(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
G03G21/16 119
(21)【出願番号】P 2019111484
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】阪本 正文
(72)【発明者】
【氏名】武田 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田口 典明
(72)【発明者】
【氏名】門脇 英明
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-178588(JP,A)
【文献】特開2008-090122(JP,A)
【文献】特開2002-166621(JP,A)
【文献】特開2014-066914(JP,A)
【文献】特開2011-053336(JP,A)
【文献】特開2016-122106(JP,A)
【文献】特開2009-134205(JP,A)
【文献】特開2008-009262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/00
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の搬送タイミングを調整するレジストローラを含む用紙搬送部と、前記用紙搬送部によって搬送された用紙に画像を形成する画像形成部とを
支持する枠体を備える画像形成装置であって、
前記枠体は、
前記用紙搬送部を支持する樹脂製の搬送フレーム、
前記搬送フレームの用紙搬送方向の下流側に取り付けられ、前記画像形成部を支持する樹脂製のプロセスフレーム、および
前記搬送フレームと前記プロセスフレームとを係合させる位置に設けられ、前記レジストローラの駆動軸
と同軸で設けられる第1位置決め部を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1位置決め部は、前記搬送フレームに設けられ、前記レジストローラの駆動軸を中心に形成される第1係合部と、前記プロセスフレームに設けられ、前記第1係合部に係合する第2係合部とを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送フレームは、前記レジストローラの駆動軸を支持する軸受部を含み、
前記第1係合部は、前記軸受部と同軸に形成された円弧状の第1係合面を有し、
前記第2係合部は、前記第1係合面に係合する第2係合面を有する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、用紙に形成された画像を加熱して定着させる定着部、
前記定着部よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、用紙を装置外に排出するための排出部、
前記搬送フレームの用紙搬送方向の下流側に取り付けられ、前記定着部および前記排出部を支持する樹脂製の定着フレーム、および
前記搬送フレームに対して前記定着フレームを位置決めする第2位置決め部をさらに備える、請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送フレーム、前記プロセスフレームおよび前記定着フレームのそれぞれは、互いに異なる種類の樹脂材料で形成される、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2位置決め部は、前記搬送フレームおよび前記定着フレームのそれぞれに固定され、前記搬送フレームに対して前記定着フレームを位置決めするための金属製の連結部材をさらに備える、請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2位置決め部は、前記搬送フレームに設けられる第2突出部と、前記第2突出部から所定距離離れた位置において前記定着フレームに設けられる第3突出部と、前記連結部材に設けられ、前記第2突出部に嵌合する第2嵌合部と、前記連結部材に設けられ、前記第3突出部に嵌合する第3嵌合部とを含む、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記用紙搬送部と前記画像形成部とに回転駆動力を付与する第1駆動機構をさらに備え、
前記連結部材は、用紙が搬送される用紙搬送路の両方の外側に配置され、
一方の連結部材は、前記第1駆動機構を支持する、請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記定着部と前記排出部とに回転駆動力を伝達する第2駆動機構をさらに備え、
前記一方の連結部材には、前記第2駆動機構が支持される、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記一方の連結部材と前記搬送フレームとを所定の固定具で締結するための締結部をさらに備える、請求項8または9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記プロセスフレームは、前記定着フレームが前記搬送フレームに固定される前に、当該定着フレームを所定の位置に案内する案内部を含む、請求項4から10までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記搬送フレームには、用紙をガイドする用紙ガイド部が形成される、請求項1から11までのいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関し、特にたとえば、用紙搬送方向に分割される複数の樹脂枠体を含む、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置に対する軽量化およびコストダウン等の要請から、画像形成装置の構成部品を支持する枠体(フレーム)を、従来採用されてきた金属フレームに代えて樹脂フレームが採用されることがある。
【0003】
しかしながら、画像形成装置にて枠体(フレーム)全体を一体的に樹脂化すると、成型に要する金型の大型化により、金型起工時間および金型製作費用の増大を招くという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1に開示される背景技術の画像形成装置は、用紙搬送方向に分割された樹脂フレームを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、背景技術の画像形成装置のような用紙搬送方向に樹脂フレームを分割する構成では、各樹脂フレーム間の位置精度を得るのが難しくなるという問題があり、各樹脂フレームに支持される画像形成装置の構成部品の位置精度の確保の観点から、改善の余地がある。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、用紙搬送方向に分割される複数の樹脂枠体を含む画像形成装置において、画像形成装置の構成部品間の位置精度を確保することができる、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、用紙の搬送タイミングを調整するレジストローラを含む用紙搬送部と、前記用紙搬送部によって搬送された用紙に画像を形成する画像形成部とを支持する枠体を備える画像形成装置であって、枠体は、用紙搬送部を支持する樹脂製の搬送フレーム、搬送フレームの用紙搬送方向の下流側に取り付けられ、画像形成部を支持する樹脂製のプロセスフレーム、および搬送フレームとプロセスフレームとを係合させる位置に設けられ、レジストローラの駆動軸と同軸で設けられる第1位置決め部を備える、画像形成装置である。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、第1位置決め部は、搬送フレームに設けられ、レジストローラの駆動軸を中心に形成される第1係合部と、プロセスフレームに設けられ、第1係合部に係合する第2係合部とを含む。
【0011】
第3の発明は、第2の発明に従属し、搬送フレームは、レジストローラの駆動軸を支持する軸受部を含み、第1係合部は、軸受部と同軸に形成された円弧状の第1係合面を有し、第2係合部は、第1係合面に係合する第2係合面を有する。
【0012】
第4の発明は、第1から第3までのいずれかの発明に従属し、画像形成部よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、用紙に形成された画像を加熱して定着させる定着部、定着部よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、用紙を装置外に排出するための排出部、搬送フレームの用紙搬送方向の下流側に取り付けられ、定着部および排出部を支持する樹脂製の定着フレーム、および搬送フレームに対して定着フレームを位置決めする第2位置決め部をさらに備える。
【0013】
第5の発明は、第4の発明に従属し、搬送フレーム、プロセスフレームおよび定着フレームのそれぞれは、互いに異なる種類の樹脂材料で形成される。
【0014】
第6の発明は、第4または第5の発明に従属し、第2位置決め部は、搬送フレームおよび定着フレームのそれぞれに固定され、搬送フレームに対して定着フレームを位置決めするための金属製の連結部材をさらに備える。
【0015】
第7の発明は、第6の発明に従属し、第2位置決め部は、搬送フレームに設けられる第2突出部と、第2突出部から所定距離離れた位置において定着フレームに設けられる第3突出部と、連結部材に設けられ、第2突出部に嵌合する第2嵌合部と、連結部材に設けられ、第3突出部に嵌合する第3嵌合部とを含む。
【0016】
第8の発明は、第6または第7の発明に従属し、画像形成装置は、用紙搬送部と画像形成部とに回転駆動力を付与する第1駆動機構をさらに備え、連結部材は、用紙が搬送される用紙搬送路の両方の外側に配置され、一方の連結部材は、第1駆動機構を支持する。
【0017】
第9の発明は、第8の発明に従属し、定着部と排出部とに回転駆動力を伝達する第2駆動機構をさらに備え、一方の連結部材には、第2駆動機構が支持される。
【0018】
第10の発明は、第8または第9の発明に従属し、一方の連結部材と搬送フレームとを所定の固定具で締結するための締結部をさらに備える。
【0019】
第11の発明は、第4から第10までのいずれかの発明に従属し、プロセスフレームは、定着フレームが搬送フレームに固定される前に、当該定着フレームを所定の位置に案内する案内部を含む。
【0020】
第12の発明は、第1から第11までのいずれかの発明に従属し、搬送フレームには、用紙をガイドする用紙ガイド部が形成される。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、用紙搬送方向に分割される複数の樹脂枠体を含む画像形成装置において、画像形成装置の構成部品間の位置精度を確保することができる。
【0022】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1はこの発明の第1実施例である画像形成装置を正面側から見た内部構造を概略的に示す図解図である。
【
図2】
図2は、
図1の画像形成装置が備える筐体の構造を概略的に示す図解図である。
【
図3】
図3は、
図2の筐体を分解した場合の構造を概略的に示す図解図である。
【
図4】
図4は、樹脂フレームおよびこれに取り付けられる連結部材を示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、搬送フレームの構造を示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、レジストローラの支持構造を示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、搬送フレームへのプロセスフレームの取付構造を示す概略斜視図である。
