IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 華為技術有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-レーダシステム及び車両 図1
  • 特許-レーダシステム及び車両 図2
  • 特許-レーダシステム及び車両 図3
  • 特許-レーダシステム及び車両 図4
  • 特許-レーダシステム及び車両 図5
  • 特許-レーダシステム及び車両 図6
  • 特許-レーダシステム及び車両 図7
  • 特許-レーダシステム及び車両 図8
  • 特許-レーダシステム及び車両 図9
  • 特許-レーダシステム及び車両 図10
  • 特許-レーダシステム及び車両 図11
  • 特許-レーダシステム及び車両 図12
  • 特許-レーダシステム及び車両 図13
  • 特許-レーダシステム及び車両 図14
  • 特許-レーダシステム及び車両 図15
  • 特許-レーダシステム及び車両 図16
  • 特許-レーダシステム及び車両 図17
  • 特許-レーダシステム及び車両 図18
  • 特許-レーダシステム及び車両 図19
  • 特許-レーダシステム及び車両 図20
  • 特許-レーダシステム及び車両 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】レーダシステム及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/06 20060101AFI20231019BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20231019BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H01Q21/06
G01S7/03 230
H01Q1/32 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022504164
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2019097087
(87)【国際公開番号】W WO2021012150
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,ダープオン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジンナン
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ベン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ムゥ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0149736(US,A1)
【文献】特開2019-086469(JP,A)
【文献】特開2016-180721(JP,A)
【文献】特開2017-032531(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106054181(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 1/10
H01Q 1/27- 3/46
H01Q 21/00-25/04
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって:
レーダ信号を送信するように構成された送信アンテナアレイ;及び
前記レーダ信号がターゲットによって反射された後にエコー信号を受信するように構成された受信アンテナアレイ;を有し、
前記送信アンテナアレイ及び前記受信アンテナアレイは、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイを形成するために使用され、
第1の方向において、前記仮想リニアアレイの仮想アレイ素子は、前記仮想平面アレイの仮想アレイ素子より密であり、
前記送信アンテナアレイは、第1の送信アンテナアレイ及び第3の送信アンテナアレイを含み;
前記第1の送信アンテナアレイは、第2の方向に配置された複数のアレイ素子を含み;
前記第3の送信アンテナアレイは、前記第1の方向に配置された複数のアレイ素子を含み;
前記第3の送信アンテナアレイの前記第1の方向に配置された前記アレイ素子の数は、前記第1の送信アンテナアレイの前記第1の方向に配置された前記アレイ素子の数より多く;前記第2の方向は前記第1の方向に垂直であり、
前記送信アンテナアレイは、第2の送信アンテナアレイ及び第4の送信アンテナアレイを含み;
前記第2の送信アンテナアレイは、前記第2の方向に配置された複数のアレイ素子を含み;
前記第4の送信アンテナアレイは、前記第1の方向に配置された複数のアレイ素子を含み;
前記第4の送信アンテナアレイの前記第1の方向に配置された前記アレイ素子の数は、前記第2の送信アンテナアレイの前記第1の方向に配置された前記アレイ素子の数より多い、
アンテナ。
【請求項2】
アンテナであって:
レーダ信号を送信するように構成された送信アンテナアレイ;及び
前記レーダ信号がターゲットによって反射された後にエコー信号を受信するように構成された受信アンテナアレイ;を有し、
前記送信アンテナアレイ及び前記受信アンテナアレイは、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイを形成するために使用され、
第1の方向において、前記仮想リニアアレイの仮想アレイ素子は、前記仮想平面アレイの仮想アレイ素子より密であり、
前記送信アンテナアレイは、垂直送信アンテナアレイ及び水平送信アンテナアレイを含み、
前記第1の方向は水平方向であり、
前記垂直送信アンテナアレイは、前記受信アンテナアレイの第1の側部に配置された第1の送信アンテナアレイを含み、前記第1の送信アンテナアレイは、垂直方向に配置された複数のアンテナ素子を含み、
前記水平送信アンテナアレイは、前記第1の送信アンテナアレイに隣接した第3の送信アンテナアレイを含み、前記第3の送信アンテナアレイは、前記水平方向に配置された複数の送信アンテナアレイ素子を含み、
前記垂直送信アンテナアレイは、さらに、前記受信アンテナアレイの第2の側部に配置された第2の送信アンテナアレイを含み、前記第2の送信アンテナアレイは、前記垂直方向に配置された複数のアンテナ素子を含み、
前記水平送信アンテナアレイは、さらに、前記第2の送信アンテナアレイに隣接した第4の送信アンテナアレイを含み、前記第4の送信アンテナアレイは、前記水平方向に配置された複数の送信アンテナアレイ素子を含む、
ンテナ。
【請求項3】
前記水平送信アンテナアレイ及び前記受信アンテナアレイは、前記仮想リニアアレイを形成するために使用され;
前記垂直送信アンテナアレイ及び前記受信アンテナアレイは、前記仮想平面アレイを形成するために使用される、
請求項に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記第1の方向は、水平方向又は垂直方向である、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第1の送信アンテナアレイは、前記第1の方向において前記受信アンテナアレイの外側に配置され、前記第2の送信アンテナアレイは、前記第1の方向における前記第1の側部の反対側の前記第2の側部において前記受信アンテナアレイの外側に配置される、
請求項に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記仮想リニアアレイの開口サイズは、前記第1の方向において前記仮想平面アレイの開口サイズと同じである、
請求項1乃至のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項7】
レーダシステムであって:
