(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ヒストンデアセチラーゼ6阻害剤としての1,2,4-オキサジアゾール誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 413/14 20060101AFI20231019BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20231019BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20231019BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20231019BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20231019BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231019BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20231019BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
A61K31/437
A61K31/444
A61K31/5377
A61P37/06
A61P35/00
A61P31/00
A61P9/00
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/02
C07D471/04 104Z
C07D471/04 106C
C07D471/04 106Z
(21)【出願番号】P 2020550896
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2018083655
(87)【国際公開番号】W WO2019110663
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-03
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520198627
【氏名又は名称】オリソン ヘノミクス,ソシエダ アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】エレナ カルセレル ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト オルテガ ムニョース
(72)【発明者】
【氏名】ホルヘ サラス ソラナ
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533721(JP,A)
【文献】国際公開第2006/109817(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/222952(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/033946(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/161033(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/066839(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/118781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D、A61K、A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
またはその塩(前記式中、
mは0、1、2のいずれかであり;
それぞれのR
1は、独立に、ハロ、メチル、トリフルオロメチルから選択され;
Aの選択は、
i)5員か6員の単環ヘテロアリール環、または9員か10員の二環ヘテロアリール環で、完全に芳香族であるものと
ii)飽和しているか一部が不飽和の炭素環または複素環に融合した5員か6員の単環ヘテロアリール環からなる9員か10員の二環ヘテロアリール環(ここで、前記9員か10員の二環ヘテロアリール環は、前記5員か6員の単環ヘテロアリール環を通じて分子の残部に結合している)
からなされ、
Aは、このAを分子の残部に結合させている環原子に隣接した位置に1個の環N原子を含有しており、Aは、場合によっては、N、O、Sから独立に選択された1~3個の追加の環へテロ原子を含有し、
Aは、場合によっては1個または2個のR
2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR
3で置換されており;
それぞれのR
2は、独立に、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4から選択され;
R
3は、-L
1-R
5、-L
2-OR
6、-L
3-NR
7R
8、-L
4-CONR
9R
10、-L
5-NR
11COR
12、-Y-L
6-OR
6、-Y-L
7-NR
7R
8から選択され;
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5は、それぞれ独立に、結合とC
1-6アルキレンから選択され;
L
6とL
7は、それぞれ独立に、C
2-6アルキレンから選択され;
それぞれのYは、独立に、-O-、-NR
13-、-CONR
14-、-NR
15CO-から選択され;
それぞれのR
4は、独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-6アルキルから選択され;
それぞれのR
5は、独立に、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールから選択され、そのカルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールは、それぞれが、場合によっては1個以上のR
16で置換されており;
R
6とR
12は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-L
1-R
5から選択され;
R
7とR
8は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4、-L
1-R
5から選択され;
R
9とR
10は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4、-L
1-R
5から選択されるか、R
9とR
10は、これらが結合するN原子と合わさって、場合によっては、N、O、Sから選択された1個の追加へテロ原子を含有する4員~12員の飽和複素環を形成し、この複素環は、場合によっては1個以上のR
16で置換されており;
R
11、R
13、R
14、R
15は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-6アルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4から選択され;
それぞれのR
16は、独立に、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、ハロ、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、-OH、-NR
17R
18、-COR
19、-CN、-L
8-カルボシクリル、-L
8-アリール、-L
8-ヘテロシクリル、-L
8-ヘテロアリールから選択され、-L
8-カルボシクリルの中のカルボシクリル、-L
8-アリールの中のアリール、-L
8-ヘテロシクリルの中のヘテロシクリル、-L
8-ヘテロアリールの中のヘテロアリールは、それぞれ、場合によっては1個以上のR
20で置換されており;
それぞれのL
8は、独立に、結合とC
1-6アルキレンから選択され;
R
17とR
18は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-6アルキルから選択され;
R
19は、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキルから選択され;
それぞれのR
20は、独立に、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、ハロ、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、-OH、-NR
17R
18、-COR
19、-CNから選択される)。
【請求項2】
Aの選択が、
i)5員か6員の単環ヘテロアリール環、または9員か10員の二環ヘテロアリール環で、完全に芳香族であるものと
ii)飽和しているか一部が不飽和の炭素環または複素環に融合した5員か6員の単環ヘテロアリール環からなる9員か10員の二環ヘテロアリール環(ここで、前記9員か10員の二環ヘテロアリール環は、前記5員か6員の単環ヘテロアリール環を通じて分子の残部に結合している)
からなされ、
Aが、このAが分子の残部に結合している環原子に隣接した位置に1個の環N原子を含有しており、Aが、場合によっては、1~3個の追加の環N原子を含有し、Aが、場合によっては1個または2個のR
2で置換されており、それに加えてAが、場合によっては1個のR
3で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、5員か6員の単環ヘテロアリール環、または9員か10員の二環ヘテロアリール環で、完全に芳香族であるものであり、Aが、このAが分子の残部に結合している環原子に隣接した位置に1個の環N原子を含有しており、Aが、場合によっては1~3個の追加の環N原子を含有し、Aが、場合によっては1個または2個のR
2で置換されており、それに加えてAが、場合によっては1個のR
3で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aの選択が、下記の環式基:
【化2】
からなされ、Aが、場合によっては1個または2個のR
2基で置換されており、それに加えてAが、場合によっては1個のR
3で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Aの選択が、下記の環式基:
【化3】
からなされ、Aが、場合によっては1個または2個のR
2基で置換されており、それに加えてAが、場合によっては1個のR
3で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式(IIa)または式(IIb)の化合物:
【化4】
またはその塩(前記式中、Z
1、Z
2、Z
3のうちの1つはHであり、それ以外は、独立に、HとR
2から選択される)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
式(IIIa)または式(IIIb)の化合物:
【化5】
またはその塩(前記式中、Z
1、Z
2、Z
3のうちの1つはR
3またはHであり、それ以外は、独立に、HとR
2から選択される)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式(IIIa)の化合物:
【化6】
またはその塩(前記式中、Z
1、Z
2、Z
3のうちの1つはR
3またはHであり、それ以外は、独立に、HとR
2から選択される)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記式中、Z
2はR
3であり、Z
1とZ
3は、独立に、HとR
2から選択され、そして、R
3は-CONR
9R
10である、請求項7または8に記載の化合物。
【請求項10】
式(IVa)の化合物:
【化7】
またはその塩(前記式中、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4のうちの1つは、R
2、R
3、Hから選択され、それ以外は、独立に、HとR
2から選択されるが、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4のうちの2つまでしかR
2になれない)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式(IVb)の化合物:
【化8】
またはその塩(前記式中、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4のうちの1つは、R
2、R
3、Hから選択され、それ以外は、独立に、HとR
2から選択されるが、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4のうちの2つまでしかR
2になれない)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
mが0である、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
R
3の選択が、-L
1-R
5、-L
2-OR
6、-L
3-NR
7R
8、-CONR
9R
10、-NR
11COR
12、-Y-L
7-NR
7R
8からなされる、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
R
3が-L
1-R
5である、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
R
3が-CONR
9R
10または-NR
11COR
12である、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
R
3が-Y-L
7-NR
7R
8であり、その中のYが-O-と-NR
13-から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
R
3が-OR
6であり、その中のR
6が-L
1-R
5であるか、R
3が-NR
7R
8であり、その中のR
7とR
8の一方が-L
1-R
5である、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
R
3が-L
2-OR
6または-L
3-NR
7R
8であり、その中のL
2とL
3が、それぞれ独立に、C
1-6アルキレンから選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
それぞれのR
2が、独立に、C
1-4アルキル、C
1-4ハロアルキル、(C
1-4アルキレン)-OR
4から選択される、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
3-(2-(1-ブチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル) 1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-プロピル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
1-ブチル-N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
N,N-ジエチル-3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロパン-1-アミン、
1-ブチル-N-エチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
4-(3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル) オキシ)プロピル)モルホリン、
3-(5'-(3-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(3-(ピペリジン-1-イルメチル)-1-プロピル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
4-((1-プロピル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-3-イル)メチル)モルホリン、
N-ブチル-3-メトキシ-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)プロパンアミド、
N-(シクロプロピルメチル)-N-メチル-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-アミン、
N1,N1-ジエチル-N3-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)プロパン-1,3-ジアミン、
N-(3-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)プロピル)-N-メチル-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-アミン、
N,N-ジエチル-3-(2-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)ピリミジン-5-イルオキシ)プロパン-1-アミン、
N1,N1-ジエチル-N3-メチル-N3-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-2,2'-ビピリジン-5-イル)プロパン-1,3-ジアミン、
3-(2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N-エチル-N-フェネチル-3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロパン-1-アミン、
2-フェニル-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)アセトアミド、
3-(2-(1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(4'-(2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エトキシ)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
4-(2-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)オキシ)エチル)モルホリン、
N,N,1-トリメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-(2-(1-プロピル-3-(1H-ピラゾル-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
1-ブチル-N,N-ジエチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)アセトアミド、
N-(2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エチル)-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-アミン、
3-(2-(3-(ピペリジン-1-イルメチル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
1-メチル-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)ピペリジン-4-カルボキサミド、
3-フェニル-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)プロパンアミド、
2-シクロブチル-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)アセトアミド、
N-(ピペリジン-3-イル)-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-カルボキサミド、
3-(5'-(3-(1H-ピラゾル-1-イル)プロポキシ)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
(1-プロピル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-3-イル)メタノール、
3-(2-(3-(メトキシメチル)-1-プロピル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
(1-ブチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-3-イル)メタノール、
3-(2-(1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(ピリジン-4-イルメチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N-((1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-カルボキサミド、
N-((1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-カルボキサミド、
3-(2-(1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-メチル-3-(1H-ピラゾル-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-ブチル-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N-メチル-3-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-2,2'-ビピリジン-5-イルオキシ) プロパン-1-アミン、
1-(1-ブチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルメタナミン、
3-(2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)ピペリジン-3-カルボキサミド、
1-(2-メトキシエチル)-N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-3-(1H-ピラゾル-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-メチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
2-(メチル(3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロピル)アミノ)エタン-1-オール、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(2-(2-メトキシエチル)-2H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロパン-1-アミン、
3-(2-(1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-エチル-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(2-(1-メチル-1H-イミダゾル-2-イル)エチル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、および
3-(2-(1-((1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾールから選択された化合物、またはその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
N,N,1-トリメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、またはその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、またはその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
3-(2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、またはその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩と、医薬として許容可能な基剤を含む医薬組成物。
【請求項25】
HDAC6に関連する疾患の治療に用いるための、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択された疾患の治療に用いるための、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
末梢神経障害の治療に用いるための、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
化学療法誘発性末梢神経障害の治療に用いるための、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項29】
シャルコー・マリー・トゥース病の治療に用いるための、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項30】
筋萎縮性側索硬化症の治療に用いるための、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項31】
HDAC6に関連する疾患を治療する薬を製造するための、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用。
【請求項32】
がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択された疾患を治療する薬を製造するための、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用。
【請求項33】
末梢神経障害を治療する薬を製造するための、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用。
【請求項34】
化学療法誘発性末梢神経障害を治療する薬を製造するための、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用。
【請求項35】
シャルコー・マリー・トゥース病を治療する薬を製造するための、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用。
【請求項36】
筋萎縮性側索硬化症を治療する薬を製造するための、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用。
【請求項37】
治療すべき患者がヒトである、請求項25~
30のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成
物。
【請求項38】
治療すべき患者がヒトである、請求項31~36のいずれか1項に記載の使用。
【請求項39】
HDAC6を抑制するインビトロの方法であって、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩をサンプルに適用することを含む方法。
【請求項40】
HDAC6阻害剤としての、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩のインビトロでの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒストンデアセチラーゼ6阻害剤として有用な1,2,4-オキサジアゾール誘導体に関する。本発明は、この化合物を含む医薬組成物と、治療におけるその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、ヒストンと非ヒストンタンパク質からアセチル基を除去する際の触媒となる酵素の大きなファミリーの一部である。HDACは、多くの生物学的プロセスにおいて、たいていは転写の抑制に影響を与えることを通じた極めて重要な役割を有する。ヒトでは4つのクラスのHDACが存在しており、その中には合計で18種類のタンパク質が含まれる。すなわち、クラスIのHDACは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC8であり、クラスIIのHDACは、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC9、HDAC10であり、クラスIIIのHDACは、Sir2様タンパク質であるSIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、SIRT7であり、クラスIVのHDACはHDAC11である。クラスIIの酵素はさらに、2つのサブクラス、すなわちクラスIIa(HDAC4、HDAC5、HDAC7、HDAC9)とクラスIIb(HDAC6、HDAC10)に分割される。
【0003】
ヒストンデアセチラーゼ6(HDAC6)は、主に非ヒストン基質(α-チューブリン、熱ショックタンパク質(Hsp)90、コルタクチンなど)の脱アセチル化の触媒となる。
【0004】
HDAC6活性は、あとでより詳しく議論するように、いくつかの病的状態(がん、神経疾患、繊毛疾患、感染性疾患、心血管疾患、免疫疾患、炎症性疾患など)に関与していることが報告されている。そのためHDAC6阻害剤が、広い範囲の疾患を治療するための魅力的な治療剤として浮かび上がってきた。
【0005】
現在開発中のHDAC阻害剤の多くは汎HDAC阻害剤であり、さまざまなHDACアイソフォームに対して選択的ではない。汎HDAC阻害剤は顕著な副作用を示すことが知られている。特にいくつかのHDACクラスIアイソフォーム(特にHDAC1とHDAC2)の抑制には毒性副作用が付随する。
【0006】
1つ以上のHDAC アイソフォームを抑制するが、すべてのHDAC アイソフォームは抑制しないHDAC阻害剤、特にHDAC6を抑制する一方で、HDAC1またはHDAC2を抑制する程度ははるかに少ない化合物を同定することが有利であると考えられる。
【発明の概要】
【0007】
1つの側面では、本発明により、下記の式(I)の化合物:
【化1】
またはその塩が提供される。ただしこの式において、
mは0、1、2のいずれかであり;
それぞれのR
1は、独立に、ハロ、メチル、トリフルオロメチルから選択され;
Aの選択は、
i)5員か6員の単環ヘテロアリール環、または9員か10員の二環ヘテロアリール環で、完全に芳香族であるものと
ii)飽和しているか一部が不飽和の炭素環または複素環に融合した5員か6員の単環ヘテロアリール環からなる9員か10員の二環ヘテロアリール環(ただしこの9員か10員の二環ヘテロアリール環は、前記5員か6員の単環ヘテロアリール環を通じて分子の残部に結合している)
からなされ、
Aは、このAを分子の残部に結合させている環原子に隣接した位置に1個の環N原子を含有しており、Aは、場合によっては、N、O、Sから独立に選択された1~3個の追加の環へテロ原子を含有し、
Aは、場合によっては1個または2個のR
2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR
3で置換されており;
それぞれのR
2は、独立に、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4から選択され;
R
3は、-L
1-R
5、-L
2-OR
6、-L
3-NR
7R
8、-L
4-CONR
9R
10、-L
5-NR
11COR
12、-Y-L
6-OR
6、-Y-L
7-NR
7R
8から選択され;
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5は、それぞれ独立に、結合とC
1-6アルキレンから選択され;
L
6とL
7は、それぞれ独立に、C
2-6アルキレンから選択され;
それぞれのYは、独立に、-O-、-NR
13-、-CONR
14-、-NR
15CO-から選択され;
それぞれのR
4は、独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-6アルキルから選択され;
それぞれのR
5は、独立に、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールから選択され、そのカルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールは、それぞれが、場合によっては1個以上のR
16で置換されており;
R
6とR
12は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-L
1-R
5から選択され;
R
7とR
8は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4、-L
1-R
5から選択され;
R
9とR
10は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4、-L
1-R
5から選択されるか、R
9とR
10は、これらが結合するN原子と合わさって、場合によっては、N、O、Sから選択された1個の追加へテロ原子を含有する4員~12員の飽和複素環を形成し、この複素環は、場合によっては1個以上のR
