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特許7369541同じタイプの一連の構成部品における少なくとも1つの重要な特徴を取得する方法及びそのような一連の構成部品を分類する方法
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  • 特許-同じタイプの一連の構成部品における少なくとも1つの重要な特徴を取得する方法及びそのような一連の構成部品を分類する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】同じタイプの一連の構成部品における少なくとも1つの重要な特徴を取得する方法及びそのような一連の構成部品を分類する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/18 20180101AFI20231019BHJP
   G01N 23/046 20180101ALI20231019BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G01N23/18
G01N23/046
G05B19/418 Z
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019082824
(22)【出願日】2019-04-24
(65)【公開番号】P2020004391
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】10 2018 109 816.2
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512028965
【氏名又は名称】エクスロン インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】YXLON INTERNATIONAL GMBH
【住所又は居所原語表記】Essener Bogen 15,22419 Hamburg(DE)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】サイモン,ジェレミー
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-292725(JP,A)
【文献】特開2009-070235(JP,A)
【文献】特開2013-093027(JP,A)
【文献】特開2013-236087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0033686(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01903335(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第105092616(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
G01N 21/84 - G01N 21/958
G05B 19/418
G05B 23/02
G06V 10/00 - G06V 40/70
G06N 20/00 - G06N 20/20
G01B 15/00 - G01B 15/08
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じタイプの一連の構成部品における少なくとも1つの重要な特徴を、非破壊検査法によって取得されたデータセットに基づいて取得するための方法であって、
前記非破壊検査法は、コンピュータ断層撮影法の形態で実施され、
前記方法が、
a)製造の順序が既知である複数の構成部品における条件付けられた無作為標本を、前記非破壊検査法で調査することによって各構成部品毎にそれぞれの場合における3Dデータセットを得るステップと、
b)前記無作為標本における前記複数の構成部品を良品と不良品とに分けるステップと、
c)前記無作為標本における前記構成部品の全てから、欠陥のない構成部品領域を抽出するステップと、
d)抽出された前記欠陥のない構成部品領域からの少なくとも1つの特徴であって、該少なくとも1つの特徴が、構成部品のタイプ及び該構成部品の製造プロセスに特有であると共に、前記複数の構成部品の製造における時間経過にわたっての、その特性において良品と不良品との間に有意な差を示す、少なくとも1つの特徴を、ニューラルネットワーク又はマルチインスタンス学習等の機械学習アプローチを用いて決定するステップと、
e)前記少なくとも1つの特徴及びその特性を訓練された分類子として規定するステップと
を有する、方法。
【請求項2】
