(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】シュリンク包装装置及びシュリンク包装方法
(51)【国際特許分類】
B65B 53/00 20060101AFI20231019BHJP
B65B 53/02 20060101ALI20231019BHJP
B65B 5/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B65B53/00 Z
B65B53/02 D
B65B5/04
(21)【出願番号】P 2019134225
(22)【出願日】2019-07-21
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】飯酒盃 真
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-032234(JP,A)
【文献】特開2012-232750(JP,A)
【文献】国際公開第2019/098160(WO,A1)
【文献】特開平04-087933(JP,A)
【文献】特開2007-137502(JP,A)
【文献】特開2016-078855(JP,A)
【文献】特開平09-132211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/00
B65B 53/02
B65B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシュリンクフィルムを貼付けた台紙からなるカートンを
間欠的に搬送するカートン搬送手段と、
物品を
一時停止中の前記カートンの前記シュリンクフィルム内に供給する物品供給手段と、
前記カートン搬送手段の搬送方向に沿った方向で、前記物品を供給する位置の下流側に配置され、前記物品が供給された状態の前記シュリンクフィルムの一部分を加熱して熱収縮させて前記物品に密着させる加熱手段と、
前記加熱手段で一部分が加熱・収縮された前記シュリンクフィルムの全体を加熱して熱収縮させる熱収縮手段を備え、
前記物品供給手段は、前記物品を供給した姿勢を保持する機能を備え、
前記保持する機能は、前記一時停止中の前記シュリンクフィルムに対して前記物品を供給してから、前記物品の移動にあわせて前記カートン搬送手段の搬送方向に沿って移動して前記加熱手段の設置位置に至るまでの移動中、並びに前記加熱手段で前記シュリンクフィルムの一部分を加熱して熱収縮するまでの間、前記姿勢を保持するようにし、
前記物品は、前記シュリンクフィルム内で前記物品供給手段による供給方向に対して交差する方向に転がり得る外表面を有し、前記加熱手段により熱収縮された前記シュリンクフィルムの一部分が前記物品に密着されることで前記物品が前記転がるのを抑止するように構成したことを特徴とするシュリンク包装装置。
【請求項2】
前記物品供給手段は、
前記物品の端面を吸着保持する物品保持手段を備え、
前記物品保持手段は、前記端面に接触する吸着部を前記シュリンクフィルムに向けて前後進移動させる機能を備え、
前記端面は、前記吸着部の前進移動時における前記物品の進行方向後方側であり、
少なくとも前記物品を前記シュリンクフィルム内に供給してから前記加熱手段による加熱で前記シュリンクフィルムの一部分を前記物品に密着させるまでの期間、前記吸着部を回転しないように構成したことを特徴とする請求項1に記載のシュリンク包装装置。
【請求項3】
台紙に貼り付けられた筒状のシュリンクフィルム内に位置決めされた状態で収納された物品を吸着し、その収納された際の姿勢に保持する物品保持手段と、
前記物品が供給された状態の前記シュリンクフィルムの一部分を加熱して熱収縮させて前記物品に密着させる加熱手段と、
前記シュリンクフィルムの全体を熱収縮させる熱収縮手段と、を備え、
前記加熱手段は、前記台紙の搬送方向に沿った方向で、前記シュリンクフィルム内に前記物品を供給する位置の下流側に配置され、
前記物品は、前記物品保持手段による保持を解除すると前記シュリンクフィルム内で前記供給する方向に対して交差する方向に転がり得る外表面を有し、
前記物品保持手段は、少なくとも前記物品を前記シュリンクフィルム内に供給してから前記加熱手段による加熱で前記シュリンクフィルムの一部分を前記物品に密着させて前記物品が前記転がるのを抑止するまでの期間、前記物品を前記収納された際の姿勢に保持するように構成
し、
