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特許7369789手術ロボット、手術システム及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】手術ロボット、手術システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/37 20160101AFI20231019BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A61B34/37
B25J9/06 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021562746
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2020045269
(87)【国際公開番号】W WO2021112228
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2019220692
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東條 剛史
(72)【発明者】
【氏名】下村 信恭
(72)【発明者】
【氏名】一居 哲夫
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-529051(JP,A)
【文献】特開平08-107898(JP,A)
【文献】特開2017-104453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0020615(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/37
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自由度をそれぞれ有する複数のロボットアームと、
前記複数のロボットアームの基端部を保持する長尺状のアームベースと、
前記複数のロボットアームの動作を制御する制御装置と、を備え、
前記複数のロボットアームはそれぞれ、基部と、医療器具を保持可能な先端部と、前記基部と前記先端部とを連結し且つ互いに連結される複数のリンクとを含み、前記基部に隣接する前記リンクは前記基部と第1回転関節を介して接続されており、
前記複数のロボットアームは、少なくとも7つの自由度を有する第1ロボットアームを含み、
前記制御装置は、前記第1ロボットアームにおいて、前記第1回転関節の回転軸の軸方向と平行な方向から見たときに、前記複数のリンクのうちの第1リンクの第1部分が、前記基部の第2部分を通り且つ前記アームベースの長手方向と交差する方向に延びる第1平面前記先端部の第3部分を通り且つ前記長手方向と交差する方向に延びる第2平面との間に位置するように、前記第1ロボットアームを動作させる
手術ロボット。
【請求項2】
前記第1リンクは屈曲した形状を有し、前記第1部分は前記第1リンクの屈曲部分である
請求項1に記載の手術ロボット。
【請求項3】
前記先端部は、前記医療器具を直線移動させる直動機構と、連結部と、連結部を介して直動機構に接続される第2回転関節とを更に備え、
前記先端部の前記第3部分は、前記第2回転関節に位置する
請求項1または2に記載の手術ロボット。
【請求項4】
前記第1リンクは、前記基部と2つ以上の前記リンクを介して接続され、前記先端部と2つ以上の前記リンクを介して接続される、請求項1~3のいずれか一項に記載の手術ロボット。
【請求項5】
前記第1平面は、前記第2部分を通り且つ前記長手方向と垂直な方向に延び、
前記第2平面は、前記第3部分を通り且つ前記長手方向と垂直な方向に延びる
請求項1~4のいずれか一項に記載の手術ロボット。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1ロボットアームにおいて、前記第1部分が、前記第1平面と前記第2平面との間の中間に位置するように、前記第1ロボットアームを動作させる
請求項1~5のいずれか一項に記載の手術ロボット。
【請求項7】
複数の自由度をそれぞれ有する複数のロボットアームと、
前記複数のロボットアームの基端部を保持する長尺状のアームベースと、
前記複数のロボットアームのうちの少なくとも1つの前記ロボットアームを操作するための操作装置と、
前記操作装置による操作に基づいて前記ロボットアームの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記複数のロボットアームは、少なくとも7つの自由度を有する第1ロボットアームを含み、
前記複数のロボットアームはそれぞれ、基部と、医療器具を保持可能な先端部と、前記基部と前記先端部とを連結し且つ互いに連結される複数のリンクとを含み、前記基部に隣接する前記リンクは前記基部と第1回転関節を介して接続されており、
前記制御装置は、予め設定された遠隔中心位置を前記医療器具が通る状態を維持しながら前記医療器具を移動させる動作制限下で前記操作装置の操作に基づいて前記ロボットアームを移動させるように構成されており、
前記制御装置は、前記操作装置で操作されている前記第1ロボットアームにおいて、前記第1回転関節の回転軸の軸方向と平行な方向から見たときに、前記複数のリンクのうちの第1リンクの第1部分が、前記基部の第2部分と前記先端部の第3部分との間に位置するように、前記第1ロボットアームを動作させる
手術システム。
【請求項8】
それぞれが基部と、医療器具を保持可能な先端部と、前記基部と前記先端部とを連結し且つ互いに連結される複数のリンクとを含み、複数の自由度を有する複数のロボットアームをアームベースに備える手術ロボットの制御方法であって、
前記複数のロボットアームは、少なくとも7つの自由度を有する第1ロボットアームを含んでおり、
前記基部に隣接する前記リンクは前記基部と第1回転関節を介して接続されており、
前記第1ロボットアームにおいて、前記第1回転関節の回転軸の軸方向と平行な方向から見たときに、前記複数のリンクのうちの第1リンクの第1部分を、前記基部の第2部分を通り且つ前記アームベースの長手方向と交差する方向に延びる第1平面前記先端部の第3部分を通り且つ前記長手方向と交差する方向に延びる第2平面との間に位置させるように、前記第1ロボットアームを動作させる
制御方法。
【請求項9】
前記第1リンクは屈曲した形状を有し、前記第1部分は前記第1リンクの屈曲部分である
請求項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記先端部は、前記医療器具を直線移動させる直動機構と、連結部と、連結部を介して直動機構に接続される第2回転関節とを更に備える手術ロボットの制御方法であって、
前記先端部の前記第3部分は、前記第2回転関節に位置する
請求項またはに記載の制御方法。
【請求項11】
前記第1リンクは、前記基部と2つ以上の前記リンクを介して接続され、前記先端部と2つ以上の前記リンクを介して接続される
請求項10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記第1平面は、前記第2部分を通り且つ前記長手方向と垂直な方向に延び、
前記第2平面は、前記第3部分を通り且つ前記長手方向と垂直な方向に延びる
請求項8~11のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項13】
前記第1ロボットアームにおいて、前記第1部分を前記第1平面と前記第2平面との間の中間に位置させるように、前記第1ロボットアームを動作させる
請求項8~12のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本件出願は、2019年12月5日に日本特許庁に出願された特願2019-220692号の優先権を主張するものであり、その全体を参照することにより本件出願の一部となすものとして引用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、手術ロボット、手術システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、外科手術を支援するためにロボットが用いられている。例えば、特許文献1は、複数のマニピュレータを備える手術ロボットシステムを開示している。マニピュレータは、ロボットアームと、当該ロボットアームに連結される手術器具とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2019-529051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の手術ロボットシステムでは、複数のマニピュレータは、円弧状の部材に沿って互いに隣り合って配置されている。このようなマニピュレータのロボットアームに屈曲させて動作させると、隣のマニピュレータと接触する可能性がある。
【0006】
本開示は、動作時にロボットアームが隣のロボットアーム等の周囲の物体と接触することを抑える手術ロボット、手術システム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る手術ロボットは、複数の自由度をそれぞれ有する複数のロボットアームと、前記複数のロボットアームの基端部を保持する長尺状のアームベースと、前記複数のロボットアームの動作を制御する制御装置と、を備え、前記複数のロボットアームはそれぞれ、基部と、医療器具を保持可能な先端部と、前記基部と前記先端部とを連結し且つ互いに連結される複数のリンクとを含み、前記基部に隣接する前記リンクは前記基部と回転関節を介して接続されており、前記複数のロボットアームのうちの少なくとも1つの前記ロボットアームが少なくとも7つの自由度を有しており、前記制御装置は、少なくとも7つの自由度を有する1つの前記ロボットアームにおいて、前記回転関節の回転軸の軸方向と平行な方向から見たときに、前記複数のリンクのうちの第1リンクの第1部分が、前記基部の第2部分と前記先端部の第3部分との間に位置するように、前記1つのロボットアームを動作させる。
【0008】
本開示の技術によれば、動作時にロボットアームが周囲の物体と接触することを抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る手術システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係るロボットの構成の一例を示す側面図である。
