(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】抗CD137分子及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20231019BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231019BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20231019BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20231019BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231019BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231019BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231019BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231019BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231019BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231019BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231019BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C12P21/08
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61P35/00
A61K45/00
(21)【出願番号】P 2020510103
(86)(22)【出願日】2018-08-21
(86)【国際出願番号】 CN2018101501
(87)【国際公開番号】W WO2019037711
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/098332
(32)【優先日】2017-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520053809
【氏名又は名称】アダジーン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルオ, ピーター ペイチー
(72)【発明者】
【氏名】トゥー, ファンヨン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, ギジョン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ユン
(72)【発明者】
【氏名】シェ, シャオホン
(72)【発明者】
【氏名】チュン, ピーター
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/185016(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/156268(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/077085(WO,A2)
【文献】Journal of Molecular Recognition ,2009年01月28日,Vol.22,pp.242-249
【文献】Cancer Gene Therapy ,2004年,Vol.11, No.3,pp.215-226
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-90
C07K 16/00-46
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する単離された抗体、またはその抗原結合フラグメントであって、
抗体または抗原結合フラグメントが、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(1)
(i)重鎖可変領域が、配列番号711のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号735のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号759のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに
(ii)軽鎖可変領域が、配列番号783のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号807のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号831のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、
(2)
(i)重鎖可変領域が、配列番号712のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号736のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号760のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに
(ii)軽鎖可変領域が、配列番号784のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号808のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号832のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、または
(3)
(i)重鎖可変領域が、配列番号731のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号755のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号779のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに
(ii)軽鎖可変領域が、配列番号803のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号827のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号851のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、
抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項2】
抗体または抗原結合フラグメントは、カニクイザル、マウス、ラット、及びイヌからなる群から選択される少なくとも1つの非ヒト種由来のCD137ポリペプチドと交差反応性である、請求項1に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項3】
(i)抗体または抗原結合フラグメントが、表面プラズモン共鳴により測定されるとき、100nM以下のK
DでヒトCD137に結合し、任意選択的に、抗体または抗原結合フラグメントが、50nM以下のK
DでヒトCD137に結合する、
(ii)抗体または抗原結合フラグメントと接触すると、ヒト細胞で発現するヒトCD137の活性が低下する、
(iii)抗体または抗原結合フラグメントが、in vitroでのヒトCD137のヒトCD137Lへの結合を遮断するための約100nM以下の半数阻害濃度(IC
50)を有する、
(iv)抗体または抗原結合フラグメントが約1μM以上の濃度で提供されると、抗体または抗原結合フラグメントがin vitroでのヒトCD137のヒトCD137Lへの結合を完全に遮断する、
(v)抗体または抗原結合フラグメントが、CD137を発現する細胞において、CD137Lにより刺激されるCD137シグナル伝達の1つ以上の態様を遮断する、
(vi)抗体または抗原結合フラグメントと接触すると、ヒト細胞で発現するヒトCD137の活性が上昇する、かつ/または
(vii)CD137を発現するヒト細胞と抗体または抗原結合フラグメントとを接触させると、NF-κB依存性転写が増加する、
請求項1または2に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項4】
抗体が、
(i)ヒトIgG2 Fc領域を含む、または
(ii)ヒトIgG4 Fc領域を含み、任意選択的に、ヒトIgG4 Fc領域がS241P変異を含み、付番がKabatによる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項5】
(1)重鎖可変領域が配列番号41のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖可変領域が配列番号42のアミノ酸配列を含む、
(2)重鎖可変領域が配列番号61のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖可変領域が配列番号62のアミノ酸配列を含む、または
(3)重鎖可変領域が配列番号71のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖可変領域が配列番号72のアミノ酸配列を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項6】
抗体が重鎖及び軽鎖を含み、
(1)重鎖が配列番号617のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖が配列番号618のアミノ酸配列を含む、
(2)重鎖が配列番号619のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖が配列番号620のアミノ酸配列を含む、または
(3)重鎖が配列番号657のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖が配列番号658のアミノ酸配列を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項7】
(i)重鎖可変領域が、配列番号711のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号735のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号759のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに
(ii)軽鎖可変領域が、配列番号783のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号807のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号831のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項8】
(i)重鎖可変領域が、配列番号712のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号736のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号760のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに
(ii)軽鎖可変領域が、配列番号784のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号808のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号832のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項9】
(i)重鎖可変領域が、配列番号731のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号755のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号779のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに
(ii)軽鎖可変領域が、配列番号803のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号827のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号851のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項10】
重鎖可変領域が配列番号41のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖可変領域が配列番号42のアミノ酸配列を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項11】
重鎖可変領域が配列番号61のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖可変領域が配列番号62のアミノ酸配列を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項12】
重鎖可変領域が配列番号71のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖可変領域が配列番号72のアミノ酸配列を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチド。
【請求項14】
請求項13
に記載のポリヌクレオチドを含むベクターであって、任意選択的に発現ベクターである、ベクター。
【請求項15】
請求項
14に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項16】
抗体または抗原結合フラグメントを産生するのに適した条件下で請求項
15に記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体または抗原結合フラグメントを作製する方法であって、任意選択的に、細胞によって産生された抗体または抗原結合フラグメントを回収することをさらに含む、方法。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントと、医薬的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項18】
請求項
17に記載の医薬組成物を含む、それを必要とする対象のがんを治療するための医薬であって、任意選択的に、医薬組成物が少なくとも1つの追加の治療薬との組み合わせで投与され、ここで、
(i)少なくとも1つの追加の治療薬が、ウイルス遺伝子治療、免疫チェックポイント阻害薬、標的療法、放射線療法、及び化学療法からなる群から選択される、かつ/または
(ii)少なくとも1つの追加の治療薬が、ポマリスト、レブリミド、レナリドマイド、ポマリドマイド、サリドマイド、DNAアルキル化白金含有誘導体、シスプラチン、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド、抗CTLA4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CD20抗体、抗CD40抗体、抗DR5抗体、抗CD1d抗体、抗TIM3抗体、抗SLAMF7抗体、抗KIR受容体抗体、抗OX40抗体、抗HER2抗体、抗ErbB-2抗体、抗EGFR抗体、セツキシマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ペンブロリズマブ、放射線療法、単回放射線照射、分割放射線照射、局所放射線照射、全臓器放射線照射、IL-12、IFNα、GM-CSF、キメラ抗原受容体、養子移入されたT細胞、抗がんワクチン、及び腫瘍溶解性ウイルスからなる群から選択される、医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月21日に出願された国際特許出願連続番号PCT/CN2017/098332の優先利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表への参照
ASCIIテキストファイルに関する次の提出の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:配列表のコンピューター可読形式(CRF)(ファイル名:695402000341seqlist.txt、記録日:2018年8月20日、サイズ:542KB)。
【0003】
本開示は、ヒトCD137に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント、それをコードする核酸、その治療用組成物、及びそれらの抗腫瘍の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
CD137(CD137受容体、4-1BB、TNFRSF9などとも呼ばれる)は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRS)の膜貫通タンパク質である。CD137の現在の理解は、その発現は一般に活性化依存であり、活性化NK及びNKT細胞、制御性T細胞、樹状細胞(DC)、刺激性マスト細胞、分化性骨髄細胞、単球、好中球、及び好酸球を含む免疫細胞の広範なサブセットに存在することを示している(Wang, 2009, Immunological Reviews 229:192-215)。CD137の発現はまた、腫瘍血管系(Broll, 2001, Amer. J. Clin. Pathol. 115(4):543-549;Seaman, 2007, Cancer Cell 11:539-554)及び炎症またはアテローム性動脈硬化の内皮の部位(Drenkard, 2007 FASEB J. 21:456-463;Olofsson, 2008, Circulation 117:1292-1301)でも実証されている。CD137を刺激するリガンド、すなわちCD137リガンド(CD137L)は、活性化抗原提示細胞(APC)、骨髄系前駆細胞、及び造血幹細胞に発現している。
【0005】
ヒトCD137は、255アミノ酸のタンパク質である(GenBank受託番号NM_001561;NP_001552;配列番号1)。タンパク質は、シグナル配列(アミノ酸残基1~17)、それに続く細胞外ドメイン(169アミノ酸)、膜貫通領域(27アミノ酸)、及び細胞内ドメイン(42アミノ酸)を含む(Cheuk ATC et al. 2004 Cancer Gene Therapy 11:215-226)。受容体は細胞表面に単量体と二量体の形態で発現し、CD137リガンドと三量体化してシグナルを伝達し得る。
【0006】
マウス及びヒトT細胞の多数の研究は、CD137が細胞の増殖の増大、生存、及びサイトカイン産生を促進することを示している(Croft, 2009, Nat Rev Immunol 9:271-285)。いくつかのCD137アゴニストmAbが共刺激分子の発現を増加させ、細胞溶解性Tリンパ球応答を著しく増強し、さまざまなモデルで抗腫瘍効果をもたらすことが研究により示されている。CD137アゴニストmAbは、予防的及び治療的な環境において有効性を実証している。さらに、CD137単独療法及び組み合わせ療法の腫瘍モデルは、永続的な抗腫瘍保護T細胞記憶応答を確立している(Lynch, 2008, Immunol Rev. 22:277-286)。CD137アゴニストはまた、当該技術分野で認められているさまざまな自己免疫モデルで自己免疫反応を抑制することも示されている(Vinay, 2006, J Mol Med 84:726-736)。CD137のこの二面的な活性は、免疫寛容を破る免疫療法アプローチに関連する可能性のある自己免疫副作用を抑えながら、抗腫瘍活性を提供する可能性を提示する。
【0007】
ヒトCD137に結合し、CD137を介した応答を増加させ、それによってがん及び自己免疫疾患を含むさまざまな疾患及び状態の治療に有望な治療を提供する抗体に対する必要性は未だ満たされていない。さらに、動物モデル研究を可能にし、同時に治療候補を提供するために、ヒト及び実験動物(マウス、サル、イヌなど)などの異なる種間で交差反応する抗CD137抗体の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本開示の目的は、抗体またはその結合フラグメント、またはその誘導体などの、ヒトCD137に結合する単離された結合分子を提供することである。本開示の別の目的は、CD137に結合する結合分子を含む組成物を提供することである。本開示の1つ以上の結合分子を使用することにより、CD137シグナル伝達に関連するまたは媒介される疾患及び/または状態を治療する方法を提供することも本開示の目的である。本開示のこれら及び他の目的は、本明細書でより完全に説明される。
【0009】
したがって、一態様では、本明細書で提供されるのは、ヒトCD137の細胞外ドメインに結合し、以下の機能特性のうち、1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10個全て)を含む、1つ以上の抗体(例えば、単離された抗体)、または1つ以上のその抗原結合フラグメントである:(a)配列番号1のアミノ酸残基34~108内の1つ以上のアミノ酸残基に結合する;(b)配列番号1のアミノ酸残基109~112、125、126、135~138、150及び151内の1つ以上のアミノ酸残基に結合しない;(c)100nM以下のKDでヒトCD137に結合する;(d)ヒトCD137に対するアゴニスト活性を有する;(e)1000nMまでの濃度で、ヒトOX40、CD40、GITR、及び/またはCD27受容体に結合しない;(f)サル、マウス、ラット、及び/またはイヌのCD137と交差反応性である;(g)ADCC効果を誘発しない;(h)腫瘍細胞増殖を阻害することができる;(i)がんに対する治療効果を有する;及び/または(j)CD137とCD137L間の結合を遮断する。
【0010】
したがって、一態様では、本明細書で提供されるのは、ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する抗体(例えば、単離された抗体)またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域はHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含み、HVR-H1は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(I):X1TFX2X3YX4IHWV(配列番号2)、式中、X1はFまたはYであり、X2はSまたはTであり、X3はG、N、またはSであり、及びX4は、A、G、またはWであり;式(II):YSIX1SGX2X3WX4WI(配列番号3)、式中、X1はSまたはTであり、X2はHまたはYであり、X3はHまたはYであり、及びX4はA、D、G、N、S、またはTであり;ならびに式(III):FSLSTX1GVX2VX3WI(配列番号4)、式中、X1はGまたはSであり、X2はAまたはGであり、及びX3はA、G、S、またはTであり;HVR-H2は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(IV):LALIDWX1X2DKX3YSX4SLKSRL(配列番号5)、式中、X1はA、D、またはYであり、X2はDまたはGであり、X3はR、S、またはYであり、及びX4はPまたはTであり;式(V):IGX1IYHSGX2TYYX3PSLKSRV(配列番号6)、式中、X1はDまたはEであり、X2はNまたはSであり、及びX3はNまたはSであり;ならびに式(VI):VSX1ISGX2GX3X4TYYADSVKGRF(配列番号7)、式中、X1はA、G、S、V、またはYであり、X2はA、D、S、またはYであり、X3はD、G、またはSであり、X4はSまたはTであり;ならびにHVR-H3は、式(VII)によるアミノ酸配列を含む:ARX1GX2X3X4VX5GDWFX6Y(配列番号8)、式中、X1はEまたはGであり、X2はEまたはSであり、X3はDまたはTであり、X4はA、T、またはVであり、X5はA、I、L、T、またはVであり、及びX6はA、D、またはGである。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する抗体(例えば、単離された抗体)またはその抗原結合フラグメントであり、重鎖可変領域はHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含み、HVR-H1は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(XII):X1TFSX2YWIHWV(配列番号853)、式中、X1はFまたはYであり、及びX2はNまたはSであり;式(XIII):YSIX1SGX2X3WX4WI(配列番号854)、式中、X1はSまたはTであり、X2はHまたはYであり、X3はHまたはYであり、及びX4はA、D、G、N、またはSであり;ならびに式(XIV):FSLSTX1GVX2VX3WI(配列番号855)、式中、X1はGまたはSであり、X2はAまたはGであり、及びX3はA、G、またはSであり;HVR-H2は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(IV):LALIDWX1X2DKX3YSX4SLKSRL(配列番号5)、式中、X1はA、D、またはYであり、X2はDまたはGであり、X3はR、S、またはYであり、及びX4はPまたはTであり;ならびに式(XV):VSX1ISGX2GX3X4TYYADSVKGRF(配列番号856)、式中、X1はG、S、V、またはYであり、X2はA、D、S、またはYであり、X3はD、G、またはSであり、X4はSまたはTであり;ならびにHVR-H3は、式(VII)によるアミノ酸配列を含む:ARX1GX2X3X4VX5GDWFX6Y(配列番号8)、式中、X1はEまたはGであり、X2はEまたはSであり、X3はDまたはTであり、X4はA、T、またはVであり、X5はA、I、L、T、またはVであり、及びX6はA、D、またはGである。
【0012】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する抗体(例えば、単離された抗体)またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域はHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含み、HVR-L1は、式(VIII)によるアミノ酸配列を含み:X1ASQX2X3X4X5X6X7X8(配列番号9)、式中、X1はQまたはRであり、X2はD、G、またはSであり、X3はIまたはVであり、X4はG、R、S、またはTであり、X5はP、R、S、またはTであり、X6はA、D、F、S、V、またはYであり、X7はLまたはVであり、及びX8はA、G、またはNであり;HVR-L2は、式(IX)によるアミノ酸配列を含み:X1ASX2X3X4X5GX6(配列番号10)、式中、X1はAまたはDであり、X2はN、S、またはTであり、X3はLまたはRであり、X4はA、E、またはQであり、X5はSまたはTであり、及びX6はIまたはVであり;ならびにHVR-L3は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(X):YCQQX1YX2X3X4T(配列番号11)、式中、X1はA、G、S、またはYであり、X2はQ、S、またはYであり、X3はI、L、T、またはYであり、及びX4はI、S、V、またはWであり;ならびに式(XI):YCX1QX2X3X4X5PX6T(配列番号12)、式中、X1はEまたはQであり、X2はP、S、またはYであり、X3はD、L、S、T、またはYであり、X4はD、E、H、S、またはTであり、X5はD、L、T、またはWであり、及びX6はL、P、R、またはVである。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する抗体(例えば、単離された抗体)またはその抗原結合フラグメントであり、軽鎖可変領域はHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含み、HVR-L1は、式(XVI)によるアミノ酸配列を含み:X1ASQX2X3X4X5X6X7X8(配列番号857)、式中、X1はQまたはRであり、X2はD、G、またはSであり、X3はIまたはVであり、X4はG、R、S、またはTであり、X5はP、R、S、またはTであり、X6はA、F、S、V、またはYであり、X7はLまたはVであり、及びX8はAまたはGであり;HVR-L2は、式(XVII)によるアミノ酸配列を含み:X1ASX2X3X4X5GX6(配列番号858)、式中、X1はAまたはDであり、X2はNまたはSであり、X3はLまたはRであり、X4はA、E、またはQであり、X5はSまたはTであり、及びX6はIまたはVであり;ならびにHVR-L3は、式(XVIII)によるアミノ酸配列を含み:YCQQX1YX2X3WT(配列番号859)、式中、X1はAまたはGであり、X2はSまたはYであり、及びX3はI、L、またはTである。
