(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】境界ブロック及び吊り具
(51)【国際特許分類】
E03F 5/046 20060101AFI20231019BHJP
E03F 5/04 20060101ALI20231019BHJP
E01C 11/22 20060101ALI20231019BHJP
B66C 1/66 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
E03F5/046
E03F5/04 Z
E01C11/22 B
B66C1/66 P
(21)【出願番号】P 2020000285
(22)【出願日】2020-01-06
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】392027900
【氏名又は名称】株式会社イトーヨーギョー
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中浩
(72)【発明者】
【氏名】高岡薫生
(72)【発明者】
【氏名】廣田義和
(72)【発明者】
【氏名】井上了介
(72)【発明者】
【氏名】片井寛
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0364528(KR,Y1)
【文献】実開昭53-024125(JP,U)
【文献】特開2003-293306(JP,A)
【文献】登録実用新案第3039939(JP,U)
【文献】特開2004-244911(JP,A)
【文献】登録実用新案第3089183(JP,U)
【文献】特開2019-044544(JP,A)
【文献】特開2001-336211(JP,A)
【文献】実開昭60-107186(JP,U)
【文献】特開2003-232072(JP,A)
【文献】特開2002-201701(JP,A)
【文献】米国特許第04641993(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00-11/00
E01C 1/00-17/00
B66C 1/00-3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の境界に設けられ、第1側と第2側とを分ける境界ブロックであって、
前記第1側の道路面よりも上側に位置する縁石部と、
前記縁石部の下端部と一体化されている基礎部と、
前記基礎部の内部に形成され、道路縦断方向に延びる排水路と、
前記縁石部の前記第1側の側面に位置する入口と、前記排水路の上部に位置する出口とを有し、前記第1側の道路面上の水を前記入口から前記出口へ導水させる導水路と、
を備え、
前記入口の下端は、前記第1側の道路面と同じ
平面上に位置し、
前記導水路は、
前記入口の下端から前記第2側に延び、前記第1側の道路面と同じ
平面上に位置する底面と、
前記入口の上端から前記第2側に延び、前記第1側の一部が前記底面と対向する対向面と、
を有し、
前記底面の一部は、前記排水路の上下方向及び道路横断方向の中心と、前記入口の上端とを結ぶ仮想面よりも前記第2側に位置
し、
前記導水路は、
前記底面及び前記対向面を含む内面により形成され、前記入口から前記道路縦断方向に延びる水平路と、
前記基礎部の内部に設けられ、鉛直方向に延びる鉛直面を含む内面により形成される鉛直路と、
を有し、
前記鉛直路は、上側で前記水平路と接続し、下側で前記排水路の上部と接続し、
前記対向面は、前記鉛直路の上側に位置する部分に、上側に凹む凹部を有する、
境界ブロック。
【請求項2】
前記入口の下端から前記底面の前記第2側の端までの第1距離は、前記入口の下端から前記入口の上端までの第2距離よりも長い、
請求項1に記載の境界ブロック。
【請求項3】
前記凹部は、
前記鉛直路を介して前記排水路と対向する水衝突面と、
前記対向面のうち前記底面と対向する部分と前記水衝突面とを接続する段差となる段差面と、
を有する、請求項1又は請求項2に記載の境界ブロック。
【請求項4】
前記鉛直面と前記水衝突面とが接続する端と、前記対向面のうち前記底面と対向する部分と前記段差面とが接続する端とを結ぶ仮想面は、前記底面と交差する、請求項3に記載の境界ブロック。
【請求項5】
前記基礎部は、前記縁石部よりも前記第1側に拡幅し、かつ前記第1側の道路面と同じ
平面上に位置するエプロン面を有し、
前記底面は、前記第1側で前記エプロン面と接続する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の境界ブロック。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の境界ブロックを吊り下げる吊り具であって、
前記境界ブロックは、前記縁石部の内部に形成され、前記縁石部の上面から前記対向面までを貫通する吊り穴をさらに備え、
前記吊り穴及び前記導水路により、前記排水路の上部と前記縁石部の上面とを通じる直線状の貫通路が形成され、
前記吊り具は、前記排水路の上側の内周面と引っ掛かる引っ掛け部を有し、
前記吊り穴及び前記導水路を介して前記排水路へ挿通された前記引っ掛け部が、前記内周面と当接することで、前記境界ブロックを吊り下げる、吊り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水機能を有する境界ブロック及び境界ブロックを吊り下げる吊り具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車道と歩道とを区分けする境界ブロックとして、道路横断方向外側に向かって下方に傾斜した流水表面を有するエプロンを車道側の道路脇に備えたものが広く用いられている。従来の境界ブロックは、エプロン上で雨水を流し、道路縦断方向に所定間隔おきに設置された街渠桝に雨水を流下させることによって、車道側の排水を行うようにしている。しかし、エプロンには雨水が溜まりやすいため、車両の水はねやスリップの原因となるおそれがある。また、エプロンは、車道よりもやや強い傾斜がつけられるとともに、車道との境界に若干の凹凸が生じることがあるため、自転車の走行の障害となるおそれがある。
