(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】洗浄システム
(51)【国際特許分類】
A47L 15/24 20060101AFI20231019BHJP
A47L 15/42 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A47L15/24
A47L15/42 Z
(21)【出願番号】P 2019234847
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕司
(72)【発明者】
【氏名】堀 史幸
(72)【発明者】
【氏名】木全 祐也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 佐紀
(72)【発明者】
【氏名】水村 秀一
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-027458(JP,U)
【文献】特開2005-245628(JP,A)
【文献】国際公開第2018/034252(WO,A1)
【文献】特開2006-305119(JP,A)
【文献】米国特許第04697711(US,A)
【文献】特開平03-041922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00-21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、前記洗浄機に前記被洗浄物を収容するラックを搬入する搬入装置と、前記洗浄機から搬出される前記ラックをワゴンに搬入するリフト装置と、前記洗浄機から前記リフト装置に前記ラックを搬出する搬出装置と、を備えた洗浄システムであって、
前記洗浄機は、前記ラックが載置されるラックレールを備え、
前記ラックレールは、前記洗浄機に配置されたときに前記搬入装置が接続される方向に配置される第1載置部と、前記洗浄機に配置されたときに前記リフト装置が接続される方向に配置される第2載置部と、前記第2載置部と対向かつ前記第1載置部に交差する第3載置部と、前記第1載置部に対向かつ前記第2載置部及び前記第3載置部に交差する第4載置部と、を含む枠部を有しており、
前記第2載置部において前記ラックが載置される載置面は、前記枠部の外側から内側に向かって下方に傾斜する傾斜部が形成されて
おり、
前記ラックレールは、前記第1載置部の載置面が前記搬入装置における前記ラックの載置面よりも低くなるように配置されている、洗浄システム。
【請求項2】
洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、前記洗浄機に前記被洗浄物を収容するラックを搬入する搬入装置と、前記洗浄機から搬出される前記ラックをワゴンに搬入するリフト装置と、前記洗浄機から前記リフト装置に前記ラックを搬出する搬出装置と、を備えた洗浄システムであって、
前記洗浄機は、前記ラックが載置されるラックレールを備え、
前記ラックレールは、前記洗浄機に配置されたときに前記搬入装置が接続される方向に配置される第1載置部と、前記洗浄機に配置されたときに前記リフト装置が接続される方向に配置される第2載置部と、前記第2載置部と対向かつ前記第1載置部に交差する第3載置部と、前記第1載置部に対向かつ前記第2載置部及び前記第3載置部に交差する第4載置部と、を含む枠部を有しており、
前記第2載置部において前記ラックが載置される載置面は、前記枠部の外側から内側に向かって下方に傾斜する傾斜部が形成されて
おり、
前記搬入装置には、前記ラックの載置面として摺動部が設けられており、
前記ラックレールは、前記第1載置部の載置面が、前記摺動部における前記ラックの摺動面よりも低くなるように配置されている、洗浄システム。
【請求項3】
前記傾斜部は、前記傾斜部の一端から他端に向かって徐々に水平面に対する角度が緩くなるように形成されている、請求項1
又は2記載の洗浄システム。
【請求項4】
前記第2載置部及び前記第3載置部に接続されると共に前記第1載置部に平行に配列された複数のローラ部材を更に有する、請求項1
~3の何れか一項記載の洗浄システム。
【請求項5】
前記ラックレールは、前記第4載置部に接続されると共に、前記洗浄室に固定するための棒状の接続部が設けられ、
前記洗浄室には、前記接続部を係止する係止部材を更に備えており、
前記係止部材は、前記ラックを載置可能な状態に前記ラックレールを支持する第1係止部と、前記ラックレールを前記洗浄室の背面に立て掛けた状態に支持する第2係止部と、前記第1係止部と前記第2係止部との間に設けられ、前記接続部のスライドを許容するスライド部と、を有している、請求項1~
4の何れか一項記載の洗浄システム。
【請求項6】
前記係止部材は、前記接続部が上方へ移動することを規制する上方規制部が設けられており、前記上方規制部は、前記第1係止部のみに設けられている、請求項
5記載の洗浄システム。
【請求項7】
前記第1係止部は、前記第2係止部よりも低い位置に形成されると共に、前記第1係止部は、前記第2係止部よりも前記搬入装置側に形成されている、請求項
5又は6記載の洗浄システム。
【請求項8】
前記接続部の下方には、洗浄水タンクへの固形物の流入を防止するフィルタが配置されており、
前記接続部は、前記フィルタの上方の空間を広く確保するように折り曲げられている、請求項
5~7の何れか一項記載の洗浄システム。
【請求項9】
前記第3載置部には、前記ラックレールに載置された前記ラックが前記枠部の外側へ飛び出すことを記載する側面案内部が設けられている、請求項1~
8の何れか一項記載の洗浄システム。
【請求項10】
前記第2載置部と前記第3載置部との対向方向を左右方向と定義したとき、前記搬入装置は、前記左右方向において前記右側を基点として左側に延在する第1アームを有しており、
前記洗浄機は、前記洗浄室の後面に配置され、前記ラックを案内する後面案内部を有しており、
前記後面案内部と前記側面案内部とによって誘導される前記洗浄室内における前記ラックの位置は、前記洗浄室内において前記右側にずれている、請求項
9記載の洗浄システム。
【請求項11】
前記第1アームは、前記右側を基点として前記ラックの前記左右方向における中心部よりも左側まで延在している、請求項
10記載の洗浄システム。
【請求項12】
前記後面案内部は、前記ラックを下方から支持する第1部分と前記ラックが接触する第2部分とからなる断面L字状の部材によって形成されている、請求項
10又は
11記載の洗浄システム。
【請求項13】
前記洗浄機は、前記洗浄室を開閉可能なドアを備えており、
前記ドアの内面には、前記洗浄室内の前記ラックの位置を調整する調整部が設けられている、請求項1~
12の何れか一項記載の洗浄システム。
【請求項14】
前記リフト装置への前記ラックの搬出が完了したことを検知する検知部と、
前記搬入装置において前記ラックを押し出す第1アームを駆動するアーム駆動部と、
前記アーム駆動部を制御する制御部と、を更に備え、
前記制御部は、前記検知部によって前記ラックの搬出が完了したことが検知されると、次のラックの搬入を開始するように前記アーム駆動部を制御する、請求項1~
13の何れか一項記載の洗浄システム。