【0014】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する抗体(例えば、単離された抗体)またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、以下のものであるHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含み:VH1、VH2、VH3、VH4、VH5、VH6、VH7、VH8、VH9、VH10、VH11、VH12、VH13、VH14、VH15、VH16、VH17、VH18、VH19、VH20、VH21、VH22、VH23、VH24、VH25、VH26、VH27、VH28、VH29、VH30、VH31、VH32、VH33、VH34、VH35、VH36、VH37、VH38、VH39、VH40、VH41、VH42、VH43、VH44、VH45、VH46、VH47、VH48、VH49、VH50、VH51、VH52、VH53、VH54、VH55、VH56、VH57、VH58、VH59、もしくはVH60;ならびに/または、軽鎖可変領域は、以下のものであるHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む:VL1、VL2、VH3、VL4、VH5、VL6、VL7、VL8、VL9、VL10、VL11、VL12、VL13、VL14、VL15、VL16、VL17、VL18、VL19、VL20、VL21、VL22、VL23、VL24、VL25、VL26、VL27、VL28、VL29、VL30、VL31、VL32、VL33、VL34、VL35、VL36、VL37、VL38、VL39、VL40、VL41、VL42、VL43、VL44、VL45、VL46、VL47、VL48、VL49、VL50、VL51、VL52、VL53、VL54、VL55、VL56、VL57、VL58、VL59、もしくはVL60(表1cに示される)。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、以下のものであるHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む:VH1及びVL1、VH2及びVL2、VH3及びVL3、VH4及びVL4、VH5及びVL5、VH6及びVL6、VH7及びVL7、VH8及びVL8、VH9及びVL9、VH10及びVL10、VH11及びVL11、VH12及びVL12、VH13及びVL13、VH14及びVL14、VH15及びVL15、VH16及びVL16,VH17及びVL17、VH18及びVL18、VH19及びVL19、VH20及びVL20、VH21及びVL21、VH22及びVL22、VH23及びVL23、VH24及びVL24、VH25及びVL25、VH26及びVL26、VH27及びVL27、VH28及びVL28、VH29及びVL29、VH30及びVL30、VH31及びVL31、VH32及びVL32、VH33及びVL33、VH34及びVL34、VH35及びVL35、VH36及びVL36、VH37及びVL37、VH38及びVL38、VH39及びVL39、VH40及びVL40、VH41及びVL41、VH42及びVL42、VH43及びVL43、VH44及びVL44、VH45及びVL45、VH46及びVL46、VH47及びVL47、VH48及びVL48、VH49及びVL49、VH50及びVL50、VH51及びVL51、VH52及びVL52、VH53及びVL53、VH54及びVL54、VH55及びVL55、VH56及びVL56、VH57及びVL57、VH58及びVL58、VH59及びVL59、またはVH60及びVL60(表1cに示される)。
【0015】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する抗体(例えば、単離された抗体)またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、以下のものである重鎖可変領域を含み:VH1、VH2、VH3、VH4、VH5、VH6、VH7、VH8、VH9、VH10、VH11、VH12、VH13、VH14、VH15、VH16、VH17、VH18、VH19、VH20、VH21、VH22、VH23、VH24、VH25、VH26、VH27、VH28、VH29、VH30、VH31、VH32、VH33、VH34、VH35、VH36、VH37、VH38、VH39、VH40、VH41、VH42、VH43、VH44、VH45、VH46、VH47、VH48、VH49、VH50、VH51、VH52、VH53、VH54、VH55、VH56、VH57、VH58、VH59、もしくはVH60;ならびに/または、軽鎖可変領域は、以下のものである軽鎖可変領域を含む:VL1、VL2、VH3、VL4、VH5、VL6、VL7、VL8、VL9、VL10、VL11、VL12、VL13、VL14、VL15、VL16、VL17、VL18、VL19、VL20、VL21、VL22、VL23、VL24、VL25、VL26、VL27、VL28、VL29、VL30、VL31、VL32、VL33、VL34、VL35、VL36、VL37、VL38、VL39、VL40、VL41、VL42、VL43、VL44、VL45、VL46、VL47、VL48、VL49、VL50、VL51、VL52、VL53、VL54、VL55、VL56、VL57、VL58、VL59、もしくはVL60(表1cに示される)。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、以下のものである重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む:VH1及びVL1、VH2及びVL2、VH3及びVL3、VH4及びVL4、VH5及びVL5、VH6及びVL6、VH7及びVL7、VH8及びVL8、VH9及びVL9、VH10及びVL10、VH11及びVL11、VH12及びVL12、VH13及びVL13、VH14及びVL14、VH15及びVL15、VH16及びVL16,VH17及びVL17、VH18及びVL18、VH19及びVL19、VH20及びVL20、VH21及びVL21、VH22及びVL22、VH23及びVL23、VH24及びVL24、VH25及びVL25、VH26及びVL26、VH27及びVL27、VH28及びVL28、VH29及びVL29、VH30及びVL30、VH31及びVL31、VH32及びVL32、VH33及びVL33、VH34及びVL34、VH35及びVL35、VH36及びVL36、VH37及びVL37、VH38及びVL38、VH39及びVL39、VH40及びVL40、VH41及びVL41、VH42及びVL42、VH43及びVL43、VH44及びVL44、VH45及びVL45、VH46及びVL46、VH47及びVL47、VH48及びVL48、VH49及びVL49、VH50及びVL50、VH51及びVL51、VH52及びVL52、VH53及びVL53、VH54及びVL54、VH55及びVL55、VH56及びVL56、VH57及びVL57、VH58及びVL58、VH59及びVL59、またはVH60及びVL60(表1cに示される)。
【0016】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する抗体(例えば、単離された抗体)またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸残基34~108内の1つ以上のアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸残基34~93内の1つ以上のアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸残基34~36、53~55、及び92~93からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1の、アミノ酸残基34~36のうちの1つ以上、53~55のうちの1つ以上、及び92~93のうちの1つ以上に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸残基109~112、125、126、135~138、150、及び151からなる群から選択されるアミノ酸残基のうちの1つ以上に結合しない。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸残基109~112、125、126、135~138、150、及び151に結合しない。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、カニクイザル、マウス、ラット、及び/またはイヌから選択される少なくとも1つの非ヒト種由来のCD137ポリペプチドと交差反応性である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、カニクイザルCD137に結合する。
【0017】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号711のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号735のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号759のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または軽鎖可変領域は、配列番号783のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号807のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号831のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は配列番号41のアミノ酸配列を含み、及び/または軽鎖可変領域は配列番号42のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は配列番号617のアミノ酸配列を含み、及び/または軽鎖は配列番号618のアミノ酸配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号712のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号736のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号760のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または軽鎖可変領域は、配列番号784のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号808のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号832のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は配列番号61のアミノ酸配列を含み、及び/または軽鎖可変領域は配列番号62のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は配列番号619のアミノ酸配列を含み、及び/または軽鎖は配列番号620のアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号731のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号755のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号779のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または軽鎖可変領域は、配列番号803のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号827のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号851のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は配列番号71のアミノ酸配列を含み、及び/または軽鎖可変領域は配列番号72のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は配列番号657のアミノ酸配列を含み、及び/または軽鎖は配列番号658のアミノ酸配列を含む。
【0020】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する抗体(例えば、単離された抗体)であり、重鎖可変領域はHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含み、HVR-H1は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(I)、式(II)、及び式(III);HVR-H2は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(IV)、式(V)、及び式(VI);HVR-H3は式(VII)によるアミノ酸配列を含み;ならびに/または軽鎖可変領域はHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含み、HVR-L1は式(VIII)によるアミノ酸配列を含み;HVR-L2は式(IX)によるアミノ酸配列を含み;HVR-L3は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含む:式(X)及び式(XI)。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する抗体(例えば、単離された抗体)であり、重鎖可変領域はHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含み、HVR-H1は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(XIII)及び式(XVI);HVR-H2は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(IV)及び式(XV);HVR-H3は式(VII)によるアミノ酸配列を含み;ならびに/または軽鎖可変領域はHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含み、HVR-L1は式(XVI)によるアミノ酸配列を含み;HVR-L2は式(XVII)によるアミノ酸配列を含み;HVR-L3は式(XVIII)によるアミノ酸配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、HVR-H1は、配列番号253~312からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、HVR-H2は、配列番号313~372からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、HVR-H3は、配列番号373~432からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、HVR-L1は、配列番号433~492からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、HVR-L2は、配列番号493~552からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、及びHVR-L3は、配列番号553~612からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、及び131からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、ならびに/または軽鎖可変領域は、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、及び132からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、HVR-H1は、式(XII)、式(XIII)、及び式(XIV)からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み;HVR-H21は、式(IV)または式(XV)によるアミノ酸配列を含み;ならびにHVR-H3は式(VII)によるアミノ酸配列を含み;ならびに/または、HVR-L1は式(XVI)によるアミノ酸配列を含み;HVR-L2は式(XVII)によるアミノ酸配列を含み;HVR-L3は式(XVIII)によるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、HVR-H1は、配列番号709~732からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、HVR-H2は、配列番号733~756からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、HVR-H3は、配列番号757~780からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、HVR-L1は、配列番号781~804からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、HVR-L2は、配列番号805~828からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、及びHVR-L3は、配列番号829~852からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号15、17、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、53、61、63、65、67、71、73、75、79、83、85、及び87からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、ならびに/または軽鎖可変領域は、配列番号16、18、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、54、62、64、66、68、72、74、76、80、84、86、及び88からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、配列番号613、615、617、619、621、623、625、627、629、631、633、635、637、639、641、643、645、647、649、651、653、655、657、及び659からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、ならびに/または、軽鎖は、配列番号614、616、618、620、622、624、626、628、630、632、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、及び660からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、HVR-H1は配列番号711または731のアミノ酸配列を含み、HVR-H2は配列番号735または755のアミノ酸配列を含み、HVR-H3は配列番号759または779のアミノ酸配列を含み、HVR-L1は配列番号783または803のアミノ酸配列を含み、HVR-L2は配列番号807または827のアミノ酸配列を含み、HVR-L3は配列番号831または851のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は配列番号41または71のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖可変領域は配列番号42または72のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は配列番号617または657のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖は配列番号618または658のアミノ酸配列を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、HVR-H1は配列番号712のアミノ酸配列を含み、HVR-H2は配列番号736のアミノ酸配列を含み、HVR-H3は配列番号760のアミノ酸配列を含み、HVR-L1は配列番号784のアミノ酸配列を含み、HVR-L2は配列番号808のアミノ酸配列を含み、HVR-L3は配列番号832のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は配列番号61のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖可変領域は配列番号62のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は配列番号619のアミノ酸配列を含み、及び軽鎖は配列番号620のアミノ酸配列を含む。
【0025】
前述の実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、(例えば、表面プラズモン共鳴により測定されるとき)100nM以下のKDでヒトCD137に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、(例えば、表面プラズモン共鳴により測定されるとき)50nM以下のKDでヒトCD137に結合する。
【0026】
前述の実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、カニクイザル(例えば、GenBank遺伝子ID102127961)、マウス(例えば、GenBank遺伝子ID21942)、ラット(例えば、GenBank遺伝子ID500590)、及び/またはイヌ(例えば、GenBank遺伝子ID608274)から選択される少なくとも1つの非ヒト種由来のCD137ポリペプチドと交差反応性である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、カニクイザルCD137に結合する。
【0027】
前述の実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントと接触すると、(例えば、ヒト細胞などの細胞で発現するとき)ヒトCD137の活性が低下する。
【0028】
前述の実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、in vitroでのヒトCD137のヒトCD137Lへの結合を遮断するための約100nM以下の半数阻害濃度(IC50)を有する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、抗体または抗原結合フラグメントが約1μM以上の濃度で提供されると、in vitroでのヒトCD137のヒトCD137Lへの結合を完全に遮断する。前述の実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントと接触すると、(例えば、ヒト細胞などの細胞で発現するとき)ヒトCD137の活性が上昇する。いくつかの実施形態では、CD137(例えば、ヒト細胞に発現する)を抗体または抗原結合フラグメントと接触させると、NF-κB依存性転写が増加する。上述の実施形態のいくつかのいくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、CD137を発現する細胞において、CD137Lにより刺激されるCD137シグナル伝達の1つ以上の態様、例えばCD137Lに刺激されるNF-κB依存性転写を遮断する。
【0029】
前述の実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、抗体はヒトIgG2 Fc領域を含む。前述の実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、抗体はヒトIgG4 Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgG4 Fc領域はS241P変異を含み、ここで付番はKabatによる。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントはADCC効果を誘導しない。
【0030】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、221、223、225、227、229、231、233、235、237、239、241、243、245、247、249、及び251から選択される配列を含むポリヌクレオチドにコードされる抗体重鎖可変領域、ならびに/または、配列番号134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、240、242、244、246、248、250、及び252から選択される配列を含むポリヌクレオチドにコードされる抗体軽鎖可変領域である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号661、663、665、667、669、671、673、675、677、679、681、683、685、687、689、691、693、695、697、699、701、703、705、及び707から選択される配列を含むポリヌクレオチドにコードされる抗体重鎖、ならびに/または、配列番号662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、684、686、688、690、692、694、696、698、700、702、704、706、及び708から選択される配列を含むポリヌクレオチドにコードされる抗体軽鎖である。
【0031】
いくつかの実施形態では、HVRはKabatによる。いくつかの実施形態では、抗体は、配列GFSLSTSGVGVG(配列番号866)を含むHVR-H1、配列LIDWDDDKYYSPSLKS(配列番号867)を含むHVR-H2、及び配列GGSDTVLGDWFAY(配列番号868)を含むHVR-H3を含む重鎖可変(VH)ドメイン;ならびに/または、配列RASQSVSPYLA(配列番号869)を含むHVR-L1、配列DASSLES(配列番号870)を含むHVR-L2、及び配列QQGYSLWT(配列番号871)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変(VH)ドメインを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、HVRはKabatによる。いくつかの実施形態では、抗体は、配列GYSITSGHYWA(配列番号872)を含むHVR-H1、配列SISGYGSTTYYADSVKG(配列番号873)を含むHVR-H2、及び配列GGSDAVLGDWFAY(配列番号874)を含むHVR-H3を含む重鎖可変(VH)ドメイン;ならびに/または、配列RASQGIGSFLA(配列番号875)を含むHVR-L1、配列DASNLET(配列番号876)を含むHVR-L2、及び配列QQGYYLWT(配列番号877)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変(VH)ドメインを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、HVRはKabatによる。いくつかの実施形態では、抗体は、配列GFSLSTGGVGVG(配列番号878)を含むHVR-H1、配列LIDWADDKYYSPSLKS(配列番号879)を含むHVR-H2、及び配列GGSDTVIGDWFAY(配列番号880)を含むHVR-H3を含む重鎖可変(VH)ドメイン;ならびに/または、配列RASQSIGSYLA(配列番号881)を含むHVR-L1、配列DASNLET(配列番号882)を含むHVR-L2、及び配列QQGYYLWT(配列番号883)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変(VH)ドメインを含む。
【0034】
上述の実施形態のいずれかのいくつかの実施形態では、本開示の抗体は多量体抗体(例えば、二重特異性抗体)である。上述の実施形態のいずれかのいくつかの実施形態では、本開示の抗体は、IgM抗体であり、例えば、IgM Fc領域(例えば、ヒトIgM Fc領域)を含む。
【0035】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号133~252から選択される配列を含むポリヌクレオチドである。
【0036】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、上述のポリヌクレオチドのいずれかを含むベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは発現ベクターである。
【0037】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、本書に記載のポリヌクレオチドまたはベクターのいずれかを含む宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞(CHO細胞または293T細胞など)など)である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、抗体または抗原結合フラグメントを産生するのに適した条件下で宿主細胞を培養することを含む、抗体または抗原結合フラグメントを作製する方法である。いくつかの実施形態では、この方法は、宿主細胞によって産生された抗体または抗原結合フラグメントを回収することをさらに含む。
【0038】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメント(またはその誘導体)のいずれかと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。
【0039】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、それを必要とする対象において異常な細胞増殖(例えば、がん)を治療する方法であって、治療有効量の本明細書に記載の抗体、抗原結合フラグメント、及び/または医薬組成物のいずれかを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象において腫瘍細胞転移を低減する方法であって、治療有効量の本明細書に記載の抗体、抗原結合フラグメント、及び/または医薬組成物のいずれかを前記対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも10個など)の治療的有効量の追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ウイルス遺伝子治療、免疫チェックポイント阻害薬、標的療法、放射線療法、及び化学療法からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ポマリスト、レブリミド、レナリドマイド、ポマリドマイド、サリドマイド、DNAアルキル化白金含有誘導体、シスプラチン、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド、抗CTLA4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CD20抗体、抗CD40抗体、抗DR5抗体、抗CD1d抗体、抗TIM3抗体、抗SLAMF7抗体、抗KIR受容体抗体、抗OX40抗体、抗HER2抗体、抗ErbB-2抗体、抗EGFR抗体、セツキシマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ペンブロリズマブ、放射線療法、単回放射線照射、分割放射線照射、局所放射線照射、全臓器放射線照射、IL-12、IFNα、GM-CSF、キメラ抗原受容体、養子移入されたT細胞、抗がんワクチン、及び腫瘍溶解性ウイルスからなる群から選択される。本明細書で提供されるのはまた、それを必要とする対象における、異常な細胞増殖(例えば、がん)の治療及び/または腫瘍細胞転移の低減のための、本明細書に記載の医薬組成物、抗体、及び/または抗原結合フラグメント(またはその誘導体)のいずれかの使用である。本明細書で提供されるのはまた、それを必要とする対象における、異常な細胞増殖(例えば、がん)の治療及び/または腫瘍細胞転移の低減のための医薬の製造のための、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメント(またはその誘導体)のいずれかの使用である。