【
図8】
図8は、プロセスユニットの位置決め構造を示す概略斜視図である。
【
図9】
図9は、プロセスフレームへの定着フレームの案内構造を示す概略斜視図である。
【
図10】
図10は、搬送フレームへの定着フレームおよび駆動ユニットの取付構造を示す概略斜視図である。
【
図11】
図11は、定着フレームへの定着ユニットの取付構造を示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、駆動ユニットを一方から見た場合の構造を示す概略斜視図である。
【
図13】
図13は、駆動ユニットを他方から見た場合の構造を示す概略斜視図である。
【
図14】
図14は、駆動ユニットを一部分解した場合の構造を示す概略斜視図である。
【
図15】
図15は、搬送フレームへの位置決めフレームの取付構造を示す概略斜視図である。
【
図16】
図16は、搬送フレームへの位置決めフレームおよび第1支持フレームの取付構造を示す概略斜視図である。
【
図17】
図17は、変形例における樹脂フレームの構造を示す図解図である。
【
図18】
図18は、変形例における搬送フレームへの位置決めフレームの位置決め構造を示す概略斜視図である。
【
図19】
図19は、第2実施例におけるプロセスユニットの位置決め構造を示す概略斜視図である。
【
図20】
図20は、変形例における搬送フレームへの搬送駆動フレームの取付構造を示す概略斜視図である。
【
図21】
図21は、
図18実施例における搬送フレームおよび搬送駆動フレームへの位置決めフレームの取付構造を示す概略斜視図である。
【
図22】
図22は、第3実施例におけるモノクロ用の樹脂フレームの構造を示す図解図である。
【
図23】
図23は、第3実施例におけるカラー用の樹脂フレームの構造を示す図解図である。
【
図24】
図24は、カラー用の樹脂フレームおよびこれに取り付けられる連結部材を示す概略斜視図である。
【
図25】
図25は、カラー用の駆動ユニットを一方から見た場合の構造を示す概略斜視図である。
【
図26】
図26は、カラー用の駆動ユニットを他方から見た場合の構造を示す概略斜視図である。
【
図27】
図27は、カラー用の駆動ユニットを一部分解した場合の構造を示す概略斜視図である。
【
図28】
図28は、第1支持フレームに対する仕様別のギヤ取付構造を示す概略斜視図である。
【
図29】
図29は、第3実施例におけるプロセスユニットの位置決め構造を示す概略断面図である。
【
図30】
図30は、中間転写ベルトユニットの取付構造を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施例]
図1は、この発明の第1実施例である画像形成装置を正面側から見た内部構造を概略的に示す図解図である。
図1を参照して、第1実施例の画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機であって、電子写真方式によって記録媒体に対して単色の画像(モノクロ画像)を形成する。なお、記録媒体としては、用紙やオーバーヘッドプロジェクタ用シートなどを使用できるが、以下では、用紙を使用した場合について説明する。
【0025】
ただし、この明細書では、画像形成装置10を正面から見た場合の水平方向のうち、向かって左側を左方向に規定し、向かって右側を右方向に規定する。また、画像形成装置10を正面から見た場合の奥行き方向のうち、画像形成装置10の正面側(手前側)を前方向(正面方向)に規定し、画像形成装置10の背面側(奥側)を後方向(背面方向)に規定する。
【0026】
先ず、画像形成装置10の構成について概略的に説明する。
図1に示すように、画像形成装置10は、筐体12およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
【0027】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18の上面には、原稿供給トレイ20が設けられており、その内部には、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)が設けられる。ADFは、原稿供給トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に供給し、原稿排出トレイ24に排出する。
【0028】
また、画像読取装置14に内蔵される画像読取部26は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0029】
画像読取装置14の前面側には、ユーザによる印刷指示等の入力操作を受け付ける操作パネル(図示せず)が設けられる。操作パネルは、タッチパネル付きのディスプレイおよび複数の操作ボタン等を有する。
【0030】
筐体12には、CPUやメモリ等を含む制御部(図示せず)が設けられる。制御部は、操作パネルへの入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0031】
また、筐体12には、画像形成部30、定着ユニット46および駆動ユニット500(
図4等参照)等の画像形成装置10が備える種々の構成部品が内蔵(収容)される。
【0032】
画像形成部30は、露光ユニット(光走査ユニット)32、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット(クリーニングユニット)38、帯電ユニット40、転写ローラ42およびトナー補給装置44等を備え、給紙トレイ48等から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排出トレイ50に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0033】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体である。帯電ユニット40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる。露光ユニット32は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像ユニット34は、トナーを収容する現像槽および現像剤担持体として機能する現像ローラを備え、感光体ドラム36の表面にトナーを供給し、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像をトナーによって顕像化する(トナー像を形成する)。なお、現像槽の内部には、トナー濃度を検知するトナー濃度検知センサが設けられている。このトナー濃度検知センサによって検知されたトナー濃度が所定値よりも低くなると、トナー補給装置44から現像槽にトナーが補給される。クリーナユニット38は、感光体ドラム36の表面に当接するクリーニングブレードおよび搬送スクリュ等を備え、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去する。
【0034】
ただし、第1実施例の画像形成装置10では、現像ユニット34、感光体ドラム36、帯電ユニット40およびクリーナユニット38はさらにユニット化されており、これらを含むプロセスユニット68として筐体12に着脱可能に設けられる。
【0035】
転写ローラ42は、感光体ドラム36の表面に形成されたトナー像を用紙に転写するための部材である。転写ローラ42は、感光体ドラム36に対向して配置され、感光体ドラム36を押圧するように設けられる。画像形成時には、転写ローラ42に所定の電圧が印加されることによって、感光体ドラム36と転写ローラ42との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用により、感光体ドラム36と転写ローラ42との間のニップ域(転写ニップ部)を用紙が通過する間に、感光体ドラム36の外周面に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0036】
定着ユニット46は、ヒートローラ62および加圧ローラ64を備え、転写ニップ部(画像形成部30)よりも用紙搬送方向の下流側に配置される。ヒートローラ62は、所定の定着温度(たとえば160℃)となるように設定されており、ヒートローラ62と加圧ローラ64との間のニップ域(定着ニップ部)を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0037】
また、このような筐体12内には、給紙トレイ48に載置された用紙を転写ニップ部および定着ニップ部を経由させて排出トレイ50に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、筐体12内には、用紙に対して両面印刷を行うときに、片面印刷が終了して定着ニップ部を通過した後の用紙を、転写ニップ部の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。
【0038】
第1用紙搬送路L1には、給紙ローラ52、転写前搬送ローラ54、レジストローラ56、定着後搬送ローラ58、排出ローラ60が設けられ、また、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に補助的に推進力を与えるための複数の両面用搬送ローラ66が適宜設けられる。ただし、本実施例の第1用紙搬送路L1では、用紙は下側から上側に向かって搬送される。以下、単に「用紙搬送方向」という場合は、第1用紙搬送路L1における用紙搬送方向(下側から上側に向かう方向)を意味するものとする。
【0039】
給紙ローラ52は、ピックアップローラおよび分離ローラを含み、給紙トレイ48に載置された用紙を1枚ずつ第1用紙搬送路L1に導く。
【0040】
転写前搬送ローラ54および定着後搬送ローラ58は、用紙に推進力を与える。転写前搬送ローラ54は、転写ニップ部およびレジストローラ56よりも用紙搬送方向の上流側であって、給紙ローラ52よりも用紙搬送方向の下流側に配置される。定着後搬送ローラ58は、定着ニップ部よりも用紙搬送方向の下流側に配置であって、排出ローラ60よりも用紙搬送方向の上流側に配置される。
【0041】
レジストローラ56は、転写ニップ部よりも用紙搬送方向の上流側に配置され、用紙に推進力を与えるとともに用紙を転写ニップ部へ送る搬送タイミングを調整する。
【0042】
排出ローラ60は、定着ニップ部および定着後搬送ローラ58よりも用紙搬送方向の下流側に配置され、排出トレイ50に用紙を排出する。すなわち、排出ローラ60は、第1用紙搬送路L1を搬送される用紙を排出するための排出部として機能する。
【0043】
筐体12において片面印刷を行う際には、給紙トレイ48に載置された用紙が給紙ローラ52によって1枚ずつ第1用紙搬送路L1に導かれ、レジストローラ56まで搬送される。そして、レジストローラ56によって、用紙の先端と感光体ドラム36上の画像情報(トナー像)の先端とが整合するタイミングで用紙が転写ニップ部に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、用紙が定着ニップ部を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱定着される。熱定着後の用紙は、定着後搬送ローラ58および排出ローラ60によって第1用紙搬送路L1を搬送されて、排出トレイ50に排出される。
【0044】