図3図3は、実施の形態に係るロボットのアームの構成の一例を示す斜視図である。
図4図4は、図3のアームをモデル化した図である。
図5図5は、実施の形態に係る手術システムの制御装置及びその周辺の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、実施の形態に係る制御装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、図3のアームをYA軸負方向で見た側面図である。
図8図8は、図3のアームをZA軸負方向で見た平面図である。
図9図9は、拘束範囲の別の一例を図7と同様に示す側面図である。
図10図10は、実施の形態に係る手術システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、変形例に係る手術システムの構成の一例を図1と同様に示す図である。
図12図12は、変形例に係るロボットの構成の一例を図2と同様に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本開示の各態様例を説明する。本開示の一態様に係る手術ロボットは、複数の自由度をそれぞれ有する複数のロボットアームと、前記複数のロボットアームの基端部を保持する長尺状のアームベースと、前記複数のロボットアームの動作を制御する制御装置と、を備え、前記複数のロボットアームはそれぞれ、基部と、医療器具を保持可能な先端部と、前記基部と前記先端部とを連結し且つ互いに連結された複数のリンクとを含み、前記基部に隣接する前記リンクは前記基部と回転関節を介して接続されており、前記複数のロボットアームのうちの少なくとも1つの前記ロボットアームが少なくとも7つの自由度を有しており、前記制御装置は、少なくとも7つの自由度を有する1つの前記ロボットアームにおいて、前記回転関節の回転軸の軸方向と平行な方向から見たときに、前記複数のリンクのうちの第1リンクの第1部分が、前記基部の第2部分と前記先端部の第3部分との間に位置するように、前記1つのロボットアームを動作させる。
【0011】
上記態様によると、少なくとも7つの自由度を有するロボットアームは、3次元空間内で先端部を目的の位置及び姿勢にする場合、少なくとも1つの付加的な自由度を有する。つまり、上記ロボットアームは、冗長自由度を有する。例えば、ロボットアームを屈曲させて動作させる場合、第1リンクの第1部分が外方へ張り出す可能性がある。しかしながら、冗長自由度を有するロボットアームは、第1部分が第2部分と第3部分との間の領域に位置するように動作し、第1部分の張り出しを抑えることができる。よって、動作時にロボットアームが隣のロボットアーム等の周囲の物体と接触することを抑えることが可能になる。
【0012】
本開示の一態様に係る手術ロボットにおいて、前記第1リンクは屈曲した形状を有し、前記第1部分は前記第1リンクの屈曲部分であってもよい。上記態様によると、例えば、ロボットアームを屈曲させて動作させる場合、第1リンクの屈曲部分が外方へ張り出す可能性がある。このような屈曲部分の位置が第2部分と第3部分との間に位置するようにロボットアームの動作を制御することで、ロボットアームと周囲の物体との接触を効果的に抑えることが可能になる。
【0013】
本開示の一態様に係る手術ロボットにおいて、前記第1リンクは、前記基部と1つ以上の前記リンクを介して接続され、前記先端部と1つ以上の前記リンクを介して接続されてもよい。上記態様によると、ロボットアームにおいて、第1リンクと基部との間、及び、第1リンクと先端部との間にはそれぞれ、2つ以上の自由度がある。例えば、ロボットアームを屈曲させて動作させる場合、第1リンク又はその周辺が外方へ張り出す可能性がある。上記のような第1リンクの第1部分が第2部分と第3部分との間に位置するようにロボットアームの動作を制御することで、ロボットアームと周囲の物体との接触を効果的に抑えることが可能になる。また、上記のロボットアームの動作において、各リンクを接続する関節の可動範囲の中央付近を使用することができるようになる。これにより、関節の移動量及びロボットアームの姿勢がとることができる範囲を広くすることが可能になる。
【0014】
本開示の一態様に係る手術ロボットにおいて、前記第1リンクは、前記基部と2つ以上の前記リンクを介して接続され、前記先端部と2つ以上の前記リンクを介して接続されてもよい。上記態様によると、ロボットアームにおいて、第1リンクと基部との間の自由度、及び、第1リンクと先端部との間の自由度をより多くすることが可能になる。
【0015】
本開示の一態様に係る手術ロボットにおいて、前記制御装置は、前記1つのロボットアームにおいて、前記第1部分が、前記第2部分を通り且つ前記アームベースの長手方向と交差する方向に延びる第1平面と前記第3部分を通り且つ前記長手方向と交差する方向に延びる第2平面との間に位置するように、前記1つのロボットアームを動作させてもよい。上記態様によると、例えば、1つのロボットアームを屈曲させて動作させる場合、第1リンクの第1部分が、第1平面又は第2平面を越えて隣の他のロボットアームに向かって張り出すことが抑えられる。よって、隣り合うロボットアームが接触することを効果的に抑えることが可能になる。なお、第1平面及び第2平面は、互いに平行であってもよく、非平行であってもよく、例えば、上記長手方向と垂直であってもよい。
【0016】
本開示の一態様に係る手術ロボットにおいて、前記第1平面は、前記第2部分を通り且つ前記長手方向と垂直な方向に延び、前記第2平面は、前記第3部分を通り且つ前記長手方向と垂直な方向に延びてもよい。上記態様によると、第1平面、第2平面、及び、第1平面と第2平面との間の領域が、アームベースを基準として簡易に設定可能である。これにより、ロボットアームの第1部分を第1平面と第2平面との間に位置させるロボットアームの動作制御が簡易になる。
【0017】
本開示の一態様に係る手術ロボットにおいて、前記制御装置は、前記1つのロボットアームにおいて、前記第1部分が、前記第1平面と前記第2平面との間の中間に位置するように、前記1つのロボットアームを動作させてもよい。上記態様によると、上記のロボットアームの動作において、各リンクを接続する関節の可動範囲の中央付近を使用することができるようになる。これにより、関節の移動量及びロボットアームの姿勢がとることができる範囲を広くすることが可能になる。なお、制御装置は、第1部分が、第1平面と第2平面との間の中間を通る平面上に位置するように、1つのロボットアームを動作させてもよい。
【0018】
本開示の一態様に係る手術ロボットにおいて、前記制御装置は、前記1つのロボットアームにおいて、前記第1部分が、前記第2部分と、前記第2部分に基準点を有し且つ前記第3部分を通る曲面との間に位置するように、前記1つのロボットアームを動作させてもよい。上記態様によると、例えば、1つのロボットアームを屈曲させて動作させる場合、第1リンクの第1部分が、上記曲面を越えて外方へ張り出すことが抑えられる。よって、ロボットアームと周囲の物体との接触を効果的に抑えることが可能になる。例えば、上記曲面は、上記基準点を中心とする球状面、及び、上記基準点を通る軸を中心とする軸対称曲面等であってもよい。
【0019】
本開示の一態様に係る手術ロボットにおいて、前記制御装置は、前記1つのロボットアームにおいて、前記第1部分が、前記第2部分と前記曲面との間の中間に位置するように、前記1つのロボットアームを動作させてもよい。上記態様によると、上記のロボットアームの動作において、各リンクを接続する関節の可動範囲の中央付近を使用することができるようになる。これにより、関節の移動量及びロボットアームの姿勢がとることができる範囲を広くすることが可能になる。なお、制御装置は、第1部分が、第2部分と曲面との間の中間を通る曲面上に位置するように、1つのロボットアームを動作させてもよい。
【0020】
本開示の一態様に係る手術システムは、複数の自由度をそれぞれ有する複数のロボットアームと、前記複数のロボットアームの基端部を保持する長尺状のアームベースと、前記複数のロボットアームのうちの少なくとも1つの前記ロボットアームを操作するための操作装置と、前記操作装置による操作に基づいて前記ロボットアームの動作を制御する制御装置と、を備え、前記複数のロボットアームのうちの少なくとも1つの前記ロボットアームが少なくとも7つの自由度を有しており、前記複数のロボットアームはそれぞれ、基部と、医療器具を保持可能な先端部と、前記基部と前記先端部とを連結し且つ互いに連結される複数のリンクとを含み、前記基部に隣接する前記リンクは前記基部と回転関節を介して接続されており、前記制御装置は、予め設定された遠隔中心位置を前記医療器具が通る状態を維持しながら前記医療器具を移動させる動作制限下で前記操作装置の操作に基づいて前記ロボットアームを移動させるように構成されており、前記制御装置は、前記操作装置で操作されている少なくとも7つの自由度を有する前記ロボットアームにおいて、前記回転関節の回転軸の軸方向と平行な方向から見たときに、前記複数のリンクのうちの第1リンクの第1部分が、前記基部の第2部分と前記先端部の第3部分との間に位置するように、前記ロボットアームを動作させる。上記態様によると、本開示の一態様に係る手術ロボットと同様の効果が得られる。
【0021】
本開示の一態様に係る制御方法は、それぞれが基部と、医療器具を保持可能な先端部と、前記基部と前記先端部とを連結し且つ互いに連結される複数のリンクとを含み、複数の自由度を有する複数のロボットアームをアームベースに備える手術ロボットの制御方法であって、前記複数のロボットアームのうちの少なくとも1つのロボットアームが少なくとも7つの自由度を有しており、前記基部に隣接する前記リンクは前記基部と回転関節を介して接続されており、少なくとも7つの自由度を有する1つの前記ロボットアームにおいて、前記回転関節の回転軸の軸方向と平行な方向から見たときに、前記複数のリンクのうちの第1リンクの第1部分を、前記基部の第2部分と前記先端部の第3部分との間に位置させるように、前記1つのロボットアームを動作させる。上記態様によると、本開示の一態様に係る手術ロボットと同様の効果が得られる。
【0022】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記第1リンクは屈曲した形状を有し、前記第1部分は前記第1リンクの屈曲部分であってもよい。
