(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】長持ちするイチゴの香りを付与するための化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 225/06 20060101AFI20231019BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20231019BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20231019BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20231019BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20231019BHJP
C07C 323/22 20060101ALI20231019BHJP
C07C 323/52 20060101ALI20231019BHJP
C07C 323/43 20060101ALI20231019BHJP
C07C 317/24 20060101ALI20231019BHJP
C07C 309/69 20060101ALI20231019BHJP
C07C 49/175 20060101ALI20231019BHJP
C07C 69/533 20060101ALI20231019BHJP
D06M 13/00 20060101ALI20231019BHJP
D06M 13/352 20060101ALI20231019BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20231019BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20231019BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231019BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20231019BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20231019BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20231019BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C07C225/06 CSP
C11B9/00 R
C11B9/00 V
C11B9/00 H
C11B9/00 J
C11B9/00 S
C11B9/00 W
C11D3/50
C11D17/06
C11D17/08
C07C323/22
C07C323/52
C07C323/43
C07C317/24
C07C309/69
C07C49/175 A
C07C69/533
D06M13/00
D06M13/352
A61K8/46
A61K8/41
A61K8/37
A61Q13/00 101
A61Q5/02
A61Q19/10
A61L9/01 J
A61L9/01 K
C11B9/00 L
(21)【出願番号】P 2020550819
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2019066095
(87)【国際公開番号】W WO2019243369
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン エッター
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス フェーザー
(72)【発明者】
【氏名】アラン トラクセル
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-511710(JP,A)
【文献】特表2021-515009(JP,A)
【文献】特表2014-511414(JP,A)
【文献】特表2015-518061(JP,A)
【文献】特表2016-522279(JP,A)
【文献】特表2009-544632(JP,A)
【文献】特表2010-527990(JP,A)
【文献】特表2018-505877(JP,A)
【文献】国際公開第2011/147455(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C11B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物:
【化1】
[式中、
nは、1~6の間で変化する整数であり;
Aは、1~8個のエーテル基および/またはアルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、チオエーテル、カルボン酸、カルボン酸アルカリ塩、アミン、アミド、カルバメート、ニトリル、もしくはチオールからなる群から選択される1個もしくは2個の官能基を任意選択的に含んでいてもよいn価のC
2~C
22炭化水素基を表し;
Xは、式(i)~(vi)の基:
【化2】
を表し、これらの式中の波線は2位の炭素とXとの間の結合の位置を示し、斜線はXとAとの間の結合の位置を示し、Rは互いに独立して、水素原子またはC
1~C
4の直鎖もしくは分岐の炭化水素基を表すが、ただし、斜線がヘテロ原子またはAのカルボニル官能基に直接連結されていないことを条件とする]
であって、2-(プロピルチオ)オクタン-4-オン、4-オキソオクタン-2-イル4-(ベンジルオキシ)ベンゾエート、2-(メトキシメトキシ)オクタン-4-オン、2-((2-メトキシエトキシ)メトキシ)オクタン-4-オン、2-(エチルアミノ)オクタン-4-オン、および2-(ベンジルアミノ)オクタン-4-オンが除外される、化合物。
【請求項2】
Xが、式(i)~(iv)または(vi)の
基を表すことを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Xが、式(i)の基を表すことを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Aが、1~4個のエーテル基を任意選択的に含んでいてもよい、および/またはアルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、カルボン酸、アミン、もしくはカルバメートからなる群から選択される1個もしくは2個の官能基を任意選択的に含んでいてもよい、n価のC
2~C
18炭化水素基を表すことを特徴とする、請求項1
から3までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
nが、1~2の間で変化する整数で
あることを特徴とする、請求項1から
4までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
nが、1であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、2-(アルキルチオ)オクタン-4-オン、2-(アルキルスルフィニル)オクタン-4-オン、2-(アルキルスルホニル)オクタン-4-オン、または4-オキソオクタン-2-イルアルカノエートもしくはアルケノエートであり、前記アルキル基またはアルケニル基のサイズがC
6~C
18の間で変化することを特徴とする、請求項1から
6までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
長持ちするイチゴの香りを環境に付与するための賦香成分としての、請求項1から
7までのいずれか1項記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
前記式(
I)の化合物が、オクタ-2-エン-4-オン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、2,5-ジメチル-4-オキソ-4,5-ジヒドロフラン-3-イルアセテート、エチル3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシレート、エチル3-フェニルオキシラン-2-カルボキシレート、メチル2-アセトアミドベンゾエートまたは3-フェニルプロピル3-メチルブタノエート、2-メチル-4-オキソ-4H-ピラン-3-イルプロピオネート、2-メチルペンタ-2-エン酸、または(2S,5S)-2-(tert-ブチル)-5-メチル-2-プロピルテトラヒドロフランの中から選択される少なくとも1種の成分との組み合わせで使用されることを特徴とする、請求項
8記載の使用。
【請求項10】
賦香組成物または香料入り製品のイチゴの香りの特性を、付与、増強、改善、または修正する方法であって、有効量の請求項1から
7までのいずれか1項記載の少なくとも1種の式(I)の化合物を前記組成物または製品に添加することを含む、方法。
【請求項11】
i)賦香成分としての請求項1から
7までのいずれか1項記載の少なくとも1種の式(
I)の化合物;
ii)香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1種の成分;ならびに
iii)任意選択的な、少なくとも1種の香料助剤;
を含有する、賦香組成物。
【請求項12】
下記式のイソチアゾロンの中から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項
11記載の賦香組成物:
【化3】
[式中、R
1およびR
2は、互いに別々かつ独立して、水素原子、ハロゲン原子
、C
1~C
4の直鎖または分岐アルキル基、アミノ基、またはベンジルアミノ基を表すか;あるいはR
1とR
2が一緒になって、1~4個のC
1~C
4の直鎖もしくは分岐のアルキル基もしくはアルケニル基、および/または1~2個のハロゲン原
子で置換されていてよいフェニル環またはピリジン環を表し;
R
3は、水素原子、アルカリ金属原子
、1個もしくは2個のハロゲン原子および/または1個もしくは2個のメチル
基、トリフルオロメチル
基、メトキシ
基もしくはアミノ
基で置換されていてよいフェニル基またはベンジル基、
アミン基、または1個もしくは2個の窒素原子、酸素原子、もしくはハロゲン原子で置換されていてよいC
1~C
8の不飽和の直鎖、分岐、もしくは環状の炭化水素基を表す]。
【請求項13】
下記式のイソチアゾロンの中から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項11記載の賦香組成物:
【化4】
[式中、R
1
およびR
2
は、互いに別々かつ独立して、水素原子、塩素原子、C
1
~C
4
の直鎖または分岐アルキル基、アミノ基、またはベンジルアミノ基を表すか;あるいはR
1
とR
2
が一緒になって、1~4個のC
1
~C
4
の直鎖もしくは分岐のアルキル基もしくはアルケニル基、および/または1~2個の塩素原子で置換されていてよいフェニル環またはピリジン環を表し;
R
3
は、水素原子、NaまたはK、1個もしくは2個のハロゲン原子および/または1個もしくは2個のメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基もしくはアミノ基で置換されていてよいフェニル基またはベンジル基、アミン基、または1個もしくは2個の窒素原子、酸素原子、もしくはハロゲン原子で置換されていてよいC
1
~C
8
の不飽和の直鎖、分岐、もしくは環状の炭化水素基を表す]。
【請求項14】
i)賦香成分としての、請求項1から
7までのいずれか1項記載の少なくとも1種の式(
I)の化合物、または請求項
11から13までのいずれか1項記載の賦香組成物;および
ii)香料消費者製品ベース;
を含有する、香料入り消費者製品。
【請求項15】
前記香料入り消費者製品が、香料、布地ケア製品、ボディケア製品、エアケア製品、またはホームケア製品であることを特徴とする、請求項
14記載の香料入り消費者製品。
【請求項16】
前記香料入り消費者製品が、ファインパフューム、液体もしくは固体の洗剤、布地柔軟剤、布地用リフレッシュ剤、アイロニングウォーター、シャンプー、カラーリング用調製物、ヘアスプレー、デオドラントもしくは制汗剤、香料入り石鹸、シャワーもしくはバスのムース、オイルもしくはジェル、衛生製品、空気消臭剤、「すぐに使える」粉末エアフレッシュナー、または硬質表面の洗剤であることを特徴とする、請求項
