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特許7369766テレメトリ信号にデイトスタンピングする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】テレメトリ信号にデイトスタンピングする方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/227 20060101AFI20231019BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H04L27/227 100
H04L7/00 990
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021510945
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019073264
(87)【国際公開番号】W WO2020043905
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】1857873
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515349711
【氏名又は名称】サフラン データ システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シニ,ユセフ
(72)【発明者】
【氏名】トマス,アラン
(72)【発明者】
【氏名】パステルナーク,二コラ
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0296856(US,A1)
【文献】特開2016-100705(JP,A)
【文献】特開平09-266499(JP,A)
【文献】特開平05-292137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0344540(US,A1)
【文献】特開2005-033326(JP,A)
【文献】特開2014-023090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/227
H04L 7/00
H04J 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調された信号のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法であって、前記信号は、デジタル信号による搬送波又は副搬送波の変調から得られ、前記デジタル信号のシンボルレートは、前記搬送波又は副搬送波の周波数の整数の約数Nであり、当該方法は、遠隔通信受信器のプロセッサによって実行される以下のステップ、すなわち、前記変調された信号の受信及びサンプリングの後に、
前記変調された信号の複数のサンプルsm(k)を位相ループによってコヒーレント復調して、複数の復調されたサンプルsdm(k)と再構成された搬送波又は副搬送波の位相とを複数のペアとして取得するステップと([0040]、[0042])
記再構成された搬送波又は副搬送波の位相が所定の値φ0まで移行する複数のデイトを、前記搬送波又は副搬送波がφ(k)からφ0まで回転する間の時間オフセットに従って、少なくとも1つのサンプルsm(k)の受信のデイトに対して相対的に求めるステップと、
φ0への移行の前記複数のデイトの中から、前記デジタル信号のシンボルの移行の時間に対応するシンボル移行デイトを選択するステップと、
検出された前記シンボル移行デイトから始めて、φ0への移行の前記複数のデイトを係数Nで間引くステップと、
前記間引くことから得られたφ0への移行のデイトに対応する複数の連続するシンボルの受信デイトを決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記コヒーレント復調するステップは、
a. 位相検出器により、受信した信号の変調を消去する位相誤差を検出するサブステップと、
b. 前記位相誤差をローパスフィルタリングするサブステップと、
有する、請求項1に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項3】
φ0まで移行する前記複数のデイトを求めるステップにおいて、該デイトが、前記再構成された搬送波又は副搬送波の位相のφ0への移行の直前又は直後にある前記変調された信号のサンプルsm(k)に対して計算される、請求項1又は2に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項4】
前記シンボル移行デイトを選択するステップは、前記信号の連続するN個のサンプルのウィンドウにわたって、前記復調されたサンプルsdm(k)の積分I(n)を行うサブステップを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項5】
前記積分I(n)を行うサブステップは、φ0への移行に対応する前記復調された信号の各サンプルsdm(k)で始まるシンボルの持続時間にわたって実行される、請求項に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項6】
前記積分を行うサブステップはまた、
e. 全てがpモジュロNの値を持つNs個の値をとるmについて、前記積分I(m)の絶対値の平均値M(p)の複数の連続したインデックスpを計算することと
