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特許7369432ラベル発行装置、ラベル発行システム、ラベル発行方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ラベル発行装置、ラベル発行システム、ラベル発行方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231019BHJP
   B65C 9/46 20060101ALI20231019BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20231019BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20231019BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B41J29/38 203
B65C9/46
G06F21/62 318
G06F21/32
B41J29/393 105
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019164125
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021041573
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】込山 峰義
(72)【発明者】
【氏名】村尾 正樹
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-166428(JP,A)
【文献】特開2013-210914(JP,A)
【文献】特開2006-094482(JP,A)
【文献】特開2010-066834(JP,A)
【文献】特開2006-221515(JP,A)
【文献】特開2013-114194(JP,A)
【文献】特開2004-342097(JP,A)
【文献】特開2013-133129(JP,A)
【文献】特開2001-134672(JP,A)
【文献】特開2004-252501(JP,A)
【文献】特開2007-034979(JP,A)
【文献】特開2006-187995(JP,A)
【文献】特開2009-200954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B65C 9/46
B41J 5/30
B41J 11/42
B41J 29/393
G07G 5/00
G06F 3/12
G06F 21/32
G06G 21/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品情報を取得する商品情報取得手段と、
前記商品情報を入力する担当者の識別情報を取得する担当者取得手段と、
生体認証により認証し、担当者の識別情報を特定する認証手段と、
前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベル印字を行う発行手段と、
前記担当者の識別情報と、前記商品情報と、前記発行手段により印字されたラベルの情報とを互いに対応付けて記憶する履歴情報登録手段と、
前記担当者取得手段で取得される前記担当者の識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とを比較する比較手段と、を備え、
前記比較手段は、前記担当者取得手段で取得される前記識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とが一致しないとき、前記発行手段によるラベルの印字を禁止する、
ことを特徴とするラベル発行装置。
【請求項2】
前記担当者の識別情報と当該担当者の生体認証情報とが互いに対応付けられて記憶されている担当者情報記憶手段と、
前記認証手段が、前記担当者情報記憶手段を参照しても前記担当者の識別情報を特定できない場合、前記担当者取得手段で取得される当該担当者の識別情報を、当該担当者の生体認証情報と共に、前記担当者情報記憶手段に登録する担当者情報登録手段と、
をさらに備える、
請求項記載のラベル発行装置。
【請求項3】
撮像手段をさらに備え、前記生体認証は前記撮像手段により担当者の虹彩を撮像することで行う虹彩認証である、
請求項1又は2に記載のラベル発行装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、前記発行手段により発行されたラベルを撮像し、ラベル画像と、当該ラベルに対応して予め用意されている基準画像とを比較することで前記ラベルの印字情報の正否を判定する判定手段をさらに備える、
請求項記載のラベル発行装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記ラベル画像と、前記基準画像とが異なると判定されるとき、前記発行手段によるラベルの印字を禁止する、
請求項記載のラベル発行装置。
【請求項6】
商品情報を取得する商品情報取得ステップと、
前記商品情報を入力する担当者の識別情報を取得する担当者取得ステップと、
担当者を生体認証により認証し、当該担当者の識別情報を特定する認証ステップと、
前記商品情報取得ステップで取得される商品情報に基づいてラベルの印字を行う発行ステップと、
前記担当者の識別情報と、前記商品情報と、前記発行ステップにより印字されたラベルの情報とを互いに対応付けて記憶する記憶ステップと、
前記担当者取得ステップで取得される前記担当者の識別情報と、前記認証ステップにより特定される担当者の識別情報とを比較する比較ステップと、を含み、
前記比較ステップは、前記担当者取得ステップで取得される前記識別情報と、前記認証ステップにより特定される担当者の識別情報とが一致しないとき、前記発行ステップによるラベルの印字を禁止する
ことを特徴とするラベル発行方法。
【請求項7】
ラベル発行装置と、
前記ラベル発行装置を管理する管理端末と、
を備えるラベル発行システムであって、
商品情報を取得する商品情報取得手段と、
前記商品情報を入力する担当者の識別情報を取得する担当者取得手段と、
担当者を生体認証により認証し、当該担当者の識別情報を特定する認証手段と、
前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベルの印字を行う発行手段と、
前記担当者の識別情報と、前記商品情報と、前記発行手段により印字されたラベルの情報とを互いに対応付けて記憶する履歴情報登録手段と、
前記担当者取得手段で取得される前記担当者の識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とを比較する比較手段と、を備え、
前記比較手段は、前記担当者取得手段で取得される前記識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とが一致しないとき、前記発行手段によるラベルの印字を禁止する
ことを特徴とするラベル発行システム。
【請求項8】
商品情報を取得する商品情報取得手段と、
前記商品情報を入力する担当者の識別情報を取得する担当者取得手段と、
