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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】杭切断装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 1/24 20060101AFI20231019BHJP
   B23D 45/10 20060101ALI20231019BHJP
   B23D 45/16 20060101ALI20231019BHJP
   B23D 61/02 20060101ALI20231019BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20231019BHJP
   B28D 1/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B28D1/24
B23D45/10
B23D45/16
B23D61/02 Z
E02D13/00 Z
B28D1/04 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023085315
(22)【出願日】2023-05-24
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】202310265598.6
(32)【優先日】2023-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520448452
【氏名又は名称】浙大城市学院
(74)【代理人】
【識別番号】100152180
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 秀人
(72)【発明者】
【氏名】陳 春来
(72)【発明者】
【氏名】蔡 依霖
(72)【発明者】
【氏名】王 挺
(72)【発明者】
【氏名】余 剣英
(72)【発明者】
【氏名】周 天航
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-300522(JP,A)
【文献】特開平10-109222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/00 - 7/04
B23D 45/10
B23D 45/16
B23D 61/02
E02D 13/00
B24D 5/06 - 5/12
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋸刃機構と、鋸刃機構を装着する駆動機構と、からなり、
鋸刃機構は、
盤縁に複数の歯刃A、歯刃Bを有する鋸盤と、
鋸盤に取り付けられ、駆動機構を連結させるための嵌合部を有する六角スリーブBと、
鋸盤の回転の中心軸である回転軸Dと、
回転軸Dの先端に形成された六角ヘッドBと、
回転軸Dから外周方向に延びたスポークと、
スポークの先端に環状に配置されたギアリングBと、
ギアリングBの回動によって複数のギアを介して鋸盤の中心と外周方向をスライドし、先端に歯刃Bが形成されたラックと、
によって構成され、
駆動機構は、
使用者が把持し、複数のギアを内部に有するハウジングと、
複数のギアを駆動するモーターA、モーターBと、
モーターAの駆動によって複数のギアを介して回転するリングスリーブAと、
モーターBの駆動によって複数のギアを介して回転する六角スリーブAと、
リングスリーブAの先端に設けられ、鋸刃機構の六角スリーブBの嵌合部に差し込まれることで鋸刃機構を装着する六角ヘッドAと、
ギアIとともにデファレンシャルギヤを構成するギアJを内部に有する筒形ハウジングと、
によって構成され、

モーターAを駆動することで、
複数のギアを介してリングスリーブAと六角スリーブAが同じ回転速度で回転し、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aのみが配置された状態で回転させ、

モーターAを駆動させたままモーターBを駆動することで、
複数のギアを介して筒形ハウジングが回転し、
筒形ハウジング内のギアJの回転数及び回転速度が増えてギアIの回転速度が増加し、
リングスリーブAよりも六角スリーブAの回転速度が増加して、
六角スリーブAに差し込まれた状態で嵌合する六角ヘッドBとともに、回転軸D36の回転速度が、鋸盤26の回転速度より増加したときに、
回転軸Dから外周方向に延びたスポーク先端のギアリングBが周方向を回動し、
複数のギアを介して歯刃Bが鋸盤の外周方向にスライドして盤縁から突出した状態になり、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aと歯刃Bが配置された状態で回転させ、

切断対象によって鋸盤の盤縁に配置させる歯刃を密と状態と疎の状態とに変更することで、
歯刃の摩耗と損傷を軽減して、歯刃の寿命を延ばすことができる
ことを特徴とする杭切断装置。

【請求項2】
鋸刃機構と、鋸刃機構を装着する駆動機構と、からなり、
鋸刃機構は、
盤縁に、2枚1組の歯刃が重なるように複数配置された歯刃Aと、歯刃Aの間から突出と後退が自在な歯刃Bを有する鋸盤と、
鋸盤に取り付けられ、駆動機構を連結させるための嵌合部を有する六角スリーブBと、
鋸盤の回転の中心軸である回転軸Dと、
回転軸Dの先端に形成された六角ヘッドBと、
回転軸Dから外周方向に延びたスポークと、
スポークの先端に環状に配置されたギアリングBと、
ギアリングBの回動によって複数のギアを介して鋸盤の中心と外周方向をスライドし、先端に歯刃Bが形成されたラックと、