【0023】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記第1リンクは、前記基部と1つ以上の前記リンクを介して接続され、前記先端部と1つ以上の前記リンクを介して接続されてもよい。
【0024】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記第1リンクは、前記基部と2つ以上の前記リンクを介して接続され、前記先端部と2つ以上の前記リンクを介して接続されてもよい。
【0025】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記第1部分を、前記第2部分を通り且つ前記アームベースの長手方向と交差する方向に延びる第1平面と前記第3部分を通り且つ前記長手方向と交差する方向に延びる第2平面との間に位置させるように、前記1つのロボットアームを動作させてもよい。
【0026】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記第1平面は、前記第2部分を通り且つ前記長手方向と垂直な方向に延び、前記第2平面は、前記第3部分を通り且つ前記長手方向と垂直な方向に延びてもよい。
【0027】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記1つのロボットアームにおいて、前記第1部分を前記第1平面と前記第2平面との間の中間に位置させるように、前記1つのロボットアームを動作させてもよい。
【0028】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記1つのロボットアームにおいて、前記第1部分を、前記第2部分と、前記第2部分に基準点を有し且つ前記第3部分を通る曲面との間に位置させるように、前記1つのロボットアームを動作させてもよい。
【0029】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記1つのロボットアームにおいて、前記第1部分を、前記第2部分と前記曲面との間の中間に位置させるように、前記1つのロボットアームを動作させてもよい。
【0030】
(実施の形態)
以下において、本開示の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。また、本明細書及び請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0031】
[手術システムの構成]
実施の形態に係る手術システム1の構成を説明する。図1は、実施の形態に係る手術システム1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、手術システム1は、ロボット10と、コンソール20と、制御装置30とを備える。制御装置30は、第1制御装置31及び第2制御装置32を含む。本実施の形態では、手術システム1は、ロボット支援手術及びロボット遠隔手術等のように、医師等の施術者Sがロボット10を用いて患者に内視鏡手術等の外科手術を施すシステムである。ロボット10及び第1制御装置31は、手術ロボットを構成する。
【0032】
本実施の形態では、手術システム1は、マスタースレーブ方式のロボット10を利用したシステムである。コンソール20はマスター機を構成し、ロボット10はスレーブ機を構成する。コンソール20は、ロボット10から離れて配置され、ロボット10は、施術時においてコンソール20によって遠隔操作される。手術システム1では、施術者Sはコンソール20の操作入力装置210を操作し動作させて操作入力装置210に指令を入力し、ロボット10は当該指令に対応した動作を行い、手術動作を行うことができる。操作入力装置210は操作装置の一例である。
【0033】
[ロボットの構成]
ロボット10の構成の一例を説明する。図1に示すように、ロボット10は、手術システム1と患者とのインタフェースを構成する。例えば、ロボット10は、手術室内において患者が横たわる手術台の傍らに配置される。ロボット10は、ポジショナ110と、アームベース120と、複数のアーム130と、基台140と、第1制御装置31とを備える。
【0034】
ポジショナ110は、基台140から延び、基台140とアームベース120とを連結する。ポジショナ110は、ロボットアームとして構成されており、本実施の形態では、垂直多関節型ロボットアームとして構成されている。ポジショナ110は、基台140に対してアームベース120の位置及び姿勢を3次元空間内で自在に移動させることができる。ポジショナ110の構成は、アームベース120を支持する構成であれば特に限定されず、例えば、直動装置、昇降装置及び固定装置等であってもよい。固定装置は、アームベース120を天井及び壁等に固定するブラケット等であってもよい。基台140の構成は、ポジショナ110を支持することができれば特に限定されないが、本実施の形態では移動可能な台車として構成される。
【0035】
複数のアーム130は、マニピュレータアームとも呼ばれ、長尺状のアームベース120に着脱可能に取り付けられ支持される。本実施の形態では、4つのアーム130A~130Dがアームベース120に第1方向に並んで配置される。本実施の形態では、第1方向は、アームベース120が延びる方向でもあり、アームベース120の長手方向でもある。なお、アーム130A~130Dが第1方向に並んで配置されるとは、アーム130A~130Dの基端部が第1方向に並んで配置されることであってもよい。この場合、アーム130A~130Dの基端部が、全体として第1方向に沿って配置されればよい。例えば、アーム130A~130Dの基端部が第1方向に並んで配置されることは、アーム130A~130Dの基端部が第1方向に延びるラインに沿って整列して配置されること、及び、上記基端部の少なくともいくつかが当該ラインからずれて配置されること等を含み得る。また、アームベース120に配置されるアーム130の数量及び配置は、いかなる数量及び配置であってもよい。以下において、4つのアームを区別して表現する場合、「アーム130A~130D」と表現され、区別しない場合、「アーム130」と表現される場合がある。
【0036】
複数のアーム130はそれぞれ、ロボットアームとして構成されており、本実施の形態では、垂直多関節型ロボットアームとして構成されている。複数のアーム130はそれぞれ、アームベース120に対してアーム130の先端部の位置及び姿勢を3次元空間内で自在に移動させることができる。
【0037】
複数のアーム130の先端部はそれぞれ、医療器具の一例である外科用器具150を保持可能な器具保持部として構成されている。例えば、複数のアーム130のうちの1つのアーム130の先端部に、内視鏡カメラが外科用器具150として保持され、他のアーム130の先端部に、手術器具等のインストルメントが外科用器具150として保持される。手術器具は、患者の腹腔における手術部位に挿入され、手術部位における目標組織の所望の処理又は医療機能を実行するために腹腔の外側から駆動可能な実際の被操作部を意味する。例えば、手術器具は、一対のジョウを備える。手術器具は、鉗子、把持器、鋏、ステープラ、針保持器、及び電気メス等の外科用器具であってもよい。また、手術器具は、電子外科電極、トランスデューサ、センサ等の電気的に駆動される機器であってもよい。また、手術器具は、吸入、ガス注入、洗浄、処理流体、アクセサリ導入、生検摘出などのための流体を供給するノズルであってもよい。また、例えば、内視鏡カメラの構成は、対物レンズ及びライトガイド等を含む構成であってもよい。
【0038】
ロボット10において、アームベース120は、複数のアーム130の拠点となる「ハブ」として機能する。ポジショナ110及びアームベース120は、複数のアーム130を移動可能に支持するマニピュレータ支持体160を構成する。
【0039】
上記のようなロボット10において、ポジショナ110から外科用器具150までにわたって、各構成要素が一連に繋がっている。本明細書及び請求の範囲において、ポジショナ110と基台140との接続部へ向かう方向の端部を「基端部」と呼び、その反対方向の端部を「先端部」と呼ぶことがある。
【0040】
図2は、実施の形態に係るロボット10の構成の一例を示す側面図である。図2に示すように、基台140は、車輪141及びハンドル142を備える。ハンドル142は、車輪141と一緒に回動することができるように構成されている。施術者S又は施術補助者Оは、ハンドル142を把持し押す又は引く等することで基台140を移動させることができ、ハンドル142を回動させることで基台140の進行方向を変えることができる。
【0041】
ポジショナ110は、ポジショナリンク111~116と基部117とを含む。基部117は、基台140の上部に着脱可能に取り付けられる。ポジショナリンク111~116は、基部117から順次連結されて延びる。
【0042】
ポジショナリンク111の基端部は、回転関節JP1を介して基部117と鉛直方向の軸を中心に旋回可能に連結される。鉛直方向は、基台140が配置される床面Gに対して垂直な方向であり、水平方向は、床面Gに平行な方向である。ポジショナリンク112の基端部は、回転関節JP2を介してポジショナリンク111の先端部と水平方向の軸を中心に回動可能に連結される。ポジショナリンク113の基端部は、回転関節JP3を介してポジショナリンク112の先端部と水平方向の軸を中心に回動可能に連結される。ポジショナリンク114の基端部は、回転関節JP4を介してポジショナリンク113の先端部と捻じり回転可能に連結される。例えば、捻じり回転軸は、ポジショナリンク113の先端部の軸心方向の軸であってもよい。ポジショナリンク115の基端部は、回転関節JP5を介してポジショナリンク114の先端部と、ポジショナリンク114の先端部の軸心方向と垂直な方向の軸を中心に回動可能に連結される。ポジショナリンク116の基端部は、回転関節JP6を介してポジショナリンク115の先端部と捻じり回転可能に連結される。アームベース120の第1取付部121は、回転関節JP7を介してポジショナリンク116の先端部と捻じり回転可能に連結される。
【0043】
上記のようなポジショナ110は、複数の自由度を有する多軸関節アームとして、具体的には、7つの自由度を有する7軸関節アームとして構成される。
【0044】
