(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】電子膨張弁
(51)【国際特許分類】
F16K 1/36 20060101AFI20231019BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
F16K1/36 E
F16K31/04 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022050845
(22)【出願日】2022-03-25
(62)【分割の表示】P 2020543052の分割
【原出願日】2019-02-01
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】201820244945.1
(32)【優先日】2018-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201822057842.7
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】単 宇寛
(72)【発明者】
【氏名】沈 秋燕
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲イク▼剛
(72)【発明者】
【氏名】朱 龍健
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-227165(JP,A)
【文献】特開2007-271069(JP,A)
【文献】実開昭51-028524(JP,U)
【文献】特開平05-118447(JP,A)
【文献】特開昭61-055476(JP,A)
【文献】特開2013-130271(JP,A)
【文献】特開平05-223181(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0122360(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00- 1/54
31/00-31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子膨張弁であって、
弁体と、前記弁体内に設けられた弁ヘッドとを含み、
前記弁体は、弁室と、前記弁室に連通された第1の弁口とを有し、
前記弁ヘッドは、前記弁室内に設置され、前記弁体上の前記第1の弁口を開閉制御することに用いられ、
前記弁ヘッドは、軸方向に弁孔が開設され、
前記弁ヘッドは、前記第1の弁口に連通された第2の弁口を有し、
前記弁孔は前記弁ヘッドを貫通し、
前記弁ヘッドには、前記第2の弁口の上方で径方向に向かう部分を有する流路孔が開設され、
前記弁体にシール部が設けられ、前記弁ヘッドは前記第1の弁口の位置にシール係合部が設けられており、
前記シール部を凸柱として設置し、前記シール係合部を前記凸柱に係合するガスケットとして設置する、電子膨張弁。
【請求項2】
前記ガスケットは、ポリテトラフルオロエチレンガスケットである、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記弁体には、ガイドスリーブが設置され、前記弁ヘッドは、一部が前記ガイドスリーブ内に上向きに伸び込み、前記ガイドスリーブと摺動接続する、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記弁ヘッドにおける前記ガイドスリーブ内に伸び込む部分には、前記ガイドスリーブとシール係合するための第1のシールリングが調節される、請求項3に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記弁体上の第1の弁口の口径が10mm以上である、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記弁ヘッドは押圧スリーブを備え、前記押圧スリーブは貫通孔を備え、芯軸スクリュは、前記押圧スリーブの前記貫通孔を貫通して前記弁ヘッド内に伸び込む、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記芯軸スクリュの前記弁ヘッド内に伸び込んだ側の端部の外径は、前記押圧スリーブの前記貫通孔の孔径より大きい、請求項6に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記押圧スリーブは、前記貫通孔の外周にさらに孔が設けられている、請求項6に記載の電子膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本出願は、2018年2月11日に出願された出願番号201820244945.1であり名称が「二段式電子膨張弁」、及び2018年12月7日に出願された出願番号が201822057842.7であり名称が「電子膨張弁」である中国特許出願の優先権を主張し、その全文が参照としてここに組み込まれる。
