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特許7369717光方向転換フィルム、バックライト、及びディスプレイシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】光方向転換フィルム、バックライト、及びディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231019BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20231019BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20231019BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231019BHJP
【FI】
F21S2/00 481
G02B5/02 B
G02F1/13357
F21Y115:10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020561797
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 IB2019053540
(87)【国際公開番号】W WO2019211752
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】62/666,487
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ボイド,ゲイリー ティー.
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-311026(JP,A)
【文献】特開2010-062112(JP,A)
【文献】特開2013-109242(JP,A)
【文献】特表2010-510544(JP,A)
【文献】国際公開第2007/049511(WO,A1)
【文献】特表2013-531866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02B 5/02
G02F 1/13357
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ表面に均一な照明を提供するためのバックライトであって、前記ディスプレイ表面は前記バックライト上に配設されており、前記バックライトは、
前記ディスプレイ表面内の重なっていない複数の照明ゾーンを1対1の対応関係で照明するように構成された、間隔をあけた個別の複数の光源と、
前記複数の光源上に配設される第1の微細構造化フィルムであって、前記ディスプレイ表面が前記第1の微細構造化フィルム上に配設されており、かつ、前記光源が通電されているとき、各光源によって放出される光の少なくとも80%が、前記ディスプレイ表面内の対応する照明ゾーンを照明し、前記複数の照明ゾーンにわたる光度分布は、平均I及び標準偏差Sを有し、S/I<1である、第1の微細構造化フィルムと、
を備え
前記第1の微細構造化フィルムは、基材上で第1の方向に沿って延び、かつ、直交する第2の方向に沿って並べて配置された、間隔をあけた実質的に平行な複数の構造体を含み、前記構造体は、前記複数の光源から離れる方向を向いており、各構造体は、互いに反対を向いてピークで合流する湾曲ファセットを含み、前記ピークは前記第1の方向に沿って延び、前記第1の方向に対して実質的に垂直な平面内の前記第1の微細構造化フィルムの断面において、
前記構造体の隣り合うピーク間の平均横方向間隔はPであり、
前記構造体の隣り合う基部間の平均横方向間隔はWであり、0.1≦W/P≦0.2である、バックライト。
【請求項2】
前記ディスプレイ表面は、複数の画素を備える画素化された表面であり、各照明ゾーンは、200~1000個の画素を含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項3】
前記間隔をあけた個別の複数の光源内の各光源は、前記第1の微細構造化フィルムのすぐ後方に配置され、前記第1の微細構造化フィルムに面している、請求項1に記載のバックライト。
【請求項4】
前記光源間の平均横方向間隔はS1であり、前記照明ゾーン間の平均横方向間隔はS2であり、S2/S1≦10である、請求項1に記載のバックライト。
【請求項5】
前記複数の光源は、総発光面積Eを有し、前記第1の微細構造化フィルムの総面積はAであり、0.9<A/E<2である、請求項1に記載のバックライト。
【請求項6】
隣接する照明ゾーン間の平均横方向間隔はS2であり、前記照明ゾーンの平均横方向寸法はS3であり、S2/S3≦0.1である、請求項1に記載のバックライト
【請求項7】
前記第1の微細構造化フィルムは、前記複数の光源によって放出された光を拡散させるための光学拡散体を更に含む、請求項に記載のバックライト。
【請求項8】
前記第1の微細構造化フィルム上に配設された第2の微細構造化フィルムを更に備え、前記第1の微細構造化フィルムは、前記第2の微細構造化フィルムと前記複数の光源との間に配設されている、請求項に記載のバックライト。
【請求項9】
前記ディスプレイ表面が前記第1の微細構造化フィルム上に配設されており、かつ、前記光源が通電されているとき、各照明ゾーンにわたる光度分布は、平均Iz及び標準偏差Szを有し、Sz/Iz<0.8である、請求項1に記載のバックライト。
【請求項10】
光方向転換フィルムであって、
基材上で第1の方向に沿って延び、かつ、直交する第2の方向に沿って並べて配置された、間隔をあけた実質的に平行な複数の構造体を備え、各構造体は、互いに反対を向いてピークで合流する湾曲ファセットを含み、前記ピークは、前記第1の方向に沿って延び、
前記第1の方向に対して実質的に垂直な平面内の前記光方向転換フィルムの断面において、
前記構造体の隣り合うピーク間の平均横方向間隔はPであり、
前記構造体の隣り合う基部間の平均横方向間隔はWであり、0.1≦W/P≦0.2であり、
前記構造体の前記湾曲ファセットに対するベストフィット曲率半径の平均はRであり、0.6≦R/P≦1.1であり、前記構造体は屈折率n1を有し、前記基材は屈折率n2を有し、n1≧1.5であり、n1-n2≧0.02である、
光方向転換フィルム。
【請求項11】
15≦R≦25マイクロメートルである、請求項10に記載の光方向転換フィルム。
【請求項12】