【請求項15】
前記搬出装置は、前記ラックレールに配置される前記ラックを押し出すアームと、前記アームを駆動する駆動部と、を含むユニットとして形成されており、
前記ユニットは、前記洗浄機に対して着脱自在に設けられている、請求項1~
14の何れか一項記載の洗浄システム。
【請求項16】
前記搬出装置は、原点位置に位置する前記アームと前記駆動部とを上方から覆うカバーを有している、請求項
15記載の洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄機に食器(被洗浄物)が収容された食器ラックを搬入する搬入装置と、食器を洗浄する食器洗浄機と、上下方向に配列されると共に食器ラックを収容可能な棚部を有するワゴンと、食器洗浄機によって洗浄された食器をワゴンにおける棚部に搬入するリフト装置と、食器洗浄機から押し出してリフト装置に搬出させる搬出装置と、を備えた洗浄システムが知られている。例えば、特許文献1には、食器洗浄機の前方からラックを搬入させ、食器洗浄機の左方からラックを搬出させる洗浄システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような洗浄システムでは、食器洗浄機の洗浄室の所定位置に正確に搬入させないと食器洗浄機のドアを閉めることができない。また、洗浄機からラックを搬出させるときは、搬出装置によって容易かつ正確に搬出させる必要がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、洗浄機への搬入方向と洗浄機からの搬出方向とが互いに異なる場合であっても、ラックの洗浄機への搬入及び洗浄機からの搬出を正確に行うことができる洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄システムは、洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、洗浄機に被洗浄物を収容するラックを搬入する搬入装置と、洗浄機から搬出されるラックをワゴンに搬入するリフト装置と、洗浄機からリフト装置にラックを搬出する搬出装置と、を備えた洗浄システムであって、洗浄機は、ラックが載置されるラックレールを備え、ラックレールは、洗浄機に配置されたときに搬入装置が接続される方向に配置される第1載置部と、洗浄機に配置されたときにリフト装置が接続される方向に配置される第2載置部と、第2載置部と対向かつ第1載置部に交差する第3載置部と、第1載置部に対向かつ第2載置部及び第3載置部に交差する第4載置部と、を含む枠部を有しており、第2載置部においてラックが載置される載置面は、枠部の外側から内側に向かって下方に傾斜する傾斜部が形成されている。
【0007】
この構成では、第2載置部の載置面が、枠部の外側から内側に向かって傾斜する傾斜部を有している。これにより、搬入装置によって洗浄機にラックが搬入されるとき、すなわち第2載置部の延在方向に沿って洗浄機にラックが搬入されるときには、第2載置部の傾斜部を乗り越えないように洗浄室の前方から後方にラックが案内される。一方、搬出装置によって洗浄機からラックが搬出されるとき、すなわち第2載置部に交差する方向に洗浄機からラックが搬出されるときには、第2載置部を乗り上げるようにラックが案内される。これにより、搬入時には洗浄室の所定位置にラックが正確に誘導され、搬出時には洗浄機から容易にラックを搬出させることができる。この結果、洗浄機への搬入方向と洗浄機からの搬出方向とが互いに異なる場合であっても、ラックの洗浄機への搬入及び洗浄機からの搬出を正確に行うことができる。
【0008】
本発明の洗浄システムでは、傾斜部は、傾斜部の一端から他端に向かって徐々に水平面に対する角度が緩くなるように形成されていてもよい。この構成では、より正確に洗浄機にラックを搬入させることが可能となり、より容易に洗浄機からラックを搬出させることが可能となる。
【0009】
本発明の洗浄システムでは、第2載置部及び第3載置部に接続されると共に第1載置部に平行に配列された複数のローラ部材を更に有していてもよい。この構成では、より容易に洗浄機にラックを搬入させることができる。
【0010】
本発明の洗浄システムでは、ラックレールは、第4載置部に接続されると共に、洗浄室に固定するための棒状の接続部が設けられ、洗浄室には、接続部を係止する係止部材を更に備えており、係止部材は、ラックを載置可能な状態にラックレールを支持する第1係止部と、ラックレールを洗浄室の背面に立て掛けた状態に支持する第2係止部と、第1係止部と第2係止部との間に設けられ、接続部のスライドを許容するスライド部と、を有していてもよい。この構成では、第1係止部から第2係止部にラックレールの接続部をスライドさせることでラックレールの体勢を容易に変えることができる。
【0011】
本発明の洗浄システムでは、係止部材は、接続部が上方へ移動することを規制する上方規制部が設けられており、上方規制部は、第1係止部のみに設けられていてもよい。この構成では、ラックレールを係止部材から容易に取り外すことができる。
【0012】
本発明の洗浄システムでは、第2係止部は、第1係止部よりも高い位置に形成されると共に、第1係止部は、第2係止部よりも搬入装置側に形成されていてもよい。この構成では、接続部よりも後方に第2載置部及び第3載置部が延在する場合であっても、ラックレールを立て掛けたときに第2載置部及び第3載置部が洗浄室に干渉することを回避できる。また、ラックレールを立て掛けるときにはラックレールを手前側に引き出すので、ラックレールを洗浄室の背面にもたれかけさせることができる。
【0013】
本発明の洗浄システムでは、接続部の下方には、洗浄水タンクへの固形物の流入を防止するフィルタが配置されており、接続部は、フィルタの上方の空間を広く確保するように折り曲げられていてもよい。この構成では、洗浄室にラックレールを配置した状態で容易にフィルタを取り除くことができる。
【0014】
本発明の洗浄システムでは、ラックレールは、第1載置部の載置面が搬入装置におけるラックの載置面よりも低くなるように配置されていてもよい。この構成では、搬入装置から洗浄機に容易にラックを搬入させることができる。
【0015】
本発明の洗浄システムでは、搬入装置には、ラックの載置面として摺動部が設けられており、ラックレールは、第1載置部の載置面が、摺動部におけるラックの摺動面よりも低くなるように配置されていてもよい。この構成では、搬入装置から洗浄機に容易にラックを搬入させることができる。
【0016】
本発明の洗浄システムでは、第3載置部には、ラックレールに載置されたラックが枠部の外側へ飛び出すことを記載する側面案内部が設けられていてもよい。この構成では、洗浄室の所定位置に正確にラックを誘導することができる。
【0017】
本発明の洗浄システムでは、第2載置部と第3載置部との対向方向を左右方向と定義したとき、搬入装置は、左右方向において右側を基点として左側に延在する第1アームを有しており、洗浄機は、洗浄室の後面に配置され、ラックを案内する後面案内部を有しており、後面案内部と側面案内部とによって誘導される洗浄室内におけるラックの位置は、洗浄室内において右側にずれていてもよい。この構成では、ラックを誘導すべき位置が右側にずれているので、右側を基端とする第1アームの長さを短くすることができる。