請求項1乃至のいずれか1項に記載のアンテナ;前記送信アンテナアレイに接続された送信器;前記受信アンテナアレイに接続された受信機;及び処理ユニットを有し、前記処理ユニットは、前記エコー信号に基づいて前記ターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定するように構成される、
レーダシステム。
【請求項8】
前記処理ユニットは:
前記エコー信号に基づいて、前記レーダ信号のものであり且つ前記仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果及び前記レーダ信号のものであり且つ前記仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果を別々に決定し;
前記レーダ信号のものであり且つ前記仮想リニアアレイに基づいて得られた前記観測結果及び前記レーダ信号のものであり且つ前記仮想平面アレイに基づいて得られた前記観測結果に基づいて前記ターゲットの前記水平方位角及び前記垂直方位角を決定する;ように構成される、
請求項に記載のレーダシステム。
【請求項9】
前記処理ユニットは:
前記レーダ信号のものであり且つ前記仮想リニアアレイに基づいて得られた前記観測結果に基づいて前記ターゲットの第1の候補水平方位角を決定し;
前記レーダ信号のものであり且つ前記仮想平面アレイに基づいて得られた前記観測結果に基づいて前記ターゲットの第2の候補水平方位角及び候補垂直方位角を決定し;
前記第1の候補水平方位角、前記第2の候補水平方位角、及び前記候補垂直方位角に基づいて、前記ターゲットの前記水平方位角及び前記垂直方位角を決定する;
ように構成される、
請求項に記載のレーダシステム。
【請求項10】
前記レーダ信号のものであり且つ前記仮想リニアアレイに基づいて得られた前記観測結果に基づいて前記ターゲットの前記第1の候補水平方位角を決定するとき、前記処理ユニットは:
前記レーダ信号のものであり且つ前記仮想リニアアレイに基づいて得られた前記観測結果に基づいてデジタルビーム形成(DBF)又は高速フーリエ変換(FFT)法で前記第1の候補水平方位角を決定するように構成される、
請求項に記載のレーダシステム。
【請求項11】
前記レーダ信号のものであり且つ前記仮想平面アレイに基づいて得られた前記観測結果に基づいて前記ターゲットの前記第2の候補水平方位角及び前記候補垂直方位角を決定するとき、前記処理ユニットは:
前記レーダ信号のものであり且つ前記仮想平面アレイに基づいて得られた前記観測結果に基づいて、前記DBF又は前記FFT法で前記第2の候補水平方位角及び前記候補垂直方位角を決定するように構成される、
請求項10に記載のレーダシステム。
【請求項12】
前記ターゲットの前記水平方位角は、第1の水平方位角及び第2の水平方位角を含み、前記ターゲットの前記垂直方位角は、第1の垂直方位角及び第2の垂直方位角を含み、前記処理ユニットは、さらに:
前記第1の水平方位角に対応するレーダ断面積(RCS)が前記第2の水平方位角に対応するRCSより大きいことを決定し;
前記第1の垂直方位角に対応するRCSが前記第2の垂直方位角に対応するRCSより大きいことを決定し;
前記第1の水平方位角及び前記第1の垂直方位角が前記ターゲット内の第1のサブターゲットの位置であり、前記第2の水平方位角及び前記第2の垂直方位角が前記ターゲット内の第2のサブターゲットの位置であることを決定する;ように構成される、
請求項に記載のレーダシステム。
【請求項13】
前記レーダ信号は、周波数変調連続波(FMCW)、多重周波数シフトキーイング(MFSK)、及び位相変調連続波(PMCW)のうちのいずれか1つである、
請求項乃至12のいずれか1項に記載のレーダシステム。
【請求項14】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のアンテナ、及び/又は請求項乃至13のいずれか1項に記載のレーダシステムを有する、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、センサ技術の分野に関し、特に、レーダシステム及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転技術の発展につれて、車載センサのセンシング能力に対するより高い要求がある。車載レーダでは、ターゲット測定精度及びターゲット分解能を向上させるために、レーダ分解能は通常、距離分解能、速度分解能、及び角度分解能の3次元で改善される。角度分解能は、多入力多出力(multiple-input multiple-output、MIMO)仮想アレイを使用することにより仮想アパーチャを増加させることにより改善することがある。言い換えると、複数の送信チャネル及び複数の受信チャネルが、より高い角度分解能を得るためにアンテナ開口(antenna aperture)を増加させるように、より大きいアレイを仮想化するために使用される。
【0003】
例えば、従来技術で使用されるアレイソリューション(array solution)は、図1に示され得る。このソリューションでは、送信アンテナアレイ1及び送信アンテナアレイ2は、各々、48の送信チャネルを形成するために、3*(×)8の送信アレイ素子を含み、受信アンテナアレイ1及び受信アンテナアレイ2は、各々、48の受信チャネルを形成するために、1*24の受信アレイ素子を含む。図1に示すアンテナ配置方法では、送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは、図2に示すように、48*48の仮想チャネルを含む均一な平面アレイを仮想化するために、使用されることがある。図2に示す均一な平面アレイは、144*16の仮想チャネルを含む。水平方向には24*6=144の仮想チャネルがあり、垂直方向には8*2=16の仮想チャネルがある。
【0004】
図1に示すソリューションによれば、仮想アンテナアレイは、均一な平面アレイであり、仮想アンテナアレイの水平方向の角度と垂直方向の角度とを一致させることは簡単である。従って、水平方向、垂直方向の高解像度を実現するために、大量の送信アレイ素子及び大量の受信アレイ素子が配置される必要がある。大量のアンテナが配置される場合、設計及び処理の困難さが増大し、コストも増大する。
【0005】
結論として、高い角度分解能が得られるとき、送信アレイ素子の量及び受信アレイ素子の量が低減されるようなレーダシステムが、設計及び処理の困難性を低減するために必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施形態は、設計及び処理の困難性を低減するために、高い角度分解能が得られるとき、送信アレイ素子の量及び受信アレイ素子の量が低減されるような、レーダシステム及び車両を提供する。
【0007】
第1の態様によれば、本出願の実施形態は、レーダシステムを提供する。レーダシステムは:レーダ信号を送信するように構成された送信機;及びレーダ信号がターゲットによって反射された後に得られるエコー信号を受信するように構成された受信機を含む。送信機の送信アンテナアレイ及び受信機の受信アンテナアレイは、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイを形成するために使用され、仮想リニアアレイは、第1の方向に均一なリニアアレイを含み、仮想平面アレイは、均一な平面アレイを含み、均一なリニアアレイ内の2つの隣接するアレイ素子間の第1の間隔は、均一な平面アレイ内の第1の方向における2つの隣接するアレイ素子間の第2の間隔より小さい。
【0008】
レーダ信号は、周波数変調連続波(FMCW)、多重周波数シフトキーイング(multiple frequency-shift keying)(MFSK)、及び位相変調連続波(PMCW)のうちのいずれか1つである。エコー信号は、ターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定するために使用され得る。
