IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アクセンスの特許一覧

特許7369542芳香族化合物の逆転式分離のための方法およびデバイス
<>
  • 特許-芳香族化合物の逆転式分離のための方法およびデバイス 図1
  • 特許-芳香族化合物の逆転式分離のための方法およびデバイス 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】芳香族化合物の逆転式分離のための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/04 20060101AFI20231019BHJP
   C07C 15/04 20060101ALI20231019BHJP
   C07C 15/06 20060101ALI20231019BHJP
   C07C 15/067 20060101ALI20231019BHJP
   C07C 7/10 20060101ALI20231019BHJP
   B01D 3/14 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C07C7/04
C07C15/04
C07C15/06
C07C15/067
C07C7/10
B01D3/14 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019084808
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2019194187
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】1853885
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504143038
【氏名又は名称】アクセンス
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム ピグリエ
(72)【発明者】
【氏名】イザベル プレヴォー
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508862(JP,A)
【文献】特表2013-536226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0349508(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0093932(US,A1)
【文献】特開2014-097966(JP,A)
【文献】特開昭63-196528(JP,A)
【文献】特開平04-139136(JP,A)
【文献】特開2007-269647(JP,A)
【文献】特開昭61-186334(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0246858(US,A1)
【文献】特開2019-202992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C、B01D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゼン、トルエンおよび8個以上の炭素原子を有する化合物を含む供給原料を分離デバイスにおいて分離するための方法であって、該分離デバイスは、少なくとも1基のリフォメート塔(C1)と、少なくとも1基の芳香族化合物抽出ユニット(P1)と、少なくとも1基のトランスアルキル化ユニット(P4)とを含み、前記複数のユニットである、芳香族化合物抽出ユニット(P1)および前記トランスアルキル化ユニット(P4)からの流出物は、以下の蒸留塔:ベンゼン塔(C9)、トルエン塔(C10)および安定化塔(C11)において分離され、前記方法は、以下の段階:
トルエン塔(C10)に、トランスアルキル化ユニット(P4)の下流に位置する安定化塔(C11)の底部に由来するC7+留分を直接的に給送する段階であって、ベンゼンおよびトルエンを豊富に含むトルエン塔(C10)からの頂部生成物と、8個以上の炭素原子を有する化合物を豊富に含むトルエン塔(C10)からの底部生成物とを引き出す、段階、
ベンゼン塔(C9)に、トルエン塔(C10)からの頂部生成物を給送し、ベンゼン塔(C9)からのベンゼンを豊富に含む頂部生成物と、ベンゼン塔(C9)からのトルエンを豊富に含む底部生成物とを引き出す、段階、および
トランスアルキル化ユニット(P4)に、ベンゼン塔(C9)からのトルエンを豊富に含む底部生成物を給送する段階
を含み、
トルエン塔(C10)に、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来する本質的に芳香族性の留分を給送し、
芳香族化合物抽出塔(P1)に由来するトルエン塔(C10)の給送を、安定化塔(C11)の底部に由来するトルエン塔(C10)の給送とは別にかつその上に行うか、または
ベンゼン塔(C9)に、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来する本質的に芳香族性の留分を、トルエン塔(C10)からの頂部生成物との混合物としてまたはそれとは別に給送する
方法。
【請求項2】
トルエン塔(C10)に、精製塔(C6)からの頂部生成物を、安定化塔(C11)の底部に由来するC7+留分との混合物としてまたはそれとは別にさらに給送する、請求項1に記載の分離方法。
【請求項3】
トランスアルキル化ユニット(P4)に、精製塔(C6)からの頂部生成物を、ベンゼン塔(C9)からの底部生成物との混合物としてまたはそれとは別にさらに給送する、請求項1に記載の分離方法。
【請求項4】
分離デバイスは、パラキシレン分離ユニット(P2)と、キシレン類異性化ユニット(P3)とをさらに含み、前記流出物を、以下のさらなる蒸留塔:キシレン類塔(C2)、重質芳香族化合物塔(C3)、ラフィネート塔(C4)、エキストラクト塔(C5)、精製塔(C6)、脱ヘプタン塔(C7)およびストリッパ(C8)において分離する、請求項1~3のいずれか1つに記載の分離方法。
【請求項5】
