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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】電子部品搬送装置の異常判断方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20231019BHJP
【FI】
G01R31/26 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020027876
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021131349
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】521189123
【氏名又は名称】株式会社NSテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100209060
【弁理士】
【氏名又は名称】冨所 剛
(72)【発明者】
【氏名】荻原 武彦
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-44683(JP,A)
【文献】特開平6-258386(JP,A)
【文献】特開2004-361399(JP,A)
【文献】特開2000-127073(JP,A)
【文献】特開平11-271373(JP,A)
【文献】特開2011-95169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 31/28
G01R 31/00
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧制御装置と連通するシリンダーと、前記シリンダーで駆動されて電子部品を押圧する押圧部と、を有する検査ハンドを備えた電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
前記押圧部を検査部に接触させながら、前記空気圧制御装置が前記シリンダーに第1圧力値の圧力を加圧し、
前記シリンダーに前記第1圧力値の圧力を加圧するときに、前記検査ハンドを駆動するモーターの出力を第1出力値とし、
前記押圧部を前記検査部に接触させながら、前記空気圧制御装置が前記第1圧力値とは異なる第2圧力値の圧力を前記シリンダーに加圧し、
前記シリンダーに前記第2圧力値の圧力を加圧するときに、前記検査ハンドを駆動する前記モーターの出力を第2出力値とし、
前記第1出力値と前記第2出力値との差分が所定値未満である場合は、異常と判断することを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【請求項2】
空気圧制御装置と連通するシリンダーと、前記シリンダーで駆動されて電子部品を押圧する押圧部と、を有する検査ハンドを備えた電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
前記押圧部を検査部に接触させながら、前記空気圧制御装置が前記シリンダーに第1圧力値の圧力を加圧し、
前記シリンダーに前記第1圧力値の圧力を加圧するときに、前記検査ハンドを駆動するモーターに入力される電流を第1電流値とし、
前記押圧部を前記検査部に接触させながら、前記空気圧制御装置が前記第1圧力値とは異なる第2圧力値の圧力を前記シリンダーに加圧し、
前記シリンダーに前記第2圧力値の圧力を加圧するときに、前記検査ハンドを駆動する前記モーターに入力される電流を第2電流値とし、
前記第1電流値と前記第2電流値との差分が所定値未満である場合は、異常と判断することを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
前記第1圧力値と前記第2圧力値とのうちの一方の圧力値は、前記電子部品を電気特性検査するときに前記電子部品に加圧される圧力である検査圧力値であることを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
前記シリンダーはばねにより付勢され、
前記第1圧力値と前記第2圧力値とのうちの他方の圧力値は、前記ばねにより付勢される圧力と釣り合う値である釣り合い圧力値であることを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
前記検査ハンドが前記電子部品を保持しない状態で前記シリンダーが前記押圧部を加圧することを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
前記検査ハンドが前記電子部品を保持する状態で前記シリンダーが前記押圧部を加圧することを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
前記モーターが前記押圧部を前記検査部のストッパーに接触させた後に、前記シリンダーを加圧することを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【請求項8】
請求項4に記載の電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
前記釣り合い圧力値を取得して前記釣り合い圧力値を記憶し、
前記検査圧力値と前記釣り合い圧力値とを比較した後に、
前記検査圧力値を取得して、前記検査圧力値と記憶した前記釣り合い圧力値とを比較することを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【請求項9】
請求項1に記載の電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
正常と判断した場合に、前記空気圧制御装置は前記第2圧力値よりも前記第1圧力値に近い第3圧力値の圧力を前記シリンダーに加圧し、
前記シリンダーに前記第3圧力値の圧力を加圧するときに、前記検査ハンドを駆動する前記モーターの出力を第3出力値とし、
前記第1出力値と前記第3出力値との差分が所定値未満である場合は、異常と判断することを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【請求項10】
請求項1に記載の電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
異常と判断した場合に、前記第1出力値及び前記第2出力値を新たに取得し、新たに取得した前記第1出力値と前記第2出力値との差分が所定値未満である場合に、異常と判断することを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【請求項11】
請求項2に記載の電子部品搬送装置の異常判断方法であって、
異常と判断した場合に、前記第1電流値及び前記第2電流値を新たに取得し、新たに取得した前記第1電流値と前記第2電流値との差分が所定値未満である場合に、異常と判断することを特徴とする電子部品搬送装置の異常判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品搬送装置の異常判断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)や、半導体デバイス等の電子部品の電気特性検査をするために、電子部品を搬送する電子部品搬送装置が知られている。例えば、特許文献1の電子部品搬送装置では、電気特性検査時に、電子部品を指定した力で押圧する。
【0003】
また、一般的に電子部品搬送装置において、エアーシリンダーに圧縮空気を供給して電子部品をソケットに押圧すること、および、設定値に応じて空気圧力を制御する空気圧制御装置を用いて、エアーシリンダーに圧縮空気を供給することも知られていた。
【0004】