搬送手段が前記シュリンクフィルム内に収納された前記物品を前記台紙とともに前記加熱手段に向けて搬送する際に、前記物品保持手段は前記搬送手段の搬送方向に沿って移動し、その移動中も前記物品の姿勢を保持するように構成したことを特徴とするシュリンク包装装置。
【請求項4】
台紙に貼り付けられた筒状のシュリンクフィルム内に、物品保持手段が物品を所定の向き及びまたは位置で保持した状態で供給し、
前記物品は、前記物品保持手段による保持を解除すると前記シュリンクフィルム内で前記供給する方向に対して交差する方向に転がり得る外表面を有し、
搬送手段が前記シュリンクフィルム内に収納された前記物品を前記台紙とともに加熱手段に向けて搬送し、
前記搬送手段が前記物品を搬送する際に、前記物品保持手段は、前記物品を保持した状態のまま前記搬送手段の搬送方向に沿って移動し、
前記保持した状態のまま、
前記加熱手段が前記シュリンクフィルムの一部を加熱して部分的に熱収縮させて前記物品に密着させることで前記物品保持手段による保持を解除しても前記物品が前記転がるのを抑止する中間包装体を製造し、
次いで前記保持を解除した後、前記中間包装体を熱収縮手段に供給して前記シュリンクフィルムの全体を収縮させることを特徴とするシュリンク包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュリンク包装装置及びシュリンク包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シュリンク包装は、熱収縮性のプラスチックフィルム(以下、「シュリンクフィルム」と称する)を用い、物品を緩めに包んで中間包装体を製造し、その中間包装体を熱収縮装置(「シュリンクトンネル」等とも称する)内に通過させてシュリンクフィルムに熱風を当てることにより、シュリンクフィルムを熱収縮させて、物品の周囲にシュリンクフィルムが密着する包装体を製造するものである。このシュリンク包装された包装体の一形態として、例えば特許文献1等に開示される「台紙付きフィルム包装体」がある。
【0003】
この台紙付きフィルム包装体は、台紙に貼り付けた筒状のシュリンクフィルム内に物品を挿入した状態で、シュリンクフィルム全体を加熱して当該シュリンクフィルムを熱収縮させて物品に密着させるようにして製造する。
【0004】
この特許文献1に開示された台紙付きフィルム包装体の製造装置は、物品をシュリンクフィルムに手供給していたことによる生産性が低いことを解決課題として自動供給を行うことを目的としてなされたものである。また、包装体の自立性が悪いことを解決課題として、物品の他端(底面)と、台紙の一方の端縁とが一致するように位置決めした状態で、加熱ユニットに送るように構成している(段落[0028]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
収縮させる前の筒状のシュリンクフィルムの内寸法は、物品の外形に対して余裕を持って大きいため、例えば、物品の外形状が、丸棒状のように不安定で転がりやすい形態の場合、シュリンクフィルム内で転がり移動してしまうおそれがある。特に、シュリンクフィルム内に供給後の物品は、そのままフリー状態でシュリンクフィルムとともに搬送され、下流側に配置される熱収縮装置に供給するため、その搬送中に物品が転がりシュリンクフィルム内で相対移動し、シュリンクフィルムに供給した状態から物品が所定角度回転した状態で熱収縮装置に供給されるおそれがある。係る場合、例えば物品の表面に意匠・デザインや、商品名や商品情報等が印刷されていて向きがある物品の場合、例えば、シュリンクフィルムに物品を供給する際に、物品の正面が台紙と反対側を向いた姿勢で行った場合に、搬送中に回転して正面が斜めを向いた姿勢で熱収縮装置に供給されるおそれがある。このような場合、包装体の正面と物品の正面の向きがそろわず、不良品となる。
【0007】
特に、特許文献1の装置では、シュリンクフィルム付の台紙の搬送装置の横側から物品を供給するため、例えば丸棒状の物品の中心軸は、搬送装置の搬送方向に対して直交する方向に位置する。よって、物品は、搬送方向に沿って転がりやすいため、上記問題がより顕著に生じる。
【0008】
このような事情から、例えば物品に正面等の向きを有するものの場合であって、丸棒状などの転がりやすい形態の物品をシュリンクフィルム付の台紙を用いてシュリンク包装するような場合、もっぱら手作業でシュリンクフィルム内に正しい向きで物品を供給し、そのまま手作業で熱収縮装置に供給する必要があり、作業性・生産性が悪いという課題を解決できない。また、例えば不安定な姿勢で物品を供給するような場合も同様の問題を生じる。