【0003】
上記の課題に対応すべく、内部に道路縦断方向に沿って排水路が形成された境界ブロックが提案されている(特許文献1、2)。特許文献1には、道路側の起立面に排水受け入れ口が設けられ、地中埋設部の内部に排水受け入れ口から浸入する排水を道路に沿う方向に流す排水路が形成されている境界ブロックが開示されている。特許文献2には、排水能力をより向上させるために、排水路の上端を導水孔の入口の上端よりも高位置に配置されている境界ブロックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-88707号公報
【文献】特開2019-44544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
境界ブロックの排水路には、道路から流入したゴミ(例えば、土砂、落ち葉等)が溜まるため、ゴミを洗い流すためのメンテナンスが必要である。メンテナンスでは、例えば所定間隔おきに設置される桝から排水路内へ高圧洗浄機のヘッドを挿入して、ヘッドから噴射される高圧水により排水路内のゴミを押し流す。高圧水を噴射する際、特許文献1、2の境界ブロックでは、高圧水が導水孔から勢いよく噴出するため、高圧水の噴射前に導水孔をテープ等で塞ぐ作業が必要となる。
【0006】
また、特許文献1、2の境界ブロックでは、道路の通行者が持ち物(例えば、スマートフォン、鍵、小銭等)を道路面に落とした際に、導水孔から排水路へ持ち物が落下しやすい。排水路へ落下した物は容易に拾い上げることができないため、場合によっては管理者が現場に赴き、一部の境界ブロックを外して持ち物を回収する作業が必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、管理負担をより低減することができる境界ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の境界ブロックは、道路の境界に設けられ、第1側と第2側とを分ける境界ブロックであって、前記第1側の道路面よりも上側に位置する縁石部と、前記縁石部の下端部と一体化されている基礎部と、前記基礎部の内部に形成され、道路縦断方向に延びる排水路と、前記縁石部の前記第1側の側面に位置する入口と、前記排水路の上部に位置する出口とを有し、前記道路面上の水を前記入口から前記出口へ導水させる導水路と、
を備え、前記入口の下端は、前記第1側の道路面と同じ面上に位置し、前記導水路は、前記入口の下端から前記第2側に延び、前記第1側の道路面と同じ面上に位置する底面と、前記入口の上端から前記第2側に延び、前記第1側の一部が前記底面と対向する対向面と、を有し、前記底面の一部は、前記排水路の上下方向及び道路横断方向の中心と、前記入口の上端とを結ぶ仮想面よりも前記第2側に位置する、境界ブロックである。
【0009】
このような構成によれば、導水路の底面が、排水路の中心と導水路の入口を遮る構成であるため、高圧水は、排水路の中心から導水路の入口まで一直線には噴出できず、排水路の内周面及び導水路の内面のいずれかに衝突することで勢いが弱められる。これにより、導水路の入口から勢いよく高圧水が噴出することを防止できる。また、車道側の道路面に通行者が持ち物を落とした際に、排水路へ直接持ち物が落下することを防止することができる。以上により、本発明の境界ブロックによれば、管理負担をより低減することができる。
【0010】
(2)好ましくは、前記入口の下端から前記底面の前記第2側の端までの第1距離は、前記入口の下端から前記入口の上端までの第2距離よりも長い。このような構成によれば、入口に入るサイズの持ち物をより確実に底面に留まらせることができる。これにより、持ち物の排水路への落下をより確実に防止することができ、管理者が緊急的に持ち物を回収する作業を減らすことができる。
【0011】
(3)好ましくは、前記導水路は、前記底面及び前記対向面を含む内面により形成され、前記入口から前記道路縦断方向に延びる水平路と、前記基礎部の内部に設けられ、鉛直方向に延びる鉛直面を含む内面により形成される鉛直路と、を有し、前記鉛直路は、上側で前記水平路と接続し、下側で前記排水路の上部と接続する。このような構成によれば、道路面に落下した持ち物は入口から水平路に進入しにくいため、管理者が緊急的に持ち物を回収する作業を減らすことができる。
【0012】
(4)好ましくは、前記対向面は、前記鉛直路の上側に位置する部分に、上側に凹む凹部を有する。このような構成によれば、境界ブロックの清掃の際、高圧水は対向面に衝突し、入口方向に広がった後、凹部に衝突する。このように高圧水は導水路の内面において複数回の衝突をし、勢いが弱められるため、入口から高圧水が噴出することをより確実に防止することができる。
【0013】
(5)好ましくは、前記基礎部は、前記縁石部よりも前記第1側に拡幅し、かつ前記第1側の道路面と同じ面上に位置するエプロン面を有し、前記底面は、前記第1側で前記エプロン面と接続する。エプロン面は、道路面と同じ面上に位置するため、道路面を流れる水を円滑に導水路へ導くことができる。
【0014】
(6)本発明の吊り具は、前記(1)から(5)のいずれかの境界ブロックを吊り下げる吊り具であって、前記境界ブロックは、前記縁石部の内部に形成され、前記縁石部の上面から前記対向面までを貫通する吊り穴をさらに備え、前記吊り穴及び前記導水路により、前記排水路の上部と前記縁石部の上面とを通じる直線状の貫通路が形成され、前記吊り具は、前記排水路の上側の内周面と引っ掛かる引っ掛け部を有し、前記吊り穴及び前記導水路を介して前記排水路へ挿通された前記引っ掛け部が、前記内周面と当接することで、前記境界ブロックを吊り下げる、吊り具である。