前記第1の方向に対して実質的に垂直な平面内の前記光方向転換フィルムの前記断面において、各構造体の前記ピークから前記構造体の基部の端部まで引かれる線は、前記基部と、約30度~約60度の範囲の角度をなす、請求項10に記載の光方向転換フィルム。
【請求項13】
ディスプレイ表面に均一な照明を提供するためのバックライトであって、前記ディスプレイ表面は、前記バックライト上に配設されており、前記バックライトは、
前記ディスプレイ表面内の重なっていない複数の照明ゾーンを1対1の対応関係で照明するように構成された、間隔をあけた個別の複数の光源と、
前記複数の光源上に配設される、請求項1012のうちのいずれか一項に記載の光方向転換フィルムであって、前記ディスプレイ表面が前記光方向転換フィルム上に配設されており、前記光源が通電されているとき、各光源によって放出される光の少なくとも80%が、前記ディスプレイ表面内の対応する照明ゾーンを照明し、前記複数の照明ゾーンにわたる光度分布は、平均I及び標準偏差Sを有し、S/I<1である、光方向転換フィルムと、
を備える、バックライト。
【請求項14】
複数の画素及び重なっていない複数の照明ゾーンを含む画素化されたディスプレイ表面であって、各照明ゾーンは、前記画素のうちの少なくとも10個を含む、画素化されたディスプレイ表面と、
前記ディスプレイ表面の後方に配設された間隔をあけた個別の光源の2次元アレイであって、各光源は、前記照明ゾーンのうちの1つと1対1で対応している、2次元アレイと、
前記ディスプレイ表面と前記2次元アレイとの間に配設される光方向転換フィルムであって、前記光方向転換フィルムは、基材上で第1の方向に沿って延び、かつ、直交する第2の方向に沿って並べて配置された、間隔をあけた実質的に平行な複数の構造体を含み、前記構造体は、前記2次元アレイから離れる方向を向いており、各構造体は、互いに反対を向いてピークで合流する湾曲ファセットを含み、前記ピークは前記第1の方向に沿って延び、前記第1の方向に対して実質的に垂直な平面内の前記光方向転換フィルムの断面において、前記構造体の隣り合うピーク間の平均横方向間隔はPであり、前記構造体の隣り合う基部間の平均横方向間隔はWであり、0.1≦W/P≦0.2である、光方向転換フィルムと、
各画素に個々にアドレス指定し、かつ、各光源を個々に通電するためのコントローラであって、通電されているとき、各光源によって放出される光の少なくとも80%が、前記光源に対応する前記照明ゾーンを照明する、コントローラと、
を備える、ディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
液晶ディスプレイ(LCD)は、典型的に、バックライトを使用してLCDディスプレイパネルに光を提供する。ディスプレイによって提供されるコントラストは、LCDディスプレイパネルがバックライトからの光を遮断する能力によって制限される。高ダイナミックレンジ(HDR)LCDディスプレイは、ディスプレイのコントラストを増大させるために局所調光を利用することができる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイ表面に均一な照明を提供するためのバックライトであって、ディスプレイ表面がバックライト上に配設されている、バックライトが提供される。バックライトは、ディスプレイ表面内の重なっていない複数の照明ゾーンを1対1の対応関係で照明するように構成された、間隔をあけた個別の複数の光源と、複数の光源上に配設され、かつ、複数の光源に面している第1の微細構造化フィルムであって、ディスプレイ表面が第1の微細構造化フィルム上に配設されており、かつ、光源が通電されているとき、各光源によって放出される光の少なくとも80%が、ディスプレイ表面内の対応する照明ゾーンを照明する、第1の微細構造化フィルムと、を含む。複数の照明ゾーンにわたる光度分布は、平均I及び標準偏差Sを有し、S/I<1である。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、光方向転換フィルムが提供される。光方向転換フィルムは、基材上で第1の方向に沿って延び、かつ、直交する第2の方向に沿って並べて配置された、間隔をあけた実質的に平行な複数の構造体を含む。各構造体は、互いに反対を向いてピークで合流する湾曲ファセットを含む。ピークは、第1の方向に沿って延びている。第1の方向に対して実質的に垂直な平面内の光方向転換フィルムの断面において、構造体の隣り合うピーク間の平均横方向間隔はPであり、構造体の隣り合う基部間の平均横方向間隔はWであり、構造体の湾曲ファセットに対するベストフィット曲率半径の平均はRであり、0.1≦W/P≦0.2であり、0.6≦R/P≦1.1である。光方向転換フィルムのいくつかの実施形態では、構造体は屈折率n1を有し、基材は屈折率n2を有し、n1≧1.5であり、n1-n2≧0.02である。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイシステムが提供される。ディスプレイシステムは、画素化されたディスプレイ表面と、ディスプレイ表面の後方に配設された間隔をあけた個別の光源の2次元アレイと、コントローラと、を含む。画素化されたディスプレイ表面は、複数の画素及び重なっていない複数の照明ゾーンを含み、各照明ゾーンは、画素のうちの少なくとも10個を含む。間隔をあけた個別の光源の2次元アレイ内の各光源は、照明ゾーンのうちの1つと1対1で対応している。コントローラは、各画素に個々にアドレス指定し、かつ、各光源を個々に通電するためのものであり、通電されているとき、各光源によって放出される光の少なくとも80%が、光源に対応する照明ゾーンを照明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】光方向転換フィルムの概略断面図である。
図2A】バックライトを含むディスプレイシステムの概略分解図である。
図2B図2Aのディスプレイシステムに含まれる光源の概略断面図である。
図2C図2Aのディスプレイシステムに含まれるディスプレイ表面の概略上面図である。
図2D図2Aのディスプレイシステムに含まれる、それぞれ第1の微細構造化フィルムの微細構造体がそれに沿って延びる第1の方向、及び第2の微細構造化フィルムの微細構造体がそれに沿って延びる第2の方向を示す概略上面図である。
図3】湾曲ファセットを備える構造体を有する光方向転換フィルムを含むバックライトに関する平均強度で除算した強度の標準偏差の、湾曲ファセットの平均ベストフィット曲率半径Rの関数としてのプロットである。
図4】構造体を有する光方向転換フィルムを含むバックライトに関する平均強度で除算した強度の標準偏差の、W/Pの関数としてのプロットであり、Wは構造体の隣り合う基部間の平均横方向間隔であり、Pは構造体の隣り合うピーク間の平均横方向間隔である。
