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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/00 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
F02D29/00 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022163732
(22)【出願日】2022-10-12
(62)【分割の表示】P 2018122474の分割
【原出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2022183231
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】秋山 優二
(72)【発明者】
【氏名】尾原 歩希
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-196283(JP,A)
【文献】特開2009-156190(JP,A)
【文献】特開2012-016993(JP,A)
【文献】特許第5160490(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用駆動源と、
該走行用駆動源の駆動力を受けて作動する作業装置と、
前記走行用駆動源と前記作業装置とを接続状態又は遮断状態にするための動力取出装置と、
前記走行用駆動源の駆動を制御して前記作業装置の出力値を制御する制御部と、
前記作業装置の目標出力値を設定する目標出力値設定手段と、
前記作業装置を用いて作業を開始するための操作手段と、
前記作業装置を用いて開始した作業を終了するための操作手段と、を備え、
前記制御部は、前記作業を終了するための操作手段を操作することにより前記作業装置の目標出力値記憶しておき、次回の作業時に前記作業を開始するための操作手段を操作することにより前回の作業終了時に設定された前記作業装置の目標出力値を読み出して該作業装置の目標出力値とすることを特徴とする車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用駆動源と、該走行用駆動源の駆動力を受けて作動する作業装置と、前記走行用駆動源と前記作業装置とを接続又は遮断状態にするための動力取出装置と、前記走行用駆動源の駆動を制御して前記作業装置の出力値を制御する制御部とを有する車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車としての粉粒体運搬車では、動力取出装置を遮断状態から接続状態に切替えてエンジン(走行用駆動源)からの動力によりコンプレッサ(作業装置)を作動させることによりタンク内の粉粒体の排出作業を行う。この排出作業時に、粉粒体の排出速度を増減できるようにエンジン回転数を増減させてコンプレッサのエアの吐出量を可変できるようにしている。
【0003】
この粉粒体運搬車には、前記エンジン回転数を指示するためのボリュームが設けられており、そのボリュームの操作位置に応じてエンジンの回転数が変更される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5160490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成はボリュームの目標位置までの操作において改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、操作の手間を不要にすることができる車両用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用制御装置は、走行用駆動源と、該走行用駆動源の駆動力を受けて作動する作業装置と、前記走行用駆動源と前記作業装置とを接続状態又は遮断状態にするための動力取出装置と、前記走行用駆動源の駆動を制御して前記作業装置の出力値を制御する制御部と、前記作業装置の目標出力値を設定する目標出力値設定手段と、前記作業装置の現在出力値を検出する現在出力値検出手段とを備え、前記制御部は、前回の作業終了時に前記現在出力値検出手段により検出された前記作業装置の現在出力値を前記作業装置の目標出力値として設定して記憶しておき、前回の作業終了時に設定された前記作業装置の目標出力値を読み出し、次回の作業時の前記作業装置の目標出力値とすることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、作業時毎に目標出力値を手動で設定する手間が不要になる。しかも、目標出力値を前回の目標出力値から調整する調整量が少なくて済む。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、操作の手間を不要にすることができる車両用制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】粉粒体運搬車に取り付けられるメータパネルの正面図である。