【0018】
本発明の洗浄システムでは、第1アームは、右側を基点としてラックの左右方向における中心部よりも左側まで延在していてもよい。この構成では、ラックを洗浄機に搬入するときにラックが回転することを抑制できる。これにより、洗浄室の所定位置に正確にラックを搬入させることができる。
【0019】
本発明の洗浄システムでは、後面案内部は、ラックを下方から支持する第1部分とラックが接触する第2部分とからなる断面L字状の部材によって形成されていてもよい。この構成では、洗浄室の後方までラックを誘導することができる。
【0020】
本発明の洗浄システムでは、洗浄機は、洗浄室を開閉可能なドアを備えており、ドアの内面には、洗浄室内のラックの位置を調整する調整部が設けられていてもよい。この構成では、洗浄室における所定位置から多少ずれてラックが誘導されたとしても、ドアを閉めたときにラックを所定位置に調整することができる。
【0021】
本発明の洗浄システムでは、リフト装置へのラックの搬出が完了したことを検知する検知部と、搬入装置においてラックを押し出す第1アームを駆動するアーム駆動部と、アーム駆動部を制御する制御部と、を更に備え、制御部は、検知部によってラックの搬出が完了したことが検知されると、次のラックの搬入を開始するようにアーム駆動部を制御してもよい。この構成では、洗浄機から確実にラックが搬出された後でないと、洗浄機に次のラックが搬入されることがない。したがって、洗浄機においてラック同士が干渉することを防止できる。
【0022】
本発明の洗浄システムでは、搬出装置は、ラックレールに配置されるラックを押し出すアームと、アームを駆動する駆動部と、を含むユニットとして形成されており、ユニットは、洗浄機に対して着脱自在に設けられていてもよい。この構成では、既存の洗浄機に容易に搬出装置を取り付けることが可能となる。
【0023】
本発明の洗浄システムでは、搬出装置は、原点位置に位置するアームと駆動部とを上方から覆うカバーを有していてもよい。この構成では、洗浄機で使用される水がモータに付着することを防止できる。これにより、水の付着を要因とする故障の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、洗浄機への搬入方向と洗浄機からの搬出方向とが互いに異なる場合であっても、ラックの洗浄機への搬入及び洗浄機からの搬出を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る洗浄システムの全体を示した斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、キャリーテーブルの正面図であり、
図2(B)は、キャリーテーブルの平面図である。
【
図3】
図3は、食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
【
図4】
図4(A)は、リフト装置をワゴン側から見た側面図であり、
図4(B)は、リフト装置を食器洗浄機側から見た側面図である。
【
図6】
図6(A)は、搬出装置の平面図であり、
図6(B)は、搬出装置の斜視図である。
【
図7】
図7は、食器洗浄機の洗浄室の斜視断面図である。
【
図9】
図9(A)は、第1載置部及び第3載置部の断面図である。
図9(B)は、第2載置部の断面図である。
図9(C)は、変形例に係る第2載置部の断面図である。
【
図10】
図10は、後方から見た洗浄水タンクの一部及びラックレールの背面図である。
【
図11】
図11(A)は、係止部材の正面図である。
図11(B)及び
図11(C)は、係止部材及びラックレールの斜視図である。
【
図12】
図12(A)は、後面案内部の斜視図である。
図12(B)は、食器ラックの移動を説明する説明図である。
【
図13】
図13は、搬出装置を構成するユニットと、ユニットが取り付けられる食器洗浄機の一部とを示した斜視図である。
【
図14】
図14(A)は、搬出装置を構成するユニットを示した斜視図である。
図14(B)は、搬出装置を構成するユニットにカバーを取り付けた状態を示した斜視図である。
【
図15】
図15は、洗浄システムの機能構成を示した機能ブロックである。
【
図16】
図16は、変形例に係るラックレールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。以下の説明においては、
図1で規定する方向(上下方向、前後方向、左右方向)を説明に用いる。なお、左右方向は、後述にて詳述するように、食器洗浄機4の洗浄室21に配置されるラックレール70の第2載置部72と第3載置部73との対向方向である。
【0027】
図1に示されるように、洗浄システム1は、キャリーテーブル(搬入装置)3と、食器洗浄機(洗浄機)4と、リフト装置5と、ワゴン6と、搬出装置90と、を備えている。洗浄システム1では、キャリーテーブル3及び食器洗浄機4が前後方向に並べて配置され、食器洗浄機4、リフト装置5及びワゴン6が、左右方向に並べて配置されている。すなわち、本実施形態の洗浄システム1では、食器(被洗浄物)が収容される食器ラック(ラック)Rが前側から後側に向かって移動した後、右側から左側に向かって移動するように、平面視においてキャリーテーブル3、食器洗浄機4、リフト装置5及びワゴン6がL字状に配置されている。
【0028】
キャリーテーブル3は、食器ラックRを食器洗浄機4に搬送する。
図1及び
図2に示されるように、キャリーテーブル3は、基台10と、基台10を支持する四つの脚部19と、搬送機構11と、センサ14と、コントローラ(制御部)12と、を有している。
【0029】
基台10は、食器ラックRが載置されるテーブルである。基台10は、食器ラックRが載置される載置面10aを有している。基台10には、載置面10aから突出すると共に食器ラックRの搬送方向に沿って延在する、食器ラックRを摺動させる摺動部16が設けられている。摺動部16は、載置面10aにねじ等によって固定された、例えば、ポリアセタール樹脂により形成されたプレート状の部材によって構成されている。摺動部16は、食器ラックRに対する摺動性を良好にする部材であれば材料を問わず、ポリアセタール樹脂以外の材料によっても形成が可能である。
【0030】
搬送機構11は、食器ラックRを基台10上で移動させる。搬送機構11は、アーム部材(第1アーム)11Aと、支持部11Bと、チェーン11Cと、スプロケット11D,11Dと、第1モータ11Eと、を有している。搬送機構11は、ハウジング17に収容されている。ハウジング17は、キャリーテーブル3を正面から見たとき基台10の後方に配置されており、基台10の載置面10aよりも上方に突出して設けられている。
【0031】
アーム部材11Aは、食器ラックRを押し出す部材であって、載置面10a上を回動可能となるように、支持部11Bに支持されている。支持部11Bは、チェーン11Cに平行に配置されたガイドレール(図示せず)に沿って前後方向に移動可能に設けられると共に、チェーン11Cの一部に固定的に連結されている。チェーン11C,11Cは、二つのスプロケット11D,11Dに巻回されている。第1モータ11Eは、例えばギアモータである。第1モータ11Eの回転軸には、一方のスプロケット11Dが軸支されている。