16で置換されており;
R
11、R
13、R
14、R
15は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-6アルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4から選択され;
それぞれのR
16は、独立に、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、ハロ、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、-OH、-NR
17R
18、-COR
19、-CN、-L
8-カルボシクリル、-L
8-アリール、-L
8-ヘテロシクリル、-L
8-ヘテロアリールから選択され、-L
8-カルボシクリルの中のカルボシクリル、-L
8-アリールの中のアリール、-L
8-ヘテロシクリルの中のヘテロシクリル、-L
8-ヘテロアリールの中のヘテロアリールは、それぞれ、場合によっては1個以上のR
20で置換されており;
それぞれのL
8は、独立に、結合とC
1-6アルキレンから選択され;
R
17とR
18は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-6アルキルから選択され;
R
19は、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキルから選択され;
それぞれのR
20は、独立に、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、ハロ、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、-OH、-NR
17R
18、-COR
19、-CNから選択される。
【0008】
本明細書に記載されている式(I)の化合物は、HDACの阻害剤、特にHDAC6の阻害剤である。この化合物と、この化合物を含む医薬組成物は、HDAC6に関連する疾患の治療に有用である。その疾患は、例えば、がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質のいずれかである。
【0009】
本発明によりさらに、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩と、医薬として許容可能な基剤を含む医薬組成物が提供される。
【0010】
本発明によりさらに、医薬として用いるための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩が提供される。
【0011】
本発明によりさらに、HDAC6に関連する疾患の治療に用いるための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩、または、この化合物と、医薬として許容可能な基剤を含む医薬組成物が提供される。
【0012】
本発明によりさらに、HDAC6に関連する疾患を治療する薬を製造するための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用が提供される。
【0013】
本発明によりさらに、HDAC6に関連する疾患を治療するための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用が提供される。
【0014】
本発明によりさらに、HDAC6阻害剤として用いるための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩が提供される。
【0015】
本発明によりさらに、HDAC6に関連する疾患を治療する方法として、その治療を必要とする患者に、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩を治療に有効な量で投与することを含む方法が提供される。
【0016】
本発明によりさらに、HDAC6活性を抑制する方法として、上記治療を必要とする患者に、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩を、HDAC6活性を抑制するのに十分な量で投与することを含む方法が提供される。
【0017】
本発明によりさらに、がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択された疾患の治療に用いるための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩、または、この化合物と、医薬として許容可能な基剤を含む医薬組成物が提供される。
【0018】
本発明によりさらに、がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択された疾患を治療する薬を製造するための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用が提供される。
【0019】
本発明によりさらに、がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択された疾患を治療するための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用が提供される。
【0020】
本発明によりさらに、がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択された疾患を治療する方法として、その治療を必要とする患者に、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩を治療に有効な量で投与することを含む方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明により、式(I)の化合物:
【化2】
またはその塩が提供される。ただしこの式において、
mは0、1、2のいずれかであり;
それぞれのR
1は、独立に、ハロ、メチル、トリフルオロメチルから選択され;
Aの選択は、
i)5員か6員の単環ヘテロアリール環、または9員か10員の二環ヘテロアリール環で、完全に芳香族であるものと
ii)飽和しているか一部が不飽和の炭素環または複素環に融合した5員か6員の単環ヘテロアリール環からなる9員か10員の二環ヘテロアリール環(ただしこの9員か10員の二環ヘテロアリール環は、前記5員か6員の単環ヘテロアリール環を通じて分子の残部に結合している)
からなされ、
Aは、このAを分子の残部に結合させている環原子に隣接した位置に1個の環N原子を含有しており、Aは、場合によっては、N、O、Sから独立に選択された1~3個の追加の環へテロ原子を含有し、
Aは、場合によっては1個または2個のR
2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR
3で置換されており;
それぞれのR
2は、独立に、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4から選択され;
R
3は、-L
1-R
5、-L
2-OR
6、-L
3-NR
7R
8、-L
4-CONR
9R
10、-L
5-NR
11COR
12、-Y-L
6-OR
6、-Y-L
7-NR
7R
8から選択され;
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5は、それぞれ独立に、結合とC
1-6アルキレンから選択され;
L
6とL
7は、それぞれ独立に、C
2-6アルキレンから選択され;
それぞれのYは、独立に、-O-、-NR
13-、-CONR
14-、-NR
15CO-から選択され;
それぞれのR
4は、独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-6アルキルから選択され;
それぞれのR
5は、独立に、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールから選択され、そのカルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールは、それぞれが、場合によっては1個以上のR
16で置換されており;
R
6とR
12は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-L
1-R
5から選択され;
R
7とR
8は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4、-L
1-R
5から選択され;
R
9とR
10は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4、-L
1-R
5から選択されるか、R
9とR
10は、これらが結合するN原子と合わさって、場合によっては、N、O、Sから選択された1個の追加へテロ原子を含有する4員~12員の飽和複素環を形成し、この複素環は、場合によっては1個以上のR
16で置換されており;
R
11、R
13、R
14、R
15は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-6アルキル、-(C
1-6アルキレン)-OR
4から選択され;
それぞれのR
16は、独立に、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、ハロ、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、-OH、-NR
17R
18、-COR
19、-CN、-L
8-カルボシクリル、-L
8-アリール、-L
8-ヘテロシクリル、-L
8-ヘテロアリールから選択され、-L
8-カルボシクリルの中のカルボシクリル、-L
8-アリールの中のアリール、-L
8-ヘテロシクリルの中のヘテロシクリル、-L
8-ヘテロアリールの中のヘテロアリールは、それぞれ、場合によっては1個以上のR
20で置換されており;
それぞれのL
8は、独立に、結合とC
1-6アルキレンから選択され;
R
17とR
18は、それぞれ独立に、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-6アルキルから選択され;
R
19は、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキルから選択され;
それぞれのR
20は、独立に、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、ハロ、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、-OH、-NR
17R
18、-COR
19、-CNから選択される。
【0022】
本発明の実施態様を以下の段落に概説する。下記の各実施態様は、本明細書に記載されている他の任意の実施態様と組み合わせることができるが、その実施態様と組み合わされる実施態様と矛盾しないことが条件である。
【0023】
本発明で想定する置換基の組み合わせと変数の組み合わせは、安定な化合物を形成することになる組み合わせだけである。「安定な」という用語は、本明細書では、製造を可能にするのに十分な安定性を持っていて、本明細書に詳述されている目的(例えば対象への治療剤投与)に役立つのに十分な期間にわたって化合物の完全性が維持される化合物を意味する。
【0024】
さらに、本明細書に記載されている各実施態様は、その範囲に、本明細書に記載されている化合物の塩(例えば医薬として許容可能な塩)を想定する。したがって「またはその塩」(「またはその医薬として許容可能な塩」も含む)という表現が、本明細書に記載されているあらゆる化合物の記述に暗示的に含まれている。本発明は特に、塩でない形態の本明細書に記載のあらゆる化合物にも関する。
【0025】
式(I)の化合物において、それぞれのR1は、独立に、ハロ、メチル、トリフルオロメチルから選択されるが、それぞれのR1はフルオロであることが好ましい。各置換基R1は、このR1が結合するピリジン環の使用可能な任意の環C原子の位置に配置するできることが理解されよう。
【0026】
式(I)の化合物において、mは0であることが好ましい。
【0027】
式(I)の化合物において、Aは環式基であり、
i)5員か6員の単環ヘテロアリール環、または9員か10員の二環ヘテロアリール環で、完全に芳香族であるものと
ii)飽和しているか一部が不飽和の炭素環または複素環に融合した5員か6員の単環ヘテロアリール環からなる9員か10員の二環ヘテロアリール環(ただしこの9員か10員の二環ヘテロアリール環は、前記5員か6員の単環ヘテロアリール環を通じて分子の残部に結合している)
から選択され、
Aは、このAを分子の残部に結合させている環原子に隣接した位置に1個の環N原子を含有しており、Aは、場合によっては、N、O、Sから独立に選択された1~3個の追加の環へテロ原子を含有し(Aの残るすべての環原子は炭素原子である)、Aは、場合によっては1個または2個のR2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR3で置換されている。環Aは、このAの環C原子または環N原子を通じて分子の残部に結合させることが可能であることが理解されよう。
【0028】
環Aに結合している各置換基R2またはR3は、利用できる任意の環原子の位置に配置できることが理解されよう。特に、任意の置換基R2またはR3(存在している場合)をAの環C原子または環N原子に結合させることができる。環Aが二環である場合には、置換基R2および/またはR3は、それぞれ、二環基Aを構成する環の任意の1つの使用できる任意の環原子(例えば利用できる任意の環C原子、または利用できる任意の環N原子)に結合させることが可能であることがさらに理解されよう。例えば環Aが二環である場合には、場合によっては存在する1個または2個の置換基R2(存在する場合)と場合によっては存在する置換基R3(存在する場合)を、Aを分子の残部に結合させている環原子を含有していない環に結合させること、または場合によっては存在するそれぞれの置換基を、二環基Aを構成する両方の環に結合させることができる。さらに、場合によっては存在する1個または2個の置換基R2(存在する場合)と場合によっては存在する置換基R3(存在する場合)は、典型的にはそれぞれがAの異なる環原子に結合することが理解されよう。場合によっては存在するこれら置換基のうちの2つをAの同じ環原子に結合させることは、対応する環原子が、利用できる結合部位を十分に有する場合にだけ可能である。例えばAが(ピロリジン環に融合したピリジン環で構成される)2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル環である場合には、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル環のピロリジン部分の環原子-CH2-は、場合によっては存在する上記の置換基のうちの2つで置換することができる(例えば2個の置換基R2で置換することによって環原子-C(R2)(R2)-になるか、1個の置換基R2と1個の置換基R3で置換することによって環原子-C(R2)(R3)-になる)。
【0029】
環式基Aの非限定的な例に含まれるのは、下記の表1に掲載されている基と、その任意の互変異性体である。
【0030】
【化3-1】
【化3-2】
ただし表1に記載されているどのA基も、場合によっては1個または2個のR
2で置換されており、それに加えてどのAも、場合によっては1個のR
3で置換されている。
【0031】
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物において、Aは、表1に掲載されている基(そのあらゆる互変異性体を含む)から選択され、Aは、場合によっては1個または2個のR2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR3で置換されている。
【0032】
式(I)の化合物において、Aの選択は、
i)5員か6員の単環ヘテロアリール環、または9員か10員の二環ヘテロアリール環で、完全に芳香族であるものと
ii)飽和しているか一部が不飽和の炭素環または複素環に融合した5員か6員の単環ヘテロアリール環からなる9員か10員の二環ヘテロアリール環(ただしこの9員か10員の二環ヘテロアリール環は、前記5員か6員の単環ヘテロアリール環を通じて分子の残部に結合している)
からなされ、
Aは、このAを分子の残部に結合させている環原子に隣接した位置に1個の環N原子を含有しており、Aは、場合によっては、1~3個(好ましくは1個または2個)の追加の環N原子を含有し(Aの残るすべての環原子は炭素原子である)、Aは、場合によっては1個または2個のR2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR3で置換されていることが好ましい。
【0033】
より好ましいのは、式(I)の化合物において、Aが、5員か6員の単環ヘテロアリール環、または9員か10員の二環ヘテロアリール環で、完全に芳香族であるものであり、Aが、このAが分子の残部に結合している環原子に隣接した位置に1個の環N原子を含有しており、Aが、場合によっては1~3個(好ましくは1個または2個)の追加の環N原子を含有し(Aの残るすべての環原子は炭素原子である)、Aが、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR2で置換されており、それに加えてAが、場合によっては1個のR3で置換されていることである。
【0034】
より一層好ましいのは、式(I)の化合物において、Aが、下記の環式基:
【化4】
から選択され、Aが、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されており、それに加えてAが、場合によっては1個のR
3で置換されていることである。
【0035】
式(I)の化合物において、Aが、下記の環式基:
【化5】
から選択され、Aが、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されており、それに加えてAが、場合によっては1個のR
3で置換されていることが特に好ましい。
【0036】
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物において、Aは置換されている。すなわち、場合によっては存在する置換基R2および/またはR3のうちの少なくとも1つが存在する。この置換基は、すでに指摘したように、Aの使用できる任意の環原子(利用できる任意の環N原子が含まれる)に結合させることができる。いくつかの実施態様では、式(I)の化合物において、Aは1個のR3で置換され、それに加えて、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR2で置換されている。
【0037】
別のいくつかの実施態様では、式(I)の化合物において、Aは置換されていない(すなわちAは、場合によっては存在する置換基R2またはR3をまったく持たない)。
【0038】
いくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物において、Aは、
【化6】
であり、Aは、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR
3で置換されているが、好ましいのは、Aが、1個のR
3で置換され、それに加えて、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されていることである。いくつかの実施態様では、Aは1個のR
3で置換され、場合によっては存在する置換基R
2を持たない。置換基R
3は、存在する場合には、下記の化学式:
【化7】
に示されている番号に従うと、ピリジル環Aの4位または5位にある環C原子の位置に存在することが好ましい。
【0039】
別のいくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物において、Aは、
【化8】
であり、Aは、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR
3で置換されている。場合によっては存在する1個または2個の置換基R
2(存在する場合)と、場合によっては存在する置換基R
3(存在する場合)は、環Aのピロール環形成部分に結合することが好ましい。いくつかの実施態様では、Aは置換されていない。より好ましいのは、Aが1個のR
3で置換され、それに加えて、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されていることである。その場合、置換基R
3と、場合によっては存在する1個または2個の置換基R
2(存在する場合)は、環Aのピロール環形成部分に結合することが好ましい。
【0040】
別のいくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物において、Aは、
【化9】
であり、Aは、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR
3で置換されている。場合によっては存在する1個または2個の置換基R
2(存在する場合)と、場合によっては存在する置換基R
3(存在する場合)は、環Aのピロール環形成部分に結合することが好ましい。いくつかの実施態様では、Aは置換されていない。いくつかの別の好ましい実施態様では、Aは1個のR
3で置換され、それに加えて場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されている。その場合、置換基R
3と、場合によっては存在する1個または2個の置換基R
2(存在する場合)は、環Aのピロール環形成部分に結合することが好ましい。
【0041】
別のいくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物において、Aは、
【化10】
であり、Aは、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR
3で置換されている。
【0042】
別のいくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物において、Aは、
【化11】
であり、Aは、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR
3で置換されている。
【0043】
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物において、それぞれのR2は、独立に、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、-(C1-4アルキレン)-OR4から選択される。
【0044】
式(I)の化合物において、それぞれのR2は、独立に、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、-(C1-4アルキレン)-OR4から選択されることが好ましい。いくつかの実施態様では、それぞれのR2は、独立に、C1-4アルキルと-(C1-4アルキレン)-OR4から選択される。いくつかの実施態様では、1個のR2は、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えばn-ブチル)から選択される。いくつかの実施態様では、1個のR2は-CH2CH2-OCH3である。
【0045】
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物において、R3は、-L1-R5、-L2-OR6、-L3-NR7R8、-CONR9R10、-NR11COR12、-Y-L7-NR7R8から選択され、その中のYは-O-と-NR13-から選択される。
【0046】
いくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物において、R3は-L1-R5であり、その中のR5はヘテロシクリルとヘテロアリールから選択され、そのヘテロシクリルとヘテロアリールは、それぞれ、場合によっては1個以上のR16で置換されている。
【0047】
いくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物において、R3は、-CONR9R10または-NR11COR12である。
【0048】
いくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物において、R3は-Y-L7-NR7R8であり、その中のYは-O-と-NR13-から選択される。
【0049】
いくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物において、R3は-OR6であり、その中のR6は-L1-R5であり、-L1-R5の中のL1はC1-6アルキレンであることが好ましく、C1-4アルキレンであることがより好ましく、-L1-R5の中のR5は、ヘテロシクリルとヘテロアリールから選択されることが好ましく、そのヘテロシクリルとヘテロアリールは、それぞれ、場合によっては1個以上のR16で置換されている。あるいはR3は-NR7R8であり、その中のR7とR8の一方は-L1-R5であり、-L1-R5の中のL1はC1-6アルキレンであることが好ましく、C1-4アルキレンであることがより好ましく、-L1-R5の中のR5は、ヘテロシクリルとヘテロアリールから選択されることが好ましく、そのヘテロシクリルとヘテロアリールは、それぞれ、場合によっては1個以上のR16で置換されている。
【0050】
いくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物において、R3は、-L2-OR6または-L3-NR7R8であり、その中のL2とL3は、それぞれ独立に、C1-6アルキレン(好ましくはC1-4アルキレン)から選択される。
【0051】
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物において、R11、R13、R14、R15は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキルから選択される。
【0052】
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物において、それぞれのR16は、独立に、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、ハロ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、-OH、-NR17R18、-COR19、-CN、C3-7シクロアルキルから選択される。
【0053】
好ましい一実施態様は、式(I)の化合物またはその塩であって、
Aは環式基であり、
i)5員か6員の単環ヘテロアリール環、または9員か10員の二環ヘテロアリール環で、完全に芳香族であるものと
ii)飽和しているか一部が不飽和の炭素環または複素環に融合した5員か6員の単環ヘテロアリール環からなる9員か10員の二環ヘテロアリール環(ただしこの9員か10員の二環ヘテロアリール環は、前記5員か6員の単環ヘテロアリール環を通じて分子の残部に結合している)
から選択され、好ましくは、Aは、5員か6員の単環ヘテロアリール環、または9員か10員の二環ヘテロアリール環で、完全に芳香族であるものであり、
Aは、このAを分子の残部に結合させている環原子に隣接した位置に1個の環N原子を含有しており、Aは、場合によっては、1~3個(好ましくは1個または2個)の追加の環N原子を含有し(Aの残るすべての環原子は炭素原子である)、Aは、場合によっては1個または2個のR2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR3で置換され;
R3は、存在する場合には、-L1-R5、-L2-OR6、-L3-NR7R8、-CONR9R10、-NR11COR12、-Y-L7-NR7R8から選択され、その中のYは-O-と-NR13-から選択され;
好ましくはmが0であるものに関する。
【0054】
より好ましい一実施態様は、式(I)の化合物またはその塩であって、
Aは、下記の環式基:
【化12】
から選択され、好ましくはAは、下記の環式基:
【化13】
から選択され、Aは、場合によっては1個または2個(好ましくは1個)のR
2で置換されており、それに加えてAは、場合によっては1個のR
3で置換され;
R
3(存在する場合)は、-L
1-R
5、-L
2-OR
6、-L
3-NR
7R
8、-CONR
9R
10、-NR
11COR
12、-Y-L
7-NR
7R
8から選択され、その中のYは-O-と-NR
13-から選択され;
好ましくはmが0であるものに関する。
【0055】
特に好ましい一実施態様では、本発明により、式(IIa)または(IIb)を持つ式(I)の化合物:
【化14】
またはその塩が提供される。ただしZ
1、Z
2、Z
3のうちの1つはHであり、それ以外は、独立に、HとR
2から選択され、Z
1、Z
2、Z
3はすべてHであることが好ましく;
R
3は、-L
1-R
5、-L
2-OR
6、-L
3-NR
7R
8、-CONR
9R
10、-NR
11COR
12、-Y-L
7-NR
7R
8から選択されることが好ましく、R
3は、-OR
6、-NR
7R
8、-NR
11COR
12、-Y-L
7-NR
7R
8から選択されることがより好ましく、その中のYは-O-と-NR
13-から選択されることが好ましく;
mは0であることが好ましい。いくつかの好ましい実施態様では、式(IIa)または(IIb)の化合物において、R
3は-NR
11COR
12である。いくつかの別の好ましい実施態様では、式(IIa)または(IIb)の化合物において、R
3は-Y-L
7-NR
7R
8であり、Yは-O-と-NR
13-から選択される。いくつかの別の好ましい実施態様では、式(IIa)または(IIb)の化合物において、R
3は-OR
6であり、その中のR
6は-L
1-R
5であり、-L
1-R
5の中のL
1はC
1-4アルキレンであることが好ましく、-L
1-R
5の中のR
5はヘテロシクリルとヘテロアリールから選択されることが好ましく、そのヘテロシクリルとヘテロアリールは、それぞれが、場合によっては1個以上のR
16で置換されている。あるいはR
3は-NR
7R
8であり、その中のR
7とR
8の一方が-L
1-R
5であり、-L
1-R
5の中のL
1はC
1-4アルキレンであることが好ましく、-L
1-R
5の中のR
5はヘテロシクリルとヘテロアリールから選択されることが好ましく、そのヘテロシクリルとヘテロアリールは、それぞれが、場合によっては1個以上のR
16で置換されている。
【0056】
別の特に好ましい一実施態様では、本発明は、式(IIIa)または(IIIb)を持つ式(I)の化合物:
【化15】
またはその塩に関する。ただしZ
1、Z
2、Z
3のうちの1つはHであり、それ以外は、独立に、HとR
2から選択され;
R
3は、存在する場合には、-L
1-R
5、-L
2-OR
6、-L
3-NR
7R
8、-CONR
9R
10、-NR
11COR
12、-Y-L
7-NR
7R
8から選択されることが好ましく、その中のYは-O-と-NR
13-から選択されることが好ましく、R
3は、-L
1-R
5、-L
2-OR
6、-L
3-NR
7R
8、-CONR
9R
10から選択されることがより好ましく、その中のL
2とL
3は、それぞれ独立に、C
1-4アルキレンから選択され;
mは0であることが好ましい。いくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物は、式(IIIa)の化合物である。いくつかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物は、式(IIIb)の化合物である。いくつかの好ましい実施態様では、式(IIIa)または(IIIb)の化合物において、Z
1、Z
2、Z
3のうちの1つ(好ましくはZ
2)はR
3であり、それ以外は、独立に、HとR
2から選択され、R
3は-CONR
9R
10である。いくつかの別の好ましい実施態様では、式(IIIa)または(IIIb)の化合物において、Z
1、Z
2、Z
3のうちの1つはR
3であり、それ以外は、独立に、HとR
2から選択され、R
3は-L
1-R
5であり、-L
1-R
5の中のR
5はヘテロシクリルとヘテロアリールから選択されることが好ましく、そのヘテロシクリルとヘテロアリールは、それぞれが、場合によっては1個以上のR
16で置換されている。いくつかの別の好ましい実施態様では、式(IIIa)または(IIIb)の化合物において、Z
1、Z
2、Z
3のうちの1つはR
3であり、それ以外は、独立に、HとR
2から選択され、R
3は-L
2-OR
6または-L
3-NR
7R
8であり、その中のL
2とL
3は、それぞれ独立に、C
1-4アルキレンから選択される。
【0057】
別の特に好ましい一実施態様では、本発明は、式(IVa)を持つ式(I)の化合物:
【化16】
またはその塩に関する。ただしZ
1、Z
2、Z
3、Z
4のうちの1つはR
2、R
3、Hから選択され、それ以外は、独立に、HとR
2から選択されるが、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4のうちの2つまでだけがR
2であり;
mは0であることが好ましい。いくつかの好ましい実施態様では、式(IVa)の化合物において、Z
4は、R
2、R
3、Hから選択され、Z
1、Z
2、Z
3は、独立に、HとR
