(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ファンコイルユニット及び机
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20231019BHJP
A47B 37/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
F24F5/00 101Z
A47B37/00 502A
(21)【出願番号】P 2019063384
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-02-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】平原 美博
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-261609(JP,A)
【文献】実開昭56-085207(JP,U)
【文献】実開昭59-193920(JP,U)
【文献】実開昭57-095517(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
A47B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
机の天板の裏面に、吹出し口が前記机の手前に向かって開口するように後付けされるファンコイルユニットであって、
空気を吸込み、空気を吹出すファンと、
前記ファンから吹出される空気を前記吹出し口へ案内するダクトと、
前記ファンから吹出される空気が前記吹出し口へ進行する前記ダクト内の空間を、前記進行する方向へ狭めてくように、前記進行する方向に対して所定の角度をなして設けられる、前記空間に存在する空気と熱交換する板状のコイルと、
を、備え、
前記ダクトの底面は、前記ファンと前記板状のコイルの配置領域である収容部において、前記吹出し口よりも前記机の天板から離れており、着座側の側面に、前記収容部と前記吹出し口の底面の高さを一致させる傾斜面を有し、
前記板状のコイルは、着座側から見て奥側の端部において、前記ファンと隣接しており、着座側の端部は、前記傾斜面の着座側から見て奥側端部よりも着座側になるように配置されている、
ファンコイルユニット。
【請求項2】
机の天板の裏面に、吹出し口が前記机の手前に向かって開口するように後付けされるファンコイルユニットであって、
空気を吸込み、空気を吹出すファンと、
前記ファンから吹出される空気を前記吹出し口へ案内するダクトと、
前記ファンから吹出される空気が前記吹出し口へ進行する前記ダクト内の空間を、前記進行する方向へ狭めていき、前記空間に存在する空気と熱交換する板状のコイルと、
を、備え、
前記ダクトの、前記コイルを収容する部分よりも前記吹出し口の側の少なくとも一部に、
前記机の天板の裏面との間の厚みが前記コイルを収容する部分よりも薄く、
底部が前記コイルを収容する部分の底面に対して、前記机の天板の裏面方向に段差状に設けられ、
前記机の天板の裏面の補強材を覆う、たわみ継手が配置されている、
ファンコイルユニット。
【請求項3】
天板と、
前記天板の裏面に後付けされる請求項1
または2に記載のファンコイルユニットと、を備える、
机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンコイルユニット及び机に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機を机と一体に形成する技術が開示されている(例えば特許文献1―2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭53-78076号公報
【文献】特開2018-040514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
机と一体に空調機を形成する場合、形成前に机及び空調機の仕様を決定することが考えられる。例えば、空調機と一体に形成可能な机を選択する、または机のサイズに合わせて空調機を形成する部品をカスタマイズすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、空調機と一体に形成可能な机を選択する場合、机の選択の自由度が狭まることが考えられる。また、机のサイズに合わせて空調機を形成する部品をカスタマイズする場合、初期コストが嵩むことが考えられる。また、空調機を一旦机と一体に形成すると、机又は空調機の仕様に変更があった場合、当該変更に対して柔軟に対応することが困難と考えられる。
【0006】