【0009】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明のシュリンク包装機は、(1)筒状のシュリンクフィルムを貼付けた台紙からなるカートンを間欠的に搬送するカートン搬送手段と、物品を一時停止中の前記カートンの前記シュリンクフィルム内に供給する物品供給手段と、前記カートン搬送手段の搬送方向に沿った方向で、前記物品を供給する位置の下流側に配置され、前記物品が供給された状態の前記シュリンクフィルムの一部分を加熱して熱収縮させて前記物品に密着させる加熱手段と、前記加熱手段で一部分が加熱・収縮された前記シュリンクフィルムの全体を加熱して熱収縮させる熱収縮手段を備え、前記物品供給手段は、前記物品を供給した姿勢を保持する機能を備え、前記保持する機能は、前記一時停止中の前記シュリンクフィルムに対して前記物品を供給してから、前記物品の移動にあわせて前記カートン搬送手段の搬送方向に沿って移動して前記加熱手段の設置位置に至るまでの移動中、並びに前記加熱手段で前記シュリンクフィルムの一部分を加熱して熱収縮するまでの間、前記姿勢を保持するようにし、前記物品は、前記シュリンクフィルム内で前記物品供給手段による供給方向に対して交差する方向に転がり得る外表面を有し、前記加熱手段により熱収縮された前記シュリンクフィルムの一部分が前記物品に密着されることで前記物品が前記転がるのを抑止するように構成した。
【0011】
本発明では、シュリンクフィルムの一部分を収縮させて物品に密着させることで、シュリンクフィルムにより物品の位置・姿勢を固定する。その固定した状態でカートンを搬送して熱収縮手段に供給し、熱収縮手段でシュリンクフィルムの全体を収縮させ、物品に密着させる。このようにシュリンクフィルムの一部分で物品を固定するので、例えばその後にカートンを搬送して熱収縮手段に供給した場合に、筒状のシュリンクフィルム内で物品が相対的に移動したりすることがなく、物品をシュリンクフィルム内で所望の位置・姿勢でシュリンク包装することができる。
【0012】
前記物品供給手段は、前記物品を供給した姿勢を保持する機能を備え、前記物品を供給してから前記加熱手段で前記シュリンクフィルムの一部分を加熱して熱収縮するまでの間、前記姿勢を保持するようにしたため、物品を供給した姿勢のままシュリンクフィルムを熱収縮して物品に密着させることができる。例えば、物品に正面等の向きがある場合、その正面を台紙に対して所定の位置関係になるように物品を供給すると、その所定の位置関係のままシュリンクフィルムを熱収縮させて物品に密着させるシュリンク包装をすることができる。
【0013】
(2)前記物品供給手段は、前記物品の端面を吸着保持する物品保持手段を備え、前記物品保持手段は、前記端面に接触する吸着部を前記シュリンクフィルムに向けて前後進移動させる機能を備え、前記端面は、前記吸着部の前進移動時における前記物品の進行方向後方側であり、少なくとも前記物品を前記シュリンクフィルム内に供給してから前記加熱手段による加熱で前記シュリンクフィルムの一部分を前記物品に密着させるまでの期間、前記吸着部を回転しないように構成するとよい。このようにすると、吸着部は、シュリンクフィルムへの供給方向の後方側に位置する物品の端面に接触して吸着保持できるので、例えば、筒状のシュリンクフィルムに物品を供給し、物品がシュリンクフィルム内に位置した状態において吸着部を回転させないようにすることで物品を所望の姿勢に保持することができ、シュリンクフィルムの一部分を物品に密着させた後は、吸引を解除して吸着部を後退移動することで、シュリンクフィルム外に待避することができる。よって、簡単な構成で、物品の供給並びに物品の姿勢保持・維持をすることができる。
【0014】
(3)台紙に貼り付けられた筒状のシュリンクフィルム内に位置決めされた状態で収納された物品を吸着し、その収納された際の姿勢に保持する物品保持手段と、前記物品が供給された状態の前記シュリンクフィルムの一部分を加熱して熱収縮させて前記物品に密着させる加熱手段と、前記シュリンクフィルムの全体を熱収縮させる熱収縮手段を備え、前記加熱手段は、前記台紙の搬送方向に沿った方向で、前記シュリンクフィルム内に前記物品を供給する位置の下流側に配置され、前記物品は、前記物品保持手段による保持を解除すると前記シュリンクフィルム内で前記供給する方向に対して交差する方向に転がり得る外表面を有し、前記物品保持手段は、少なくとも前記物品を前記シュリンクフィルム内に供給してから前記加熱手段による加熱で前記シュリンクフィルムの一部分を前記物品に密着させて前記物品が前記転がるのを抑止するまでの期間、前記物品を前記収納された際の姿勢に保持するように構成し、搬送手段が前記シュリンクフィルム内に収納された前記物品を前記台紙とともに前記加熱手段に向けて搬送する際に、前記物品保持手段は前記搬送手段の搬送方向に沿って移動し、その移動中も前記物品の姿勢を保持するように構成するとよい。
