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特許7369727耐候性および耐久性のあるコーティング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】耐候性および耐久性のあるコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/08 20060101AFI20231019BHJP
   C09D 133/14 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C09D183/08
C09D133/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020571656
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019042238
(87)【国際公開番号】W WO2020018689
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】62/700,478
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーゲル、エリン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】マイケルスキィ、スーザン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ドラムライト、レイ イー.
(72)【発明者】
【氏名】ポパ、ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイバー、ゲイリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウィツッキー、ジェラルド ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】フライフォーゲル、パトリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】トマスキ、アダム シー.
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-309165(JP,A)
【文献】特開2018-065998(JP,A)
【文献】特開平06-340841(JP,A)
【文献】特表2013-515090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-10/00
C09D 101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性コーティング組成物であって、
(1)組成
SiO(4-x)/2のアミノ官能性シリコーン樹脂であって、式中、
(a)xが、1.0より大きく及び2.1以下の数値であり、
(b)前記アミノ官能性シリコーン樹脂が、重合形態でSi単位RSiO1/2、RSiO2/2、RSiO3/2、およびSiO4/2で構成され、前記アミノ官能性シリコーン樹脂のSi単位の総量の少なくとも5モルパーセントが、(i)RSiO3/2基、(ii)SiO4/2基、または(iii)それらの混合物を含み、
(c)各Rが独立して、アルキル基、アリール基、またはアミノ官能性ヒドロカルビル基であるが、但し、前記アミノ官能性シリコーン樹脂の-NH-当質量が、50~750であることを条件とする、アミノ官能性シリコーン樹脂と、
(2)重合形態でエポキシ官能化基とアルコール(OH)官能基とを有するアクリルコポリマーと、を含み、
前記コーティング組成物が、0.5~1.3の範囲のアミンNH官能基対エポキシ官能基のモル比を有する、硬化性コーティング組成物。
【請求項2】
0.8~1の範囲のアミンNH官能基対エポキシ官能基のモル比を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記アミノ官能性シリコーン樹脂が、30モルパーセント未満のSiに結合したOR’基を保有する繰り返し単位を有し、R’が、水素または炭化水素基である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記アミノ官能性シリコーン樹脂が、(1)RSiO3/2基、(2)SiO4/2基、または(3)それらの混合物を含む前記アミノ官能性シリコーン樹脂のSi単位の総量の少なくとも10モルパーセント有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記アクリルコポリマーの前記エポキシ官能化基が、グリシジルメタクリレート(GMA)、グリシジルアクリレート、およびそれらの混合物の群から選択される1つ以上のモノマーに由来し、前記アクリルコポリマーが、200~600の範囲のエポキシ当量(EEW)を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記アクリルコポリマーが、前記アクリルコポリマーの総モノマー単位の重量に基づいて、重