図2】同メータパネルのメータ画面を示す正面図である。
図3】同メータパネルの設定画面を示す正面図である。
図4】作業装置の出力の下限値及び上限値を設定する過程を示すフローチャートである。
図5】作業装置の出力の下限値及び上限値を設定する時に使用するスイッチとエンジンとコンプレッサとの関係を示すブロック図である。
図6】コンプレッサの回転数の変化を示すグラフである。
図7】コンプレッサの回転数の制御を示すフローチャートである。
図8】コンプレッサの回転数の他の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る車両用制御装置を備える粉粒体運搬車について説明する。図示していないが、粉粒体運搬車は、走行用駆動源としてのエンジンが搭載されたシャシをシャシメーカから調達し、そのシャシにエンジンの駆動力を受けて作動する作業装置を取り付けて組み立てられる。なお、シャシメーカ毎にエンジンの仕様(例えば最小エンジン回転数や最大エンジン回転数)が異なっている。なお、シャシメーカは、作業装置を除くエンジンが搭載されたシャシを製造するメーカであり、エンジンが搭載された車体に作業装置を取り付けて組み立てた粉粒体運搬車を依頼者(顧客)に出荷するメーカを架装メーカという。
【0012】
作業装置は、粉粒体を収容するタンクに導入用の配管を通して加圧エアを導入するコンプレッサから構成されている。このコンプレッサからの加圧エアによってタンク内の粉粒体が流動し、排出用の配管を通して外部へ排出できるように構成されている。コンプレッサには、コンプレッサの回転数を検出する回転数センサ(測定手段)が設けられている。この回転数センサをコンプレッサの現在出力値を検出する現在出力値検出手段15と称する(図5参照)。作業装置とは、駆動源から直接機械的な運動を受けるものである。例えば、本実施形態では、コンプレッサがエンジンの回転運動を受けている。
【0013】
粉粒体運搬車には、図1に示すメータパネル1が取り付けられている。このメータパネル1は、タンク内の粉粒体を排出する際やコンプレッサ2(図5参照)の回転数の上限値及び下限値のうちの少なくとも一方を設定する際に使用する。具体的には、メータパネル1の右端部に上から順に、メインスイッチ3、コンプレッサ2の回転数調整スイッチ4、画面切替スイッチ5を備えるとともに、左右中央部に表示部としての液晶のメータ画面6を備えている。
【0014】
メインスイッチ3は、トグルスイッチからなり、操作レバーを一回だけ上側又は下側に倒すことにより、ON又はOFF状態に切り替わり、その切替状態を維持するオルタネイト動作型に構成されている。ここでは、操作レバーを上側に倒すと、コンプレッサ2を用いる作業時(ON状態)に切替えられ、次の操作(下側への操作)が行われるまでその状態を維持する。また、操作レバーを下側に倒すと、車両を走行させる走行時(OFF状態)に切替えられ、次の操作(上側への操作)が行われるまでその状態を維持する。
【0015】
回転数調整スイッチ4は、コンプレッサ2の作動時にコンプレッサ2の出力値である回転数を可変するための目標出力値設定手段を構成している。回転数調整スイッチ4は、具体的には、トグルスイッチからなり、非操作時に、図1に示す水平姿勢となるニュートラル位置に戻るように付勢されており、操作時に、操作レバーを上側又は下側に倒している時だけ、ON状態となるモーメンタリ動作型に構成されている。ここでは、操作レバーを上側に倒すと、コンプレッサ2の回転数を上げる。また、操作レバーを下側に倒すと、コンプレッサ2の回転数を下げる。なお、コンプレッサ2の回転数を連続して変更したい場合には、操作レバーを上側又は下側に倒した状態を保持しなければならない。この回転数調整スイッチ4は、コンプレッサ2の最低回転数(下限値)及び最高回転数(上限値)を微調整するときの微調整手段としての微調整スイッチとしても機能する。
【0016】
