(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】壁面設置用水平材の出隅構造
(51)【国際特許分類】
E04F 19/04 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
E04F19/04 101D
(21)【出願番号】P 2019149283
(22)【出願日】2019-08-16
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】514137573
【氏名又は名称】ガリレイパネルクリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】黒田 義憲
(72)【発明者】
【氏名】羽淵 崇之
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-144401(JP,A)
【文献】特開2015-135037(JP,A)
【文献】特開2003-119995(JP,A)
【文献】特開2007-285049(JP,A)
【文献】実開昭63-167537(JP,U)
【文献】特開2011-208468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/04
E04C 2/30
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出隅部を構成する2つの壁面に2つの水平材が連続するように設置されており、
2つの水平材の隣接する端面は、留め継ぎ可能な角度に切断された傾斜端面よりなり、
2つの水平材の傾斜端面どうしの間に板状のスペーサが介在されており、
スペーサは、2つの水平材の傾斜端面から外面側に食み出した食み出し縁部を有して
おり、
スペーサが、水平材よりも強度の高い材料よりなる、壁面設置用水平材の出隅構造。
【請求項2】
スペーサが、2つの水平材の傾斜端面に、接着および機械的接合のうち少なくともいずれか一方によって接合一体化されている、請求項1記載の壁面設置用水平材の出隅構造。
【請求項3】
各水平材が、その長さ方向に沿ってのびかつ傾斜端面に一端が開口した孔または溝よりなるピン挿入部を有しており、
スペーサにピン挿通孔が形成されており、
L形ピンが、スペーサのピン挿通孔に挿通されているとともに、2つの水平材のピン挿入部にまたがって挿入されている、請求項2記載の壁面設置用水平材の出隅構造。
【請求項4】
出隅部を構成する2つの壁面に2つの水平材が連続するように設置されており、
2つの水平材の隣接する端面は、留め継ぎ可能な角度に切断された傾斜端面よりなり、
2つの水平材の傾斜端面どうしの間に板状のスペーサが介在されており、
スペーサは、2つの水平材の傾斜端面から外面側に食み出した食み出し縁部を有しており、
2つの水平材が、床面上を移動する移動体との接触による衝撃から2つの壁面を保護するためのガード材であって、それぞれ金属形材、樹脂形材または木材よりなり、
スペーサが、ガード材よりも強度の高い材料よりなり、
スペーサの食み出し縁部が、移動体と接触しうる箇所に設けられている、
壁面設置用水平材の出隅構造。
【請求項5】
各水平材が、各壁面に沿って配置される後壁部と、後壁部の上端縁から前斜め下方にのびる上壁部と、上壁部の前端縁から下方にのびる前壁部と、前壁部の下端縁と後壁部の下端縁との間に設けられた水平な下壁部とを備えており、
スペーサの食み出し縁部が、各水平材の上壁部および前壁部によって構成される傾斜端面の上辺部および前辺部から外面側に食み出すように設けられている、請求項4記載の壁面設置用水平材の出隅構造。
【請求項6】
スペーサの食み出し縁部の幅が0.5~1mmである、請求項4または5記載の壁面設置用水平材の出隅構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、壁面を移動体との接触による衝撃から保護したり、壁面の一部を被覆して装飾したりするために壁面に水平方向に設置される水平材に関し、より詳細には、出隅部を構成する2つの壁面にまたがって設置される水平材の出隅構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品加工施設や物流施設では、施設の巨大化に伴って台車やフォークリフト等の搬送機器が使用されるケースが増加している。
