体部12における回転ハンドル挿入孔38に対向する反対側に形成された出没軸位置調節部材嵌挿孔114内に嵌挿されている。
【0085】
さらに、出没軸位置調節部材50の他方の端面には、この出没軸位置調節部材50を本体部12に対して抜き差しする際に直接操作される部分となる操作部材116が取りつけられており、この操作部材116は本体部12から離間する方向に延びている。これにより、出没軸位置調節部材50は、本体部12の長手方向に直交する方向に往復移動するようになっている。また、出没軸位置調節部材50における、回転ハンドル挿入孔38に近い側に小厚部112が形成されており、出没軸位置調節部材嵌挿孔114に近い側に大厚部110が形成されている。なお、大厚部110と小厚部112と間は、テーパー状に形成されている。
【0086】
図14に示すように回転ハンドル100が回転ハンドル取付部18に取り付けられていない場合、操作部材116を本体部12方向に押して、出没軸位置調節部材50を本体部12内に没入させることができる。図示するように出没軸位置調節部材50を没入させた状態では、出没軸位置調節部材50の大厚部110が出没軸40を図中下方に押し下げている。
【0087】
これにより、押し下げられた出没軸40の先端部に設けられた係合突起44が電動回転ギア34の係合溝46に嵌合した「第1の位置」となり、電動回転ギア34が電動駆動部16からの回転力を受けることのできる状態となる。そして、この状態で電動駆動部16のスイッチ28をオンにしてモーター22を回転させると、モーター22の回転力が、カップリング26、出没軸40、電動回転ギア34、手動回転ギア32、および、回転ギア30を介して回転棒14の手元側端に伝達され、回転棒14が回転する。
【0088】
逆に、
図15に示すように回転ハンドル100が回転ハンドル取付部18に取り付けられている場合、出没軸位置調節部材50は、回転ハンドル100に押されて本体部12から図中左方へ押し出された状態になる。この状態では、出没軸位置調節部材50の小厚部112が出没軸40に当接することになり、出没軸付勢部材60の付勢力によって出没軸40が電動回転ギア34から出る方向に移動している。
【0089】
これにより、出没軸40の先端部に設けられた係合突起44が電動回転ギア34の係合溝46から外れた「第2の位置」となり、電動回転ギア34に電動駆動部16からの回転力が伝達されない「電動駆動部16から分離した」状態になる。
【0090】
このような状態で作業者が回転ハンドル100を手動で回転させると、その回転力が、手動回転ギア32、および、回転ギア30を介して回転棒14の手元側端に伝達され、回転棒14が回転する。
【0091】
なお、回転ハンドル100を回転ハンドル取付部18から抜き出したときには、出没軸位置調節部材50の小厚部112が出没軸40に当接した状態が維持されているので、上述のように操作部材116を本体部12方向に押して、出没軸位置調節部材50を本体部12内に没入させることにより、回転棒14を電動させる状態に戻すことができる。
【0092】
(変形例3)
さらに、上述した第1実施形態の回転力伝達部20は、3つのかさ歯車(回転ギア30、手動回転ギア32、および、電動回転ギア34)を組み合わせることによって、電動駆動部16からの回転力が回転棒14の手元側端および回転ハンドル取付部18に対して縁切り(回転力が伝達されない状態)されるようにしていたが、回転力伝達部20の構造は当該実施形態に限定されるものではなく、例えば電磁クラッチ等を用いた別の構造としてもよい。
【0093】
(変形例4)
また、電気的あるいは機械的に、回転ハンドル100が回転ハンドル取付部18に取り付けられているときには、電動駆動部16のスイッチをオンにしてもバッテリー24からの電力がモーター22に供給されず、モーター22が不所望に回転しないようにしてもよい。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
10…回転操作棒、12…本体部、14…回転棒、16…電動駆動部、18…回転ハンドル取付部、20…回転力伝達部、22…モーター、24…バッテリー、26…カップリング、28…スイッチ、30…回転ギア、32…手動回転ギア、34…電動回転ギア、36…分離手段、38…回転ハンドル挿入孔、40…出没軸、42…出没調節手段、44…係合突起、46…(電動回転ギア34の)係合溝、48…ベース部材、50…出没軸位置調節部材、52…付勢部材、53…中心軸、54…大径部、55…底板部、56…小径部、58…中心軸挿設孔、60…出没軸付勢部材
62…スライドカバー、64…係合部材、66…回転棒保持部、68…切換部材、70…カップリング挿設孔、72…係合溝、74…スライド部材、76…スライド部材嵌合溝、
78…カバー本体部、80…回転ハンドル挿入孔遮閉部、82…スライド部材受入部、84…溝、86…スライド部材付勢部材、88…(スライド部材嵌合溝76の)段部、90…スライド部材移動用切り欠き、92…開閉時位置決め機構、93…プランジャー、94…球体押圧部材、96…位置決め溝、97…球体位置決め凹所、98…球体
100…回転ハンドル
110…大厚部、112…小厚部、114…出没軸位置調節部材嵌挿孔、116…操作部材