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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/04 20060101AFI20231019BHJP
   H01H 23/14 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H01H9/04 C
H01H23/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020047752
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021150114
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋津 佳延
(72)【発明者】
【氏名】久野 祐希
(72)【発明者】
【氏名】大川 泰治
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩二
(72)【発明者】
【氏名】阿部 広幸
(72)【発明者】
【氏名】近藤 光浩
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-006168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/221940(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/04
H01H 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ装置であって、
操作ノブは、該操作ノブに隣接する隣接部材に対向する外側面において、略重力方向に向かって該操作ノブの内側方向に傾斜する傾斜部を備えるとともに、前記外側面の全周に亘って前記隣接部材と対向し、
前記傾斜部は、前記外側面の略全周に亘って設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記操作ノブは、第一の傾斜部と、第二の傾斜部を備え、
前記第二の傾斜部は、前記第一の傾斜部である前記傾斜部の略重力方向において、略重力方向に向かって幅寸法がテーパ状に広がる
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記隣接部材は、前記操作ノブの外側面と対向する側面に傾斜部を設け、前記操作ノブの外側面と前記隣接部材との間に、前記操作ノブの略重力方向に向かって幅が広がる隙間を形成した
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記隣接部材は、前記操作ノブの外側面と対向する側面の下端縁部において、重力方向に向かって前記操作ノブから離間する方向のテーパ状に広がるカット面を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記カット面と重力方向との間になす角度は、前記第二の傾斜部と重力方向との間になす角度よりも大きい
ことを特徴とする請求項に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルに収納された操作ノブの操作によって可動端子と固定端子とを接離させてスイッチ部をON/OFFさせるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プッシュスイッチは、操作ノブの押し下げ(プッシュ)操作によって可動電極と固定電極とを接触させて両者を電気的に導通させることによってスイッチ部をONさせるものであるが、これについての提案が今までに種々なされている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
ところで、斯かるプッシュスイッチにおいては、図7の断面図に示すパネル101や操作ノブ111は、樹脂の射出成形によって形成されているが、これらの射出成形時の金型(固定金型と可動金型)の離型を可能とするために、パネル101の操作ノブ111を収容する凹陥部101Aの内周面101aとこの内周面101aに対向する操作ノブ111の外周面111aには互いに逆方向の抜き勾配が形成されている。具体的には、パネル101の凹陥部101Aの内周面101aには、該凹陥部101Aの開口面積が下方に向かって絞られる向きの抜き勾配が形成され、操作ノブ111の外側面111aには、当該操作ノブ111の幅が下方に向かって広がる向きの抜き勾配が形成されている。