キシレン類塔(C2)および重質芳香族化合物塔(C3)のみが、トランスアルキル化ユニット(P4)にC9+芳香族化合物を給送する、請求項4に記載の分離方法。
【請求項6】
リフォメート塔(C1)に、供給原料を給送して、リフォメート塔(C1)の頂部においてC7-留分を生じさせ、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に、C7-留分を給送して、パラフィン系化合物をC7-留分から抽出しかつ本質的に芳香族性の留分を生じさせる、請求項1~5のいずれか1つに記載の分離方法。
【請求項7】
ベンゼン塔(C9)の操作条件は、以下:
温度:リボイラにおいて130℃~180℃、凝縮器において70℃~130℃;
圧力:0.1MPa~0.5MPa;および
ベンゼン塔(C9)は、35~55段の理論板を含む
の通りである、請求項1~6のいずれか1つに記載の分離方法。
【請求項8】
トルエン塔(C10)の操作条件は、以下:
温度:リボイラにおいて130℃~260℃、凝縮器において50℃~200℃;
圧力:0.05MPa~1MPa;および
トルエン塔(C10)は、30~55段の理論板を含む
の通りである、請求項1~7のいずれか1つに記載の分離方法。
【請求項9】
ベンゼン、トルエンおよび8個以上の炭素原子を有する化合物を含む供給原料の分離のためのデバイスであって、少なくとも1基のリフォメート塔(C1)と、少なくとも1基の芳香族化合物抽出ユニット(P1)と、少なくとも1基のトランスアルキル化ユニット(P4)とを含み、前記複数のユニットである、芳香族化合物抽出ユニット(P1)および前記トランスアルキル化ユニット(P4)からの流出物の蒸留ために以下の塔:ベンゼン塔(C9)、トルエン塔(C10)および安定化塔(C11)をさらに含み、
- トルエン塔(C10)は、トランスアルキル化ユニット(P4)の下流に位置する安定化塔(C11)の底部に由来するC7+留分を給送され、かつ、ベンゼンおよびトルエンを豊富に含むトルエン塔(C10)からの頂部生成物および8個以上の炭素原子を有する化合物を豊富に含むトルエン塔(C10)からの底部生成物を配送するのに適切であり、
- ベンゼン塔(C9)は、トルエン塔(C10)からの頂部生成物を給送され、かつ、ベンゼン塔(C9)からのベンゼンを豊富に含む頂部生成物およびベンゼン塔(C9)からのトルエンを豊富に含む底部生成物を配送するのに適切であり、および
- トランスアルキル化ユニット(P4)は、ベンゼン塔(C9)からのトルエンを豊富に含む底部生成物を処理するのに適切であり、
トルエン塔(C10)は、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来する本質的に芳香族性の留分を給送されるのに適切であり、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するトルエン塔(C10)の給送は、安定化塔(C11)の底部に由来するトルエン塔(C10)の給送とは別にかつその上で行われるか、または
ベンゼン塔(C9)は、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来する本質的に芳香族性の留分を、トルエン塔(C10)からの頂部生成物との混合物としてまたはそれとは別に給送されるのに適切である
デバイス。
【請求項10】
トルエン塔(C10)は、精製塔(C6)からの頂部生成物を、安定化塔(C11)の底部に由来するC7+留分との混合物としてまたはそれとは別に給送されるのに適切である、請求項9に記載の分離デバイス。
【請求項11】
トランスアルキル化ユニット(P4)は、精製塔(C6)からの頂部生成物を、ベンゼン塔(C9)からの底部生成物との混合物としてまたはそれとは別に給送されるのに適切である、請求項9に記載の分離デバイス。
【請求項12】
パラキシレン分離ユニット(P2)と、キシレン類異性化ユニット(P3)と、前記流出物の蒸留のための以下のさらなる塔:キシレン類塔(C2)、重質芳香族化合物塔(C3)、ラフィネート塔(C4)、エキストラクト塔(C5)、精製塔(C6)、脱ヘプタン塔(C7)およびストリッパ(C8)とをさらに含む、請求項9~11のいずれか1つに記載の分離デバイス。
【請求項13】
リフォメート塔(C1)は、供給原料を給送されて、リフォメート塔(C1)の頂部においてC7-留分を生じさせるのに適切であり、芳香族化合物抽出ユニット(P1)は、C7-留分を給送されて、C7-留分からパラフィン系化合物を抽出しかつ本質的に芳香族性の留分を生じさせるのに適切である、請求項9~12のいずれか1つに記載の分離デバイス。
【請求項14】
ベンゼン塔(C9)は、以下の操作条件:
温度:リボイラにおいて130℃~180℃、凝縮器において70℃~130℃;
圧力:0.1MPa~0.5MPa;および
ベンゼン塔(C9)は、35~55段の理論板を含む
の下に用いられるのに適切である、請求項9~13のいずれか1つに記載の分離デバイス。
【請求項15】
トルエン塔(C10)は、以下の操作条件:
温度:リボイラにおいて130℃~260℃、凝縮器において50℃~200℃;
圧力:0.05MPa~1MPa;および
トルエン塔(C10)は、30~55段の理論板を含む
の下に用いられるのに適切である、請求項9~14のいずれか1つに記載の分離デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族化合物の分離のための方法およびデバイスの分野の範囲内に入る。本発明による目的は、ベンゼン、トルエンおよび8個以上の炭素原子を有するより重質の化合物(以降においてC8+化合物と表記する)の間の蒸留による分離を必要とするアロマティクスコンプレクスの場合に特に当てはまる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベンゼン、トルエンおよびC8+化合物の間の蒸留による分離のためのアロマティクスコンプレクスの燃料および電力の消費量に関して全体的なエネルギー節約を可能にする方法が記載されている。具体的には、前記方法の原理は、所定の塔における低圧力のスチームの発生にあり、こうして生じさせられた低圧力のスチームは、熱交換流体として用いられ、中間の圧縮を、例えば、圧力の降下を経た他の塔のより低い温度での再沸騰のために伴うかまたは伴わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】仏国特許発明第2998301号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