【0002】
[002] 本出願は、電子弁に係る技術分野に関し、特に電子膨張弁に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 電子膨張弁は、流量を調節する部品として、冷凍機電一体化の発展の要求に適応し、冷凍システムのインテリジェント化に条件を提供した、将来性のある自動調節部品である。電子膨張弁は、ステッピングモータの原理を利用して、コイルによって磁気ロータ部材を駆動して正逆方向に回動させ、磁気ロータ部材の回転運行をプッシュロッドの上下移動に変換させ、プッシュロッドは、それに接続されたスピンドルを上昇又は下降するように動かして冷媒の流量を制御する。
【0004】
[004] ここで、一般的に使用されている電子膨張弁は、通常、液体流通用の2つの弁口を有し、それぞれ弁ヘッドにより開閉を制御する、弁体に設置された第1の弁口、及び弁ヘッド内に設けられたスピンドルを有する開閉を制御する、弁ヘッドに設置された第2の弁口であり、二段階の流量の調節を実現する。スピンドルは、第2の弁口に対する開閉制御により電子膨張弁の精密な流量の制御を実現し、弁ヘッドは、第2の弁口に対する開閉制御により、電子膨張弁の全開状態での大流量、大開度を確保することが理解できる。
【0005】
[005] 従来の電子膨張弁は、作動時に、弁体上の第1の弁口が開かれ大流量の連通を実現する場合、弁体上の入出口側に差圧が形成されるが、弁ヘッド上の第2の弁口の口径は一般的に2.0mm以内であり、弁体上の第1の弁口の口径は一般的に8.0mm以上であるため、この電子膨張弁の全開時のCV値の要求を確保することは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[006] これに鑑みて、電子膨張弁を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[007] 本出願の電子膨張弁は、弁体と、弁体内に設けられた弁ヘッドとを含み、弁体は、弁室と、弁室に連通された第1の弁口とを有し、弁ヘッドは、弁室内に設置され、弁体上の第1の弁口を開閉制御することに用いられ、弁ヘッドは、第1の弁口に連通された第2の弁口を有し、弁ヘッドの第2の弁口内には、弁ヘッド上の第2の弁口を開閉制御するためのスピンドルが設置される電子膨張弁であって、スピンドルには、スピンドルの底部から弁ヘッドより上に位置する弁室部分まで上向きに連通された通流孔が設置される。
【0008】
[008] 更に、弁ヘッドは、軸方向に弁孔が開設され、弁孔は弁ヘッドを貫通して第2の弁口に連通され、弁ヘッドは、第2の弁口の上方で径方向に流路孔が開設され、流路孔はそれぞれ弁孔、弁室に連通される。
【0009】
[009] 更に、弁ヘッドは、弁孔の孔壁に段差が設置され、スピンドルには、フランジが設置され、フランジは段差に対向して設置される。
【0010】
[010] 更に、流路孔は、フランジの下方に設けられた軸方向孔、及びフランジの上方に設けられた径方向孔を含み、軸方向孔は径方向孔に連通される。
【0011】
[011] 更に、スピンドルは、フランジの下方の部分に弁ヘッドの弁孔内壁とシール係合するための第2のシールリングが嵌着される。
【0012】
[012] 更に、弁ヘッドにシール部が設置され、弁体は、第1の弁口の位置にシール係合部が設置され、スピンドルは、弁体上の第1の弁口をシールするために、弁ヘッド上のシール部を弁体上のシール係合部に当接するように動かすことができる。
【0013】
[013] 更に、シール部は、弁ヘッドの弁体上の第1の弁口に面する側の端面に固定されたガスケットであり、シール係合部は、第1の弁口を囲んで設置された凸柱であり、ガスケットは凸柱とシール係合することができる。
【0014】
[014] 更に、ガスケットは、ポリテトラフルオロエチレンガスケットである。
【0015】
[015] 更に、ガスケットは、弁ヘッドの弁体上の第1の弁口に面する側の端面に係着され、ストッパで位置が制限され固定される。
【0016】
[016] 更に、電子膨張弁は、一部が弁ヘッド内に伸び込む芯軸スクリュを更に含み、芯軸スクリュは、スピンドルを弁ヘッドの軸方向に沿って下向きに移動するように下向きに押し出すことができ、弁ヘッドを第1の弁口から離れる方向に移動するように上向きに動かすことができる。
【0017】