図5】基材上に配設された構造体を有する光方向転換フィルムを含むバックライトに関する平均強度で除算した強度の標準偏差の、構造体の屈折率の関数としてのプロットである。
図6】第1の光方向転換フィルム上に配設された第2の光方向転換フィルムを含むバックライトに関する、平均強度で除算した強度の標準偏差の、第2の光方向転換フィルム及び第1の光方向転換フィルムの基材の厚さの比の関数としてのプロットである。
図7】光学拡散体の概略断面図である。
図8】光学拡散体の概略断面図である。
図9A】第1の視野角では第1の方向に光を散乱させ、第2の視野角では第1の方向に直交する第2の方向に光を散乱させる、光学拡散体を示す概略断面図である。
図9B】第1の視野角では第1の方向に光を散乱させ、第2の視野角では第1の方向に直交する第2の方向に光を散乱させる、光学拡散体を示す概略断面図である。
図10】間隔をあけた個別の光源の2次元アレイの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0007】
高ダイナミックレンジ(HDR)液晶ディスプレイ(LCD)は、典型的には、LCDパネルの輝度の範囲を局所的に増強するために、バックライトにおいて光源のアレイを利用する。発光ダイオード(LED)は、HDRバックライトのための便利な光源である。場合によっては、そのようなディスプレイのコストは、単位面積当たりのLEDの数を減らすことによって低減される。しかしながら、その結果として生じるLED間の距離又はピッチは、バックライトの空間的均一性を減少させることがある。この場合の均一性を向上させるために、更なる拡散体を追加することができる。しかしながら、これにより、異なる複数のLEDによって照明される異なるゾーン間のクロストークも増大する。バックライトを含むLCDの厚さを、5mm未満の値まで、又はモバイルディスプレイについては更に薄く(例えば、2mm未満)最小限に抑えることが望ましいことも多い。したがって、望まれる目標は、低い厚さの光学素子を使用して、好適な広さの面積にわたって個別の光源から光を拡散させて、異なる照明ゾーン間における実質的に望ましくないクロストークをもたらすことなく、所望の空間均一性を達成することである。本明細書のいくつかの実施形態によれば、所望のサイズ(例えば、200~1000画素)を有する重なっていない複数の照明ゾーンを、所望の均一性の強度(例えば、複数の照明ゾーンにわたる光度分布は、隣接する照明ゾーン間における実質的なクロストークなしに、平均I及び標準偏差Sを有してもよく、S/I<1である)で照明することを可能にする微細構造化された光方向転換フィルムが提供される(例えば、光源が通電されているとき、各光源によって放出される光の少なくとも80%が、光源に対応する照明ゾーンのみを照明することができる)。例えば、このような光方向転換フィルムを組み込んだHDRディスプレイは、低輝度領域及び高輝度領域の空間分解能を改善することができる。
【0008】
図1は、第1の方向(図1に示すx-y-z座標系を参照するとz方向)に沿って延び、かつ、基材720上の直交する第2の方向(y方向)に沿って並べて配置された、間隔をあけた実質的に平行な複数の構造体710を含む、光方向転換フィルム700の概略断面図である。構造体710は、1mm未満の少なくとも1つの寸法を有してもよく(例えば、構造体710の幅は、約1マイクロメートル~約500マイクロメートルの範囲であり得る)、したがって、構造体710は、微細構造体と呼ぶことができ、光方向転換フィルム700は、微細構造化フィルムと呼ぶことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、バックライト(例えば、HDRバックライト)は、光方向転換フィルム700のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムは、より多くの光方向転換フィルム700のうちの1つを含むバックライトを含み、あるいは他の場合には光方向転換フィルム700のうちの1つ以上を含む。HDRバックライトにおいては、クロストークを最小限に抑えるために、個別の各光源によって画定される照明ゾーンを分離することが望ましい。これは、光方向転換フィルムのカットオフ角度によって達成することができ、出力輝度は、急激に減少し、個別の各照明ゾーン間に暗い領域が形成される。カットオフ角度は、構造体の形状、構造体の屈折率、基材の屈折率、及び光方向転換フィルム内の任意の拡散層によって求められる。光方向転換フィルム700の有用な幾何学形状及び屈折率については、本明細書の他の箇所に記載する。
【0010】
各構造体710は、互いに反対を向いてピーク712で合流する湾曲ファセット711を含む。ピーク712は、第1の方向に沿って延び、第1の方向に対して実質的に垂直な平面(図1に示すx-y平面)内の光方向転換フィルムの断面において、構造体の隣り合うピーク間の平均横方向間隔はPであり、構造体710の隣り合う基部713間の平均横方向間隔はWであり、構造体の湾曲ファセットに対するベストフィット曲率半径の平均はRである。ファセットの断面におけるベストフィット曲率半径は、円からファセットの表面までの距離の二乗が最小になる、ファセットの表面に対する法線に沿った円の半径である。ベストフィット円の弧709が図1に示されている。ベストフィット曲率半径は、従来の最小二乗フィッティング技法を使用して求めることができる。いくつかの実施形態では、0.1≦W/P≦0.2である。いくつかの実施形態では、0.6≦R/P≦1.1である。いくつかの実施形態では、15マイクロメートル≦R≦25マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、第1の方向に対して実質的に垂直な平面内の光方向転換フィルムの断面において、各構造体710のピーク712から、この構造体710の基部713の端部715まで引かれる線714は、基部713と約30度~約60度の範囲の角度θをなす。いくつかの実施形態では、構造体710は屈折率n1を有し、基材720は屈折率n2を有し、n1≧1.5であり、n1-n2≧0.02である。いくつかの実施形態では、n1-n2≧0.05である。いくつかの実施形態では、1≧n1-n2≧0.02、又は0.5≧n1-n2≧0.02である。屈折率は、異なる指示がない限り、532nmにおいて求められる屈折率を指す。
【0011】