2から選択されるが、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4のうちの2つまでだけがR
2であり、Z
3はHであることが好ましい。いくつかの好ましい実施態様では、式(IVa)の化合物において、Z
4は、R
2、R
3、Hから選択され、Z
1、Z
2、Z
3はHである。
【0058】
別の特に好ましい一実施態様では、本発明は、式(IVa-1)を持つ式(I)の化合物:
【化17】
またはその塩に関する。ただしZ
1、Z
2、Z
3のうちの1つはR
3またはHであり、それ以外は、独立に、HとR
2から選択され、Z
1、Z
2、Z
3はすべてHであることが好ましく;
mは0であることが好ましい。
【0059】
別の特に好ましい一実施態様では、本発明は、式(IVb)を持つ式(I)の化合物:
【化18】
またはその塩に関する。ただしZ
1、Z
2、Z
3、Z
4のうちの1つはR
2、R
3、Hから選択され、それ以外は、独立に、HとR
2から選択されるが、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4のうちの2つまでだけがR
2であり;
mは0であることが好ましい。
【0060】
別の特に好ましい一実施態様では、本発明は、式(IVb-1)を持つ式(I)の化合物:
【化19】
またはその塩に関する。ただしZ
1、Z
2、Z
3のうちの1つはR
3またはHであり、それ以外は、独立に、HとR
2から選択され;
mは0であることが好ましい。
【0061】
いくつかの実施態様では、本発明により、
3-(2-(1-ブチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル) 1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-プロピル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
1-ブチル-N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
N,N-ジエチル-3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロパン-1-アミン、
1-ブチル-N-エチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
4-(3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル) オキシ)プロピル)モルホリン、
3-(5'-(3-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(3-(ピペリジン-1-イルメチル)-1-プロピル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
4-((1-プロピル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-3-イル)メチル)モルホリン、
N-ブチル-3-メトキシ-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)プロパンアミド、
N-(シクロプロピルメチル)-N-メチル-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-アミン、
N1,N1-ジエチル-N3-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)プロパン-1,3-ジアミン、
N-(3-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)プロピル)-N-メチル-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-アミン、
N,N-ジエチル-3-(2-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)ピリミジン-5-イルオキシ)プロパン-1-アミン、
N1,N1-ジエチル-N3-メチル-N3-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-2,2'-ビピリジン-5-イル)プロパン-1,3-ジアミン、
3-(2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N-エチル-N-フェネチル-3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロパン-1-アミン、
2-フェニル-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)アセトアミド、
3-(2-(1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(4'-(2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エトキシ)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
4-(2-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)オキシ)エチル)モルホリン、
N,N,1-トリメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-(2-(1-プロピル-3-(1H-ピラゾル-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
1-ブチル-N,N-ジエチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)アセトアミド、
N-(2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エチル)-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-アミン、
3-(2-(3-(ピペリジン-1-イルメチル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
1-メチル-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)ピペリジン-4-カルボキサミド、
3-フェニル-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)プロパンアミド、
2-シクロブチル-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)アセトアミド、
N-(ピペリジン-3-イル)-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-カルボキサミド、
3-(5'-(3-(1H-ピラゾル-1-イル)プロポキシ)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
(1-プロピル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-3-イル)メタノール、
3-(2-(3-(メトキシメチル)-1-プロピル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
(1-ブチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-3-イル)メタノール、
3-(2-(1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(ピリジン-4-イルメチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N-((1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-カルボキサミド、
N-((1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)-4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-カルボキサミド、
3-(2-(1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-メチル-3-(1H-ピラゾル-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-ブチル-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N-メチル-3-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-2,2'-ビピリジン-5-イルオキシ) プロパン-1-アミン、
1-(1-ブチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルメタナミン、
3-(2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)ピペリジン-3-カルボキサミド、
1-(2-メトキシエチル)-N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-3-(1H-ピラゾル-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-メチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
2-(メチル(3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロピル)アミノ)エタン-1-オール、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(2-(2-メトキシエチル)-2H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロパン-1-アミン、
3-(2-(1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-エチル-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(2-(1-メチル-1H-イミダゾル-2-イル)エチル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-((1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-6-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾールから選択された式(I)の化合物、またはその塩が提供される。
【0062】
本発明による式(I)の化合物のさらに別の例に含まれるのは、下記の化合物:
【化20-1】
【化20-2】
とその塩である。
【0063】
特に好ましい一実施態様では、本発明により、
N,N-ジエチル-3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロパン-1-アミン、
1-ブチル-N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
N,N,1-トリメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-(2-(1-プロピル-3-(1H-ピラゾル-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)アセトアミド、
3-(2-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-エチル-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-(2-(1-メチル-1H-イミダゾル-2-イル)エチル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾールから選択された式(I)の化合物、またはその塩が提供される。
【0064】
本発明は、上記のリストに記載されている個々の任意の化合物、またはこれら化合物の任意の下位グループにも関する。
【0065】
さらに、本発明は、本明細書に記載、規定されている式(I)の化合物またはその塩(上記の任意の好ましい定義/実施態様を含む)にも関するが、式(I)からは以下の化合物が除外されることが好ましい:
3-(2-(チアゾル-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(2-メチルチアゾル-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-4-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)チアゾール-2-カルボキサミド、
3-(2-(オキサゾル-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(2-メチルオキサゾル-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-4-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)オキサゾール-2-カルボキサミド、
3-(2-(1H-イミダゾル-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1,2-ジメチル-1H-イミダゾル-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N,1-トリメチル-4-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボキサミド、
3-(2-(1H-ピロル-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(5-メチル-1H-ピロル-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド、
3-(2-(1,2,4-チアジアゾル-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(3-メチル-1,2,4-チアジアゾル-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1,2,4-チアジアゾール-3-カルボキサミド、
3-(2-(1,2,4-オキサジアゾル-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-メチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-カルボキサミド、
3-(2-(1H-1,2,4-トリアゾル-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(3-メチル-1H-1,2,4-トリアゾル-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド、
3-(2-(1H-ピラゾル-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(3-メチル-1H-ピラゾル-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド、
3-(2-(1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-4-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-カルボキサミド、
3-(2-(4H-1,2,4-トリアゾル-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(5-メチル-4H-1,2,4-トリアゾル-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド、
3-(2-(1,3,4-オキサジアゾル-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾル-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-カルボキサミド、
3-(2-(1,3,4-チアジアゾル-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(5-メチル-1,3,4-チアジアゾル-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
3-(2-(2H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-4-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-2H-1,2,3-トリアゾール-2-カルボキサミド、
3-(2-(2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-カルボキサミド、
3-(2-(1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(4-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-4-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-カルボキサミド、
3-(2-(ピリダジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(6-メチルピリダジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-6-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)ピリダジン-3-カルボキサミド、
3-(2-(ピリミジン-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(2-メチルピリミジン-4-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-4-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)ピリミジン-2-カルボキサミド、
3-(2-(ピラジン-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(5-メチルピラジン-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
N,N-ジメチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、
3-(2-(インドリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1H-インドル-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾル-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1-メチル-1H-インダゾル-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(ベンゾ[d]イソチアゾル-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール、
3-(2-(イソキノリン-1-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(1,8-ナフチリジン-2-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2-(フタラジン-1-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール。したがって直前の文章で言及されている化合物のほか、その塩とその互変異性体は除外されることが好ましい。
【0066】
本明細書と請求項で用いられている具体的な用語の定義を以下に提示する。本明細書で用いられているが下に定義されていない他のあらゆる科学技術用語は、本発明の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、本明細書が、定義を含めて優先する。
【0067】
化学構造と本明細書に開示されている化合物の名称が矛盾する場合には、化学構造が優先する。
【0068】
本明細書のさまざまな箇所に、本発明の化合物の置換基が、グループまたは範囲で開示されている。本発明には、そのようなグループと範囲のメンバーのあらゆる個別の部分的組み合わせが含まれることが具体的に想定されている。
【0069】
本明細書のさまざまな箇所に、さまざまなアリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基が記載されている。特に断わらない限り、これらの環は、価数が許す限り、任意の環メンバーの位置で分子の残部に結合することができる。例えば「ピリジル」(またはピリジニル)という用語は、ピリジン-2-イル環、ピリジン-3-イル環、ピリジン-4-イル環を意味することができ、「ピペリジニル」という用語は、ピペリジン-1-イル環、ピペリジン-2-イル環、ピペリジン-3-イル環、ピペリジン-4-イル環を意味することができる。
【0070】
「n員」(ただしnは整数)という用語は、環系の中で環を形成している原子の数を記述しており、この場合には、環を形成している原子の数がnである。例えばフェニルは6員のアリールの一例であり、シクロプロピルは3員の炭素環の一例であり、ピラゾリルは5員のヘテロアリールの一例であり、キノリニルは10員のヘテロアリールの一例であり、ピペリジニルは6員のヘテロシクリルの一例であり、デカヒドロキノリニルは10員のヘテロシクリルの一例である。
【0071】
「Cy-z」(ただしyとzは整数である)という用語は、化学基と組み合わされて使用されて、その化学基の中の炭素原子の数の範囲を示しており、yとzが端点であり、その数が含まれる。例に含まれるのは、C1-6、C2-6、C3-7などである。
【0072】
「Cy-zアルキル」という用語は、飽和した直鎖または分岐鎖の非環式炭化水素基で、y個~z個の炭素原子を持つものを意味する。例えばC1-6アルキルは、1~6個の炭素原子を持つアルキルである。C1-6アルキルの非限定的な例に含まれるのは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、s-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシルである。
【0073】
「Cy-zアルコキシ」という用語は、酸素原子に共有結合した(上に定義した)Cy-zアルキル、すなわち式-O-アルキルの基(このアルキル基はy個~z個の炭素原子を持つ)を意味する。したがってC1-6アルコキシという用語は、アルキル部分が1~6個の炭素原子を持つアルコキシ基を意味する。C1-6アルコキシの非限定的な例に含まれるのは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキシルオキシである。
【0074】
「Cy-zアルキレン」という用語は、飽和した直鎖または分岐鎖の2価非環式炭化水素基で、y個~z個の炭素原子を持つもの意味する。したがって例えばC1-6アルキレンは、1~6個の炭素原子を持つアルキレンである。このアルキレン基は、ポリメチレン基、すなわち(CH2)xであることが好ましい。ただしxは、各アルキレン基の中のCH2単位の数を示しており、例えば1~6である。C1-6アルキレンの非限定的な例に含まれるのは、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレンである。
【0075】
「アリール」という用語は、特に断わらない限り、水素原子と炭素原子だけを含有する6員~18員の単環または多環(例えば融合環、架橋環、スピロ環)の炭化水素環系で、この環系の中の少なくとも1つの環が芳香族であるものを意味する。したがって本明細書で用いられているアリールは、完全な芳香族炭化水素環系、すなわち系の中のすべての環が芳香族であるもの(フェニル、ナフチル、アントラシルなど)のほか、芳香族炭化水素環環(例えばフェニル)が1つ以上の非芳香族(すなわち飽和した、または部分的に不飽和の)炭化水素環に融合した環系(インダニル、インデニル、1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、テトラヒドロナフチル、フルオレニルなど)をカバーする。いくつかの実施態様では、結合点は、芳香族炭化水素環の上にある。いくつかの実施態様では、アリール基は、6~10個の炭素原子を有する。いくつかの実施態様では、アリール基は、完全に芳香族の炭化水素環系である。アリール基はフェニルであることが好ましい。アリール基は、本明細書の別の箇所に記載されているように、場合によっては置換することができ、置換基は、環系内の使用できる任意の位置に配置することができる。
【0076】
「結合」という用語は、特に断わらない限り、単結合を意味する。
【0077】
「炭素環」という用語は、特に断わらない限り、水素原子と炭素原子だけを含有する3員~18員の単環または多環(例えば融合環、架橋環、スピロ環)の非芳香族炭化水素環系を意味する。環系の中のそれぞれの環は、完全に飽和しているか、一部が不飽和である。すなわちどの環も芳香族ではない。炭素環基の1個以上の環炭素原子は、それぞれ、場合によっては酸化されてCO基を形成することができる。いくつかの実施態様では、炭素環は、3~10個の炭素原子を含有している。いくつかの実施態様では、炭素環は、完全に飽和した炭化水素環系である。すなわち炭素環は、不飽和をまったく含有していない。完全に飽和した炭素環を、本明細書では「シクロアルキル」とも呼ぶ。炭素環の非限定的な例に含まれるのは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、アダマンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、デカリニルなどである。炭素環は、C3-7シクロアルキルであることが好ましい。炭素環基は、本明細書の別の箇所に記載されているように、場合によっては置換することができ、置換基は、環系内の使用できる任意の位置に配置することができる。
【0078】
「C3-7シクロアルキル」という用語は、3~7個の環形成炭素原子を有する単環シクロアルキルを意味し、その中には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルが含まれる。シクロアルキル基は、本明細書の別の箇所に記載されているように、場合によっては置換することができ、置換基は、環系内の使用できる任意の位置に配置することができる。
【0079】
「ハロ」または「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨードのいずれかを意味する。ハロはフルオロであることが好ましい。
【0080】
「Cy-zハロアルキル」という用語は、本明細書に定義されているように、y~z個の炭素原子を持っていて、1個以上のハロ(同じでも異なっていてもよい)で1回以上置換されたアルキル基を意味する。したがってC1-6ハロアルキルは、1個以上のハロで1回以上置換された C1-6アルキルである。ハロアルキル基には、ペルハロアルキル基、すなわちすべての水素原子がハロで置換されたアルキル基が含まれる。ハロアルキル基の非限定的な例に含まれるのは、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロ-2-フルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチルクロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、1,2-ジクロロエチル、3,3-ジクロロプロピルなどである。いくつかの実施態様では、ハロアルキルは、フルオロアルキル、すなわち、1個以上のフルオロで1回以上置換されたアルキル基である。
【0081】
「Cy-zハロアルコキシ」という用語は、本明細書に定義されているように、y~z個の炭素原子を持っていて、酸素原子に共有結合したハロアルキル基、すなわち式が-O-Cy-zハロアルキルである基を意味する。したがってC1-6ハロアルコキシ基は、ハロアルキル部分が1~6個の炭素原子を有するハロアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシ基の非限定的な例に含まれるのは、トリフルオロメトキシ、2-フルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、3-クロロプロポキシ、3-フルオロプロポキシ、ヘプタフルオロプロポキシなどである。
【0082】
「ヘテロアリール」という用語は、特に断わらない限り、C原子に加えて、N、O、Sから独立に選択された1~6個のヘテロ原子を含む5員~18員の単環または多環(例えば融合環、架橋環、スピロ環)の複素環系で、この環系の中の環の少なくとも1つが芳香族であってヘテロ原子の少なくとも1つを含むものを意味する。したがって本明細書では、ヘテロアリールは、完全な芳香族環系、すなわち系内のすべての環が芳香族であるもの(イミダゾリル、ピリジル、キノリル、ピリド[2,3-d]ピリミジルなど)と、芳香族複素環が1個以上の非芳香族の(すなわち飽和しているか一部が不飽和な)炭素環または複素環に融合した基(5,6,7,8-テトラヒドロキノリン、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,8-ナフチリジンなど)をカバーする。ヘテロ原子は、場合によっては酸化されていてもよい。同様に、ヘテロアリールが、1個以上の非芳香族の炭素環または複素環に融合した芳香族複素環を含んでいるときには、非芳香族の炭素環または複素環の中の1個以上の環炭素原子は、それぞれ、場合によっては酸化されてCO基を形成することができる。ヘテロアリール基は、任意のC原子またはN原子を通じて分子の残部に結合させることができ、その結果として安定な構造になる。いくつかの実施態様では、結合点は、芳香族複素環上にある。いくつかの実施態様では、ヘテロアリール基は1~4個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施態様では、ヘテロアリール基は1~3個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施態様では、ヘテロアリールは、5員~6員の単環であるか、9員~10員の二環である。いくつかの実施態様では、ヘテロアリールは、5員~6員の単環である。いくつかの実施態様では、ヘテロアリール基は、完全に芳香族である。ヘテロアリール基の非限定的な例に含まれるのは、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、トリアジン、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、フタラジニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、フロピリジニル、アクリジニル、フェナジニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,8-ナフチリジンなどである。ヘテロアリール基は、本明細書の別の箇所に記載されているように、場合によっては置換することができ、置換基は、環系内の使用できる任意の位置に配置することができる。
【0083】
「ヘテロシクリル」という用語は、特に断わらない限り、C原子に加えて、N、O、Sから独立に選択された1~6個のヘテロ原子を含む3員~18員の一部が不飽和であるか完全に飽和した単環または多環(例えば融合環、架橋環、スピロ環)の複素環系を意味する。窒素原子またはイオウ原子は、場合によっては酸化されていてもよく(例えば-N=O、-S(=O)-、-S(=O)2-)、それに加えて、複素環の1個以上の環炭素原子は、それぞれ、場合によっては酸化されてCO基を形成することができる。「ヘテロシクリル」は、本明細書では、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキソリル、カルバゾリル、フタリミジルなどにおけるように、一部が不飽和であるか完全に飽和した複素環が1個以上のフェニル環に融合した基も含んでいる。ヘテロシクリルは、任意の環C原子または環N原子を通じて分子の残部に結合させることができ、その結果として安定な構造になる。いくつかの実施態様では、ヘテロシクリルは、3員~7員の単環である。ヘテロシクリル基の非限定的な例に含まれるのは、ピロリジニル、2-オキソ-ピロリジニル、 テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピロリニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、インドリニル、1-オキソイソインドリニル、デカヒドロキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、6-アザビシクロ[3.3.1]ヘプタニル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、3-アザスピロ[5.5]ウンデカニル、7-アザスピロ[3.5]ノナニル、カルバゾリル、フタリミジル、テトラヒドロチオピラニル、1,1-ジオキシド、2-アザスピロ[4.5]デカニル、2,3-ジヒドロスピロ[インデン-1,4´-ピペリジニル]などである。ヘテロシクリル基は、本明細書の別の箇所に記載されているように、場合によっては置換することができ、置換基は、環系内の使用できる任意の位置に配置することができる。