14記載の香料入り消費者製品。
【請求項17】
請求項1から
7までのいずれか1項記載の少なくとも1種の式(I)の化合物を賦香組成物または香料入り製品に添加すること、および対応する対象表面にそれらを施与すること、による、
対象表面に、長持ちするまたは持続するイチゴの香りを付与する方法。
【請求項18】
前記対象表面が、硬質表面、布地、皮膚、または毛髪である、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料の分野に関する。より具体的には、本発明は、オクタ-2-エン-4-オンを生成することができ、そのため周囲に長持ちするまたは持続的なイチゴの香りを付与することができる式(I)の化合物に関する。さらに、本発明は、長持ちするイチゴの香りを、硬質表面、布地、皮膚、または毛髪などの表面に付与する方法に関する。加えて、本発明は、香料における前記化合物の使用、および本発明の化合物を含む賦香組成物または香料入り製品に関する。
【0002】
発明の背景
消費者は、香料入り製品の有効性を、香りの知覚が長持ちすることまたは持続することと関連付けることが多い。香料は、多数の異なる揮発性化合物からなり、これらは表面に付着してそこから蒸発することで匂いを生じる。香料は、例えば、ファインフレグランスとして、または多様な洗浄剤およびクリーニング剤として、香料組成物または香料入り消費者製品を介して、硬質表面、布地、皮膚、または毛髪などの表面に付着する。香料を構成する芳香成分の揮発性が高いため、香料が付与された表面から放出される香りは、限られた時間しか知覚できない。特に、香料のいわゆるトップノートは非常に迅速に蒸発する。トップノートは組成物の中で最も揮発性の高い化合物であり、香料のフレッシュさを表す。トップノートは、典型的には、とりわけシトラスノート、フローラルノート、グリーンノート、およびフルーティーノートを含み、特にフルーティーノートは消費者に高く評価されている。いくつかの分類のフルーティーノートが香料で使用されており、1つの例は、ラズベリーやイチゴなどの赤いベリーに似せたノートである。オクタ-2-エン-4-オンは、香料組成物または香料入り消費者製品において使用された場合に自然なイチゴの香りを付与するための香料成分として使用することができる。しかしながら、この化合物は非常に揮発性が高く、硬質表面、布地、皮膚、または毛髪などの表面に付与されたその香りは、比較的短期間しか持続しない。
【0003】
消費者は、対象とする用途で安定であると同時に、適用後数時間、さらには数日間香りが長持ちするまたは持続する芳香成分を求めている。
【0004】
したがって、本発明の目的は、長持ちするまたは持続するイチゴの香りを環境に送達することができる系を提供することである。さらに、本発明の別の目的は、賦香組成物または香料入り製品の適用により、長持ちするイチゴの香りを硬質表面、布地、皮膚、または毛髪などの表面に付与する方法を見出すことである。
【0005】
発明の説明
ここで、オクタ-2-エン-4-オンから誘導されるいくつかの特定の化合物が、所定の表面から環境に長時間続けてまたは持続的にイチゴの香りを運ぶために有利に使用でき、そのため賦香組成物または香料入り製品の成分として有用であることが見出された。
【0006】
したがって、本発明の第1の対象は、以下の式の化合物:
【化1】
[式中、
nは、1~6の間で変化する整数であり;
Aは、1~8個のエーテル基および/またはアルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、チオエーテル、カルボン酸、カルボン酸アルカリ塩、アミン、アミド、カルバメート、ニトリル、もしくはチオールからなる群から選択される1個もしくは2個の官能基を任意選択的に含んでいてもよいn価のC
2~C
22炭化水素基を表し;
Xは、式(i)~(vi)の基:
【化2】
を表し、これらの式中の波線は2位の炭素とXとの間の結合の位置を示し、斜線はXとAとの間の結合の位置を示し;Rは互いに独立して、水素原子またはC
1~C
4の直鎖もしくは分岐の炭化水素基を表すが;ただし、斜線がヘテロ原子またはAのカルボニル官能基に直接連結されていないことを条件とする]
であって、2-(プロピルチオ)オクタン-4-オン、4-オキソオクタン-2-イル4-(ベンジルオキシ)ベンゾエート、2-(メトキシメトキシ)オクタン-4-オン、2-((2-メトキシエトキシ)メトキシ)オクタン-4-オン、2-(エチルアミノ)オクタン-4-オン、および2-(ベンジルアミノ)オクタン-4-オンは除外される、化合物に関する。
【0007】
n>1の場合、各Xは、互いに独立して式(i)~(vi)の基のいずれか1つを表す。好ましくは、n>1の場合、各Xは、式(i)~(vi)の中から選択される同じ基を表す。
【0008】
「…炭化水素基…」は、前記基が水素原子と炭素原子とからなり、脂肪族炭化水素、すなわち直鎖もしくは分岐の飽和炭化水素(例えばアルキル基)、直鎖もしくは分岐の不飽和炭化水素(例えばアルケニル基またはアルキニル基)、飽和環状炭化水素(例えばシクロアルキル)、または不飽和環状炭化水素(例えばシクロアルケニルまたはシクロアルキニル)の形態であってもよく、あるいは芳香族炭化水素、すなわちアリール基の形態であってもよく、あるいは前記基の種類の混合物の形態であってもよいこと、例えば1つの種類のみに具体的に限定する旨が述べられていない限り、特定の基が直鎖アルキル、分岐アルケニル(例えば1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する)、(ポリ)シクロアルキル、およびアリール部位を含んでいてもよいこと、を意味すると理解される。同様に、本発明の全ての実施形態において、基が2種以上のトポロジー(例えば直鎖、環状、または分岐)の形態である、および/または飽和もしくは不飽和(例えばアルキル、芳香族、またはアルケニル)であると述べられている場合には、上で説明したように、前記トポロジーのいずれか1つを有するか、飽和または不飽和である部位を含み得る基も意図されている。同様に、本発明の全ての実施形態において、基が1つの種類の飽和または不飽和(例えばアルキル)の形態であると述べられている場合、前記基は任意の種類のトポロジー(例えば直鎖、環状、または分岐)であってもよいこと、または様々なトポロジーを有する複数の部位を有していてもよいことが意図されている。
【0009】
「…任意選択的に…を含んでいてもよい炭化水素基」または「…任意選択的に…で置換されていてもよい炭化水素基」という用語は、前記炭化水素基がアルコール、ケトン、アルデヒド、エーテル、チオエーテル、エステル、カルボン酸、カルボン酸アルカリ塩、アミン、アミド、カルバメート、ニトリル、またはチオール基を任意選択的に含んでいてもよいことを意味すると理解される。これらの基は、炭化水素基の水素原子を置換して結果的に横方向に前記炭化水素に結合していてもよく、あるいは炭化水素基の炭素原子を(化学的に可能であれば)置換して結果的に炭化水素鎖に挿入されていてもよい。例えば、-CH2-CH2-CHOH-CH2-基はアルコール基(水素原子の置換)を含むC4炭化水素基を表し、-CH2-CH2-COO-CH2-CH2-OCO-CH2-CH2-基は2つのエステル基(炭素原子の置換/炭化水素鎖への挿入)を含むC8炭化水素基を表し、同様に、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-基は2つのエーテル基を含むC6炭化水素基を表す。対照的に、「…で任意選択的に置換されていてもよい…アルキル基またはアルケニル基」という表現は、アルキル基またはアルケニル基の少なくとも1つの水素原子が官能基で置換されていてもよいアルキル基またはアルケニル基を指す。
【0010】
本発明の任意の実施形態によれば、Xは、好ましくは式(i)~(iv)または(vi)の基、好ましくは式(i)~(iii)または(vi)の基、さらに好ましくは式(i)~(iii)の基、最も好ましくは式(i)の基を表す。
【0011】
本発明の任意の実施形態によれば、nは、好ましくは1~4の間で変化する整数であり、より好ましくは1~2の間であり、さらに好ましくはnは1であってもよい。
【0012】
本発明の任意の実施形態によれば、Aは、1~8個のエーテル基を任意選択的に含んでいてもよい、および/またはアルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、チオエーテル、カルボン酸、カルボン酸アルカリ塩、アミン、アミド、カルバメート、ニトリル、もしくはチオールからなる群から選択される1個もしくは2個の官能基を任意選択的に有していてもよい、n価のC2~C22炭化水素基を表し得る。好ましくは、Aは、1~4個のエーテル基を任意選択的に含んでいてもよい、および/またはアルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、カルボン酸、アミン、アミド、もしくはカルバメートからなる群から選択される1個もしくは2個の官能基を任意選択的に有していてもよい、n価のC2~C18炭化水素基を表し得る。好ましくは、Aは、1~4個のエーテル基を任意選択的に含んでいてもよい、および/またはアルコール、ケトン、エステル、カルボン酸、アミン、アミド、もしくはカルバメートからなる群から選択される1個もしくは2個の官能基を任意選択的に有していてもよい、一価または二価のC2~C18炭化水素基を表し得る。好ましくは、Aは、1~4個のC1~4エーテル基で任意選択的に置換されていてもよい、および/またはアルコール、ケトン、C1~10エステル、カルボン酸、アミン、C1~4アミド、もしくはC1~4カルバメートからなる群から選択される1個もしくは2個の官能基を任意選択的に有していてもよい、ベンジル基または一価もしくは二価のC2~C18アルキル基もしくはアルケニル基を表し得る。好ましくは、Aは、アルコール、ケトン、C1~4エステル、カルボン酸、アミン、もしくはC1~4カルバメートからなる群から選択される1個または2個の官能基で任意選択的に置換されていてもよい、ベンジル基または一価もしくは二価のC2~C18アルキル基もしくはアルケニル基を表し得る。好ましくは、Aは、アルコール、ケトン、C1~4エステル、カルボン酸、アミン、またはC1~4カルバメートからなる群から選択される1個または2個の官能基で置換されている、ベンジル基または一価のC4~C16アルキル基もしくはアルケニル基または一価のC2~C4アルキル基を表し得る。または、Aは、アルコール、ケトン、C1~4エステル、カルボン酸、アミン、またはC1~4カルバメートからなる群から選択される1個または2個の官能基で置換されている、二価のC2~C6アルキル基を表し得る。好ましくは、Aは、ベンジル基または一価のC5~C15アルキル基もしくはアルケニル基を表し得る。好ましくは、Aは、一価のC6~C14アルキル基またはアルケニル基を表し得る。さらに好ましくは、Aは、一価のC6~C14直鎖アルキル基またはアルケニル基を表し得る。
【0013】