合形態で30~60重量%のグリシジル(メタ)アクリレートモノマー単位を含む、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記アクリルコポリマーが、前記アクリルコポリマーの総モノマー単位の重量に基づいて、重合形態で2重量%~20重量%のアルコール(OH)官能基モノマー単位を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記アルコール(OH)官能基が、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)に由来する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の硬化コーティング組成物の1つ以上の層を含む、コーティング物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多官能化アクリルコポリマーとアミノ官能性シリコーン樹脂硬化剤とを有する硬化性コーティング組成物に関する。より具体的には、アクリルコポリマーは、重合形態でエポキシ官能化基と硬化適合性基とを有する。このコーティング組成物は、優れた耐候性および耐久性コーティングの分野で有用であり、イソシアネート含有ポリウレタン系コーティングの代わりとして有用である。
【0002】
イソシアネート含有ポリウレタン系コーティングは、優れた耐候性および耐久性が必要とされる用途で使用される。ただし、製造業者および消費者は、そのような材料への暴露を制限するために、耐薬品性および耐食性に加えて耐候性を提供しながら、イソシアネートを含まないコーティングに移行することを望んでいる。金属を保護するためにエポキシコーティングが使用されているが、良好な色および光沢の保持が必要とされる用途では、エポキシコーティングはトップコート(大抵はポリウレタン)でさらにコーティングされる。ポリシロキサン-エポキシコーティングなどのエポキシ樹脂に由来する他のコーティングは、硬化に関しては湿度に依存し、コーティングが硬化し続けるにつれて脆くなることがよくある。
【0003】
米国特許第8,193,293号は、アミノ官能性ポリシロキサンと、水素化ケイ素を含有するポリシロキサンおよびヒドロシリル化反応を受けることができる2つ以上の不飽和結合を有するヒドロキシル官能基含有材料の反応生成物であるポリシロキサン樹脂と、ポリエポキシドとを含む低温の周囲硬化性コーティング組成物を開示している。
【0004】
米国特許第8,871,888号は、分子あたり2つ以上の1,2-エポキシ基を含むエポキシ樹脂と、50℃~140℃の軟化点を有する炭化水素化合物と、アルコキシ官能性および/またはシラノール官能性シリコーンと、ポリアルキルジアミン成分とケトン成分とを含む反応物の反応生成物を含むケチミン硬化剤とを含む、高固形分、一成分、貯蔵安定性のコーティング組成物を開示している。
【0005】
国際特許公開第WO01/51575 A1号は、アルキル、アリール、アルコキシ、反応性グリシドキシ、およびOSi(OR)基を有するポリシロキサンと、グリシジル官能性アクリルポリマーと、硬化剤とを含む周囲温度硬化コーティング組成物を開示している。ポリシロキサンは、アミン官能基を含有しない。
【0006】
日本特許公開第2002-167546 A号は、(A)アクリル樹脂と、(B)少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、(C)オルガノシラン化合物と、(D)アミノシラン含有アミン硬化剤とを含む単一コーティング仕上げのための耐食性コーティング材料組成物を開示しており、アクリル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、およびオルガノシラン化合物(C)の配合比として、これらの樹脂の固形含有量の総量に各々基づいて、成分(A)は5~65重量%であり、成分(B)は30~90重量%であり、成分(C)は、5~65重量%である。
【0007】
必要なのは、下塗りまたはプライマー層を必要とせずに、UV保護、耐食性、良好な乾燥時間、および耐薬品性を含む特性の良好なバランスを供するコーティング組成物であり、すべてに、コスト競争上の利点があり、最小限の材料を使用する。
【0008】
本発明は、(1)完全に簡略化された式RSiO(4-x)/2のアミノ官能性シリコーン樹脂であって、式中、(a)xが、1.0~2.1の数値であり、(b)アミノ官能性シリコーン樹脂が、重合形態でSi単位RSiO1/2、RSiO2/2、RSiO3/2、およびSiO4/2で構成され、ここで、アミノ官能性シリコーン樹脂のSi単位の総量の少なくとも5モルパーセントが、(i)RSiO3/2基、(ii)SiO4/2基、または(iii)それらの混合物を含み、(c)各Rが独立して、アルキル基、アリール基、またはアミノ官能性ヒドロカルビル基であるが、但し、アミノ官能性シリコーン樹脂の-NH-当質量が、50~750であることを条件とする、アミノ官能性シリコーン樹脂と、(2)重合形態でエポキシ官能化基と硬化適合性基とを有するアクリルコポリマーとを含む硬化性コーティング組成物を提供し、ここで、コーティング組成物は、0.5~1.3の範囲のアミンNH官能基対エポキシ官能基のモル比を有する。本発明は、硬化コーティング組成物の1つ以上の層を含むコーティング物品をさらに提供する。