【0084】
「場合によっては置換された」という表現は、置換されていないこと、または置換されていることを意味する。本明細書では、「置換された」という用語は、水素原子が除去されて1価の置換基で置き換えられていることを意味する。所与の原子の位置の置換は価数によって制限されることを理解すべきである。特に断わらない限り(または価数によって制限されない限り)、「1つ以上の」置換基で場合によっては置換された基は、置換されていないか、例えば1個、または2個、または3個(特に1個または2個)の置換基を持つことができる。
【0085】
「CO」という用語は、本明細書では、カルボニル基を意味する。
【0086】
本明細書で環に関して用いられる「一部が不飽和の」という表現は、環原子の間に少なくとも1つの二重結合を含むが、完全に不飽和(すなわち芳香族)ではない環を意味する。
【0087】
「飽和した」という用語は、「完全に飽和した」と交換可能に用いられ、環に関して本明細書で用いられるときには、不飽和をまったく含まない環を意味する。
【0088】
「完全に芳香族の」という表現は、「芳香族」と交換可能に用いられ、環に関して本明細書で用いられるときには、完全に不飽和である環を意味する。
【0089】
化学式の図に現われる波線
【化21】
は、分子の残部への結合点を示す。
【0090】
1つの変数が2回以上現われる本発明の化合物については、各変数として、その変数を規定する基から独立に選択された異なる部分が可能である。例えば同じ化合物に2個のR基が同時に存在する構造が記載されている場合には、その2個のR基は、そのRに関して規定されている基から独立に選択された異なる部分を表わすことができる。
【0091】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含有できるため、立体異性体が生じる可能性がある。特に断わらない限り、あらゆる立体異性体(鏡像異性体、ジアステレオマー、これらの混合物など)が想定されている。置換された不斉炭素原子を含有する本発明の化合物は、光学活性な形態またはラセミ混合物の中で単離することができる。光学的に不活性な出発材料から光学活性な形態を調製する方法は本分野で知られており、例えばラセミ混合物の分割、または立体選択的合成による方法が含まれる。
【0092】
本明細書に提示されている化合物は、いくつかの実施態様では、互変異性体として存在することができる。化合物が互変異性体を有するときには、あらゆる互変異性体が本発明の範囲に含まれると理解すべきである。「互変異性体」は、陽子が同じ分子の1つの原子から別の原子分子へと移動することが可能な分子を意味する。その例に含まれるのは、ケトン-エノールペアと、陽子が複素環系の2つ以上の位置を占めることのできる環状形態(例えば1H-イミダゾール、3H-イミダゾール)である。互変異性形体は、適切な置換により、平衡状態にすること、または立体的に1つの形態に固定することができる。
【0093】
本発明の化合物には、式(I)の化合物の標識されていない形態のほか、その化合物が同位体で標識された形態が含まれる。同位体で標識された形態の化合物は、1個以上の原子が、同位体が豊富な対応する原子で置換されている点だけが異なる化合物である。本発明の化合物に組み込める同位体の例に含まれるのは、例えば、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、塩素、ヨウ素の同位体であり、その例は、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Cl、125Iである。同位体で標識されたこのような化合物は、例えば生物学的アッセイにおけるプローブとして、または分析ツールとして、または治療剤として有用である。
【0094】
「多形」または「結晶形態」は、化合物(またはその塩、またはその溶媒和物)が、元素組成はすべて同じだが、異なる結晶充填配置で結晶化することのできる結晶構造を意味する。異なる結晶形態は、通常は、特に異なるX線回折パターン、および/または異なる赤外線スペクトル、および/または異なるラマンスペクトル、および/または異なる融点、および/または異なる示差走査熱量測定(DSC)スペクトル、および/または異なる結晶形、および/または異なる溶解度、および/または異なる安定性を有する。本発明の化合物が異なる固体形態で存在しているとき、そのあらゆる形態が、アモルファス形態と結晶形態を含め、本発明の範囲に含まれることが想定されている。
【0095】
「本発明の化合物」、「本明細書に記載されている化合物」などの表現は、式(I)の化合物(本明細書と請求項に記載されている式(I)の化合物のあらゆる下位化合物のほか、実施例に記載されている化合物を含む)を含むことを意味し、その中には、そのあらゆる立体異性体、互変異性体、同位体で標識された形態、多形が含まれる。
【0096】
本発明には、本発明の化合物の塩も含まれる。その塩は、医薬として許容可能な塩であることが好ましい。本明細書では、「医薬として許容可能な塩」は、親化合物の生物学的な有効性と特性を保持するとともに、生物学的にもそれ以外にも望ましくない点のない塩を意味することが想定されている。医薬として許容可能な塩には、無機塩基または有機塩基を用いて形成される塩と、無機酸と有機酸を用いて形成される塩が含まれる。医薬として許容可能な塩は、本分野でよく知られている。医薬として許容可能な代表的な塩には、本発明の化合物を無機酸または有機酸と反応させることによって調製される塩が含まれ、それは例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、ジヒドロリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、酢酸塩、ハロ酢酸塩(例えばトリフルオロ酢酸塩)、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン-スルホン酸塩、エタン-スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩、ピルビン酸塩、ステアリン酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩である。本発明の化合物が酸性部分を有するとき、その医薬として許容可能な適切な塩に含めることができるのは、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩)、適切な有機リガンド(アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、リシン、アルギニン、N-メチルグルカミン、プロカインなど)を用いて形成された塩である。医薬として許容可能な本発明の塩は、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から従来の化学的方法によって調製することができる。例えばそのような塩は、適切な溶媒の中で、これら化合物の遊離した酸形態または塩基形態を、化学量論的な量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製できる。
【0097】
それに加え、本発明の化合物またはその塩は、水和した形態で、または水和していない(無水)形態で、または他の溶媒分子との溶媒和物として、存在することができる。「溶媒和物」は、本明細書では、化学量論的な量または非化学量論的な量の溶媒を含有する溶媒添加形態を意味する。いくつかの化合物は、結晶した固体状態では固定されたモル比の溶媒分子を捕捉する傾向を有するため、溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合には、形成される溶媒和物は水和物である。溶媒和物の非限定的な例に含まれるのは、アルコールとの水和物と溶媒和物(アルコラートとも呼ばれる)(例えばエタノールとの水和物と溶媒和物(エタノラート))である。本発明の化合物(またはその塩)が溶媒和物として存在しているときには、そのすべての溶媒和物、特に医薬として許容可能な溶媒和物が、本発明の範囲に含まれることが想定されている。本明細書では、「医薬として許容可能な溶媒和物」は、医薬として許容可能な溶媒を用いて形成された溶媒和物である。医薬として許容可能な溶媒は本分野で周知であり、水やエタノールなどの溶媒が含まれる。
【0098】
本発明の化合物は、その塩を含め、市販の出発材料または容易に調製される中間体から出発して、標準的な合成法と手続きにより、多数の合成経路(下記の一般的な合成経路が含まれる)を利用して調製することができる。有機化合物の標準的な合成法および調製手続きと、官能基の変換および操作は本分野で知られており、標準的な教科書、例えばSmith M.B.、『March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure』、第7版、Wiley社、2013年;Greene TWとWuts PGM、『Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis』、第4版、Wiley社、2006年に見いだすことができる。
【0099】
下記の反応スキームは、本発明の化合物を得るための方法の図解としての意味しかない。式(I)の化合物に到達するのに、当業者に知られている他の経路のほか、他の反応物と中間体も利用することができる。
【0100】
下記の方法のいくつかでは、反応性の基または不安定な基を従来の保護基で保護することが必要となる可能性、または推奨される可能性がある。これら保護基の性質と、保護基の導入および除去のための手続きの両方とも、本分野において周知である(例えばGreene TWとWuts PGM、上記文献を参照されたい)。保護基が存在しているときにはいつでも、その後の脱保護工程が必要とされ、それは、本分野で周知の標準的な条件(例えば上記参照文献に記載されている条件)下で実施することができる。
【0101】
特に断わらない限り、下記の方法では、各合成中間体と式(I)の各化合物の中の異なる置換基の意味は、上に記載した意味である。
【0102】
一般に、式(I)の化合物は、下記のスキーム1に示した手続きに従って取得することができる。
【0103】
【化22】
ただしR
1、m、環Aは、式(I)の化合物について記載したのと同じ意味であり、M、T、Xは、下に定義する意味を持つ。
【0104】
環Aは、このAの環C原子または環N原子を通じて分子の残部に結合させることができる。環Aが環C原子を通じて結合するとき、式(XI)の化合物は、有機金属種(V)または(VIII)をハロゲン化物(VI)または(VII)とクロスカップリング反応させることによって得られる。
【0105】
いくつかのクロスカップリング反応(鈴木クロスカップリング、スティルクロスカップリング、根岸カップリング、檜山カップリングが含まれる)を利用して、式(V)の化合物を式(VI)の化合物とカップリングさせること、または式(VII)の化合物を式(VIII)の化合物とカップリングさせることができる。鈴木クロスカップリングでは、Mはボロン酸またはボロン酸誘導体であり、Xは、Cl、Br、Iのいずれかである。スティル反応では、Mはトリアルキルスタンナニル基であり、Xは、Cl、Br、Iのいずれかである。根岸カップリングでは、Mはハロゲン化亜鉛であり、Xは、トリフルオロ酢酸塩、Cl、Br、Iのいずれかである。檜山カップリングでは、Mはトリアルキルシリル基であり、Xは、Cl、Br、Iのいずれかである。
【0106】
式(XI)の化合物を、スキーム1に示されている中間体との鈴木クロスカップリングを通じて調製するとき、反応は、適切な溶媒(テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなど)の中で、適切なCu塩(Cu(OAc)2、CuIなど)の存在下にて、適切なPd/リガンド組み合わせ(XPhosとPd2(dba)3またはPd(PPh3)4など)を利用し、適切な塩基(炭酸カリウムなど)を用いて実施することができる。反応温度は、典型的には室温から120℃までが可能であり、反応時間は、典型的には1時間~48時間である。ボロン酸誘導体の例に含まれるのは、特に、ボロン酸ジエチル誘導体、ボロン酸ジメチル誘導体、ボロン酸N-メチルイミノ二酢酸(MIDA)誘導体、ボロン酸2,2'-(フェニルアザンジイル)ビス(エタン-1-オール)誘導体である。
【0107】
式(XI)の化合物を、スキーム1に示されている中間体とのスティルクロスカップリングを通じて調製するとき、反応は、適切な溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドなど)の中で、適切なCu塩(CuI、CuOなど)の存在下にて、CsFの存在下または不在下で、適切なPd/リガンド組み合わせ(Pd(PPh3)4、Pd(PPh3)Cl2、Pd(dppb)Cl2など)を利用し、適切な塩基(炭酸カリウムなど)を用いて実施することができる。反応温度は、典型的には室温から120℃までが可能であり、反応時間は、典型的には1時間~48時間である。使用する有機スズとしてトリメチルスタンニル誘導体が可能である。分子間スティル-ケリー反応も利用することができ、その場合には両方の試薬がハロ誘導体であり、それらを、(Bu3Sn)2、Et4NI、Pd/リガンド組み合わせで処理する。
【0108】
式(XI)の化合物を、スキーム1に示されている中間体との根岸クロスカップリングを通じて調製するとき、反応は、適切な溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドなど)の中で、適切なPd/リガンド組み合わせ(PPh3とPd2(dba)3、XPhosとPd2(dba)3、RuPhosとPd2(dba)3またはPd(PPh3)4など)を用いて実施することができる。反応温度は、典型的には室温から120℃までが可能であり、反応時間は、典型的には1時間~48時間である。
【0109】
式(XI)の化合物を、スキーム1に示されている中間体との檜山クロスカップリングを通じて調製するとき、反応は、適切な溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドなど)の中で、適切なPd/リガンド組み合わせ(PdCl2(PPh3)2とPPh3、Pd(OAc)2とジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィンなど)を用い、適切なCu塩(CuI、CuBrなど)の存在下にて、フッ化テトラブチルアンモニウムの存在下または不在下で実施することができる。反応温度は、典型的には室温から120℃までが可能であり、反応時間は、典型的には1時間~48時間である。環Aが環N原子を通じて結合するとき、式(XI)の化合物は、式(IX)の化合物と式(X)の化合物(分子の残部と結合を形成するAの環N原子はNHの形態である)のクロスカップリング反応によって、または式(VII)の化合物と式(X)の化合物の間の置換反応によって得られる。クロスカップリング反応の場合には、チャン-ラム反応を利用して式(IX)の化合物を式(X)の化合物とカップリングさせることができる。この反応により、空気の存在下でのボロン酸、スタンナン、シロキサンのいずれかとN-H含有化合物の酸化的カップリングを通じて炭素-ヘテロ原子の結合を形成することが可能になる。式(IX)の化合物の中のTは、ホウ素、スズ、ケイ素いずれかの誘導体である。この反応は、空気の存在下において、適切な溶媒(CH2Cl2、ピリジン、DMSOなど)中で、塩基(NEt3、ピリジン、DMAPなど)の存在下または不在下にて、化学量論的な量または触媒量の銅塩(Cu(OAc)2やCuIなど)によって誘導される。反応温度は、典型的には室温から120℃までが可能であり、反応時間は、典型的には1時間~48時間である。あるいは式(XI)の化合物は、式(VII)の化合物と式(X)の化合物の間の置換反応によって得ることができる。この反応は、適切な溶媒(DMF、DMSO、THFなど)の中で、塩基(CsCO3、tBuOK、K2CO3、NaH、ピリジンなど)の存在下にて、銅誘導体(Cu2O、CuIなど)の存在下または不在下で実施することができる。反応温度は、典型的には室温から120℃までが可能であり、反応時間は、典型的には1時間~48時間である。
【0110】
式(I)の化合物は、式(XI)のシアノ誘導体から2工程で得られる。最初の工程で式(XI)のシアノ誘導体をヒドロキシルアミンと反応させることによって式(XII)のN'-ヒドロキシイミダミドに変換し、次いでその(XII)を無水トリフルオロ酢酸と縮合させることによって式(I)の化合物を得る。シアノ誘導体(XI)へのヒドロキシルアミンの付加は、適切な溶媒(EtOH、MeOHなど)の中で、クロルヒドリキシヒドロキシルアミンを用いる場合には塩基の存在下で実施する。反応温度は、典型的には室温から60℃までが可能であり、反応時間は、典型的には1時間~48時間である。適切な溶媒(CH2Cl2、THFなど)の中でのN'-ヒドロキシイミダミド(XII)と無水トリフルオロ酢酸の縮合によって対応するN'-トリフルオロアセチルオキシイミダミドが得られ、それをもとにして、同じ反応媒体の中で、またはトリフルオロ酢酸を添加した後に、式(I)の1,2,4-オキサジアゾールが得られる。
【0111】
あるいは式(I)の化合物は3つの工程で調製することもでき、シアノ誘導体(VII)からその1,2,4-オキサゾールを得た後に、適切な環A誘導体とのクロスカップリング反応または置換反応を実施する。シアノ誘導体(VII)をヒドロキシルアミンと反応させることによって中間体(XIII)が得られ、それを無水トリフルオロ酢酸と縮合させて式(XIV)の化合物を取得した後、適切な環A誘導体とのクロスカップリング反応または置換反応によって式(I)の化合物を得る。その概略が、スキーム2に示されている。クロスカップリング反応を利用して化合物(XIV)を式(I)の化合物に変換するときには、スキーム1におけるように、有機金属種が、式(XIV)のハロ誘導体または適切な環A誘導体から生成する可能性がある。スキーム2に概略が示されている反応は、上記のスキーム1に関して記載したのと同じ反応条件で実施することができる。
【0112】
【化23】
ただしR
1、m、環Aは、式(I)の化合物について記載したのと同じ意味であり、Xは、上に定義した意味を持つ。
【0113】
式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)の化合物は、市販されているか、有機化学の当業者に周知の標準的な手続きに従って取得することができる。
【0114】
式(V)、(VIII)、(IX)の有機金属誘導体と、式(XIV)の化合物からの誘導体は、有機化学の当業者には周知の鈴木カップリング、スティルカップリング、檜山カップリング、根岸カップリング、チャン-ラムカップリングのための試薬を調製する標準的な手続きに従うトランスメタル化により、式(VII)と(XIV)の化合物から取得することができる。例えばボロン酸N-メチルイミノ二酢酸誘導体は、B(OiPr)3の存在下にて-78℃で式(VII)と(XIV)の化合物をnBuLiと反応させた後、N-メチルイミノ二酢酸を添加することによって調製することができる。トリメチルスズ誘導体は、トルエンの中で、式(VII)と(XIV)の化合物をヘキサメチル二スズおよびPd(PPh3)4と110℃で16時間反応させることによって調製することができる。有機亜鉛誘導体は、THFの中で室温にて式(VII)と(XIV)の化合物をZnで1時間~6時間処理することによって調製することができる。トリメチルシリル誘導体は、THFの中で、トリメチルシルクロリドの存在下にて式(VII)と(XIV)の化合物をnBuLiと-78℃で反応させることによって調製することができる。
【0115】
環Aへの置換基R2とR3の導入と、環Aの中の置換基R2とR3の変換は、有機化学の当業者に周知の標準的な手続きに従って実施することができる。その標準的な手続きに含まれるのは、例えば、標準的な条件下でアルキル化剤を用いて処理すること、または還元的アミノ化、すなわち還元剤(例えばシアノホウ水素化ナトリウムまたはトリアセトキシホウ水素化ナトリウム)の存在下でアルデヒドまたはケトンを用いて処理することによる第一級アミンまたは第二級アミンの置換;溶媒(ジメトキシエタン、N,N-ジメチルホルムアルデヒド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジオキサンなど)中での塩基(ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンなど)の存在下における活性化剤(ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、N-ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノ)カルボジイミド(EDC)など)による、または適切な塩基の存在下での酸塩化物との反応による、アミンからアミドへの変換;塩基性条件下でのアルキル化剤を用いた処理によるアミドのアルキル化;標準的な条件下でのアルコールからエーテルへの変換;標準的な酸化条件下でのアルコールの部分的酸化または全面的酸化によるケトン生成;還元剤(ホウ水素化ナトリウムなど)を用いた処理によるケトンの還元;P2O5またはPCl3の存在下でのSOCl2、PBr3、ホウ化テトラブチルアンモニウムとの反応によるアルコールからハロゲンへの変換;場合によっては適切な溶媒の存在下で、好ましくは加熱下でアミンと反応させることによるハロゲンからアミンへの変換;標準的な条件下での第一級アミドから-CN基への変換である。
【0116】
同様に、本発明の化合物の任意の芳香族環は、文献に広く記載されている求電子芳香族置換反応または求核芳香族置換反応を受けることができる。
【0117】
これら相互変換反応のいくつかは、実施例の中でより詳細に説明されている。当業者には明らかなように、これら相互変換反応は、式(I)の化合物に対して実施すること(そのため式(I)の化合物がさらに生成する)と、その中間体のあらゆる適切な合成に対して実施することができる。
【0118】
式(I)の化合物の塩は、本発明の化合物を最終的に単離して精製している間に取得すること、または式(I)の化合物を従来法で十分な量の望む酸(または塩基)を用いて処理して塩を調製することによって取得することができる。
【0119】
本発明の化合物を調製する方法によって立体異性体の混合物が生じる場合には、式(I)の化合物の個々の立体異性体は、例えば、立体異性体の混合物として得られる式(I)の化合物から出発して周知の方法を利用した分割により(例えば光学活性な酸を用いた塩形成によってジアステレオマーのペアを形成した後、遊離塩基の分別結晶化と再生により、またはキラル分取クロマトグラフィにより)得ることができる。あるいは光学的に純粋な、または鏡像異性体が豊富な合成中間体を得ることが可能であり、それをそのまま、キラル分割のための既知の任意の方法を利用して、上記の合成手続きの以後の工程におけるさまざまな段階で用いることができる。あるいは、キラルクロマトグラフィを利用することにより、光学的に純粋な、または鏡像異性体が豊富な最終化合物(または合成中間体)を得ることが可能である。
【0120】
本発明の化合物は、ヒストンデアセチラーゼの活性を抑制する。特に本発明の化合物は、HDAC6の強力な阻害剤であることが見いだされている。HDAC6阻害剤としての本発明の化合物の活性は、例えば実施例の項に記載されているインビトロアッセイを利用して求めることができる。特に実施例8には、HDAC6抑制活性を求める方法が記載されている。本発明の化合物は、実施例9に記載されている結果からわかるように、細胞内でHDAC6活性を抑制することも示された。HDAC6に対する選択性を他のHDACアイソフォームと比較して調べることは、本分野で周知の方法(例えば実施例8に記載されているのと同様のインビトロアッセイ)を利用し、興味ある対応するHDACアイソフォームを用いて実施することができる。本発明の化合物は、本発明の代表的な化合物を用いたHDAC2に対する実施例8の結果に示されているように、HDAC2よりもHDAC6に対する選択性を示すことが見いだされた。
【0121】
HDAC6はクラスIIbのHDACであり、基質(チューブリン、熱ショックタンパク質(HSP)90、コンタクチンなど)を脱アセチル化することができる。HDAC6は細胞質ゾルの中に局在していて、2つの触媒ドメインを有するとともに、遊離ユビキチンに結合できるほかモノユビキチン化されたタンパク質とポリユビキチン化されたタンパク質に結合できるC末端ジンクフィンガードメインを有する(Li他、FEBS J. 2013年2月;第280巻(3):775~793ページ)。HDAC6の中のユビキチン結合ドメインは、ユビキチンと、プロテアソーム系と、アグレソーム形成と、オートファジーの制御に関与するいくつかのタンパク質と関係している。それに加え、HDAC6がα-チューブリンを脱アセチル化する能力は、微小管を媒介としたプロセス(細胞移動、免疫シナプス形成、ウイルス感染、間違って折り畳まれたタンパク質の分解、ストレス顆粒の分解など)に影響を与える。HDAC6は、Hsp90を脱アセチル化し、そのシャペロン活性を調節することも示されているため、さまざまなHsp90関連細胞シグナル伝達経路を調節する(ストレス関連反応の制御など)。
【0122】
多くの研究が、がんにおけるHDAC6の役割を報告している。例えばHDAC6を抑制すると、前臨床モデルにおいて多発性骨髄腫の増殖が減少し、標準療法で用いられるプロテアソーム阻害剤とサリドマイド系免疫調節薬の効果が増強されることが示された(Santo他、Blood. 2012年3月15日;第119巻(11):2579~2589ページ;North他、PLoS One. 2017年3月6日;第12巻(3):e0173507ページ)。HDAC6を抑制すると、卵巣がん細胞、膵臓がん細胞、乳がん細胞における他の標準的な治療薬(パクリタキセルなど)の効果を増大させることも示された(Huang他、Oncotarget 2017 年1月10日;第8巻(2):2694~2707ページ)。HDAC6阻害剤の抗増殖活性は、前立腺がん細胞と黒色腫細胞でも観察された(Li他、Eur J Med Chem. 2015年7月15日;第100巻:270~276ページ;Seidel他、Biochem Pharmacol. 2016年1月1日;第99巻:31~52ページ)。それに加え、HDAC6阻害剤の生体内効果が、大腸がんと、炎症性乳がんと、白血病と、リンパ腫と、ARID1A変異卵巣異種移植モデルで報告されている(Yang他、J Med Chem. 2016年2月25日;第59巻(4):1455~1470ページ;Putcha他、Breast Cancer Res. 2015年12月8日;第17巻(1):149ページ;Bitler他、Nat Cell Biol. 2017年8月;第19巻(8):962~973ページ)。同様に、HDAC6をノックダウンすると、子宮平滑筋腫細胞と胃がん細胞の増殖を低下させる一方で、HDAC6の過剰発現は増殖を促進し、非小細胞肺がん細胞と膠芽腫細胞の薬剤耐性を促進する(Wei他、Reprod Sci. 2011年8月;第18巻(8):755~762ページ;Park他、Cancer Lett. 2014年11月1日;第354巻(1):97~106ページ;Wang他、Oncol Rep. 2016年7月;第36巻(1):589~597ページ;Wang他、Cancer Lett. 2016年月28日;第379巻(1):134~142ページ)。さらに、HDAC6阻害剤は、単独で用いるとき、または免疫チェックポイント阻害剤またはエピジェネティックな調節剤と組み合わせて用いるとき、黒色腫と非小細胞肺がんのモデルにおいて腫瘍に対する免疫応答を刺激することによって抗がん活性を有することが示された(Knox他、要約4055、AACR Annual Meeting 2017;2017年4月1日~5日;ワシントン、DC;Woan他、Mol Oncol. 2015年8月;第9巻(7):1447~1457ページ;Tavares他、ACS Med Chem Lett. 2017年9月 5日;第8巻(10):1031~1036ページ;Adeegbe他、Cancer Discov. 2017年8月;第7巻(8):852~867ページ)。
【0123】
HDAC6は、炎症性疾患と自己免疫疾患においてある役割を果たしていることも広く報告されている。HDAC6をノックアウトしたマウスは、循環している制御性T細胞の数が増加しており、これは免疫ホメオスタシスを維持する上で重要である。同様に、HDAC6特異的阻害剤は、炎症性腸疾患と移植片対宿主病のモデルにおいてTreg抑制活性を促進する(de Zoeten他、Mol Cell Biol. 2011年5月;第31巻(10):2066~2078ページ)。HDAC6阻害剤は、炎症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスのモデルにおいて疾患改変活性を有することが示された(Vishwakarma他、Int Immunopharmacol. 2013年5月;第16巻(1):72~78ページ;Regna他、Clin Immunol. 2016年1月;第162巻:58~73ページ)。HDAC6が欠けたマウスは、オートファジーの減少を示すが、これは慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する繊毛機能不全を改善する(Lam他、J Clin Invest. 2013年12月;第123巻(12):5212~5230ページ)。
【0124】
HDAC6阻害剤は、繊毛病の治療に有効であることも報告されている。繊毛病は、繊毛の構造または機能の欠陥に関連する遺伝子疾患であり、その中には特に、多発性腎嚢胞疾患、多発性肝嚢胞疾患、バルデ-ビードル症候群、網膜変性が含まれる。多発性腎嚢胞疾患のモデルにおいて、HDAC6阻害剤は嚢胞の形成を阻止し、腎機能を改善した(Cebotaru他、Kidney Int. 2016 年7月;第90巻(1):90~99ページ)。同様に、多発性肝嚢胞疾患のモデルでは、HDAC6を医薬で抑制すると、嚢胞性胆管細胞の増殖が減少し、肝嚢胞の発達と線維症が減った(Gradilone他、Am J Pathol. 2014年3月;第184巻(3):600~608ページ)。
【0125】
HDAC6は、神経系の疾患において重要な役割を有することも示されている。特にHDAC6阻害剤は、末梢神経障害(シャルコー-マリー-トゥース病、化学療法剤誘発性末梢神経障害など)のモデルにおいて効果を示した(Benoy他、Neurotherapeutics. 2017 年4月;第14巻(2):417~428ページ;Krukowski他、Pain. 2017年6月;第158巻(6):1126~1137ページ)。それに加え、筋萎縮性側索硬化症の患者に由来するニューロン培養物では、HDAC6阻害剤を用いた治療によってその欠陥のある表現型から回復した(Guo他、Nat Commun. 2017年10月11日;第8巻(1):861ページ)。
【0126】
HDAC6阻害剤は、神経系の他のいくつかの疾患の治療にも有効であることが報告されている。例えばHDAC6の低減または抑制によってアルツハイマー病のマウスモデルにおいて記憶が回復し、認知が改善することが示されている(Govindarajan他、EMBO Mol Med. 2013年1月;第5巻(1):52~63ページ)。HDAC6の喪失または抑制は、神経突起タウ蓄積を抑制するため、HDAC6抑制は、アルツハイマー病の治療だけでなく、他のヒト4反復タウオパチー(大脳皮質基底核変性症や進行性核上性麻痺など)の治療にも有用である可能性がある(Tseng他、Cell Rep. 2017年8月29日;第20巻(9):2169~2183ページ)。さらに、ハンチントン病のモデルでは、HDAC6の抑制によってニューロンが変異ハンチンチンになりにくくなるため、ハンチントン病におけるHDAC6阻害剤の神経保護効果が示唆される(Guedes-Dias他、Biochim Biophys Acta. 2015年11月;第1852巻(11):2484~2493ページ)。
【0127】
HDAC6は、精神障害と行動障害(うつなど)においてある役割を果たしていることも報告されている。例えばHDAC6阻害剤は、マウスの探検行動を刺激し、不安テストと社会的相互作用テストにおいてプラスの効果を示した(Jochems他、Neuropsychopharmacology. 2014年1月;第39巻(2):389~400ページ)。
【0128】
