(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20231019BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20231019BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610A
(21)【出願番号】P 2021184098
(22)【出願日】2021-11-11
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】竹内 孝之
(72)【発明者】
【氏名】柳田 弥希
(72)【発明者】
【氏名】冨平 昌吾
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-93248(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/175555(US,A1)
【文献】特開2007-48845(JP,A)
【文献】特開2007-147902(JP,A)
【文献】特開2016-73169(JP,A)
【文献】特開2020-140764(JP,A)
【文献】特開2004-357410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に電子部品が装着される電気接続箱であって、
前記筐体の外側面には、対象物に被着される被着部が設けられており、
前記被着部は前記筐体の少なくとも一端部に向かって面積が縮小する縮小部を有する電気接続箱。
【請求項2】
前記筐体の少なくとも前記一端部には取っ手が設けられており、
前記縮小部の縮小端が前記取っ手を向くように設けられている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記筐体は、前記外側面を底面として有し、前記底面と対向面が開放された箱形状部材を含み、
前記取っ手は前記箱形状部材に設けられている請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記箱形状部材は、
長辺側の中央部には凹部が形成されており、
前記凹部に係る側壁に複数のリブが設けられている請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記箱形状部材の両端部には夫々前記取っ手が設けられ、
前記底面の両端部には前記被着部が夫々設けられており、
各被着部の縮小端は最寄りの取っ手を向いている請求項3又は4に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、リレーのような電子部品が装着される電気接続箱が搭載されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電気接続箱が、例えばEV(Electric Vehicle)車両に搭載された電池パックに、電池セルと共に収容されていることについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気接続箱が電池パックに取り付けられ、電池パックと冷却機構を共有する場合がある。この場合、接触面積を増やして熱伝導度を高めるために、電気接続箱は接着剤を用いて電池パックの冷却機構に被着され、電気接続箱と電池パックの冷却機構との間に存在する空間にはフィラーが介在される。
【0006】
ところが、何らかの原因により、電気接続箱を取り換える必要が生じ得る。取り換えのためには電池パックの冷却機構から電気接続箱を取り外す必要があるが、時間経過と共に、接着剤が硬化し、電気接続箱の取り外しが困難になる場合が多い。この際、強引に電気接続箱を引っ張ると、電気接続箱自体が変形又は破損するおそれがある。
【0007】
しかしながら、特許文献1の電気接続箱では、電気接続箱の取り換えについては想定していないので、電気接続箱の安全な取り外しについては工夫もされておらず、上述したような問題を解決することが出来ない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易に、且つ安全に取り外すことができる電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態に係る電気接続箱は、筐体に電子部品が装着される電気接続箱であって、前記筐体の外側面には、対象物に被着される被着部が設けられており、前記被着部は前記筐体の少なくとも一端部に向かって面積が縮小する縮小部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、電気接続箱を、容易に、且つ安全に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る電気接続箱の斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る電気接続箱の底面図である。
【
図3】電気接続箱からロウアーケースを取り外した状態を示す図である。
【
図4】電気接続箱のアッパーケースの部分的平面図である。
【