図示の実施形態では、光方向転換フィルム700は、基材720の互いに反対側の主表面上に配設された第1の層730と第2の層732とを含む。いくつかの実施形態では、第1の層730及び第2の層732の一方又は両方を省略してもよい。いくつかの実施形態では、第1の層730及び第2の層732の一方又は両方は、本明細書の他の箇所で更に記載される任意の光学拡散体であり得る光学拡散体である。いくつかの実施形態では、第2の層732は接着剤層であり、第1の層730は、光学拡散体であるか、又は任意選択的には省略される。接着剤層は、光学拡散体(例えば、内部に分散された複数の粒子を含む光学的に透明な接着剤であって、粒子と接着材料とは、例えば少なくとも0.01、又は少なくとも0.03の屈折率の差を有するもの)であってもよい。
【0012】
光方向転換フィルム700は、y-z平面内の光方向転換フィルム700の面積を指す総面積A(例えば、フィルムの長さ×フィルムの幅)を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上の光方向転換フィルム700は、ディスプレイシステムのバックライトに含まれており、光方向転換フィルム700の面積Aは、ディスプレイシステムの視野面積と少なくとも同じ大きさである。
【0013】
いくつかの実施形態では、構造体710は、図1に示されるような凸状ファセット711を含み、いくつかの実施形態では、構造体710は凹状ファセットを含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム又はバックライトは、2つ(又はそれ以上)の光方向転換フィルム700を含み、フィルムのうちの1つの構造体は凸状ファセットを有し、別のフィルムの別の構造体は凹状ファセットを有する。いくつかの実施形態では、光方向転換フィルムは、隣接する構造体710の間に追加の構造体を含む。例えば、隣り合う基部713の間に、構造体710よりも実質的に小さい凹状構造体又は凸状構造体を配設してもよい。別の例として、隣り合う基部713の間に、拡散体(例えば、拡散表面構造体又は拡散コーティング)を配設してもよい。隣接する構造体710の間で追加の構造体又は拡散体を利用することにより、光方向転換フィルム700のうちの1つ以上を含むバックライトの均一性を更に改善することができる。例えば、交差している2つの光方向転換フィルム700がバックライトに含まれる場合、照明ゾーン内の光源の出力画像は、両方のフィルム内の構造体710を光が通過する領域、一方のフィルム内の構造体710、及び他方のフィルム内の構造体710間の空間内を光が通過する領域、並びに両方のフィルム内の構造体710間の空間を光が通過する領域によって形成される。隣接する構造体710間で適切な追加の構造体又は拡散体を選択することにより、これらの領域の相対強度を調整して、照明ゾーンにおける均一性を改善することができる。
【0014】
図2Aは、バックライト1000上に配設されたディスプレイ表面100に均一な照明を提供するための、バックライト1000を含むディスプレイシステム2000の概略分解図である。ディスプレイ表面100は画素化されており、複数の画素110を含む。いくつかの実施形態では、複数の画素110は、個々にアドレス可能である。図示した実施形態では、ディスプレイ表面100は、液晶ディスプレイパネルであり得るディスプレイパネル101のディスプレイ表面である。バックライト1000は、ディスプレイ表面100内の重なっていない複数の照明ゾーン300を1対1の対応関係で照明するように構成された、間隔をあけた個別の複数の光源200と、複数の光源200上に配設され、かつ、複数の光源200に面している第1の微細構造化フィルム400と、を含む。図示の実施形態では、バックライト1000は、第1の微細構造化フィルム400上に配設された第2の微細構造化フィルム500を更に含む。第1の微細構造化フィルム400及び第2の微細構造化フィルム500のいずれか又は両方は、例えば、光方向転換フィルム700に対応する光方向転換フィルムであってもよい。
【0015】
様々な構成要素が、図2Aの分解図では分離されているように概略的に示されている。様々な構成要素は、隣接する構成要素が互いに接触するように、互いに配設され得ることが理解されるであろう。フィルムは、例えば、フィルムの主表面が複数の光源200に全体的に面している場合には、複数の光源200に面するものとして記載され得る。例えば、第1の微細構造化フィルム400は、複数の光源200上に配設され、複数の光源200に面している。図示の実施形態では、第1の微細構造化フィルム400は、第1の構造体410及び第1の基材420を含み、第1の基材420は、第1の構造体410と光源200との間に配設されている。バックライト1000は、第1の微細構造化フィルム400上に配設された第2の微細構造化フィルム500を含み、第1の微細構造化フィルム400は、第2の微細構造化フィルム500と複数の光源200との間に配設されている。図示の実施形態では、第2の微細構造化フィルム500は、第2の構造体510及び第2の基材520を含み、第2の基材520は、第2の構造体510と第1の構造体410との間に配設されている。
【0016】
他の形状及び間隔の第1の構造体410及び第2の構造体510を利用してもよい。第1の構造体410及び第2の構造体510の形状及び間隔は、好ましくは、各光源200によって放出される光210の大部分(例えば、少なくとも80%)を対応する照明ゾーン300に閉じ込めながら、各照明ゾーン300にわたる所望の均一度の光度分布を提供するように選択される。これらの結果をもたらす好適な例示的幾何学形状は、例えば、光源200とは反対を向いた第1の構造体410及び第2の構造体510を有し、かつ、光方向転換フィルム700に関して記載されるような幾何学形状を有する、第1の微細構造化フィルム400及び第2の微細構造化フィルム500を含むことが見出された。光源200間の平均横方向間隔はS1である。いくつかの実施形態では、S1は、光源200が通電されたときに、複数の照明ゾーン300にわたる所望の均一度の光度分布が達成されるように選択される。いくつかの実施形態では、ディスプレイ表面100が第1の微細構造化フィルム400上に配設されており、かつ、光源200が通電されているとき、各光源200によって放出される光210の少なくとも80%が、ディスプレイ表面100内の対応する照明ゾーン300を照明し、複数の照明ゾーン300にわたる光度分布は、平均I及び標準偏差Sを有し、S/I<1、又はS/I<0.8、又はS/I<0.7である。例えば、いくつかの実施形態では、S/Iは、0.2~0.8の範囲、又は0.2~0.7の範囲である。いくつかの実施形態では、ディスプレイ表面100が第1の微細構造化フィルム400上に配設されており、かつ、光源200が通電されているとき、各照明ゾーン300にわたる光度分布は、平均Iz及び標準偏差Szを有し、Sz/Iz<0.8、又はSz/Iz<0.6、又はSz/Iz<0.5、又はSz/Iz<0.4である。例えば、いくつかの実施形態では、各Sz/Izは、0.2~0.5の範囲、又は0.2~0.4の範囲である。