さらに、いくつかの刊行物が、感染性疾患におけるHDAC6の重要な役割を強調している。HDAC6阻害剤を用いると、日本脳炎ウイルス(JEV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、狂犬病ウイルスなどのウイルスの複製が低下した(Lu他、Int J Mol Sci. 2017年5月1日;第18巻(5);Zan他、Front Cell Infect Microbiol. 2017年4月26日;第7巻:146ページ;Ai他、J Med Chem. 2015年1月22日;第58巻(2):785~800ページ)。HDAC6は、インフルエンザAウイルスが細胞に侵入しやすくすることと、他のウイルスのウイルス溶解-潜伏スイッチを制御していることも示された(Banerjee他、Science 2014年10月24日;第346巻(6208):473~477ページ)。例えばHDAC6は、HIV潜伏の維持に関与していることが示されたため、HDAC6を抑制すると、身体からのウイルスの排除を促進できる可能性がある(Huo他、J Biol Chem. 2011年3月18日;第286巻(11):9280~9286ページ)。さらに、選択的HDAC6阻害剤は、敗血症のモデルにおいて生存と細菌排除を改善した(Zhao他、J Trauma Acute Care Surg. 2016年1月;第80巻(1):34~40ページ)。
【0129】
いくつかの刊行物が、心血管疾患におけるHDAC6の役割も報告している。HDAC6をノックアウトしたマウスは、心不全のマウスモデルにおいて心臓の状態を改善することが示されている。さらに、HDAC6のないマウスは、うっ血性心不全において生命を脅かす合併症と見なされる骨格筋の消耗に抵抗する(Demos-Davies他、Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2014年7月15日;第307巻(2):H252~258ページ)。HDAC6を医薬で抑制すると、心房細動に関係する心房リモデリングから保護されることが示された(Zhang他、Circulation. 2014年1月21日;第129巻(3):346~358ページ)。ストレスを受けた心筋ではHDAC6活性が上昇しているため、心筋症におけるHDAC6阻害剤の役割が示唆される(Lemon他、J Mol Cell Cardiol. 2011年7月;第51巻(1):41~50ページ)。HDAC6を選択的に抑制すると出血性ショックの齧歯類モデルにおいて生存が改善することも報告されている(Chang他、J Trauma Acute Care Surg. 2015年12月;第79巻(6):905~910ページ)。さらに、HDAC6を抑制すると、実験モデルにおいて確立されている肺動脈高血圧が改善され、脳虚血のモデルにおいて神経保護効果を及ぼす(Boucherat他、Sci Rep. 2017年7月3日;第7巻(1):4546ページ;Liesz他、J Neurosci. 2013年10月30日;第33巻(44):17350~17362ページ)。
【0130】
したがって本発明の化合物は、HDAC(特にHDAC6)に関連する疾患の治療に有用であることが期待される。HDAC6に関連する疾患の非限定的な例に含まれるのは、
がん(肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がん、肝臓がん、脳腫瘍とそれ以外のCNS 腫瘍、腎臓がん、卵巣がん、胃がん、皮膚がん、骨がん、膵臓がん、心臓がん、神経膠腫、膠芽腫、食道がん、肝細胞癌、骨と関節のがん、乳頭状腎臓癌、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、中皮腫、白血病、リンパ腫、黒色腫など);
自己免疫疾患または炎症性疾患(関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ性脊椎炎、乾癬性関節炎、感染性関節炎、進行性慢性関節炎、変形性関節炎、外傷性関節炎、痛風性関節炎、ライター症候群、多発軟骨炎、急性の滑膜炎と脊椎炎、乾癬、虚血再灌流後障害、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎またはクローン病)、湿疹、虚血/再灌流障害、糸球体腎炎、溶血性貧血、再生不良性貧血、特発性血小板減少症、好中球減少症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、I型糖尿病、強皮症、糖尿病、肝炎、原発性胆汁性肝硬変、全身性炎症反応症候群、手術後または外傷後の炎症、重症筋無力症、天疱瘡、アルコール性肝臓疾患、嚢胞性線維症、多発性硬化症(MS)、アジソン病、キャッスルマン病、結節性多発動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、慢性腎不全、スティーヴンス-ジョンソン症候群、特発性スプルー、サルコイドーシス、ギラン-バレー症候群、ぶどう膜炎、結膜炎、角結膜炎、中耳炎、歯周病、間質性肺線維症、急性呼吸逼迫症候群、喘息、気管支炎、鼻炎、副鼻腔炎、膵炎、炎症性骨疾患、髄膜炎、膀胱炎、咽頭炎、塵肺、呼吸不全症候群、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、珪肺症、慢性炎症性肺疾患、腹膜線維症など);
移植拒絶(宿主対移植片病、移植片対宿主病、同種移植拒絶が含まれる);
感染性疾患(インフルエンザ、ウイルス性脳炎、HIV、ウイルス起源の肝炎、肺炎、敗血症が含まれる);
繊毛病(多発性嚢胞腎、アルストレーム症候群、バルデ-ビードル症候群、いくつかの形態の網膜変性症、ジュベール症候群、メッケル-グルーバー症候群、ネフロン癆、口顔指症候群1、セニオール-ローケン症候群、原発性線毛機能不全症(カルタゲナー症候群)、窒息性胸郭異形成症(ジューヌ)、マーデン-ウォーカー症候群、相同など);
神経系の疾患(ウィルソン病、プリオン病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、アミロイドーシス、アルツハイマー病、アレクサンダー病、ピック病、脊髄性筋萎縮症、レビー小体型認知症、化学療法によって誘導される認知機能障害、ミトコンドリア脳筋症、腸運動障害症候群、運動神経発生疾患(MND)、運動失調症候群(フリードライヒ運動失調症と脊髄小脳性運動失調(SCA)が含まれる)、脊髄損傷、オリーブ橋小脳萎縮症、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、シヌクレイン病、ダウン症候群、大脳皮質基底核変性症、進行性家族性ミオクローヌス癲癇、線条体黒質変性症、捻転ジストニア、家族性振戦、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、シャイ-ドレーガー症候群、 ハラーフォルデン-シュパッツ病のほか末梢神経障害(シャルコー-マリー-トゥース病など)、化学療法剤によって誘導される末梢神経障害(例えば白金をベースとした化学療法剤、タキサンビンクリスチン、ボルテゾミブなど)など);
精神障害と行動障害(精神病性障害と統合失調症スペクトラム障害(統合失調型(パーソナリティ)障害、妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調症、統合失調感情障害、物質/医薬品誘発性精神病性障害、別の病状に起因する神病性障害など);双極性障害(双極I型障害、双極II型障害、気分循環性障害、物質/医薬品誘発性の双極性障害と関連障害など);抑うつ障害(重篤気分調節症、大うつ病性障害、単一エピソードと再発エピソード、持続性抑うつ障害(気分変調症)、月経前不快気分障害、物質/医薬品誘発性抑うつ障害、別の病状に起因する抑うつ障害など);不安障害(分離不安障害、場面緘黙症、特定恐怖症、社交不安障害(社交恐怖)、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害など);
心血管疾患(心不全、心筋症、心房細動、肺動脈高血圧、出血性ショック、脳卒中、虚血性心疾患、心筋炎、弁膜症;筋萎縮など);
悪液質である。
【0131】
本明細書に記載されている利用と治療法では、本発明のあらゆる化合物を、そのあらゆる実施態様を含め、用いることができる。
【0132】
したがって本発明によりさらに、医薬として用いるための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩が提供される。
【0133】
本発明によりさらに、HDAC6に関連する疾患の治療に用いるための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩が提供される。
【0134】
本発明によりさらに、HDAC6に関連する疾患を治療する薬を製造するための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用が提供される。
【0135】
本発明によりさらに、HDAC6に関連する疾患を治療するための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用が提供される。
【0136】
本発明によりさらに、HDAC6阻害剤として用いるための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩が提供される。
【0137】
本発明によりさらに、HDAC6に関連する疾患を治療する方法として、その治療を必要とする患者に、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩を治療に有効な量で投与することを含む方法が提供される。
【0138】
本発明によりさらに、HDAC6活性を抑制する方法として、上記治療を必要とする患者に、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩を、HDAC6活性を抑制するのに十分な量で投与することを含む方法が提供される。
【0139】
本発明によりさらに、がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択された疾患の治療に用いるための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩が提供される。
【0140】
本発明によりさらに、がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択された疾患を治療する薬を製造するための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用が提供される。
【0141】
本発明によりさらに、がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択された疾患を治療するための、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用が提供される。
【0142】
本発明によりさらに、がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択された疾患を治療する方法として、その治療を必要とする患者に、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩を治療に有効な量で投与することを含む方法が提供される。
【0143】
本発明によりさらに、サンプル(例えば生物サンプル)中のHDAC6活性を抑制する方法として、そのサンプル(例えば生物サンプル)を式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩と接触させることを含む方法が提供される。
【0144】
本発明によりさらに、研究におけるHDAC6阻害剤としての(特にHDAC6活性を抑制する研究ツール化合物としての)式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩の使用が提供される。したがって本発明は、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩をインビトロでHDAC6阻害剤として利用することと、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩をインビトロにおいてHDAC6阻害剤として作用する研究ツール化合物として利用することに関する(特に後者)。同様に、本発明は、HDAC6を抑制する方法、特にインビトロの方法に関係しており、この方法は、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩をサンプル(例えば生物サンプル)に適用することを含んでいる。「インビトロ」という用語は、この特別な文脈では、「生きているヒトまたは動物の身体の外側」の意味で用いられているため、その中には特に、人工的な環境(フラスコ、試験管、ペトリ皿、微量滴定プレートなどの中に用意することのできる水溶液、培地など)で細胞、および/または細胞抽出液または細胞内抽出液、および/または生体分子で実施される実験が含まれることを理解されたい。
【0145】
特に断わらない限り、治療法のあらゆる記述に、化合物を用いて本明細書に記載されているそのような治療を提供することのほか、化合物を用いてそのような病気を治療するための薬を調製することが含まれる。
【0146】
本明細書では、式(I)の化合物へのあらゆる言及に、式(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、(IVa)、(IVa-1)、(IVb)、(IVb-1)のあらゆる化合物と、本明細書に記載されているそのあらゆる実施態様が含まれる。
【0147】
「HDAC6に関連する疾患」などの表現は、HDAC6がある役割を果たしているあらゆる疾患または状態、および/またはHDAC6の発現または活性に関連する疾患または状態、および/またはHDAC6を変化させることによって経過に影響が生じる可能性のある疾患または状態を意味する。HDAC6に関連する疾患の非限定的な例に含まれるのは、本明細書に記載されている疾患と状態である。HDACに関連する疾患は、がん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択されることが好ましい。
【0148】
本明細書では、「対象」、「患者」、「個体」という用語は、哺乳動物を含むあらゆる動物を意味し、その中に含まれるのは、マウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、ヒト(例えば男性または女性)であり、ヒトが最も好ましい。
【0149】
本明細書では、「生物サンプル」という用語の非限定的な例に含まれるのは、細胞、細胞培養物、またはその抽出液;動物(例えばヒト)から得られた生検材料、またはその抽出液;血液、唾液、尿、糞、他の任意の体液、その抽出液である。
【0150】
本明細書では、「治療に有効な量」という表現は、対象(好ましくはヒト)において求める生物学的反応または医学的反応を誘導する活性化合物の量を意味する。したがってある化合物の治療に有効な量として、疾患または障害を患っている対象に投与されたとき、その疾患または障害を治療する、および/またはその疾患または障害の発生または進行を遅延させる、および/またはその疾患または障害の1つ以上の症状を緩和するのに十分な量が可能である。対象にとって有効な量の正確な値は、多数の因子(対象の体重、身長、健康、治療する病気の性質と重症度、投与するために選択される治療剤または治療剤の組み合わせ)に依存するであろう。所与の状況における治療に有効な量は、医師の技能と判断の範囲である定型的な実験によって決めることができる。
【0151】
どの化合物でも、治療に有効な量は、最初にインビトロアッセイ(例えば細胞培養アッセイ)または動物モデル(例えばマウス、ラット、イヌ)で推測することができる。動物モデルは、適切な濃度範囲と投与経路を決めるのに用いることもできる。次にこのような情報を利用して、ヒトにとって有用な用量と投与経路を決定することができる。治療の有効性と毒性は、細胞培養物または実験動物で標準的な手続きによって求めることができる。例えばED50値とLD50値を求め、毒性効果と治療効果の間の比(治療指数としても知られる)を計算し、ヒトで用いるのに適した用量を決定することができる。
【0152】
本明細書では、特に断わらない限り、疾患、障害、状態に関係する「治療している」、「治療」という用語は、疾患、障害、状態と闘って、例えばこのような用語が適用されるその疾患、障害、状態のプロセス、またはこのような疾患、障害、状態の1つ以上の症状を逆転させる、または緩和する、または抑制すること、またはその疾患、障害、状態、またはこのような疾患、障害、状態の1つ以上の症状を阻止することを目的とした患者の管理と世話を意味し、その中には、症状や合併症の発生を阻止するため、または症状や合併症を緩和するため、またはその疾患、障害、状態をなくすために本発明の化合物を投与することが含まれる。治療は、治癒または改善であることが好ましい。
【0153】
本発明の化合物は、治療に用いるためそのまま直接投与することができるが、典型的には医薬組成物の形態で投与される。医薬組成物は、活性な医薬成分としての本発明の化合物(またはその医薬として許容可能な塩)を、医薬として許容可能な1つ以上の基剤とともに含んでいる。本発明の目的では、基剤は、組成物の他の成分と適合していて組成物のレシピエントにとって有害でない場合に、本明細書に記載されている医薬組成物で用いるのに適している。「医薬として許容可能な基剤」には、医薬製品を製剤化するのに用いられていて、確立された政府基準(アメリカ合衆国食品医薬品局や欧州医薬品庁など)によれば対象(特にヒト)に投与する上で安全であると見なされている非API(APIは活性な医薬成分を意味する)物質(崩壊剤、結合剤、充填剤、潤滑剤など)が含まれる。医薬として許容可能な基剤は当業者に周知であり、標準的な医薬の慣行(例えば『Remington: The Science and Practice of Pharmacy』第22版、Loyd V Allen Jr編、Pharmaceutical Press社、フィラデルフィア、2012年に記載されている)に従って選択される製剤のタイプと投与経路に基づいて選択される。
【0154】
したがって本明細書では、式(I)の化合物(その中には、その下位化合物である式(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、(IVa)、(IVa-1)、(IVb)、(IVb-1)の任意のものと、本明細書に記載されているその任意の実施態様が含まれる)またはその医薬として許容可能な塩と、医薬として許容可能な1つ以上の基剤を含む医薬組成物が提供される。
【0155】
医薬組成物は、医薬の分野において周知のやり方で調製することができ、多彩な経路(例えば経口、非経口、肺経路、局所経路)で投与することができる。非経口投与には、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、筋肉内投与が含まれる。非経口投与は、単一のボーラス用量の形態で、または例えば連続灌流ポンプによって実現できる。肺投与には、例えば粉末またはエアロゾルの吸引または吹送(噴霧器が含まれる)による方法が含まれる。局所投与には、経皮投与、上皮投与、眼への投与、粘膜投与が含まれ、その中には鼻腔内、膣、直腸への送達が含まれる。
【0156】
組成物は、本分野で知られている方法によって患者に投与した後に迅速な(即時)放出、または持続放出、または遅延放出がなされるように製剤化することができる。
【0157】
医薬として許容可能な賦形剤の例に含まれるのは、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカントゴム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、メチルセルロースである。医薬組成物はそれに加えて医薬として許容可能なさらに別の賦形剤を含むことができ、その例は、潤滑剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油);湿潤剤;乳化剤と懸濁剤;保存剤(ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピルなど);甘味剤;着香剤;着色剤である。
【0158】
適切な経口剤形に含まれるのは、例えば、錠剤、ピル、サシェ、カプセル(硬質ゼラチン、軟質ゼラチン、他の適切な任意の材料からなるもの)である。例えば活性化合物は、医薬として許容可能な基剤(結合剤(例えばゼラチン、セルロース、トラガカントゴム)、賦形剤(例えばデンプン、ラクトース)、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素)、崩壊剤(例えばアルギン酸塩、Primojel、コーンスターチ)、甘味剤または着香剤(例えばグルコース、スクロース、サッカリン、サリチル酸メチル、ペパーミント))を含む製剤に組み込むことができる。その後、従来からある技術を利用してこれらを圧縮して錠剤にすること、またはカプセルの中に封止することができる。カプセルと錠剤は、本分野で知られているさまざまなコーティングで被覆し、香り、味、色、形を変えることもできる。それに加え、液体基剤(脂肪油)もカプセルの中に含めることができる。経口製剤は、懸濁液やシロップなどの形にすることもできる。望むのであれば、香り、味、色などを変化させるための従来の薬剤を添加することができる。
【0159】
非経口投与に適した医薬組成物は、減菌水溶液または減菌懸濁液を含むこと、または使用前に減菌水性基剤を用いて溶液または懸濁液を即席で調製するための凍結乾燥形態に調製することができる。このような製剤では、希釈剤、または医薬として許容可能な基剤(減菌水、生理学的食塩水)を用いることができる。従来からある他の溶媒、pHバッファー、安定剤、抗菌剤、界面活性剤、抗酸化剤をすべて含めることができる。例えば有用な構成成分に含まれるのは、塩化ナトリウム、酢酸塩バッファー、クエン酸塩バッファー、リン酸塩バッファー、グリセリン、デキストロース、不揮発性油、メチルパラベン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、硫酸水素ナトリウム、ベンジルアルコール、アスコルビン酸などである。非経口製剤は、従来からある任意の容器(バイアルやアンプルなど)の中に保管することができる。
【0160】
吸入または吹送によって投与するための組成物には、医薬として許容可能な水性溶媒または有機溶媒の中、またはこれらの混合物の中の溶液および懸濁液と、粉末が含まれる。液体組成物または固体組成物は、上に説明したような医薬として許容可能な適切な賦形剤を含むことができる。そのような組成物は、局所効果または全身効果を目的として、口または鼻からの呼吸経路で投与することができる。組成物は、適切なガスを用いて噴霧化することができる。噴霧化された溶液を噴霧器から直接呼吸すること、または噴霧装置を顔面マスクまたは呼吸チェンバーに取り付けることができる。溶液、懸濁液、粉末組成物は、その製剤を適切なやり方で送達する装置から口または鼻を通じて投与することができる。
【0161】
局所投与のための医薬組成物は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、座薬、スプレー、液体、粉末を含むことができる。局所投与物は、従来からある1つ以上の基剤を含有することができる。例えば軟膏は、水を含有するとともに、液体パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、白色ワセリンなどから選択された1つ以上の疎水性基剤を含有することができる。クリームの基剤の組成は、水にグリセロールと1つ以上の他の成分(セチルステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリンなど)を組み合わせたものをベースにすることができる。ゲルは、イソプロピルアルコールと水を用いて形成することができ、他の賦形剤(グリセロール、ヒドロキシエチルセルロースなど)と組み合わせることが好ましい。
【0162】
医薬組成物(経口組成物、非経口組成物などのは、投与が容易になるとともに用量が一定になるよう、単位剤形に製剤化することができる。本明細書では、「単位剤形」は、対象に投与するため単位用量として適した物理的に離散した単位を意味し、各単位には、望む治療効果を生じさせるように計算された所定量の活性成分が、1つ以上の適切な医薬用基剤とともに含まれている。
【0163】
治療の用途では、医薬組成物は、医学の分野の当業者が決める、治療する疾患にとって適切なやり方で投与される。適切な用量と、投与の適切な継続期間および頻度は、特に、患者の状態、疾患のタイプと重症度、活性成分の個々の形態、投与法などの因子によって決まるであろう。一般に、適切な用量と投与計画により、治療効果(例えば、完全寛解または部分的寛解の頻度増加、より長期の無増悪生存期間および/または全生存期間、症状の重症度の低下、医療者が客観的に特定できる他の任意の改善などの改善された臨床結果)を提供するのに十分な量の医薬組成物が提供される。効果的な用量は、一般に、実験モデル(インビトロ試験系または動物モデル試験系から得られる用量-応答曲線など)を利用して評価すること、または外挿することができる。
【0164】
本発明の医薬組成物は、投与のための指示とともに、容器、パック、ディスペンサの中に含めることができる。
【0165】
本発明の化合物は、単一の活性剤として投与することができ、1つ以上の追加の治療活性剤(例えばがん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択される疾患の治療に有用な薬)と組み合わせて使用または投与することもできる。併用療法には、本発明の化合物と1つ以上の追加の治療活性剤を含有する単回医薬剤形を投与することのほか、本発明の化合物とそれぞれの追加の治療活性剤を、別々に投与するためにそれぞれ独自の別々の医薬剤形にしたものを投与することが含まれる。別々に投与する場合には、投与は、同時に、または逐次的に、または別々に実施することができ、本発明の化合物と追加の治療剤は、同じ投与経路で投与すること、または異なる投与経路を利用して投与すること(例えば1つの化合物を経口投与し、別の化合物を静脈内投与すること)ができる。さらに、上に説明したように、本発明の化合物は、単剤療法で用いること、特にがん、自己免疫疾患または炎症性疾患、移植拒絶、繊毛病、神経系の疾患、精神障害または行動障害、感染性疾患、心血管疾患、筋萎縮、悪液質から選択される疾患の単剤療法で用いることもできる。
【実施例】
【0166】
以下の略号を実施例で使用した。
AcN:アセトニトリル、
AcOH:酢酸、
aq:水性、
Boc:t-ブチルオキシカルボニル、
n-BuOH:n-ブタノール、
DCM:ジクロロメタン、
DIAD:アゾジカルボン酸ジイソプロピル、
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン、
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、
EtOAc:酢酸エチル、
EtOH:エタノール、
FA:ギ酸、
HPLC:高性能液体クロマトグラフィ、
LC-MS:液体クロマトグラフィ-質量分析、
MeI:ヨードメタン、
MeOH:メタノール、
PPh3:トリフェニルホスフィン、
Pd(PPh3)4:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、
Pd(PPh3)2Cl2:塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、
Petエーテル:石油エーテル、
pTSA:p-トルエンスルホン酸一水和物、
rt(またはRT):室温、
Rt:保持時間、
TBAB:臭化テトラブチルアンモニウム、
TEA:トリエチルアミン、
TFA:トリフルオロ酢酸、
THF:テトラヒドロフラン、
THP:テトラヒドロピラン、
T3P:酢酸エチルの中に50重量%以上の無水プロピルホスホン酸を含む溶液
【0167】
LC-MSによる測定では、以下に示す方法のうちの1つを利用した。
【0168】
方法1:カラム:KINETEX-1.7u XB-C18 100A (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.05%のギ酸を含む水、B:0.05%のギ酸を含むアセトニトリル;勾配:時間/%A:0/97、0.3/97、3.2/2、4.8/2、5/97、5.10/97 カラムの温度:35℃;流速: 0.6 ml/分
【0169】
方法2:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:B:0.1%のギ酸を含む水、A:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル;勾配:時間/% B:0/97、0.3/97、3.2/2、4/2、4.01/97;カラムの温度: 35℃;流速:0.6 ml/分
【0170】
方法3:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:B:0.1%のギ酸を含む水、A:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル;勾配:時間/% B:0/97、0.3/97、3.0/2、4.5/2、4.51/97;カラムの温度:35℃;流速:0.6 ml/分
【0171】
方法4:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:B:0.1%のギ酸を含む水、A:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル;勾配:時間/% B:0/97、0.3/97、2.2/2、3.30/2、4.5/2、4.51/97;カラムの温度:35℃;流速:0.6 ml/分
【0172】
方法5:カラム - AQUITY UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.1%のギ酸を含む水、B:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル:T%A:0/90、1/10、2.20/10、2.30/90、2.60/90;流速:0.8 ml/分、温度:50°C
【0173】
方法6:カラム - AQUITY UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.1%のギ酸を含む水、B:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル T%A:0/95、0.3/95、2.0/5、3.5/5、3.6/95、4.2/95;流速:0.6 ml/分、温度:40°C
【0174】
方法7:カラム: Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.05%ギ酸を含むアセトニトリル、B:0.05%ギ酸を含む水;勾配:時間/% B:0/97、0.3/97、3.2/2、3.8/2、4.3/97、4.5/97;カラムの温度:35℃;流速:0.6 ml/分
【0175】
方法8:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.1%のギ酸を含む水、B:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル;勾配:時間/% B:0/97、0.3/97、2.7/2、3.5/2、3.51/97;カラムの温度:35℃;流速:0.6 ml/分
【0176】
方法9:カラム - AQUITY UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.1%のギ酸を含む水、B:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル;T%A:0/97、0.3/97、3.0/2、4.0/2、4.2/97、4.50/97;流速:0.6 ml/分、温度:35°C
【0177】
方法10:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.1%のギ酸を含む水、B:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル;勾配:時間/% A:0/97、0.3/97、3.0/2、4.0/2、4.3/97、4.50/97;カラムの温度:35℃;流速:0.6 ml/分
【0178】
方法11:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.1%のギ酸を含む水、B:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル;勾配: 時間/% B:0/5、0.3/95、2.0/95、3.7/95、4.2/5、5.7/5;カラムの温度:40℃;流速:0.5 ml/分
【0179】
方法12:カラム - AQUITY UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.1%のギ酸を含む水、B:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル;T%A:0/98、0.2/98、1.8/2、2.4/2、2.60/98、3.0/98;流速:0.8 ml/分、温度:50℃
【0180】
方法13:カラム:YMC TRAIT C18;移動相:A:アセトニトリル、B:0.01 Mの炭酸水素アンモニウムを含む水;勾配:A=40%、B=60%、流速:25.0 ml/分
【0181】
方法14:カラム:XBridge BEH C18 (50 mm×2.1 mm、2.5 μm);移動相:A:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水、B:AcN;勾配:時間/% B:0/5、3/100、3.5/100、3.8/5、4.3/5;流速:0.7 ml/分 温度:40℃
【0182】