上の実施形態のいずれか1つによれば、前記式(I)の化合物は、2-(オクチルチオ)オクタン-4-オンまたは2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オンなどの、アルキル基のサイズがC6~C18の間、好ましくはC6~C14の間で変化する2-(アルキルチオ)オクタン-4-オン;2-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)プロパン酸、3-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)プロパン酸、または2-メチル-3-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)プロパン酸などの2-または3-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)プロパン酸誘導体;2-((2-ヒドロキシエチル)チオ)オクタン-4-オンなどの、アルキル基のサイズがC2~C18の間、好ましくはC2~C10の間で変化する2-((ヒドロキシアルキル)チオ)オクタン-4-オン誘導体;tert-ブチル(2-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)エチル)カルバメートなどの、アルキル基のサイズがC2~C18の間、好ましくはC2~C6の間で変化するアルキル(2-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)アルキル)カルバメート誘導体;2-(ドデシルアミノ)オクタン-4-オンなどの、アルキル基のサイズがC6~C18の間、好ましくはC6~C14の間で変化する2-(アルキルアミノ)オクタン-4-オン;グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、グルタミン、アスパラギン、トレオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシン、またはトリプトファンなどの天然または非天然のアミノ酸から誘導される2-((4-オキソオクタン-2-イル)アミノ)カルボン酸;アルキル基のサイズがC1~C4の間で変化する、上で列挙した天然または非天然のアミノ酸から誘導されるアルキル2-((4-オキソオクタン-2-イル)アミノ)カルボンキシレート;N,S-ビス(4-オキソオクタン-2-イル)-L-システイン;メチルN,S-ビス(4-オキソオクタン-2-イル)-L-システイネートなどの、アルキル基のサイズがC1~C4の間で変化するアルキルN,S-ビス(4-オキソオクタン-2-イル)システイン;2-(ドデシルスルフィニル)オクタン-4-オンなどの、アルキル基のサイズがC6~C18の間、好ましくはC6~C14の間で変化する2-(アルキルスルフィニル)オクタン-4-オン;2-(ドデシルスルホニル)オクタン-4-オンなどの、アルキル基のサイズがC6~C18の間、好ましくはC6~C14の間で変化する2-(アルキルスルホニル)オクタン-4-オン;4-オキソオクタン-2-イルウンデカ-10-エノエートなどの、アルキル基またはアルケニル基のサイズがC6~C18の間、好ましくはC6~C14の間で変化する4-オキソオクタン-2-イルアルカノエートまたはアルケノエート;または、アリールカルボキシレート基が安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、またはトリメシン酸であるモノ-もしくはマルチ-(4-オキソオクタン-2-イル)アリールカルボキシレートである。好ましくは、前記式(I)の化合物は、2-(オクチルチオ)オクタン-4-オン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-(ドデシルスルフィニル)オクタン-4-オン、2-(ドデシルスルホニル)オクタン-4-オン、または4-オキソオクタン-2-イルウンデカ-10-エノエートなどの、それぞれのアルキル基またはアルケニル基のサイズがC6~C18の間、好ましくはC6~C14の間で変化する、2-(アルキルチオ)オクタン-4-オン、2-(アルキルスルフィニル)オクタン-4-オン、2-(アルキルスルホニル)オクタン-4-オン、または4-オキソオクタン-2-イルアルカノエートもしくはアルケノエートである。
【0014】
式(I)の化合物は、経時的にオクタ-2-エン-4-オンを徐々に生成することができ、そのため、長持ちするイチゴの香りを周囲に付与することができる。化合物自体は不揮発性であり、実質的に無臭である。それと同時に、これらは賦香組成物または香料入り製品中で比較的安定である。環境条件下で表面に曝されると、オクタ-2-エン-4-オンは周囲の湿気との反応によって形成されると考えられる。オクタ-2-エン-4-オンの生成は、さらに、空気中の酸素の存在、pHの変化、酵素の存在、または高温によって、または他のタイプの機構によって、または複数の機構の組み合わせによって引き起こされる可能性がある。
【0015】
不揮発性かつ実質的に無臭の化合物は、有利には、ソフトウェアEPIwin v. 3.10(2000、米国環境保護庁で入手可能)を使用する計算によって得られる2.0Pa未満の蒸気圧によって特徴付けられる。好ましくは、前記蒸気圧は、0.2Pa未満、さらに好ましくは0.02Pa未満である。
【0016】
オクタ-2-エン-4-オンは、式(I)の化合物から、(E)形態、または(Z)形態、またはそれらの混合物で生成することができる。(E)-オクタ-2-エン-4-オン、または(E)異性体が主成分である(E/Z)-オクタ-2-エン-4-オンの混合物の生成が好ましい。
【0017】
式(I)の化合物は、従来の方法によりオクタ-2-エン-4-オンから合成することができる。好ましくは、式(I)の化合物は、(E)-オクタ-2-エン-4-オンから、または(E)異性体が主成分である(E/Z)-オクタ-2-エン-4-オンの混合物から合成される。総じて、本発明の化合物は、オクタ-2-エン-4-オンと式[HX-]n-Aの化合物[式中、いずれの記号も、式(I)で示されているものと同じ意味を有する]との[1,4]付加反応によって得ることができる。
【0018】
本発明の化合物の合成に使用され得る式[HX-]n-Aの化合物を網羅するリストを提供することは不可能であるが、好ましい非限定的な例としては以下のものを挙げることができる:ヘキサン-1-チオール、オクタン-1-チオール、ドデカン-1-チオール、ヘキサデカン-1-チオール、オクタデカン-1-チオール、2-メルカプト酢酸、2-メルカプト酢酸メチルもしくはエチル、2-メルカプトプロパン酸、2-メルカプトプロパン酸メチルもしくはエチル、3-メルカプトプロパン酸、3-メルカプトプロパン酸メチルもしくはエチル、3-メルカプト-2-メチルプロパン酸、3-メルカプト-2-メチルプロパン酸メチルもしくはエチル、2-メルカプトエタノール、tert-ブチル(2-メルカプトエチル)カルバメート、1-ヘキシルアミン、1-オクチルアミン、1-デシルアミン、1-ドデシルアミン、2-アミノ-3-メルカプトプロパン酸メチルもしくはエチル、またはこれらの対応する塩酸塩、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、グルタミン、アスパラギン、トレオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシン、またはトリプトファンなどの天然または非天然のアミノ酸、およびそれらの対応するメチルもしくはエチルエステル。
【0019】
式(I)の化合物は、従来の方法による2-ヒドロキシオクタン-4-オンのエステル化によっても得ることができる。好ましくは、これらは、2-ヒドロキシオクタン-4-オンおよび式[ClCOCR2]n-Aの酸塩化物[式中、いずれも記号も式(I)で示されているものと同じ意味を有する]から合成される。
【0020】
本発明の化合物の合成に使用され得る式[ClCOCR2]n-Aの酸塩化物を網羅するリストを提供することは不可能であるが、好ましい非限定的な例としては以下のものを挙げることができる:カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オクテン酸、デセン酸、デカジエン酸、ウンデセン酸、ラウロレイン酸、ラウロリノール酸、4-ヘキサデセン酸、オレイン酸、リノール酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、プロパン-1,2-3-トリカルボン酸、アコニット酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、またはトリメシン酸などの飽和、不飽和、または芳香族のC6~C18カルボン酸の酸塩化物。
【0021】
任意の実施形態によれば、式(I)の化合物はカプセル封入される。式(I)の少なくとも1種の化合物は、マイクロカプセルの中に封入することができる。一実施形態では、式(I)の少なくとも1種の化合物はコア-シェルマイクロカプセルの中に封入され、式(I)の化合物はシェルに囲まれたコアの中に含まれる。マイクロカプセルのシェルは、式(I)の化合物を環境から保護する。シェルは、式(I)の化合物を放出することができる材料から製造される。一実施形態では、シェルは、シェルの破損時におよび/またはシェルを通した拡散により、式(I)の化合物を放出することができる材料から製造される。当業者は、前記マイクロカプセルを製造するためのプロセスを熟知している。
【0022】
本発明のマイクロカプセルのポリマーシェルの性質は様々であってもよい。非限定的な例として、シェルは、アミノプラスト系、ポリ尿素系、またはポリウレタン系であってもよい。シェルは、ハイブリッド、すなわち、架橋された少なくとも2つのタイプの無機粒子から構成されるハイブリッドシェルなどの有機-無機であってもよく、さらにはポリアルコキシシランマクロモノマー組成物の加水分解および縮合反応から得られるシェルであってもよい。
【0023】
一実施形態によれば、シェルは、メラミン-ホルムアルデヒドまたは尿素-ホルムアルデヒドまたは架橋したメラミンホルムアルデヒドまたはメラミングリオキサールなどのアミノプラストコポリマーを含む。
【0024】
別の実施形態によれば、シェルは、例えば、限定するものではないが、イソシアネート系モノマーと、グアニジンカーボネートおよび/またはグアナゾールなどのアミン含有架橋剤とから製造されるポリ尿素系である。好ましいポリ尿素マイクロカプセルは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を含む少なくとも1種のポリイソシアネートと、アミン(例えば水溶性グアニジン塩およびグアニジン)からなる群から選択される少なくとも1種の反応物との間の重合反応生成物であるポリ尿素壁;コロイド安定剤または乳化剤;およびカプセル封入された香料;を含む。ただし、アミンの使用は省略されてもよい。
【0025】
特定の実施形態によれば、コロイド安定剤は、0.1%~0.4%のポリビニルアルコール、0.6%~1%のビニルピロリドンのカチオン性コポリマー、および四級化ビニルイミダゾールの水溶液を含む(全てのパーセンテージはコロイド安定剤の総重量に対する重量により規定)。別の実施形態によれば、乳化剤は、好ましくはアラビアゴム、大豆タンパク質、ゼラチン、カゼインナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性または両親媒性バイオポリマーである。
【0026】
別の実施形態によれば、シェルは、例えば、限定するものではないが、ポリイソシアネートおよびポリオール、ポリアミド、ポリエステルなどから製造されるポリウレタン系である。
【0027】
コア-シェルマイクロカプセルの水性分散液/スラリーの製造は、当業者に周知である。一態様では、前記マイクロカプセル壁材料は、任意の適切な樹脂、特にメラミン、グリオキサール、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステルなどを含んでいてもよい。適切な樹脂としては、アルデヒドとアミンとの反応生成物が挙げられ、適切なアルデヒドとしては、ホルムアルデヒドおよびグリオキサールが挙げられる。適切なアミンとしては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、およびこれらの混合物が挙げられる。適切なメラミンとしては、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、イミノメラミン、およびこれらの混合物が挙げられる。適切な尿素としては、ジメチロール尿素、メチル化ジメチロール尿素、尿素-レゾルシノール、およびこれらの混合物が挙げられる。製造に適した材料は、Solutia Inc. (St Louis, Missouri U.S.A.)、Cytec Industries (West Paterson, New Jersey U.S.A.)、Sigma-Aldrich (St. Louis, Missouri U.S.A.)のうちの1社以上から入手することができる。
【0028】
特定の実施形態によれば、コア-シェルマイクロカプセルは、ホルムアルデヒド不含のカプセルである。ホルムアルデヒド不含のアミノプラストのマイクロカプセルのスラリーを製造するための典型的な方法は、
1)
a)メラミン形態、またはメラミンと2つのNH2官能基を含む少なくとも1種のC1~C4化合物との混合物の形態のポリアミン成分;
b)グリオキサールと、C4~62,2-ジアルコキシ-エタナールと、任意選択的なグリオキサールとの混合物の形態のアルデヒド成分であって、前記混合物が1/1~10/1に含まれるグリオキサール/C4~62,2-ジアルコキシ-エタナールのモル比を有するアルデヒド成分;および
c)プロトン酸触媒;
の反応生成物を含むか、これらを一緒に反応させることにより得られるオリゴマー組成物を製造する工程;
2)
i.油;
ii.水媒体;
iii.工程1で得られる少なくとも1つのオリゴマー組成物;
iv.
