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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】接合強度に優れたターポリン
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/12 20060101AFI20231019BHJP
   E04H 15/54 20060101ALI20231019BHJP
   E04B 1/34 20060101ALI20231019BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20231019BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B32B27/12
E04H15/54
E04B1/34 Z
C08L101/00
C08L1/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021000020
(22)【出願日】2021-01-04
(65)【公開番号】P2022105342
(43)【公開日】2022-07-14
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000239862
【氏名又は名称】平岡織染株式会社
(72)【発明者】
【氏名】狩野 俊也
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-111788(JP,A)
【文献】特開2014-141023(JP,A)
【文献】国際公開第2005/095493(WO,A1)
【文献】特開2017-214498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
E04B 1/00-1/36
E04H 15/00-15/64
D03D 1/00-27/18
D06M 17/00-17/10
C09D 1/00-10/00,101/00-201/10
C09J 1/00-5/10,9/00-201/10
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布の表裏に熱可塑性樹脂層が被覆され、1)前記基布の表裏、何れか片方と、その面と対面する前記熱可塑性樹脂層との間、もしくは、2)前記基布の表裏と前記熱可塑性樹脂層との間、に環動ポリマー含有層が設けられてなるターポリンであって、この環動ポリマー含有層に含有する環動ポリマーが、線状高分子を軸に複数の環状化合物を貫いて包接してなるポリロタキサンの架橋体で、前記環状化合物間の架橋であることを特徴とする接合強度に優れたターポリン。
【請求項2】
前記ポリロタキサンにおいて、1)前記線状高分子が、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、二級アルキルアンモニウム塩、及びこれらの誘導体から選ばれた1種以上で、これら線状高分子の両末端が封止処理されたもの、かつ、2)前記環状化合物が、シクロデキストリン類及びその誘導体、またはクラウンエーテル類及びその誘導体から選ばれた1種以上である請求項1に記載のターポリン。
【請求項3】
前記環動ポリマー含有層が、セルロースナノファイバー、または/及びセルロースナノクリスタルを、前記環動ポリマー含有層の質量に対して0.5~15質量%含む請求項1または2に記載のターポリン。
【請求項4】
前記環動ポリマー含有層が、定型または無定型ドット状、及び幾何学格子の何れかの態様である請求項1~3の何れか1項に記載のターポリン。
【請求項5】
前記基布の空隙率が0~25%で、この基布の少なくとも片面の、どの9cm(3cm×3cm)単位の実体部面積に対する前記環動ポリマー含有層の散在面積率も25~75%である請求項4に記載のターポリン。
【請求項6】
前記基布の織編要素が、経糸条/緯糸条、経糸条/右上バイアス糸条/左上バイアス糸条、経糸条/緯糸条/右上バイアス糸条/左上バイアス糸条、から選ばれた1種の構成である請求項1~5の何れか1項に記載のターポリン。
【請求項7】
前記基布の織編要素に、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、芳香族複素環高分子繊維、及び炭素繊維から選ばれた1種以上の糸条を含む請求項6に記載のターポリン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(膜天井)、日除テントなどの膜構造建築物を始め、ガスホルダー内膜、フレキシブル水槽、フレキシブルコンテナバッグなど、及びこれらに用いられるターポリンに関する。より詳しくは、膜構造物、及びフレキシブルコンテナバッグの接合部の糸抜破壊を抑止可能な接合部強度及び接合部の耐クリープ性を有する柔軟なターポリンの発明に関する。
【背景技術】
【0002】
大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(膜天井)、日除テントなどの膜構造建築物を始め、ガスホルダー内膜、フレキシブル水槽、フレキシブルコンテナバッグなどの膜構造物に用いるターポリン素材には、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維による織物を基布として、その表面に軟質塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂フィルムを積層してなるフレキシブルシートが主流である。大型テントなどの膜構造建築物(鉄骨フレームを被覆する本体)は、複数の長尺ターポリン(例えば、幅1~3m×5~50m)を繋合し、ターポリン側部(例えば、5~20cm)をのりしろとして、のりしろ同士の重ね合わせ状態で熱溶着するラップ接合によって構築される。このようなラップ接合部分では個々のターポリン原反に含む基布の端部同士がただ重なり合った状態で内在し、膜構造建築物全体からすると基布はラップ接合部分毎に分断された状態となっている。このため膜構造建築物本体は熱可塑性樹脂フィルム層のみで複合一体化されたものと見做すことができる。拠って基布を分断して含むラップ接合部の引張破壊強度は本質的にターポリンの本体強度よりも劣り、接合部の糸抜破壊を生じる傾向にある。このラップ接合部で糸抜破壊を抑止するには、ラップ幅(のりしろ)をできるだけ大きく取ることが効果的であるが、それではラップ幅(重なり部分)を拡げることで膜構造建築物本体が質量増となる問題、広幅のラップ部分を熱溶着する作業の工程増の問題などを強いられていた。
【0003】
また大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫などの外装洗浄、点検、補修を目的に、これらの膜構造建築物上を移動する際、鉄骨フレームを外れたエリアではラップ接合部分に全体重を掛けることとなる。特に炎天下ではターポリンの熱可塑性樹脂層が軟化し、ラップ接合部分が蓄熱軟化状態となるため、ラップ接合部分が糸抜破壊(基布の経糸または緯糸が熱可塑性樹脂層から滑り抜ける現象)を引き起こし、膜構造物の穴裂事故を誘発している。このような破壊事故は台風や積雪でも起こり得る。また穴開き破壊事故には至らないものの、経年でラップ接合部分に糸のスリップ現象を起こし、ラップ接合部の幅が伸びて膜構造建築物の外観に弛みや皺を生じるという問題も生じている。一方、フレキシブルコンテナバッグはターポリン原反(軟質塩化ビニル樹脂製、またはポリオレフィン系樹脂製)をパーツとして、これらをラップ接合で熱融着した袋状縫製物である。樹脂原料製造工場では製造直後の樹脂ペレットをターポリン製のフレキシブルコンテナバッグに充填すると、樹脂ペレットの蓄熱によりフレキシブルコンテナバッグ全体が熱軟化状態となる。その状態でコンテナバッグをクレーン吊りで移動させると、樹脂ペレット全体の重さがコンテナバッグの底部に集中してラップ接合部分に大きな負荷が掛かり、時にラップ接合部分が糸抜破壊(基布の経糸または緯糸が熱可塑性樹脂層から滑り抜ける現象)を起こして、コンテナバッグの底が抜けて内容物が一気にこぼれ出る製造事故を生じている。
【0004】
このような使用環境でのラップ接合部分の糸抜破壊を防止する手段として、熱可塑性樹脂層と繊維織物との接着性改良の提案、熱可塑性樹脂層自体の耐熱性改良などが提案されている。例えば、フレキシブルコンテナ用途で高温での耐荷重特性を得るための接着性改良として、熱可塑性樹脂層に対するアンカー(投錨)効果を目的として、フィラメント糸と繊維長の短いステープル糸とを混撚りした撚合糸で形成した繊維織物の少なくとも一方の面に被覆する被覆材とで形成したターポリン(特許文献1)が開示されている。この発明提案は、長繊維にステープル糸を混撚りすることで織物表面にステープル糸の毛羽を設け、この毛羽に被覆材の溶融部分が入り込んでステープル糸と絡み合うことでアンカーを得ようとするものである。この発明提案によれば確かに高温でのクリープ性向上を得ることが可能であるが、十分なアンカー効果(クリープ性向上)を得るにはステープル糸の混撚量を多くして毛羽量を稼ぐ必要がある。しかし、ステープル糸の混撚量が多くなるほど糸強度が低くなり、繊維織物の引裂強度が低下することでフレキシブルコンテナバッグ本体を裂け易いものとしていた。