【0009】
第1の方向は、水平方向又は垂直方向であり得る。第1の方向が水平方向である場合、仮想リニアアレイは、ターゲットの水平方位角測定値を決定するために使用され、仮想平面アレイは、ターゲットの垂直方位角測定値及び水平方位角測定値を決定するために使用される;又は、第1の方向が垂直方向である場合、仮想リニアアレイは、ターゲットの垂直方位角測定値を決定するために使用され、仮想平面アレイは、ターゲットの垂直方位角測定値及び水平方位角測定値を決定するために使用される。本出願の添付の図面及び例では、第1の方向が水平方向である例が図示のために使用される。
【0010】
第1の態様で提供されるレーダシステムでは、密度が均一な(dense uniform)リニアアレイが第1の方向において大きい視野(FOV)を確保するために使用され得るため、第1の方向に対応する方位角(例えば、水平方位角)が均一なリニアアレイを使用して計算されるとき、より正確な計算結果があり得る(すなわち、ターゲットの方位角は、仮想アンテナアレイ内の各アレイ素子に基づいて得られた観測結果に基づいて計算される)。加えて、均一なリニアアレイは、第1の方向のFOV要件を満たし得、大きな間隔が、均一なリニアアレイのFOVを使用することによって、第1の方向の正しい角度情報を得るために、第1の方向の均一な平面アレイのアレイ素子間に設定され得る(小さいFOVがある場合、エイリアシングが、均一なリニアアレイのFOV範囲内の複数の角度の方向に存在し得る)。言い換えると、均一な平面アレイに対応して配置されたアンテナアレイは、送信アレイ素子の量及び受信アレイ素子の量を減らすために、少量のアレイ素子のみを含み得る。均一なリニアアレイ及び均一な平面アレイが第1方向に同じ開口を有するとき、第1方向の均一なリニアアレイ及び均一な平面アレイの得られる角度分解能は同じである。第1の方向の均一なリニアアレイの開口が、第1の方向の均一な平面アレイの開口より大きいとき、第1の方向の均一なリニアアレイの得られる角度分解能は高く、第1の方向の均一なリニアアレイの得られるより高い角度情報は、(例えば、垂直方向であり得る)計算によって第2の方向の角度情報を得るために、均一な平面アレイに置き換えられ(substituted into)得る。
【0011】
従って、第1の態様で提供されるレーダシステムでは、送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは、1つの仮想リニアアレイ及び1つの仮想平面アレイを仮想化するために使用され得る。仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイは、第1の方向においてで異なるアレイ素子密度を有する(第1の間隔が第2の間隔より小さい)。したがって、第1方向に対応する方位角が仮想リニアアレイと仮想平面アレイを用いることによって別々に計算されるとき、異なるFOVが得られ得る:第1方向の仮想リニアアレイのFOVは第1方向の仮想平面アレイのFOVより大きく、仮想リニアアレイを用いて第1方向の方位角を計算した結果はより精度である。従って、ターゲットの方位角が仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイの2つのアレイに基づいて得られた観測結果に基づいて決定されるとき、マッチング(matching)が異なるFOV間で実行され得る。2つの仮想アレイ間のマッチング度合い(matching degree)は、従来の技術における仮想アンテナアレイ間のマッチング度合いよりも複雑であるため、少量のアンテナが、本出願において仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイを実装するために、送信機及び受信機内に配置され得る。加えて、仮想リニアアレイと仮想平面アレイとの間のマッチング度合いは複雑であるため、高い角度分解能が2つのアレイに基づく計算により得られ得る。言い換えれば、第1の態様で提供されるソリューションによれば、ターゲットの垂直方位角及び水平方位角の高い分解能が、少量の送信アンテナと少量の受信アンテナを用いることによる計算により得られ得、その結果、レーダシステムの角度分解能が増加するとき、アンテナアレイの設計及び処理の困難性が低減され、レーダシステムのコストが低減される。
【0012】
1つの可能な設計では、第1の間隔はd、第2の間隔はdであり、d及びdは以下の関係を満たす:
【数1】
【0013】
ここで、M及びNそれぞれは正の整数であり、M>Nである。このようにして、エンジニアリング計算はよりシンプルであり得る。
【0014】
1つの可能な設計では、第1の間隔は、レーダ信号の搬送波波長の半分以下である。この場合、ターゲットの水平方位角測定値が仮想リニアアレイを使用することによって決定されるとき、角度の曖昧さは存在しない。従って、ターゲットの水平方位角を決定するより簡単な計算方法がある。
【0015】
加えて、第1の態様で提供されるレーダシステムは、さらに、処理ユニットを含み得、この処理ユニットは、エコー信号に基づいてターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定するように構成される。処理ユニットは、システムがターゲットの位置を決定するのを助け、次いで、ターゲットの位置に基づいて対応する動作(例えば、自動運転のルートを計画する)を実行するために、ターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定し得る。
【0016】
具体的には、処理ユニットが、ターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定する方法は:エコー信号に基づいて、レーダ信号のものであり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果及びレーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果を別々に決定することと;レーダ信号のものであり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果及びレーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果に基づいてターゲットの水平方位角及び前記垂直方位角を決定することであり得る。言い換えれば、受信アンテナアレイがエコー信号を受信した後、処理ユニット403は、受信アンテナアレイの各受信アンテナが受信した信号に基づく計算により、レーダ信号のものであり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果及びレーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果を得ることができる。2つの観測結果は、ターゲットの水平方位角と垂直方位角を計算するために使用され得る。
【0017】
可能な設計では、処理ユニットは、具体的には:レーダ信号のものであり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果に基づいて、ターゲットの第1の候補水平方位角を決定し;レーダ信号の物であり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果に基づいて、ターゲットの第2の候補水平方位角及び候補垂直方位角を決定し;第1の候補水平方位角、第2の候補水平方位角、及び候補垂直方位角に基づいて、ターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定する;ように構成される。前述のソリューションによれば、ターゲットの水平方位角及び垂直方位角は、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイに基づいて得られるエコー信号の観測結果を使用することによって決定され得る。