f. M(p)を最大化するインデックスpの、φ0への移行を選択することによって、前記シンボル移行デイトを決定することと、
を含む、請求項に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項7】
前記シンボル移行デイトで始まる前記積分I(n)の値が、前記デジタル信号の前記対応するシンボルを与える、請求項に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項8】
前記検出されたシンボル移行に対して先行するφ0への移行にて計算されたMの値M(n-1)と、後続するφ0への移行にて計算されたMの値M(n+1)との比較が、これらの値が実質的に等しくないが一方がM(n)に実質的に等しい場合に、前記変調に関連する位相曖昧性を特徴付けることを可能にする、請求項に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項9】
前記位相曖昧性は、前記所定のφ0を別の値に修正することによって解消される、請求項に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項10】
当該方法はまた、φ0への移行のデイトに対応する前記複数の連続するシンボルをバイナリデータに復号することを含む、請求項乃至9のいずれか一項に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項11】
当該方法は更に、シンボル移行デイトから始めて、バイナリデータフレームの所定のサイズに等しい係数Qによる第2の間引きを行うことを有するフレーム同期ステップと、該間引きから得られたφ0への移行のデイトに対応する複数の連続したフレームの受信デイトを決定するステップとを含む、請求項10に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項12】
記フレーム同期ステップは更に、複数の連続したフレームの中から、決定されたパイロットシーケンスと最良の相関を有するフレームを選択するステップと、該選択したフレームの受信デイトを決定するステップとを含む、請求項11に記載のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法。
【請求項13】
変調された無線信号を受信する遠隔通信受信器であって、前記信号は、デジタル信号による搬送波又は副搬送波の変調から得られ、前記デジタル信号のシンボルレートは、前記搬送波又は副搬送波の周波数の整数の約数Nであり、当該遠隔通信受信器は、
復調ユニットであり、前記変調された信号の受信及びサンプリングの後に、前記変調された信号の複数のサンプルsm(k)を位相ループによってコヒーレント復調して、複数の復調されたサンプルsdm(k)と再構成された搬送波又は副搬送波の位相とを複数のペアとして取得する、ように構成された復調ユニットと、
同期ユニットであり、
前記再構成された搬送波又は副搬送波の位相の所定の値φ0まで移行の複数のデイトを、前記搬送波又は副搬送波がφ(k)からφ0まで回転する間の時間オフセットに従って、少なくとも1つのサンプルsm(k)の受信デイトに対して相対的に求め、
前記所定の値φ0への移行の前記複数のデイトの中から、前記デジタル信号のシンボルの移行の時間に対応するシンボル移行デイトを選択し、
検出された前記シンボル移行デイトに基づいて、φ0への移行の前記複数のデイトを係数Nで間引き、
前記間引くことから得られたφ0への移行のデイトに対応する複数の連続するシンボルの受信デイトを決定する、
ように構成された同期ユニット
を有する、遠隔通信受信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変調信号の数値データの受信のデイト(日時)スタンピング方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、変調無線信号を受信する遠隔通信受信器に関する。
【背景技術】
【0003】
航空機(エアクラフト)又は宇宙船(スペースクラフト)の状況では、地上からそれらを空間的及び時間的に正確に位置特定できることが必要である。典型的に、測距技術においては、クラフトによって又は地上から放射されて地上の幾つかの遠隔ステーションで受信された信号の移動時間が測定される。
【0004】
パルス測距、セミアクティブ測距、パッシブ相関測距といった、数多くの技術が存在する。精度要求は、信号が、即興で、十分な帯域幅で、ジッタ(信号揺らぎ)がなく放射され、且つ特徴的なマーカ(アクティブ又はセミアクティブな測距)を含むことを要求することが多い。このソリューションは、例えば特有の送信デバイスやスペクトル消費などのリソースに関して固有のコストを有する。
【0005】
パッシブ測距技術の場合、遠隔通信信号の便乗的な使用が為されるが、この信号は常に存在するわけではなく(観測衛星又はLEO衛星)、大量のデータを別々に受信及び処理する必要がある。
【0006】
また、図1に例示するように、制御ステーションで受信される無人クラフト10(衛星、ドローンなど)上に常に存在する測距信号TMを使用し、そして、それらのステーションの各々でそれにデイトスタンピングすることも可能である。故に、ステーション20AでのTOA1、ステーション20BでのTOA2といった、信号TMの複数の異なる受信デイトが、クラフトとそれら複数の異なるステーションとの間の移動時間の差を計算すること、そして、例えば双曲線三辺測量によってそのクラフトを位置特定することを可能にする。