【0005】
そこで本出願人はフレキシブルコンテナバッグ用のターポリン原反として、ターポリン本体の引裂強度や耐荷重特性を犠牲にすることなく、接合部における耐熱クリープ性に優れるターポリン(特許文献2)を提案した。この発明提案は、繊維性基布の経糸群と緯糸群の少なくとも一方に、嵩高状マルチフィラメント糸条と直線状マルチフィラメント糸条とを特定比率で併用した部分嵩高合撚糸を含む繊維性基布をターポリンに用いるもので、この発明提案によれば確かにターポリン本体の引裂強度やクリープ性を犠牲にすることなく、接合部における耐熱クリープ性に優れるターポリンを得ることを可能とした。しかし、嵩高状マルチフィラメント糸条と直線状マルチフィラメント糸条との合撚糸を用いることで、繊維性基布が緊縛したものとなり、得られるターポリンの風合いは硬く、フレキシブルコンテナバッグとして折畳み性が悪く嵩張って収納難の欠点があった。このように、膜構造建築物、及びフレキシブルコンテナバッグなどに用いられるターポリン原反は、ターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性と、柔軟性及び引裂強度との関係において、一方が高くなる程もう一方は低くなるという背反関係にあり、両者をバランスよく保持することは困難であった。従って膜構造建築物、及びフレキシブルコンテナバッグなどに用いられるターポリン原反として、ターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性に優れ、しかも柔軟で引裂強度にも優れることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-262382号公報
【文献】特開2014-141023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、モニュメントなどの膜構造建築物、及びフレキシブルコンテナバッグに用いるターポリン原反であって、ターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性に優れ、しかも柔軟で引裂強度にも優れたターポリンの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はかかる点を考慮し検討を重ねた結果、基布の表裏に熱可塑性樹脂層が被覆され、基布と熱可塑性樹脂層との間に環動ポリマー(ポリロタキサン)含有層を設けてなるターポリンが、ターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性に優れ、しかも柔軟で引裂強度にも優れることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明の接合強度に優れたターポリンは、基布の表裏に熱可塑性樹脂層が被覆され、1)前記基布の表裏、何れか片方と、その面と対面する前記熱可塑性樹脂層との間、もしくは、2)前記基布の表裏と前記熱可塑性樹脂層との間、に環動ポリマー含有層が設けられてなるターポリンであって、この環動ポリマー含有層に含有する環動ポリマーが、線状高分子を軸に複数の環状化合物を貫いて包接してなるポリロタキサンの架橋体で、前記環状化合物間の架橋であることが好ましい。特に環動ポリマー含有層が基布と熱可塑性樹脂層の間に存在することで、基布と熱可塑性樹脂層に剪断力が掛かった際、その間に位置する環動ポリマー含有層が自在に応力変形して剪断力を緩和する効果を発現する。これは環状化合物同士の結合による架橋点を支点に、線状高分子が自在にスライドして動くこと、また、環状化合物同士の結合による架橋点が線状高分子に沿って自在にスライドして動くこと、の同時発現によって剪断力エネルギーを緩和散逸するという線状高分子を切断させない変位機構であり、この環動ポリマー含有層の存在はターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性の向上に寄与し、しかも引裂強度の向上にも寄与する要件である。環動ポリマー含有層の質量に占める環動ポリマーの占有比が2.5~33質量%であることが好ましい。本発明において環動ポリマー含有層は、環動ポリマーを環動ポリマー含有層の質量に対して2.5~33質量%含有することが好ましい。環動ポリマーの含有率が2.5質量%未満だと得られるターポリンによる膜構造物の接合部の糸抜破壊を抑止する効果、及び接合部の耐クリープ性に劣ることがあり、また環動ポリマーの含有率が33質量%を超えると得られるターポリンの基布と熱可塑性樹脂層との接着力を不十分なものとすることがある。
【0010】
本発明の接合強度に優れたターポリンは、前記ポリロタキサンにおいて、1)前記線状高分子が、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、二級アルキルアンモニウム塩、及びこれらの誘導体から選ばれた1種以上で、これら線状高分子の両末端が封止処理されたもの、かつ、2)前記環状化合物が、シクロデキストリン類及びその誘導体、またはクラウンエーテル類及びその誘導体から選ばれた1種以上であることが好ましい。このポリロタキサンは、複数の環状化合物を線状高分子が貫いて数珠状に包接した高分子で、軸となる線状高分子の両末端は、環状化合物の内径よりも大きい分子構造を有する化合物で封止され、立体障害により環状化合物の脱離を防止したものである。このポリロタキサン同士の架橋体である環動ポリマーは、ターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性の向上に寄与し、しかも引裂強度の向上にも寄与する。
【0011】
本発明の接合強度に優れたターポリンは、前記環動ポリマー含有層が、セルロースナノファイバー、または/及びセルロースナノクリスタルを、前記環動ポリマー含有層の質量に対して0.5~15質量%含むことが好ましい。特に環動ポリマー含有層にセルロースナノファイバー、または/及びセルロースナノクリスタルを含んでいることで、基布と熱可塑性樹脂層に剪断力が掛かった際、その間に位置する環動ポリマー含有層が自在に変形して剪断力を緩和する効果を大きいものとする。これは環状化合物同士の結合による架橋点を支点に、線状高分子が自在にスライドして動くこと、また、環状化合物同士の結合による架橋点が線状高分子に沿って自在にスライドして動くこと、の同時発現によって剪断力エネルギーを緩和散逸する変位機構に加え、散在するセルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタルが、環動ポリマーの変位と相まって変動することによって、セルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタルに剪断力エネルギーを緩和散逸する効果を得ることで、ターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性の向上に寄与するものと考察される。本発明において、環動ポリマーを2.5~33質量%含有する環動ポリマー含有層が、セルロースナノファイバー、または/及びセルロースナノクリスタルを、環動ポリマー含有層の質量に対して0.5~15質量%含むことが好ましい。
【0012】
本発明の接合強度に優れたターポリンは、前記環動ポリマー含有層が、定型または無定型ドット状、及び幾何学格子の何れかの態様であることが好ましい。このように環動ポリマー含有層を特定の態様の領域とすることで、ターポリン本体の引裂強度を犠牲にすることなく、膜構造物の接合部における強度及び耐クリープ性に優れ、しかも柔軟性のあるターポリン得ることを可能とする。
【0013】
本発明の接合強度に優れたターポリンは、前記基布の空隙率が0~25%で、この基布の少なくとも片面の、どの9cm(3cm×3cm)単位の実体部面積に対する前記環動ポリマー含有層の散在面積率も25~75%であることが好ましい。基布の空隙率1~25%の部分、好ましくは5~25%の部分には表裏連結部が形成され、基布の少なくとも片面の、どの9cm単位においても実体部面積(空隙部1~25%を除く)のうち環動ポリマー含有層の占有率は25~75%が好ましい。これによってターポリン本体の引裂強度を犠牲にすることなく、膜構造建築物の接合部強度、及び接合部における耐クリープ性をより向上させ、しかも柔軟性のターポリンを得ることができる。
【0014】
本発明の接合強度に優れたターポリンは、前記基布の織編要素が、経糸条/緯糸条、経糸条/右上バイアス糸条/左上バイアス糸条、経糸条/緯糸条/右上バイアス糸条/左上バイアス糸条、から選ばれた1種の構成であることが好ましい。特に、経糸条/右上バイアス糸条/左上バイアス糸条の構成の三軸織物、また、経糸条/緯糸条/右上バイアス糸条/左上バイアス糸条鋼製の四軸織物を用いることで、得られるターポリンの耐引裂性が格段に向上するので、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、モニュメントなどの膜構造建築物、及びフレキシブルコンテナバッグなどの耐久性を飛躍的に長持ちさせることができる。
【0015】