商品情報を入力する担当者を生体認証により認証し、当該担当者の識別情報を特定する認証手段と、
前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベルのテスト印字を行う第1の発行手段と、
前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベルの印字を行う第2の発行手段と、
前記担当者の識別情報と、前記商品情報と、前記第1の発行手段又は前記第2の発行手段により印字されたラベルの情報とを互いに対応付けて記憶する履歴情報登録手段と、
前記担当者取得手段で取得される前記担当者の識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とを比較する比較手段と、を備え
前記比較手段は、前記担当者取得手段で取得される前記識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とが一致しないとき、前記第1の発行手段および前記第2の発行手段のいずれかによるラベルの印字を禁止する、
ことを特徴とすラベル発行装置。
【請求項9】
ラベル発行装置と、
前記ラベル発行装置を管理する管理端末と、
を備えるラベル発行システムであって、
商品情報を取得する商品情報取得手段と、
前記商品情報を入力する担当者の識別情報を取得する担当者取得手段と、
担当者を生体認証により認証し、当該担当者の識別情報を特定する認証手段と、
前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベルのテスト印字を行う第1の発行手段と、
前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベルの印字を行う第2の発行手段と、
前記担当者の識別情報と、前記商品情報と、前記第1の発行手段又は前記第2の発行手段により印字されたラベルの情報とを互いに対応付けて記憶する履歴情報登録手段と、
前記担当者取得手段で取得される前記担当者の識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とを比較する比較手段と、を備え
前記比較手段は、前記担当者取得手段で取得される前記識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とが一致しないとき、前記第1の発行手段および前記第2の発行手段のいずれかによるラベルの印字を禁止する、
ことを特徴とすラベル発行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル発行装置、ラベル発行システム、およびラベル発行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮食品、総菜食品を取り扱う現場においては、商品ラベルに加工日、製造日、消費期限又は賞味期限等や、商品名称、添加物および価格などの印字を行う。貼付されるラベルの記載が誤っていると品質上の問題が発生する恐れがあるため、その商品を販売することができない。そこで、米飯や調理菓子パン製造工場などのコンビニエンスベンダーでは、商品貼付用ラベルの印字内容を確認して、ラベルチェック用のシート等を用いて発行前にラベルを目視確認する
【0003】
例えば特許文献1では、食品ラベル発行の印字履歴を管理しているしくみが開示されている。
特許文献2では、複数のラベルプリンタが接続されているラベル発行情報管理システムにおいて、ラベル発行に関する情報のダウンロード要求を受信したラベル発行管理装置が、ラベルプリンタが管理対象のラベルプリンタであるかをチェックすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-66834号公報
【文献】特開2010-67279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、人為的なエラーは無くならないため、厳格なチェックを行うための操作が不十分であった。
【0006】
そこで、本発明は、ラベル発行の履歴管理を確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るラベル発行装置は、商品情報を取得する商品情報取得手段と、生体認証により認証し、担当者の識別情報を特定する認証手段と、前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベル印字を行う発行手段と、を備え、前記商品情報取得手段による商品情報を取得する場合、または、前記ラベルを交換した場合に、前記認証手段で前記担当者を認証することを特徴とする。。
【0008】
なお、上記本発明に係るラベル発行装置は、同様の構成を有する方法あるいはシステムに係る発明として構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るラベル発行装置の外観斜視図である。
図2】上記ラベル発行装置が備える認証部の拡大斜視図である。
図3】上記ラベル発行装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
図4】上記ラベル発行装置が備える担当者情報記憶部が記憶するテーブルの例であって、(a)生体認証データIDと生体認証データとが互いに対応付けられる第1テーブル、(b)生体認証データIDと担当者に関する情報とが互いに対応付けられる第2テーブルである。
図5】上記ラベル発行装置が備える表示部に表示される発行モード画面の一例である。
図6】上記ラベル発行装置によって実行される、担当者認証処理の流れを示した処理フロー図である。
図7】上記ラベル発行装置によって実行される、ラベル判定処理の流れを示した処理フロー図である。
図8】上記表示部に表示される画面の一例であって、(a)テスト用ラベルの発行を促す画面、(b)テスト用ラベルの撮像を促す画面である。
図9】上記ラベル発行装置によって実行される、ラベルロール交換時の流れを示した処理フロー図である。
図10】本発明の実施形態に係るラベル発行システムの概略構成図である。
図11】本発明の第2実施形態に係るラベル発行装置が有する認証部の拡大斜視図である。
図12】本発明の第3実施形態に係るラベル発行装置の外観斜視図である。
図13】従来のラベル判定に使用される発行チェック表の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るラベル発行装置について、図を参照して説明する。
【0011】
●ラベル発行装置10
図1に示されるように、ラベル発行装置10は、ラベルの印刷および商品への貼付を行う装置である。ラベル発行装置10は、主として、搬送台101、上側ラベル印字貼付部121a、下側ラベル印字貼付部121b、入出力部106、撮像部132および認証部133を備える。
【0012】
搬送台101は、商品を搬送するコンベア等の搬送機構を備える台である。搬送台101の側部にアーム120が起立され、このアーム120にブラケットを介して上側ラベル印字貼付部121aが搬送機構上方に配置されている。
上側ラベル印字貼付部121aは、ラベルを印字し、印字したラベルを搬送台101上の商品の上面に貼付する機構である。また、下側ラベル印字貼付部121bは、搬送台101の下方に収容され、ラベルを印字し、印字したラベルを搬送台101上の商品の底面に貼付する機構である。