アームベース120は、1つの第1取付部121と複数の第2取付部122とを含む。第1取付部121は、アームベース120の上部に配置され、ポジショナリンク116と接続されるメカニカルインタフェースを構成する。複数の第2取付部122はそれぞれ、アームベース120の下部に配置され、アーム130の基端部と接続されるメカニカルインタフェースを構成する。本実施の形態では、4つの第2取付部122が配置される。アームベース120は、回転関節JP7の捻じれ回転軸SP7を中心にポジショナリンク115に対して捻じれ回転することができる。
【0045】
図3は、実施の形態に係るロボット10のアーム130の構成の一例を示す斜視図である。図4は、図3のアーム130をモデル化した図である。図3及び図4では、1つのアーム130が図示されているが、他の3つのアーム130も図示されたアーム130と同様の構成を有する。図2図4に示すように、アーム130は、リンク131~136と、先端リンク137と、基部リンク138とを含む。基部リンク138は、アームベース120の第2取付部122に着脱可能に取り付けられる。リンク131~136は、基部リンク138から順次連結されて延びる。先端リンク137は、リンク136と連結される。基部リンク138はロボットアームの基部の一例であり、先端リンク137はロボットアームの先端部の一例である。
【0046】
リンク131の基端部は、回転関節JA1を介して基部リンク138と捻じり回転可能に連結される。リンク131は、基端部での軸心方向に対して先端部での軸心方向が斜めに傾斜するように屈曲した形状を有するが、これに限定されない。例えば、リンク131において、基端部での軸心方向と先端部での軸心方向とがなす角度は、90度以上且つ180度以下であってもよく、具体的には、140度であってもよい。回転関節JA1は捻じり関節を構成する。
【0047】
リンク132の基端部は、回転関節JA2を介してリンク131の先端部と、先端部でのリンク131の軸心方向と垂直な方向の軸を中心に回動可能に連結される。リンク132は直線状のリンクである。回転関節JA2は曲げ関節を構成する。
【0048】
リンク133の基端部は、回転関節JA3を介してリンク132の先端部と捻じり回転可能に連結される。リンク133は直線状のリンクである。回転関節JA3は捻じり関節を構成する。
【0049】
リンク134の基端部は、回転関節JA4を介してリンク133の先端部と、先端部でのリンク133の軸心方向と垂直な方向の軸を中心に回動可能に連結される。リンク134は、基端部での軸心方向に対して先端部での軸心方向が垂直となるようにL字状に屈曲した形状を有する。リンク134の屈曲部134aは、アーム130の肘に対応する。なお、リンク134は、基端部での軸心方向に対して先端部での軸心方向が斜めに傾斜するように屈曲していてもよい。例えば、リンク134において、基端部での軸心方向と先端部での軸心方向とがなす角度は、70度以上且つ110度以下であってもよい。回転関節JA4は曲げ関節を構成する。
【0050】
リンク135の基端部は、回転関節JA5を介してリンク134の先端部と捻じり回転可能に連結される。リンク135は直線状のリンクである。回転関節JA5は捻じり関節を構成する。
【0051】
リンク136の基端部は、回転関節JA6を介してリンク135の先端部と、先端部でのリンク135の軸心方向と垂直な方向の軸を中心に回動可能に連結される。リンク136は直線状のリンクである。回転関節JA6は曲げ関節を構成する。
【0052】
先端リンク137の基端部は、回転関節JA7を介してリンク136の先端部と、先端部でのリンク136の軸心方向と垂直な方向の軸を中心に回動可能に連結される。回転関節JA7の回転軸の方向は、回転関節JA6の回転軸の方向と交差する方向であり、具体的には垂直な方向である。回転関節JA6は曲げ関節を構成する。
【0053】
上記のようなアーム130は、複数の自由度を有する多軸関節アームとして、具体的には、7つの自由度を有する7軸関節アームとして構成される。7軸関節アームであるアーム130は、3次元空間内で先端リンク137を目的の位置及び姿勢とする場合に必要な6つの自由度と、付加的な1つの自由度とを有し、つまり冗長性自由度を有する。このようなアーム130では、基部リンク138に対する先端リンク137の位置及び姿勢が指定された場合、リンク131~136の位置及び姿勢が一義的に定まらない。
【0054】
また、先端リンク137は、第1連結部137aと、並進ユニット137bと、第2連結部137cと、ホルダ137dとを含む。第1連結部137aは、回転関節JA7と並進ユニット137bとを連結する。第2連結部137cは、並進ユニット137bに関して第1連結部137aと反対側で、並進ユニット137bとホルダ137dとを連結する。並進ユニット137bは、その長手方向である方向D1A及びD1Bに、連結部137a及び137cの少なくとも1つを移動させることで、方向D1A及びD1Bでの連結部137a及び137cの相対位置を変えることができる倍速機構として構成されている。例えば、方向D1A及びD1Bは、回転関節JA7の回動軸の方向と垂直な方向である。
【0055】
並進ユニット137bは、駆動機構及び駆動源を含む駆動装置137eを含む。駆動機構は、駆動源の駆動力を変換して伝達することで、連結部137a及び137cの少なくとも1つを直線移動させる機構である。駆動機構の構成は、既知のリンク機構の構成の適用が可能であり、例えば、ベルト及びプーリを用いた構成、ボールねじ構造を含む構成、及びギアトレインを含む構成等であってもよい。例えば駆動源は、電力を動力源とするモータを含んでもよく、本実施の形態ではサーボモータを含む。
【0056】
ホルダ137dは、外科用器具150が取り付けられるように構成される。図3及び図4に示すように、外科用器具150としてインストルメントがホルダ137dに取り付けられた場合、インストルメントの軸は、例えば方向D1Bに延びる。
【0057】
ここで、図3及び図4に示すように、アームベース120を基準とする座標系を定義する。この座標系は、互いに直交するXA軸、YA軸及びZA軸で構成される。XA軸は、4つのアーム130の基部リンク138の並び方向に平行な軸である。図1に示すアーム130Aからアーム130Dに向かう方向はXA軸正方向である。YA軸は、第2取付部122におけるアーム130の基部リンク138との接続面(図示略)と垂直な方向に平行な軸である。具体的には、第2取付部122は、アーム130の基部リンク138が挿入される孔(図示略)を有し、孔の軸心SA1(図2参照)はYA軸と平行である。軸心SA1は、関節JA1の回転軸と平行でもある。第2取付部122から基部リンク138に向かう方向がYA軸負方向である。ZA軸は、XA軸及びYA軸に垂直な軸である。アームベース120の第1取付部121から第2取付部122に向かう方向は、ZA軸負方向である。
【0058】
図5は、実施の形態に係る手術システム1の制御装置30及びその周辺の構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、ポジショナ110は、関節JP1~JP7のそれぞれに、サーボモータMP1~MP7(図5では「SM」と表記)と、例えばエンコーダである回転センサEP1~EP7(図5では「EN」と表記)とを備える。サーボモータMP1~MP7はそれぞれ、関節JP1~JP7を回転駆動するモータである。回転センサEP1~EP7はそれぞれ、サーボモータMP1~MP7の回転量(例えば、回転角)を検出するセンサである。サーボモータMP1~MP7それぞれに、減速機(図示略)が設けられてもよい。
【0059】
各アーム130は、関節JA1~JA7のそれぞれに、サーボモータMA1~MA7と、回転センサEA1~EA7とを備える。サーボモータMA1~MA7はそれぞれ、関節JA1~JA7を回転駆動する。回転センサEA1~EA7はそれぞれ、サーボモータMA1~MA7の回転量を検出する。サーボモータMA1~MA7それぞれに、減速機(図示略)が設けられてもよい。
【0060】
各アーム130の先端リンク137は、並進ユニット137bを並進駆動するサーボモータM137bと、当該サーボモータM137bの回転量を検出する回転センサE137bとを備える。サーボモータM137bに、減速機(図示略)が設けられてもよい。
【0061】
なお、図5では、1つのアーム130のみが図示され、他のアーム130の図示が省略されているが、他のアーム130の構成も図示のアーム130と同様である。回転センサは、エンコーダに限定されず、サーボモータの回転量、又は関節の回転量等を検出することができるセンサであればよい。
【0062】
制御装置30は、第1制御装置31及び第2制御装置32を含む。ロボット10の第1制御装置31は、ロボット10全体の動作を制御し、コンソール20の第2制御装置32は、コンソール20全体の動作を制御する。例えば、第1制御装置31及び第2制御装置32は、コンピュータ装置である。第1制御装置31は、第2制御装置32と通信可能に接続されている。第1制御装置31は、コンソール20が受け付けた指令に応答してロボット10を動作させる。第1制御装置31は、コンソール20で内視鏡カメラの内視鏡画像を表示すること、及び、コンソール20にロボット10の動作に対応した動作を行わせること等のために、第2制御装置32に情報等を送信する。
【0063】
第1制御装置31は、駆動回路CA1~CA7(図5では「SC」と表記)それぞれを介してサーボモータMA1~MA7と電気的に接続される。第1制御装置31は、駆動回路CP1~CP7それぞれを介してサーボモータMP1~MP7と電気的に接続される。第1制御装置31は、駆動回路C137bを介してサーボモータM137bと電気的に接続される。制御装置30、並びに、駆動回路CA1~CA7、CP1~CP7及びC137bは、制御ユニット310を構成する。例えば、駆動回路CA1~CA7、CP1~CP7及びC137bは、増幅回路等を含み、第1制御装置31の指令に従って、それぞれに接続されたサーボモータに供給する電流の電流値を調節する。
【0064】
第1制御装置31は、プロセッサ及びメモリ等を有する演算器で構成される。演算器は、コンソール20を含む他の装置との情報、データ及び指令等の送受信を行う。演算器は、各種センサからの検出信号の入力及び各制御対象への制御信号の出力を行う。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリなどの半導体メモリ、ハードディスク及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。例えば、メモリは、演算器が実行するプログラム、及び各種固定データ等を記憶する。