【0040】
上述及び本明細書に記載の様々な実施形態の特性の1つ、いくつか、または全てを組み合わせて、本開示の他の実施形態を形成できることを理解されたい。本開示のこれら及び他の態様は、当業者に明らかになるであろう。本開示のこれら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1Aは、例示的な重鎖可変領域(VH)(配列番号13)及び例示的な軽鎖可変領域(VL)(配列番号14)のKabatによるCDR定義と比較した超可変領域(HVR)定義を示す。
図1Bは、マウスCD137と交差反応性であるFabヒットの選択を示す。
【
図2】例示的な抗体の、ヒト、サル、及びマウスのCD137へのELISA結合アッセイを示す。パネルの上部に示されているように、各パネルは異なる抗体に関するものである。
【
図3A】例示的な抗体の、ヒト、サル、マウス、及びラットのCD137へのFACSベースの結合アッセイを示す。パネルの上部に示されているように、各パネルは異なる抗原に関するものである。
【
図3B】例示的な抗体と参照抗体における、種の交差反応性の比較を示す。
【
図4A】活性化されたヒト及びサルT細胞に結合するがナイーブヒトT細胞には結合しない例示的な抗体を示す。
【
図4B】AG10131の、活性化されたヒト、サル、マウス、及びラットT細胞への結合を示す。
【
図5】例示的な抗体の、CD137に対する結合特異性を有するが、他のTNFRファミリーメンバーに対しては結合しないことを示す。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、例示的な抗体がELISA(
図6A)及びフローサイトメトリーによるアッセイ(
図6B)の両方によってCD137とその同族リガンドCD137Lの結合を遮断することを示す。
【
図7A】フローサイトメトリーによるエピトープマッピング結果を示す。
【
図7B】エピトープマッピング実験から同定されたCD137配列/目的領域(注釈付き)と共に、ヒト(配列番号1)、カニクイザル(配列番号860)、及びマウス(配列番号861)のCD137の一部の複数の配列アラインメントを示す。
【
図8】NFκBレポーターアッセイにおける例示的な抗体のアゴニスト活性を示す。
【
図9】CD8+T細胞増殖(上パネル)及びINF-γ分泌(下パネル)における例示的な抗体のアゴニスト活性を示す。
【
図10】H22マウス肝癌モデルにおける、例示的な抗体の抗腫瘍効果、及び腫瘍へのCD4
+及びCD8
+T細胞の浸潤を示す。
【
図11】CT26マウス結腸癌モデルにおける例示的な抗体の抗腫瘍効果を示す。
【
図12】EMT6マウス乳癌モデルにおける例示的な抗体の抗腫瘍効果を示す。
【
図13】同一の腫瘍細胞で再チャレンジした後、例示的な抗体で処理したCT26マウスが腫瘍フリーを維持したことを示す。
【
図14】腫瘍を拒絶した再チャレンジマウスの脾細胞による腫瘍細胞の殺傷を示す。
【
図15】AG10131がADCC効果を示さないことを示す。
【
図16】例示的な抗体が高濃度で凝集の少ないことを示す。
【
図17】加速ストレス条件下での例示的な抗体の安定性を示す。
【
図19】AG10131が、通常のマウスで隔週100mg/kg(BIW)×2まで血液毒性がないことを示す。
【
図20】AG10131が、通常のマウスで隔週100mg/kg(BIW)×2まで組織学的肝臓異常がないことを示す。
【
図21】AG10131が、10mg/kg/週×4でカニクイザルに血液毒性がないことを示す。
【
図22】AG10131が、10mg/kg/週×4でサルに肝臓毒性がないことを示す。
【
図23】サルにおけるAG10131の薬物動態プロファイルを示す。
【
図24】ラットにおけるAG10131の薬物動態プロファイルを示す。
【
図25】マウスにおける様々な抗体の薬物動態プロファイルを示す。
【
図26】CD137システインリッチドメイン(CRD)が示されたヒトCD137-CD137L複合体の結晶構造を示す。
【
図27】フローサイトメトリーによる、示されたヒトCD137 CRDへの示された抗CD137抗体結合のエピトープマッピングを示す。
【
図28】抗CD137抗体AG10131がCD137Lに刺激されるCD137シグナル伝達を遮断することを示す。結果は、NFκBルシフェラーゼレポーターを安定的に発現する293T細胞にヒトCD137を発現するDNAコンストラクトをトランスフェクトし、ヒトB細胞リンパ腫細胞Daudi(上段)またはRaji(下段)と、示された比率で共培養し、次いで、アイソタイプ対照(左の列)またはリガンド遮断抗CD137抗体(右の列)の連続希釈液(示されたとおり)とともに一晩インキュベートし、その後ルシフェラーゼ活性を測定した、細胞のNFκBルシフェラーゼレポーターアッセイからのものである。
【
図29】架橋抗体の存在下または非存在下で、抗CD137抗体AG10131、AC1121、またはAC1097によるヒトCD137媒介NFκBシグナル伝達の活性化を示す。NFκBシグナル伝達活性化(架橋を有するかまたは有さない)に対する各抗体のEC50(nM)が示される。
【
図30】AG10131とそのヒトIgG4アイソタイプ対照抗体が、試験した濃度範囲でヒト補体C1q成分に結合する能力を欠いているのに対し、ヒトIgG1アイソタイプ対照抗体はC1qに結合できることを示す。
【
図31】様々な腫瘍モデルにおけるAG10131処理による腫瘍浸潤性Tリンパ球の増強を示す。左上:処理後のH22腫瘍におけるマウスCD4+(上パネル)及びCD8+(下パネル)T細胞の代表的なIHC染色画像。右上:処理後のEMT6腫瘍におけるマウスCD4+(上パネル)及びCD8+(下パネル)T細胞の代表的なIHC染色画像。下中央:処理後のCT26腫瘍におけるマウスCD4+(上パネル)及びCD8+(下パネル)T細胞の代表的なIHC染色画像。CD4+及びCD8+T細胞は、ヘマトキシリンによる核の対比染色の背景で黒く染色された。CD4+及びCD8+T細胞は黒い矢印で示されている。
【
図32】
図31に示される実験からの腫瘍浸潤Tリンパ球の数を定量化する。H22、EMT6、及びCT26腫瘍試料の腫瘍におけるCD4
+(上段)及びCD8
+T細胞(下段)の%を、ビヒクルとAG10131処理群で比較した。**,p<0.01;***,p<0.001。
【
図33】確立されたマウスCT26結腸癌同系モデルにおける、AG10131及び抗PD-1抗体の単独及び組み合わせの抗腫瘍効果を示す。上パネル:各処理群の平均腫瘍増殖のプロット。下パネル:各群の個々の腫瘍増殖のスパイダープロット。
【発明を実施するための形態】
【0042】
A.定義
本明細書で特に定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈で特に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載の抗体工学、免疫療法、細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質及び核酸化学に関連して使用される命名法及び技術は、当該技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。
【0043】
本明細書で使用されるとき、以下の各用語は、このセクションでそれに関連する意味を有する。
【0044】
冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的な対象の、1又は1を超えるもの(すなわち、少なくとも1)を指す。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または1つを超える要素を意味する。
【0045】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、及び後で修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、ガンマ-カルボキシグルタミン酸、及びO-ホスホセリンである。「アミノ酸類似体」という用語は、天然に存在するアミノ酸と同一の基本化学構造を有するが、C末端カルボキシ基、N末端アミノ基、または側鎖官能基が別の官能基に化学修飾された化合物を指す。「アミノ酸模倣物」という用語は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化合物を指す。
【0046】
「抗体」という用語は、本明細書において最も広い意味で使用され、所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメント(例えば、単鎖可変フラグメントまたはscFv)を具体的に包含する。
【0047】
「抗体」という用語は、当該技術分野で認識されている用語であり、2つの同一の重(H)鎖及び2つの同一の軽(L)鎖からなる基本的な4ポリペプチド鎖構造を有する抗原結合タンパク質(すなわち免疫グロブリン)を指し得る。各々のL鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に連結され、一方で2つのH鎖は、H鎖のアイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結される。各重鎖は、N末端に、可変領域(本明細書ではVHと略す)とそれに続く定常領域を有する。重鎖定常領域は3つのドメイン、CH1、CH2、及びCH3からなる。各軽鎖は、N末端に可変領域(本明細書ではVIと略す)とそれに続く他端の定常領域を有する。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VLは、VHと並列し、CLは、重鎖の第1定常ドメイン(CH1)と並列する。VHとVLの対形成は、共に単一の抗原結合部位を形成する。IgM抗体は、J鎖と呼ばれるさらなるポリペプチドを伴って5つの基本的なヘテロ四量体単位からなり、したがって、10の抗原結合部位を含むが、一方で分泌されたIgA抗体は、重合してJ鎖と共に2~5個の基本的な4本鎖単位からなる多価集合体を形成することができる。
【0048】
V
H及びV
L領域は、構造解析及び配列解析に基づいて、超可変領域(HVR)と呼ばれる超可変の領域にさらに細分化できる。HVRには、フレームワーク領域(FW)と呼ばれる、より保存された領域が散在している。比較のために、Yvonne Chen等によるKabat CDR定義(Selection and Analysis of an Optimized Anti-VEGF Antibody:Crystal Structure of an Affinity-matured Fab in Complex with Antigen, J. Mol. Biol. (1999) 293, 865-881)を以下に列挙する(
図1aも参照)。各々のV
H及びV
Lは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて以下の順番:FW1、HVR1、FW2、HVR2、FW3、HVR3、FW4で配置された、3つのHVR及び4つのFWからなる。本開示を通じて、重鎖の3つのHVRは、HVR_H1、HVR_H2、及びHVR_H3と呼ばれる。同様に、軽鎖の3つのHVRは、HVR_L1、HVR_L2、及びHVR_L3と呼ばれる。
【0049】
重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主の組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介することができる。軽鎖及び重鎖内では、可変領域と定常領域は約12個以上のアミノ酸の「J」領域で結合され、重鎖は約10個以上のアミノ酸の「D」領域も含む。概して、Fundamental Immunology Ch. 7 (Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989))を参照されたい。
【0050】
いずれかの脊椎動物由来のL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの一方に割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、抗体は異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。5つのクラスの抗体が存在する:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、それぞれα(アルファ)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)、γ(ガンマ)、及びμ(ミュー)と呼ばれる重鎖を有する。抗体のIgGクラスは、ガンマ重鎖Y1~Y4によって、それぞれ4つのサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4にさらに分類できる。
【0051】
抗体の「抗体誘導体」または「誘導体」という用語は、抗体が結合するのと同一の抗原(例えば、CD137)に結合することができ、追加の分子エンティティに連結された抗体のアミノ酸配列を含む分子を指す。抗体誘導体に含まれる抗体のアミノ酸配列は、抗体の、完全長重鎖、完全長軽鎖、完全長重鎖の任意の部分もしくは複数部分、完全長軽鎖の任意の部分もしくは複数部分、抗体の任意の他のフラグメント(複数可)、または完全抗体であり得る。追加の分子エンティティは、化学分子または生物学的分子であり得る。追加の分子エンティティの例には、化学基、アミノ酸、ペプチド、タンパク質(酵素、抗体など)、及び化合物が含まれる。追加の分子エンティティは、検出剤、標識、マーカー、医薬品、または治療薬としての使用など、任意の有用性を有し得る。抗体のアミノ酸配列は、化学的カップリング、遺伝的融合、非共有結合、またはその他の方法により、追加の分子エンティティに結合または連結してもよい。「抗体誘導体」という用語はまた、キメラ抗体、ヒト化抗体、ならびに保存アミノ酸の置換、付加、及び挿入など、CD137抗体のアミノ酸配列の修飾に由来する分子を含む。
【0052】
抗体の「抗原結合フラグメント」または「抗原結合部分」という用語は、抗体が結合する抗原(例えば、CD137)に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の部分を指す。抗体の「抗原結合フラグメント」の例には、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価フラグメントであるFabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)2フラグメント;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., Nature 341:544-546 (1989));(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。
【0053】
「結合分子」という用語は、(1)抗体、(2)抗体の抗原結合フラグメント、及び(3)抗体の誘導体を包含し、それぞれ本明細書で定義されるとおりである。
【0054】
「CD137に結合すること」、「CD137に結合する」、「CD137へと結合すること」、または「CD137へと結合する」という用語は、本明細書で定義される結合分子の、実施例4に記載されているようなビアコアアッセイなどのin vitroアッセイにおける、100nM以下の親和性(KD)でのヒトCD137への結合を指す。
【0055】
「CD137」及び「CD137受容体」という用語は、本願において交換可能に使用され、ヒトCD137受容体、ならびにその変異体、アイソフォーム、及び種相同体を含む。したがって、本明細書で定義及び開示される結合分子は、ヒト以外の種由来のCD137にも結合し得る。他の場合、結合分子はヒトCD137に完全に特異的であり得、種または他の種類の交差反応性を示さないものであり得る。
【0056】
「CD137抗体」という用語は、本明細書で定義されるように、ヒトCD137受容体に結合することができる抗体を指す。
【0057】
「キメラ抗体」という用語は、ヒト抗体に由来する可変領域及びマウス免疫グロブリン定常領域を有するものなど、異なる動物種に由来するアミノ酸配列を含む抗体を指す。
【0058】
「結合について競合する」という用語は、それらの結合標的への結合における2つの抗体の相互作用を指す。一次抗体とその同族エピトープとの結合が、二次抗体の非存在下の一次抗体の結合と比較して二次抗体の存在下で検出可能に減少する場合、一次抗体は結合について二次抗体と競合する。代替的に、二次抗体のそのエピトープへの結合もまた、一次抗体の存在下で検出可能に減少する場合は、必ずしもそうであることはないが、そうである可能性がある。すなわち、一次抗体のそれぞれのエピトープへの結合を二次抗体が阻害することなく、一次抗体は、二次抗体のそのエピトープへの結合を阻害することができる。しかしながら、各抗体が、他の抗体とその同族のエピトープとの結合を検出可能に阻害する場合、同程度、それ以上、またはそれ以下の範囲で、抗体はそれぞれのエピトープ(複数可)の結合について互いに「交差競合」すると言われる。
【0059】
「エピトープ」という用語は、抗体(またはその抗原結合フラグメント)が結合する抗原の一部を指す。エピトープは、タンパク質の三次フォールディングによって並置された連続アミノ酸または非連続アミノ酸の両方から形成し得る。連続アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒への暴露時に保持されるが、三次フォールディングによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒による処理で失われる。エピトープは、特有の空間的コンフォメーションでさまざまな数のアミノ酸を含むことができる。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法には、例えば、X線結晶学、2次元核磁気共鳴、質量分析と組み合わせた重水素水素交換、または部位特異的変異導入、または抗原とその結合抗体及びその変異体との複合体構造の計算モデリングと組み合わせて使用される全ての方法が含まれる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, G. E. Morris, Ed. (1996)を参照されたい。抗原の所望のエピトープが決定されると、例えば、本明細書に記載の技術を使用して、そのエピトープに対する抗体を生成することができる。抗体の生成と特性解析により、所望のエピトープに関する情報を解明できる。この情報から、同一のエピトープへの結合について競合的に抗体をスクリーニングすることができる。これを達成するためのアプローチは、相互競合研究を実施して、互いに競合的に結合する抗体、すなわち、抗原への結合について競合する抗体を見つけることである。相互競合に基づいて抗体を「ビニング」するためのハイスループットプロセスは、PCT公開番号WO03/48731に記載されている。
【0060】
「生殖系列」という用語は、生殖細胞を介して親から子孫に渡されるときの抗体遺伝子及び遺伝子セグメントのヌクレオチド配列を指す。生殖系列配列は、B細胞成熟過程での組換え及び高頻度変異事象により変化した成熟B細胞の抗体をコードするヌクレオチド配列とは区別される。
【0061】
「グリコシル化部位」という用語は、真核細胞により糖残基の付加位置として認識されるアミノ酸残基を指す。オリゴ糖などの炭水化物が付加するアミノ酸は、典型的には、アスパラギン(N結合)、セリン(O結合)、及びトレオニン(O結合)残基である。特定の付加部位は、典型的には、本明細書で「グリコシル化部位配列」と呼ばれるアミノ酸配列によって示される。N-結合型グリコシル化のグリコシル化部位配列は次のとおりである:-Asn-X-Ser-または-Asn-X-Thr-、式中、Xは、プロリン以外の標準的なアミノ酸のいずれでもよい。「N結合」及び「O結合」という用語は、糖分子とアミノ酸残基の間の付加部位として機能する化学基を指す。N結合型糖はアミノ基を介して付加し、O結合糖は、ヒドロキシル基を介して付加する。「グリカン占有」という用語は、グリコシル化部位に連結された(すなわち、グリカン部位が占有されている)糖部分の存在を指す。ポリペプチド上に少なくとも2つの潜在的なグリコシル化部位がある場合、なし(0-グリカン部位占有)、1つ(1-グリカン部位占有)、または両方(2-グリカン部位占有)のいずれかの部位が、糖部分によって占有され得る。
【0062】
「宿主細胞」という用語は、目的のタンパク質、タンパク質フラグメント、またはペプチドを生成するように遺伝子操作できる細胞系を指す。宿主細胞には、非限定的に、例えばCHO、BHK、NSO、SP2/0、YB2/0などのげっ歯類(ラット、マウス、モルモット、もしくはハムスター)、またはヒト組織もしくはハイブリドーマ細胞に由来する哺乳動物培養細胞、酵母細胞、昆虫細胞、及びトランスジェニック動物または培養組織内に含まれる細胞などの培養細胞が含まれる。この用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫も包含する。変異や環境の影響により、特定の修飾が後続の世代で発生する可能性があるため、このような子孫は親細胞と同一ではないかもしれないが、なおも「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。
【0063】
「ヒト抗体」という用語は、軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列全体がヒト免疫グロブリン遺伝子に由来する抗体を指す。マウス、マウス細胞、またはマウス細胞由来のハイブリドーマで産生される場合、ヒト抗体はマウス糖鎖を含み得る。ヒト抗体は、当該技術分野で公知の様々な方法で調製され得る。
【0064】
「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体配列に由来するアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ヒト化抗体は、非ヒト動物または合成抗体由来のCDRまたはHVRの一部または全てを含むことができ、抗体のフレームワーク及び定常領域は、ヒト抗体配列に由来するアミノ酸残基を含む。
【0065】
「例示的抗体」という用語は、本開示に記載され、表1a及び1bに列挙されたものとして指定された抗体のいずれか1つを指す。これらの抗体は、どのクラスのものでもよい(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM)。したがって、上述で特定された各抗体は、VL及びVH領域に対して同一のアミノ酸配列を有する5つのクラス全ての抗体を包含する。さらに、IgGクラスの抗体は、任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)のものであり得る。したがって、上述で特定されたIgGサブクラスの各抗体は、VL及びVH領域に対して同一のアミノ酸配列を有する4つのサブクラス全ての抗体を包含する。5つのクラス及び4つのIgGサブクラスのヒト抗体の重鎖定常領域のアミノ酸配列は、当該技術分野で公知である。表1bに示される例示的な抗体のそれぞれのIgG4サブクラスの全長重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、本開示で提供される。
【0066】
「単離された抗体」または「単離された結合分子」という用語は、本明細書で定義されるような抗体または結合分子を指し、(1)天然状態においてそれと付随する天然で関連付けられた成分と関連付けられていない;(2)同一種に由来する他のタンパク質を含まない;(3)異なる種の細胞によって発現される;または(4)天然に存在しない。単離された抗体の例には、CD137を使用してアフィニティ精製されたCD137抗体、in vitroでハイブリドーマまたは他の細胞株によって生成されたCD137抗体、及びトランスジェニック動物に由来するCD137抗体が含まれる。
【0067】
「単離された核酸」という用語は、核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離された、ゲノム、cDNA、もしくは合成起源、またはそれらの組み合わせの核酸分子を指す。例えば、ゲノムDNAに関して、「単離された」という用語には、ゲノムDNAが天然で関連している染色体から分離された核酸分子が含まれる。好ましくは、「単離された」核酸は、天然で核酸に隣接する配列(すなわち、目的の核酸の5’及び3’末端に位置する配列)を含まない。
【0068】
「ka」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度定数を指し、「kd」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数を指す。
【0069】
「KD」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。これは、kdのkaに対する比(すなわちkd/ka)から得られ、モル濃度(M)で表される。KDは、結合パートナーに結合する抗体の親和性の尺度として使用される。KDが小さければ小さいほど、抗体はより強く結合するか、または抗体と抗原の間の親和性が高くなる。例えば、ナノモル濃度(nM)の解離定数を持つ抗体は、マイクロモル濃度(μM)の解離定数を持つ抗体よりも特定の抗原により強く結合する。抗体のKDは、当該技術分野で十分に確立された方法を使用して決定することができる。抗体のKDを決定する1つの方法は、典型的には、Biacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用して、表面プラズモン共鳴を使用することによる。BIACORE(商標)システム(BIAcoreアッセイ)を使用するアッセイ手順は、本開示の実施例セクションに記載されている。
【0070】
「哺乳動物」という用語は、哺乳綱の任意の動物種を指す。哺乳動物の例には以下が含まれる:ラット、マウス、サル、及びモルモットなどの実験動物;ネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、及びブタなどの家畜;ならびにライオン、トラ、ゾウなどの飼育下の野生動物。
【0071】
哺乳動物の特定の疾患状態に関して「予防する」または「予防すること」という用語は、疾患の発症を予防または遅延させること、またはその臨床的または無症状症状の発現を予防することを指す。
【0072】
本明細書で使用されるとき、2つのポリペプチド配列間の「配列同一性」は、配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。ポリペプチドのアミノ酸配列同一性は、Bestfit、FASTA、またはBLASTなどの公知のコンピュータープログラムを使用して従来どおりに決定できる(例えば、Pearson, Methods Enzymol. 183:63-98 (1990);Pearson, Methods Mol. Biol. 132:185-219 (2000);Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990);Altschul et al., Nucelic Acids Res. 25:3389-3402 (1997)を参照されたい)。Bestfitまたは他の配列アライメントプログラムを使用して、特定の配列が、例えば参照アミノ酸配列と95%同一であるかどうかを決定するとき、パラメーターは、同一のパーセンテージが参照アミノ酸配列の全長にわたって計算され、参照配列内のアミノ酸残基の総数の最大5%の相同性のギャップが許容されるように設定される。ポリペプチド間の同一性のパーセンテージを決定するこの前述の方法は、本明細書に開示される全てのタンパク質、フラグメント、または変異体に適用可能である。
【0073】
本明細書で定義されるとき、結合分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との相互作用に関して、「特異的に結合する」または「~へと特異的に結合する」という用語は、所定の条件下で、動物種からの目的の抗原と、異なる動物種からの抗原オーソログとを識別する結合分子の能力を指す。CD137結合分子は、in vitroアッセイで決定されるとき、ラットまたはマウスのCD137に結合するEC50の50%未満のEC50でヒトCD137に結合する場合、ヒトCD137に特異的に結合すると言われる。抗体の結合特異性は、当該技術分野で公知の方法を使用して決定できる。そのような方法の例には、PHA刺激一次細胞を使用するFACS、ウエスタンブロット、ELISA、RIA、ECL、IRMA試験、及びペプチドスキャンが含まれる。
【0074】
本明細書で定義されるとき、結合分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との相互作用に関して、「選択的に結合する」または「~へと選択的に結合する」という用語は、所定の条件下で、動物種からの目的の抗原(ヒトCD137など)と、同一の動物種からの異なる抗原(ヒトCD40など)とを識別する結合分子の能力を指す。CD137結合分子は、in vitroアッセイで決定されるとき、ヒトCD40またはヒトCD134に結合するEC50の10%未満のEC50でヒトCD137に結合する場合、ヒトCD137に選択的に結合すると言われる。
【0075】