【0015】
(4)本発明に係るシュリンク包装方法は、台紙に貼り付けられた筒状のシュリンクフィルム内に、物品保持手段が物品を所定の向き及びまたは位置で保持した状態で供給し、前記物品は、前記物品保持手段による保持を解除すると前記シュリンクフィルム内で前記供給する方向に対して交差する方向に転がり得る外表面を有し、搬送手段が前記シュリンクフィルム内に収納された前記物品を前記台紙とともに加熱手段に向けて搬送し、前記搬送手段が前記物品を搬送する際に、前記物品保持手段は、前記物品を保持した状態のまま前記搬送手段の搬送方向に沿って移動し、前記保持した状態のまま、前記加熱手段が前記シュリンクフィルムの一部を加熱して部分的に熱収縮させて前記物品に密着させることで前記物品保持手段による保持を解除しても前記物品が前記転がるのを抑止する中間包装体を製造し、次いで前記保持を解除した後、前記中間包装体を熱収縮手段に供給して前記シュリンクフィルムの全体を収縮させるようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、物品を台紙に対して所望の位置・向き・姿勢等にしてシュリンク包装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るシュリンク包装装置の好適な一実施形態を示す平面図である。
【
図2】そのカートン搬送コンベアの各工程箇所における主にカートン並びに物品等を示す正面図である。
【
図3】物品保持装置23の作用・機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
図1は、本発明に係るシュリンク包装装置の好適な一実施形態を示す平面図であり、
図2は、カートン搬送コンベアの各工程箇所における主にカートン並びに物品等を示す正面図である。
図1に示すように、筒状のシュリンクフィルム1を貼付けた台紙2からなるカートン3をストックするカートンホッパー11と、そのカートンホッパー11から1枚ずつ取り出されて供給されるカートン3を搬送するカートン搬送コンベア12と、そのカートン搬送コンベア12の一方サイド(本形態では右側)に配置される物品搬送コンベア13と、物品搬送コンベア13で搬送される物品4をシュリンクフィルム1内に供給する物品供給装置14と、カートン搬送コンベア12上を移動するカートン3のシュリンクフィルム1の一部を加熱する加熱装置15と、カートン搬送コンベア12の下流側に配置されシュリンクフィルム1の全体を加熱する熱収縮装置16等を備える。
【0020】
物品4は、例えば、リップ,スプレー缶等の本体の少なくとも一部分に円柱状・円筒状・丸棒状の外表面を備えるものであり、その円柱状等の外表面の部分が周方向に転がりやすい形態のものである。
【0021】
カートンホッパー11は、複数のカートン3を集積した状態で貯留する。カートン3は、図示省略するカートン取出装置を用いてカートンホッパー11内の先頭のカートン3から一枚ずつ取り出され、カートン搬送コンベア12上の所定位置に平置き状態でセットされる。このセットされた際、カートン3は、
図1に示すように平置きされた台紙2の上側であって、物品搬送コンベア13側にシュリンクフィルム1が位置する。
【0022】
カートン3を構成する台紙2は、例えば矩形状の平板の板材からなる。シュリンクフィルム1は、熱収縮性のフィルムであり、両端開口した筒状に形成可能な状態で、台紙2の所定位置に接着される。カートン搬送コンベア12上にセットされたカートン3は、カートンホッパー11内に貯留されていた際の形態とほぼ同様である。すなわち、カートン3は、カートンホッパー11に収納される際、台紙2を重ねた状態で集積するため、
図1,
図2(a)に示すようにシュリンクフィルム1は、平坦に潰されて平面視で矩形状に広がった形態となる。そして、シュリンクフィルム1は、例えば接着剤等を用いて、台紙2の所定位置に貼付け固定される。