【0017】
第1の微細構造化フィルム400及び第2の微細構造化フィルム500を選択して(例えば、所望の屈折率を有するように構造体及び基材の材料を選択すること、構造体の様々な幾何学形状パラメータ又は基材の厚さを選択する)、S/I及び/又はSz/Izを所望の程度低くすることができる。第1の基材420は厚さH1を有し、第2の基材520は厚さH2を有する。いくつかの実施形態では、第2の基材の厚さH2の第1の基材の厚さH1に対する比は、2未満、又は1未満、又は0.5未満である。いくつかの実施形態では、0.01<H2/H1<1、又は0.02<H2/H1<0.5である。
【0018】
第1の微細構造化フィルム400及び第2の微細構造化フィルム500のそれぞれが、光方向転換フィルム700について記載されたのと同様となるように、バックライト1000をモデル化した。隣り合うピーク間の間隔Pを24マイクロメートルとし、角度θを45度とし、ファセットの曲率半径Rを16.7マイクロメートルとし、隣り合う基部間の間隔Wを4マイクロメートルとした。それぞれ、構造体の屈折率n1を1.64とし、基材の屈折率n2を1.61とした。光源の発光面積を200マイクロメートル×200マイクロメートルとし、照明ゾーンを1mm×1mmとした。第2の微細構造化フィルム500の基材の厚さH2を50マイクロメートルとし、第1の微細構造化フィルム400の基材の厚さH1を750マイクロメートルとした。Sz/Izは、0.25であると決定された。比較のために、第1の微細構造化フィルム400及び第2の微細構造化フィルム500が所定の位置にない状態でSz/Izを求め、3.65であることが見出された。したがって、第1の微細構造化フィルム400及び第2の微細構造化フィルム500を含むことによって、Sz/Izが実質的に低減された。
【0019】
図3図6は、バックライト1000に関する平均強度(SDA)で除算した強度の標準偏差の、モデル化によってそれぞれ求められたR、W/P、(n2が固定された場合の)n1、及びH2/H1の関数としてのプロットである。結果は、SDAが特定のR及びW/Pに関する最小値を有すること、H2/H1を低下させると一般にSDAが低下すること、基材の所与の屈折率n2(この場合、n2=1.61)に関して構造体の屈折率n1を増加させるとSDAが減少することを示す。いくつかの実施形態では、低SDAを提供するのに有用な微細構造化フィルムにおいて、0.1≦W/P≦0.2であり、0.6≦R/P≦1.1であり、n1≧1.5であり、n1-n2≧0.02であった。SDAは、上述したような単一の光源及び単一の照明ゾーンについて求められ、したがって、Sz/Izに対応する。複数の光源及び照明ゾーンは、隣接する照明ゾーンが互いに近接するように配列することができる。この場合、SDA値は、S/Iに近似する。しかしながら、S/Iは、照明ゾーンよりも低い光度を有する隣接する照明ゾーン間の間隙に起因して、Sz/Izよりもいくらか大きいことがある。
【0020】
図2Bは、バックライト1000に含まれる間隔をあけた個別の複数の光源200内の光源200aの概略断面図である。光源200aは、発光面積E1を有し、光210aを放出する。複数の光源200は、発光面積E1の合計である総発光面積Eを有する。第1の微細構造化フィルム400は、総面積Aを有し、微細構造化フィルム400の総面積は、y-z平面内の面積を指す。いくつかの実施形態では、0.9<A/E<2である。いくつかの実施形態では、第1の微細構造化フィルム400は、総発光面積Eを覆って延び、1<A/Eである。いくつかの実施形態では、A/E<1.9又はA/E<1.8である。
【0021】
図2Cは、ディスプレイ表面100の概略上面図である。照明ゾーン間の平均横方向間隔S2及び照明ゾーンの平均横方向寸法S3が示されている。いくつかの実施形態では、S2/S3≦0.1である。例えば、S2/S3は、0.005又は0.01~0.1又は0.08の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、S2/S1≦10である。例えば、S2/S1は、0.1又は0.5~10又は8の範囲であってもよい。図2Cでは、照明ゾーン300は、比較的少数の画素110を含むものとして概略的に示されているが、各照明ゾーン300には、著しくより多くの画素110が含まれてもよい。例えば、各照明ゾーン300は、少なくとも10画素、又は少なくとも50画素、又は少なくとも100画素、又は少なくとも200画素を含んでもよい。各照明ゾーン300内でより多数の画素を利用することにより、より少数の光源200を利用することが可能となり、これは所望され得る。第1の微細構造化フィルム400及び第2の微細構造化フィルム500は、比較的大きい照明ゾーン300が利用されるときに、各照明ゾーン300が、対応する光源200からの好適に均一な光で実質的に満たされるように選択することができることが見出された。しかしながら、より大きい照明ゾーン300を利用することにより、複数の照明ゾーン300によって提供される照度変動の分解能が減少し、これは望ましくない場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、各照明ゾーン内の画素数は、10000以下、5000以下、2000以下、又は1000以下である。いくつかの実施形態では、各照明ゾーン300は、200~1000個の画素110を含む。画素110のそれぞれは、複数の色のついたサブ画素を含み得る。例えば、各画素110は、赤色のサブ画素と、緑色のサブ画素と、青色のサブ画素とを含んでもよい。
【0022】