哺乳動物の特定の疾患状態に関して「治療する」、「治療すること」、または「治療」という用語は、疾患状態を有する哺乳動物に望ましいまたは有益な効果を引き起こすことを指す。望ましいまたは有益な効果には、疾患の1つ以上の症状の頻度または重症度の低下(すなわち、腫瘍増殖及び/もしくは転移、または免疫細胞の数及び/もしくは活性などによって媒介される他の効果)、あるいは疾患、状態、または障害のさらなる進行の停止または阻害が含まれ得る。哺乳動物におけるがん治療の文脈において、望ましいまたは有益な効果には、がん細胞のさらなる増殖または拡散の阻害、がん細胞の死滅、がんの再発の阻害、がんに関連する疼痛の軽減、または哺乳動物の生存率の改善が含まれ得る。効果は主観的または客観的のいずれかであり得る。例えば、哺乳動物がヒトである場合、ヒトは、活力またはバイタリティーの改善、または疼痛の減少を、治療の改善または応答の自覚症状として指摘する場合がある。代替的に、臨床医は、身体検査、検査値、腫瘍マーカー、またはX線所見に基づいて、腫瘍サイズまたは腫瘍量の減少を指摘する場合がある。臨床医が治療に対する応答について観察する可能性のあるいくつかの臨床検査の兆候には、白血球数、赤血球数、血小板数、赤血球沈降速度、及びさまざまな酵素レベルなどの検査の正常化が含まれる。さらに、臨床医は、検出可能な腫瘍マーカーの減少を観察する場合がある。あるいは、ソノグラム、核磁気共鳴試験、及び陽電子放出試験など、他の試験を使用して客観的な改善を評価することができる。
【0076】
「ベクター」という用語は、外来核酸分子を輸送することができる核酸分子を指す。外来核酸分子は、連結または組換えなどの組換え技術によりベクター核酸分子に連結されている。これにより、宿主細胞または生物において外来核酸分子を増殖、選択、さらに操作または発現させることができる。ベクターは、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、またはビリオンであり得る。ベクターの1つの種類は、宿主細胞への導入の際、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって、宿主ゲノムと共に複製される(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)。ベクターの別の種類は、それが導入された宿主細胞において自律的複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。それらが作動可能に連結されている発現可能な外来核酸の発現を誘導することができる別の特定のタイプのベクターは、一般に「発現ベクター」と呼ばれる。発現ベクターは一般に、発現可能な外来核酸の発現を駆動する制御配列を有する。「転写ベクター」として知られるより単純なベクターは、転写のみが可能で、翻訳はできない:それらは、標的細胞で複製できるが、発現しない。「ベクター」という用語は、その機能に関係なく、全てのタイプのベクターを包含する。それらが作動可能に連結されている発現可能な核酸の発現を誘導することができるベクターは、一般に「発現ベクター」と呼ばれる。
【0077】
本開示の方法及び技術は、一般に、当該技術分野で周知の方法に従って実施され、特に明記しない限り、本明細書を通して引用及び議論される様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載される。そのような参考文献は、例えば、Sambrook and Russell, Molecular Cloning, A Laboratory Approach, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (2001), Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (2002)、及びHarlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1990)を含む。酵素反応及び精製技術は、当該技術分野で一般的に達成されるように、または本明細書に記載されるように、製造業者の仕様に従って実施される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、及び医薬化学及び薬学化学に関連して使用される命名法、ならびに実験室手順及び技術は、当該技術分野で周知であり一般的に使用されるものである。標準的な手法は、化学合成、化学分析、医薬品の調製、製剤化、送達、及び患者の治療に使用される。
【0078】
本明細書で使用されるとき、20個の従来のアミノ酸及びそれらの略語は標準的な使用法に従う。Immunology-A Synthesis (2nd Edition, E. S. Golub and D. R. Gren, Eds., Sinauer Associates, Sunderland, Mass. (1991))を参照されたい。
【0079】
B. ヒトCD137に結合する結合分子
本開示は、CD137抗体、CD137抗体の抗原結合フラグメント、及びCD137抗体の誘導体を含む、ヒトCD137へと結合する単離された結合分子を提供する。いくつかの実施形態では、結合分子は、エピトープ結合に関連して記載された抗体、及びHVR、可変領域(VL、VH)、及びIgG(例えば、IgG4)軽鎖及び重鎖に関連して記載された抗体のうちの任意のものである。いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトCD137に結合し、以下の機能的特性のうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7、8、または9つ全て)を有する結合分子に関する:(a)500nM以下のKDでヒトCD137へと結合する;(b)ヒトCD137に対するアゴニスト活性を有する;(c)1000nMまでの濃度で、ヒトOX40、CD40、GITR、及び/またはCD27受容体に結合しない;(d)サル、マウス、ラット、またはイヌのCD137と交差反応性である;(e)ADCC効果を誘導しない;(f)腫瘍細胞の増殖を阻害できる;(g)がんに対する治療効果を有する;(h)CD137とCD137Lの間の結合を遮断する;ならびに(i)CD137を発現する細胞において、CD137Lによって刺激されるCD137シグナル伝達(例えば、CD137Lに刺激されるNF-κB依存性転写)を遮断する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体はまた、CD137とそのリガンドCD137Lとの間の結合を遮断、例えば完全に遮断することができる。また、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントの1つ以上とヒトCD137への結合について交差競合する1つ以上の抗CD137抗体または抗原結合フラグメントである。
【0080】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸残基34~108内の1つ以上のアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸残基34~93内の1つ以上のアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸残基34~36、53~55、及び92~93からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1の、アミノ酸残基34~36のうちの1つ以上、53~55のうちの1つ以上、及び92~93のうちの1つ以上に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸残基109~112、125、126、135~138、150、及び151からなる群から選択されるアミノ酸残基のうちの1つ以上に結合しない。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸残基109~112、125、126、135~138、150、及び151に結合しない。標的抗原に結合する抗体または抗原結合フラグメントの能力を測定する方法は、例えば、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱量測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどを含む、当該技術分野に公知の任意の方法を使用して実施してもよい。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの標的抗原へと結合する能力は、表面プラズモン共鳴によって測定される(例えば、以下の実施例1を参照されたい)。
【0081】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、約500nM以下のKD(例えば、約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約150nM以下、約100nM以下、約90nM以下、約80nM以下、約75nM以下、約70nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約25nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約0.1nM以下など)で、ヒトCD137へと結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、約100nM以下のKDで、ヒトCD137へと結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、約50nM以下のKDで、ヒトCD137へと結合する。抗体または抗原結合フラグメントのKDを測定する方法は、例えば、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱量測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどを含む、当該技術分野に公知の任意の方法を使用して実施してもよい。いくつかの実施形態では、KDは表面プラズモン共鳴によって測定される(例えば、以下の実施例1を参照されたい)。
【0082】
抗CD137抗体は、アゴニストになるために架橋する必要がある。例えば、Fcガンマ受容体を介してin vivoで架橋が達成されるが、典型的には、in vitroでの細胞ベースの実験ではポリクローナル抗Fc抗体が使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトCD137に対してアゴニスト活性を有する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトCD137を発現する細胞(例えば、ヒト細胞)が、抗体または抗原結合フラグメントと接触するとき、ヒトCD137の1つ以上(例えば、1つ以上、2つ以上、3つ以上など)の活性を誘発する。様々なCD137活性が当該技術分野で公知であり、非限定的に、NF-κB依存性転写の誘導、T細胞増殖の誘導、T細胞生存の延長、活性化T細胞の共刺激、サイトカイン分泌(IL-2など)の誘導、及び単球活性化の誘導を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のCD137活性はそのリガンドへのCD137結合ではない。CD137活性(例えば、NF-κB依存性転写及び/またはT細胞増殖などの誘導)を測定する方法は、当該技術分野に公知であり、例えば以下の実施例8及び9に記載の方法によるものを含む。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトCD137を発現する細胞(例えば、ヒト細胞)でNF-κB依存性転写を増加させる。いくつかの実施形態では、NF-κB依存性転写は、抗体または抗原結合フラグメントと接触するCD137を発現する細胞(例えば、ヒト細胞)において、抗体または抗原結合フラグメントと接触していない対応する細胞(例えば、抗体と接触していない、またはアイソタイプ対照抗体と接触する対応する細胞)と比較して、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または約99%以上増加する。いくつかの実施形態では、NF-κB依存性転写は、抗体または抗原結合フラグメントと接触するCD137を発現する細胞(例えば、ヒト細胞)において、抗体または抗原結合フラグメントと接触していない対応する細胞(例えば、抗体と接触していない、またはアイソタイプ対照抗体と接触する対応する細胞)と比較して、約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、100倍、1000倍、またはそれ以上増加する。
【0083】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、サル(例えば、カニクイザル)、マウス、ラット、及び/またはイヌCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、サルCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、マウスCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、ラットCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、イヌCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、サルとマウスのCD137;サルとラットのCD137;サルとイヌのCD137;マウスとラットのCD137;マウスとイヌのCD137;ラットとイヌのCD137;サルとマウスとラットのCD137;サルとマウスとイヌのCD137;サルとラットとイヌのCD137;マウスとラットとイヌのCD137;またはサルとマウスとラットとイヌのCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、約100nM(例えば、約1nM、約10nM、約25nM、約50nM、約75nM、約100nM)で交差反応性である。非限定的に、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱量測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどを含む、抗体の交差反応性を測定する方法は、当該技術分野に公知である。いくつかの実施形態では、交差反応性はELISAによって測定される(例えば、以下の実施例2を参照されたい)。
【0084】
いくつかの実施形態では、抗体はADCC効果を誘発しない。非限定的に、以下の実施例11に記載される方法を含む、ADCC効果を測定する方法(例えば、in vivo方法)は、当該技術分野に公知である。いくつかの実施形態では、抗体は、対照と比較して、約10%を超えるADCC効果を誘導しない(約10%を超える、約5%を超える、約1%を超える、約0.1%を超える、約0.01%を超える、ADCCを誘導しない)。
【0085】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、腫瘍細胞の増殖(growth)/増殖(proliferation)を阻害することができる。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の増殖(growth)/増殖(proliferation)は、抗体または抗原結合フラグメントと接触するとき、抗体または抗原結合フラグメントと接触していない対応する腫瘍細胞と比較して、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約99%)、阻害される。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、抗体または抗原結合フラグメントが対象に投与されると、対象の腫瘍体積を低減することができる。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、対象における初期の腫瘍体積(例えば、抗体または抗原結合フラグメントの投与前)と比較して、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約99%)、低減する。腫瘍細胞の増殖(growth)/増殖(proliferation)、腫瘍体積、及び/または腫瘍阻害をモニタリングする方法は、例えば、以下の実施例10に記載の方法によるものを含んで、当該技術分野で公知である。
【0086】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、がんに対して治療効果を有する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、がんの1つ以上の徴候または症状を軽減する。いくつかの実施形態では、がんに罹患している対象は、抗体または抗原結合フラグメントを投与すると部分的または完全に寛解する。
【0087】
別の態様では、本開示は、ヒトCD137への結合についてAG10058、AG10059、及び/またはAG10131などの本開示の例示的な抗体のいずれかと競合または交差競合する単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、本開示の例示的な抗体のいずれかとヒトCD137上の同一のエピトープへの結合について競合または交差競合する単離された抗体を提供する。別の抗体との結合について競合または交差競合する抗体の能力は、BIAcore分析、ELISAアッセイ、またはフローサイトメトリーなどの当技術分野で公知の標準的な結合アッセイを使用して決定することができる。例えば、本開示の例示的な抗体が飽和条件下でヒトCD137へと結合することを可能にし、次いでCD137へと結合する試験抗体の能力を測定することができる。試験抗体が例示的な抗体と同時にCD137へと結合できる場合、試験抗体は例示的な抗体とは異なるエピトープへと結合する。しかしながら、試験抗体がCD137へと同時に結合できない場合、試験抗体は同一のエピトープ、重複するエピトープ、または例示的な抗体が結合するエピトープにごく近接したエピトープへと結合する。この実験は、ELISA、RIA、FACS、または表面プラズモン共鳴などのさまざまな方法を使用して実施できます。
【0088】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、CD137とそのリガンド(例えば、ヒトCD137とヒトCD137L)間の結合を遮断する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、in vitroでCD137とそのリガンド間の結合を遮断する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、CD137のそのリガンドの結合の遮断について、約500nM以下(例えば、約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約100nM以下、約50nM以下、約25nM以下、約10nM以下、約1nM以下など)の半数阻害濃度(IC50)を有する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、CD137のそのリガンドの結合を遮断について、約100nM以下の半数阻害濃度(IC50)を有する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、約100nM以上(例えば、約100nM以上、約500nM以上、約1μM以上、約10μM以上など)の濃度で提供されるとき、ヒトCD137のそのリガンドへの結合を完全に遮断する。本明細書で使用するとき、「完全に遮断すること」または「完全に遮断する」という用語は、抗体または抗原結合フラグメントの、第1タンパク質と第2タンパク質の間の結合を少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%など)、低減する能力を指す。抗体または抗原結合フラグメントが第1タンパク質(例えばCD137)及び第2タンパク質(例えばCD137L)の結合を遮断する能力を測定する方法は、BIAcore分析、ELISAアッセイ、及びフローサイトメトリーを非限定的に含み、当該技術分野において公知である(例えば、以下の実施例6を参照されたい)。
【0089】
B-1.CD137抗体
いくつかの態様では、本開示は、配列番号1のアミノ酸残基34~108または34~93内のエピトープでヒトCD137に結合する単離された抗体を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、表面プラズモン共鳴により測定されるとき、50nM以下のKDでヒトCD137に結合する。ある特定の実施形態では、抗体は、カニクイザル、マウス、ラット、及びイヌからなるリストから選択される少なくとも1つの非ヒト種と交差反応性であり得る。
【0090】
一態様では、本開示は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離された抗体を提供し、a)重鎖可変領域はHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含み、HVR-H1は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(I):X1TFX2X3YX4IHWV(配列番号2)、式中、X1はFもしくはYであり、X2はSもしくはTであり、X3はG、N、もしくはSであり、及びX4は、A、G、もしくはWであり;式(II):YSIX1SGX2X3WX4WI(配列番号3)、式中、X1はSもしくはTであり、X2はHもしくはYであり、X3はHもしくはYであり、及びX4はA、D、G、N、S、もしくはTであり;ならびに式(III):FSLSTX1GVX2VX3WI(配列番号4)、式中、X1はGもしくはSであり、X2はAもしくはGであり、及びX3はA、G、S、もしくはTであり;HVR-H2は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(IV):LALIDWX1X2DKX3YSX4SLKSRL(配列番号5)、式中、X1はA、D、もしくはYであり、X2はDもしくはGであり、X3はR、S、もしくはYであり、及びX4はPもしくはTであり;式(V):IGX1IYHSGX2TYYX3PSLKSRV(配列番号6)、式中、X1はDもしくはEであり、X2はNもしくはSであり、及びX3はNもしくはSであり;ならびに式(VI):VSX1ISGX2GX3X4TYYADSVKGRF(配列番号7)、式中、X1はA、G、S、V、もしくはYであり、X2はA、D、S、もしくはYであり、X3はD、G、もしくはSであり、X4はSもしくはTであり;ならびにHVR-H3は、式(VII)によるアミノ酸配列を含む:ARX1GX2X3X4VX5GDWFX6Y(配列番号8)、式中、X1はEもしくはGであり、X2はEもしくはSであり、X3はDもしくはTであり、X4はA、T、もしくはVであり、X5はA、I、L、T、もしくはVであり、及びX6はA、D、もしくはGであり;ならびに/またはb)軽鎖可変領域は、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含み、HVR-L1は式(VIII)によるアミノ酸配列を含み:X1ASQX2X3X4X5X6X7X8(配列番号9)、式中、X1はQもしくはRであり、X2はD、G、もしくはSであり、X3はIもしくはVであり、X4はG、R、S、もしくはTであり、X5はP、R、S、もしくはTであり、X6はA、D、F、S、V、もしくはYであり、X7はLもしくはVであり、及びX8はA、G、もしくはNであり;HVR-L2は、式(IX)によるアミノ酸配列を含み:X1ASX2X3X4X5GX6(配列番号10)、式中、X1はAもしくはDであり、X2はN、S、もしくはTであり、X3はLもしくはRであり、X4はA、E、もしくはQであり、X5はSもしくはTであり、及びX6はIもしくはVであり;ならびにHVR-L3は、以下からなる群から選択される式によるアミノ酸配列を含み:式(X):YCQQX1YX2X3X4T(配列番号11)、式中、X1はA、G、S、もしくはYであり、X2はQ、S、もしくはYであり、X3はI、L、T、もしくはYであり、及びX4はI、S、V、もしくはWであり;ならびに式(XI):YCX1QX2X3X4X5PX6T(配列番号12)、式中、X1はEもしくはQであり、X2はP、S、もしくはYであり、X3はD、L、S、T、もしくはYであり、X4はD、E、H、S、もしくはTであり、X5はD、L、T、もしくはWであり、及びX6はL、P、R、もしくはVである。
【0091】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号253~312からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-H1、配列番号313~372からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-H2、配列番号373~432からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-H3、配列番号433~492からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-L1、配列番号493~552からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-L2、及び配列番号553~612からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-L3を含み得る。
【0092】
ある特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号133~252からなる群から選択されるDNA配列によってコードされることが好ましい配列番号13-132からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL及び/またはVHを含み得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号709~732からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-H1、配列番号733~756からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-H2、配列番号757~780からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-H3、配列番号781~804からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-L1、配列番号805~828からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-L2、及び配列番号829~852からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHVR-L3を含み得る。
【0094】
ある特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号661~708からなる群から選択されるDNA配列によってコードされることが好ましい配列番号613-660からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖及び/または重鎖(例えば、IgG4などのIgGのもの)を含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、HVRはKabatによる。いくつかの実施形態では、抗体は、配列GFSLSTSGVGVG(配列番号866)を含むHVR-H1、配列LIDWDDDKYYSPSLKS(配列番号867)を含むHVR-H2、及び配列GGSDTVLGDWFAY(配列番号868)を含むHVR-H3を含む重鎖可変(VH)ドメイン;ならびに/または、配列RASQSVSPYLA(配列番号869)を含むHVR-L1、配列DASSLES(配列番号870)を含むHVR-L2、及び配列QQGYSLWT(配列番号871)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変(VH)ドメインを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、HVRはKabatによる。いくつかの実施形態では、抗体は、配列GYSITSGHYWA(配列番号872)を含むHVR-H1、配列SISGYGSTTYYADSVKG(配列番号873)を含むHVR-H2、及び配列GGSDAVLGDWFAY(配列番号874)を含むHVR-H3を含む重鎖可変(VH)ドメイン;ならびに/または、配列RASQGIGSFLA(配列番号875)を含むHVR-L1、配列DASNLET(配列番号876)を含むHVR-L2、及び配列QQGYYLWT(配列番号877)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変(VH)ドメインを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、HVRはKabatによる。いくつかの実施形態では、抗体は、配列GFSLSTGGVGVG(配列番号878)を含むHVR-H1、配列LIDWADDKYYSPSLKS(配列番号879)を含むHVR-H2、及び配列GGSDTVIGDWFAY(配列番号880)を含むHVR-H3を含む重鎖可変(VH)ドメイン;ならびに/または、配列RASQSIGSYLA(配列番号881)を含むHVR-L1、配列DASNLET(配列番号882)を含むHVR-L2、及び配列QQGYYLWT(配列番号883)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変(VH)ドメインを含む。
【0098】
本明細書に記載のCD137抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、またはIgDなどの任意のクラスのものであり得る。CD137抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスなどのIgGクラスのものであることが好ましい。CD137抗体は、当該技術分野で公知の方法を使用して、1つのクラスまたはサブクラスから別のクラスまたはサブクラスに変換され得る。所望のクラスまたはサブクラスで抗体を産生するための例示的な方法は、CD137抗体の重鎖をコードする核酸及びCD137抗体の軽鎖をコードする核酸を単離するステップと、VH領域をコードする配列を単離するステップと、VH配列を所望のクラスまたはサブクラスの重鎖定常領域をコードする配列に連結するステップと、細胞内で軽鎖遺伝子及び重鎖コンストラクトを発現させるステップと、CD137抗体を収集するステップとを含む。
【0099】
さらに、本開示により提供される抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであり得るが、好ましくはモノクローナルである。
【0100】