【0032】
アーム部材11Aは、アーム部材11Aの先端が食器洗浄機4側(後側)に向く状態とキャリーテーブル3の手前側(左側)に向く状態との間で回動可能となるように、ねじりバネ(図示せず)を介して支持部11Bに固定されている。ねじりバネは、平面視において半時計回り(左回り)に回動する方向にアーム部材11Aを付勢している。すなわち、ねじりバネは、ハウジング17から進出する方向にアーム部材11Aを付勢している。アーム部材11Aは、ねじりバネの作用によってシャッタ(図示せず)等の規制部材に接触しない限り、ハウジング17の外側である載置面10a上の進出領域に進出するようになっている。アーム部材11Aは、平面視において載置面10aに重複する進出領域と、載置面10aから退避した退避領域との間で移動可能に設けられており、食器ラックRの押し出しをしないときには、退避領域に退避されている。
【0033】
アーム部材11Aは、第1モータ11Eによって駆動されるスプロケット11D及びチェーン11Cに連動することによって、キャリーテーブル3を正面から見たときの左右方向に回動する。アーム部材11Aは、食器ラックRを搬送するときに、ハウジング17内から載置面10a上に進出し、待機状態においてはハウジング17内に退避する。より詳細には、アーム部材11Aは、載置面10a上の食器ラックRの食器洗浄機4側への回動がセンサ14によって検知されたタイミング、又は、操作部18においてスタートボタンB1が押下されたタイミングで載置面10a上に進出する。
【0034】
アーム部材11Aは、食器洗浄機4に向けて食器ラックRを押し出す。アーム部材11Aの先端、すなわち、食器ラックRに当接する部分には、ベアリング(図示せず)が設けられもよい。アーム部材11Aは、食器ラックRを食器洗浄機4にまで搬送すると(すなわち、食器ラックRを押し出す押出位置に到達すると)、ハウジング17の内部の退避領域の一部である待機位置に戻る。
【0035】
アーム部材11Aは、左右方向において右側を基点として左側に延在している。本実施形態では、アーム部材11Aの左側端部は、載置面10aの左右方向における中心位置CLよりも右側に位置している。なお、アーム部材11Aの左端は、右側を基点として上記中心位置CLよりも左側にまで延びていてもよい。この場合、アーム部材11Aは、載置面10aに載置される食器ラックRの左右方向における中心位置よりも左側の部分まで接触して、食器洗浄機4側に押し出すことができる。
【0036】
コントローラ12は、キャリーテーブル3を含む、洗浄システム1の動作全般を制御する。コントローラ12は、外部との信号の入出力等を行う入出力インタフェイス、処理を行うためのプログラム及び情報等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)、及び通信回路等を有する。コントローラ12は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで各種処理を実行する。コントローラ12は、例えば、キャリーテーブル3の動作、食器洗浄機4におけるドア23の開閉動作、搬出装置90の動作、リフト装置5の動作等を制御する。コントローラ12は、例えば、ハウジング17内に収容されている。
【0037】
図15に示されるように、コントローラ12は、食器洗浄機4のコントローラ35と、搬出装置90の第1センサ95A及び第2センサ95Bと、リフト装置5のセンサ(検知部)44と、報知部Mと、キャリーテーブル3の第1モータ11Eと、搬出装置90の第2モータ93と、通信可能に接続されている。
【0038】
図2に戻り、操作部18は、ハウジング17を形成するパネルの一部に配置されている。操作部18には、搬送機構11の動作を開始させるスタートボタンB1、搬送機構11の動作を停止させる停止ボタンB2、及び作業者に音声で各種状態を報知するスピーカ等の報知部Mが配置されている。
【0039】
図1に示されるように、食器洗浄機4は、キャリーテーブル3の後側に、キャリーテーブル3に隣接して配置されている。食器洗浄機4は、食器ラックRに収容されている食器を洗浄する。
図1及び
図3に示されるように、食器洗浄機4は、ステンレス製のパネルで覆われた洗浄機本体20を有している。洗浄機本体20は、洗浄室21が形成された上側部分20Aと、機械室22が形成された下側部分20Bとに仕切られている。
【0040】
洗浄機本体20の上側部分20Aには、洗浄室21の開閉を行うための箱型のドア23が設けられている。ドア23は、後段にて詳述する連結部材64に連結されている。連結部材64は、コントローラ12によって制御される駆動モータ60によって駆動される。ドア23は、駆動モータ60による駆動によって、上下方向において最下高さ位置に位置して、洗浄室21を閉じる閉位置(
図4に示す位置)と、上下方向において最高高さ位置に位置して、洗浄室21を開く開位置(
図1に示す位置)と、の間で移動する。なお、本実施形態のドア23には設けられていないが、手動でドア23を開閉するハンドルが設けられてもよい。
【0041】
ドア23の内面23aには、洗浄室21内において、ラックレール70に載置された食器ラックRの位置を調整する調整部23Bが設けられている。より詳細には、ドア23の前面、左側面、右側面のそれぞれの内面23aに調整部23Bが設けられている。調整部23Bは、ステンレス鋼又は樹脂(例えば超高分子量ポリエチレン)のような材料から形成されており、ドア23が閉められるときにラックレール70に載置された食器ラックRの側面を押し出すことによって、ラックレール70上に載置された食器ラックRの位置を移動させる。すなわち、調整部23Bは、食器ラックRをラックレール70上の所定位置に誘導する。
【0042】
洗浄室21内には、食器ラックRが載置されるラックレール70が着脱自在に配置されている。キャリーテーブル3から食器洗浄機4に搬出される食器ラックRは、ラックレール70上に押し出される。洗浄室21の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル26Aと、2本のアームからなる上側すすぎノズル27Aとがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室21の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル26Bと、2本のアームからなる下側すすぎノズル27Bとがそれぞれ回転自在に配置されている。食器ラックRに並べられた食器は、上側洗浄ノズル26A及び下側洗浄ノズル26Bによって上下から洗浄水が噴射され、上側すすぎノズル27A及び下側すすぎノズル27Bによって上下からすすぎ水が噴射される。
【0043】
洗浄水タンク28には、洗浄水吸込口を介して洗浄ポンプ29が接続されている。洗浄ポンプ29の吐出口には、洗浄水吐出管30が接続されている。洗浄水吐出管30は、第1洗浄水吐出管30Aと第2洗浄水吐出管30Bとに分岐して、第1洗浄水吐出管30Aは上側洗浄ノズル26Aに接続され、第2洗浄水吐出管30Bは下側洗浄ノズル26Bに接続されている。
【0044】