一方、両面印刷を行う際には、片面印刷が終了して定着ニップ部を通過した用紙の後端部が排出ローラ60まで到達したとき、この排出ローラ60を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路L2に導かれる。第2用紙搬送路L2に導かれた用紙は、両面用搬送ローラ66によって第2用紙搬送路L2を搬送されて、レジストローラ56の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、転写ニップ部および定着ニップ部を用紙が通過することによって、用紙の裏面に印刷が行われる。
【0045】
また、図示は省略するが、画像形成装置10には手差し給紙トレイが設けられる。手差し給紙トレイは、転写前搬送ローラ54よりも用紙搬送方向の上流側に配置され、給紙トレイ48に代えて、手差し給紙トレイから第1用紙搬送路L1に用紙が給紙されることがある。
【0046】
さらに、上述したような画像形成装置10には、外付けの給紙ユニットが装着されたりすることがある。このような場合には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイに代えて、外付けの給紙ユニットから第1用紙搬送路L1に用紙が給紙されるようにしても良い。
【0047】
次に、
図2~
図4を参照して、本願発明の筐体12の概略構成について説明する。なお、
図2~
図4では、画像読取装置14の図示を省略している。
【0048】
図2~
図4に示すように、筐体12は、樹脂フレーム90と、金属フレーム92との組み合わせによって構成される。すなわち、筐体12の一部は樹脂フレーム90によって構成され、筐体12の他の一部は金属フレーム92によって構成される。
【0049】
図2および
図3に示すように、本実施例では、筐体12のうち、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2を構成する部分と、画像形成部30、定着ユニット46および駆動ユニット500を支持する部分とについては、樹脂フレーム90によって構成され、それ以外の部分については、金属フレーム92によって構成される。なお、
図2および3では、第2用紙搬送路L2の詳細図示を省略している。
【0050】
したがって、筐体12のうち、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2が設けられる側(本実施例では右側)は樹脂フレーム90によって構成され、その反対側(本実施例では左側)については、金属フレーム92によって構成される。
【0051】
金属フレーム92は、複数のフレームによって構成される。詳しくは、金属フレームは、側板フレーム94、第1連結フレーム96および第2連結フレーム98を含む。
【0052】
側板フレーム94は、矩形状の金属板からなるフレームであり、筐体12のうち、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2の反対側の側壁(左側壁)を構成する。
【0053】
第1連結フレーム96は、樹脂フレーム90(詳しくは、搬送フレーム100)の下端部と側板フレーム94の下端部とを連結する。
【0054】
第2連結フレーム98は、樹脂フレーム90(詳しくは、プロセスフレーム200)の上面と側板フレーム94の上端部とを連結する。ただし、第2連結フレーム98は、樹脂フレーム90(詳しくは、定着フレーム300)に設けられる用紙の排出口よりも下方に配置されており、第2連結フレーム98の上面には、排出トレイ50が設けられる。
【0055】
なお、第1連結フレーム96および第2連結フレーム98については、側板フレーム94に比べて強度が要求されるわけでは無く、また、高度な寸法精度が要求されるわけではないので、幅方向(前後方向)の寸法が小さい形状でも良い。
【0056】
図2~
図4に示すように、樹脂フレーム90は、用紙搬送方向に分割される。詳しくは、樹脂フレーム90は、搬送フレーム100、プロセスフレーム200および定着フレーム300の3つのフレームに分割される。
【0057】
搬送フレーム100は、樹脂フレーム90のうち、用紙搬送方向の最も上流側(プロセスフレーム200および定着フレーム300よりも用紙搬送方向の上流側)に配置される。詳しくは、搬送フレーム100は、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2が設けられる側の下端部(右下端部)であって、プロセスフレーム200および定着フレーム300の下に配置される。
【0058】
この搬送フレーム100は、レジストローラ56よりも用紙搬送方向の上流側の部品、すなわち、給紙ローラ52、転写前搬送ローラ54、レジストローラ56、手差し給紙トレイ用の給紙ローラおよび一部の両面用搬送ローラ66(以下、これらをまとめて単に「用紙搬送部」ということがある。)を支持する。なお、給紙ローラ52自体は給紙トレイ48に支持されるようにし、搬送フレーム100は、給紙ローラ52の駆動部だけを支持するようにしてもよい。
【0059】
プロセスフレーム200は、樹脂フレーム90のうち、搬送フレーム100よりも用紙搬送方向の下流側であって、定着フレーム300よりも用紙搬送方向の上流側に配置される。すなわち、プロセスフレーム200は、定着フレーム300と搬送フレーム100の間に配置される。
【0060】
このプロセスフレーム200は、画像形成部30(プロセスユニット68)の各構成部品(露光ユニット32、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電ユニット40、転写ローラ42、トナー補給装置44)を支持する。
【0061】
定着フレーム300は、樹脂フレーム90のうち、用紙搬送方向の最も下流側(搬送フレーム100およびプロセスフレーム200よりも用紙搬送方向の下流側)に配置される。詳しくは、定着フレーム300は、搬送フレーム100およびプロセスフレーム200の上に積層されるように配置される。
【0062】
この定着フレーム300は、定着ユニット46、定着後搬送ローラ58および排出ローラ60(以下、これらをまとめて単に「定着排出部」ということがある。)を支持する。
【0063】
ただし、搬送フレーム100、プロセスフレーム200および定着フレーム300のそれぞれは、互いに異なる種類の樹脂材料で形成される。
【0064】
たとえば、定着フレーム300は、高温になる定着ユニット46を支持するため、搬送フレーム100およびプロセスフレーム200に比べて、耐熱性が要求される。したがって、定着フレーム300は、搬送フレーム100およびプロセスフレーム200に比べて、耐熱性に優れる樹脂材料によって形成される。
【0065】
また、画像形成部30の各構成部品は、画像形成部30で印刷される画像の品質に影響するため、取付位置に関して高い位置精度が要求される。したがって、画像形成部30の各構成部品を支持するプロセスフレーム200は、搬送フレーム100および定着フレーム300に比べて、高い寸法精度(高い寸法安定性)が要求される。したがって、プロセスフレーム200は、搬送フレーム100および定着フレーム300に比べて、寸法精度に優れる樹脂材料によって形成される。
【0066】
なお、搬送フレーム100は、第1用紙搬送路L1の一部を形成するための搬送路形成部を有する。定着フレーム300は、定着排出部によって第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2の一部を形成する。プロセスフレーム200は、プロセスフレーム200が支持する画像形成部30によって、第1用紙搬送路L1の一部を形成する。
【0067】
つまり、搬送フレーム100、プロセスフレーム200および定着フレーム300が、組み合わせられる(組み立てられる)ことによって、それぞれのフレーム有する搬送路形成部が連結され、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2が形成される。
【0068】
なお、詳しい説明は省略するが、第1用紙搬送路L1内で用紙の滞留(紙詰まり、ジャム)が発生した場合に、滞留した用紙を取り除くために、第2用紙搬送路L2の一部を、搬送フレーム100と、プロセスフレーム200と、定着フレーム300とで形成される共通の空間内に、移動可能に配置してもよい。更に、第2用紙搬送路L2から搬送された用紙を案内する案内部を搬送フレーム100に設けてもよい。
【0069】
また、
図4に示すように、樹脂フレーム90には、連結部材400と、駆動ユニット500とが取り付けられる。連結部材400および駆動ユニット500は、樹脂フレーム90の第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2が形成される領域外(前後方向の外側)に配置される。詳しくは、連結部材400は、樹脂フレーム90の前端部(前面)に取り付けられ、駆動ユニット500は、樹脂フレーム90の後端部(背面)に取り付けられる。なお、連結部材400および駆動ユニット500の具体的な構成は後述する。
【0070】
次に、
図4~
図11を参照して、搬送フレーム100、プロセスフレーム200および定着フレーム300の相互の取付構造について説明する。
【0071】
まず、
図5に示すように、搬送フレーム100には、給紙ローラ52とレジストローラ56との間に第1用紙搬送路L1の一部が形成されており、特に給紙ローラ52と転写前搬送ローラ54との間には用紙をガイドするリブが形成された用紙ガイド部100aが設けられる。
【0072】
また、
図5~
図7に示すように、搬送フレーム100は、前面側フレーム位置決め部104、背面側フレーム位置決め部106、駆動ユニット位置決め部102、および第1締結部108を含む。
【0073】
駆動ユニット位置決め部102は、駆動ユニット500の位置決めのために設けられ、搬送フレーム100の背面に設けられた、後方に向かって突出する2つの嵌合突部1020,1022を含む。嵌合突部1020,1022のそれぞれは、略円柱状に形成され、互いに前後方向に所定距離離れた位置に配置される。また、嵌合突部1020,1022は、上下方向においては略同じ高さに配置される。
【0074】
前面側フレーム位置決め部104および背面側フレーム位置決め部106は、プロセスフレーム200の位置決めのために設けられる。
【0075】
前面側フレーム位置決め部104は、搬送フレーム100の前面側の上端に設けられ、係合部1040と、軸受支持部1042と、締結部1044とを含む。また、背面側フレーム位置決め部106は、搬送フレーム100の背面側の上端に設けられ、係合部1060と、軸受支持部1062と、係合部1064とを含む。
【0076】
軸受支持部1042および軸受支持部1062は、レジストローラ56の駆動軸と同軸に形成される断面略円状の貫通孔である。軸受支持部1042は、レジストローラ56の駆動軸の一方端部(前端部)に取り付けられる軸受56aを介してレジストローラ56の駆動軸の前端部を支持し、軸受支持部1062は、レジストローラ56の駆動軸の他方端部(後端部)に取り付けられる軸受56bを介してレジストローラ56の駆動軸の後端部を支持する。
【0077】
すなわち、レジストローラ56は、互いに同軸に形成される軸受支持部1042および軸受支持部1062によって支持される。また、レジストローラ56の駆動軸の後端(軸受支持部1062よりも背面側)には、レジストローラ56の駆動ギヤ56cが取り付けられる。
【0078】