また、空調機は、所定の重量を有するため、空調機のレイアウトの変更は煩雑であると考えられる。また、机と一体に空調機を形成した後に空調機のメンテナンスを行う場合、空調機のメンテナンスは煩雑となることが考えられる。つまり、机と一体に空調機を設置する場合、空調機の取り扱いは煩雑になるものと考えられる。
【0007】
そこで、本願は、机に設置されるタイプの空調機であって、取り扱いが簡易な空調機に関する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、机の外部にファンコイルユニットを後付けすることとした。
【0009】
詳細には、本発明は、机の天板の裏面に、吹出し口が机の手前に向かって開口するように後付けされるファンコイルユニットであって、空気を吸込み、空気を吹出すファンと、ファンから吹出される空気を吹出し口へ案内するダクトと、ファンから吹出される空気が吹出し口へ進行するダクト内の空間を、進行する方向へ狭めていき、空間に存在する空気と熱交換する板状のコイルと、を備える、ファンコイルユニットである。
【0010】
このようなファンコイルユニットによれば、ファンから吹出された空気がコイルと熱交換する。よって、机と一体に形成される空調機と同様に、温度調節された吹出し空気が着座者へ給気されることとなる。
【0011】
また、このようなファンコイルユニットによれば、ファンコイルユニットを机に設置した後にファンコイルユニット又は机の仕様が変更された場合であっても、ファンコイルユ
ニットを取り外し、仕様の変更に対して容易に対応可能となる。また、このようなファンコイルユニットによれば、ファン及びコイルから形成されるため、簡易な構造となる。よって、ファンコイルユニットの重さは低減され、ファンコイルユニットのレイアウトの変更は容易となる。また、このようなファンコイルユニットによれば、机から取り外してメンテナンスを簡易に行うことができる。つまり、このようなファンコイルユニットの場合、取り扱いが簡易となる。
【0012】
また、このようなファンコイルユニットによれば、机の外部に後付けされるため、ファンコイルユニットを収容するスペースを机が備えている必要はなく、机の選択の自由度は向上する。また、このようなファンコイルユニットによれば、机に後付けされるため、机に合わせてファンコイルユニットを形成する部品をカスタマイズせずに済む。よって、初期コストは抑制される。
【0013】
また、このようなファンコイルユニットによれば、ファンは着座者から見て奥側に設置される。よって、着座者がファンの動作音を感じる度合いは低減される。また、着座者から見て奥側の場所は、着座者が着座した場合に着座者の手前側の場所と比べて着座者の脚が接触しにくい場所である。よって、当該場所に大きなファンを備える場合であっても、着座者が着座した場合に、着座者の脚がファンを収容する収容部に当たることは抑制される。換言すれば、サイズの大きいファンを設置することによりファンの出力は抑制され、ファンの動作音は低減される。
【0014】
また、このようなファンコイルユニットによれば、ファンから吹出された空気が吹出し口へ進行するダクト内の空間は、コイルによって当該進行する方向に狭められていく。よって、吹出し空気は、当該空間をスムーズに流れつつも、コイルと一様に熱交換することになる。よって、吹出し空気とコイルとが熱交換する効率の低下が抑制され、さらに吹出し空気の圧力損失も抑制される。
【0015】
また、ファンは、机の天板の裏面方向に空気を吹出し、板状のコイルの一方の面は、ファンから吹出され、ダクトの天面に当たった空気が吹出し口へ進行するダクト内の空間を、進行する方向に狭めていくように、進行する方向に対して所定の角度をなして設けられる、ファンコイルユニットであってもよい。
【0016】
このようなファンコイルユニットによれば、ファンから吹出された空気が吹出し口へ進行するダクト内の空間は、コイルによって当該進行する方向に狭められていく。よって、吹出し空気は、当該空間をスムーズに流れつつも、コイルと一様に熱交換することになる。よって、吹出し空気とコイルとが熱交換する効率の低下が抑制され、さらに吹出し空気の圧力損失も抑制される。
【0017】
また、ファンは、吹出し口が開口する方向とは反対側の方向の、吹出し口から見て奥側に、空気を吹出す面が仰向けとなるように設置されてもよい。
【0018】
このようなファンコイルユニットによれば、着座者が着座する位置から離れた場所にファンが設置されることになる。よって、着座者が着座した場合にファンの動作音を感じる度合いは低減される。よって、着座者が感じる不快感は低減される。また、このようなファンコイルユニットによれば、ファンは仰向けに設置されるため、ファンを収容する収容部の薄型化が可能となる。よって、着座者が着座した場合に着座者の体の一部が収容部へ接触することは低減される。
【0019】
また、ダクトは、ファン及びコイルを収容する第一ダクトと、矩形状であり、第一ダクトよりも吹出し口側に配置され、第一ダクトと連通し、底部が第一ダクトの底面に対して