【0015】
ここで、排水路は境界ブロックの重心又は重心近傍に位置する。吊り具は、境界ブロックの重心又は重心近傍で境界ブロックを支持するため、境界ブロックを設置する作業員は、境界ブロックを容易に吊り下げられるとともに、吊り下げられた境界ブロックの水平方向の向きを容易に微調整することができる。これにより、境界ブロックの設置作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、境界ブロックの管理負担をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る境界ブロックの斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る境界ブロックの断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る境界ブロックの下側部分を示す一部断面斜視図である。
【
図4】第2実施形態に係る境界ブロックの下側部分を示す一部断面斜視図である。
【
図5】第3実施形態に係る境界ブロックの説明図である。
【
図6】第3実施形態に係る境界ブロックの排水路の中心を示す説明図である。
【
図7】第4実施形態に係る境界ブロックの断面図である。
【
図8】第5実施形態に係る境界ブロックの説明図である。
【
図9】第6実施形態に係る境界ブロックの説明図である。
【
図10】第6実施形態に係る境界ブロックに用いる吊り具の説明図である。
【
図11】第7実施形態に係る境界ブロックの説明図である。
【
図12】第8実施形態に係る境界ブロックの斜視図である。
【
図13】第9実施形態に係る境界ブロックの説明図である。
【
図14】第10実施形態に係る境界ブロックの斜視図である。
【
図15】第11実施形態に係る境界ブロックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の各図では、境界ブロックの各部の構成を明確にするために、XYZ直交座標系を適宜示す。具体的には、水平面をXY平面とし、鉛直方向をZ方向とする。水平面のうち、X方向が道路縦断方向であり、Y方向が道路横断方向である。それぞれの矢印XYZが指す方向側が、各方向の「第1側」であり、矢印が指す方向の反対側が「第2側」である。特に、以下の実施形態において、Y方向の第1側は車道側であり、Y方向の第2側は歩道側である。また、Z方向の第1側は上側であり、Z方向の第2側は下側である。
【0019】
〔第1実施形態〕
〔1.境界ブロックの構成〕
本実施形態に係る境界ブロック1について、
図1から
図3までを参照して説明する。
図1は、斜め上側から見下ろした境界ブロック1を示す斜視図である。車道と歩道との境界には、道路縦断方向(以下、単に「X方向」と称する)に沿って複数の境界ブロック1が互いに接続した状態で配置される。また、車道と歩道との境界には、所定数の境界ブロック1ごとに集水桝(図示省略)が配置される。
【0020】
境界ブロック1は、車道側の道路面R1よりも上側に位置する縁石部11と、縁石部11の下端部と一体化されている基礎部12とを備える。縁石部11と基礎部12は、それぞれコンクリートにより形成されている部材である。基礎部12の内部には、X方向に延びる排水路2が形成されている。縁石部11の内部には、車道側の水を排水路2へ導水させる導水路3が形成されている。
【0021】
本実施形態において、縁石部11と基礎部12は単一部材として形成されている。すなわち、縁石部11と基礎部12は一体形成されることにより、継ぎ目なく接続している。しかしながら、縁石部11と基礎部12をそれぞれ別の部材として形成し、基礎部12の上端部に縁石部11を蓋のように着脱可能に載置する構成としてもよい。このように、基礎部12に縁石部11を載置している状態も、縁石部11と基礎部12とが「一体化されている」と表現する。
【0022】
図2(a)及び(b)は、導水路3を含むYZ平面における境界ブロック1の断面図である。符号の表示の簡単のために、
図2(a)及び(b)に分けて、境界ブロック1を示しており、
図2(a)と(b)の間に境界ブロック1自体の示し方の差異はない。
図2以降の図面において、断面を示す部分にはハッチングを付す。
【0023】
図2(a)を参照する。縁石部11は、台形状の断面形状(又は台形を基調とし一部が台形から変形した断面形状)を有し、地上において車道と歩道とを区画する縁石としての機能を有する。基礎部12は、長方形状の断面形状(又は長方形を基調とし一部が長方形から変形した断面形状)を有し、地中に埋設されることで縁石部11を地上に固定する基礎としての機能を有する。
【0024】
基礎部12は、縁石部11よりも車道側に拡幅し、かつ道路面R1と同じ面上に位置するエプロン面121を有する。エプロン面121の車道側の端は、道路面R1と接続している。また、基礎部12は、縁石部11よりも歩道側に拡幅している。基礎部12の歩道側の拡幅部分は、歩道側の道路面R2よりも下側に位置し、歩道側において地中に埋設されている。
【0025】
排水路2は、円形状の断面形状を有する。排水路2は、基礎部12のYZ平面における中央近傍に位置する内周面により形成されている貫通孔である。排水路2は、内部に流れる水を集水桝へ導水させる機能を有する。
【0026】
導水路3は、縁石部11の車道側の側面に位置する入口31と、排水路2の上部に位置する出口32とを有する。入口31の下端E1は、エプロン面121の歩道側の端に位置し、道路面R1と同じ面上に位置する。入口31の上端E2は、下端E1の上側に位置する。導水路3は、入口31からY方向に延びる水平路33と、出口32からZ方向に延びる鉛直路34とを有する。すなわち、