によって構成され、
駆動機構は、
使用者が把持し、複数のギアを内部に有するハウジングと、
複数のギアを駆動するモーターA、モーターBと、
モーターAの駆動によって複数のギアを介して回転するリングスリーブAと、
モーターBの駆動によって複数のギアを介して回転する六角スリーブAと、
リングスリーブAの先端に設けられ、鋸刃機構の六角スリーブBの嵌合部に差し込まれることで鋸刃機構を装着する六角ヘッドAと、
ギアIとともにデファレンシャルギヤを構成するギアJを内部に有する筒形ハウジングと、
によって構成され、

モーターAを駆動することで、
複数のギアを介してリングスリーブAと六角スリーブAが同じ回転速度で回転し、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aのみが配置された状態で回転させ、

モーターAを駆動させたままモーターBを駆動することで、
複数のギアを介して筒形ハウジングが回転し、
筒形ハウジング内のギアJの回転数及び回転速度が増えてギアIの回転速度が増加し、
リングスリーブAよりも六角スリーブAの回転速度が増加して、
六角スリーブAに差し込まれた状態で嵌合する六角ヘッドBとともに、回転軸D36の回転速度が、鋸盤26の回転速度より増加したときに、
回転軸Dから外周方向に延びたスポーク先端のギアリングBが周方向を回動し、
複数のギアを介して歯刃Bが鋸盤の外周方向にスライドして盤縁から突出した状態になり、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aと歯刃Bが配置された状態で回転させ、

切断対象によって鋸盤の盤縁に配置させる歯刃を密と状態と疎の状態とに変更することで、
歯刃の摩耗と損傷を軽減して、歯刃の寿命を延ばすことができる
ことを特徴とする杭切断装置。

【請求項3】
鋸刃機構と、鋸刃機構を装着する駆動機構と、からなり、
鋸刃機構は、
盤縁に、2枚1組の歯刃が重なるように複数配置された歯刃Aと、歯刃Aの間から突出と後退が自在な歯刃Bと、を有する鋸盤と、
鋸盤に取り付けられ、駆動機構を連結させるための嵌合部を有する六角スリーブBと、
鋸盤の回転の中心軸である回転軸Dと、
回転軸Dの先端に形成された六角ヘッドBと、
回転軸Dから外周方向に延びたスポークと、
スポークと鋸盤に接続するリセットスプリングと、
スポークの先端に環状に配置されたギアリングBと、
ギアリングBの回動によって複数のギアを介して鋸盤の中心と外周方向をスライドし、先端に歯刃Bが形成されたラックと、
によって構成され、
駆動機構は、
使用者が把持し、複数のギアを内部に有するハウジングと、
複数のギアを駆動するモーターA、モーターBと、
モーターAの駆動によって複数のギアを介して回転するリングスリーブAと、
モーターBの駆動によって複数のギアを介して回転する六角スリーブAと、
リングスリーブAの先端に設けられ、鋸刃機構の六角スリーブBの嵌合部に差し込まれることで鋸刃機構を装着する六角ヘッドAと、
ギアIとともにデファレンシャルギヤを構成するギアJを内部に有する筒形ハウジングと、
によって構成され、

モーターAを駆動することで、
複数のギアを介してリングスリーブAと六角スリーブAが同じ回転速度で回転し、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aのみが配置された状態で回転させ、

モーターAを駆動させたままモーターBを駆動することで、
複数のギアを介して筒形ハウジングが回転し、
筒形ハウジング内のギアJの回転数及び回転速度が増えてギアIの回転速度が増加し、
リングスリーブAよりも六角スリーブAの回転速度が増加して、
六角スリーブAに差し込まれた状態で嵌合する六角ヘッドBとともに、回転軸D36の回転速度が、鋸盤26の回転速度より増加したときに、
回転軸Dから外周方向に延びたスポーク先端のギアリングBが周方向を回動し、
複数のギアを介して歯刃Bが鋸盤の外周方向にスライドして盤縁から突出した状態になり、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aと歯刃Bが配置された状態で回転させ、

モーターBの駆動を停止することで、
リングスリーブAと六角スリーブAが同じ回転速度で回転するようになり、
回転軸Dの回転速度が鋸盤の回転速度に近づくとともに、
リセットスプリングの弾性力によってスポークが元の位置に戻され、
歯刃Bが鋸盤の中心方向にスライドして盤縁から後退した状態になり、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aのみが配置された状態で回転させ、

切断対象によって鋸盤の盤縁に配置させる歯刃を密と状態と疎の状態とに変更することで、
歯刃の摩耗と損傷を軽減して、歯刃の寿命を延ばすことができる
ことを特徴とする杭切断装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭を切断する切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
杭の役割は、建物の荷重を、地盤のより深い場所に支持力に伝達したり、弱い地盤を圧縮して、基礎地盤の支持力、締固めを向上させることである。
杭には、コンクリート杭、鉄筋コンクリート杭、木材杭などがある。
このうち、コンクリート杭や木材杭は、コンクリート、木材という1つの材料で構成されているため、これを切断する場合、1種類の鋸刃のみを使用すれば切断できる。
しかし、鉄筋コンクリート杭は、コンクリートと鉄筋の2つの材料で構成されているため、これを切断する場合、鋸刃の寿命や切断効率を考慮して、コンクリートと鉄筋を、それぞれ別々の鋸刃を使い分けて切断していた。
