(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】電子膨張弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20231019BHJP
F25B 41/35 20210101ALI20231019BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F25B41/35
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022054595
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2020551493の分割
【原出願日】2018-10-31
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】201821337603.0
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821335343.3
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821337584.1
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821335771.6
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821335275.0
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810943399.5
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810943402.3
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821335535.4
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810941619.0
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821335289.2
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810942746.2
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821335213.X
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】劉 樂強
(72)【発明者】
【氏名】賀 宇辰
(72)【発明者】
【氏名】許 学飛
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3145048(JP,U)
【文献】特開2013-164124(JP,A)
【文献】特開2022-075845(JP,A)
【文献】登録実用新案第3202781(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第107289138(CN,A)
【文献】中国実用新案第207093877(CN,U)
【文献】国際公開第2006/064865(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
F16K 27/00-27/12
F25B 41/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子膨張弁であって、弁体、スピンドルアセンブリ及びガイドスリーブを含み、
前記弁体に弁口が
穿設され、前記弁体は弁室を有し、
前記ガイドスリーブは前記弁体内に取り付けられ、前記ガイドスリーブに案内孔が
穿設されており、
前記スピンドルアセンブリは、前記案内孔内に取り付けられ、前記弁口を開閉するように前記案内孔の案内下に移動可能であり、
前記ガイドスリーブに圧力均等化通路が更に
穿設されており、前記圧力均等化通路は、前記弁室と前記案内孔とを連通して、前記弁室と前記案内孔との圧力を均等化
し、
前記圧力均等化通路は、少なくとも1つの圧力均等化孔を含み、
前記案内孔の内壁に位置制限段差が設けられ、前記位置制限段差に前記圧力均等化孔が穿設されている、電子膨張弁。
【請求項2】
前記圧力均等化孔の軸線は、前記ガイドスリーブの軸線と平行に設けられている、請求項
1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記圧力均等化孔の数は2つであり、2つの前記圧力均等化孔は、均等な間隔で前記ガイドスリーブに設けられている、請求項2に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記圧力均等化孔のそれぞれは、円形の圧力均等化孔である、請求項
3に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記弁体に、媒体が流れ込むための媒体入口、媒体が流れ出るための媒体出口、及び前記媒体入口と連通される弁室が更に
穿設されており、前記弁口は、前記弁室と前記媒体出口との間に位置する、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記電子膨張弁は、スリーブ及びスクリュアセンブリを更に含み、前記スリーブは前記弁体に被せられ、前記スクリュアセンブリの一端は前記スピンドルアセンブリに接続され、他端は前記スリーブ内に収容されている、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記スピンドルアセンブリは、スピンドル及びスピンドルスリーブを含み、前記スピンドルスリーブは、前記案内孔内に取り付けられ、前記スピンドルの一端は、前記スクリュアセンブリに接続され、他端は、前記スピンドルスリーブ内に取り付けられて、前記弁口に係合されるために用いられる、請求項
6に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記スピンドルアセンブリは、バルブボールを更に含み、前記バルブボールと前記スピンドルとは溶接接続される、請求項
7に記載の電子膨張弁。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電子膨張弁を含む、空調冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
[0001] 本出願は、2018年8月17日に出願された出願番号2018213376030、名称「電子膨張弁」、2018年8月17日に出願された出願番号2018213353433、名称「電子膨張弁」、2018年8月17日に出願された出願番号2018213375841、名称「電子膨張弁」、2018年8月17日に出願された出願番号2018213357716、名称「電子膨張弁」、2018年8月17日に出願された出願番号2018213352750、名称「電子膨張弁」、2018年8月17日に出願された出願番号2018109433995、名称「電子膨張弁」、2018年8月17日に出願された出願番号2018109434023、名称「電子膨張弁及びこの電子膨張弁を用いた空調システム」、2018年8月17日に出願された出願番号2018213355354、名称「電子膨張弁及びこの電子膨張弁を用いた空調システム」、2018年8月17日に出願された出願番号2018109416190、名称「電子膨張弁及びこの電子膨張弁を用いた空調システム」、2018年8月17日に出願された出願番号2018213352892、名称「電子膨張弁及びこの電子膨張弁を用いた空調システム」、2018年8月17日に出願された出願番号2018109427462、名称「電子膨張弁及びこの電子膨張弁を用いた空調システム」、2018年8月17日に出願された出願番号201821335213X、名称「電子膨張弁及びこの電子膨張弁を用いた空調システム」の中国特許出願の優先権を主張し、それらの全文は参照によって本明細書に組み入れられる。
【0002】
[0002] 本発明は冷凍技術分野に関し、特に電子膨張弁に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 電子膨張弁は、ガイドスリーブ及びナットスリーブ内における弁ロッドアセンブリの動きによって弁体に開設された弁口を開閉し、これにより、流量の調節及び絞りによる減圧の目的を実現し、冷凍装置の技術分野で広く適用されている。従来の電子膨張弁は取り付けが複雑であり、電子膨張弁の信頼性及び安定性が低下している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] これに基づいて、本出願の各種の実施例により、電子膨張弁を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 本出願の技術態様は、以下の通りである。
【0006】