【0013】
上側ラベル印字貼付部121aおよび下側ラベル印字貼付部121bは、それぞれラベル供給部102、フィード部103、印字部104および貼付部105を有する。上側ラベル印字貼付部121aにおいては、ラベル供給部102、フィード部103、印字部104は箱状のケース1211aに収容され、貼付部105は、ケース1211aの側部に取り付けられた箱状のケース1212a内に収容されている。なお、図1において、下側ラベル印字貼付部121bが有するケースは省略されている。
【0014】
ラベル供給部102は、ラベルロール100を印字部104へ送出可能に保持する機能である。ラベル供給部102には、ロール状に巻かれたラベルロール100がロールセット(ラベルロール装填部)に回転可能にセットされている。なお、ラベルロール100は、長尺の帯状の台紙上にラベルを一定間隔で仮着させたラベル用紙をロール状に巻回させたものである。ラベルは、一面側が粘着材の付着した接着面、他面側が印字される印字面を構成しており、接着面を台紙に剥離可能に接着させている。なお、ラベルは、台紙を有さず、連続用紙を印字量に応じてカットして使用する台紙無しラベル(ラーナーレスラベル)であってもよい。この場合、上側ラベル印字貼付部121aおよび下側ラベル印字貼付部121bは、印字済みのラベル用紙を所定の長さでカットして枚葉状のラベルにし、貼付部105に送り出すカッター部をさらに備える。
【0015】
フィード部103は、モータによって駆動回転するローラであって、ラベルロール100からラベル用紙を引き出すと共に、所定の搬送路を介して、引き出したラベル用紙を印字部104へ送り出す。
【0016】
印字部104は、サーマルヘッドと、サーマルヘッドと対向した位置に配置された押えローラとで構成されている。サーマルヘッドは、フィード部103を構成するローラおよび押えローラの駆動回転によって送り出されたラベル用紙上のラベルに印字する。サーマルヘッドは、発熱体を選択的に発熱させることで印字を施す。印字は、シフトレジスタから供給される1ドットライン分のデータを、ラベル用紙を1ドットライン分ずつ押えローラで移動させながら行われる。印字部104は、発行手段の例である。
ラベルロール100を移動させる押えローラおよびフィード部103を構成するローラの駆動部としては、ステッピングモータを採用することができる。
【0017】
貼付部105は、台紙から剥離したラベルの印字面に吸着してラベルを保持すると共に、当該保持したラベルを接着面から商品等の貼付対象物に押し付けることにより、貼付対象物にラベルを貼り付ける。貼付部105は、エアーシリンダ、エアーシリンダの駆動力によって上下動する支持部材、支持部材から吊り下げられた複数本のロッド状のラベル圧着部材、およびラベルを吸着して保持するラベル保持面板などを有する。貼付部105が収容されるケース(上側ラベル印字貼付部121aにおけるケース1212a)には、ケース内の空気を吸いだす排気装置(ファン)が取り付けられ、これによってラベル保持面板に開設した通孔に負圧が発生し、吸着力が作用するように構成されている。この吸着力は、ラベル圧着部材に設けた吸着手段に加えて、印字されたラベル用紙をラベル保持面板の下面に吸着保持するための補助吸着力として作用する。
【0018】
なお、上側ラベル印字貼付部121aおよび下側ラベル印字貼付部121bは、送出されたラベルを適宜検出するラベル検出センサを有していてもよい。この場合、ラベルの検出結果に応じて、次のラベル発行の可否が判定され、印字部104の駆動および停止などの動作が制御されてもよい。
【0019】
また、上側ラベル印字貼付部121aおよび下側ラベル印字貼付部121bは、印字部104に供給されるラベル用紙の有無を検出する用紙検出センサを有していてもよい。用紙検出センサは、押えローラとフィード部103を構成するローラとの間に配置されている。用紙検出センサは、発光部および受光部を有し、一方がラベル用紙の上側、他方がラベル用紙の下側に配置され、受光部で受光された光強度に基づいて用紙の有無等を検出する。サーマルヘッドおよび押えローラの駆動は、用紙検出センサの出力信号に基づいて制御される。
【0020】
入出力部106は、担当者がラベル発行装置10に情報を入出力する装置である。入出力部106は、搬送台101の側方に起立するアーム120に支持されている。入出力部106は、表示部106aの下方に入力用のキー操作部106bが配設されて構成されているが、タッチパネルディスプレイであってもよい。入出力部106は、図2に示すバーコードスキャナ140のような、バーコードを読取可能な構成を有していてもよい。入出力部106は、発行するラベルが貼付される商品の情報、ラベルへの印字内容、ラベルの貼付位置、ラベルの発行枚数、ラベルを使用する配送便等の、商品情報を取得可能である。また、入出力部106は、入力された内容や作業状況を表示する。
【0021】
入出力部106は、テスト用ラベルを印刷するか、商品貼付用ラベルを印刷するかの指示を受け付ける。入出力部106において入出力される情報の詳細は、後述する。
【0022】
撮像部132は、担当者の認証およびラベルの判定に用いる情報を取得する装置であり、例えばカメラである。撮像部132は、向かって左側に配置される左カメラ132a、および右側に配置される右カメラ132bにより構成されている。撮像部132は、対峙する人の左眼を左カメラ132a、右眼を右カメラ132bで撮像することで、虹彩認証に使用可能な品質の画像を取得する。
【0023】
また、撮像部132は、ラベルの撮像を行い、テスト用ラベルの判定に使用可能な画像を取得する。
【0024】
認証部133は、商品情報を入力する担当者の認証、および発行されたラベルの判定を行う装置である。なお、認証部133は、認証部133の認証および判定に関する情報を入出力する第2入出力部131を備えていてもよい。第2入出力部131は、例えばタッチパネルディスプレイである。認証部133による担当者の認証機能は、後述する認証処理部および比較部により実現される。認証部133によるラベルの判定機能は、後述する判定処理部により実現される。
【0025】
なお、本実施形態においては、認証部133の筐体はラベル発行装置10の入出力部106の上部に配設されているものとしたが、図11に示す本発明に係るラベル発行装置の別の実施形態のように、認証部133の機能がラベル発行装置10に包含されている構成であってもよい。この実施形態においては、認証部133がラベル発行装置10にハード的に組み込まれていて、撮像部232を構成する左カメラ232aおよび右カメラ232bが表示部106a上方(上端)に向かってそれぞれ突出している。このような構成においては、ラベル発行装置10の入出力部106が第2入出力部131の機能を包含している。また、撮像部232は操作者の虹彩を撮影するために角度調整できるように取り付けられても良い。角度調整の方法は、担当者の識別情報を入力、または選択したときに、当該担当者により事前に調整された角度に自動調整してもよいし、身体情報により角度を自動調整してもよい。また、装置ごとの個体差による誤差調整についても装置毎で行えば、担当者ごとにそれぞれ行う必要がなくてもよいので利便性に優れる。その他、撮像部232は、任意の位置に配置可能である。例えば、撮像部232は、表示部106aとキー操作部106bの間に配置されていてもよいし、表示部106aやアーム120等の周辺の構成からぶら下がっているような構成であってもよい。また、撮像部232は、ラベル発行装置と通信可能なワイヤレスカメラであってもよい。この構成によれば、撮像部232の位置および角度を自在に変えることができるので、担当者の撮影時およびラベルの撮影時のいずれであっても、撮影がしやすい。