【0003】
特許文献1には、鉄筋コンクリ-ト杭の側面から主筋及び帯筋の鉄筋を適宜切断し、杭頭を適宜削孔し、削孔した孔に静的破砕剤を充填し、静的破砕剤により破砕した破砕塊を杭頭から杭の足元に落下させて破砕塊を集積する方法が開示されている。
これによれば、予め鉄筋のみを切断した後にコンクリ-トを破砕する、というように、鉄筋とコンクリ-トの切断作業を分けて行うことで、作業の同時進行を可能にし、工期の短縮、工費削減に寄与できる。
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明は、切断装置のみによって鉄筋コンクリ-ト杭を切断する方法またはそれに使用する装置は一切開示されていない。
切断装置のみによって鉄筋コンクリ-ト杭を切断するとしても、切断効率を高めるためには、歯間隔が大きい鋸刃を使用すべきであるが、鉄筋部分を切断するには、刃の消耗を減らすために歯間隔が小さく密度の高い鋸刃を使う必要があるため、従来、鉄筋コンクリート杭を切断するには、鋸刃の寿命や切断効率を向上させるためには、2種類の鋸刃を交換しながら使い分けて切断作業をする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-237868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するため、コンクリートと鉄筋で構成されている鉄筋コンクリート杭を、1種類の鋸刃だけで、効率よく切断できる杭切断装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来技術における問題点を解決するために、本発明は、以下の技術的な解決策を講じている。
なお、本発明の説明において、「内」、「下」、「上」など方位と位置関係を指示する用語は、図面に示される方位や作業中によく置く方位、位置関係に基づくものである。
また、方向または位置関係は、本発明を説明し、説明を簡略化するためのものであり、参照されるデバイスまたは要素が特定の方向を有し、特定の方向で構築または操作されなければならないことを示したり示唆したりするものではない。
さらに、「第1」、「第2」などの用語は、説明を区別するためにのみ使用され、相対的な重要性を示したり、暗示することを意味するものではない。
【0008】
本発明にかかる杭切断装置は、
鋸刃機構と、鋸刃機構を装着する駆動機構と、からなり、
鋸刃機構は、
盤縁に複数の歯刃A、歯刃Bを有する鋸盤と、
鋸盤に取り付けられ、駆動機構を連結させるための嵌合部を有する六角スリーブBと、
鋸盤の回転の中心軸である回転軸Dと、
回転軸Dの先端に形成された六角ヘッドBと、
回転軸Dから外周方向に延びたスポークと、
スポークの先端に環状に配置されたギアリングBと、
ギアリングBの回動によって複数のギアを介して鋸盤の中心と外周方向をスライドし、先端に歯刃Bが形成されたラックと、
によって構成され、
駆動機構は、
使用者が把持し、複数のギアを内部に有するハウジングと、
複数のギアを駆動するモーターA、モーターBと、
モーターAの駆動によって複数のギアを介して回転するリングスリーブAと、
モーターBの駆動によって複数のギアを介して回転する六角スリーブAと、
リングスリーブAの先端に設けられ、鋸刃機構の六角スリーブBの嵌合部に差し込まれることで鋸刃機構を装着する六角ヘッドAと、
ギアIとともにデファレンシャルギヤを構成するギアJを内部に有する筒形ハウジングと、
によって構成され、
モーターAを駆動することで、
複数のギアを介してリングスリーブAと六角スリーブAが同じ回転速度で回転し、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aのみが配置された状態で回転させ、
モーターAを駆動させたままモーターBを駆動することで、
複数のギアを介して筒形ハウジングが回転し、
筒形ハウジング内のギアJの回転数及び回転速度が増えてギアIの回転速度が増加し、
リングスリーブAよりも六角スリーブAの回転速度が増加して、
六角スリーブAに差し込まれた状態で嵌合する六角ヘッドBとともに、回転軸D36の回転速度が、鋸盤26の回転速度より増加したときに、
回転軸Dから外周方向に延びたスポーク先端のギアリングBが周方向を回動し、
複数のギアを介して歯刃Bが鋸盤の外周方向にスライドして盤縁から突出した状態になり、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aと歯刃Bが配置された状態で回転させ、
切断対象によって鋸盤の盤縁に配置させる歯刃を密と状態と疎の状態とに変更することで、
歯刃の摩耗と損傷を軽減して、歯刃の寿命を延ばすことができる
ことを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる杭切断装置は、
鋸刃機構と、鋸刃機構を装着する駆動機構と、からなり、
鋸刃機構は、
盤縁に、2枚1組の歯刃が重なるように複数配置された歯刃Aと、歯刃Aの間から突出と後退が自在な歯刃Bを有する鋸盤と、
鋸盤に取り付けられ、駆動機構を連結させるための嵌合部を有する六角スリーブBと、
鋸盤の回転の中心軸である回転軸Dと、
回転軸Dの先端に形成された六角ヘッドBと、
回転軸Dから外周方向に延びたスポークと、
スポークの先端に環状に配置されたギアリングBと、
ギアリングBの回動によって複数のギアを介して鋸盤の中心と外周方向をスライドし、先端に歯刃Bが形成されたラックと、
によって構成され、
駆動機構は、
使用者が把持し、複数のギアを内部に有するハウジングと、