また、一般的に電子部品搬送装置は、エアーシリンダーに圧縮空気を供給して電子部品をソケットに押圧していた。また、設定値に応じて空気圧力を制御する空気圧制御装置を用いて、エアーシリンダーや、コンプライアンスシリンダーにより電子部品を加圧することも知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-161758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の電子部品搬送装置では、空気圧制御装置や、シリンダーと接続する配管等で空気漏れが発生した場合であっても、空気圧制御装置だけでは空気漏れがわからないため、電子部品が設定値に応じて適切に加圧されているか否かの検出が困難であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電子部品搬送装置の異常判断方法は、空気圧制御装置と連通するシリンダーと、前記シリンダーで駆動されて電子部品を押圧する押圧部と、を有する検査ハンドを備えた電子部品搬送装置の異常判断方法であって、前記押圧部を検査部に接触させながら、前記空気圧制御装置が前記シリンダーに第1圧力値の圧力を加圧し、前記シリンダーに前記第1圧力値の圧力を加圧するときに、前記検査ハンドを駆動するモーターの出力を第1出力値とし、前記押圧部を前記検査部に接触させながら、前記空気圧制御装置が前記第1圧力値とは異なる第2圧力値の圧力を前記シリンダーに加圧し、前記シリンダーに前記第2圧力値の圧力を加圧するときに、前記検査ハンドを駆動する前記モーターの出力を第2出力値とし、前記第1出力値と前記第2出力値との差分が所定値未満である場合は、異常と判断することを特徴とする。
【0008】
電子部品搬送装置の異常判断方法は、空気圧制御装置と連通するシリンダーと、前記シリンダーで駆動されて電子部品を押圧する押圧部と、を有する検査ハンドを備えた電子部品搬送装置の異常判断方法であって、前記押圧部を検査部に接触させながら、前記空気圧制御装置が前記シリンダーに第1圧力値の圧力を加圧し、前記シリンダーに前記第1圧力値の圧力を加圧するときに、前記検査ハンドを駆動するモーターに入力される電流を第1電流値とし、前記押圧部を前記検査部に接触させながら、前記空気圧制御装置が前記第1圧力値とは異なる第2圧力値の圧力を前記シリンダーに加圧し、前記シリンダーに前記第2圧力値の圧力を加圧するときに、前記検査ハンドを駆動する前記モーターに入力される電流を第2電流値とし、前記第1電流値と前記第2電流値との差分が所定値未満である場合は、異常と判断することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態にかかわる電子部品検査装置を正面側から見た概略斜視図。
図2】電子部品検査装置の動作状態を示す概略平面図。
図3】第2デバイス搬送ヘッドを移動する装置の構成を示す模式側面図。
図4】第2デバイス搬送ヘッドの構成を示す模式側断面図。
図5】制御装置の構成を示す電気ブロック図。
図6】電子部品搬送装置の異常判断方法のフローチャート。
図7】電子部品搬送装置の周期異常判断のフローチャート。
図8】正常のときにおける第1シリンダー、第2モーターの駆動電流、把持部の位置の推移を説明するための図。
図9】正常のときにおける第2モーターの駆動電流と第2モーターの出力との関係を説明するための図。
図10】異常のときにおける第1シリンダー、第2モーターの駆動電流、把持部の位置の推移を説明するための図。
図11】異常のときにおける第2モーターの駆動電流と第2モーターの出力との関係を説明するための図。
図12】異常判断の設定画面を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1実施形態
図1に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸及びZ軸とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直方向となっている。また、X軸に平行な方向をX方向とする。Y軸に平行な方向をY方向とする。Z軸に平行な方向をZ方向とする。各方向の矢印が向いた方向を「正」、その反対方向を「負」とする。
【0011】
「水平」とは、完全な水平に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、水平に対して若干傾いた状態も含む。「鉛直」とは、完全な鉛直に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、鉛直に対して若干傾いた状態も含む。若干傾いた状態の傾き角度は5°未満である。
【0012】
図1中の上側、すなわち、Z方向正側を「上」または「上方」、下側、すなわち、Z方向負側を「下」または「下方」と言うことがある。
【0013】
電子部品搬送装置2を有する電子部品検査装置1は、例えばBGA(Ball Grid Array)パッケージであるIC(Integrated Circuit)デバイス等の電子部品の電気的特性を検査・試験する装置である。電気的特性の検査を電特検査とする。図1に示すように、電子部品検査装置1は内部に電子部品搬送装置2を備える。電子部品搬送装置2は電子部品を搬送する装置である。
【0014】
電子部品搬送装置2はカバー3に覆われている。電子部品検査装置1は負のY方向且つ負のX方向側に制御部4を備える。制御部4は電子部品検査装置1の動作を制御する。制御部4の近くにはスピーカー5が配置される。電子部品検査装置1は負のY方向且つ正のX方向側にモニター6、操作パネル7及びマウス台8が配置される。モニター6の表示画面6aには各種の情報が表示される。モニター6は、例えば液晶画面で構成された表示画面6aを有し、電子部品検査装置1の正面側上部に配置されている。トレイ除去領域12の図1中右側には、マウスを載置するマウス台8が設けられている。操作者はマウス台8上のマウス及び操作パネル7を操作して、電子部品検査装置1の動作条件等を設定し、指示内容を入力する。操作パネル7は電子部品検査装置1に所望の動作を命令するインターフェイスである。
【0015】
電子部品検査装置1は負のY方向且つ負のX方向側にシグナルランプ9を備える。シグナルランプ9及びスピーカー5は電子部品検査装置1の動作状態等を報知する。シグナルランプ9は、発光する色の組み合わせにより、電子部品検査装置1の動作状態等を報知する。シグナルランプ9は電子部品検査装置1の上部に配置される。
【0016】
電子部品検査装置1は負のY方向側にトレイ供給領域11及びトレイ除去領域12が設けられる。操作者は電子部品が配列されたトレイをトレイ供給領域11に供給する。電子部品検査装置1はトレイ供給領域11からトレイを取り込んで、電特検査を行う。電子部品検査装置1は電特検査が終了した電子部品が配列するトレイをトレイ除去領域12に排出する。
【0017】
図2に示すように、説明の便宜上、電子部品としてのICデバイス13を用いる場合について代表して説明する。ICデバイス13は平板状をなす。ICデバイス13の下面には半球状の複数の端子が配置されている。
【0018】
ICデバイス13としては、例えば、LSI(Large Scale Integration)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)、複数のモジュールがパッケージ化されたモジュールIC、水晶デバイス、圧力センサー、慣性センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、指紋センサー等が挙げられる。
【0019】
電子部品搬送装置2は、トレイ供給領域11と、デバイス供給領域14と、検査領域15と、デバイス回収領域16と、トレイ除去領域12とを備える。これらの各領域は壁で分けられている。ICデバイス13は、トレイ供給領域11からトレイ除去領域12まで前記各領域を第1矢印17方向に順に経由し、途中の検査領域15で検査が行われる。電子部品検査装置1は、各領域を経由するようにICデバイス13を搬送する搬送部18を有する電子部品搬送装置2と、検査領域15内で検査を行なう検査部19と、産業用コンピューターで構成された制御部4とを備えたものとなっている。