方法15:カラム:XBridge BEH C18 (50 mm×3.0 mm、2.5 μm);移動相:A:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(95:5)、B:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(5:95);勾配:時間/% B:0/2、4/98、4.5/98、5/2、5.5/2、6.5/2;流速:1.0 ml/分
【0183】
方法16:カラム:XBridge BEH C18 (50 mm×3.0 mm、2.5 μm);移動相:A:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(95:5)、B:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(5:95);勾配:時間/% B:0/2、2/2、7/98、7.5/98、8.5/2、10/2;流速:1.0 ml/分
【0184】
方法17:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.01 Mの炭酸水素アンモニウムを含む水、B:アセトニトリル;勾配:時間/% B:0/3;1.0/3;7.0/100;7.5/100;9.0/3;10.0/3 カラムの温度: 35℃;流速:0.5 ml/分
【0185】
方法18:カラム:XBridge BEH C18 (50 mm×2.10 mm、2.5 μm);移動相:A:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(95:5)、B:アセトニトリル;勾配:時間/% B: 0/5;1.0/5;7/100;7.5/100;9/5;10/5 カラムの温度:40℃;流速:0.7 ml/分
【0186】
方法19:カラム:XBridge BEH C18 (50 mm×3.0 mm、2.5 μm);移動相:A:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(95:5)、B:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(5:95);勾配:時間/% B:0/2、1/2、4/98、4.5/98、5.5/2、6.5/2;流速:1.0 ml/分
【0187】
方法20:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.1%のギ酸を含む水、B:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル;勾配:時間/% A:0/97、1.0/97、7.0/0、7.5/0、9.0/97;カラムの温度:35℃;流速:0.5 ml/分
【0188】
方法21:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.1%のギ酸を含む水、B:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル;勾配:時間/% A:0/5、0.1/5、2.7/100、3.5/100、3.8/5、4.3/5 カラムの温度:40℃;流速:0.7 ml/分
【0189】
方法22:カラム:XBridge BEH C18 (50 mm×2.1 mm、2.5 μm);移動相:A:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(95:5)、B:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(5:95);勾配:時間/% B:0/2、1/2、7/100、7.5/100、9/2、10/2;流速:0.7 ml/分
【0190】
方法23:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、2.5 μm);移動相:A:0.01Mの 酢酸アンモニウムを含む水;B:AcN;勾配:時間/% B:0/5、0.2/5、7/100、8/100、8.5/5、11/5;カラムの温度:40℃;流速:0.5 ml/分
【0191】
方法24:カラム:Luna Omega 3 μm PS C18 100A;移動相:A:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(95:5)、B:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(5:95);勾配:時間/% B:0/2、1/2、4/98、4.5/98、5.5/2、6.5/2;流速:1.0 ml/分
【0192】
方法25:カラム - AQUITY UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.1%のギ酸を含む水、B:0.1%のギ酸を含むアセトニトリル T%A:0/95、0.3/95、2.0/5、3.5/5、3.6/95、4.4/95;流速:0.6 ml/分、温度:40°C
【0193】
方法26:カラム:Aquity UPLC BEH C18 (50 mm×2.1 mm、1.7 μm);移動相:A:0.01 Mの酢酸アンモニウムを含む水、B:AcN;勾配:時間/% A:0/5、0.1/5、2.4/100、3.8/100、4.0/5;4.5/5 カラムの温度:50℃;流速:0.5 ml/分
【0194】
方法27:カラム:Luna Omega 3 μm PS C18 100A);移動相:A:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(95:5)、B:0.01 Mのギ酸アンモニウムを含む水:AcN(5:95);勾配:時間/% B:0/2、1/2、7/100、7.5/100、9/2、10/2;流速:1.0 ml/分
【0195】
参照例1
【0196】
2-(トリメチルスタンニル)イソニコチノニトリル
【0197】
2-ブロモイソニコニトリル(2 g、10.92ミリモル)をトルエン(20 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、ヘキサメチル二スズ(4.6 g、14.20ミリモル)とPd(PPh3)4(1.2 g、1.09ミリモル)をrtで添加した。得られた溶液を窒素で10分間脱ガスし、110℃に16時間加熱した。この反応混合物を減圧下で蒸発させ、粗化合物を、50%EtOAcを含む石油エーテルを用いて中性アルミナ上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が得られた(1.5 g、51.7%)。
【0198】
LC-MS(方法1):Rt=1.93分; m/z=269.08 (M+H+)。
【0199】
参照例2
【0200】
5-ブロモ-1-ブチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン
【0201】
60%NaH(0.146 g、6.091ミリモル)をDMF(20 ml)に懸濁させた懸濁液を撹拌している中に、5-ブロモ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(0.8 g、4.06ミリモル)を0℃で添加し、15分間撹拌した。その後、1-ブロモブタン(0.66 g、4.873ミリモル)を0℃で反応混合物に添加した。得られた混合物をrtまで温め、16時間撹拌した。この反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗化合物を、溶離液として10%EtOAcを含む石油エーテルを用いてフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が得られた(0.78 g、67%)。
【0202】
LC-MS(方法2):Rt=2.27分; m/z=253.17 (M+H+)。
【0203】
参照例2に記載されているのと同様の手続きに従うが、それぞれのケースで対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0204】
【0205】
参照例3
【0206】
5-ブロモ-1-ブチル-N,N-ジメチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド
【0207】
工程a.5-ブロモ-N,N-ジメチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド
【0208】
5-ブロモ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボン酸(500 mg、2.07ミリモル)をDMFに溶かした溶液を撹拌している中に、ジメチルアミンヒドロクロリド(168 mg、2.07ミリモル)とTEA(1.49 g、10.37ミリモル)とT3P(1.97 g、6.21ミリモル)を0℃で添加した。得られた混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製し、5%MeOHを含むDCMで溶離させると、表題の化合物が得られた(450 mg、78%)。
【0209】
LC-MS(方法4):Rt=1.75分;m/z=270.15 (M+H++2)。
【0210】
工程b.5-ブロモ-1-ブチル-N,N-ジメチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド
【0211】
前節の工程aで得られた化合物(1.4 g、5.24ミリモル)をDMFに溶かした溶液を撹拌している中に、60%NaH(1.04 g、26.21ミリモル)を0℃で添加した。この反応混合物を同じ温度で15分間撹拌した後、ヨウ化ブチル(1.92 g、10.48ミリモル)を添加した。この懸濁液をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を0℃に冷却し、水でクエンチし、EtOAcで抽出した。分離された有機相を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製し、5%MeOHを含むDCMで溶離させると、表題の化合物が得られた(1.0 g、59.8%)。
【0212】
LC-MS(方法5):Rt=1.10分;m/z=325.36 (M+H+)。
【0213】
参照例3に記載されているのと同様の手続きに従うが、それぞれのケースで対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0214】
【0215】
参照例4
【0216】
3-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン
【0217】
6-ブロモピリジン-3-オール(5.0 g、28.73ミリモル)をTHF(50 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、PPh3(15.0 g、57.47ミリモル)とDIAD(8.7 g、43.10ミリモル)と3-(ジエチルアミン)プロパン-1-オール(5.64 g、43.10ミリモル)を0℃で添加した。この反応混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を水(100 ml)で希釈し、EtOAc(2×100 ml)で抽出した。1つにまとめた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮した。粗化合物を、100~200シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製し、40%EtOAc/石油エーテルで溶離させると、表題の化合物がネバネバした液体として得られた(3.1 g、38%)。
【0218】
LC-MS(方法7): Rt=1.50分;m/z=287.18 (M+H+).。
【0219】
参照例5
【0220】
1-(5-ブロモ-1-ブチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルメタナミン
【0221】
参照例2(500 mg、1.97ミリモル)をn-BuOH(20 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、37%ホルムアルデヒド水溶液(37%)(0.78 ml、9.88ミリモル)とジメチルアミンヒドロクロリド(805 mg、9.88ミリモル)を添加した。この反応混合物を120℃で16時間撹拌した後、rtまで冷却した。有機溶媒を減圧下で蒸発させると残留物が得られ、それを1N NaOH水溶液で希釈し、10%MeOH/DCM(2×50 ml)で抽出した。粗残留物を蒸発させると粗化合物が得られ、それを、85%EtOAc/石油エーテルと0.5 mlのTEAを用いた230~400シリカ上のカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物がネバネバした固体として400 mg(65%)得られた。
【0222】
LC-MS(方法5):Rt=0.77分;m/z=312.12 (M+H++2)。
【0223】
参照例5に記載されているのと同様の手続きに従うが、それぞれのケースで対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0224】
【0225】
参照例6
【0226】
2-ブロモ-5-(3-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン
【0227】
工程a.2-ブロモ-5-(3-クロロプロポキシ)ピリジン
【0228】
6-ブロモピリジン-3-オール(3 g、17.2ミリモル)をDMF(50 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、K2CO3(7.1 g、51.6ミリモル)を添加し、rtで15分間撹拌した。それを0℃まで冷却し、1-ブロモ-3-クロロプロパン(4 g、25.8ミリモル)を添加した。得られた混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を、氷で冷やした水で希釈し、EtOAc(3×100 ml)で抽出し、水(2×80 ml)で洗浄した後、ブライン(50 ml)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、表題の化合物が黄色のネバネバした液体として得られた(2.8 g、64%)。
【0229】
LC-MS(方法6):Rt=2.04分;m/z=250.01 (M+H+)。
【0230】
工程b.2-ブロモ-5-(3-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン
【0231】
前節の工程aで得られた化合物(2 g、7.98ミリモル)をアセトニトリルに溶かした溶液に、4,4-ジフルオロピペリジンヒドロクロリド(1.88 g、11.97ミリモル)とK2CO3(3.3 g、23.95ミリモルとNaI(1.19 g、7.98ミリモル)をrtで添加した。得られた混合物を70℃で24時間撹拌した後、rtまで冷却した。この反応混合物を氷水(30 ml)の中に注ぎ、EtOAc(2×80 ml)で抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗残留物をn-ペンタンで洗浄し、乾燥させると、表題の化合物がネバネバした液体として1.5 g(56%)得られた。
【0232】
LC-MS(方法5):Rt=0.66分;m/z=335.15 (M+H+)
【0233】
参照例6に記載されているのと同様の手続きに従うが、それぞれのケースで対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0234】
【0235】
参照例7
【0236】
N-(6-ブロモピリジン-3-イル)-N-ブチル-3-メトキシプロパンアミド
【0237】
工程a.6-ブロモ-N-ブチルピリジン-3-アミン(2)(C2134-130):
【0238】
6-ブロモピリジン-3-アミン(10 g、57ミリモル)をMeOH(100 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、ブチルアルデヒド(4.9 g、69.36ミリモル)を添加し、rtで16時間撹拌した。それを0℃まで冷却し、NaBH3CN(7.2 g、115.6ミリモル)を添加した。得られた混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を冷水(100 ml)の中に注ぎ、EtOAc(2×200 ml)で抽出し、ブライン溶液(150 ml)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると粗化合物が得られ、それを、13%EtOAc/石油エーテルを用いたカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が7 g(52%)得られた。
【0239】
LC-MS(方法4):Rt=2.31分;m/z=229.16 (M+H+)。
【0240】
工程b.N-(6-ブロモピリジン-3-イル)-N-ブチル-3-メトキシプロパンアミド
【0241】
前節の工程aで得られた化合物(1500 mg、6.54ミリモル、1.0当量)をDCMに溶かした溶液を撹拌している中に、3-メトキシプロパン酸(1020 mg、9.84ミリモル)とTEA(3.30 g、32.75ミリモル)とT3P(8.3 g、26.18ミリモル)を0℃で添加した。この反応混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製し、30%EtOAcを含む石油エーテルで溶離させると、表題の化合物が得られた(1450 mg、70%)。
【0242】
LC-MS(方法10):Rt=2.40分;m/z=315.12 (M+H+)。
【0243】
参照例8
【0244】
6-ブロモ-N-(シクロプロピルメチル)-N-メチルピリジン-3-アミン
【0245】
6-ブロモ-N-メチルピリジン-3-アミン(1200 mg、6.44ミリモル)をDMFに溶かした溶液を撹拌している中に、60%NaH(1030 mg、25.76ミリモル)を0℃で添加し、rtで15分間撹拌した。それを0℃に冷却し、(ブロモメチル)シクロプロパン(1738 mg、12.88ミリモル)を添加した。それをrtで1時間撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、水でクエンチし、EtOAcで抽出した。分離された有機層を水とブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物をカラムクロマトグラフィによって精製し、15%EtOAcを含む石油エーテルで溶離させると、表題の化合物が黄色のネバネバした物質として得られた(1.0 g、64.2%)。
【0246】
LC-MS(方法5):Rt=1.20分;m/z=240.97 (M+H+)。
【0247】
参照例9
【0248】
(6-ブロモピリジン-3-イル)(3-(ジエチルアミノ)プロピル)カルバミン酸t-ブチル
【0249】
工程a.3-クロロ-N,N-ジエチルプロパン-1-アミンヒドロクロリド
【0250】
3-(ジエチルアミノ)プロパン-1-オール(1 g、7.63ミリモル)をDCM(10 ml)に溶かした溶液を撹拌している中にSOCl2(1.1 ml、15.26ミリモル)を0℃で添加し、得られた混合物をrtで3時間撹拌した。この反応物を減圧下で濃縮すると、表題の化合物が得られた(1 g、88%)。
【0251】
工程b.(6-ブロモピリジン-3-イル)(3-(ジエチルアミノ)プロピル)カルバミン酸t-ブチル
【0252】
60%NaH(0.15 g、6.598ミリモル)をDMF(50 ml)に懸濁させた懸濁液を撹拌している中に、(6-ブロモピリジン-3-イル)カルバミン酸t-ブチル(1.2 g、4.399ミリモル)をDMF(10 ml)に溶かした溶液を0℃で添加した。得られた混合物を15分間撹拌した後、前節の工程aで得られた化合物(0.785 g、5.274ミリモル)を反応混合物に0℃で添加した。得られた混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を、氷で冷やした水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を、溶離液として100%EtOAcを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が得られた(0.9 g、53%)。
【0253】
LC-MS(方法13):Rt=1.55分;m/z=388.09 (M+H++2)。
【0254】
参照例10
【0255】
6-ブロモ-N-(3-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)プロピル)-N-メチルピリジン-3-アミン
【0256】
工程a.(6-ブロモピリジン-3-イル)(3-クロロプロピル)カルバミン酸t-ブチル
【0257】
6-ブロモピリジン-3-イルカルバミン酸t-ブチル(2.0 g、7.352ミリモル)をDMF(20 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に60%NaH(0.529 g、22.05ミリモル)を0℃で添加し、rtで15分間撹拌した。その後、1-ブロモ-3-クロロプロパン(2.308 g、14.705ミリモル)を添加し、得られた混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、氷水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を水とブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製し、8%EtOAcを含む石油エーテルで溶離させると、表題の化合物が茶色のネバネバした物質として得られた(2.0 g、LCMSで約75%)。
【0258】
LC-MS(方法5):Rt=1.31分;m/z=349.20 (M+H+)。
【0259】
工程b.(6-ブロモピリジン-3-イル) (3-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)プロピル)カルバミン酸t-ブチル
【0260】
4,4-ジフルオロピペリジンヒドロクロリド(1.815 g、11.49ミリモル)をAcN(30 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、NaI(1.027 g、6.896ミリモル)とK2CO3(2.379 g、17.24ミリモル)を添加した。この反応混合物を10分間撹拌し、前節の工程aで得られた化合物(2.0 g、5.747ミリモル)を添加し、90℃に16時間加熱した。この反応混合物を、セライトパッドを通過させて濾過し、10%MeOHを含むDCMで洗浄した。濾過された溶液を減圧下で濃縮し、粗化合物を、溶離液として25%EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(1.1 g、44%)。
【0261】
LC-MS(方法5):Rt=0.86分;m/z=434.35 (M+H+)。
【0262】
工程c.6-ブロモ-N-(3-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)プロピル)ピリジン-3-アミン
【0263】
前節の工程bで得られた化合物(1.4 g、3.22ミリモル)をDCM(10 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、TFA(3.0 ml)を0℃で添加し、rtで3時間撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮した。粗残留物を水で希釈し、飽和NaHCO3水溶液を用いてpH 8に塩基化し、EtOAcで抽出した。有機層を水とブライン溶液で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(1.01 g、94%)。
【0264】
LC-MS(方法6)Rt=1.40分;m/z=334.11 (M+H+)。
【0265】
工程d.6-ブロモ-N-(3-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)プロピル)-N-メチルピリジン-3-アミン
【0266】
前節の工程cで得られた化合物(3.0 g、9.0ミリモル)をギ酸(40 ml)に溶かした溶液を撹拌している中にパラホルムアルデヒド(2.70 g、90.09ミリモル)を添加し、100℃に16時間加熱した。この反応混合物を減圧下で濃縮した。粗残留物を水に溶かし、飽和NaHCO3水溶液を用いてpH約 8に塩基化し、EtOAc(3×50 ml)で抽出した。分離された有機相を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製し、20%EtOAcを含む石油エーテルで溶離させると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(2.5 g、79%)。
【0267】
LC-MS(方法6):Rt=1.55分;m/z=348.13 (M+H+)。
【0268】
参照例11
【0269】
3-(2-ブロモピリミジン-5-イルオキシ)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン
【0270】
工程a.2-ブロモピリミジン-5-オール
【0271】
2-クロロピリジン-5-オール(2 g、15.3ミリモル)をAcOH(6 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、HBr(47%水溶液)(6 ml)を0℃で添加し、rtで15分間撹拌した。得られた混合物を100℃で24時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、氷で冷やした水の中に注ぎ、EtOAc(2×100 ml)で抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると粗残留物が得られ、それを、30%EtOAc/石油エーテルを用いた100~200シリカ上のカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(1.5 g、55%)。
【0272】
LC-MS(方法6):Rt=0.94分;m/z=175.03 (M+H+)。
【0273】
工程b.2-ブロモ-5-(3-クロロプロポキシ)ピリミジン
【0274】
前節の工程aで得られた化合物(1.5 g、8.6ミリモル)をDMFに溶かした溶液を撹拌している中に、K2CO3(3.5 g、25.8ミリモル)と1-ブロモ-3-クロロプロパン(2)(2 g、12.9ミリモル)を添加した。得られた混合物をrtで一晩撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、EtOAc(2×100 ml)で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、減圧下で蒸発させると粗化合物が1.8 g(83%)得られ、それをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0275】
LC-MS(方法6):Rt=1.89分;m/z=251.08 (M+H+)。
【0276】
工程c.3-(2-ブロモピリミジン-5-イルオキシ)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン
【0277】
前節の工程bで得られた化合物(1.8 g、7.2ミリモル)をAcNに溶かした溶液を撹拌している中に、K2CO3(2.9 g、21.6ミリモル)とNaI(1.07 g、7.2ミリモル)を添加した。得られた混合物をrtで15分間撹拌し、ジエチルアミンヒドロクロリド(2.6 g、36ミリモル)をrtで添加した。それを70℃で16時間撹拌した。この反応混合物を、氷で冷やした水で希釈し、EtOAc(3×100 ml)で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、表題の化合物が茶色のネバネバした液体として得られた(1.2 g、58%)。
【0278】
LC-MS(方法6):Rt=1.08分;m/z=288.18 (M+H+)。
【0279】
参照例12
【0280】
N1-(6-ブロモピリジン-3-イル)-N3,N3-ジエチル-N1-メチルプロパン-1,3-ジアミン
【0281】
工程a.N1-(6-ブロモピリジン-3-イル)-N3,N3-ジエチルプロパン-1,3-ジアミン
【0282】
参照例9(1.2 g、3.1ミリモル)をDCM(20 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、TFA(3.5 ml)を添加し、rtで8時間撹拌した。この反応混合物を濃縮して乾燥させると粗残留物が得られ、それをカラムクロマトグラフィによって精製し、10%MeOH/DCMで溶離させると、表題の化合物が0.9 g(100%)得られた。
【0283】
LC-MS(方法6):Rt=1.27分;m/z=286.13 (M+H+)。
【0284】
工程b.N1-(6-ブロモピリジン-3-イル)-N3,N3-ジエチル-N1-メチルプロパン-1,3-ジアミン
【0285】
前節の工程aで得られた化合物(800 mg、2.795ミリモル)をギ酸(10 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、パラホルムアルデヒド(839 mg、27.95ミリモル)を0℃でゆっくりと添加し、95℃で16時間撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物を水に溶かした。水層を飽和NaOH水溶液で塩基化し、減圧下で濃縮した。得られた粗残留物をカラムクロマトグラフィによって精製し、10%MeOH/DCMで溶離させると、表題の化合物が得られた(700 mg、67.3%)。
【0286】
LC-MS(方法6):Rt=1.37分;m/z=300.16 (M+H+)。
【0287】
参照例13
【0288】
3-(6-ブロモピリジン-3-イルオキシ)-N-メチルプロパン-1-アミン
【0289】
密封された試験管の中で、参照例6の工程aで得られた化合物(1 g、4ミリモル)をAcNに溶かした溶液を撹拌している中に、K2CO3(1.6 g、12ミリモル)とNaI(300 mg、2ミリモル)を0℃で添加し、rtで15分間撹拌した。その後、EtOHの中に33%のメチルアミンを含む溶液(0.6 ml、6ミリモル)を0℃で添加した。得られた混合物を60℃で16時間撹拌した。それを、氷で冷やした水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると粗残留物が得られ、それを、溶離液として2%MeOH/DCMを用いた230~400シリカ上のカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物がネバネバした液体として得られた(750 mg、76%)。
【0290】
LC-MS(方法14):Rt=1.07分;m/z=245.01 (M+H+)。
【0291】
参照例14
【0292】
6-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン
【0293】
6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン(1 g、3.36ミリモル)をDMF(20 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、メタンスルホン酸テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル(1.51 g、8.38ミリモル)とCs2CO3(5.46 g、16.8ミリモル)を0℃で添加した。得られた混合物を100℃で16時間撹拌した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗残留物をカラムクロマトグラフィによって精製し、10%MeOHを含むDCMで溶離させると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(0.33 g、35%)。
【0294】
LC-MS(方法6):Rt=1.73分;m/z=281.07 (M+H+)。
【0295】
参照例14に記載されているのと同様の手続きに従うが、対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0296】
【0297】
参照例15
【0298】
3-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)-N-エチル-N-フェネチルプロパン-1-アミン
【0299】
工程a.3-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)プロパン-1-オール
【0300】