上記の背景において、本発明の第1の目的は、ベンゼン、トルエンおよびC8+化合物の間の分離を行うのに必要とされるエネルギーの量を低減させることを可能にすることにある。
【0005】
第1の局面によると、上記の目的、さらには他の利点は、ベンゼン、トルエンおよび8個以上の炭素原子を含む化合物を含む供給原料を、分離デバイスにおいて分離するための方法であって、この分離デバイスは、少なくとも1基のリフォメート塔と、少なくとも1基の芳香族化合物抽出ユニットと、少なくとも1基のトランスアルキル化ユニットとを含み、前記ユニットからの流出物は、以下の蒸留塔:ベンゼン塔、トルエン塔および安定化塔において分離され、以下の段階:
トルエン塔に、トランスアルキル化ユニットの下流に位置する安定化塔の底部に由来するC7+留分を直接的に給送して、ベンゼンおよびトルエンを豊富に含むトルエン塔からの頂部生成物と、8個以上の炭素原子を有する化合物を豊富に含むトルエン塔からの底部生成物とを引き出す段階、
ベンゼン塔に、トルエン塔からの頂部生成物を給送して、ベンゼン塔からのベンゼンを豊富に含む頂部生成物と、ベンゼン塔からのトルエンを豊富に含む底部生成物とを引き出す段階、および
トランスアルキル化ユニットに、ベンゼン塔からのトルエンを豊富に含む底部生成物を給送する段階
を含み、
トルエン塔に、芳香族化合物抽出ユニットに由来する本質的に芳香族性の留分を給送し、芳香族化合物抽出ユニットに由来するトルエン塔の給送は、安定化塔の底部に由来するトルエン塔の給送とは別にかつそれより上部で行われるか、または
ベンゼン塔に、芳香族化合物抽出ユニットに由来する本質的に芳香族性の留分を、トルエン塔からの頂部生成物との混合物としてまたはそれとは別に給送する
方法によって得られる。
【0006】
1つまたは複数の実施形態によると、トルエン塔は、精製塔からの頂部生成物を、安定化塔の底部に由来するC7+留分との混合物としてまたはそれとは別にさらに給送される。
【0007】
1つまたは複数の実施形態によると、トランスアルキル化ユニットは、精製塔からの頂部生成物を、ベンゼン塔からの底部生成物との混合物としてまたはそれとは別にさらに給送される。
【0008】
1つまたは複数の実施形態によると、分離デバイスは、パラキシレン分離ユニットと、キシレン類異性化ユニットとをさらに含み、前記流出物は、以下の追加蒸留塔において分離される:キシレン類塔、重質芳香族化合物塔、ラフィネート塔、エキストラクト塔、精製塔、脱ヘプタン塔およびストリッパ。
【0009】
1つまたは複数の実施形態によると、キシレン類塔および重質芳香族化合物塔のみが、トランスアルキル化ユニットにC9+芳香族化合物を給送する。
【0010】
1つまたは複数の実施形態によると、リフォメート塔は、供給原料を給送されて、リフォメート塔の頂部においてC7-留分を生じさせ、芳香族化合物抽出ユニットは、C7-留分を給送されて、C7-留分からパラフィン系化合物を抽出し、本質的に芳香族性の留分を生じさせる。
【0011】
1つまたは複数の実施形態によると、ベンゼン塔の操作条件は、以下の通りである:
温度:リボイラにおいて130℃~180℃、凝縮器において70℃~130℃;
圧力:0.1MPa~0.5MPa;および
理論板:35~55段。
【0012】
1つまたは複数の実施形態によると、トルエン塔の操作条件は、以下の通りである:
温度:リボイラにおいて130℃~260℃、凝縮器において50℃~200℃;
圧力:0.05MPa~1MPa;および
理論板:30~55段。
【0013】
第2の局面によると、上記の目的、さらには他の利点は、ベンゼン、トルエンおよび8個以上の炭素原子を有する化合物を含む供給原料の分離のためのデバイスであって、少なくとも1基のリフォメート塔と、少なくとも1基の芳香族化合物抽出ユニットと、少なくとも1基のトランスアルキル化ユニットとを含み、前記ユニットからの流出物の蒸留のための以下の塔:ベンゼン塔、トルエン塔および安定化塔をさらに含み、
- トルエン塔は、トランスアルキル化ユニットの下流に位置する安定化塔の底部に由来するC7+留分を給送され、かつ、ベンゼンおよびトルエンを豊富に含むトルエン塔からの頂部生成物および8個以上の炭素原子を有する化合物を豊富に含むトルエン塔からの底部生成物を配送するのに適切であり;
- ベンゼン塔は、トルエン塔からの頂部生成物を給送され、かつ、ベンゼン塔からのベンゼンを豊富に含む頂部生成物およびベンゼン塔からのトルエンを豊富に含む底部生成物を配送するのに適切であり、
- トランスアルキル化ユニットは、ベンゼン塔からのトルエンを豊富に含む底部生成物を処理するのに適切であり、
トルエン塔は、芳香族化合物抽出ユニットに由来する本質的に芳香族性の留分を給送されるのに適切であり、芳香族化合物抽出ユニットに由来するトルエン塔の給送は、安定化塔の底部に由来するトルエン塔の給送とは別にその上で行われるか、または
ベンゼン塔は、芳香族化合物抽出ユニットに由来する本質的に芳香族性の留分を、トルエン塔からの頂部生成物との混合物としてまたはそれとは別に給送されるのに適切である
デバイスによって得られる。
【0014】
1つまたは複数の実施形態によると、トルエン塔は、精製塔からの頂部生成物を、安定化塔の底部に由来するC7+留分との混合物としてまたはそれとは別に給送されるのに適している。
【0015】
1つまたは複数の実施形態によると、トランスアルキル化ユニットは、精製塔からの頂部生成物を、ベンゼン塔からの底部生成物との混合物としてまたはそれとは別に給送されるのに適している。
【0016】
1つまたは複数の実施形態によると、分離デバイスは、パラキシレン分離ユニットと、キシレン類異性化ユニットと、前記流出物の蒸留のための以下の追加塔:キシレン類塔、重質芳香族化合物塔、ラフィネート塔、エキストラクト塔、精製塔、脱ヘプタン塔およびストリッパとをさらに含む。
【0017】