A)C4~C12芳香族または脂肪族のジ-もしくはトリ-イソシアネート、およびそれらのビウレット、トリウレット、三量体、トリメチロールプロパン付加物、およびそれらの混合物、ならびに/または
B)式
A-(オキシラン-2-イルメチル)n
[式中、nは2または3を表し、Aは2~6個の窒素原子および/または酸素原子を任意選択的に含んでいてもよいC2~C6基を表す]のジ-もしくはトリ-オキシラン化合物、
の中から選択される少なくとも1つの架橋剤;
v.任意選択的な、2つのNH2官能基を含むC1~C4化合物;
を含む、水中油型分散液を製造する工程であって、液滴サイズが1~600umに含まれる工程;
3)前記分散液を加熱する工程;
4)前記分散液を冷却する工程;
を含む。
【0029】
この方法は、国際公開第2013/068255号の中でより詳しく説明されており、その内容は参照により含まれる。
【0030】
別の実施形態によれば、マイクロカプセルのシェルは、ポリ尿素系またはポリウレタン系である。ポリ尿素系およびポリウレタン系のマイクロカプセルスラリーの製造方法の例は、例えば、国際公開第2007/004166号、欧州特許第2300146号明細書、欧州特許第2579976号明細書に記載されており、これらの内容も参照により含まれる。典型的には、ポリ尿素系またはポリウレタン系のマイクロカプセルスラリーの製造方法は、以下の工程を含む:
a)少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートを油に溶解して油相を形成する工程;
b)乳化剤またはコロイド安定剤の水溶液を製造して水相を形成する工程;
c)油相を水相に添加して、平均液滴サイズが1~500μm、好ましくは5~50μmに含まれる水中油型分散液を形成する工程;
d)界面重合を誘発させてスラリー形態のマイクロカプセルを形成するのに十分な条件を適用する工程。
【0031】
本発明における使用に適したマイクロカプセルの例としては、限定するものではないが、国際特許出願公開第2007/026307号に開示されているマイクロカプセルが挙げられる。さらなる例には、国際特許出願公開第2014/029695号に開示されているマイクロカプセルが含まれる。追加の例には、国際特許出願公開第2006/006003号に開示されているマイクロカプセルが含まれる。追加の例には、国際特許出願公開第2006/018964号に開示されているマイクロカプセルが含まれる。追加の例には、国際特許出願公開第2007/096790号に開示されているマイクロカプセルが含まれる。追加の例には、国際特許出願公開第2009/153695号に開示されているマイクロカプセルが含まれる。追加の例には、欧州特許第2379047号明細書に開示されているマイクロカプセルが含まれる。
【0032】
式(I)の化合物をカプセル封入する方法の例としては、限定するものではないが、国際特許出願公開第2007/026307号に開示されているマイクロカプセルが挙げられる。さらなる例には、国際特許出願公開第2014/029695号に開示されているマイクロカプセルが含まれる。追加の例には、国際特許出願公開第2006/006003号に開示されているマイクロカプセルが含まれる。追加の例には、国際特許出願公開第2006/018964号に開示されているマイクロカプセルが含まれる。追加の例には、国際特許出願公開第2007/096790号に開示されているマイクロカプセルが含まれる。追加の例には、国際特許出願公開第2009/153695号に開示されているマイクロカプセルが含まれる。追加の例には、欧州特許第2379047号明細書に開示されているマイクロカプセルが含まれる。
【0033】
上述したように、本発明は、長持ちするイチゴの香りを環境に付与するための賦香成分としての式(I)の化合物の使用に関する。言い換えると、これは、賦香組成物または香料入り製品または表面のイチゴの香りの特性を、付与、増強、改善、または修正する方法またはプロセスに関し、この方法は、有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物を前記組成物または製品に添加することを含む。「式(I)の化合物の使用」とは、本明細書では、式(I)の化合物を含み香料産業で有利に使用され得る任意の組成物の使用も含むと理解されたい。
【0034】
「賦香成分」とは、本明細書では、心地よい効果を付与するために賦香調製物または組成物中で使用される化合物を意味する。言い換えると、そのような賦香成分は、賦香成分であるとみなされるためには、香りを有するだけでなく、組成物の香りをポジティブにまたは快適な形で付与または修正することができるものとして当業者に認識されなければならない。
【0035】
「イチゴの香り」または「ストロベリーノート」という表現は、イチゴの果実を想起させる香りとして理解されるべきであり、例えば、イチゴの香りを有するとされている化合物は、オクタ-2-エン-4-オン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン(Furaneol(登録商標))、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、2,5-ジメチル-4-オキソ-4,5-ジヒドロフラン-3-イルアセテート、エチル3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシレート(Strawberry Pure(登録商標))、エチル3-フェニルオキシラン-2-カルボキシレート、メチル2-アセトアミドベンゾエートまたは3-フェニルプロピル3-メチルブタノエート、2-メチル-4-オキソ-4H-ピラン-3-イルプロピオネート、2-メチルペンタ-2-エン酸、または(2S,5S)-2-(tert-ブチル)-5-メチル-2-プロピルテトラヒドロフラン(Dihydrocassyrane(登録商標))である。
【0036】
明確にするために述べておくと、長持ちする効果は、典型的には、例えば数時間後または数日後などの特定の時間の後、所定の化合物が同じタイプの香りを付与する参照化合物よりも環境に多量の香りを放出する場合に達成される。そのため、本発明の式(I)の化合物に言及する際の「長持ちするイチゴの香り」という表現は、同じ条件下で、例えば数時間(6または8時間)または数日(1または3日)後に測定される、オクタ-2-エン-4-オン分子単独のものと比較した、イチゴの香りの知覚(オクタ-2-エン-4-オンの大気への放出)の持続時間の増加として理解されるべきである。
【0037】
実際に賦香成分として有利に使用することができる前記組成物も、本発明の対象である。
【0038】
したがって、本発明の別の対象は、
i)風味付与成分または賦香成分としての、上で定義した少なくとも1種の本発明の化合物;
ii)風味料または香料の担体および風味料または香料のベースからなる群から選択される少なくとも1種の成分;ならびに
iii)任意選択的な、少なくとも1種の風味料または香料の補助剤;
を含有する、風味付与組成物または賦香組成物である。
【0039】
好ましくは、本発明の組成物は、風味付与組成物である。
【0040】
「香料担体」とは、本明細書では、香料の観点から実用上中性である、すなわち賦香成分の官能特性をほとんど変化させない材料を意味する。前記担体は、液体であっても固体であってもよい。
【0041】
非限定的な例として、乳化系、すなわち溶媒と界面活性剤との系、または香料において一般的に使用される溶媒を液体担体として挙げることができる。香料において一般的に使用される溶媒の性質および種類の詳細な説明は網羅することはできない。しかしながら、非限定的な例として、ブチレンもしくはプロピレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコールおよびそのモノエーテル、1,2,3-プロパントリイルトリアセテート、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルアセテート、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノ、クエン酸トリエチル、またはこれらの混合物などの溶媒を挙げることができ、これらは最も一般的に使用されている。香料担体と香料ベースの両方を含有する組成物に関し、上で特定したもの以外の適切な香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンもしくは他のテルペン、商標Isopar(登録商標)(製造元:Exxon Chemical)として知られているものなどのイソパラフィン、商標Dowanol(登録商標)(製造元:Dow Chemical Company)として知られているものなどのグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、または商標Cremophor(登録商標) RH 40(製造元:BASF)として知られているものなどの水添ヒマシ油であってもよい。
【0042】
固体担体は、賦香組成物または賦香組成物の一部の要素が化学的または物理的に結合され得る材料を指すことが意図されている。一般に、そのような固体担体は、組成物を安定させるために、または組成物もしくは一部の成分の蒸発速度を制御するために使用される。固体担体の使用は当該技術分野で現在利用されており、当業者は所望の効果を得る方法を認識している。しかしながら、固体担体の非限定的な例として、多孔質ポリマー、シクロデキストリン、木質材料、有機もしくは無機ゲル、粘土、石膏タルク、またはゼオライトなどの、吸収性ガムまたはポリマーまたは無機材料を挙げることができる。
【0043】
固体担体の他の非限定的な例としては、カプセル形成材料を挙げることができる。そのような材料の例には、単糖、二糖、三糖、天然または加工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質またはペクチン、さらにはH. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr’s Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996などの参照文献の中で挙げられている材料のような壁形成材料および可塑化材料が含まれ得る。カプセル化は当業者に周知のプロセスであり、例えば、噴霧乾燥、凝集、さらには押出などの技術;またはコアセルベーションや複合コアセルベーション技術を含む被覆カプセル化から構成される技術を使用することにより、行うことができる。
【0044】
固体担体の非限定的な例としては、特に、任意選択的にはポリマー系安定剤またはカチオン性コポリマーの存在下で、重合、界面重合、コアセルベーション、または全て(前記技術はいずれも先行技術で説明されている)により誘発される相分離プロセスのような技術を使用した、アミノプラスト、ポリアミド、ポリエステル、ポリ尿素、もしくはポリウレタンタイプの樹脂またはそれらの混合物(前記樹脂は全て当業者に周知である)を用いたコア-シェルカプセルを挙げることができる。
【0045】
樹脂は、アルデヒド(例えばホルムアルデヒド、2,2-ジメトキシエタナール、グリオキサール、グリオキシル酸、またはグリコールアルデヒド、およびそれらの混合物)と、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾールなど、ならびにこれらの混合物のようなアミンとの重縮合により製造することができる。あるいは、商標Urac(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Cymel(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Urecoll(登録商標)、またはLuracoll(登録商標)(製造元:BASF)として市販されているものなどの予備成形された樹脂であるアルキロール化ポリアミンが使用されてもよい。
【0046】
他の樹脂は、グリセロールのようなポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートもしくはキシリレンジイソシアネートの三量体、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットのようなポリイソシアネートとの重縮合により製造されるもの、またはキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの三量体(Takenate(登録商標)の商品名で公知、製造元:Mitsui Chemicals)であり、特にはキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの三量体およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットである。