本発明の接合強度に優れたターポリンは、前記基布の織編要素に、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、芳香族複素環高分子繊維、及び炭素繊維から選ばれた1種以上の糸条を含むことが好ましい。得にこれらの高強度繊維糸条を用いることで、得られるターポリンの耐貫通性、防刃性に極めて優れるので、フレキシブル防犯シャッター、機動隊・自衛隊の防護服・防護カバー、爆破工事現場の破砕飛散物避け、作業現場の落下物受け装備などの特殊用途に適して使用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、ターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性に優れ、しかも柔軟で引裂強度にも優れるターポリンを得ることができるので、これらのターポリンを原反として、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、モニュメントなどの膜構造物の部材に用いることで、膜構造物の接合部が炎天下で破壊するという事故の心配が解消され、またフレキシブルコンテナバッグの部材に用いることで、蓄熱原材料を充填した際のフレキシブルコンテナバッグ底の接合部が破壊するというような事故の心配が解消された。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のターポリンの断面を示す模式図の一例
図2】本発明のターポリンの断面を示す模式図の一例
図3】本発明のターポリンの環動ポリマー含有層を示す模式図の一例
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の接合強度に優れたターポリンは、基布の表裏に熱可塑性樹脂層が被覆され、1)基布の表裏、何れか片方と、その面と対面する熱可塑性樹脂層との間、もしくは、2)基布の表裏と熱可塑性樹脂層との間、に環動ポリマー含有層が設けられてなるターポリンであって、この環動ポリマー含有層に含有する環動ポリマーがポリロタキサンの架橋体である。また環動ポリマー含有層は、セルロースナノファイバー、または/及びセルロースナノクリスタルを環動ポリマー含有層の質量に対して0.5~15質量%含む態様である。また環動ポリマー含有層は、定型または無定型ドット状、及び幾何学格子の何れかの態様で、この場合、基布の空隙率が0~25%で、この基布の少なくとも片面の、どの9cm(3cm×3cm)単位の実体部面積に対する環動ポリマー含有層の散在面積率も25~75%の態様である。そして基布の織編要素が、経糸条/緯糸条、経糸条/右上バイアス糸条/左上バイアス糸条、経糸条/緯糸条/右上バイアス糸条/左上バイアス糸条、から選ばれた1種の構成の態様である。さらに基布の織編要素に、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、芳香族複素環高分子繊維、及び炭素繊維から選ばれた1種以上の糸条を含む態様である。
【0019】
本発明のターポリンに用いる基布は、平織物(経/緯2軸織物、経/バイアス3軸織物、経/緯/バイアス4軸織物)、斜子織物(2×2、3×3、4×4などの正則斜子織、3×2、4×2、4×3、5×3、2×3、2×4、3×4、3×5などの不規則斜子織)、綾織物(経糸、緯糸とも最少3本ずつ用いた最小構成単位を有する:3枚斜文、4枚斜文、5枚斜文、6枚斜文など)、朱子織物(経糸、緯糸とも最少5本ずつ用いた最小構成単位を有する:2飛び、3飛び、4飛び、5飛びなどの正則朱子)、及び変化平織物、変化綾織物、変化朱子織物など、さらに蜂巣織物、梨子地織物、破れ斜文織物、昼夜朱子織物、もじり織物(紗織物、絽織物)、縫取織物、二重織物など、基布の空隙率が0~25%のものが使用できる。特に平織物(経/緯2軸織物、経/バイアス3軸織物、経/緯/バイアス4軸織物)、2×2斜子織物、綾織物(3枚斜文)、朱子織物(2飛び)などが経緯物性バランスに優れ好ましい。
【0020】
本発明のターポリンに用いる基布を構成する糸条は、合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維またはこれらの2種以上から成る混合繊維など、何れも使用できるが、汎用的には、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなど)繊維、ナイロン繊維、及び、これらの混用繊維(混撚・合撚)などの合成繊維によるマルチフィラメント糸条、及び短繊維紡績糸条が使用できる。必要に応じてこれら合成繊維による嵩高加工糸条(タスラン糸、ウーリー糸など)、カバリング糸条(マルチフィラメント糸の外周に短繊維を巻き付けた芯鞘複合糸)なども使用、或いは併用することもできるが、本発明においては強度的にマルチフィラメント糸条からなる織物を基布とすることが好ましい。マルチフィラメント糸条の繊度は250~3500デニール(278~3888dtex)、特に500~2000デニール(555~2222)で、278dtexであればフィラメント数は100~200本程度、1111dtexであればフィラメント数は400~800本程度が好ましく、糸条は無撚糸(断面が楕円または扁平)であっても撚糸であってもよい。また短繊維紡績糸条を用いることで、短繊維紡績糸条独特の嵩高構造、及び毛羽のアンカー効果によって熱可塑性樹脂層との密着性を増強し、膜構造建築物のラップ接合部における耐クリープ性をより向上させて、ラップ接合部分での糸抜破壊を抑止する。短繊維紡績糸条は、綿番手の10番手(591dtex)~60番手(97dtex)の範囲、特に10番手(591dtex)、14番手(422dtex)、16番手(370dtex)、20番手(295dtex)、24番手(246dtex)、30番手(197dtex)など、これらの単糸、または双糸(片撚糸)、単糸2本以上による合撚糸(諸撚糸)などが使用できる。これらの基布には精練、漂白、染色、柔軟化、撥水、防水、防炎、カレンダー、などの公知の繊維処理加工を施したものを使用することができる。
【0021】
特に高強度及び耐熱性が必要な用途では、フッ素樹脂繊維、全芳香族ポリエステル繊維(例えば、ポリアリレート:パラヒドロキシ安息香酸、p,p-ジオキシジフェニルなどのジフェノール化合物と、6-ヒドロキシナフタレン―2―カルボン酸などの芳香族ジカルボン酸との重縮合体)、全芳香族ポリアミド繊維(例えば、ポリパラベンズアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、パラフェニレン/3,4′オキシジフェニレンテレフタルアミド共重合体など)、及び芳香族複素環高分子繊維(後述)、などの特殊マルチフィラメント糸条を主体とする織物、あるいは上記汎用繊維による糸条との併用(リップストップ構造の挿入)による織物が適している。リップストップ構造とは例えば、ポリエステル繊維糸条を経糸条及び緯糸条とする平織物において、経糸条、及び緯糸条の任意の間隔ごとに特殊マルチフィラメント糸条を配列したもので、格子柄外観を形成する。また国土交通大臣認定の不燃材料(テント構造建築物用不燃膜材)の用途向けには、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、炭素繊維、及び、これらの混用繊維(混撚・合撚)などの無機マルチフィラメント糸条を主体とする織物が適し、炭素繊維糸条を用いることで優れた帯電防止効果を得る。特にターポリンに対する引張破壊強度、引裂(耐切創)強度、防爆強度、耐熱性、及び耐炎性などが要求される場合、ポリベンゾイミダゾール系(例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスイミダゾール)、ポリベンゾオキサゾール系(例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)、ポリベンゾチアゾール系(例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾール)、及びこれらの共重合高分子(例えば、ベンゾイミダゾール系-ベンゾオキサゾール系共重合体、ベンゾイミダゾール系-ベンゾチアゾール系共重合体、ベンゾオキサゾール系-ベンゾチアゾール系共重合体、ベンゾイミダゾール系-ベンゾオキサゾール系-ベンゾチアゾール系共重合体、これらの共重合体の繰り返し単位に芳香族ポリアミド成分をさらに含む共重合体)、などの芳香族複素環高分子繊維からなるマルチフィラメント糸条を主体とする織物が適している。基布の経糸条及び緯糸条の打込み密度に制限は無く、用いる糸条の繊度に応じて任意の設計が可能であるが、基布の空隙率(目抜け)が5~25%、特に10~20%の範囲となる打込み密度で、目付量100~500g/mの基布がターポリン用に適する。目抜けとは経糸条群及び緯糸条群(及び/またはバイアス糸条群)の交差により生じる織目空間で、空隙率は基布の単位面積中に占める織目空間の総和の百分率である。
【0022】