【0018】
処理ユニットは、レーダ信号の物であり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果に基づいて、デジタルビームフォーミング(DBF)又は高速フーリエ変換(FFT)方法で第1の候補水平方位角を決定し得る。
【0019】
同様に、処理ユニットは、レーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果に基づいてDBF又はFFT方法で第2の候補水平方位角及び候補垂直方位角を決定し得る。
【0020】
ターゲットの水平方位角測定値が仮想リニアアレイを使用することによって決定されるとき、角度の曖昧さ(angle ambiguity)が存在することがある。言い換えれば、第1の候補水平方位角は、複数の方位角を含み得、いくつかの水平方位角のみが、ターゲットの実際の水平方位角である。加えて、水平方向の仮想平面アレイの仮想チャネル間に大きい間隔があるため、仮想平面アレイのみに基づいて得られる第2の候補水平方位角θは曖昧である。仮想リニアアレイに基づく測定によって得られた第1の候補水平方位角θが明確である(unambiguous(曖昧でない))場合、θは、ターゲットの2次元角度情報(θ、φ)を直接得るために、仮想平面アレイの応答行列に代入され(substituted into)得る。リニアアレイに基づく測定によって得られた第1の候補水平方位角がθ曖昧である場合、第1の候補水平方位角θ及び第2の候補水平方位角θの両方が、中国の剰余定理(Chinese remainder theorem)を使用することによってターゲットの実際の水平方位角θを決定するために使用される必要がある。次に、θは、ターゲットの2次元角度情報(θ、φ)を得るために、仮想平面アレイの応答行列に代入される。
【0021】
可能な設計では、ターゲットの水平方位角は、第1の水平方位角及び第2の水平方位角を含み、ターゲットの垂直方位角は、第1の垂直方位角及び第2の垂直方位角を含み、処理ユニットは、さらに:第1の水平方位角に対応するレーダ断面積(radar cross-section)(RCS)が、第2の水平方位角に対応するRCSより大きいことを決定し;第1の垂直方位角に対応するRCSが、第2の垂直方位角に対応するRCSより大きいことを決定し;第1の水平方位角及び第1の垂直方位角が、ターゲット内の第1のサブターゲットの位置であり、第2の水平方位角及び第2の垂直方位角が、ターゲット内の第2のサブターゲットの位置であることを決定する;ように構成される。前述のソリューションによれば、レーダシステムの周囲に複数のターゲットがある場合、マッチングが各ターゲットの水平方位角及び垂直方位角に実行され:2つの水平方位角及び2つの垂直方位角が計算により得られる場合(言い換えると、2つのターゲットがある場合)、より大きいRCSに対応する水平方位角及び垂直方位角は、グループであり、ターゲットのうちの1つの2次元角度情報を表し;より小さいRCSに対応する水平方位角及び垂直方位角は、グループであり、他のターゲットの2次元角度情報を表す。
【0022】
第1の態様で提供されるレーダシステムでは、送信アンテナアレイは、垂直送信アンテナアレイ及び水平送信アンテナアレイを含み得る。水平送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは仮想リニアアレイを形成し、垂直送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは仮想平面アレイを形成する。前述のソリューションによれば、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイを形成するアンテナアレイの実装が提供される。
【0023】
実際のアプリケーションでは、送信アンテナアレイの位置及び受信アンテナアレイの位置が決定されるとき、仮想アンテナアレイの位置は、一意に(uniquely)決定され得る:Pmは、Ntx送信アンテナにおけるアンテナm(m=0,1,...,Ntx-1)の座標であり、Qnは、Nrx受信アンテナにおけるアンテナn(n=0,1,...,Nrx-1)の座標であると仮定される。この場合、形成された仮想アンテナアレイのアレイ素子の位置は、Pm+Qnに基づいて一意に決定され得る。Ntx送信アンテナがmに対してトラバースされ(traversed for m)、Nrx受信アンテナがnに対してトラバースされた後、仮想アンテナアレイの位置が決定され得る。
【0024】
特定のアプリケーションにおいて、第1の態様で提供されるレーダシステムでは、水平送信アンテナアレイの送信アンテナ及び受信アンテナアレイの受信アンテナは、仮想リニアアレイの位置を一意に決定するためにトラバースされ;垂直送信アンテナアレイの送信アンテナ及び受信アンテナアレイの受信アンテナは、仮想平面アレイの位置を一意に決定するためにトラバースされる。従って、仮想リニアアレイの位置及び仮想平面アレイの位置に対する制限はまた、送信アンテナアレイの実際の位置及び受信アンテナアレイの実際の位置に対する制限としても考慮され得る。
【0025】
実際の実装では、チップの異なるピン及び粒度のために、送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは、異なる実装を有し得る。以下に、2つの実装を挙げる。
【0026】
【0027】
受信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されるkの受信アレイ素子を含み:
垂直送信アンテナアレイは、受信アンテナアレイの2つの側部(two sides)にそれぞれ配置される第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイを含み、第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイはそれぞれ、垂直方向に単一の線に配置されるmの送信アレイ素子を含み;水平送信アンテナアレイは、第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイにそれぞれ隣接する第3の送信アンテナアレイ及び第4の送信アンテナアレイを含み、第3の送信アンテナアレイ及び第4の送信アンテナアレイは、それぞれ、水平方向に単一の線に配置されるnの送信アレイ素子を含む。第1の実装では、仮想リニアアレイは、水平方向に単一の線に配置された2*n*kの仮想チャネルを含み、仮想平面アレイは、2*m*k仮想チャネルを含む。水平方向に2*kの仮想チャネルがあり、垂直方向にmの仮想チャネルがある。
【0028】
【0029】
受信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されたkの受信アレイ素子を含み;垂直送信アンテナアレイは、受信アレイの一側部に位置し、垂直送信アンテナアレイは、垂直方向に単一の線に配置されたmの送信アレイ素子を含み;水平送信アンテナアレイは、垂直送信アンテナアレイに隣接し、水平送信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されたnの送信アレイ素子を含む。第2の実装では、仮想リニアアレイは、水平方向に単一の線に配置されたn*kの仮想チャネルを含み、仮想平面アレイは、m*kの仮想チャネルを含む。水平方向にkの仮想チャネルがあり、垂直方向にmの仮想チャネルがある。
【0030】
第2の態様によれば、本出願の実施形態は、車両を提供する。車両は、第1の態様及び第1の態様の可能な任意の設計で提供されるレーダシステム、及び電子制御ユニット(ECU)を含む。レーダシステムは:レーダ信号を送信し、レーダ信号がターゲットによって反射された後に得られるエコー信号を受信し、エコー信号に基づいてターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定する;ように構成され;ECUは、ターゲットの水平方位角及び垂直方位角に基づいて車両の運転経路を決定するように構成される。