1つまたは複数の実施形態によると、分離デバイスは、リフォメート塔に供給原料を給送して、リフォメート塔の頂部においてC7-留分を生じさせ、かつ、芳香族化合物抽出ユニットにC7-留分を給送して、C7-留分からパラフィン系化合物を抽出しかつ本質的に芳香族性の留分を生じさせるのに適切である。
【0018】
1つまたは複数の実施形態によると、ベンゼン塔の操作条件は以下の通りである:
温度:リボイラにおいて130℃~180℃、凝縮器において70℃~130℃;
圧力:0.1MPa~0.5MPa;および
理論板:35~55段。
【0019】
1つまたは複数の実施形態によると、トルエン塔の操作条件は、以下の通りである:
温度:リボイラにおいて130℃~260℃、凝縮器において50℃~200℃;
圧力:0.05MPa~1MPa;および
理論板:30~55段。
【0020】
上記に参照される方法およびデバイスの実施形態、さらには他の特徴および利点は、以下に続くことになる説明を読む際に明らかになるだろう。ただし、例証としてのみ与えられ、制限するものではなく、以下の図面を参照するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ベンゼン、トルエンおよびC8+化合物の分離のための参照の分離セクション(F)を含むアロマティクスコンプレクスの図を記載する。
図2図2は、ベンゼン、トルエンおよびC8+化合物の分離のための本発明による分離セクション(F)を含むアロマティクスコンプレクスの図を記載する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
本発明は、ベンゼン、トルエンおよびC8+(例えばC8~C10)化合物を含む供給原料、特に、パラキシレンを含み得るものの分離のための方法およびデバイスの分野に関する。
【0023】
本発明による分離の方法およびデバイスは、一連の転化および分離の段階およびセクションであって、ベンゼンから10個超の炭素原子を有する芳香族化合物(C10+化合物と表記する)の範囲にわたる芳香族化合物を豊富に含む供給原料、例えば、接触改質ユニットを起源とするものから出発して、ベンゼン/トルエン/キシレン類を分離することおよび/またはトルエンをC8+化合物、特に、キシレン類として知られている8個の炭素原子を有する芳香族化合物、より特定的にはパラキシレンに転化させることを目的とするものであるとして定義され得る。芳香族化合物を豊富に含む供給原料は、典型的には、硫黄含有化合物、窒素性化合物およびオレフィン化合物を、非常に低い値からゼロにわたる含有率(例えば、硫黄含有率<0.5重量ppmおよび/または窒素含有率<0.5重量ppmおよび/またはASTM D1159に従って臭素価<1g/100g)で示す。これらの化合物は、アロマティクスコンプレクスのユニットにおいて採用される所定の触媒およびモレキュラーシーブの性能品質および耐用期間に影響を及ぼし得るからである。
【0024】
本発明による第1の目的は、(特許FR 2 998 301 B1によるベンゼン塔に混合物として向けられた)塔の供給原料の分離給送と組み合わされたベンゼン塔およびトルエン塔の順序の逆転として定義され得、これは、より良好なエネルギー効率のためになされる。
【0025】
以下に続く説明において、用語「コンプレクス(complex)」は、あらゆる精製および石油化学のデバイスであって、少なくとも2基の蒸留塔を含むものを示すために用いられる。この定義は、非常に広く、かつ、例えば、ガソリンの接触分解のためのデバイスおよび芳香族化合物留分からのパラキシレンまたはメタキシレンの製造のためのデバイスを含み、「アロマティクスコンプレクス(aromatic complex)」として知られている。以下に続く説明および本発明による分離の方法およびデバイスを例証する実施例は、アロマティクスコンプレクスの事例において与えられるが、アロマティクスコンプレクスは、適用の唯一の状況を構成し、本発明の説明において提示される分離の方法およびデバイスの範囲を決して限定しないことが明確に理解される。
【0026】
図1には、ベンゼン、トルエンおよびC8+化合物の分離のための参照の方法およびアロマティクスコンプレクスの図が記載されている。
【0027】
図1に関連して、特に記載されているのは、2基の塔である、ベンゼン塔(C9)およびトルエン塔(C10)の配列である。塔のこの配列は、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来する本質的に芳香族性のC6-C7留分と、トランスアルキル化ユニット(P4)の下流の安定化塔(C11)の塔の底部に由来するC7+留分との混合物を給送される。ベンゼン塔(C9)は、頂部において、最終生成物としてのベンゼンを生じさせ、底部において、C7+留分を生じさせ、このC7+留分は、トルエン塔(C10)に送られる。トルエンは、トルエン塔(C10)の頂部において回収される一方で、C8+留分は、トルエン塔(C10)の底部において抽出される。
【0028】
図2には、本発明の1つまたは複数の実施形態による分離の方法およびデバイスの図が記載されており、ベンゼン、トルエンおよびC8+化合物の間の分離のために必要なエネルギー消費を、参照の方法およびアロマティクスコンプレクスと比較して低減させることが特に可能とされる。
【0029】
図2に関連して、特に記載されているのは、トルエン塔(C10)が、トランスアルキル化ユニット(P4)の下流に位置する安定化塔(C11)の底部に由来するC7+留分を給送されて、ベンゼンおよびトルエンを豊富に含むトルエン塔(C10)からの頂部生成物および8個以上の炭素原子を有する化合物を豊富に含むトルエン塔(C10)からの底部生成物を引き出すように改変された分離の方法およびデバイスの帯域である;ベンゼン塔(C9)は、トルエン塔(C10)からの頂部生成物を給送されて、ベンゼン塔(C9)からのベンゼンを豊富に含む頂部生成物およびベンゼン塔(C9)からのトルエンを豊富に含む底部生成物を引き出す;トランスアルキル化ユニット(P4)は、ベンゼン塔(C9)からのトルエンを豊富に含む底部生成物を給送される。1つまたは複数の実施形態によると、トルエン塔(C10)は、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来する本質的に芳香族性の留分(下記ではC6-C7留分で表記する)も給送され、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するトルエン塔(C10)の給送は、安定化塔(C11)の底部に由来するトルエン塔(C10)の給送とは別にかつその上部(その下流)で行われる。1つまたは複数の実施形態によると、ベンゼン塔(C9)も、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するC6-C7留分を、トルエン塔(C10)からの頂部生成物との混合物としてまたはそれとは別に給送される。