複数のギアを駆動するモーターA、モーターBと、
モーターAの駆動によって複数のギアを介して回転するリングスリーブAと、
モーターBの駆動によって複数のギアを介して回転する六角スリーブAと、
リングスリーブAの先端に設けられ、鋸刃機構の六角スリーブBの嵌合部に差し込まれることで鋸刃機構を装着する六角ヘッドAと、
ギアIとともにデファレンシャルギヤを構成するギアJを内部に有する筒形ハウジングと、
によって構成され、
モーターAを駆動することで、
複数のギアを介してリングスリーブAと六角スリーブAが同じ回転速度で回転し、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aのみが配置された状態で回転させ、
モーターAを駆動させたままモーターBを駆動することで、
複数のギアを介して筒形ハウジングが回転し、
筒形ハウジング内のギアJの回転数及び回転速度が増えてギアIの回転速度が増加し、
リングスリーブAよりも六角スリーブAの回転速度が増加して、
六角スリーブAに差し込まれた状態で嵌合する六角ヘッドBとともに、回転軸D36の回転速度が、鋸盤26の回転速度より増加したときに、
回転軸Dから外周方向に延びたスポーク先端のギアリングBが周方向を回動し、
複数のギアを介して歯刃Bが鋸盤の外周方向にスライドして盤縁から突出した状態になり、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aと歯刃Bが配置された状態で回転させ、
切断対象によって鋸盤の盤縁に配置させる歯刃を密と状態と疎の状態とに変更することで、
歯刃の摩耗と損傷を軽減して、歯刃の寿命を延ばすことができる
ことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる杭切断装置は、
鋸刃機構と、鋸刃機構を装着する駆動機構と、からなり、
鋸刃機構は、
盤縁に、2枚1組の歯刃が重なるように複数配置された歯刃Aと、歯刃Aの間から突出と後退が自在な歯刃Bと、を有する鋸盤と、
鋸盤に取り付けられ、駆動機構を連結させるための嵌合部を有する六角スリーブBと、
鋸盤の回転の中心軸である回転軸Dと、
回転軸Dの先端に形成された六角ヘッドBと、
回転軸Dから外周方向に延びたスポークと、
スポークと鋸盤に接続するリセットスプリングと、
スポークの先端に環状に配置されたギアリングBと、
ギアリングBの回動によって複数のギアを介して鋸盤の中心と外周方向をスライドし、先端に歯刃Bが形成されたラックと、
によって構成され、
駆動機構は、
使用者が把持し、複数のギアを内部に有するハウジングと、
複数のギアを駆動するモーターA、モーターBと、
モーターAの駆動によって複数のギアを介して回転するリングスリーブAと、
モーターBの駆動によって複数のギアを介して回転する六角スリーブAと、
リングスリーブAの先端に設けられ、鋸刃機構の六角スリーブBの嵌合部に差し込まれることで鋸刃機構を装着する六角ヘッドAと、
ギアIとともにデファレンシャルギヤを構成するギアJを内部に有する筒形ハウジングと、
によって構成され、
モーターAを駆動することで、
複数のギアを介してリングスリーブAと六角スリーブAが同じ回転速度で回転し、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aのみが配置された状態で回転させ、
モーターAを駆動させたままモーターBを駆動することで、
複数のギアを介して筒形ハウジングが回転し、
筒形ハウジング内のギアJの回転数及び回転速度が増えてギアIの回転速度が増加し、
リングスリーブAよりも六角スリーブAの回転速度が増加して、
六角スリーブAに差し込まれた状態で嵌合する六角ヘッドBとともに、回転軸D36の回転速度が、鋸盤26の回転速度より増加したときに、
回転軸Dから外周方向に延びたスポーク先端のギアリングBが周方向を回動し、
複数のギアを介して歯刃Bが鋸盤の外周方向にスライドして盤縁から突出した状態になり、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aと歯刃Bが配置された状態で回転させ、
モーターBの駆動を停止することで、
リングスリーブAと六角スリーブAが同じ回転速度で回転するようになり、
回転軸Dの回転速度が鋸盤の回転速度に近づくとともに、
リセットスプリングの弾性力によってスポークが元の位置に戻され、
歯刃Bが鋸盤の中心方向にスライドして盤縁から後退した状態になり、
駆動機構に装着された鋸刃機構の鋸盤を、盤縁に複数の歯刃Aのみが配置された状態で回転させ、
切断対象によって鋸盤の盤縁に配置させる歯刃を密と状態と疎の状態とに変更することで、
歯刃の摩耗と損傷を軽減して、歯刃の寿命を延ばすことができる
ことを特徴とする。
【0011】
本発明の有益な効果は、次のとおりである。
1)鋸刃機構は、1の歯刃をスライド自在にし、鋸盤の盤縁に配置する歯刃を、1つ(疎の状態)にしたり、2つ(密の状態)にすることができる。
これにより、杭の切断対象(コンクリートか鉄筋か)によって歯刃の数(1つか2つ)を変更し、効率よく切断できるとともに、歯刃の摩耗と損傷を軽減し、歯刃の寿命を延ばすことができる
2)構造が極めて単純でありながら、複数の鋸刃を使い分けるために鋸刃を交換する必要がなく、1つの歯刃のみで、鉄筋コンクリート杭のコンクリート部分と鉄筋部分の両方を効率的に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】杭切断装置の外観を2つの異なる方向から示した概略斜視図
図2】駆動機構の一部を拡大した外観を示す概略斜視図(左)と、鋸刃機構の部分的な断面構造を示す部分拡大断面図(右)