、机の天板の裏面方向に段差状に設けられる第二ダクトと、を有し、段差を形成する部分は、所定の傾斜面を含む、ファンコイルユニットであってもよい。
【0020】
このようなファンコイルユニットによれば、第二ダクトは吹出し空気の通過面積を確保しつつ薄型化されることになる。よって、着座者へ好適に給気されつつも、着座者の脚が管路に接触し、着座者に不快感を与えることは抑制される。また、段差には所定の傾斜がつけられているため、コイルを形成する流管同士の隙間を通過した吹出し空気が、傾斜に沿って着座者の着座側へ自然に進行することになる。よって、吹出し空気が段差部分を通過する場合の圧力損失は抑制される。
【0021】
また、ファンが設置される場所から着座者の着座側への方向に対する、第一ダクトの断面の大きさよりも、第二ダクトの断面の大きさの方が小さいこととなる。よって、ファンから吹出された吹出し空気は、第二ダクトへ侵入した場合にその流速が増大する。よって、着座者の着座側の第二ダクトの末端に給気口が設けられる場合、当該給気口から着座者へ向けて好適な勢いの空気が給気される。
【0022】
また、本発明は、天板と、天板の裏面に後付けされる上記の何れかに記載のファンコイルユニットと、を備える、机であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、机に設置されるタイプの空調機であって、取り扱いが簡易な空調機に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空調機の構成の概要の一例を示している。(A)は、空調機の上面図の概要の一例を示している。(B)は、空調機の断面図の概要の一例を示している。
【
図2】
図2は、空調機の動作のフローチャートの一例を示している。
【
図3】
図3は、空調機が動作している場合の概要の一例を示している。
【
図4】
図4は、空調機の概要の一例を示している。(A)は、空調機の断面図の概要の一例を示している。(B)は、空調機の斜視図の一例を示している。
【
図5】
図5は、空調機の断面図の概要の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0026】
図1は、本実施形態に係る空調機1の構成の概要の一例を示している。
図1(A)は、空調機1の上面図の概要の一例を示している。
図1(B)は、空調機1の断面図の概要の一例を示している。ここで、空調機1は、本発明の「ファンコイルユニット」の一例である。
【0027】
図1に示されるように、空調機1は、机100の天板101の裏面に後付される。そして、空調機1は、ダクト2を備える。ダクト2には、ビスが貫通する孔が設けられ、机100の天板101の裏面の所定の位置に設けられた穴に当該孔を貫通したビスが係合されることにより固定される。
【0028】
また、空調機1は、2つのファン3を備える。そして、
図1に示されるように、ダクト2は、ファン3を収容する収容部4を備える。ここで、収容部4は、本発明の「第一ダクト」の一例である。ファン3は、天板101の裏面方向に空気が吹出されるように、机1
00の横方向に並べて設置される。また、ファン3は、例えば直流の電流がファン3の内部に設けられるモータに印加されることにより、ファン3に設けられる羽根が回転する、いわゆる直流ファンであってもよい。
【0029】
また、空調機1は、収容部4に、ファン3が動作した場合に外部から空気を吸込む吸込み口41を備える。吸込み口41は、ファン3の下部の収容部4に設けられる。また、吸込み口41は、空調機1が机100の天板101の裏面に後付けされた場合に、机100の幕板102側に位置することになる。このように吸込み口41及びファン3を設けることで、収容部4を簡易な構造としつつ、薄型化することができる。また、ファン3が横方向に並べて設置されることで、収容部4の厚みは薄型化されつつも、吹出し空気量は増大することになる。
【0030】
また、空調機1は、コイル7を備える。コイル7は、板状であり、平面状に蛇行する流管部材71から形成される。流管部材71の内部には、所定の熱媒体が通過する。つまり、所定の熱媒体とファン3から吹出された空気とが流管部材71を介して熱交換することになる。ここで所定の熱媒体は、例えば外部の装置から供給される冷水あるいは温水であってもよい。また、コイル7は、平面状に蛇行する流管部材71の外表面72が、ファン3が設置される方向を向くように仰向けに設けられる。つまり、コイル7は、ファン3から吹出された空気を熱交換させるために水平面に対して直立するように設置されてはいない。よって、収容部4は薄型化される。
【0031】