【0030】
本発明による分離の方法およびデバイスの転化および分離の段階およびセクションは、以下により詳細に記載される。
【0031】
目的がベンゼンおよびC8化合物および場合によるトルエンを供給原料から分離することのみである場合、段階またはセクションC1、P1、C9、C10、P4およびC11のみが提示される。下記の他のセクションは、キシレン類を分離すること、実際には、パラキシレンの収率を最大にすることが望まれる場合にのみ使用するものである。
【0032】
(リフォメート塔(C1))
処理されるべき供給原料は、ライン(1)を介して、第1の蒸留塔に送られる。この蒸留塔は、リフォメート塔(C1)と表記され、このものは、トルエンおよびそれより軽質の化合物(C7-化合物の留分)を、トルエンより重質の化合物(C8~C10+化合物の留分)から分離する。
【0033】
(芳香族化合物抽出ユニット(P1))
リフォメート塔(C1)からの頂部流出物は、ライン(10)を介して芳香族化合物抽出ユニット(P1)に向けられる。
【0034】
トルエン、および、場合によるストリッパ(C8)の底部において回収された化合物がライン(81)を介して、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に送られる。
【0035】
芳香族化合物抽出ユニット(P1)は、本質的に芳香族性のC6-C7留分を、パラフィン系化合物を含む生成物から分離し、このパラフィン性化合物を含む生成物は、ライン(13)を介してアロマティクスコンプレクスの外側に送られる。芳香族化合物抽出ユニット(P1)において好適に用いられる溶媒は、N-ホルミルモルホリン(N-formylmorpholine:NFM)である。
【0036】
図1に関連して、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するC6-C7留分は、ライン(12)を介して分離セクション(F)内のベンゼン塔(C9)に向けられる。
【0037】
図2に関連して、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するC6-C7留分は、分離セクション(F)内においてライン(12)を介してベンゼン塔(C9)、または、含有しているかもしれない所定のC8化合物から精製されるように、トルエン塔(C10)のいずれかに向けられる。
【0038】
1つまたは複数の実施形態によると、芳香族化合物抽出ユニット(P1)は、抽出蒸留ユニットを含む。
【0039】
(キシレン類塔(C2))
塔(C1)の底部において回収されたC8-C10+芳香族化合物は、ライン(11)を介して、キシレン類塔(C2)に送られ、C9およびそれより重質の(C9+化合物の)芳香族化合物が、C8芳香族化合物を含むキシレン類留分から分離される。このキシレン類留分は、下流に位置するアロマティクスコンプレクスのユニットに給送する。
【0040】
(パラキシレン分離ユニット(P2))
キシレン類留分、すなわち、パラキシレン、メタキシレン、オルトキシレンおよびエチルベンゼンを含有するC8芳香族化合物の留分は、キシレン類塔(C2)の頂部において回収され、ライン(20)を介して、パラキシレン分離ユニット(P2)に送られ、このパラキシレン分離ユニット(P2)は、前記キシレン類留分中に存在するパラキシレンを選択的に回収する。
【0041】
前記パラキシレン分離ユニット(P2)は、パラキシレン吸着ユニットであり得、このものは、例えば、パラキシレンおよび(エキストラクトとして知られる)脱着剤の混合物および他のC8-芳香族化合物および(ラフィネートとして知られる)脱着剤の混合物を生じさせるのに適している。
【0042】
用いられる吸着剤は、パラキシレンの吸着に専念されるモレキュラーシーブである。すなわち、それは、この化合物に対して特に高い親和性を呈する。
【0043】
一般に用いられている吸着剤固体は、珪質バインダにより成形されたフォージャサイトタイプのゼオライトであり、このゼオライトは、バリウムまたはカリウムにより交換されている。好適に用いられる脱着剤は、パラジエチルベンゼン(para-diethylbenzene:PDEB)である。
【0044】
1つまたは複数の実施形態によると、パラキシレン分離ユニット(P2)は、パラキシレン結晶化ユニットを含み、これは、例えば、特許US 3 467 724において記載されたようなものである。
【0045】
1つまたは複数の実施形態によると、パラキシレン分離ユニット(P2)は、パラキシレン吸着ユニットと、結晶化ユニットとの組み合わせを含み、これは、例えば、特許EP-B-053 191において記載されたようなものである。
【0046】
(エキストラクト塔(C5))
この塔が用いられるのは、分離ユニットがパラキシレン吸着タイプのものである時である。パラキシレン吸着ユニットに由来しかつパラキシレンおよび脱着剤を含有するエキストラクトの流れは、ライン(22)を介して、エキストラクト塔(C5)に送られ、このエキストラクト塔(C5)は、パラキシレンを脱着剤から分離する。エキストラクト塔(C5)の底部において回収された脱着剤は、ライン(51)を介して吸着塔に送り返される。エキストラクト塔(C5)の頂部において回収されたパラキシレンは、精製塔(C6)に送られる。
【0047】
(精製塔(C6))
エキストラクト塔(C5)からの頂部流れは、ライン(50)を介して、精製塔(C6)に送られる。精製塔(C6)は、トルエン(これは、パラキシレンと共に部分的に抽出されたものである)をパラキシレンから分離する。
【0048】