【0009】
「モルパーセント」という用語は、「モル分率」として表すこともでき、1モルパーセントは0.01のモル分率に等しい。本発明で提示される各範囲について、範囲の下限および範囲の上限は、本発明で特定された追加の成分の範囲の下限と上限との組み合わせを含む他の下限または上限と任意の方法で分離および組み合わせることができる。すべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0010】
本発明のアミノ官能性シリコーン樹脂は、完全に簡略化された式で記載することができ、
SiO(4-x)/2、式中、
(a)xが、1.0~2.1の数値であり、
(b)アミノ官能性シリコーン樹脂が、重合形態でSi単位RSiO1/2、RSiO2/2、RSiO3/2、およびSiO4/2で構成され、ここで、アミノ官能性シリコーン樹脂のSi単位の総量の少なくとも5モルパーセントが、(i)RSiO3/2基、(ii)SiO4/2基、または(iii)それらの混合物を含み、
(c)各Rが独立して、アルキル基、アリール基、またはアミノ官能性ヒドロカルビル基であるが、但し、アミノ官能性シリコーン樹脂の-NH-当質量が、50~1000、好ましくは50~750、より好ましくは80~900、さらにより好ましくは100~800、最も好ましくは100~700であることを条件とする。
【0011】
SiO1/2はまたMとも呼ばれ、RSiO2/2はまたDとも呼ばれ、RSiO3/2はまたTとも呼ばれ、SiO4/2はまたQとも呼ばれる。M、D、T、またはQ記号の横に上付き文字が使用されている場合は、存在するR基(複数可)のタイプを指す。たとえば、DPhは、2つのR基のうちの1つがフェニル基であることを意味する。上付き文字が記載されていないどのR基(複数可)も、ポリマーの特定の説明が別段の指示をしない限り、当業者にはメチル基であると理解されるはずである。アミノ官能性シリコーン樹脂の-NH-当質量は、アミノ官能性シリコーン樹脂の既知量の溶液またはニート試料の13C-NMRスペクトルを取得し、アミノ官能性シリコーン樹脂のアミノ官能性Si単位と関連するピークを、既知量の内部標準(典型的には、1,4-ジオキサン)と関連するピークに対して定量化し、ガスクロマトグラフィーにより決定された試料に存在する溶媒含有量がある場合は、それを調整することにより決定される。(i)RSiO3/2基、(ii)SiO4/2基、または(iii)それらの混合物を含むアミノ官能性シリコーン樹脂のSi単位の総量(T+Qとも呼ばれる)は、少なくとも5モルパーセント、好ましくは少なくとも10モルパーセント、より好ましくは少なくとも20モルパーセントである。アミノ官能性シリコーン樹脂は、ニートな液体、溶液、または溶融可能な固体の形態をしている。下付き文字xは材料を構成する単位の分布全体の平均値であり、NMRスペクトルデータ(典型的には、29Si-NMRおよび13C-NMR、あるいは29Si-NMRおよびH-NMR)に基づく計算を使用することにより、任意の所与の材料について決定される。
【0012】
アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、およびオクタデシルにより例示され、アルキル基は、典型的にはメチルである。アリール基は、フェニル、ナフチル、ベンジル、トリル、キシリル、キセニル、メチルフェニル、2-フェニルエチル、2-フェニル-2-メチルエチル、クロロフェニル、ブロモフェニル、およびフルオロフェニルにより例示され、アリール基は、典型的にはフェニルである。アミノ官能性炭化水素基は、式-RNHRまたは-RNHRNHRを有する基により例示され、式中、各Rは独立して、少なくとも2個の炭素原子を有する二価の炭化水素ラジカルであり、Rは水素またはアルキル基である。各Rは典型的には、2~20個の炭素原子を有するアルキレンラジカルである。Rは、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH--CHCH(CH)CH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCH(CHCH)CHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、および-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-により例示される。アルキル基Rは、Rについて上に例示されるとおりである。Rがアルキル基である場合、それは、典型的にはメチルである。典型的なアミノ官能性炭化水素基は、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHCHCHCHNH、-CHCHCHCHCHCHNH、-CHCHNHCH、-CHCHCHNHCH、-CH(CH)CHCHNHCH、-CHCHCHCHNHCH、-CHCHNHCHCHNH、-CHCHCHNHCHCHCHNH、-CHCHCHCHNHCHCHCHCHNH、-CHCHNHCHCHNHCH、-CHCHCHNHCHCHCHNHCH、-CHCHCHCHNHCHCHCHCHNHCH、および-CHCHNHCHCHNHCHCHCHCHである。