【0007】
図2は、制御ステーションからの測距信号Stmの受信器の典型的な構造を示しており、信号Stmは、信号TMのサンプリング及び非同期でのデジタル化の後に得られる。
【0008】
受信器は、従来、シンボルストリームからシンボルを抽出するために使用される復調器/デマッパ(demodulator/demapper)ユニット40と、ローカル発振器と搬送波との間での位相及び周波数分離の推定/補正(estimation/correction)ユニット50と、シンボルレート及び位相の推定ユニット60とを含む。この復調器は、受信器の入口でサンプリングされたものの間の信号Stmを表すサンプルを合成することができるリサンプラ(re-sampler)30によって先行される。従って、リサンプラ30は、実効的なサンプリング周波数及び補間位相の使用を調整して、シンボルと同期して中間サンプルをリタイミングすることができる。
【0009】
具体的には、最も高い信号対雑音比を持つシンボルを得るために、アイダイアグラムが最大に開くまさにその時に測距信号をサンプリングすることが重要である。この時間からのずれは、続く受信器ユニットによって見られる実効的な信号対雑音比(SNR)と、シンボル間干渉(ISI)とを大きく低減させることになる。
【0010】
この従来構造は、受信器が外部基準クロック(GPS型)に従属する(例えば、コスタスループ型)という条件で、マイクロ秒オーダーの精度での受信信号のデイトスタンピングを得ることを可能にする。
【0011】
しかしながら、そのような受信器では、デイトスタンピングの精度を向上させることはできない。具体的には、先に見たように、リサンプラは、シンボルレートに関して最適な時間でリタイミングを実行し、それが、シンボルシーケンスのランダム性及び通過帯域内で受信されるノイズに関連する時間ベースのジッタを導入する。従って、このようなプロセスは、衛星測距信号の場合にマイクロ秒オーダーの、入力サンプリング周期に比例するかなりのジッタを発生する。
【0012】
航空機又は宇宙船の位置特定の状況においては、この程度のデイトスタンピング精度では、適切な位置特定精度を可能にするのに十分でないことがわかっている(1キロメートル以上のオーダーの誤差)。
【0013】
従って、そのような信号の受信のいっそう正確なデイトスタンピングを提供することができるように、測距信号受信器を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、上述の従来技術の欠点を軽減することである。
【0015】
特に、本発明の一目的は、搬送波又は副搬送波をコヒーレントに変調する信号のデジタルデータをデイトスタンピングし、そのような変調の特性を利用してそのデイトスタンピングを改善する方法を提供することである。
【0016】
そのような方法は、有利には、パイロットシーケンス(既知パターン)のデイトスタンピングを非常に正確に補正することを可能にし、ビットの遷移のデイトスタンピングの不一致をかなり抑制し、とりわけ、そのような測距信号を放つ移動クラフトのいっそう良好な位置特定を可能にする。
【0017】
本発明の他の一目的は、上記方法が既存の測距信号を使用することを可能にし、それ故に、距離測定を行うための別信号の放射を回避することである。
【0018】
この方法はまた、地上で受信される所与のシーケンスの受信デイトに基づいてこれが行われ、且つその受信デイトが機上に送り返されるときに、高精度の時間基準を持たない衛星上での再同期の精度を高めることも可能にする。
【0019】
これに関して、本発明の主題は、変調された信号のデジタルデータの受信のデイトスタンピングの方法であり、前記信号は、デジタル信号による搬送波又は副搬送波の変調から得られ、前記デジタル信号のシンボルレートは、前記搬送波又は副搬送波の周波数の整数の約数Nであり、当該方法は、遠隔通信受信器のプロセッサによって実行される以下のステップ、すなわち、前記変調された信号の受信及びサンプリングの後に、
- 前記変調された信号の複数のサンプルsm(k)を位相ループによってコヒーレント復調して、複数の復調されたサンプルsdm(k)と再構成された搬送波の位相とを取得するステップと、
- 前記複数の復調されたサンプルsdm(k)を、前記再構成された搬送波の同時位相φ(k)と組み合わせるステップと、
- 前記再構成された搬送波の位相が所定の値φ0まで移行する複数のデイトを、前記搬送波がφ(k)からφ0まで回転する間の時間オフセットに従って、少なくとも1つのサンプルsm(k)の受信のデイトに対して相対的に求めるステップと、
を含む。
【0020】
オプションであるが、有利には、本発明に従った方法は更に、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有し得る:
- 前記コヒーレント復調するステップは、
a. 位相検出器により、受信した信号の変調を消去する位相誤差を検出するサブステップと、
b. 前記位相誤差をローパスフィルタリングするサブステップと、
有する;
- φ0まで移行する前記複数のデイトを求めるステップにおいて、該デイトが、前記再構成された搬送波の位相のφ0への移行の直前又は直後にある前記変調された信号のサンプルsm(k)に対して計算される;
- 当該方法は更に、
・ φ0への遷移の前記複数のデイトの中から、前記デジタル信号のシンボルの移行の時間に対応するシンボル移行デイトを選択するステップと、