ステップeに加えて、少なくとも1つのプロセスパラメータが前記構成部品の製造に組み込まれており、該プロセスパラメータと前記少なくとも1つの特徴及びその特性との間に相関があるかどうかが決定され、相関がある場合には、前記少なくとも1つの特徴及びその特性が訓練された分類子として規定され、相関がない場合には、相関があるまで別のプロセスパラメータについて前述の相関の決定が行われ、その後に前記少なくとも1つの特徴が訓練された分類子として規定され、前記プロセスパラメータのいずれについても相関が見出されない場合には、請求項1の各ステップが別の特徴に対して実行され、その後に前述の本請求項におけるステップが該別の特徴について繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の特徴が請求項1のステップdに従って決定され、少なくとも2つの特徴の組み合わせによって、少なくとも1つのプロセスパラメータとの相関が生成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
プロセスパラメータとして、前記製造プロセスの圧力、温度、応力若しくはフロー、周囲温度又は空気湿度が使用される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、予め定められ得る前記構成部品の空間領域に対してのみ実行される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
同じタイプの一連の構成部品における1つの構成部品を、非破壊検査法によって取得されたデータセットに基づいて分類するための方法であって、
前記方法が、
i)請求項1~5のいずれか1項を参照して得られた前記訓練された分類子を使用して、不良品の特徴の特性の方へと発達する傾向が検出されるかどうかの傾向分析を、ニューラルネットワーク、マルチインスタンス学習等の機械学習アプローチ、データ分析の分野に基づく統計的方法、又は、遺伝的プログラミング若しくは従来の統計的方法による予め定められた集合の特徴に基づく統計的方法を用いて実行する、ステップと、
ii)そのような傾向が検出されなかった場合には、前記構成部品の製造プロセスに是正が不要であることを伝達し、そのような傾向が検出された場合には、警告を伝達し、かつ/若しくは、前記訓練された分類子を取得する際にプロセスパラメータが使用された場合、該プロセスパラメータを製造機械とのインタフェースを介して修正することによって、前記構成部品の製造プロセスにおける自動是正措置を実行するステップと
を有する、方法。
【請求項7】
調査された前記構成部品において少なくとも1つの欠陥のない構成部品領域が抽出され、前述の分類するための方法が該欠陥のない構成部品領域においてのみ実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コンピュータ断層撮影法が、X線断層撮影法である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じタイプの一連の構成部品における少なくとも1つの重要な特徴を、非破壊検査法によって取得されたデータセットに基づいて取得するための方法、及び、同じタイプの一連の構成部品における1つの構成部品を、非破壊検査法によって取得されたデータセットに基づいて分類するための方法に関し、製造プロセスの評価と、特に傾向の検出とを実施すること、及び、該プロセスに率先して影響を与えることができるようにすることを目的とする。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影データを使用して様々なプロセスパラメータにより製造プロセスを評価及び制御するために現在まで使用されてきた方法は、専ら欠陥又は不連続部から得られる情報に頼っている。これらは、それぞれが個別の評価から編纂された観測であって、そのため一連の製造された構成部品(母集団)間における関係性を生じさせるものではない。加えて、得られるデータの大半は、特にコンピュータ断層撮影(CT)の場合においては、評価に全く組み込まれないことに留意する必要がある。これらのデータは、不連続部及び欠陥のない構成部品内の全ての領域である。CTの分野では、これは調査される各構成部品の検査中に生じるデータの、典型的には90~95%である。欠陥のない構成部品の場合には、これらの既知の方法では、構成部品が問題ないという情報以外のさらなる情報は生じない。
【0003】