機械室22内には、外部から給水管(図示せず)を介してすすぎ水が供給されるすすぎ水タンク31が配置されている。すすぎ水タンク31には、すすぎ水吸込管32を介してすすぎポンプ33が接続されている。すすぎポンプ33の吐出口には、すすぎ水吐出管34が接続されている。すすぎ水吐出管34は、第1すすぎ水吐出管34Aと第2すすぎ水吐出管34Bとに分岐して、第1すすぎ水吐出管34Aは上側すすぎノズル27Aに接続され、第2すすぎ水吐出管34Bは下側すすぎノズル27Bに接続されている。第1すすぎ水吐出管34Aは、第1洗浄水吐出管30A内に配置されている。すなわち、第1洗浄水吐出管30A及び第1すすぎ水吐出管34Aは、二重管構造を成している。
【0045】
機械室22内には、食器洗浄機4の動作全般を制御するコントローラ35が内蔵された電装ボックス(図示せず)等が収容されている。コントローラ35は、洗浄が終了したことを示す洗浄終了信号を、キャリーテーブル3のコントローラ12に出力する。
【0046】
食器洗浄機4は、熱交換ユニット36を備えている。熱交換ユニット36は、洗浄機本体20の洗浄室21から排出された水蒸気を凝縮して、水蒸気の包含量が減少した空気を外部に排出する。食器洗浄機4は、洗浄機本体20を支持する四つの脚部37を備えている。
【0047】
食器洗浄機4の背面には、上下方向に延びる支柱4A,4Aが配置されている。
図12(A)に示されるように、洗浄室21の後面には、食器ラックRを案内する後面案内部38が設けられている。後面案内部38は、支柱4A,4Aに適宜の方法にて固定されている。後面案内部38は、断面L字状の板状部材である。後面案内部38は、食器ラックRの底面の一部を下方から支持する下面部(第1部分)38aと、食器ラックRの側面の一部が接触する側面部(第2部分)38bと、を有している。
【0048】
図1に示されるように、リフト装置5は、食器洗浄機4の左隣りに、食器洗浄機4に隣接して配置されている。リフト装置5は、食器洗浄機4から搬出された食器ラックRを、ワゴン6の所定位置に移載する。
図4に示されるように、リフト装置5は、本体40と、リフト41と、駆動機構7と、を備えている。本体40は、フレーム40Aと、前後方向において互いに対向して配置されている一対の側部42A,42Bを有している。一対の側部42A,42Bは、パネル状の部材である。本体40は、一対の側部42A,42Bの対向方向に直交する水平方向の両側が開口している。本体40には、食器洗浄機4側の開口の上側の一部を覆う側部42Cが設けられている。リフト装置5は、本体40を支持する四つの脚部47を備えている。
【0049】
リフト41は、図示しない駆動機構によって、上下方向に移動する。駆動機構は、例えば、駆動モータ、スプロケット、チェーン等を含んで構成されている。リフト41は、食器ラックRをワゴン6に搬出するベルト43A,43Bを有している。リフト41は、食器洗浄機4による洗浄が完了した際、食器洗浄機4のラックレール70(
図3参照)と同じ高さ位置で待機している。リフト41は、食器洗浄機4から食器ラックRが搬出されて、食器ラックRの一部がリフト41上に位置したことがセンサ44で検知されると、ベルト43A,43Bを作動させて食器ラックRを取り入れる。
【0050】
リフト41は、食器ラックRを取り入れると、ワゴン6において食器ラックRが収容されていない棚部(段)に食器ラックRを移載する。リフト41は、ベルト43A,43Bを作動させて、食器ラックRをワゴン6に送り出す。ワゴン6の各棚部における空き状況は、リフト装置5の、例えば、天板及び底板に設けられたセンサ(図示せず)又はリフト41に設けられたセンサ(図示せず)によって検知される。
【0051】
駆動機構7は、食器洗浄機4のドア23を閉位置及び開位置に駆動させる。駆動機構7は、駆動モータ60と、一対のスプロケット(図示せず)と、チェーン(図示せず)と、スライダ63と、連結部材64と、を有している。駆動機構7は、リフト装置5の背面側に設けられている。
【0052】
駆動モータ60は、例えば、ギアモータである。駆動モータ60は、例えば、リフト装置5の上部に配置されている。駆動モータ60の動作は、キャリーテーブル3のコントローラ12によって制御される。スプロケットには、駆動モータ60の出力軸が接続されている。スプロケットは、スプロケットの回転に応じて、チェーンを介して従動して回転する。チェーンは、一対のスプロケットに掛け渡されている。
【0053】
スライダ63は、チェーンに接続されている。スライダ63は、チェーンの移動に応じて上下方向に移動する。スライダ63は、上下方向に沿って延在しているガイドレール65に接続されており、ガイドレール65に沿って移動する。連結部材64は、スライダ63とドア23とを連結している。連結部材64は、前後方向に沿って延在している。連結部材64の一端部は、スライダ63に固定されており、連結部材64の他端部は、軸ピン(図示せず)を介してドア23に連結されている。連結部材64には、支持部材(図示せず)が設けられている。支持部材は、連結部材64とドア23の下端部とに接続されており、ドア23が上昇するときにドア23を下方から支持する。
【0054】
図1に示されるように、ワゴン6は、リフト装置5の左隣りに、リフト装置5に隣接して配置されている。ワゴン6は、複数(本実施形態では4個)の食器ラックRを収納可能である。ワゴン6は、リフト装置5によって食器ラックRが収容される。ワゴン6は、リフト装置5に着脱可能に設けられている。
【0055】
図5に示されるように、ワゴン6は、互いに対向して配置されている一対の側部50A,50Bと、一対の側部50A,50Bの上端部に設けられている上部51と、一対の側部50A,50Bの下端部に設けられている底部52と、を有している。一対の側部50A,50Bは、パネル状の部材により形成されている。ワゴン6は、一対の側部50A,50B、上部51及び底部52によって、食器ラックRを収容する収容空間が形成されている。ワゴン6は、一対の側部50A,50Bの対向方向に直交する水平方向の両側が開口している。
【0056】
一対の側部50A,50Bのそれぞれの内面には、互いに対向する位置に、一対の支持レール53A,53Bが設けられている。一対の支持レール53A,53Bは、食器ラックRを支持する。一対の支持レール53A,53Bは、ワゴン6において食器ラックRを収容する棚部を構成している。支持レール53A,53Bは、上下方向において所定の間隔をあけて複数配置されている。一方の側部50Aの外面には、作業者によって把持可能な操作ハンドル54A,54Bが設けられている。底部52には、ワゴン6がリフト装置5から取り外されたときにワゴン6を移動自在とする4個のローラ55A,55B,55C,55Dと、ワゴン6がリフト装置5に取り付けられたときにワゴン6を設置(固定)する設置機構56A,56Bと、が設けられている。
【0057】
搬出装置90は、食器洗浄機4からリフト装置5に食器ラックRを搬出する。
図6(A)に示されるように、搬出装置90は、食器洗浄機4に右側側面の前方に設けられている。
図6(B)に示されるように、搬出装置90は、アーム91と、第2モータ(アーム駆動部)93と、回転体94と、第1センサ95Aと、第2センサ95Bと、コントローラ12(
図7参照)と、規制部96と、を有している。