・ 検出された前記シンボル移行デイトから始めて、φ0への移行の前記複数のデイトを係数Nで間引くステップと、
・ 前記間引くことから得られたφ0への移行のデイトに対応する複数の連続するシンボルの受信デイトを決定するステップと、
を含む;
- 前記シンボル移行デイトを選択するステップは、前記信号の連続するN個のサンプルのウィンドウにわたって、前記復調されたサンプルsdm(k)の積分I(n)を行うサブステップを有する;
- 前記積分I(n)を行うサブステップは、φ0への移行に対応する前記復調された信号の各サンプルsdm(k)で始まるシンボルの持続時間にわたって実行される;
- 前記積分を行うサブステップはまた、
c. 全てがpモジュロNの値を持つNs個の値をとるmについて、前記積分I(m)の絶対値の平均値M(p)の複数の連続したインデックスpを計算することと
d. M(p)を最大化するインデックスpの、φ0への移行を選択することによって、前記シンボル移行デイトを決定することと、
を含む;
- 前記シンボル移行デイトで始まる前記積分I(n)の値が、前記デジタル信号の前記対応するシンボルを与える;
- 前記検出されたシンボル移行に対して先行するφ0への移行にて計算されたMの値M(n-1)と、後続するφ0への移行にて計算されたMの値M(n+1)との比較が、これらの値が実質的に等しくないが一方がM(n)に実質的に等しい場合に、前記変調に関連する位相曖昧性を特徴付けることを可能にする;
- 前記位相曖昧性は、前記所定の移行位相φ0を別の値に修正することによって解消される;
- 当該方法はまた、前記シンボルをバイナリデータに復号することを含む;
- 当該方法はまた、シンボル移行デイトから始めて、バイナリデータフレームの所定のサイズに等しい係数Qによる第2の間引きを行うことを有するフレーム同期ステップと、該間引きから得られたφ0への移行のデイトに対応する複数の連続したフレームの受信デイトを決定するステップとを含む;及び
- 当前記フレーム同期ステップは更に、複数の連続したフレームの中から、決定されたパイロットシーケンスと最良の相関を有するフレームを選択するステップと、該選択したフレームの受信デイトを決定するステップとを含む。
【0021】
さらに、本発明は、変調された無線信号を受信する遠隔通信受信器に関し、前記信号は、デジタル信号による搬送波又は副搬送波の変調から得られ、前記デジタル信号のシンボルレートは、前記搬送波又は副搬送波の周波数の整数の約数Nであり、当該遠隔通信受信器は、
- 変調ユニットであり、前記変調された信号の受信及びサンプリングの後に、
・ 前記変調された信号の複数のサンプルsm(k)を位相ループによってコヒーレント復調して、複数の復調されたサンプルsdm(k)と再構成された搬送波の位相とを取得し、
・ 前記複数の復調されたサンプルsdm(k)を、前記再構成された搬送波の同時位相φ(k)と組み合わせ、
・ 前記再構成された搬送波の位相の所定の値φ0まで移行の複数のデイトを、少なくとも1つのサンプルsm(k)の受信デイトに対して相対的に求める、
ように構成された変調ユニット、
を有する。
【0022】
オプションであるが、有利には、本発明に従った遠隔通信受信器は更に、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有することができる:
- 同期ユニット(130)であり、
・ φ0への遷移の前記複数のデイトの中から、前記デジタル信号のシンボルの移行の時間に対応するシンボル移行デイトを選択し、
・ 検出された前記シンボル移行デイトに基づいて、φ0への移行の前記複数のデイトを係数Nで間引き、
・ 間引くことから得られたφ0への移行のデイトに対応する複数の連続するシンボルの受信デイトを決定する、
ように構成された同期ユニット。
【0023】
さらに、本発明は、前述の特徴の1つにて請求されるような方法及び/又は遠隔通信受信器を実装する宇宙船又は航空機の位置特定システムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
非限定的な例として与えられる添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴、目的、及び利点が明らかになる。
図1】既に提示されており、従来技術の衛星測距システムを示している。
図2】既に提示されており、従来技術の無線受信器を示している。
図3A】本発明に従った無線受信器によって実行されるデイトスタンピング方法の主なステップを示している。
図3B】本発明に従った無線受信器100を概略的に示している。
図4】本発明に従った無線受信器100の復調ユニット120を概略的に示している。
図5】本発明に従った無線受信器100の同期ユニット130を概略的に示している。
図6】本発明に従った復調ユニット120によって実行される積分ステップを示している。
図7】本発明に従った無線受信器100の検出ユニット140を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(宇宙データシステム諮問委員会:CCSDSに従って規定される)事実上の標準に従った衛星測距は、例えば位相変調(PM)、位相シフトキーイング(PSK)、及び/又はパルスコード変調(PCM)などの幾つかの方法に従って搬送波を変調することができる通常はバイナリ又は“ビット”のデジタルデータを送信する。全ての場合において、それは、PSK搬送波のビットのコヒーレント変調を含み、これは、シンボルレートRsが、PSK搬送波(又は副搬送波)周波数Fpの、整数である約数Nである、と言うことに等しい。故に、このコンテキストにおいて、Fp=N×Rsである。