図2に示すように、導水路3はL字状に屈曲した断面形状を有する。
【0027】
水平路33は、縁石部11の内部に設けられている。水平路33は、底面331と対向面332を含む内面により形成されている。底面331は、入口31の下端E1から歩道側にY方向に沿って延び、道路面R1と同じ面上に位置する面である。すなわち、底面331は、エプロン面121と同じ面上に位置する。また、底面331の車道側の端は、エプロン面121の歩道側の端と接続する。対向面332は、入口31の上端E2から歩道側にY方向に沿って延びる面である。対向面332の車道側の一部は、底面331とZ方向に対向する。
【0028】
底面331は、排水路2の中心C1と、入口31とを遮る位置にある。より具体的には、底面331の一部は、排水路2の中心C1と入口31の上端E2とを結ぶ仮想面VP1よりも歩道側に位置する。仮想面VP1は、
図2中では一点鎖線により示すが、実際にはX方向にも幅を有する仮想的な面である。排水路2の中心C1は、YZ平面における排水路2の中心を意味する。すなわち、中心C1は、排水路2のY方向及びZ方向の中心である。排水路2の断面形状は円形であるため、中心C1は円の中心となる。
【0029】
本実施形態において、道路面R1は、XY面(水平面)に対して、車道の中心側から縁石部11側へ下りの勾配Gr1を有する。勾配Gr1は、例えば2%(約1度の角度)である。また、エプロン面121及び底面331は、道路面R1と同じく勾配Gr1を有する。道路面R1は、勾配Gr1を有することで、道路面R1上の水(雨水等)を境界ブロック1側に導きやすくすることができる。また、エプロン面121及び底面331は、勾配Gr1を有することで、道路面R1から流れてきた水を排水路2へ導きやすくすることができる。すなわち、勾配Gr1により道路面R1、エプロン面121及び底面331上における水の滞留を抑制することができる。
【0030】
なお、エプロン面121及び底面331は、道路面R1と異なる勾配を有していてもよい。エプロン面121及び底面331は、勾配Gr1よりもわずかに大きい勾配を有していてもよいし、勾配がなくてもよい。すなわち、エプロン面121及び底面331は、XY面に沿う面(すなわち、水平面)であってもよい。この場合も、エプロン面121及び底面331は、道路面R1とほぼ同じ面上に位置するため、本開示では勾配がわずかに(例えば5%以内)異なる場合も「同じ面上に位置する」と表現する。また、エプロン面121と底面331とでわずかに異なる勾配を有していてもよい。
【0031】
エプロン面121は、道路面R1と同じ面上に位置するため、境界ブロック1を車道と歩道の境界に設置する際に、道路面R1とエプロン面121との高さ合わせ(レベル合わせ)を容易に行うことができる。このため、エプロン面121により、境界ブロック1の設置作業の負担を低減することができる。また、エプロン面121は、道路面R1と同じ面上に位置するため、道路面R1を流れる水を円滑に導水路3へ導くことができる。
【0032】
本実施形態において、歩道側の道路面R2は車道側の道路面R1よりも上側に位置する。なお、道路面R2は、道路面R1とZ方向において同じ位置であってもよい。
【0033】
鉛直路34は、鉛直面341、342を含む内面により形成されている。鉛直面341、342は、基礎部12の内部に設けられる面である。なお、鉛直面341の一部は、縁石部11の内部にも設けられている。鉛直路34は、上側で水平路33と接続し、下側で排水路2と接続する。より具体的には、鉛直面341が、上側で対向面332と接続し、下側で排水路2と接続する。また、鉛直面342が、上側で底面331と接続し、下側で排水路2と接続する。端E3は、鉛直面342と底面331が接続する端(すなわち、鉛直面342の上端であり、底面331の歩道側の端)である。端E3は、仮想面VP1よりも歩道側に位置する。
【0034】
底面331のY方向の幅は、入口31のZ方向の幅よりも広い。すなわち、
図2(b)に示すように、入口31の下端E1から底面331の端E3までの距離L1は、入口31の下端E1から入口31の上端E2までの距離L2よりも長い。
【0035】
鉛直面341と鉛直面342は、Y方向に所定幅をもって対向する。当該所定幅は、排水路2のY方向の幅よりも狭い。すなわち、鉛直路34は、排水路2よりもY方向に狭い幅を有する。
【0036】
図3は、鉛直路34を含むXY平面で切断した境界ブロック1の下側部分を示す一部断面斜視図である。鉛直路34は、X方向において入口31と対応する位置にのみ設けられている。すなわち、本実施形態において、排水路2の上部のうち、入口31のない部分と対応する部分(例えば、境界ブロック1のX方向第1側及び第2側の端部)には、鉛直路34は設けられておらず、排水路2の上部は閉塞されている。
【0037】
〔2.境界ブロックの作用と効果〕
境界ブロック1の作用について説明する。排水路2に溜まったゴミを洗い流すために、排水路2内へ高圧水を供給する場合、高圧洗浄機のヘッドを排水路2の中心C1(又は中心C1よりも下側)に位置させて、やや下側にヘッドを向けて高圧水を噴射する。このとき、高圧水は排水路2の底(下側の面)に溜まったゴミをX方向に押し流すとともに、高圧水の一部は排水路2の底から反射して排水路2の上側へ向かい、導水路3の出口32から導水路3の内部へ噴出する。
【0038】
従来の境界ブロック(特許文献1、2)は、高圧水がそのまま何にも遮られずに(すなわち、高圧水の勢いがほとんど弱められることなく)導水路の入口に達するため、高圧水が導水路の入口から勢いよく噴出してしまう。これに対し、本実施形態に係る境界ブロック1では、導水路3の底面331が、排水路2の中心C1と導水路3の入口31を遮っている。この構成により、高圧水は、排水路2の中心C1から導水路3の入口31まで一直線には噴出できず、排水路2の内周面及び導水路3の内面のいずれかに衝突することで勢いが弱められる。