本発明のターポリンにおいて、基布の表裏に形成される熱可塑性樹脂層は、公知の熱可塑性樹脂組成物およびエラストマー組成物により形成される。これら組成物の主体は例えば、軟質塩化ビニル樹脂(可塑剤含有)、塩化ビニル系共重合体樹脂(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル-アクリル酸共重合体,塩化ビニル-ウレタン共重合体)、塩素化塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂(PE,PP)、オレフィン系共重合体樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂(EMA,EMMA)、ウレタンエラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、フッ素含有共重合体エラストマー、シリコーンエラストマーなどであり、これらにはウレタンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、SBR、EPDM、EPMなどの熱可塑性ゴムをブレンドして補助成分として含み、柔軟性、及びゴム弾性を任意調整することができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、特に高周波溶着性を有する軟質塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂、ウレタン樹脂、及びフッ素含有共重合体エラストマーなどを高周波溶着性付与成分として熱可塑性樹脂層に対し50質量%以上含有することが好ましい。本発明のターポリンの熱可塑性樹脂層には、安定剤、フィラー、着色剤、顔料、光輝性顔料、難燃剤、防炎剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防黴剤、抗菌剤、帯電防止剤、架橋剤などの公知の添加剤を任意に用いることができる。
【0023】
熱可塑性樹脂層は、上記任意配合の熱可塑性樹脂組成物を熱混練し、カレンダー法、またはTダイス押出法で溶融圧延した厚さが80~800μm、特に150~300μmフィルム(シート)が使用できる。基布に対する表裏の熱可塑性樹脂層の被覆は、熱ロール/ゴムロールの連続圧着ユニットを1~2と、冷却ロールユニット、及び巻取ユニットを有するラミネーターを用いることによって1パスまたは2パスの工程により熱溶融圧着して積層される。本発明のターポリンの製造は、カレンダー成型して得たフィルムをラミネーターにより空隙率(目抜け)が5~25%、特に10~20%の目開き基布の両面に熱圧着する方法が好ましい。このとき目開き基布の空隙部には表裏から熱可塑性樹脂フィルムの溶融物が侵入し充填され、空隙部を介して表と裏のフィルム同士が部分的にブリッジ固化してなる表裏連結部を形成することが好ましい。この表裏連結部の形成量は目開き基布の空隙率と実質的同じ占有率となる。得られるターポリンの厚さは0.4~1.5mm、質量500~2000g/mの範囲が、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、モニュメントなどの膜構造物を始め、ガスホルダー内膜、フレキシブル水槽、フレキシブルコンテナバッグなどの産業資材用に適している。また、空隙率(目抜け)が0~3%程度の基布の両面に軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物(PVCペーストゾル)をコーティング、またはディッピングしてPVCペーストゾル塗膜を設け、これを加熱ゲル化させて被膜化することで熱可塑性樹脂層を形成してもよい。または空隙率(目抜け)が0~3%程度の基布の両面にアクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、などの水系樹脂を増粘させてコーティング法、またはディッピング法によってエマルジョン塗膜を設け、これを乾燥させて被膜化する手段で熱可塑性樹脂層を形成してもよい。
【0024】
本発明のターポリンは、基布の表裏に熱可塑性樹脂層が被覆されていて、1)基布の表裏、何れか片方と、その面と対面する熱可塑性樹脂層との間、もしくは、2)基布の表裏と熱可塑性樹脂層との間、に環動ポリマー含有層が設けられた態様である。環動ポリマー含有層に含まれる環動ポリマーは、線状高分子を軸に複数の環状化合物を貫いて包接してなるポリロタキサンの架橋体で、環状化合物間の架橋である。特に環動ポリマー含有層が基布と熱可塑性樹脂層の間に存在することで、基布と熱可塑性樹脂層に剪断力が掛かった際、その間に位置する環動ポリマー含有層が自在に応力変形して剪断力を緩和する効果を発現する。これは環状化合物同士の結合による架橋点を支点に線状高分子が自在にスライドして動くこと、また、環状化合物同士の結合による架橋点が線状高分子に沿って自在にスライドして動くこと、の同時発現によって剪断力エネルギーを緩和散逸するという線状高分子を切断させない変位機構であり、この環動ポリマー含有層の存在はターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性の向上に寄与し、しかも引裂強度の向上にも寄与する要件である。そしてポリロタキサンの構成は、1)線状高分子が、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、二級アルキルアンモニウム塩、及びこれらの誘導体から選ばれた1種以上で、これら線状高分子の両末端が立体障害で封止処理されたもの、かつ、2)環状化合物が、シクロデキストリン類及びその誘導体、またはクラウンエーテル類及びその誘導体から選ばれた1種以上である。このポリロタキサンは、複数の環状化合物を線状高分子が貫いて数珠状に一体化した高分子で、線状高分子の両末端は環状化合物の内径よりも大きい分子構造を有する化合物で封止され、立体障害により環状化合物の脱離が防止されている。シクロデキストリン類及びその誘導体を貫いて包接する線状高分子としては、重量平均分子量Mwが5000~50000の、特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフランが好ましく、またクラウンエーテル類及びその誘導体を貫いて包接する線状高分子の一部分として二級アルキルアンモニウム塩(例えば、ジベンジルアンモニウム)が好ましい。上記の線状高分子の両末端を封止する化合物は、環状化合物の内径よりも大きい分子構造を有する化合物であれば特に限定はないが、アダマンチル基、トリチル基、フルオレセイニル基、ジニトロフェニル基、ピレニル基などが線状高分子の末端基との反応性に優れ好ましく、シクロデキストリン類及びその誘導体、またはクラウンエーテル類及びその誘導体であってもよく、これらは例えば、クラウンエーテル類の二量体、三量体、複数のクラウンエーテルの立体構造体である双環状クリプタンド[2.2]、三環状クリプタンド[2.2.2]、及びデンドリマーである。またクラウンエーテル類及びその誘導体を貫いて包接する線状高分子の一部分として二級アルキルアンモニウム塩(例えば、ジベンジルアンモニウム)を用いたものでは末端封止にフェロセンを用いることができる。
【0025】
環状化合物として好ましいシクロデキストリン類は、α-シクロデキストリン(ブドウ糖分子数6、分子量973、空洞内径0.45~0.6nm、空洞深さ0.7~0.8nm)、β-シクロデキストン(ブドウ糖分子数7、分子量1135、空洞内径0.7~0.8nm、空洞深さ0.65~0.8nm)、γ-シクロデキストリン(ブドウ糖分子数8、分子量1287、空洞内径0.85~1.0nm、空洞深さ0.7~0.8nm)、メチル-β-シクロデキストリン、ジメチル-β-シクロデキストリン、トリメチル-β-シクロデキストリン、カルボキシメチル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、モノアセチル-β-シクロデキストリン、モノクロロトリアジノシクロデキストリンなどのシクロデキストリン誘導体、及びシクロデキストリンをグラフト担持する化合物が挙げられるが、特にシクロデキストリン類に官能基、または官能基を有する置換側鎖を導入したものが好ましい。官能基としては、ヒドロキシ基、ビニル基、アクリロイル基、アシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、チオール基、メルカプト基、及びトシル基などであり、置換側鎖としては、アルキレン基、ビニレン基、アリーレン基、フェニレン基、ナフチレン基、アラアルキレン基、ベンジレン基、シクロアルキレン基、アルコキシレン基、及びエチレングリコール基などの末端に水酸基、チオール基、アミノ基など、上記官能基から選ばれた何れかを有する側鎖である。そしてシクロデキストリン間の架橋は、上記官能基と反応し得る官能基を1分子中に2以上有する化合物との反応、または置換基末端に官能基を有する側鎖との反応、または置換基末端に官能基を有する側鎖同士の反応によって達成する。官能基を1分子中に2以上有する化合物の重量平均分子量Mwは2500~10000が好ましく、また、側鎖置換基の重量平均分子量Mwは500~5000程度が好ましい。上記官能基と反応し得る官能基を1分子中に2以上有する化合物の反応は、例えばシクロデキストリンが付帯する水酸基またはアミノ基に対して、両末端がイソシアネート基であるウレタンプレポリマー(ポリオールと過剰ジイソシアネートの反応による重量平均分子量Mw2500~10000のプレポリマー)の付加反応である。また置換基末端に官能基を有する側鎖同士の反応は、例えば、C8~C20のアルキル鎖末端、またはエチレングリコール基にビニル基を有する側鎖同士の付加反応によるもの、また、C8~C20のアルキル鎖末端またはポリエチレングリコール鎖末端に、水酸基またはアミノ基を有する側鎖同士を、ジイソシアネート化合物(ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど)またはポリイソシアネート化合物(ジイソシアネート化合物の三量体)で連結したもので、シクロデキストリン間の結合長は、C8~C20の2つの側鎖長とイソシアネート化合物長の総和に近似する。