【0026】
なお、図12に示すように、本発明のさらに別の実施形態に係るラベル発行装置310は、貼付機能を有さず、作業者が手貼付するためのラベルを台紙付きで発行する装置であってもよい。
【0027】
●機能部
図3に示されるように、ラベル発行装置10は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、これにより記憶装置においてソフトウェア資源として少なくとも、担当者情報記憶部、商品情報記憶部、基準画像記憶部、履歴情報記憶部を備える。また、ラベル発行装置10は、ソフトウェア資源として少なくとも、入出力制御部、撮像制御部、認証処理部、担当者情報登録部、比較部、印字制御部、判定処理部、履歴情報登録部を備える。
【0028】
担当者情報記憶部は、商品情報を入力する担当者の識別情報と、当該担当者の生体認証情報とが互いに対応付けられて記憶されている記憶部である。図4(a)に示されるように、担当者情報記憶部には、生体認証データIDと生体認証データが互いに対応付けられる第1テーブルが記憶されている。生体認証データIDは、担当者ごとに定められていて、担当者を識別可能な情報である。すなわち、生体認証データIDは、担当者の識別情報の例である。生体認証データは、担当者の生体認証情報の例である。
【0029】
生体認証情報は、担当者の身体的特徴であり、撮像部132により撮像される画像と照合するための特徴点を含む情報である。生体認証情報は、同図においては「0」と「1」で表されるデジタル情報である。生体認証情報は、例えば虹彩認証に係る情報であり、例えば虹彩パターンのパターン認識に使用可能なテンプレートであってもよいし、虹彩パターンの濃淡値のヒストグラムであってもよい。生体認証の方法として虹彩認証を用いる構成によれば、工場内の作業において帽子やマスク、手袋を着用している作業者であっても取り外すことなく認証が可能であるので、着脱の手間が掛からない上、衛生面が担保される。
【0030】
また、図4(b)に示されるように、担当者情報記憶部には、生体認証データIDと担当者に関する担当者情報とが互いに対応付けられる第2テーブルが記憶されている。担当者情報は、例えば担当者の氏名であり、生体認証データIDとは別に担当者ごとに定められる担当者IDを含んでいてもよい。担当者IDは、担当者の識別情報の別の例である。また、第2テーブルには、当該担当者が商品情報の登録権限を有する「管理者」なのか、登録権限を有さない「作業者」であるかといった権限に関する情報を合わせて含んでいてもよい。
【0031】
さらに、第2テーブルには、担当者が生体認証装置の障害時などに生体認証に代えて入力するパスワードが記憶されていてもよい。この場合、ラベル発行装置10においては、担当者認証を、生体認証ではなくパスワード入力により行うことができる。ラベル発行履歴の管理面では、生体認証ではなくパスワード入力による担当者認証であることを記録する。また、セキュリティをさらに強化するために、生体認証とパスワード入力を併せて要求してもよい。担当者認証の態様は管理者によりラベル発行システムの設定を変更可能にすることによって実現できるようにしてもよい。
【0032】
本実施形態においては、第1テーブルおよび第2テーブルは生体認証データIDにより互いに紐づけられ、生体認証データから担当者を識別し、担当者情報を呼び出せるようになっている。なお、担当者情報記憶部は、担当者情報と担当者の生体認証情報とを1個のテーブルに記憶していてもよい。
【0033】
商品情報記憶部は、発行するラベルの情報と、当該ラベルが貼付される商品の情報とが互いに対応付けられて記憶されている記憶部である。ラベルの情報は、ラベルへの印字内容、ラベルの貼付位置、ラベルの発行枚数、ラベルを使用する配送便等の情報を含む。ラベルの貼付位置は、商品の上面に貼付するか底面に貼付するかの情報、および所定面における位置を含んでよい。商品の情報は、例えば商品の品番や品名である。
【0034】
基準画像記憶部は、撮像部132により取得されるラベルの画像と比較される、画像判定のための基準画像が記憶されている記憶部である。基準画像は、製造日又は消費期限等の日付表示が空白になっていて、入力された商品情報に基づいて日付が組み込まれるようになっていてもよい。また、日付表示以外の各表示においても、入力された商品情報に基づいて組み込み可能になっていてもよい。
【0035】
履歴情報記憶部は、履歴情報、すなわち、認証部133により認証された担当者および判定されたラベルの発行履歴を記憶する記憶部である。履歴情報は、認証された時刻、担当者の識別情報、当該担当者が登録した商品情報、商品情報に基づいて印字されたラベルの撮像結果、および当該ラベルの判定結果が互いに対応付けられている。また、履歴情報は、商品情報の各項目について、どのような入力形式で入力されたかの情報を含んでいてもよい。
【0036】
入出力制御部は、入出力部106のキー操作部106bを介して入力される情報を取得し、また必要な情報を表示部106aに表示させる機能部である。入出力制御部は、商品に関する情報、すなわち商品情報を取得する。商品情報は、例えば発行するラベルが貼付される商品の識別情報、ラベルへの印字内容、ラベルの貼付位置、ラベルの発行枚数、ラベルを使用する配送便、配達先等の情報である。商品の識別情報は、例えば商品の品番である。ラベルへの印字内容として、製造日時、加工日時および消費期限日時、商品名称、商品の成分などの情報を含む。また、入出力制御部は、商品情報を入力する担当者の識別情報を少なくとも取得する。すなわち、後述する担当者認証処理(図6参照)のステップS101において、例えば担当者を特定するための担当者IDが担当者自身の入力により入力される。また、入出力制御部は、バーコードの読み取り機能やNFC(Near Field Communication)による情報受信機能により各情報を取得してもよい。
【0037】
図5に示されるように、表示部106aには、入出力制御部により、発行モード画面が表示される。発行モード画面には、商品情報が表示される商品情報表示欄201、装置情報表示欄202、ラベル貼付面指定欄203、商品情報入力ボタン204、モード遷移ボタン205等が配置されている。
【0038】
商品情報表示欄201は、商品情報が表示される欄である。商品情報表示欄201には、商品名、配送便、チェーンコード、賞味期限、製造日、バーコード番号、および値段等が表示されている。
【0039】