【0058】
アーム91は、一方向に延在する回動軸91Aを回動中心に回動することでラックレール70に載置された食器ラックRをリフト装置5に押し出す。アーム91によって押し出された食器ラックRはラックレール70を摺動し、食器洗浄機4からリフト装置5に搬出される。アーム91は、回動軸91Aを中心に回転可能に設けられると共に、食器ラックRに接触可能に設けられた第1ベアリング92A及び第2ベアリング92Bを有している。
【0059】
第2モータ93は、出力軸である回動軸91Aを中心に、待機位置と押出位置との間でアーム91を回動させる。待機位置は、食器ラックRを押し出す前のアーム91が待機している位置である。押出位置は、待機位置から回動軸91Aを中心に回動して食器ラックRを洗浄室21から搬出させたときのアーム91の位置である。ここで待機位置から押出位置に向かう方法を順方向、押出位置から待機位置に向かう方法を逆方向とする。回転体94は、アーム91と一体的に回動可能に設けられると共に、切欠部が形成された円盤状の部材である。回転体94は、鉄部材又は磁性を有するステンレス鋼により形成されている。
【0060】
第1センサ95A及び第2センサ95Bは、回動軸91Aの延在方向から見た平面視において、回転体94が回動する領域に重複するように配置されている。第1センサ95A及び第2センサ95Bのそれぞれは、切欠部と重複する第1状態及び切欠部と重複しない第2状態を区別して検知する、鉄板近接センサである。第1センサ95A及び第2センサ95Bは、回転体94の円周方向において異なった位置に配置されている。
【0061】
規制部96は、原点位置に位置するアーム91に対し、押出位置とは反対側に配置されている。規制部96は、原点位置よりも逆方向に回転しようとするアーム91の動作を規制する。
【0062】
図6(B)及び
図13に示されるように、搬出装置90は、アーム91及び回転体94が取り付けられた第2モータ93、第1センサ95A、第2センサ95B、及び規制部96は、取付板97に固定された状態のユニットとして構成されている。取付板97は、食器洗浄機4に取り付けられる第1取付部97Aと、キャリーテーブル3に取り付けられる第2取付部97Bと、を有している。また、搬出装置90は、
図14(B)に示されるように、原点位置に位置するアーム91と第2モータ93とを上方から覆う、着脱可能なカバー99を有している。取付板97には、カバー99と取り付け可能なブラケット97C,97Cが設けられている。カバー99は、ブラケット97C,97Cにボルト等で取り付けられる。
【0063】
搬出装置90のユニットは、食器洗浄機4に着脱自在に設けられている。より詳細には、第1取付部97Aは、食器洗浄機4の下側部分20Bにおける縁部4Bに引っ掛けることが可能に形成されている。また、第2取付部97Bは、
図14(A)に示されるように、キャリーテーブル3の食器洗浄機4側の側面3Aに固定可能に形成されている。洗浄システム1を設置するときは、作業者は、第1取付部97Aを食器洗浄機4の縁部4Bに引っ掛けた後、第2取付部97Bをキャリーテーブル3の側面3Aにボルト等で固定する。
【0064】
図15に示されるように、コントローラ12は、第1センサ95A及び第2センサ95Bによる検知結果の組み合わせに基づいて、第2モータ93を制御する。言い換えれば、アーム91(回転体94)の回動状態は、第1センサ95A及び第2センサ95Bによって常時監視されている。より詳細には、コントローラ12は、停止制御と、開始制御と、回動制御と、反転制御と、を実行する。なお、コントローラ12によって実行されるアーム91の回動制御は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、第2モータ93の回転数、又は第2モータ93の駆動時間を制御することで実行してもよい。
【0065】
また、コントローラ12は、センサ44によって食器ラックRが検知される(すなわち、食器洗浄機4から食器ラックRの搬出が完了したことが検知される)と、次の食器ラックRの搬入を開始するように、キャリーテーブル3のアーム部材11Aを移動させる第1モータ11Eを制御する。
【0066】
図7に示されるように、ラックレール70は、ステンレス鋼によって形成される枠体であり、食器洗浄機4に着脱自在に取り付けられている。ここで、洗浄水タンク28は、貯留部形成部28aと、平面部28bと、を有している。貯留部形成部28aは、洗浄水を貯留する貯留部を形成する。平面部28bは、上方から見た平面視において貯留部形成部28aの周囲に形成され、略水平方向に延出する部分である。ラックレール70は、後段にて詳述する第1支持部76が、平面部28bに載置される。
【0067】
ラックレール70を食器洗浄機4から取り外した状態を
図8に示す。
図8に示されるように、ラックレール70は、食器洗浄機4に配置されたときに、キャリーテーブル3が接続される方向に配置される第1載置部71と、リフト装置5が接続される方向に配置される第2載置部72と、第2載置部72と対向かつ第1載置部71に交差する第3載置部73と、第1載置部71に対向かつ第2載置部72及び第3載置部73に交差する第4載置部74と、を含む枠部70Aを有している。ラックレール70は、第5載置部75と、一対の第1支持部76,76と、一対の第2支持部(接続部)77,77と、側面案内部78と、を更に有している。
【0068】
図9(A)に示されるように、第1載置部71及び第3載置部73は、略三角形状の閉断面形状を有するパイプによって形成されている。第1載置部71には、食器ラックRを載置する載置面71Aが設けられている。第3載置部73には、食器ラックRを載置する載置面73Aが設けられている。第1載置部71の載置面71Aは、キャリーテーブル3における食器ラックRの載置面10aよりも低くなるように配置されている。本実施形態では、キャリーテーブル3には、食器ラックRの載置面10aとして摺動部16(例えば5mm程度の高さ)が設けられている。このため、ラックレール70は、第1載置部71の載置面71Aが、摺動部16における食器ラックRの摺動面よりも低く(例えば10mm程度)なるように配置されている。
【0069】
図9(B)に示されるように、第2載置部72は、第2載置部72において食器ラックRが載置される載置面72Aが枠部の外側から内側に向かって略直線状に下方に傾斜する傾斜部72Bを有するような閉断面形状のパイプによって形成されている。すなわち、第2載置部72の断面形状は、第1載置部71及び第3載置部73の断面形状とは異なっている。第1載置部71、第2載置部72、第3載置部73、第4載置部74、第5載置部75,75、一対の第1支持部76,76、一対の第2支持部77,77は、溶接等によって互いに一体化されている。
【0070】
第4載置部74は、互いに対向する第2載置部72及び第3載置部73間を接続する部材であり、洗浄室21に配置されたとき、食器洗浄機4の後側に配置される部材である。第4載置部74は、中実状又は中空パイプ状の丸棒である。
【0071】