【0026】
環状化合物として好ましいクラウンエーテル類は、9-クラウン-3、12-クラウン-4,15-クラウン-5,18-クラウン-6,21-クラウン-7、24-クラウン-8,27-クラウン-9,30-クラウン-10,33-クラウン-11、36-クラウン-12などの、〔(9+3n)-クラウン-(3+n)〕式:nは1以上の整数で表される環状ポリエーテルで、頭の数字は全原子数、末尾の数字は酸素原子数を表す。特にベンゾクラウンエーテル類が好ましく、これらは上記の環状ポリエーテルにおいて、少なくとも1個のベンゼン環がクラウンエーテルの2個の炭素原子と共有して結合した態様で、例えば18-クラウン-6を例にすれば、ベンゾ18-クラウン-6、ジベンゾ18-クラウン-6、トリベンゾ18-クラウン-6、ヘキサベンゾ18-クラウン-6が例示できる。またシクロヘキサノクラウンエーテルも好ましく、これらも上記の環状ポリエーテルにおいて、少なくとも1個のシクロヘキサン環がクラウンエーテルの2個の炭素原子と共有して結合した態様で、例えば18-クラウン-6を例にすれば、シクロヘキサノ18-クラウン-6、ジシクロヘキサノ18-クラウン-6、トリシクロヘキサノ18-クラウン-6、ヘキサシクロヘキサノ18-クラウン-6が例示できる。アザクラウンエーテル、ベンゾアザクラウンエーテル、シクロヘキサノアザクラウンエーテルであってもよく、上述のクラウンエーテル群の酸素原子の一部または全部を窒素・水素原子(NH)に置換した態様が相当する。同様にチアクラウンエーテル、ベンゾチアクラウンエーテル、シクロヘキサノチアクラウンエーテルなども好ましく、上述のクラウンエーテル群の酸素原子の一部または全部を硫黄原子(S)に置換した態様が相当する。同様にアザチアクラウンエーテル、ベンゾアザチアクラウンエーテル、シクロヘキサノアザチアクラウンエーテルは、前述のクラウンエーテル群の酸素原子の一部または全部を窒素・水素原子(NH)と硫黄原子(S)に置換した態様が相当する。
【0027】
クラウンエーテル誘導体は、クラウンエーテル類に官能基、または官能基を有する置換側鎖を導入したもので、官能基としては、ヒドロキシ基、ビニル基、アクリロイル基、アシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、チオール基、メルカプト基などであり、置換側鎖としては、アルキレン基、ビニレン基、アリーレン基、フェニレン基、ナフチレン基、アラアルキレン基、ベンジレン基、シクロアルキレン基、アルコキシレン基、及びエチレングリコール基などの末端に水酸基、チオール基、アミノ基など、上記官能基から選ばれた何れかを有する側鎖である。そしてクラウンエーテル間の架橋は、上記官能基と反応し得る官能基を1分子中に2以上有する化合物との反応、または置換基末端に官能基を有する側鎖との反応、または置換基末端に官能基を有する側鎖同士の反応によって達成する。官能基を1分子中に2以上有する化合物の重量平均分子量Mwは2500~10000が好ましく、また、側鎖置換基の重量平均分子量Mwは500~5000程度が好ましい。上記官能基と反応し得る官能基を1分子中に2以上有する化合物の反応は、例えばベンゾクラウンエーテルに付帯させた水酸基、またはアミノ基に対して、両末端がイソシアネート基であるウレタンプレポリマー(ポリオールと過剰ジイソシアネートの反応による重量平均分子量Mw2500~10000のプレポリマー)の付加反応である。また置換基末端に官能基を有する側鎖同士の反応は、例えば、C8~C20のアルキル鎖末端にビニル基を有する側鎖同士の付加反応によるもの、また、C8~C20のアルキル鎖末端またはポリエチレングリコール鎖末端に、水酸基またはアミノ基を有する側鎖同士を、ジイソシアネート化合物(ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど)またはポリイソシアネート化合物(ジイソシアネート化合物の三量体)で連結したもので、シクロデキストリン間の結合長は、C8~C20の2つの側鎖長とイソシアネート化合物長の総和に近似する。
【0028】
環動ポリマーは、上述の環状化合物を線状高分子が貫いて数珠状に一体化した末端封止高分子(ポリロタキサン)である。このポリロタキサンに含む環状化合物の数は、1以上、線状高分子の分子長を環状化合物の厚さ(高さ)で除した値の75%以下、好ましくは50%以下で、例えば、分子量35000のポリエチレングリコールを線状高分子として、この線状高分子を軸に90~100個のα-シクロデキストリンを数珠状に貫いて包接し、末端をアダマンチル基で封止したものである。特にポリロタキサンは環状化合物に側鎖を有することが好ましく、側鎖は環状化合物が有する官能基を修飾して導入され、例えばシクロデキストリンの場合は水酸基を介して側鎖が導入することができ、直鎖状、分枝状を問わない。側鎖はラクトン類や環状エーテル類の開環重合により導入することができ、側鎖末端に水酸基を付帯させることができる。環状エーテル類としては、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフランなどが好ましく、ラクトン化合物類としては4~8員環ラクトン、特にε-カプロラクトンが好ましい。また、二級アルキルアンモニウム塩(例えば、ジベンジルアンモニウム)を線状高分子の一部分とするポリマーを軸に複数個のジベンゾ24クラウン-8-エーテルを数珠状に貫いて包接し、末端をフェロセンで封止したものである。
【0029】
基布と熱可塑性樹脂層との間に設けられる環動ポリマー含有層は、上述の環動ポリマーと熱可塑性樹脂、及び/またはエラストマーを含む混合層であって、環動ポリマー含有層の質量に占める環動ポリマーの含有率が2.5~33質量%であることが好ましい。環動ポリマーの含有率が2.5質量%未満だと得られるターポリンによる膜構造物の接合部の糸抜破壊を抑止する効果、及び接合部の耐クリープ性に劣ることがあり、また環動ポリマーの占有比が33質量%を超えると得られるターポリンの基布と熱可塑性樹脂層との接着力を不十分なものとすることがある。環動ポリマーと併用し得る熱可塑性樹脂は、軟質塩化ビニル樹脂(可塑剤含有)、塩化ビニル系共重合体樹脂(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル-アクリル酸共重合体,塩化ビニル-ウレタン共重合体)、塩素化塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂(PE,PP)、オレフィン系共重合体樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂(EMA,EMMA)であり、また、環動ポリマーと併用し得るエラストマーは、ウレタンエラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、フッ素含有共重合体エラストマー、シリコーンエラストマーなどであり、上記併用にはアクリルゴム、ブタジエンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、SBR、EPDM、EPMなどの熱可塑性ゴムを補助成分として含み、基布/熱可塑性樹脂層間の接着力を改善し、耐クリープ性を任意調整することができる。これらの熱可塑性樹脂、エラストマー、熱可塑性ゴムなどへの環動ポリマーのブレンドは、バンバリーミキサーなどによる熱混練による相溶混合、もしくは海島非相溶混合、または有機溶剤に可溶化させた混合、または海島非相溶混合、更にはエマルジョン微分散した混合により達成可能である。
【0030】