【0023】
台紙2とシュリンクフィルム1を貼付けて接続する接着部5は、本形態では、
図1に示すように台紙2の一方の短辺の中心から、長手方向に沿って伸びるように1本の直線状に形成する。これにより、その直線状の接着部5の部分のみでシュリンクフィルム1と台紙2は接続される。よって、平坦に潰された形状のシュリンクフィルム1は、接着部5以外の部位では、台紙2と接触していても非接着で離反可能となる。さらに本形態の筒状のシュリンクフィルム1は、台紙2の長手方向の両端が開口しており、その開口する一端は、台紙2の短辺側の周縁よりも外側に突出したレイアウトをとる。
【0024】
カートン搬送コンベア12は、バケットコンベアであり、例えば搬送面を構成するエンドレスベルト12a上に一対の前壁部12bと後壁部12cが所定間隔毎に複数配置される。一対の前壁部12bと後壁部12cの間隔は、台紙2の短辺の長さと等しくしており、カートン取出装置によりカートン搬送コンベア12上にセットされたカートン3は、横長の姿勢で前壁部12bと後壁部12cの間に位置し、エンドレスベルト12aに対する前後方向の相対移動を抑止された状態で、エンドレスベルト12aの回転に伴い前壁部12b,後壁部12cとともに前進移動する。そして、このカートン搬送コンベア12は、例えば間欠駆動し、
図1に示す状態において一時停止するように制御するとよい。
【0025】
なお、図では1つのエンドレスベルト12aに前壁部12bと後壁部12cを設け、両者の間隔を固定にしているが、例えば2本のエンドレスベルトを平行に配置し、一方のエンドレスベルトに前壁部を設け、他方のエンドレスベルトに後壁部を設け、2本のエンドレスベルトの相対位置関係をずらすことで前壁部と後壁部の間隔を変更調整可能にするとよい。後述のエンドレスベルト13aについても同様である。
【0026】
物品搬送コンベア13は、搬送面を構成するエンドレスベルト13aの表面に、一定間隔毎に前後一対のガイド部13bを配置する。ガイド部13bは、例えば平板状の突起部とし、一対のガイド部13bの間隔は、例えば円柱状の物品4の直径に対応した長さに設定し、そのガイド部13bの高さは、例えばその物品4の半径以上に設定するとよい。物品搬送コンベア13は、前後一対のガイド部13b間の空間内に物品4を横長の姿勢で支持した状態で搬送する。すなわち、係る構成にすると、一対のガイド部13b間に物品4が供給された状態では、ガイド部13bの上端は物品4の半分の高さすなわち水平方向の直径位置よりも上方に位置するため、物品4の両側端(搬送方向の前後端)が一対のガイド部13bに接触して抑えられる。よって、物品4は、エンドレスベルト13aの回転に伴い前後一対のガイド部13bとともに前進移動する。
【0027】
また本形態の物品4は、その形状は上述したように円柱状等であり、その表面に各種のデザイン・商品名その他の文字・マーク等が印刷されており、物品4の正面がある。そこで、図省略する物品移し替え装置にて物品4を物品搬送コンベア13に供給する際に、正面が真上を向く姿勢で一対のガイド部13b間にセットする。このように正面が真上を向く姿勢で供給する処理は、例えば、物品搬送コンベア13の上流側で物品4を軸周りに回転させて正面が上を向くような向き調整機構で向きを揃えた状態にし、その姿勢・状態のまま物品搬送コンベア13に移し替えたり、上流側の物品搬送ライン上や物品の貯留エリア内で向きがランダムにある物品を、物品移し替え装置が保持して移し替える際に正面が上を向く姿勢に変位させた後に供給するようにしたりするとよい。
【0028】
物品供給装置14は、カートン搬送コンベア12上に配置され、平坦に畳まれたシュリンクフィルム1を筒状に開口させるシュリンクフィルム開き装置21と、物品4の一端を保持した状態で、筒状に開口したシュリンクフィルム1の一方の開口部から物品4を押し込む物品保持装置23を備える。
【0029】
このシュリンクフィルム開き装置21は、カートン搬送コンベア12の上流側から2番目の一時停止位置の上方に配置される。シュリンクフィルム開き装置21は、第一吸引ノズル25と、その第一吸引ノズル25を昇降移動する駆動装置(図示省略)を備える。第一吸引ノズル25は、下端に第一吸着部25aを有する。
【0030】
そして、上述したように1番目の一時停止位置にあるバケット(前壁部12b,後壁部12c)に、平坦に畳まれた状態のシュリンクフィルム1のカートン3がセットされるので、次のサイクルでそのセットされたカートン3は2番目の一時停止位置に至る。このときのカートン3は、