図3】鋸刃機構が駆動機構に装着された状態の断面構造を示す断面図
図4】鋸刃機構の外観を示す概略斜視図
図5】歯刃A、歯刃Bが取り付けられた状態の鋸刃機構の内部構造を平面的に示した概略平面図(左)と、その一部を拡大して示した部分拡大図(右)
図6図5の内部構造を平面的に示した概略平面図(左)と、その一部を拡大して示した部分拡大図(右)
図7】歯刃A、歯刃Bが取り付けられた状態の鋸刃機構の歯刃部分とその断面構造を拡大して示した部分拡大断面図
図8】歯刃Aのみが取り付けられた状態の鋸刃機構の歯刃部分とその断面構造を拡大して示した部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の具体的な実施形態を、図面をもとに詳細に説明する。
【0014】
本実施例にかかる杭切断装置は、図1に示すように、駆動機構1と、鋸刃機構25からなる。
鋸刃機構25は、図4乃至図6に示すように、鋸盤26、歯刃A28、歯刃B29からなる。
駆動機構1は、鋸刃機構25の鋸盤26の回転させるように駆動する。
【0015】
鋸盤26の盤縁には、図7及び図8に示すように、複数の歯刃A28が、一対に重ね合わされた状態で隙間なく配置されている。
鋸盤26の盤縁には、図5及び図8に示すように、スライド溝27が形成されている。
スライド溝27は、図5に示すように、歯刃B29を先端に有するラック30が収められる。
歯刃B29は、図7に示すように、一対に重ね合わされた状態で配置されている歯刃A28の間に、隙間なく複数配置されている。
鋸盤26は、図6に示すように、鋸盤26の中心に位置する回転軸D36を中心に回転する。
【0016】
駆動機構1は、図2及び図3に示すように、ハウジング2、リングスリーブA3、六角ヘッドA4、モーターA10、モーターB16からなる。
ハウジング2には、図1及び3に示すように、モーターB16に電気的に接続され、モーターB16を駆動させるためのギアボタン40が設けられている。
モーターB16は、駆動機構1に装着される鋸刃機構25の歯刃B29の位置調整をしたり、鋸盤26の盤縁に配置される歯刃B29を、突出させた状態にして密にするか、回転の中心方向に後退させた状態にして疎にするか、の調整をする際に使用される。
ハウジング2には、モーターA10が設けられており、モーターA10を駆動させることで、駆動機構1に装着される鋸刃機構25の鋸盤26を回転させる。
モーターA10、モーターB16は、共にセルフロックモータである。
【0017】
鋸刃機構25の鋸盤26を装着させるハウジング2の装着部分には、図2左図に示すように、モーターA10の駆動によって回転するリングスリーブA3の先端に、六角ヘッドA4が取り付けられている。
六角ヘッドA4は、図2右図に示す、鋸刃機構25の鋸盤26の中心部分に取り付けられている六角スリーブB38の嵌合部に差し込まれる。
これによって、鋸盤26がハウジング2に取り付けられ、鋸刃機構25は駆動機構1に装着される。
本実施例にかかる杭切断装置の使用者は、ハウジング2を把持して、鋸刃機構25は駆動機構1に装着された杭切断装置を使用する。
【0018】
六角スリーブB38の嵌合部には、鋸刃機構25の鋸盤26の中心に位置する回転軸D36の先端に形成された六角ヘッドB37が突出している。
六角ヘッドB37は、先端に六角ヘッドA4を有するリングスリーブA3の中心軸に沿って、リングスリーブA3の内部に形成されている六角スリーブA24に嵌合する。
そのため、鋸刃機構25の鋸盤26は、六角スリーブB38の嵌合部に差し込まれた六角ヘッドA4がリングスリーブA3とともに回転することによって回転するが、鋸盤26の回転軸D36の先端に形成された六角ヘッドB37がリングスリーブA3の内部に形成されている六角スリーブA24とともに回転することによっても回転する。
つまり、鋸刃機構25の鋸盤26は、リングスリーブA3と六角スリーブA24の回転速度が同じ場合、初期状態のまま回転するが、後記するモーターB16の駆動によって、リングスリーブA3よりも六角スリーブA24の回転速度が速くなったとき、鋸盤26の回転軸D36の回転速度が速くなることで、後記する歯刃の構成が変わるようになっている。
【0019】
モーターA10の出力軸は、図3に示すように、複数のギアを介して、リングスリーブA3と六角スリーブA24のそれぞれに、別々の経路で接続されており、モーターA10は、リングスリーブA3と六角スリーブA24を、同じ速度で回転させるように駆動する。
これに対し、モーターB16の出力軸は、図3に示すように、複数のギアを介して、六角スリーブA24にのみ接続されており、モーターB16は、リングスリーブA3が回転を停止しているときに六角スリーブA24のみを回転させたり、リングスリーブA3が回転しているときに六角スリーブA24の回転速度のみを増加させるように駆動する。
【0020】
モーターA10の出力軸は、図3に示すように、ギアE9が取り付けられ、ギアE9が回転すると、ギアE9に噛み合うギアD8が回転する。
ギアD8が回転すると、回転軸A7が回転し、回転軸A7に取り付けられているギアC6とギアF11が回転する。
【0021】
ギアC6とギアF11のうち、ギアC6は、図3に示すように、ギアB5と噛み合い、ギアC6が回転するとギアB5が回転する。
ギアB5はギアA41と噛み合い、ギアB5が回転するとギアA41が回転する。
ギアA41はリングスリーブA3に取り付けられているため、ギアA41が回転するとリングスリーブA3が回転する。
リングスリーブA3が回転することで、リングスリーブA3の先端の六角ヘッドA4が差し込まれるように嵌合する六角スリーブB38が、これを取り付ける鋸盤26を回転させる。
【0022】