一対の第1支持部76,76は、ラックレール70が洗浄室21に配置されたとき、洗浄室21の前側下部に配置される第1載置部71に固定されている。一対の第1支持部76,76は、第1載置部71の左右方向の左側と右側とに配置されている。一対の第1支持部76,76のそれぞれは、第1載置部71から下方に延びる第1部分76a,76aと、第1部分76a,76aから前側に屈曲すると共に、ラックレール70が洗浄室21に配置されたとき、洗浄水タンク28の平面部28bに載置される第2部分76bを有する。第1支持部76,76は、中実状又は中空パイプ状の丸棒によって形成されている。
【0072】
第5載置部75,75の一方は、互いに交差する第1載置部71及び第3載置部73同士を接続する部材である。第5載置部75,75の他方は、互いに交差する第2載置部72及び第4載置部74同士を接続する部材である。第5載置部75,75は、中実状又は中空パイプ状の丸棒によって形成されている。
【0073】
一対の第2支持部77,77の一方は第2載置部72に接続され、一対の第2支持部77,77の他方は第3載置部73に接続されている。一対の第2支持部77,77の一方は、第2載置部72から斜め左後方に延びる第1部分77aと、左右方向に延在する第2部分77bと、を有している。一対の第2支持部77,77の他方は、第3載置部73から斜め右後方に延びる第1部分77aと、左右方向に延在する第2部分77bと、を有している。一対の第2支持部77,77は、それぞれ棒状に形成されている。第2部分77b,77bの端部のそれぞれは、洗浄室21に設けられる係止部材80(
図11(A)参照)に、双方向に回転可能かつ着脱可能に係止されている。係止部材80については、後段にて詳述する。
【0074】
図10に示されるように、第2支持部77の下方には、洗浄水タンク28への固形物の流入を防止するフィルタ28cが配置されている。第2支持部77は、フィルタ28cの上方の空間を広く確保するように折り曲げられている。より詳細には、第2支持部77の折り曲げ部77cは、フィルタ28cの上方の空間から凸となるように折り曲げられている。なお、本実施形態では、左右両方の第2支持部77が前述したような形状に折り曲げられている例を挙げて説明したが、ラックレール70を洗浄室21に配置したときにフィルタ28cの上方に位置しない一方の第2支持部77は、前述したような形状に折り曲げられなくてもよい。
【0075】
側面案内部78は、第3載置部73に設けられている。側面案内部78は、ラックレール70に載置された食器ラックRが枠部70Aの外側へ飛び出すことを防止する。側面案内部78は、本体部78aと、前側端部に形成されるテーパ部78bと、を有している。本体部78aは、第3載置部73から上方に突出した状態で、第3載置部73が延在する方向に延在している。テーパ部78bは、手前側に向かって徐々に枠部70Aから離れるように延在している。
【0076】
アーム部材11Aのよって食器洗浄機4に搬入される食器ラックRは、上述したようなラックレール70上に押し出される。そして、
図12(B)に示されるように、洗浄室21に配置される後面案内部38とラックレール70の一部として形成される側面案内部78とによって誘導される洗浄室21内における食器ラックRの位置は、洗浄室21内において右側にずれている。ここでいう「右側にずれている」の意味は、左右方向における食器ラックRの中心部が、左右方向における洗浄室21の中心部から右側にずれている、又は、平面視における食器ラックRの重心位置が、洗浄室の重心位置から右側にずれていることを表している。
【0077】
次に、係止部材80について説明する。係止部材80は、
図10に示されるように、食器洗浄機4の洗浄室21の左右側面に取り付けられている。係止部材80は、食器ラックRを載置可能な状態にラックレール70を支持する第1係止部81と、ラックレール70を洗浄室21の背面に立て掛けた状態に支持する第2係止部82と、第1係止部81と第2係止部82とを接続するように設けられ、第2支持部77のスライドを許容するスライド部83と、第1係止部の上方には、第2支持部77が上方へ移動することを規制する上方規制部84と、を有している。係止部材80は、板状の部材により形成されている。
【0078】
第1係止部81は、第2係止部82よりも低い位置に形成されると共に、第1係止部81は、第2係止部82よりもキャリーテーブル3側に設けられている。すなわち、食器洗浄機4を正面から見たとき、第1係止部81は第2係止部82よりも手前側に形成されている。上方規制部84は、第1係止部81のみに設けられ、第1係止部81及びスライド部83の上方には設けられていない。
【0079】
次に、ラックレール70を載置状態から洗浄室21の背面に立て掛ける退避状態にするときの動作について説明する。
図11(A)及び
図11(B)に示されるように、ラックレール70が載置状態にあるときは、第2支持部77は、第1係止部81に係止されている。作業者は、載置状態にあるラックレール70の一部を把持して、第1係止部81に係止されている第2支持部77を、スライド部83に沿って前方にスライドさせながら第2係止部82に係止させる。ここで、作業者は、
図11(C)に示されるように、ラックレール70(すなわち、第2支持部77)を回転させて洗浄室21の背面に立て掛ける。
【0080】
ここで、第2載置部72の後端72Eは、第2支持部77よりも後方に突出しているので、第2支持部77を第1係止部81に係止したまま回転させると、後端72Eが洗浄室21の背面に干渉する。このため、ラックレール70を回転させることができず、ラックレール70を立て掛けることができない。また、仮に後端72Eが背面に干渉しないとしても、今度は底面である平面部28b(
図7参照)に後端72Eが干渉し、ラックレール70を回転させることができない。
【0081】
本実施形態の係止部材80は、上述した形状となっており、上述したようにラックレール70を立て掛けるので、第2載置部72の後端72Eは、第2支持部77を第1係止部81に係止されるときと比べて、前方かつ上方に移動する。このため、第2支持部77を第2係止部82に係止させた状態でラックレール70を回転させたとしても、後端72Eは、洗浄室21の背面にも平面部28b(
図7参照)にも干渉しない。すなわち、ラックレール70を洗浄室21の背面に立て掛けることできる。なお、説明は省略するが、第3載置部73の後端についても同様である。
【0082】
上記実施形態の洗浄システム1における作用効果について説明する。上記実施形態の洗浄システム1では、
図9(B)に示されるように、第2載置部72の載置面72Aが、枠部70Aの外側から内側に向かって傾斜する傾斜部72Bを有している。これにより、キャリーテーブル3によって食器洗浄機4に食器ラックRが搬入されるとき、すなわち第2載置部72の延在方向(前後方向)に沿って食器洗浄機4にラックが搬入されるときには、第2載置部72の傾斜部72Bを乗り越えないように洗浄室21の前方から後方に食器ラックRが案内される。一方、搬出装置90によって食器洗浄機4から食器ラックRが搬出されるとき、すなわち第2載置部72に直交する方向に食器洗浄機4から食器ラックRが搬出されるときには、第2載置部72を乗り上げるように食器ラックRが案内される。これにより、搬入時には洗浄室21の所定位置に食器ラックRが正確に誘導され、搬出時には食器洗浄機4から容易に食器ラックRを搬出させることができる。この結果、食器洗浄機4への搬入方向(前後方向)と食器洗浄機4からの搬出方向(左右方向)とが互いに異なる場合であっても、食器ラックRの食器洗浄機4への搬入及び食器洗浄機4からの搬出を正確に行うことができる。