図2(b-1)に示すように、畳まれた姿勢のままとなる。また、第一吸引ノズル25は上昇位置で待機する。
【0031】
次いで、
図2(b-2)に示すように、第一吸引ノズル25は下降移動して第一吸着部25aが平坦に畳まれた状態のシュリンクフィルム1の表面に接触する。この状態で第一吸引ノズル25は吸引動作を行い、シュリンクフィルム1を吸着保持する。その後、第一吸引ノズル25は、シュリンクフィルム1を吸着保持した状態のまま上昇する。これに伴い、吸着されたフィルム部位も上昇し、それについて他のフィルム部位も上昇して
図2(b-3)に示すように、シュリンクフィルム1が筒状に開口する。
【0032】
一方、物品保持装置23は、第二吸引ノズル27と、その第二吸引ノズル27を物品搬送コンベア13の搬送方向に対して直交する水平方向に往復移動させる第一駆動機構(図示省略)と、その駆動機構ごと物品搬送コンベア13の搬送方向に沿って平行移動させる第二駆動機構(図示省略)等を備える。第二吸引ノズル27は、物品4の長手方向の一端(物品4を起立させたときの底面)に接触して吸着する第二吸着部27aを備え、その第二吸着部27aが物品搬送コンベア13の搬送方向右側(カートン搬送コンベア12と反対側)の外側に位置させる(
図3(a))。その状態から第一駆動機構の動作により第二吸引ノズル27を物品搬送コンベア13で搬送される物品4に接近するように前進移動させて第二吸着部27aを物品4の底面4aに接触させる(
図3(b))。この第二吸着部27aが底面4aに接触する少なくとも直前から吸引を開始し、接触した際には第二吸着部27aが物品4の底面4aを吸着保持する。
【0033】
その後、第二吸引ノズル27は第一駆動機構の動作によりさらに前進移動して、第二吸着部27aが物品4の底面4aをカートン搬送コンベア12側に向けて付勢する。この付勢に伴い物品4が押され、当該物品4は筒状に開いたシュリンクフィルム1内に供給される(
図1,
図2(b-4)等参照)。また本実施形態では、第二吸引ノズル27は、物品4の底面4aを吸着保持した状態で前進移動し、その移動時に第二吸着部27aは吸着面内で自転等することなく真っ直ぐに移動するため、物品4も回転等することなく、正面が真上を向いた姿勢のまま筒状のシュリンクフィルム1内に供給される。
【0034】
シュリンクフィルム1内に供給・収納された物品4の底面4aは、台紙2の短辺上かそれよりも内側(台紙側)に入った位置に設定される。また、
図2(b-4)に示すように、筒状に開口したシュリンクフィルム1内の所定位置(台紙2に対する上下、及び左右の位置)に物品4が収納された状態では、シュリンクフィルム1の内部空間の方が物品4に比べて広く、物品4の外周囲とシュリンクフィルム1の内周面との間に所定の空間が形成される。
【0035】
このようにシュリンクフィルム1内への物品の供給工程が終了すると、第一吸引ノズル25は吸引処理を停止するとともに上昇移動してシュリンクフィルム1から離反する。次いで、一時停止中のカートン搬送コンベア12は搬送を再開し、シュリンクフィルム1内に物品4が収納された状態のカートン3を次の3番目の一時停止位置まで搬送する。このとき、物品搬送コンベア13は同期して搬送を再開して1ピッチ分移動して一時停止する。
【0036】
また第二吸引ノズル27は、第二駆動機構の動作により、カートン搬送コンベア12の搬送方向に沿って、その搬送速度と同速度で移動する。そして、この移動中も第二吸着部27aは回転しないように構成する。これにより、前工程でシュリンクフィルム1内に供給された物品4は、カートン3の移動に追従してシュリンクフィルム1とともにカートン搬送コンベア12の搬送方向に沿って移動するが、その移動中、第二吸引ノズル27により保持された状態のままとなるので、物品4の正面が真上を向いた姿勢が保持される。
【0037】
加熱装置15は、カートン搬送コンベア12の3番目の一時停止位置の上方に配置される。この加熱装置15は、図示省略する熱風生成手段と、その熱風生成手段で生成された熱風を噴射するノズル30を備える。このノズル30は、3番目の一時停止位置で一時停止するカートン3のシュリンクフィルム1内に仮収納された物品4の底面4aと反対側の端部4b付近の上方であって、噴射口が下向きの姿勢で配置される。これにより、一時停止しているカートン3に対してノズル30から熱風を噴射すると、その噴射された熱風がシュリンクフィルム1の一方の端部4bにあたり、シュリンクフィルム1を熱収縮させる。一方、物品4の底面4a側のフィルム部位には、当該熱風が当たらないようにし、その熱風による熱が当該フィルム部位に伝わらず、熱収縮しないように設定する。このように、加熱装置15は、カートン搬送コンベア12上を移動するカートン3のシュリンクフィルム1の一部を加熱し、当該一部を熱収縮することで、その熱収縮した一部のフィルム部位のみが物品4の外周囲に密着した中間包装体が製造される(
