IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニフコの特許一覧

<>
  • 特許-撮像機用加熱装置 図1
  • 特許-撮像機用加熱装置 図2
  • 特許-撮像機用加熱装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】撮像機用加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20231019BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H04N23/52
B60S1/02 400A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020125497
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021725
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】落合 弘
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-198375(JP,A)
【文献】特開2020-100213(JP,A)
【文献】特開2019-093794(JP,A)
【文献】国際公開第2020/022521(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222- 5/257
23/00
23/40 -23/76
23/90 -23/959
B60S 1/00 - 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像機の取付対象における一部を加熱する撮像機用加熱装置であって、
カメラユニットが備える受光部の前方に位置し、前記受光部から離れる方向に沿って拡開された開口部と、
前記開口部に対して前記取付対象とは反対側に位置してシート状を有した加熱部と、を備え、
前記加熱部は、前記取付対象に対して前記開口部とは反対側の視点から見て、前記開口部の少なくとも一部と重なり、前記開口部のうちで前記加熱部が重なる部分では、前記開口部が拡開される幅方向において、前記加熱部の幅が前記開口部の幅よりも大きく、
前記加熱部は、前記開口部のうちで前記加熱部が重なる部分において、前記幅方向における前記開口部の全体を覆い、かつ、前記受光部から離れる方向に沿って前記加熱部の幅が拡張される
撮像機用加熱装置。
【請求項2】
前記幅方向において、前記受光部を挟み、前記開口部の外側から前記開口部を区切る一対の壁部をさらに備える
請求項1に記載の撮像機用加熱装置。
【請求項3】
前記加熱部は、保護回路を備え、
前記保護回路は、前記取付対象に対して前記開口部とは反対側の視点から見て、前記開口部よりも外側に位置する
請求項1または2に記載の撮像機用加熱装置。
【請求項4】
可視光に対して前記加熱部よりも低い反射率を有し、前記加熱部を覆う反射抑制シートをさらに備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像機用加熱装置。
【請求項5】
撮像機の取付対象における一部を加熱する撮像機用加熱装置であって、
カメラユニットが備える受光部の前方に向けて広がる板状部であって、前記受光部が有する画角に相応した大きさを有する前記板状部と、
前記板状部に対して前記取付対象とは反対側に位置してシート状を有した加熱部と、を備え、
前記加熱部は、前記取付対象に対して前記板状部とは反対側の視点から見て、前記板状部の一部と重なり、前記板状部のうちで前記加熱部が重なる部分では、前記板状部が拡開される幅方向において、前記加熱部の幅が前記板状部の幅よりも大きく、
前記加熱部は、前記板状部のうちで前記加熱部が重なる部分において、前記幅方向における前記板状部の全体を覆い、かつ、前記受光部から離れる方向に沿って前記加熱部の幅が拡張される
撮像機用加熱装置。
【請求項6】
可視光に対して前記加熱部よりも低い反射率を有し、前記加熱部を覆う反射抑制シートをさらに備え、
前記板状部は、前記反射抑制シートの一部である