【0013】
SiO(4-x)/2の式を有するアミノ官能性シリコーン樹脂は、50モルパーセント未満、好ましくは40モルパーセント未満、好ましくは30モルパーセント未満、最も好ましくは20モルパーセント未満のSiに結合したOR’基を保有する繰り返し単位を有し、式中、R’は、水素または炭化水素基である。
【0014】
本発明のアミノ官能性シリコーン樹脂は、当技術分野で知られている重合方法に従って合成される。非限定的で例示的な重合方法は、米国特許第7,501,473号に開示されている。市販のアミノ官能性シリコーン樹脂の例には、Wacker Chemie AGから入手可能なSILRES(登録商標)HP2000(アミノ官能性メチルフェニルシリコーン樹脂溶液)、およびThe Dow Chemical Companyの完全所有子会社であるDow Corning Corporationから入手可能なDow Corning(登録商標)3055(アミノ官能化ポリシロキサン)が含まれる。
【0015】
多官能化アクリルコポリマーは、アクリルコポリマーの主鎖上で官能性を保持する、アクリレート結合、エポキシ官能化基、および硬化適合性基を介した重合形態を含む、過半量の共重合(メタ)アクリルエステルを含むコポリマーを意味する。好ましくは、多官能化アクリルコポリマーは、硬化適合性基の存在に部分的に起因する極性材料であり、これは、いかなる理論にも拘束されないが、極性アミノ官能性シリコーン樹脂との適合性を助けると考えられている。この適合性は、硬化コーティング組成物のヘイズの低減により最もよく見られる。本明細書で使用される場合、アクリレートなどの別の用語が続く用語「(メタ)」の使用は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を指す。例えば、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートのいずれかを指す。同様に、用語「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸またはアクリル酸を指す。アクリルコポリマーは、キシレンなどの溶媒中でのフリーラジカル重合により調製され、モノマー、開始剤、任意に連鎖移動剤、および溶媒を容器に充填し、約60°~175℃で約1~6時間反応させて、ポリマーを形成することができる。アクリルコポリマーを調製するために使用され得る典型的な溶媒は、以下のトルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、エチルアルコール、ミネラルスピリット、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ならびに他の脂肪族、脂環式、および芳香族炭化水素、エステル、エーテル、ケトン、およびアルコールであり、それらは、便利に使用される。あるいは、アクリルコポリマーは、フリーラジカル乳化もしくは懸濁付加重合を介して、または剪断下で予め形成されたポリマーを水性媒体に分散させることにより調製され得る。好ましくは、本発明のアクリルコポリマーは、溶媒型である。
【0016】
アクリルコポリマーの調製に好適なモノマーには、(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、およびそれらの組み合わせが含まれる。(メタ)アクリル酸およびイタコン酸、ならびにそれらの塩などのカルボン酸モノマー;スチレンスルホン酸ナトリウムおよびスルホン酸アクリルアミド-メチル-プロパン、ならびにそれらの塩などのスルホン酸モノマー;さらにはホスホエチルメタクリレートおよびその塩などのリン酸モノマーを含む追加のモノマーがアクリルコポリマーを調製するために使用され得る。スチレン、アクリロニトリル、アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)、およびアルコキシシラン官能性(メタ)アクリレートなどのモノマー、ならびにグリシジル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの共硬化性官能基を付与することができるモノマーもアクリルコポリマーの調製において使用され得る。ある特定の実施形態において、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびジビニルベンゼンを含む、少量の共重合された多エチレン性不飽和モノマー基をアクリルコポリマーに組み込むことが有利であり得る。そのようなモノマー基をポリマーに不均一に組み込んで、多相ポリマー粒子を形成し、コアシェル、半球形、または閉塞形態を作成することも有利であり得る。連鎖移動剤は、これらのアクリルコポリマーを調製するために使用され得、その例には、ドデシルメルカプタン、2-メルカプトエタノール、メルカプトトリアルコキシシラン、ブチルメルカプトプロピオネート、メチルメルカプトプロピオネート、およびメルカプトプロピオン酸が含まれる。開始剤は、これらのアクリルコポリマーを調製するために使用され得、その例には、ペルオキシおよびアゾ化合物が含まれる。