X線CTは、この方法を用いて調査された構成部品の三次元表示、特に内部構造の三次元表示を可能にする。構成部品の内部構造は、プロセスに対する多くの影響の結果としてばらつきが生じ、この結果は構造的変化に反映され得る。これらの変化は、製造プロセスに応じて、また使用されている材料又は材料の組み合わせに応じて、性質が異なる。変化の特性に応じて、これらは広い範囲で許容可能であるが、X線CTで可視化され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、システムを訓練し、その後にそのような構成部品を検査することを可能にする方法であって、その検査の際に製造された構成部品の不良に繋がる不連続部を回避し、製造プロセスにおけるばらつきそして何より傾向を早期段階で検出することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、本発明に従い、請求項1及び請求項5の特徴を備えた方法によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項に指定されている。
【0006】
これらによれば、本目的は、同じタイプの一連の構成部品における少なくとも1つの重要な特徴を、非破壊検査法によって取得されたデータセットに基づいて取得するための方法であって、非破壊検査法は、コンピュータ断層撮影法の形態で実施され、該方法が、
・製造の順序が既知である複数の構成部品における条件付けられた無作為標本を、前記非破壊検査法で検査することによって各構成部品毎にそれぞれの場合における3Dデータセットを得るステップと、
・無作為標本における複数の構成部品を良品と不良品とに分けるステップと、
・無作為標本における構成部品の全てから、欠陥のない構成部品領域を抽出するステップと、
抽出された欠陥のない構成部品領域からの少なくとも1つの特徴であって、該少なくとも1つの特徴が、構成部品のタイプ及び該構成部品の製造プロセスに特有であると共に、複数の構成部品の製造における時間経過にわたっての、その特性において良品と不良品との間に有意な差を示す少なくとも1つの特徴を、ニューラルネットワーク、マルチインスタンス学習等の機械学習アプローチ、データ分析の分野に基づく統計的方法、又は、遺伝的プログラミング若しくは従来の統計的方法による予め定められた集合の特徴に基づく統計的方法を用いて決定するステップと、
・少なくとも1つの特徴及びその特性を訓練された分類子として規定するステップと
を有する、方法によって達成される。
【0007】
この方法は、学習フェーズとして設計された第1ステップを表している。その出発点は、条件付けられた無作為標本、すなわち、製造された順序が既知である一連の構成部品である。学習フェーズにおける条件付けのために必要となる本質的な細分化は、無作為標本を良品と不良品と(OK/NOK)に分けることにある。この方法の第1ステップでは、例えば、機械学習法が使用される。機械学習法は、構成部品のプロセス及びタイプに特有であって、その特性において良品と不良品との間に有意な差を示す特徴を、自動的に識別する。あるいは、該特徴は、予め定められた集合から選択されることも可能である。
【0008】
本発明の有利な発展形態では、本発明に係る最後のステップ(少なくとも1つの特徴を訓練された分類子として規定するステップ)に加えて、少なくとも1つのプロセスパラメータが構成部品の製造に組み込まれており、該プロセスパラメータと少なくとも1つの特徴との間に相関があるかどうかが決定され、相関がある場合には、少なくとも1つの特徴及びその特性が訓練された分類子として規定され、相関がない場合には、相関があるまで別のプロセスパラメータについて前述の相関の決定が行われ、その後に少なくとも1つの特徴が訓練された分類子として規定され、プロセスパラメータのいずれについても相関が見出されない場合には、請求項1の各ステップが別の特徴に対して実行され、その後に前述の本請求項におけるステップが該別の特徴について繰り返されることが提供される。上記のプロセスパラメータが学習フェーズに組み込まれる場合、原理的には、容積データセット内で識別された特徴とプロセスパラメータとの間に直接的な相関関係を生み出す可能性が生じ得る。そのため、X線画像情報に基づくプロセスパラメータの制御及び自動最適化が可能となる。
【0009】
本発明のさらなる有利な発展形態では、複数の特徴が請求項1のステップdに従って決定され、少なくとも2つの特徴の組み合わせによって、少なくとも1つのプロセスパラメータとの相関が生成されることが提供される。原則として、1つのプロセスパラメータの変化は1つの特徴の変化を伴うだけでなく、より複雑であり、そのため1つのプロセスパラメータが変化すると、複数の特徴が影響を受ける。さらに、特徴の組み合わせによって、相関の重要性が高められ得る。
【0010】
例えば、プロセスパラメータとして、以下のものが使用される:製造プロセスの圧力、温度、電気的及び機械的応力若しくはフロー、周囲温度又は空気湿度が使用される。これらのプロセスパラメータは、構成部品の製造時に、これに対して(個別に)一対一で割り当てられることが確実にされる。
【0011】