図1参照)。そして、外周囲に密着することで、物品4は、軸周りに回転することが抑止される。
【0038】
このように一部のフィルム部位のみを熱収縮して物品4に密着して中間包装体が製造されるまで、物品保持装置23の第二吸引ノズル27は物品4を吸着保持し続けるため、物品4の正面は真上を向いて位置決めした状態のまま物品4の一方の端部4bがシュリンクフィルム1で固定される。そして、シュリンクフィルム1の一部が物品4に密着した後、第二吸引ノズル27の吸引を解除し、第二吸引ノズル27は、物品4の底面4aから離反するように制御する。このように第二吸引ノズル27が物品4から離反して物品4の保持がなくなっても、物品4は熱収縮したシュリンクフィルム1によって固定されているため、筒状のシュリンクフィルム1内で移動したり、軸周りに回転したりすることがなく、位置決めされた状態を維持する。
【0039】
カートン搬送コンベア12は、シュリンクフィルム1の一部の熱収縮による物品4の仮固定が完了後、カートン3の搬送を再開し、カートン3を下流側に設けた熱収縮装置16に供給する。熱収縮装置16は、シュリンクトンネルとも称されるもので、搬送路を構成するエンドレスベルトの周囲を覆うトンネルを備え、そのトンネル内の各位置からエンドレスベルト上を移動するカートン3に対して熱風を噴射する機能を備える。熱収縮装置16は、トンネル内の閉空間が高温度の雰囲気下にされ、さらに、カートン3のシュリンクフィルム1の全体を加熱するように熱風を噴射する。
【0040】
これより、シュリンクフィルム1の全体が加熱され、加熱装置15では未加熱で筒状に膨らんだシュリンクフィルム1のフィルム部位も熱収縮し、物品4の全体に密着する。また、本形態では、
図1におけるカートン搬送コンベア12の2番目の一時停止位置におけるカートン3に示すようにシュリンクフィルム1の長手方向の長さを物品4の長さよりも長くし、物品4の長手方向両端部のさらに外側にそれぞれフィルム部位が存在する。これにより、加熱装置15或いは熱収縮装置16で加熱され熱収縮されるシュリンクフィルム1の長手方向両端部は、物品4の底面4a或いは反対側の端面に回り込み密着する。これにより、物品4は、軸方向並びにその軸周りに移動することがなく、物品が正面を向いた正しい姿勢の包装体を製造することができる。
【0041】
なお、物品保持装置23は、第一駆動機構並びに第二駆動機構の駆動により第二吸引ノズル27を適宜の軌跡で上流側に移動させ、再び物品搬送コンベア13の2番目の一時停止位置の外側に至り、以後、上述したように物品4の底面4aを吸着保持して回転を抑止しつつシュリンクフィルム1内に供給する処理を行う。
【0042】
上述した実施形態では、シュリンクフィルム1内に物品4を供給する工程と、シュリンクフィルム1の一部を熱収縮させて仮固定する工程を異なる場所で行い、各工程を行う場所間の移動時に物品4の向きが変わらないように物品保持装置23は、第二駆動機構等により第二吸引ノズル27・第二吸着部27aをカートン3にあわせて移動するようにしたが、同じ場所で行うようにしてもよい。この場合、複数の物品保持装置23を設けることにより、複数個の物品4を一度にまとめて処理するようにしてもよい。また、先端が三次元空間内を所定の軌跡で移動するロボットアームを用い、そのロボットアームの先端・マニピュレーターに物品保持装置23を接続しても良い。
【0043】
また上述した実施形態では、円柱状等の転がりやすい形態の物品4のシュリンク包装について説明したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば楕円柱等の湾曲部を含む形状や、例えば
図4(a)に示すように角柱状の物品4の1つの角部4cを台紙2側に位置させて台紙2の上に起立して例えば菱形のような姿勢で配置するレイアウトのように、不安定な姿勢で配置するような場合に適用するとよい。
図4(a)の場合、物品4を収納するシュリンクフィルム1は、物品4の一つの角部4cに対向する部位で、台紙2に接着される。