【0039】
具体的には、導水路3の出口32から導水路3の内部へ噴出した高圧水は、鉛直路34を鉛直方向に登り、導水路3の対向面332に衝突することで勢いが弱められ、鉛直路34から排水路2へ戻る。また、一部の高圧水は入口31側へ達する場合があるが、導水路3の内面に衝突した後の高圧水であるため、従来のように勢いよく入口31から噴出することはない。これにより、管理者が境界ブロック1の清掃時に入口31にテープなどを貼る必要がなく、清掃作業の工数を減らすことができる。
【0040】
さらに、導水路3の底面331が、排水路2の中心C1と導水路3の入口31を遮る構成であるため、車道側の道路面R1に通行者が持ち物を落とした際に、排水路2へ直接持ち物が落下することを防止することができる。具体的には、導水路3は、Y方向に延びる水平路33を有し、入口31は縁石部11の側面に位置するため、道路面R1に落下した持ち物は入口31から水平路33に進入しにくい。また、持ち物が入口31から導水路3内に入った場合も、持ち物は底面331に支持されるため、持ち物の排水路2への落下をより確実に防止することができる。これにより、管理者が緊急的に持ち物を回収する作業を減らすことができる。以上により、本実施形態に係る境界ブロック1によれば、管理負担をより低減することができる。
【0041】
また、底面331のY方向の幅(L1)は、入口31のZ方向の幅(L2)よりも広いため、入口31に入るサイズの持ち物をより確実に底面331に留まらせることができる。これにより、持ち物の排水路2への落下をより確実に防止することができる。
【0042】
さらに、導水路3の鉛直方向の長さは、従来よりも短いため、道路から流入したゴミによって導水路3が詰まることをより確実に抑制することができる。従来、道路面を流れる水を円形の断面形状を有する排水路へ導くための導水路は、例えば特開2017-186745号公報(
図1参照)に開示された導水スリットのように、排水路の頂点を含まない位置から鉛直に伸びる場合が多い。しかしながら、このような構造とすると、導水路の鉛直方向の長さが長くなり、その分だけゴミによる詰まりが発生しやすくなる。これに対し、本実施形態に係る導水路3は、排水路2の鉛直方向の頂点を含む位置から鉛直に伸びる構成であるため、導水路3の鉛直方向の長さを従来よりも短くすることができる。これにより、導水路3にゴミが詰まりにくくなり、境界ブロック1の管理負担をより低減することができる。
【0043】
以上、本開示の第1実施形態について説明したが、本開示は前述した形態以外にも種々の変更を行うことが可能である。以下、本開示の他の実施形態(第2実施形態から第11実施形態)について説明する。第2実施形態以降において、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0044】
〔第2実施形態〕
図4は、第2実施形態に係る境界ブロック1aについて、
図3と同じ方法で示す斜視図である。すなわち、
図4は、鉛直路34aを含むXY平面で切断した境界ブロック1aの下側部分を示す一部断面斜視図である。第2実施形態に係る境界ブロック1aは、鉛直路34aが境界ブロック1aのX方向の全体にわたって設けられている点で、第1実施形態に係る境界ブロック1と相違し、その他の点は共通する。すなわち、鉛直路34aは、X方向において入口31及び水平路33と対応する位置のみならず、入口31及び水平路33のない部分(例えば、X方向第1側及び第2側の端部)と対応する位置にも鉛直路34aが設けられている。
【0045】
より具体的には、鉛直面341a、342aが、境界ブロック1aのX方向の全体にわたって設けられている。鉛直面341a、342aの下側は、全て排水路2と接続する。鉛直面341aの上側は、対向面332と接続する部分と、縁石部11の下端と接続する部分とを有する。鉛直面342aの上側は、底面331と接続する部分と、縁石部11の下端と接続する部分とを有する。すなわち、入口31及び水平路33のない部分と対応する位置に設けられる鉛直路34aの上側は、縁石部11の下端により閉塞されている。
【0046】
鉛直路34aを境界ブロック1aのX方向の全体にわたって設けることにより、鉛直路34aを基礎部12の内部に形成する際に、1本の中子型を用いて基礎部12をコンクリート成形することができるため、境界ブロック1aの製造コストを低減することができる。
【0047】
〔第3実施形態〕
図5は、第3実施形態に係る境界ブロック1bについて示す説明図である。
図5(a)は斜め上側から見下ろした境界ブロック1bを示す斜視図であり、
図5(b)は導水路3aを含むYZ平面における境界ブロック1bの断面図である。第3実施形態に係る境界ブロック1bは、排水路2aが鶏卵状の断面形状を有し、導水路3aの水平路33aが排水路2aの上部と接続する点で、第1実施形態に係る境界ブロック1と相違し、その他の点は共通する。
【0048】
排水路2aは、基礎部12の内部から上端にわたって設けられ、基礎部12の上端において水平路33aと接続する。水平路33aは、底面331、対向面332及び鉛直面341を含む内面により形成されている。排水路2aの上部は、鉛直面341の下端及び底面331の端E3と接続する。
【0049】
図6は、排水路2aの図心C2を示す説明図である。
図6(a)に示す仮想線VL1と、
図6(b)に示す仮想線VL2との交点が、
図6(c)に示すように排水路2aの図心C2となる。本実施形態において、図心C2は、排水路2aの「中心」に相当する。仮想線VL1は、排水路2aのYZ平面における断面積をZ方向に等分する仮想的な線である。仮想線VL1よりも上側の排水路2aの断面積Ar1と、仮想線VL1よりも下側の排水路2aの断面積Ar2は、等しい。すなわち、仮想線VL1は、排水路2aのZ方向の中心線である。仮想線VL2は、排水路2aの断面積をY方向に等分する仮想的な線である。仮想線VL2よりも歩道側の排水路2aの断面積Ar3と、仮想線VL2よりも車道側の排水路2aの断面積Ar4は、等しい。すなわち、仮想線VL2は、排水路2aのY方向の中心線である。