本発明のさらなる有利な発展では、該方法が、予め定められ得る構成部品の空間領域に対してのみ実行されることが提供される。これにより、後のステップのために検討される容積データの規模が減少され、それによってプロセスが高速化する。
【0012】
請求項6によれば、本目的は、同じタイプの一連の構成部品における1つの構成部品を、非破壊検査法によって取得されたデータセットに基づいて分類するための方法であって、該方法が、
i)請求項1~5のいずれか1項を参照して得られた訓練された分類子を使用して、不良品の特徴の特性の方へと発達する傾向が検出されるかどうかの傾向分析を、ニューラルネットワーク、マルチインスタンス学習等の機械学習アプローチ、データ分析の分野に基づく統計的方法、又は、遺伝的プログラミング若しくは従来の統計的方法による予め定められた集合の特徴に基づく統計的方法を用いて実行する、ステップと、
ii)そのような傾向が検出されなかった場合には、構成部品の製造プロセスに是正が不要であることを伝達そのような傾向が検出された場合には、かつ/若しくは、訓練された分類子を取得する際にプロセスパラメータが使用された場合、該プロセスパラメータを製造機械とのインタフェースを介して修正することによって、構成部品の製造プロセスにおける自動是正措置を実行するステップと
を有する、方法によって達成される。
【0013】
(学習フェーズ後の)第2フェーズは、製造プロセス中に、プロセスの悪化があるかどうかを確定することである。このようなプロセスの悪化は、構成部品の悪化を招き得るものであり、最悪の場合は、構成部品の不良を招く可能性があるが、場合によっては関連するプロセスパラメータを変更することによりこの悪化を打ち消すことができ、また場合によってはこれを自動的に行うこともできる。学習フェーズによって決定されたこの特徴の特性が用いられる。様々な構成部品の品質についての特徴、それらの特性及び場合によっては部品内の領域もまた学習フェーズにて識別され、第2フェーズでは、第1フェーズにて学習されたデータの適用が実行される(したがって、この第2フェーズは適用フェーズとも称される)。一連の検査の場合には、検査のために並べられた全ての構成部品が、コンピュータ断層撮影によって調査される。特徴の決定における結果は、傾向分析によって、利用可能であり得るプロセスパラメータと併せて評価される。この傾向分析は、例えば機械学習に基づいているか、統計的方法を用いている。不良品(NOK)の特徴の特性の方へと発達する傾向が検出された場合には、プロセスにおける調整介入が開始され得る。この介入は傾向分析の結果に依存し、プロセスパラメータが学習データセットの一部であると共に適用フェーズで継続的に検出できる場合には、自動的に実行され得る。したがって、本発明によれば、プロセスに介入する可能性があり、それによって不良品の製造を防ぐことができる。これにより、対応する率先的な反応を伴うプロセス挙動の予測が可能になる。
【0014】
本発明の有利な発展形態では、調査された構成部品において少なくとも1つの欠陥のない構成部品領域が抽出され、前述の分類するための方法が該欠陥のない構成部品領域においてのみ実行されることが提供される。このようなアプローチの場合には、構成部品内における領域が、特徴の重要性を高めるように分割される。このステップにより、特に後のステップで検討される容積データの規模を減少させることができ、評価に必要な時間が有意に減少する。
【0015】
本発明のさらなる有利な発展形態では、実施される非破壊検査方法が、コンピュータ断層撮影法、特にX線断層撮影法であることが提供される。コンピュータ断層撮影法の特に有利な点は、得られる情報の密度が高いことであり、それによって重要な特徴を発見できる可能性が高くなる。X線断層撮影法の代わりに、超音波又はミリ波を用いる方法、テラヘルツ分光法又はサーモグラフィーを用いることも可能である。
【0016】
本発明のさらなる詳細及び利点は、図面に表される実施形態の例を参照して、以下にてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る学習フェーズのフロー図である。
図2】学習フェーズを実行した後の、本発明に係る適用フェーズのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明に係る学習フェーズにおける方法の原則的なフローが表されている。この学習フェーズにつき、以下でより詳細に説明する。
【0019】
特徴を取得するため、まずは分類された無作為標本が必要である(ステップ番号1)。すなわち、単純な2分類問題の場合には、例えば「良」クラスと「悪」クラスとに分割する。しかしながら、2つを超える分類を用いて機能する問題を解決することも可能である。無作為標本には、十分な数の要素が必要である。要素の数は分類作業の複雑さに依存し、数百の要素があれば良好な結果を生み出すことができる。しかしながら、個々の場合には、百万単位の(部分的な)データセットが必要となる可能性もある。各要素は、分類システムが訓練可能となるよう、分類に対して一義的に割り当てられる必要がある。