【0031】
第2の態様で提供される車両は、運転経路を計画し、さらに自動運転を実行するために、レーダシステムを使用することによってターゲットの位置を測定し得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】従来技術におけるレーダアンテナアレイスキームの概略図である。
【0033】
図2】従来技術の仮想アンテナアレイの概略図である。
【0034】
図3】本出願の一実施形態によるMIMOレーダの構造の概略図である。
【0035】
図4】本出願の一実施形態によるレーダシステムの構造の概略図である。
【0036】
図5】本出願の一実施形態による第1の仮想アンテナアレイの概略図である。
【0037】
図6】本出願の一実施形態によるレーダシステムのアンテナアレイの概略図である。
【0038】
図7】本出願の一実施形態による第2の仮想アンテナアレイの概略図である。
【0039】
図8】本出願の一実施形態による別のレーダシステムのアンテナアレイの概略図である。
【0040】
図9】本出願の一実施形態による第3の仮想アンテナアレイの概略図である。
【0041】
図10】本出願の一実施形態による別のレーダシステムの構造の概略図である。
【0042】
図11】本出願の一実施形態による第1の仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイの応答の概略図である。
【0043】
図12】本出願の一実施形態による第2の仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイの応答の概略図である。
【0044】
図13】本出願の一実施形態による第3の仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイの応答の概略図である。
【0045】
図14】本出願の一実施形態による第1の仮想平面アレイの応答の概略図である。
【0046】
図15】本出願の一実施形態による第2の仮想平面アレイの応答の概略図である。
【0047】
図16】本出願の一実施形態による第4の仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイの応答の概略図である。
【0048】
図17】本出願の一実施形態による第3の仮想平面アレイの応答の概略図である。
【0049】
図18】本出願の一実施形態による第4の仮想平面アレイの応答の概略図である。
【0050】
図19】本出願の一実施形態による第5の仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイの応答の概略図である。
【0051】
図20】本出願の一実施形態による第5の仮想平面アレイの応答の概略図である。
【0052】
図21】本出願の一実施形態による車両の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
通常、レーダシステムは、角度分解能を改善するために、MIMO仮想アレイを使用することによって仮想開口を増加させ得る。
【0054】
具体的には、本出願の実施形態では、MIMOレーダシステムは、アンテナアレイ、マイクロ波集積回路(モノリシックマイクロ波集積回路、MMIC)、及び処理ユニットを含み得る。アンテナアレイは、図3に示すように、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを含み得る。
【0055】
マイクロ波集積回路は:レーダ信号を生成し、次いでアンテナアレイを使用することによってレーダ信号を送信するように構成される。レーダ信号が送信された後、レーダ信号はターゲットによって反射されてエコー信号を形成し、エコー信号は受信アンテナによって受信される。マイクロ波集積回路はさらに:アンテナアレイによって受信されたエコー信号に対する変換及びサンプリングなどの処理を実行し、処理されたエコー信号を処理ユニットに送信するように構成される。
【0056】
処理ユニットは、エコー信号に対する高速フーリエ変換(fast Fourier transformation、FFT)又は信号処理などの動作を実行し、受信されたエコー信号に基づいてターゲットの範囲、速度、又は方位角などの情報を決定するように構成される。具体的には、処理ユニットは、処理機能を有するデバイス、例えば、マイクロプロセッサ(マイクロコントローラユニット、MCU)、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor、DSP)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)であり得る。
【0057】
アンテナアレイは、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを含む。送信アンテナは、レーダ信号を送信するように構成され、受信アンテナは、レーダ信号がターゲットによって反射された後に形成されるエコー信号を受信するように構成される。アンテナアレイは、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを含み、言い換えると、複数の送信チャネル及び複数の受信チャネルを含む。したがって、アンテナアレイは、複数の仮想送信及び受信チャネルを含む仮想アレイを仮想化するために使用され得、処理ユニットは、受信したエコー信号を仮想アレイに基づいて得られた観測結果に変換し、その結果、処理及び計算が、ターゲットの範囲、速度、方位角等の情報を得るために、仮想アレイに基づいて得られた観測結果に基づいて実行され得る。
【0058】
本出願の実施形態のレーダシステムは、複数の分野に適用され得ることに留意されたい。例えば、本出願の実施形態のレーダシステムは、車載レーダ、路側交通レーダ、無人航空機レーダを含むが、これらに限定されない。
【0059】
従来の技術では、図1に示すレーダアンテナアレイスキームは、通常、図2に示す仮想アンテナアレイ(virtual antenna array)を形成するために使用される。図2に示す仮想アンテナアレイは、144*16の一様な2次元アレイであり、水平方向に24*6=144の仮想チャネルがあり、垂直方向に8*2=16の仮想チャネルがある。
【0060】
図2に示す仮想アンテナアレイは、均一な平面アレイであり、仮想アンテナアレイの水平方向の角度と垂直方向の角度とを一致させることは簡単である。従って、水平方向及び垂直方向の高い分解能を実現するために、大量の送信アレイ素子及び大量の受信アレイ素子が配置され、水平方向及び垂直方向の仮想チャネルの量を増やし、水平方位角及び垂直方位角の計算精度を向上させるために、必要である。
【0061】
しかし、大量の送信アンテナ及び大量の受信アンテナがあるとき、アンテナアレイの設計及び処理の困難性が増大する(例えば、送信アンテナ間の間隔が小さいため、アンテナはビア(via)を介して給電される(fed)必要があり、高い設計及び処理要件が存在する)。加えて、アンテナアレイは、さらに、チップ上に大きい空間を占有する。従って、図1に示されたアンテナアレイスキームによれば、角度分解能はある程度まで増加し得るが、設計及び処理の困難性が大きく、コストが高い。
【0062】
本出願の実施形態は、レーダシステム及び車両を提供し、高角度分解能が得られるとき、設計及び処理の困難性を低減するために、送信アレイ素子の量及び受信アレイ素子の量を低減する。
【0063】
加えて、送信アレイ素子はチップ内の送信チャネルに接続され、受信アレイ素子はチップ内の受信チャネルに接続され、送信アレイ素子の量又は受信アレイ素子の量は減少する、言い換えれば、チップ内の送信チャネルの量及び受信チャネルの量が減少し、送信及び受信チャネルの量に対応する記憶及び処理の量が減少する。従って、本出願で提供されるソリューションによれば、チップ面積、チップコスト、及びチップ電力消費がさらに低減され得、それによって、レーダモジュールのサイズ、コスト、及び電力消費を低減する。