請求項5に記載の撮像機用加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の窓ガラスに搭載される撮像機が備える撮像機用加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の撮像機は、例えば、窓ガラスの一例であるウィンドシールドガラスが有する一対の面のうち、車室内側の面に取り付けられる。撮像機は、自車両の前方に位置する他車両および障害物の有無を検知するために用いられる。撮像機は、ウィンドシールドガラスに固定されるブラケット、ブラケットに支持されるカメラユニット、カメラユニットが受光する光の範囲を定める遮光フード、および、遮光フードの裏面に固定された加熱部を備えている。加熱部は、ウィンドシールドガラスのうちで、遮光フードに対向する部分を加熱することによって、当該部分に付着した結露による水滴、霜、および、氷などを消失させる。そのため、撮像機は、ウィンドシールドガラスを介してより鮮明な画像を撮像することが可能である(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-185896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遮光フードは、底壁部と2つの側壁部とを備えている。底壁部は、カメラユニットの前方において、カメラユニットから離れる方向に向かって広がる略三角形状を有している。各側壁部は、底壁部においてカメラユニットから離れる方向に沿って延びる辺に沿い、かつ、当該辺から立ち上がる形状を有している。加熱部は、底壁部内に収まる形状を有して、底壁部の裏面に固定されている。
【0005】
上述したように、撮像機は、遮光フードによって定められた範囲の光を受光するから、撮像機は、ウィンドシールドのうちで、遮光フードに対向する部分を透過した光を受光する。一方、遮光フードの底壁部に対する加熱部の位置のずれは、ウィンドシールドのうちで、加熱部によって加熱される位置のずれを生じさせる。そのため、加熱部の位置のずれは、撮像機によって撮像される画像の鮮明さを低下させるおそれがあることから、底壁部に対する加熱部の位置には高い精度が求められる。加熱部の位置に要求される高い精度は、底壁部に対する加熱部の取り付けにおける難易度を高めるため、より容易に加熱部を取り付け可能であることが求められている。
【0006】
本発明は、加熱部の取り付けを容易とすることを可能とした撮像機用加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための撮像機用加熱装置は、撮像機の取付対象における一部を加熱する。カメラユニットが備える受光部の前方に位置し、前記受光部から離れる方向に沿って拡開された開口部と、前記開口部に対して前記取付対象とは反対側に位置してシート状を有した加熱部と、を備える。前記加熱部は、前記取付対象に対して前記開口部とは反対側の視点から見て、前記開口部の少なくとも一部と重なり、前記開口部のうちで前記加熱部が重なる部分では、前記開口部が拡開される幅方向において、前記加熱部の幅が前記開口部の幅よりも大きい。
【0008】
取付対象に対して開口部とは反対側の視点から見て、開口部が拡開される幅方向において、加熱部の幅が開口部の幅よりも大きい。そのため、幅方向において開口部に対する加熱部の位置がずれたとしても、当該ずれが、開口部の大きさと加熱部の大きさとの差以内であれば、取付対象のうちで、カメラユニットの撮像対象を含む開口部に露出した部分の全体が加熱部による加熱の対象である。すなわち、開口部の大きさと加熱部の大きさとの差の分だけ、開口部に対する加熱部の位置のずれが許容される。したがって、加熱部の取り付けを容易とすることが可能である。
【0009】
上記撮像機用加熱装置において、前記幅方向において、前記受光部を挟み、前記開口部の外側から前記開口部を区切る一対の壁部をさらに備えてもよい。この構成によれば、開口部の外側から開口部内に入射する光の一部が一対の壁部によって遮断されるため、開口部内に過剰な光が入射することが抑えられ、これによって、過剰な光に起因した画像品質の低下を抑えることができる。
【0010】
上記撮像機用加熱装置において、前記加熱部は、保護回路を備え、前記保護回路は、前記取付対象に対して前記開口部とは反対側の視点から見て、前記開口部よりも外側に位置してもよい。
【0011】
上記構成によれば、保護回路が開口部よりも外側に位置するため、保護回路が開口部内に位置する場合に比べて、保護回路が取付対象に対向することに起因した画像品質の低下を抑えることができる。
【0012】
上記撮像機用加熱装置において、可視光に対して前記加熱部よりも低い反射率を有し、前記加熱部を覆う反射抑制シートをさらに備えてもよい。
【0013】
上記構成によれば、加熱部が反射抑制シートによって覆われるため、加熱部における光の反射を抑えることができ、これによって、加熱部での反射に起因した画像品質の低下を抑えることができる。
【0014】
上記課題を解決するための撮像機用加熱装置は、撮像機の取付対象における一部を加熱する。カメラユニットが備える受光部の前方に向けて広がる板状部であって、前記受光部が有する画角に相応した大きさを有する前記板状部と、前記板状部に対して前記取付対象とは反対側に位置してシート状を有した加熱部と、を備える。前記加熱部は、前記取付対象に対して前記板状部とは反対側の視点から見て、前記板状部の一部と重なり、前記板状部のうちで前記加熱部が重なる部分では、前記板状部が拡開される幅方向において、前記加熱部の幅が前記板状部の幅よりも大きい。