[017] 更に、芯軸スクリュは、スピンドルに面する側の端面に接触部が固定され、スピンドルには、接触係合部が設置され、芯軸スクリュが下向きに移動するとき、接触部を接触係合部に接触係合するように動かすことができ、芯軸スクリュは、スピンドルを弁ヘッド上の第2の弁口の方向に移動するように接触部で押し出すことができる。
【0018】
[018] 更に、接触部は芯軸スクリュに固定された鋼球であり、接触係合部は鋼球と係合する弧形溝である。
【0019】
[019] 更に、弁ヘッドには、貫通孔が開設された押圧スリーブが設置され、芯軸スクリュは、押圧スリーブ上の貫通孔を貫通して弁ヘッド内に伸び込み、ここで、芯軸スクリュの弁ヘッド内に伸び込んだ側の端部の外径は、押圧スリーブ上の貫通孔の孔径より大きい。
【0020】
[020] 更に、弁体には、ガイドスリーブが設置され、弁ヘッドは、一部がガイドスリーブ内に上向きに伸び込み、ガイドスリーブと摺動接続される。
【0021】
[021] 更に、弁ヘッドにおけるガイドスリーブ内に伸び込む部分には、ガイドスリーブとシール係合するための第1のシールリングが調節される。
【0022】
[022] 更に、弁ヘッドには、消音ブロックが設置されており、消音ブロックは、第2の弁口と第1の弁口とが連通される通路に設置される。
【0023】
[023] 更に、弁体上の第1の弁口の口径は10mm以上である。
【0024】
[024] 本出願で提供される電子膨張弁は、スピンドル上の通流孔の構造設計を通じて、電子膨張弁が弁体上の第1の弁口で大流量の制御を行う場合、通流孔で圧抜きを行うことができ、これにより弁体内のチャンバの差圧のバランスを平衡させ、この電子膨張弁の駆動トルクを確保するとともに、弁体構造の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】[025] 本出願の第1の実施形態で提供される電子膨張弁の構造概念図である。
【
図2】[026]
図1における電子膨張弁の弁ヘッド、スピンドル、及び芯軸スクリュの組立概念図である。
【
図3】[027]
図1における電子膨張弁の弁ヘッドの別の角度図である。
【
図4】[028]
図1における電子膨張弁のスピンドルの別の角度図である。
【
図5】[029]
図1における電子膨張弁の芯軸スクリュの構造概念図である。
【
図6】[030] 本出願の第2の実施形態で提供される電子膨張弁の構造概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[033] 以下、本出願の実施形態における技術的態様について明確且つ完全に説明するが、説明された実施形態は単に本出願の一部の実施形態であり、全ての実施形態ではないことは明らかである。本出願における実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で獲得したすべての他の実施形態は、いずれも本出願の保護の範囲に属する。
【0027】
[034]
図1、
図2を参照すると、本出願の第1の実施形態で提供される電子膨張弁は、弁体10、弁ヘッド20、スピンドル30、芯軸スクリュ40、及びガイドスリーブ50を含み、弁体10には、第1の弁口11が設置され、弁ヘッド20には、第1の弁口11に連通された第2の弁口21が設置され、弁ヘッド20は、弁体10と係合し、弁体10上の第1の弁口11に対する開閉制御を実現することができ、スピンドル30は、弁ヘッド20上の第2の弁口21に対する開閉制御を行うことができる。
【0028】
[035] 弁体10には、弁室100が内向きに形成され、弁体10には、接続口12が更に設置され、第1の弁口11、接続口12はそれぞれ弁室100に連通される。
【0029】
[036] 本実施形態において、第1の弁口11は、弁体10の底壁16に設置され、第1の弁口11の位置に第1の接続パイプ13が接続され、接続口12は、弁体10の側壁に設置され、接続口12の位置に第2の接続パイプ14が接続され、第1の接続パイプ13と第2の接続パイプ14は外付け管路との接続に使用され、これによりこの電子膨張弁と外付け管路との連通を実現する。
【0030】
[037] 弁ヘッド20は、弁体10の弁室100内に設置され、弁体10の軸方向に沿って弁体10に対して移動することができ、これにより弁ヘッド20と弁体10との係合を実現し、弁体10上の第1の弁口11に対する開閉制御を行う。
【0031】
[038]
図3を更に参照すると、弁ヘッド20には、弁ヘッド20を貫通する弁孔200が軸方向に開設され、第2の弁口21は、弁孔200に連通され、弁ヘッド20の第2の弁口21の上方に弁ヘッド20の径方向に沿って流路孔22が開設され、流路孔22は弁孔200、弁室100に連通される。
【0032】