【0020】
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域11及びトレイ除去領域12が配置された方が正面側となり、検査領域15が配された方が背面側として使用される。
【0021】
電子部品検査装置1は、ICデバイス13の種類ごとに交換される「チェンジキット」と呼ばれるものを予め搭載して用いられる。チェンジキットには、例えば、温度調整部21と、デバイス供給部22と、デバイス回収部23とがある。チェンジキットとは別に、ICデバイス13の種類ごとに交換されるものとしては、例えば、トレイ24と、回収用トレイ25と、検査部19とがある。
【0022】
トレイ供給領域11は、未検査状態の複数のICデバイス13が配列されたトレイ24が供給される給材部である。トレイ供給領域11ではトレイ24が複数積み重ねて搭載される。各トレイ24には複数の凹部が行列状に配置されている。各凹部にはICデバイス13が1つずつ収納される。
【0023】
デバイス供給領域14では、トレイ供給領域11から搬送されたトレイ24上の複数のICデバイス13がそれぞれデバイス供給部22まで搬送される。デバイス供給部22によりデバイス供給領域14から検査領域15へICデバイス13が搬送される。トレイ供給領域11とデバイス供給領域14とをまたぐように、トレイ24を1枚ずつ水平方向に搬送する第1トレイ搬送機構26、第2トレイ搬送機構27が設けられている。第1トレイ搬送機構26は搬送部18の一部である。第1トレイ搬送機構26はICデバイス13を搭載したトレイ24をY方向正側、すなわち、図2中の第2矢印28方向に移動する。これにより、ICデバイス13はデバイス供給領域14に送り込まれる。また、第2トレイ搬送機構27は空のトレイ24をY方向負側、すなわち、図2中の第3矢印29方向に移動する。第2トレイ搬送機構27は空のトレイ24をデバイス供給領域14からトレイ供給領域11に移動する。
【0024】
デバイス供給領域14には、温度調整部21、第1デバイス搬送ヘッド31、トレイ搬送機構32及びデバイス供給部22が設けられている。温度調整部21はソークプレート(英語表記:soak plate、中国語表記:均温板)ともいう。デバイス供給部22はデバイス供給領域14と検査領域15とをまたぐように移動する。
【0025】
温度調整部21には複数のICデバイス13が載置される。温度調整部21は載置されたICデバイス13を一括して加熱または冷却できる。温度調整部21はICデバイス13を予め加熱または冷却して、電特検査に適した温度に調整する。
【0026】
本実施形態では、例えば、温度調整部21はY方向に2つ配置されている。そして、第1トレイ搬送機構26によってトレイ供給領域11から搬入されたトレイ24上のICデバイス13は、いずれかの温度調整部21に搬送される。
【0027】
第1デバイス搬送ヘッド31はICデバイス13を保持する機構を備える。第1デバイス搬送ヘッド31はデバイス供給領域14内でX方向、Y方向及びZ方向にICデバイス13を移動する。第1デバイス搬送ヘッド31は搬送部18の一部である。第1デバイス搬送ヘッド31はトレイ供給領域11から搬入されたトレイ24と温度調整部21との間のICデバイス13の搬送を行う。第1デバイス搬送ヘッド31は温度調整部21とデバイス供給部22との間のICデバイス13の搬送を行う。尚、図2中では、第1デバイス搬送ヘッド31のX方向の移動を第4矢印33で示し、第1デバイス搬送ヘッド31のY方向の移動を第5矢印34で示す。
【0028】
デバイス供給部22には温度調整部21で温度調整されたICデバイス13が載置される。デバイス供給部22はICデバイス13を検査部19近傍まで搬送する。デバイス供給部22は「供給用シャトルプレート」または「供給シャトル」という。デバイス供給部22も、搬送部18の一部である。デバイス供給部22は、ICデバイス13が収納、載置される凹部を有する。
【0029】
デバイス供給部22はデバイス供給領域14と検査領域15との間をX方向、すなわち、第6矢印35方向に往復移動する。これにより、デバイス供給部22は、ICデバイス13をデバイス供給領域14から検査領域15の検査部19の近傍まで搬送する。検査領域15でICデバイス13が検査ハンドとしての第2デバイス搬送ヘッド36によって取り去られた後、デバイス供給部22は再度デバイス供給領域14に戻る。
【0030】
デバイス供給部22はY方向に2つ配置されている。Y方向正側のデバイス供給部22を第1デバイス供給部22aとする。Y方向負側のデバイス供給部22を第2デバイス供給部22bとする。そして、温度調整部21上のICデバイス13は、第1デバイス搬送ヘッド31によりデバイス供給領域14内で第1デバイス供給部22aまたは第2デバイス供給部22bまで搬送される。デバイス供給部22はデバイス供給部22に載置されたICデバイス13を加熱または冷却可能である。温度調整部21で温度調整されたICデバイス13は、温度調整状態を維持して検査領域15の検査部19近傍まで搬送される。また、デバイス供給部22及び温度調整部21はシャーシへ電気的に接地されている。
【0031】
トレイ搬送機構32は、すべてのICデバイス13が除去された状態の空のトレイ24をデバイス供給領域14内でX方向正側、すなわち、第7矢印32a方向に搬送する機構である。第7矢印32a方向への搬送後、空のトレイ24は、第2トレイ搬送機構27によってデバイス供給領域14からトレイ供給領域11に戻される。
【0032】
検査領域15は、ICデバイス13を検査する領域である。検査領域15にはICデバイス13を検査する検査部19と、第2デバイス搬送ヘッド36とが設けられている。
【0033】
第2デバイス搬送ヘッド36は、搬送部18の一部であり、保持したICデバイス13を加熱または冷却可能である。検査領域15内で温度調整状態を維持したまま、第2デバイス搬送ヘッド36はICデバイス13を搬送する。
【0034】
第2デバイス搬送ヘッド36は、検査領域15内でY方向及びZ方向に往復移動可能に支持され、「インデックスアーム」と呼ばれる機構の一部となっている。第2デバイス搬送ヘッド36はICデバイス13を持ち上げてデバイス供給部22から検査部19上に搬送し、載置する。
【0035】
図2中では、第2デバイス搬送ヘッド36のY方向の往復移動を第8矢印36cで示している。第2デバイス搬送ヘッド36は、検査領域15内で、ICデバイス13の第1デバイス供給部22aから検査部19への搬送と、ICデバイス13の第2デバイス供給部22bから検査部19への搬送とを担う。また、第2デバイス搬送ヘッド36は、Y方向に往復移動可能に支持されている。
【0036】
第2デバイス搬送ヘッド36は、Y方向に2つ配置されている。Y方向正側の第2デバイス搬送ヘッド36を第3デバイス搬送ヘッド36aとする。Y方向負側の第2デバイス搬送ヘッド36を第4デバイス搬送ヘッド36bとする。第3デバイス搬送ヘッド36aはICデバイス13を第1デバイス供給部22aから検査部19への搬送を担う。第4デバイス搬送ヘッド36bはICデバイス13を第2デバイス供給部22bから検査部19への搬送を担う。第3デバイス搬送ヘッド36aは、ICデバイス13の検査部19から第1デバイス回収部23aへの搬送を担う。第4デバイス搬送ヘッド36bは検査部19から第2デバイス回収部23bへの搬送を担う。
【0037】
検査部19にはICデバイス13が載置され、検査部19はICデバイス13の電気的特性を検査する。検査部19にはICデバイス13の端子と電気的に接続される複数のプローブピンが設けられている。そして、ICデバイス13の端子とプローブピンとが電気的に接続される。そして、検査部19はICデバイス13の検査を行なう。ICデバイス13の検査は検査部19と電気的に接続されるテスターが備える検査制御部に記憶されているプログラムに基づいて行われる。検査部19でもICデバイス13を加熱または冷却して、ICデバイス13を検査に適した温度に調整できる。