[0006] 電子膨張弁は、弁体、スピンドルアセンブリ、スクリュアセンブリ、ロータアセンブリ、ステータアセンブリ及びスリーブを含み、弁体の内部にスピンドルアセンブリの動きを案内するためのガイドスリーブが設けられ、スピンドルアセンブリはガイドスリーブに設けられ、スクリュアセンブリはロータアセンブリに接続され、ステータアセンブリは、ロータアセンブリに作用してロータアセンブリの回転を駆動することができ、ロータアセンブリの回転によりスクリュアセンブリを動かすことができ、弁体に弁口が開設され、スピンドルアセンブリは、スクリュアセンブリによって駆動されて、弁口を開閉し、スリーブは弁体の弁口から離れた一端を被るように設けられている。
【0007】
[0007] 本出願の1つ又は複数の実施例の詳細は、以下の図面及び説明に記述されている。本出願のその他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲によって明らかになるであろう。しかし同時に、実施例の一部に元の技術効果及び利点に対応する表現が記載されていることを確実にする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]一実施形態によって提供される電子膨張弁の斜視図である。
【
図2】[0009]一実施形態によって提供される電子膨張弁の断面図である。
【
図3】[0010]別の実施形態によって提供される電子膨張弁の斜視図である。
【
図4】[0011]
図3によって提供される電子膨張弁の断面図である。
【
図5】[0012]一実施形態によって提供される弁体の断面図である。
【
図6】[0013]一実施形態によって提供される第2取付段差が設けられた弁体の断面図である。
【
図7】[0014]別の実施形態によって提供される弁体の断面図である。
【
図8】[0015]一実施形態によって提供される屑貯留構造が設けられた弁体の断面図である。
【
図9】[0016]
図8によって提供されるBにおける拡大図である。
【
図10】[0017]一実施例によって提供される位置制限部が設けられた弁体の断面図である。
【
図11】[0018]
図10によって提供されるCにおける拡大図である。
【
図12】[0019]別の実施形態によって提供される屑貯留構造の断面図である。
【
図13】[0020]
図12によって提供されるDにおける拡大図である。
【
図14】[0021]一実施形態によって提供されるガイドスリーブの断面図である。
【
図15】[0022]別の実施形態によって提供されるガイドスリーブの断面図である。
【
図16】[0023]更に別の実施形態によって提供されるガイドスリーブの断面図である。
【
図17】[0024]一実施形態によって提供されるスリーブ及び弁体を省略した電子膨張弁の斜視図である。
【
図18】[0025]一実施形態によって提供されるスクリュアセンブリの斜視図である。
【
図19】[0026]一実施形態によって提供されるスピンドルアセンブリ及びスクリュアセンブリの断面図である。
【
図20】[0027]別の実施形態によって提供される電子膨張弁の断面図である。
【
図21】[0028]
図20によって提供されるスピンドルアセンブリの断面図である。
【
図22】[0029]一実施形態によって提供されるノイズ低減モジュールが設けられた電子膨張弁の断面図である。
【
図23】[0030]一実施形態によって提供される収容室が開設された弁体の断面図である。
【
図24】[0031]一実施形態によって提供されるノイズ低減モジュールの断面図である。
【
図25】[0032]別の実施形態によって提供されるノイズ低減モジュールの断面図である。
【
図26】[0033]更に別の実施形態によって提供されるノイズ低減モジュールの断面図である。
【
図27】[0034]一実施形態によって提供される溶接構造が設けられた電子膨張弁の断面図である。
【
図28】[0035]
図27によって提供されるEにおける拡大図である。
【
図29】[0036]
図4によって提供されるAにおける拡大図である。
【
図30】[0037]一実施形態によって提供されるガイドスリーブの断面図である。
【
図31】[0038]一実施形態によって提供される連結手の斜視図である。
【
図32】[0039]一実施形態によって提供される連結手の上面図である。
【
図33】[0040]一実施形態によって提供されるナットスリーブの斜視図である。
【
図34】[0041]一実施形態によって提供されるナットスリーブの断面図である。
【0009】
[0042] 図中、電子膨張弁100、媒体導入管101、媒体導出管102、軸線103、弁体の第1端104、弁体の第2端105、第1面取り106、第2面取り107、溶接リング108、溶接ビード109、弁体10、入口10a、出口10b、取付ブラケット10c、第1取付段差10d、第2取付段差10e、収容室10f、弁口11、弁室12、貫通孔13、取付室14、第1位置決め段差14a、位置制限部141、位置制限部の内側面141a、位置制限部の外側面141b、開口部142、連結室15、取付座110、取付孔111、ガイドスリーブ16、案内孔16a、スピンドル孔16b、平面161、第1円筒段162、段差162a、第1円筒段の第1端162b;第1円筒段の第2端162c、第2円筒段163、第3円筒段164、案内構造165、カム166、連結手17、第1突起18、連結溝19、屑貯留構造120、第1屑貯留溝121、第1屑案内構造122、第1屑案内部122a、第2屑貯留溝123、第2屑案内構造124、第2屑案内部124a、スピンドルアセンブリ20、スピンドルスリーブ21、スピンドル22、凹溝221、第1スプリング座23、第2スプリング座24、弾性部材25、ガイドホルダ26、ボール27、スクリュアセンブリ30、スクリュ31、第2突起311、ナットスリーブ32、ナットスリーブの第1端32a、ナットスリーブの第2端32b、係止溝32c、係合段321、係合孔321a、第2位置決め段差322、止め肩323、スリーブ40、ロータアセンブリ50、ロータ51、アダプタプレート52、位置制限部材53、スプリング531、止め部531a、止めリング532、案内片54、ノイズ低減モジュール60、第3突起61、ノイズ低減孔62、第1孔621、第2孔622、第3孔623、円筒孔621a、テーパ形孔622a、溶接構造70、第4突起71、凸辺72、第3面取り73、圧力均等化通路80、圧力均等化孔80a、第1均等化通路81、第1均等化孔811、第2均等化孔812、第2均等化通路82、第3均等化孔821、第4均等化孔822、第5均等化孔823である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0043] 以下、図面及び具体的な実施形態に合わせて、本出願を更に詳細に説明する。
【0011】
[0044]
図1及び
図2に示すように、本出願は、空調冷凍システムに適用される流体媒体の流量及び圧力を調節するための電子膨張弁100を提供する。本実施形態において、電子膨張弁100を流れる流体媒体は、空調冷凍システムにおいて冷熱交換するための冷媒であり、電子膨張弁100は、高温高圧の液状冷媒を低温低圧の気液二相冷媒に絞って減圧して熱交換するために用いられ、冷凍の目的を実現する。
【0012】
[0045] 電子膨張弁100は、弁体10、スピンドルアセンブリ20、スクリュアセンブリ30、スリーブ40、ロータアセンブリ50及びステータアセンブリ(図示せず)を含み、スピンドルアセンブリ20、スクリュアセンブリ30及びスリーブ40は、弁体10に取り付けられ、スクリュアセンブリ30の一端はスピンドルアセンブリ20に接続され、他端はロータアセンブリ50に接続され、ロータアセンブリ50はスリーブ40内に設けられ、ステータアセンブリはスリーブ40に設けられ、ステータアセンブリは通電されて磁場を発生し、この磁力の作用下でロータアセンブリ50を回転させ、ロータアセンブリ50はスクリュアセンブリ30を動かし、これにより、スクリュアセンブリ30がスピンドルアセンブリ20を動かし、電子膨張弁100の開閉を実現して、流量及び圧力を調節する目的を達成する。
【0013】
[0046]
図5に示すように、弁体10はステンレス鋼材質で加工製造される。勿論、弁体10は他の材料で加工製造されてもよい。本実施形態では、例を一つずつ挙げない。弁体10は略円筒形をなし、他の実施形態では、弁体10は他の形状をなしてもよい。
【0014】
[0047] 弁体10は軸線103を有し、弁口11、弁室12、貫通孔13、取付室14及び連結室15は、軸103に沿って弁体10上で順次開設される。弁口11は、スピンドルアセンブリ20が伸入するために用いられ、これにより、弁口11における流体媒体の流量を制御し、スピンドルアセンブリ20が弁口11を閉じると、即ち、弁口11と弁室12との連通が遮断されると、電子膨張弁100は閉じられ、スピンドルアセンブリ20が弁口11に対する封止を解除すると、即ち、弁口11と弁室12とが互いに連通されると、電子膨張弁100は開かれる。貫通孔13は取付室14の底部に開設され、貫通孔13の孔径は取付室14の内径よりも小さい。貫通孔13の設置により、取付室14の底部に環形状の第1位置決め段差14aが形成され、取付室14及び連結室15は、軸線103方向に沿って互いに連通されることを理解されたい。
【0015】
[0048] 弁体10に、流体媒体が入るための入口10a及び出口10bが開設される。弁口11は、入口10a及び出口10bの間に設けられ、入口10aは弁室12と連通されて設置され、出口10bは弁口11と連通され、スピンドルアセンブリ20の動きを制御することにより、入口10aと出口10bとの間の導通又は遮断を実現する。