【0020】
ステップ番号2では、欠陥の無い構成部品領域が抽出される。それぞれの場合において調査対象となる構成部品について規定された品質基準に基づいて、構成部品内の領域が除外され得る。例えば、細孔性が構成部品の品質にとって決定的である場合、細孔性を含む構成部品領域は、特徴を取得するためには使用されない。孔径の他のさらなる品質基準は、例えば、公称サイズ又は図面仕様(CAD)からの幾何学的なずれ、構成部品の亀裂、構成材料の分離、収縮穴、異物混入であり得る。
【0021】
欠陥のない構成部品領域の抽出は人力で行うことができ、その際、オペレータは抽出された領域が欠陥の無いものであるか否かを視覚的に決定する。前述の全ての品質基準について欠陥を検出可能な自動画像処理方法が存在するため、自動抽出及び評価も同様に可能である。したがって、欠陥のない構成部品領域を抽出する方法は、領域の構成部品の容積データセットから段階的に領域を抽出し、画像処理方法を使用して該領域を評価するように設計され得る。欠陥が検出された場合、その領域は破棄され、訓練には使用されない。画像処理を通じて不良とされなかった領域は、訓練又は適用に組み込まれる。
【0022】
ステップ番号3では、予め定められた特徴の選択を行うべきかどうかが問い合わせられる。
【0023】
これに対する答えが否定である場合には、ステップ番号4に従い、ニューラルネットワーク又は機械学習アプローチは、分類されたランダム標本に基づいて、構成部品に対して行われた検査決定と構成部品内部の構造特性との間の相関を示す特徴を自動的に決定する可能性を提供する。そのようなアプローチの場合には、学習の成果を最大化するために、とりわけ、複数インスタンス学習等のモデルが使用される。
【0024】
対照的に、ステップ3の問い合わせに対する答が肯定である場合には、ステップ番号5に従い、予め定められた特徴が提供される。この目的のため、データ分析の分野からの従来の統計的方法が、上述の相関を生成する特徴を識別するために使用され得る。前提条件として、これらの特徴が事前に選択されていることが必要となる。これは、熟達した画像処理の専門家による人力で行われるか、画像処理に使用される自動プロセスを通じて(遺伝的プログラミングを用いて)行われ得る。
【0025】
次に、(ステップ番号4又は5に続く)ステップ番号6に従い、重要な特徴及び/又は構成部品領域の選択が行われる。これは、例えばニューラルネットワーク又はデータ分析を介して行われ得る。特徴のタイプに加えて、局所的な密度分布、繊維の配向又は局所的な壁厚の変動、特徴の特性が決定される構成部品内の位置もまた、上述の相関を示すために重要であり得る。構成部品の特定の区域/領域に対する1つ以上の特徴の制限は、特徴の重要性に寄与し得る。
【0026】
ステップ番号7では、追加の環境データを分類システムの訓練に送り込むべきかどうかが問い合わせられる。
【0027】
これに対する答が肯定であれば、ステップ番号8において、プロセスパラメータと特徴の特性との間の相関が決定される。これは、同様にニューラルネットワーク又はデータ分析を用いて行われる。プロセス品質の評価を最終的に可能にする特徴が識別された場合、このステップで設定されるタスクは、特定のプロセスパラメータと特徴の特性との間の一致を見つけることである。例えば、圧力が高い場合には、特定の特徴が特定の値をとるか又はパターンを形成することが、分析によって確定され得る。それによって、特徴の特性と1つ又は複数のプロセスパラメータとの間の相関が生成される。この特徴が操作中に検出されることとなった場合には、例えば、対策として圧力の調整が導入され得る。
【0028】
ステップ番号8に続いて、又は、ステップ番号7の問い合わせに対する答が否定である場合には、ステップ番号9にて訓練された分類子が確立される。学習プロセスが完了すると、例えばニューラルネットワークが使用された際には、訓練されたネットワークが存在することになる(ネットワーク内の各ニューロンについてのフィルタ設定及び重み付け)。該ネットワーク及びそのパラメータは、分類子を表す。予め定められた特徴の場合には、訓練された分類子の知識を表すのは、各分類にとって重要である特徴の特性(任意には、この特徴が評価される構成部品内の位置にも関連する)である。
【0029】
図2には、本発明に係る適用フェーズにおける方法の原則的なフローが表されている。この適用フェーズにつき、以下でより詳細に説明する。
【0030】