本発明のターポリンの環動ポリマー含有層は、この質量に占める環動ポリマーの含有率が2.5~33質量%であり、かつ、セルロースナノファイバー、または/及びセルロースナノクリスタルを、環動ポリマー含有層の質量に対して0.5~15質量%含むことが好ましい。特に環動ポリマー含有層にセルロースナノファイバー、または/及びセルロースナノクリスタルを含んでいることで、基布と熱可塑性樹脂層に剪断力が掛かった際、その間に位置する環動ポリマー含有層が自在に応力変形して剪断力を緩和する効果を大きいものとする。これは環状化合物同士の結合による架橋点を支点に、線状高分子が自在にスライドして動くこと、また、環状化合物同士の結合による架橋点が線状高分子に沿って自在にスライドして動くこと、の同時発現によって剪断力エネルギーを緩和散逸する変位機構に加え、散在するセルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタルが、環動ポリマーの変位と相まって変動することによって、セルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタルに剪断力エネルギーを緩和散逸する効果を得ることで、ターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性の向上に寄与するものと考察される。セルロースナノファイバーは、セルロース原料(化学処理パルプ・機械破砕パルプ・古紙パルプなど)を機械的に解繊(粗解繊・微解繊)し、繊維径をナノサイズ化して得られた、粉体、スラリー、または分散液状のものが使用できる。セルロースナノファイバーは、カルボキシメチルセルロース、酸化セルロース、エステル化セルロース、エーテル化セルロース、アセチル化セルロース、シアノエチル化セルロース、アセタール化セルロース、イソシアネート化セルロース、から選らばれた一種以上が好ましい。カルボキシメチルセルロースはセルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)を任意にカルボキシメチル化し、機械的に解繊したもので、また酸化セルロースはTEMPO触媒を含む酸化触媒液により、セルロース分子中の1級水酸基(6位)のみを選択的にカルボキシ基に変換し、機械的に解繊したものである。セルロースナノファイバーの平均アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は50~500、平均繊維径は4nm~200nm、平均繊維長は2μm~100μmのものが、環動ポリマー含有層中におけるセルロースナノファイバーの分散性に優れ、かつ環動ポリマー含有層内で安定化する。またセルロースナノクリスタルは、セルロース原料(木材・竹・植物パルプ、古紙パルプなど)を硫酸などの酸によって非結晶部分を除去した後、機械的解繊処理して得られる、平均アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)50以下、平均繊維径1nm~100nm、平均繊維長50nm~5μmのもので、エステル化、エーテル化、アセチル化などの公知の化学修飾がなされた態様であってもよい。これらは粉体、スラリー、または分散液状の形態で使用できる。
【0031】
環動ポリマー含有層は、1)基布の表裏の何れか片方と、その面と対面する熱可塑性樹脂層との間、もしくは基布の表裏両方と各々の面と対面する熱可塑性樹脂層との間に形成される連続薄膜層で、塗膜(グラビア塗工、又はスクリーン塗工)またはフィルム(カレンダー圧延法、又はTダイス押出法)で形成された厚さ0.01mm~0.3mmのものである。塗膜は基布側に形成されたもの、熱可塑性樹脂層側に形成されたもの、基布側と熱可塑性樹脂層側の両方に形成されたもの何れの態様であってもよく、また、基布側に形成された熱可塑性樹脂層の一部が基布に含浸したものであってもよい。また環動ポリマー含有層は、2)基布の表裏の何れか片方と、その面と対面する熱可塑性樹脂層との間、もしくは基布の表裏両方と各々の面と対面する熱可塑性樹脂層との間に形成される定型または無定型ドット状、及び幾何学格子の何れかの態様の塗膜で厚さ0.01mm~0.3mmのものである。この塗膜は基布側に形成されたもの、熱可塑性樹脂層側に形成されたもの、基布側と熱可塑性樹脂層側の両方に形成されたもの何れの態様であってもよく、また、基布側に形成された熱可塑性樹脂層の一部が基布に含浸したものであってもよい。この定型または無定型ドット状、及び幾何学格子の何れかの環動ポリマー含有層によって、ターポリンの積層構造を、A)「熱可塑性樹脂層/環動ポリマー含有層/基布/熱可塑性樹脂層」の断面、または「熱可塑性樹脂層/環動ポリマー含有層/基布/環動ポリマー含有層/熱可塑性樹脂層」の断面からなる接着領域と、B)「熱可塑性樹脂層/基布/熱可塑性樹脂層」の断面からなる密着領域とに区分される。この接着領域と密着領域との構成比は1:5~2:1で、C)さらに目開き基布の場合には、基布の目開き部には表裏の熱可塑性樹脂層によって充填された表裏連結部を有する。接着領域の構成比が密着領域の5に対して1よりも小さい割合になると、膜構造物における接合部の耐クリープ性の向上効果が不十分となることがあり、また接着領域の構成比が密着領域の1に対して2よりも大きい割合となると、接合部の耐クリープ性の向上効果を大きくするものの、風合いを硬くするのみならず引裂強度の低下を招くことがある。特に表裏連結部は耐クリープ性及び柔軟性の保持に寄与する。そして特に基布の空隙率が0~25%で、この基布の少なくとも片面の、どの9cm(3cm×3cm)単位の実体部面積に対しても、環動ポリマー含有層の散在面積率が25~75%であることが好ましい。
【0032】
上記環動ポリマー含有層において、ドット状の樹脂接着層とは具体的に、円、楕円、四角(市松)、三角、十字架、星形などの幾何学形状(角が潰れていてもよい)など、及びこれらのドットの組み合わせで、1ドットの幅1mm~6mm、高さ1mm~6mmの等間隔の集合体で、横段の並びの偶数列と奇数列とを1ドット分の位置をずらした配置(例えば賽子の五の配置)が好ましい。ドット状の樹脂接着層は、円、楕円、四角(市松)などが特に好ましい。無定型ランダム状の樹脂接着層とは具体的に、アメーバ、ペイズリー、飛沫、写真、絵柄、文字、記号、モノグラムなど、及びこれらの組み合わせで、形や配置に特別な規約を設けていないものである。また連続線状の樹脂接着層とは、具体的に、横ストライプ、縦ストライプ、斜ストライプ、格子、斜め格子、三角格子、籠目、などの幾何学形状、フリーハンドで描いた自由な線及び曲線、など線幅1mm~6mmのもの、及びこれらの組み合わせが挙げられる。連続線状の樹脂接着層は、斜め格子、三角格子が最も好ましく、斜め格子は右上り30~60°の直線群と左上り30~60°の直線群との交差によるものが挙げられ、特に右上り45°の直線群と左上り45°の直線群との交差によるものが好ましい。また三角格子は、横線群(または縦線群)と、右上り30~60°の直線群と左上り30~60°の直線群との交差によるものが挙げられ、特に横線群(または縦線群)と、右上り45°の直線群及び左上り45°の直線群との交差によるものが好ましい。またこれらのドット状、無定型ランダム状、連続線状の樹脂接着層の形成は、例えばグラビア印刷、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、インクジエット印刷、スプレー塗布、転写などの公知の印刷方法を用いることができる。
【0033】
環動ポリマー含有層(定型または無定型ドット状、及び幾何学格子の何れかの態様の塗膜)を形成する組成物は環動ポリマーを、ペースト塩化ビニル樹脂ゾル(可塑剤含有)に非相溶微分散させた態様、塩化ビニル樹脂(可塑剤含有)に非相溶、または相溶の状態で微分散させた態様、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂溶液(有機溶剤)、(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂溶液(有機溶剤)、ウレタン樹脂溶液(有機溶剤)、ポリエステル樹脂溶液(有機溶剤)、スチレン系共重合体樹脂溶液(有機溶剤)などに非相溶、または相溶の状態で微分散させた態様、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン、(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、アイオノマー樹脂ディスパージョンなどに非相溶状態で微分散させた態様で、配合や希釈で濃度調整が可能なもの、添加剤での粘度調整が可能なものである。これらによる環動ポリマー含有層は塗布後に熱乾燥され、水分や有機溶剤が揮発した固形状の薄膜となる。これらの樹脂接着層には、セルロースナノファイバー、または/及びセルロースナノクリスタルを含むことが好ましい。
【0034】
本発明のターポリンの熱可塑性樹脂層の片面以上に、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル/シリコン系共重合体樹脂、フッ素系共重合体樹脂、アクリル系樹脂とフッ素系共重合体樹脂のブレンド、ウレタン/シリコン系グラフト共重合体樹脂、及びウレタン/フッ素系グラフト共重合体樹脂、などの塗膜からなる防汚層が形成されていてもよく、また、フッ素系樹脂層/アミノエチル化アクリル樹脂エポキシ硬化物接着層、フッ素系樹脂層/アクリル系樹脂接着層、フッ素系樹脂層/アクリル系樹脂層/アミノエチル化アクリル樹脂エポキシ硬化物接着層、及びフッ素系樹脂層/アクリル系樹脂層/塩化ビニル系樹脂接着層などのフッ素系樹脂フィルムを防汚層として積層することができる。これらの防汚層を、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、モニュメントなどの膜構造物に適用することで屋外使用時の耐久性を飛躍的に向上させることができる。さらにこれらの防汚層の表面には、1次粒子径3nm~150nmの無機コロイド物質を原料とするナノ粒子が、シランカップリング剤の加水分解縮合物を含むバインダー成分に担持されてなる帯電防止性防汚層が設けられていてもよい。無機コロイド物質は、光触媒性酸化チタンゾル、光触媒性酸化亜鉛ゾル、光触媒性酸化錫ゾル、酸化チタンゾル、酸化亜鉛ゾル、酸化錫ゾル、シリカゾル、酸化アルミニウムゾル、酸化ジルコニウムゾル、酸化セリウムゾル、及び複合酸化物(酸化亜鉛-五酸化アンチモン複合または酸化スズ-五酸化アンチモン複合)ゾルなどの金属酸化物である。