[039] 本実施形態において、弁ヘッド20には、シール部23が設置され、弁体10には、シール係合部15が設置され、シール係合部15は、弁体10上の第1の弁口11の外周に設置され、弁ヘッド20上のシール部23は、弁体10上の第1の弁口11をシールするために、弁体10上のシール係合部15と当接係合することができ、これにより弁ヘッドと弁体が互いに係合する場合、弁体上の第1の弁口に対するシールの安定性を確保した。つまり、本実施形態の電子膨張弁における弁体10の第1の弁口11の開閉は、弁ヘッド20上のシール部23と弁体10上のシール係合部15により制御される。
【0033】
[040] 具体的には、シール部23は、弁ヘッド20の弁体10上の第1の弁口11に面する側の端面に固定されたガスケットであり、シール係合部15は、第1の弁口11を囲んで設置された凸柱であり、弁ヘッド20は、ガスケットを下向きに移動するように動かして、凸柱とシール係合することができ、これにより弁体10上の第1の弁口11のシールを実現する。ここで、ガスケットは、弁ヘッド20の弁体10上の第1の弁口11に面する側の端面に係着され、ストッパ24でストッパ固定され、本実施形態において、ストッパ24と弁ヘッド20とは、具体的には、溶接により固定することができ、ストッパ24は、弁ヘッド20の弁体10上の第1の弁口11に面する側の端面と面一に設置される。
【0034】
[041] ここで、凸柱は、弁ヘッド20上のガスケットと係合して第1の弁口11に対するシールの実現を容易にするために、弁体10の底壁16に設置され、底壁16に対して一部が上向きに隆起している。本実施形態は、底壁と弁体10とを別体構造とし、この弁体10全体の生産制造を容易にするために、圧入、溶接により固定することが好ましい。シール部23とシール係合部15は、図面に示したガスケットと凸柱に限定されず、当業者は必要に応じてシール部23をガスケットとして設置し、ガスケットは、弁ヘッド20上の弁体10上の第1の弁口11に面する側の端面部分に対して外側に突出し、且つガスケットは弁体10上の第1の弁口11を囲んで設置されることができる。従って、シール係合部15は弁体10上の底壁16となることが理解できる。或いは、シール部23を凸柱とし、シール係合部15を凸柱と係合するガスケットとする。
【0035】
[042] 更に、ガスケットの材質は、ある程度の柔軟性と弾力性を有し、ガスケットと凸柱とが互いに作用するとき、ガスケットは凸柱の押し出しによってある程度の変形が発生し、これにより凸柱とガスケットとが係合する場合、両者の交わる面の間のシール性を向上させ、更に第1の弁口11に対するシールを確保した。本実施形態において、ガスケットは、ポリテトラフルオロエチレンシールであり、つまり、本実施形態のガスケットの材質はポリテトラフルオロエチレンであるが、勿論本出願の保護を求めるガスケットの材質はポリテトラフルオロエチレンに限定されず、柔軟性と弾力性を有するその他の材質を選択して使用してもよい。
【0036】
[043] スピンドル30は、弁ヘッド20内に設置され、弁ヘッド20の第2の弁口21に対する開閉制御を行うために弁ヘッド20の軸方向に沿って移動することができる。
【0037】
[044] スピンドル30には、スピンドル30の底部から弁ヘッド20より上に位置する弁室100部分まで上向きに連通された通流孔300が設置されることで、電子膨張弁上の弁体10の第1の弁口11が開き、大流量の連通を実現する場合、本実施状態の電子膨張弁は、スピンドル30上の通流孔300で圧抜きを行うことができ、これにより弁体10内の弁室100の差圧を平衡させ、且つ弁体10の第1の弁口11と接続口12との間の差圧を平衡させ、弁体上の入出口側の差圧バランスを実現し、この電子膨張弁の駆動トルクを確保するとともに、弁体構造の小型化を実現することができる。
【0038】
[045] 具体的には、スピンドル30上の通流孔300は、フランジ31の下方に設けられる軸方向孔301と、フランジ31の上方に設けられる径方向孔302とを含み、軸方向孔301と径方向孔302とは連通される。
【0039】
[046]
図4を更に参照すると、弁ヘッド20上の弁孔200の孔壁には、流
路孔22の上方に設置される段差25が1つ設置され、スピンドル30には、フランジ31が設置され、弁ヘッド20上の段差25とスピンドル30上のフランジ31は対向して設置され、段差25とフランジ31との間には、スピンドル30を第2の弁口21から離れる方向に移動するように提供する予圧スプリング101が設置される。
【0040】
[047] 芯軸スクリュ40は、一部が弁ヘッド内に伸び込み、芯軸スクリュ40は、スピンドル30を弁ヘッド20の軸方向に沿って下向きに移動するように下向きに押し出すことができ、弁ヘッド20を第1の弁口11から離れる方向に移動するように上向きに動かすことができる。