【0026】
そして、典型的な測距システムは、1400ビット/秒と31200ビット/秒との間のバイナリビットレートを含む。バイナリビットレートに対する搬送波の周波数Fpの比は、典型的に4と16との間である。
【0027】
明細書の残りの部分において、用語“搬送波”は用語“副搬送波”で置き換えられることもできる。特に、変調された信号から見て、搬送波PSKはまた別の信号を変調することができるので、これらの用語間で区別する必要はない。故に、以下に記載される方法は、搬送波又は副搬送波に区別なく適用される。
【0028】
図3Aは、例えば衛星から到来する例えば測距信号などの無線信号を入力として受信する無線通信受信器100によって実行される信号デイトスタンピング方法を例示している。
【0029】
そのような無線受信器100について、図3Bを参照して説明する。それは、
- 復調ユニット120と、
- 同期ユニット130と、
- パイロットシーケンス検出ユニット140と、
を有する。
【0030】
復調ユニット
受信器100は、所定のサンプリングレートFeで前もってサンプリングされた測距信号TMに相当する信号Stmを受信する。
【0031】
サンプリング周波数Feは、ローカルな時間基準にロックされることができ、これが意味することは、周期Te=1/Feが、誤差又はドリフトなしで完全に分かっているということである。従って、kを整数として、サンプリングデイトは正確にk*Teである。
【0032】
さらに、限定することなく認め得ることには、サンプリングは、ナイキスト条件に従い、故に、具体的にはFe>2Fpに従い、これが意味することは、副搬送波又は搬送波の位相回転当たり少なくとも2つのサンプルを有するということである。
【0033】
図4に示す受信器の復調ユニット120は、ステップE11にて、複数のサンプルSm(k)を受信し、ここで、kは、0とNe-1との間のインデックスであり、Neは、無線信号のその部分のサンプルの数を表し、サンプルのブロックを構成する。ユニット120は、サンプルのブロックのサンプルk(例えば、最初のもの)に所与のデイトTrefを付す。このデイトTrefは、受信器のローカルの時間基準に対して定められることができ、あるいは、GPSパルス(PPS)に対するオフセット、外部の基準と同期したクロックのカウンタ(GPSの例で10MHz)などといった、受信器の外部の基準に従属する(そのスレーブである)ことができる。
【0034】
受信器100の復調ユニット120は、次いで、ステップE21にて、受け付けた信号Sm(k)のSdm(k)への復調を実行する。復調ユニット120は、信号の信号対雑音比を最大化する適切なフィルタリングブロック121を有し得る。
【0035】
復調ユニット120はまた、後に処理されるサンプルの数を減らすことを可能にする復調ユニット120のデシメータブロック122を有する。
【0036】
ユニット120はまた、位相検出器ブロック123及びループフィルタブロック124によって受信信号Sm(k)に対して実装される位相ロックループを有し、該ループに、例えばNCO(Numerically-Controlled Oscillator、数値制御発振器)タイプの、発振器ブロック125によって生成される基準信号が従属する。
【0037】
位相検出器ユニット123は、位相ロックループを制御する誤差信号を生成する。このようにデシメータブロック122の後に配置されて、位相検出器ユニット123は、ローカル発振器125によって生成される信号の位相と受信信号Sm(k)の搬送波の位相との間の差を測定する。
【0038】
変調された信号Sm(k)の変調が、次数Netatの位相曖昧性を有する場合、位相検出器123は、その変調がとることができるNetat位相値(整数pに対して2πp/Netat)に対してゼロ誤差を供給しなければならない。位相検出器123の関数は、次数Netatの周期性を持ち、それは一般に、位相にNetatを乗算することによって得られる。
【0039】
ループフィルタブロック124(一定の位相バイアスをキャンセルするために2次のものであることが多い)は、より良い信号を発振器ブロック125に供給するために、位相誤差信号をフィルタリングする。
【0040】
図3Aを再び参照するに、ステップE22にて、ユニット120が、Trefデイトと、復調されたサンプルSdm(k)を発振器125によって再構成された搬送波の同時位相φ(k)と組み合わせた複数のペアとを、同期ユニット130に送信する。
【0041】
有利なことに、この供給、すなわち、各サンプルと組み合わされた再構成された位相の供給は、デイトスタンプを精緻化することを可能にする。
【0042】
特定の一実施形態において、ステップE22で、例えばバッファ領域などのメモリ領域126が、説明した複数のSdm(k)、φ(k)ペアと組み合わせてデイトTrefを格納する。
【0043】
有利なことに、Trefを知ることは、このストレージ領域内の各ペアSdm(k)、φ(k)の正確なデイトを知ることを可能にする。何故なら、これらのサンプルは、完全に分かっている周期Teだけ離間しているからである。
【0044】
そして、メモリ領域126が、同期ユニット130に送信される。
【0045】
従って、この段階で、受信器100は、その搬送波位相が、エミッタによって送信された信号に対して完全に知らされた、デイトスタンプ付きサンプルを廃棄する。
【0046】
同期ユニット(デイトスタンピング)