【0047】
アミノ樹脂、すなわちメラミン系樹脂とアルデヒドとの重縮合による香料のカプセル化に関連する影響力のあるいくつかの文献には、K. Dietrich らによって公開されたActa Polymerica, 1989, vol. 40, pages 243, 325および683、ならびに1990, vol. 41, page 91などの論文に代表されるものが含まれる。このような論文には、先行技術の方法に従うそのようなコア-シェルマイクロカプセルの製造に影響を与える様々なパラメータが既に記載されており、それらは特許文献の中でも更に詳しく説明および例示されている。Wiggins Teape Group Limitedによる米国特許第4,396,670号明細書は、関連性のある初期の後者の例である。それ以降、多くのその他の著者がこの分野の文献を充実させており、公開された全ての成果物を本明細書で網羅することは不可能であるものの、カプセル化技術の一般的な知識は非常に重要である。そのようなマイクロカプセルの適切な使用を開示している最近の関連性のある刊行物としては、例えば、H.Y.Lee et al. Journal of Microencapsulation, 2002, vol. 19, pages 559-569、国際特許出願公開第01/41915号、さらにはS. Bone et al. Chimia, 2011, vol. 65, pages 177-181の論文が示される。
【0048】
本明細書において、「香料ベース」とは、ここでは、少なくとも1種の賦香併用成分を含有する組成物を意味する。
【0049】
前記賦香併用成分は、式(I)のものではない。さらに、「賦香併用成分」とは、本明細書では、式(I)の賦香成分に加えて賦香調製物または組成物中で使用され、心地よい効果を式(1)の賦香成分などに付与する化合物を意味する。言い換えると、賦香成分としてみなされるべきそのような併用成分は、単に香りを有するだけでなく、組成物の香りをポジティブにまたは快適な形で付与または修正することができるものとして当業者に認識されなければならない。
【0050】
具体的には、本発明の賦香調製物または組成物において使用され得る賦香併用成分は、非限定的な例として:
a)天然または天然と同一の成分および天然抽出物、好ましくはイチゴやラズベリーなどの赤いベリーから得られるもの;
b)オクタ-2-エン-4-オン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン(Furaneol(登録商標))、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、2,5-ジメチル-4-オキソ-4,5-ジヒドロフラン-3-イルアセテート、エチル3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシレート(Strawberry Pure(登録商標))、エチル3-フェニルオキシラン-2-カルボキシレート、メチル2-アセトアミドベンゾエートまたは3-フェニルプロピル3-メチルブタノエート、2-メチル-4-オキソ-4H-ピラン-3-イルプロピオネート、2-メチルペンタ-2-エン酸、または(2S,5S)-2-(tert-ブチル)-5-メチル-2-プロピルテトラヒドロフラン(Dihydrocassyrane(登録商標))などのストロベリーノートを有する成分;
c)4-(4-メトキシフェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)などのラズベリーノートを有する成分;
d)酪酸エチル、5-ヘプチルジヒドロフラン-2(3H)-オン、エチル2-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)アセテート(Fructone(登録商標))、またはジエチルシクロヘキサン-1,4-ジカルボキシレート(Fructalate(登録商標))などの他のフルーツノートを有する成分;
e)2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オンなどのキャラメルノートを有する成分;
f)1-メチル-4-(1-メチルエテニル)-シクロヘキセン(リモネン)などのシトラスノートを有する成分;
g)メチル2-(-3-オキソ-2-ペンチルシクロヘキシル)アセテート(Hedione(登録商標))などのフローラルシトラスノートを有する成分;
h)3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール(リナロール)、3-メチルブチル2-ヒドロキシベンゾエート、ヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、ベンジル2-ヒドロキシベンゾエート、またはシクロヘキシル2-ヒドロキシベンゾエートなどのフローラルノートを有する成分;
i)(E)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-もしくは2-エン-1-イル)ブト-3-エン-2-オン(βまたはα-イオノン)、(E)-4-(2,2-ジメチル-6-メチレンシクロヘキシル)ブト-3-エン-2-オン(γ-イオノン)、または1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラム-2-ナフタレニル)-1-エタノン(Iso E Super(登録商標)、異性体混合物)などのフローラルウッディノートを有する成分;
j)(Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルアセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルブチレート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルベンゾエート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル2-ヒドロキシベンゾエート、1-(3,3-もしくは5,5-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン(Neobutenone(登録商標))などのグリーンノートを有する成分;
k)オキサシクロヘキサデカン-2-オン(Exaltolide(登録商標))、オキサシクロヘキサデク-12-および/もしくは13-エン-2-オン(Habanolide(登録商標))、3-メチルシクロペンタデカン-1-オン(Muscone(登録商標))、(Z)-3-メチルシクロペンタデク-5-エン-1-オン(Muscenone(登録商標))、または2-(1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エトキシ)-2-メチルプロピルプロピオネート(Helvetolide(登録商標))などのムスキーノートを有する成分;
が挙げられる。
【0051】
さらに、当業者は、一般的な知識に基づいて、ならびに意図される使用または用途および達成すべき所望の感覚刺激効果に従って、他の賦香併用成分を選択することができる。これらの他の賦香併用成分の性質およびタイプは、本明細書でより詳しい記載を保証するものではなく、いずれにしても網羅的ではない。一般的に言えば、これらの賦香併用成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫黄ヘテロ環化合物、およびエッセンシャルオイルなどの多様な化学的分類に属し、前記賦香併用成分は、天然由来であっても合成由来であってもよい。本発明による香料ベースは、上述した賦香併用成分に限定されなくてもよく、いずれにしてもこれらの併用成分の多くは、S. Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはその最近のバージョンなどの関連テキスト、または類似の性質の他の著作物、ならびに香料分野における豊富な特許文献に記載されている。前記併用成分は、制御された形で様々なタイプの賦香化合物を放出することが知られている化合物であってもよく、あるいはカプセル封入された香料であってもよいことも理解される。
【0052】
「香料助剤」とは、本明細書では、色、特定の耐光性、化学的安定性などの追加で加えられる利点を付与できる成分を意味する。賦香ベースにおいて一般に使用されている性質およびタイプの詳細な説明は、網羅することはできないものの、前記成分は当業者に周知であることに言及しなければならない。しかしながら、具体的な非限定的な例として以下のものを挙げることができる:粘度剤(例えば、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤および/またはレオロジー調整剤)、安定剤(例えば防腐剤、酸化防止剤、熱/光およびまたは緩衝剤またはキレート剤、BHTなど)、着色剤(例えば染料および/または顔料)、防腐剤(例えば抗菌剤または抗微生物剤または抗真菌剤または抗刺激剤)、研磨剤、皮膚冷却剤、定着剤、防虫剤、軟膏、ビタミン、ならびにこれらの混合物。
【0053】
当業者は、単に当該技術分野の標準的な知識を適用することにより、および試行錯誤の方法論により、賦香組成物の上述した成分を混合することで、所望の効果のための最適な処方物を完全に設計できることが理解される。
【0054】
本発明の化合物と任意選択的に組み合わせて使用されてもよいその他の適切な香料助剤としては、三級アミン、特にトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン、およびエトキシル化アルキルジエタノールアミンなどの高い水溶性を有するものが挙げられる。
【0055】
本発明の香料組成物の特定の態様は、(上述した組成物に加えて)下記式のイソチアゾロンの中から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含むものに関する:
【化3】
[式中、
R
1およびR
2は、互いに別々かつ独立して、水素原子、ハロゲン原子(好ましくは塩素)、C
1~C
4の直鎖または分岐アルキル基、アミノ基、またはベンジルアミノ基を表すか;あるいはR
1とR
2が一緒になって、1~4個のC
1~C
4の直鎖もしくは分岐のアルキル基もしくはアルケニル基、および/または1~2個のハロゲン原子(好ましくは塩素原子)で置換されていてよいフェニル環またはピリジン環を表し;
R
3は、水素原子、アルカリ金属原子(特にNaまたはK)、1個もしくは2個のハロゲン原子および/または1個もしくは2個のメチル
基、トリフルオロメチル
基、メトキシ
基もしくはアミノ
基で置換されていてよいフェニル基またはベンジル基、
アミン基、または1個もしくは2個の窒素原子、酸素原
子もしくはハロゲン原子で置換されていてよいC
1~C
8の不飽和の直鎖、分岐、もしくは環状の炭化水素基を表す]。
【0056】
本発明の特定の実施形態によれば、前記式(II)の化合物は、式中のR1およびR2が互いに別々かつ独立して、水素原子、塩素原子、またはメチル基であるか、あるいはR1とR2が一緒になってフェニル環を表し、R3が水素原子またはメチル基を表すものである。
【0057】
本発明の特定の実施形態によれば、前記式(II)の化合物は、1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン、4-もしくは5-クロロ-2-メチルイソチアゾール-3(2H)-オン、または2-メチルイソチアゾール-3(2H)-オンからなる群から、より好ましくは、5-クロロ-2-メチルイソチアゾール-3(2H)-オンまたは1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オンであり、最も好ましくは1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オンである。
【0058】
少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の香料担体とからなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施形態、ならびに少なくとも1種の式(I)の化合物と、少なくとも1種の香料担体と、少なくとも1つの香料ベースと、任意選択的な少なくとも1種の香料助剤とを含む賦香組成物を成す。
【0059】