重要な特徴、その特定の特性、及び、任意にはその局所的な関連性が、上述した学習フェーズの方法(ステップ番号9)を通じて選択される場合には、これらは通常の操作(一連の検査)にて使用される。ここでは、全ての構成部品(インライン操作)又は関連する無作為標本(例えば、構成部品10個毎)のいずれかが、ステップ番号10に従い、X線CTを用いて調査される。
【0031】
欠陥のない構成部品領域は、ステップ番号11に従い、訓練と同様にして抽出される。
【0032】
任意には、ステップ番号12に従い、関連する構成部品領域の選択もまた学習フェーズの結果に基づいて行われる。
【0033】
ステップ9に従う学習フェーズにおいて事前に確立されていた訓練された分類子を用いて、ステップ番号13では、次に特徴及び分類の計算が行われる。この目的のため、事前に識別されていた特徴が、関連性のあり得る構成部品領域において評価される。そして、個々の結果(種々の評価された構成部品領域内における各特徴)の合計は、分類方法を使用して(例えば、ニューラルネットワークを用いて)評価され、ステップ番号14に従い、ネガティブな傾向が検出されたかどうかに関する決定がなされる。
【0034】
ステップ番号14においてネガティブな傾向が検出されなかった場合には、この決定は、ステップ番号15に従い、オペレータに対して是正の必要がないことを示す。
【0035】
ステップ番号14においてネガティブな傾向が検出された場合には、ステップ番号16に従い、プロセスパラメータが学習されていたかどうかに関する問い合わせが行われる。
【0036】
最も単純な場合、すなわち、この問い合わせに対する答が否定である場合には、ステップ番号17に従い、プロセス変更について警告がなされる。これは、プロセスが不良品を生成する可能性が高くなる傾向を示していることを意味する。
【0037】
学習されたプロセスパラメータが存在する場合には、ステップ番号16の問い合わせに対する答は肯定であり、不連続部が生じることを予測し得る特徴と潜在的な原因との間の相関がさらに示され得る。このような環境データは、製造機械のパラメータ(圧力、温度、応力、フロー)のような主な影響因子であり得るが、例えば、周囲温度、空気の湿度及びオペレータのような二次的な影響因子でもあり得る。学習フェーズにて特徴の発見に決定的なのは、構成部品の製造における時間経過にわたっての重要性が検出されることである。時間的要素を通じてのみ、プロセスの挙動及び傾向の検出について結論を下すことが可能であり、このことは最終的には不良を回避するよう率先的に取り組むための前提条件となる。
【0038】
追加の環境パラメータが関与する場合には、ステップ番号18に従い、この方法はプロセスを自動的に実行するために使用され、識別されたプロセスパラメータ(例えば、圧力)が分類システムを介して変更される。これにより、製造プロセスのネガティブな傾向が打ち消され、不良品の形成が事前に防止される。
【0039】
したがって、本発明は以下のように要約され得る:
【0040】
本発明に係る方法の目的は、許容不可能な不連続部に関する限界の超過を検出することではなく、プロセスを制御するために許容可能な範囲内にある構成部品間の変動を利用することにある。この方法には一連の非破壊検査が必要であり、実施形態の例では、このためにコンピュータ断層撮影法が使用される。このようにして、検査された各構成部品について、構成部品の内部構造を再現する3Dデータセットが生成される。この一連の検査を通して、原理的に製造プロセスの変化が検出可能である。これにより、予測的な性質を有する傾向が可視化される。したがって、プロセスの変化を予測し、それにより介入を通じてプロセスの悪化を打ち消すことが可能になる。
【0041】
この方法の本質的な部分は、情報が専ら不連続部又は欠陥のない構成部品領域から得られることである。構成部品の特性及びプロセスの変異に応じて、構成部品の品質及びプロセスの品質との相関を示し得る様々な特徴が存在する。
【0042】
本発明と従来技術の方法との間の決定的な相違点は、本発明の方法が主として構成部品の欠陥のない領域から得られる情報のみに依存することである。しかしながら、特徴の特性の重要性を増すために、追加的に欠陥の発生しやすい領域からの情報を使用することも可能である。構成部品の欠陥から情報を引き出す方法では、プロセス評価及びプロセス影響の意味においては、欠陥のない構成部品から意味のある情報を得ることができない。しかしながら、欠陥のない構成部品の場合においても傾向が見えるようになる可能性があるため、従来技術に係る方法の場合では、監視ギャップが存在する。したがって、情報を取得するには欠陥が常に必要であるため、欠陥がゼロの製造は不可能である。したがって、そのような方法は専ら後手に回ることになる。これとは対照的に、本明細書に記載される本発明に係る方法は、適用フェーズにて動作を起こすために欠陥の発生しやすい構成部品を必要としないため、先手を取って対処することができる。
図1
図2