【0016】
[0049] 好ましくは、入口10aに、流体媒体を送り込むための媒体導入管101が取り付けられ、出口10bに、流体媒体を送り出すための媒体導出管102が取り付けられる。本実施形態において、流体媒体は冷媒であり、冷媒は、媒体導入管101から電子膨張弁100に流れ込み、電子膨張弁100によって絞られて減圧され、媒体導出管102から排出される。
【0017】
[0050] 更に、
図6に示すように、弁体10のスリーブ40から離れた一端に、媒体導出管102を取り付けるための第1突起18が突出して設けられ、出口10bは、軸線103に沿って第1突起18を貫通し、出口10bは弁口11と連通され、本実施形態において、媒体導出管102は弁体と溶接接続される。
【0018】
[0051] 好ましくは、弁体10のスリーブ40から離れた一端に連結溝19が開設され、第1突起18は連結溝19の底部に位置し、媒体導出管102の一端は、第1突起18に被せられて、連結溝19の底部に当接される。ここで、連結溝19を設けることによって、媒体導出管102と弁体10との溶接を容易にし、且つはんだの流出を防止し、溶接品質を向上させることができる。
【0019】
[0052] 弁体10に、ガイドスリーブ16及び連結手17が設けられる。ガイドスリーブ16は、取付室14内に取り付けられて、取付室14と締り嵌めされる。ここで、締り嵌めとは、取付室14の内径のサイズから係合されるガイドスリーブ16の外径のサイズを引いたものが負の値であることを意味する。ガイドスリーブ16は、スピンドルアセンブリ20を案内して、弁体10の軸線103方向に沿って動かすために用いられる。連結手17は、連結室15内に取り付けられ、スクリュアセンブリ30を取り付けるために用いられる。好ましくは連結手17は、溶接によって連結室15内に取り付けられる。
【0020】
[0053] 更に、弁体に第1取付段差10dが設けられ、第1取付段差10dは、弁体10の連結室15が開設された一端に位置し、スリーブ40は、第1取付段差10dに取り付けられる。
【0021】
[0054] 一実施形態において、
図3、
図4及び
図6に示すように、弁体10に取付座110が設けられてもよく、スリーブ40は取付座110に取り付けられる。ガイドスリーブ16の一端は、取付室14内に取り付けられて、取付室14と締り嵌めされ、他端は、取付室14内から伸び出て、スクリュアセンブリ30に接続され、連結手17は、取付座110に取り付けられる。
【0022】
[0055] 更に、取付座110は略円筒形をなし、取付座110は、溶接によって弁体10に溶接される。勿論、他の実施形態では取付座110は他の方法で弁体10に接続されてもよい。スリーブ40は、溶接によって取付座110に溶接されて、取付座110と密着接続され、取付座110に取付孔111が開けられ、スクリュアセンブリ30の一部は、取付孔111内に伸入して、ガイドスリーブ16に接続される。
【0023】
[0056] 本実施形態において、取付座110を設けることによって、取付座110は、弁体10の機能の一部に代わって、スクリュアセンブリ30及びスリーブ40を取り付けることに用いられ、これにより、弁体10の重量を減らすことができ、且つ弁体における弁口11の加工難易度が低減され、弁体10及び弁口11の加工精度が確保され、電子膨張弁100の流量の制御精度が向上した。
【0024】
[0057] 好ましくは、弁体10に第2取付段差10eが設けられ、取付座110は、第2取付段差10eに溶接される。弁体10及び取付座110は一体構造を採用してもよく、別体構造を採用してもよく、本実施形態において、弁体10及び取付座110は別体構造を採用する。
【0025】
[0058] 一実施形態において、
図10及び
図11に示すように、取付室14の弁口11から離れた一端は周方向に位置制限部141を有する。係合部161は、位置制限部141と係合されて、軸線103方向に沿ったガイドスリーブ16の位置決めを実現するために用いられ、これにより、ガイドスリーブ16が流体媒体の高圧、流体媒体の高/低温等の要因により軸線103に沿って緩んでノイズが発生することを防止する。
【0026】
[0059] 更に、位置制限部141は環状をなし、位置制限部141の内径は、取付室14の内径よりも小さい。好ましくは、位置制限部141の軸線Xが存在する平面に沿った断面は台形又は弧形をなす。位置制限部141の内径の大きい一端は取付室14に近接して設けられ、位置制限部141の内径の小さい一端は取付室14から離れて設けられる。
【0027】
[0060] 位置制限部141は、対向して設けられた、ガイドスリーブ16に当接するための内側面141a及び外側面141bを有する。位置制限部の内側面141aと取付室14の内壁との間に夾角aを形成する。位置制限部の内側面141aと取付室14の内壁との間に夾角aを形成することは、ガイドスリーブ16のX軸に沿った動きを制限する軸つばを形成することに相当することを理解されたい。
【0028】
[0061] 好ましくは、夾角aの範囲は120°≦a≦l60°である。これによりこの角度範囲においてガイドスリーブ16を取付室14内に取り付けることができ、ガイドスリーブ16のX軸方向に沿った動きを制限することができる。具体的には、本実施形態において、夾角a=160°である。
【0029】
[0062] 位置制限部141は、弁体10と一体構造にしてもよく、弁体10とは別体に設けられてもよい。位置制限部141と弁体10とを一体構造にすると、弁体10の加工及び製造が容易となり、製造コストが低減される。位置制限部141と弁体10とを別体に設けると、ガイドスリーブ16の取り付けが容易となる。上述した2種類の位置制限部141と弁体10との設置方法には、それぞれ利点があり、具体的な位置制限部141の設置方法は、実際の需要に応じて設けることができる。
【0030】
[0063] 勿論、他の実施形態では位置制限部141をストッパとして設けることができる。このとき、ストッパと弁体10との間の夾角は90度であり得る。ストッパは環状をなし、ボルト等のロック部材によって連結室15内に取り付けられる。
【0031】
[0064]
図14に示すように、ガイドスリーブ16は、黄銅材質で加工製造され、即ち、黄銅ガイドスリーブであり、黄銅材質のガイドスリーブは比較的柔らかく、ガイドスリーブ16とスクリュアセンブリ30又は弁体10との互いの取り付けが容易となり、且つ流体媒体とガイドスリーブ16との衝突によるノイズを低減することができる。他の実施形態において、ガイドスリーブ16は、黄銅以外の他の材料で加工製造されてもよいことが理解される。
【0032】
[0065] ガイドスリーブ16は略円筒状をなし、ガイドスリーブ16と弁口11とは離間して設けられ、且つガイドスリーブ16の弁口11に近い一端の端面は平面161である。ここで、平面161は、平滑面又は滑面であるため、即ち、平面161の摩擦係数が低いため、流体媒体が平面161を通過するとき平面161に沿って流れることができ、流体のノイズを更に低減する。
【0033】
[0066] ガイドスリーブ16は軸線Yを有し、ガイドスリーブ16は軸線Yに沿って案内孔16a及びスピンドル孔16bが開設されている。スピンドル孔16bの孔径は、案内孔16aの孔径よりも小さい。スピンドル孔16bは、案内孔16aの底部に位置し、案内孔16aと連通する。
【0034】
[0067] スピンドル孔16bの孔径が案内孔16aの孔径よりも小さいことから、案内孔16aの底部とスピンドル孔16bとが合わされて位置制限段差161aが形成され、スピンドルアセンブリ20は、案内孔16a内に取り付けられて、案内孔16a及びスピンドル孔16bの案内の下に動くことを理解されたい。
【0035】
[0068] 更に、
図4及び
図12に示すように、ガイドスリーブ16は3段構造が可能であり、本実施形態において、ガイドスリーブ16は、取付室14内に取り付けられた第1円筒段162、取付孔111内に伸入して、スクリュアセンブリ30と係合するための第2円筒段163、及び弁室12内に位置する第3円筒段164を含み、他の実施形態において、ガイドスリーブ16は2段構造であってもよい。
【0036】
[0069] 第1円筒段162と取付室14とは締り嵌めされて、ガイドスリーブ16の取付過程において、ガイドスリーブ16自身の軸線と弁体10の軸線Yとが重なるように設けられることが確保され、これにより、ガイドスリーブ16と弁口11との同軸性が確保される。
【0037】
[0070] 好ましくは、第1円筒段162は中段であり、即ち、第2円筒段163と第3円筒段164との間に位置し、第1円筒段162の外径は、第2円筒段163の外径、第3円筒段164の外径のそれぞれよりも大きい。第1円筒段162は、第2円筒段163、第3円筒段164との間に段差162aがそれぞれ形成され、第1円筒段162と第2円筒段163との間の段差162aは、取付室14の底部の第1位置決め段差14aと係合されて、第2円筒段163の位置決めを実現することを理解されたい。
【0038】
[0071] 更に、一実施形態において、第1円筒段162は、対向して設けられた第1端162b及び第2端162cを有し、第2円筒段163は、第1円筒段の第2端162cに接続される。第1円筒段の第1端162bの端面は平面161である。軸線Yは平面161に垂直である。第1円筒段の第1端162bの端面が平面161であることから、流体媒体と第2円筒段163との接触の摩擦力を低減することができ、ノイズの発生を更に減少し、ユーザの使用の快適さを向上させる。