【0017】
アクリルコポリマーのエポキシ官能化基は、グリシジルメタクリレート(GMA)またはグリシジルアクリレートなどのグリシジル基を含むが、GMAが好ましい。アクリルコポリマーの硬化適合性基は、アルコール(OH)官能基、フェノール基、第三級アミン、または主鎖にぶら下がっているか(アクリルモノマーの場合のように)もしくは末端基として接続する酸基のうちの1つ以上を含有するモノマー基を重合形態で含み、例えば、この場合、OH官能性連鎖移動剤は重合に使用される。好ましくは、硬化適合性基は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMAまたはHEA)である。好ましくは、アクリルコポリマーは、GMA、HEMA、メチルメタクリレート(MMA)、および2-エチルヘキシルアクリレート(EHA)を含むモノマーから合成される。
【0018】
アクリルコポリマーは、コポリマーを生成するために添加された総モノマー単位の重量に基づいて、30~80重量%のグリシジル(メタ)アクリレートモノマー単位、好ましくは40~60重量%のグリシジル(メタ)アクリレートモノマー、最も好ましくは範囲の最も下である30重量%超のグリシジル(メタ)アクリレートモノマーを含有する。アクリルコポリマーは、コポリマーを生成するために添加された総モノマー単位の重量に基づいて、最大20重量%の硬化適合性基モノマー単位、好ましくは最大10重量%の硬化適合性基モノマー単位、好ましくは最大8重量%の硬化適合性基モノマー単位、好ましくは2重量%超の硬化適合性基モノマー単位を含有し、好ましい範囲は5~10重量%である。硬化適合性基の上限は、HEMAをGMA官能基と組み合わせた場合のコポリマーの粘度により主に決定される。理論的には、HEAとグリシジルアクリレートとの組み合わせなどの他のモノマーを使用する場合、硬化適合性基をより高い含有量で有することが可能になる。アクリルコポリマーは、ASTM D1652に従って決定される場合、200~600、好ましくは250超、より好ましくは275超の下限、好ましくは500未満、より好ましくは450未満の上限の範囲のエポキシ当量(EEW)を含有し、好ましい範囲は300~400である。
【0019】
アクリルコポリマーは、摂氏80度(80℃)以下、好ましくは30℃以下、最も好ましくは15℃以下の計算されたガラス転移温度(「Tg」)を有し、好ましい範囲は-40℃~10℃である。Tgは、当技術分野でよく知られているように、所望のポリマーTgを達成するためのモノマーおよびモノマーの量の選択により到達される。ポリマーのTgは、動的走査熱量測定を使用して測定される。
【0020】
アクリルコポリマー溶液は、室温(25℃)で約70%の固形分の500センチポアズ(cP)~8,000cPの範囲の粘度を有する粘性液体である。本発明のアクリルコポリマーは、ポリスチレン標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される場合、500~10,000g/mol、好ましくは1,000~5,000g/mol以上、またはより好ましくは4,000g/mol以下の数平均分子量を有する。
【0021】
本発明のコーティング組成物は、アクリルコポリマーとアミノ官能性シリコーン樹脂とを含む。アミンNH官能基対エポキシ官能基のモル比は、0.5~1.3、好ましくは0.8~1の範囲である。好ましくは、アミン基の過剰は、外部の耐久性に悪影響を与えるアミンブラッシュにつながる可能性があるため、避けるのが最善である。アミンブラッシュは、水に曝露されると光沢が失われる。コーティング組成物は、促進硬化が可能であるが、典型的には、周囲硬化を受ける。
【0022】
本発明のコーティング組成物は、ベンジルアルコール、サリチル酸、およびトリス-2,4,6-ジメチルアミノメチルフェノールなどの促進剤/可塑剤;シリカ、アルミナ、ジルコニア、タルク、サルフェート、TiO、カーボンブラック、グラファイト、シリケートなどを含む細かく分割された鉱物などの充填剤;他の硬化剤;他のエポキシ樹脂;補強剤;レオロジー調整剤;溶媒;促進剤;界面活性剤;紫外線(UV)安定剤;抗酸化剤;湿潤剤;溶媒;消泡剤;強化剤;ならびに顔料、染料、および色味剤を含む着色剤を含むがこれらに限定されない追加の組成物を含有し得る。
【0023】
本発明の硬化性コーティング組成物は、無着色の透明なクリアコート、またはプライマー、ベースコート、およびトップコート用途のための着色されたシステムであり得る。顔料は、任意の典型的な有機または無機顔料であり得る。特定の用途に望ましい色を達成するには、いくつかの異なる顔料が必要になる場合がある。好適な顔料の例には、二酸化チタン、不透明なポリマー、バライト、粘土、炭酸カルシウム、赤色酸化鉄、CIピグメントイエロー42、CIピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4(銅フタロシアニン)、CIピグメントレッド49:1、CIピグメントレッド57:1、およびカーボンブラックが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