画面切替スイッチ5は、トグルスイッチからなり、非操作時に、図1に示す水平姿勢となるニュートラル位置に戻るように付勢されており、操作時に、操作レバーを上側又は下側に倒している時だけ、ON状態となるモーメンタリ動作型に構成されている。ここでは、操作レバーを上側に倒すと、画面の切替えを行い、例えば図2に示すメータ画面6に切り替わる。また、操作レバーを下側に倒し、その倒した状態を所定時間(数秒)維持する(長押しする)と、トリップメータ(走行距離計)の値をリセットすることができる。この画面切替スイッチ5は、前記回転数調整スイッチ4で合わせたコンプレッサ2の最低回転数及び最高回転数を決定するための決定手段としての決定記憶スイッチとしても機能する。
【0017】
図2に示すメータ画面6は、エンジン7(図5参照)からの動力により作動されるコンプレッサ2の回転数(図2では850rpm)が表示されるとともに、タンク内の圧力計の計測値(図2では0.150MPa)及び配管内の圧力計の測定値(図2では0.175MPa)が表示されている。なお、図示していないが、作動情報画面にも切替えられるようになっており、作動情報画面には、コンプレッサの通算稼働時間、本日のコンプレッサの稼働時間、コンプレッサの温度、エラー表示及びエラー履歴などが表示される。
【0018】
また、図5に示すように、回転数調整スイッチ4及び画面切替スイッチ5からの操作信号が制御部8に入力されるとともに、エンジン7とコンプレッサ2とを接続状態にする又は遮断状態にすることができる動力取出装置(PTO)9、動力取出装置9を接続状態と遮断状態とに切替える切替スイッチ10が前記制御部8に接続されている。
【0019】
コントローラ11は、制御部8と記憶手段12とを備えている。記憶手段12には、エンジン回転数の上限値の電圧値と下限値の電圧値がシャシメーカ毎に複数記憶され、また、コンプレッサの回転数は、コンプレッサメーカ毎の上限と下限の差が少ないため、1つの回転数が記憶されている。また、記憶手段12(図5参照)には、コンプレッサ2を作動させる作業時において、前記回転数調整スイッチ4を上側又は下側に操作した時の上がり幅又は下がり幅であるゲインも記憶手段12に記憶されている。そして、前記コントローラ11に後述する設定用ハーネスを差し込むことによって、設定モードに切替えるとともに、どのシャシメーカのエンジンであるかを特定し、特定したエンジンの最低回転数を発生させる電圧値及びそれに対応する(エンジンの回転力により回転される)コンプレッサ2の回転数を読み出す。読み出した電圧値及びコンプレッサ2の回転数を後述する設定画面に表示する。
【0020】
粉粒体運搬車を組み立てる場合に必要となる設定、つまりコンプレッサ2の最低回転数及び最高回転数を設定する過程を図3及び図4に基づいて説明する。
【0021】
まず、コントローラ11を粉粒体運搬車に架装する(ステップS1)。次に、設定用ハーネスをコントローラ11に差し込むことで設定モードに切替える(ステップS2)。次に、エンジン7を始動させるとともに切替スイッチ10をON操作して動力取出装置(PTO)9をON(接続状態)にし、メインスイッチ3を上側に倒して「作業時」に切替える(ステップS3)。このとき、切替スイッチ10のON信号により動力取出装置(PTO)9が電気的に接続された状態であると判断し、前記エンジン回転数の上限値の電圧値と下限値の電圧値及びそれぞれの電圧値で作動するコンプレッサ2の回転数を読み出す。これによりメータ画面6が図3に示す設定画面に切り替わる。図3の上段に、最低回転設定時のコンプレッサ2の回転数700rpm及び最高回転設定時のコンプレッサ2の回転数900rpmが表示されている。続いて、設定用ハーネスをコントローラ11に差し込むことで読み出された最低回転数に対応するエンジン7の駆動電圧値(プリセット指令値の2.20V)でエンジン7を駆動する(ステップS4)。この駆動により、現在のエンジン7の駆動電圧値と測定手段で実測したコンプレッサ2の回転数を表示する(ステップS5)。このとき、エンジン7やコンプレッサ2の個体差により、予め記憶されている最低回転数(プリセット指令値)とは異なる表示となる。図3の上段では、電圧値が2.20Vで回転数が760rpmとなっており、最低回転数を760rpmから700rpmにするように、回転数調整スイッチ5を下側に倒して調整する(図3の中段参照)。調整した後、画面切替スイッチ5を下側へ長押しして最低回転数(正規の下限値)を設定する(ステップS6)。この設定した最低回転数(正規の下限値)を下限値として記憶手段12に保存する(ステップS7)。保存後は、回転数調整スイッチ4を上側に倒すことにより、回転数が最高回転数の900rpm(この時の電圧値は2.50V)に上昇させる(図3の下段参照)。