生じた高純度のパラキシレンは、精製塔(C6)の底部において回収され、最終生成物として、ライン(61)を介して格納のためポンプで汲み上げることによって運ばれる。
【0049】
1つまたは複数の実施形態によると、精製塔(C6)からの頂部生成物は、分離セクション(F)内のベンゼン塔(C9)に向けられる(ライン60)。
【0050】
図2に関連して、精製塔(C6)からの頂部生成物は、ベンゼン塔(C9)に、塔(C10)からの頂部流れとの混合物としてまたは別の給送を介して、または、トルエン塔(C10)に、例えば、安定化塔(C11)の底部(ライン(112))に由来するC7+留分との混合物として向けられ、含有するかもしれない所定のC8化合物から前記頂部生成物を精製し得;および/または、トランスアルキル化ユニット(P4)に、例えば、ベンゼン塔(C9)の底部において抽出されたC7+留分との混合物として直接的に再循環させられ得る。
【0051】
(ラフィネート塔(C4))
パラキシレン分離ユニット(P2)を起源とするラフィネートは、ライン(23)を介して、ラフィネート塔(C4)に送られる。ラフィネート塔(C4)は、C8芳香族化合物(ラフィネート)を脱着剤から分離する。塔(C4)の底部において回収された脱着剤は、ライン(41)を介してパラキシレン吸着セクション(P2)に送り返される。
【0052】
ラフィネート(C8芳香族化合物留分)は、側流流し出しによって抽出され、ライン(40)を介して、キシレン類異性化ユニット(P3)の供給原料として送られる。
【0053】
(脱着剤塔(図示なし))
この塔が用いられるのは、パラキシレン分離ユニットが、パラキシレン吸着タイプのものである場合である。パラキシレン吸着ユニット中に流通する脱着剤のごく一部は、脱着剤塔(図示せず)に送られ、そうしなければループ中に蓄積するであろう重質化合物がそこから除去される。
【0054】
(キシレン類異性化ユニット(P3))
キシレン類異性化ユニット(P3)が用いられるのは、パラキシレンに枯渇した供給原料を、熱力学平衡状態にあるキシレン類の流れ(「イソメラート」と表記する)に転化させるためである。
【0055】
8個の炭素原子を有する炭化水素を異性化させることができるあらゆるタイプの触媒が、本発明による分離の方法およびデバイスにおいて用いられ得る。脱水素化金属、例えば、白金、パラジウムまたはニッケル、および酸相、例えば、ドーピングされたアルミナ、ゼオライト、例えば、モルデナイト、MFI、ゼオライトY、または酸性を有するゼオライトまたは非ゼオライトのモレキュラーシーブ、例えば、アルミノリン酸塩(例えば、アルミノリン酸塩(aluminophosphates:AlPO)、シリコアルミノリン酸塩(silicoaluminophosphates:SAPO))を含有する触媒が好適に用いられる。それ故に、より好ましくは、特許US 4 640 829、EP-B-042 226またはEP-B-051 318において記載されているような、EUO構造型のゼオライト、例えば、ゼオライトEUI、ゼオライトZSM50またはゼオライトTPZ3を含む異性化触媒を用いることが可能である。
【0056】
(脱ヘプタン塔(C7))
キシレン類異性化ユニット(P3)からの流出物は、ライン(42)を介して、脱ヘプタン塔(C7)に送られ、脱ヘプタン塔(C7)は、異性体(C8+芳香族化合物)をC7-軽質留分から分離する。このC7-軽質留分は、前記脱ヘプタン塔(C7)の頂部において回収される。このC7-留分は、ライン(71)を介して、ストリッパ(C8)に送られ、軽質化合物がC7-留分から分離される。
【0057】
C8+留分は、キシレン類およびそれより重質の化合物から形成され、かつ脱ヘプタン塔(C7)の底部において回収されたものであり、ライン(72)を介して、キシレン類塔(C2)に再循環させられる。
【0058】
脱ヘプタン塔(C7)中の軽質(C4-)化合物の有意な含有率の点から見て、脱ヘプタン塔(C7)からの頂部生成物は、(主として軽質(C4-)化合物からなる)蒸気相(70)および液相(71)を含んでよく、両者ともに還流ドラム(図示せず)に由来する。
【0059】
(ストリッパ(C8))
ストリッパ(またはストリッピング塔)(C8)は、脱ヘプタン塔(C7)の頂部を介して給送される。
【0060】
安定化させられたC7-留分は、ストリッパ(C8)の底部において回収され、ライン(81)を介して芳香族化合物抽出ユニット(P1)に送られる。
【0061】
ストリッパの頂部に由来する軽質(C4-)化合物は、ライン(80)を介して、脱ヘプタン塔の頂部からの軽質化合物(ライン(70))と混合され、取り出される。
【0062】
(重質芳香族化合物塔(C3))
キシレン類塔(C2)の底部において回収されたC9+芳香族化合物は、ライン(21)を介して、重質芳香族化合物塔(C3)に送られ、重質芳香族化合物塔(C3)は、C9およびC10の芳香族化合物を、それより重質の化合物(例えばナフタレン)から分離する。このそれより重質の化合物は、トランスアルキル化触媒に好ましくない効果を有するかもしれず、ライン(31)を介して底部において回収される。
【0063】
(トランスアルキル化ユニット(P4))
重質芳香族化合物塔(C3)の頂部において回収されたC9およびC10の芳香族化合物は、ライン(30)を介して、トランスアルキル化ユニット(P4)に送られる。
【0064】
図1に関連して、C9およびC10の芳香族化合物は、トルエン塔(C10)の頂部を起源とするトルエンと混合される。
【0065】
図2に関連して、C9およびC10の芳香族化合物は、ベンゼン塔(C9)の底部を起源とするトルエンと混合される。
【0066】
トランスアルキル化ユニット(P4)は、トルエンおよびリフォメート塔(C1)を起源とするC9+芳香族化合物およびキシレン類異性化ユニット(P3)の(キシレン類塔(C2)および重質芳香族化合物塔(C3)中を通過した後の)イソメラートを起源とするC9+芳香族化合物を、熱力学的に制限された反応を介してキシレン類およびベンゼンの混合物に転化させる。1つまたは複数の実施形態によると、キシレン類塔(C2)および重質芳香族化合物塔(C3)は、トランスアルキル化ユニット(P4)に送られるC9+芳香族化合物の大部分(実質的に全部)を提供する。
【0067】