図5】電気接続箱のロウアーケースを示す斜視図である。
【
図6】実施形態2に係る電気接続箱の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、筐体に電子部品が装着される電気接続箱であって、前記筐体の外側面には、対象物に被着される被着部が設けられており、前記被着部は前記筐体の少なくとも一端部に向かって面積が縮小する縮小部を有する。
【0014】
本実施形態にあっては、前記被着部に、前記筐体の一端部に向かって面積が縮小する縮小部が設けられているので、作業者が前記筐体の一端部を把持して前記筐体を取り外す場合、前記縮小部のうち最も被着の面積が小さい部分から取り外されるので、前記筐体の取り外しが容易になる。
【0015】
(2)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記筐体の少なくとも前記一端部には取っ手が設けられており、前記縮小部の縮小端が前記取っ手を向くように設けられている。
【0016】
本実施形態にあっては、前記縮小部の縮小端が前記取っ手を向くように設けられているので、作業者が前記取っ手を把持して前記筐体を取り外す場合、前記縮小部のうち最も被着の面積が小さい縮小端から取り外されるので、前記筐体の取り外しが容易になる。
【0017】
(3)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記筐体は、前記外側面を底面として有し、前記底面と対向面が開放された箱形状部材を含み、前記取っ手は前記箱形状部材に設けられている。
【0018】
本実施形態にあっては、前記取っ手が前記箱形状部材に設けられているので、前記筐体を取り外す際の引っ張る力が直接前記被着部に伝わり、前記筐体の取り外しが容易になる。
【0019】
(4)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記箱形状部材は、長辺側の中央部には凹部が形成されており、前記凹部に係る側壁に複数のリブが設けられている。
【0020】
本実施形態にあっては、前記箱形状部材の長辺側の中央部に形成された前記凹部に複数のリブが設けられているので、前記筐体を取り外す際の引っ張る力によって前記箱形状部材が撓む場合、前記凹部に応力が集中して破損又は変形が生じることを防止できる。
【0021】
(5)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記箱形状部材の両端部には夫々前記取っ手が設けられ、前記底面の両端部には前記被着部が夫々設けられており、各被着部の縮小端は最寄りの取っ手を向いている。
【0022】
本実施形態にあっては、前記底面の両端部に夫々設けられた前記被着部の縮小端が、最寄りの端部の取っ手を夫々向いているので、作業者がいずれかの取っ手を把持するか、又は両取っ手を把持して前記筐体を取り外す場合、夫々の縮小部のうち最も被着の面積が小さい縮小端から取り外されるので、前記筐体の取り外しが容易になる。
【0023】
[本発明の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電気接続箱を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0024】
以下においては、電子部品が実装された車両用の電気接続箱を例として本実施形態を説明する。
【0025】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電気接続箱100の斜視図であり、
図2は、実施形態1に係る電気接続箱100の底面図である。
電気接続箱100は、例えば、EV(Electric Vehicle)の電池パック500の外側に取り付けられる。電気接続箱100は、例えば、ヒューズ、リレー400等の電子部品が装着される筐体50を備える。
【0026】
以下、説明の便宜上、電気接続箱100に対して電池パック500側を下方とし、電池パック500に対して電気接続箱100側を上方とする。
【0027】
筐体50は、例えば樹脂、金属等からなり、一方向(以下、長さ方向と称する)に延びている。筐体50は、電池パック500寄りのロウアーケース52(箱形状部材)と、ロウアーケース52を覆うアッパーケース51とからなる。筐体50は、例えば、ロウアーケース52の底板525が電池パック500と接触して、電池パック500に取り付けられる。
【0028】
図3は、電気接続箱100からロウアーケース52を取り外した状態を示す図である。
アッパーケース51は、ロウアーケース52側の一面が開放された前記長さ方向に延びている箱体である。アッパーケース51は、前記長さ方向及び幅方向の寸法がロウアーケース52よりも大きく、ロウアーケース52を覆う。
【0029】