同期ユニット130は、入力として、ユニット120を出るメモリ領域126を受信する。
【0047】
従って、図5に示すように、積分ブロック131が、その入力で、例えばメモリ領域126を介して、再構成された搬送波の位相φ(k)が付随した復調サンプルSdm(k)と、デイトスタンピングTrefとを受信する。その後、Trefはk=0に対して規定された時間であると考えられ、kはメモリ領域のサンプルのインデックスを指す。
【0048】
図6を参照して、複数のサンプルkにサンプリングされたシンボルを説明する。シンボルあたり幾つかの搬送波周期Scfが存在し、搬送波周期Scfあたり幾つかのサンプルが存在する。従って、Scf(n)は搬送波のn番目の周期を表す。シンボルの変調はPSK搬送波とコヒーレントであり、シンボルレートRsはFp=N×Rsと表されるPSK搬送波周波数の整数の約数であり、従って、シンボルはそのN周期にわたって搬送波を変調する。
【0049】
従って、各シンボルは、1つの同じ所定の値φ0への位相のN回の移行のうちの1つで始まる。この所定の値φ0は、(必ずしもそうであるわけではないが)原理的にはゼロに近く、本明細書の残りの部分では、再構成された搬送波の位相φ(k)の“ゼロ/0への移行”と呼ぶ。
【0050】
ステップE30にて、再構成された搬送波の位相φ(k)が付随した複数の復調されたサンプルSdm(k)が処理され、搬送波の周期の関数として受信されたサンプルのセットkが決定される。
【0051】
従って、E30のサブステップE31にて、同期ブロック131は、位相φ(k)の0への移行(φ0モジュロ2π)を検出することによって、再構成された搬送波信号のゼロへの移行を検出する。時間T(n)は、位相0への搬送波のn番目の移行の時間であり、その間にわたって信号sdm(k)が積分されることになる搬送波の周期nは、時間T(n)と時間T(n+1)の間で規定される。
【0052】
0への各移行(φ0モジュロ2π)で、積分ブロック131は、搬送波の周期nにわたって信号Sdm(k)の積分を実行する。0への次の移行にて、周期n+1が始まり、積分ブロック131は積分計算を初期化し直してそれを0にリセットし、先行する積分の結果S(n)が、出力として、並列動作する複数の加算ブロック132に同時に送達される。
【0053】
E30のサブステップE31にて、各出力S(n)が更に、例えば、ラジアン単位で計算される位相に対して有効な以式:T(n)=T+Δφ/2πF=Tref+k(n)*Te-[φ(k(n))-φ0]/2πFに従って、k番目のサンプルのデイトの外挿によって得られるデイトスタンプと組み合わされる。k(n)は、再構成された位相の0への移行に続くものとして指定されるサンプルkのインデックスに相当する。
【0054】
[φ(k)-φ0]/2πFpの値を持つT(n)の補正項は、インデックスkのサンプルを有する搬送波の位相のゼロへの移行を隔てる正確な期間を計算するものであり、T(n)はそれ故に、シンボルの開始時間に対応する可能性が高いゼロへの移行を正確にデイト付ける。
【0055】
あるいは、kは、再構成された位相のゼロへの移行に先行するサンプルのインデックスを表してもよく、その場合、T(n)のデイトスタンピングは、T(n)=T+(2π-Δφ)/2πF=Tref+k(n)*Te+[2π+φ0-φ(k(n))]/2πFとなる。
【0056】
なお、ここで、位相のゼロへの移行は、φ(k(n))∈[-π+φ0,φ0]且つφ(k(n)+1)∈[φ0,+π+φ0]に対応し、これは必然的に、回転ごとに解を持つ。何故なら回転あたり少なくとも2つのサンプルがあるからである。従って、この間隔内で取られる位相値は、最も近い2πについて曖昧さがない。
【0057】
また、代わりに、サンプル間で次式:
T(n)=T+Δφ/(φk+1-φ)Te=Tref+[k(n)+(φ-φ)/(φk+1-φ)]*Te
の補間を使用することができる。
【0058】
この後者の式は、Fpの公称値が使用される場合に、前の式よりも少し正確である。しかしながら、FpがNCOの実際の瞬時制御値をとる場合、これらは等価である。何故なら、(φk+1-φ)=2πFp*Teであるからである。
【0059】
従来の復調装置は、再構成された位相の値を使用しておらず、従って、0への移行を精緻にデイトスタンプしておらず、このタイプの装置に付き物であるジッタ(位相ノイズ)を付加することによるタイミングリカバリループによってレートを同期させてきた。
【0060】
提案する装置は、シンボルを検出するために信号の積分を実行するが、従来の復調器とは異なり、それを、シンボル間の移行の時間を決定する前に行う。
【0061】
具体的には、E30のサブステップE32の一実施形態において、N個の加算ブロック132が、次のシンボル積分関数:
【数1】
により、ブロック131によって出力されるN個のサンプル(すなわち、1つのシンボル)S(n)のウィンドウにわたって並列に積分を実行する。ここで、0≦p≦N-1は、エンティティ132の番号を表す。
【0062】
各ブロック132は、1搬送波周期だけオフセットされた積分を実行する。複数のブロック132は、1つのシンボル周期にわたってスライディング積分を実行することを可能にし、従って、シンボルの決定のために取り得る全てのケースをカバーする。
【0063】
他の実施形態は、これらが全て記録される限りにおいて、これらN個の積分を順次に計算してもよい。
【0064】