【0064】
本出願の実施態様では、「複数の」は、2以上を意味することに留意されたい。加えて、本出願の説明において、「第1の」及び「第2の」のような用語は、単に区別及び説明のために使用されるに過ぎないが、相対的重要性の指標若しくは含意として、又は順番の指標若しくは含意として理解されるべきではない。本出願において「結合している」は、電気的接続をいい、特に、直接的接続又は間接的接続の2つの方法を含み得る。本出願の実施形態のアプリケーションシナリオは、以下に簡単に説明される。
【0065】
以下は、添付の図面を参照して、本出願の実施形態をさらに詳細に記載する。
【0066】
図4を参照されたい。本出願の実施形態において提供されるレーダシステム400は、送信機401及び受信機402を含む。
【0067】
送信機401は、レーダ信号を送信するように構成される。
【0068】
受信機402は、レーダ信号がターゲットによって反射された後に得られるエコー信号を受信するように構成される。
【0069】
エコー信号は、ターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定するために使用され得る。レーダ信号は、周波数変調連続波(frequency modulated continuous wave、FMCW)、多重周波数シフトキーイング(multiple frequency-shift keying、MFSK)、及び位相変調連続波(phase modulated continuous wave、PMCW)のうちのいずれか1つであり得る。確かに、レーダ信号は、代替的には、他の車両ミリ波レーダに使用される波形を有してもよい。これは、本出願において限定されない。
【0070】
送信機401の送信アンテナアレイ及び受信機402の受信アンテナアレイは、仮想リニアアレイ(「一次元リニアアレイ」とも呼ばれる)及び仮想平面アレイ(「2次元平面アレイ」とも呼ばれる)を形成するために使用される。仮想リニアアレイは、第1の方向に均一なリニアアレイを含み、仮想平面アレイは、均一な平面アレイを含む。均一なリニアアレイにおける2つの隣接するアレイ素子(すなわち、仮想チャネル)間の第1の間隔dは、第1の方向における均一な平面アレイにおける2つの隣接するアレイ素子(すなわち、仮想チャネル)間の第2の間隔dより小さい。
【0071】
具体的には、第1の方向は水平方向であり得る、又は垂直方向であり得る。第1の方向が水平方向である場合、仮想リニアアレイは、ターゲットの水平方位角測定値を決定するために使用され、仮想平面アレイは、ターゲットの垂直方位角測定値及び水平方位角測定値を決定するために使用される;又は、第1の方向が垂直方向である場合、仮想リニアアレイは、ターゲットの垂直方位角測定値を決定するために使用され、仮想平面アレイは、ターゲットの垂直方位角測定値及び水平方位角測定値を決定するために使用される。添付の図面及び本出願の例では、第1の方向が水平方向である例が説明のために使用される。
【0072】
本出願のこの実施形態における水平方向及び垂直方向は、送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイを含む仮想アンテナアレイ(仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイ)の位置に関連していることに留意されたい。第1の方向が水平方向であることが一例として使用される。水平方向は、仮想リニアアレイ内のアレイ素子が逐次的に配置される方向として理解することができ、垂直方向は、仮想アンテナアレイが配置される平面内にあり、水平方向に垂直な方向として理解され得る。例えば、この用途のこの実施形態では、水平方向及び垂直方向は、レーダシステム400を装備した車両が走行する地面に対する。
【0073】
加えて、本出願のこの実施形態では、均一なリニアアレイ及び均一な平面アレイは、以下のように理解され得る:均一なリニアアレイは、第1の方向に単一の線に配置された複数のアレイ素子を含み、2つの隣接するアレイ素子の間には等しい間隔がある。均一な平面アレイは、第1の方向に垂直な第2の方向に複数の均一なリニアアレイを配置することによって形成され、各均一なリニアアレイは、第1の方向に単一の線に配置された複数のアレイ素子を含むと考えられ得る。均一な平面アレイでは、第1の方向の2つの隣接するアレイ素子の間に等しい間隔があり、第2の方向の2つの隣接するアレイ素子の間に等しい間隔がある。例えば、均一な平面アレイは、p*qのアレイ素子を含む。具体的には、均一な平面アレイは、qの均一なリニアアレイを第2の方向に等間隔に配置することによって形成され、各均一なリニアアレイは、第1の方向に単一の線に配置されたpのアレイ素子を含む。各均一なリニアアレイでは、2つの隣接するアレイ素子の間に等しい間隔がある。
【0074】
例えば、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイの可能な分布形態が図5に示され得る。第1の方向が水平方向であることが一例として使用される。図5から、仮想リニアアレイは、水平方向に単一の線に配置された均一なリニアアレイを含み、均一なリニアアレイは、40のアレイ素子を含み;仮想平面アレイは、2つの均一なアレイを含み、各均一な平面アレイは、16*4のアレイ素子を含むことが分かる。水平方向では、均一なリニアアレイの2つのアレイ素子間の第1の間隔は、均一な平面アレイの2つのアレイ素子間の第2の間隔より大きい。
【0075】
従来の技術とは異なり、本出願のこの実施形態では、送信機401の送信アンテナアレイ及び受信機402の受信アンテナアレイは、1つの仮想リニアアレイ及び1つの仮想平面アレイを仮想化するために使用され得る。仮想リニアアレイは、第1の方向に均一なリニアアレイを含み、仮想平面アレイは、均一な平面アレイを含む。仮想リニアアレイに含まれる1つ以上の均一なリニアアレイが存在してもよく、仮想平面アレイに含まれる1つ以上の均一な平面アレイが存在してもよい。
【0076】
仮想リニアアレイが第1の方向に均一なリニアアレイを含むことは、特に、仮想リニアアレイが第1の方向に1つ以上の均一なリニアアレイを含むことを意味し得る。仮想リニアアレイが第1の方向に複数の均一なリニアアレイを含む場合、本出願では、均一なリニアアレイが、補間的に(interpolation manner)仮想リニアアレイ内に見出され得るという制限が存在するのみであり、仮想リニアアレイは、均一なリニアアレイに限定されない。
【0077】
同様に、仮想平面アレイが均一な平面アレイを含むことは、仮想平面アレイが1つ以上の均一な平面アレイを含むことを特に意味し得る。仮想平面アレイが複数の均一な平面アレイを含む場合、本出願では、均一な平面アレイが、仮想平面アレイ内で補間的に見出され得るという制限のみが存在し、仮想平面アレイは、均一な平面アレイに限定されない。
【0078】
特に、均一なリニアアレイは、均一な平面アレイより密に配置される。このように、密な均一なリニアアレイが、第1の方向に大きい視野(field of view、FOV)を確保するために使用され得るので、第1の方向に対応する方位角(例えば、水平方位角)が均一なリニアアレイを使用することによって計算される(すなわち、ターゲットの方位角が、仮想アンテナアレイの各アレイ素子に基づいて得られた観測結果に基づいて算出される)とき、より正確な計算結果が得られ得る。加えて、均一なリニアアレイは、第1の方向のFOV要件を満たし得、均一なリニアアレイのFOVを使用することによって、第1の方向の正しい角度情報を得るために、第1の方向の均一な平面アレイ内のアレイ素子間に大きい間隔が設定され得る(FOVが小さい場合、均一なリニアアレイのFOV範囲内の複数の角度の方向にエイリアシングが存在し得る)。言い換えれば、均一な平面アレイに対応して配置されたアンテナアレイは、送信アレイ素子の量及び受信アレイ素子の量を減らすために、少量のアレイ素子のみを含み得る。均一なリニアアレイ及び均一な平面アレイが第1方向に同じ開口を有するとき、第1方向の均一なリニアアレイ及び均一な平面アレイの得られる角度分解能は同じである。第1の方向の均一なリニアアレイの開口が第1の方向の均一な平面アレイの開口より大きいとき、第1の方向の均一なリニアアレイの得られる角度分解能は高く、第1の方向の均一なリニアアレイの得られる高い角度分解能の角度情報は、(例えば、垂直方向であり得る)計算によって第2の方向の角度情報を得るために、均一な平面アレイに置き換えられ得る。従って、従来技術と比較して、本出願のソリューションでは、第1の方向で同じ角度分解能が得られ得るが、少量のアレイ素子が必要とされる。