最高回転数が900rpmになると、画面切替スイッチ5を下側へ長押しして最高回転数を設定する(ステップS8)。この設定した最高回転数(正規の上限値)を上限値として記憶手段12に保存する(ステップS9)。保存後は、差し込んだ設定用ハーネスをコントローラ11から抜くことで作業モードに切替える(ステップS10)。切替え後は、コンプレッサ2の作動確認を行って(ステップS11)、作動が正常であると確認されると、設定作業を終了する。ここでは、最低回転数を760rpmから700rpmに一致させるようにしたが、700rpmに近付けるように最低回転数を調整してもよい。正規の出力値に対応するエンジン7の駆動値を設定値に決定して記憶した後は、コンプレッサ2の出力値が目標の出力値からずれてしまうことを抑制することができるので、出力値調整手段4でコンプレッサ2の出力値を可変して思い通りの作業を行うことができる。また、手動でコンプレッサ2の出力値を一から合わせる場合に比べて調整幅が小さくて済み、調整にかかる手間を少なくできる。
【0022】
なお、シャシメーカ毎に最低回転数及び最高回転数を設定することができない禁止領域(最低領域及び最高領域の2つの領域)をそれぞれ設定することによって、エンジン7がエラーとなることを回避できるようにしている。
【0023】
また、制御部8は、図5及び図6に示すように、目標出力値設定手段4により設定された目標出力値よりも低い所定の出力値までエンジン7の駆動を所定の増加率で増加させる第1駆動制御13と、前記所定の出力値に達することによりエンジン7の駆動を前記所定の増加率よりも低い増加率で増加させる第2駆動制御14とを備えている。なお、エンジン7の駆動を増加させるとは、エンジンに印加する電圧値を大きくすることによりエンジン7への燃料噴射量が増大して、エンジン7の回転数を上昇させることである。ここでは、エンジン7に印加する電圧値を調整することによって、エンジン7への燃料噴射量を調整しているが、エンジン7のカバナーとアクセルペダル(又は手で操作するアクセルレバー)とをワイヤーやリンクを用いて機械的に接続し、アクセルペダル(又はアクセルレバー)の操作量でエンジン7への燃料噴射量を調整するようにしてもよい。
【0024】
前記所定の出力値は、コンプレッサ2の作業時において予め設定されているコンプレッサの最低出力値となる下限値(ここでは700rpm)に設定されている。下限値を設定することにより、下限値までは、エンジン7に印加する電圧値の増加率を大きくして目標値に達する時間を短くすることができる。しかも、エンジン7の電圧値の増加率を大きくしても、下限値から該増加率を低くするので、目標値をオーバーシュートすることをより一層抑制できる。
【0025】
従って、図6に示すように、コンプレッサ2のアイドリング回転数から下限値までは、所定(一定)の第1増加率でエンジン7の電圧値を上げる第1駆動制御を行い、回転数が下限値に到達すると、前記第1増加率よりも低い第2増加率で目標出力値までエンジン7の電圧値を上げる第2駆動制御を行っている。したがって、目標出力値をオーバーシュートすることを抑制できる。しかも、作業装置を目標の出力値まで走行用駆動源を連続駆動しているので、操作の手間を不要にすることができる。
【0026】
ここでは、第1増加率及び第2増加率が、一次関数的(線形的)に増加する増加率であるが、二次関数以上の高次関数で増加する増加率であってもよい。
【0027】
コンプレッサ2の回転数を目標回転数にするための回転数制御を図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0028】
メインスイッチ3がONされたかどうかを確認し(ステップS20)、ONされると、作業モードに移行したとして、回転数調整スイッチ4の操作位置(目標値であるコンプレッサの目標回転数)を読み出す(ステップS21)。目標値が下限値よりも上かどうかを確認し(ステップS22)、目標値が下限値よりも上であれば、回転数制御を開始する。前記目標値が下限値と同じであれば、制御を中止する。なお、前記目標値が下限値と同じ場合には、前記第1増加率で目標の回転数まで上昇させるようにしている。回転数制御を開始すると、速度1でコンプレッサ2の回転数を上昇させる(ステップS23)。コンプレッサ2の回転数を上昇させるには、前述したようにエンジン7の回転数を上昇させるべく、エンジン7に印加する電圧値を大きくすることになる。速度1でコンプレッサ2の回転数を上昇させて回転数が下限値に達すると(ステップS24)、速度1から速度2(速度1よりも遅い速度)に変更してコンプレッサ2の回転数を上昇させる(ステップS25)。コンプレッサ2の回転数が目標回転数になると(ステップS26)、その回転数を維持した状態で作業を行う(ステップS27)。作業が終わると、制御を終了する。