また、空調機1のダクト2は、ファン3から吹出され、コイル7の流管部材71同士の間の隙間を通過した空気が着座者の方向へ向かう場合に通過する矩形状の管路5を備える。ここで、収容部4と管路5とは連通している。また、管路5は、その底部が収容部4の底面に対して机100の天板101の裏面方向に段差状に設けられる。また、ダクト2は、当該段差部分に、傾斜面6を備える。ここで、管路5は、本発明の「第二ダクト」の一例である。
【0032】
また、空調機1は、管路5の着座者が着座する側の机100の先端の下部に吹出しフェース19を備える。そして、吹出しフェース19は、複数の小さな孔が横に並んだ給気口20を備える。管路5を通過した吹出し空気は、給気口20を介して着座者へ給気される。ここで、吹出しフェース19は、水平面に対して傾斜した状態で設置されており、給気口20から吹出される空気は、着座者の上半身へ向けて斜め上方向に進行することになる。
【0033】
また、空調機1は、基板10を備える。基板10の実装面には、ファン3と電気的に接続し、ファン3の動作を制御する制御チップ11が実装される。また、基板10の実装面には、外部の端末と無線通信を行うことのできる無線モジュール12を備える。
【0034】
また、ダクト2の各部分の寸法は、管路5の着座者から見た奥行き方向の長さは、例えば380mm程度である。また、管路5の厚みは、例えば20mm程度である。また、収容部4、及び収容部4と管路5とが連通する段差部分の着座者から見た奥行き方向の長さの合計は、例えば270mm程度である。また、収容部4の厚みは、例えば80mm程度である。また、吹出しフェース19に設けられる給気口20の縦方向の長さは、例えば5mm程度である。
【0035】
図2は、空調機1の動作のフローチャートの一例を示している。また、
図3は、空調機1が動作している場合の概要の一例を示している。また、以下の例では、所定の熱媒体を冷水とし、ファン3から吹出された空気がコイル7を通過する場合に冷却され、当該冷却された冷風が、着座者へ向けて給気されるものとする。
【0036】
ステップS101では、無線モジュール12が、着座者が所有するスマートフォンなどの端末から空調機1の動作を要求する動作要求信号を受信する(S101)。そして、ステップS102では、無線モジュール12が動作要求信号を制御チップ11へ転送する(S102)。
【0037】
そして、ステップS103では、制御チップ11が、動作要求信号に従い、ファン3の羽根を回転させる制御信号を生成する。よって、ファン3の羽根が回転することとなる。そして、ファン3の羽根が回転することにより、着座者の脚元空間から吸込み口41を介してファン3へ空気が吸込まれる。そして、ファン3の吹出し口9から空気が着座者が着座する方向へ空気が吹き出される(S103)。ここで、コイル7の流管部材71の内部には、流管部材71から熱を吸熱する冷水が通過しているものとする。ここで、冷水は、コイル7の下部(
図1(B)において収容部4の底面近傍に位置する部分)を形成する流管部材71に設けられる流入口から流管部材71内へ流入する。そして、ファン3から吹出される空気と熱交換しながら、コイル7の上部(
図1(B)において収容部4の天面近傍に位置する部分)を形成する流管部材71内へ流れていく。そして、冷水はコイル7の上部を形成する流管部材71に設けられる流出口から流出する。つまり、コイル7の下部を形成する流管部材71内を流れる冷水の温度は低く、コイル7の上方へ向かうに連れて冷水の温度は高くなる。
【0038】
ここで、ファン3から吹出された吹出し空気の少なくとも一部は、天板101の裏面方向に当たった後、コイル7の外表面72に沿って進行する。よって、吹出し空気が一様にコイル7と熱交換し、冷却されることになる。また、吹出し空気の進行方向の空間は、外表面72によって徐々に遮られているため、吹出し空気の流れは、スムーズになる。よって、吹出し空気の圧力損失は抑制される。また、冷却された吹出し空気は、流管部材71同士の隙間を通過する。
【0039】
そして、流管部材71同士の隙間を通過した吹出し空気は、収容部4と管路5とが連通する段差部分に達する。ここで、段差部分には、傾斜面6が設けられている。よって、段差部分に達した吹出し空気は、傾斜面6に沿って無駄なく自然に管路5の内部へ進行することになる。その後、吹出し空気は、管路5を通過し、給気口20を介して着座者へ給気される。ここで、空調機1は、給気口20にルーバ等の整流部材を備え、給気口20からの給気が着座者の首などの特定の部位へ集中するように調節されてもよい。
【0040】
<作用効果>
【0041】
上記のような空調機1によれば、ファン3から吹出された空気がコイル7と熱交換する。よって、机100一体に空調機が形成される場合と同様に、温度調節された冷気が着座者へ給気されることとなる。
【0042】