得られたコーティング組成物は、当技術分野で知られている技法、例えば、噴霧、刷毛塗り、引き落とし、ロールコーティングを使用して基材に適用され得る。コーティングの公称乾燥フィルム厚(DFT)は、1ミル以上、好ましくは2ミル以上、好ましくは2.5ミル以上、より好ましくは3ミル以上である。1ミルは、1/1000インチに相当する。コーティングできる基材の例には、プラスチック、木材、金属(アルミニウム、鋼、または亜鉛メッキシートなど)、スズメッキ鋼、コンクリート、ガラス、複合材料、ウレタンエラストマー、下塗りされた(塗装された)基材などが含まれるが、これらに限定されない。コーティングは、強制空気オーブン内または他のタイプの熱源を使用して、室温または高温で硬化され得る。
【0025】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。
【0026】
実施例および実験方法:
アクリルコポリマー
キシレンを、攪拌シャフト、縮合装置、熱電対ポート、および追加ポートを備えた500mLの4口丸底フラスコに添加した。加熱マントルを使用して、キシレンの温度を還流(140℃)に上げた。グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルメタクリレート(MMA)、2-エチルヘキシルアクリレート(EHA)、および2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)からなるモノマーブレンドを秤量し、500mLのガラス瓶内で混合し、次いで、ルアーロック接続部付きの50mLのプラスチック供給シリンジに均等に分割した。開始剤であるtert-ブチルペルオキシアセテート(TBPA、ミネラルスピリット中50%)を単一の50mLのプラスチックシリンジに添加し、長い供給ニードルアタッチメントを備えたルアーロック接続を介して供給チューブに接続した。二重シリンジポンプを使用して、一定の供給速度でモノマー混合物を添加し、単一の供給シリンジポンプを使用して、開始剤を供給した。溶媒が還流しているときに供給を開始した。供給速度の時間および温度は、溶媒および開始剤の半減期に依存する。供給物が枯渇したら、ラインを少量の溶媒で洗い流した。残留モノマーおよび開始剤を許容レベルまで低減するために、実行をさらに1時間続けた。表1は、作製したアクリルコポリマーを示す。
【表1】
【0027】
アクリルコポリマーの特性評価
GPC
2mg/mLの試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、注入前に、溶液を0.2μmのPTFEシリンジフィルターで濾過した。35℃で1.0mL/分の流量で、MIXED-Dカラム(300X7.5mm)を備えたAgilent 1100シリーズで測定されたGPCを使用して、分子量測定を実行した。Agilentの屈折率検出器をAgilentのGPC/SECソフトウェアで使用する。Polymer labsの17の狭いPS標準を使用して較正を実行し、3,742kg/mol~0.580kg/molの範囲で3次多項式曲線に適合させる。
【0028】
EEW
EEWをASTM D1652に従って測定する。エポキシ樹脂を塩化メチレンに溶解し、酢酸中の過剰な臭化テトラエチルアンモニウム(TEAB)の存在下で、氷酢酸中の標準化された0.1N過塩素酸(HClO4)で滴定する。Metrohm905滴定装置およびEEW判定用に構成された関連するTiamo滴定ソフトウェアを使用して測定を実行した。
【0029】
固形分パーセント
小さなアルミ鍋の底にラベルを付け、はかりに鍋を配置し、その重量を最も近い0.0000まで記録する。ピペットを使用して、約0.5g~1.5gの試料を鍋に均等に分配する。その重量を初期として記録する(鍋+試料)。試料をオーブンに入れる前に、焼き皿に配置し、バインダークリップでクリップ留めし、ピペットを使用して約2グラムのトルエンで樹脂を覆い、次に予熱したクラスAオーブンに慎重に配置する。2時間後、オーブンから焼き皿および試料を取り出す。天びんをゼロに設定し、試料(および鍋)を天びんに配置し、最終重量を記録し、次の式により固形分を計算する。
固形分%=(最終重量-鍋重量)/(初期重量-鍋重量)*100
【0030】
ガラス転移温度
を約5~10mgの試料サイズで、ASTM D7426に従って、示差走査熱量測定DSC Q2000 V24.10で測定した。温度プロファイルを次のように実行した:10℃で5分間の等温線。10℃/分で-50Cまで下降させ、5分間の等温線、10°/分で150Cまで上昇させ、5分間の等温線、TgをTAソフトウェアで分析した。
【0031】
粘度
ブルックフィールドDV-IIIウルトラ粘度計をスモール試料アダプター(SSA)と共に使用して、粘度測定を行った。スモール試料アダプターのレオロジー的に正確な円筒形状は、非常に正確な粘度測定および剪断速度判定を提供する。これらの試料に関して、9mLの材料をシリンダーに堆積し、スピンドル#31または#34を使用し、約25のトルクで達成するように速度を変化させた。測定値をセンチポアズ(cP)の単位で報告した。
