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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】トンネル内巻工
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/00 20060101AFI20231019BHJP
   E21D 11/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
E21D11/00 Z
E21D11/04 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020011542
(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公開番号】P2021116621
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593171673
【氏名又は名称】広成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000161356
【氏名又は名称】宮地エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113712
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】近藤 政弘
(72)【発明者】
【氏名】濱田 吉貞
(72)【発明者】
【氏名】松本 敬司
(72)【発明者】
【氏名】藤井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】久保 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】永見 研二
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-227297(JP,A)
【文献】特開2012-207431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの内壁を覆うためのトンネル内巻工であって、
前記内壁に延設されるトンネル軸方向に長尺状の敷桁と、
前記内壁の周方向に沿って設けられ、下端部が前記敷桁によって支持され、トンネル軸方向に所定の間隔で複数配置される支保工と、
前記周方向に沿って曲がる可撓性を有するパネルと、
複数の前記支保工をトンネル軸方向につなぐ長尺状の一対の横つなぎ材とを備え、
前記一対の横つなぎ材の各々は、トンネル軸方向から見てそれぞれ左と右に配置され、
前記パネルは、トンネル軸方向の端部が隣り合う前記支保工に支持され、下端部が前記敷桁に支持され、上端部が前記横つなぎ材に支持され、前記敷桁より上側かつ前記横つなぎ材より下側の前記内壁を覆い、
前記横つなぎ材は、前記パネルの前記上端部と前記内壁との間隙を塞ぐことを特徴とするトンネル内巻工。
【請求項2】
前記横つなぎ材は、隣り合う2つのアーチ状の前記支保工をトンネル軸方向につなぐことを特徴とする請求項1に記載のトンネル内巻工。
【請求項3】
トンネルの内壁を覆うためのトンネル内巻工であって、
前記内壁に延設されるトンネル軸方向に長尺状の敷桁と、
前記内壁の周方向に沿って設けられ、下端部が前記敷桁によって支持され、トンネル軸方向に所定の間隔で複数配置される支保工と、
前記周方向に沿って曲がる可撓性を有するパネルと、
複数の前記支保工をトンネル軸方向につなぐ長尺状の一対の横つなぎ材とを備え、
前記一対の横つなぎ材の各々は、トンネル軸方向から見てそれぞれ左と右に配置され、
前記横つなぎ材は、隣り合わない2つのアーチ状の前記支保工をトンネル軸方向につなぎ、
2つのアーチ状の前記支保工の間に配置される支保工は、上端部が前記横つなぎ材に取り付けられ
前記パネルは、トンネル軸方向の端部が隣り合う前記支保工に支持され、下端部が前記敷桁に支持され、上端部が前記横つなぎ材に支持され、前記敷桁より上側かつ前記横つなぎ材より下側の前記内壁を覆うことを特徴とするトンネル内巻工。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの内壁を覆うためのトンネル内巻工に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルの経年劣化に伴う覆工コンクリートの剥落を防止するため、従来から、トンネルの内壁に対する補強を含む劣化対策工としてトンネル内巻工がある。FRPを用いたトンネル内巻工として、FRP製アーチ支持構造体(アーチ支保工)と、内壁を覆うFRP製連続帯状構造体とを有するトンネル覆工構造体が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このようなトンネル覆工構造体では、先ず、複数のFRP製支持構造体がトンネル内に配置される。そして、隣り合うFRP製支持構造体間に、FRP製連続帯状構造体が、トンネルの一方の側壁側から、トンネルの頂部を経由して、反対の側壁側まで連続して設置される(特許文献1の図18、特許文献2の明細書[0037]参照)。
【0003】