【0004】
したがって、パネル101の凹陥部101Aの内周面101aと操作ノブ111の外側面111aとの間には、下方に向かって幅が狭くなる隙間Δが形成されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-216303号公報
【文献】特開2010-055981号公報
【文献】特開2000-348569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図7に示すように、パネル101の凹陥部101Aの内周面101aと操作ノブ111の外側面111aとの間に、下方に向かって幅が狭くなる隙間Δが形成されると、例えば糖分を多く含んだ飲料などの液体がこぼれてパネル101と操作ノブ111との間の隙間Δに浸入したような場合には、この浸入した液体が隙間Δを通過し切れないで隙間Δに溜り、この溜まった液体が乾燥した場合には、これに含まれる糖分が固化して操作ノブ111がパネル101に固着し、操作ノブ111の戻りにかかる時間が長くなるなど、操作性の点で改善の余地があった。
【0007】
これに対し、特許文献1,2に開示されているようにパネルの操作ノブと対向する部分の下端に隙間が設けられていたが不十分であった。
【0008】
また、パネル101と操作ノブ111との間の隙間Δが人の目に触れる上面側において大きくなるため、プッシュスイッチの外観性が損なわれるという問題もある。
【0009】
なお、上記問題は、特許文献1,2において提案されたプッシュスイッチ、或いは特許文献3において提案された揺動スイッチにおいても発生し得る。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、パネルと操作ノブとの間の隙間に浸入した液体を隙間から排出して操作ノブの安定した動作を確保するとともに、外観性を高めることができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るスイッチ装置においては、操作ノブは、該操作ノブに隣接する隣接部材に対向する外側面において、略重力方向に向かって該操作ノブの内側方向に傾斜する傾斜部を備えるとともに、前記外側面の全周に亘って前記隣接部材と対向し、前記傾斜部は、前記外側面の略全周に亘って設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作ノブには、該操作ノブに隣接する隣接部材に対向する外側面において、略重力方向に向かって該操作ノブの内側方向に傾斜する傾斜部を備えるとともに、前記外側面の全周に亘って前記隣接部材と対向し、前記傾斜部は、前記外側面の略全周に亘って設けられているため、操作ノブの外側面と隣接部材との間に形成される隙間は、重力方向に向かって幅が広がる。このため、例えば糖分を多く含む飲料などの液体がこぼれて隙間に浸入したような場合であっても、この隙間に浸入した液体は、隙間に留まることなく下方に向かい排出される。従って、従来のように隙間に溜まった液体に含まれる糖分が固化して操作ノブと隣接部材とが固着するという問題の発生を抑制することができる。また、ノブの外側面と隣接部材の凹陥部内周面との間に形成される隙間は、上方に向かって幅が狭くなり、この幅は、人の目に触れる最上面(外観面)において最小となるため、当該スイッチ装置の外観性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るスイッチ装置を備える車両のスイッチ操作部の斜視図である。
図2図1の2-2線断面図である。
図3図2の3部拡大詳細図である。
図4】本発明に係るスイッチ装置の操作ノブの正面図である。
図5】本発明に係るスイッチ装置の操作ノブの平面図である。
図6】本発明に係るスイッチ装置の操作ノブの側面図である。
図7】従来のスイッチ装置の操作ノブとパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係るスイッチ装置を備える車両のスイッチ操作部の斜視図、図2図1の2-2線断面図、図3図2の3部拡大詳細図、図4は本発明に係るスイッチ装置の操作ノブの正面図、図5は同操作ノブの平面図、図6は同操作ノブの側面図である。
【0016】
図1に示すスイッチ操作部0は、車両のドアウインドウを電動で昇降させる不図示のパワーウインドウ装置を操作するものであって、車両のドア(一例として、左側のドアに設置されるものを図示)の内面に設置されている。
【0017】