係合部1040および係合部1060は、レジストローラ56の駆動軸(中心軸)を基準に形成される。詳しくは、係合部1040および係合部1060は、レジストローラ56の駆動軸を基準に形成された略円弧上の上面(第1係合面)を含む。また、係合部1040および係合部1060の上面は、軸受支持部1042及び軸受支持部1062と同軸に形成され、上方(用紙搬送方向下流側)に突出するように形成される。
【0079】
本実施例では、係合部1040は、軸受支持部1042の外側を覆うように前後方向に延びる略円筒状に形成され、係合部1060は、軸受支持部1062の上方を覆うように前後方向に延びる断面略半円形のアーチ状に形成される。
【0080】
図7に示すように、締結部1044は、搬送フレーム100の前面に設けられ、プロセスフレーム200を搬送フレーム100に固定するためのねじ(固定具)が固定されるねじ穴が形成される略円柱状の突起(ボス)である。締結部1044は、係合部1040の近傍に配置される。
【0081】
図5に戻って、係合部1064は、搬送フレーム100の背面に設けられ、プロセスフレーム200を搬送フレーム100に固定するための固定ねじ(固定具、図示なし)が挿通する穴である。この固定ねじが取り付けられる締結部2062は、プロセスフレーム200に形成される。第1締結部108は、搬送フレーム100の背面に設けられ、駆動ユニット500を搬送フレーム100に固定するためのねじ(固定具)が固定されるねじ穴である。第1締結部108は、嵌合突部1020,1022の間に配置される。
【0082】
次に、
図7および
図8に示すように、プロセスフレーム200は、前面側フレーム位置決め部204、背面側フレーム位置決め部206、前面側プロセス位置決め部210、背面側プロセス位置決め部212、前面側案内部220および背面側案内部222を含む。
【0083】
前面側フレーム位置決め部204および背面側フレーム位置決め部206は、プロセスフレーム200の位置決めのために設けられる。
【0084】
前面側フレーム位置決め部204は、プロセスフレーム200の前端部の下端に設けられ、係合部2040および締結部2042を含む。また、背面側フレーム位置決め部206は、プロセスフレーム200の後端部の下端に設けられる係合部2060と締結部2062を含む。
【0085】
正面側の係合部2040は、搬送フレーム100の係合部1040に対応する位置および形状に設けられる。背面側の係合部2060は、搬送フレーム100の係合部1060に対応する位置および形状に設けられる。
【0086】
詳しくは、正面側の係合部2040および背面側の係合部2060は、レジストローラ56の回転軸、詳しくは駆動軸を基準に形成された略円弧上の下面(第2係合面)を含む。また、係合部2040の第2係合面および背面側フレーム位置決め部206の第2係合面は、係合部1040および係合部1060の上面(第1係合面)に対応する形状に形成される。
【0087】
より詳しくは、係合部2040は、断面略円状の貫通孔であり、係合部2040の内径は、搬送フレーム100の係合部1040の外径よりも僅かに大きく設定される。
【0088】
そして、プロセスフレーム200の係合部2040(前面側フレーム位置決め部204)と搬送フレーム100の係合部1040(前面側フレーム位置決め部104)とが係合し、プロセスフレーム200の係合部2060(背面側フレーム位置決め部206)と搬送フレーム100の係合部1060(背面側フレーム位置決め部106)とが係合することによって、レジストローラ56の駆動軸を基準に、搬送フレーム100に対してプロセスフレーム200が位置決めされる。
【0089】
すなわち、前面側フレーム位置決め部104および背面側フレーム位置決め部106が搬送フレーム100側の係合部(第1係合部に相当)として機能し、前面側フレーム位置決め部204および背面側フレーム位置決め部206がプロセスフレーム200側の係合部(第2係合部に相当)として機能する。
【0090】
前面側プロセス位置決め部210および背面側プロセス位置決め部212は、プロセスフレーム200に対してプロセスユニット68を位置決めするために設けられる。
【0091】
前面側プロセス位置決め部210は、プロセスフレーム200の前面に設けられ、前面側に向かって突出する2つの嵌合突部2100,2102を含む。嵌合突部2100,2102のそれぞれは、略円柱状に形成され、互いに前後方向に所定距離離れた位置に配置される。
【0092】
また、
図8に示すように、感光体ドラム36を含むプロセスユニット68の前端部には、プロセス側位置決め部680が設けられる。プロセス側位置決め部680は、嵌合突部2100,2102のそれぞれに対応する2つの嵌合孔6800,6802を含む。嵌合突部2100と嵌合孔6800とが嵌合し、嵌合突部2102と嵌合孔6802とが嵌合することによって、プロセスフレーム200に対するプロセスユニット68(画像形成部30)の前端部の位置が決まる。
【0093】
ただし、嵌合孔6800,6802のうちの一方(本実施例では右側の嵌合孔6800)は、嵌合突部2100に対応する断面略真円状の貫通孔(基準孔)であり、嵌合孔6800,6802のうちの他方(本実施例では左側の嵌合孔6802)は、左右方向に延びる長孔(スロット孔)である。したがって、嵌合孔6800が基準となり、嵌合孔6802が嵌合孔6800を基準とした回り止めとして機能する。なお、後述する嵌合孔4020と嵌合孔4022との組み合わせ、嵌合孔4060と嵌合孔4062との組み合わせ、嵌合孔7020と嵌合孔7022との組み合わせおよび嵌合孔5520と嵌合孔5522との組み合わせにおいても、一方が基準孔として機能し、他方が回り止めとして機能することは、同じである。
【0094】
背面側プロセス位置決め部212は、感光体ドラム36の駆動軸36aと同軸に形成される断面略円状の貫通孔であり、感光体ドラム36の軸受36bを支持する。背面側プロセス位置決め部212の内径は、感光体ドラム36の軸受36bの外径よりも僅かに大きく設定される。背面側プロセス位置決め部212に感光体ドラム36の軸受36bが嵌合されることによって、プロセスフレーム200に対するプロセスユニット68(画像形成部30)の後端部の位置が決まる。
【0095】
以上のように、プロセスユニット68は、プロセスフレーム200の前面側プロセス位置決め部210および背面側プロセス位置決め部212と、プロセスユニット68のプロセス側位置決め部680および感光体ドラム36の軸受36bによって位置決めされる。
【0096】
図7に戻って、前面側案内部220および背面側案内部222は、定着フレーム300が搬送フレーム100に位置決め固定される前に、定着フレーム300をプロセスフレーム200上の所定の位置に案内するために設けられる。
【0097】
前面側案内部220は、プロセスフレーム200の前端部の上面に設けられる傾斜面であり、右方に向かうにつれて下方に傾斜する。背面側案内部222は、プロセスフレーム200の後端部の上面に設けられる断面略U字状の溝である。
【0098】
次に、
図9~
図11に示すように、定着フレーム300は、前面側案内部302および背面側案内部304を含む。
【0099】
図9は、プロセスフレーム200への定着フレーム300の案内構造を示した概略斜視図で、定着フレーム300とプロセスフレーム200とは、説明のために離れた状態で描かれている。
図9に示すように、前面側案内部302は、定着フレーム300の前端部の左端縁(左方のエッジ)である。この前面側案内部302は、プロセスフレーム200の前面側案内部220に対応する位置に形成される。
【0100】
背面側案内部304は、定着フレーム300の後端部の下面に設けられ、下方に向かって突出する突起である。この背面側案内部304は、プロセスフレーム200の背面側案内部222に対応する位置および形状に形成される。
【0101】
このようにすれば、プロセスフレーム200の上に定着フレーム300が載置される際に、定着フレーム300の前面側においては、前面側案内部302が傾斜面である前面側案内部220に当接し、定着フレーム300の左方向への移動が規制されながら、下方に移動する。また、前面側案内部302と前面側案内部220の下端部とが当接して、定着フレーム300の左方向への移動が規制される。
【0102】
また、プロセスフレーム200の上に定着フレーム300が載置される際に、定着フレーム300の背面側においては、背面側案内部304が背面側案内部222に沿って下方に移動し、背面側案内部304と背面側案内部222とが嵌まる(嵌合される)ことによって、定着フレーム300の左右方向への移動が規制される。このため、定着フレーム300は、所定の位置においてプロセスフレーム200に安定して支持される。
【0103】
図10に示すように、搬送フレーム100にプロセスフレーム200(図示省略)が取り付けられ、プロセスフレーム200の上に定着フレーム300が載置された状態で、定着フレーム300は、連結部材400および駆動ユニット500を介して、搬送フレーム100に取り付けられる。なお、
図10では、定着フレーム300が搬送フレーム100に取り付けられる細部構造を分かりやすく表示するために、プロセスフレーム200の図示を省略している。
【0104】
詳しくは、定着フレーム300は、前面側においては連結部材400を介して搬送フレーム100に取り付けられ、背面側においては駆動ユニット500を介して搬送フレーム100に取り付けられる。
【0105】
連結部材400は、断面略L字状の上下方向に延びる金属板である。この連結部材400は、搬送フレーム100、プロセスフレーム200および定着フレーム300の右前方の角部を覆うように設けられる。
【0106】
また、搬送フレーム100は、連結部材位置決め部120および締結部122を含み、定着フレーム300は、連結部材位置決め部306および締結部308を含む。連結部材位置決め部120、締結部122、連結部材位置決め部306および締結部308は、定着フレーム300の位置決めのために設けられる。
【0107】
連結部材位置決め部120は、搬送フレーム100の前面に設けられ、前方に向かって突出する2つの嵌合突部1200,1202を含む。嵌合突部1200,1202のそれぞれは、略円柱状に形成され、互いに上下方向に所定距離離れた位置に配置される。
【0108】
締結部122は、連結部材400を搬送フレーム100に固定するための連結部材固定用ねじ(連結部材固定具)400bが固定されるねじ穴である。締結部122は、上下方向において、嵌合突部1200,1202の間に配置される。
【0109】
連結部材位置決め部306は、定着フレーム300の前面に設けられ、前方に向かって突出する2つの嵌合突部3060,3062を含む。嵌合突部3060,3062のそれぞれは、略円柱状に形成され、互いに上下方向に所定距離離れた位置に配置される。
【0110】
締結部308は、連結部材400を定着フレーム300に固定するための連結部材固定用ねじ400aが固定されるねじ穴である。締結部308は、嵌合突部3060,3062の間に配置される。
【0111】
また、連結部材400には、搬送フレーム位置決め部402、搬送フレーム締結孔404、定着フレーム位置決め部406および定着フレーム締結孔408が設けられる。
【0112】
搬送フレーム位置決め部402は、搬送フレーム100の連結部材位置決め部120に対応する位置に設けられ、嵌合突部1200,1202のそれぞれに対応する2つの嵌合孔4020,4022を含む。嵌合突部1200と嵌合孔4020とが嵌合し、嵌合突部1202と嵌合孔4022とが嵌合することによって、搬送フレーム100に対する連結部材400の位置が決まる。
【0113】
定着フレーム位置決め部406は、定着フレーム300の連結部材位置決め部306に対応する位置に設けられ、嵌合突部3060,3062のそれぞれに対応する2つの嵌合孔4060,4062を含む。嵌合突部3060と嵌合孔4060とが嵌合し、嵌合突部3062と嵌合孔4062とが嵌合することによって、定着フレーム300に対する連結部材400の位置が決まる。