しかしながら、図15に示すように、電気鉄道のトンネル2にはアーチの頂部に電車線路の下束23があり、下束23がある箇所には、内壁21を覆うFRP製連続帯状構造体を設けることができない。また、トンネル2のアーチに電車線路の自動張力調整装置(非特許文献1参照)がある箇所にも、FRP製連続帯状構造体を設けることができない。なお、同様の問題は、電気鉄道以外のトンネルでも、トンネルのアーチに移設困難な支障物がある箇所で生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-207431号公報
【文献】特開2016-132867号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】JIS E 2001:2002「電車線路用語」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するものであり、トンネルのアーチに移設困難な支障物がある箇所に設けることができるトンネル内巻工を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトンネル内巻工は、トンネルの内壁を覆うためのものであって、前記内壁に延設されるトンネル軸方向に長尺状の敷桁と、前記内壁の周方向に沿って設けられ、下端部が前記敷桁によって支持され、トンネル軸方向に所定の間隔で複数配置される支保工と、前記周方向に沿って曲がる可撓性を有するパネルと、複数の前記支保工をトンネル軸方向につなぐ長尺状の一対の横つなぎ材とを備え、前記一対の横つなぎ材の各々は、トンネル軸方向から見てそれぞれ左と右に配置され、前記パネルは、トンネル軸方向の端部が隣り合う前記支保工に支持され、下端部が前記敷桁に支持され、上端部が前記横つなぎ材に支持され、前記敷桁より上側かつ前記横つなぎ材より下側の前記内壁を覆うことを特徴とする。
【0008】
このトンネル内巻工において、前記横つなぎ材は、隣り合う2つのアーチ状の前記支保工をトンネル軸方向につなぐことが好ましい。
【0009】
このトンネル内巻工において、前記横つなぎ材は、隣り合わない2つのアーチ状の前記支保工をトンネル軸方向につなぎ、2つのアーチ状の前記支保工の間に配置される支保工は、上端部が前記横つなぎ材に取り付けられてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のトンネル内巻工によれば、長尺状の一対の横つなぎ材が複数の支保工をトンネル軸方向につなぎ、パネルが敷桁より上側かつ横つなぎ材より下側の内壁を覆うので、支保工と一対の横つなぎ材で囲まれた開口部が形成され、トンネルのアーチに移設困難な支障物がある箇所にトンネル内巻工を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係るトンネル内巻工の斜視図。
図2】同トンネル内巻工の断面図。
図3】同トンネル内巻工の敷桁の正面図。
図4】同トンネル内巻工の支保工の下端部の側面図。
図5】同トンネル内巻工のパネルの下端部の側面図。
図6】同トンネル内巻工の支保工の断面図。
図7】(a)は同トンネル内巻工の横つなぎ材の正面図、(b)は同横つなぎ材のA-A線断面図。
図8】同トンネル内巻工における支保工につないだ状態の横つなぎ材の正面図。
図9】(a)は同トンネル内巻工の支保工の斜視図、(b)は同支保工に横つなぎ材を取り付けた斜視図。
図10】同トンネル内巻工のパネルの斜視図。
図11】同トンネル内巻工の支保工及びパネルの断面図。
図12】同トンネル内巻工の挿入口近傍の正面図。
図13】本発明の第2の実施形態に係るトンネル内巻工の斜視図。
図14】同トンネル内巻工における支保工につないだ状態の横つなぎ材の正面図。
図15】下束がある箇所におけるトンネルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るトンネル内巻工を図1乃至図12を参照して説明する。図1に示すように、トンネル内巻工1は、トンネル2の内壁21(覆工面)を覆う物であり、トンネル2の覆工を内空側から巻くように覆う工作物であるので、トンネル内巻工と呼ばれる。
【0013】
図2は、電車線路の下束がある箇所におけるトンネル内巻工1の断面を示す。電気鉄道のトンネル区間おける下束23の間隔(径間)は、数十mであるので、電気鉄道のトンネル2には、このような箇所が数十m間隔にある。なお、下束23は、トンネルのアーチにある移設困難な支障物の代表例である。
【0014】
トンネル内巻工1は、敷桁3と、支保工4と、複数のパネル5と、横つなぎ材7とを備える(図1参照)。敷桁3は、トンネル軸方向Xに長尺状であり、トンネル2の内壁21に延設される。支保工4は、トンネル2の内壁21の周方向Cに沿って設けられ、下端部43が敷桁3によって支持される。支保工4は、トンネル軸方向Xに所定の間隔で複数配置される。パネル5は、トンネル2の周方向Cに沿って曲がる可撓性を有する。横つなぎ材7は、長尺状であり、複数の支保工4をトンネル軸方向Xにつなぐ。なお、図1において、後述するパネル5のリブは図示を省略している。
【0015】
一対の横つなぎ材7の各々は、トンネル軸方向Xから見てそれぞれ左と右に配置される。なお、トンネルにおける左と右とは、通常、起点側から見た左と右である。