このような施設においては、例えば断熱パネル等よりなる壁面に台車等が衝突して壁面が損傷するのを防止するために、壁面の所要高さ位置に水平なガード材が設置されるようになっている。ガード材の材料としては、木材、樹脂形材、アルミニウム等の金属形材が一般に使用されている。また、ガード材と同様に壁面に水平に設置されるものとして、壁面における床面との境界部に設置される巾木や、壁面における天井面との境界部に設置される廻り縁なども知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
また、所定角度(例えば90°)をなして交差する2つの壁面により構成される出隅部においては、上述したガード材、巾木、廻り縁等の水平材が、両壁面にまたがるように連続して設置されるようになっている。
より具体的には、例えば、2つの壁面にそれぞれ設置される2つの水平材の隣接する端面を、留め継ぎ可能な角度(例えば45°)に切断した傾斜端面として、両水平材の傾斜端面どうしを突き合わせたものが知られている。
また、2つの水平材の隣接する端面どうしの間に、例えば樹脂、ダイキャスト等の成形品よりなる出隅材を介在固定したものも知られている(例えば下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5740024号公報
【文献】特開2007-285049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した留め継ぎによる水平材の出隅構造によれば、優れた意匠性が得られる反面、両水平材の突き合わせられた傾斜端面の稜角部が鋭利な状態で露出し、同部分に作業者や物品等が接触すると怪我や損傷を負う危険性があった。そのため、上記稜角部を被覆材で覆ったり、切削して角を落としたりする方策が採られる場合がある。しかしながら、傾斜端面の稜角部を被覆材で覆うと、意匠性が損なわれるおそれがあった。また、同稜角部を切削する場合、現場での作業負担が増大する上、水平材が例えば表面処理されたアルミニウム形材よりなる場合には、表面処理層も削り落とされるため、耐食性や意匠性が損なわれるおそれがあった。
一方、水平材とは別の出隅材を使用した出隅構造の場合、水平材の端面の鋭利な稜角部が形成されないため、安全性は確保されるが、水平材の材料と異なる材料によって出隅材が構成されることも多く、それによって意匠性が損なわれ、また、コストも高くなるという問題があった。
【0006】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、意匠性および安全性に優れている上、コストも抑えられる、壁面設置用水平材の出隅構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0008】
1)出隅部を構成する2つの壁面に2つの水平材が連続するように設置されており、
2つの水平材の隣接する端面は、留め継ぎ可能な角度に切断された傾斜端面よりなり、
2つの水平材の傾斜端面どうしの間に板状のスペーサが介在されており、
スペーサは、2つの水平材の傾斜端面から外面側に食み出した食み出し縁部を有している、壁面設置用水平材の出隅構造。
【0009】
2)スペーサが、2つの水平材の傾斜端面に、接着および機械的接合のうち少なくともいずれか一方によって接合一体化されている、上記1)の壁面設置用水平材の出隅構造。
【0010】
3)各水平材が、その長さ方向に沿ってのびかつ傾斜端面に一端が開口した孔または溝よりなるピン挿入部を有しており、
スペーサにピン挿通孔が形成されており、
L形ピンが、スペーサのピン挿通孔に挿通されているとともに、2つの水平材のピン挿入部にまたがって挿入されている、上記2)の壁面設置用水平材の出隅構造。
【0011】
4)2つの水平材が、床面上を移動する移動体との接触による衝撃から2つの壁面を保護するためのガード材であって、それぞれ金属形材、樹脂形材または木材よりなり、
スペーサが、ガード材よりも強度の高い材料よりなり、
スペーサの食み出し縁部が、移動体と接触しうる箇所に設けられている、上記1)~3)のいずれか1つの壁面設置用水平材の出隅構造。
【0012】
5)各水平材が、各壁面に沿って配置される後壁部と、後壁部の上端縁から前斜め下方にのびる上壁部と、上壁部の前端縁から下方にのびる前壁部と、前壁部の下端縁と後壁部の下端縁との間に設けられた水平な下壁部とを備えており、
スペーサの食み出し縁部が、各水平材の上壁部および前壁部によって構成される傾斜端面の上辺部および前辺部から外面側に食み出すように設けられている、上記4)の壁面設置用水平材の出隅構造。
【0013】
6)スペーサの食み出し縁部の幅が0.5~1mmである、上記4)または5)の壁面設置用水平材の出隅構造。
【0014】