6-ブロモピリジン-3-オール(5.0 g、28.73ミリモル)をDMF(40 ml)に懸濁させた懸濁液を撹拌している中に、K2CO3(11.90 g、86.20ミリモル)と3-ブロモプロパノール(4.39 g、31.60ミリモル)をrtで添加し、16時間撹拌した。この反応混合物を、氷で冷やした水(150 ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×60 ml)で抽出した。1つにまとめた有機層を水(100 ml)で洗浄した後、ブライン溶液(100 ml)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾過された溶液を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を、溶離液として30%酢酸エチルを含む石油エーテルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が無色の液体として得られた(3.50 g、53%)。
【0301】
LC-MS(方法5):Rt=0.82分;m/z=232.05 (M+H+)。
【0302】
工程b.2-ブロモ-5-(3-ブロモプロポキシ)ピリジン
【0303】
前節の工程aで得られた化合物(3.50 g、15.08ミリモル)をDCM(50 ml)に溶かした溶液に、PPh3(11.0 g、30.17ミリモル)とCBr4(9.98 g、30.17ミリモル)を0℃で添加した。得られた混合物を室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗残留物を、溶離液として10%EtOAcを含む石油エーテルを用いたシリカゲルカラムによって精製すると、表題の化合物が無色の液体として得られた(2.50 g、56%)。
【0304】
LC-MS(方法5):Rt=1.19分;m/z=293.99 (M+H+)。
【0305】
工程c.3-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)-N-フェネチルプロパン-1-アミン
【0306】
前節の工程bで得られた化合物(2.50 g、8.47ミリモル)と2-フェニルエタナミン(1.54 g、12.71ミリモル)をAcN(50 ml)に溶かした溶液に、NaI(1.27 g、8.47ミリモル)とK2CO3(3.50 g、25.42ミリモル)を添加した。得られた混合物を60℃に16時間加熱した。この反応混合物を適度な粘度にし、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。粗残留物を、溶離液として35%AcNを含む0.1%ギ酸水溶液を用いたGrace逆相カラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が無色の液体として得られた(1.50 g、53%)。
【0307】
LC-MS(方法5):Rt=0.81分;m/z=335.20 (M+H+)。
【0308】
工程d.3-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)-N-エチル-N-フェネチルプロパン-1-アミン
【0309】
前節の工程cで得られた化合物(1.50 g、4.47ミリモル)をDCM(20 ml)に溶かした溶液に、K2CO3(1.85 g、13.43ミリモル)とヨウ化エチル(1.04 g、6.71ミリモル)を添加し、室温で16時間撹拌した。この反応混合物を、氷で冷やした水(100 ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×60 ml)で抽出した。1つにまとめた有機層を水(100 ml)で洗浄した後、ブライン溶液(100 ml)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾過された溶液を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を、溶離液として40%アセトニトリルを含む0.1%ギ酸水溶液を用いたGrace逆相カラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が無色の液体として得られた(1.10 g、68%)。
【0310】
LC-MS(方法6):Rt=1.62分;m/z=363.29 (M+H+)。
【0311】
参照例16
【0312】
N-(6-ブロモピリジン-3-イル)-2-フェニルアセトアミド
【0313】
6-ブロモピリジン-3-アミン(2.0 g、11.56ミリモル)をDCM(50 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、TEA(4.60 g、46.24ミリモル)を、そしてそれ続けてT3P(9.19 g、28.90ミリモル)を0℃で添加した。得られた混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を飽和NaHCO3水溶液(100 ml)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾過された溶液を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を、溶離液として25%酢酸エチルを含む石油エーテルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(2.30 g、68%)。
【0314】
LC-MS(方法1):Rt=2.46分;m/z=291.08 (M+H+)。
【0315】
参照例16に記載されているのと同様の手続きに従うが、それぞれのケースで対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0316】
【0317】
参照例17
【0318】
2-ブロモ-4-(2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エトキシ)ピリジン
【0319】
工程a.2-((2-ブロモピリジン-4-イル)オキシ)エタン-1-オール
【0320】
2-ブロモピリジン-4-オール(2.0 g、11.5ミリモル)をDMFに溶かした溶液を撹拌している中に、K2CO3(3.96 g、28.75ミリモル)をrtで添加した。2-ブロモエタノール(2.15 g、17.25ミリモル)を0℃でゆっくりと添加した。その後、それを70℃で12時間撹拌した。この反応混合物を、氷で冷やした水でクエンチし、DCMで抽出した。有機層を飽和NaHCO3水溶液で洗浄した後、ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾過された溶液を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を、溶離液として20%EtOAc/石油エーテルを用いた(100~200)シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が薄黄色の液体として得られた(1.2 g、47.8%)。
【0321】
LC-MS(方法14)):Rt=1.26分;m/z=220.0 (M+H++2)。
【0322】
工程b.2-ブロモ-4-(2-ブロモエトキシ)ピリジン
【0323】
前節の工程aで得られた化合物(1.1 g、5.0ミリモル)をDCMに溶かした溶液を撹拌している中に、PPh3(1.57 g、1.2当量)とCBr4(3.31 g、10ミリモル)を0℃で添加した。それをrtで12時間撹拌した。この反応混合物を、氷で冷やした水でクエンチし、DCMで抽出した。有機層を飽和NaHCO3水溶液で洗浄した後、ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾過された溶液を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を、溶離液として10%EtOAc/石油エーテルを用いた(230~400)シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が薄黄色の液体として得られた(0.9 g、64%)。
【0324】
LC-MS(方法14):Rt=2.18分;m/z=281.9 (M+H+)。
【0325】
工程c.2-ブロモ-4-(2-4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エトキシ)ピリジン
【0326】
前節の工程bで得られた化合物(400 mg、1.42ミリモル)をAcNに溶かした溶液を撹拌している中に、K2CO3(0.58 g、4.26ミリモル)とNaI(0.1 g、0.71ミリモル)とジフルオロピペリジンヒドロクロリド(0.25 g、2.13ミリモル)をrtで添加した後、80℃に12時間加熱した。有機溶媒を蒸発させて乾燥させた。得られた粗残留物を水とDCMに溶かした。1つにまとめた有機層を水で洗浄した後、ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾過された溶液を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を、溶離液として50%EtOAc/石油エーテルを用いた(230~400)シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が薄黄色の液体として得られた(0.350 g、76.7%)。
【0327】
LC-MS(方法15):Rt=2.91分;m/z=321.30 (M+H+)。
【0328】
参照例17に記載されているのと同様の手続きに従うが、対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0329】
【0330】
参照例18
【0331】
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール
【0332】
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(2 g、10.3ミリモル)をDMF(30 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、(2-(クロロメトキシ)エチル)トリメチルシラン(2 g、12.3ミリモル)とCs2CO3(10 g、30.9ミリモル)を添加した。得られた混合物をrtで3時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗残留物を、氷で冷やした水で希釈し、EtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾過された溶液を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を、20~30%EtOAc/石油エーテルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が薄黄色のネバネバした物質として得られた(1.5 g、44%)。
【0333】
LC-MS(方法14):Rt=3.08分;m/z=325.2 (M+H+)。
【0334】
参照例19
【0335】
5-ブロモ-1-プロピル-3-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン
【0336】
工程a.5-ブロモ-3-ヨード-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン
【0337】
5-ブロモ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(1 g、5.1ミリモル)をDMFに溶かした溶液を撹拌している中に、KOH(0.86 g、15.3ミリモル)を添加した。それをrtで20分間撹拌した後、ヨウ素(1.54 g、6.12ミリモル)を添加した。得られた混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を真空下で蒸発させて粗残留物を得た。得られた粗残留物に砕いた氷を添加し、沈殿した固体を濾過し、乾燥させ、ジエチルエーテルで洗浄すると、粗化合物が1 g(60%)得られ、それをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0338】
LC-MS(方法6):Rt=1.94分;m/z=323.01 (M+H+)。
【0339】
工程b.5-ブロモ-3-ヨード-1-プロピル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン
【0340】
前節の工程aで得られた化合物(1 g、3.1ミリモル)をDCMに溶かした溶液を撹拌している中に、NaH(60%)(0.371 g、9.2ミリモル)を0℃で添加した。15分後、ブロモプロパン(0.45 g、3.72ミリモル)をゆっくりと添加し、rtで3時間撹拌した。この反応混合物に砕いた氷を添加し、沈殿した固体を濾過し、乾燥させ、ジエチルエーテルとn-ペンタンで洗浄すると、粗化合物が900 mg(79%)得られ、それをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0341】
LC-MS(方法6):Rt=2.28分;m/z=365.01 (M+H+)。
【0342】
工程c.5-ブロモ-1-プロピル-3-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン
【0343】
前節の工程bで得られた化合物(500 mg、1.4ミリモル)をDCM/水(1:1)混合物に溶かした溶液を撹拌している中に、参照例18(0.545 g、1.7ミリモル)とCs2CO3(1.36 g、4.2ミリモル)を添加した。得られた溶液を窒素で15分間脱ガスした後、PdCl2dppf(0.1 g、0.14ミリモル)を添加し、90℃で16時間撹拌した。この反応混合物を真空下で蒸発させて粗残留物を取得し、それを冷水で希釈し、EtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾過された溶液を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を、20~30%EtOAc/石油エーテルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が薄茶色のネバネバした物質として得られた(380 mg、63%)。
【0344】
LC-MS(方法6):Rt=2.39分;m/z=435.34 (M+H+)。
【0345】
参照例19に記載されているのと同様の手続きに従うが、対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0346】
【0347】
参照例20
【0348】
N-(2-ブロモピリジン-4-イル)-2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)アセトアミド
【0349】
工程a.N-(2-ブロモピリジン-4-イル)-2-クロロアセトアミド
【0350】
2-ブロモピリジン-4-アミン(2 g、11.5ミリモル)をDCM(40 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、DIPEA(4 ml、23ミリモル)と塩化クロロアセチル(1.85 ml、23ミリモル)を0℃で添加した。それをrtで3時間撹拌した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物をカラムクロマトグラフィによって精製し、20%EtOAcを含む石油エーテルで溶離させると、表題の化合物が灰黄色の固体として得られた(2.2 g、76.5%)。
【0351】
LC-MS(方法6):Rt=1.70分;m/z=249.02 (M+H+)。
【0352】
工程b.N-(2-ブロモピリジン-4-イル)-2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)アセトアミド
【0353】
前節の工程aで得られた化合物(2.1 g、8.4ミリモル)をAcN(50 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、K2CO3(3.5 g、25.2ミリモル)とNaI(1.62 g、10.9ミリモル)と4,4-ジフルオロピペリジンヒドロクロリド(1.52 g、12.6ミリモル)を0℃で添加した。それをrtで16時間撹拌した。この反応混合物を、セライトパッドを通過させて濾過し、EtOAc(50 ml)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると粗化合物が得られ(1.5 g、53.4%)、それをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0354】
LC-MS(方法6):Rt=1.42分;m/z=336.16 (M+H++2)。
【0355】
参照例21
【0356】
2-ブロモ-N-(2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エチル)ピリジン-4-アミン
【0357】
参照例20(1.0 g、2.97ミリモル)をTHF(40 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、LiAlH4(0.135 g、3.56ミリモル)を0℃で添加した。それをrtで3時間撹拌した。この反応混合物を砕いた氷水の中に注ぎ、EtOAcで希釈した。得られた混合物を、セライトパッドを通過させて濾過し、減圧下で濃縮すると粗化合物が得られ(0.5 g、52.6%)、それをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0358】
LC-MS(方法19):Rt=3.44分;m/z=320.31 (M+H+)。
【0359】
参照例22
【0360】
5-ブロモ-3-(ピペリジン-1-イルメチル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン
【0361】
参照例5に記載されているのと同様の手続きに従うが、参照例2の代わりに5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジンを用いて望む化合物を取得した。
【0362】
LC-MS(方法6):Rt=1.12分;m/z=295.18 (M+H+)。
【0363】
参照例23
【0364】
6-ブロモ-1-(2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン
【0365】
工程a.6-ブロモ-1-(2-ブロモエチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン
【0366】
40%NaOH水溶液(15 ml)を撹拌している中に、6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン(1 g、5.07ミリモル)とTBAB(163 mg、0.50ミリモル)と1,2-ジブロモエタン(15 ml)を添加した。得られた混合物を80℃で12時間撹拌した。この反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮すると粗化合物が得られ(1.8 g)、それをさらに精製せずに次の工程で使用した
【0367】
LC-MS(方法6):Rt=1.77分;m/z=304.80 (M+H+)。
【0368】
工程b.6-ブロモ-1-(2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)エチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン
【0369】
前節の工程aで得られた化合物(1 g、3.2ミリモル)をAcN(50 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、4,4-ジフルオロピペリジンヒドロクロリド(780 mg、5ミリモル)とK2CO3(1.3 g、9.6ミリモル)を添加した。得られた懸濁液を70℃で16時間撹拌した。この反応混合物を冷水の中に注ぎ、EtOAc(2×80 ml)で抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮すると粗化合物が得られ、それを、溶離液として28%EtOAc/石油エーテルを用いた230~400シリカゲル中のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(650 mg、59%)。
【0370】
LC-MS(方法6):Rt=1.26分;m/z=344.26 (M+H+)。
【0371】
参照例24
【0372】
N-(2-ブロモピリジン-4-イル)-3-フェニルプロパンアミド
【0373】
2-ブロモピリジン-4-アミン(500 mg、2.9ミリモル)をTHF(20 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、塩化3-フェニルプロパノイル(585 mg、3.5ミリモル)とDIPEA(1.5 ml、8.7ミリモル)を添加し、それをrtで16時間撹拌した。この反応混合物を氷水(50 ml)の中に注ぎ、EtOAc(2×100 ml)で抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過すると粗残留物が得られ、それをn-ペンタンの中で研和し、乾燥させると、表題の化合物がネバネバした固体として得られた(880 mg、36%)。
【0374】
LC-MS(方法14):Rt=2.27分;m/z=305.0 (M+H+)。
【0375】
参照例25
【0376】
6-ブロモ-1-(ピリジン-4-イルメチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン
【0377】
6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン(1 g、5.07ミリモル)をDMF(25 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、Cs2CO3(4.95 g、15.21ミリモル)と4-(ブロモメチル)ピリジンヒドロブロミド(1.92 g、7.60ミリモル)を添加した。得られた懸濁液をrtで撹拌した後、50℃に16時間加熱した。この反応混合物を氷水の中に注ぎ、EtOAc(2×120 ml)で抽出した。有機層を水とブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。得られた溶液を減圧下で濃縮すると粗残留物が得られ、それを、溶離液として70%EtOAc/石油エーテルを用いた230~400シリカゲル中のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が薄茶色の固体として得られた(800 mg、57.7%)。
【0378】
LC-MS(方法15):Rt=2.33分;m/z=288.27 (M+H+)。
【0379】
参照例25に記載されているのと同様の手続きに従うが、それぞれのケースで対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0380】
【0381】
参照例26
【0382】
3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン
【0383】
3-ブロモ-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン(200 mg、1.01ミリモル)をDMF(5 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(127 mg、1.51ミリモル)と触媒量のpTSAをrtで添加した。得られた溶液を85℃で24時間撹拌した。この反応物をrtまで冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を水とブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。得られた溶液を減圧下で濃縮すると粗残留物が得られ、それをフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が得られた(150 mg、52.8%)。
【0384】
LC-MS(方法1):Rt=2.24分;m/z=282.30 (M+H+)。
【0385】
参照例27
【0386】
5-(3-(1H-ピラゾル-1-イル)プロポキシ)-2-ブロモピリジン
【0387】
1H-ピラゾール(378 mg、5.55ミリモル)をDMF(10 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、60%NaH(666 mg、16.6ミリモル)を0℃で添加し、それをrtで15分間撹拌した。その後、参照例6の節aで得られた化合物(1.25 g、6.1ミリモル)を(ゆっくりと)添加した。それをrtで3時間撹拌した。それを、30~80%EtOAc/石油エーテルを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(1.2 g、70%)。
【0388】
LC-MS(方法14):Rt=2.09分;m/z=282.0 (M+H+)。
【0389】
参照例28
【0390】
6-ブロモ-1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン
【0391】
工程a.4-(6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-1-イル)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル
【0392】
4-(メチルスルホニルオキシ)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチルをDMF(30 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、Cs2CO3(3.08 g、9.5ミリモル)と6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン(372 mg、1.9ミリモル)をrtで添加した。この反応混合物を90℃で12時間撹拌した。この反応混合物を氷水でクエンチし、DCMで抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗化合物を、溶離液として20%EtOAcを含む石油エーテルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が得られた(0.60 g、44%)。
【0393】
LC-MS(方法14):Rt=2.65分;m/z=380.0 (M+H+)。
【0394】
工程b.6-ブロモ-1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジンヒドロクロリド
【0395】
前節の工程aで得られた化合物(0.6 g、1.6ミリモル)をジオキサン(25 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、4M HClを含むジオキサン(0.2 ml)を添加した。得られた混合物をrtで3時間撹拌した。有機溶媒を真空下で除去し、粗残留物をジエチルエーテルと研和した。それを減圧下で濾過すると、表題の化合物が400 mg(89%)得られた。
【0396】
LC-MS(方法14):Rt=1.23分;m/z=280.0 (M+H+)。
【0397】
工程c.6-ブロモ-1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン
【0398】
前節の工程bで得られた化合物(200 mg、0.7ミリモル)をアセトン(15 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、K2CO3(0.483 mg、3.5ミリモル)とトリフルオロメタンスルホン酸2,2,2-トリフルオロエチル(450 mg、1.4ミリモル)をrtで添加した。それを55℃で一晩撹拌した。有機溶媒を真空下で除去した。粗残留物をDCM/水で抽出した。その後、1つにまとめた有機層を減圧下で濃縮すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(150 mg、58%)。
【0399】
LC-MS(方法6)):Rt=2.07分;m/z=362.24 (M+H+)。
【0400】
参照例29
【0401】
5-ブロモ-1-ブチル-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン
【0402】
工程a.5-ブロモ-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン
【0403】
5-ブロモ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(1.0 g、5.07ミリモル)をMeOH(20 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、粉末KOH(1.13 g、20.28ミリモル)を添加した。得られた混合物をrtで10分間撹拌した。その後、1-メチルピペリジン-4-オン(1.14 g、10.14ミリモル)を添加し、それを16時間還流させた。この反応混合物を水でクエンチし、10%MeOHを含むDMCで抽出した。分離された有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、表題の化合物が800 mg(54%)得られた。
【0404】
LC-MS(方法6):Rt=0.95分;m/z=290.20 (M-H+)。
【0405】
工程b.5-ブロモ-1-ブチル-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン
【0406】
前節の工程aで得られた化合物(800 mg、2.74ミリモル)をDMF(10 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、NaH(60%)(325 mg、8.22ミリモル)を0℃で添加し、それを15分間撹拌した。その後、ヨードブタン(1.0 g、5.48ミリモル)を添加し、この反応混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗化合物を、溶離液として25~30%EtOAcを含む石油エーテルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が得られた(400 mg、42%)。
【0407】
LC-MS(方法6):Rt=1.66分;m/z=348.29 (M+H+)。
【0408】
参照例30
【0409】
N,N-ジメチル-3-(6-(トリメチルスタンニル)ピリジン-3-イルオキシ)プロパン-1-アミン)
【0410】
参照例6b(500 mg、1.92ミリモル)をトルエン(20 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、ヘキサメチル二スズ(695 mg、2.12ミリモル)とPd(PPh3)4(223 mg、0.192ミリモル)をrtで添加した。得られた溶液を窒素で10分間脱ガスし、110℃に16時間加熱した。この反応混合物を減圧下で蒸発させ、粗化合物を、10%EtOAcを含む石油エーテルを用いた中性アルミナ上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が得られた(390 mg、58%)。
【0411】
LC-MS(方法21):Rt=2.02分;m/z=345.0 (M+H+)。
【0412】
参照例31
【0413】
3-(2-ブロモピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール
【0414】
工程a.2-ブロモ-N-ヒドロキシイソニコチンイミダミド
【0415】
2-ブロモイソニコチノニトリル(3 g、16.4ミリモル)をEtOAc/MeOH(1:1)(50 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、NaHCO3(2.7 g、32.8ミリモル)の中のNH2OH・HCl(2.2 g、32.8ミリモル)の50%溶液を添加した。得られた溶液を60℃に3時間加熱した。この反応混合物を減圧下で蒸発させ、氷水(20 ml)の中に注ぎ、EtOAc(2×150 ml)で抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過すると粗化合物が得られ、それをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0416】
LC-MS(方法21):Rt=0.97分;m/z=214.90 (M+H+)。
【0417】
工程b.3-(2-ブロモピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール
【0418】
前節の工程aで得られた化合物(3.4 mg、15.7ミリモル)をTHF(20 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、無水トリフルオロ酢酸(4.94 g、23.5ミリモル)を添加した。得られた溶液を50℃に2時間加熱した。この反応混合物を真空下で蒸発させ、氷水(30 ml)の中に注ぎ、EtOAc(2×50 ml)で抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾過された溶液を濃縮すると粗残留物が得られ、をれを、25%EtOAcを含む石油エーテルを用いたシリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(3.2 g、69%)。