また、ギアC6とギアF11のうち、ギアF11は、図3に示すように、ギアH17と噛み合い、ギアF11が回転するとギアH17が回転する。
ギアH17は回転軸B18に取り付けられているため、ギアH17が回転すると回転軸B18が回転し、回転軸B18に取り付けられているギアI19(図3の2つのギアI19のうち、左側に位置するギアI19)が回転する。
ギアI19(図3の2つのギアI19のうち、左側に位置するギアI19)が回転すると、ギアI19と共にデファレンシャルギヤを構成し、このギアI19に噛み合うギアJ20(図3の上下2つとも)が回転する。
ギアJ20が回転すると、ギアJ20に噛み合うギアI19(図3の2つのギアI19のうち、右側に位置するギアI19)が回転する。
ギアI19(図3の2つのギアI19のうち、右側に位置するギアI19)が回転すると、このギアI19が取り付けられている回転軸C21が回転する。
ギアI19(図3の2つのギアI19のうち、右側に位置するギアI19)は回転軸C21に取り付けられているため、ギアI19が回転すると回転軸C21が回転し、回転軸C21に取り付けられているギアK22が回転する。
ギアK22が回転すると、ギアK22に噛み合うギアL23が回転する。
ギアL23は六角スリーブA24に取り付けられているため、ギアL23が回転すると六角スリーブA24が回転する。
六角スリーブA24が回転することで、六角スリーブA24に差し込まれるように嵌合する六角ヘッドB37が回転し、さらに、六角ヘッドB37を先端に有する回転軸D36を回転させる。
【0023】
以上の経路で、モーターA10の出力軸は、図3に示すように、複数のギアを介して、リングスリーブA3と六角スリーブA24のそれぞれに、別々の経路で接続されており、モーターA10は、リングスリーブA3と六角スリーブA24を、同じ回転速度で回転させるように駆動する。
【0024】
つまり、ギアF11とギアH17のギア比は、ギアL23とギアK22のギア比と等しい。
そのため、モーターA10の駆動によって六角スリーブA24が回転する速度と、モーターA10の駆動によって回転軸A7が回転する速度は等しい。
また、ギアF11とギアH17のギア比は、ギアC6とギアA41のギア比と等しい。
そのため、モーターA10の駆動によって六角スリーブA24が回転する速度と、モーターA10の駆動によってリングスリーブA3が回転する速度は等しい。
【0025】
そして、リングスリーブA3と六角スリーブA24の回転速度は同じであるため、鋸盤26と回転軸D36の回転速度も同じである。
その結果、図6に示す、回転軸D36から外周方向に延びる4本のスポーク34は、鋸盤26と同じ回転速度で回転する。
【0026】
モーターB16の出力軸は、図3に示すように、ギアG15が取り付けられ、ギアG15が回転すると、ギアG15に噛み合うギアリングA14が回転する。
ギアリングA14が回転すると、ギアリングA14が取り付けられている筒形ハウジング12が、筒形ハウジング12の内外を貫通する回転軸B18と回転軸C21を軸にして回転する。
筒形ハウジング12が回転すると、図3の番号が付与されていない筒形ハウジング12内の軸(ピニオンシャフトに当たる図3の縦方向の軸)に取り付けられたギアJ20が、筒形ハウジング12と共に回転軸B18と回転軸C21の軸周方向を回転する。
【0027】
これにより、ギアJ20の回転数及び回転速度は増加し、図3の2つのギアI19のうち、図3の右側に位置するギアI19が、図3の左側に位置するギアI19よりも、回転速度が増加する。
そして、図3の右側に位置するギアI19が取り付けられている回転軸C21は、図3の左側に位置するギアI19が取り付けられている回転軸B18よりも、回転速度が増加する。
その結果、回転軸C21に取り付けられているギアK22と、ギアK22に噛み合うギアL23の回転速度は、ギアA41の回転速度よりも増加し、リングスリーブA3よりも六角スリーブA24の回転速度が増加することになる。
【0028】
つまり、モーターA10のみを駆動させるとき、リングスリーブA3と六角スリーブA24の回転速度は同じであるが、モーターA10に加えて、さらにモーターB16を駆動させると、リングスリーブA3よりも六角スリーブA24の回転速度が増加することになる。
このように、筒形ハウジング12は、リングスリーブA3よりも六角スリーブA24の回転速度を高める役割を果たす。
【0029】
リングスリーブA3に比べて、六角スリーブA24の回転速度が増加するとき、鋸刃機構25は、以下に示す構成によって変化する。
【0030】
六角スリーブA24の回転速度がリングスリーブA3の回転速度より増加すると、六角スリーブA24に嵌合する六角ヘッドB37とともに回転軸D36の回転速度が、鋸盤26の回転速度より増加する。
その場合、図6に示す、回転軸D36に取り付けられ、回転軸D36から外周方向に延びる4本のスポーク34と、スポーク34の先端に環状に配置されたギアリングB33が、鋸盤26に対して、周方向に回動する。
ギアリングB33が回動すると、図6の右図に示すとおり、ギアリングB33に噛み合うギアN32が回転する。
ギアN32が回転すると、図7の断面部分に示すとおり、ギアN32と同軸上のギアM31が回転する。
ギアM31が回転すると、図5の右図に示すとおり、ギアM31に噛み合うラック30が鋸盤26の中心から外周方向にスライドし、ラック30の先端に形成された歯刃B29も、スライド溝27内を鋸盤26の中心から外周方向にスライドする。
その結果、歯刃B29は、鋸盤26の盤縁から突出した状態になり、図5の右図や図7に示すように、鋸盤26の盤縁は、歯刃A28とともに歯刃B29が配置され、歯刃が密の状態になる。
【0031】