本発明による分離の方法およびデバイスにおいてあらゆるタイプのトランスアルキル化触媒が用いられ得、例えば、特許US 3 437 710において記載されたモルデナイトまたはフォージャサイトをベースとする触媒または特許US 5 030 787において記載されたMCM-22またはベータゼオライトをベースとする触媒または特許出願US 2012/0065446に記載されたようなモルデナイトおよびMFIゼオライトをベースとする触媒である。これらの触媒は、一般的に、金属化合物をさらに含み、この金属化合物は、好ましくは、レニウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、パラジウムおよび白金によって形成される群から選ばれる。
【0068】
(安定化塔(C11))
トランスアルキル化ユニット(P4)からの流出物は、ベンゼン、未転化のトルエンおよびC8(例えば、キシレン類)およびC9+芳香族化合物を含有しており、このものは、ライン(102)を介して、安定化塔(C11)に送られる。安定化塔(C11)は、ベンゼンより軽質の化合物をベンゼンとそれより重質の芳香族化合物(C7+化合物で表記される)とから分離する。
【0069】
安定化塔(C11)(の還流ドラム)を出るガスは、ライン(110)を介して、アロマティクスコンプレクスの境界に送られる。
【0070】
未精製のベンゼン留分は、側流として流し出され、ライン(111)を介して、ストリッピング塔(C8)に送られる。ストリッピング塔(C8)により、軽質化合物を前記留分から分離することが可能となる。
【0071】
1つまたは複数の実施形態によると、安定化塔(C11)からの頂部ガスの部分的凝縮は、冷却タワーと場合によるその次の冷水器によって得られる。
【0072】
(分離セクション(F))
分離セクション(F)は、ベンゼン塔(C9)と、トルエン塔(C10)とを含む。
【0073】
(参照の方法およびアロマティクスコンプレクスによるベンゼン塔(C9))
図1に関連して、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するC6-C7留分(ライン(12))は、安定化塔(C11)の底部に由来するC7+留分(ライン(112))と混合され、ベンゼン塔(C9)に送られる。ベンゼン塔(C9)から、ベンゼンは、頂部において、最終生成物として、ライン(90)を介して抽出される。ベンゼン塔(C9)の底部において抽出されたC7+留分は、ライン(91)を介して、トルエン塔(C10)に向けられる。
【0074】
(参照の方法およびアロマティクスコンプレクスによるトルエン塔(C10))
図1に関連して、トルエン塔(C10)は、ベンゼン塔(C9)の底部に由来するC7+留分を給送される。トルエン塔(C10)の頂部において回収されたトルエンは、ライン(100)を介して、トランスアルキル化ユニット(P4)の供給原料として向けられる。塔(C10)の底部において抽出されたC8+留分は、ライン(101)を介して、キシレン類塔(C2)に再循環させられる。
【0075】
(本発明による分離の方法およびデバイスによるトルエン塔(C10))
図2に関連して、トルエン塔(C10)は、安定化塔(C11)の底部に由来するC7+留分(ライン(112))を給送される。トルエン塔(C10)からの頂部生成物は、C7-化合物(例えば、実質的にトルエン+C6-化合物)を豊富に含む留分であり、底部生成物は、8個の炭素原子を有する芳香族化合物を豊富に含むC8+留分である。
【0076】
トルエン塔(C10)の底部において抽出されたC8+留分(すなわち、8個以上の炭素原子を有する化合物を豊富に含むトルエン塔(C10)からの底部生成物)は、ライン(101)を介して、キシレン類塔(C2)に再循環させられる。キシレン類塔(C2)は、C9+およびそれより重質の化合物を、C8芳香族化合物留分から分離し、このC8+芳香族化合物留分は、パラキシレン分離デバイスに給送する。
【0077】
1つまたは複数の実施形態によると、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するC6-C7留分は、トルエン塔(C10)に、安定化塔(C11)の底部に由来するC7+留分の給送とは別の方法でかつその上に送られる。
【0078】
精製塔(C6)の頂部に由来する流出物は、分離セクション(F)によって処理される他の2つの流れと比べて非常に低い流量を有するかもしれないので、本発明の1つまたは複数の実施形態によると、前記流出物は、塔(C11)の底部に由来するC7+留分と混合される。精製塔(C6)の頂部に由来する流れを分離セクション(F)に給送するために任意の他の位置が可能である。例えば、精製塔(C6)の頂部は、ベンゼン塔(C9)に、または直接的にトランスアルキル化ユニット(P4)に再循環させられ得る。例えば、トランスアルキル化ユニット(P4)に、ベンゼン塔(C9)からの底部生成物および精製塔(C6)からの頂部生成物を含む混合物を給送することが可能である。
【0079】
1つまたは複数の実施形態によると、トルエン塔の操作条件は、以下:
温度:リボイラにおいて130℃~260℃、凝縮器において50℃~200℃;
圧力:0.05MPa~1MPa;および
理論板:30~55段
の通りである。
【0080】
(本発明による分離の方法およびデバイスによるベンゼン塔(C9))
図2に関連して、トルエン塔(C10)の頂部において抽出されたC7-留分(すなわち、ベンゼンおよびトルエンを豊富に含むトルエン塔からの頂部生成物)は、ライン(91)を介して、ベンゼン塔(C9)に向けられる。
【0081】
本発明の1つまたは複数の実施形態によると、例えば、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するC6-C7留分が極少量にしかC8+を含有していない場合(例えば、C6-C7留分中にC8+ <1重量%、好ましくは<0.5重量%、より一層好ましくは<0.3重量%)、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するC6-C7留分は、(トルエン塔(C10)の頂部との混合物としてまたはそれとは別に)トルエン塔(C10)の下流のベンゼン塔(C9)に向けられる。1つまたは複数の実施形態によると、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するベンゼン塔(C9)の給送は、トルエン塔(C10)の頂部に由来する給送とは別に、好ましくはそれより上で(下流で)行われる。