【0038】
デバイス回収領域16は検査が終了した複数のICデバイス13が回収される領域である。デバイス回収領域16には、回収用トレイ25と、第5デバイス搬送ヘッド37と、第3トレイ搬送機構38とが設けられている。検査領域15とデバイス回収領域16とをまたぐように移動するデバイス回収部23も設けられている。デバイス回収領域16には空のトレイ24も用意されている。
【0039】
デバイス回収部23には検査が終了したICデバイス13が載置される。デバイス回収部23はICデバイス13をデバイス回収領域16まで搬送する。デバイス回収部23は「回収用シャトルプレート」または単に「回収シャトル」ともいう。デバイス回収部23も搬送部18の一部である。
【0040】
デバイス回収部23は、検査領域15とデバイス回収領域16との間をX方向、すなわち、第9矢印23c方向に沿って往復移動可能に支持されている。デバイス回収部23はY方向に2つ配置されている。Y方向正側のデバイス回収部23が第1デバイス回収部23aである。Y方向負側のデバイス回収部23が第2デバイス回収部23bである。検査部19上のICデバイス13は第1デバイス回収部23aまたは第2デバイス回収部23bに搬送され、載置される。第2デバイス搬送ヘッド36はICデバイス13の検査部19から第1デバイス回収部23aへの搬送と、ICデバイス13の検査部19から第2デバイス回収部23bへの搬送とを担う。また、デバイス回収部23はシャーシへ電気的に接地されている。
【0041】
回収用トレイ25には検査部19で検査されたICデバイス13が載置される。ICデバイス13はデバイス回収領域16内で移動しないよう回収用トレイ25に固定されている。第5デバイス搬送ヘッド37等の各種可動部が比較的多く配置されたデバイス回収領域16であっても、回収用トレイ25上では検査済みのICデバイス13が安定して載置される。回収用トレイ25は、X方向に沿って3つ配置されている。
【0042】
空のトレイ24もX方向に沿って4つ配置されている。空のトレイ24に検査されたICデバイス13が載置される。デバイス回収部23上のICデバイス13は回収用トレイ25または空のトレイ24のうちのいずれかに搬送され、載置される。ICデバイス13は検査結果ごとに分類されて、回収される。
【0043】
第5デバイス搬送ヘッド37は、デバイス回収領域16内でX方向及びY方向に移動可能に支持される。第5デバイス搬送ヘッド37はZ方向にも移動可能な部分を有している。第5デバイス搬送ヘッド37は搬送部18の一部である。第5デバイス搬送ヘッド37はICデバイス13をデバイス回収部23から回収用トレイ25や空のトレイ24に搬送する。図2中では、第5デバイス搬送ヘッド37のX方向の移動を第10矢印37aで示し、第5デバイス搬送ヘッド37のY方向の移動を第11矢印37bで示す。
【0044】
第3トレイ搬送機構38は、トレイ除去領域12から搬入された空のトレイ24をデバイス回収領域16内でX方向、すなわち、第12矢印38a方向に搬送する機構である。搬送後に空のトレイ24はICデバイス13が回収される位置に配置される。
【0045】
トレイ除去領域12では検査済み状態の複数のICデバイス13が配列されたトレイ24が回収され、除去される。トレイ除去領域12には多数のトレイ24が積み重ねられる。
【0046】
デバイス回収領域16とトレイ除去領域12とをまたぐようにトレイ24を1枚ずつY方向に搬送する第4トレイ搬送機構39及び第5トレイ搬送機構41が設けられている。第4トレイ搬送機構39は搬送部18の一部でありトレイ24をY方向、すなわち、第13矢印39a方向に往復移動する。第4トレイ搬送機構39は、検査済みのICデバイス13をデバイス回収領域16からトレイ除去領域12に搬送する。第5トレイ搬送機構41はICデバイス13を回収するための空のトレイ24をY方向正側、すなわち、第14矢印41a方向に移動する。第5トレイ搬送機構41は空のトレイ24をトレイ除去領域12からデバイス回収領域16に移動する。
【0047】
制御部4は第1トレイ搬送機構26と、第2トレイ搬送機構27と、温度調整部21と、第1デバイス搬送ヘッド31と、デバイス供給部22と、トレイ搬送機構32と、検査部19と、第2デバイス搬送ヘッド36と、デバイス回収部23と、第5デバイス搬送ヘッド37と、第3トレイ搬送機構38と、第4トレイ搬送機構39と、第5トレイ搬送機構41の各部の動作を制御する。制御部4はプロセッサー42とメモリー43とを有している。プロセッサー42はメモリー43に記憶されている判断用プログラム、指示・命令用プログラム等の各種情報を読み込み、判断や命令を実行する。
【0048】
制御部4は、電子部品検査装置1や電子部品搬送装置2に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。外部機器は、例えば、電子部品検査装置1とケーブル等を介して通信される場合、無線通信される場合、電子部品検査装置1とネットワークを介して接続されている場合等がある。
【0049】
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域11とデバイス供給領域14との間が第1隔壁44によって区切られている。デバイス供給領域14と検査領域15との間が第2隔壁45によって区切られている。検査領域15とデバイス回収領域16との間が第3隔壁46によって区切られている。デバイス回収領域16とトレイ除去領域12との間が第4隔壁47によって区切られている。デバイス供給領域14とデバイス回収領域16との間も、第5隔壁48によって区切られている。
【0050】
図3に示すように、電子部品検査装置1は基台49を備える。基台49上には第6矢印35方向に長い第1レール51が配置される。第1レール51上に第1デバイス供給部22aが配置される。第1デバイス供給部22aへは第4モーター52から第1プーリー53及び第1ベルト54を介して力が伝達される。第4モーター52のトルクにより第1デバイス供給部22aが第1レール51に沿って移動する。第1デバイス供給部22aのZ方向正側の面にはICデバイス13を載置する第1ポケット22cが配置される。
【0051】
基台49上には第1レール51と平行に第2レール56が配置される。第2レール56上に第2デバイス供給部22bが配置される。第2デバイス供給部22bへは第5モーター57から第2プーリー58及び第2ベルト59を介して力が伝達される。第5モーター57のトルクにより第2デバイス供給部22bが移動する。第2デバイス供給部22bのZ方向正側の面にはICデバイス13を載置する第2ポケット22dが配置される。
【0052】
基台49上にはデバイス供給部22を跨いで門型の支持構造体62が配置される。支持構造体62は第2デバイス搬送ヘッド36を支持する。支持構造体62上には第3レール63が配置される。第3レール63はY方向に長い。第3レール63上にヘッド移動部64が配置される。ヘッド移動部64は第3レール63に沿って移動する。ヘッド移動部64へは第1モーター65から第1ボールねじ66を介して力が伝達される。第1モーター65のトルクによりヘッド移動部64が移動する。
【0053】
ヘッド移動部64には第1昇降部67及び第2昇降部68が設けられる。第1昇降部67はモーターとしての第2モーター67a、第2ボールねじ67b、第1昇降移動部67c及び第1回転部67dを備える。ヘッド移動部64上に第2モーター67aが配置される。第2モーター67aの回転軸に第2ボールねじ67bが接続される。第2ボールねじ67bはZ方向に長い。第2ボールねじ67bは第1昇降移動部67cに形成される雌ねじと摺動可能に羅合する。第1昇降移動部67cに第1回転部67dが接続される。第1回転部67dに検査ハンドとしての第3デバイス搬送ヘッド36aが接続される。第2モーター67aのトルクが第2ボールねじ67bに伝達されて、第1昇降移動部67cが昇降する。第1昇降移動部67cと一緒に第3デバイス搬送ヘッド36aが昇降する。第2モーター67aが第2ボールねじ67bを回転することにより第3デバイス搬送ヘッド36aが昇降する。第1回転部67dは内部にモーターを備える。第1回転部67dはZ方向を軸として第3デバイス搬送ヘッド36aを回転する。