【0032】
アミノ官能性シリコーン樹脂
アミノ官能性シリコーン樹脂SA1は、以下:フェニルトリメトキシシラン(25重量%)、ジフェニルジメトキシシラン(31重量%)、およびヘキサメチルジシロキサン(HMDS、17重量%)のシラン混合物の水(1.2モル/モルSi)との加水分解および縮合の反応生成物であり、トリフルオロメタンスルホン酸(TFMSA、シラン混合物に対して750ppm)により触媒し、続いて
【化1】
-アミノプロピルジエトキシメチルシラン(APDEMS、27重量%)を添加して、シリコーン樹脂への加水分解および共縮合を可能にする。副生成物のアルコールを除去したら、n-ヘプタンを添加し、共沸蒸留により水を除去し、反応混合物を濾過し、蒸留により溶媒を除去した。
【0033】
アミノ官能性シリコーン樹脂SB1~SB3を以下の方法で調製した。フェニルトリメトキシシラン、
【化2】
-アミノプロピルジエトキシメチルシラン(APDEMS)、任意にフェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、および/またはメチルトリメトキシシランの混合物を、水酸化カリウム(45%KOH)により触媒し、任意に芳香族溶媒(キシレン)に溶解し、水で加水分解し、三時間加熱還流した。塩酸水溶液(37%HCl)を添加して塩基性触媒を中和し、副生成物のアルコールを蒸留により除去し、生成物を濾過した。各成分の量を表2に示す。最終的なアミノ官能性シリコーン樹脂の組成および-NH-(アミンH)当量を表3に示す。
【0034】
アミノ官能性シリコーン樹脂SC1およびSC2を以下の方法で調製した。フェニルトリメトキシシランおよび
【化3】
-アミノプロピルジエトキシメチルシラン(APDEMS)、キシレン、ならびに触媒水酸化カリウム(45%KOH)の混合物を水で加水分解し、続いて副生成物のアルコールを蒸留除去した。追加の水を添加し、共沸蒸留により除去した。塩基性触媒を塩酸水溶液(37%HCl)で中和し、共沸蒸留により水を除去した。混合物を濾過し、溶媒の一部を蒸留除去することにより濃縮して、生成物のアミノ官能性シリコーン樹脂を得た。各成分の量を表2に示す。最終的なアミノ官能性シリコーン樹脂の組成および-NH-(アミンH)当量を表3に示す。
【0035】
アミノ官能性シリコーンSD1を以下の方法で調製した:アミノエチルアミノイソブチルジメトキシメチルシラン(AEAiBDMMS)を水(3.0モル/モルSi)で加水分解し、続いて副生成物のアルコールを蒸留除去した。最終的なアミノ官能性シリコーン樹脂の組成および-NH-(アミンH)当量を表3に示す。
【表2】
【表3】
【0036】
コーティング配合物:クリアコーティング
表4のクリアコーティング組成物を以下の方法で調製した:アクリルコポリマーをMAX40SpeedMixer(商標)カップに配置し、アミノ官能性シリコーン樹脂を添加し、FlackTek(商標)DAC150SpeedMixer(商標)で2分間2000rpmで混合した。
【表4】
【0037】
クリアコート適用の引き落とし適用方法
ASTM D4147に従って、Q-Panel R-412-I(ホスフェート処理冷間圧延鋼)およびAL412(クロメート処理アルミニウム)パネルにコーティングを適用した。磁気チャックまたはクランプを使用して、パネルをしっかりした水平面に固定した。マルチクリアランススクエアアプリケーターを使用して、パネルにコーティングを適用し、5~6ミルの湿潤厚さを目標として、約2.5ミルの所望の乾燥フィルム厚さを達成した。
【0038】
コーティング配合物:着色コーティング
着色コーティング組成物SE7を以下のように調製した:30gのアクリルコポリマーA4、0.09gのDow Corning添加剤DC-7、0.29gのBYK118、および29.4gのTS-6200TiO顔料を測定して、MAX100SpeedMixer(商標)カップに入れ、FlackTek,Inc.Landrum,SC29356のSpeedMixer(商標)モデルDAC150FV2-Kを使用してカップを3000rpmで5分間混合し、Hegman Gaugeを使用して粉砕物の細かさを測定し、>6の値を保証し、9.75gの酢酸N-ブチル、3.0gの芳香族100、1.37gのHALS292、および0.09gのDow Corning添加剤DC-11を添加し、混合物を1500rpmで1分間混合し、一晩静置し、次に、粉砕物を1500rpmで1分間混合し、続いて19.2gのアミノ官能性シリコーン樹脂SA1を添加し、最終混合物を1500rpmで2分間混合し、続いて必要に応じて、噴霧用に粘度を下げるために約7gのキシレンを添加した。アミン官能基対エポキシ官能基のモル比は、1:1である。
【0039】
比較例4を、アミノ官能性シリコーン樹脂SA1の代わりにAradur(登録商標)2978-1を使用したことを除いて、コーティング組成物SE7と同じ方法で調製した。アミン官能基対エポキシ官能基のモル比は、1:1である。
【0040】