特定の実施形態によれば、上述した組成物は、2種以上の式(I)の化合物を含んでいてもよく、あるいは式(I)の化合物に加えて、オクタ-2-エン4-オン以外の芳香成分を生成することが可能であり、かつ香料製造者が本発明の様々な化合物の調和のとれた香りを有するアコードまたは香料を製造することを可能にし、結果として創作目的のための新しいビルディングブロックを形成することが可能な、同様のまたは異なる性質の他の化合物を含んでいてもよい。
【0060】
明確にするために述べておくと、化学合成から直接得られる任意の混合物、例えば本発明の化合物が出発物質、中間体、または最終生成物として含まれる適切な精製が行われていない反応媒体は、前記混合物が本発明の化合物を香料に適した形で提供しない限り、本発明の芳香組成物とみなすことはできない。したがって、別段の記載がない限り、未精製の反応混合物は通常本発明から除外される。
【0061】
さらに、本発明の式(I)の化合物は、前記式(1)の化合物が添加される消費者製品に長持ちするまたは持続するイチゴの香りをポジティブに付与するために、風味料または最新の香料、すなわちファインパフュームもしくは機能性香料の全ての分野において有利に使用することもできる。
【0062】
したがって、
i)賦香成分としての、上で定義した少なくとも1種の式(I)の化合物または賦香組成物;および
ii)香料消費者製品ベース;
を含有する香料入り消費者製品も本発明の対象である。
【0063】
本発明の化合物は、そのままで、または本発明の賦香組成物の一部として添加することができる。
【0064】
明確にするために述べておくと、「香料入り消費者製品」は、それが適用される表面または空間(例えば皮膚、毛髪、布地、または家庭内の表面)に少なくとも心地よい賦香効果をもたらす消費者製品を指すことが意図されている。言い換えると、本発明による香料入り消費者製品は、所望の消費者製品に対応する機能性配合物および任意選択的な追加の有益な薬剤、ならびに嗅覚有効量の少なくとも1種の本発明の化合物を含有する香料入り消費者製品である。明確にするために述べておくと、前記香料入り消費者製品は非食用製品である。
【0065】
香料入り消費者製品の成分の性質およびタイプは、本明細書でより詳しい記載を保証するものではなく、いずれにしても網羅的ではない。当業者は、一般的な知識に基づいて、および前記製品の性質および望ましい効果に応じてこれらを選択することができる。
【0066】
適切な香料入り消費者製品の非限定的な例としては、ファインパフューム、スプラッシュもしくはオードパフューム、コロン、またはシェーブもしくはアフターシェーブローションなどの香料;液体または固体の洗剤、布地柔軟剤、液体または固体の香り増強剤、布地用リフレッシュ剤、アイロニングウォーター、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品などの布地ケア製品;ヘアケア製品(例えばシャンプー、カラーリング用調製物またはヘアスプレー、カラーケア製品、整髪用製品、デンタルケア製品)、消毒剤、インティメイトケア製品などのボディケア製品;化粧品(例えばスキンクリームもしくはスキンローション、バニシングクリームまたはデオドラントまたは制汗剤(例えばスプレーまたはロールオン)、脱毛剤、タンニング用製品、日焼け用製品、日焼け後用製品、ネイル用製品、皮膚洗浄剤、化粧品);またはスキンケア製品(例えば石鹸、シャワーもしくはバス用のムース、オイルもしくはジェル、または衛生製品、またはフットケア/ハンドケア製品);家庭内の空間(部屋、冷蔵庫、食器棚、靴、または車)および/または公共スペース(ホール、ホテル、モールなど)で使用可能な、空気消臭剤や「すぐに使える」粉末エアフレッシュナーなどのエアケア製品;または、カビ取り剤、家具手入れ用品、ワイプ、食器用洗剤、もしくは硬質表面(例えば床、浴室、衛生用品もしくは窓掃除)の洗剤などのホームケア製品;レザーケア製品;ポリッシュ、ワックス、またはプラスチッククリーナーなどのカーケア製品;が挙げられる。
【0067】
好ましい賦香組成物または香料入り製品は、香料、布地、または硬質表面洗剤、ヘアケア製品、および布地の柔軟剤もしくは消臭剤である。
【0068】
本発明の化合物を配合することができる布地の洗剤または柔軟剤組成物の典型的な例は、国際公開第97/34986号、または米国特許第4,137,180号明細書および同第5,236,615号明細書、または欧州特許第799885号明細書に記載されている。使用可能なその他の典型的な洗剤および柔軟剤組成物は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, vol. 20, Wiley-VCH, Weinheim, p. 355-540 (2012); Flick, Advanced Cleaning Product Formulations, Noye Publication, Park Ridge, New Jersey (1989); Showell, in Surfactant Science Series, vol. 71: Powdered Detergents, Marcel Dekker, New York (1988); Proceedings of the World Conference on Detergents (4th, 1998, Montreux, Switzerland), AOCS printなどの研究で説明されている。
【0069】
上述した消費者製品ベースのいくつかは、本発明の化合物に対して攻撃的な媒体である場合があるため、例えばカプセル化などによって早期の分解から本発明の化合物を保護することが必要になる可能性がある。
【0070】
本発明の化合物を前述した様々な製品または組成物に配合できる割合は、幅広い範囲の値の中で変動する。これらの値は、香り付けしようとする製品の性質および所望の感覚刺激効果、ならびに賦香併用成分、溶媒、または当該技術分野で一般に使用されている添加剤と本発明の化合物とが混合される際の所定のベース中の賦香併用成分の性質に依存する。
【0071】
例えば、賦香組成物の場合は、典型的な濃度は、それらが配合される組成物の重量を基準として0.0001重量%~10重量%程度またはそれ以上の本発明の化合物であり、好ましくは、それらが配合される組成物の重量を基準として0.001重量%~5重量%の本発明の化合物、好ましくは、それらが配合される組成物の重量を基準として0.001重量%~3重量%の本発明の化合物、更に好ましくは、それらが配合される組成物の重量を基準として0.005重量%~1重量%の本発明の化合物である。香料入り消費者製品の場合、典型的な濃度は、それらが配合される消費者製品の重量を基準として約0.01重量%~5重量%程度またはそれ以上の本発明の化合物である。
【0072】
上述したように、本発明は、長持ちするまたは持続するイチゴの香りを、硬質表面、布地、皮膚、または毛髪などの表面に付与する方法に関する。表面からの蒸発によって環境にイチゴの香りを付与する香料成分は、典型的にはあまり長持ちしないか、持続的ではない。上で概説したように、この1つの理由は、それらの比較的高い揮発性であり、これにより表面付着後の効率的な蒸発が保証される。これのもう1つの理由は、かなりの頻度でこれらの化合物の少量しか表面に効率的に付着しないことである。これは、施与後にすすぎ洗いされる賦香組成物または香料入り製品を介して表面に施与する場合に特に当てはまる。このすすぎ工程は、対象表面に残るべき香料も多量に洗い去る。この場合の例は、施与後にすすぎ落とされる硬質表面クリーナー、洗剤、シャワージェルシャンプーなどの洗浄剤およびクリーニング剤である。さらに、賦香組成物または香料入り製品と表面とを接触させて賦香組成物または香料入り製品と対応する表面との間の分配平衡によって表面に香料を付着させることで表面に賦香することは、香料の付着のためには非効率的な場合がある。この場合の例は、コンディショナー、または芳香柔軟剤などの表面リフレッシュ剤であり、これらは対象物と接触してから除去されるか、放置乾燥される。本発明の式(I)の化合物は、香料、特にはオクタ-2-エン-4-オンの付着の増強に適しており、そのため硬質表面、布地、皮膚、または毛髪などの表面に長持ちするイチゴの香りを付与するのに適している。
【0073】
したがって、本発明の別の態様は、少なくとも1種の式(I)の化合物を賦香組成物または香料入り製品に添加し、それらを対応する対象表面に適用することにより、硬質表面、布地、皮膚、または毛髪などの表面に、長持ちするまたは持続するイチゴの香りを付与する方法に関する。
【0074】
実施例
以降で、本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。これらの中で、略語は当該技術分野における通常の意味を有し、温度は摂氏度(℃)で示される。NMRスペクトルデータは、別途明記がない限り、1Hについては500MHzで、13Cについては125.8MHzで、CDCl3中でBruker AMX 500分光計で記録した。ケミカルシフトdは、標準としてのSi(CH3)4に対するppmで示されている。結合定数JはHzで表される(br.=ブロードピーク)。反応は、N2下で標準的なガラス器具の中で行った。別段の記載がない限り、市販の試薬および溶媒をさらに精製することなく使用した。
【0075】
いくつかの化合物については特定の立体配座または立体配置が示されているが、これは、これらの化合物の使用を記載されている異性体に限定することを意図するものではない。本発明によれば、全ての可能な立体配座または立体配置の異性体が同様の効果を有すると見込まれる。
【0076】
実施例1
長持ちするイチゴの香りを付与する式(1)の化合物の製造
a)(±)-2-(オクチルチオ)オクタン-4-オン(化合物1)の合成
(E)-2-オクテン-4-オン(2.00g、15.9mmol)および1-オクタンチオール(2.27g、15.5mmol)を室温で2週間撹拌した。残りの揮発性物質をバルブ・トゥー・バルブ蒸留により除去することで、3.86g(89%)のわずかに黄色味を帯びた油状物を得た。
【0077】
【0078】
(b)(±)-2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン(化合物2)の合成
(E)-2-オクテン-4-オン(1.00g、7.9mmol)および1-ドデカンチオール(1.57g、7.8mmol)を室温で2週間撹拌した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタンの後にn-ヘプタン/酢酸エチル99:1および97:3)により、1.21g(46%)の黄色の油状物を得た。
【0079】
【0080】
(c)(±)-2-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)プロパン酸(化合物3)の合成
(E)-2-オクテン-4-オン(4.00g、31.7mmol)および2-メルカプトプロパン酸(チオ乳酸、3.30g、31.1mmol)を室温で23時間撹拌した。tert-BuOMeで希釈した後、混合物を水および飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空下で濃縮(最高温度45℃)することで、粗製化合物を黄色の油状物として得た。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/tert-BuOMe9:1~1:1)により、ジアステレオ異性体の混合物(約1.5:1)として4.99g(68%)の黄色の油状物を得た。
【0081】
【0082】
(d)(±)-3-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)プロパン酸(化合物4)の合成
(E)-2-オクテン-4-オン(2.00g、15.9mmol)および3-メルカプトプロパン酸(1.65g、15.6mmol)を用いて、化合物3について説明したとおりにした。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/tert-BuOMe9:1~7:3)により、0.39g(11%)の黄色の油状物を得た。
【0083】
【0084】
(e)(±)-2-メチル-3-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)プロパン酸(化合物5)の合成
(E)-2-オクテン-4-オン(2.00g、15.9mmol)および3-メルカプト-2-メチルプロパン酸を用いて45時間、化合物3について説明したとおりにした。バルブ・トゥー・バルブ蒸留(100℃、0.4mbar)を行い残りの2-オクテン-4-オンを除去し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/tert-BuOMe9:1~1:1)を行うことで、ジアステレオ異性体の混合物(約1:1)として2.47g(63%)の黄色の油状物を得た。