また、アッパーケース51は、前記長さ方向の両端部と、中央部とに電池パック500への取り付けのための脚部511が設けられている。詳しくは、脚部511は、アッパーケース51の両短辺付近に夫々2つずつ設けられ、両長辺の中央部にも夫々設けられている。アッパーケース51の両端部に設けられた脚部511は、扁平板形状の鍔部を有しており、斯かる鍔部に固定貫通孔512が形成されている。また、アッパーケース51の中央部に設けられた脚部511は、平面視矩形状に切り欠いて形成した扁平板形状の鍔部に固定貫通孔512が形成されている。例えば、脚部511の固定貫通孔512にネジを挿通させて電池パック500に設けられたネジ穴(図示せず)に螺合させることによって、筐体50(電気接続箱100)を電池パック500に取り付けることができる。
【0030】
図4は、電気接続箱100のアッパーケース51の部分的平面図である。
図4は、アッパーケース51の角筒部514及び角筒部514の周囲を拡大して示している。
アッパーケース51は、一端部に角筒部514が設けられている。角筒部514は、平面視で矩形の貫通路を内側に構成しており、斯かる貫通路は、電気接続箱100の長さ方向の寸法よりも幅方向の寸法が大きい。角筒部514の上側は、電気接続箱100の外側に開口しており、下側は電気接続箱100の内側に開口している。また、角筒部514の上側は、上下方向に対して斜めに開口している。
【0031】
図3の如く、角筒部514に係る側壁のうち、前記長さ方向に対向する2つの側壁には夫々切り欠き513a,513bが形成されている。前記2つの側壁のうち、前記長さ方向において外側の側壁(以下、外側壁と称する)には切り欠き513aが形成されており、相対的に内側の側壁(以下、内側壁と称する)には切り欠き513bが形成されている。
【0032】
切り欠き513aは、前記外側壁を上端から下方に略矩形に切り欠いて形成されており、切り欠き513bは、前記内側壁を下端から上方に略矩形に切り欠いて形成されている。前記幅方向における切り欠き513a,513bの寸法は略等しい。切り欠き513a,513bは、前記長さ方向にて、部分的に整合している。よって、アッパーケース51(電気接続箱100)は、切り欠き513a,513bを通して、内部と外部とが連通している。
【0033】
図5は、電気接続箱100のロウアーケース52を示す斜視図である。
ロウアーケース52は、アッパーケース51側の一面が開放された前記長さ方向に延びている箱体である。ロウアーケース52は細長い略長方形の底板525と、底板525の縁に周設された側壁521とを有する。ロウアーケース52の内側には、複数箇所にリブが形成され、台座が複数形成されている。前記台座にはバスバ、電子部品(図示せず)等が取り付けられる。
【0034】
ロウアーケース52は、一端部に取っ手53及びフィルタ54が設けられ、他端部に凹部522bが形成され、中央部に凹部522aが形成されている。取っ手53及びフィルタ54は、アッパーケース51の角筒部514に対応する位置に設けられており、凹部522a及び凹部522bは、アッパーケース51の脚部511に対応する位置に形成されている。
【0035】
取っ手53は、ロウアーケース52の短辺側の側壁521に設けられている。取っ手53は、倒立U字形状をなしており、上下方向に延びており、前記幅方向に所定間隔隔てて設けられた一対の支持棒532と、支持棒532の間に架け渡すように設けられた把持棒531とを有する。上下方向において、支持棒532の寸法は切り欠き513bよりも大きく、前記幅方向において、支持棒532同士間の間隔は切り欠き513a,513bの寸法と略等しい(
図1参照)。例えば、把持棒531及び一対の支持棒532は一体形成されている。
【0036】
前記長さ方向において、取っ手53よりも内側にフィルタ54が設けられている。フィルタ54は、略短冊形状の複数の立設板541を含む。複数の立設板541は、厚み方向を前記長さ方向とし、前記幅方向に一定間隔にて並設されている。
【0037】
ロウアーケース52の他端部の両隅には、凹部522bが夫々形成されている。凹部522bは平面視で略矩形であり、凹部522bにて側壁521が略直角に屈曲しており、凹隅は面取りされている(
図2及び
図5参照)。
【0038】
また、ロウアーケース52の両長辺側の中間部では、側壁521に凹部522aが夫々形成されている。両凹部522aは同じ形状であり、平面視で略矩形である。凹部522aにて側壁521がロウアーケース52の内側に凹んでおり、凹隅は面取りされている(
図2及び
図5参照)。
【0039】
凹部522aを構成する側壁521にはリブ526が設けられている。即ち、凹部522aに係る側壁521の内側面に沿ってリブ526が設けられている。リブ526は、斯かる側壁521の内側面から底板525まで設けられている。
図5には、両凹部522aのうち、一方にのみリブ526が設けられている場合が例示されているが、これに限定されるものではない。両凹部522aにリブ526が設けられても良い。
【0040】
アッパーケース51及びロウアーケース52の組み立ての際、ロウアーケース52の取っ手53は、アッパーケース51の角筒部514内に挿入され、角筒部514の前記貫通路を移動する。アッパーケース51及びロウアーケース52の組み立てが完了した場合、取っ手53は、アッパーケース51の角筒部514内に配置される。この際、角筒部514の前記内側壁は、ロウアーケース52の取っ手53及びフィルタ54の間に介在する(
図1参照)。即ち、角筒部514の切り欠き513bの裏側にフィルタ54が配置されている。
【0041】