【0039】
[0072] 好ましくは、第1円筒段の第1端162bの端面は、取付室14の底部に当接されて、ガイドスリーブ16の取り付けを実現する。更に、第1円筒段の第1端162bは周方向に案内構造165を有する。ここで、案内構造165を設けることにより、ガイドスリーブ16の取り付けが容易となる。更に、第2円筒段163の第1円筒段162から離れた一端も周方向に案内構造165aを有する。
【0040】
[0073] 具体的には、案内構造165は、第1円筒段の第2端162cに設けられた案内部165aを含む。好ましくは、案内部165aはフィレット案内部又は円錐形案内部である。勿論、他の実施形態では案内構造165は他の構造であってもよい。
【0041】
[0074]
図15に示すように、別の実施形態において、ガイドスリーブ16の構造は、基本的に、既述の実施形態におけるガイドスリーブ16の構造と一致しており、第1円筒段の第1端162bの端面にカム166が設けられ、カム166の第1円筒段から離れた一端の端面が平面161である点で異なる。カム166は貫通孔13中に伸入し、且つ平面161は第1位置決め段差14aに当接され、これにより、ガイドスリーブ16の位置決め及び取り付けを実現する。
【0042】
[0075]
図16に示すように、更に別の実施形態において、ガイドスリーブ16の構造は、基本的に、既述の実施形態におけるガイドスリーブ16の構造と一致しており、第1円筒段の第1端162bに第3円筒段164が設けられ、第3円筒段164と弁口11とが離間して設けられ、第3円筒段164の第1円筒段162から離れた一端が平面161である点で異なる。第3円筒段164の外径は、第2円筒段163の外径より小さく、且つ第2円筒段163との間にも段差162aが形成される。第3円筒段164は、貫通孔13から弁室12内に伸入する。好ましくは、第3円筒段164は階段状をなす。
【0043】
[0076] 更に、第2円筒段163の長さは、ガイドスリーブの長さの1/4~1/3倍である。ここで、第2円筒段163の長さがガイドスリーブの長さの1/4~1/3倍である。したがって、ガイドスリーブ16は、十分な係合サイズを持ってスクリュアセンブリ30と係合することができ、接続の信頼性を向上させると同時に、振動等によりガイドスリーブ16が緩むリスクを低減することが理解できる。勿論、第3円筒段164を長くすることにより、案内孔16aの全体の長さが長くなり、スピンドルアセンブリ20が案内孔16a内に取り付けられ、スピンドルアセンブリ20の全体の同軸性を向上させる。
【0044】
[0077] 好ましくは、第2円筒段163の長さは、ガイドスリーブ16の長さの3/10倍である。第2円筒段163の長さがガイドスリーブ16の長さの略1/3倍を占めることにより、第2円筒段163とスクリュアセンブリ30との接続の信頼性を更に向上することが理解される。
【0045】
[0078] 第3円筒段164の第1円筒段162から離れた一端も、案内構造を有する。ここで、案内構造を設けることにより、ガイドスリーブ16の取り付けが容易となる。具体的には、案内構造は、第1円筒段162及び第3円筒段164に設けられる面取り又はテーパ面等の構造である。
【0046】
[0079] 更に、連結手17は、弁体10と溶接接続され、弁体10に取付ブラケット10cが更に設けられ、取付ブラケット10cは、弁体10又は弁体10と取付座110との間の接続箇所に設けられ、取付ブラケット10cは、弁体10と溶接接続されるか、又は、弁体10、取付座110とそれぞれ溶接接続され、取付ブラケット10cは、外部装置と係合されて電子膨張弁100の取り付けを実現する。
【0047】
[0080] 更に、
図8に示すように、弁体10とガイドスリーブ16との間に屑貯留構造120が設けられ、屑貯留構造120は、弁体10とガイドスリーブ16との間の砕屑を貯留するために用いられる。これにより、ガイドスリーブ16の取付過程において、弁体10、ガイドスリーブ16上の砕屑が不純物の形で電子膨張弁100に入り込んで、電子膨張弁100の通常の作業に影響を与えることを回避する。
【0048】
[0081] 一実施形態において、
図9に示すように、取付室14は内壁を有し、屑貯留構造120は、取付室14の内壁の周方向に開設された第1屑貯留溝121を含む。
【0049】
[0082] 好ましくは、第1屑貯留溝121は複数設けられてもよく、複数の第1屑貯留溝121は、弁体10の軸線Xに沿って取付室14の内壁に間隔を置いて設けられる。第1屑貯留溝121の溝口のそれぞれは、第1屑案内構造122を有し、これにより、弁体10、ガイドスリーブ16上の砕屑を第1屑貯留溝121内に案内する。
【0050】
[0083] 具体的には、第1屑案内構造122は、取付室14の内壁に設けられた第1屑案内部122aを含み、第1屑案内部122aは、第1屑貯留溝121の溝口に位置する。好ましくは、第1屑案内部122aは、傾斜した屑案内部又はフィレット屑案内部等に位置する。
【0051】
[0084] 更に、取付室14は開口部142を有し、開口部142は弁口11から離れて設けられる。第1屑貯留溝121は、取付室14の開口部142の端に近接して取付室14の内壁に設けられる。従って、組み立ての要件を満たすことを前提として、ガイドスリーブ16と取付室14の開口部142の端の係合段との角度をできるだけ小さくして、砕屑の押出しを減少する。
【0052】
[0085] 別の実施形態において、
図12及び
図13に示すように、ガイドスリーブ16は外壁を有し、屑貯留構造120は、ガイドスリーブの外壁の周方向に開設された第2屑貯留溝123を含む。
【0053】
[0086] 好ましくは、第2屑貯留溝123は、第1円筒段162の外壁に設けられる。更に、第2屑貯留溝123は、第1円筒段162の第2端162cに近接して設けられる。即ち、短い取付室14との締り嵌め段として、第1円筒段162の第2端162cに設けられて、砕屑の押出しを減少することが理解される。
【0054】
[0087] 更に、第2屑貯留溝123は、複数設けられてもよい。複数の第2屑貯留溝123は、ガイドスリーブ16の軸線Yに沿って第1円筒段162の外壁に間隔を置いて設けられる。第2屑貯留溝123の溝口のそれぞれは、第2屑案内構造124を有し、これにより、弁体10、ガイドスリーブ16上の碎屑を第2屑貯留溝123内に案内する。
【0055】
[0088] 具体的には、第2屑案内構造124は、ガイドスリーブ16の外壁に設けられた第2屑案内部124aを含み、第2屑案内部124aは、第2屑貯留溝123の溝口に位置する。好ましくは、第2屑案内部124aは、傾斜した屑案内部又はフィレット屑案内部等に設けられる。
【0056】
[0089] 更に別の実施形態において、取付室14は内壁を有し、ガイドスリーブ16は外壁を有し、屑貯留構造120は、実施例1における第1屑貯留溝121、及び実施例2における第2屑貯留溝123を含む。取付室14の内壁上の第1屑貯留溝121とガイドスリーブ16の外壁上の第2屑貯留溝123とは、軸線103方向に沿って互いにずらして設けられる。
【0057】
[0090]
図17、
図18及び
図19に示すように、一実施形態において、スピンドルアセンブリ20は、ガイドスリーブ16内に取り付けられたスピンドルスリーブ21、及びスピンドルスリーブ21内に取り付けられたスピンドル22を含み、スピンドル22は軸線を有し、スピンドル22の軸線は、弁体10の軸線103と重なるように設けられる。スピンドル22の一端はスクリュアセンブリ30に接続され、他端は弁口11に係合され、スクリュアセンブリ30は、スピンドル22を動かして弁口11の開閉を制御することにより、電子膨張弁100の開閉を実現する。
【0058】
[0091] スピンドルアセンブリ20は、第1スプリング座23、第2スプリング座24、弾性部材25及びガイドホルダ26を更に含み、第1スプリング座23、第2スプリング座24及び弾性部材25は、スピンドルスリーブ21内に収容され、第1スプリング座23は、スクリュアセンブリ30に接続され、且つガイドホルダ26に当接され、弾性部材25の一端は第1スプリング座23に当接され、他端は第2スプリング座24に当接され、ガイドホルダ26は、スピンドルスリーブ21のスピンドル22から離れた一端に取り付けられて、第2スプリング座24に当接され、ガイドホルダ26は、スクリュアセンブリ30と係合するために用いられる。
【0059】
[0092] 更に、スピンドルアセンブリ20はボール27を更に含み、ボール27はスピンドルスリーブ21内に収容され、ボール27は、スピンドル22とスクリュアセンブリ30との間に設けられ、スピンドル22とスクリュアセンブリ30との摩擦接触面の面積を減らすことにより、スピンドル22、スクリュアセンブリ30の摩耗を減らし、電子膨張弁100の信頼性及び安定性を向上させる。
【0060】