【0085】
【0086】
(f)(±)-2-((2-ヒドロキシエチル)チオ)オクタン-4-オン(化合物6)の合成
2-メルカプトエタノール(3.12g、39.5mmol)のテトラヒドロフラン(THF、25mL)溶液を、(E)-2-オクテン-4-オン(5.37g、41.6mmol)と1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU、0.65mL、4.3mmol)のTHF(50mL)溶液に45~50℃で滴下した。約50℃で一晩撹拌した後、反応混合物を酢酸エチルとNaHCO3水溶液(10%)との混合物で処理した。デカンテーションした後、有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、水層を酢酸エチルで再抽出した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、濃縮した。バルブ・トゥー・バルブ蒸留(150℃、0.056mbar)により、7.66g(90%)の無色の油状物を得た。
【0087】
【0088】
(g)(±)-tert-ブチル(2-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)エチル)カルバメート(化合物7)の合成
THF(20mL)中のtert-ブチル(2-メルカプトエチル)カルバメート(4.62g、25.0mmol)と、THF(30mL)中の(E)-2-オクテン-4-オン(3.28g、25.4mmol)およびDBU(0.40mL、2.6mmol)を用いて、化合物6について説明したとおりにした。バルブ・トゥー・バルブ蒸留(170℃、0.05mbar)により7.01g(87%)の無色の油状物を得た。
【0089】
【0090】
(h)(±)-2-(ドデシルスルフィニル)オクタン-4-オン(化合物8)の合成
氷浴上で、(±)-2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン(1.68g、5.1mmol)のメタノール(20mL)溶液を、NaIO4(1.14g、5.3mmol)の水(11mL)溶液に添加した。反応混合物を室温に温め、エタノール(30mL)を添加した。懸濁液を18時間撹拌した後、酢酸エチル(100mL)で抽出し、NaClの飽和水溶液(50mL)、NaHSO3水溶液(10%、50mL)、水(50mL)、飽和NaHCO3水溶液(50mL)、および飽和NaCl水溶液(50mL)で洗浄した。水相をそれぞれ酢酸エチル(70mL)で再抽出した。合わせた有機相を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮し、高真空下で2時間乾燥した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/酢酸エチル7:3、次いで1:1、次いで1:4)により、0.66g(37%)の白色の固形物を得た。
【0091】
【0092】
(i)(±)-2-(ドデシルスルホニル)オクタン-4-オン(化合物9)の合成
氷浴上で、オキソン(2KHSO5/KHSO4/K2SO4、4.71g、31.0mmol)の水(25mL)溶液を、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン(2.09g、6.4mmol)のメタノール(50mL)溶液に添加した。温度を10℃に到達させた。氷浴を外し、懸濁液を2時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で抽出し、飽和NaCl水溶液(50mL)、水(50m)、飽和NaHSO3水溶液(50mL)、および飽和NaCl水溶液(50mL)で洗浄した。水相をそれぞれ酢酸エチル(50mL)で再抽出した。合わせた有機相を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮し、高真空下で2時間乾燥した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/酢酸エチル9:1、次いで1:1)により、1.42g(62%)の白色の固形物を得た。
【0093】
【0094】
(j)(±)-2-(ドデシルアミノ)オクタン-4-オン(化合物10)の合成
(E)-2-オクテン-4-オン(1.00g、7.9mmol)、1-ドデシルアミン(0.98g、5.3mmol)、およびジメチルスルホキシド(DMSO、1mL)を50℃で5時間加熱して粗製化合物を得た。サンプル(1mL)を取り出し、水(3mL)で洗浄し、酢酸エチル(4mL)で抽出した。残りの揮発性化合物をバルブ・トゥー・バルブ蒸留(35℃、0.2mbar)で2時間除去することで、少量の(E)-2-オクテン-4-オンを依然として含む0.5gの黄色の油状物を得た。残りの粗製化合物からバルブ・トゥー・バルブ蒸留によって揮発性物質を直接除去することで、さらに0.89gの黄色の油状物を得た。
【0095】
【0096】
(k)(±)-メチルN,S-ビス(4-オキソオクタン-2-イル)-L-システイネート(化合物11)の合成
(R)-メチル2-アミノ-3-メルカプトプロパノエート塩酸塩(L-システインメチル塩酸塩、2.23g、13.0mmol)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(1.85g、14.3mmol)、および(E)-2-オクテン-4-オン(3.30g、26.0mmol)をDMSO(35mL)に溶解し、室温で8日間撹拌した。反応混合物を水(150mL)で洗浄し、酢酸エチル(150mL、2回)で抽出した。有機相を水(50mL、3回)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濃縮した。真空下で乾燥(0.5mbarで2時間、50℃で15分間)することで、橙色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/酢酸エチル9:1~4:1)を行い、高真空下(0.07mbar、30℃で2時間)で乾燥することで、1.63g(32%)の黄色ないし橙色の油状物(ジアステレオ異性体の混合物)を得た。
【0097】
【0098】
(l)(±)-2-(ベンジルオキシ)オクタン-4-オン(化合物12)の合成
(E)-2-オクテン-4-オン(27.00g、214.0mmol)のベンジルアルコール(69.40g、642.0mmol)溶液に、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(4.95g、43.0mmol)を添加した。反応混合物を40℃で40時間撹拌した。真空下での分別蒸留(0.08mbar、80~109℃)を行うことで、33.26g(66%)のわずかに黄色味を帯びた油状物を得た。
【0099】
【0100】
(m)(±)-4-オキソオクタン-2-イルウンデカ-10-エノエート(化合物13)の合成
(i)4,5-ジクロロ-3,6-ジオキソシクロヘキサ-1,4-ジエン-1,2-ジカルボニトリル(DDQ、11.60g、51.2mmol)と水(20mL)を、(±)-2-(ベンジルオキシ)オクタン-4-オン(化合物12、10.00g、42.7mmol、前述したとおりに製造)のジクロロメタン(180mL)溶液に添加した。6時間後、混合物をCelite(登録商標)で濾過した。濾液をNaHCO3(50mL)およびNaCl(2×50mL)の飽和水溶液で洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、濾過した。溶媒を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/酢酸エチル95:5から70:30から50:50)により精製することで、3.89g(63%)の(±)-2-ヒドロキシオクタン-4-オンを橙色の油状物として得た。
【0101】
【0102】
(ii)10-ウンデセノイルクロリド(2.32g、11.4mmol)を、ジクロロメタン(30mL)中の(±)-2-ヒドロキシオクタン-4-オン(1.50g、10.4mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.67g、13.7mmol)、およびトリエチルアミン(1.37g、13.5mmol)の撹拌されている溶液に室温で添加した。反応混合物を室温で30時間撹拌し、その後HClの水溶液(10%、30mL)に注ぎ入れ、ジエチルエーテル(30mL)で抽出し、NaCl(30mL)、NaHCO3(30mL)、およびNaCl(2×30mL)の飽和水溶液で洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。反復カラムクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/酢酸エチル90:10および95:5)を行うことで、1.23g(38%)の(±)-(1-メチル-3-オキソ-ヘプチル)ウンデカ-10-エノエートを無色の油状物として得た。
【0103】
【0104】
(n)(±)-2-エチルヘキシル2-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)アセテート(化合物14)の合成
(E)-2-オクテン-4-オン(3.00g、23.8mmol)および2-エチルヘキシル2-メルカプトアセテート(4.86g、23.8mmol)を室温で24日間撹拌した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/酢酸エチル90:10)を行うことで、0.57g(7%)のわずかに黄色味を帯びた油状物をジアステレオ異性体の混合物として得た。
【0105】
【0106】
(o)(±)-エタン-1,2-ジイルビス(2-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)アセテート)(化合物15)の合成
(E)-2-オクテン-4-オン(3.00g、23.8mmol)およびエタン-1,2-ジイルビス(2-メルカプトアセテート)(2.30g、10.9mmol)を室温で72時間撹拌した。連続カラムクロマトグラフィー(SiO2、最初にトルエン/メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)90:10、次いで純粋なトルエンから開始してトルエン/MTBE90:10に移行)および高真空下での乾燥(3時間)を行うことで、約6%の2-(2-メルカプトアセトキシ)エチル2-((4-オキソオクタン-2-イル)チオ)アセテートを含む3.06g(60%)のわずかに黄色味を帯びた油状物をジアステレオ異性体の混合物として得た。
【0107】
【0108】
実施例2
本発明の式(I)の化合物を含む布地柔軟剤ベースの性能
本発明の式(I)の化合物からの長持ちするイチゴの香りの発生を、以下の最終組成を有する、布地柔軟作用を有する界面活性剤エマルションで試験した:
Stepantex(登録商標)VL90 A(製造元:Stepan) 12.21重量%
塩化カルシウム(10%水溶液) 0.40重量%
Proxel(登録商標)GXL(製造元:Avecia) 0.04重量%
水 87.35重量%
a)ヘッドスペースの測定