【0015】
上記構成によれば、取付対象に対して板状部とは反対側の視点から見て、板状部が拡開される幅方向において、加熱部の幅が板状部の幅よりも大きい。そのため、幅方向において板状部に対する加熱部の位置がずれたとしても、当該ずれが、板状部の大きさと加熱部の大きさとの差以内であれば、取付対象のうちで、カメラユニットの撮像対象である板状部に露出した部分の全体が加熱部による加熱の対象である。すなわち、板状部の大きさと加熱部の大きさとの差の分だけ、板状部に対する加熱部の位置のずれが許容される。したがって、加熱部の取り付けを容易とすることが可能である。
【0016】
上記撮像機用加熱装置において、可視光に対して前記加熱部よりも低い反射率を有し、前記加熱部を覆う反射抑制シートをさらに備え、前記板状部は、前記反射抑制シートの一部であってもよい。
【0017】
上記構成によれば、反射抑制シートの一部が画角に相応した大きさを有する板状部として機能するから、板状部において反射した光が受光部に入射することが抑えられる。これによって、受光部に対して過剰な光が入射することが抑えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、加熱部の取り付けを容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態における車両用撮像機の構造を分解して示す斜視図。
図2図1が示す車両用撮像機が組み立てられた状態を示す斜視図。
図3図2が示す車両用撮像機をブラケット本体の表面と対向する視点から見た構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から図3を参照して、撮像機用加熱装置の一実施形態を説明する。
図1が示す車両用撮像機10は、取付対象に取り付けられ、取付対象を介して入射する光を受光する。取付対象は、可視光を透過する光透過性を有した透明部材であり、例えば車両用の窓ガラスである。車両用撮像機10は、窓ガラスが備える一対の面のうち、車室内側の面に取り付けられる。窓ガラスは、例えばウィンドシールドガラスであるが、サンルーフガラス、および、リヤガラスなどであってもよい。車両用撮像機10は、カメラユニット11および加熱装置12を備えている。
【0021】
カメラユニット11は、カメラ本体11Aと、受光部の一例であるレンズ11Bとを備えている。カメラ本体11Aは、例えば、撮像素子、記録素子、および、これらの素子を内蔵する筐体などを備えている。レンズ11Bは、カメラ本体11Aの外部に露出し、取付対象を介して入射した光を受光する。
【0022】
加熱装置12は、車両用撮像機10が取付対象に取り付けられた状態において、車両用撮像機10の取付対象における一部を加熱する。加熱装置12は、開口部22と加熱部23とを備えている。開口部22は、カメラユニット11が備えるレンズ11Bの前方に位置し、レンズ11Bから離れる方向に沿って拡開されている。加熱部23は、開口部22に対して取付対象とは反対側に位置してシート状を有している。加熱部23は、取付対象に対して開口部22とは反対側の視点から見て、開口部22の少なくとも一部と重なり、開口部22のうちで加熱部23が重なる部分では、開口部22が拡開される幅方向において、加熱部23の幅が前記開口部の幅よりも大きい。
【0023】
このように、取付対象に対して開口部22とは反対側の視点から見て、開口部22が拡開される幅方向において、加熱部23の幅が開口部22の幅よりも大きい。そのため、幅方向において開口部22に対する加熱部23の位置がずれたとしても、当該ずれが、開口部22の大きさと加熱部23の大きさとの差以内であれば、取付対象のうちで、カメラユニット11の撮像対象を含む開口部22に露出した部分の全体が加熱部23による加熱の対象である。すなわち、開口部22の大きさと加熱部23の大きさとの差の分だけ、開口部22に対する加熱部23の位置のずれが許容される。したがって、加熱部23の取り付けを容易とすることが可能である。
【0024】
以下、車両用撮像機10が備える各部材について、図1を参照してより詳しく説明する。
カメラユニット11が備えるカメラ本体11Aは、略L字状の断面形状が、車両用撮像機10の左右方向に沿って連なった外形を有している。カメラユニット11は、第1右係止部11R1、第2右係止部11R2、第1左係止部11L1、および、第2左係止部11L2を備えている。一対の右係止部11R1,11R2は、カメラ本体11Aの右側面から左右方向に沿って突き出た柱状を有している。一対の左係止部11L1,11L2は、カメラ本体11Aの左側面から左右方向に沿って突き出た柱状を有している。一対の第1係止部11R1,11L1は、同一の中心軸上に沿って延びている。一対の第2係止部11R2,11L2は、一対の第1係止部11R1,11L1とは異なる位置において、同一の中心軸に沿って延びている。一対の第2係止部11R2,11L2は、一対の第1係止部11R1,11L1よりも前方に位置している。