【0016】
本実施形態では、横つなぎ材7は、隣り合う2つのアーチ状の支保工4をトンネル軸方向Xにつなぐ。
【0017】
パネル5は、トンネル軸方向Xの端部が隣り合う支保工4に支持され、下端部が敷桁3に支持され、上端部が横つなぎ材7に支持され、敷桁3より上側かつ横つなぎ材7より下側の内壁21を覆う。
【0018】
トンネル内巻工1の各構成をさらに詳述する。図3に示すように、敷桁3は、トンネル軸方向Xに長尺状である。図4に示すように、支保工4の下端部43は、敷桁3によって支持される。図5に示すように、敷桁3は、パネル5の下端部を支持する。パネル5が敷桁3と横つなぎ材7との間に複数に分割されている場合、敷桁3は、最も下にあるパネル5の下端部を支持する。敷桁3は、パネル5の下端部(最も下にあるパネル5の下端部)と内壁21との間隙を塞ぐ。
【0019】
本実施形態では、敷桁3は、FRP製であり、下半分が横向きの溝形鋼と同様の断面形状、上半分が横向きのハット形鋼と同様の断面形状を有する。すなわち、敷桁3は、下フランジ31、上フランジ32、ウェブ33、アーム部34を有する。アーム部34は、上フランジ32の端部から上に延出する部分である。支保工4及びパネル5は、上フランジ32上に設けられ、アーム部34と内壁21によって挟まれる(図4図5参照)。
【0020】
トンネル内巻工1は、複数の受台9を有する(図3参照)。敷桁3は、これら複数の受台9によって支持される(両端支持)。本実施形態では、受台9は、H形鋼である。トンネル内巻工1の施工時、トンネル2の覆工コンクリート25を水平方向に削孔して受台用削孔が形成される。受台用削孔は、左右の内面が目荒らしされる。そして、受台用削孔に受台9が入れられ、穴受台用削孔に充填材26が充填される(図4参照)。その充填材26が硬化し、受台9は、トンネル2の覆工コンクリート25に埋め込み固定される。
【0021】
支保工4は、FRP製であり、H形鋼と同様の断面形状を有する。すなわち、図6に示すように、支保工4は、周方向に直交する断面がH形であり、外フランジ44と、内フランジ45と、ウェブ46とを有する。外フランジ44は、トンネル2の内壁21に当接する。内フランジ45は、トンネル2の内空を臨む。ウェブ46は、外フランジ44と内フランジ45を接続する。支保工4は、トンネル2の覆工コンクリート25にボルト48で固定されたクランプ部材49を介して、覆工コンクリート25に固定される。
【0022】
図7(a)(b)に示すように、横つなぎ材7は、長尺状である。図8に示すように、本実施形態では、横つなぎ材7は、隣り合う2つのアーチ状の支保工4をトンネル軸方向Xにつなぐ。
【0023】
横つなぎ材7は、FRP製であり、溝形鋼と同様の断面形状を有する(図7(b)参照)。すなわち、横つなぎ材7は、一対の平行なフランジ71と、それらフランジ71の一端を相互に接続するウェブ72とを有する。この横つなぎ材7は、トンネル軸方向Xの端部73においてフランジ71の間隔が狭く形成される(図7(a)参照)。図9(a)(b)に示すように、横つなぎ材7の端部73が支保工4に嵌められる。パネル5は、周方向Cにおいて、横つなぎ材7と敷桁3との間に設けられる(図2参照)。
【0024】
図10に示すように、各パネル5は、FRP製であり、面状のスキンプレート51と、スキンプレート51上の複数のリブ52とを有する。本実施形態では、パネル5は、ガラスクロスを有するポリエステル樹脂のFRP製である。スキンプレート51は、可撓性を有し、矩形である。リブ52は、トンネル軸方向Xに延在し、周方向Cに複数配置される。各リブ52は、スキンプレート51から内壁21の方向に突出ている。リブ52は、貫通孔521が形成されている。貫通孔521は、周方向Cにリブ52を貫通し、トンネル軸方向Xにおいて複数形成される。
【0025】
パネル5は、トンネル軸方向Xの端部に、リブ52を有しないスキンプレート51のみの部分がある。支保工4は、ウェブ46から内フランジ45と平行にパネルガイド461が突出している(図6参照)。パネル5を支保工4に取り付ける際、パネル5の端部のスキンプレート51が、パネルガイド461と内フランジ45に挟まれて周方向Cに案内される。
【0026】
図11に示すように、パネル5は、支保工4のウェブ46によってトンネル軸方向Xに対して保持され、内フランジ45によってトンネル径方向R(内壁21の法線方向)に対して支持される。
【0027】
図12に示すように、支保工4は、内フランジ45と外フランジ44との間にパネル5を挿入するため挿入口8が内フランジ45に形成される。本実施形態では、支保工4は、内フランジ45を設けないことにより、挿入口8が形成される。白抜き矢印で図示するように、パネル5は、一対の支保工4間に挿入され、周方向Cにスライドされて配置される。挿入口8は、支保工4に少なくとも左右各1つ形成される。
【0028】
パネル5は、敷桁3より上側かつ横つなぎ材7より下側の内壁21を覆う(図2参照)。このようなパネル5の設置によって、トンネル内巻工1は、トンネル2の頂部にパネル5で覆われない開口部6が形成される。この開口部6は、支保工4の1スパンに形成され、支保工4及び横つなぎ材7によって囲まれる。
【0029】