【0035】
本発明のターポリンの接合・縫製などは、高周波ウエルダー融着法、熱板融着法、熱風融着法、超音波融着法などの熱融着が適用可能である。特に高周波融着法において、ウエルドバーによる発熱プレスにより表裏の熱可塑性樹脂層が再溶融し、樹脂接着層(接着領域)を再加熱することで基布との接着効果が増すこと、また表裏連結部が再溶融し、目開き基布との密着性を増すことで更に耐クリープ性を向上させることができる。
【0036】
実施例
本発明を下記の実施例及び比較例を挙げて更に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。
接合体の評価方法
〈経糸方向耐クリープ性〉
2枚のターポリンのヨコ方向(緯糸方向)の端部同士を8cm幅で直線状に平行に重ね合わせ、4cm幅×30cm長のウエルドバー(平刃)を装着した高周波ウエルダー融着機(山本ビニター(株)製YTO-8A型:高周波出力8KW)を用い、陽極電流1.0Aでターポリンの高周波融着接合によってターポリン接合体を得た。この接合体より融着接合部を重ね合わせ幅8cmをタテ方向に含む、3cm幅×30cm長の試験片を採取し、耐クリープ試験片とし、クリープ試験機(東洋精機製作所(株)製:100LDR型)を使用して25℃×24時間の条件下、50kgf荷重、65kgf荷重、80kgf荷重の3条件で経糸方向の耐クリープ性を評価した。
〈緯糸方向耐熱クリープ性〉
2枚のターポリンのタテ方向(経糸方向)の端部同士を8cm幅で直線状に平行に重ね合わせ、上記経糸方向耐熱クリープ性評価用試験片の準備と同様の手順によって得た試験片を用い、25℃×24時間の条件下、50kgf荷重、65kgf荷重、80kgf荷重の3条件で緯糸方向の耐クリープ性を評価した。
評価の基準
1 :24時間経過後、接合部に異変や異常なく良好。
2 :24時間未満で接合部が破壊し、試験片が分断した。
〈破壊した時間を記録〉
3 :1時間以内に接合部が破壊し、試験片が分断した。
〈破壊した時間を記録〉
破壊状態の判断 : 接合部糸抜け破壊(糸の断裂なし),
本体破壊等(糸の断裂あり)
ターポリンの引裂強度
〈JIS L1096:8.17.1 A法〉シングルタング法
黒字 :330N以上
白抜 :330N未満
ターポリンの柔軟性
〈JIS L1096:8.21.1 A法〉45°カンチレバー法
試験片の自重による垂れ度合で判断する評価で、カンチレバー試験機の45°傾斜部に試験片の先端が触れるまでの試験片の移動距離(cm)で示し、移動距離が短いほど柔軟性が高いものと判断する。
【0037】
[実施例1]
<基布(1)>
1000デニール(1111dtex)のポリエステル繊維(フィラメント数192本)からなり、S撚50T/mを施したマルチフィラメント糸条を経糸群及び緯糸群に用い、経糸群は1インチ間16本の織組織とし、また緯糸群は1インチ間16本の織組織とする平織物を基布(1)に用いた。この基布(1)の質量は150g/m、空隙率(目抜け)は14%であった。この基布(1)の両面上に、下記の環動ポリマー含有層形成用組成物〔配合1〕による環動ポリマー含有層(1)の形成を60メッシュロールによるグラビア塗布にて行い、100℃×1分の熱風乾燥を施して環動ポリマー含有層(1)を基布(1)の全面に設けた。環動ポリマー含有層(1)の形成は両面の総和で12g/mであった。
〔配合1〕環動ポリマー含有層形成用組成物
ウレタン樹脂溶液(ポリカーボネート系:固形分30質量%) 100質量部
※メチルエチルケトン/トルエン 50/50溶媒
※フィルム物性100μm(最大伸長450%、100%mod17Mpa、破断強度68Mpa)
環動ポリマー 5質量部
※分子量35000のポリエチレングリコールを線状高分子として、この線状高分子
を軸に90~100個のα-シクロデキストリンを数珠状に貫いて包接し、末端を
アダマンチル基で封止したポリロタキサンの架橋体:この架橋はα-シクロデキスト
リンにε-カプロラクトンの開環付加による側鎖が導入され、その末端が水酸基であ
り、α-シクロデキストリン同士の結合がヘキサメチレンジイソシアネートによる
ウレタン結合を含む分子鎖によるもの
3官能イソシアネート化合物 3質量部
※ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体
<ターポリン(1)>
環動ポリマー含有層(1)を両面に形成した空隙率14%の基布(1)を基材として、その両面に下記〔配合2〕の軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)からなる厚さ0.2mmのカレンダー成型フィルムを表裏の熱可塑性樹脂層としてラミネーターでの熱圧着によるブリッジ溶融ラミネートにより、「熱可塑性樹脂層/環動ポリマー含有層(1)/基布(1)/環動ポリマー含有層(1)/熱可塑性樹脂層」断面の接着領域、及び表裏連結部14%からなる、厚さ0.7mm、質量842g/mのターポリン(1)を得た。
〔配合2〕:軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)
塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)(可塑剤)
55質量部
リン酸トリクレジル(防炎可塑剤) 10質量部
エポキシ化大豆油(安定剤兼可塑剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ルチル型酸化チタン(白顔料) 5質量部
ベンゾトリアゾール骨格化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
【0038】
[実施例2]
実施例1の環動ポリマー含有層形成用組成物〔配合1〕の環動ポリマー含有層(1)を〔配合3〕の環動ポリマー含有層(2)に変更した以外は実施例1と同様として、「熱可塑性樹脂層/環動ポリマー含有層(2)/基布(1)/環動ポリマー含有層(2)/熱可塑性樹脂層」断面の接着領域、及び表裏連結部14%からなる、厚さ0.7mm、質量842g/mのターポリン(2)を得た。
〔配合3〕環動ポリマー含有層形成用組成物
ウレタン樹脂溶液(ポリカーボネート系:固形分30質量%) 100質量部
※メチルエチルケトン/トルエン 50/50溶媒
※フィルム物性100μm(最大伸長450%、100%mod17Mpa、破断強度68Mpa)
環動ポリマー 5質量部
※分子量35000のポリエチレングリコールを線状高分子として、この線状高分子
を軸に90~100個のα-シクロデキストリンを数珠状に貫いて包接し、末端を
アダマンチル基で封止したポリロタキサンの架橋体:この架橋はα-シクロデキスト
リンにε-カプロラクトンの開環付加による側鎖が導入され、その末端が水酸基であ
り、α-シクロデキストリン同士の結合がヘキサメチレンジイソシアネートによる
ウレタン結合を含む分子鎖によるもの
3官能イソシアネート化合物 3質量部
※ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体
セルロースナノファイバー(カルボキシメチルセルロース) 3質量部
【0039】
[実施例3]
実施例1の環動ポリマー含有層形成用組成物〔配合1〕の環動ポリマー含有層(1)を〔配合1〕の環動ポリマー含有層(3)に変更した以外は実施例1と同様として、「熱可塑性樹脂層/環動ポリマー含有層(3)/基布(1)/環動ポリマー含有層(3)/熱可塑性樹脂層」断面の円ドット接着領域、「熱可塑性樹脂層/基布(1)/熱可塑性樹脂層」断面の密着領域、及び表裏連結部14%からなる、厚さ0.7mm、質量836g/mのターポリン(3)を得た。円ドット接着領域と密着領域との構成比は約1:4で、基布(1)の片面、どの9cm(3cm×3cm)単位の実体部面積に対する環動ポリマー含有層(3)の散在面積率も約20%であった。
環動ポリマー含有層(3)の形成
基布(1)の両面上に、〔配合1〕による環動ポリマー含有層(3)の形成を60メッシュロール(5mmφの円ドット、上下左右間隔5mm、横段の並びの偶数列と奇数列とを1ドット分の位置をずらした配置:賽子の五の配置状)によるグラビア塗布を行い、100℃×1分の熱風乾燥を施して円ドット状の環動ポリマー含有層(3)を基布(1)の全面に設けた。環動ポリマー含有層(3)の形成は両面の総和で6g/mであった。
【0040】
[実施例4]
実施例3の環動ポリマー含有層(3)形成用組成物〔配合1〕を〔配合3〕に変更し、環動ポリマー含有層(4)とした以外は実施例3と同様として、「熱可塑性樹脂層/環動ポリマー含有層(4)/基布(1)/環動ポリマー含有層(4)/熱可塑性樹脂層」断面の円ドット接着領域、「熱可塑性樹脂層/基布(1)/熱可塑性樹脂層」断面の密着領域、及び表裏連結部14%からなる、厚さ0.7mm、質量837g/mのターポリン(4)を得た。円ドット接着領域と密着領域との構成比は約1:4で、基布(1)の片面、どの9cm(3cm×3cm)単位の実体部面積に対する環動ポリマー含有層(4)の散在面積率も約20%であった。
【0041】
[実施例5]
実施例1の基布(1)を基布(2)に変更した以外は実施例1と同様とし、「熱可塑性樹脂層/環動ポリマー含有層(1)/基布(2)/環動ポリマー含有層(1)/熱可塑性樹脂層」断面の接着領域、及び表裏連結部14%からなる、厚さ0.7mm、質量857g/mのターポリン(5)を得た。