図1に示すスイッチ操作部30は、車両前後方向に細長いパネル1を備えており、このパネル1の下方には、各種部品を内蔵するケース2が取り付けられている。そして、パネル1の車両前方側には、横方向(左右方向)に細長い略矩形の凹陥部1Aが形成されており、この凹陥部1Aには、同じく横方向に細長い平面視略矩形のプッシュスイッチ10が押し下げ(プッシュ)操作可能に収容されている。ここで、本実施の形態においては、パネル1とケース2は、樹脂の射出成形によって形成されている。なお、プッシュスイッチ10は、スイッチ操作部20を操作した際のドアウインドウの昇降を禁止するためのロックスイッチであって、本発明に係るスイッチ装置を構成している。
【0018】
また、パネル1の前記凹陥部1Aの車両後方側には、矩形の2つの凹陥部1Bが前後にそれぞれ形成されており、これらの凹陥部1Bには、平面視略矩形の左右2列の揺動スイッチ21がそれぞれ収容されている。これらの揺動スイッチ21は、これの端部を引き上げ或いは押し下げることによって、ドアウインドウを昇降させるためのスイッチである。
【0019】
ここで、本発明に係るスイッチ装置を構成するプッシュスイッチ10について説明する。
【0020】
図2に示すように、プッシュスイッチ10は、パネル1の凹陥部1Aに臨む操作部としての操作ノブ11を備えており、この操作ノブ11の下部内側には、角筒状の押圧部材12が配置されている。そして、図2図4及び図6に示すように、操作ノブ11には、天面部から垂直下方に向かって一体に延びる矩形プレート状の2つのブラケット11Dが互いに平行に突設されており、各ブラケット11Dの下部には矩形の係合孔11d(図2及び図6参照)がそれぞれ形成されている。これに対して、押圧部材12の左右2箇所(操作ノブ11の2つのブラケット11Dにそれぞれ形成された係合孔11dに対向する2箇所)には、図2に示すように、係合爪12aがそれぞれ一体に突設されており、これらの係合爪12aが操作ノブ11の2つのブラケット11Dに形成された係合孔11dに内側からそれぞれ係合することによって、操作ノブ11と押圧部材12とが連結されている。なお、本実施の形態では、操作ノブ11と押圧部材12を別部材として構成して両者を連結する構成を採用したが、操作ノブ11と押圧部材12を一体に構成してもよい。
【0021】
ところで、本実施の形態においては、操作ノブ11と押圧部材12は、樹脂の射出成形によって形成されており、操作ノブ11は、図4及び図6に示すように、幅寸法が異なる3つの部分11A,11B,11Cが上下方向(高さ方向)に3段に一体に重ねられて構成されている。具体的には、操作ノブ11は、幅寸法が最も小さな上段部11A(第一の傾斜部)と、該上段部11Aから下方に向かって幅寸法がテーパ状に広がる中段部11B(第二の傾斜部)と、該中段部11Bから垂直下方に延びる幅広のスカート状を成す下段部11Cとを備えている。
【0022】
ここで、上段部11Aにおいては、図4に示すように、パーティングラインPL1を境としてこれよりも上側の部分11A1の外側面は、上方に向かって幅が狭くなるよう当該操作ノブ11の内側に傾斜する傾斜面とされ、パーティングラインPL1よりも下側の部分11A2の外側面11aは、下方に向かって幅が狭くなるように当該操作ノブ11の内側に傾斜する傾斜面とされている。具体的には、操作ノブ11の上端部のパーティングラインPL1よりも下側の部分11A2の外側面11aは、垂直面に対して図示の角度αだけ傾斜した傾斜面とされている。
【0023】
なお、図2及び図5に示すように、操作ノブ11の天面部の一部には、夜間に発光する不図示の照明装置から出射する光を透過させる透光部材13が埋め込まれている。
【0024】
上記のように構成された上段部11Aを備えるノブ11を従来のように上下に2分割された固定型と可動型によって射出成形することは、アンダーカットのために不可能である。このため、従来はパーティングラインPL1よりも下側の部分11A2の外側面11aを内側に傾斜させることは行われていなかったが、本実施の形態では、図4に示すように、操作ノブ11の上段部11AのパーティングラインPL1よりも下方の部分11A2の外側面11aを操作ノブ11の左右方向中央を通る縦方向のパーティングラインPL2で左右に2分割されたスライド型を用いて成形することによって、前記外側面11aを操作ノブ11の内側に傾斜させることを可能とした。なお、操作ノブ11の上段部11AのパーティングラインPL1よりも上側の部分11A1の外面は、成形後に上方に抜くことができる金型(固定型または可動型)によって成形される。
【0025】