【0025】
加熱装置12は、ブラケット21を備えている。ブラケット21は、接着部材や締結部材などの取付部材によって、取付対象に取り付けられる。ブラケット21は、合成樹脂によって形成された樹脂成形品である。ブラケット21は、略矩形板状を有したブラケット本体21Aを備えている。ブラケット本体21Aは、表面21Fと、表面21Fとは反対側の裏面21Rとを備えている。ブラケット本体21Aの表面21Fは、車両用撮像機10が取付対象に取り付けられた場合に、取付対象に沿って配置される。ブラケット本体21Aは、左右方向に沿って延びる前方の縁に、略V字状の切り欠き21Cを有している。
【0026】
切り欠き21Cには、下方に向けて延びる右壁部21WRおよび左壁部21WLが位置している。右壁部21WRおよび左壁部21WLは、レンズ11Bを挟み、開口部22の外側から開口部22を区切る一対の壁部の一例である。開口部22の外側から開口部22内に入射する光の一部が一対の壁部21WR,21WLによって遮断されるため、開口部22内に過剰な光が入射することが抑えられる。これによって、過剰な光に起因した画像品質の低下を抑えることができる。
【0027】
一対の壁部21WR,21WLは、切り欠き21Cにおける中央部であって、カメラユニット11のレンズ11Bが配置される部分を左右方向に沿って挟んでいる。右壁部21WRは、切り欠き21Cの中央部から切り欠き21Cの右端に向けて、切り欠き21Cに沿って延びる形状を有している。左壁部21WLは、切り欠き21Cの中央部から切り欠き21Cの左端に向けて、切り欠き21Cに沿って延びる形状を有している。本実施形態では、ブラケット本体21Aの表面21Fと対向する視点から見て、一対の壁部21WR,21WLによって囲まれ、かつ、レンズ11Bの前方に位置する略V字状の領域が、開口部22である。そのため、開口部22が拡開される幅方向は、左右方向に等しい。
【0028】
ブラケット21は、右係止脚21LRと左係止脚21LLとを備えている。各係止脚21LR,21LLは、ブラケット本体21Aの裏面21Rに接続されている。各係止脚21LR.21LLは前後方向に沿って延びる形状を有し、各係止脚21LR,21LLの一部が、切り欠き21Cから露出している。
【0029】
右係止脚21LRは、図示されない第1右係止溝と、第2右係止溝LR2とを有している。左係止脚21LLは、第1左係止溝LL1と、図示されない第2左係止溝とを有している。一対の第1係止溝は、左右方向に沿って延びる同一の軸上に位置している。一対の第2係止溝は、左右方向に沿って延びる同一の軸上に位置している。一対の第2係止溝LR2が、一対の第1係止溝よりも前方に位置している。
【0030】
車両用撮像機10が組み立てられる際には、第1右係止部11R1が第1右係止溝に嵌まり、かつ、第1左係止部11L1が第1左係止溝LL1に嵌まる。また、第2右係止部11R2が第2右係止溝LR2に嵌まり、かつ、第2左係止部11L2が第2左係止溝に嵌まる。これにより、ブラケット21がカメラユニット11を支持する。
【0031】
ブラケット21は、フード係止部21Hをさらに備えている。フード係止部21Hは、ブラケット本体21Aの裏面21Rに接続されている。フード係止部21Hにおいて、上下方向と左右方向とによって定まる平面に沿う断面が略コ字状を有している。フード係止部21Hは、当該略コ字状を有した断面が前後方向に沿って連なった形状を有している。
【0032】
ブラケット21は、図示されないフード係止溝を有している。フード係止溝は、左係止脚21LLとブラケット本体21Aとによって形成される。
【0033】
加熱装置12は、レンズフード24をさらに備えている。レンズフード24は、上述したブラケット21と同様、合成樹脂によって形成された樹脂成形品である。レンズフード24は、フード本体24A、右係止突起24R、および、左係止突起24Lを備えている。フード本体24Aは、略台形状を有している。フード本体24Aにおいて対向する一対の面のうち、加熱部23に対向する面が表面24Fである。表面24Fは、加熱部23が配置される面である。
【0034】
右係止突起24Rは、フード本体24Aの右端に位置し、前後方向に沿って延びる形状を有している。左係止突起24Lは、フード本体24Aの左端に位置し、前後方向に沿って延びる形状を有している。車両用撮像機10が組み立てられる際には、右係止突起24Rがフード係止部21Hに差し込まれ、かつ、左係止突起24Lがフード係止溝に差し込まれることによって、レンズフード24が、ブラケット21に支持される。このように、右係止突起24Rおよび左係止突起24Lは、ブラケット21との係合によって、フード本体24Aをブラケット21に係止する。
【0035】