また、上記のような空調機1によれば、空調機1を机100に後付けした後に空調機1又は机100の仕様が変更された場合であっても、空調機1と机100とを固定しているビスを外すことによって空調機1を机100から取り外すことができる。そして、仕様が変更された空調機1を再度机100へ固定することが容易に行える。つまり、上記のような空調機1によれば、仕様の変更に対して容易に対応可能となる。
【0043】
また、上記のような空調機1は、ファン3及びコイル7から形成されるため、簡易な構造となる。よって、空調機1の重さは低減され、空調機1のレイアウトの変更は容易となる。また、上記のような空調機1によれば、机100から取り外してメンテナンスを簡易に行うことができる。つまり、上記のような空調機1によれば、取り扱いが簡易となる。
【0044】
また、上記のような空調機1によれば、机100の天板101の裏面に後付けされるため、空調機1を収容するスペースを机100が備えている必要はなく、机100の選択の自由度は向上する。また、上記のような空調機1によれば、机100の天板101の裏面に後付けされるため、机100に合わせて空調機1を形成する部品をカスタマイズせずに済む。よって、初期コストは抑制される。
【0045】
また、上記のような空調機1によれば、ファン3は着座者から見て奥側に設置される。よって、着座者がファン3の動作音を感じる度合いは低減される。また、着座者から見て奥側の場所は、着座者が着座した場合に着座者の手前側の場所と比べて着座者の脚が接触しにくい場所である。よって、当該場所に設けられるファン3のサイズを大きくとった場合であっても、着座者が着座した場合に、着座者の脚がファン3を収容する収容部4の下面に当たることは抑制される。換言すれば、サイズの大きいファン3を設置することによりファン3の出力は抑制され、ファン3の動作音は低減される。
【0046】
また、上記のような空調機1によれば、ファン3から吹出された空気が着座者の着座側へ進行する空間は、コイル7の外表面72によって当該進行する方向に狭められていく。よって、吹出し空気は、当該空間をスムーズに流れつつも、コイル7と一様に熱交換することになる。よって、吹出し空気とコイル7とが熱交換する効率の低下が抑制され、さらに吹出し空気の圧力損失も抑制される。
【0047】
また、上記のような空調機1によれば、コイル7の外表面72が、ファン3が設置される方向を向くように仰向けに設けられるため、コイル7の高さ方向の寸法は抑制される。よって、空調機1の収容部4の薄型化が実現される。
【0048】
また、上記のような空調機1によれば、管路5は矩形状であるため、吹出し空気の通過面積が確保されつつも薄型化されることになる。よって、着座者へ好適に冷気が給気されつつも、着座者の脚が管路5に接触し、着座者に不快感を与えることは抑制される。また、収容部4と管路5との連通部分の段差には傾斜面6がつけられているため、コイル7の流管部材71同士の間の隙間を通過した吹出し空気が、傾斜面6に沿って着座者の着座側へ無駄なく自然に進行することになる。よって、吹出し空気が収容部4から管路5へ侵入する場合に、当該段差に当たることにより圧力損失されることは抑制される。
【0049】
また、ファン3が設置される場所から着座者の着座側への方向に対する、収容部4の断面の大きさよりも、管路5の断面の大きさの方が小さいこととなる。よって、ファン3の吹出し口9から吹出された吹出し空気は、管路5へ侵入した場合にその流速が増大する。よって、着座者の着座側の管路5の末端の給気口20から着座者へ向けて好適な勢いの空気が給気される。
【0050】
また、上記のような空調機1によれば、着座者の脚元空間(天板の下方空間)からファン3へ空気が吸込まれ、着座者へ温度調節された空気が吹出されている。よって、着座者の脚元空間に暖気が溜まっている場合、当該暖気を取り除くとともに着座者へ冷風を給気することができる。つまり、上記のような空調機1は、着座者へ快適性を提供することができる。
【0051】
<変形例1>
図4は、空調機1Aの概要の一例を示している。
図4(A)は、空調機1Aの断面図の概要の一例を示している。
図4(B)は、空調機1Aの斜視図の一例を示している。
図4に示されるように、空調機1Aは、天板101の裏面に補強材103を有する机100Aに後付けされる。つまり、空調機1Aの管路5Aの途中に補強材103が位置することと
なる。このような机100Aに後付けされる空調機1Aの管路5Aは、当該補強材103を覆う部分が布製のたわみ継手8によって形成される。
【0052】
<作用効果>
上記のような空調機1Aによれば、管路5Aの薄型化が維持されつつも、ファン3の羽根が回転する場合の騒音は、当該騒音をなす空気の振動がたわみ継手に吸収される。よって、当該騒音が外部に漏れることが低減される。よって、着座者が着座した場合に、着座者がファン3の騒音を感じる度合いは低減される。よって、着座者が騒音を不快に感じることは抑制される。また、たわみ継手は、クッション性を有するため、着座者の体の一部が接触した場合であっても、着座者が不快に感じることは低減される。つまり、上記のような空調機1Aによれば、着座者へ快適性を提供することができる。