図2Aに示した実施形態では、第1の微細構造化フィルム400は、基材420の両側に配設された第1の層430と第2の層432とを更に含む。任意選択的に、第1の層430及び第2の層432の一方又は両方を省略してもよい。いくつかの実施形態では、第1の層430及び第2の層432の一方又は両方は、複数の光源によって放出された光を拡散させるための光学拡散体である。いくつかの実施形態では、光学拡散体は、約1%~約5%の範囲の平均拡散反射率を有する。いくつかの実施形態では、光学拡散体は約80%超の平均拡散透過率、及び約10%未満の平均正透過率を有する。いくつかの実施形態では、光学拡散体の平均拡散透過率の光学拡散体の平均正透過率に対する比が約10超である。いくつかの実施形態では、光学拡散体は、少なくとも5%の光学ヘイズを有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、光学拡散体は主に、微細構造化表面を含む表面拡散体である。図7は、主に表面拡散体であり、かつ、微細構造化表面632を有する、光学拡散体631の概略断面図である。いくつかの実施形態では、光学拡散体は、主に体積拡散体である。図8は、主に体積拡散体であり、かつ、内部に分散された粒子634を含む、光学拡散体633の概略断面図である。例えば、粒子634は、本明細書の他の箇所で更に記載されるように、粒子とは異なる屈折率を有する接着剤中に分散されてもよい。光学拡散体は、拡散体によって散乱される垂直入射光の50パーセント超が拡散体の表面構造によって散乱される場合、主に表面拡散体として記載され得る。いくつかの実施形態では、光学拡散体によって散乱される垂直入射光の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%は、拡散体の表面構造によって散乱される。光学拡散体は、拡散体によって散乱される垂直入射光の50パーセント超が拡散体の体積によって散乱される(例えば、拡散体の体積中に分散された粒子によって散乱される)場合、主に体積拡散体として記載され得る。いくつかの実施形態では、光学拡散体によって散乱される垂直入射光の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%は、拡散体の体積によって散乱される。
【0024】
いくつかの実施形態では、光学拡散体は、光を、(例えば、x-y平面内の)第1の方向に第1の視野角A1で散乱させ、第1の方向に直交する(例えば、x-z平面内の)第2の方向に第2の視野角A2で散乱させる。例えば、光学拡散体は、図9A及び図9Bに概略的に示した光学拡散体630に対応し得る。光は、光学拡散体630に垂直入射するものとし、半値全幅(FWHM)視野角であり得る図示の視野角内で光学拡散体630を透過する。いくつかの実施形態では、A1とA2との差は、5度未満である。いくつかの実施形態では、A1とA2との差は、5度超である。A1とA2との差は、例えば、非対称な表面構造を有する拡散体を使用することによって、あるいは、例えば、延伸によって少なくとも部分的に配向されたフィルム内の非対称な粒子を使用することによって得ることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、光学拡散体は、光源200と基材420との間に配設される(例えば、層432は光学拡散体であってもよい)。いくつかの実施形態では、基材420は、光源200と光学拡散体との間に配設される(例えば、層430は光学拡散体であってもよい)。
【0026】
図2Aに示した実施形態では、第2の微細構造化フィルム500は、第1の微細構造化フィルム400上に配設されている。第1の微細構造化フィルム400は、第2の微細構造化フィルム500と複数の光源200との間に配設されており、第1の方向に沿って(図2Aのz方向に沿って若しくは概ね沿って、又は図2Dの第1の方向777に沿って)延び、かつ、第1の基材420上に配設された、間隔をあけた実質的に平行な複数の第1の構造体410を含む。第2の微細構造化フィルム500は、第2の方向に沿って(例えば、図2Aのy方向に沿って若しくは概ね沿って、又は図2Dの第2の方向778に沿って)延び、かつ、第2の基材520上に配設された、間隔をあけた実質的に平行な複数の第2の構造体510を含む。いくつかの実施形態では、図2Dに概略的に示した第1の方向777と第2の方向778との間の角度φは、約70度超かつ約110度未満である。いくつかの実施形態では、角度φは、約80度超かつ約100度未満である。いくつかの実施形態では、角度φは、約90度である。第1の微細構造化フィルム400は、第2の微細構造化フィルム500と複数の光源200との間に配設されている。第2の基材520は、第2の構造体510と第1の構造体410との間に配設されている。いくつかの実施形態では、第2の微細構造化フィルム500は、基材520の両側に配設された第1の層530と第2の層532とを更に含む。第1の層530及び第2の層532は、第1の層430及び第2の層432について記載したとおりであってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、間隔をあけた個別の複数の光源200内の少なくとも1つの光源は、発光ダイオードである(例えば、図2Bに示す光源200aは発光ダイオードであってもよい)。いくつかの実施形態では、間隔をあけた個別の複数の光源200内の少なくとも1つの光源は、青色光を放出する。いくつかの実施形態では、間隔をあけた個別の複数の光源200内の少なくとも1つの光源は、赤色光を放出する。いくつかの実施形態では、間隔をあけた個別の複数の光源200内の少なくとも1つの光源は、緑色光を放出する。いくつかの実施形態では、間隔をあけた個別の複数の光源内の少なくとも1つの光源は、白色光を放出する。例えば、図2Bに示した光源200aによって放出される光210aは、青色光、赤色光、緑色光、又は白色光であってもよい。いくつかの実施形態では、各光源200は青色発光ダイオードであり、青色光の一部分を赤色光及び緑色光に変換するために蛍光体フィルムが含まれており、したがって、蛍光体フィルムを透過した光は白色光である。いくつかの実施形態では、蛍光体フィルムは、第1の微細構造化フィルム400と複数の光源200との間に配置されている。他の実施形態では、蛍光体フィルムは、第2の微細構造化フィルム500とディスプレイ表面100との間に、又は第1の微細構造化フィルム400と第2の微細構造化フィルム500との間に配置されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、間隔をあけた個別の複数の光源200内の各光源は、第の微細構造化フィルム400のすぐ後方に配置され、かつ、第1の微細構造化フィルム400に面している。いくつかの実施形態では、光源200は、光源200によって放出された光を第1の微細構造化フィルム400に向けて反射させるための後方反射体600上に配設される。いくつかの実施形態では、間隔をあけた個別の複数の光源200内の少なくとも1つの光源(例えば、光源200b)は、間隔をあけた個別の複数の光源200内の少なくとも1つの他の光源(例えば、光源200c)よりも大きい。他の実施形態では、間隔をあけた個別の複数の光源200内の光源は、実質的に同じサイズである(例えば、光源の全てが光源200bと同じサイズを有してもよい)。