なお、この発明を特定するに当たり、「水平」とは、水平面に対する角度が0°である場合に限らず、水平面に対して比較的緩やかな角度で傾斜している場合も含まれるものとする。
同様に、2つの壁面によって構成される「出隅部」は、平面より見て直角(90°)である場合の他、鋭角または鈍角である場合も含まれるものとする。
また、「前」とは壁面から離れる方向(例えば
図3の右)をいい、「後」とは壁面に近づく方向(例えば
図3の左)をいうものとする。
【発明の効果】
【0015】
上記1)の壁面設置用水平材の出隅構造によれば、留め継ぎとほぼ同様の外観を呈するものとなるので、優れた意匠性が得られる。また、同出隅構造によれば、スペーサの食み出し縁部によって、2つの水平材の傾斜端面の稜角部を隠すことができるので、現場での切削加工等を要することなく、同傾斜端面の稜角部との接触による作業員の怪我や物品の損傷等が防止され、安全性が確保される。さらに、同出隅構造によれば、2つの水平材の他に、板状のスペーサを使用するだけであるので、コストも抑えられる。
【0016】
上記2)の壁面設置用水平材の出隅構造によれば、例えば2つの水平材とスペーサとを工場で予め接合一体化した状態で現場に搬入することが可能となり、それによって施工性を高めることができる。
【0017】
上記3)の壁面設置用水平材の出隅構造によれば、L形ピンによって2つの水平材の傾斜端面およびスペーサの位置合わせを容易に行うことができ、両水平材およびスペーサを接合一体化する際の施工性が向上する。
【0018】
上記4)の壁面設置用水平材の出隅構造によれば、ガード材の出隅構造として、意匠性、安全性および耐久性に優れたものが低コストで得られる。
【0019】
上記5)の壁面設置用水平材の出隅構造によれば、移動体と接触する可能性のある両ガード材の傾斜端面の上辺部および前辺部が、高強度の金属板材よりなるスペーサの食み出し縁部によって保護されるため、移動体との接触による水平材の傾斜端面の損傷が軽減され、水平材の耐久性が高められる。また、同出隅構造によれば、ガード材のうち移動体と接触する可能性の高い前壁部の面積を比較的大きくすることができるので、)
【0020】
上記6)の壁面設置用水平材の出隅構造によれば、スペーサの食み出し縁部による効果、すなわち、傾斜端面の稜角部との接触による作業員の怪我や物品の損傷等を防止する効果、および移動体との接触による水平材の傾斜端面の損傷を軽減して水平材の耐久性を高める効果が確実に得られるとともに、大きく食み出した食み出し縁部によって意匠性が損なわれるのが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明の実施形態に係るガード材の出隅構造を示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う垂直断面図である。
【
図4】同出隅構造における2つのガード材およびスペーサの接合部分を裏側から見た斜視図である。
【
図6】
図5のVI-VI線に沿う水平断面図である。
【
図7】
図5のVII-VII線に沿う水平断面図である。
【
図8】同接合部分の構成要素を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施形態を、
図1~
図8を参照しながら以下に説明する。
図示の実施形態は、この発明を、例えば食品加工施設や物流施設において出隅部を構成する2つの壁面にまたがるように設置されて、床面を移動する台車等の移動体との接触による衝撃から各壁面を保護するガード材(水平材)の出隅構造に適用したものである。
【0023】
2つの壁面(1A)(1B)は、直角に交差するように設けられており、出隅部(10)の角度が90°となされている。
各壁面(1A)(1B)は、断熱パネル(11)の一方の面によって構成されている。断熱パネル(11)の下縁部は、床面(G)に固定された横断面略U形の下枠材(12)に嵌め入れられて保持されている。
各壁面(1A)(1B)の下端縁部、すなわち床面(G)との境界部には、巾木(13)が設置されている。
【0024】
2つの壁面(1A)(1B)の下部の所要高さ位置(例えば、床面(G)から約100~1500mmの高さ位置)に、2つのガード材(2A)(2B)が互いに連続するように水平方向に設置されている。
両ガード材(2A)(2B)の隣接する端面は、留め継ぎ可能な角度(ここでは45°)に切断された傾斜端面(20)よりなる(
図6,7参照)。
両ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)どうしの間には、板状のスペーサ(3)が介在されている。スペーサ(3)は、両ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)から外面側に食み出した食み出し縁部(30)を有している。
【0025】
各ガード材(2A)(2B)は、好ましくは金属形材よりなり、より好ましくは、軽量であって加工性に優れているアルミニウム押出形材よりなる。ただし、樹脂形材や木材等によって、ガード材を形成することも可能である。
【0026】
各ガード材(2A)(2B)は、各壁面(1A)(1B)に沿って配置される後壁部(21)と、後壁部(21)の上端縁から前斜め下方にのびる上壁部(22)と、上壁部(22)の前端縁から下方にのびる前壁部(23)と、前壁部(23)の下端縁と後壁部(21)の下端縁との間に設けられた水平な下壁部(24)とを備えている。後壁部(21)には、その上下幅中間部分に、後方に開口した凹溝部(211)が形成されている。凹溝部(211)の上側開口縁には、下方に向かって短くのびる垂下部(212)が形成されている。上壁部(22)の水平面に対する傾斜角度は、30~45°程度の範囲で設計されるが、好ましくは45°とされる。上記傾斜角度とすれば、上壁部(22)上面への塵埃等の堆積が低減されるとともに、上壁部(22)の幅が大きくなりすぎない。前壁部(23)には、その下縁部分が後ろ下がりに傾斜させられることにより、面取り部(231)が形成されている。この実施形態のガード材(2A)(2B)の場合、下壁部(24)が水平となされていることから、台車等の移動体と接触する可能性の高い前壁部(23)の面積を比較的大きくすることができ、それによって壁面(1A)(1B)の保護効果が高められる。
また、各ガード材(2A)(2B)の内部には、水平な上仕切壁部(25)および下仕切壁部(26)が形成されている。上仕切壁部(25)は、前壁部(23)の上端縁と凹溝部(211)底面の上側縁との間に設けられている。下仕切壁部(26)は、前壁部(23)の上下幅中間部と凹溝部(211)底面の上下幅中間部との間に設けられている。
上仕切壁部(25)下面の前後幅中央部には、ガード材(2A)(2B)の長さ方向に沿ってのびる横断面略C形の溝よりなるピン挿入部(27)が形成されている。下壁部(24)上面の前後幅中央部にも、ガード材(2A)(2B)の長さ方向に沿ってのびる横断面略C形の溝よりなるピン挿入部(28)が形成されている。なお、ピン挿入部は、ガード材(2A)(2B)の長さ方向に沿ってのびる横断面円形等の孔によって形成されてもよい。
両ピン挿入部(27)(28)の一端は、各ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)に開口させられている。また、両ピン挿入部(27)(28)の他端は、各ガード材(2A)(2B)のもう一方の端面に開口させられており、例えば、同端面に端部カバー(図示略)を取り付けるタッピングネジをねじ込むためのネジ孔として使用されるようになっている。
【0027】
各ガード材(2A)(2B)は、その垂下部(212)が壁面(1A)(1B)の所要高さ位置に取り付けられた横断面略クランク形の取付金具(14)の上方に開口したポケット部(141)に挿入されるとともに、下壁部(24)下面の後縁部が巾木(13)の上端縁によって受けられることにより、壁面(1A)(1B)に水平に取り付けられている(
図3参照)。
なお、ガード材(2A)(2B)の壁面(1A)(1B)への取付手段は、上記には限定されず、その他の適宜の手段により取り付けてもよい。
【0028】
スペーサ(3)は、ガード材(2A)(2B)を形成する材料よりも高い強度を有する高強度板材によって形成されるのが好ましい。具体的には、例えばガード材(2A)(2B)が金属形材よりなる場合、スペーサ(3)は、同金属形材よりも強度が高い金属板材、好ましくは、強度および耐候性に優れたステンレス鋼(SUS)板材によって形成される。スペーサ(3)の厚みは、好ましくは2~3mmとなされる。上記厚みが2mm未満であると、スペーサ(3)自体が損傷してガードとしての機能を果たせなくなるおそれがあり、一方、上記厚みが3mmを越えるとガード材(2A)(2B)の出隅部の意匠性が損なわれるおそれがある。
スペーサ(3)の形状は、ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)の外形輪郭とほぼ同一の略四角形となされている。スペーサ(3)の後縁部は、傾斜端面(20)の凹溝部(211)に対応する上下長さ中間部分が切り欠かれている。