【0050】
排水路2aは、X方向の全体にわたって
図5(b)に示す断面形状を有する。このため、排水路2aの図心C2は、三次元的にみると、X方向に延びる一直線上に位置する。
図6(c)に示すように、底面331の一部は、排水路2aの図心C2と入口31の上端E2を結ぶ仮想面VP2よりも歩道側に位置し、底面331は排水路2aの図心C2と入口31の上端E2を遮っている。
【0051】
本実施形態のように、円形ではない断面形状を有する排水路2aについても、図心C2(又は図心C2よりも下側)に位置させたヘッドから高圧水を噴射してゴミを洗い流す。高圧水は、底面331が排水路2aの図心C2と入口31の上端E2を遮っているため、排水路2aから直接入口31に達することはできず、排水路2a及び導水路3aのいずれかの内面に衝突することで、勢いが弱められる。これにより、第1実施形態と同様に清掃作業の工数を低減することができる。また、底面331により、排水路2aへ直接持ち物が落下することを防止することができる。
【0052】
〔第4実施形態〕
図7は、第4実施形態に係る境界ブロック1cの断面図である。境界ブロック1cは、対向面332のうち鉛直路34の上側に位置する部分に、上側に凹む凹部333を有する点で、第1実施形態に係る境界ブロック1と相違し、その他の点は共通する。
【0053】
凹部333は、鉛直路34を介して排水路2と対向する面333aと、対向面332のうち底面331と対向する部分と面333aとを接続する段差となる段差面333bとを有する。段差面333bは、XZ平面に沿う面であり、鉛直面341とY方向に対向する。鉛直面341と面333aとが接続する端E4と、対向面332のうち底面331と対向する部分と段差面333bとが接続する端E5とを結ぶ仮想面VP3は、底面331と交差する。より具体的には、仮想面VP3は、入口31の下端E1よりも歩道側で底面331と交差する。
【0054】
高圧水により清掃を行う際、排水路2から出て鉛直路34を鉛直方向に登る高圧水は、凹部333の面333aに衝突することで勢いが弱められる。一部の高圧水は面333aに衝突した後、Y方向に広がる。しかしながら、本実施形態では、面333aからY方向の車道側に広がる高圧水は、段差面333bに衝突するため、入口31から高圧水が噴出することをより確実に防止することができる。また、凹部333に衝突する高圧水の一部は、凹部333で反射して仮想面VP3に沿う方向に流れ、入口31に達する前に底面331と衝突する。これにより、高圧水は入口31に達する前に導水路3b内の複数の箇所に衝突することで勢いが弱められるため、高圧水が入口31から噴出することを防止することができる。
【0055】
〔第5実施形態〕
図8は、第5実施形態に係る境界ブロック1dを示す説明図である。
図8(a)は、第5実施形態に係る境界ブロック1dの断面図である。
図8(b)は、第5実施形態の変形例に係る境界ブロック1daの断面図である。
【0056】
図8(a)を参照する。境界ブロック1dは、歩道側の道路面R2上を流れる水を排水路2へ導くための歩道側導水路4が設けられている点で、第1実施形態に係る境界ブロック1と相違し、その他の点は共通する。歩道側導水路4は、縁石部11の歩道側の側面に位置する入口41と、導水路3の鉛直面341に位置する出口42とを有する。入口41の下端E6は、道路面R2と接続する。出口42の上端は、鉛直面341の上端よりも下側に位置する。
【0057】
高圧水により清掃を行う際、排水路2から出て鉛直路34を鉛直方向に登る高圧水は、対向面332に衝突した後、Y方向に広がる。しかしながら、本実施形態では、出口42の上端は、鉛直面341の上端よりも下側に位置するため、対向面332からY方向の歩道側に広がる高圧水は、一直線に入口41に達することはなく、入口41に達する前に導水路3及び歩道側導水路4のいずれかの内面に衝突する。これにより、高圧水が入口41から噴出することを防止することができる。道路面R1よりも道路面R2のほうが上側に位置するため、導水路3よりも歩道側導水路4のほうがZ方向の幅が小さい。このため、高圧水は、より幅の狭い歩道側導水路4において勢いが強められる場合がある。本実施形態では、出口42が鉛直面341の上端よりも下側で接続するため、歩道側導水路4の入口41から高圧水が噴出することをより確実に防止することができる。
【0058】
また、従来の境界ブロック(例えば、特許文献1)と比べ、本実施形態の境界ブロック1dは、排水路2の上部から鉛直方向に延びる鉛直路34が縁石部11の内部に設けられているため、縁石部11の歩道側の側面から導水路3(鉛直面341)までの距離をより短くすることができる。これにより、縁石部11の歩道側の側面から手持ちの工具(例えば、電動ドリル)により鉛直面341まで容易に穿孔することができる。歩道側導水路4は、境界ブロック1dを車道と歩道との境界に設置した後、その場で工具により穿孔することで設けられる。これにより、境界ブロック1dが施工される現場の状況(例えば、歩道の高さ)に応じて、柔軟に歩道側導水路4を設けることができる。なお、歩道側導水路4は、境界ブロック1dを設置する前に設けられていてもよい。
【0059】
図8(b)を参照する。境界ブロック1daは、高さが同じ車道側の道路面R1と歩道側の道路面R2との境界に設置されている。境界ブロック1daは、歩道側の道路面R2上を流れる水を排水路2へ導くための歩道側導水路4aを有する。歩道側導水路4aは、Y方向から見たときに、導水路3の水平路33と同じ形状を有する。すなわち、歩道側導水路4a及び水平路33により、車道側から歩道側までを貫通する1個の貫通孔が形成される。このように構成することで、水平路33及び歩道側導水路4aを1本の中子型を用いて縁石部11内に形成することができる。このため、境界ブロック1daの製造コストを低減することができる。