後方反射体600を利用することは、均一性(減少されたSDA)を改善し、平均輝度を増大させることが見出されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、光源200のそれぞれは、個々に通電可能である。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム2000は、各画素110に個々にアドレス指定し、各光源200に個々に通電するためのコントローラ222を含む。コントローラ222は、表示された画像のより暗い領域に関連付けられた光源が、表示された画像のより明るい領域に関連付けられた光源に対して調光される局所調光を行うように適合されてもよい。コントローラ222に含まれ得る有用な局所調光制御回路は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許出願公開第2011/0128302号(Choら)に記載されたものを含む。
【0030】
複数の光源200は、(例えば、正方格子又は三角格子上の)周期的アレイであり得る2次元アレイに配置されてもよい。図10は、ディスプレイ表面の後方に配設され得る、間隔をあけた個別の光源20の2次元アレイの概略上面図である。拡散反射性又は鏡面反射性であり得る反射材料60は、光源20間に配設され得る。例えば、光源20は、光源20間の後方反射体の一部分が反射材料を提供するように、後方反射体上に配設されてもよい。いくつかの実施形態では、光源はプリント回路基材上に配設されており、反射材料60を提供するために、光源20間の領域に白色インクが印刷される。反射材料60を使用すると、SDAが減少し、間隔をあけた個別の光源20の2次元アレイを組み込んだディスプレイシステムの平均輝度が増大することが見出された。
【0031】
本明細書のフィルムは、任意の好適なプロセスによって作製することができる。いくつかの実施形態では、微細構造体は、鋳造及び硬化プロセスによって、又は任意の他の好適な微細構造複製(microreplication)プロセスによって基材上に作製される。光学拡散体層が含まれる実施形態では、光学拡散体は、光方向転換微細構造体を形成する前に、基材の片面又は両面にコーティング(例えば、ビーズ状の拡散体コーティング)として適用することができる。あるいは、光学拡散体は、例えば、光方向転換微細構造体が形成された表面の反対側の基材の表面を微細構造化することによって作製することができる。光方向転換微細構造体及び/又は光学拡散微細構造体は、好適に構造化された表面を有するツールを使用して作製することができる。ツールは、ダイヤモンド旋削プロセスによって形成することができる。次いで、ツールに対して樹脂を鋳造し、例えば化学線(例えば、紫外(UV)線)放射又は熱を用いて硬化させる連続鋳造及び硬化プロセスで構造化表面を形成することができる。連続鋳造及び硬化プロセスの例は、米国特許第4,374,077号、同第4,576,850号、同第5,175,030号、同第5,271,968号、同第5,558,740号、及び同第5,995,690号に記載されている。
【0032】
任意の好適な材料を基材又は微細構造体に使用することができる。いくつかの実施形態では、基材は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム、ポリカーボネートフィルム、又はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。いくつかの実施形態では、光方向転換微細構造体は、例えばアクリレートなどのUV硬化性樹脂から形成される。
【0033】
以下は、本明細書の例示的な実施形態の列挙である。
【0034】
実施形態1は、ディスプレイ表面に均一な照明を提供するためのバックライトであって、ディスプレイ表面はバックライト上に配設されており、バックライトは、
ディスプレイ表面内の重なっていない複数の照明ゾーンを1対1の対応関係で照明するように構成された、間隔をあけた個別の複数の光源と、
複数の光源上に配設され、かつ、複数の光源に面している第1の微細構造化フィルムであって、ディスプレイ表面が第1の微細構造化フィルム上に配設されており、かつ、光源が通電されているとき、各光源によって放出される光の少なくとも80%が、ディスプレイ表面内の対応する照明ゾーンを照明し、複数の照明ゾーンにわたる光度分布は、平均I及び標準偏差Sを有し、S/I<1である、第1の微細構造化フィルムと、
を含む、バックライトである。
【0035】
実施形態2は、ディスプレイ表面が、複数の画素を含む画素化された表面である、実施形態1のバックライトである。
【0036】
実施形態3は、画素が個々にアドレス可能である、実施形態2のバックライトである。
【0037】
実施形態4は、各照明ゾーンが200~1000画素を含む、実施形態2のバックライトである。
【0038】
実施形態5は、間隔をあけた個別の複数の光源内の各光源が、第1の微細構造化フィルムのすぐ後方に配置され、第1の微細構造化フィルムに面している、実施形態1に記載のバックライトである。
【0039】
実施形態6は、光源間の平均横方向間隔がS1であり、照明ゾーン間の平均横方向間隔がS2であり、S2/S1≦10である、実施形態1に記載のバックライトである。
【0040】
実施形態7は、複数の光源が、総発光面積Eを有し、第1の微細構造化フィルムの総面積はAであり、0.9<A/E<2である、実施形態1に記載のバックライトである。
【0041】
実施形態8は、隣接する照明ゾーン間の平均横方向間隔がS2であり、照明ゾーンの平均横方向寸法がS3であり、S2/S3≦0.1である、実施形態1に記載のバックライトである。
【0042】
実施形態9は、第1の微細構造化フィルムが、第1の基材上で第1の方向に沿って延び、かつ、直交する第2の方向に沿って並べて配置された、間隔をあけた実質的に平行な複数の第1の構造体を含み、各第1の構造体が、互いに反対を向いてピークで合流する湾曲ファセットを含み、ピークが第1の方向に沿って延び、第1の基材が、第1の構造体と光源との間に配設されている、実施形態1に記載のバックライトである。
【0043】
実施形態10は、第1の微細構造化フィルムが、複数の光源によって放出された光を拡散させるための光学拡散体を更に含む、実施形態9に記載のバックライトである。
【0044】
実施形態11は、光学拡散体が、約1%~約5%の範囲の平均拡散反射率を有する、実施形態10のバックライトである。
【0045】