【0114】
搬送フレーム締結孔404は、搬送フレーム100の締結部122に対応する位置に形成される貫通孔である。定着フレーム締結孔408は、定着フレーム300の締結部308に対応する位置に形成される貫通孔である。連結部材400は、搬送フレーム締結孔404を介して締結部122に連結部材固定用ねじ400bが固定され、定着フレーム締結孔408を介して締結部308に連結部材固定用ねじ400aが固定されることによって搬送フレーム100に取り付けられる。
【0115】
また、駆動ユニット500は、駆動フレーム600を含み、駆動フレーム600には、定着フレーム位置決め孔612と、定着フレーム締結孔620と、搬送フレーム係合部702および搬送フレーム締結孔720が設けられる。
【0116】
定着フレーム300には背面側に嵌合突部312および締結部314が設けられる。そして駆動フレーム600に設けられる定着フレーム位置決め孔612は、定着フレーム300の嵌合突部312に対応する位置に形成される貫通孔である。嵌合突部312と定着フレーム位置決め孔612とが嵌合することで、定着フレーム300は駆動フレーム600に対して位置決めされる。
【0117】
駆動フレーム600の搬送フレーム係合部702は、搬送フレーム100の背面に設けられた駆動ユニット位置決め部102と対応する位置に設けられる。搬送フレーム係合部702は、搬送フレーム100が有する嵌合突部1020、1022のそれぞれに対応する2つの嵌合孔7020、7022を含む。搬送フレーム100の嵌合突部1020と1022が、それぞれ駆動フレーム600の嵌合孔7020と7022とに嵌合することで、駆動フレーム600の位置が搬送フレーム100に対して決まる。つまり、定着フレーム300は、駆動フレーム600によって搬送フレーム100との位置が決まる。
【0118】
駆動フレーム600の定着フレーム締結孔620は、定着フレーム300の背面に設けられる締結部314に対応する位置に形成される貫通孔である。駆動フレーム600の搬送フレーム締結孔720は、搬送フレーム100の第1締結部108(
図5参照)に対応する位置に形成される貫通孔である。
【0119】
駆動フレーム600は、定着フレーム締結孔620を介して定着フレーム300の背面の締結部314に駆動フレーム固定用ねじ600aが固定されることで、定着フレーム300と締結される。そして、搬送フレーム締結孔720を介して第1締結部108に駆動フレーム固定用ねじ600aが固定されることによって搬送フレーム100に取り付けられる。
【0120】
以上のように、定着フレーム300は、連結部材400および駆動フレーム600を介して、搬送フレーム100に対して位置決めおよび固定される。
【0121】
また、
図11に示すように、定着フレーム300には、定着ニップ部と排出ローラ60との間に、定着ニップ部を通過した用紙をガイドするための排出ガイド部300aが設けられる。さらに、定着フレーム300には、定着ユニット46を案内(ガイド)するための定着ユニット案内部310が設けられる。
【0122】
さらに、定着ユニット46の後端部には、定着ユニット46の駆動キヤ62aが設けられる。この駆動キヤ62aは、駆動ユニット500に設けられる駆動ギヤ62b(
図10参照)に係合する。
【0123】
次に、
図10~
図16を参照して、本願発明の駆動ユニット500の構成およびその取付構造について説明する。
【0124】
図10~
図14に示すように、駆動ユニット500は、第1駆動源502、搬送駆動機構510、第1プロセス駆動機構512、定着駆動機構514および駆動フレーム600を含む。
【0125】
第1駆動源502は、画像形成装置10が備える複数の回転体に回転駆動力を付与するための駆動モータである。ただし、複数の回転体とは、用紙搬送部に含まれる各種ローラ(たとえば給紙ローラ52、転写前搬送ローラ54、レジストローラ56、手差し給紙トレイ用の給紙ローラおよび一部の両面用搬送ローラ66)、画像形成部30に含まれる各種回転体(たとえば感光体ドラム36、現像ローラおよび搬送スクリュ)および定着排出部に含まれる各種ローラ(たとえばヒートローラ62、定着後搬送ローラ58および排出ローラ60)等のことである。
【0126】
搬送駆動機構510は、第1駆動源502からの回転駆動力を用紙搬送部に含まれる各種ローラに伝達するための機構である。第1プロセス駆動機構512は、第1駆動源502からの回転駆動力を画像形成部30に含まれる各種回転体に伝達するための機構である。定着駆動機構514は、第1駆動源502からの回転駆動力を定着排出部に含まれる各種ローラに伝達するための機構である。
【0127】
ただし、搬送駆動機構510、第1プロセス駆動機構512および定着駆動機構514のそれぞれは、プーリおよびベルト、歯車列(ギヤトレイン)およびカップリング等の動力伝達要素を必要に応じて適宜含むように構成される。このことは、後述する第2プロセス駆動機構516および第3プロセス駆動機構518も同じである。
【0128】
また、搬送駆動機構510、第1プロセス駆動機構512および定着駆動機構514のそれぞれでは、画像形成装置10が備える複数の回転体のそれぞれに選択的に回転駆動力を伝達するためのクラッチを含む。このため、複数の回転体のそれぞれは、個別に回転駆動されたり、停止されたりする。
【0129】
次に、駆動フレーム600の構成について説明する。駆動フレーム600は、たとえば金属製であって、背面側に配置される第1支持フレーム602と、第1支持フレーム602の前面側に着脱可能に取り付けられる位置決めフレーム700とを含む。
【0130】
第1支持フレーム602は、第1駆動源502、搬送駆動機構510、第1プロセス駆動機構512および定着駆動機構514を支持する。ただし、第1駆動源502は、第1支持フレーム602の背面に取り付けられ、搬送駆動機構510、第1プロセス駆動機構512および定着駆動機構514は、第1支持フレーム602の前面に取り付けられる。
【0131】
また、
図14に示すように、第1支持フレーム602は、第1位置決め固定部604、第2位置決め固定部606および上述した定着フレーム締結孔620、定着フレーム位置決め孔612を含む。
【0132】
第1位置決め固定部604および第2位置決め固定部606は、位置決めフレーム700に対する第1支持フレーム602の位置決めのために設けられ、左右方向において搬送駆動機構510、第1プロセス駆動機構512および定着駆動機構514の外側に設けられる。詳しくは、第1位置決め固定部604は、第1支持フレーム602の右端部に設けられ、第2位置決め固定部606は、第1支持フレーム602の左端部に設けられる。
【0133】
第1位置決め固定部604は、前方(位置決めフレーム700側)に向かって突出する嵌合突部6040と、位置決めフレーム700と第1支持フレーム602とを互いに固定するためのフレーム固定用ねじ(フレーム固定用固定具)700aが固定される2つのねじ穴6042,6044とを含む。嵌合突部6040は、2つのねじ穴6042,6044の間に配置される。
【0134】
第2位置決め固定部606は、前方に向かって突出する嵌合突部6060と、嵌合突部6060の近傍に設けられ、フレーム固定用ねじ700aが固定されるねじ穴6062とを含む。
【0135】
図13および
図14に示すように、位置決めフレーム700は、第1プロセス駆動機構512の前面側を覆うように設けられる。すなわち、第1プロセス駆動機構512は、第1支持フレーム602と位置決めフレーム700との間に収容される。
【0136】
また、
図14~
図16に示すように、位置決めフレーム700は、搬送フレーム係合部702、第1位置決め固定部704および第2位置決め固定部706を含む。
【0137】
搬送フレーム係合部702は、搬送フレーム100の駆動ユニット位置決め部102に対応する位置に設けられ、嵌合突部1020,1022のそれぞれに対応する2つの嵌合孔7020,7022を含む。
図15に示すように、嵌合突部1020と嵌合孔7020とが嵌合し、嵌合突部1022と嵌合孔7022とが嵌合することによって、搬送フレーム100に対する位置決めフレーム700の位置が決まる。そして、上述したように、搬送フレーム係合部702は、搬送フレーム締結孔720を介して第1締結部108に駆動フレーム固定用ねじ600aが固定されることによって搬送フレーム100に取り付けられる。なお、嵌合孔7020は、長孔形状となっている。
【0138】
図14に戻って、第1位置決め固定部704は、第1支持フレーム602の第1位置決め固定部604に対応する位置に設けられ、嵌合突部6040に対応する嵌合孔7040と、2つのねじ穴6042,6044に対応する位置に形成される締結孔7042、7044とを含む。
【0139】
第2位置決め固定部706は、第1支持フレーム602の第2位置決め固定部606に対応する位置に設けられ、嵌合突部6060に対応する嵌合孔7060と、ねじ穴6062に対応する位置に形成される締結孔7062とを含む。
【0140】
そして、嵌合突部6040と嵌合孔7040とが嵌合し、嵌合突部6060と嵌合孔7060とが嵌合することによって、位置決めフレーム700に対する第1支持フレーム602の位置が決まる。すなわち、第1支持フレーム602(駆動ユニット500)は、位置決めフレーム700を介して搬送フレーム100に対して位置決めされる。
【0141】
また、位置決めフレーム700と第1支持フレーム602とは、締結孔7042、7044、7062を介してねじ穴6042,6044、6062に固定されるフレーム固定用ねじ700aによって固定され、一体化される。
【0142】
また、図示は省略するが、位置決めフレーム700が第1支持フレーム602に取り付けられた状態で、樹脂フレーム90(搬送フレーム100、プロセスフレーム200および定着フレーム300)に取り付けられると、駆動機構510、512、514と、画像形成装置10が備える複数の回転体のそれぞれとが連結され、第1駆動源502の回転駆動力が複数の回転体に伝達可能な状態となる。つまり、第1支持フレーム602が支持する一連の駆動機構は、第1支持フレーム602が搬送フレーム100に位置決め固定されることで、用紙搬送路に沿うように精度良く配置される。
【0143】
以上のように、この第1実施例によれば、プロセスフレーム200は、搬送フレーム100に取り付けられるレジストローラ56の駆動軸を基準に位置決めされる。そのため、プロセスフレーム200に取り付けられるプロセスユニット68(転写ニップ部)は、搬送フレーム100に取り付けられるレジストローラ56の位置に対して精度良く取り付けることができる。
【0144】
すなわち、用紙搬送方向に分割された樹脂枠体(フレーム)が備えられる画像形成装置10において、画像形成装置10の構成部品間の位置精度を確保することができる。
【0145】
また、第1実施例によれば、搬送フレーム100に設けられ、レジストローラ56の中心軸と同軸に形成された略円弧上の第1係合面を含む前面側フレーム位置決め部104、背面側フレーム位置決め部106と、プロセスフレーム200に設けられ、第1係合面に係合する第2係合面を含む前面側フレーム位置決め部204、背面側フレーム位置決め部206とを含む。このため、搬送フレーム100に対してプロセスフレーム200を適切に位置決めすることができ、画像形成装置10の構成部品間の位置精度を確保することができる。
【0146】