【0054】
第2昇降部68は第3モーター68a、第3ボールねじ68b、第2昇降移動部68c及び第2回転部68dを備える。ヘッド移動部64上に第3モーター68aが配置される。第3モーター68aの回転軸に第3ボールねじ68bが接続される。第3ボールねじ68bはZ方向に長い。第3ボールねじ68bは第2昇降移動部68cに形成される雌ねじと摺動可能に羅合する。第2昇降移動部68cに第2回転部68dが接続される。第2回転部68dに第4デバイス搬送ヘッド36bが接続される。第3モーター68aのトルクが第3ボールねじ68bに伝達されて、第2昇降移動部68cが昇降する。第2昇降移動部68cと一緒に第4デバイス搬送ヘッド36bが昇降する。第3モーター68aが第3ボールねじ68bを回転することにより第4デバイス搬送ヘッド36bが昇降する。第2回転部68dは内部にモーターを備える。第2回転部68dはZ方向を軸として第4デバイス搬送ヘッド36bを回転する。
【0055】
第3デバイス搬送ヘッド36aが検査部19と対向するとき、第4デバイス搬送ヘッド36bはデバイス供給部22と対向する。第3デバイス搬送ヘッド36aがデバイス供給部22と対向するとき、第4デバイス搬送ヘッド36bは検査部19と対向する。検査部19上にはストッパー55が配置される。第3デバイス搬送ヘッド36a及び第4デバイス搬送ヘッド36bが検査部19に向かって下降するとき、第3デバイス搬送ヘッド36a及び第4デバイス搬送ヘッド36bはストッパー55と接触して停止する。
【0056】
図4に示すように、第2デバイス搬送ヘッド36は、少なくとも1つのハンドユニット69を有している。ハンドユニット69は、デバイス供給部22上のICデバイス13を把持して検査部19まで搬送する。ハンドユニット69は、ICデバイス13の検査後に検査部19上のICデバイス13を把持してデバイス回収部23まで搬送する。尚、1つの第2デバイス搬送ヘッド36へのハンドユニット69の配置数は、特に限定されない。
【0057】
ハンドユニット69は、押圧部としての把持部71と、支持部72と、シリンダー73と、検出部74とを有する。把持部71は、ICデバイス13を把持する部分である。把持部71は、可動部75と、加熱部76と、吸着部77とを有する。
【0058】
可動部75は円柱状をなす。可動部75は上側に外径が拡径した上側フランジ部78を有し、下側に外径が拡径した下側フランジ部79を有している。上側フランジ部78の外周部には周方向に沿ってリング状に突出したリブ81が形成されている。可動部75はシリンダー73で駆動されてICデバイス13を検査部19に押圧する。
【0059】
可動部75の下側フランジ部79の下方にはICデバイス13を加熱する加熱部76が固定されている。加熱部76は円柱状をなす。加熱部76の内部にはヒーター82が内蔵されている。ヒーター82が動作することにより、熱が発生する。この熱は吸着部77を介してICデバイス13に伝導する。ヒーター82はICデバイス13を加熱して検査に適した温度に調整する。ヒーター82の代わりに把持部71はICデバイス13を冷却する冷却部を有してもよい。
【0060】
加熱部76の下方にはICデバイス13を吸着して把持する吸着部77が固定されている。吸着部77は吸着部本体83及び吸着パッド84を有している。吸着部本体83には吸着部本体83の下面に開口する第1凹部83aと、第1凹部83aに開口し第1凹部83aよりも深さが深い第2凹部83bと、が形成されている。第2凹部83bには、吸着パッド84が固定されている。吸着部本体83の内部に形成された流路85の一端と接続して吸着パッド84が設けられる。流路85の他端は配管86と接続されている。配管86は図示しない第1電磁弁を介して減圧ポンプと接続されている。第1電磁弁は、配管86の圧力を負圧と大気圧とで切り替える。配管86の圧力が負圧のときに吸着パッド84に吸引力が生じて、吸着パッド84はICデバイス13を吸着して保持する。配管86の圧力が大気圧のときには、ICデバイス13は吸着パッド84から解放される。
【0061】
支持部72は、把持部71を第1位置と、第1位置よりも下方の第2位置と、の間を移動可能に支持する。支持部72は、基部72aと、基部72aの下方に位置する中空の支持部本体72bと、基部72aの上方に位置する連結部72cとを有する。基部72aは、連結部72cを介して第1回転部67dまたは第2回転部68dと連結される。支持部本体72bには中空部87に連通する貫通孔88が形成されている。可動部75の上側フランジ部78と下側フランジ部79との間の中空部87と貫通孔88とが挿通する。支持部72は、基部72aと支持部本体72bとに一括して貫通して形成された流路89を有している。流路89の一端は支持部本体72bの上方の中空部87と連通している流路89の他端は配管を介して圧空発生装置と接続される。
【0062】
ハンドユニット69は、把持部71をZ方向に移動させるシリンダー73を有する。シリンダー73は把持部71を第1位置または第2位置に所望のタイミングで移動させる。
【0063】
シリンダー73は、圧縮空気の供給により把持部71をZ方向負側に移動させる空圧部91と、上側フランジ部78を備える。そして、ばねとしての付勢部92がシリンダー73の上側フランジ部78をZ方向正側に向かって付勢する。
【0064】
空圧部91はダイヤフラム93を備える。ダイヤフラム93は中空部87を上側中空部87aと下側中空部87bとに2分する。上側中空部87aは流路89と接続する。下側中空部87bは貫通孔88と接続する。ダイヤフラム93の中央は上側フランジ部78に固定される。ダイヤフラム93の外周側の部分は支持部本体72bに固定される。
【0065】
流路89から上側中空部87aに圧縮空気が供給されることにより、上側中空部87aの圧力が上昇する。これにより、付勢部92の付勢力に抗して、把持部71はZ方向負側に移動する。
【0066】
付勢部92は、支持部本体72bの下側中空部87bに配置されたコイルバネで構成されている。コイルバネは、支持部本体72bの内側下面90と、可動部75のリブ81との間で圧縮状態となっている。付勢部92により把持部71はZ方向正側に付勢される。上側中空部87aの気圧が大気圧のとき、把持部71は付勢部92の付勢力によってZ方向正側に位置する。
【0067】
上側中空部87aへの空気の供給を圧縮空気と大気圧空気との一方に切り換えるという簡単な構成で、シリンダー73は把持部71を安定して移動させる。
【0068】
検出部74は、水平方向、すなわち、XY平面に対する把持部71の傾きを検出する。検出部74は、支持部72に固定された光センサー94と、把持部71に固定された遮蔽板95と、を有する。光センサー94と遮蔽板95とが対となって、複数配置される。本実施形態では、例えば、光センサー94と遮蔽板95とは、把持部71に対して、X方向正側に1組、X方向負側に1組、Y方向正側に1組、Y方向負側に1組配置されている。各組の遮蔽板95による光センサー94の遮蔽状態によって把持部71の傾きが検出される。
【0069】
図5に示すように、電子部品検査装置1は制御部4を備える。制御部4はプロセッサー42及びメモリー43を備える。プロセッサー42は動作制御部96を備える。動作制御部96は各種のモーターやシリンダーを制御する。動作制御部96はCPU(Central Processing Unit)等により構成される。メモリー43は記憶部97を備える。記憶部97には各種のパラメーターやプログラムが記憶される。
【0070】
動作制御部96は第1モーター制御部98、第2モーター制御部99、第3モーター制御部101、第4モーター制御部102、第5モーター制御部103、空気圧回路検査部104と電気的に接続される。他にも、動作制御部96は空気圧制御装置としての第1空気圧制御装置105、第1電磁弁106、第2空気圧制御装置107、第2電磁弁108と電気的に接続される。