【0041】
[048] 本実施形態において、芯軸スクリュ40とスピンドル30とは別体として設置され、
図5を更に参照すると、芯軸スクリュ40のスピンドルに面する側の端面には接触部41が固定され、スピンドル30の端面には、接触部41に突き合わせるための接触係合部32が開設され、芯軸スクリュ40は、下向きに移動して接触部41をスピンドル30の接触係合部32内に挿入するように動かして接触部41でスピンドル30を弁ヘッド20上の第2の弁口21の方向に移動するように押し出すことができる。つまり、芯軸スクリュ40がスピンドル30を下向きに押し出す場合、芯軸スクリュ40に固定された接触部41は先ずスピンドル30に開設された接触係合部32と係合してから、接触部41で接触係合部32を押し上げ、これにより芯軸スクリュ40のスピンドル30に対する下向きの駆動を実現する。
【0042】
[049] 本実施形態の電子膨張弁は、芯軸スクリュ40でスピンドル30を移動するように下向きに駆動し、芯軸スクリュ40に固定された接触部41を通じて先ずスピンドル30上の接触係合部32と接触係合してから、接触部41で接触係合部32を通じてスピンドル30を下向きに駆動し、これにより芯軸スクリュ40とスピンドル30との同軸度が確保され、更に、このスピンドル30が弁ヘッド20内を移動する場合、係止する確率を下げる役割を果たすことが理解できる。これは、従来技術において、芯軸スクリュとスピンドルは具体的に圧着及び溶接により一体に接続されており、溶接中の温度が高く、芯軸スクリュが変形しやすくなり、芯軸スクリュ40とスピンドル30との間の同軸度が悪くなるためである。
【0043】
[050] 具体的には、接触部41は鋼球として設置され、それに従って、スピンドル30上の接触係合部32は弧形溝として設置され、鋼球は弧形溝と互いに係合する。鋼球は弧形溝と接触係合する場合、両者の接続面積が大きく、両者が接触後に互いに作用するときの安定性を高めることが理解できる。勿論、接触部41と接触係合部32とは、図面に示した鋼球と弧形溝に限定されるものではなく、当業者は必要に応じて接触部41を接触係合部32と接触係合する場合の端面が弧状の構造とすればよく、或いは接触部41を他の形状の構造としてもよく、また鋼球と弧形溝を切り替え、即ち、芯軸スクリュ40は、スピンドル30に面する側の端面に弧形溝が設置され、スピンドル30には、鋼球が対応して設置される。
【0044】
[051] ここで、鋼球は、溶接により芯軸スクリュ40の中心軸線に固定され、スポット溶接の方式であることが好ましく、弧形溝は、スピンドル30の中心軸線に開設される。
【0045】
[052] 本実施形態において、弁ヘッド20には、貫通孔261が開設された押圧スリーブ26が設置され、芯軸スクリュ40は、押圧スリーブ26上の貫通孔261を貫通して弁ヘッド20内に伸び込み、ここで、芯軸スクリュ40の弁ヘッド20内に伸び込んだ側の端部の外径は、押圧スリーブ26上の貫通孔261の孔径より大きい。芯軸スクリュ40が上向きに移動する場合、芯軸スクリュ40上の外径の大きい端部は、弁ヘッド20上の押圧スリーブ26に係止することができ、芯軸スクリュ40が更に上向きに移動する場合、弁ヘッド20を第1の弁口11から離れる方向に移動するように動かすことができるようにする。
【0046】
[053] 以上のことから理解されることは、芯軸スクリュ40が下向きに移動し、芯軸スクリュ40に固定された鋼球41を通じてスピンドル30を押し出して、弁ヘッド20の軸方向に沿って弁ヘッド20上の第2の弁口21の方向に移動するとき、スピンドル30上のフランジ31は予圧スプリング101を圧縮して、この過程で、弁ヘッド20上の段差25は予圧スプリング101の下向きの作用力を受け、弁ヘッド20を押し上げて弁ヘッド20上のシール部23が弁体10上のシール係合部15に当接係合するまで弁体10上の第1の弁口11の方向に向かって移動させ、これにより弁ヘッド20上の弁体10上の第1の弁口11の閉鎖を実現し、その後、スピンドル30は、スピンドル30が弁ヘッド20上の第2の弁口21に挿入するまで続けて予圧スプリング101を圧縮して、弁ヘッド20上の第2の弁口21の閉鎖を実現する。つまり、本実施形態の電子膨張弁は、作動時に、先ず弁体10上の第1の弁口11をシールしてから、弁ヘッド20上の第2の弁口21のシールを実現する。芯軸スクリュ40が上向きに移動する場合、芯軸スクリュ40は、スピンドル30から離脱した後、スピンドル30は予圧スプリング101の弾性復帰の駆動で、先ずスピンドル30を弁ヘッド20上の第2の弁口21から離脱するように上向きに押し上げて、第2の弁口21の開きを実現し、芯軸スクリュ40が続けて上方に移動するに従って、芯軸スクリュ40は押圧スリーブ26を通じて弁ヘッド20を弁体10上の第1の弁口11から離れる方向に移動するように上向きに動かすことができ、弁体10上の第1の弁口11の開きを実現する。