[0093] 好ましくは、ボール27は、第2スプリング座24とスピンドル22との間に設けられ、ボール27とスピンドル22又は第2スプリング座24とはスポット溶接によって溶接され、本実施形態において、スピンドル22に凹溝221が設けられ、ボール27は凹溝221内に取り付けられ、ボール27とスピンドル22とはスポット溶接によって溶接される。ここで、ボール27を設けることにより、第2スプリング座24とスピンドル22とが点接触し、これにより、第2スプリング座24とスピンドル22との摩擦接触面の面積を減らして、第2スプリング座24とスピンドル22との接触摩耗を減らし、電子膨張弁100の信頼性及び安定性を向上させる。
【0061】
[0094]
図19、
図33及び
図34に示すように、スクリュアセンブリ30は、スクリュ31及びナットスリーブ32を含み、スクリュ31は、対向して設けられた第1端及び第2端を有し、スクリュ31の一端は、ロータアセンブリ50に接続され、スクリュ31の第2端は、ナットスリーブ32に穿設されて、第1スプリング座23に接続され、スクリュ31の第2端とナットスリーブ32とはねじ接続され、ナットスリーブ32の一端は連結手17に取り付けられる。
【0062】
[0095] 更に、ナットスリーブ32は、対向して設けられた第1端32a及び第2端32bを有し、ナットスリーブの第1端32aは連結手17に取り付けられ、ナットスリーブの第2端32bはスリーブ40内に収容される。ナットスリーブの第1端32aに係合段321が延設され、係合段321は、取付孔111内に伸入して、第1円筒段162に近接して設けられる。
【0063】
[0096] 好ましくは、ナットスリーブの第1端32bに係止溝32cが設けられ、係止溝32c内に係止突起が設けられ、これに対応して、連結手17に接続孔が開設され、ナットスリーブの第1端32bは接続孔内に取り付けられて、係止突起によって連結手17との係止接続を実現する。スクリュ31がロータアセンブリ50の駆動下で回転するとき、スクリュ31とナットスリーブ32との間に形成されたナットスクリュ係合関係により、スクリュ31及びスクリュ31に固定接続されたロータアセンブリ50等は、スクリュ31の軸線方向に沿って動き、これにより、スクリュ31は、スピンドルアセンブリ20を動かすことを実現する。
【0064】
[0097] 更に、係合段321に係合孔321aが開設され、第3円筒段164は、係合孔321aからナットスリーブ32内に伸入して、ナットスリーブ32と固定接続される。係合段321を設けることにより、ガイドスリーブ16とナットスリーブ32との係合長さを延長することができ、ガイドスリーブ16とナットスリーブ32との接続の信頼性を向上させることが理解される。
【0065】
[0098] 好ましくは、固定接続は、ねじ接続、締り嵌め等を含む。本実施形態において、第3円筒段164とナットスリーブ32とが締り嵌めされることにより、第3円筒段164によってナットスリーブ32が補正されて、ナットスリーブ32の軸線が、ガイドスリーブ16の軸線、弁体10の軸線と重なるように設けられる。
【0066】
[0099] 本実施形態において、第1円筒段162と取付室14とが締り嵌めされ、第3円筒段164とナットスリーブ32とが締り嵌めされることにより、第1円筒段162によって弁体10が補正され、第3円筒段164によってナットスリーブ32が補正されて、弁体10、ガイドスリーブ16及びナットスリーブ32の3つの軸線が重なり、スクリュ31、スピンドル22及び弁口11の3つの同軸性が確保され、これにより、動く過程において、スピンドル22と弁体10との衝突が減少され、更にスピンドル22等の部材の摩耗が減少され、電子膨張弁100の使用寿命が向上することが理解される。
【0067】
[00100] ナットスリーブ32内に第2位置決め段差322が設けられてもよく、第3円筒段164は、ナットスリーブ32内に伸入して第2位置決め段差322に当接され、ガイドスリーブ16の取り付けの信頼性を更に向上し、流体媒体の圧力下でガイドスリーブ16が軸方向に動いてノイズが発生することを回避する。
【0068】
[00101]
図20及び
図21に示すように、別の実施形態において、スピンドルアセンブリ20の基本構造は、上記で説明したスピンドルアセンブリ20の構造と基本的に同じであり、スピンドルアセンブリ20は、軸受け211、ガスケット212及び弾性部材213を更に含み、軸受け211及びガスケット212は、スクリュアセンブリ30のスピンドル22に近い一端に設けられ、弾性部材213の一端はガスケット212と接触し、他端はスピンドル22と接触し、軸受け211の一端はスクリュアセンブリ30及びスピンドルスリーブ21に当接され、他端はガスケット212と接触し、ガスケット212は、スピンドルスリーブ21内に収容されて、軸受け211の外輪と接触する点で異なる。
【0069】
[00102] スクリュ31にスクリュ31の径方向に沿って伸びる第2突起311が設けられ、第2突起311は、スピンドルスリーブ21の内側面と面一であり、軸受け211の内輪は第2突起311に当接され、スピンドルスリーブ21の内側面の軸受け211の外輪に対する当接により、スクリュ31及びスピンドルスリーブ21の軸受け211に対する位置制限を実現する。
【0070】
[00103] スクリュ31は、軸受け211の内輪に固定接続される。本実施形態において、スクリュ31と軸受け211の内輪とは締り嵌めによって互いに固定され、即ち、スクリュ31のサイズは軸受け211の内輪の孔径よりも大きく、このとき、スクリュ31と軸受け211とは比較的良好な接続安定性を有する。
【0071】
[00104] 他の実施形態において、スクリュ31と軸受け211の内輪とは、かしめ、膠着等の他の接続方法によって互いに固定されてもよいことが理解される。
【0072】
[00105] スクリュ31は、ロータアセンブリ50の駆動下で回転し、スクリュ31と軸受け211の内輪との固定接続により、スクリュ31は、軸受け211の内輪を動かして回転させる。軸受け211内の転動体が軸受け211の外輪と転動接触することにより、スクリュ31による回転が解放される。軸受け211内には複数の転動体があるため、スクリュ31の回転の解放は、従来の電子膨張弁100における1点転動接触から、本実施形態における多点転動接触に変わる。従って、接触力は、複数の転動体によって分担され、各接触点における接触圧力を低減し、転動摩擦は摩擦力を減少する。
【0073】
[00106] 更に、軸受け211とスクリュ31との同軸取り付けにより、転動体における接触力は、スクリュ31の重力方向に垂直であり、これはまた、従来の電子膨張弁中の接触点における接触力を比較的低減し、電子膨張弁100の安定性と信頼性を向上させた。同時に、軸受け211は遊びを有し、これにより、スピンドル22は一定の自由度を有し、スピンドル22と弁口11との同軸性による誤差を低減することができる。
【0074】
[00107] 本実施形態において、弾性部材213はスプリングであり、このとき、弾性部材213は比較的高い接続安定性を有する。他の実施形態において、弾性部材213は弾性柱等の他のタイプの弾性要素であってもよいことが理解される。
【0075】
[00108] 引き続き、
図4及び
図17を参照すると、ロータアセンブリ50は、スリーブ40内に位置するロータ51、並びにスクリュ31を取り付けるためのアダプタプレート52、ロータ51の回転角度を制限するための位置制限部材53及びアダプタプレート52に取り付けられた案内片54を含み、ロータ51はアダプタプレート52に取り付けられ、アダプタプレート52とスクリュ31とは溶接等の方法によって固定接続される。
【0076】
[00109] 位置制限部材53は、ナットスリーブに被せられたスプリング531、及び案内片54に取り付けられた止めリング532を含み、スプリング531の一端は連結手17に接続され、スプリング531の他端には止め部531aが設けられ、止めリング532はスプリング531に巻かれている。好ましくは、ナットスリーブ32の外壁に止め肩323が設けられ、止め肩323は止めリング532と係合するために用いられて、ロータ51の回転角度を制限する。
【0077】
[00110] 一実施形態において、ロータ51が回転して軸線103に沿って動いて、スクリュ31を駆動してスピンドル22を動かして弁口11を閉じる過程において、止めリング532はスプリング531に沿って動き、止めリング532は、止め肩323に当接されて、ロータ51の回転角度を制限し、これがロータ51の下限位置となる。ロータ51が回転して軸線103に沿って動いて、スクリュ31を駆動してスピンドル22を動かして弁口11を開く過程において、止めリング532はスプリング531に沿って動き、止めリング532は、止め部531aに当接されて、ロータ51の回転角度を制限し、これがロータ51の上限位置となる。
【0078】
[00111] 更に、スクリュ31の外側面は、スクリュ31の径方向に沿って外側に伸びてカム311を形成し、スクリュ31上のカム311がガイドホルダ26に当接されることにより、電子膨張弁100中のロータ51及びスクリュ31の動きの下限位置が確定される。
【0079】
[00112] 電子膨張弁100の下限位置は、スクリュ31とガイドホルダ26との互いの当接により決定され、スクリュ31は長くて真直ぐな棒部材とされており、機械的な衝突によって発生する衝撃力の方向は、スクリュ31の軸方向と一致するので、発生する振動とノイズが比較的低いだけでなく、衝撃力によって発生する振動とノイズが長くて真直ぐな棒体上で迅速に消費できるため、電子膨張弁100が下限位置の制限によってロータアセンブリ50の動く状態を切り換えて発生するノイズが比較的低減される。