【0071】
第1モーター制御部98は第1モーター65を制御して、ヘッド移動部64のY方向の位置を制御する。
【0072】
第2モーター制御部99は第2電流計109を介して第2モーター67aと電気的に接続される。第2モーター制御部99は第2モーター67aを制御して、第3デバイス搬送ヘッド36aのZ方向の位置を制御する。第2モーター67aの回転軸には第2エンコーダー67eが設置される。第2エンコーダー67eは回転軸の回転角度を第2モーター制御部99に出力する。第2モーター制御部99はサーボアンプを備える。第2モーター制御部99は第3デバイス搬送ヘッド36aが目標とする場所に位置するように第2モーター67aを制御する。第2電流計109は空気圧回路検査部104と電気的に接続される。第2電流計109は第2モーター67aに流れる電流値を検出して空気圧回路検査部104に出力する。
【0073】
第3モーター制御部101は第3電流計111を介して第3モーター68aと電気的に接続される。第3モーター制御部101は第3モーター68aを制御して、第4デバイス搬送ヘッド36bのZ方向の位置を制御する。第3モーター68aの回転軸には第3エンコーダー68eが設置される。第3エンコーダー68eは回転軸の回転角度を第3モーター制御部101に出力する。第3モーター制御部101はサーボアンプを備える。第3モーター制御部101は第4デバイス搬送ヘッド36bが目標とする場所に位置するように第3モーター68aを制御する。第3電流計111は空気圧回路検査部104と電気的に接続される。第3電流計111は第3モーター68aに流れる電流値を検出して空気圧回路検査部104に出力する。
【0074】
第4モーター制御部102は第4モーター52を制御して、第1デバイス供給部22aのX方向の位置を制御する。第5モーター制御部103は第5モーター57を制御して、第2デバイス供給部22bのX方向の位置を制御する。
【0075】
電子部品検査装置1は圧空発生装置112を備える。圧空発生装置112は空気を圧縮して圧縮空気を供給する。圧空発生装置112は圧空調質装置113及び配管を介して第1空気圧制御装置105及び第2空気圧制御装置107と接続される。圧空発生装置112は第1空気圧制御装置105及び第2空気圧制御装置107に圧縮空気を供給する。圧空調質装置113は空気の圧力、湿度、油分を調整する。他にも、電子部品検査装置1は減圧ポンプ114を備える。減圧ポンプ114は大気圧より低い気圧の減圧空気を第1電磁弁106及び第2電磁弁108に供給する。
【0076】
第1空気圧制御装置105はシリンダーとしての第1シリンダー73aと連通する。第1空気圧制御装置105は第1シリンダー73aに供給する空気圧を制御する。第1シリンダー73aは第3デバイス搬送ヘッド36aにおけるシリンダー73である。第2空気圧制御装置107は第2シリンダー73bに供給する空気圧を制御する。第2シリンダー73bは第4デバイス搬送ヘッド36bにおけるシリンダー73である。第1空気圧制御装置105及び第2空気圧制御装置107は空気圧回路検査部104と電気的に接続される。第1空気圧制御装置105及び第2空気圧制御装置107はシリンダー73に供給する圧力の情報を空気圧回路検査部104に出力する。第1空気圧制御装置105及び第2空気圧制御装置107は電空レギュレーターともいう。
【0077】
第1電磁弁106は第1吸着パッド84aに供給する空気圧を大気圧または減圧された空気圧に切り替える。第1吸着パッド84aは第3デバイス搬送ヘッド36aにおける吸着パッド84である。第2電磁弁108は第2吸着パッド84bに供給する空気圧を大気圧または減圧された空気圧に切り替える。第2吸着パッド84bは第4デバイス搬送ヘッド36bにおける吸着パッド84である。
【0078】
空気圧回路検査部104は第1シリンダー73aに供給する空気圧と第2モーター67aに流れる電流値から空気圧回路の異常を検出する。空気圧回路検査部104は第2シリンダー73bに供給する空気圧と第3モーター68aに流れる電流値から空気圧回路の異常を検出する。
【0079】
次に、電子部品搬送装置2の異常判断方法について説明する。空気圧回路検査部104は第3デバイス搬送ヘッド36aと第4デバイス搬送ヘッド36bとを同じ方法で異常判断するので、第3デバイス搬送ヘッド36aについて説明し、第4デバイス搬送ヘッド36bについての説明を省略する。
【0080】
図6において、ステップS1は把持部71を検査部19に移動する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2はシリンダーに最低加圧力である第1圧力値を設定する工程である。この工程では、第2モーター67aが把持部71を検査部19のストッパー55に接触させた後に、シリンダーを加圧する。第3デバイス搬送ヘッド36aがICデバイス13を保持しない状態で第1シリンダー73aが把持部71を加圧する。把持部71を検査部19に接触させながら、第1空気圧制御装置105が第1シリンダー73aに第1圧力値の圧力を加圧する。第1シリンダー73aは付勢部92により付勢される。第1圧力値は、付勢部92により付勢される圧力と釣り合う値である釣り合い圧力値である。次にステップS3に移行する。
【0081】
ステップS3は第2モーター67aの出力を測定し第1出力値として記録する工程である。この工程では、第1シリンダー73aに第1圧力値の圧力を加圧するときに、第3デバイス搬送ヘッド36aの位置を維持するために駆動する第2モーター67aの出力を第1出力値とする。ここで、モーターの出力とは、トルク、回転速度、および所定係数をかけ合わせた値であり、力センサーにより測定される。上記の他に、モーターの出力はモーターに入力される電流と電圧の積と相関するため、モーターの出力の代わりにモーターに入力される電流を測定してもよい。以下では、モーターに入力される電流を測定し、異常判断に用いる。第1出力値を出力する第2モーター67aに入力される電流を第1電流値とする。空気圧回路検査部104は第1電流値を記憶部97に記憶する。次にステップS4に移行する。
【0082】
ステップS4はシリンダーにテスト加圧力である第2圧力値を設定する工程である。この工程では、把持部71を検査部19に接触させながら、第1空気圧制御装置105が第1圧力値とは異なる第2圧力値の圧力を第1シリンダー73aに加圧する。第2圧力値は、ICデバイス13を電気特性検査するときにICデバイス13に加圧される圧力である検査圧力値である。次にステップS5に移行する。
【0083】
ステップS5は第2モーター67aの出力を測定し第2出力値とし、第1出力値と第2出力値とを比較する工程である。この工程では、第1シリンダー73aに第2圧力値の圧力を加圧するときに、第3デバイス搬送ヘッド36aの位置を維持するために駆動する第2モーター67aの出力を第2出力値とする。第2出力値を出力する第2モーター67aに入力される電流を第2電流値とする。空気圧回路検査部104は第2電流値を記憶部97に記憶する。空気圧回路検査部104は第1出力値と第2出力値とを比較する。空気圧回路検査部104が第1出力値と第2出力値とを比較するときは第1電流値と第2電流値とを比較する。次にステップS6に移行する。
【0084】
ステップS6は第1出力値と第2出力値との差を判断する工程である。第1出力値と第2出力値との差分が所定値未満である場合は、異常と判断する。つまり、第1電流値と第2電流値との差分が所定値未満である場合は、異常と判断してステップS11に移行する。一方、第1出力値と第2出力値との差分が所定値以上である場合は、正常と判断する。つまり、第1電流値と第2電流値との差分が所定値以上である場合は、正常と判断してステップS7に移行する。
【0085】
ステップS7は電特検査に移行する工程である。この工程は、第2デバイス搬送ヘッド36が第1デバイス供給部22a及び第2デバイス供給部22bから検査部19にICデバイス13を移動して電特検査を行う工程である。電特検査を継続するときは次にステップS8に移行する。電特検査を終了するときは次にステップS9に移行する。