また、凹部522aの内側にはアッパーケース51の中央部に設けられた脚部511が配置され、凹部522bの内側にはアッパーケース51の他端部に設けられた脚部511が配置される(
図2参照)。
【0042】
図2に示すように、ロウアーケース52の底板525の外側面525aには、被着部523が形成されている。被着部523は、筐体50(電気接続箱100)を電池パック500に取り付ける際、電池パック500に被着される扁平な部分であって、外側面525aの他部分よりも少し下方、即ち電池パック500側に突出した部分である。被着部523は、外側面525aの両端部に形成されている。被着部523は、取っ手53側の一端部に設けられた被着部523aと、他端部に設けられた被着部523bとを備えている。
【0043】
電池パック500には、電池パック500の電池セルを冷却するための冷却機構が設けられており、電池パック500に取り付けられた電気接続箱100は斯かる冷却機構を共有する。そのため、熱伝導度を高めるために、電気接続箱100の被着部523に接着剤を塗布して電池パック500(冷却機構)に接着させ、また、電気接続箱100と電池パック500との間に存在する空間にはフィラーを介在させる。
【0044】
被着部523a及び被着部523bは、いずれも外側面525a(電気接続箱100)の長さ方向に延びている略長方形である。被着部523aの長さが被着部523bの長さよりも長く、被着部523a及び被着部523bは等しい幅を有している。
【0045】
被着部523a及び被着部523bは、長さ方向の両短辺のうち、取っ手53寄りの一短辺部に、頂点が取っ手53を向く三角形の縮小部524a及び縮小部524bが夫々形成されている。換言すれば、縮小部524a及び縮小部524bは取っ手53に向かって面積が縮小しており、縮小部524a及び縮小部524bの縮小端が取っ手53を向いている。
【0046】
即ち、被着部523a及び被着部523bの夫々において、縮小部524a及び縮小部524bは、取っ手53に近い程、他の部分に比べて面積が縮小している。換言すれば、縮小部524a及び縮小部524bは取っ手53に向かって先細くなっている。
【0047】
ところが、何らかの原因により、電気接続箱100を取り換える必要が生じ得る。電気接続箱100の取り換えのためには電池パック500の前記冷却機構から電気接続箱100を取り外す必要がある。しかし、時間経過と共に接着剤が硬化して電気接続箱100の取り外しが困難になる場合が多い。この際、強引に電気接続箱100を引っ張ると、電気接続箱100自体が変形又は破損するおそれがある。
【0048】
上述したような構成を有する実施形態1の電気接続箱100は、容易、且つ安全に電池パック500から取り外すことができる。以下、詳しく説明する。
【0049】
本実施形態の電気接続箱100を取り外す場合、作業者は取っ手53の把持棒531を把持したまま、電池パック500から遠ざかる方向に電気接続箱100を引っ張る。
【0050】
一方、上述の如く、縮小部524aは取っ手53に近い程面積が縮小するので、被着部523aにおいて、最も取っ手53に近い部分は、被着部523aのなかでも電池パック500(冷却機構)との接触面積が最も小さい部分であり、取り外しやすい。よって、被着部523aの取り外しの開始が容易になる。更に、取り外し開始後も、電池パック500に被着された縮小部524aにおいては、最も取っ手53に近い部分が、被着部523aのなかでも電池パック500(冷却機構)との接触面積が最も小さい部分である状況がしばらく続く。電池パック500の前記冷却機構から容易に被着部523aを取り外すことができる。
【0051】
また、縮小部524bも取っ手53に近い程面積が縮小するので、被着部523bにおいても、最も取っ手53に近い部分が、被着部523bのなかでも電池パック500(冷却機構)との接触面積が最も小さい部分であり、取り外しやすい。よって、被着部523bの取り外しの開始が容易になる。従って、電池パック500の前記冷却機構から被着部523bを容易に取り外すことができる。
【0052】
従って、実施形態1の電気接続箱100は、変形又は破損することなく、容易、且つ安全に電池パック500から取り外すことができる。
【0053】
また、作業者が取っ手53を用いて電気接続箱100を引っ張り、例えば電気接続箱100(ロウアーケース52)の長さ方向の半分が電池パック500から外された場合、残りの半分は未だ電池パック500に被着されたままである。この際、電気接続箱100が撓むので、電気接続箱100の中央部、特に、前記幅方向の寸法が小さくなっている凹部522aに応力が集中する。
【0054】
しかし、実施形態1の電気接続箱100は、上述の如く、凹部522aに係る側壁521の内側面に沿ってリブ526が設けられており、前記応力集中による変形又は破損を防ぐことができる。
【0055】
実施形態1の電気接続箱100は、上述の如く、電気接続箱100の内部と外部とが、切り欠き513a,513bを通して連通している。よって、動作中、電気接続箱100内に収容された電子部品から熱が発生した場合、電気接続箱100内にこもらず、外に排出される。
【0056】