【0053】
<変形例2>
図5は、空調機1Bの断面図の概要の一例を示している。
図5に示されるように、空調機1Bは、管路5を備えず、奥行き寸法を例えば300mm程度に小さくした装置(厚みは、空調機1と同様に例えば80mm程度)である。このような空調機1Bによれば、天板101の裏面に補強材103を有する机100Aに後付けされる場合、空調機1Bは、補強材103を回避することが可能となる。
【0054】
また、空調機1Bは、収容部4の着座側の側面の上部に、給気口20と同じように、複数の小さな孔が横に並んだ給気口20Aを備える。つまり、コイル7の流管部材71同士の間の隙間を通過した空気が、給気口20Aを介して着座者へ給気される。また、給気口20Aから吹出される空気は、着座者の上半身へ向けて斜め上方向に進行することになる。
【0055】
また、空調機1Bは、収容部4の内部であって給気口20Aの近傍にガイド21を備える。ガイド21は、コイル7の流管部材71同士の間の隙間を通過した空気を給気口20Aへ案内する。また、ガイド21は、図示しないが、収容部4との連結部分に回動部を備え、机100Aの横長方向を回転軸として回動可能に設置される。つまり、空調機1Bは、ガイド21の向きを変更することにより、コイル7の流管部材71同士の間の隙間を通過した空気が給気口20Aへ流れ込む向きや量が調節される。よって、給気口20Aから吹出される空気の向きや量も調節されることになる。また、空調機1Bは、収容部4の着座側の側面に、傾斜がつけられている傾斜面6Aを備える。
【0056】
<作用効果>
このような空調機1Bは、空調機1の効果と同様の効果を奏することができる。加えて、補強材103を備える机100Aに対しても、補強材103を避けるように管路5の寸法を変更することなく、簡易に机100Aに設置することができる。また、このような空調機1Bは、収容部4の着座側の側面には、傾斜がつけられた傾斜面6Aが設けられているため、着座者が着座した場合に着座者の体の一部が空調機1Bの収容部4へ接触することは抑制される。つまり、このような空調機1Bは、着座者へ快適性を提供することができる。
【0057】
また、このような空調機1Bによれば、ガイド21を回動させることにより、給気口20Aから吹出される空気の向きや量が調節される。つまり、このような空調機1Bは、給気の向き、給気量、給気される空気が当たる体の部位などの着座者の要望に対して柔軟に対応可能な装置である。
【0058】
<その他変形例>
上記の実施形態では、ファン3は、吹出される空気が、天板101の裏面を向くように
設置されている。そして、流管部材71の外表面72が、ファン3が設置される方向を向くように仰向けに設けられる。しかし、ファン3の吹出し口9は、天板101の裏面を向いていなくともよい。また、外表面72は、ファン3が設置される方向を向くように仰向けに設けられていなくともよい。例えば、ファン3の吹出し口9が机の天板101の側方向を向いて設けられ、コイル7の外表面72は、ファン3から見てファン3から吹出される吹出し空気の進行方向の空間を狭めていくように所定の角度をなして設けられていてもよい。
【0059】
また、上記の実施形態では、管路5の底部は、収容部4の底面に対して机100の天板101の裏面方向に段差状に設けられているが、当該段差部分は、設けられなくともよい。また、当該段差部分は設けられる場合に、段差部分に傾斜面6が設けられていなくともよい。
【0060】
また、上記の実施形態では、ファン3から吹出される吹出し空気がコイル7と熱交換することにより冷却される例を示した。しかし、コイル7の流管部材71に温水が流れ、ファン3から吹出される吹出し空気がコイル7と熱交換することにより加熱され、加熱された温風が着座者へ給気されてもよい。また、管路5は矩形状でなくともよい。
【0061】
また、上記の実施形態では、空調機1は、着座者が着座して使用する机100に後付けされる例を示したが、空調機1は、使用者が立った状態で使用する机に後付けされてもよい。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【符号の説明】
【0063】
1、1A、1B: 空調機
2: ダクト
3: ファン
4: 収容部
5、5A: 管路
6、6A: 傾斜面
7: コイル
8:たわみ継手
9:吹出し口
10: 基板
11: 制御チップ
12: 無線モジュール
19: フェース
20、20A: 給気口
21:ガイド
41: 吸込み口
71: 流管部材
72: 外表面
100、100A: 机
101: 天板
102: 幕板
103: 補強材