【0060】
〔第6実施形態〕
図9は、第6実施形態に係る境界ブロック1eを示す説明図である。
図9(a)は、斜め上側から見下ろした境界ブロック1eを示す斜視図である。
図9(b)は、境界ブロック1eの断面図である。境界ブロック1eは、縁石部11に吊り穴5が設けられている点で、第1実施形態に係る境界ブロック1と相違し、その他の点は共通する。吊り穴5は、縁石部11の上面と対向面332とにそれぞれ開口する貫通孔である。吊り穴5及び導水路3により、排水路2の上部と縁石部11の上面とを通じる直線状の貫通路が形成される。吊り穴5のX方向の幅W1は、吊り穴5のY方向の幅W2よりも大きい。
【0061】
図10は、吊り穴5を用いて境界ブロック1eを吊り下げるために使用する吊り具51の説明図である。
図10(a)は、吊り具51の概略構成を示す説明図である。吊り具51は、棒状部材52と、引っ掛け部53と、係止部54とを有する。引っ掛け部53は、棒状部材52の一端に設けられ、係止部54は棒状部材52の他端に設けられている。係止部54は、クレーンのフック又はワイヤーを係止する部分である。本実施形態において、係止部54は環状であるが、フック又はワイヤー等を係止することができれば形状は環状に限られない。
【0062】
図10(b)は、引っ掛け部53の詳細な構成を示す説明図である。引っ掛け部53は、扁平な形状を有する。引っ掛け部53は、排水路2の上側の内周面の形状と対応する曲面531と、底面532とを有する。
図10(b)に示すように、引っ掛け部53の一方の幅W3は、他方の幅W4よりも大きい。また、引っ掛け部53の幅W3は、吊り穴5の幅W1よりも小さく、吊り穴5の幅W2及び鉛直路34のY方向の幅(すなわち、鉛直面341と鉛直面342との間の距離)よりも大きい。また、引っ掛け部53の幅W4は、吊り穴5の幅W2よりも小さい。
【0063】
次に、吊り具51により境界ブロック1eを吊り下げる手順について説明する。
図10(c)は、吊り具51を吊り穴5に挿入している途中の様子を示す説明図であり、
図10(d)は、吊り具51の吊り穴5への挿入を完了した後の様子を示す説明図である。
図10(c)に示すように、引っ掛け部53を、幅W4の方向を吊り穴5の幅W2の方向に向けた状態で、吊り穴5に挿入する。幅W3は幅W1よりも小さく、幅W4は幅W2よりも小さいため、引っ掛け部53は、吊り穴5及び導水路3を介して、排水路2まで挿通される。
【0064】
排水路2へ挿入された引っ掛け部53は、
図10(d)に示すように、XY平面において90度回転される。幅W3は、鉛直路34のY方向の幅よりも大きいため、90度回転した後は、排水路2の上側の内周面に引っ掛け部53が引っ掛かる。この状態で、係止部54にクレーンのフック又はワイヤーを係止し、クレーンにより吊り具51を吊り上げる。このとき、引っ掛け部53の曲面531は、排水路2の上側の内周面と当接する。このため、引っ掛け部53により排水路2の内周面を支持することで、吊り具51は境界ブロック1eを吊り下げることができる。これにより、境界ブロック1eを車道と歩道との境界に設置する際に、吊り具51を吊り穴5に差し込むことで、境界ブロック1eを容易に吊り上げることができる。
【0065】
ここで、排水路2は境界ブロック1eの重心又は重心近傍に位置する。吊り具51は、境界ブロック1eの重心又は重心近傍で境界ブロック1eを支持するため、境界ブロック1eを設置する作業員は、吊り下げられた境界ブロック1eの水平方向の向きを容易に微調整することができる。これにより、境界ブロック1eの設置作業を容易にすることができる。吊り穴5のXY平面における断面積は、吊り具51が差し込める程度の広さがあればよく、導水路3(特に、鉛直路34)の断面積と比べて十分に小さい。このため、清掃の際、高圧水が吊り穴5から噴出することを抑制することができる。また、吊り穴5は、境界ブロック1eを設置した後に、パテ等により塞いでもよい。
【0066】
〔第7実施形態〕
図11は、第7実施形態に係る境界ブロック1fを示す説明図である。
図11(a)は、斜め上側から見下ろした境界ブロック1fを示す斜視図である。
図11(b)は、境界ブロック1fの断面図である。境界ブロック1fは、縁石部11に清掃用の縦穴6が設けられている点で、第1実施形態に係る境界ブロック1と相違し、その他の点は共通する。
【0067】
縦穴6は、縁石部11の上面と対向面332とにそれぞれ開口する貫通孔である。縦穴6は、例えば、X方向においては導水路3のX方向の幅以下の幅(なお
図11(a)では、同じ幅の場合を例示している。)を有し、Y方向においては鉛直路34のY方向の幅以下の幅を有する。境界ブロック1fを清掃する際、縦穴6から清掃用具(例えば、スコップ、吸引機等)を差し込んで、導水路3及び排水路2を清掃することができる。これにより、一部の境界ブロック1fを外すことなく清掃できるため、清掃作業に掛かる負担を低減することができる。なお、清掃時以外は、境界ブロック1fの上部に蓋61を装着することで、縦穴6を塞いでもよい。
図11(c)は、蓋61が装着された境界ブロック1fの斜視図である。
図11(d)は、蓋61が装着された境界ブロック1fの断面図である。蓋61により、縦穴6から排水路2へ通行者の持ち物が落下することを防止することができる。
【0068】
〔第8実施形態〕