本開示により提供される特定の単離された抗体の例には、表1a及び1bに列挙されるものが含まれる。これらの抗体の重鎖可変領域、IgG2及びIgG4サブクラスの全長重鎖、軽鎖可変領域、及び全長軽鎖のヌクレオチド及びアミノ酸配列もまた、以下に提供される。
【0101】
本開示の抗体は、従来のモノクローナル抗体方法論、例えば、標準体細胞ハイブリダイゼーション技術(例えば、Kohler and Milstein, Nature 256:495 (1975)を参照されたい、Bリンパ球のウイルスまたは腫瘍遺伝子による形質転換、または本明細書で以下に詳細に記載される組換え抗体技術などを含む、当該技術分野で公知の技術によって産生できる。
【0102】
ハイブリドーマ産生は非常によく確立された手順である。ハイブリドーマを調製するための一般的な動物システムは、マウスシステムである。免疫化プロトコール及び融合のための免疫脾細胞の単離のための技術は、当該技術分野で公知である。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)及び融合手順も公知である。本開示により提供されるヒトCD137抗体を作製するために使用され得る1つの周知の方法は、XenoMouse(商標)動物システムの使用を含む。XenoMouse(商標)マウスは、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子座の大きなフラグメントを含み、マウス抗体の産生が欠失する、遺伝子操作されたマウス系統である。例えば、Green et al., Nature Genetics 7:13-21 (1994)及びWO2003/040170を参照されたい。動物はCD137抗原で免疫される。CD137抗原は、単離及び/または精製されたCD137、好ましくはCD137である。それは、CD137の細胞外ドメインなどのCD137のフラグメント、特に配列番号1のアミノ酸残基34~108または34~93を含むCD137細胞外ドメインフラグメントであってもよい。動物の免疫化は、当該技術分野で公知の任意の方法により実施され得る。例えば、Harlow and Lane, Antibodies:A Laboratory Manual, New York:Cold Spring Harbor Press, 1990を参照されたい。マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、及びウマなどの非ヒト動物を免疫化する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、前出のHarlow and Lane、及び米国特許第5,994,619号を参照されたい。CD137抗原は、免疫応答を刺激するためにアジュバントとともに投与してもよい。例示的なアジュバントには、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI(ムラミルジペプチド)、またはISCOM(免疫刺激複合体)が含まれる。CD137抗原で動物を免疫化した後、免疫動物から単離された細胞から抗体産生不死化細胞株を調製する。免疫後、動物を屠殺し、リンパ節及び/または脾臓B細胞を不死化する。細胞を不死化する方法には、非限定的に、それらに癌遺伝子を導入すること、それらに腫瘍ウイルスを感染させること、不死化細胞を選択する条件下でそれらを培養すること、それらを発がん性または変異化合物に供すること、不死化細胞、例えば骨髄腫細胞と融合すること、及び腫瘍抑制遺伝子を不活性化することが含まれる。例えば、前出のHarlow and Laneを参照されたい。骨髄腫細胞との融合が使用される場合、骨髄腫細胞は免疫グロブリンポリペプチドを分泌しないことが好ましい(非分泌細胞株)。不死化細胞は、CD137、その一部、またはCD137を発現する細胞を使用してスクリーニングされる。CD137抗体産生細胞、例えばハイブリドーマは、以下でさらに議論されるように、強力な増殖、高い抗体産生、及び望ましい抗体特性を含む望ましい特性について選択され、クローン化され、さらにスクリーニングされる。ハイブリドーマは、同系動物、免疫系を欠く動物、例えばヌードマウス内でin vivoで、またはin vitroでの細胞培養で増殖させることができる。ハイブリドーマを選択、クローニング、及び増殖する方法は、当業者に周知である。
【0103】
本開示の抗体は、ファージディスプレイ法または酵母ディスプレイ法を使用して調製することもできる。ヒト抗体を単離するためのそのようなディスプレイ方法は、Achim Knappik, et al., “Fully Synthetic Human Combinatorial Antibody Libraries (HuCAL) Based on Modular Consensus Frameworks and CDRs Randomized with Trinucleotides.” J. Mol. Biol. (2000) 296, 57-86;及びMichael J. Feldhaus, et al, “Flow-cytometric isolation of human antibodies from a non-immune Saccharomyces cerevisiae surface display library” Nat Biotechnol (2003) 21:163-170などのように、当該技術分野で確立されている。
【0104】
B-2.抗原結合フラグメント
他のいくつかの態様では、本開示は、本開示により提供されるCD137抗体のいずれかの抗原結合フラグメントを提供する。
【0105】
抗原結合フラグメントは、抗体の任意の配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは以下のアミノ酸配列を含む:(1)CD137抗体の軽鎖;(2)CD137抗体の重鎖;(3)CD137抗体の軽鎖由来の可変領域;(4)CD137抗体の重鎖由来の可変領域;(5)CD137抗体の1つ以上のHVR(2、3、4、5、または6つのHRV);または(6)CD137抗体の軽鎖由来の3つのHVRと重鎖由来の3つのHVR。
【0106】
いくつかの特定の実施形態では、本開示は、表1a及び1bに列挙されたものから選択される抗体の抗原結合フラグメントを提供する。
【0107】
他の特定の実施形態では、CD137抗体の抗原結合フラグメントには、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価フラグメントであるFabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)2フラグメント;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);(vi)単離された相補性決定領域(CDR);ならびに(vii)抗体のVH領域に連結された抗体のVL領域を含むポリペプチドである単鎖抗体(scFv)、が含まれる。Bird et al., (1988) Science 242:423-426、及びHuston et al., (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883。
【0108】
いくつかの特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、表1aに列挙されたものから選択されるFabフラグメントである。
【0109】
B-3.抗体誘導体
いくつかのさらなる態様では、本開示は、本開示により提供されるCD137抗体のいずれかの誘導体を提供する。
【0110】
一態様では、抗体誘導体は、本開示の例示的な抗体(「親抗体」)のアミノ酸配列の修飾に、親抗体のアミノ酸配列の全体的な分子構造を保存しながら、由来する。フレームワーク領域、HVR領域、または定常領域など、親抗体鎖の任意の領域のアミノ酸配列を修飾してもよい。修飾の種類には、親抗体の1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0111】
いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号13~132に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、VLまたはVH領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号253~312に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、HVR_H1アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号313~372に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、HVR_H2アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号373~432に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、HVR_H3アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号433~492に見出すことができる、表1aに示される全てのFabヒットのHVR_L1アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号493~552に見出すことができる、表1aに示される全てのFabヒットのHVR_L2アミノ酸配列を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号553~612に見出すことができる、表1aに示される全てのFabヒットのHVR_L3アミノ酸配列を含む。いくつかの特定の実施形態では、誘導体は、配列番号13~132、及び253~612のいずれかに記述されているアミノ酸配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15個の保存的もしくは非保存的置換、及び/または、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の付加及び/または欠失を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号613~660に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、軽鎖または重鎖を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号709~732に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、HVR_H1アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号733~756に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、HVR_H2アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号758~780に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、HVR_H3アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号781~804に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、HVR_L1アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号805~828に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、HVR_L2アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号829~852に記述されるアミノ酸配列に対して、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、HVR_L3アミノ酸配列領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、誘導体は、配列番号613~660、及び709~852のいずれかに記述されているアミノ酸配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15個の保存的もしくは非保存的置換、及び/または、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の付加及び/または欠失を含む。
【0115】
アミノ酸置換には、保存的置換と非保存的置換の両方が包含される。「保存的アミノ酸置換」という用語は、2つのアミノ酸が、関係する残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、及び/または両親媒性などの特定の物理化学的特性において類似性を有する場合に、1つのアミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることを意味する。例えば、置換は典型的には、以下の群の各々内でなされる:(a)アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンなどの非極性(疎水性)アミノ酸;(b)グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンなどの極性中性アミノ酸;(c)アルギニン、リジン、及びヒスチジンなどの正荷電(塩基性)アミノ酸;(d)アスパラギン酸とグルタミン酸などの負荷電(酸性)アミノ酸。
【0116】
修飾は、HVR、フレームワーク領域、または定常領域を含む、抗体のアミノ酸配列の任意の位置で実施してもよい。一実施形態では、本開示は、本開示の例示的な抗体のVH及びVL HVR配列を含むが、例示的な抗体のものとは異なるフレームワーク配列を含む抗体誘導体を提供する。そのようなフレームワーク配列は、生殖細胞系抗体遺伝子配列を含む公的なDNAデータベースまたは公開された参考文献から入手できる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系DNA配列は、Genbankデータベースまたは「VBase」ヒト生殖細胞系配列データベースに見出すことができる(Kabat, E. A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242 (1991);Tomlinson, I. M., et al., J. Mol. Biol. 227:776-798 (1992);及びCox, J. P. L. et al., Eur. J. Immunol. 24:827-836 (1994))。抗体誘導体の構築に使用できるフレームワーク配列には、本開示の例示的な抗体によって使用されるフレームワーク配列と構造的に類似するもの、例えば本開示の例示的な抗体によって使用される、VH3-23フレームワーク配列及び/またはVLλ3もしくははλ1-13フレームワーク配列に類似するものが含まれる。例えば、例示的な抗体のHVR_H1、HVR_H2、及びHVR_H3配列、ならびにHVR_L1、HVR_L2、及びHVR_L3配列は、フレームワーク配列が由来する生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子に見られるものと同一の配列を有するフレームワーク領域に移植することができ、または、HVR配列は、生殖系列配列と比較して1つ以上の変異を含むフレームワーク領域に移植できる。
【0117】
特定の実施形態では、抗体誘導体は、本開示の例示的な抗体のアミノ酸配列を含むキメラ抗体である。一例において、1つ以上の例示的なヒト抗体由来の1つ以上のHVRは、マウスまたはラットなどの非ヒト動物由来の抗体からのHVRと組み合わされる。別の例において、キメラ抗体の全てのHVRは、1つ以上の例示的な抗体に由来する。いくつかの特定の実施形態では、キメラ抗体は、例示的な抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域由来の1、2、または3つのHVRを含む。キメラ抗体は、当該技術分野で公知の従来の方法を使用して生成され得る。
【0118】
別の種類の修飾は、VH及び/またはVL鎖のHRV領域内のアミノ酸残基を変異させることである。部位特異的変異導入またはPCR媒介変異導入を実施して変異(複数可)を導入し、抗体結合または他の目的の機能特性に対する効果を、当該技術分野で公知のin vitroまたはin vivoアッセイで評価できる。典型的には、保守的な置換が導入される。変異は、アミノ酸の付加及び/または欠失であり得る。さらに、典型的には、HVR領域内の1、2、3、4、または5残基以下が変更される。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、重鎖HVR及び/または軽鎖HVRに1、2、3、または4個のアミノ酸置換を含む。別の実施形態では、アミノ酸置換は、抗体中の1つ以上のシステインを、非限定的にアラニンまたはセリンなどの別の残基に変更することである。システインは、標準的または非標準的なシステインであり得る。一実施形態では、抗体誘導体は、例示的な抗体のアミノ酸配列と比較して、重鎖HVR領域に1、2、3、または4個の保存的アミノ酸置換を有する。
【0119】
修飾は、VH及び/またはVL領域内のフレームワーク残基でもなし得る。典型的には、そのようなフレームワーク変異体は、抗体の免疫原性を低下させるために作製される。1つのアプローチは、1つ以上のフレームワーク残基を対応する生殖系列配列に「逆変異」させることである。体細胞変異を受けた抗体は、抗体が由来する生殖系列配列とは異なるフレームワーク残基を含み得る。そのような残基は、抗体のフレームワーク配列を、抗体が由来する生殖系列配列と比較することにより同定できる。フレームワーク領域配列をそれらの生殖系列構成に戻すために、体細胞変異は、例えば、部位特異的変異導入またはPCR媒介変異導入により生殖系列配列に「逆変異」することができる。
【0120】
さらに、典型的には血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、及び/または抗原依存性細胞傷害性のような抗体の1つ以上の機能的特性を変更するために、例示的な抗体のFc領域内で修飾を行ってもよい。一例では、CH1のヒンジ領域は、ヒンジ領域のシステイン残基の数が変化するように、例えば増加または減少するように修飾される。このアプローチについては、米国特許第5,677,425号にさらに記載されている。CH1のヒンジ領域のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖及び重鎖のアセンブリを促進するために、または抗体の安定性を増加または減少させるために変更される。別の場合には、抗体の生物学的半減期を減少させるために、抗体のFcヒンジ領域が変異される。
【0121】
さらに、本開示の抗体は、当該技術分野で公知の日常的な実験に従って、潜在的なグリコシル化部位またはパターンを変更するために修飾され得る。別の態様では、本開示は、可変領域のグリコシル化のパターンを変化させる軽鎖または重鎖の可変領域に少なくとも1つの変異を含む本開示のCD137抗体の誘導体を提供する。そのような抗体誘導体は、抗原に結合について、増加した親和性及び/または修飾された特異性を有し得る。変異により、V領域に新規のグリコシル化部位が追加されたり、1つ以上のV領域のグリコシル化部位(複数可)の位置が変更されたり、既存のV領域のグリコシル化部位が削除されたりする。一実施形態では、本開示は、重鎖可変領域のアスパラギンに潜在的なN結合型グリコシル化部位を有するCD137抗体の誘導体を提供し、1つの重鎖可変領域の潜在的なN結合型グリコシル化部位が除去される。別の実施形態では、本開示は、重鎖可変領域のアスパラギンに潜在的なN結合型グリコシル化部位を有するCD137抗体の誘導体を提供し、両方の重鎖可変領域の潜在的なN結合型グリコシル化部位が除去される。抗体のグリコシル化パターンを変更する方法は、当該技術分野で知られており、例えば、米国特許第6,933,368号に記載されているものであり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
別の態様では、本開示は、追加の分子エンティティに連結された、本明細書に記載のCD137抗体またはその抗原結合フラグメントを含む抗体誘導体を提供する。追加の分子エンティティの例には、医薬品、ペプチドまたはタンパク質、検出剤または標識、及び抗体が含まれる。
【0123】
いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、医薬品に連結された本開示の抗体を含む。医薬品の例には、細胞毒性薬または他のがん治療薬、及び放射性同位体が含まれる。細胞毒性薬の具体例には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン、ならびにそれらの類似体または同族体が含まれる。治療薬にはまた、例えば、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、及びロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びcis-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(従前のダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(従前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC))、ならびに有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)が含まれる。診断的または治療的に使用するために抗体に結合させることができる放射性同位体の例には、ヨウ素131、インジウム111、イットリウム90、及びルテチウム177が含まれるが、これらに限定されない。様々なリンカー技術を使用するなどの抗体を医薬品に連結する方法は、当該技術分野で公知である。リンカーの種類の例には、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィド、及びペプチド含有リンカーが含まれる。治療薬を抗体に連結する方法の詳細については、Saito et al., Adv. Drug Deliv. Rev. 55:199-215 (2003);Trail, et al., Cancer Immunol. Immunother. 52:328-337 (2003);Payne, Cancer Cell 3:207-212 (2003);Allen, Nat. Rev. Cancer 2:750-763 (2002);Pastan, I. and Kreitman, Curr. Opin. Investig. Drugs 3:1089-1091 (2002);Senter, P. D. and Springer, C. J. (2001) Adv. Drug Deliv. Rev. 53:247-264も参照されたい。
【0124】
特定の実施形態において、抗体誘導体はCD137抗体多量体であり、これは抗体二量体、三量体、または単量体抗体の高次多量体などのCD137抗体の多量体形態である。抗体多量体内の個々のモノマーは同一でも異なっていてもよい。さらに、多量体内の個々の抗体は、同一または異なる結合特異性を有してもよい。抗体の多量体化は、抗体の自然な凝集により達成され得る。例えば、精製された抗体調製物(例えば、精製されたIgG4分子)の一部は、抗体ホモ二量体及びその他の高次抗体多量体を含むタンパク質凝集体を自発的に形成する。代替的に、抗体ホモ二量体は、架橋剤の使用など、当該技術分野で公知の化学結合技術によって形成されてもよい。適切な架橋剤には、適切なスペーサーで分離された2つの明確な反応基を有するヘテロ二官能性(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及びN-スクシンイミジルS-アセチルチオ-酢酸塩など)、またはホモ二官能性(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)であるものが含まれる。そのようなリンカーは、例えば、Pierce Chemical Company, Rockford, ILから市販されている。抗体はまた、当該技術分野で公知の組換えDNA技術によって多量体化するように作製され得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は多量体抗体(例えば、二重特異性抗体)である。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、IgM抗体であり、例えば、IgM Fc領域(例えば、ヒトIgM Fc領域)を含む。
【0126】
本開示により提供される他の抗体誘導体の例には、単鎖抗体、ダイアボディ、ドメイン抗体、ナノボディ、及びユニボディが含まれる。「単鎖抗体」(scFv)は、VHドメインに連結されたVLドメインを含む単一のポリペプチド鎖からなり、VLドメインとVHドメインが対になって一価分子を形成する。単鎖抗体は、当該技術分野で公知の方法に従って調製され得る(例えば、Bird et al., (1988) Science 242:423-426及びHuston et al., (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい。)。「ダイアボディ」は2本の鎖からなり、各鎖は短いペプチドリンカーによって接続された同一のポリペプチド鎖上の軽鎖可変領域に接続された重鎖可変領域を含み、同一の鎖上の2つの領域は互いに対にならないが、他の鎖に相補的なドメインを持ち、二重特異性分子を形成する。ダイアボディを調製する方法は、当該技術分野で公知である(例えば、Holliger P. et al., (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448、及びPoljak R. J. et al., (1994) Structure 2:1121-1123を参照されたい)。ドメイン抗体(dAbs)は抗体の小さな機能的結合単位であり、抗体の重鎖または軽鎖のいずれかの可変領域に対応する。ドメイン抗体は、細菌、酵母、哺乳動物の細胞系で良好に発現する。ドメイン抗体及びその産生方法のさらなる詳細は、当該技術分野で公知である(例えば、米国特許第6,291,158号;米国特許第6,582,915号;米国特許第6,593,081号;米国特許第6,172,197号;米国特許第6,696,245号;欧州特許第0368684号、及び欧州特許第0616640号;WO05/035572、WO04/101790、WO04/081026、WO04/058821、WO04/003019、ならびにWO03/002609を参照されたい)。ナノボディは、抗体の重鎖に由来する。ナノボディは、典型的には、単一の可変ドメインと2つの定常ドメイン(CH2及びCH3)を含み、元の抗体の抗原結合能を保持する。ナノボディは、当該技術分野で公知の方法により調製され得る(例えば、米国特許第6,765,087号、米国特許第6,838,254号、WO06/079372を参照されたい)。ユニボディは、IgG4抗体の1つの軽鎖と1つの重鎖からなる。ユニボディは、IgG4抗体のヒンジ領域の除去により作製することができる。ユニボディ及びそれらを調製する方法のさらなる詳細は、WO2007/059782に見出すことができる。
【0127】
C. 核酸、ベクター、宿主細胞、及びCD137抗体を産生する組換え方法
本開示の別の態様は、本開示により提供される結合分子のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列は、HVR、1、2、または3つのHVRを含む配列、重鎖の可変領域、軽鎖の可変領域などの抗体の任意の部分であってもよく、または全長の重鎖もしくは全長の軽鎖であってもよい。本開示の核酸は、例えば、DNAまたはRNAであり得、イントロン配列を含んでも含まなくてもよい。典型的には、核酸はcDNA分子である。
【0128】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる単離された核酸分子を提供する:(1)例示的な抗体のHVR_H3もしくはHVR_L3のアミノ酸配列;(2)例示的な抗体の重鎖の可変領域もしくは軽鎖の可変領域;または(3)例示的な抗体の全長重鎖もしくは全長軽鎖。
【0129】
他の実施形態では、核酸分子は、配列番号13~132、253~612、613~660、及び709~852のいずれか1つに記述されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【0130】
さらに他の実施形態では、核酸分子は、配列番号133~252及び661~708からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。
【0131】
本開示の核酸は、任意の適切な分子生物学技術を使用して得ることができる。ハイブリドーマによって発現される抗体の場合、ハイブリドーマによって作製される抗体の軽鎖及び重鎖をコードするcDNAは、PCR増幅またはcDNAクローニング技術によって取得することができる。免疫グロブリン遺伝子ライブラリーから得られる抗体の場合(例えば、ファージディスプレイ技術を使用して)、抗体をコードする核酸をライブラリーから回収することができる。
【0132】
VH領域をコードする単離されたDNAは、VHをコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、及びCH3)をコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって、完全長重鎖遺伝子に変換され得る。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で公知であり(例えば、Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい)、これらの領域を包含するDNAフラグメントは、標準的なPCR増幅によって取得され得る。重鎖定常領域はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、またはIgD定常領域であり得るが、最も好ましくはADCC効果のないIgG4またはIgG2定常領域である。IgG4定常領域配列は、異なる個体間で生じることが知られている様々な対立遺伝子またはアロタイプのいずれかであり得る。これらのアロタイプは、IgG4定常領域に天然に存在するアミノ酸置換を表す。Fabフラグメント重鎖遺伝子の場合、VHをコードするDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に作動可能に連結され得る。