【0065】
演算器の機能は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ及びROM(Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ等からなるコンピュータシステム(図示略)により実現されてもよい。演算器の機能の一部又は全部は、CPUがRAMをワークエリアとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。なお、演算器の機能の一部又は全部は、上記コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。なお、第1制御装置31は単一のコンピュータ装置による集中制御により各処理を実行してもよく、複数のコンピュータ装置の協働による分散制御により各処理を実行してもよい。
【0066】
このような第1制御装置31は、例えば、マイクロコントローラ、MPU(Micro Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)、システムLSI、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等で構成されてもよい。第1制御装置31の複数の機能は、個別に1チップ化されることで実現されてもよく、一部又は全てを含むように1チップ化されることで実現されてもよい。また、回路はそれぞれ、汎用的な回路でもよく、専用の回路でもよい。LSIとして、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続及び/又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサ、又は、特定用途向けに複数の機能の回路が1つにまとめられたASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が利用されてもよい。
【0067】
[コンソールの構成]
コンソール20の構成を説明する。図1に示すように、コンソール20は、手術システム1と施術者Sとのインタフェースを構成し、ロボット10を操作するための装置である。コンソール20は、手術室内において手術台の傍らに又は手術台から離れて、又は、手術室外に設置される。
【0068】
コンソール20は、施術者Sからの指令の入力を受け付けるための操作入力装置210と、内視鏡カメラで撮像された画像を表示するディスプレイ装置220と、第2制御装置32とを含む。内視鏡カメラは、外科用器具としてロボット10に取り付けられる。操作入力装置210は、左右一対の操作マニピュレータ211L及び211Rと操作用ペダル212とを含む。操作マニピュレータ211L及び211Rは、ロボット10を手動操作するために用いられる装置である。
【0069】
操作マニピュレータ211L及び211Rはそれぞれ、施術者Sからの操作力を受けるように構成され、施術者Sによって把持される操作部(図示略)を含む。本実施の形態では、操作マニピュレータ211L及び211Rは、内視鏡カメラ及び手術器具の位置及び姿勢の移動指令等を受け付ける操作具である。操作用ペダル212は、例えば、内視鏡カメラのズーム、制御モードの切り替え、操作マニピュレータ211L及び211Rと対応付けられるアーム130の切り替え等の指令を受け付ける操作具である。操作入力装置210は、手術器具の体腔挿入指令の入力を受け付ける操作具、アーム復帰指令の入力を受け付ける操作具等をさらに含む。これらの操作具は、操作マニピュレータ211L及び211Rと操作用ペダル212とのうちの一方によって兼用されてもよく、レバー、ボタン、タッチパネル、ジョイスティック、モーションキャプチャ等の公知の追加の操作具が設けられることによって実現されてもよい。操作入力装置210は、施術者Sの操作力に対する反力を操作マニピュレータ211L及び211Rに与えるための駆動機構(図示略)を有してもよい。
【0070】
ロボット10の手動操作の際、施術者Sは、ディスプレイ装置220に表示される内視鏡画像で患部を確認しながら、操作マニピュレータ211L及び211Rの操作部を直接的に動かすことによって、ロボット10のアーム130の先端の外科用器具150の移動を指令する。ロボット10の上記アーム130は、例えば、操作用ペダル212の操作によって操作マニピュレータ211L及び211Rと対応づけられ、対応付けられたアーム130は、操作マニピュレータ211L及び211Rの操作に従って動作する。
【0071】
図5に示すように、第2制御装置32は、第1制御装置31と通信可能に接続されている。例えば、第2制御装置32は、操作入力装置210において受け付けられた情報、データ及び指令等を、第1制御装置31に送信する。また、第2制御装置32は、第1制御装置31から受け取る情報、データ及び指令等に基づき、操作マニピュレータ211L及び211R等に行わせる動作、及びディスプレイ装置220の画像表示動作等を制御する。第2制御装置32の機能の一部又は全部は、CPU、RAM及びROM等からなるコンピュータシステム(図示略)により実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。なお、第2制御装置32は単一のコンピュータ装置による集中制御により各処理を実行してもよく、複数のコンピュータ装置の協働による分散制御により各処理を実行してもよい。第2制御装置32及び第1制御装置31は、単一のコンピュータ装置に含まれてもよい。
【0072】
[第1制御装置及び第2制御装置の機能的構成]
図6は、実施の形態に係る制御装置30の機能的構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、コンソール20の第2制御装置32は、画像処理部321と、入力処理部322と、動作指令部323と、位置指令部324と、動作制御部325とを機能的構成要素として含む。上記機能的構成要素の機能は、プロセッサ等によって実現される。なお、上記機能的構成要素の全てが必須ではない。
【0073】
画像処理部321は、外科用器具150の1つである内視鏡カメラによって撮像された画像データを第1制御装置31から受け取り、当該画像データをディスプレイ装置220に出力し表示させる。画像処理部321は、画像データに変換処理等を加えてディスプレイ装置220に出力してもよい。
【0074】
入力処理部322は、操作入力装置210から情報、データ及び指令等を受け取り処理し、第1制御装置31及び/又は動作指令部323に出力する。例えば、入力処理部322は、操作マニピュレータ211L及び211Rの各関節に設けられた回転センサの検出値から各関節の回転量を検出し、各関節の回転量から操作部の位置及び速度(移動速度)を算出する。動作指令部323は、入力処理部322によって算出された操作部の位置及び速度に基づき、ロボット10のポジショナ110及びアーム130に対する位置及び速度等を指令する移動指令を生成する。なお、操作マニピュレータ211L及び211Rに加えられる力を検出する力センサが設けられ、入力処理部322は、力センサの検出値から力の大きさ及び方向等の力の検出値を検出し、動作指令部323は、力の検出値に基づき、ロボット10のアーム130が対象物に加える力の大きさ及び方向等を指令する力指令を生成してもよい。動作指令部323は、力の検出値に対応する加速度を用いて移動指令を生成してもよい。動作指令部323は、上記移動指令及び上記力指令等を含む操作動作指令を第1制御装置31に出力する。
【0075】
位置指令部324は、第1制御装置31から位置指令を受け取る。位置指令は、ロボット10のポジショナ110及びアーム130の位置及び姿勢等に対応する位置及び姿勢の指令を含み、例えば、ポジショナ110及びアーム130の各関節等の位置及び姿勢等に対応する位置及び姿勢の指令を含む。位置指令部324は、受け取った位置指令と移動指令とに基づき、操作マニピュレータ211L及び211Rの操作部の位置及び姿勢がロボット10のアーム130の先端リンク137と対応するように、操作マニピュレータ211L及び211Rの操作部の位置及び姿勢等を指令する操作位置指令を生成する。操作位置指令は、操作マニピュレータ211L及び211Rの操作部に与える力を含んでもよい。さらに、位置指令部324は、操作マニピュレータ211L及び211Rの各関節に設けられた回転センサの検出値から各関節の位置を検出する。動作制御部325は、操作位置指令に基づき、対応する関節のサーボモータに電流を供給する制御を行う。その結果、操作マニピュレータ211L及び211Rの操作部の位置及び姿勢がアーム130及び外科用器具150の位置及び姿勢と対応して移動する。
【0076】
第1制御装置31は、ポジショナ制御部31aと、アーム制御部31bと、記憶部31cとを機能的構成要素として含む。ポジショナ制御部31aはポジショナ110の動作を制御し、アーム制御部31bはアーム130及び外科用器具150の動作を制御する。ポジショナ制御部31a及びアーム制御部31bの各機能は、プロセッサ等によって実現され、記憶部31cの機能はメモリによって実現される。
【0077】
ポジショナ制御部31aは、ロボット10に設けられている入力装置(図示略)に入力される準備位置の設定等に関する指令に基づいて、記憶部31cに記憶される準備位置にポジショナ110、アームベース120及び複数のアーム130が移動するような制御を行う。
【0078】
例えば、図2に示すように、施術時、施術補助者O(施術者自身でもよい)は、基台140を用いてロボット10を手術台OTの近くに移動させる。このとき、ポジショナ110、アームベース120及び複数のアーム130は、基台140に対して設定される所定の収納位置(図示略)に位置している。ロボット10の移動後、施術補助者Oがロボット10の入力装置(図示略)に、患者Pの手術内容に応じた準備位置を選択する入力を行う。これにより、ポジショナ制御部31aは、記憶部31cから対応する準備位置の情報を読み出し、ポジショナ110、アームベース120及び複数のアーム130が当該準備位置に位置するようにポジショナ110等を動作させる。なお、ロボット10の入力装置を用いてポジショナ110、アームベース120及び複数のアーム130のそれぞれの位置を準備位置から個別に位置調整することも可能である。
【0079】