装置情報表示欄202は、ラベル発行装置10に関する情報が表示される欄である。装置情報表示欄202には、現在時刻、ラベル発行装置10の識別情報、ラベル発行装置10の現在の状態などが表示される。また、およそのラベル残量が表示されてもよい。残りのラベルの枚数は、ラベルサイズによって、新品交換時の枚数をラベル識別情報に記憶しておくことで特定可能である。また、ライナーレスラベルの場合は、ラベルの長さから印字量(長さ)を差し引くことで残りの長さを算出し、現在発行中の商品の印字量に基づいて残発行可能枚数を求めることができる。また、ラベルサイズに基づいて残発行枚数を算出することができる。そうすることでラベル交換時期を事前に知ることができ、所定のタイミングで報知することもできる。すなわち、ラベル交換作業がスムーズに行える。
【0040】
ラベル交換時期に関する報知は、ラベル発行中、操作の妨げにならないような態様でメッセージを表示してもよい。例えば、ラベル操作を妨げない様に「OK」ボタンがポップアップされる構成や、所定時間で消去されるような構成でもよい。パトライト(登録商標)のような発光装置等が取り付けられ、発光装置の発光により報知してもよい。また、発光装置が多色に発光可能な構成の場合は、色で段階的に報知することも可能である。このように、ラベル発行システム1によれば、各装置の運用状況と合わせてラベルの発行可能枚数などのデータも管理できる。こうすることで商品切替え時など、指示数に対して残りの発行可能枚数が不足するようであれば、事前にラベルロールの交換をしたり、ラベルロールの準備をしたりすることができる。すなわち、ラインの停止時間を最小限に抑えることができる。
【0041】
ラベル貼付面指定欄203には、ラベルを商品の上面、下面又は両面に貼付するかの指示が入力される。ラベル貼付面指定欄203には、上面に貼付することを指示する上面貼付ボタン203aと、下面に貼付することを指示する下面貼付ボタン203bとが含まれる。また、上面貼付ボタン203aおよび下面貼付ボタン203bにより、貼付されるラベルのサイズ等の指定をすることができる。
【0042】
商品情報入力ボタン204は、商品情報表示欄201に表示される情報を入力するボタンであり、本実施形態においては「加算」、「値段」、「日付」、「商品情報」の4個のボタンにより構成されている。各ボタンを押下またはタップすると、画面が遷移したり、当該画面上にポップアップが表示されたりする。モード遷移ボタン205は、商品情報の入力以外の操作に遷移するボタンであり、例えば、商品イメージの表示画面への遷移、ラベルの発行画面への遷移、ラベルの調整、および作業の中止等の指示が可能である。
【0043】
入出力制御部は、商品情報ごとに異なる態様で入力を受け付けてもよい。入出力制御部は、例えば、一部又は全部の情報を、ラベルの発行指示書に記載されている呼出用バーコードを、バーコードスキャナ140(図2参照)で読み取ることにより取得してもよい。呼出用バーコードは、少なくとも配送便番号と商品呼出番号を合成した番号が組み込まれている。
【0044】
また、入出力制御部が取得する情報は、担当者により項目ごとに入力されてもよい。例えば、製造日、加工日および消費期限日時の情報は、直接入力であってもよいし、カレンダーからの選択入力であってもよい。またこのとき、日時とその日の製造指示数量が対応付けられて記憶されているDBを参照して、当該製造日の製造量がすべて製造済みの場合にエラーを通知するように構成されていてもよい。また、製造日と配送便のスケジュールとが対応付けられて記憶されている製造日―配送便DBを参照し、当該製造日に配送便の設定がない場合には、エラーを通知してもよい。
配送便は、直接入力であってもよいし、あらかじめ配送便の種類を表示するように構成した上で、プルダウン等により選択入力できるようになっていてもよい。製造日―配送便DBを参照し、当該製造日に設定のない配送便を非表示としてもよいし、グレーアウトなど表示態様を変えて表示してもよい。商品の識別情報は、品番を直接入力してもよい。
【0045】
図3に示すように、撮像制御部は、撮像部132を制御して、被写体の撮像を行う機能部である。被写体は、担当者の虹彩およびラベルである。撮像制御部および撮像部132を、担当者の生体認証とラベル判定に兼用する構成によれば、少ない部品点数で担当者の認証とラベル判定を確実に行うことができる。なお、撮像制御部は、担当者を撮像する場合とラベルを撮像する場合とで、撮像部132の設定を互いに異なるように制御してもよい。ラベルの撮像結果は大量に長期保管されることを鑑み、ラベルは担当者の画像よりも画素数を落として撮像してもよい。
【0046】
認証処理部は、撮像部132により取得される担当者の虹彩の画像と、担当者情報記憶部に記憶されている生体認証情報とを生体認証技術により照合し、当該担当者を認証して担当者を特定し、当該担当者の識別情報を取得する機能部である。撮像される担当者が担当者情報記憶部に記憶されていない場合、認証処理部は当該担当者を特定することができない。認証処理部は、担当者情報記憶部を参照しても担当者識別情報を取得できない場合、その旨を担当者に通知する。またこのとき、認証処理部は、印字部104によるラベルの発行を禁止してもよい。
【0047】
担当者情報登録部は、認証処理部において担当者の識別情報を取得できない場合、当該担当者の識別情報を、生体認証情報と対応付けて認証情報記憶部に登録する機能部である。この構成によれば、認証できなかった担当者によるラベル判定についても、履歴管理を確実に行うことができる。なおこのとき、担当者情報登録部は、担当者情報および生体認証情報を自動的に登録してもよいし、入出力制御部を介して、登録するか否かの指示を受け付けるポップアップを第2入出力部131等に表示させてもよい。
【0048】
比較部は、入出力制御部により取得される担当者の識別情報と、認証処理部により特定される担当者の識別情報とを比較する機能部である。比較部は、入力された担当者の識別情報と、認証処理部により特定される担当者の識別情報とが一致しないとき、印字部104によるラベルの印字を禁止する。なお、ここで印字が禁止されるラベルは、テスト用ラベルであっても商品貼付用ラベルであってもよい。この構成によれば、ラベル判定を行った担当者の履歴を確実に管理することができる。
【0049】
印字制御部は、入力された商品情報のうち、ラベルに印字する情報を抽出し、ラベルデータに組み込んだ上で、印字部104を制御して印字を行う機能部である。
【0050】
判定処理部は、撮像部132により取得されるラベルの画像と、基準画像とを照合して、ラベルの印字情報の正否を判定する機能部である。印字情報の正否は、内容自体の他、インクのかすれなどの印字状態の適否も含む。ラベルの画像と基準画像との照合は、例えば各画像を二値化した上で類似度を判断してもよい。また、画素ごとに差分をとって平均二乗誤差又は誤差の絶対値の和等を計算し、類似度を判断してもよい。基準画像とラベルの画像との相関関数を計算することで、類似度を判断してもよい。この場合、類似度の閾値はあらかじめ記憶されているが、閾値はラベルの種類ごとに異なっていてもよく、例えば文字の大きさに応じて異なっていてもよい。OCR技術により文字情報を抽出し、印字内容が一致しているか判定する構成を組み合わせてもよい。判定処理部は、ラベルの画像と基準画像とが異なると判定されるとき、印字部104によるラベルの印字を禁止する。この構成によれば、ラベルの目視確認が不要になり、作業時間の短縮ができる他、機械による判定による高い判定精度を担保することができる。
【0051】