【0079】
可能な例では、第1の間隔がdであり、第2の間隔がdである場合、d及びdは次の関係を満たす:M*d=N*d、ここでM及びNはそれぞれ正の整数であり、M>Nである。
【0080】
第1の方向が水平方向であることが一例として使用される。ターゲットの水平方位角測定値は、送信機401及び受信機402を使用することによって仮想化された仮想リニアアレイを使用することによって決定され得、ターゲットの水平方位角測定値及び垂直方位角測定値は、送信機401及び受信機402を使用することによって仮想化された仮想平面アレイを使用することによって決定され得る。実際のアプリケーションでは、均一なリニアアレイ又は均一な平面アレイにおける水平方向のアレイ素子間の間隔が特定の範囲内にある場合に、水平方位角が仮想リニアアレイを使用することによって決定されるとき、角度の曖昧さが存在し得る(言い換えると、レーダシステムの視野範囲内の1つのターゲットの複数の測定値がある)。従って、ターゲットの水平方位角測定値が仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイを使用することによってそれぞれ得た後、中国の余剰定理を使用することによってターゲットの実際の水平方位角が決定され得る。
【0081】
以下は曖昧さを説明する:通常、明確な(曖昧さのない)FOVはFOV=2*arcsin(λ/2d)として定義され、ここでdはアレイ素子間の間隔である。より大きいdの値はより小さい明確なFOVの値を示すことを容易に知ることができる。均一なリニアアレイのFOVはFOV1であり、第1方向の均一な平面アレイのFOVはFOV2であると仮定する。d1<d2のため、FOV2<FOV1である。FOV1内のターゲットに対応する角度をθが均一な平面アレイにおいて第1の方向で測定されるとき、FOV2内の角度θしか得ることができない。第1方向のターゲットの実角度は、θ=k1*FOV1+θ=k2*FOV2+θであり、k1及びk2はそれぞれ、システムの設計されたFOVにおけるFOV1及びFOV2のエイリアシング係数に対応する。FOV1にエイリアシングが存在する場合、k1が異なる値を有するときにθはそれに応じて異なる値を有し得、θのその異なる値は、1つのターゲットの複数の測定値とみなされ得る。FOV1にエイリアシングがない場合、k1は0である。同様に、均一な平面アレイに基づく計算によって得られるθが曖昧であるとき、θ2は、k2が異なる値を有するときに、それに応じて異なる値を有し得、θの異なる値は、1つのターゲットの複数の測定値としてみなされ得る。
【0082】
具体的には、第1の間隔は、レーダ信号の搬送波波長の半分以下であり得る。第1の間隔がレーダ信号の搬送波波長の半分以下の場合、ターゲットの水平方位角測定値が仮想リニアアレイを使用することによって決定されるとき、角度の曖昧さは存在しない。従って、ターゲットの水平方位角を決定する簡単な計算方法がある。確かに、第1の間隔は、代替的には、レーダ信号の搬送波波長の半分より大きくてもよい。仮想リニアアレイを使用することによってターゲットの水平方位角測定値が決定されるとき、角度の曖昧さが存在する。従って、ターゲットの実際の水平方位角は、中国の余剰定理を使用することによってさらに決定される必要がある。
【0083】
本出願のこの実施態様のソリューションによれば、送信機401の送信アンテナアレイ及び受信機402の受信アンテナアレイは、1つの仮想リニアアレイ及び1つの仮想平面アレイを仮想化するために使用され得る。仮想リニアアレイのアレイ素子のみが密であり、仮想平面アレイのアレイ素子はまばら(sparse)である。従って、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイは、少量の送信アンテナ及び少量の受信アンテナを使用することによって実現され得る。第1方向の仮想リニアアレイのアレイ素子と仮想平面アレイのアレイ素子とは、異なる密度を有する(第1の間隔が第2の間隔より小さい)ため、第1方向に対応する方位角が仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイを使用することによってそれぞれ計算されるとき、異なるFOVが得られ得る:第1方向の仮想リニアアレイのFOVは第1方向の仮想平面アレイのFOVより大きく、仮想リニアアレイを使用することによって計算により第1方向の方位角を得る結果はより精確である。従って、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイの2つのアレイに基づいて得られた観測結果に基づいてターゲットの方位角が決定されるとき、マッチングが異なるFOV間で実行され得る。
【0084】
仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイを含む仮想アンテナアレイ間のマッチング度合いは、図2に示す仮想アンテナアレイ間のマッチング度合いよりも複雑であることを容易に知ることができる。したがって、本出願のこの実施形態では、高い角度分解能が、送信機401に過度の送信アンテナをまた受信機402に過度の受信アンテナを設定する必要なしに、2つの仮想アレイに基づいて計算することによって、得られ得る:アレイ素子が第1の方向に密に分布している仮想リニアアレイを使用することによって第1の方向に対応する方位角を計算し、第1の方向に垂直な第2の方向(例えば、垂直方向であり得る)に対応する角度情報を計算するために、仮想平面アレイの応答行列に、第1の方向に存在し、計算によって得られる角度情報を代入し、それにより計算により第1の方向及び第2の方向の方位角の高い分解能を得る。言い換えれば、本出願のこの実施形態のソリューションによれば、ターゲットの垂直方位角及び水平方位角は、少量の送信アンテナ及び少量の受信アンテナを使用することによって計算され、アンテナアレイの設計及び処理の困難さを低減し、レーダシステムのコストを低減し得る。
【0085】
本出願のこの実施態様において、送信機401の送信アンテナアレイ及び受信機402の受信アンテナアレイは、1つの仮想リニアアレイ及び1つの仮想平面アレイを形成する。具体的には、送信アンテナアレイは、垂直送信アンテナアレイ及び水平送信アンテナアレイを含み得る。水平送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは仮想リニアアレイを形成し,垂直送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは仮想平面アレイを形成する。
【0086】
具体的には、実際のアプリケーションにおいて、送信アンテナアレイの位置及び受信アンテナアレイの位置が決定されるとき、仮想アンテナアレイの位置は、一意に決定され得る:Pmは、Ntx送信アンテナにおけるアンテナm(m=0,1,...,Ntx-1)の座標であり、Qnは、Nrx受信アンテナにおけるアンテナn(n=0,1,...,Nrx-1)の座標であると仮定される。この場合、形成された仮想アンテナアレイのアレイ素子の位置は、Pm+Qnに基づいて一意に決定され得る。Ntx送信アンテナがmに対してトラバースされ、Nrx受信アンテナがnに対してトラバースされた後、仮想アンテナアレイの位置が決定され得る。