本実施の形態では、ポジショナ110、アームベース120及び複数のアーム130が収納位置から準備位置となるまでの間、第1制御装置31は操作入力装置210による操作を受け付けない。準備位置への位置決め完了後、第1制御装置31は操作入力装置210による操作を受け付け可能となる。準備位置への位置決め完了後の施術時において、第1制御装置31は、原則としてポジショナ110及びアームベース120を静止させた状態で、操作入力装置210からの指令に応じて、各アーム130を動作させて外科用器具150の位置及び姿勢を適宜変化させるように動作制御する。
【0080】
アーム制御部31bは、画像取得部311と、情報処理部312と、動作指令部313と、軸位置決定部314と、動作制御部315とを機能的構成要素として含む。なお、上記機能的構成要素の全てが必須ではない。
【0081】
記憶部31cは、種々の情報の格納つまり記憶することができ、且つ、格納した情報の読み出しを可能にする。例えば、記憶部31cは、ポジショナ110、アームベース120及び複数のアーム130の準備位置の情報を記憶する。また、記憶部31cは、施術のための遠隔中心位置を記憶する。また、記憶部31cは、規制モードで用いられる拘束条件31caを記憶する。また、記憶部31cは、各アーム130の先端リンク137に取り付けられている外科用器具150の情報を記憶してもよい。外科用器具150の情報は、外科用器具150の種類、形状、寸法、動作方向及び動作範囲等の情報を含んでもよい。また、記憶部31cは、第1制御装置31の各機能を実現するためのプログラムを格納してもよい。
【0082】
遠隔中心位置は、施術中における外科用器具150のインストルメント等の姿勢の基準位置である。例えば、第1制御装置31は、施術中、外科用器具150のインストルメントが遠隔中心位置を通る状態を維持しつつ、アーム130を動作させる制御を行う場合がある。例えば、インストルメントが遠隔中心位置を通ることは、インストルメントが遠隔中心位置を通ること、及び、インストルメントの軸心などの中心線の延長線が遠隔中心位置を通ること等を含み得る。このとき、第1制御装置31は、遠隔中心位置を基準とするインストルメントの様々な姿勢及び挿入深さに変化させるように、アーム130を屈曲させつつ動作させる。つまり、第1制御装置31は、動作制限を伴ったアーム130の動作の制御を行う。遠隔中心位置の例は、図2に示される患者P上の位置Paである。例えば、位置Paの位置は、施術補助者Oが手術の準備をする過程で教示され、記憶部31cに記憶されてもよい。
【0083】
拘束条件31caは、各アーム130の動作範囲を制限するための条件である。具体的には、拘束条件31caは、各アーム130に設定された拘束部の位置と、当該アーム130が動作するときに拘束部が位置することができる範囲である拘束範囲とを対応付けて含む。拘束条件31caは、アームベース120に対する各アーム130の相対的な動作についての条件であり、アームベース120を基準とする。
【0084】
拘束部の位置は、アーム130のいかなる位置に設定されてもよいが、本実施の形態では、リンク134の屈曲部134aに設定される。具体的には、拘束部の位置は、屈曲部134aにおけるリンク134の軸心の屈曲点134aa(図3及び図4参照)に設定される。リンク134は第1リンクの一例であり、屈曲点134aaは第1部分の一例である。
【0085】
例えば、図2に示すように、ロボット10は、手術台OT上に横たわる患者Pの施術部位における各外科用器具150の姿勢回転の遠隔中心点Paに対して、各外科用器具150の姿勢及び挿入深さを様々に変化させるために各アーム130を屈曲させつつ動作させる。このとき、先端リンク137と基部リンク138との中間付近に位置するリンク134において、アーム130が屈曲する。特に、リンク134においてアーム130が鋭角に屈曲する場合、リンク134の屈曲部134a(図3参照)が上方及び/又は側方に大きく張り出し、隣のアーム130と接触する可能性がある。よって、本実施の形態では、このようなリンク134の屈曲部134aの屈曲点134aaが拘束部に設定される。
【0086】
各アーム130における拘束範囲は、当該アーム130と他のアーム130との位置関係に基づき決定される範囲ではなく、当該アーム130の状態に基づき決定される範囲である。拘束範囲は、当該アーム130に対して固定された範囲ではなく、当該アーム130の状態に対応して変動する範囲である。
【0087】
具体的には、拘束範囲は、基部リンク138における特定の位置の部分と先端リンク137における特定の位置の部分との間の領域である。例えば、上記領域は、回転関節JA1の回転軸の軸方向と平行な方向から見たときの領域であってもよい。
【0088】
図7及び図8はそれぞれ、図3のアーム130をYA軸負方向及びZA軸負方向で見た側面図及び平面図である。図7及び図8に示すように、基部リンク138における特定の位置の部分は、点138aに設定され、先端リンク137における特定の位置の部分は、点JA7aに設定される。点138aは、基部リンク138と第2取付部122との接続面と基部リンク138の軸心との交点である。点JA7aは、先端リンク137とリンク136との接続部分に位置し、具体的には、第1連結部137aと交差する回転関節JA7の回転軸の軸方向での当該接続部分の中心点である。なお、拘束範囲は、例えば、点138aと点JA7aとの間の中間位置であってもよい。本明細書及び請求の範囲において、「中間位置」は、2つの要素の間の中央の位置と、当該中央の位置付近の位置とを含み得る。基部リンク138は第2リンクの一例であり、点138aは第2部分の一例であり、先端リンク137は第3リンクの一例であり、点JA7aは第3部分の一例である。
【0089】
さらに、拘束範囲は、点138aを通り且つXA軸と交差する方向に延びる第1平面と点JA7aを通り且つXA軸と交差する方向に延びる第2平面との間の3次元領域であってもよい。第1平面及び第2平面は、互いに平行であってもよく、非平行であってもよい。XA軸の軸方向はアームベース120の長手方向の一例である。
【0090】
例えば、図7及び図8に示すように、第1平面は、XA軸に垂直である平面YZ8であり、第2平面は、XA軸に垂直である平面YZ7であってもよい。平面YZ7は、点JA7aを通り且つYAZA平面と平行である。平面YZ8は、点138aを通り且つYAZA平面と平行である。よって、拘束範囲は、点138aを通り且つXA軸と垂直な方向に延びる第1平面と点JA7aを通り且つXA軸と垂直な方向に延びる第2平面との間の3次元領域であってもよい。本明細書及び請求の範囲において、「垂直」、「鉛直」、「水平」及び「平行」はそれぞれ、完全に垂直、鉛直、水平又は平行である場合と、完全な垂直、鉛直、水平又は平行の近傍を含む実質的に垂直、鉛直、水平又は平行とみなすことができる場合とを含み得る。
【0091】
なお、拘束範囲は、第1平面と第2平面との中間位置であってもよく、例えば、平面YZ7と平面YZ8との間の中間位置であってもよい。
【0092】
さらに、拘束範囲は、第1平面と第2平面との間の第3平面上の2次元領域であってもよい。第3平面は、第1平面及び第2平面の少なくとも1つと平行であってもよく、いずれとも非平行であってもよい。なお、第3平面は、第1平面と第2平面との間の中間に位置してもよい。例えば、図7及び図8に示すように、第3平面は、平面YZ7と平面YZ8との間の平面YZEであってもよい。平面YZEは、平面YZ7及びYZ8と平行であるが、非平行であってもよい。平面YZEの位置は、平面YZ7と平面YZ8との間であればよく、例えば、平面YZ7と平面YZ8との間の中間位置であってもよい。
【0093】
また、拘束範囲は、点138aと、点138aを基準点とする第1曲面との間の3次元領域であってもよい。第1曲面の例は、上記基準点を中心とする球面及び楕円球面などの球状面、及び、上記基準点を通る軸を中心とする回転曲面などの軸対称曲面等である。上記基準点の例は、中心及び焦点等である。例えば、図9に示すように、第1曲面は球面S1であってもよい。球面S1は、点138aを中心とし且つ点JA7aを通る。なお、拘束範囲は、点138aと第1曲面との中間位置であってもよく、例えば、点138aと球面S1との間の中間位置であってもよい。図9は、拘束範囲の別の一例を図7と同様に示す側面図である。
【0094】
さらに、拘束範囲は、点138aと第1曲面との間の第2曲面上の領域であってもよい。第2曲面の形状は、第1曲面と類似する形状であってもよく、非類似の形状であってもよい。なお、第2曲面は、点138aと第1曲面との間の中間に位置してもよい。例えば、図9に示すように、第2曲面は、点138aと球面S1との間の球面S2であってもよい。球面S2は、点138aを中心とするが、点138aと異なる点を中心としてもよい。球面S2の位置は、点138aと球面S1との間であればよく、例えば、点138aと球面S1との間の中間位置であってもよい。
【0095】
また、拘束範囲は、点138aと点JA7aとを結ぶ線分上の領域、又は、上記線分とYA軸若しくは関節JA1の回転軸とを通る平面上の領域であってもよい。
【0096】
また、上記で示された平面上の領域及び線分上の領域はそれぞれ、当該平面及び当該線分から所定の距離内の領域等の当該平面及び当該線分の近傍の領域を含んでもよい。
【0097】
上述したように、屈曲点134aaの拘束範囲は、基部リンク138の位置と先端リンク137の位置とに対応して決定される範囲であり、先端リンク137の位置に対応して変動する範囲である。以下において、拘束範囲は、平面YZ7と平面YZ8との間の中間に位置する平面YZE上の2次元領域であるとして説明を行う。
【0098】
画像取得部311は、アーム130の外科用器具150の内視鏡カメラによって撮像された画像データを取得して第2制御装置32へ出力する。
【0099】
情報処理部312は、第2制御装置32から移動指令及び力指令等を含む操作動作指令を受け取り、動作指令部313に出力する。情報処理部312は、操作動作指令に処理を施し動作指令部313に出力する場合もある。情報処理部312は、第2制御装置32から受け取る規制モードを実行する指令等に基づき、記憶部31cから、動作対象のアーム130の拘束条件31caの情報を読み出し、軸位置決定部314に出力する。情報処理部312は、拘束条件31caの情報に処理を施し軸位置決定部314に出力する場合もある。
【0100】