履歴情報登録部は、履歴情報記憶部に履歴情報を登録する記憶部である。この構成によれば、ラベル判定を行った担当者と、ラベルの印字結果、ラベルの判定結果が一体的に管理されるため、ラベル判定の履歴を確実に管理することができる。また、従来行われていたテスト用ラベルの保管に代えて、テスト用ラベルの画像を保存することができるため、管理がしやすい。さらに、履歴情報が、商品情報の各項目について、どのような入力形式で入力されたかの情報を含んでいる場合、どのような操作により入力ミスが起こったかを知ることができるため、入力ミスの原因究明等を詳細に行うことができる。
【0052】
●担当者認証処理の流れ
図6に示されるように、まず、ラベル発行装置10は、担当者自身の入力により、入出力部106から担当者の識別情報が入力される(ステップS101)。このとき、識別情報の入力は、手入力でもよいし、バーコードの読み取りや、NFC技術を利用した入力形式であってもよい。
【0053】
担当者の識別情報が入力されると、撮像部132により担当者の虹彩画像を撮像する(ステップS102)。その際、表示部において、虹彩認証の方法をイラストやメッセージ、画像などで視覚的に操作を把握できるような画面を操作画面に代えて表示してもよいし、操作画面の一部、または重複して表示させてもよい。当該画面は、撮像処理が正確に完了したときに自動消去してもよいし、画面上の「OK」ボタンなどの領域を押下することで消去してもよい。当該ボタン表示を行う場合でも、撮像処理が完了したタイミングで画面を消去するなどしてもよい。そうすることにより、他のラインからの応援者や新人など熟練度が不足していても、担当者の認証操作を誰でも簡単にできる。熟練度に応じてメッセージを変えてもよい。例えば、管理者やラベル発行装置の専属操作者の場合は、画面のエラー表示など、表示欄へのメッセージ表示のみでよい。
【0054】
次いで、ステップS101で入力された識別情報に紐づく生体認証データが記憶されているか否か判断する(ステップS103)。生体認証データが記憶されているときは、さらに、ステップS101で入力された担当者の識別情報と、ステップS102で撮影された虹彩画像から特定される担当者の識別情報とが一致するか否か比較する(S104)。上述の生体認証データが一致する場合、商品情報の入力を受け付ける状態に遷移する(ステップS107)。具体的には、表示部106aに、図5に示す発行モード画面が表示される。
【0055】
ステップS103において、ステップS101で入力された識別情報に紐づく生体認証データがない場合、当該担当者は新規の担当者であるから、担当者情報登録部は、当該虹彩の画像から得られる生体認証情報と、入力された担当者の識別情報を対応付けて、担当者情報記憶部に登録する(ステップS106)。このとき、登録前に、登録を行うかどうかの選択を受け付ける表示を、表示部106aに表示してもよい。担当者の登録に次いで、ステップS107に遷移する。さらに、新規登録する場合は、管理者の権限入力を促し、不正な虹彩情報による担当者情報の登録を制御するようにすれば良い。
【0056】
ステップS104において、入力された担当者の識別情報と、虹彩画像から特定される担当者の識別情報とが一致しないとき、商品情報の入力を受付ける状態に遷移せず(商品情報の入力を禁止し)、適宜その旨を担当者に通知する(ステップ105)。
【0057】
なお、担当者の認証に係る一連の処理を別のタイミングで行ってもよい。例えば、当該一連の処理は、商品情報の取得工程後であってラベルの発行工程前に行われてもよい。また、当該一連の処理は、ラベルの発行工程後に行われるラベルの判定後に行われてもよい。さらに、ラベルの判定において行われるラベルの撮像時に、1回の撮像で、ラベルの画像と虹彩の画像を同時に取得してもよい。すなわち、撮像部132を広角に制御し、ラベルと虹彩とが同じ画像データ上に含まれるように撮像してもよい。例えば、担当者は、両眼の下方又は上方にラベルを掲げて撮像を行う。この構成によれば、1回の撮像で担当者の認証とラベルの判定に必要な画像を取得することができる。
【0058】
●発行チェック表
ここで、図13を用いて、従来のラベル判定に使用される発行チェック表41の一例を説明する。発行チェック表41は、発行するラベルの内容を示す指示書の役割と、指示内容に基づいて発行されたテスト用ラベルを貼付して当該ラベルを保管する役割とを有する。発行チェック表41には、指示書としての情報として、上部に、ラベルを貼付された商品が配送される店舗を示す配送先表示欄42、当該商品の配送日時を示す配送日時表示欄43、商品名および商品呼出番号を示す商品名表示欄44を有する。配送日時は、配送日と配送便により示されている。また、少なくとも配送便番号と商品呼出番号を合成した番号が組み込まれている呼出用バーコード45が商品ごとに記載されている。
【0059】
発行チェック表41の中央から下部にかけて、ラベル貼付欄46が形成されている。ラベル貼付欄46は上下2段になっていて、上段には「作業開始」、下段には「作業終了」と印刷されている。また、ラベル貼付欄46は商品ごとに区分けされていて、本例においては4種類の商品に対し、それぞれ「作業開始」時のラベルが1枚、「作業終了」時のラベルが1枚貼付できるようになっている。左から2列目の上段には、ポテトサラダに貼付されるためのラベルであって、作業開始時に印字およびチェックされたテスト用ラベル40Lが貼付されている。従来のラベル判定においては、テスト用ラベル40Lを作業者又はその管理者等が目視にてチェックし、本例のような発行チェック表41に貼付して管理を行っている。作業者は、テスト用ラベル40Lが正しく印字されていることが確認された後、従来のラベル発行装置を操作して、商品に貼付するラベルの印字および貼付作業を開始させる。
【0060】
●ラベル判定処理の流れ
本発明に係るラベル発行装置10の説明に戻る。ステップS107における商品情報の入力後、担当者はラベル発行装置10にテスト用ラベルを印字させる。この処理は、「テスト印字」の例である。また、テスト印字を行う発行手段は、第1の発行手段の例である。テスト用ラベルの発行後自動的に、又は担当者の任意の操作により、ラベル発行装置10は、ラベル判定処理を行う。なお、図8(a)に示すように、表示部106aは、ステップS107における商品情報の受付後、担当者に対してテスト用ラベルの発行を促す表示を行ってもよい。担当者は、表示部106aにおいて実行ボタンを押下することで、テスト用ラベルを発行する。また、当該画面においてテスト用ラベルを発行するラベル印字貼付部(ラベラー)が選択可能であってもよい。
【0061】
図7を用いて、商品用ラベルの発行を開始する前における、ラベル判定に関する一連の処理の流れを説明する。同図に示されるように、まず、ラベル発行装置10は、撮像部132によりテスト用ラベルの画像を取得する(ステップS110)。なお、ステップS110において、図8(b)に示すように、表示部106aは、作業者に対してテスト用ラベルの撮像を促す表示を行ってもよい。例えば、表示部106a上に、撮像部132で取得される画像を略リアルタイムに表示させた上で、ラベルの推奨撮影位置を区画する4個のL字状のマークを重畳的に表示し、「ラベルが枠の中に入るようにして撮影してください」といった表示をしてもよい。作業者は、ラベルの画像が推奨撮影位置に収まっていることを確認した上で撮像ボタンを押下し、テスト用ラベルの撮像を行う。
【0062】