スポーク34は、図6に示すように、鋸盤26に形成された溝に取り付けられた、伸長ばねであるリセットスプリング35と接続されているため、六角スリーブA24の回転速度が、リングスリーブA3の回転速度に近くなり、六角スリーブA24に嵌合する六角ヘッドB37とともに回転軸D36の回転速度が鋸盤26の回転速度に近くなると、リセットスプリング35によってスポーク34が元の位置に戻される。
そうすると、ラック30は鋸盤26の外周方向から中心方向にスライドし、ラック30の先端に形成された歯刃B29も、スライド溝27内を鋸盤26の中心方向にスライドする。
その結果、歯刃B29は、鋸盤26の盤縁の内部(スライド溝27内)に引っ込んだ状態になり、図8に示すように、鋸盤26の盤縁は、歯刃A28のみが配置され、歯刃が疎の状態になる。
【0032】
以上の構成によって、鋸盤26の盤縁に配置される歯刃を、密の状態にしたり、疎の状態に変えることができる。
これにより、例えば、鉄筋部分を切断する時には、歯刃B29を鋸盤26の盤縁に配置させ、歯刃を密の状態にすることで、歯刃(A28とB29)の摩耗と損傷を軽減して、歯刃の寿命を延ばすことができる。
【0033】
鋸刃機構25を駆動機構1に装着する手順は、次のとおりである。
【0034】
初期状態では、駆動機構1と鋸刃機構25は分離されている。
そこで、以下の手順で、鋸刃機構25を駆動機構1に装着する。
【0035】
ギアボタン40を軽く押し、モーターB16を緩やかに駆動させる。
モーターB16が駆動すると、モーターB16の出力軸に連結するギアG15が回転し、ギアG15に噛み合うギアリングA14が回転する。
ギアリングA14が回転すると、ギアリングA14を取り付けた筒形ハウジング12が回転する。
【0036】
このとき、ギアH17は、モーターA10が駆動していないため、回転しない。
そのため、ギアH17の回転軸となる回転軸B18と、回転軸B18に取り付けられた図3の左側のギアI19も回転しない。
そうすると、筒形ハウジング12が回転することで、ギアJ20のみが回転し、ギアJ20に噛み合う図3の右側のギアI19のみが回転する。
そして、図3の右側のギアI19の回転軸となる回転軸C21が回転し、回転軸C21に取り付けられたギアK22が回転する。
その結果、ギアK22に噛み合うギアL23が回転し、リングスリーブA3が回転しない状態で、ギアL23を取り付けた六角スリーブA24のみが回転する。
【0037】
このようにして、六角スリーブA24のみを回転させながら、鋸刃機構25の回転軸D36の先端の六角ヘッドB37を六角スリーブA24に挿入させ、六角ヘッドB37が六角スリーブA24に嵌入した状態にする。
そのため、杭切断装置を使用する使用者は、六角ヘッドB37が六角スリーブA24に嵌入しやすくなるように、六角スリーブA24を緩やかに回転させるため、モーターB16を駆動する出力を調整する。
【0038】
以上の方法で、駆動機構1の六角ヘッドA4は、鋸刃機構25の六角スリーブB38に挿入され、六角スリーブB38に嵌合した状態になる。
その後、図2に示す、3本のボルト39をねじ込み、六角ヘッドA4が六角スリーブB38から外れないように締付ける。
これにより、鋸刃機構25の駆動機構1への装着が完了する。
【0039】
杭切断装置の使用方法は、次のとおりである。
【0040】
初期状態の鋸刃機構25は、鋸盤26の歯刃B29は、スライド溝27内に収められており、図8のように、鋸盤26の盤縁には突出していない。
モーターA10を駆動させると、モーターA10の出力軸に取り付けられたギアE9に噛み合うギアD8が回転する。
ギアD8が回転すると、同軸の回転軸A7が回転し、回転軸A7に取り付けられたギアC6とギアF11が回転する。
ギアC6が回転することで、ギアC6に噛み合うギアB5、ギアB5に噛み合うギアA41が連鎖的に回転する。
ギアA41が回転すると、同軸のリングスリーブA3が回転し、リングスリーブA3の先端の六角ヘッドA4が回転する。
六角ヘッドA4が回転することで、六角ヘッドA4が嵌合する六角スリーブB38を介して鋸刃機構25の鋸盤26を回転させる。
【0041】
また、ギアC6の回転と同時に、ギアF11が回転し、ギアF11に噛み合うギアH17が回転する。
ギアH17が回転すると、ギアH17と同軸の回転軸B18が回転し、回転軸B18に取り付けられたギアI19(図3の左側)が回転し、ギアI19(図3の左側)が回転すると、ギアI19に噛み合うギアJ20が回転する。
ギアJ20が回転すると、ギアJ20に噛み合うギアI19(図3の右側)が回転し、ギアI19(図3の右側)と同軸の回転軸C21が回転する。
回転軸C21が回転すると、回転軸C21に取り付けられたギアK22が回転し、ギアK22に噛み合うギアL23も回転する。
ギアL23が回転すると、ギアL23が取り付けられた六角スリーブA24が回転し、六角スリーブA24に嵌合する回転軸D36の先端の六角ヘッドB37を介して、回転軸D36を回転させる。
【0042】
このとき、リングスリーブA3と六角スリーブA24の回転速度は同じであり、回転軸D36と鋸盤26の回転速度も同じである。
そのため、鋸盤26の歯刃B29は、初期状態のまま、スライド溝27内に収められており、図8のように、鋸盤26の盤縁には突出されておらず、鋸盤26の盤縁は、歯刃A28のみが配置され、歯刃が疎の状態である。
この状態で、鉄筋コンクリート杭のコンクリート部分を切断する。
【0043】
鉄筋コンクリート杭の鉄筋部分を切断する時は、モーターA10を駆動させたまま、つまり、鋸盤26を回転させたまま、モーターB16を駆動する。
使用者は、いつでも、図1に示す、ギアボタン40を押して、モーターB16を駆動させることができる。