他方、パネル1は、従来と同様に上下に2分割された固定型と可動型によって成形されるため、該パネル1の凹陥部1Aの内周面(操作ノブ11の外側面11aに対向する内周面)1aは、金型の抜き勾配を考慮して、図3に詳細に示すように、凹陥部1Aの開口面積が下方に向かって縮小する方向に傾斜する傾斜面とされている。具体的には、パネル1の凹陥部1Aの内周面1aは、下方に向かって垂直面に対して図示の角度βだけ当該凹陥部1Aの中心に向かって傾斜している。
【0026】
ここで、本実施の形態では、パネル1の凹陥部1Aの内周面1aの傾斜角βは、操作ノブ11の上段部11Aの外側面11aに形成された傾斜面の傾斜角αよりも小さく設定されている(β<α)。このため、図3に示すように、パネル1の凹陥部1Aの内周面1aとこれに対向する操作ノブ11の上段部11Aの外側面11aとの間には、下方(操作ノブ11の押し下げ方向)に向かって幅が広がる隙間δが形成されている(言い換えれば、操作ノブ11の外側面11aと対向するパネル1の側面の内周面1aに形成される傾斜部は、操作ノブ11の外側面11aとの間に、操作ノブ11の略重力方向に向かって幅が広がる隙間δを形成している。)。
【0027】
そして、本実施の形態では、図3に示すように、パネル1の凹陥部1Aの内周面1aの下端縁部には、下方に向かってテーパ状に広がるカット面1bが形成されている。ここで、カット面1bは、垂直面に対して図示の傾斜角γだけ傾斜しているが、本実施の形態では、γ=45°に設定されている。このようにパネル1の凹陥部1Aの内周面1aの下端縁部にカット面1bが傾斜されているため、パネル1の凹陥部1Aの内周面1aと操作ノブ11の上段部11Aの外側面11aとの間に形成される隙間δは、下端部において幅が急激に広がり、この隙間δの幅は、上端において最も小さい値b1を示し、下端において最大値b2(>b1)を示す。
【0028】
ところで、本実施の形態においては、操作ノブ11の上段部11Aの外側面11aは、全周に亘って傾斜面とされており、該操作ノブ11の外側面11aとパネル1の凹陥部1Aの内周面1aとの間には、下方に向かって幅が広がる隙間δが操作ノブ11の外側面11aとパネル1の凹陥部1Aの内周面1aの全周に亘って形成されている。
【0029】
他方、図2に示すように、押圧部材12の下方には、基板14が水平に設置されており、この基板14と押圧部材12との間には、ゴムなどの弾性部材によって構成された撓曲可能なラバーコンタクト15が介設されている。ここで、ラバーコンタクト15の中央部には突起状の押圧部15Aが一体に形成されており、この押圧部1Aの上面は、押圧部材12に当接しており、押圧部15Aの下面には不図示の可動接点が設けられている。そして、基板14の中央部には、ラバーコンタクト15の押圧部15Aに設けられた可動接点に選択的に接触する不図示の固定接点が設けられている。
【0030】
また、図2に示すように、押圧部材12、基板14、ラバーコンタクト15などの各種部品は、筒状のケース2内に収容されており、ケース2の下面開口部は、有底筒状のカバー3によって覆われている。なお、ケース2とカバー3は、樹脂の射出成形によって形成されている。
【0031】
ところで、図1に示すスイッチ操作部30のパネル1に配置された揺動スイッチ21を乗員が押し下げてこれを下方へと揺動させると、不図示のパワーウインドウ装置によってドアウインドウが電動で下降し、揺動スイッチ21を引き上げてこれを上方へと揺動させれば、不図示のパワーウインドウ装置によってドアウインドウが電動で上昇する。
【0032】
而して、以上説明したプッシュスイッチ10は、ロックスイッチとして機能するものであって、乗員が操作ノブ11を一度押圧操作すると、この操作ノブ11に連結された押圧部材12が操作ノブ11と共に下降してラバーコンタクト15の押圧部15Aを押圧する。すると、ラバーコンタクト15が弾性変形し、その押圧部15Aが押し下げられ、これに設けられた不図示の可動接点が基板14に設けられた不図示の固定接点に接触して両者が電気的に導通し、ロック機能がONし、揺動スイッチ21を操作してもドアウインドウの昇降が禁止され、子供などが揺動スイッチ21を操作しても、その操作が無効とされてドアウインドウが不用意に昇降することがなく、高い安全性が確保される。
【0033】
ところで、上述のようにプッシュスイッチ10の操作ノブ11を一度押した後には、該操作ノブ11は、ラバーコンタクト15の弾性復元力によって元の位置に復帰するが、その状態から操作ノブ11を再び押圧操作すると、前述のように可動接点が固定接点に接触して両者が電気的に導通し、ロック機能がOFFされるため、パワーウインドウ装置によるドアウインドウの昇降の禁止が解除される。このため、揺動スイッチ21を操作することによってドアウインドウを電動で昇降させることができるようになる。