【0047】
[054] ガイドスリーブ50は、弁体10の弁室の上方に設置され、弁体10と固定接続される。ここで、弁体10の弁室内での弁ヘッド20の移動をガイドするための弁ヘッド20は、一部がガイドスリーブ50内に上向きに伸び込み、ガイドスリーブ50に摺動接続され、これにより弁ヘッド20と芯軸スクリュ40とスピンドル30との三者間の同軸度を確保した。
【0048】
[055] 本実施形態において、弁ヘッド20のガイドスリーブ50に伸び込む部分には、ガイドスリーブ50とシール係合するための第1のシールリング102が嵌着され、これにより、弁体10上の弁室100のシール性を確保し、スピンドル30は、フランジ31の下方の部分に、弁ヘッド20の弁孔200の内壁とシール係合するための第2のシールリング102が嵌着され、これにより弁ヘッド20上の第2の弁口21に対するスピンドル30のシール性を確保する。
【0049】
[056] 当業者は、弁ヘッド20、スピンドル30のサイズ及び第1の弁口11と第2の弁口21の口径は、この電子膨張弁の流量ニーズに応じて具体的に設計されることが理解できる。本実施形態において、第1の弁口11の口径は10mm以上とする。第1の弁口11の口径が10mm未満ひいては更に小さい場合、スピンドル30の上下差圧が十分に顕著でなく、構造を簡素化する観点から、通流孔300を設置せずに、第1の弁口11の口径を10mm以上とすることができ、弁体10上の第1の弁口11が開いた後の弁ヘッド20のCV値に対する要求を確保する上で、電子膨張弁の性能に対する差圧力の影響を解消するという本実施形態のメリットを発揮できる。
【0050】
[057]
図6を参照すると、本出願の第2の実施形態で提供される電子膨張弁は、弁体1、弁ヘッド2、スピンドル3、芯軸スクリュ4、及びガイドスリーブ5を含み、弁体1には、第1の弁口6が設置され、弁ヘッド2には、第1の弁口6に連通された第2の弁口7が設置され、弁ヘッド2は弁体1と係合し、弁体1上の第1の弁口6の開閉制御を実現することができ、スピンドル3は、弁ヘッド2上の第2の弁口7に対する開閉制御を行うことができる。
【0051】
[058] 本出願の第1の実施形態で提供される電子膨張弁と比較すると、本出願の第2の実施形態で提供される電子膨張弁は、その構成と作動原理はほぼ同じであるが、この電子膨張弁上の弁ヘッド2とスピンドル3はいずれも一部がガイドスリーブ5内に伸び込み、ガイドスリーブ5に対して摺動接続するという点で主に異なる。この電子膨張弁上のスピンドル3を駆動するための駆動部材8は、コイル部分、スリーブ、ロータ、ガイドプレート、ナット、及びストッパスプリング等を含み、具体的な構成と原理は従来技術における電子膨張弁の駆動部材の構成及び原理と同じであり、つまり、本実施形態におけるスピンドル3が、スピンドル3を動かして移動する芯軸スクリュ4に固定接続され、この電子膨張弁上の弁ヘッド2と弁体1とのシールはハードフィットであり、弁ヘッド2で弁体1の第1の弁口6に係入することにより、弁体1上の第1の弁口6に対するシールを実現する。
【0052】
[059] 上述の好ましい各実施形態は、矛盾しない前提で、自由に組み合わせ、追加することができることは、当業者であれば容易に理解できる。
【0053】
[060] 上述の実施形態は、単に例示的なものであり、限定的なものではなく、本出願の基本原理を逸脱しない限り、当業者が上述の詳細について行われた様々な明らかな又は同等の変更又は置換は、いずれも本出願の特許請求の範囲に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0054】
[031] 第1の実施形態において、10、弁体、11、第1の弁口、12、接続口、13、第1の接続パイプ、14、第2の接続パイプ、15、シール係合部、16、底壁、20、弁ヘッド、21、第2の弁口、22、流路孔、23、シール部、24、ストッパ、25、段差、26、押圧スリーブ、30、スピンドル、31、フランジ、32、接触係合部、40、芯軸スクリュ、41、接触部、50、ガイドスリーブ、100、弁室、101、予圧スプリング、102、第1のシールリング、103、第2のシールリング、200、弁孔、261、貫通孔、300、通流孔、301、軸方向孔、302、径方向孔である。
【0055】
[032] 第2の実施形態において、1、弁体、2、弁ヘッド、3、スピンドル、4、芯軸スクリュ、5、ガイドスリーブ、6、第1の弁口、7、第2の弁口、8、駆動部材である。