【0419】
LC-MS(方法15):Rt=4.15分;m/z=293.51 (M+H+)。
【0420】
参照例32
【0421】
3-ブロモ-1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン
【0422】
3-ブロモ-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン(500 mg、2.52ミリモル)をDMFに溶かした溶液を撹拌している中に、NaH(60%)(201 mg、5.04ミリモル)を0℃で添加し、それを15分間撹拌した。その後、1-ブロモ-2-メトキシエタン(420 mg、3.02ミリモル)を添加し、この反応混合物をrtで2時間撹拌した。この反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗化合物を、溶離液として45%EtOAcを含む石油エーテルを用いた230~400シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物がネバネバした固体として得られた(430 mg、66%)。
【0423】
LC-MS(方法24):Rt=2.63分;m/z=258.01 (M+2H+)。
【0424】
参照例32に記載されているのと同様の手続きに従うが、それぞれのケースで対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0425】
【0426】
参照例33
【0427】
3-ブロモ-1-(2-(1-メチル-1H-イミダゾル-2-イル)エチル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン
【0428】
3-ブロモ-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン(800 mg、4.03ミリモル)をアセトニトリル(10 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、Cs2CO3(3940 mg、12.09ミリモル)と2-(2-クロロエチル)-1-メチル-1H-イミダゾール(640 mg、4.43ミリモル)とNaI(303 mg、2.02ミリモル)をRTで添加した。この反応混合物を90℃に一晩加熱した。粗反応物を、セライトパッドを通過させて濾過し、EtOAc(50 ml)で洗浄し、溶液を蒸発させて乾燥させた。粗化合物を、10 mMの酢酸アンモニウム/アセトニトリルを用いた逆相カラムクロマトグラフィによって2回精製すると、表題の化合物がネバネバした固体として得られた(430 mg、35%)。
【0429】
LC-MS(方法26):Rt=1.99分;m/z=306.0 (M+H+)。
【0430】
参照例34
【0431】
1-メチル-3-(トリメチルスタンニル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン
【0432】
参照例30に記載されているのと同様の手続きに従うが、参照例6bの代わりに参照例32bを利用して望む化合物を取得した。
【0433】
実施例1
【0434】
3-(2-(1-ブチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール
【0435】
【0436】
工程a.2-(1-ブチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)イソニコチノニトリル
【0437】
【0438】
参照例2(800 mg、3.16ミリモル)を1,4-ジオキサン(5 ml)に溶かして撹拌している溶液に、参照例1(928 mg、3.47ミリモル)とCsF(948 mg、6.32ミリモル)とCuI(119 mg、0.63ミリモル)を添加した。得られた溶液を窒素で5分間脱ガスした後、Pd(PPh3)4(358 mg、0.31当量)を添加した。この反応混合物をさらに5分間再度脱ガスした後、110℃に16時間加熱した。粗反応物を、セライトパッドを通過させて濾過し、EtOAc(50 ml)で洗浄し、濾過された溶液を蒸発させて乾燥させた。粗化合物を、20%EtOAc/石油エーテルを用いて230~400シリカゲル中のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が薄黄色の固体として得られた(500 mg、57%)。
【0439】
LC-MS(方法6):Rt=1.66分;m/z=277.54 (M+H+)。
【0440】
工程b.2-(1-ブチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)-N-ヒドロキシイソニコチンイミダミド
【0441】
【0442】
前節の工程aで得られた化合物(300 mg、1.08ミリモル)をEtOH/MeOH(1:1)(10 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、50%NH2OH・HCl水溶液(300 mg、2.16ミリモル)を添加した。得られた溶液を60℃に5時間加熱した。この反応混合物を真空下で蒸発させ、氷水(20 ml)の中に注ぎ、EtOAc(2×80 ml)で抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾過された溶液を濃縮すると、表題の化合物がネバネバした固体として得られた(320 mg、95%)。
【0443】
LC-MS(方法6):Rt=.47分;m/z=310.27 (M+H+)。
【0444】
工程c.3-(2-(1-ブチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール
【0445】
【0446】
前節の工程bで得られた化合物(300 mg、0.97ミリモル)をTHF(10 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、無水トリフルオロ酢酸(243 mg、1.16ミリモル)を添加した。得られた溶液を50℃に4時間加熱した。この反応混合物を真空下で蒸発させ、氷水(20 ml)の中に注ぎ、EtOAc(2×80 ml)で抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾過された溶液を濃縮すると粗残留物が得られ、それを分取HPLCによって精製すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(70 mg、18.6%)。
【0447】
LC-MS(方法6):Rt=2.00分;m/z=388.28 (M+H+)。
【0448】
分取HPLCの条件:カラム/サイズ:PRONTOSIL C18(20×250 mm)、10.0μm、移動相:0.1%ギ酸を含む水:アセトニトリル(A:B);勾配(時間/%B):0/20、1/20、10/80、10.1/98、14/98、14.1/20、17/20。流速:20ml/分
【0449】
実施例1に記載されているのと同様の手続きに従うが、それぞれのケースで対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0450】
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【表11-6】
【表11-7】
【表11-8】
【表11-9】
【表11-10】
【表11-11】
【0451】
実施例2
【0452】
N-メチル-3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(ギ酸塩として)
【0453】
【0454】
工程a.5'-(3-(メチルアミノ)プロポキシ)-[2,2'-ビピリジン]-4-カルボニトリル
【0455】
【0456】
参照例13(250 mg、1.01ミリモル)を1,4-ジオキサン(20 ml)に溶かして撹拌している溶液に、参照例1(16)(299 mg、1.12ミリモル)とCsF(308 mg、2.03ミリモル)とCuI(38 mg、0.20ミリモル)を添加した。得られた溶液を窒素で15分間脱ガスした後、Pd(PPh3)4(117 mg、0.1ミリモル)を添加し、110℃に16時間加熱した。この反応物を、セライトパッドを通過させて濾過し、EtOAc(50 ml)で洗浄した。濾過された溶液を蒸発させて乾燥させた。粗残留物を、溶離液として90%EtOAc/石油エーテルを用いて230~400シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物がネバネバした固体として得られた(180 mg、65%)。
【0457】
LC-MS(方法14):Rt=1.45分;m/z=269.1 (M+H+)。
【0458】
工程b.(3-((4'-シアノ-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロピル)(メチル)カルバミン酸t-ブチル
【0459】
【0460】
前節の工程aで得られた化合物(180 mg、0.67ミリモル)をアセトニトリル(10 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、無水Boc(219 mg、1.0ミリモル)とTEA(0.27 ml、2.01ミリモル)を添加した。得られた混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を真空下で蒸発させると粗化合物が得られ(200 mg、80%)、それをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0461】
LC-MS(方法15):Rt=3.75分;m/z=369.08 (M+H+)。
【0462】
工程c.(3-((4'-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロピル)(メチル) カルバミン酸t-ブチル
【0463】
【0464】
前節の工程bで得られた化合物(200 mg、0.54ミリモル)をEtOH/MeOH(4:1)に溶かした溶液を撹拌している中に、50%NH2OH・HCl水溶液(75 mg、1.08ミリモル)とNaHCO3(91 mg、1.08ミリモル)を添加した。得られた混合物を50℃で3時間撹拌した。この反応混合物を濃縮すると粗残留物が得られ、それをEtOHで希釈し、ブフナー漏斗を通過させて濾過した。濾過された溶液を濃縮して乾燥させると、表題の化合物が薄茶色のネバネバした固体として得られ(170 mg、78%)、それをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0465】
LC-MS(方法15):Rt=2.89分;m/z=402.21 (M+H+)。
【0466】
工程d.ギ酸N-メチル-3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロパン-1-アミン
【0467】
【0468】
前節の工程cで得られた化合物(150 mg、0.37ミリモル)をTHFに溶かした溶液を撹拌している中に、無水トリフルオロ酢酸(0.1 ml、0.56ミリモル)を添加した。得られた混合物を70℃に加熱し、TFA(0.5 ml、0.64ミリモル)を添加し、50℃で2時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、粗残留物を氷水の中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗化合物を分取HPLCによって精製すると、表題の化合物がピンク色の固体として得られた(65 mg、45%)。
【0469】
LC-MS(方法15):Rt=2.79分;m/z=380.15 (M+H+)。
【0470】
分取HPLCの条件:カラム/サイズ:SYNERGY POLAR C18(21.2×250 mm)、5μm 移動相:0.1%ギ酸:アセトニトリル(A:B)勾配(時間/%B):0/20、1/20、7/50、10/50、10.1/98、13/98、13.120、16/20。流速:20 ml/分。
【0471】
実施例3
【0472】
1-(1-ブチル-5-(4-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルメタナミン
【0473】
【0474】
実施例1(400 mg、1ミリモル)をn-ブタノールに溶かした溶液を撹拌している中に、HCHO(300 mg、10ミリモル)とジメチルアミンHCl塩(815 mg、10ミリモル)を添加した。得られた混合物を120℃で16時間撹拌した。この反応混合物を濃縮する粗化合物が得られ、それを分取HPLCによって精製すると、表題の化合物がピンク色のネバネバした固体として得られた(38 mg、8.6%)。
【0475】
LC-MS(方法15):Rt=3.37分;m/z=445.39 (M+H+)。
【0476】
分取HPLCの条件:カラム/サイズ:XSELECT C18 (19×250×5μm) 移動相A : 0.1%ギ酸を含む水(aq) 移動相B:アセトニトリル(org)勾配(時間/%B):0/10、1/10、5/30、9/30、9.1/100、11/100、11.1/10、13/10。流速:18 ml/分 溶離液:メタノール+THF。
【0477】
実施例4
【0478】
3-(2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール
【0479】
【0480】
工程a.2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル) イソニコチノニトリル
【0481】
【0482】
参照例26(900 mg、3.19ミリモル)をトルエン(25 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、参照例1(1100 mg、4.15ミリモル)を添加し、窒素ガスで10分間脱ガスした。次にPd(PPh3)4(112 mg、0.16ミリモル)を添加し、得られた溶液をさらに5分間再度脱ガスした後、100℃に16時間加熱した。この反応混合物を減圧下で濃縮すると粗残留物が得られ、それをカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が得られた(800 mg、82.2%)。
【0483】
LC-MS(方法1):Rt=2.44分;m/z=306.24 (M+H+)。
【0484】
工程b.2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)イソニコチノニトリル
【0485】
【0486】
前節の工程aで得られた化合物(800 mg、2.62ミリモル)をDCM(15 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、TFA(10 ml)を添加してrtで48時間撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮すると粗残留物が得られ、それをカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が得られた(400 mg、69.0%)。
【0487】
LC-MS(方法1):Rt=1.85分;m/z=222.13 (M+H+)。
【0488】
工程c.N-ヒドロキシ-2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)イソニコチンイミダミド
【0489】
【0490】
実施例1のb節に記載されているのと同様の手続きに従うが、2-(1-ブチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)イソニコチノニトリルの代わりに前節の工程bで得られた化合物を用いることにより、望む化合物を得た。
【0491】
LC-MS(方法14):Rt=1.25分;m/z=255.1 (M+H+)。
【0492】
工程d.3-(2-(1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール
【0493】
【0494】
実施例1のc節に記載されているのと同様の手続きに従うが、2-(1-ブチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-イル)-N-ヒドロキシイソニコチンイミダミドの代わりに前節の工程cで得られた化合物を用いることにより、望む化合物を得た。
【0495】
LC-MS(方法6):Rt=1.98分;m/z=333.20 (M+H+)。
【0496】
実施例5
【0497】
N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)ピペリジン-3-カルボキサミド(ヘミギ酸塩として)
【0498】
【0499】
工程a.3-((4'-シアノ-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)カルバモイル)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル
【0500】
【0501】
参照例16c(3 g、7.81ミリモル)をトルエン(30 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、2-ブロモイソニコチノニトリル(2.14 g、11.71ミリモル)とヘキサメチル二スズ(2.8 ml、13.67ミリモル)を添加した。得られた溶液をアルゴンで10分間脱ガスした後、Pd(PPh3)4(902 mg、0.781ミリモル)を添加した。得られた混合物を5分間脱ガスし、110℃に16時間加熱した。この反応混合物を水で希釈し、EtOAc(2×20 ml)で抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮すると粗残留物が得られ、それを、10%EtOAcを含む石油エーテルを用いたカラムクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が得られた(800 mg、25.1%)。
【0502】
LC-MS(方法1):Rt=2.62分;m/z=408.31 (M+H+)。
【0503】
工程b.N-(4'-シアノ-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)ピペリジン-3-カルボキサミドヒドロクロリド
【0504】
【0505】
前節の工程aで得られた化合物(200 mg、0.486ミリモル)をDCM(2 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、ジエチルエーテル中の2M HCl溶液(3 ml)を0℃で添加した。この反応混合物をrtで2時間撹拌した。得られた混合物を濃縮し、粗残留物をn-ペンタンおよびジエチルエーテルと研和した。それを減圧下で濾過すると、表題の化合物が800 mg得られた(54%)。
【0506】
LC-MS(方法1):Rt=1.54分;m/z=308.29 (M+H+)。
【0507】
工程c.N-(4'-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)ピペリジン-3-カルボキサミドヒドロクロリド
【0508】
【0509】
前節の工程bで得られた化合物(50 mg、0.16ミリモル)をEtOH(6 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、ヒドロキシルアミンヒドロクロリド(22 mg、0.32ミリモル)とNaHCO3(27 mg、0.32ミリモル)を含む水(2 ml)を添加した。この反応混合物を70℃で6時間撹拌した。得られた溶液を濃縮して乾燥させ、粗残留物をEtOHで希釈し、ブフナー漏斗を通過させて濾過してNaHCO3を除去した。濾過された溶液を濃縮すると表題の化合物が得られ(45 mg、82%)、それをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0510】
LC-MS(方法14):Rt=1.26分;m/z=341.1 (M+H+)。
【0511】
工程d.1-(2,2,2-トリフルオロアセチル)-N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)ピペリジン-3-カルボキサミド
【0512】
【0513】
前節の工程cで得られた化合物(40 mg、0.11ミリモル)をTHF(5 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、無水トリフルオロ酢酸(0.1 ml)を添加した。得られた混合物を70℃で3時間撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮すると粗残留物が得られ、それを分取HPLCによって精製すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(16 mg、28%)。
【0514】
LC-MS(方法14):Rt=2.82分;m/z=515.1 (M+H+)。
【0515】
分取HPLCの条件:カラム/サイズ:Prontosil C18(20×250 mm)、10μm 移動相:0.1%酢酸アンモニウムを含む水:アセトニトリル(A:B)勾配(時間/%B):0/20、1/20、5/70、15/700、15.1/100。流速:20 ml/分 溶離液:ACN+THF+水。
【0516】
工程e.N-(4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-4-イル)ピペリジン-3-カルボキサミド
【0517】
【0518】
前節の工程dで得られた化合物(16 mg、0.03ミリモル)をMeOH(5 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、K2CO3(4.7 mg、0.034ミリモル)を添加した。得られた混合物をrtで16時間撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮すると粗残留物が得られ、それを分取HPLCによって精製すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(6 mg、46%)。
【0519】
LC-MS(方法6):Rt=1.84分;m/z=419.34 (M+H+)。
【0520】
分取HPLCの条件:カラム/サイズ:SUN FIRE C18(19×150 mm、5μm)移動相A:0.1%ギ酸を含む水(aq)移動相B:アセトニトリル(org)勾配(時間/%B):0/10、1/10、5/25、8/25、8.1/98、10/98、10.1/10、12/10。流速:18 ml/分 溶離液:アセトニトリル+THF。
【0521】
実施例6
【0522】
3-(2-(1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール
【0523】
【0524】
工程a.2-(1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル)イソニコチノニトリル
【0525】
【0526】
2-ブロモイソニコチノニトリル(500 mg、2.7ミリモル)をトルエン(25 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(0.6432 g、5.4ミリモル)とK2CO3(1.86 g、13.5ミリモル)を添加した後、CuI(0.256 g、1.35ミリモル)を添加した。得られた溶液を窒素で15分間脱ガスした後、トランスN,N-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(0.192 g、1.35ミリモル)を添加した。得られた反応物を110℃に16時間加熱した。この反応混合物を真空下で蒸発させると粗残留物が得られ、それを分取HPLCによって精製すると、表題の化合物が得られた(300 mg、29.3%)。
【0527】
LC-MS(方法6):Rt=1.626分;m/z=222.01 (M+H+)。
【0528】
工程b.N-ヒドロキシ-2-(1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル)イソニコチンイミダミド
【0529】
【0530】
前節の工程aで得られた化合物(300 mg、1.0ミリモル)をEtOH(5 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、50%NH2OH・HCl水溶液(179 mg、2.1ミリモル)と、Na2CO3(296 mg、2.8ミリモル)を含むH2O(5 ml)を添加した。得られた溶液をrtで18時間加熱した。この反応混合物を真空下で蒸発させると粗化合物が得られ、それをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0531】
LC-MS(方法6):Rt=1.16分;m/z=255.12 (M+H+)。
【0532】
工程c.3-(2-(1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル)ピリジン-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール
【0533】
【0534】
前節の工程bで得られた化合物(300 mg、1.2ミリモル)をTHF(10 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、無水トリフルオロ酢酸(252 mg、1.2ミリモル)を添加した。得られた溶液を70℃に3時間加熱した。この反応混合物を真空下で蒸発させると粗残留物が得られ、それを分取HPLCによって精製すると、表題の化合物が灰白色の固体として得られた(115 mg、29.3%)。
【0535】
LC-MS(方法20):Rt=4.79分;m/z=333.11 (M+H+)。
【0536】
実施例7
【0537】
N,N-ジメチル-3-((4'-(5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル)-[2,2'-ビピリジン]-5-イル)オキシ)プロパン-1-アミン
【0538】
【0539】
参照例31(300 mg、1.0ミリモル)をトルエン(3 ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、参照例30(928 mg、3.47ミリモル)を添加した。得られた溶液を窒素で15分間脱ガスした後、Pd(PPh3)4(115 mg、0.1ミリモル)を添加した。この反応混合物をさらに5分間再度脱ガスした後、110℃に16時間加熱した。粗反応物を、セライトパッドを通過させて濾過し、EtOAc(50 ml)で洗浄し、濾過された溶液を蒸発させて乾燥させた。粗化合物を分取HPLCによって精製すると、表題の化合物が薄ピンク色の固体として得られた(65 mg、16%)。
【0540】
LC-MS(方法16)Rt=4.49分;m/z=394.29 (M+H+)。
【0541】
実施例7に記載されている手続きに従うが、対応する出発材料を用いて以下の化合物を取得した。
【0542】
【0543】
実施例8
【0544】
HDAC6酵素とHDAC2酵素の抑制アッセイ
【0545】
方法:
【0546】
蛍光測定アッセイを利用してHDAC6とHDAC2に対する本発明の化合物の活性を調べた。各アッセイで使用した参照組み換えタンパク質とその量を下記の表に示す。
【0547】
【0548】
化合物をDMSOに溶かした。DMSOの中で段階希釈液を調製した後、HDACアッセイ用バッファー(トリス緩衝化溶液、BPS Bioscience Inc.社 #50031)の中で1:10に希釈した。5μlの化合物希釈液を50μlの反応物に添加してDMSOの最終濃度が1%になるようにした。
【0549】
HDACアッセイ用バッファーと、5μgのBSAと、組み換えHDAC酵素(上記の表を参照されたい)を含有する混合物の中で化合物をRTにて3時間にわたってあらかじめインキュベートした。酵素反応は、ヒストンタンパク質に基づく蛍光発生アセチル化ペプチド基質(BPS Bioscience Inc.社 #50037)を最終濃度が10μMになるまで添加することによって開始させた。酵素反応は37℃で30分間進行した。その後、50μlの2×HDAC Developer(ペプチダーゼ活性があってトリコスタチンAを含有する)(BPS Bioscience Inc.社 #50030)を添加し、プレートをRTでさらに15分間インキュベートした。蛍光強度は、Tecan Infinite M1000マイクロプレートリーダーを用いて360 nmの励起波長と460 nmの発光波長で測定した。
【0550】
トリコスタチンA(TSA、Selleckchem社 #S1045)を参照阻害剤として使用した。
【0551】
コンピュータソフトウエアGraphpad Prism(GraphPad Software社、サン・ディエゴ、カリフォルニア州)を用いて蛍光強度データを分析した。100%活性は、化合物がないときの蛍光強度(Ft)と定義した。0%活性は、酵素がないときの蛍光強度(Fb)と定義した。各化合物が存在しているときの%活性は、式:%活性=(F-Fb)/(Ft-Fb)に従って計算した。ただしFは、化合物が存在しているときの蛍光強度である。
【0552】
結果:
【0553】
本発明の化合物を用いて上記のアッセイで得られた結果を下記の表に示す。
【0554】
【0555】
実施例9
【0556】
細胞に基づくインビトロアッセイ
【0557】
方法:
【0558】
HDAC6阻害剤で処理したときのHDAC6の細胞活性を求めるため、α-チューブリン(HDAC6特異的基質)のアセチル化レベルをウエスタンブロットによって測定した。その目的で、37℃かつ5%CO2にした湿潤な組織培養インキュベータの中で、MOLP8細胞を6ウエルのプレートに500,000細胞/ウエルの細胞密度で播種した後、選択された化合物を5μMと1μMで用いて18時間処理した。その後、細胞ペレットを回収し、1×プロテアーゼ阻害剤(cOmplete mini、Roche社)を補足したRIPAバッファー(Sigma社)を用いて全タンパク質抽出液を調製した。ブラッドフォード試薬(Bio-Rad社)を製造者の指示に従って用いてタンパク質の濃度を求め、合計7μgのタンパク質をプレキャスト10%NuPAGE Novexゲル(Life Technologies社)に装填した。ゲル電気泳動をMOPS-SDSバッファー(Life Technologies社)の中で実施し、iBlot 2 Dry Blotting System(Life Technologies社)を用いてタンパク質を移した。その後、ブロットを蒸留水の中でリンスし、Ponceau S溶液(Sigma社)で染色した。次にブロットを蒸留水で洗浄して過剰なPonceauを除去し、Epson Perfection V600 Photo professional Scannerで走査した。その後、ブロットを脱染色し、室温にて5%ミルク/PBS-Tween 0.1%の中で1時間ブロックした後、振盪プラットフォーム上で、一次抗体である抗アセチル-α-チューブリン(Sigma社、カタログ番号#T7451、1:10,000希釈液)と抗β-アクチン(Sigma社、カタログ番号#A5316、1:2,000希釈液)を含む5%ミルク/PBS-Tween 0.1%とともに4℃で一晩インキュベートした。インキュベーションの後、ブロットをPBS-Tween 0.5%の中で5分間ずつ3回洗浄し、振盪プラットフォーム上で、HRPで標識した抗マウス二次抗体(Jackson Immuno Research社、カタログ番号115-035-068)を1:8,000の割合で含む5%ミルク/PBS-Tween 0.1%とともに室温で1時間インキュベートした。ブロットをPBS-Tween 0.5%で5分間ずつ3回洗浄し、PBS 1×の中で1回洗浄した後、ECL Plus(GE Healthcare社)を用いて現像し、G:Box Chemi XRQ(Syngene社)イメージングシステムを用いて化学発光反応を画像化した。ImageJソフトウエアを用いてウエスタンブロットとPonceauの画像を分析し、ウエスタンブロットのバンド強度を全タンパク質またはβ-アクチンの含量によって規格化し、(100%に等しい)1μMのACY-1215に対して相対化した。ACY-1215はHDAC6阻害剤であり、リコリノスタットとしても知られていて、化学名は2-(ジフェニルアミノ)-N-[7-(ヒドロキシアミノ)-7-オキソヘプチル]-5-ピリミジンカルボキサミドである。バンド強度の%は以下のように分類した。
【0559】
【0560】
結果:
【0561】
本発明の化合物を用いてこのアッセイで得られた結果を下記の表に示す。
【0562】
【0563】
実施例8と9に示されているデータは、式(I)の化合物が、細胞内を含めて強力なHDAC6抑制活性を示すことを示している。さらに、本発明の化合物は、実施例8に示されているように、HDAC2に関して本発明の代表的な化合物で得られたデータに基づくと、HDAC2よりもHDAC6に対する選択性を示す。