【0082】
ベンゼン塔(C9)から出発して、ベンゼンを豊富に含む頂部生成物は、最終生成物として、ライン(90)を介して抽出される。1つまたは複数の実施形態によると、ベンゼンを豊富に含む生成物は、側流流し出しによって抽出される。1つまたは複数の実施形態によると、軽質かつ非凝縮性の化合物は、塔頂における蒸気流れを介して取り出される(ライン(92))。ベンゼン塔(C9)からのトルエンを豊富に含む底部生成物は、ライン(100)を介して、トランスアルキル化ユニット(P4)に向けられる。
【0083】
1つまたは複数の実施形態によると、ベンゼン塔の操作条件は、以下:
温度:リボイラにおいて130℃~180℃、凝縮器において70℃~130℃;
圧力:0.1MPa~0.5MPa;および
理論板:35~55段
の通りである。
【0084】
図1および2において、単純化の理由のために、還流セクション、還流ドラムまたは凝縮器は示されていない;任意の既知の凝縮手段(例えば:冷却タワーおよび/または冷水器)が用いられ得る。
【0085】
(実施例)
実施例において、分離セクション(F)は、以下の2種の供給原料:
- 供給原料(1):芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するC6-C7留分;および
- 供給原料(2):安定化塔(C11)の底部に由来するC7+留分
を給送される。
【0086】
実施例において、精製塔(C6)の頂部は、トランスアルキル化ユニット(P4)に直接的に再循環させられる。
【0087】
(実施例1)
分離セクション(F)の2種の供給原料(供給原料(1)および供給原料(2))の組成が表1に示される。
【0088】
【表1】
【0089】
分離セクション(F)から出る留分は、表2の組成に従う、ベンゼン、トルエンおよびC8+化合物をそれぞれ豊富に含む生成物である。
【0090】
【表2】
【0091】
4種の分画の構成が評価される:
- 構成(1)(参照の分離の方法およびデバイスに合致する):ベンゼン塔は、2種の供給原料の混合物を給送される。ベンゼン塔の底部は、トルエン塔に給送する。
- 構成(2)(比較):ベンゼン塔は、2種の供給原料を給送され、これらは、塔に別々に導入される。ベンゼン塔の底部は、トルエン塔に給送する。
- 構成(3)(比較):トルエン塔は、2種の供給原料の混合物を給送される。トルエン塔の頂部は、ベンゼン塔に給送する。
- 構成(4)(本発明による分離の方法およびデバイスに合致する):トルエン塔は、2種の供給原料を給送され、これらは、塔に別々に導入される。供給原料(1)は、供給原料(2)の上で給送される。トルエン塔の頂部は、ベンゼン塔に給送する。
【0092】
給送の位置は、塔のそれぞれの再沸騰のエネルギー消費を最小にするように構成のそれぞれにおいて最適にされる。
【0093】
構成のそれぞれの幾何学的配置およびエネルギー消費は、表3に示される。
【0094】
驚くべきことに、塔の順序を逆転させ、かつ2種の供給原料を別々に導入すること(本発明による構成(4))によってのみ、有意な(10%超の)エネルギー節約が、参照の例との比較において得られることが留意される。塔の単純な逆転(構成(3))または互いに独立して行われる2種の供給原料の別々の導入(構成(2))によっても、有意なエネルギー節約を得ることは可能とならない。
【0095】
この実施例において、芳香族化合物抽出ユニット(P1)に由来するC6-C7留分を直接的にベンゼン塔(C9)に向けるように選択がなされるのは、ベンゼン塔(C9)がトルエン塔(C10)の下流にある場合である。それのC8+化合物の含有率(767kg/h)が、トルエン塔(C10)からの底部生成物において望まれるC8+化合物の含有率(267kg/h)より高いからである。
【0096】
【表3】
【0097】
(実施例2)
ベンゼン、トルエン、C8+化合物の分離セクション(F)における2種の供給原料の組成が、表4において示される。
【0098】
【表4】
【0099】
この実施例において、供給原料(1)中のC8+化合物の含有率(192kg/h)により、ベンゼン塔(C9)がトルエン塔(C10)の下流にある本発明に従う図において、芳香族化合物分離ユニット(P1)に由来するC6/C7留分に由来する供給原料(1)を、ベンゼン塔(C9)に直接的に向けることが可能となる。
【0100】
3種の分留の構成が評価される:
- 構成(1)(参照の分離の方法およびデバイスに合致する):ベンゼン塔は、2種の供給原料の混合物を給送される。ベンゼン塔の底部は、トルエン塔に給送する。
- 構成(5)(本発明に合致する):トルエン塔は、供給原料(2)のみを供給される。供給原料(1)は、トルエン塔の頂部において混合される。この混合物は、ベンゼン塔に給送する。
- 構成(6)(本発明に合致する):トルエン塔は、供給原料(2)のみを給送される。供給原料(1)およびトルエン塔の頂部は、ベンゼン塔に別々に給送する。
【0101】
分離セクション(F)から出る留分は、ベンゼン、トルエンおよびC8+化合物をそれぞれ豊富に含み、それぞれ、構成(1)による表5および構成(5)および(6)による表6の組成に従う、生成物である。
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
供給原料(1)中のC8+化合物の含有率は、構成(5)および(6)におけるトルエンを豊富に含む生成物(268kg/h)中で、構成(1)におけるのと同一のC8+化合物の含有率を得ることが可能であるようにするのに十分に低い。
【0105】
給送の位置は、塔のそれぞれの再沸騰エネルギー消費を最小にするように構成のそれぞれにおいて最適にされる。
【0106】
構成のそれぞれの幾何学的配置およびエネルギー消費は、表7に示される。
【0107】
【表7】
【0108】
本発明に合致する構成(5)および(6)は、参照の分離の方法およびデバイスに合致する構成(1)よりエネルギー面でより能率的である。
図1
図2