実施形態12は、光学拡散体が約80%超の平均拡散透過率、及び約10%未満の平均正透過率を有する、実施形態10のバックライトである。
【0046】
実施形態13は、光学拡散体の平均拡散透過率の、光学拡散体の平均正透過率に対する比が約10超である、実施形態10のバックライトである。
【0047】
実施形態14は、第1の微細構造化フィルム上に配設された第2の微細構造化フィルムを更に含み、第1の微細構造化フィルムは、第2の微細構造化フィルムと複数の光源との間に配設されている、実施形態9に記載のバックライトである。
【0048】
実施形態15は、第2の微細構造化フィルムが、第2の基材上で第2の方向に沿って延び、かつ、第1の方向に沿って並べて配置された、間隔をあけた実質的に平行な複数の第2の構造体を含み、各第2の構造体が、互いに反対を向いてピークで合流する湾曲ファセットを含み、ピークが第2の方向に沿って延び、第2の基材が、第2の構造体と第1の構造体との間に配設されている、実施形態14に記載のバックライトである。
【0049】
実施形態16は、第1の微細構造化フィルム上に配設された第2の微細構造化フィルムを更に含み、第1の微細構造化フィルムは、第2の微細構造化フィルムと複数の光源との間に配設されており、第1の方向に沿って延び、かつ、第1の基材上に配設された、間隔をあけた実質的に平行な複数の第1の構造体を含み、第2の微細構造化フィルムは、第2の方向に沿って延び、かつ、第2の基材上に配設された、間隔をあけた実質的に平行な複数の第2の構造体を含み、第1の方向と第2の方向との間の角度が、約70度超かつ約110度未満である、実施形態1に記載のバックライトである。
【0050】
実施形態17は、ディスプレイ表面が第1の微細構造化フィルム上に配設されており、かつ、光源が通電されているとき、各照明ゾーンにわたる光度分布が、平均Iz及び標準偏差Szを有し、Sz/Iz<0.8である、実施形態1に記載のバックライトである。
【0051】
実施形態18は、光方向転換フィルムであって、
基材上で第1の方向に沿って延び、かつ、直交する第2の方向に沿って並べて配置された、間隔をあけた実質的に平行な複数の構造体を含み、各構造体は、互いに反対を向いてピークで合流する湾曲ファセットを含み、ピークは、第1の方向に沿って延び、第1の方向に対して実質的に垂直な平面内の光方向転換フィルムの断面において、
構造体の隣り合うピーク間の平均横方向間隔はPであり、
構造体の隣り合う基部間の平均横方向間隔はWであり、0.1≦W/P≦0.2であり、
構造体の湾曲ファセットに対するベストフィット曲率半径の平均はRであり、0.6≦R/P≦1.1である。構造体は屈折率n1を有し、基材は屈折率n2を有し、n1≧1.5であり、n1-n2≧0.02である、光方向転換フィルムである。
【0052】
実施形態19は、15≦R≦25マイクロメートルである、実施形態18に記載の光方向転換フィルムである。
【0053】
実施形態20は、第1の方向に対して実質的に垂直な平面内の光方向転換フィルムの断面において、各構造体のピークから構造体の基部の端部まで引かれる線が、基部と、約30度~約60度の範囲の角度をなす、実施形態18に記載の光方向転換フィルムである。
【0054】
実施形態21は、ディスプレイ表面に均一な照明を提供するためのバックライトであって、ディスプレイ表面はバックライト上に配設されており、バックライトは、
ディスプレイ表面内の重なっていない複数の照明ゾーンを1対1の対応関係で照明するように構成された、間隔をあけた個別の複数の光源と、
複数の光源上に配設され、かつ、複数の光源に面している、実施形態18~20のうちのいずれか1つに記載の光方向転換フィルムであって、ディスプレイ表面が光方向転換フィルム上に配設されており、光源が通電されているとき、各光源によって放出される光の少なくとも80%が、ディスプレイ表面内の対応する照明ゾーンを照明し、複数の照明ゾーンにわたる光度分布は、平均I及び標準偏差Sを有し、S/I<1である、光方向転換フィルムと、
を備える、バックライトである。
【0055】
実施形態22は、
複数の画素及び重なっていない複数の照明ゾーンを含む画素化されたディスプレイ表面であって、各照明ゾーンは、画素のうちの少なくとも10個を含む、画素化されたディスプレイ表面と、
ディスプレイ表面の後方に配設された間隔をあけた個別の光源の2次元アレイであって、各光源は、照明ゾーンのうちの1つと1対1で対応している、2次元アレイと、
各画素に個々にアドレス指定し、かつ、各光源を個々に通電するためのコントローラであって、通電されているとき、各光源によって放出される光の少なくとも80%が、光源に対応する照明ゾーンを照明する、コントローラと、
を含む、ディスプレイシステムである。
【0056】
実施形態23は、バックライトを更に含み、バックライトは、間隔をあけた個別の光源の2次元アレイを含む、実施形態22に記載のディスプレイシステムである。
【0057】
実施形態24は、バックライトが、画素化されたディスプレイ表面と、間隔をあけた個別の光源の2次元アレイとの間に配設された微細構造化フィルムを更に含む、実施形態23に記載のディスプレイシステムである。
【0058】
実施形態25は、微細構造化フィルムが、実施形態18~20のいずれか1つに記載の光方向転換フィルムである、実施形態24のディスプレイシステムである。
【0059】
実施形態26は、バックライトが、実施形態1~17のいずれか1つに従って更に特徴付けられる、実施形態23のディスプレイシステムである。
【0060】
実施形態27は、第1の微細構造化フィルムが、実施形態18~20のいずれか1つに記載の光方向転換フィルムである、実施形態1~17のいずれか1つのバックライトである。
【0061】
特徴部の形状、量、及び物理的性質を表す量に適用される「約」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において当業者にとって明らかではない場合、「約」は、指定された値の10パーセント以内を意味すると理解されるだろう。指定された値の約として与えられる量は、正確に指定された値であり得る。例えば、本発明の記載に使用され記載されている文脈において当業者にとって明らかではない場合、約1の値を有する量は、0.9~1.1の値を有する量かつその値が1であり得ることを意味する。
【0062】
前述の参照文献、特許、又は特許出願はいずれも一貫した方法でそれらの全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0063】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10