【0133】
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLをコードするDNAを、軽鎖定常領域、CLをコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって、完全長軽鎖遺伝子に変換され得る。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で公知であり(例えば、Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい)、これらの領域を包含するDNAフラグメントは、標準的なPCR増幅によって取得され得る。軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域であり得る。
【0134】
scFv遺伝子を作成するには、VH及びVLをコードするDNAフラグメントを、VH及びVL配列がVLとVH領域が柔軟なリンカーで結合された連続した単鎖タンパク質として発現できるように、例えばアミノ酸配列(Gly4-Ser)3をコードする柔軟なリンカーをコードする別のフラグメントに作動可能に連結される(例えば、Bird et al., Science 242:423-426 (1988);Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883 (1988);及びMcCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990)を参照されたい)。
【0135】
本開示はさらに、本開示により提供される核酸分子を含むベクターを提供する。核酸分子は、軽鎖もしくは重鎖の一部(CDRもしくはHVRなど)、全長軽鎖もしくは重鎖、重鎖もしくは軽鎖の一部もしくは全長を含むポリペプチド、または抗体誘導体もしくは抗原結合フラグメントのアミノ酸配列をコードしてもよい。いくつかの実施形態では、ベクターは、抗体またはその抗原結合フラグメントなどの結合分子の発現に有用な発現ベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターが提供され、第1ベクターは本明細書に記載の重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列を含み、第2ベクターは本明細書に記載の軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単一ベクターが、本明細書に記載の重鎖可変領域及び本明細書に記載の軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0136】
本開示の結合分子を発現するために、部分的または完全長の軽鎖及び重鎖をコードするDNAを発現ベクターに挿入し、DNA分子が転写及び翻訳制御配列に作動可能に連結されるようにする。この文脈において、「作動可能に連結される」という用語は、ベクター内の転写及び翻訳制御配列がDNA分子の転写及び翻訳を調節するそれらの意図された機能を果たすように抗体遺伝子がベクターに連結されることを意味する。発現ベクター及び発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。抗体の軽鎖遺伝子と抗体の重鎖遺伝子は、別々のベクターに挿入することができ、より典型的には、両方の遺伝子を同一の発現ベクターに挿入する。抗体遺伝子は、任意の適切な方法(例えば、抗体遺伝子フラグメント及びベクター上の相補的な制限部位のライゲーション、または相同組換えベースのDNAライゲーション)によって発現ベクターに挿入される。本明細書に記載の抗体の軽鎖及び重鎖可変領域は、所望のアイソタイプ及びサブクラスの重鎖定常及び軽鎖定常領域をすでにコードしている発現ベクターに挿入し、VHセグメントがベクター内のCHセグメント(複数可)に作動可能に連結され、VLセグメントがベクター内のCLセグメントに作動可能に連結されるようにすることにより、任意の抗体アイソタイプ及びサブクラスの全長抗体遺伝子を作成するために使用できる。さらに、または代替的に、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結されるように、抗体鎖遺伝子をベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であり得る。
【0137】
抗体鎖遺伝子に加えて、本開示の発現ベクターは、典型的には、宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現を制御する制御配列を担持する。「制御配列」という用語は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図している。そのような制御配列は、例えば、Goeddel (Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990))に記載されている。制御配列の選択を含む発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等の要素に依存し得ることは、当業者によって理解されるであろう。哺乳類宿主細胞発現の制御配列の例には、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)及びポリオーマ由来のプロモーター及び/またはエンハンサーなどの、哺乳動物細胞における高レベルのタンパク質発現を誘導するウイルスのエレメントを含む。代替的に、ユビキチンプロモーターまたはβ-グロビンプロモーターなどの非ウイルス性制御配列を使用してもよい。さらに、調節エレメントは、SV40初期プロモーターとヒトT細胞白血病ウイルス1型の長い末端反復由来の配列を含むSRプロモーターシステムなど、異なる源由来の配列からなる(Takebe, Y. et al. (1988) Mol. Cell. Biol. 8:466-472)。
【0138】
抗体鎖遺伝子及び制御配列に加えて、発現ベクターは、宿主細胞内のベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)及び選択可能なマーカー遺伝子などの追加の配列を担持してもよい。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば、全てAxel et al.による、米国特許第4,399,216号、米国特許第4,634,665号、及び米国特許第5,179,017号を参照されたい)。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。選択可能なマーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅を伴うdhfr宿主細胞で使用するため)及びneo遺伝子(G418選択のため)が含まれる。
【0139】
軽鎖及び重鎖の発現のために、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクター(複数可)は、任意の適切な技術によって宿主細胞にトランスフェクトされる。「トランスフェクション」という用語の様々な形態は、外因性DNAを原核生物または真核生物の宿主細胞に導入するために一般的に使用される多種多様な技術、例えばエレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなどを包含することを意図している。原核生物または真核生物宿主細胞のいずれかで本開示の抗体を発現させることは可能であるが、真核生物細胞、及び典型的には哺乳動物宿主細胞における抗体の発現が最も典型的である。
【0140】
本開示はさらに、本開示により提供される核酸分子を含む宿主細胞を提供する。宿主細胞は、発現ベクターが利用可能な事実上、いずれの細胞であってもよい。それは、例えば、哺乳動物細胞などの高等真核宿主細胞、酵母細胞などの低等真核宿主細胞であってもよく、細菌細胞などの原核細胞であってもよい。組換え核酸コンストラクトの宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE、デキストラン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、またはファージ感染により達成され得る。
【0141】
形質転換に適した原核生物宿主には、E. coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimurium、ならびにシュードモナス属、ストレプトミセス属、及びブドウ球菌属内の様々な種が含まれる。
【0142】
本開示の結合分子を発現するための哺乳動物宿主細胞には、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、Kaufman and Sharp, J. Mol. Biol. 159:601-621 (1982)に記載されるように、DHFRと共に使用される、Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220 (1980)に記載される、dhfr-CHO細胞を含む)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞及びSp2細胞が含まれる。特に、NS0骨髄腫またはCHO細胞で使用するための別の発現系は、WO87/04462、WO89/01036、及びEP338,841に開示されているGS(グルタミンシンテターゼ)遺伝子発現系である。抗体遺伝子をコードする発現ベクターが哺乳類の宿主細胞に導入されると、抗体は、宿主細胞での抗体の発現またはそれらが増殖する培地への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間、宿主細胞を培養することにより産生される。抗体は、適切なタンパク質精製方法を使用して培地から回収できる。
【0143】
D. 組成物
他の態様では、本開示は、本開示により提供される結合分子を含む組成物を提供する。一の態様では、組成物は、結合分子と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。組成物は、当該技術分野において公知の慣用的な方法によって調製できる。
【0144】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示により提供される抗体またはその抗原結合フラグメントと、薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供し、前記抗体は、本明細書に開示されるHVRアミノ酸配列を含む可変ドメインを含み、前記組成物は、約11%、10%、8%、5%、3%、または2%以下の前記抗体、または抗原結合部分を含み、それは前記組成物中に存在する抗体またはその抗原結合部分の総量と比較して、前記アミノ酸配列のアスパラギンでグリコシル化されている。別の実施形態において、組成物は、少なくとも約2%の前記抗体または抗原結合部分を含み、それは、前記組成物中に存在する抗体またはその抗原結合部分の総量と比較して、前記アミノ酸配列のアスパラギンでグリコシル化されている。
【0145】
「薬学的に許容される担体」という用語は、結合分子の送達のための製剤での使用に適した任意の不活性物質を指す。担体は、付着防止剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、充填剤または希釈剤、保存剤(抗酸化剤、抗菌剤、または抗真菌剤など)、甘味料、吸収遅延剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液などであってよい。適切な薬学的に許容される担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、デキストロース、植物油(オリーブ油など)、生理食塩水、緩衝液、緩衝生理食塩水、砂糖、多価アルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムなどの等張剤が含まれる。
【0146】
組成物は、液体、半固体、及び固体の剤形などの任意の適切な形態であってもよい。液体剤形の例には、溶液(例えば、注射可能及び注入可能な溶液)、マイクロエマルジョン、リポソーム、分散液、または懸濁液が含まれる。固体剤形の例には、錠剤、丸剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、及び散剤が含まれる。結合分子を送達するのに適した組成物の特定の形態は、注射または注入用の溶液、懸濁液、または分散液などの滅菌液である。滅菌溶液は、適切な担体に必要量の抗体を混合してから、滅菌精密濾過を行うことにより調製できる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒と他の担体を含む滅菌ビヒクルに抗体を混合することにより調製される。滅菌液体の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法には、真空乾燥及び凍結乾燥(凍結乾燥)が含まれ、以前に滅菌濾過されたその溶液から活性成分と任意の追加の所望の成分との粉末が得られる。組成物の様々な剤形は、当該技術分野において公知の慣用的な技術によって調製できる。
【0147】
組成物に含まれる結合分子の相対量は、使用される特定の結合分子及び担体、剤形、ならびに所望の放出及び薬力学的特性などの多くの要因に応じて変動するであろう。単一剤形中の結合分子の量は一般に、治療効果を生じる量であろうが、より少ない量であってもよい。一般に、この量は、剤形の総重量に対して約0.01パーセント~約99パーセント、約0.1パーセント~約70パーセント、または約1パーセント~約30パーセントの範囲であろう。
【0148】
結合分子に加えて、1つ以上の追加の治療薬が組成物に含まれていてもよい。追加の治療薬の例は、本明細書で以下に記載されている。組成物に含まれるべき追加の治療薬の適切な量は、当業者によって容易に選択することができ、使用される特定の薬剤及び担体、剤形、及び所望の放出及び薬力学的特性などの多くの要因に応じて変動するであろう。単一剤形中の追加の治療薬の量は一般に、治療効果を生じる薬剤の量であろうが、同様に、より少ない量であってもよい。
【0149】
E. 結合分子及び医薬組成物の使用
本開示により提供される結合分子及び医薬組成物は、免疫応答の調節、がんの治療、他のがん治療の効力の増強、ワクチンの効力の増強、または自己免疫疾患の治療など、治療、診断、または他の目的に有用である。したがって、他の態様では、本開示は、結合分子または医薬組成物を使用する方法を提供する。一態様では、本開示は、本開示により提供される治療有効量の結合分子を、治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の障害を治療する方法を提供する。結合分子はCD137アゴニストまたはアンタゴニストであり得る。いくつかの実施形態では、結合分子はCD137アゴニストである。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0150】
いくつかの実施形態では、障害はがんである。悪性または良性、原発性または続発性にかかわらず、CD137が関係しているさまざまながんは、本開示で提供される方法で治療または予防することができる。そのようながんの例には、気管支癌(例えば、扁平上皮癌、小細胞癌、大細胞癌、及び腺癌)、肺胞細胞癌、気管支腺腫、軟骨腫過誤腫(非がん性)、肉腫(がん性)などの肺癌;粘液腫、線維腫、横紋筋腫などの心臓癌;骨軟骨腫、軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、巨細胞腫、軟骨肉腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、ユーイング腫瘍(ユーイング肉腫)、及び細網肉腫などの骨癌;神経膠腫(例えば、多形性膠芽腫)、悪性星状細胞腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、髄芽腫、脊索腫、神経鞘腫、上衣腫、髄膜腫、下垂体腺腫、松果体腫、骨腫、血管芽腫、頭蓋咽頭腫、脊索腫、胚細胞腫、奇形腫、類皮嚢胞、及び血管腫などの脳癌;平滑筋腫、類表皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、胃腺癌、腸脂肪腫、腸神経線維腫、腸線維腫、大腸ポリープ、結腸直腸癌などの消化器系のがん;肝細胞腺腫、血管腫、肝細胞癌、線維層癌、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫などの肝臓癌;腎腺癌、腎細胞癌、副腎腫、腎盂の移行上皮癌などの腎癌;膀胱癌;急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病、急性骨髄性(骨髄球性、骨髄性、骨髄芽球性、骨髄単球性)白血病、慢性リンパ球性白血病(例えば、セザリー症候群及び有毛細胞白血病)、慢性骨髄性(骨髄性、骨髄性、顆粒球性)白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、菌状息肉腫、及び骨髄増殖性疾患(真性赤血球増加症、骨髄線維症、血小板血症、慢性骨髄性白血病などの骨髄増殖性疾患を含む)などの血液癌;基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫、カポジ肉腫、パジェット病などの皮膚癌;頭頸部癌;網膜芽細胞腫や眼内黒色腫などの眼関連のがん;良性前立腺過形成、前立腺癌、及び精巣癌(例えば、セミノーマ、奇形腫、胚性癌、絨毛癌)などの男性生殖器系のがん;乳癌;子宮癌(子宮内膜癌)、子宮頸癌(子宮頸癌)、卵巣の癌(卵巣癌)、外陰癌、膣癌、卵管癌、及び胞状奇胎などの女性生殖器系のがん;甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌、未分化癌、または髄様癌を含む);褐色細胞腫(副腎);副甲状腺の非癌性増殖;膵臓癌;白血病、骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、及びホジキンリンパ腫などの血液癌、が含まれる。
【0151】
他のいくつかの実施形態では、障害は自己免疫疾患である。結合分子で治療できる自己免疫疾患の例には、自己免疫性脳脊髄炎、エリテマトーデス、及び関節リウマチが含まれる。結合分子は、炎症(アレルギー性喘息など)及び慢性移植片対宿主病の治療にも使用できる。
【0152】
別の態様では、本開示は、本開示により提供される治療有効量の結合分子を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の免疫応答を増強する方法を提供する。いくつかの実施形態では、結合分子はCD137抗体またはその抗原結合フラグメントであり、哺乳動物はヒトである。さらなる態様において、結合分子はCD137アゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメントである。「免疫応答を増強すること」という用語またはその文法的変化とは、哺乳類の免疫系の応答を刺激、誘発、増加、改善、または増強することを意味する。免疫応答は、細胞性応答(すなわち、細胞傷害性Tリンパ球媒介などの細胞媒介性)または体液性応答(すなわち、抗体媒介性応答)でああってよく、一次または二次免疫応答であってよい。免疫応答の増強の例には、CD4+ヘルパーT細胞活性の増加及び細胞溶解性T細胞の生成が含まれる。免疫応答の増強は、細胞傷害性Tリンパ球アッセイ、サイトカインの放出(例えば、IL-2産生)、腫瘍の退縮、担腫瘍動物の生存、抗体産生、免疫細胞増殖、細胞表面マーカーの発現、細胞傷害性を含むがこれらに限定されない、当業者に公知の多くのin vitroまたはin vivo測定を使用して評価することができまる。典型的には、本開示の方法は、未治療の哺乳動物または特許請求の範囲の方法を使用して治療されていない哺乳動物による免疫応答と比較したときの、哺乳動物による免疫応答を増強する。一実施形態では、結合分子は、微生物病原体(ウイルスなど)に対するヒトの免疫応答を増強するために使用される。別の実施形態では、結合分子は、ワクチンに対するヒトの免疫応答を増強するために使用される。結合分子はCD137アゴニストまたはアンタゴニストであり得る。いくつかの実施形態では、結合分子はCD137アゴニストである。一実施形態では、この方法は、細胞性免疫応答、特に細胞傷害性T細胞応答を増強する。別の実施形態では、細胞性免疫応答はTヘルパー細胞応答である。さらに別の実施形態では、免疫応答はサイトカイン産生、特にIL-2産生である。結合分子は、微生物病原体(ウイルスなど)、またはワクチンに対するヒトの免疫応答を増強するために使用され得る。結合分子はCD137アゴニストまたはアンタゴニストであり得る。いくつかの実施形態では、結合分子はCD137アゴニストである。
【0153】
治療方法の実施において、結合分子は、単独療法として単独で投与されても、1つ以上の追加の治療薬または療法と組み合わせて投与されてもよい。したがって、別の態様では、本開示は、別個の、逐次的な、または同時投与のための1つ以上の追加の療法または治療薬と組み合わせた結合分子を含む組み合わせ療法を提供する。「追加の療法」という用語は、本開示により提供される結合分子を治療薬として使用しない療法を指す。「追加の治療薬」という用語は、本開示により提供される結合分子以外の任意の治療薬を指す。特定の一態様では、本開示は、本開示により提供される治療有効量の結合分子を1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物のがんを治療するための組み合わせ療法を提供する。さらなる実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0154】
多種多様ながん治療薬を、本開示により提供される結合分子と組み合わせて使用することができる。当業者は、本開示の方法及び結合分子と組み合わせて使用することができ、本明細書に記述の療法の形態に限定されない、他のがん療法の存在及び開発を認識することができるであろう。がんを治療するための組み合わせ療法で使用できる追加の治療薬のカテゴリーの例には、(1)化学療法薬、(2)免疫療法薬、及び(3)ホルモン療法薬が含まれる。
【0155】
「化学療法剤」という用語は、がん細胞の死を引き起こすか、がん細胞の増殖、分裂、修復、及び/または機能を妨げる可能性のある化学物質または生物学的物質を指す。化学療法剤の例には、WO2006/129163及びUS20060153808に開示されているものが含まれ、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。特定の化学療法薬の例として、以下が挙げられる:(1)クロラムブシル(ロイケラン)、ムシクロホスファミド(シトキサン)、イホスファミド(IFEX)、塩酸メクロレタミン(ムスタルゲン)、チオテパ(チオプレックス)、ストレプトゾトシン(ザノサール)、カルムスチン(BICNU、グリアデルウェーハ)、ロムスチン(CEENU)、及びダカルバジン(DTIC-DOME)などのアルキル化剤;(2)ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン(ELLENCE、PHARMORUBICIN)、ダウノルビシン(セルビジン、ダウノキサム)、ネモルビシン、イダルビシン(IDAMYCIN PFS、ZAVEDOS)、ミトキサントロン(DHAD、NOVANTRONE)、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、コスメゲン)、プリカマイシン(ミトラシン)、マイトマイシン(ムタマイシン)、及びブレオマイシン(ブレノキサン)などの細胞毒性抗生物質、酒石酸ビノレルビン(ナベルビン))、ビンブラスチン(VELBAN)、ビンクリスチン(オンコビン)、及びビンデシン(ELDISINE)を含む、アルカロイドまたは植物ビンカアルカロイド;(3)カペシタビン(ゼローダ)、シタラビン(CYTOSAR-U)、フルダラビン(フルダラ)、ゲムシタビン(ジェムザール)、ヒドロキシ尿素(HYDRA)、メトトレキサート(FOLEX、MEXATE、TREXALL)、ネララビン(アラノン)、トリメトレキサート(NEUTREXIN)、及びペメトレキセド(アリムタ)などの代謝拮抗剤;(4)5-フルオロウラシル(5-FU);カペシタビン(ゼローダ)、ラルチトレキセド(TOMUDEX)、テガフールウラシル(UFTORAL)、及びゲムシタビン(ジェムザール)などのピリミジン拮抗薬;(5)ドセタキセル(タキソテール)、パクリタキセル(タキソール)などのタキサン;(6)シスプラチン(プラチノール)やカルボプラチン(パラプラチン)、オキサリプラチン(エロキサチン)などのプラチナ製剤;(7)イリノテカン(CAMPTOSAR)、トポテカン(ハイカムチン)、エトポシド(ETOPOPHOS、VEPESSID、TOPOSAR)、テニポシド(VUMON)などのトポイソメラーゼ阻害剤;(8)エトポシド(ETOPOPHOS、VEPESSID、TOPOSAR)などのエピポドフィロトキシン(ポドフィロトキシン誘導体);(9)ロイコボリン(ウェルコボリン)などの葉酸誘導体;(10)カルムスチン(BiCNU)、ロムスチン(CeeNU)などのニトロソ尿素;(11)ゲフィチニブ(イレッサ)、エルロチニブ(タルセバ)、ボルテゾミブ(ベルケイド)、メシル酸イマチニブ(グリーベック)、ジェネフィチニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、サリドマイド、スニチニブ(サテン)、アキシチニブ、リツキシマブ(リツキサン、マブセラ)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、セツキシマブ(エルビタックス)、ベバシズマブ(アバスチン)、ラニビズマブ(ルセンティス)、lym-1(オンコリム)、WO2002/053596に開示されているインスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)に対する抗体などの、上皮成長因子受容体(EGFR)、血管内皮成長因子(VEGF)、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、及び血小板由来成長因子受容体(PDGFR)を含む受容体チロシンキナーゼの阻害剤;(12)ベバシズマブ(アバスチン)、スラミン(GERMANIN)、アンジオスタチン、SU5416、サリドマイド、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(バチマスタットやマリマスタットなど)などの血管新生阻害剤、及びWO2002055106に開示されているもの;ならびに(13)ボルテゾミブ(ベルケイド)などのプロテアソーム阻害剤。
【0156】
「免疫療法剤」という用語は、哺乳動物の免疫応答を増強することができる化学物質または生物学的物質を指す。免疫療法剤の例として以下が挙げられる:無菌化ウシ型結核菌(BCG);インターフェロンなどのサイトカイン;MyVaxパーソナライズ免疫療法、Onyvax-P、オンコファージ、GRNVAC1、Favld、プロベンジ、GVAX、Lovaxin C、BiovaxID、GMXX、NeuVaxなどのワクチン;ならびにアレムツズマブ(キャンパス)、ベバシズマブ(アバスチン)、セツキシマブ(アービタックス)、ゲムツズナブオゾガミシン(マイロターグ)、イブリツモマブチウキセタン(ゼバリン)、パニツムマブ(ベクチビックス)、リツキシマブ(リツキサン、マブセラ)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、トシツモマブ(ベキサール)、イピリムマブ(ヤーボイ)、トレメリムマブ、CAT-3888、OX40受容体に対するアゴニスト抗体(WO2009/079335に開示されているものなど)、CD40受容体に対するアゴニスト抗体(WO2003/040170に開示されているものなど)、及びTLR-9アゴニスト(WO2003/015711、WO2004/016805、及びWO2009/022215に開示されているものなど)などの抗体。
【0157】
「ホルモン治療薬」という用語は、ホルモンの産生を阻害または排除するか、がん性細胞の増殖及び/または生存に対するホルモンの効果を阻害または相殺する化学物質または生物学的物質を指す。本明細書の方法に適したそのような薬剤の例には、US20070117809に開示されているものが含まれる。特定のホルモン治療薬の例には、タモキシフェン(ノルバデックス)、トレミフェン(フェアストン)、フルベストラント(フェソロデックス)、アナストロゾール(アリミデックス)、エキセメスタン(アロマシン)、レトロゾール(フェマーラ)、酢酸メゲストロール(MEGACE)、ゴセレリン(ゾラデックス)、及びリュープロリド(ループロン)が含まれる。本開示の結合分子は、(1)卵巣、睾丸、副腎、及び下垂体などのホルモンの産生に関与する臓器または腺の全てまたは一部を除去する外科的方法、ならびに(2)患者の臓器または腺が、標的ホルモンの産生を阻害または排除するのに十分な量の放射線にさらされる放射線治療などの非薬物ホルモン療法と組み合わせて使用することもできる。
【0158】
がんを治療するための組み合わせ療法には、結合分子と腫瘍を切除する手術の組み合わせも包含される。結合分子は、手術の前、その最中、またはその後に哺乳動物に投与することができる。
【0159】
がんを治療するための組み合わせ療法にはまた、結合分子と、電離(電磁)放射線療法(例えば、X線またはガンマ線)及び粒子線療法(例えば、高線形エネルギー放射線)などの放射線療法と組み合わせも包含される。放射線源は、哺乳動物の外部または内部にあり得る。結合分子は、放射線療法の前、その最中、またはその後に哺乳動物に投与することができる。
【0160】
本開示により提供される結合分子及び組成物は、投与の任意の適切な経腸経路または非経口経路を介して投与することができる。投与の「経腸経路」という用語は、胃腸管の任意の部分を介した投与を指す。経腸経路の例には、経口、粘膜、頬側、直腸の経路、または胃内経路が含まれる。投与の「非経口経路」は、経腸経路以外の投与経路を指す。非経口投与経路の例には、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、腫瘍内、膀胱内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、経気管、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内、皮下、または局所の投与が含まれる。本開示の抗体及び組成物は、経口摂取、経鼻胃管、胃瘻管、注射、注入、埋め込み可能な注入ポンプ、及び浸透圧ポンプなどによる任意の適切な方法を使用して投与することができる。適切な投与経路及び投与方法は、使用される特定の抗体、所望の吸収速度、使用される特定の製剤または剤形、治療される障害の種類または重症度、特定の作用部位、及び患者の状態などの多くの要因に応じて異なり得、当業者によって容易に選択され得る。