さらに、定着フレーム300は、連結部材400および駆動フレーム600を介して、搬送フレーム100に対して位置決めおよび固定されるので、画像形成装置10の構成部品間の位置精度を確保することができる。言い換えると、定着フレーム300および搬送フレーム100に取り付けられる画像形成装置10の構成部品間の位置精度を確保することができる。
【0147】
以上をまとめると、第1実施例によれば、プロセスフレーム200、定着フレーム300、連結部材400および駆動ユニット500の全てが、搬送フレーム100に対して位置決めされるので、画像形成装置10が備える種々の構成部品の位置精度を確保することができる。つまり、画像形成装置10が備える種々の構成部品を、搬送フレーム100を基準にした用紙搬送路を形成するように精度良く配置することができる。言い換えると、樹脂枠体(フレーム)を用紙搬送方向に分割する構成としても、用紙搬送路に沿って、画像形成装置10が備える種々の構成部品を精度よく配置することができる。
【0148】
なお、第1実施例によれば、搬送フレーム100、プロセスフレーム200および定着フレーム300のそれぞれは、互いに異なる種類の樹脂材料で形成されるので、各フレームの特性に応じて最適な材料を選択することができる。このため、位置精度が要求される部分または耐熱性が要求される部分以外の部分まで高価な材料を使用する必要が無くなり、結果的に、製造コストの低減を図ることができる。また、樹脂枠体(フレーム)を分割構成にすることで各成型金型が小型化するため、金型の製作費と期間を短くできるのは言うまでもない。
【0149】
なお、上述の実施例とは別の構造として、搬送フレーム100と定着フレーム300とが直接当接するようにしても良い。以下、
図17を参照して、変形例(
図17実施例)における樹脂フレーム90の構造について説明する。
【0150】
図17に示すように、
図17実施例では、プロセスフレーム200の右端部200bが、筐体12(樹脂フレーム90)の右端部よりも左方に位置するようにする。このようにすれば、プロセスフレーム200の右方に、上下方向に拡がるスペースが確保される。そして、このスペースを利用して、搬送フレーム100に、搬送フレーム100の上端部から上方に突出する突出部100bが形成され、定着フレーム300に、定着フレーム300の下端部から下方に突出する突出部300bが形成される。
【0151】
そして、搬送フレーム100の突出部100bの上面と、定着フレーム300の突出部300bの下面とが当接するようにすれば、搬送フレーム100と定着フレーム300との上下方向の位置を決めることができる。したがって、
図17実施例では、連結部材400を省略することができるので、部品点数を削減でき、ひいては製造コストを低減できる。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、画像形成部30(プロセスユニット68)の位置決め構造が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0152】
第2実施例では、プロセスユニット68の後端(駆動ユニット500側)の位置決めは、駆動ユニット500が取り付けられる位置決めフレーム700によって行われる。そのため、プロセスフレーム200は、背面側プロセス位置決め部212は備えず、背面側プロセス位置決め部212に代えて、後述する軸受案内部材710の軸受案内部7100を回避するための貫通孔がプロセスフレーム200の背面に形成されている。(図示なし)
以下、
図18および
図19を参照して、位置決めフレーム700の構造と、位置決めフレーム700によるプロセスユニット68の位置決め構造について説明する。
【0153】
図18および
図19に示すように、位置決めフレーム700の前面には、プロセスユニット68の背面側の取付位置を規定する軸受案内部材710が取り付けられている。軸受案内部材710は、位置決めフレーム700に設けられた開口部712の正面側に取り付けられる。軸受案内部材710は、プロセスユニット68の軸受36bと係合する前方に突出する内側に円筒状の案内部を有する軸受案内部7100と、位置決めフレーム700の開口部712と係合する取付案内部7102とを有する。
【0154】
軸受案内部7100は、円筒状の案内部の内径が、感光体ドラム36の軸受36bの外径よりも僅かに大きく設定される。取付案内部7102は、軸受案内部材710本体から位置決めフレーム700の開口部712の端縁に沿うように位置決めフレーム700側に延伸された壁状の案内ガイドである。そして、軸受案内部材710は、取付案内部7102と開口部712とが係合することで位置決めフレーム700に対する取付位置が決まり、ねじなどの締結部材によって位置決めフレーム700に固定される。
【0155】
次に、位置決めフレーム700の搬送フレーム100への位置決め構造について説明する。
【0156】
図18に示すように、第2実施例では、搬送フレーム100が備える駆動ユニット位置決め部102(駆動ユニット500が取り付けられる位置決めフレーム700の位置決め部に相当する)は、嵌合突部1022に代えて、レジストローラ56の回転軸詳しくは駆動軸に取り付けられる軸受1024を含む。
【0157】
また、第2実施例では、位置決めフレーム700が備える搬送フレーム係合部702は、嵌合突部1022に対応する嵌合孔7022に代えて、軸受1024(レジストローラ56の駆動軸)と同軸に形成される嵌合孔7024を含む。したがって、嵌合突部1020と嵌合孔7020とが嵌合し、嵌合孔7024と軸受1024とが嵌合することによって、搬送フレーム100に対する位置決めフレーム700の位置が決まる。この場合、嵌合孔7020が長孔であるので、嵌合孔7024と軸受1024との組み合わせが基準となり、嵌合突部1020と嵌合孔7020との組み合わせが回り止めとなる。つまり、位置決めフレーム700は、レジストローラ56の回転軸詳しくは駆動軸を中心に位置決めされる。
【0158】
次に、
図19を参照して、第2実施例におけるプロセスユニット68の位置決め構造について説明する。
図19に示すように、第2実施例では、位置決めフレーム700に取り付けられる軸受案内部材710の軸受案内部7100に感光体ドラム36の軸受36bが嵌合されることによって、プロセスフレーム200に対するプロセスユニット68の後端部の位置が決まる。すなわち、軸受案内部材710は、プロセスユニット68(画像形成部30)を位置決めするための部材(取付位置決め部材)として機能し、軸受案内部7100は、プロセスユニット68の取付位置決め部として機能する。
【0159】
なお、プロセスフレーム200に対するプロセスユニット68の前端部の位置決め構造については、第1実施例と同じであるので、説明を省略する。
【0160】
以上のように、軸受案内部材710は、位置決めフレーム700によってレジストローラ56の回転軸(詳しくは駆動軸)に対して精度良く配置されるため、感光体ドラム36は、レジストローラ56に対して所定の位置関係で精度よく配置することができる。つまり、樹脂フレーム90が用紙搬送方向に搬送フレーム100とプロセスフレーム200とに分割されていても、感光体ドラム36のレジストローラ56に対する位置を精度よく管理できるので、レジストローラ56から感光体ドラム36の転写位置までの用紙搬送を精度よく安定して行うことができるようになる。なお、
図19では、プロセスユニット68の取付構造を分かりやすくするために、プロセスフレーム200は図示していない。
【0161】
なお、位置決めフレーム700は、金属製とすることで、感光体ドラム36のレジストローラ56に対する位置を経時変化等の影響を減らして安定的に管理するようにしてもよい。
【0162】
また、第2実施例では、軸受案内部材710を樹脂製としたが、金属製の位置決めフレーム700に一体的に形成してもよいし、位置決めフレーム700を樹脂製とし、軸受案内部材710と一体的に形成してもよい。
【0163】
さらに、プロセスユニット68が位置決めフレーム700に位置決めされるので、第1実施例で説明したプロセスフレーム200の背面側フレーム位置決め部206は省略してもよい。
【0164】
上述したように、第2実施例では、プロセスユニット68は、プロセスフレーム200が備えていた背面側プロセス位置決め部212に変えて、搬送フレーム100に位置決めされる位置決めフレーム700が有する軸受案内部材710に位置決めされる。位置決めフレーム700は、搬送フレーム100が備えるレジストローラ56の回転軸詳しくは駆動軸を基準に搬送フレーム100を基準に位置決めされる。つまり、プロセスユニット68が位置決めされる位置決め部が備えられる部材は、大きなプロセスフレーム200ではなく、より小さな位置決めフレーム700となる。部材が小さくなるほど寸法精度を出しやすくなるので、プロセスユニット68をレジストローラ56に対してより精度良く配置することができる。また、位置決めフレーム700を金属製とすることで、より安定してプロセスユニット68とレジストローラ56の位置を精度よく管理することができるようになる。(熱膨張、経時変化による変形やひずみなどの影響をより受けにくくなる。)
つまり、この第2実施例によれば、用紙搬送方向に分割される複数の樹脂枠体を含む画像形成装置において、画像形成装置10の構成部品間の位置精度、特に、レジストローラ56に対するプロセスユニット68(転写ニップ部)の位置精度をより高めることができる。
【0165】
また、上述の第2実施例で説明した構成に変えて、搬送フレーム100に搬送ローラ54等の駆動部を備えた搬送駆動フレーム550を設け、位置決めフレーム700を搬送駆動フレーム550を介して搬送フレーム100に位置決めし固定するようにしてもよい。
【0166】
以下、
図20および
図21を参照して、変形例(
図20実施例)における搬送駆動フレーム550の構成および位置決めフレーム700の搬送フレーム100への取付構造について説明する。
【0167】
図20および
図21に示すように、搬送フレーム100は、レジストローラ56、搬送ローラ54等の回転軸やギヤ等の駆動部を搬送フレーム100と共に支持する金属製の搬送駆動フレーム550を有する。また、搬送駆動フレーム550は、レジストローラ56、搬送ローラ54等へ、第1駆動源502からの回転駆動力を伝える機構を備えている。つまり搬送駆動機構510の一部が含まれる。
【0168】
搬送駆動フレーム550は、搬送駆動位置決め部552、第1締結孔554、第2締結孔556および複数の第3締結孔558を含む。
【0169】
搬送駆動位置決め部552は、搬送フレーム100の駆動ユニット位置決め部102に対応する位置に設けられ、嵌合突部1020,1022のそれぞれに対応する2つの嵌合孔5520,5522を含む。嵌合突部1020と嵌合孔5520とが嵌合し、嵌合突部1022と嵌合孔5522とが嵌合することによって、搬送フレーム100に対する搬送駆動フレーム550の位置が決まる。
【0170】
第1締結孔554は、搬送フレーム100の第1締結部108に対応する位置に形成される。また、
図20実施例では、第1締結部108とは別の第2締結部110が搬送フレーム100の背面に設けられる。第2締結孔556は、この第2締結部110に対応する位置に形成される。
【0171】
さらに、
図20実施例では、搬送駆動フレーム550を搬送フレーム100に固定するための搬送駆動フレーム締結部130が搬送フレーム100に設けられる。搬送駆動フレーム締結部130は、搬送フレーム100の背面に設けられ、搬送駆動フレーム用ねじ(搬送駆動フレーム用固定具)550aが固定される複数のねじ穴130aを含む。そして、複数の第3締結孔558のそれぞれは、複数のねじ穴130aのそれぞれに対応する位置に形成される。
【0172】