加熱部23は、発熱部23Aと供給部23Bとを備えている。発熱部23Aは、略台形状を有している。左右方向において、発熱部23Aが有する幅は、フード本体24Aが有する幅にほぼ等しい。前後方向において、発熱部23Aが有する幅は、フード本体24Aが有する幅にほぼ等しい。発熱部23Aが加熱する対象領域は、発熱部23Aの外形とほぼ同じ形状および大きさを有する。幅方向において、加熱部23の幅は発熱部23Aの幅に等しい。
【0036】
発熱部23Aは、例えば面状発熱体であってよい。発熱部23Aは、例えば、面状良導体、通電部、および、一対の絶縁フィルムを備えている。通電部は、1本の発熱線によって形成され、供給部23Bに接続されている。通電部は、一対の絶縁フィルムによって挟まれている。面状良導体は、一方の絶縁フィルム上に貼り付けられている。
【0037】
供給部23Bは、発熱部23Aに電気的に接続され、発熱部23Aに電流を供給する。供給部23Bは、保護回路23B1を備えている。保護回路23B1は、面状発熱体に流れる電流の大きさを、所定の範囲内に抑制する。保護回路23B1は、温度ヒューズを備えている。供給部23Bは、発熱部23Aの右端に接続され、前後方向に沿って延びる形状を有している。
【0038】
発熱部23Aは、粘着剤および接着剤などによって、フード本体24Aの表面24Fに貼り付けられる。
【0039】
加熱装置12は、反射抑制シート25をさらに備えている。反射抑制シート25は、略台形状を有している。左右方向において、反射抑制シート25が有する幅は、発熱部23Aが有する幅にほぼ等しい。前後方向において、反射抑制シート25が有する幅は、発熱部23Aが有する幅にほぼ等しい。反射抑制シート25は、発熱部23Aの全体を覆っている。
【0040】
反射抑制シート25は、例えば樹脂製のフィルムである。反射抑制シート25は、例えば、反射抑制シート25に入射した光を吸収することによって、光の反射を抑える。反射抑制シート25が反射抑制シート25に入射した光を吸収する場合には、反射抑制シート25は、例えば黒色を呈する。反射抑制シート25は、粘着剤および接着剤などによって、加熱部23に貼り付けられる。
【0041】
図2は、車両用撮像機10が組み立てられた状態を示している。
図2が示すように、組み立てられた車両用撮像機10では、カメラユニット11が、ブラケット21が備える一対の係止脚21LR,21LLによって支持されている。車両用撮像機10では、加熱部23および反射抑制シート25が取り付けられたレンズフード24が、ブラケット21が備えるフード係止部21H、および、フード係止溝によって支持されている。
【0042】
車両用撮像機10において、カメラユニット11のレンズ11Bは、左右方向における一対の壁部21WR,21WLの間に配置される。これにより、レンズ11Bは、開口部22に露出する。車両用撮像機10では、取付対象を介して車室内に入射した光のうち、一対の壁部21WR,21WL、および、レンズフード24によって囲まれる領域、すなわち、開口部22に入射可能な光のみが、レンズ11Bに入射する。この際に、レンズフード24に向けて入射した光は、加熱部23とともにレンズフード24の表面24Fに取り付けられた反射抑制シート25によって吸収される。そのため、レンズ11Bには、レンズフード24において反射した光がほぼ入射しないから、カメラユニット11によって撮像される画像の品質が低下することが抑えられる。
【0043】
図3は、車両用撮像機10が組み立てられた状態において、ブラケット21の表面と対向する視点から見た車両用撮像機10の構造を示している。なお、図3では、図示の便宜上、カメラユニット11の図示が省略されている。
【0044】
図3が示すように、取付対象に対して開口部22とは反対側の視点から見て、開口部22は、一対の壁部21WR,21WLと、反射抑制シート25のうちで一対の壁部21WR,21WLによって挟まれる部分によって区画される。そのため、加熱部23が反射抑制シート25によって覆われるため、加熱部23における光の反射を抑えることができ、これによって、加熱部23での反射に起因した画像品質の低下を抑えることができる。
【0045】
取付対象に対して開口部22とは反対側の視点から見て、開口部22が拡開される左右方向において、発熱部23Aの幅が、開口部22の幅よりも大きい。そのため、発熱部23Aの右端に接続された供給部23Bは、取付対象に対して開口部22とは反対側の視点から見て、開口部22よりも外側に位置する。これにより、供給部23Bが備える保護回路23B1も開口部22よりも外側に位置する。言い換えれば、取付対象に対して開口部22とは反対側の視点から見て、保護回路23B1は、ブラケット21によって覆われている。
【0046】
保護回路23B1が開口部22よりも外側に位置するため、保護回路23B1が開口部22内に位置する場合に比べて、保護回路23B1が取付対象に対向することに起因した画像品質の低下を抑えることができる。