【0083】
上記実施形態の洗浄システム1では、
図11(C)に示されるように、第1係止部81から第2係止部82にラックレール70の第2支持部77をスライドさせることでラックレール70の体勢を容易に変えることができる。
【0084】
上記実施形態の洗浄システム1では、
図11(A)に示されるように、上方規制部84は、第1係止部81の上方のみに設けられているので、ラックレール70を係止部材80から容易に取り外すことができる。
【0085】
上記実施形態の洗浄システム1では、第2係止部82は第1係止部81よりも高い位置に形成されると共に、第1係止部81は第2係止部882よりも手前側(キャリーテーブル3側)に形成されている。これにより、第2支持部77よりも後方に第2載置部72の後端72E及び第3載置部73の後端が突出する構成であっても、ラックレール70を立て掛けときに、第2載置部72の後端及び第3載置部73が洗浄室21の背面又は平面部28bに干渉することを回避できる。
【0086】
上記実施形態の洗浄システム1では、
図10に示されるように、第2支持部77の下方には、洗浄水タンク28への固形物の流入を防止するフィルタ28cが配置されており、第2支持部77は、フィルタ28cの上方の空間を広く確保するように折り曲げられている。これにより、洗浄室21にラックレール70を配置した状態で容易にフィルタ28cを取り除くことができる。
【0087】
上記実施形態の洗浄システム1では、ラックレール70における第1載置部71の載置面71Aが、摺動部16における食器ラックRの摺動面よりも低くなるように配置されている。これにより、キャリーテーブル3から食器洗浄機4に容易に食器ラックRを搬入させることができる。
【0088】
上記実施形態の洗浄システム1のラックレール70における第3載置部73には、
図8に示されるように、ラックレール70に載置された食器ラックRが枠部70Aの外側へ飛び出すことを規制する側面案内部78が設けられている。これにより、洗浄室21の所定位置に正確に食器ラックRを誘導することができる。
【0089】
上記実施形態の洗浄システム1では、
図12(B)に示されるように、食器洗浄機4において後面案内部38と側面案内部78とによって誘導される洗浄室21内における食器ラックRの位置は、洗浄室21内において右側にずれている。これにより、右側を基端とするキャリーテーブル3のアーム部材11Aの長さを短くすることができる。
【0090】
上記実施形態の洗浄システム1では、後面案内部38は、
図12(B)に示されるように、食器ラックRを下方から支持する下面部38aと食器ラックRが接触する側面部38bとからなる断面L字状の部材によって形成されている。これにより、洗浄室21の後方まで食器ラックRを誘導することができる。
【0091】
上記実施形態の洗浄システム1では、食器洗浄機4におけるドア23の内面23aには、洗浄室21内の食器ラックRの位置を調整する調整部23Bが設けられている。これにより、洗浄室21における所定位置から多少ずれて食器ラックRが誘導されたとしても、ドア23を閉めたときに食器ラックRを所定位置に調整することができる。
【0092】
上記実施形態の洗浄システム1では、リフト装置5のセンサ44によって食器ラックRの食器洗浄機4からの搬出が完了したことが検知されると、次の食器ラックRの搬入を開始するようにアーム部材11Aを駆動する第1モータ11Eが駆動される。これにより、食器洗浄機4から確実に食器ラックRが搬出された後でないと、食器洗浄機4に次の食器ラックRが搬入されることがない。したがって、食器洗浄機4において食器ラックR同士が干渉することを防止できる。
【0093】
上記実施形態の洗浄システム1の搬出装置90は、
図13に示されるように、アーム91とアーム91を駆動する第2モータ93とが一つのユニットとして形成され、当該ユニットは、食器洗浄機4に対して着脱自在に設けられている。これにより、既存の食器洗浄機4に容易に搬出装置90を取り付けることが可能となる。
【0094】
上記実施形態の洗浄システム1の搬出装置90は、
図14(B)に示されるように、原点位置に位置するアーム91と第2モータ93とを上方から覆うカバー99が設けられている。これにより、食器洗浄機4で使用される水が第2モータ93に付着することを防止できる。これにより、水の付着を要因とする故障の発生を抑制できる。
【0095】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0096】
上記実施形態の食器洗浄機4のラックレール70は、
図9(B)に示されるように、第2載置部72の載置面72Aが枠部の外側から内側に向かって直線状に下方に傾斜する傾斜部を有する閉断面形状のパイプによって形成されている例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ラックレール70における第2載置部72の載置面72Aは、
図9(C)に示されるように、一端から他端に向かって徐々に水平面に対する角度が緩くなるように形成されている傾斜部72Dを有していてもよい。この構成でも、上記実施形態と同様に、食器洗浄機4への搬入方向と食器洗浄機4からの搬出方向とが互いに異なる場合であっても、食器ラックRの食器洗浄機4への搬入及び洗浄機からの搬出を正確に行うことができる。
【0097】
上記実施形態及び変形例の食器洗浄機4のラックレール70は、
図16に示されるような変形例に係るラックレール170としてもよい。詳細には、
図16に示されるように、変形例に係るラックレール170は、上記実施形態のラックレール70の第5載置部75,75に代えて、第2載置部72と第3載置部73とに掛け渡される複数の回転ローラ(ローラ部材)79が設けられていてもよい。回転ローラ79の少なくとも食器ラックRと接触する表面は、例えば、超高分子量ポリエチレン等の樹脂材料により形成されてもよい。この構成でも、上記実施形態と同様に、食器洗浄機4への搬入方向と食器洗浄機4からの搬出方向とが互いに異なる場合であっても、食器ラックRの食器洗浄機4への搬入及び洗浄機からの搬出を正確に行うことができる。
【符号の説明】
【0098】
1…洗浄システム、3…キャリーテーブル(搬入装置)、4…食器洗浄機(洗浄機)、4A,4A…支柱、10a…載置面、11A…アーム部材(第1アーム)、11E…第1モータ、12…コントローラ(制御部)、21…洗浄室、23…ドア、23B…調整部、38…後面案内部、44…センサ(検知部)、70…ラックレール、70A…枠部、71…第1載置部、72…第2載置部、72A…載置面、73…第3載置部、74…第4載置部、75…第5載置部、76…第1支持部、77…第2支持部(接続部)、78…側面案内部、78a…本体部、78b…テーパ部、79…回転ローラ(ローラ部材)、80…係止部材、81…第1係止部、82…第2係止部、83…スライド部、84…上方規制部、90…搬出装置、91…アーム、93…第2モータ(アーム駆動部)、96…規制部、99…カバー、170…ラックレール、R…食器ラック(ラック)。