【0086】
ステップS8は周期異常判断を行う工程である。この工程は、所定のタイミングにおいて第1出力値と第2出力値とを比較する。そして、異常判断を行う工程である。次にステップS7に移行する。
【0087】
ステップS9は電特検査を終了する工程である。この工程は、電子部品検査装置1を停止する工程である。
【0088】
ステップS10は電子部品搬送装置を停止する工程である。操作者が操作パネル7を操作して電子部品搬送装置2を停止する。
【0089】
ステップS11はエラーの表示を行う工程である。この工程は、モニター6に空気圧回路に異常が生じていることを表示する工程である。次にステップS10に移行する。以上の工程により、電子部品搬送装置2の異常を判断する工程が終了する。
【0090】
次に、ステップS8の周期異常判断工程の説明をする。図7において、ステップS21は異常判断タイミングであるかを判断する工程である。この工程では所定のタイミングにおいて第1シリンダー73aの異常判断を行うかの判断が行われる。所定のタイミングは、例えば、電特検査を行う個数、電特検査を行う時間等で設定される。異常判断タイミングでないとき、次に、ステップS7に移行する。異常判断タイミングであるとき、次にステップS22に移行する。
【0091】
ステップS22は把持部71を検査部19に移動する工程である。この工程は、ステップS1と同じ工程である。次にステップS23に移行する。
【0092】
ステップS23はシリンダーにテスト加圧力である第2圧力値を設定する工程である。この工程は、ステップS4と同じ工程である。次にステップS24に移行する。
【0093】
ステップS24は第2モーター67aの出力を測定し第2出力値とし、第1出力値と第2出力値とを比較する工程である。この工程は、ステップS5と同じ工程である。第1出力値にはステップS3で記憶した値を用いる。つまり、釣り合い圧力値である第1出力値をステップS3で取得して釣り合い圧力値を記憶する。ステップS5で第2出力値である検査圧力値と第1出力値である釣り合い圧力値とを1度比較した後では、検査圧力値を取得して、検査圧力値と記憶した釣り合い圧力値とを比較する。次にステップS25に移行する。
【0094】
ステップS25は第1出力値と第2出力値との差を判断する工程である。この工程は、ステップS6と同じ工程である。第1電流値と第2電流値との差分が所定値未満である場合は、異常と判断してステップS11に移行する。第1出力値と第2出力値との差分が所定値以上である場合は、正常と判断する。つまり、第1電流値と第2電流値との差分が所定値以上である場合は、正常と判断してステップS7に移行する。以上の工程により、電子部品搬送装置2の周期異常判断の工程が終了する。
【0095】
次に、図8を用いて、第1シリンダー73a、第2モーター67aの駆動電流、把持部71の位置の推移を説明する。図8の上段の図は第1シリンダー73aの圧力の推移を示す。図8の中段の図は第2モーター67aの駆動電流の推移を示す。縦軸は中央が0(A)である。上側は把持部71を上昇させる方向に流れる電流を示す。下側は把持部71を下降させる方向に流れる電流を示す。中央から離れるに従って大きな電流が流れる。図8の下段の図は把持部71の位置の推移を示す。各図とも横軸は時間を示し、時間は左から右へ推移する。
【0096】
ステップS1では、第2モーター制御部99が第2モーター67aを駆動して把持部71を検査部19に接近させる。把持部71が検査部19から離れているときは早く移動し、接近したら低速で移動する。第2モーター制御部99は第2モーター67aに流れる電流値をモニターして電流値の絶対値が増えた所で、把持部71が検査部19に接触したことを検出する。
【0097】
ステップS2では、第1空気圧制御装置105が第1シリンダー73aに第1圧力値115の圧力を加える。加えた圧力により生じる力は付勢部92の力と釣り合う力に設定されている。ステップS3にて、第2モーター67aに流れる電流である第1電流値116を第2電流計109が検出する。第1電流値116は0に近い値になっている。空気圧回路検査部104により第1電流値116は記憶部97に記憶される。
【0098】
ステップS4では、第1空気圧制御装置105が第1シリンダー73aに第2圧力値117の圧力を加える。第2圧力値117はステップS7の電特検査時に加えられる圧力である。第1シリンダー73aは把持部71を下方に押圧する。
【0099】
ステップS5では第2モーター制御部99がサーボ回路を動作して把持部71が移動しないように、第2モーター67aに電流を流す。第1シリンダー73aが把持部71を押圧する力と第2モーター67aが把持部71を引き上げる力が釣り合う。第2電流計109が第2モーター67aに流れる電流である第2電流値118を検出して空気圧回路検査部104に出力する。空気圧回路検査部104は第1電流値116と第2電流値118との差の絶対値を所定値としての判定値119と比較する。空気圧回路に異常がないときは、ステップS6において第1電流値116と第2電流値118との差の絶対値が判定値119より大きいので正常と判断される。尚、判定値119は事前に正常の場合のデータと異常の場合のデータを用いて設定されている。判定値119はデータのばらつきを配慮して設定されている。
【0100】
図9に示すように、第2モーター駆動電流と第2モーター出力とは略正比例する。従って、第2モーター67aの第1出力値と第2出力値との差の絶対値を出力判定値と比較することは、第1電流値116と第2電流値118との差の絶対値を判定値119と比較することに代用できる。判定値119は第2モーター67aの出力判定値に対応して設定される。第1電流値116と第2電流値118との差の絶対値が判定値119より大きいとき、第2モーター67aの第1出力値と第2出力値との差の絶対値は出力判定値より大きいと判断できる。
【0101】
次に、第1空気圧制御装置105から第1シリンダー73aの間で空気が漏れているときのように空気圧回路に異常があるときの説明をする。図10に示すように、ステップS4において、空気の漏れにより、第1シリンダー73aが把持部71を押圧する力が小さくなるので、第1シリンダー73aのシリンダー圧力117aは第2圧力値117より下回ってしまう。このため、ステップS5において、第2電流値118は、空気圧回路に異常がないときと比べて小さくなり、小さい第2電流値118で把持部71の位置が維持される。ステップS6において第1電流値116と第2電流値118との差の絶対値が判定値119より小さいので異常と判断される。
【0102】
図11に示すように、第1電流値116と第2電流値118との差の絶対値が判定値119より小さいとき、第2モーター67aの第1出力値と第2出力値との差の絶対値は出力判定値より小さいと判断できる。このように、モーターの出力値を判定値で判断することの代わりに電流値を判定値で判断できる。
【0103】
図12に示すように、モニター6に異常判断を設定する画面が表示される。操作者はこの画面を操作して異常判断の方法を設定する。異常判断の“OFF”と“ON”とを選択する場所では、異常判断を行うか否かを選択する。異常判断を行うときには“ON”を選択する。異常判断を行わないときには“OFF”を選択する。
【0104】
異常判断モードには幾つかの選択肢が用意されている。“Initial Start”を選択するとき、スタートモードを“初期化スタート”に設定された状態で電子部品搬送装置2をスタートするときに、供給トレイからデバイスを搬送する前に異常判断を実施する。“Initial Retest Start”を選択するとき、スタートモードを“再検初期化スタート”に設定された状態で電子部品搬送装置2をスタートするときに、供給トレイからデバイスを搬送する前に異常判断を実施する。
【0105】