また、実施形態1の電気接続箱100は、上述の如く、角筒部514の切り欠き513bの裏側にフィルタ54が配置されているので、切り欠き513a,513bを通して電気接続箱100内に埃が入ることを防止できる。
【0057】
また、実施形態1の電気接続箱100は、上述の如く、取っ手53において、上下方向の支持棒532の寸法が切り欠き513bよりも大きく、前記幅方向の支持棒532同士間の間隔は切り欠き513a,513bの寸法と略等しい。従って、前記長さ方向において取っ手53の位置が切り欠き513bの位置と重複しておらず、切り欠き513bを介した電気接続箱100内の熱の排出が邪魔されない。
【0058】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る電気接続箱100Aの底面図である。
実施形態2に係る電気接続箱100Aにおいて、ロウアーケース52は、両端部に夫々取っ手53を有している。ロウアーケース52の一端部には取っ手53aが設けられ、他端部には取っ手53bが設けられている。取っ手53a及び取っ手53bは同じ形状であり、既に説明した実施形態1の取っ手53と同じ形状であり、詳しい説明を省略する。
【0059】
図6に示すように、ロウアーケース52の底板525の外側面525aには、被着部523が形成されている。被着部523は、外側面525aの両端部に形成されている。被着部523は、取っ手53a側の一端部に設けられた被着部523aと、取っ手53b側の他端部に設けられた被着部523cとを備えている。
【0060】
被着部523a及び被着部523cは、いずれも外側面525a(電気接続箱100A)の長さ方向に延びている略長方形である。被着部523aの長さが被着部523cの長さよりも長く、被着部523a及び被着部523cは等しい幅を有している。
【0061】
被着部523aは、長さ方向の両短辺のうち、取っ手53a寄りの一短辺部に、頂点が取っ手53aを向く三角形の縮小部524aが形成されている。被着部523cは、長さ方向の両短辺のうち、取っ手53b寄りの一短辺部に、頂点が取っ手53bを向く三角形の縮小部524cが形成されている。換言すれば、縮小部524a及び縮小部524cは夫々取っ手53a及び取っ手53bに向かって面積が縮小しており、縮小部524a及び縮小部524cの縮小端が夫々取っ手53a及び取っ手53bを向いている。
【0062】
その他、実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
上述したような構成を有する実施形態2の電気接続箱100Aは、容易、且つ安全に電池パック500から取り外すことができる。以下、詳しく説明する。
【0064】
本実施形態の電気接続箱100Aを取り外す場合、作業者は取っ手53a又は取っ手53bを把持したまま、電池パック500から遠ざかる方向に電気接続箱100Aを引っ張る。
【0065】
先ず、作業者が取っ手53aを把持して電気接続箱100Aを引っ張る場合について説明する。
上述の如く、縮小部524aは取っ手53aに近い程面積が縮小するので、被着部523aにおいて、最も取っ手53aに近い部分は、被着部523aのなかでも電池パック500(冷却機構)との接触面積が最も小さい部分であり、取り外しやすく、被着部523aの取り外しの開始が容易になる。よって、電池パック500の前記冷却機構から容易に被着部523aを取り外すことができる。
【0066】
次に、作業者が取っ手53bを把持して電気接続箱100Aを引っ張る場合について説明する。
上述の如く、縮小部524cは取っ手53bに近い程面積が縮小するので、被着部523cにおいて、最も取っ手53bに近い部分は、被着部523cのなかでも電池パック500(冷却機構)との接触面積が最も小さい部分であり、取り外しやすく、被着部523cの取り外しの開始が容易になる。よって、電池パック500の前記冷却機構から容易に被着部523cを取り外すことができる。
【0067】
従って、実施形態2の電気接続箱100Aは、変形又は破損することなく、容易、且つ安全に電池パック500から取り外すことができる。
【0068】
以上では、本実施形態の電気接続箱100Aを取り外す場合、作業者は取っ手53a又は取っ手53bのいずれかを把持して電気接続箱100Aを引っ張るときを例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。作業者は取っ手53a及び取っ手53bの両方を把持して電気接続箱100Aを引っ張るときも、本発明が適用可能であることは言うまでもない。
【0069】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
50 筐体
51 アッパーケース
52 ロウアーケース(箱形状部材)
53,53a,53b 取っ手
54 フィルタ
100,100A 電気接続箱
400 電子部品
500 電池パック(対象物)
511 脚部
512 固定貫通孔
513a,513b 切り欠き
514 角筒部
521 側壁
522a,522b 凹部
523,523a,523b,523c 被着部
524a,524b,524c 縮小部
525 底板
525a 外側面
526 リブ
531 把持棒
532 支持棒
541 立設板