【0047】
なお、加熱装置12は、板状部と加熱部とを備える構造体でもある。板状部は、カメラユニット11が備えるレンズ11Bの前方に向けて広がり、レンズ11Bが有する画角θに相応した大きさを有している。加熱部23は、板状部に対して取付対象とは反対側に位置してシート状を有する。加熱部23は、取付対象に対して板状部とは反対側の視点から見て、板状部の一部と重なり、板状部のうちで加熱部23が重なる部分では、板状部が拡開される幅方向において、加熱部23の幅が板状部の幅よりも大きい。
【0048】
取付対象に対して板状部とは反対側の視点から見て、開口部22が拡開される幅方向において、加熱部23の幅が板状部の幅よりも大きい。そのため、幅方向において板状部に対する加熱部23の位置がずれたとしても、当該ずれが、板状部の大きさと加熱部23の大きさとの差以内であれば、取付対象のうちで、カメラユニット11の撮像対象を含む板状部に露出した部分の全体が加熱部23による加熱の対象である。すなわち、板状部の大きさと加熱部23の大きさとの差の分だけ、板状部に対する加熱部23の位置のずれが許容される。したがって、加熱部23の取り付けを容易とすることが可能である。
【0049】
画角θに相応する範囲は、取付対象に対して板状部とは反対側の視点から見て、レンズ11Bの画角θと重なる範囲である。本実施形態では、図3に示される一対の2点鎖線によって挟まれる領域である。すなわち、反射抑制シート25のうちで、一対の2点鎖線によって挟まれる部分が、板状部である。このように、反射抑制シート25の一部が画角θに相応した大きさを有する板状部として機能するから、板状部において反射した光がレンズ11Bに入射することが抑えられる。これによって、レンズ11Bに対して過剰な光が入射することが抑えられる。
【0050】
以上説明したように、撮像機用加熱装置の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)開口部22の大きさと加熱部23の大きさとの差の分だけ、開口部22に対する加熱部23の位置のずれが許容される。したがって、加熱部23の取り付けを容易とすることが可能である。
【0051】
(2)開口部22の外側から開口部22内に入射する光の一部が一対の壁部21WR,21WLによって遮断されるため、開口部22内に過剰な光が入射することが抑えられる。これによって、過剰な光に起因した画像品質の低下を抑えることができる。
【0052】
(3)加熱部23が反射抑制シート25によって覆われるため、加熱部23における光の反射を抑えることができ、これによって、加熱部23での反射に起因した画像品質の低下を抑えることができる。
【0053】
(4)保護回路23B1が開口部22よりも外側に位置するため、保護回路23B1が開口部22内に位置する場合に比べて、保護回路23B1がレンズフード24における取付対象に対向することに起因した画像品質の低下を抑えることができる。
【0054】
(5)板状部の大きさと加熱部23の大きさとの差の分だけ、板状部に対する加熱部23の位置のずれが許容される。したがって、加熱部23の取り付けを容易とすることが可能である。
【0055】
(6)反射抑制シート25の一部が画角θに相応した大きさを有する板状部として機能するから、板状部において反射した光がレンズ11Bに入射することが抑えられる。これによって、レンズ11Bに対して過剰な光が入射することが抑えられる。
【0056】
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[反射抑制シート]
・反射抑制シート25が画角θに相応する大きさを有する場合には、反射抑制シート25が板状部である。この場合にも、取付対象に対して反射抑制シート25とは反対側の視点から見て、幅方向において、加熱部23の幅が板状部の幅よりも大きいことによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0057】
・反射抑制シート25は、光の吸収によってレンズフード24に入射した光の反射を抑えるシートに限らず、例えば、光の透過によってレンズフード24に入射した光の反射を抑えるシートであってもよい。光の透過によって光の反射を抑えるシートは、例えば、モスアイ構造を備えてもよい。これにより、レンズフード24に入射した光の反射を抑えられるから、上述した(3),(6)に準じた効果を得ることはできる。
【0058】
・加熱装置12は、反射抑制シートを備えなくてもよい。この場合であっても、開口部22のうちで加熱部23が重なる部分では、開口部22の拡開される幅方向において、加熱部23の幅が開口部22の幅よりも大きいことによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0059】
[加熱部]