【0080】
[00113] 一実施形態において、電子膨張弁100の上限位置は、止めリング532とスプリング531の止め部531aとの互いの当接によって実現される。ロータ51が回転して軸線103に沿って動いて、スクリュ31を駆動してスピンドル22を動かして弁口11を閉じる過程において、止めリング532はスプリング531に沿って動く。止めリング532は止め部531aに当接されて、ロータ51の回転角度を制限し、これがロータ51及びスクリュ31の上限位置となる。
【0081】
[00114] 別の実施形態において、電子膨張弁100中のロータアセンブリ50が動く状態を切り換える際に発生するノイズを更に低減するために、電子膨張弁100の上限位置は、スクリュ31のスピンドルアセンブリ20から離れた一端とスリーブ40との互いの当接によって決定される。スプリング531の止め部531aと止めリング532とのサイズを調整することによって、スリーブ40とスクリュ31とが当接されるときに、止めリング532がスプリング531の止め部531aと接触しないようにし、これにより、スクリュ31とスリーブ40との互いの当接を電子膨張弁100の上限位置とする。
【0082】
[00115] このとき、電子膨張弁100の上限位置は、依然として、スクリュ31によって決定され、スクリュ31は長くて真直ぐな棒部材とされており、機械的な衝突によって発生する衝撃力の方向は、スクリュ31の軸方向と一致し、発生する振動とノイズが比較的低いだけでなく、衝撃力によって発生する振動とノイズが長くて真直ぐな棒体上で迅速に消費できるため、電子膨張弁100が上限位置の制限によってロータアセンブリ50の動く状態を切り換えて発生するノイズが比較的低減される。
【0083】
[00116] 更に、スリーブ40の内側面の形状に合うように、スクリュ31のスリーブ40に近い一端は曲面とされており、このとき、スクリュ31とスリーブ40は比較的良好な接続性能を有する。
【0084】
[00117] 更に別の実施形態において、電子膨張弁100の上限位置は、ガイドホルダ26とナットスリーブ32との互いの当接によっても実現でき、ナットスリーブ32はガイドホルダ26に当接され、ガイドホルダ26はスクリュ31に固定接続されるため、ナットスリーブ32のガイドホルダ26に対する当接は、スクリュ31が弁口11から更に離れることに対する制限が実現できる。このとき、スクリュ31の長さを設定することによって、ナットスリーブ32とガイドホルダ26とが互いに当接されるときに、スクリュ31とスリーブ40とが接触しないようにし、これにより、電子膨張弁100の上限位置がナットスリーブ32とガイドホルダ26との当接によって決定されることを確保する。
【0085】
[00118] ナットスリーブ32は体積の大きい旋回部材とされており、機械的な衝突によって発生する衝撃力によるノイズが比較的少なく、ナットスリーブ32上に発生する振動及び振動によるノイズも迅速に消費できるため、電子膨張弁100が上限位置の制限によってロータアセンブリ50の動く状態を切り換えて発生するノイズが比較的低減される。
【0086】
[00119] 電子膨張弁100の上限位置が、止めリング532とスプリング531の止め部531aとの互いの当接によって実現されない場合、即ち、電子膨張弁100が上述した実施形態を採用する場合、止めリング532とスプリング531とは省略してもよいことが理解される。止めリング532、案内片54及びスプリング531が省略された電子膨張弁100の構造は、
図18、
図19に示す通りである。
【0087】
[00120] ロータアセンブリ50とスクリュアセンブリ30とは共に動き、ロータアセンブリ50が動く上限位置及び下限位置、即ち、スクリュアセンブリ30が動く上限位置及び下限位置は、本明細書では区別しないことが理解される。
【0088】
[00121] 尚、本明細書で言及される下限位置は、スクリュ31が弁口11に向かって動く最大作動位置を指し、この作動位置は下限位置と呼ばれ、本明細書で言及される上限位置は、スクリュ31が弁口11から離れて動く最大作動位置を指し、この作動位置は上限位置と呼ばれる。上限位置と下限位置中の「上」と「下」は方位の概念を有しておらず、説明の便宜上付けられたものである。
【0089】
[00122] ステータアセンブリ(図示せず)はコイル等の部材を含み、通電されて磁場を発生するために用いられ、その磁力の作用下で、ロータ51を動かして回転させることにより、スクリュ31の回転を実現する。
【0090】
[00123] 本実施形態において、電子膨張弁100は電動式電子膨張弁であり、ロータ51はステッピングモータ中の永久磁石からなるモータロータであり、ステータアセンブリはステッピングモータ中のモータステータであり、ステッピングモータは、制御回路から提供される論理デジタル信号を受信してから、モータステータの各相のコイルに信号を伝達し、永久磁石からなるモータロータは、磁気モーメントの影響を受けて回転の動きが生まれ、これにより、ステータアセンブリがロータアセンブリを駆動して回転させる動きの過程が実現される。
【0091】
[00124] 本出願における電子膨張弁100は一体型弁座を採用しており、一体型弁座を用いて従来の電子膨張弁のスプール弁座とスリーブホルダとを一体化しているため、電子膨張弁100の軸方向における組立回数を減少し、即ち、複数回の組み立てにより電子膨張弁100の各部品の同軸性が低下する可能性を低減し、電子膨張弁100の各部品間の同軸性が向上し、更に、部品数が減少され、電子膨張弁100の開弁性能を保証することができ、取り付けがより便利となり、製品全体の信頼性及び安定性が向上した。
【0092】
[00125] 更に、
図7に示すように、弁口11は弁体10と同軸に設けられ、弁口11が開設された一端を弁体10の第1端104と称し、弁体10の第1端104と対向している他端を第2端105と称し、弁口11は、第2端105から第1端104に向かう方向に沿って切り込んで開設される。上端から切り込む加工方法を採用するため、弁体10の弁口は、加工の際に1回の締付けしか必要としておらず、これは、弁体10の弁口11の製造過程における締付け回数を減少し、即ち、弁体10の弁口11の加工中の位置決め誤差を低減し、弁口11と弁体10との同軸性を向上させた。
【0093】
[00126] また、弁体10に弁口11が直接開設されるため、従来の電子膨張弁と比べて、弁口が開設された弁座コアと弁体との溶接固定が減少され、溶接回数の減少は弁体10の整合性を向上させ、電子膨張弁100の信頼性及び安定性を向上させた。
【0094】
[00127] 弁口11の弁体10の第2端105に近い一端に第1面取り106が設けられ、第1面取り106の開設により、弁口11の弁体10の第2端105に近い部分に開口構造が形成され、スピンドル22の弁口11内における密封性能を向上させることができ、電子膨張弁100の内漏れを減少し、且つ電子膨張弁100の流体の流量に対する制御の精度が向上した。
【0095】
[00128] 弁口11の弁体10の第2端105から離れた一端に第2面取り107が設けられ、第1面取り106及び第2面取り107の開設により、弁口11の加工過程中に発生するバリが除去され、流体媒体が弁口11を通過する際に、よりスムーズな流動特性を有するようになる。
【0096】
[00129] 好ましくは、第1面取り106と第2面取り107は、いずれも0.1mmよりも小さい。
【0097】
[00130] 更に、ノイズを更に隔離するために、弁体10とガイドスリーブ16とが接触する壁の厚さは、弁体10の半径の30%~80%である。弁体10とガイドスリーブ16とが接触する壁の厚さは、弁体10の半径の30%~80%とされ、ノイズを良好に隔離し、流体媒体の流動ノイズを弁体10の内部に封じ込むことができる。弁体10の壁の厚さが小さすぎると、ノイズに対する封じ込み効果が比較的低くなり、弁体10の壁の厚さが大きすぎると、スピンドルアセンブリ20等の部材を弁体10内に固定して取り付けることに不利となる。
【0098】
[00131] 好ましくは、弁体10とガイドスリーブ16とが接触する壁の厚さは、弁体10の半径の80%である。
【0099】
[00132]
図22に示すように、電子膨張弁100の使用過程中に発生するノイズを低減し、流体媒体が弁口11を通過する際に、流れの不安定性に起因する乱流ノイズを低減するために、媒体導出管102と弁体10との間にノイズ低減モジュール60が設置され、ノイズ低減モジュール60は、流体媒体が弁口11を流れる際の安定性を向上させるために用いられ、これにより、電子膨張弁100の使用過程中の乱流ノイズを低減する。
【0100】
[00133]
図23に示すように、弁体10に弁口11と連通する収容室10fが設けられ、収容室10fは、ノイズ低減モジュール60を収容するために用いられる。ノイズ低減モジュール60の一端は、弁体10の中心軸線に垂直な方向に沿って外側に伸びて第3突起61を形成し、媒体導出管102は、ノイズ低減モジュール60の一部に被せられ、且つ第3突起61に当接される。ノイズ低減モジュール60の一端は弁体10と接触し、他端は媒体導出管102に当接され、媒体導出管102と弁体10との溶接固定により、ノイズ低減モジュール60は弁体10と媒体導出管102との間に挟まれ且つ固定される。
【0101】