【0029】
また、前回の作業終了時に設定されたコンプレッサ(作業装置)2の目標回転数(目標出力値)を次回の作業時のコンプレッサ(作業装置)2の目標回転数(目標出力値)としてもよく、その構成を図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0030】
メインスイッチ3がONされたかどうかを確認し(ステップS30)、ONされると、前回作業終了時の値(目標値であるコンプレッサの目標回転数)を読み出す(ステップS31)。目標値が下限値よりも上かどうかを確認し(ステップS32)、目標値が下限値よりも上であれば、回転数制御を開始する。前記目標値が下限値であれば、制御を中止する。なお、前記目標値が下限値の場合には、前記第1増加率で目標の回転数まで上昇させるようにしている。回転数制御を開始すると、速度1でコンプレッサ2の回転数を上昇させる(ステップS33)。コンプレッサ2の回転数を上昇させるには、実際にはエンジン7の回転数を上昇させるべく、エンジン7に印加する電圧値を大きくすることになる。速度1でコンプレッサ2の回転数を上昇させて回転数が下限値に達すると(ステップS34)、速度1から速度2(速度1よりも遅い速度)に変更してコンプレッサ2の回転数を上昇させる(ステップS35)。コンプレッサ2の回転数が目標回転数になると(ステップS36)、その回転数を維持した状態で作業を行う(ステップS37)。作業が終わると、メインスイッチ3がOFFされたかどうかを確認し(ステップS38)、OFFされると、作業中のコンプレッサ2の回転数を記憶し(ステップS39)、制御を終了する。
【0031】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。例えば、本発明の特装車としては、粉粒体運搬車に限らない。作業装置を作動させる時に可変できる構成であってもよいし、可変でなく一定でもよい。ここで、エンジンで駆動される作業装置としては、作業装置で運動させた流体で積荷にエネルギーを加え、積荷を車内に積み込む又は車外に排出するものがある。なお、作業装置で運動させる流体が積荷そのものであるものも含む。本実施形態の粉粒体運搬車は、作業装置であるコンプレッサにより圧縮した空気(流体)で、粉粒体(積荷)に圧力を加え、積荷を排出している。作業装置で運動させる積荷そのものである例としては、タンクローリーがある。この場合、作業装置であるポンプで流体である石油(積荷)に圧力を加え、石油を積み込む又は排出している。また、エンジンで駆動する作業装置としては、作業装置で運動させた流体を機械的な運動に変換するアクチュエータを有するものがある。このアクチュエータで搭載している機械を動かすか、アクチュエータで動かされる機械により積荷を積み下ろす2種類のものがある。例えば、作動時にコンクリートの吐出量を調整するコンクリートポンプを備えるコンクリートポンプ車がある。このコンクリートポンプは、油圧ポンプと油圧シリンダとを有し、油圧ポンプ(作業装置)で圧力を加えた作動油(流体)で油圧シリンダ(アクチュエータ)を動かす。その油圧シリンダによりブーム(機械)を動かすか、別の油圧シリンダ(アクチュエータ)を動かしてコンクリートを排出する。なお、作動油に圧力を加えるものを油圧ポンプと言い、積荷に圧力を加えるものを積み降ろしポンプと言うことがある。油圧ポンプを備える特装車は、油圧ポンプの油圧により油圧アクチュエータを作動させる。油圧ポンプの吐出油量が作業装置の出力値に相当する。積み降ろしポンプを備える特装車として、本実施形態の粉粒体運搬車も含まれる。また、他の例として、作業装置で電力を作る塵芥車がある。塵芥車の作業装置が発電機である。塵芥車は、発電機からの電力をモータに供給し、モータにより油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプで圧力を加えた作動油で油圧アクチュエータを駆動し、油圧アクチュエータにより積込装置を駆動してゴミを積み込む。
【0032】