動作指令部313は、情報処理部312から受け取る操作動作指令から、操作動作指令の対象のアーム130の先端リンク137の動作指令を生成し軸位置決定部314に出力する。動作指令は、位置指令を含み、さらに、力指令を含んでもよい。位置指令には、予め設定された移動範囲の制限及び移動速度の制限等が適用されてもよい。
【0101】
また、動作指令部313は、ロボット10の動作情報を動作制御部315から受け取り、当該動作情報を用いて、操作マニピュレータ211L及び211Rの操作部の動作指令を生成し、第2制御装置32に出力する。動作指令は、位置指令を含み、さらに、力指令を含んでもよい。動作指令部313は、動作指令の代わりに、ロボット10の動作情報を第2制御装置32に出力してもよい。
【0102】
ここで、先端リンク137の位置指令は、先端リンク137及び/又はアーム130の各関節等の位置、姿勢、並びに、位置及び姿勢の速度の目標値を指示する指令を含み得る。上記位置及びその速度は、3次元空間内の位置及び速度を表し、上記姿勢及びその速度は、3次元空間内の姿勢及び速度を表してもよい。さらに、位置指令は、位置指令の実行時刻を含んでもよい。本明細書及び請求の範囲において、「位置」とは、3次元空間内の位置、位置の速度、姿勢及び姿勢の速度のうちの少なくとも3次元空間内の位置を含むことを意味する。力指令は、先端リンク137が対象物に加える力の大きさ及び方向の目標値を指示する指令を含む。力の方向は、3次元空間内の方向を表してもよい。力指令は、力指令の実行時刻を含んでもよい。
【0103】
また、操作マニピュレータ211L及び211Rの操作部の位置指令は、先端リンク137の位置指令と同様に、操作部及び/又は操作マニピュレータ211L及び211Rの各関節等の位置、姿勢、並びに、位置及び姿勢の速度の目標値を指示する指令を含み得る。さらに、位置指令は、位置指令の実行時刻を含んでもよい。力指令は、操作部に加える力の大きさ及び方向の目標値を指示する指令を含んでもよい。力指令は、力指令の実行時刻を含んでもよい。
【0104】
また、ロボット10の動作情報は、ポジショナ110及びアーム130の動作データのうち少なくともアーム130の動作データを含む。アーム130の動作データは、動作時における先端リンク137及び/又はアーム130の各関節等の位置を表す位置データを含む。アーム130の動作データは、先端リンク137が対象物に加える力を表す力データも含んでもよい。ポジショナ110の動作データは、ポジショナ110の各関節及び/又はアームベース120等の位置を表す位置データを含む。位置データは、3次元空間内の位置と3次元空間内の姿勢とを含んでもよい。力データは、力の大きさと3次元空間内の力の方向とを含んでもよい。位置データ及び力データは、各位置及び各力の発生時刻と関連付けられた時系列データであってもよい。
【0105】
また、動作情報は、動作データ以外の情報として、先端リンク137が作用を加える対象物の撮像データ、先端リンク137で発生する振動データ、衝撃データ、光データ、音データ、温度データ、湿度データ、気圧などの圧力データ等を含んでもよい。本実施の形態で扱われる動作情報は、少なくとも動作データを含む。
【0106】
軸位置決定部314は、動作指令部313から受け取る動作指令に基づき、当該動作指令の対象のアーム130の各関節JA1~JA7の回転量(回転角)の目標値を決定し、当該目標値を動作制御部315に出力する。つまり、軸位置決定部314は、各関節JA1~JA7の関節軸の回転位置を決定する。さらに、規制モードでは、軸位置決定部314は、上記目標値の決定に拘束条件31caを用いる。軸位置決定部314は、動作指令に含まれる力指令を動作制御部315に出力してもよい。
【0107】
規制モード及び非規制モードのいずれにおいても、軸位置決定部314は、動作指令の位置指令に含まれる先端リンク137の3次元位置及び3次元姿勢の目標値と基部リンク138の3次元位置及び3次元姿勢の検出値とを用いて逆変換することで、関節JA1~JA7の回転量(回転角)の目標値を演算する。基部リンク138の3次元位置及び3次元姿勢の検出値は、アームベース120の3次元位置及び3次元姿勢から演算される。例えば、ポジショナ110によるアームベース120の位置決め後、第1制御装置31によって、アームベース120の3次元位置及び3次元姿勢並びに/又は各アーム130の基部リンク138の3次元位置及び3次元姿勢が検出され保持されてもよい。
【0108】
本実施の形態では、各アーム130は、7つの関節を有する。各アーム130は、先端リンク137の3次元位置及び3次元姿勢を目標値にするために必要である6つの関節による6つの自由度と、1つの関節による1つの付加的な自由度とを有する。このため、先端リンク137の3次元位置及び3次元姿勢の目標値の1つの組み合わせに対して、関節JA1~JA7の回転量(回転角)の複数の組み合わせが演算により検出され得る。
【0109】
非規制モードでは、軸位置決定部314は、関節JA1~JA7の回転量(回転角)の複数の組み合わせから任意の組み合わせを選択し、選択された組み合わせを、関節JA1~JA7の回転量(回転角)の目標値に決定する。例えば、軸位置決定部314は、関節JA1~JA7の回転移動量が最も小さい組み合わせを選択してもよい。なお、例えば、遠隔中心位置を基準とするアーム130の動作については、軸位置決定部314は、遠隔中心位置の情報を上記選択に用いてもよい。軸位置決定部314は、関節JA1~JA7の回転量の組み合わせから、外科用器具150が遠隔中心位置を通る組み合わせを選択してもよい。
【0110】
規制モードでは、軸位置決定部314は、拘束条件31caに基づき、アーム130の拘束部が拘束範囲内に位置する関節JA1~JA7の回転量(回転角)の組み合わせを選択し、当該組み合わせを目標値に決定する。本実施の形態では、図7に示すように、軸位置決定部314は、リンク134の屈曲部134aの屈曲点134aaが平面YZE上に位置する組み合わせを選択する。平面YZEは、先端リンク137の点JA7aを通り且つXA軸と垂直である平面YZ7と、基部リンク138の点138aを通り且つXA軸と垂直である平面YZ8との中間に位置し、平面YZ7及びYZ8と平行である。なお、例えば、遠隔中心位置を基準とするアーム130の動作については、軸位置決定部314は、遠隔中心位置の情報を上記選択に用いてもよい。軸位置決定部314は、関節JA1~JA7の回転量の組み合わせから、外科用器具150が遠隔中心位置を通る組み合わせを選択してもよい。
【0111】
動作制御部315は、動作対象のアーム130の各関節JA1~JA7を駆動するサーボモータMA1~MA7への電流の供給を制御するための動作制御指令を生成し出力する。具体的には、動作制御部315は、サーボモータMA1~MA7それぞれの回転センサEA1~EA7及び電流センサ(図示略)から回転量及び電流の検出値をフィードバック情報として受け取る。なお、動作制御部315は、駆動回路CA1~CA7がサーボモータMA1~MA7に供給する電流の指令値をフィードバック情報として用いてもよい。さらに、先端リンク137等に力センサが設けられる場合、動作制御部315は、当該力センサから力の検出値をフィードバック情報として受け取ってもよい。さらに、動作制御部315は、各関節JA1~JA7の回転量の検出値から当該関節の位置を検出する。動作制御部315は、各関節JA1~JA7の位置と、軸位置決定部314から受け取る各関節JA1~JA7の回転量(回転角)の目標値とから、各関節JA1~JA7の駆動量及び駆動速度を決定する。また、動作制御部315は、力センサから力の検出値と動作指令の力指令とから、各関節JA1~JA7の駆動トルクを決定してもよい。動作制御部315は、電流の検出値に基づき、上記駆動量、駆動速度及び駆動トルクに対応して各サーボモータMA1~MA7に駆動させるための電流値を決定し、当該電流値の電流を当該サーボモータに供給させる動作制御指令を生成し当該サーボモータに出力する。これにより、例えば、アーム130は、操作動作指令の移動指令に従って動作する場合、操作マニピュレータ211L及び211Rの操作部の動きと対応して動作する。
【0112】
[手術システムの動作]
実施の形態に係る手術システム1の動作を説明する。具体的には、規制モードでの動作を説明する。図10は、実施の形態に係る手術システム1の動作の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、ステップS1において、施術者S又は施術補助者Oは、患者Pに手術を行うとき、ロボット10の入力装置(図示略)に準備位置を指定する指令を入力し、第1制御装置31は当該指令を受け付ける。
【0113】
次いで、ステップS2において、第1制御装置31は、ポジショナ110、アームベース120及び複数のアーム130を指定された準備位置に位置させるように、ポジショナ110等を動作させる。第1制御装置31はロボット10を準備位置に移行させる。準備位置に移行後、施術補助者Oがアーム130A~130Dのそれぞれに外科用器具150を取り付ける際にそれぞれの遠隔中心位置を教示することにより記憶部31cにそれぞれの遠隔中心位置Paが記憶される。
【0114】
次いで、ステップS3において、施術者S又は施術補助者Oは、操作入力装置210の操作用ペダル212を用いて、操作マニピュレータ211L及び211Rによって動作させる動作対象のアームをアーム130A~130Dから選択し、第2制御装置32は当該選択を受け付ける。本例では、第2制御装置32は、アーム130Cの選択を受け付け、アーム130Cを動作対象とする通知を第1制御装置31に出力する。以降、第1制御装置31は、第2制御装置32からの指令等をアーム130Cへの指令として処理する。
【0115】
次いで、ステップS4において、施術者S又は施術補助者Oは、操作入力装置210に規制モードの実行の指令を入力する。第2制御装置32は、規制モードの実行指令を受け付け、当該指令を第1制御装置31に出力する。
【0116】
次いで、ステップS5において、施術者Sが操作マニピュレータ211L及び211Rの操作部に操作を入力すると、第2制御装置32は、当該操作に対応する操作動作指令を生成し、第1制御装置31に出力する。
【0117】
次いで、ステップS6において、第1制御装置31は、操作動作指令から、アーム130Cの先端リンク137の動作指令を生成する。
【0118】
次いで、ステップS7において、第1制御装置31は、記憶部31cに記憶される遠隔中心位置Paと拘束条件31caとを動作指令に適用することにより、外科用器具150が遠隔中心位置Paを通る状態を維持しながらアーム130Cのリンク134の屈曲部134aの屈曲点134aaが平面YZE(図7参照)上に位置するような、関節JA1~JA7の回転量(回転角)の目標値を演算する。つまり、第1制御装置31は、動作指令及び拘束条件31caに対応する関節JA1~JA7の回転位置の目標値を演算する。