フラスコの中で、エタノール(10mL)中の実施例1に記載の本発明の式(I)の化合物のうちの1つ(0.055mmol)の溶液(0.1mL)を、水(0.90mL)中の布地柔軟剤(0.07g)に添加した。均一にした後、脱塩化された冷たい水道水(23.3mL)でサンプルを希釈した。1枚の綿シート(無香料粉末洗剤で予め洗浄し、約15cm×15cmのシートにカットしたEMPA綿製試験布Nr.221、製造元:Eidgenoessische Materialpruefanstalt、約5.2g)を入れて手で3分間かき混ぜ、2分間放置した後、手で絞り、秤量(約10.0g)して一定量の残留水を得た。エタノール(10mL)中の等モル量の未修飾(E)-2-オクテン-4-オン(0.055mmol)からなる参照サンプル(0.1mL)を、水(0.90mL)中の布地柔軟剤(0.07g)に添加し、同じ方法で分析した。綿シートを、1日間または3日間吊り干し乾燥してから分析した。測定のために、シートをヘッドスペースサンプリングセル(内部容積約160mL)の中に入れ、これを25℃の恒温にし、約200mL/分の一定の気流に曝露した。活性炭を通して空気を濾過し、NaClの飽和溶液を通して吸引した(空気の湿度を約75%で一定にするため)。揮発性物質を廃棄用Tenax(登録商標)カートリッジ(Tenax(登録商標)TA吸着剤樹脂100mgを充填)に吸着させながら、系を15分間平衡化した。次いで、連続して7回、揮発性物質を清浄なTenax(登録商標)カートリッジで15分間、廃棄用Tenax(登録商標)カートリッジで45分間吸着させた。あるいは、揮発性物質を廃棄用Tenax(登録商標)カートリッジに吸着させながら系を135分間平衡化した後、1つのデータポイントを記録した。その後、揮発性物質を清浄なTenax(登録商標)カートリッジに15分間吸着させた。廃棄用カートリッジは廃棄し、その他のカートリッジは、HP-1キャピラリーカラム(30m、内径0.32μm、膜0.25μm)およびFID検出器を備えたAgilent Technologies 7890Aガスクロマトグラフに取り付けられたPerkin Elmer TurboMatrix ATD脱離装置で脱離させた。揮発性物質は、15℃/分で60℃から220℃まで移行する温度勾配を使用して分析した。ヘッドスペース濃度(ng/L空気)は、エタノール中で放出される異なる濃度の芳香成分を使用して、外部標準校正により得た。各校正溶液(0.2mL)を清浄なTenax(登録商標)カートリッジに注入し、これを同じ条件で脱離させて分析した。表1に、1日間および3日間の吊り干し乾燥後の乾燥綿上での総サンプリング時間150分後の(E)-2-オクテン-4-オンの蒸発について得られた結果がまとめられている。全てのデータは、少なくとも2回の測定の平均値である。
【0109】
【0110】
式(I)の化合物は、参照試料と少なくとも同等であるが、大部分はそれより多い量の(E)-2-オクテン-4-オンを乾燥綿上のヘッドスペースに放出した。したがって、本発明の式(I)の化合物は、綿の表面に長持ちするイチゴの香りを付与することができる。
【0111】
b)官能評価
綿のテリータオル(30片、18cm×18cm、各約30g)を、短サイクルプログラムを使用して、30gの無香料洗剤を用いて欧州製の洗濯機(Miele Novotronic W300-33CH)で40℃で洗浄した。洗浄後、化合物2または等モル量の(E)-2-オクテン-4-オンを含有する12.7gの上述した濃縮布地柔軟剤を用いて900rpmですすぎ洗いした。次いで、テリータオルを24時間吊り干し乾燥し、その後、訓練を受けた20人のパネリストのパネルで評価した。パネリストには、タオルの香りの強さを1から7の尺度で評価するように求めた。1は無臭に相当し、7は非常に強い香りに相当する。
【0112】
結果を以下の表2に示す。
【0113】
【0114】
(E)-2-オクテン-4-オンを放出する本発明の化合物の、乾燥布地上での性能は、特に3日後、(E)-2-オクテン-4-オンよりも高かった。したがって、本発明の式(I)の化合物は、長持ちするイチゴの香りを付与することができ、これは表1で報告した上述したヘッドスペース分析を裏付けるものである。
【0115】
実施例3
本発明の式(I)の化合物を含む多目的硬質表面クリーナー配合物の性能
本発明の式(I)の化合物からの長持ちするイチゴの香りの発生を、多目的表面クリーナー(APC)で試験した。以下の最終組成を有するAPC配合物を製造した:
Neodol(登録商標) 91-8(製造元:Shell Chemicals) 5.0重量%
Marlon(登録商標) A 375(製造元:Huels AG) 4.0重量%
クモールスルホン酸ナトリウム 2.0重量%
Kathon(登録商標) CG(製造元:Rohm and Haas) 0.2重量%
水 88.8重量%
フラスコの中で、本発明の式(I)の化合物のうちの1種(0.0369mmol)をエタノール(100μm)に溶解した。次いで、APC配合物(3.0g)を添加し、サンプルを穏やかに振とうした。これらのサンプルの一定分量(1mL)をピペットで取り、脱塩した水道水(9mL)で希釈した。この溶液の膜(0.75mL)を多孔質セラミックプレート(約5×10cm)の上にピペットでのせ、結晶皿(2.5L)で覆い、室温で放置した。同様に、エタノール(100μm)中の本発明の式(I)の化合物のうちの1種ではなく未修飾の(E)-2-オクテン-4-オン(0.0369mmol)からなる参照サンプルを準備し、同じ方法で処理した。
【0116】
1日後、各セラミックプレートをヘッドスペースサンプリングセル(約625mL)の内側に置き、約200mL/分の一定の気流に曝露した。活性炭を通して空気を濾過し、NaClの飽和水溶液を通して吸引した(空気の湿度を約75%で一定にするため)。揮発性物質を廃棄用Tenax(登録商標)カートリッジに吸着させることにより、ヘッドスペースの系を15分間平衡化した。次いで、揮発性物質を清浄なTenax(登録商標)カートリッジで10分間、廃棄用Tenax(登録商標)カートリッジで20分間、交互に吸着させた(6回)。廃棄用カートリッジを廃棄し、清浄なカートリッジは、実施例2で記載したとおりに脱離させて分析した。全ての測定は少なくとも2回行った。多孔質セラミックプレート上で115分間のサンプリング後の、実施例1で製造した式(I)の化合物から、または参照サンプルから放出された(E)-2-オクテン-4-オンの平均ヘッドスペース濃度を表3に記載する。表3には、参照サンプルに対する、本発明の式(I)の化合物から放出された(E)-2-オクテン-4-オンの増加割合も示されている。
【0117】
【0118】
1日後、実施例1で製造した本発明の式(I)の化合物は、参照サンプルよりも多くの(E)-2-オクテン-4-オンをヘッドスペースに放出する。したがって、本発明の式(I)の化合物は、APC用途から、長持ちするかつ持続するイチゴの香りを硬質表面に付与することができる。
【0119】
実施例4
本発明の式(I)の化合物を含有するヘアコンディショニング配合物の性能
本発明の式(I)の化合物からの長持ちするイチゴの香りの発生を、ヘアコンディショニング用途で試験した。以下の最終組成を有するヘアコンディショニング配合物を製造した:
Dehyquart(登録商標) C 4046(製造元:BASF) 5.00重量%
グリセリン(85%)(製造元:Brenntag) 2.00重量%
Paraffinum Perliquidum(製造元:Acros) 2.00重量%
Genamin(登録商標) CTAC(製造元:Clariant) 1.00重量%
Xiameter MEM-949カチオン性エマルション(製造元:Xiameter) 1.00重量%
Jaguar(登録商標) C14 S(製造元:Lubrizol) 0.30重量%
Kathon(登録商標) CG(製造元:Rohm and Haas) 0.08重量%
EDTA B粉末(製造元:BASF) 0.05重量%
水(脱イオン化) 88.57重量%
正確に0.4mmolの化合物をメスフラスコ(5mL)の中に量り入れ、エタノールで満たすことにより本発明の式(I)の化合物のうちの1種のエタノール溶液を製造した。同様に、等モル量の(E)-2-オクテン-4-オンを含む参照溶液を製造した。
【0120】
上述したヘアコンディショナー配合物(920mg)をサンプルチューブ(3mL)に量り入れ、次いで、本発明の式(I)の化合物のうちの1種または(E)-2-オクテン-4オン(参照)が入っているエタノール溶液(100μL)を添加した。チューブを閉じ、振とう(50回)し、手動遠心分離機(約3500rpm)で30秒間遠心分離した。
【0121】
白人の毛髪見本(製造元:Kerling International Haarfabrik GmbH、長さ約10cm、約0.5g)をすすぎ洗いし、2L/分の流れの37℃の水道水で約30秒間擦り合わせ、指先で余分な水を絞り出した。無香料のシャンプー(0.1g)を毛髪見本に塗り広げ、これを30秒間洗浄した。次いで、シャンプーを37℃の水道水で30秒間すすぎ洗いし、指先で余分な水を絞り出した。その後、本発明の式(I)の化合物または参照としての(E)-2-オクテン-4-オンのいずれかが入っているヘアコンディショニング配合物(0.1g)を毛髪見本に塗り広げた。毛髪見本を指先の間で1分間優しく擦り、1回とかしてから吊り干し乾燥した。
【0122】
6時間後、毛髪見本をとかし(10回)、内部容積が約165mLのサーモスタット(25℃)ヘッドスペースサンプリングセルの中に粘着テープで固定した。一定流量の空気(200mL/分)をサンプル全体にポンプで送った。入ってくる空気は、活性炭を通して、および飽和NaCl水溶液を通して濾過した。揮発性物質を廃棄用Tenax(登録商標)カートリッジに吸収させることにより、系を10分間平衡化した。次いで、揮発性物質を最初に清浄なTenax(登録商標)カートリッジに10分間吸着させ、さらに10分間2番目の清浄なTenax(登録商標)カートリッジに吸着させた。その後、ポンプを停止した。毛髪見本を、カートリッジに接続せずにヘッドスペースサンプリングセルの中に放置した。24時間後、廃棄用Tenax(登録商標)カートリッジを接続し、ポンプのスイッチを入れ、系を10分間平衡化した。その後、揮発性物質を2つの清浄なTenax(登録商標)カートリッジに連続して10分間吸着させた。廃棄用カートリッジを廃棄し、清浄なカートリッジを実施例2に記載のとおりに脱離させて分析した。全ての測定は少なくとも2回行った。
【0123】
6時間もしくは24時間後の実施例1で製造した式(I)の化合物から、または参照サンプル(最初のカートリッジから脱離)から放出された(E)-2-オクテン-4-オンの平均ヘッドスペース濃度を表4に記載する。表4には、参照サンプルに対する、本発明の式(I)の化合物から放出された(E)-2-オクテン-4-オンの増加割合も示されている。
【0124】
【0125】
6時間後と24時間後の両方で、実施例1で製造した本発明の式(I)の化合物は、参照サンプルよりも多くの(E)-2-オクテン-4-オンをヘッドスペースに放出する。したがって、本発明の式(I)の化合物は、ヘアコンディショニング用途から、長持ちする持続的なイチゴの香りを毛髪に付与することができる。
【0126】
実施例5
本発明の化合物を含有する液体洗剤の製造
【表5】
【0127】
液体洗剤は、液体洗剤の総重量に対して0.01~5重量%、好ましくは0.5~1.5重量%の本発明の化合物2を、穏やかに振とうしながら表5の無香料液体洗剤配合物に添加することにより製造する。
【0128】
実施例6
本発明の組成物を含有する透明な等張性シャンプーの製造
【表6】
【0129】
シャンプーは、ポリクオタニウム-10を水に分散させることによって製造する。相Aの残りの成分は、各添加後に十分に混合しながら、順々に添加することにより別々に混合する。このプレミックスをポリクオタニウム-10分散液に添加し、さらに5分間混合する。その後、予備混合された相Bおよび予備混合された相Cを、撹拌しながら添加する(Monomuls 90L-12は、Texapon NSO ISの中で融解させるために加熱される)。撹拌しながら相Dと相Eを添加する。pHをクエン酸溶液でpH:5.5~6.0に調整することで、無香料のシャンプー配合物を得る。
【0130】
香料入りシャンプーは、シャンプーの総重量に対して0.01~5重量%、好ましくは0.5~1.5重量%の本発明の化合物2を、穏やかに振とうしながら表6の無香料シャンプー配合物に添加することにより製造する。
【0131】
実施例7
本発明の組成物を含有する構造化シャワージェルの製造
【表7】
【0132】
シャワージェルは、シャワージェルの総重量に対して0.01~5重量%、好ましくは0.5~1.5重量%の本発明の化合物2を、穏やかに振とうしながら表7の無香料シャワージェル配合物に添加することにより製造する。
【0133】
実施例8
本発明の組成物を含有する透明なシャワージェルの製造
【表8】
【0134】
透明なシャワージェルは、シャワージェルの総重量に対して0.01~5重量%、好ましくは0.5~1.5重量%の本発明の化合物2を、穏やかに振とうしながら表8の無香料シャワージェル配合物に添加することにより製造する。
【0135】
実施例9
本発明の組成物を含有する乳白色シャワージェルの製造
【表9】
【0136】
透明なシャワージェルは、シャワージェルの総重量に対して0.01~5重量%、好ましくは0.5~1.5重量%の本発明の化合物9を、穏やかに振とうしながら表8の無香料シャワージェル配合物に添加することにより製造する。
【0137】
実施例10
本発明の組成物を含有する手洗い用食器洗浄配合物の製造
【表10】
【0138】
水酸化ナトリウムを含む水とジエタノールアミドとを混合する。LASを添加する。LASを中和した後、残りの成分を添加する。pHを確認し(=7~8)、必要に応じて調整する。
【0139】
香料入り手洗い用食器洗浄配合物は、手洗い用食器洗浄配合物の総重量に対して0.01~5重量%、好ましくは0.5~1.5重量%の本発明の化合物2を、穏やかに振とうしながら表10の無香料手洗い用食器洗浄配合物に添加することにより製造する。