<基布(2)>
1500デニール(1670dtex)の全芳香族ポリアミド繊維(フィラメント数1000本:ポリパラフェニレンテレフタルアミド)によるマルチフィラメント糸条を経糸群及び緯糸群に用い、経糸群は1インチ間13本の織組織、及び緯糸群は1インチ間13本の織組織とする平織物を基布(2)とした。この基布(2)の質量は165g/m、空隙率(目抜け)は14%であった。
【0042】
[実施例6]
実施例1の基布(1)を基布(3)に変更した以外は実施例1と同様とし、「熱可塑性樹脂層/環動ポリマー含有層(1)/基布(3)/環動ポリマー含有層(1)/熱可塑性樹脂層」断面の接着領域、及び表裏連結部11%からなる、厚さ0.83mm、質量916g/mのターポリン(6)を得た。
<基布(3)>
1500デニール(1670dtex)の芳香族複素環高分子繊維(フィラメント数996本:ポリベンゾオキサゾール系(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)によるマルチフィラメント糸条を経糸群及び45°左上/45°右上バイアス糸群に用い、経糸群は1インチ間10本の織組織とし、また45°左上/45°右上バイアス糸群は各々1インチ間10本の織組織とする三軸平織物を基布(3)に用いた。この基布(3)の質量は224g/m、空隙率(目抜け部総和)は11%であった。
【0043】
[実施例7~12]
実施例1~6のターポリン(1)~(6)の両面に下記〔配合4〕のアクリル系樹脂塗料を100メッシュのグラビアロールにより塗工し、120℃の熱風炉で2分間加熱乾燥し、アクリル系樹脂塗膜層(5g/m/片面)を表裏に形成し中間体A(7~12)とした。
〔配合4〕アクリル系樹脂塗料
メタアクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル共重合体
100質量部
メチルエチルケトン(MEK希釈剤) 250質量部
トルエン(希釈剤) 250質量部
次にこの中間体A(7~12)の片表面に下記〔配合5〕のアミノエチル化アクリル樹脂エポキシ組成物の溶液を100メッシュのグラビアロールにより塗工し、120℃の熱風炉で2分間加熱乾燥し、アクリル系樹脂塗膜層(5g/m/片面)を表面側に半硬化の状態で付帯する中間体B(7~12)を得た。
〔配合5〕アミノエチル化アクリル樹脂エポキシ組成物
メタクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸共重合
物のカルボキシル基にポリエチレンイミンをグラフトし、
側鎖が、-COO(CHCHNH)Hの化学式で示されるアミン価(固形分1g
に含むアミンmmol数)0.7~1.3mmol/gの一級アミノ基含有アクリル系樹脂
100質量部
エポキシ樹脂(エポキシ当量260g/eqのビスフェノールA骨格含有3官能
エポキシ樹脂) 20質量部
メチルエチルケトン(MEK希釈剤) 150質量部
トルエン(希釈剤) 150質量部
次に、この中間体B(7~12)のアミノエチル化アクリル樹脂エポキシ半硬化物層面側に、厚さ25μm、53g/mのポリビニリデンフルオライド(PVdF)フィルムのコロナ処理面側を対向し、150℃の熱ロール条件でラミネーターを通過させ、熱圧着してフッ素系樹脂フィルムを積層し、これを防汚層とした。各々実施例1~6のターポリンを基材に、フッ素系樹脂フィルムを防汚層とするターポリン(7)~(12)を得た。
【0044】
【表1】
【0045】
従来、接合部の糸抜け破壊防止となる耐クリープ性と、柔軟性及び引裂強度とのバランス関係は、一方が高くなる程もう一方は低くなるという背反関係にあり、両者のバランスを得ることは至極困難とされていたが、本発明により得られた実施例1~6のターポリン(1)~(6)は、基布と熱可塑性樹脂層との間に環動ポリマー層を有することで接合部の耐クリープ性(糸抜け破壊防止性)と、柔軟性及び引裂強度とのバランスよく兼備することを可能とし、特にバランスよく兼備したものは、環動ポリマー層をドット状に点在させて設けた実施例3,4の態様であった。しかしながら、多少の柔軟性を失うことが許容される用途では、環動ポリマー層が基布の全面に設けられてターポリン全体に及ぶ態様の実施例1,2,5,6が最も耐クリープ性(糸抜け破壊防止性)と引裂強度とに優れている。特に環動ポリマー層にセルロースナノファイバーを含有する実施例2,4の態様は、環動ポリマー層にセルロースナノファイバーを含有しない実施例1,3の態様に比較して、耐クリープ性(糸抜け破壊防止性)と引裂強度とが向上していた。また基布に全芳香族ポリアミド繊維による糸条による平織物を用いた実施例5は耐引裂性に優れ、特に基布に芳香族複素環高分子繊維による糸条による三軸織物を用いた実施例6の態様では、引裂試験時に糸条が切断せずに試験片本体が大きく変形し、測定値の特定が困難となるほど大きな耐引裂力を発現した。
【0046】
実施例7~12のターポリン(7)~(12)は、実施例1~6のターポリン(1)~(6)を基材に、フッ素系樹脂フィルムを防汚層とする態様で、これらの防汚性評価は、市販の油性ペン(赤)文字描き、室温60秒乾燥後のDRYティッシュペーパー拭取除去性(擦り取り往復10回)で評価した結果、明らかにフッ素系樹脂フィルムを付帯するターポリンの赤インク文字の除去性に優れていたのに対し、フッ素系樹脂フィルムを付帯しないターポリンでは赤インク文字がターポリンに浸透し、しかも擦った部分にインク汚れが延びて汚らしい状態となった。またターポリン(1)~(12)の断片を8-10月の3ケ月間屋外曝露し、WETティッシュペーパー拭取除去性(擦り取り往復10回)で評価した結果、明らかにフッ素系樹脂フィルムを付帯するターポリンでは付着煤塵の除去性に優れ、初期の外観を回復したのに対し、フッ素系樹脂フィルムを付帯しないターポリンでは、ターポリン表面に可塑剤が移行することで付着煤塵がこびり付き、初期の外観を回復しないものであった。従って、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、モニュメントなどの膜構造物などの用途に用いるターポリンは、フッ素系樹脂フィルムを付帯する態様が最も好ましい。
【0047】
[比較例1~4]
実施例1~4の環動ポリマー含有層(〔配合1〕または〔配合3〕)から環動ポリマーの配合を省略した以外は各実施例と同様として、比較例1~4のターポリン(13)~(16)を得た。基布と熱可塑性樹脂層との接着層である環動ポリマー含有層から環動ポリマーの配合を省略したことで、個々の実施例よりも接合部の耐クリープ性(糸抜け破壊防止性)が歴然と劣り、また引裂強度も低下する傾向が認められた。また比較例においても環動ポリマー含有層において、セルロースナノファイバーの含有の有無の差が実施例同様に認められ、セルロースナノファイバーの存在によって接合部の耐クリープ性(糸抜け破壊防止性)に優れ、また引裂強度も向上する傾向が認められた。従って比較例1~4のターポリンは、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、モニュメントなどの膜構造物、及びフレキシブルコンテナバッグなどの用途には性能的に不安があり、使用に適さないものであった。
【0048】
[比較例5]
実施例1の環動ポリマー含有層(〔配合1〕)の環動ポリマー(架橋ポリロタキサン)の配合5質量部を、ポリロタキサン5質量部に置き換えた以外は実施例1と同様として、比較例5のターポリン(17)を得た。基布と熱可塑性樹脂層との接着層である環動ポリマー含有層から環動ポリマーの配合を省略し、ポリロタキサン(非架橋)に置き換えた。環動ポリマー含有層にポリロタキサンを含有していても、ポリロタキサンのシクロデキストリン同士が架橋していないことで、実施例1よりも接合部の耐クリープ性(糸抜け破壊防止性)が劣り、また引裂強度も低下する結果となった。従って比較例5のターポリンは、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、モニュメントなどの膜構造物、及びフレキシブルコンテナバッグなどの用途には性能的に不安があり、使用に適さないものであった。
【0049】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のターポリンは、ターポリン同士の接合部強度及び接合部の耐クリープ性に優れ、しかも柔軟で引裂強度にも優れているので、これらのターポリンを原反として、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、モニュメントなどの膜構造物の部材に安心して用いることができ、膜構造物の接合部が糸抜け破壊するという事故の心配が解消され、またフレキシブルコンテナバッグの部材に用いれば、蓄熱原材料を充填した際のフレキシブルコンテナバッグ底の接合部が糸抜破壊して充填物がこぼれ出るというような事故の心配が解消される。
【符号の説明】
【0051】
1:ターポリン
2:基布
3:熱可塑性樹脂層
3-1:表面
3-2:裏面
4:環動ポリマー含有層
5:C)表裏連結部
6:A)接着領域 ※5(C)部分の除外表現は省略(実際は含まず)
7:B)密着領域 ※5(C)部分の除外表現は省略(実際は含まず)
図1
図2
図3