スペーサ(3)の食み出し縁部(30)は、台車等の移動体と接触しうるように、各ガード材(2A)(2B)の上壁部(22)および前壁部(23)によって構成される傾斜端面(20)の上辺部および前辺部から外面側に食み出すように設けられている。つまり、スペーサ(3)は、その上縁部および前縁部が、傾斜端面(20)の上辺部および前辺部と比べて、食み出し縁部(30)の幅の分だけ外方に張り出すような形状および大きさを有している。これにより、両ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)の稜角部との接触による作業員の怪我や物品の損傷等を確実に防止することができ、また、台車等の移動体との接触による両ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)の損傷が軽減され、ガード材(2A)(2B)の耐久性が高められる。
食み出し縁部(30)の幅は、0.5~1mmとなされているのが好ましい。食み出し縁部(30)の幅が0.5mm未満であると、上述した食み出し縁部(30)による効果が十分に得られないおそれがある。一方、食み出し縁部(30)の幅が1mmを超えると、大きく食み出した食み出し縁部(30)によって意匠性が損なわれるおそれがある。
また、スペーサ(3)には、両ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)の2つのピン挿入部(27)(28)に対応する箇所に、ピン挿通孔(31)が形成されている。
【0029】
好ましくは、スペーサ(3)は、2つのガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)に、接着および機械的接合のうち少なくともいずれか一方の手段によって接合一体化されている。
この実施形態では、平面よりみてL形の連結金具(5)を用いて、スペーサ(3)および両ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)が機械的に接合されている。
より詳細に言うと、まず、スペーサ(3)の2つのピン挿通孔(31)にそれぞれL形ピン(4)が挿通されるととともに、両L形ピン(4)の一方の半部(41A)が一方のガード材(1A)の2つのピン挿入部(27)(28)に挿入され、両L形ピン(4)の他方の半部(41B)が他方のガード材(2B)の2つのピン挿入部(27)(28)に挿入されている。これにより、スペーサ(3)と両ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)との位置合わせおよび仮連結が行われる。
次いで、連結金具(5)を、両ガード材(2A)(2B)の隣接する端部における凹溝部(211)の底面にまたがるようにビス(6)で取り付ける。こうして、スペーサ(3)および両ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)が接合一体化される。したがって、これらの接合工程を予め工場で行なっておけば、現場での作業負担が軽減され、ガード材(2A)(2B)の壁面(1A)(1B)への設置を簡単に効率良く行うことができる。
なお、上述した連結金具(5)による機械的接合に加えて、スペーサ(3)と両ガード材(2A)(2B)の傾斜端面(20)とを接着剤を用いて接着するようにしてもよい。
また、スペーサおよびガード材の材料によっては、意匠性に影響を与えない限りにおいて、例えば溶接やろう接等のその他の接合手段を代用または併用してもよい。
【0030】
上述した実施形態は例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載されたこの発明の要旨に変更を加えない範囲において、適宜に変更を加えた上で、この発明を実施することも勿論可能である。
例えば、この発明は、上述したガード材の出隅構造の他、巾木や周り縁などの出隅構造としても同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、出隅部を構成する2つの壁面にまたがって水平方向に設置されるガード材、巾木、廻り縁等の水平材の出隅構造として、好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0032】
(1A)(1B):壁面
(10):出隅部
(2A)(2B):ガード材(水平材)
(20):傾斜端面
(21):後壁部
(22):上壁部
(23):前壁部
(24):下壁部
(27)(28):ピン挿入部
(3):スペーサ
(30):食み出し縁部
(31):ピン挿通孔
(4):L形ピン
(5):連結金具
(6):ビス