トンネル2の左右それぞれに複数のパネル5が設けられる場合、左右の各パネル5は、グラウト(裏込め材)をパネル5と内壁21との間に注入する際にグラウトがパネル5間から漏れないように、パネル5が互いに接合される。パネル5同士を突き合わせる接合は、嵌合接合であり、パネル5の接合部分に互いに嵌合する凹凸が形成される。パネル5同士を突き合わせる接合は、接着であってもよい。
【0030】
上述のように構成されたトンネル内巻工1は、専用足場を有する台車を用いて施工される。施工時にパネル5とトンネル2の内壁21との間にグラウト(裏込め材)が注入される。グラウトには、充填性が良い、液圧がパネル5の耐荷力以内、短時間で硬化、漏出時の対処が容易、早期強度が発現する等の条件を満たすセメントミルクが用いられる。グラウトを注入するため、注入口がパネル5のスキンプレート51に設けられる。パネル5には、注入口以外に、トンネル2の頂部付近に空気抜き孔が設けられる。パネル5とトンネル2の内壁21との間にグラウトが充填・硬化されることにより、支保工4、パネル5及びグラウトが一体構造の自立構造となり、トンネル内巻工1は、耐荷力に優れた冗長性の高い構造となる。
【0031】
以上、本実施形態に係るトンネル内巻工1によれば、パネル5が敷桁3より上側かつ横つなぎ材7より下側の内壁21を覆うので、支保工4と一対の横つなぎ材7で囲まれた開口部6が形成され、トンネル2のアーチに移設困難な支障物がある箇所にトンネル内巻工1を設けることができる。長尺状の一対の横つなぎ材7が複数の支保工4をトンネル軸方向Xにつなぐので、トンネル内巻工1に開口部6を設けてもトンネル内巻工1の強度が維持される。パネル5の上端部が横つなぎ材7に支持されるので、開口部6を設けてもパネル5が安定的に支持される。
【0032】
横つなぎ材7が隣り合う2つのアーチ状の支保工4をトンネル軸方向Xにつなぐことにより、隣り合う支保工4の間に開口部6を形成することができる。これにより、トンネル2のアーチに支保工4の1スパン内の大きさの支障物がある箇所にトンネル内巻工10を設けることができる。
【0033】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るトンネル内巻工を図13及び図14を参照して説明する。本実施形態のトンネル内巻工10は、第1の実施形態のトンネル内巻工1と同様の構成を有し、開口部16が支保工4の複数スパンにわたって形成される点が異なる。本実施形態において、第1の実施形態と同等の箇所には同じ符号を付している。以下の説明において、第1の実施形態と同等の箇所の詳細な説明は省略する。
【0034】
図13に示すように、トンネル内巻工10は、敷桁3と、支保工4と、複数のパネル5と、横つなぎ材17とを備える。敷桁3は、トンネル軸方向Xに長尺状であり、トンネル2の内壁21に延設される。支保工4は、トンネル2の内壁21の周方向Cに沿って設けられ、下端部43が敷桁3によって支持される。支保工4は、トンネル軸方向Xに所定の間隔で複数配置される。パネル5は、トンネル2の周方向Cに沿って曲がる可撓性を有する。横つなぎ材17は、長尺状であり、複数の支保工4をトンネル軸方向Xにつなぐ。なお、図13において、パネル5のリブは図示を省略している。
【0035】
一対の横つなぎ材17の各々は、トンネル軸方向Xから見てそれぞれ左と右に配置される。
【0036】
図14に示すように、本実施形態では、横つなぎ材17は、隣り合わない2つのアーチ状の支保工4a、4bをトンネル軸方向Xにつなぐ。2つのアーチ状の支保工4a、4bの間に配置される支保工4c、4dは、上端部が横つなぎ材17に取り付けられる。
【0037】
パネル5は、トンネル軸方向Xの端部が隣り合う支保工4に支持され、下端部が敷桁3に支持され、上端部が横つなぎ材17に支持され、敷桁3より上側かつ横つなぎ材17より下側の内壁21を覆う(図13参照)。
【0038】
このようなパネル5の設置によって、トンネル内巻工10は、トンネル2の頂部にパネル5で覆われない開口部16が形成される。この開口部16は、支保工4の複数スパンにわたって形成され、アーチ状の支保工4a、4b及び横つなぎ材17によって囲まれる。本実施形態の開口部16は、支保工4の複数スパンにわたって形成されるので、第1の実施形態の開口部6より大きい。
【0039】
以上、本実施形態に係るトンネル内巻工10によれば、横つなぎ材17が隣り合わない2つのアーチ状の支保工4a、4bをトンネル軸方向Xにつなぎ、その支保工4a、4bの間に配置される支保工4c、4dの上端部が横つなぎ材17に取り付けられることにより、隣り合わない支保工4a、4bの間に開口部16を形成することができる。これにより、トンネル2のアーチに自動張力調整装置等の下束より大きな支障物がある箇所にトンネル内巻工10を設けることができる。
【0040】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、トンネル内巻工1、10は、鉄道以外のトンネルに設けてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1、10 トンネル内巻工
3 敷桁
4、4a、4b、4c、4d 支保工
5 パネル
6、16 開口部
7、17横つなぎ材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15