搬送駆動フレーム550は、複数の第3締結孔558を介して複数のねじ穴130aに固定される複数の搬送駆動フレーム用ねじ550aによって搬送フレーム100に取り付けられる。樹脂製の搬送フレーム100は、金属製の搬送駆動フレーム550が一体に締結されることで強度(剛性)が高められ、撓みや変形に対する耐性が向上する。
【0173】
また、
図21に示すように、
図20実施例では、位置決めフレーム700には、搬送フレーム締結孔720とは別に、搬送フレーム締結孔722が形成される。搬送フレーム締結孔722は、搬送フレーム100の第2締結部110および搬送駆動フレーム550の第2締結孔556に対応する位置に形成される。
【0174】
駆動フレーム600(位置決めフレーム700)は、搬送フレーム締結孔720および第1締結孔554を介して第1締結部108に駆動フレーム固定用ねじ600aが固定され、搬送フレーム締結孔722および第2締結孔556を介して第2締結部110に駆動フレーム固定用ねじ600aが固定されることによって搬送フレーム100に(より強固に)取り付けられる。すなわち、
図20実施例では、駆動フレーム600(位置決めフレーム700)は、搬送駆動フレーム550を介して搬送フレーム100に取り付けられる。
【0175】
なお、
図21では、位置決めフレーム700と搬送駆動フレーム550とが搬送フレーム100に共締めされる場合を例にあげて説明したが、これに限定される必要は無い。たとえば、位置決めフレーム700と搬送駆動フレーム550とがねじ等によって固定され、これとは別に、搬送駆動フレーム550と搬送フレーム100とがねじ等によって固定されるようにしても良い。この場合であっても、位置決めフレーム700は、搬送駆動フレーム550を介して搬送フレーム100に取り付けられることになる。また、搬送駆動フレーム550によって、位置決めフレーム700を搬送フレーム100に精度良く安定して取り付けることができるので、レジストローラ56の軸受1024と嵌合する嵌合孔7024は省略してもよい。
【0176】
以上のように、
図20実施例によれば、搬送フレーム100に搬送駆動フレーム550が取り付けられるので、搬送フレーム100の強度を高めることができ、搬送フレーム100における外部加圧や経時変化等による撓み、反り等に強くなり、搬送フレーム100の姿勢を安定させることができる。したがって、搬送フレーム100に支持される各部品の位置精度を確保することができる。
【0177】
つまり、この
図20実施例によれば、用紙搬送方向に分割される複数の樹脂枠体を含む画像形成装置において、画像形成装置10の構成部品間の位置精度をより高めることができる。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置10は、仕様の異なる樹脂フレームおよび仕様の異なる駆動ユニットを選択的に備えるようにした以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0178】
図22および
図23に示すように、第3実施例の画像形成装置10は、モノクロ用の樹脂フレーム90Aおよびカラー用の樹脂フレーム90Bのいずれか一方を選択的に備える。モノクロ用の樹脂フレーム90Aは、モノクロ用の画像形成部30Aを支持するモノクロ用のプロセスフレーム200Aを含み、カラー用の樹脂フレーム90Bは、カラー用の画像形成部30Bを支持するカラー用のプロセスフレーム200Bを含む。
【0179】
ただし、モノクロ用の樹脂フレーム90Aの構成は、第1実施例で説明した樹脂フレーム90の構成と同じであり、モノクロ用の画像形成部30Aの構成は、第1実施例で説明した画像形成部30の構成と同じであるので、これらについての説明は省略する。
【0180】
以下、
図23を参照して、カラー用の画像形成部30Bの概略構成について説明する。
図23に示すように、カラー用の画像形成部30Bは、露光ユニット32、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電ユニット40、トナー補給装置44、中間転写ベルトユニット70および転写ローラ(2次転写ローラ)80等を備える。なお、
図23では、クリーナユニット38、帯電ユニット40およびトナー補給装置44の図示を省略している。
【0181】
たとえば、カラー用の画像形成部30Bにおいて扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電ユニット40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。4つの画像ステーションは、中間転写ベルト72の表面の走行方向(左右方向)に沿って水平方向に1列に並んで配置される。
【0182】
中間転写ベルトユニット70は、中間転写ベルト72、駆動ローラ74、従動ローラ76および4つの中間転写ローラ78等を備える。中間転写ベルト72は、4つの画像ステーションの感光体ドラム36の上方に配置され、各感光体ドラム36に接触するように設けられる。そして、中間転写ローラ78を用いて、各感光体ドラム36に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト72に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト72上に多色のトナー像が形成される。また、中間転写ベルト72を介して駆動ローラ74に対向する位置には、2次転写ローラ80が配置されており、中間転写ベルト72と2次転写ローラ80との間のニップ域(2次転写ニップ部)を用紙が通過することによって、中間転写ベルト72に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0183】
これらのカラー用の画像形成部30Bの各コンポーネントは、カラー用のプロセスフレーム200Bに支持される。
【0184】
次に、
図23および
図24を参照して、カラー用の樹脂フレーム90Bの概略構成について説明する。
図23および
図24に示すように、カラー用の樹脂フレーム90Bは、搬送フレーム100、カラー用のプロセスフレーム200Bおよび定着フレーム300を含む。
【0185】
なお、モノクロ用の樹脂フレーム90Aとカラー用の樹脂フレーム90Bとでは、プロセスフレーム200の形状が異なるだけである。したがって、カラー用の樹脂フレーム90Bでは、モノクロ用の樹脂フレーム90Aに含まれる搬送フレーム100および定着フレーム300と同じものを用いる(共用する)ことができる。
【0186】
さらに、モノクロ用のプロセスフレーム200Aと、カラー用のプロセスフレーム200Bとは、前面側フレーム位置決め部204、背面側フレーム位置決め部206、前面側案内部220および背面側案内部222の構成は同じである。
【0187】
したがって、カラー用の樹脂フレーム90Bにおいても、搬送フレーム100とカラー用のプロセスフレーム200Bとの位置決めおよび取付構造、プロセスフレーム200Bと定着フレーム300との位置決めおよび取付構造、搬送フレーム100と定着フレーム300との位置決めおよび取付構造のそれぞれについては、第1実施例と同じであるので、説明を省略する。また、カラー用の樹脂フレーム90Bでは、搬送フレーム100と定着フレーム300との位置決めをするための連結部材400についてもモノクロ用の樹脂フレーム90Aと同じものを用いることができる。
【0188】
ただし、カラー用の樹脂フレーム90B(カラー用の画像形成部30B)が適用される場合には、駆動ユニット500については、モノクロ用の駆動ユニット500A(第1実施例の駆動ユニット500と同じ)に代えて、カラー用の駆動ユニット500Bが用いられる。なお、
図24は、第2実施例の形態をカラー用に適用したものを表示しているので、画像形成部30Bの各コンポーネントは、カラー用のプロセスフレーム200Bではなく、カラー用の位置決めフレーム700Bに支持される。またカラー用の駆動ユニット500Bは、カラー用の位置決めフレーム700Bによって位置決めと固定がなされる。カラー用の位置決めフレームBの搬送フレーム100への位置決め取付構造は、第2実施例と同じであるため説明は省略する。また、カラー用の位置決めフレーム700Bは、複数のプロセスユニット68と中間転写ベルトユニット70(詳しくは中間転写ベルトの駆動ローラ74)を支持するために、複数の軸受案内部材752K、752C,752M、752Y、750とを備える点で、モノクロ用の位置決めフレーム700Aと異なるが、軸受案内部材の数が異なるだけで得られる効果は、第2実施例で説明した内容と同じである。
【0189】
以下、
図25~
図28を参照して、カラー用の駆動ユニット500Bの詳細構成について説明する。
【0190】
図25~
図27に示すように、カラー用の駆動ユニット500Bは、第1駆動源502、第2駆動源504、第3駆動源506、搬送駆動機構510、定着駆動機構514、第2プロセス駆動機構516、第3プロセス駆動機構518およびカラー用の駆動フレーム600Bを含む。このカラー用の駆動ユニット500Bは、樹脂フレーム90の後端部(背面)に取り付けられる。
【0191】
第2プロセス駆動機構516は、第2駆動源504からの回転駆動力を、カラー用の画像形成部30Bに含まれる各種回転体のうち、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の画像ステーションに含まれる回転体に伝達するための機構である。
【0192】
第3プロセス駆動機構518は、第3駆動源506からの回転駆動力を、カラー用の画像形成部30Bに含まれる各種回転体のうち、ブラック(K)の画像ステーションに含まれる回転体および中間転写ベルトユニット70(駆動ローラ74)に伝達するための機構である。
【0193】
すなわち、第2駆動源504の回転駆動力は、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の画像ステーションに含まれる回転体に伝達され、第3駆動源506の回転駆動力は、ブラック(K)の画像ステーションに含まれる回転体および駆動ローラ74に伝達される。また、第3実施例では、第1駆動源502の回転駆動力は、搬送駆動機構510および定着駆動機構514にのみ伝達される。
【0194】
次に、カラー用の駆動フレーム600Bの構成について説明する。カラー用の駆動フレーム600Bは、第1支持フレーム602、カラー用の位置決めフレーム700Bおよび第2支持フレーム800を含む。なお、カラー用の駆動フレーム600Bでは、モノクロ用の駆動フレーム600A(第1実施例の駆動フレーム600と同じ)に含まれる第1支持フレーム602と同じものを用いることができる。
【0195】
ただし、第3実施例では、第1支持フレーム602は、第1駆動源502、第3駆動源506、搬送駆動機構510、第3プロセス駆動機構518および定着駆動機構514を支持する。
【0196】
また、第1実施例では説明を省略したが、
図27に示すように、第1支持フレーム602は、第3位置決め固定部608および第4位置決め固定部610を含む。ただし、第3位置決め固定部608および第4位置決め固定部610は、左右方向において第3プロセス駆動機構518および定着駆動機構514の外側であって、第1位置決め固定部604の反対側(左端部)に設けられる。
【0197】
第3位置決め固定部608は、後方に向かって突出する嵌合突部6080と、第2支持フレーム固定用ねじ800aが固定されるねじ穴6082とを含む。また、第4位置決め固定部610は、後方に向かって突出する嵌合突部6100と、第2支持フレーム固定用ねじ800aが固定されるねじ穴6102とを含む。
【0198】
図26および