ブロック132から来る並列積分のこれらN個のウィンドウI(m)は、単一のシンボルをカバーし、従って、N個の連続した可能なものの中で搬送波位相の0への移行にて必然的に始まる、N個の連続サンプルS(n)のブロック、を決定するための基準を提供するために使用される。送信されたシンボル遷移の時間に対応する副搬送波の位相のゼロへの移行のこの決定は、本明細書の残りの部分において、シンボル開始曖昧性解消として知られることになる。
【0065】
さらに、同じ値の幾つかの連続的に送信されるシンボルが存在してもよい。しかし、シンボルの正しい開始期間を決定するためには、シンボル遷移を観察しなければならない。
【0066】
従って、ステップE33にて、ブロック13が、シンボル開始曖昧性解消を実行し、そして、シンボル遷移に対応する搬送波のゼロへの正しい移行poptを選択した後に、正しい出力Ipopt(m)を選択する。
【0067】
これを行うために、Ns個のシンボルの期間(以下、M(p)と表記する)にわたってmについてI(m)の絶対値の平均を計算し、0からN-1にわたるpについてこの値を最大化する1つを保持し、それをpoptと表記する。長さNsは、SNR及びシンボルレートの関数として事前に決められる。
【0068】
ブロック133がインデックスpoptの正しい出力を見つけている限り、後者は、(副)搬送波が同期したままである限り、すなわち、完全なままの信号に位相ロックループがロックされている限り、妥当なままである。
【0069】
従って、これ以降、ブロック133は、Nだけサンプルの事実上の間引きを行い、インデックスpoptのブロック132のみが動作に必要なままとなる。そうとはいえ、一実施形態では、正確なシンボル同期を確かなものとするために、通常通りに全てのブロック132がアクティブにされる。
【0070】
モジュール133はまた、積分計算をリタイミングして、それをシンボル遷移とコヒーレントにするために、ブロック131で実行される積分の2つの状態、及びより一般的には1/Netat、を有する変調の好適実施形態のコンテキストにおいて、搬送波の半周期の可能なオフセットを検出する。
【0071】
具体的には、受信信号の(副)搬送波の位相を有する幾つかの可能な位相分離値を、復元された搬送波が有することが起こり得る。これが、位相曖昧性現象として知られるものである。使用される変調が何であれ、変調の状態の数をNetatであるとすると、搬送波は、2π/Netatの位相曖昧性を有して復元され、これが意味することは、実際には、pが0とNetat-1との間の整数値をとるとして、φ0=2πp/Netatであるということである。
【0072】
この曖昧性は、上述したように、変調の位相状態に対してゼロ値を届けることによって変調を消去する搬送波位相検出ブロック123に由来する。最も一般的に使用される方法は、モジュロ2π信号の位相にNetatを乗算することによって搬送波位相を抽出するものであり、それが、モジュロ2π/Netatの曖昧性をもたらす。
【0073】
従って、2つの位相状態を有する変調の場合、上で規定された値M(p)が1搬送波周期にわたって正しい半周期から始まって計算される場合、M(p-1)は近似的に、M(p+1)±雑音に等しく、厳密にはM(p)はこれらの2つの値より大きい。
【0074】
逆のケースで、積分が正しくない半周期にわたって行われる場合、搬送波の正しい位相位置の前の1半周期の位置及び後の1半周期の位置でピークが共有されるので、M(p)は近似的にM(p-1)又はM(p+1)に等しい。
【0075】
半周期の曖昧さを解消するために、好適な一実施形態において、モジュール133は、閾値S0=(M(pモジュロN)+min(M((p-1)モジュロN),M((p+1)モジュロN)))/2を計算する。そして、モジュール133は、M(pモジュロN)、M((p-1)モジュロN)、M((p+1)モジュロN)の中から、この閾値よりも高い値の数をカウントする。
【0076】
閾値S0よりも高い値が存在しない場合、シンボルの積分が正しい半周期にわたって計算され、最大振幅のものとなる。
【0077】
逆のケースでは、積分が正しくない半期間にわたって行われてしまっている。この場合、積分を1半周期だけずらす必要がある。
【0078】
従って、ブロック133は、正しい半周期を割り出し、この情報をブロック131に提供し、その結果、ブロック131が、位相φ(k)の0への又はπへの(実際にはφ0+πへの)移行を、開始半周期のセレクタの関数として検出する。
【0079】
ブロック133はその出力上で、インデックスiの各シンボルに対して、Nだけ間引かれた搬送波のレートに対応するレートで、一対のデータ(I(i)、Tm(i))を提供する。I(i)は、先行するステップで選択された最大振幅I(popt)の積分であり、Tm(i)はT(popt)である。代わりに、T(i)は、使用されるデイトスタンピングの技法に従ってシンボル内の中間の場所又は別の所定の場所を指し示すように一定の期間だけオフセットされ、poptの周りの一定の時間インターバルにわたって平均されたデイトであってもよい。
【0080】
この対のデータが、検出ユニット140に提供される。
【0081】
シンボル遷移に対する搬送波のサイクルオフセット及び半サイクルオフセットについての情報は、セレクタブロック133によって決定され、同期ユニット130によるデータペアの計算を初期化する目的でブロック131に戻される。この情報はまた、同期ユニット130によるデータペアの計算をチェックする目的で、定期的なインターバルで再び決定されることができる。
【0082】