“Socket Alarm”を選択するとき、“連続不良アラーム”や“不良率アラーム”が発生するタイミングで異常判断を実施する。“連続不良アラーム”はICデバイス13の電特検査の結果が連続して所定の個数の不良となったときに警告することを示す。“不良率アラーム”はICデバイス13の電特検査を行った個数に対して不良になった個数の割合が所定の個数の不良となったときに警告することを示す。
【0106】
“Interval”を選択するとき、初期化スタートしてから異常判断周期121で設定した個数の電特検査を行ったときに異常判断を実施する。“Interval”の標示の下側には異常判断周期121を入力する欄が設けられる。尚、電特検査を行う時間が所定の時間を超えたときに異常判断を実施しても良い。
【0107】
この方法によれば、第3デバイス搬送ヘッド36aの位置を維持するための第2モーター67aの出力を用いることにより、ICデバイス13が適切に加圧されているか否かを検出できる。詳しくは、第1シリンダー73aが正常動作している場合には、第1圧力値と第2圧力値とは異なるため、当該圧力値と釣り合う反力となる第2モーター67aの第1出力値と第2出力値とは異なる。一方、第1シリンダー73a等で空気漏れが発生している場合には、適切な圧力が加わらないため、第1空気圧制御装置105が第1シリンダー73aに第2圧力値117の圧力を加えたときのシリンダー圧力は、第2圧力値117よりも小さくなる。その結果、第1出力値と第2出力値との差分は所定値未満となり、異常と判断できる。従って、電気特性検査時においてICデバイス13への加圧状態を検出できる電子部品搬送装置2を提供できる。
【0108】
この方法によれば、第2モーター67aの出力の検出を第2モーター67aのコイルに流れる電流値で行う。第2モーター67aが出力するトルクと第2モーター67aのコイルに流れる電流値は強い相関があるので、第2モーター67aの出力の比較は第2モーター67aのコイルに流れる電流値にて比較できる。第1電流値と第2電流値との差分が所定値未満であるか否かを判定することにより、第1出力値と第2出力値との差分が所定値未満であるか否かを判定できる。第2モーター67aの出力を直接検出するためには力センサーが必要となる。力センサーを設けると力センサーの駆動回路も必要になるので電子部品搬送装置2を製造する生産性が低下する。第2モーター67aのコイルに流れる電流値を検出するのは第2電流計109にて検出できるので電子部品搬送装置2を製造する生産性が低下することを抑制できる。
【0109】
この方法によれば、ICデバイス13を電気特性検査するときに第1シリンダー73aがICデバイス13に加圧される圧力と同じ圧力で第1シリンダー73aが駆動される。つまり、ICデバイス13を電気特性検査するときと同じ検査条件で第1シリンダー73aが検査される。従って、信頼性の高い検査ができる。
【0110】
この方法によれば、第1圧力値は、付勢部92により付勢される圧力と釣り合う値である。このとき、把持部71が移動するときにも、把持部71の移動速度を低く抑制できる。従って、把持部71や、把持部71に押される検査部19が受ける衝撃を抑制できる為、把持部71や、検査部19が損傷を受けることを防止できる。
【0111】
この方法によれば、第1シリンダー73aの検査を行うときには第3デバイス搬送ヘッド36aはICデバイス13を保持しない。従って、ICデバイス13が検査部19と接触しないので、ICデバイス13の電極が損傷することを防止できる。
【0112】
この方法によれば、把持部71がストッパー55に接触している状態で第1シリンダー73aが把持部71を加圧する。第1シリンダー73aが把持部71を加圧するときに把持部71が移動しない為、ストッパー55と把持部71とが衝突して損傷することを抑制できる。
【0113】
この方法によれば、所定のタイミングにおいて第1シリンダー73aの検査が行われる。所定のタイミングは、例えば、電特検査を行う個数、電特検査を行う時間等で設定される。このとき、所定のタイミングで第1空気圧制御装置105、第1シリンダー73a及び配管の状態を監視できる。従って、電特検査が正常に行われないICデバイス13の個数を低減できる。
【0114】
この方法によれば、付勢部92により付勢される圧力と釣り合う値を検出し釣り合い圧力値である第1圧力値を記憶する。検査圧力値と釣り合い圧力値とを1度比較して異常か否かを判断する。次に、第1シリンダー73aの検査を行うときには検査圧力値である第2圧力値を取得する。次に、検査圧力値と記憶した釣り合い圧力値とを比較する。この時、釣り合い圧力値を新たに取得しないので、測定時間を短縮できる。
【0115】
第2実施形態
前記第1実施形態では第3デバイス搬送ヘッド36aがICデバイス13を保持しない状態で第1シリンダー73aが把持部71を加圧した。これに限らず、第3デバイス搬送ヘッド36aがICデバイス13を保持する状態で第1シリンダー73aが把持部71を加圧しても良い。
【0116】
この方法によれば、第1シリンダー73aの検査を行うときには第3デバイス搬送ヘッド36aはICデバイス13を保持する。従って、第1シリンダー73aの検査をした後に続けてICデバイス13の電特検査を行える。従って、生産性良く第1シリンダー73aの検査及びICデバイス13の電特検査を行うことができる。
【0117】
第3実施形態
前記第1実施形態では第1圧力値は、付勢部92により付勢される圧力と釣り合う値である釣り合い圧力値であった。第2圧力値は、ICデバイス13を電気特性検査するときにICデバイス13に加圧される圧力であった。これに限らず、第1圧力値は、ICデバイス13を電気特性検査するときにICデバイス13に加圧される圧力にしても良い。そして、第2圧力値は、付勢部92により付勢される圧力と釣り合う値である釣り合い圧力値にしても良い。そして、ステップS2とステップS4との順番を交替しても良い。このときにも、第1実施形態と同じ効果が得られる。
【0118】
第4実施形態
ステップS6において異常と判断した場合に、第1出力値及び第2出力値を新たに取得し、第1出力値と第2出力値とを比較しても良い。また、異常と判断した場合に、第1電流値及び第2出力値を新たに取得し、第1電流値と第2電流値とを比較しても良い。つまり、ステップS2~ステップS6を再度行っても良い。2回続けて誤測定する確率は低い為、第1空気圧制御装置105、第1シリンダー73a及び配管に異常が生じていることを確実に判断できる。
【0119】
第5実施形態
ステップS6において正常と判断した場合に、第1空気圧制御装置105は第2圧力値よりも第1圧力値に近い第3圧力値の圧力を第1シリンダー73aに加圧しても良い。第1シリンダー73aに第3圧力値の圧力を加圧するときに、第3デバイス搬送ヘッド36aの位置を維持するために駆動する第2モーター67aの出力を第3出力値とする。第1出力値と第3出力値とを比較し、第1出力値と第3出力値との差分が所定値未満である場合は、異常と判断しても良い。
【0120】
第1圧力値と第3圧力値との差は第1圧力値と第2圧力値との差より小さい。従って、第1出力値と第3出力値との差分は第1出力値と第2出力値との差分より小さい。このときにも、第1出力値と第3出力値との差分が所定値未満であるか否かを判定するので、軽微な異常を検出している。従って、異常か否かを確実に判断できる。
【符号の説明】
【0121】
1…電子部品検査装置、2…電子部品搬送装置、13…電子部品としてのICデバイス、19…検査部、36…検査ハンドとしての第2デバイス搬送ヘッド、36a…検査ハンドとしての第3デバイス搬送ヘッド、55…ストッパー、67a…モーターとしての第2モーター、71…押圧部としての把持部、73a…シリンダーとしての第1シリンダー、92…ばねとしての付勢部、105…空気圧制御装置としての第1空気圧制御装置、115…第1圧力値、116…第1電流値、117…第2圧力値、118…第2電流値、119…所定値としての判定値。
図1
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図5
図6
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図10
図11
図12