図27に示すように、カラー用の位置決めフレーム700Bは、左右方向に延びるように形成され、第1実施例で説明した搬送フレーム係合部702および第1位置決め固定部704に加えて、第3位置決め固定部708をさらに含む。なお、カラー用の位置決めフレーム700Bには、第1実施例で説明した第2位置決め固定部706は含まれない。また、カラー用の位置決めフレーム700Bは、樹脂フレーム90(搬送フレーム100)の背面に取り付けられる。
【0199】
第3位置決め固定部708は、左右方向において第1位置決め固定部704の反対側(左端部)に設けられる。第3位置決め固定部708は、後述する嵌合突部8060に対応する嵌合孔7080と、2つのねじ穴8062,8064に対応する位置に形成される締結孔7082、7084とを含む。
【0200】
図26および
図27に示すように、第2支持フレーム800は、第1支持フレーム602の背面側に着脱可能に取り付けられる。すなわち、カラー用の位置決めフレーム700Bおよび第2支持フレーム800は、第1支持フレーム602を前後から挟み込むように設けられる。また、第2支持フレーム800は、第2駆動源504および第2プロセス駆動機構516を支持する。
【0201】
さらに、第2支持フレーム800は、第1位置決め固定部802、第2位置決め固定部804および第3位置決め固定部806を含む。
【0202】
ただし、第1位置決め固定部802および第2位置決め固定部804は、カラー用の位置決めフレーム700Bの長手方向(左右方向)において第2支持フレーム800の一方の端部(本実施例では右端部)に設けられる。また、第3位置決め固定部806は、左右方向において第2支持フレーム800の他方の端部(本実施例では左端部)に設けられる。さらに、第1位置決め固定部802は、上下方向において第2支持フレーム800の一方の端部(本実施例では上端部)に設けられ、第2位置決め固定部804は、上下方向において第2支持フレーム800の他方の端部(本実施例では下端部)に設けられる。
【0203】
第1位置決め固定部802は、第1支持フレーム602の第3位置決め固定部608に対応する位置に設けられ、第3位置決め固定部608の嵌合突部6080に対応する嵌合孔8020と、第3位置決め固定部608のねじ穴6082に対応する位置に形成される締結孔8022とを含む。
【0204】
第2位置決め固定部804は、第1支持フレーム602の第4位置決め固定部610に対応する位置に設けられ、第4位置決め固定部610の嵌合突部6100に対応する嵌合孔8040と、第4位置決め固定部610のねじ穴6102に対応する位置に形成される締結孔8042とを含む。
【0205】
そして、嵌合突部6080と嵌合孔8020とが嵌合し、嵌合突部6100と嵌合孔8040とが嵌合することによって、第1支持フレーム602に対する第2支持フレーム800の位置が決まる。また、第2支持フレーム800は、締結孔8022、8042を介してねじ穴6082,6102に第2支持フレーム固定用ねじ800aが固定されることによって第1支持フレーム602に取り付けられる。
【0206】
第3位置決め固定部806は、カラー用の位置決めフレーム700Bの第3位置決め固定部708に対応する位置に設けられ、第3位置決め固定部708の嵌合孔7080に対応し、前方に突出する嵌合突部8060と、第3位置決め固定部708の締結孔7082、7084に対応する位置に形成されるねじ穴8062,8064とを含む。
【0207】
そして、嵌合突部8060と嵌合孔7080とが嵌合することによって、カラー用の位置決めフレーム700Bに対する第2支持フレーム800の位置が決まる。また、第2支持フレーム800は、締結孔7082、7084を介してねじ穴8062,8064に第2支持フレーム固定用ねじ700aが固定されることによってカラー用の位置決めフレーム700Bに取り付けられる。
【0208】
以上のように、第1支持フレーム602、カラー用の位置決めフレーム700Bおよび第2支持フレーム800が互いに取り付けられることによって、カラー用の駆動フレーム600Bを構成する。
【0209】
上述したように、モノクロ用の駆動フレーム600Aとカラー用の駆動フレーム600Bとでは、同じ第1支持フレーム602を用いることができる。そして、第1支持フレーム602に、モノクロ用の位置決めフレーム700Aと、カラー用の位置決めフレーム700Bおよび第2支持フレーム800とを選択的に取り付けることによって、駆動ユニット500の仕様を変更することができる。このことは、第1支持フレーム602に、それぞれの仕様に応じた取付孔を設けているからである。
【0210】
図28(A)および
図28(B)に示すように、第1支持フレーム602には、第1取付孔6020、第2取付孔6022および第3取付孔6024が設けられる。たとえば、モノクロ用の駆動ユニット500Aでは、第3取付孔6024に第1駆動源502が取り付けられ、第1取付孔6020および第2取付孔6022については使用されない。一方、カラー用の駆動ユニット500Bでは、第1取付孔6020に第1駆動源502が取り付けられ、第2取付孔6022に第3駆動源506が取り付けられ、第3取付孔6024については使用されない。
【0211】
このように、第1支持フレーム602には、想定される仕様に応じてモータの取付孔が予め設けられている。また、詳しい説明は省略するが、第1支持フレーム602には、モータの取付孔だけでなく、プーリおよび歯車等のシャフト(回転支軸)が取り付けられる取付孔や作業孔等についても、想定される画像形成装置10の仕様に応じて予め設けられている。
【0212】
次に、
図26、
図29および
図30を参照して、カラー用の画像形成部30Bにおける各感光体ドラム36の位置決め構造および中間転写ベルトユニット70の位置決め構造について説明する。
【0213】
図26に示すように、カラー用の位置決めフレーム700Bの前面には、それぞれ樹脂材料で形成された転写ユニット用の軸受案内部材750と感光体ドラム用の軸受案内部材752が取り付けられる。転写ユニット用の軸受案内部材750は、第3プロセス駆動機構518に含まれる、転写ユニット駆動用のギヤ(転写ユニット用の駆動ギヤ)の正面に設けられる。感光体ドラム用の軸受案内部材752は、各色の画像ステーションに対応するように、4つの軸受案内部材752Y、752M、752C、752Kを含む。軸受案内部材752Y、752M、752C、752Kのそれぞれは、各色の感光体ドラム駆動用のギヤ(感光体ドラム用の駆動ギヤ)の正面に設けられる。
【0214】
また、転写ユニット用の軸受案内部材750は、転写ユニット用の駆動ギヤの中心軸と同軸に形成され、前方に突出する略円筒状の軸受案内部7500を有する。感光体ドラム用の軸受案内部材752は、感光体ドラム用の駆動ギヤの中心軸と同軸に形成され、前方に突出する略円筒状の軸受案内部7520を有する。
【0215】
そして、
図30に示すように、転写ユニット用の軸受案内部材750の軸受案内部7500に中間転写ベルトユニット70の駆動ローラ74の背面側の軸受74aが嵌合されることによって、駆動ローラ74の駆動軸を中心に、中間転写ベルトユニット70の後端部の位置が決まる。図中の矢印Aは、中間転写ベルトユニット70の取付け方向である。
【0216】
また、中間転写ベルトユニット70の前端部には、カラー用の位置決めフレーム700Bに対する位置決め部82が設けられる。この位置決め部82は、中間転写ベルトユニット70の左右方向の両端部に設けられる。位置決め部82は、たとえば嵌合突起と嵌合孔の組み合わせであり、嵌合突起および嵌合孔の一方が中間転写ベルトユニット70の前端部に設けられ、他方がカラー用の位置決めフレーム700Bに設けられる。この位置決め部82によって、中間転写ベルトユニット70の前端部の位置が決まる。
【0217】
図29に示すように、感光体ドラム用の軸受案内部材752の軸受案内部7520に各色の画像ステーションに含まれる感光体ドラム36の軸受36bが嵌合されることによって、感光体ドラム36の駆動軸を中心に、各感光体ドラム36の後端部の位置が決まる。
【0218】
また、
図29および
図30に示すように、各感光体ドラム36の前方には、前面側位置決め部材754が設けられる。前面側位置決め部材754には、色の画像ステーションに含まれる感光体ドラム36のそれぞれに対応する複数の位置決め部756と、回動軸部758とを含む。
【0219】
回動軸部758は、左右方向に延びる回転軸を中心に前面側位置決め部材754の左右の両端部を回動可能に支持する。なお、回動軸部758は、両方がカラー用のプロセスフレーム200Bに取り付けられても良いし、回動軸部758の一方がカラー用のプロセスフレーム200Bに取り付けられ、他方が搬送フレーム100取り付けられても良い。
【0220】
複数の位置決め部756は、各感光体ドラム36の駆動軸36aの前端部に設けられる軸カバー36dに対応する位置に設けられる貫通孔である。各位置決め部756に各感光体ドラム36の軸カバー36dが嵌合されることによって、各色の感光体ドラム36(画像ステーション)の前端部の位置が決まる。すなわち、各色の画像ステーションに含まれる感光体ドラム36同士の間隔が決まる(管理される)。
【0221】
以上のように構成された第3実施例によれば、駆動機構をそれぞれ有するモノクロ用の駆動ユニット500Aおよびカラー用の駆動ユニット500Bのいずれも、樹脂フレーム90(樹脂枠体)の一方の面(背面)に取り付けられる位置決めフレーム700を含むので、樹脂フレームに対する駆動ユニット取付時の作業性の向上を図ることができる。
【0222】
つまり、各駆動ユニットを構成する駆動機構を支持する板金部材の樹脂フレーム90への取付作業性を向上できる。
【0223】
そして、位置決めフレーム700は、プロセスユニット68が位置決めされる位置決め部710、750、752を有するので、樹脂フレーム90に対して、精度良く回転体を支持しつつ、確実に回転体に駆動力を伝達できる駆動機構を支持する板金部材の取付作業性を向上できる。
【0224】
また、第3実施例によれば、画像形成装置10の仕様に合わせて、仕様が異なるプロセスフレーム200および仕様が異なる駆動ユニット500を選択的に備えるようにしたので、容易に装置の仕様を変更することができる。詳しくは、搬送フレーム100および定着フレーム300は仕様に関わらず用いることができ、プロセスフレーム200を変更するだけで、樹脂フレーム90の仕様を変更することができる。また、駆動ユニット500が備える第1支持フレーム602は仕様に関わらず用いることができ、第1支持フレーム602に取り付ける位置決めフレーム700を変更するだけで、駆動フレーム600つまり駆動ユニット500の仕様を変更することができる。言い換えると、樹脂枠体(フレーム)の仕様に応じた駆動機構を支持する板金部材の樹脂枠体(フレーム)への取付作業性を向上できる。特に、樹脂枠体(フレーム)の仕様が変わっても、精度良く回転体を支持し確実に回転体に駆動力を伝達できる駆動機構を支持する板金部材を、作業性よく樹脂枠体(フレーム)へ取付けることができる。
【0225】
なお、上記の各実施例では、画像形成装置が複合機として構成されているが、本発明の画像形成装置は、プリンタ、複写機またはファクシミリとして構成されてもよい。
【0226】
また、上述の実施例で挙げた具体的な形状等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0227】
10 …画像形成装置
12 …筐体
30 …画像形成部
56 …レジストローラ
100…搬送フレーム
104…前面側フレーム位置決め部
106…背面側フレーム位置決め部
200…プロセスフレーム
204…前面側フレーム位置決め部
206…背面側フレーム位置決め部
300…定着フレーム