位相曖昧性が2より大きい次数のものである場合、上で示したアルゴリズムを幾分変更することが適切である。一般的な方法は、検討中の変調に関する標準的なタイミングリカバリループで使用されるシンボル同期基準を、ゼロへの移行のN個の可能な位置で計算し、そして、この基準を最大化する1つを選択することを含む。例えば、4状態に対するCostasループにおいて、周波数の複素数への変換が復調ユニット120で実行され、そして、基準は、同相のチャネルI及び直交するチャネルQ上で一度に計算されるM(n)の最大値となる。
【0083】
この段階で、受信器100は、従って、決定されるべき(復号及び間引きの前の)未加工シンボルの値に対応する積分値I(p)を廃棄し、該値は、シンボルを開始する搬送波の位相のゼロへの移行の時間のデイトスタンピングと組み合わされている。
【0084】
有利なことに、このデイトスタンピングは、従来のレート同期アルゴリズムによって得られるものよりも正確である。何故なら、後者は、信号のサンプリングレートとシンボルレートとの間の本質的な非同期性に関係するジッタを導入するからである。
【0085】
検出ユニット140
図7に示すパイロットシーケンス検出ユニット140は、そのシーケンスの第1のシンボル又は任意の他の所定のシンボルを検出してデイトスタンピングすることを可能にする。このパイロットシーケンスは、同期ワード又は例えば純音として一般的に知られる、符号化された又はその他のシンボルのシーケンスとすることができる。
【0086】
ステップE40にて、ユニット130から受信されたデータペア(I(i)、Tm(i))が、ソフト/ハード復号によって各選択された合計I(i)を復号するために処理され、少なくとも1つの最も可能性の高いバイナリ値が推定される。ハード復号は、固定の数えられる一組の値(例えば、0及び1)をとるデータを処理するために使用され、ソフト復号は、一般に尤度を表すある範囲内の値で規定されるデータを処理する。
【0087】
従って、E40のサブステップE41にて、ユニット130から受信されたデータのペア(I(i)、Tm(i))が、ユニット140の確率推定ブロック141によって処理され、確率推定ブロック141が、ステップE41において、その出力で、I(n)が1又は0に等しい確率を提示する。確率推定ユニット141は、例えばスライサ回路タイプのものである。次いで、その確率が、E40のサブステップE43にて、復号ユニット142により、使用されたチャネル符号化(ターボエンコーディング、LDPC、ビタビ、リードソロモンなど)に従って処理される。
【0088】
検出ユニット140はまた、E40のサブステップE43にて、信号Stmを変調するシンボルシーケンスが伝送チャネルに対する誤り訂正エンコーディングから来るものでない場合に、I(i)を直接処理することを可能にする。
【0089】
このコンテキストにおいて、決定ブロック143は、I(i)を閾値と比較することによって、放たれたシンボルの値を決定する。例えば、シンボルがビットであるバイナリエンコーディングで、I(i)が負である場合、結合されるビットは0に等しく、逆の場合には1に等しい(ハードビット復号)。
【0090】
このチャネルエンコーディングが存在するか否かに応じて、選択ブロック144が、ステップE44にて、復号済みの信号又は未復号の信号のいずれかをフレーム同期ブロック145に提供する。
【0091】
ステップE45にて、フレーム同期ブロック145はまた、所与の長さのフレーム内でQビットを検出するように予め定められたパイロットシーケンスを検出するように構成される。従来、この検出は、期待されるパイロットシーケンスとのビットシーケンスの相関のスライディング計算を実行することによって行われ、検出基準は、この相関の絶対値を最大にするのかどれかというものである。
【0092】
従って、フレーム同期ブロック145は、Qビット毎にパイロットシーケンスを検出する。検出した場合、ユニット140は、その出力上で、検出したシーケンスの第1ビットB(q)のデイトTm(q)であるThead(j)を提示することができる。
【0093】
ステップE46にて、パケット生成ブロック146が、このデータを受け取り、次いで、デイトThead(j)、及びパケット識別子Id(j)(例えば、フレームカウンタ番号)を含むメッセージを生成することができる。パケット識別子Id(j)は、別々の受信ステーションによって生成されるパケット間での共通のリファレンスとして機能する。
【0094】
このパケットが制御センターに送られ、制御センターは、この情報に基づいて、例えば、少なくとも2つの測距信号受信ステーションによって送信された同じ識別子Id(n)を持つパケットのデイトを比較することによって、例えば三辺測量により、移動機の位置を決定することができる。
【0095】
無線信号受信器100及び提案する方法は、コヒーレント変調を利用することによって、例えば、タイミングリカバリループを使用して、サンプルと搬送波位相との間のコヒーレンスを処理全体にわたって維持することで、もはや信号を再サンプリングしないようにすることを可能にする。有利なことに、このような受信器100/方法は、パイロットシーケンスのデイトスタンピングを高精度に測定することを可能にし、そして、シンボル遷移のデイトスタンピングの不一致をかなり改善して、とりわけ、そのような測距信号を発する移動機のいっそう良好な位置特定を可能にする。従って、このような受信器100/方法の実装は、ナノ秒のオーダーの、及びそれ故に、GPSのそれよりも1桁小さい標準偏差(時間基準を完璧とみなす)を達成することを可能にする。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7