図12は、第8実施形態に係る境界ブロック1gを斜め上側から見下ろした斜視図である。境界ブロック1gは、導水路3の内面の一部に反射部7が設けられている点で、第1実施形態に係る境界ブロック1と相違し、その他の点は共通する。反射部7は、例えば反射テープや反射板であり、自動車や自転車のライトを反射することで、車道の通行者に縁石部11の位置を知らせる安全対策的な機能を有する。反射部7は、例えば導水路3の内面のうち、X方向の第1側及び第2側の入口31付近に位置する内面に設けられている。反射部7は、導水路3の内面に設けられているため、砂塵等により汚れることを抑制できる。このため、反射部7の清掃等の点検を行う間隔を長くすることができ、通行者の安全対策をとりつつ、境界ブロック1gの管理負担を低減することができる。
【0069】
なお、反射部7に代えて、光を自ら発する発光部を設けてもよい。発光部は、例えば蛍光板、蓄光板、又はソーラーパネルを搭載したLED(発光ダイオード)である。発光部を設けることによっても、汚れることを抑制しつつ、通行者に縁石部11の位置を知らせることができる。
【0070】
〔第9実施形態〕
図13は、第9実施形態に係る境界ブロック1hを示す説明図である。
図13(a)は、斜め上側から見下ろした境界ブロック1hを示す斜視図である。
図13(b)は、境界ブロック1hの断面図である。境界ブロック1hは、照明部8が設けられている点で、第1実施形態に係る境界ブロック1と相違し、その他の点は共通する。照明部8は、導水路3の内面の一部に設けられる複数のLED81と、LED81に電力を供給するための配線が設けられる横穴82とを有する。複数のLED81は、通行者に縁石部11の位置を知らせる安全対策的な機能とともに、車道の道路面R1を照らす道路照明としての機能も有する。LED81は、入口31付近の対向面332を上側に凹ませた部分に、複数のLED81が実装された板状の部材を嵌め込むことにより、境界ブロック1hに設けられている。横穴82は、縁石部11の内部に設けられ、縁石部11をX方向にわたって貫通する貫通孔である。横穴82は、排水路2及び導水路3とは独立して設けられている。すなわち、排水路2及び導水路3を流れる水は、横穴82に浸入しない。
【0071】
LED81は、導水路3の内面に設けられているため、砂塵等により汚れることを抑制できる。また、横穴82の内部にLED81のための配線が設けられるため、当該配線が砂塵等により汚れることを抑制できる。このため、照明部8の清掃等の点検を行う間隔を長くすることができ、通行者の安全対策及び道路照明としての機能を得つつ、境界ブロック1hの管理負担を低減することができる。
【0072】
〔第10実施形態〕
図14は、第10実施形態に係る境界ブロック1iを斜め上側から見下ろした斜視図である。境界ブロック1iは、複数の導水路3cが設けられている点及び排水路2aを有する点で、第1実施形態に係る境界ブロック1と相違し、その他の点は共通する。本実施形態において、導水路3cは1個の境界ブロック1iに2個設けられているが、3個以上であってもよい。本実施形態において、複数の導水路3cは、それぞれ別の入口31を有する。しかしながら、複数の導水路3cの出口32は共通している。すなわち、複数の導水路3cは、水平路33又は鉛直路34において互いに合流している。なお、複数の導水路3cは、それぞれ別の出口32を有していてもよい。すなわち、複数の導水路3cは、互いに合流せずに、それぞれ独立して排水路2aと接続する構成としてもよい。排水路2aは、第3実施形態に係る排水路2aと同じ構成を有する。
【0073】
〔第11実施形態〕
図15は、第11実施形態に係る境界ブロック1jを斜め上側から見下ろした斜視図である。境界ブロック1jは、複数の導水路3dが設けられている点で、第1実施形態に係る境界ブロック1と相違し、その他の点は共通する。導水路3dの入口31は、縁石部11の車道側の側面のうち、縁石部11のX方向第1側又は第2側の端を含む側面に設けられている。
【0074】
〔変形例〕
本発明は、上記の実施形態以外にも、種々の変形を行うことができる。例えば、排水路2の断面形状は、第1実施形態では円形状であったが、楕円形状であってもよいし、多角形状(例えば、長方形状)であってもよい。導水路3の入口31の形状は、第1実施形態では長方形状であったが、円形であってもよい。
【0075】
また、境界ブロック1は、歩道と車道との境界に設置されるものに限定されない。例えば、境界ブロック1は、道路(車道又は歩道)と駐車場との境界、道路(車道又は歩道)と植栽との境界等に設置されるものであってもよい。すなわち、境界ブロック1は、道路の境界に設けられ、Y方向の第1側(例えば、車道側)とY方向の第2側(例えば、歩道、駐車場又は植栽)とを分けるものであればよい。
【0076】
また、境界ブロック1は、直線状のものに限らず、交差点等に設置される曲線状のものや、車両等の乗り入れのために縁石部11が低く形成されたもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1、1a、1b、1c、1d、1da、1e、1f、1g、1h、1i、1j 境界ブロック
11 縁石部
12 基礎部
121 エプロン面
2、2a 排水路
3、3a、3c、3d 導水路
31 入口
32 出口
33、33a 水平路
331 底面
332 対向面
333 凹部
333a 面
333b 段差面
34、34a 鉛直路
341、341a 鉛直面
342、342a 鉛直面
4、4a 歩道側導水路
41 入口
42 出口
5 吊り穴
51 吊り具
52 棒状部材
53 引っ掛け部
531 曲面
532 底面
54 係止部
6 縦穴
61 蓋
7 反射部
8 照明部
81 LED
82 横穴
R1 道路面
R2 道路面
E1 (入口31の)下端
E2 (入口31の)上端
E3、E4、E5 端
E6 (入口41の)下端
C1 (排水路2の)中心
C2 (排水路2aの)図心
VP1、VP2、VP3 仮想面
L1、L2 距離
VL1、VL2 仮想線
Ar1、Ar2、Ar3、Ar4 断面積
Gr1 勾配