・保護回路23B1は、開口部22内に位置してもよい。この場合であっても、加熱装置12が反射抑制シート25を備える場合には、保護回路23B1が反射抑制シート25によって覆われることによって、画像品質の低下が抑えられる。
【0060】
なお、保護回路23B1が開口部22内に位置する場合には、レンズフード24が、レンズフード24の表面24Fから窪む凹部を有し、当該凹部内に保護回路23B1が位置してもよい。この場合には、凹部の深さが、保護回路23B1が有する厚さよりも大きいことが好ましい。これにより、反射抑制シート25の一部が保護回路23B1に起因した凸状を有することが抑えられ、保護回路23B1に起因した凸状の部分が、撮影の妨げとなることが抑えられる。
【0061】
・加熱部23は、レンズフード24のうちで、取付対象に対向する面とは反対側の面に位置してもよい。すなわち、加熱部23は、レンズフード24の表面24Fとは反対側の裏面に位置してもよい。この場合には、保護回路23B1が開口部22内に位置しても、保護回路23B1はレンズフード24に覆われるため、保護回路23B1の位置に起因した画像品質の低下は抑えられる。またこの場合には、加熱装置12が反射抑制シート25を備えなくとも、加熱部23に起因した光の反射は生じない。
【0062】
・加熱部23は、取付対象に対して開口部22とは反対側の視点から見て、開口部22の全体と重なってもよい。この場合にも、開口部22が拡開される幅方向において、加熱部23の幅が開口部22の幅よりも大きいことによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0063】
・加熱部23の幅は、開口部22が拡開される幅方向に加えて、開口部22が拡開される幅方向と交差する方向において、開口部22の幅よりも大きくてもよい。例えば、上述した実施形態では、前後方向において、加熱部23の幅が開口部22の幅よりも大きくてもよい。この場合には、前後方向において、加熱部23の幅と開口部22の幅との差の分だけ、開口部22に対する加熱部23の位置ずれが許容される。
【0064】
[レンズフード]
・加熱部23が十分に高い機械的な強度を有する場合には、加熱装置12は、加熱部23を支持するためのレンズフード24を備えなくてもよい。この場合であっても、開口部22が拡開される幅方向において、加熱部23の幅が開口部22の幅よりも大きいことによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0065】
[ブラケット]
・ブラケット21は、一対の壁部21WR,21WLを備えなくてもよい。この場合には、開口部22は、レンズ11Bよりも前方の領域であって、かつ、ブラケット本体21Aが有する切り欠き21Cによって区画される略V字状を有した領域であってよい。この場合であっても、開口部22が拡開される幅方向において、加熱部23の幅が開口部22の幅よりも大きいことによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0066】
・ブラケット本体21Aは、切り欠き21Cを備えなくてもよい。すなわち、ブラケット本体21Aは、表面21Fと対向する視点から見て、略矩形状を有してもよい。この場合には、開口部22は、一対の壁部21WR,21WLに変えて、反射抑制シート25における左右方向の両端によって、開口部22は開口部22の外側から区切られる。そして、この場合には、開口部22が幅拡開される方向において、加熱部23の幅が開口部22の幅よりも大きいことによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0067】
[カメラユニット]
・カメラユニット11は、2つ以上のレンズ11Bを備えてもよい。この場合には、加熱装置12は、レンズ11Bごとに開口部および加熱部を個別に備えてもよいし、複数のレンズ11Bに対して適用される開口部および加熱部を備えてもよい。この場合であっても、開口部22が拡開される幅方向において、加熱部23の幅が開口部22の幅よりも大きいことによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0068】
・カメラユニット11は、レンズ11B以外の受光部を備えてもよい。例えば、受光部は、被写体の像を投影することが可能な透過フィルムであってもよい。この場合であっても、開口部22が拡開される幅方向において、加熱部23の幅が開口部22の幅よりも大きいことによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【符号の説明】
【0069】
10…車両用撮像機
11…カメラユニット
11A…カメラ本体
11B…レンズ
12…加熱装置
21…ブラケット
22…開口部
23…加熱部
23B1…保護回路
24…レンズフード
25…反射抑制シート
図1
図2
図3