【0119】
次いで、ステップS8において、第1制御装置31は、アーム130Cの動作情報を取得する。さらに、第1制御装置31は、当該動作情報をフィードバック情報として用いて、上記回転位置の目標値にするように関節JA1~JA7に動作させるための動作制御指令を生成し、アーム130CのサーボモータMA1~MA7に出力する。つまり、第1制御装置31は、アーム130Cの各関節JA1~JA7の動作制御指令を出力する。
【0120】
次いで、ステップS9において、アーム130Cは、動作制御指令に従って動作することで、リンク134の屈曲点134aaを平面YZE上に位置させつつ、外科用器具150が遠隔中心位置Paを通る状態を維持しながら先端リンク137を目標の位置及び姿勢に移動させる。つまり、アーム130Cは拘束部を拘束範囲内に位置させつつ動作する。
【0121】
次いで、ステップS10において、第2制御装置32は、施術者S又は施術補助者Oによって、操作入力装置210に終了の指令が入力されたか否かを判定し、指令の入力がある場合(ステップS10でYes)、一連の処理を終了し、未入力の場合(ステップS10でNo)、ステップS5に戻る。なお、終了の指令は、手術システム1での施術全体を終了する指令、規制モードを終了する指令、又は、動作対象をアーム130Cから他のアーム130に切り替える指令等であってもよい。
【0122】
ステップS1~S10によって、第1制御装置31は、アーム130Cの拘束部であるリンク134の屈曲点134aaが拘束範囲である平面YZE上に位置するように、アーム130Cを動作させる。これにより、アーム130Cの各関節JA1~JA7及びリンク131~136は、両隣のアーム130B及び130Dへ向かう方向への拡がりが抑えられた範囲内で動作する。よって、アーム130Cがアーム130B及び130Dと接触することが抑えられる。第1制御装置31は、このようなアーム130Cの接触を回避する動作を、アーム130B及び130Dの状態を用いずに、先端リンク137の点JA7aの位置と基部リンク138の点138aの位置との状態であるアーム130Cの状態に基づき実現することができる。
【0123】
なお、上記例では、アーム130Cが動作対象であるが、他のアーム130が動作対象であっても、第1制御装置31及び第2制御装置32は、ステップS3~S10と同様の処理を行う。
【0124】
また、上記例では、拘束範囲が平面YZE上であるが、他の拘束範囲であっても第1制御装置31及び第2制御装置32は、ステップS5~S10と同様の処理を行う。具体的には、第1制御装置31は、ステップS7において、適用すべき拘束条件を用いてアーム130の関節JA1~JA7の回転位置の目標値を演算する。他の拘束範囲は、上述で例示した拘束範囲であってもよい。
【0125】
(変形例)
本変形例では、ロボット10のアームベース1200の構成が、実施の形態のアームベース120の構成と異なる。以下において、本変形例について、実施の形態と異なる点を中心に説明し、実施の形態と同様の点の説明を適宜省略する。
【0126】
図11は、変形例に係る手術システム1の構成の一例を図1と同様に示す図である。図12は、変形例に係るロボット10の構成の一例を図2と同様に示す側面図である。図1及び図2に示すように、本変形例に係るロボット10のアームベース1200は、第1取付部1210及び第2取付部1220を有する。
【0127】
ポジショナ110のポジショナリンク116は、回転関節JP7を介して第1取付部1210と接続され、回転関節JP7の捻じれ回転軸SP7の方向に、第1取付部1210から延びる。
【0128】
アーム130の基部リンク138は、第2取付部1220と接続され、第2取付部1220の軸心SA1の方向に、第2取付部1220から延びる。アームベース1200を基準とすると、基部リンク138が第2取付部1220から延びる方向は、ポジショナリンク116が第1取付部1210から延びる方向と同様の方向である。つまり、第1取付部1210のメカニカルインタフェース部分の向きは、第2取付部1220のメカニカルインタフェース部分の向きと同様である。よって、アーム130及びポジショナ110は、アームベース1200から同様の向きに延びる。さらに、これに限定されないが、本変形例では、軸心SA1と回転軸SP7とが平行である。これにより、アーム130及びポジショナ110の動作の制御が容易になる。
【0129】
なお、実施の形態に係るアームベース120は、アーム130及びポジショナ110がアームベース120から互いに大凡反対の向きに延びるように構成される。アームベース120の第1取付部121のメカニカルインタフェース部分の向きは、第2取付部122のメカニカルインタフェース部分の向きと大凡反対である。
【0130】
上述のようなアームベース1200を備えるロボット10に対して、第1制御装置31は、実施の形態と同様の制御を行う。具体的には、第1制御装置31は、実施の形態と同様の拘束条件を用いた制御を行う。
【0131】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明したが、本開示は、上記実施の形態及び変形例に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態及び変形例に施したもの、及び、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0132】
例えば、実施の形態及び変形例において、アーム130の第1リンクの第1部分としてのリンク134の点134aaは、第2部分としての基部リンク138の点138aと第3部分としての先端リンク137の点JA7aとの間に位置するが、第1部分、第2部分及び第3部分は、上記に限定されない。例えば、第1部分は、リンク134のいかなる部分であってもよく、他のリンク131~133及び135~138のいかなる部分であってもよい。第2部分は、基部リンク138のいかなる部分であってもよく、リンク131~137のいずれかのリンクのいかなる部分であってもよい。第3部分は、先端リンク137のいかなる部分であってもよく、リンク131~136及び138のいずれかのリンクのいかなる部分であってもよい。第3部分は、第2部分よりも先端リンク137に近い位置にあり、第1部分は、第2部分と第3部分との間にあればよい。
【0133】
また、第1部分~第3部分は、関節JA1~JA7に位置してもよい。例えば、リンク134の第1部分は、リンク134に隣り合う関節JA4又はJA5に位置してもよい。基部リンク138の第2部分は、基部リンク138に隣り合う関節JA1に位置してもよい。先端リンク137の第3部分は、先端リンク137に隣り合う関節JA7に位置してもよい。本明細書及び請求の範囲において、第1リンク(例えば、リンク134)の第1部分は、第1リンク内の部分と第1リンクに隣り合う関節(例えば、関節JA4及び/又はJA5)内の部分とを対象とし得る。基部(例えば、基部リンク138)の第2部分は、基部内の部分と基部に隣り合う関節(例えば、関節JA1)内の部分とを対象とし得る。先端部(例えば、先端リンク137)の第3部分は、先端部内の部分と先端部に隣り合う関節(例えば、関節JA7)内の部分とを対象とし得る。
【0134】
また、実施の形態及び変形例に係る手術システム1は、1つのロボット10と1つのコンソール20とを含むように構成されるが、これに限定されない。手術システム1は、1つ以上のロボット10と1つ以上のコンソール20とを含むように構成されてもよい。例えば、手術システム1は、複数のロボット10と、複数のコンソール20とを備えてもよい。制御装置30は、複数のコンソール20の少なくとも1つから受け付ける指令等に従って、複数のロボット10の1つと複数のコンソール20の1つとを選択して接続するように構成されてもよい。
【0135】
また、本開示の技術は、制御方法であってもよい。例えば、本開示に係る制御方法は、それぞれが基部と、医療器具を保持可能な先端部と、前記基部と前記先端部とを連結し且つ互いに連結される複数のリンクとを含み、複数の自由度を有する複数のロボットアームをアームベースに備える手術ロボットの制御方法であって、前記複数のロボットアームのうちの少なくとも1つのロボットアームが少なくとも7つの自由度を有しており、前記基部に隣接する前記リンクは前記基部と回転関節を介して接続されており、少なくとも7つの自由度を有する1つの前記ロボットアームにおいて、前記回転関節の回転軸の軸方向と平行な方向から見たときに、前記複数のリンクのうちの第1リンクの第1部分を、前記基部の第2部分と前記先端部の第3部分との間に位置させるように、前記1つのロボットアームを動作させる。この制御方法によれば、上記手術システム1と同様の効果が得られる。このような制御方法は、CPU、LSIなどの回路、ICカード又は単体のモジュール等によって、実現されてもよい。
【0136】
また、本開示の技術は、上記制御方法を実行するためのプログラムであってもよく、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0137】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0138】
また、機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、及び/又は、一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【符号の説明】
【0139】
1 手術システム
3 制御装置
10 ロボット
20 コンソール
30 制御装置
31 第1制御装置
32 第2制御装置
120,1200 アームベース
130,130A~130D アーム(ロボットアーム)
131~136 リンク
134aa 点(第1部分)
137 先端リンク(先端部)
138 基部リンク(基部)
138a 点(第2部分)
210 操作入力装置
JA7a 点(第3部分)
図1
図2
図3
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図5
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図12