上記実施形態では、設定用ハーネスをコントローラ11に差し込むことによって、メータ画面を設定モードに切替えるようにしたが、設定モード切替スイッチのスイッチ操作により切り替えるようにしてもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、コントローラ11に設定用ハーネスを差し込むことにより、プリセット指令値を読み出すようにしたが、シャシメーカ毎に記憶されている複数のプリセット指令値を選択する複数のディップスイッチを基板上に設け、特定のディップスイッチを操作することによりプリセット指令値を読み出すようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、メインスイッチ3、回転数調整スイッチ4、画面切替スイッチ5を全てトグルスイッチで構成したが、一部又は全部のスイッチを押しボタン式やスライド式に構成してもよい。また、回転数調整スイッチ4は回転操作式のボリュームから構成してもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、微調整スイッチを回転数調整スイッチ4に兼用したが、別に設けた専用のスイッチであってもよい。また、これら微調整スイッチ及び回転数調整スイッチ4を一つの押しボタンから構成し、押しボタンを押すことにより回転数を上げる上げ信号又は回転数を下げる下げ信号のみを出力する構成であってもよい。この場合、押しボタンを押して上限値に達すると、下限値に戻る構成にしてもよい。また、これとは反対に、押しボタンを押して下限値に達すると、上限値に戻る構成でもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、切替スイッチ10のON信号により動力取出装置(PTO)9が電気的に接続された状態であると判断し、プリセット指令値を読み出してエンジン7を駆動したが、エンジン7とコンプレッサ2とが電気的に接続されていることを検出する検出手段と、検出手段からの検出信号に基づいてエンジン7の駆動電圧値を読み出してコンプレッサ2を作動させるように構成されていてもよい。前記検出手段としては、コンプレッサ2が回転しているかどうかを検出する回転センサやコンプレッサ2が回転した時の音を検出する音センサから構成してもよい。このように、検出手段からの検出信号に基づいてエンジン(走行用駆動源)の駆動電圧値(駆動値)を読み出してコンプレッサ(作業装置)が作動されるので、エンジン(走行用駆動源)とコンプレッサ(作業装置)とが電気的に接続されていない状態で、実測値の微調整が行われることがない。
【0037】
また、上記実施形態では、所定の出力値を下限値に設定したが、下限値よりも低い回転数に設定してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、目標出力値を回転数調整スイッチの操作位置により設定していたが、制御部に予め記憶させる又は作業前に制御部に記憶させる構成であってもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、走行用駆動源としてエンジン7を例に挙げたが、バッテリにより動く電動モータであってもよい。
【0040】
また、第2駆動制御を1つの増加率に設定したが、複数の増加率を用いて複数段階に変化させながら、目標値に達するように構成してもよい。
【0041】
本発明の車両用制御装置は、前記所定の出力値が、前記作業装置の作業時において予め設定されている該作業装置の最低出力値となる下限値に設定されていてもよい。
【0042】
上記のように、所定の出力値が、作業装置の作業時において予め設定されている作業装置の最低出力値となる下限値に設定されていれば、下限値までは、走行用駆動源の出力値の増加率を大きくして目標値に達する時間を短くすることができる。
【0043】
また、本発明の車両用制御装置は、前回の作業終了時に設定された前記作業装置の目標出力値を次回の作業時の前記作業装置の目標出力値としてもよい。
【0044】
上記構成によれば、作業時毎に目標出力値を手動で設定する手間が不要になる。しかも、目標出力値を前回の目標出力値から調整する調整量が少なくて済む。
【0045】
また、本発明は、前記車両用制御装置を備えた作業車であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…メータパネル、2…コンプレッサ(作業装置)、3…メインスイッチ、4…回転数調整スイッチ(目標出力値設定手段、出力値調整手段、微調整手段)、5…画面切替スイッチ(決定手段、決定記憶スイッチ)、6…メータ画面、7…エンジン(走行用駆動源)、8…制御部、9…動力取出装置(PTO)、10…切替スイッチ、11…コントローラ、12…記憶手段、13…第1駆動制御、14…第2駆動制御、15…現在出力値検出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8