[00134] 他の実施形態において、ノイズ低減モジュール60は、他の構造を用いて弁体10と媒体導出管102との間に固定されてもよく、例えば、媒体導出管102は、ノイズ低減モジュール60の弁口11から離れた他端に直接当接されてもよく、このとき、ノイズ低減モジュール60上に形成される第3突起61は省略されてもよいことが理解される。
【0102】
[00135] ノイズ低減モジュール60にノイズ低減孔62が開設され、ノイズ低減孔62は弁口11の終端と繋がり、ノイズ低減孔62の弁口11と連通した孔径は弁口11の孔径と一致しており、流体媒体が弁口11を通過してノイズ低減孔62に入る際に平滑に流れ込むことができるようにし、流体媒体が弁口11を通過してノイズ低減孔62に入る際に乱流が発生することを回避する。
【0103】
[00136] 本実施形態において、ノイズ低減孔62は弁口11と同軸に設けられる。
【0104】
[00137]
図24も参照すると、一実施形態において、ノイズ低減孔62は段差孔であり、ノイズ低減孔62は弁口11から離れる方向に徐々に拡張する。
【0105】
[00138] 本実施形態において、ノイズ低減孔62は3段式段差孔であり、ノイズ低減孔62は、第1孔621、第2孔622及び第3孔623を含み、第1孔621は弁口11と繋がり、第1孔621、第2孔622及び第3孔623は軸方向に沿って互いに貫通され、第2孔622は、第1孔621と第3孔623との間に位置し、第3孔623の孔径は第2孔622の孔径よりも大きく、第2孔622の孔径は第1孔621の孔径よりも大きい。
【0106】
[00139] 本実施形態において、流体が流動する際に発生する乱流を更に減少し、電子膨張弁100の使用過程中のノイズを低減するために、第1孔621、第2孔622及び第3孔623は対称性を有する円孔であり、且つ同軸に設けられる。
【0107】
[00140] 勿論、流体が段差孔を通過する際に、構造の非対称により発生する可能性のある乱流を考慮しない場合、第1孔621、第2孔622及び第3孔623のそれぞれの中心軸間は間隔が形成されていてもよく、第1孔621、第2孔622及び第3孔623は異型孔の形状を採用してもよい。
【0108】
[00141] 他の実施形態において、ノイズ低減孔62は、2段、4段及び4段以上の構造を採用してもよく、ノイズ低減孔62が、弁口11から離れる方向に沿って徐々に拡張する段差孔を形成することができればよいことが理解される。
【0109】
[00142] 以下に、本実施形態中のノイズ低減モジュール60が流体媒体の流動ノイズを低減する原理を説明する。
【0110】
[00143] ノイズ低減孔62は段差孔であり、流体媒体が弁口11を通過してノイズ低減孔62に入る際の流動有効断面は段差状に徐々に拡大し、流体媒体がノイズ低減孔62に入った後の流速は低下し、流体媒体は、徐々に拡張するノイズ低減孔によって自由剪断面の生成を抑制し、その結果、流体媒体の安定性が向上し、流体媒体は乱流ノイズを少なく発生し、これにより、電子膨張弁100の使用過程中のノイズが低減される。
【0111】
[00144]
図25も参照すると、別の実施形態において、ノイズ低減孔62はホーン孔であり、ノイズ低減孔62は、弁口11と連通される円筒孔621a及び円筒孔621aと連通されるテーパ形孔622aを含み、テーパ形孔622aは、円筒孔621aの一端に接続されて弁口11から離れる方向に向かって徐々に拡張する。円筒孔621aの孔径のサイズは、弁口11の孔径のサイズと一致する。
【0112】
[00145] テーパ形孔622aは弁口11と直接繋がっていてもよく、即ち、テーパ形孔622aの弁口11に向いた一端の孔径のサイズは弁口11の孔径のサイズと一致してもよく、このとき、円筒孔621は省略してもよいことが理解される。
【0113】
[00146] 円筒孔621aの開設は、弁口11の長さを増加することに相当するため、流体媒体の安定性を更に向上した。
【0114】
[00147] 以下に、本実施形態中のノイズ低減モジュール60が流体媒体の流動ノイズを低減する原理を説明する。
【0115】
[00148] ノイズ低減孔62はホーン孔であり、流体媒体が弁口11を通過してノイズ低減孔62に入る際の流動有効断面は徐々に拡大し、流体媒体がノイズ低減孔62に入った後の流速は低下し、流体媒体は、徐々に拡張するノイズ低減孔によって自由剪断面の生成を抑制し、その結果、流体媒体の安定性が向上し、流体媒体は乱流ノイズを少なく発生し、これにより、電子膨張弁100の使用過程中に発生するノイズが低減される。
【0116】
[00149]
図26も参照すると、更に別の実施形態において、ノイズ低減孔62はストレート孔であり、ノイズ低減孔62は、ノイズ低減モジュール60の両端面を貫通して弁口11と繋がり、ノイズ低減孔62の孔径は弁口11の孔径と一致する。
【0117】
[00150] 以下に、本実施形態中のノイズ低減モジュール60が流体媒体の流動ノイズを低減する原理を説明する。
【0118】
[00151] ノイズ低減孔62は比較的長いストレート孔であり、ノイズ低減孔62は、弁口11の長さを延長することに相当し、これは、弁口11の入口端及びノイズ低減孔62の末端を流れる流体媒体の速度勾配及び圧力勾配を減少し、その結果、流体媒体の安定性が向上し、電子膨張弁100の使用過程中に発生するノイズを低減した。
【0119】
[00152] 更に、ノイズ低減モジュール60はモジュール化されて弁体10内に固定され、ノイズ低減モジュールは弁体10と別体に設けられ、これは、電子膨張弁100上の形状が既に比較的複雑である弁体10に加工が一層難しい複雑な形状の弁口11を開設する必要がなく、電子膨張弁100が、標準化された弁体10とカスタマイズされたノイズ低減モジュールとの組合せを採用できるようにし、電子膨張弁100の部品の更なる標準化を実現する。
【0120】
[00153]
図27及び
図28に示すように、媒体導出管102の弁体10と接触する一端に溶接リング108が更に設けられ、溶接リング108の2つの隣接する側面は、それぞれ弁体10及び媒体導出管102と接触し、溶接リング108は、弁体10と媒体導出管102との間の溶接ビード109に充填するために用いられる。溶接リング108は、外部溶接装置の高温加熱により溶融され、溶融状態の充填材料として弁体10と媒体導出管102との間に形成された溶接ビード109に流れ込み、これにより、弁体10及び媒体導出管102に対する溶接固定を実現する。
【0121】
[00154] 更に、電子膨張弁100に溶接構造70が更に設けられ、溶接構造70は、弁体10の媒体導出管102に近い一端に弁体10の軸線103に垂直な方向に沿って伸びて形成された第4突起71を含み、媒体導出管102は第4突起71と互いに接触し、媒体導出管102と第4突起71との接触面は、弁体10と媒体導出管102との間に溶接材料を充填する必要がある溶接ビード109である。
【0122】
[00155] 弁体10に第4突起71を設けることにより、溶接ビード109の形成位置は、溶接リング108及び弁体10の接触端面から離れる方向に向かって設けられ、これにより、溶接リング108の中心は溶接ビード109と面一となることができ、溶接リング108の中心と溶接ビード109とが面一となることによって、溶接リング108は溶接時に溶接ビード109内にスムーズに流れ込むことができ、はんだの這い上がり、はんだ落ち現象の発生を回避した。
【0123】
[00156] 溶接構造70は、媒体導出管102に設けられた凸辺72を更に含み、媒体導出管102は、弁体10の軸線103方向に沿って第4突起71から伸び出て凸辺72を形成し、即ち、媒体導出管102の厚さは第4突起71の径方向に伸びる長さよりも大きく、溶接リング108は、溶接時に溶融状態で凸辺72に沿って溶接ビード109内に入ることができ、弁体10と媒体導出管102との溶接品質が更に向上した。
【0124】
[00157] 溶接構造70は、媒体導出管102と弁体10とが接触する端面に設けられた第3面取り73を更に含み、第3面取り73は、凸辺72及び媒体導出管102の外側面に接続され、溶接リング108は第3面取り73によって弁体10と接触する。第3面取り73の開設により、弁体10と媒体導出管102とが溶接リング108を収容するための収容空間74を形成し、この収容空間は開口構造を有し、溶接リング108が弁体10及び媒体導出管102により固定され易くし、溶接リング108も溶接時に溶接ビード109内により容易に入ることができる。
【0125】
[00158] 電子膨張弁100は、弁体10及び媒体導出管102に溶接構造70を設けることにより、溶接リング108の中心は溶接ビード109と面一となり、溶接リング108は、溶接時に溶融状態で溶接ビード109内にスムーズに流れ込んで、弁体10と媒体導出管102との溶接成形の品質が向上し、電子膨張弁100の信頼性及び安定性が向上した。
【0126】
[00159]
図2に示すように、電子膨張弁100は圧力均等化通路80を更に含み、圧力均等化通路80は、入口10aでの媒体の圧力と電子膨張弁100の内部の圧力を均等化し、これは、流体媒体のガイドスリーブ16に対する衝撃を回避し、ノイズを低減することができるだけでなく、同時に、入口10aでの媒体の圧力が変化するとき、圧力均等化通路80が電子膨張弁100の内部の圧力と入口での圧力を迅速に均等化し、電子膨張弁100の内部に余分な負荷がかかる現象を回避し、電子膨張弁100の稼働の安定性を向上させる。
【0127】