【0161】
結合分子の「治療有効量」という用語は、意図された治療目的に有効な量を指す。例えば、免疫応答を増強するという文脈において、「治療有効量」とは、哺乳動物の免疫系の任意の応答を刺激、誘発、増加、改善、または増強するのに有効な任意の量である。疾患を治療する文脈において、「治療有効量」は、治療される哺乳動物に任意の望ましいまたは有益な効果を引き起こすのに十分な任意の量である。具体的には、がんの治療において、望ましいまたは有益な効果の例には、がん細胞のさらなる増殖または拡散の阻害、がん細胞の死滅、がんの再発の阻害、がんに関連する疼痛の軽減、または哺乳動物の生存率の改善が含まれる。CD137抗体の治療有効量は、通常、哺乳動物の体重に基づいて約0.001~約500mg/kg、より一般的には約0.01~約100mg/kgの範囲である。例えば、その量は、哺乳動物の体重に基づいて約0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、50mg/kg、または100mg/kgであり得る。いくつかの実施形態では、CD137抗体の治療有効量は、哺乳動物の体重に基づいて約0.01~30mg/kgの範囲である。他のいくつかの実施形態では、CD137抗体の治療有効量は、哺乳動物の体重に基づいて約0.05~15mg/kgの範囲である。投与される正確な用量レベルは、治療される障害の種類及び重症度、使用される特定の結合分子、投与経路、投与時間、治療期間、使用される特定の追加の療法、治療中の患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康状態、及び過去の病歴の多くの要因、ならびに医学分野で周知の同様の要因に応じて、当業者によって容易に決定され得る。
【0162】
結合分子または組成物は通常複数回投与される。単回投与の間隔は、例えば、毎週、毎月、3ヶ月ごと、または毎年であり得る。例示的な治療計画は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、月に1回、3か月に1回、または3~6か月に1回の投与を伴う。CD137抗体の典型的な投与計画には、静脈内投与による1mg/kg体重または3mg/kg体重が含まれ、以下の投与スケジュールのうちの1つを使用する。(i)6回の投与を4週間ごと、その後は3か月ごと;(ii)3週間ごと;(iii)3mg/kg体重を1回、その後3週間ごとに1mg/kg体重。
【0163】
本開示は、以下の実施例を参照することにより、より完全に理解されるであろう。しかしながら、実施例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載される実施例及び実施形態は例示のみを目的とするものであり、それを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、それらは本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれることは理解されよう。本開示を通して引用された全ての図及び全ての参考文献、特許、及び公開された特許出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例】
【0164】
実施例1
ヒトCD137に特異的に結合する一次Fabの生成
独自のファージミドライブラリー(参照により本明細書に組み込まれる、代理人整理番号69540-2000140として本明細書と同時に出願された、“Dynamic Human Antibody Light Chain Libraries”と題する、PCT国際出願を参照されたい;参照により本明細書に組み込まれる、代理人整理番号69540-2000240として本明細書と同時に出願された、“Dynamic Human Heavy Chain Antibody Libraries”と題する、PCT国際出願もまた参照されたい)を利用して、ヒトCD137抗原に対してパンニングされた。合計3回または4回のパンニングが実施された。パンニングの最終ラウンドの後、シングルコロニー上清ELISAを実施して、ヒトCD137を特異的に認識する一次ヒットを特定した。一次ヒットは、ELISAシグナルがバックグラウンドの少なくとも2倍であるものとして定義された。それらを配列決定し、固有のクローンを発現させ、ForteBio及びBiacoreによる親和性測定のために精製した。リストは、ELISA陽性ヒットと固有の配列の両方が含まれるFabで124に絞り込まれた。KD応答シグナルR>0.1、R2>0.9、及びアフィニティKD<100nMの基準に従って、リストはさらに60ヒットに絞り込まれた(表1a)。次いで、それらのうちの24個を詳細な生物物理学的及び機能的特性評価のためにIgGに変換した(表1b)。
【0165】
固有のヒットに対応するFabをE.coliで発現させ、精製した。ヒトCD137に対するそれらの親和性は、ForteBio Octet RED96 Systemsによって測定された。簡潔に述べると、AHCセンサー(抗ヒトIgG FcCapture Dip及びRead Biosensor)を使用してCD137-hisFc融合タンパク質(Sino Biological#Cat 10041-H03H)を捕捉し、動態緩衝液(10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%v/v Surfactant P20、pH7.4)で5~10μg/mlに希釈された精製されたFabを含むウェルに浸漬した。取得したForteBioデータをデータ取得ソフトウェア7.1で処理し、動態データを1:1 Langmuir結合モデルに適合させた。親和性及び動態パラメーター(バックグラウンドを差し引いたもの)を表1aに列挙する。それらの対応するIgGのヒトCD137に対する親和性をBiacoreで測定し、表1bに示す。
表1a選択されたFabのヒトCD137及び対応するアミノ酸配列に対する親和性(配列番号)
【0166】
配列番号13~132のアミノ酸配列をコードする対応するDNA配列は、それぞれ配列番号133~252に見出すことができる。表1aに示される全てのFabヒットのHVR_H1アミノ酸配列は、それぞれ配列番号253~312に見出すことができる。表1aに示される全てのFabヒットのHVR_H2アミノ酸配列は、それぞれ配列番号313~372に見出すことができる。表1aに示される全てのFabヒットのHVR_H3アミノ酸配列は、それぞれ配列番号373~432に見出すことができる。表1aに示される全てのFabヒットのHVR_L1アミノ酸配列は、それぞれ配列番号433~492に見出すことができる。表1aに示される全てのFabヒットのHVR_L2アミノ酸配列は、それぞれ配列番号493~552に見出すことができる。表1aに示される全てのFabヒットのHVR_L3アミノ酸配列は、それぞれ配列番号553~612に見出すことができる(表1cも参照されたい)。
表1b ヒトCD137に対するFabと対応するIgGの親和性
【0167】
配列番号613~660のアミノ酸配列をコードする対応するDNA配列は、それぞれ配列番号661~708に見出すことができる。表1bに示される全てのIgG配列のHVR_H1アミノ酸配列は、それぞれ配列番号709~732に見出すことができる。表1bに示される全てのIgG配列のHVR_H2アミノ酸配列は、それぞれ配列番号733~756に見出すことができる。表1bに示される全てのIgG配列のHVR_H3アミノ酸配列は、それぞれ配列番号757~780に見出すことができる。表1bに示される全てのIgG配列のHVR_L1アミノ酸配列は、それぞれ配列番号781~804に見出すことができる。表1bに示される全てのIgG配列のHVR_L2アミノ酸配列は、それぞれ配列番号805~828に見出すことができる。表1bに示される全てのIgG配列のHVR_L3アミノ酸配列は、それぞれ配列番号829~852に見出すことができる。
表1c:FabのCDR配列
【0168】
実施例2
マウスCD137と交差反応性であるFabヒットの選択
Fabヒットの種交差反応性は、ELISAを使用して決定された。簡潔に述べると、200μLの5μg/mLmの抗ヒトIgG(Fab特異的)(Sigma #I5260)を、Maxisorpμプレート(Thermo Scientific 446469)に4℃で一晩コーティングした。ブロッキング後、100μLのFab5310(5μg/mL)、5351(2.8μg/mL)及び5365(5μg/mL)を添加し、1時間インキュベートした。3回洗浄した後、ヒトFCフラグメントと融合したヒトまたはマウスCD137抗原の連続希釈液を添加し、1時間インキュベートした。洗浄後、HRP標識ヤギ抗ヒトFCをPBSで1:2000に希釈し、各ウェルに添加して1時間インキュベーションした。プレートを3回洗浄し、TMB基質とともに室温で20分間インキュベートした。反応停止後、450nmの吸光度を測定した。結果は
図1bに示し、下パネルは、Fab5310及び5365がヒトとマウスの両方のCD137に結合するのに対し、Fab5351はヒトCD137に結合するが、マウスCD137には結合しないことを示す。
【0169】
実施例3
IgG変換と発現:AG10058、AG10059、及びAG10131
Fab5310、5351、及び5365の重鎖及び軽鎖は、哺乳類発現ベクターpCDNA3.3(Thermo Fisher Scientific)のS241P変異を含むIgG4アイソタイプ中に個別にクローン化された。2つの参照抗体の重鎖及び軽鎖も、pCDNA3.3のIgG4及びIgG2アイソタイプ中にそれぞれクローニングされた。
【0170】
参照抗体AC1097で使用される重鎖可変領域は、配列EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYSFSTYWISWVRQMPGKGLEWMGKIYPGDSYTNYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGYGIFDYWGQGTLVTVSS(配列番号862)を含み、参照抗体AC1097で使用される軽鎖可変領域は、配列SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVLVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCATYTGFGSLAVFGGGTKLTVL(配列番号863)を含んだ。参照抗体AC1121で使用される重鎖可変領域は、配列QVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSGYYWSWIRQSPEKGLEWIGEINHGGYVTYNPSLESRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYGPGNYDWYFDLWGRGTLVTVSS(配列番号864)を含み、参照抗体AC1121で使用される軽鎖可変領域は、配列EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPALTFGGGTKVEIK(配列番号865)を含んだ。本明細書で使用されるIgGを表2に示す。
表2:IgGのリスト
【0171】
製造者の取扱説明書に従って、プラスミドの対をHEK293F細胞に一過性にトランスフェクトした。上清を回収し、遠心分離及び濾過により清澄化し、IgGを標準的なプロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製した(MabSelect SuRe, GE Healthcare)。タンパク質を溶出及び中和し、緩衝液をPB緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7.0)に交換した。タンパク質濃度はUV分光光度法によって決定され、IgG純度はSDS-PAGEまたはSEC-HPLCによって変性、還元、及び非還元条件下で分析された。
【0172】
実施例4
ヒト、サル、マウスのCD137への結合親和性
IgGのヒト、サル、及びマウスのCD137に対する結合親和性は、BIAcore、ELISA、及びフローサイトメトリーによって測定された。結果を表3に要約した。
表3抗体のヒト、サル、マウスのCD137への結合親和性
【0173】
4a. SPRによる結合親和性と動力学の測定
製造者のガイドラインに従って、Biacore(商標)T200機器(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を使用した表面プラズモン共鳴(SPR)分析により、ヒト、サル、及びマウスCD137タンパク質に対する抗体の結合親和性と動力学を調べた。Human Antibody Captureキット(GE BR-1008-39)の抗ヒトIgG(Fc)抗体は、Amine Couplingキット(GE Biacore #BR-1000-50)の取扱説明書に従って、そのアミン基をセンサーチップのカルボキシル化表面にカップリングすることにより、CM5チップに固定した。固定化された抗ヒトIgG(Fc)抗体を使用して、AG10058、AG10059、AG10131、AC1121、及びAC1097を捕捉した。最終的に、6の濃度(3.13、6.25、12.5、25、50、100)(nM)(ランニング緩衝液で希釈)のヒトCD137-His6(Sino Biological#10041-H08H)を流速30μI/ minで300秒間注入し、解離時間は300秒であった。使用したランニング緩衝液は、1×HBS-EP(10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%v/v Surfactant P20、25℃でpH 7.4)であった。「バックグラウンド」減算のために、固定化されたタンパク質を含まないブランクフローセルを使用して、それぞれの場合に対応する対照を実施した。製造者のガイドラインに従って、Biacore T200評価ソフトウェア(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を使用して、1:1Langmuir結合モデルに結合及び解離曲線を適合させた。表3に示すように、全ての抗体はヒトCD137に結合する。AG10058及びAG10059は、両方の参照抗体よりも高い親和性を示す。AC1121参照mAbを除き、全ての抗体はサルCD137に結合する。AG10058及びAG10131のみがマウス及びラットのCD137に結合する。AG10058は、AG10131(64.5nM)よりも高い親和性(15.2nM)を有する。
【0174】
4b. ELISAアッセイを使用する可溶性CD137への結合親和性の測定
ヒトFCフラグメントと融合したヒト、サル、またはマウスのCD137の連続希釈液を調製し、37℃で1時間ELISAプレートをコーティングするために使用した。ブロッキング後、100μL IgG(5μg/mL)を添加し、37℃で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した後、HRPコンジュゲートタンパク質L(1:2000希釈)とともに37℃で1時間インキュベートした。プレートを再度3回洗浄し、TMB基質とともに室温で20分間インキュベートした。反応停止後、450nmの吸光度を測定した。データは、非線形フィッティングを備えたGraphpad Prism 6によって分析された。
図2に示すように、全ての抗体は、同様のnM未満の親和性でヒトCD137(FC融合タンパク質)に結合する。AC1121参照mAbを除き、全ての抗体は同様のnM未満の親和性でサルCD137に結合する。Biacoreの結果と一致して、AG10058とAG10131のみがマウスCD137に結合する。AG10058は、AG10131(23.9nM)よりも高い親和性(0.3nM)を有する。
【0175】
4c. フローサイトメトリーによる細胞表面で過剰発現したCD137への結合親和性の測定
抗体の親和性は、HEK293F細胞の表面に一過性に発現するヒト、サル、及びマウスのCD137に対しても評価された。簡潔に述べると、HEK293F細胞に、バイシストロンIRESベクターから完全長のヒト、サル、またはマウスのCD137を発現するプラスミドをトランスフェクトし、EGFPを使用してトランスフェクトした細胞を特定した。48時間後、トランスフェクトされた細胞を回収し、冷FACS緩衝液(1%BSAを補充したPBS)で1回洗浄した。次いで、細胞を様々なIgG(それぞれ100nM)と共に氷上で1時間インキュベートし、事前に冷却したFACS緩衝液で2回洗浄し、AlexaFluor(登録商標)647コンジュゲートマウス抗ヒトFC抗体と共に氷上で30分間インキュベートした。フローサイトメトリー(Beckman(登録商標)CytoFlex)による分析の前に、細胞を1回洗浄した。
図3aに示すように、全ての抗体は細胞表面に発現したヒトCD137に低いnM親和性で結合する。AG10058、AG10059、及びAG10131は、両方の参照抗体よりわずかに優れている。AC1121参照mAbを除き、全ての抗体は低nM親和性でサルCD137に結合し、AG10058、AG10059、及びAG10131は、AC1097参照抗体よりもわずかに優れている。Biacore及びELISAの結果と一致して、AG10058とAG10131のみがマウス及びラットのCD137に結合する。AG10058は、マウスCD137に対してAG10131よりも高い親和性を有する。さらに、AG10058及びAG10131(それぞれ100nM)は、HEK293F細胞表面で過剰発現したラット及びイヌのCD137にも結合する(
図3b)。
【0176】
4d. 活性化されたヒト、サル、マウス、及びラットのT細胞へのIgGの結合。
例示的な抗体の種交差反応性は、ヒト、サル、マウス、及びラットのPMA及びイオノマイシン刺激PBMCまたはT細胞を使用してさらに確認された。ヒト及びカニクイザルのPBMCは、Ficoll密度勾配遠心分離によって単離された。簡潔に述べると、健康なドナーまたはカニクイザル由来の新規に採取した全血を等量のPBSで希釈し、Histopaque1077(50mlの遠心管中に14ml)の頂部に慎重にロードした。ブレーキをオフにして、室温で30分間、1,200×gで遠心分離する。遠心分離後、単核細胞を含む不透明な界面の0.5cm以内まで上層を注意深くピペットで吸引する。上層を破棄する。不透明な界面(約3~5ml)を、清潔な50mlコニカル遠心管にピペットで慎重に移す。20mlのPBSで細胞を洗浄し、400×gで5分間遠心分離して細胞を収集し、細胞を20mlのPBSに再懸濁する。血球計算盤で細胞を計数し、400×gで5分間遠心分離して細胞を再度収集する。マウスまたはラットの脾細胞は、50mLのコニカルチューブに取り付けられた45μmのセルストレーナーに脾臓を通し、単一細胞懸濁液を取得し、PBSでストレーナーを通して細胞を洗浄することによって単離された。1600rpmで5分間遠心分離し、上清を破棄する。2mlの赤血球溶解液に細胞ペレットを2分間再懸濁する。10倍量を超えるPBSを添加し、1600rpmで5分間遠心して細胞を収集する。上清を破棄し、脾細胞をRPMI1640/10%FBSに再懸濁する。Pan-T細胞は、それぞれヒト、サル、マウス、及びラットに特異的な市販キット(Stemcell Technologies)の磁気ビーズによるネガティブ選択により、PBMC(ヒト/サル)または脾細胞(マウス/ラット)から濃縮された。ヒト/サルPBMC、またはマウス/ラット脾細胞の活性化は、細胞を50ng/ml PMA及び1μMイオノマイシンと共に、37℃、5%CO2で一晩インキュベートすることにより実施した。
【0177】
活性化された細胞(約2×10
5細胞/チューブ)を事前に冷却した染色緩衝液(2%FBSを補充したPBS)で洗浄し、氷上で1時間、100nMの試験抗体と共にインキュベートした。次いで、細胞を1mLの染色緩衝液を使用して2回洗浄し、AlexaFluor(登録商標)647コンジュゲートマウス抗ヒトFC抗体と種特異的T細胞マーカー抗体を含む100μLの染色緩衝液に再懸濁した。以下のようなT細胞マーカー抗体が使用された:CD3、CD4、またはCD8。暗所で30分間インキュベートした後、細胞を染色緩衝液で2回洗浄した。最終的に、細胞を300μLの染色緩衝液に再懸濁し、Beckman CytoFlexで分析した。データ分析は、Flowjo 10ソフトウェアを使用して実施された。
図4aに示すように、試験した全ての抗体は、活性化したヒトとサルの両方のT細胞に結合するが、ナイーブヒトT細胞には結合しない。AG10131の活性化したマウス及びラットのT細胞への結合能力をさらに評価した(
図4b)。AG10131は、活性化されたマウスとラットの両方のT細胞に結合する。
【0178】
要約すると、AG10058及びAG10131抗体は、ヒト及びサルのCD137に対してより高い親和性を示す。それらは、AG10131についてヒト、カニクイザル、マウス、ラット、及びイヌを含む広範な種交差反応性を示すが、AG10058について、ヒト、カニクイザル、マウス、及びイヌを含み、マウス同系モデルにおけるin vivoでの有効性の迅速な評価を可能にする。
【0179】
実施例5
CD137に対する抗体の結合選択性
CD137に対する抗体の選択性は、TNFRスーパーファミリーのメンバーへの結合能力のフローサイトメトリー分析を使用して評価された。CD137、OX40、CD40、GITR、及びCD27を含むTNFRSF受容体は、HEK293F細胞の表面上で一過性に過剰発現していた。トランスフェクトした細胞を事前に冷却した染色緩衝液(2%FBSを補充したPBS)で洗浄し、次いで氷上で1時間、100nMの試験抗体と共にインキュベートした。細胞を染色緩衝液で2回洗浄し、AlexaFluor(登録商標)647コンジュゲートマウス抗ヒトFC抗体を添加し、氷上で30分間インキュベートした。試料は、フローサイトメトリーによる分析の前に染色緩衝液で1回洗浄された。
図5に示すように、AG10058、AG10059、及びAG10131は、CD137に特異的に結合するが、任意の他の試験されたファミリーメンバーまたは空のベクターをトランスフェクトした親細胞には結合しない。
【0180】
実施例6
ELISA及びフローサイトメトリーを使用したリガンド競合
ELISAとフローサイトメトリーアッセイの両方により、その同族リガンドCD137LへのCD137の結合を遮断する能力について抗体を試験した。
図6a及び6bに示すように、試験した全ての抗体はCD137とCD137Lの結合を遮断する。
【0181】
6a.ELISAによるリガンド競合結合
組換えヒトCD137(ヒトFc及びHisタグと融合)をPBSで1μg/mLに希釈し、Maxisorpプレートに4℃で一晩コーティングした。プレートを、37℃で1時間、3%脱脂乳を補充したPBSでブロッキングした。洗浄後、50μLのビオチン化CD137L(4μg/mL)とさまざまな濃度の試験抗体(500μg/mL~2μg/mLの範囲の8つの1:2連続希釈液)の合計量100uLの混合物をそれぞれのウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、100μLのHRPコンジュゲートニュートラアビジン(1:1000)を各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。プレートを前述のように洗浄し、50μLのTMB基質溶液を添加し、室温で20分間インキュベートした後、50μLのH
2SO
4で反応を停止した。
図6aに示すように、全ての試験抗体AG10058、AG10059、及びAG10131は、CD137のCD137Lへの結合を遮断する。AG10131は、約uMの範囲で最も強いまたは完全な遮断能力を示し、>uMで顕著な遮断を示すAG10058、uM範囲で効果的に遮断するAG10059がそれに続く。これらのデータは、試験された条件下で、使用された試薬によって、幅広い種の交差反応性抗体AG10131及びAG10058が、CD137とそのリガンドCD137Lの間の相互作用の非常に効果的な阻害剤であるのに対し、AG10059がCD137及びそのリガンドCD137Lの間の相互作用の適度に効果的な遮断のみを示すことを示唆する。ヒトとサルの両方のCD137と交差反応性である参照抗体AC1097、ヒトCD137とのみ反応するAC1121は、ほとんど遮断を示さないことに留意されたい。
【0182】
6b.フローサイトメトリーによるリガンド競合結合
全長ヒトCD137をコードするプラスミドは、HEK293F細胞で一時的に発現した。細胞を染色緩衝液(1%BSAを補充したPBS)で洗浄し、100nMの試験抗体を含む染色緩衝液に再懸濁した。氷上で30分間インキュベートした後、33nMのビオチン化CD137Lを各ウェルに添加し、氷上でさらに1時間インキュベートした。細胞を染色緩衝液で2回洗浄し、Alexa fluor 647コンジュゲートストレプトアビジンを含む50μLの染色緩衝液を添加し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を1回洗浄し、CytoFlexフローサイトメトリーで分析した。
図6bに示すように、試験した3つの抗体は全て、CD137とCD137Lの結合を濃度依存的に遮断できる。AG10131は最も強力な遮断能力を示し、顕著な遮断を有するAG10058、効果の低い遮断を有するAG10059が後に続く。これらのデータは、幅広い種の交差反応性抗体AG10131及びAG10058が、CD137とそのリガンドCD137Lの間の相互作用の遮断において非常に効果的であるのに対し、AG10059がCD137及びそのリガンドCD137Lの間の相互作用の部分的な遮断を示すことを示唆する。対照的に、ヒトとサルの両方のCD137と交差反応するAC1097参照抗体は、部分的な遮断のみを示すが、ヒトCD137とのみ反応するAC1121参照抗体は、遮断を示さない。
【0183】
実施例7
エピトープマッピング
試験した抗体の結合領域をアミノ酸残基レベルで決定するために、ヒトCD137の細胞外ドメインで一連の変異(表5)を作製した。これらのCD137変異プラスミドを使用して、HEK293F細胞をトランスフェクトした。ヒトCD137変異体への抗体の結合は、実施例5で以前に記載されるように、フローサイトメトリー分析により評価され、
図7Aに示した。結果は、表5に要約するが、これらの抗体は、興味深い区別でヒト、サル、マウス、及びラットCD137との交差反応性とともに、Adageneライブラリーに由来するヒットからの洗練されたエピトープを示す。AG10131は4種全てに結合し、一方でAG10058は3種全てのCD137に結合するが、ラットCD137には結合しない。AG10058、AG10059、及びAG10131は、GFT34AAA、FSS53AAA、及びFH92AA変異への結合能力を失い、それらの結合エピトープがこれらの領域内、例えば、配列番号1のアミノ酸残基34~93または34~108(
図7Bも参照されたい)にあることを示す。AG10058とAG10131は同一または非常に類似したエピトープに結合し得、AG10059はAG10058及びAG10131とは異なるエピトープに結合し得る。
【0184】
変異体コンストラクトは、AC1121及びAC1097による参照抗体からAG10058、AG10059、及びAG10131によるエピトープを区別することを意味した。3つの抗体AG10058、AG10059、及びAG10131は全て、AC1121及びAC1097とは非常に異なるエピトープを標的とすることは明らかである。AG10058、AG10059、及びAG10131は、変異体Hu_FH92AA及びHu_FSS53AAA及び場合によってはHu_GTF34AAAによって定義される領域でAC1121と異なるが、AG10058、AG10059、及びAG10131は、Hu_FH92AAならびにマウス、ラット、及びイヌのCD137などの他の種とのそれらの交差反応性は異なるが、サルとのそれらの種交差反応性を除いて、使用されるほとんどの変異体によって定義される領域でAC1097と異なる。いくつかの実施形態では、AG10058、AG10059、及びAG10131または本明細書に開示される他の抗体は、配列番号1のアミノ酸残基115~156内に位置するエピトープに結合しない。
図7A及び表5にも示されるように、ヒトCD137リガンドの野生型対変異体ヒトCD137への結合が、これらの抗体がその受容体へのCD137リガンド結合を遮断するという観察と共に、試験された抗体の結合パターンとよく一致する。
表5 エピトープマッピング
【0185】
実施例8
NFκBルシフェラーゼレポーターアッセイにおける抗体のアゴニスト活性
抗体のアゴニスト活性はNFκBレポーターアッセイを使用して評価された。293T細胞に、NFκBルシフェラーゼレポータープラスミドとともに、ヒト、サル、またはマウスCD137を発現するプラスミドをトランスフェクトした。4時間後、50μLの細胞を0.4×10
6/mLの密度で96ウェルプレートの各アッセイウェルに播種した。試験抗体及び3:1の比率の架橋抗体(Fab’ヤギ抗ヒトIgG FC)を含む総容量50μLの抗体混合物を添加し、18時間インキュベートした。培地を除去した後、50μLのPassive Lysis Buffer(Promega E1980)を添加し、37℃で30分間インキュベートした。20μLの溶解物を白いプレートに移し、ルシフェラーゼ基質を添加した。ホタルとウミシイタケの発光シグナルを測定し、それらの比率をGraphPad Prism 6.0ソフトウェアによるデータ分析に使用した。
図8に示すように、アイソタイプ対照抗体と比較して、ヒト及びサルのCD137が発現するとき、全ての試験抗体がNFκBレポーター遺伝子の発現を活性化する。マウスCD137が発現すると、AG10059ではなくAG10058及びAG10131がNFκBレポーター遺伝子の発現を活性化する。これは、AG10058とAG10131がマウスCD137に結合するのに対し、AG10059は結合しないという以前の観察と一致する。
【0186】
実施例9
T細胞活性化アッセイにおける抗体のアゴニスト活性
抗体のアゴニスト活性は、T細胞活性化アッセイにおいてさらに確認された。96ウェル細胞培養プレートを、1×PBS中の、50μLの抗CD3抗体(2μg/ml)単独で、または50μLの試験抗体(60μg/mL、20μg/mL、6μg/mL、2μg/mL、0μg/mL)と共に、4℃で一晩コーティングした。CD8+T細胞は、製造元の取扱説明書に従うプロトコールを使用して単離された。細胞は、10%FBSを補充したRPMI1640培地で1×10
7細胞/mLの密度で調製した。200μLの細胞を各アッセイウェルに播種し、37℃、5%CO2インキュベーターで4日間インキュベートした。増殖について細胞を毎日、顕微鏡下でチェックした。96時間のインキュベーション後、100μLの上清をIFN-γ検出用の新しい96ウェルプレートに移した。T細胞増殖は、Cell Titer Glowキット(Promega)を使用してアッセイした。