次いで、判定処理部は、テスト用ラベルの画像を基準画像と照合し(ステップS111)、テスト用ラベルが正しく印字されているか否か判定する(ステップS112)。正しく印字されているとき、判定処理部はラベルの発行を許可するものとし(ステップS113)、履歴情報登録部は、ラベル判定を行った担当者と、ラベルの印字結果、ラベルの判定結果とを履歴情報記憶部に保存する(ステップS114)。テスト印字の後に行うラベルは、実際に商品等に貼付される商品貼付用ラベルであり、当該ラベルの発行手段は、第2の発行手段の例である。なお、第1および第2の発行手段は、同一のハードウェア構成により実現されていてもよい。ステップS112において、ラベルの印字が正しくないと判定される場合、判定処理部は、ラベルの発行を禁止する(ステップS115)。
【0063】
なお、ラベルの判定処理は、上述した商品用ラベルの発行開始前に加えて、商品用ラベル発行中におけるラベルロールの交換後、および一連の商品用ラベルの発行後にも行われる。
【0064】
図9は、ラベルロール交換後にラベル発行処理を再開する場合における、担当者認証およびラベル判定処理に係る一連の処理を示す。なお、図6および図7における工程と同一の工程については、同じ符号を付した。
【0065】
図9に示すように、ステップS104において、入力された担当者の識別情報と虹彩画像から特定される担当者の識別情報とが一致しない場合、ラベル発行を禁止する(ステップS126)。入力された担当者の識別情報と、虹彩画像から特定される担当者の識別情報とが一致する場合、テスト用ラベルの画像を取得する工程(ステップS110)に進む。
商品用ラベルの発行後においては、ステップS113において、ラベルの発行許可に代えて、直前に行われていた商品用ラベルの発行が正しく行われていた旨の判定を行う。また、ステップS114において、ラベルの発行禁止に代えて、商品用ラベルの発行が正しく行われていなかった旨の判定を行い、表示部106aにより通知する。また、表示部106aによる通知後、管理者の視認など別の方法でラベルが正しいと判断できる場合は、ラベルの発行を許可してもよい。その際、ラベル画像による画像判定とは別の方法、例えば視認による管理者、または他の作業者による確認の場合は、当該管理者や他の作業者の情報も併せて履歴情報として記録する。
【0066】
ラベル発行装置10は、ラベル発行操作の開始時において、別の時点に入力された、又はネットワークNW等を通じて取得された発行指示の呼出操作を行うことができる。例えば、過去に近い内容のラベルを発行した履歴を呼び出すことで、入力作業を省略することができる。また、ラベル発行操作として、受注確定前において各配送便の所定時刻前に予測枚数に基づいて行う他、受注数が予測枚数を超えた場合、受注確定後に予測枚数との差異分の追加発行を行う場合がある。この場合、過去にラベル発行を終了した商品と同様のラベルを発行することになる。いずれの場合においても、正しくラベルが発行できているかの判断が必要であり、さらに、ラベルの確認を行った担当者の情報を確実に管理する必要がある。このような追加発行を行う場合であっても、たとえ担当者の交代がなかったとしても担当者の認証(S101)から処理を開始し、テスト用ラベルの画像判定(S112)および履歴情報の保存(S114)を行う。、なおこのとき、図6におけるステップS107に代えて、以前に入力された発行指示の呼出操作を受け付けた上で、図7のテスト用ラベルの画像取得(S110)に進む。
【0067】
また、ラベル発行装置10は、実際のラベル発行操作以外に、メンテナンスモードの操作等を行うことができてもよい。このような場合にも、上述の担当者認証に係る一連の処理を行ってよい。この場合、ステップS107において、商品情報の入力の受付に代えて、メンテナンスモードへの遷移を行う。モード遷移ボタン205の押下に基づいて、担当者認証に係る一連の処理を行ってもよい。
【0068】
なお、担当者の認証を生体認証により行う操作は、ラベル発行履歴に関わらず、当該操作で必ず担当者の特定が必要な場合に行い、その他の操作では要求しないことで、全体の操作をスムーズに行いながら担当者情報の管理が確実に行える。例えば、この認証方法は、ラベル発行装置に限定されない。金属検出機やX線検査機などは、検査感度(品目による切替えや、検査感度により識別管理している場合がある)の切り替え時に、担当者識別情報の入力と生体認証を要求してもよい。当該検査感度を変更する際も同様である。また、包装機のフィルムのストレッチ量やカット量、カットのタイミングなどの包装の仕上がりに問題が発生するような設定項目の変更時は、担当者識別情報と、生体認証を要求するなどしてもよい。例えば、フィルム交換などでその度に担当者識別情報と生体認証を要求するような必要はない。当該要求の要否は、操作内容や管理者権限と関連付けてもよい。
【0069】
●ラベル発行システム
図10に示されるように、ラベル発行装置10aは、管理端末20とネットワークNWで接続され、管理端末20とともに本発明の実施形態に係るラベル発行システム1を構成してもよい。ラベル発行装置10aは、上述したラベル発行装置10と同様のハードウェア構成を有し、ソフトウェアに係る機能の一部を備える装置である。すなわち、ラベル発行装置10が有する上述したソフトウェア資源は適宜の設計により管理端末20に分散又は集約させることができるし、ハードウェア資源も物理的に一体をなす装置あるいは別体をなす装置として構成することもできる。管理端末20は、中央集権的な上位の装置やコントローラであってもよいし、所定のネットワークによって接続された外部のサーバが有する構成であってもよい。
【0070】
また、ラベル発行システム1は、複数のラベル発行装置とネットワークNWを介して接続されていて、1個の管理端末20により複数のラベル発行装置を管理してもよい。ラベル発行装置310aは、上述したラベル発行装置310(図12参照)と同様のハードウェア構成であって、ラベルの貼付機能を有さない装置であり、ソフトウェアに係る機能の一部を備える。また、ラベル発行装置410aは、例えば卓上に設置してラベル印刷を行う卓上ラベラーである。
【0071】
このような構成によれば、テスト用ラベル40Lを画像で管理し、画面上で確認することができる。また、発行チェック表41にテスト用ラベル40Lを貼付する必要がなく、必要なもののみを印刷すれば足りるため、紙の消費を抑制することができる。複数のラベル発行装置が1個の管理端末20に接続されている構成によれば、複数のラベル発行装置から発行されたテスト用ラベルを管理端末20により一元的に管理し、確認できる。また、虹彩の撮影時に、作業者の顔を撮影することで、作業者の顔を合わせて確認することも可能である。
【0072】
ラベルを商品に貼付した状態で撮影する構成によれば、商品の盛付状況を映した画像を合わせて取得し、画像認識技術を用いることで盛付が正しく行われているか確認することもできる。画像認識の具体的な処理は、ラベル判定処理と同様であってもよいし、互いに異なっていてもよい。盛付状況を判定する類似度の閾値は、ラベル判定処理とは異なっていてもよい。また、これらの情報は履歴データとして記憶されるため、検索が容易である。検索は、チェーン(取引先、配送先)、配送便、商品呼出番号、バーコード、テスト用ラベルを印字したラベル発行装置の識別情報、および商品の製造日等を元に行うことができる。