[00160] 一実施形態において、圧力均等化通路80は、ガイドスリーブ16と弁体10との間に設けられ、圧力均等化通路80は、ガイドスリーブ16の内部と弁体10とを互いに連通するために用いられて、入口10aでの流体媒体の圧力とガイドスリーブ16の内部の流体媒体の圧力とを均等化する。
【0128】
[00161] 更に、
図12に示すように、圧力均等化通路80はガイドスリーブ16に開設され、圧力均等化通路80は弁室12と案内孔16aとを連通して、弁室12と案内孔16aとの圧力を均等化し、これにより、弁口11が開かれる際に、流体媒体が弁室12に入ると同時に、一部の流体媒体が圧力均等化通路80を通過して案内孔16a内に入って、案内孔16aと弁室11との圧力を均等化し、これは、流体媒体のガイドスリーブ16に対する衝撃を回避し、ノイズを低減することができるだけでなく、同時に、システムの圧力が変化するとき、電子膨張弁100の内部の圧力を迅速に均等化でき、圧力の差によって発生する余分な負荷を回避し、電子膨張弁100の稼働の安定性を向上させる。
【0129】
[00162] 本実施形態において、圧力均等化通路80によって、弁室12と案内孔16aとの圧力を均等化して、即ち、弁室12と電子膨張弁100の内部の弁室12以外の他の部分の圧力を均等化して、電子膨張弁100の内部全体を圧力が均等化された状態にし、電子膨張弁100の内部に余分な負荷がかかる現象を回避する。
【0130】
[00163] 好ましくは、圧力均等化通路80は少なくとも1つの圧力均等化孔80aを含み、圧力均等化孔80aは弁室12と案内孔16aとを互いに連通する。これにより、一部の流体媒体が、圧力均等化孔80aを通過して案内孔16a内に入り、圧力の均等化の目的を達成する。
【0131】
[00164] 圧力均等化孔80aは軸線を有し、圧力均等化孔80aの軸線は軸線Xと平行に設けられる。即ち、圧力均等化孔80aはガイドスリーブ16に垂直に開設され、これによりこの圧力均等化孔80aは流体媒体が流れる方向に影響を与えず、流体媒体の流れ方向が変化することに起因するノイズを排除することが理解される。
【0132】
[00165] 更に、圧力均等化孔80aの数は2つであり、2つの圧力均等化孔80aは、軸線Xの周方向に沿ってガイドスリーブ16に均一に分布される。勿論、本実施形態において、圧力均等化孔80aの数は3つ、4つ等でもよく、圧力均等化孔80aの具体的な数は実際の需要に応じて設定してもよい。
【0133】
[00166] 好ましくは、圧力均等化孔80aのそれぞれは、円形の圧力均等化孔である。勿論、他の実施形態では圧力均等化孔80aは他の形状をなしてもよい。例えば、圧力均等化孔80aは、矩形、多角形の圧力均等化孔である。
【0134】
[00167] 別の実施形態において、
図4、
図30~
図34に示すように、圧力均等化通路80は、取付座110、ガイドスリーブ16及びナットスリーブ32の間に設けられ、入口10aとガイドスリーブ16の内部、取付座110の内部、ナットスリーブ32の内部及びスリーブ40の内部とを互いに連通して、入口10aでの流体媒体の圧力とガイドスリーブ16の内部、取付座110の内部、ナットスリーブ32の内部及びスリーブ40の内部との流体媒体の圧力を均等化するために用いられる。
【0135】
[00168] 圧力均等化通路80は、第1均等化通路81及び第2均等化通路82を含み、第1均等化通路81は、入口10aとガイドスリーブ16の内部、スクリュアセンブリ30の内部及びスリーブ40の内部とを互いに連通するために用いられ、第2均等化通路82は、取付座110の内部と第1均等化通路81とを連通するために設けられ、これにより、第1均等化通路81及び第2均等化通路82によって、ガイドスリーブ16の内部、取付座110の内部、ナットスリーブ32の内部及びスリーブ40の内部と入口とが互いに連通される。流体媒体が入口10aから入ると、一部の流体媒体は、第1均等化通路81を通過してガイドスリーブ16の内部、スクリュアセンブリ30の内部及びスリーブ40の内部に入り、第2均等化通路82を通過して取付座110の内部に入り、電子膨張弁100の内部の各所の媒体圧力を等しくする。
【0136】
[00169] 第1均等化通路81は、第1均等化孔811及び第2均等化孔812を含み、第1均等化孔811はガイドスリーブ16に開設されて、ガイドスリーブの内部と弁室12とを連通するために用いられ、第2均等化孔812はナットスリーブ32に開設されて、スリーブ40の内部とナットスリーブ32の内部とを連通するために用いられ、これにより、弁室12とガイドスリーブ16の内部、ナットスリーブ32の内部及びスリーブ40の内部とを互いに連通し、圧力の均等化の目的を達成する。
【0137】
[00170] 更に、第1均等化孔811は軸線を有し、第1均等化孔811の軸線は軸線103と平行に設けられる。即ち、第1均等化孔811はガイドスリーブ16に垂直に開設され、これによりこの第1均等化孔811は流体媒体が流れる方向に影響を与えず、流体媒体の流れ方向が変化することに起因するノイズを排除することが理解される。
【0138】
[00171] 好ましくは、第1均等化孔811の数は2つであり、2つの第1均等化孔811は、軸線103の周方向に沿ってガイドスリーブ16に均一に分布される。勿論、本実施形態において、第1均等化孔811の数は3つ、4つ等でもよく、第1均等化孔811の具体的な数は実際の需要に応じて設定してもよい。
【0139】
[00172] 第1均等化孔811のそれぞれは、円形の圧力均等化孔である。他の実施形態において、第1均等化孔811は他の形状をなしてもよい。例えば、矩形、多角形の圧力均等化孔である。
【0140】
[00173] 第2均等化孔812は軸線を有し、第2均等化孔812の軸線は第1均等化孔811の軸線と垂直に設けられる。勿論、他の実施形態では第2均等化孔812の軸線は第1均等化孔811の軸線と垂直でなくてもよい。
【0141】
[00174] 第2均等化通路82は第3均等化孔821を含み、第3均等化孔821は連結手17に開設され、第3均等化孔821は、取付座110の内部と套体40の内部とを連通するために用いられ、同時に、第3均等化孔821はスプリング531を取り付けるためにも用いられる。スプリング531の一端は第3均等化孔821内に伸入する。第3均等化孔821によって取付座110の内部と第1均等化通路81とが連通され、入口10aでの流体媒体は、第1均等化通路81、第3均等化孔821を経由して取付座110の内部に入ることが理解される。
【0142】
[00175] 好ましくは、第3均等化孔821は溝孔であり、第3均等化孔821は弁体の軸線に垂直な方向に沿って開口して設けられる。第3均等化孔821の数は複数である。本実施形態において、第3均等化孔821の数は2つであり、2つの第3均等化孔821は弁体の軸線に対して対称的に設けられる。
【0143】
[00176]
図2及び
図3に示すように、更に、第2均等化通路82は、第4均等化孔822及び第5均等化孔823を含んでもよく、第4均等化孔822はガイドスリーブ16に開設され、第5均等化孔823はナットスリーブ32に開設され、第4均等化孔822は第5均等化孔823と連通され、これにより、第4均等化孔822、第5均等化孔823は、ガイドスリーブ16の内部と取付座110の内部とを連通する。ここで、第4均等化孔822及び第5均等化孔823を更に設けることによって、取付座110の内部と入口10aとの媒体圧力の均等化の速度を上げることができる。
【0144】
[00177] 更に、第4均等化孔822は第2円筒段163に開設され、第5均等化孔823は係合段321に開設され、第4均等化孔822及び第5均等化孔823によって取付孔111と案内孔16aとの連通を実現し、これにより、取付座110の内部と第1均等化通路81との連通を更に実現する。
【0145】
[00178] 第4均等化孔822は軸線を有し、第5均等化孔823は軸線を有し、第4均等化孔822の軸線は第5均等化孔823の軸線と重なるように設けられ、第4均等化孔822の軸線は第1均等化孔811の軸線と垂直に設けられる。勿論、他の実施形態では、第4均等化孔822の軸線は第5均等化孔823の軸線と重なるように設けなくてもよく、第4均等化孔822と第5均等化孔823との連通が実現できればよく、第4均等化孔822の軸線は第1均等化孔811の軸線と垂直でなくてもよい。
【0146】
[00179] 以上に述べた実施例の各技術的特徴は、任意の組み合わせが可能であり、説明を簡潔にするために、上述の実施形態における各技術的特徴の可能な組み合わせについては全て説明されていないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、いずれも本明細書に記載された範囲とみなされるべきである。
【0147】
[00180] 以上に述べた実施例は、単に本発明のいくつかの実施形態を示すものであり、その説明はより具体的且つ詳細ではあるが、そのために発明の特許請求の範囲を制限するものとして理解されるべきではない。当業者にとっては、本発明の旨を逸脱しない限り、いくつかの変形及び改良が可能であり、これらは全て本発明の保護範囲に属することを指摘しておかなければならない。従って、本発明の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準ずるものとする。