BYK Gardnerから入手可能なDisperbyk118は、酸性、中性、および塩基性の二酸化チタンを安定化するための溶媒型システム用の湿潤および分散添加剤である。The Dow Chemical Companyから入手可能なDOW CORNING(登録商標)7添加剤は、溶媒型システムで泡の防止および消泡に加えて、レベリングおよび湿潤を提供する。Chemoursから入手可能なTS-6200は、TiOの顔料である。The Dow Chemical Companyから入手可能な酢酸ブチルは、溶媒である。The Dow Chemical Companyから入手可能なAromatic100は、テール溶媒である。BASF Corporationから入手可能なTinuvin(登録商標)292は、液体障害アミン光安定剤である。The Dow Chemical Companyから入手可能なDOW CORNING(登録商標)11添加剤は、溶媒型システムにおいて、滑り、耐傷性、およびレベリングを提供し、さらに顔料の分離も防止する。Fisherから入手可能なキシレンは、シンナー/溶媒である。Huntsman Advanced Materialsから入手可能なAradur(登録商標)2978-1は、低色、周囲硬化、低粘度、脂環式アミンである。
【0041】
コーティングの適用および試験方法
噴霧適用:この研究では3種類のパネル(ホスフェート処理冷間圧延鋼(CRS)、ブラスト鋼、およびクロメート処理アルミニウムパネル)を使用し、ホスフェート処理およびブラスト鋼パネルを脱脂剤または工場溶媒のいずれかで洗浄してから、噴霧した。200μmフィルターを備えた使い捨て噴霧容器に塗料を入れ、1.4mmまたは1.8mmのいずれかの霧吹きヘッドを使用した。パネルをワイヤーラックに配置し、3M(商標)Accuspray(商標)システム工業用噴霧器を備えた従来のエアアシストアプリケーションを使用して噴霧した。パネルを72°Fおよび50%の相対湿度の制御された温度および湿度の実験室において硬化させた。
【0042】
乾燥時間:コーティングを76マイクロメートル(μm)の厚さの湿潤フィルムを備えた1”x12”ガラス基材上に引き落とし、BYK乾燥時間記録計を設定した。ASTM D5895-03に準拠したBYK乾燥時間記録計を使用して、コーティングを通してニードルを引きずることにより、指触乾燥、不粘着時間、および乾燥硬度を測定した。
【0043】
振り子硬度:ケーニッヒ振り子を備えたBYK Gardnerの振り子硬度テスターを使用して、振り子硬度を測定した。テスターをISO1522に従って実行し、硬度を秒単位で測定するように設定した。
【0044】
光沢:BYK GardnerのマイクロTRI光沢計を使用してASTMD-523-89に従って、コーティングの20°、60°、および85°の光沢を測定した。
【0045】
ヘイズ:BYKのマイクロヘイズプラスメーターを使用してASTME430試験方法Bに従って、クリアコート配合物のヘイズを測定する。ガラスパネル上に76umでコーティングを引き落とし、黒いレンタチャートで測定を行った。測定は、明るさ補正を伴う対数目盛であった。
【0046】
メチルエチルケトン二重摩擦試験:DJH DESIGNS INC製の半自動MEK摩擦試験機を使用してASTMD5402に従って、メチルエチルケトン(MEK)の二重摩擦試験を実行した。試験は、コーティングが摩擦で基材まで落とされるか、または最大200回の二重摩擦が破断せずに完了するまで続けられた。
【0047】
耐薬品性:耐薬品性試験は、ASTMD1308に準拠していた。数滴の指定された化学物質(水、水中の3%酢酸、10%硫酸、10%水酸化ナトリウム溶液、水中の3%塩化ナトリウム、トルエン、エタノール、およびメタノールを含む)をコーティングパネル上に堆積させた。表面張力が低いかまたは蒸発が速い化学物質については、化学物質で絶縁する前に、(直径25mm)の濾紙をコーティング上に置いた。次に、プラスチックキャップをかぶせて、液滴または飽和濾紙を覆った。24時間浸漬した後にデータを記録した。評価尺度は以下のとおりであった。
5目に見える影響なし
4わずかな白化
3大きな白化、わずかな気泡、接触の変化
2大きな気泡
1コーティングの失敗
【0048】
QUVの使用による促進された耐候性:パネルが紫外線に曝露されたときの光沢の保持を経時的に監視することにより、コーティングの耐候性を決定した。試験をASTMG-53に従って実施した。アルミニウムパネル上の硬化コーティング試料をQUVユニット(Q-LabモデルQUV/se)に配置した。QUVチャンバーは、0.89W/m^2の放射照度で60℃で8時間と、縮合サイクル50℃で4時間の間で循環させた。
【0049】
コーティング組成物の性能特性を表5~10に示す。表5は、アクリルコポリマーにおける、適合性(より高いHA読み取り値)、改善された乾燥時間、および改善された20度の光沢読み取り値を提供する硬化適合性基(例えば、HEMA)の重要性を例示する。表6は、アミノ官能性シリコーン樹脂の組成範囲およびその後の性能を例示する。表7は、本発明のコーティング組成物の耐候性性能を示す。表8~10は、着色コーティングを提供する能力および非Siアミン系コーティングの比較例を例示する。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】