【0073】
●実施形態総括
本発明は、ラベル発行装置、ラベル発行システム、およびラベル発行の方法に関する。
【0074】
生鮮食品、総菜食品を取り扱う現場においては、商品ラベルに加工日、製造日、消費期限又は賞味期限等や、商品名称、添加物および価格などの印字を行う。貼付されるラベルの記載が誤っていると品質上の問題が発生する恐れがあるため、その商品を販売することができない。そこで、米飯や調理菓子パン製造工場などのコンビニエンスベンダーでは、商品貼付用ラベルの印字内容を確認して、ラベルチェック用のシート等を用いて発行前にラベルを目視確認する
【0075】
例えば特開2010-66834号公報では、食品ラベル発行の印字履歴を管理しているしくみが開示されている。
特開2010-67279号公報では、複数のラベルプリンタが接続されているラベル発行情報管理システムにおいて、ラベル発行に関する情報のダウンロード要求を受信したラベル発行管理装置が、ラベルプリンタが管理対象のラベルプリンタであるかをチェックすることが開示されている。
【0076】
しかしながら、人為的なエラーは無くならないため、厳格なチェックを行うための操作が不十分であった。
【0077】
そこで、本発明は、ラベル発行の履歴管理を確実に行うことを目的とする。
【0078】
上記目的を達成するため、本発明に係るラベル発行装置は、商品情報を取得する商品情報取得手段と、生体認証により認証し、担当者の識別情報を特定する認証手段と、前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベル印字を行う発行手段と、を備え、前記商品情報取得手段による商品情報を取得する場合、または、前記ラベルを交換した場合に、前記認証手段で前記担当者を認証することを特徴とする。
【0079】
前記商品情報を入力する担当者の識別情報を取得する担当者取得手段と、前記担当者取得手段で取得される前記担当者の識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とを比較する比較手段と、をさらに備え、前記比較手段は、前記担当者取得手段で取得される前記識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とが一致しないとき、前記発行手段によるラベルの印字を禁止するものとしてもよい。
【0080】
前記担当者の識別情報と当該担当者の生体認証情報とが互いに対応付けられて記憶されている担当者情報記憶手段と、前記認証手段が、前記担当者情報記憶手段を参照しても前記担当者の識別情報を特定できない場合、前記担当者取得手段で取得される当該担当者の識別情報を、当該担当者の生体認証情報と共に、前記担当者情報記憶手段に登録する担当者情報登録手段と、をさらに備えるものとしてもよい。
【0081】
撮像手段をさらに備え、前記生体認証は前記撮像手段により担当者の虹彩を撮像することで行う虹彩認証であるものとしてもよい。
【0082】
前記担当者の識別情報と、前記商品情報と、前記発行手段により印字されたラベルの情報とを互いに対応付けて履歴情報記憶手段に記憶する履歴情報登録手段と、を備えるものとしてもよい。
【0083】
前記撮像手段は、前記発行手段により発行されたラベルを撮像し、ラベル画像と、当該ラベルに対応して予め用意されている基準画像とを比較することで前記ラベルの印字情報の正否を判定する判定手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0084】
前記判定手段は、前記ラベル画像と、前記基準画像とが異なると判定されるとき、前記発行手段によるラベルの印字を禁止するものとしてもよい。
【0085】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係るラベル発行方法は、商品情報を取得する商品情報取得ステップと、担当者を生体認証により認証し、当該担当者の識別情報を特定する認証ステップと、前記商品情報取得ステップで取得される商品情報に基づいてラベルの印字を行う発行ステップと、を含み、前記商品情報取得手段による商品情報を取得する場合、または、前記ラベルを交換した場合に、前記認証ステップで前記担当者を認証する。
【0086】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係るラベル発行システムは、ラベル発行装置と、前記ラベル発行装置を管理する管理端末と、を備えるラベル発行システムであって、商品情報を取得する商品情報取得手段と、担当者を生体認証により認証し、当該担当者の識別情報を特定する認証手段と、前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベルの印字を行う発行手段と、前記商品情報取得手段による商品情報を取得する場合、または、前記ラベルを交換した場合に、前記認証手段で前記担当者を認証する。
【0087】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係るラベル発行装置は、商品情報を取得する商品情報取得手段と、商品情報を入力する担当者を生体認証により認証し、当該担当者の識別情報を特定する認証手段と、前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベルのテスト印字を行う第1の発行手段と、前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベルの印字を行う第2の発行手段と、を備えることを特徴とする。
【0088】
前記商品情報を入力する担当者の識別情報を取得する担当者取得手段と、前記担当者取得手段で取得される前記担当者の識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とを比較する比較手段と、をさらに備え、前記比較手段は、前記担当者取得手段で取得される前記識別情報と、前記認証手段により特定される担当者の識別情報とが一致しないとき、前記第2の発行手段によるラベルの印字を禁止するものとしてもよい。
【0089】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係るラベル発行システムは、ラベル発行装置と、前記ラベル発行装置を管理する管理端末と、を備えるラベル発行システムであって、商品情報を取得する商品情報取得手段と、担当者を生体認証により認証し、当該担当者の識別情報を特定する認証手段と、前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベルのテスト印字を行う第1の発行手段と、前記商品情報取得手段で取得される商品情報に基づいてラベルの印字を行う第2の発行手段と、を備えることを特徴とする。
【0090】
本発明にかかるラベル発行装置、ラベル発行方法、およびラベル発行システムによれば、ラベル発行の履歴管理を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0091】
1 ラベル発行システム
10 ラベル発行装置
104 印字部
132 撮像部
133 認証部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13