【0034】
以上において、本実施の形態においては、プッシュスイッチ10の操作ノブ11には、該操作ノブ11に隣接する隣接部材であるパネル1の凹陥部1Aの内周面1aに対向する外側面11aにおいて、略重力方向に向かって該操作ノブ11の内側方向に傾斜する傾斜部を備えているため、操作ノブの外側面11aとパネル1の凹陥部1Aの内周面1aとの間に形成される隙間δは、重力方向(下方)に向かって幅が広がるから、例えば糖分を多く含む飲料などの液体がこぼれて隙間δに浸入したような場合であっても、この隙間δに浸入した液体は隙間δに留まることなく下方に向かい排出される。このため、従来のように隙間δに溜まった液体に含まれる糖分が固化して操作ノブ11とパネル1とが固着するという問題の発生を抑制することができる。
【0035】
また、操作ノブ11の外側面11aとパネル1の凹陥部1Aの内周面1aとの間に形成される隙間δは、上方に向かって幅が狭くなり、この幅は、人の目に触れる最上面(外観面)において最小となるため、当該プッシュスイッチ10の外観性が高められる。
【0036】
特に、本実施の形態では、パネル1の凹陥部1Aの内周面1aを、下方に向かって凹陥部1Aの開口面積が下方に向かって縮小する方向に傾斜する傾斜面とし、この傾斜面の傾斜角βを、操作ノブ11の外側面11aに形成された傾斜面の傾斜角αよりも小さく設定したため(β<α)、操作ノブ11の外側面11aとパネル1の凹陥部1Aの内周面1aとの間に形成される隙間δの幅が下方に向かって確実に広がることとなり、前記効果が確実に得られることとなる。
【0037】
そして、本実施の形態では、パネル1の凹陥部1Aの内周面1aの下端縁部に、下方に向かってテーパ状に広がる傾斜角γ(=45°)のカット面1bを形成したため、パネル1の凹陥部1Aの内周面1aと操作ノブ11の外側面11aとの間に形成される隙間δの下端部の幅b2がカット面1bによって一層大きく広げられる。このため、隙間δに浸入した液体が隙間δから一層効率良く排出されることとなり、操作ノブ11のパネル1への固着が一層確実に防がれて該操作ノブ11の安定した動作が可能となる。
【0038】
また、本実施の形態においては、操作ノブ11のパネル1の凹陥部1Aの内周面1aに対向する外周面11aを全周に亘って傾斜面とし、該操作ノブ11の外周面11aとパネル1の凹陥部1Aの内周面1aとの間に、下方に向かって幅が広がる隙間δを操作ノブ11の外周面11aとパネル1の凹陥部1Aの内周面1aの全周に亘って形成したため、隙間δに浸入した液体が隙間δから一層確実に排出されて操作ノブ11の安定した動作が得られるとともに、操作ノブ11とパネル1との間の隙間を均一に形成することが可能となり、当該プッシュスイッチ10の外観性がより一層高められるという効果が得られる。
【0039】
また、上段部11Aから下方に向かって幅寸法がテーパ状に広がる中段部11Bを設けることで、隙間δに浸入した液体がケース2内部に侵入することを抑制しつつ隙間δから排出することを可能にするという効果が得られる。
【0040】
さらに、カット面1bと重力方向との間になす角度を中段部11Bと重力方向との間になす角度よりも大きくすることで、中断部11Bを設けつつも下方に向かって幅が広がる隙間δを形成でき、より効率よく液体を隙間δから排出することを可能にするという効果が得られる。
【0041】
なお、以上はパワーウインドウ装置によるドアウインドウの電動による昇降動をロックするためのプッシュスイッチに対して本発明を適用した形態について説明したが、本発明は、その他の任意のプッシュスイッチのみならず、揺動スイッチに対しても同様に適用可能である。
【0042】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1 パネル
1A パネルの凹陥部
1a パネルの凹陥部内周面
1b パネルのカット面
2 ケース
3 カバー
10 プッシュスイッチ(スイッチ装置)
11 操作ノブ
11A 操作ノブの上段部(第一の傾斜部)
11a 操作ノブの上段部の外側面
11B 操作ノブの中段部(第二の傾斜部)
12 押圧部材
14 基板
15 ラバーコンタクト
α ノブの外側面の傾斜角
β パネルの凹陥部内周面の傾斜角
γ パネルのカット面の傾斜角
δ パネルの凹陥部内周面とノブの外側面との間の隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7