【0044】
また、上述したように角柱状の物品4を1つの角部4cを起点に起立させた姿勢で包装する形態の場合、例えば
図4(b)に示すように、台紙2に所定幅で開口した細長な矩形状のスリット2aを設け、そのスリット2a内に物品4の角部4cを挿入し、台紙2の下方に突出させるとよい。また、台紙2の上面のスリット2aの両サイドには、接着剤を塗布した接着部5を設け、接着部5の部分でシュリンクフィルム1が台紙2に固定されるように構成するとよい。このようにすると、物品4は菱形のように起立した姿勢で安定して保持される。
【0045】
上述した実施形態並びに変形例は、何れも物品4を台紙2の長辺と平行になるようには位置したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、
図4(c)に示すように、台紙2に対して傾斜して物品4を配置しても良い。係る場合、例えば台紙2に対してシュリンクフィルム1を当該傾斜するようにして貼付けたカートン3を用意し、畳まれたシュリンクフィルムの長手方向、すなわち、物品4の筒状のシュリンクフィルム1への挿入方向を、第二吸引ノズル27の移動方向に沿うように、カートン搬送コンベア12が台紙2を傾斜させた状態で搬送するようにすると良い。
【0046】
また、上述した実施形態並びに変形例では、シュリンクフィルム1の台紙2への貼り付けは、直線状の接着部5を用いて行ったが、本発明はこれに限ることはなく例えば
図4(d)に示すように接着部5の形状を湾曲した部分を含むようにしたり、S字や波形状などとしたり、鋸波状のように複数の直線部分が同一直線状に配置しないレイアウトのようにし、例えば、シュリンクフィルムの長手方向における接着部5の存在位置が、長手方向に直交する幅方向で異なる位置に来るようにするとよい。このようにすると、接着部5の存在領域が長手方向とそれに対して直交する方向の二次平面状に広がり、シュリンクフィルム1内に収納される物品4を安定して支持することができる。よって、物品保持装置23で物品4を台紙から離反させた(宙に浮かせた)状態で仮固定させた後で、全体を加熱することで、図示するように台紙2と物品4の下側との間に熱収縮されたシュリンクフィルム1が存在し、物品4が宙に浮いたような包装形態をとることができる。そして、当該間に存在するシュリンクフィルム1は、例えば上述した接着剤5の非直線状のパターンに沿って二次平面上に広がりを持って位置することもあり、包装体のシュリンク包装された物品4は、図示するように宙に浮いた状態で軸方向と直交する方向のぐらつきを抑制できる。
【0047】
上述した実施形態では、物品保持装置23は、物品4の底面4aを吸着保持するものとしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、物品4の外周または内周を把持する把持手段等であってもよい。
【0048】
さらに本発明は、上述した実施形態に限ることはなく、各種の形態をとることができ、その一例を示すと、以下のようにすると良い。例えば、物品4は、台紙2の高さ方向に対して傾斜させた状態でシュリンク包装した包装形態であってもよい。
【0049】
また、熱収縮装置16は、加熱装置15によって収縮していない箇所を加熱する別の加熱装置であってもよい。
また、例えば、物品4が丸棒状の場合、一対のガイド部13a、13bを、略V字状となるようにそれぞれの上面を傾斜面にし、その傾斜面上に物品4を供給するようにしてもよい。
さらにまた、カートンホッパー11は、カートン搬送コンベア12と平行に配置してもよい。この場合、複数のカートンホッパー11を設ける、及びまたは複数のカートン3を一度に供給できるカートンホッパー11を設けるようにしてもよい。その場合、複数のカートン3をカートン搬送コンベア12に供給し、カートン搬送コンベア12の複数ピッチ分を一度にまとめて搬送する。
【0050】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0051】
1 :シュリンクフィルム
2 :台紙
3 :カートン
4 :物品
4a :底面(端面)
5 :接着部
11 :カートンホッパー
12 :カートン搬送コンベア
13 :物品搬送コンベア
14 :物品供給装置
15 :加熱装置
16 :熱収縮装置
21 :シュリンクフィルム開き装置
23 :物品保持装置
25 :第一吸引ノズル
25a :第一吸着部
27 :第二吸引ノズル
27a :第二吸着部
30 :ノズル