図9に示すように、アイソタイプ対照抗体と比較して、試験した全ての抗体は、用量依存的にCD8+T細胞増殖とIFN-γ分泌の両方を誘発した。
【0187】
実施例10
マウス同系モデルにおける抗腫瘍活性
マウスCD137との種交差反応性により、迅速なin vivo機能評価が可能になる。AG10058及びAG10131は、複数のマウス同系モデルで試験されている。BALB/cマウス(群あたりn=8)に2×10
6のH22肝癌細胞(Xiao et.al, Soluble PD-1 facilitates 4-1BBL-triggered antitumor immunity against murine H22 hepatocarcinoma in vivo. Clin Cancer Res. 2007;13(6):1823-30.)、5×10
5のCT26結腸癌細胞、または5×10
5のEMT6乳癌細胞を皮下移植した。腫瘍が確立された(>50mm
3)とき、腹腔内注射によるアイソタイプ対照抗体、AG10058、またはAG10131による処理が3週間まで週に2回、開始された。腫瘍増殖を週に2回モニターし、経時的に平均腫瘍体積±s.e.m.として報告した。
図10~13に示すように、アイソタイプ対照抗体と比較して、AG10058とAG10131は両方とも、これらの異なる同系マウス腫瘍モデルで強力なin vivo抗腫瘍活性を示した。
【0188】
10a.CD137アゴニスト抗体は、H22マウス肝癌モデルで抗腫瘍効果を示す
最初に、AG10058またはAG10131を50mg/kgの用量で3週間にわたって週2回投与した。両方の分子はほぼ100%TGI(腫瘍増殖阻害)を示した(
図10、パネルa)。CD4及びCD8マーカーの免疫組織化学染色により、AG10131はH22腫瘍(Xiao et.al, Soluble PD-1 facilitates 4-1BBL-triggered antitumor immunity against murine H22 hepatocarcinoma in vivo. Clin Cancer Res. 2007;13(6):1823-30.)微小環境におけるCD4+及びCD8+T細胞の浸潤を有意に増加させることが示された(
図10、パネルb)。さらに3mg/kgまでの用量漸減でも、約100%TGIが示され、両方の分子が強力な抗腫瘍活性を有することが示唆された(
図10、パネルc及びd)。AG10131の1mg/kg及び0.1mg/kgまでのさらなる用量漸減でも、0.1mg/kg及び1mg/kgで50%を超えるTGIが示された(
図10、パネルe)。
【0189】
10b.CD137アゴニスト抗体は、CT26マウス結腸癌モデルで抗腫瘍効果を示す
図10に示すように、CT26マウス結腸癌モデル(Martinez-Forero et.al, T cell costimulation with anti-CD137 monoclonal antibodies is mediated by K63-polyubiquitin-dependent signals from endosomes. J Immunol. 2013;190(12):6694-706)でAG10058とAG10131の両方が50mg/kgの用量でほぼ100%のTGI(腫瘍増殖阻害)を示した(
図11、パネルa)。AG10131のさらなる用量滴定(
図11、パネルb)は、5mg/kg及び1mg/kgの用量でほぼ100%のTGIを示した。0.1mg/kgの用量で、約40%のTGIが達成され、用量依存性の抗腫瘍活性が示された。
【0190】
10c. EMT6乳癌モデル
抗腫瘍活性は、EMT6マウス乳癌同系モデルでさらに評価される(Shi and Siemann, Augmented antitumor effects of radiation therapy by 4-1BB antibody (BMS-469492) treatment. Anticancer Res. 2006;26:3445-53)(
図12)。AG10058とAG10131は両方とも、約100%の腫瘍増殖阻害を示した。
【0191】
10d. CD137アゴニスト抗体処理に完全に応答したマウスは、新しい腫瘍細胞による再チャレンジ後も腫瘍フリーの状態を維持する。
CT26腫瘍モデルにおいてAG10058またはAG10131により3週間処理した後、完全な腫瘍退縮を伴うマウスは、処理なしでさらに1ヶ月間維持された。次いで、完全奏功を維持したマウスは、62日目に反対側腹部に5×10
5のCT26腫瘍細胞を皮下に再チャレンジし、腫瘍増殖についてモニターした。同数のCT26腫瘍細胞を接種したナイーブマウスで同時に再チャレンジ対照群を設定した。
図13に示すように、AG10131での処理(1及び5mg/kgで、それぞれ
図13の上パネル及び下パネルを参照されたい)は、CT26腫瘍モデルで強力な抗腫瘍活性を示し、AG10131(1mg/kg群)では5/8、AG10131(5mg/kg群)では6/8が、CT26腫瘍細胞に再チャレンジする前に60日間にわたって完全奏功を示した。さらに、これらのマウスは、同一の腫瘍細胞で再チャレンジした後も腫瘍フリーのままであり、特定の抗腫瘍記憶がこれらのマウスで発達したことを示唆している。
【0192】
この仮説を証明するために、脾臓細胞をこれらの腫瘍拒絶再チャレンジマウスと対照マウスから収集し、マイトマイシンCで増殖阻害されたCT26腫瘍細胞とin vitroで7日間共培養して、腫瘍特異的メモリーT細胞を増幅した。次いで、これらの脾細胞を回収し、異なるE/T比で4時間蛍光標識生CT26腫瘍細胞と混合し、生/死染色及びFACS分析により腫瘍細胞の殺傷を検出した。
図14に示すように、AG10058とAG10131の両方で事前に処理した、腫瘍拒絶再チャレンジマウス由来の脾細胞で、腫瘍細胞の殺傷の顕著な増加が観察された。
【0193】
実施例11
AG10131-IgG4はADCC効果を誘発しない
ヒトCD8
+T細胞は、EasySepヒトCD8
+T細胞濃縮キット(StemCell Technologies)によって健康なドナーの末梢血から単離され、PMA(50ng/ml)+イオノマイシン(1uM)で18時間、in vitroで刺激された。次いで、これらの活性化CD8
+T細胞をCalcein-AMで標識し、標的細胞として機能させた。異なる健康なドナーからのNK細胞を、ヒトNK分離キット(StemCell Technologies)で分離し、エフェクター細胞として機能させた。抗体依存性細胞障害性(ADCC)アッセイでは、連続希釈抗体の非存在下及び存在下で、エフェクター(NK)及び標的(活性化CD8
+T)細胞を5:1の比率で96ウェルプレートにおいて培養条件下で4時間混合した。次いで、各ウェルから上清を収集し、プレートリーダーSpectraMax i3x(Ex 488nm、Em 520nm)で蛍光シグナルを検出した。アイソタイプhIgG4 mAbを陰性対照として使用し、ヒト化OKT3(Novoproteinの抗CD3 hIgG1)を陽性対照として使用した。次いで、次の式を使用して溶解%を計算した。溶解%=[(実験的放出)-平均(標的+NK)]/[平均(標的最大)-平均(標的単独)]×100%(
図15)。
【0194】
実施例12
抗体の開発プロファイル
開発可能性評価のために、精製されたAG10058、AG10059、AG10131、及びAC1097をPB緩衝液(20mM PB、150mM NaCl、pH7.0)に交換した。濾過、濃縮、加速ストレス試験を含む全ての実験は、PB緩衝液で実施された。全てのSEC-HPLC分析では、TSKgelカラム(Tosoh Bioscience G3000SWxl)を使用した。
【0195】
12a. 溶解性
3つの抗体は全て、明白な沈殿なしにPB緩衝液で100mg/mlよりも高く濃縮できる(表6)。次いで、抗体をPB緩衝液で20mg/mlに調整した。次に、高分子量(HMW)凝集体の検出のために、試料(各10μg)をSEC-HPLCで分析した。クロマトグラム(
図16)に示されているように、全ての試験抗体について、高濃度(20mg/ml)でHMW凝集体の増加は観察されなかった。
表6 抗体の溶解性
【0196】
12b. 加速ストレス条件下での抗体の安定性
抗体の安定性も加速ストレス条件下で調べ、結果を表7にまとめる。凍結(-80℃)及び解凍(室温)の6サイクル後、全ての抗体は安定したままである(
図17)。50℃で7日後、HMW凝集体またはLMWフラグメントの変化はほとんどなかった(
図17)。長期の経時変化実験(40℃で28日間まで)では、全ての抗体が安定したままであり、HMW凝集体またはLMWフラグメントの顕著な増加はなかった(
図17)。
表7 加速条件下でのHMWの変化
【0197】
さらに、示差走査熱量測定(DSC)で測定される熱安定性は、AG10131とAG10058の両方が少なくとも約59℃まで安定していることを示している。転移中点Tm(ほぼ全てのタンパク質ドメインの変性転移が起こる特徴的な温度)を、以下の
図18及び表8に示す。
表8 DSCによる熱安定性
【0198】
さらに、遠心分離後のAG10131及びAG10058の最高達成濃度は、それぞれ180mg/mL超及び220mg/mL超であった。
【0199】
実施例13
関連種の安全性プロファイル:マウスとカニクイザル
13a. 正常なC57BL/6マウスにおけるAG10131の反復投与毒性試験。
AG10131の反復投与毒性試験は、正常なC57BL/6マウスにおいて実施された。ビヒクル、AG10131(100mg/kg)を、1日目、4日目、8日目、及び11日目にi.p.投与した(10mL/kg)。5匹のメスマウス(7~8週齢)が各群に含まれていた。マウスに異常な行動や症状がないかどうかを毎日モニターし、食物摂取量と体重を毎日測定した。14日目に、死後検査及びその他の分析のために動物を安楽死させた。各動物から血液を採取し、群ごとに2つの血液試料を血液学に(RBC、血小板、WBC、WBC百分率検査)、群内の他の3つの血液試料を血液生化学に(AL、AST、ALB、GLB、A/G、TBIL、ALP、GGT、及びLDH)分析に使用した。各マウスから以下の臓器を収集し、FFPEに保存した:心臓、肺、胸腺、肝臓、脾臓、及び腎臓。肝臓組織のFFPEブロックを調製し、切片化し、組織病理学分析のためにH&E染色した。
【0200】
全研究の生存期間中、異常な行動の観察または予定外の動物の死亡はなかった。ビヒクル処理と比較して、AG10131は食物摂取量と体重に影響しなかった。死後検査では、両方のAG10131を使用した処理群のマウスに明らかな病変も示されなかった。血液学分析では、AG10131で処理したマウスで試験した血液生化学パラメーターに関して、顕著な変化はまったく示されなかった(
図19)。これら全てのマウスの肝臓の病理組織切片に明らかな異常はまったく見つからなかった(
図20)。全体として、AG10131はこの研究で十分に認容され、マウスでは顕著な毒性は観察されなかった。
【0201】
13b. カニクイザルにおけるAG10131の反復投与研究
AG10131の反復投与研究は、正常なカニクイザルにおいて実施された。ヒトIgG4アイソタイプ対照(10mg/kg)、AG10131(0.5及び10mg/kg)を、0日、7日、14日、及び22日にi.v.投与した(1mL/kg)。1匹のオスと1匹のメスのカニクイザル(3~5歳)が各群に含まれていた。動物に異常な行動や臨床徴候がないかどうかを毎日モニターし、食物摂取量を毎日測定した。体重は、投与前の(-15)日目、(-5)日目、ならびに投与後の6日目、13日目、18日目、及び26日目に測定された。血液学及び血液化学パラメーターは投与前の(-12)日目、(-5)日目、ならびに投与後の7日目、14日目、19日目、及び27日目(10mg/kg群のみ)に測定され、尿検査は投与前の(-12)日目、(-5)日目、及び投与後の6日目、13日目、18日目に実施された。10mg/kg群の動物は、27日目に死後検査及びその他の分析のために安楽死させた。主要な臓器を解剖し、秤量した。FFPE肝臓組織ブロックを調製し、切片化し、組織病理学分析のためにH&E染色した。
【0202】
全研究の生存期間中、全ての群において異常な行動の観察または予定外の動物の死亡はなかった。ビヒクル処理と比較して、10mg/kgでのAG10131処理は食物摂取量と体重に影響しなかった。注射部位の反応も含めて、臨床徴候は認められなかった。死後検査では、10mg/kgのAG10131で処理したカニクイザルで検査した全ての臓器に明らかな病変や体重異常はまったく見られなかった。血液学、血液化学、尿パラメーターも全ての治療群で正常範囲内である(
図21)。肝臓の組織病理学分析では、10mg/kgでのAG10131の反復投与後、リンパ球浸潤を含む明らかな異常はまったく示されなかった(
図22)。全体として、AG10131はカニクイザルで10mg/kgまでの週用量で十分に認容され、明らかな毒性は検出されなかった。
【0203】
実施例14
カニクイザルにおけるAG10131の薬物動態
14a. カニクイザルにおけるAG10131の薬物動態
AG10131の薬物動態研究は、ナイーブなカニクイザルにおいて実施された。AG10131の3つの用量レベル(10mg/kg、30mg/kg、100mg/kg)は、サルの3つの群に静脈内ボーラス投与された。各群には、3匹のオスと3匹のメスが含まれる。血清試料は投与前、投与後0.083、0.25、0.5、1、2、6、12、24、36、48、72、96、120、144、168、240、336、408、504、672、及び840時間で収集された。AG10131の血清濃度はELISAによって決定された。
【0204】
AG10131は、16匹中12匹の動物、すなわち低及び中用量群の全動物及び高用量群の6匹中2匹で14日目(336時間)に急速に除去された。21日目に、高用量群からさらに2匹の動物が急速なクリアランスを示した。これら14匹の動物の血清濃度は低いか、定量限界を下回っている。これは、これらの動物での抗薬物抗体生成の観察と一致している。高用量群の薬物動態に影響を与えない可能性のある2匹の動物のデータを適合させて、薬物動態パラメーターを予測した(
図23)。AG10131の半減期は7.3~8.8日の範囲である。
【0205】
14b. ラット内でのAG10131の薬物動態
AG10131の薬物動態研究は、ナイーブなSDラットにおいて実施された。AG10131の3つの用量レベル(10mg/kg、30mg/kg、100mg/kg)は、動物の3つの群に静脈内ボーラス投与された。各群には、15匹のオスと15匹のメスが含まれる。血清試料は、3匹の動物から、投与前、投与後0.083、0.25、0.5、1、2、6、12、24、36、48、72、96、120、144、168、240、336、408、504、672、及び840時間の各時点で収集された。AG10131の血清濃度はELISAによって決定され、データはPhoenix Professional V6.3によって分析された。
【0206】
結果:低、中、高用量のPKパラメーターは類似する(
図24)。AG10131のクリアランス率は約0.004ml/kg/分である。AG10131の半減期は11.5~14.6日の範囲である。
【0207】
14c. マウス内でのAG10131の薬物動態
AG10131の薬物動態研究は、約8週齢のBALB/cマウスで実施された。投与群あたり3匹のメスBALB/cマウスに、尾静脈からAG10131を含む試験抗体を1mg/kgで静脈内注射した。投与後1時間、8時間、48時間、168時間、及び336時間に血液試料(試料あたり約100ul)を収集した。ブランクの対照血液は、抗体投与なしの3匹のナイーブメスマウスから収集された。AG10131を含む各試験抗体の血清濃度をELISAで決定し、抗ヒトIgG(Fc特異的)抗体を捕捉に、HRP標識抗ヒトIgG(Fab特異的)抗体を検出に使用した。
【0208】
アイソタイプ対照(AG10154)、2つのベンチマーク抗体(AC1020及びAC1021)、3つのAdagene抗体(AG10131、AG10058、及びAG10059)を含む全ての試験抗体は、マウスで同等の薬物動態を示す(
図25)。
【0209】
実施例15
さらなるエピトープマッピング
Adagene及び他の参照抗体によって本明細書に示される抗体の結合エピトープを決定するために、ドメイン、モチーフ、及び残基の3つのレベルの解像度でエピトープを分析する体系的なアプローチを採用した。4つのCRDモチーフを含むCD137の細胞外ドメインと、ヒト、サル、マウス、及びラットのCD137などの4つの異なる種のCD137を使用した(表9)。一連のヒトCD137 CRDモチーフ(システインリッチドメイン)及び1、2、及び3ユニットのヒトCRDモチーフを含むそれらのコンストラクト(表9)が示された。低コピー数のCEN/ARSベースのベクターを使用して、酵母S. cerevisiaeの誘導性GAL1-10プロモーターの制御下でヒトCD137 CRDを発現させた(Boder and Wittrup (1997) Nat Biotechnol 15(6):553-7)。ヒトCD137 CRDへの抗体の結合は、実施例5で以前に記載されるように、フローサイトメトリー分析及び他の技術により評価され、
図27に示した。
【0210】
結果を表9に要約するが、これらの抗体はCD137標的のみに選択的に結合するが、表に列挙されている非CD137標的はいずれも結合せず、これらの抗体によるヒト、サル、マウス、及びラット種由来のCD137との種特異的な交差反応性は顕著であり、Adagene Dynamic Precision Librariesからスクリーニングされた多様なヒットによる洗練されたエピトープカバレッジを強調している。例えば、AG10131は、ヒト、サル、マウス、ラット、及びイヌ(図示せず)のCD137へと結合し;AG10058は、ヒト、サル、マウスのCD137には結合するが、ラットCD137には結合せず;一方で、AG10059は、ヒトとサルの両方のCD137に結合する。対照的に、トランスジェニックマウス由来の参照抗体AC1121は、ヒトCD137にのみ結合し、一方で、モルフォシスファージライブラリによる別の参照抗体は、ヒトとサルの両方のCD137に結合する。比較のために、ヒトリガンドCD137LはマウスCD137ではなくヒトCD137受容体とのみ相互作用し、マウスCD137LはヒトCD137ではなくマウスCD137とのみ相互作用することに留意されたい(表9を参照されたい)。
表9
【0211】
表9に要約されるように、ヒトCD137標的に対するこれらの抗体の結合モチーフをさらに分析するために、Adageneにより識別された結合部位、他の参照抗体は、解剖されたCD137 CRDモチーフ及びそれらの組み合わせとのCD137リガンド結合と比較して、十分に分離されて、注記されている:AG10058、AG10059、及びAG10131抗体、ならびにヒトCD137リガンドは、ヒトCD137の単一のCRDまたは2つのCRDユニット(CRD2-CRD3)には結合しない。AG10058、AG10059、及びAG10131抗体は、ヒトCD137リガンドと同様に、ヒトCD137の3つのCRDユニット(CRD1-CRD2-CRD3)に結合できる。参照抗体AC1121は、ヒトCD137の3つのCRDユニット(CRD1-CRD2-CRD3)にも結合できるが、それは、ヒトCD137の特定の2つのCRDユニット(CRD1-CRD2)である。比較すると、ヒトCD137の3つのCRDユニット(CRD1-CRD2-CRD3)は、AG10058、AG10059、AG10131抗体、及びヒトCD137リガンドによる結合に必要である。参照抗体AC1097は、ヒトCD137の3つのCRDユニット(CRD2-CRD3-CRD4)を含む2つのCRDユニット(CRD3-CRD4)に結合できる。これらは、AdageneのAG10058、AG10059、AG10131抗体が、ヒトCD137リガンドと同様に、ヒトCD137の3つのCRDユニット(CRD1-CRD2-CRD3)でカバーされるエピトープに結合することを示すが、これらは、ヒトCD137の2つのユニット(CRD1-CRD2)に結合する参照抗体AC1121、及びヒトCD137の2つのCRDユニット(CRD3-CRD4)に結合する参照抗体AC1097とは非常に異なる。結論として、Adageneの抗体によるCD137の結合エピトープは、ヒトCD137LリガンドによるCD137エピトープと、重複していないとしても非常に類似して必要とされる、特定の使用されるCRD及びそのCRDユニットの数の点での相違によって示されるように、2つの参照抗体(CRD1-CRD2とのAC1121、CRD3-CRD4とのAC1097)によるエピトープとは異なり、CD137-CD137L間のエピトープは、
図26に示されるように、最近報告された結晶構造複合体により確認されている(Gilbreth, R.N., Oganesyan, V.Y., Amdouni, H., Novarra, S., Grinberg, L., Barnes, A., Baca, M. (2018) J. Biol. Chem. 293:9880-9891)。
表9B.
【0212】
Adagene及び参照の抗体の結合エピトープをアミノ酸残基レベルで決定するために、ヒトCD137の細胞外ドメインで一連の変異(表5)を作製した。これらのCD137変異プラスミドを使用して、HEK293F細胞をトランスフェクトした。ヒトCD137変異体への抗体の結合は、実施例5で以前に記載されるように、フローサイトメトリー分析により評価され、
図7Aに示した。結果は、表5に要約するが、これらの抗体は、興味深い区別でヒト、サル、マウス、及びラットCD137との交差反応性とともに、Adageneライブラリーに由来するヒットからの洗練されたエピトープを示す。AG10131はヒト、サル、マウス、及びラットのCD137に結合するが、一方でAG10058はヒト、サル、及びマウスのCD137に結合するが、ラットのCD137には結合しない。AG10058、AG10059、及びAG10131による結合エピトープは、CD137のCRD1-CRD2-CRD3ユニットにマッピングされ、それらは、GFT34AAA、FSS53AAA、及びFH92AA変異への結合能力を失い、それらの結合エピトープがこれらの領域内、例えば、配列番号1のアミノ酸残基34~93または34~108(
図7Bも参照されたい)にあることを示す。AG10058とAG10131は同一または非常に類似したエピトープに結合し得、AG10059はAG10058及びAG10131とは異なるエピトープに結合し得る。T35A、F36A、F53A、R66A、F72A、N83A、及びF92Aなどの単一の変異体は、そのリガンドによるCD137との結合を維持しているR66Aを除くCD137Lによる結合とともに、Adagene抗体AG10058、AG10059、及びAG10131によるヒトCD137との結合の喪失を示す。しかしながら、単一の変異体P32A及びP49Aは、CDL137LとCD137の間の結合を喪失するが、抗体とCD137の間の相互作用へのその影響は変化する。F125Aは、AC1097がCD137にもはや結合しなくなったことを示すが、ヒトCD137Lを含む他の抗体による結合には影響がない。結論として、CD137全体の変異体による全体的な結合パターンは、Adagene抗体とその参照抗体が結合部位の点で区別されているという明確なメッセージを示す。変異体コンストラクトは、AC1121及びAC1097による参照抗体からAG10058、AG10059、及びAG10131によるエピトープを区別することを意味した。3つの抗体AG10058、AG10059、及びAG10131は全て、AC1121及びAC1097とは非常に異なるエピトープを標的とする。AG10058、AG10059、及びAG10131は、変異体Hu_FH92AA及びHu_FSS53AAA及び場合によってはHu_GTF34AAAによって定義される領域でAC1121と異なるが、AG10058、AG10059、及びAG10131は、Hu_FH92AAならびにマウス、ラット、及びイヌのCD137などの他の種とのそれらの交差反応性は異なるが、サルとのそれらの種交差反応性を除いて、使用されるほとんどの変異体によって定義される領域でAC1097と異なる。いくつかの実施形態では、AG10058、AG10059、及びAG10131または本明細書に開示される他の抗体は、配列番号1のアミノ酸残基115~156内に位置するエピトープに結合しない。
図7A及び表5にも示されるように、ヒトCD137リガンドの野生型対変異体ヒトCD137への結合が、これらの抗体がその受容体へのCD137リガンド結合を遮断するという観察と共に、試験された抗体の結合パターンとよく一致する。
【0213】
実施例16
ネイティブCD137Lシグナル伝達はAG10131によって遮断される
ELISAによるin vitro結合アッセイは、AG10131が組換えCD137とそのリガンドとの相互作用を遮断できることを実証した。AG10131のこのリガンド遮断活性をさらに機能的に検証するために、細胞NFκBルシフェラーゼレポーターアッセイを実施した。簡潔に述べると、NFκBルシフェラーゼレポーターを安定して発現する293T細胞に、ヒトCD137を発現するDNAコンストラクトをトランスフェクトし、細胞を異なる比率でヒトB細胞リンパ腫細胞DaudiまたはRajiと共培養した。細胞混合物を、アイソタイプ対照またはリガンド遮断抗CD137抗体の連続希釈液とともに一晩インキュベートし、製造者の取扱説明書に従ってPromegaルシフェラーゼアッセイキットを使用してルシフェラーゼ活性を測定した。相対ルシフェラーゼ単位(RLU)は、抗体処理のない293T細胞で発現したルシフェラーゼのレベルに対して計算された。
【0214】
図28に示すように、Daudi(上段)とRaji(下段)の両方の細胞は、293T細胞でNFκBルシフェラーゼレポーターを活性化する機能的なCD137リガンドを発現した。アイソタイプ対照抗体(左列)と比較して、AG10131を共培養システムに添加(右列)すると、両方の細胞タイプによって刺激されたNFκBシグナル伝達が大幅に阻害され、AG10131抗体が、DaudiとRajiのBリンパ腫細胞の両方で発現するCD137リガンドから刺激されるCD137シグナル伝達を機能的に遮断できたことを示唆する。
【0215】
実施例17
NFκBレポーターアッセイにおける抗CD137抗体架橋
機能的な細胞NFκBレポーターアッセイを使用して、3つの抗CD137抗体(AG10131、AC1121、及びAC1097)を試験した。
図29に示すように、架橋したとき、3つの抗CD137抗体は全て、同等のレベルで用量依存的にヒトCD137受容体シグナル伝達を刺激することができた。抗体誘導NFκBシグナル伝達活性化応答のEC50は、3つの抗CD137抗体全てについて同様の範囲であった。しかしながら、AC1121はAG10131及びAC1097とは異なる特有のプロパティを示した。AC1121は架橋の非存在下でヒトCD137受容体シグナル伝達を顕著に活性化できたが、AG10131及びAC1097は活性化できなかった。CD137受容体シグナル伝達の刺激における架橋を伴うかまたは伴わないAC1121のEC50は、同様のレベルであることが判明した。
【0216】
実施例18
AG10131はCDCを誘発しない
AG10131のCDC活性は、ELISAによるAG10131とヒト補体の精製C1q成分との直接結合により判定された。
図30に示すように、AG10131とそのヒトIgG4アイソタイプ対照抗体は、試験した濃度範囲でヒト補体C1q成分に結合する能力を欠いているのに対し、ヒトIgG1アイソタイプ対照抗体はC1qに結合できる。この結果は、AG10131も補体依存性細胞毒性を誘導する可能性が低く、IgG4アイソタイプフレームワークと一致していることを示唆している。
【0217】
実施例19
抗CD137抗体AG10131は、腫瘍浸潤性Tリンパ球を増強する
実施例10に示す同系マウスH22肝癌、EMT6乳癌、及びCT26結腸癌モデルにおけるin vivo抗腫瘍効果試験は、AG10131処理が腫瘍増殖を強く阻害することを実証した。AG10131はT細胞を活性化するアゴニスト抗体であるため、AG10131処理は腫瘍浸潤T細胞を腫瘍微小環境に入るよう刺激し、それによりin vivoで抗腫瘍効果を媒介すると予想される。腫瘍浸潤リンパ球に対するAG10131処理の効果を評価するために、マウスH22、EMT6、及びCT26がんモデルにおけるAG10131のin vivo抗腫瘍効果試験の腫瘍を試験終了時に収集した。
【0218】
図31は、H22腫瘍(左上)、EMT6腫瘍(右上)、及びCT26腫瘍(中央下)のマウスCD4+及びCD8+T細胞の代表的なIHC染色画像を示す。
図32に示すように、ビヒクル対照で処理されたH22、EMT6、及びCT26腫瘍には、Tリンパ球(CD4+またはCD8+T細胞のいずれか)はほとんど存在しなかったが、AG10131処理はCD4+及びCD8+T細胞の腫瘍への浸潤を顕著に刺激した(
図31において黒い矢印で示される)。これらのデータは、T細胞の増殖、活性化、及び腫瘍微小環境への浸潤を刺激して抗腫瘍効果を媒介することによる、AG10131の免疫アゴニストとしての機能と一致している。
【0219】
実施例20
CT26結腸癌モデルにおける、抗CD137抗体AG10131と抗PD1抗体を組み合わせることによる抗腫瘍効果の向上
次に、抗CD137抗体AG10131と抗PD1抗体を組み合わせた効果を、CT26結腸癌モデルで試験した。腫瘍発生のために、各々のメスBALB/cマウスの右下腹部領域にCT26腫瘍細胞(3×105)を皮下接種した。平均腫瘍体積が98mm3に達したとき、10匹のマウスを各実験群に割り当てた。これらの群には、ビヒクル(PBS)、5もしくは10mg/kgのAG10131、10mg/kgの抗PD-1、または5もしくは10mg/kgのAG10131と10mg/kgの抗PD-のmAbの組み合わせが、3週間、週2回のip注射によって投与された。腫瘍体積を測定し、腫瘍が2000mm3の終点体積に達したとき、または最終日(42日目)のいずれか早いほうに達したときに各マウスを安楽死させた。
【0220】
図33に示すように、AG10131(5mg/kgまたは20mg/kg)と抗PD1(10mg/kg)の両方が腫瘍の進行を遅らせたが、AG10131は腫瘍の進行をさらに数日遅らせ、まれに腫瘍の縮小をもたらした。しかしながら、AG10131または抗PD1のいずれかで処理されたほぼ全てのマウスは、最終的に腫瘍進行により死亡した。重要なことに、AG10131(5mg/kgまたは20mg/kg)を抗PD1(10mg/kg)と組み合わせて投与すると、ほとんどのマウスは本質的に腫瘍が治癒し、AG10131(5mg/kg)と抗PD1(10mg/kg)またはAG10131(20mg/kg)と抗PD1(10mg/kg)の組み合わせで、それぞれわずか2(10のうち)または1(10のうち)が、腫瘍抑制を回避した。これらの結果は、AG10131と抗PD1の強力な相乗効果を実証し、AG10131と抗PD1の組み合わせが抗PD1抵抗性腫瘍に有効である可能性を示唆している。
【配列表】