ギアボタン40を押すと、モーターB16が駆動し、モーターB16の出力軸に取り付けられたギアG15が回転する。
ギアG15が回転すると、ギアG15に噛み合うギアリングA14が回転し、ギアリングA14が取り付けられた筒形ハウジング12が回転する。
筒形ハウジング12が回転すると、ギアJ20は、筒形ハウジング12と同じように、回転軸B18と回転軸C21を軸として回転する。
【0044】
このとき、ギア J20は、デファレンシャルギヤのピニオンギアの役割を果たし、モーターA10のみを駆動させるときに比べて高速で回転する。
その結果、ギア J20に噛み合う、サイドギアに当たるギアI19(図3の右側)の回転速度が、モーターA10のみを駆動させるときに比べて増加し、より高速で回転する。
そして、ギアI19(図3の右側)と同軸の回転軸C21も高速で回転し、回転軸C21に取り付けられたギアK22も高速で回転することで、ギアK22に噛み合うギアL23も高速で回転する。
ギアL23が高速で回転すると、ギアL23を取り付けた六角スリーブA24も高速で回転する。
六角スリーブA24が高速で回転すると、六角スリーブA24に嵌合する回転軸D36の先端の六角ヘッドB37を介して、回転軸D36も高速で回転する。
回転軸D36が高速で回転すると、回転軸D36から外周方向に延びる4本のスポーク34と、スポーク34の先端に環状に配置されたギアリングB33が、鋸盤26に対して周方向に回動する。
ギアリングB33が回動すると、ギアリングB33に噛み合うギアN32が回転し、ギアN32と同軸上のギアM31が回転し、ギアM31に噛み合うラック30が外周方向にスライドすることで、ラック30の先端に形成された歯刃B29が、スライド溝27内を外周方向にスライドする。
【0045】
歯刃B29がスライド溝27内で外周方向にスライドすると、鋸盤26の盤縁には、歯刃A28とともに歯刃B29が配置されることになり、歯刃が密の状態になる。
鉄筋部分を切断する時に、歯刃B29を外周方向にスライドさせ、鋸盤26の盤縁に、歯刃A28とともに歯刃B29を配置させて、歯刃を密の状態にする。
これにより、鉄筋部分の切断を容易にしつつ、歯刃(A28とB29)の摩耗と損傷を軽減して、歯刃の寿命を延ばすことができる。
【0046】
鉄筋部分を切断した後は、ギアボタン40を再度押して、モーターB16の駆動を停止させる。
モーターB16の駆動が停止すると、モーターA10のみが駆動した状態になり、六角スリーブA24の回転速度が、リングスリーブA3の回転速度に近づいて、最終的には同じになる。
そうすると、六角スリーブA24に嵌合する六角ヘッドB37とともに、回転軸D36の回転速度が鋸盤26の回転速度に近くなり、リセットスプリング35の弾性力によってスポーク34が元の位置に戻される。
そして、ラック30は鋸盤26の中心方向にスライドし、ラック30の先端に形成された歯刃B29も、スライド溝27内を鋸盤26の中心方向にスライドする。
その結果、歯刃B29は、鋸盤26の盤縁の内部(スライド溝27内)に引っ込んだ状態になり、図8に示すように、鋸盤26の盤縁は、歯刃A28のみが配置され、歯刃が疎の状態になる。
以上の方法で、コンクリート及び鉄筋を切断した後は、モーターA10の駆動を停止させる。
【0047】
本発明の有益な効果は、鋸刃機構25における歯刃B29が、スライド溝27内で外周方向にスライドした時は、鋸盤26の盤縁には、歯刃A28とともに歯刃B29が配置されることで歯刃が密の状態になり、鉄筋コンクリート杭の鉄筋部分を確実に切断でき、スライド溝27内で鋸盤26の中心方向にスライドした時は、鋸盤26の盤縁には、歯刃A28だけが配置されることで歯刃が疎の状態になり、鉄筋コンクリート杭のコンクリート部分を効率よく切断できる。
したがって、複数の鋸刃を使い分けるために鋸刃を交換する必要がなく、1つの鋸刃のみで鉄筋コンクリート杭のコンクリート部分と鉄筋部分の両方を効率的に切断することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 駆動機構
2 ハウジング
3 リングスリーブA
4 六角ヘッドA
5 ギアB
6 ギアC
7 回転軸A
8 ギアD
9 ギアE
10 モーターA
11 ギアF
12 筒形ハウジング
13 旋回座
14 ギアリングA
15 ギアG
16 モーターB
17 ギアH
18 回転軸B
19 ギアI
20 ギアJ
21 回転軸C
22 ギアK
23 ギアL
24 六角スリーブA
25 鋸刃機構
26 鋸盤
27 スライド溝
28 歯刃A
29 歯刃B
30 ラック
31 ギアM
32 ギアN
33 ギアリングB
34 スポーク
35 リセットスプリング
36 回転軸D
37 六角ヘッドB
38 六角スリーブB
39 ボルト
40 ギアボタン
41 ギアA

【要約】      (修正有)
【課題】コンクリートと鉄筋で構成されている鉄筋コンクリート杭を、複数の鋸刃を使い分けるために鋸刃を交換する必要がなく、1つの切断装置のみで、効率よく切断できる杭切断装置を提供する。
【解決手段】杭切断装置は、盤縁に複数の歯刃A、歯刃Bを有する鋸盤を、モーターAを駆動することで、盤縁に複数の歯刃Aのみが配置された状態で回転させ、モーターAを駆動させたままモーターBを駆動することで、盤縁に複数の歯刃Aと歯刃Bが配置された状態で回転させ、モーターBの駆動を停止することで、盤縁に複数の歯刃Aのみが配置された状態で回転させ、切断対象によって鋸盤の盤縁に配置させる歯刃を密と状態と疎の状態とに変更して、歯刃の摩耗と損傷を軽減して、歯刃の寿命を延ばすことができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8