【0087】
特定のアプリケーションでは、本出願のこの実施形態において、仮想リニアアレイの位置を一意に決定するために、水平送信アンテナアレイの送信アンテナ及び受信アンテナアレイの受信アンテナがトラバースされ;仮想平面アレイの位置を一意に決定するために、垂直送信アンテナアレイの送信アンテナ及び受信アンテナアレイの受信アンテナがトラバースされる。従って、本出願のこの実施形態における仮想リニアアレイの位置及び仮想平面アレイの位置に関する制限は、また、送信アンテナアレイの実際の位置及び受信アンテナアレイの実際の位置に関する制限として考えられ得る。
【0088】
なお、送信機401は送信アンテナアレイ及び送信チャネルを含む装置であり得、受信機402は受信アンテナアレイ及び受信チャネルを含む装置であり得る。送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは、プリント回路基板(print circuit board、PCB)上に配置され得、送信チャネル及び受信チャネルは、チップ、すなわち、AOB(アンテナオンチップ(antenna on PCB))内に配置され得る。代替的には、送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは、チップパッケージ内に配置され得、送信チャネル及び受信チャネルは、チップ、すなわち、AIP(アンテナインパッケージ(antenna in package))内に配置され得る。組合せ形態は、本出願のこの実施態様において特に限定されない。
【0089】
本出願のこの実施態様における送信機401及び受信機402は、主に送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイの配置方法において改良されていることを理解されたい。従って、送信チャネル及び受信チャネルは、以下の説明で詳細に説明されていない。
【0090】
実際の実装では、チップの異なるピン及び粒度のために、送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは、異なる実装を有し得る。以下に、2つの実装を挙げる。その他の方法は列挙されていない。
【0091】
【0092】
第1の実装では、受信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されるkの受信アレイ素子を含み;垂直送信アンテナアレイは、受信アンテナアレイの2つの側部にそれぞれ配置される第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイを含み、第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイは、それぞれ、垂直方向に単一の線に配置されるmの送信アレイ素子を含み;水平送信アンテナアレイは、それぞれ、第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイに隣接する第3の送信アンテナアレイ及び第4の送信アンテナアレイを含み、第3の送信アンテナアレイ及び第4の送信アンテナアレイは、それぞれ、水平方向に単一の線に配置されるnの送信アレイ素子を含む。
【0093】
第1の実装では、第3の送信アンテナアレイ、第4の送信アンテナアレイ、及び受信アンテナアレイが仮想リニアアレイを形成することを容易に知ることができる。第3の送信アンテナアレイ及び第4の送信アンテナアレイは、それぞれ、水平方向に単一の線に配置されたnの送信アレイ素子を含み、受信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されたkの受信アレイ素子を含むため、仮想リニアアレイは、水平方向に単一のラインに配置された2*n*kの仮想チャネルを含む。
【0094】
第1の送信アンテナアレイ、第2の送信アンテナアレイ、及び受信アンテナアレイは、仮想平面アレイを形成する。第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイは、それぞれ垂直方向に単一の線に配置されたmの送信アレイ素子を含み、受信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されたkの受信アレイ素子を含むため、仮想平面アレイは、2*m*kの仮想チャネルを含み、水平方向に2*kの仮想チャネルがあり、垂直方向にmの仮想チャネルがある。
【0095】
例えば、送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイの分配方法が図6に示され得る。図6の例では、k=32、m=8、及びn=4である例が説明のために使用される。実際のアプリケーションでは、k、m、及びnの値は、図6に示す場合に限定されない。第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイにおける送信アレイ素子の間の間隔は3λであり(λはレーダ信号の搬送波波長である)、第3の送信アンテナアレイ及び第4の送信アンテナアレイにおける送信アレイ素子の間の間隔は、1.5λであり、受信アンテナアレイにおける受信アレイ素子の間の間隔は2λである。
【0096】
なお、第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイにおける送信アレイ素子並びに受信アンテナアレイにおける受信アレイ素子は、仮想チャネルを形成する必要があるため、第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイは、通常、受信アンテナアレイの外側に分布し、その結果、各送信アレイ素子及び任意の受信アレイ素子は、ブロッキング(blocking)を回避するために仮想チャネルを形成し得る。
【0097】
図6に示す送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイを含む仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイは、図7に示され得る。図7において、仮想リニアアレイは、2*4*32=256の仮想チャネルを含む。仮想平面アレイでは、水平方向に2*32=64の仮想チャネルがあり、垂直方向に8の仮想チャネルがある。
【0098】
図7の例では、仮想リニアアレイの開口サイズは、水平方向の仮想平面アレイの開口サイズと同じであることを容易に知ることができる。仮想リニアアレイは、1つの均一なリニアアレイを含み、仮想平面アレイは、2つの均一な平面アレイを含む。均一なリニアアレイは、均一な平面アレイより密に配置される。
【0099】
【0100】
第2の実装では、受信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されたkの受信アレイ素子を含み;垂直送信アンテナアレイは、受信アレイの一方の側部に配置され、垂直送信アンテナアレイは、垂直方向に単一の線に配置されたmの送信アレイ素子を含み;水平送信アンテナアレイは、垂直送信アンテナアレイに隣接し、水平送信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されたnの送信アレイ素子を含む。
【0101】
第2の実装では、水平送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは、仮想リニアアレイを形成することを容易に知ることができる。水平送信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されたnの送信アレイ素子を含み、受信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されたkの受信アレイ素子を含むため、仮想リニアアレイは、水平方向に単一の線に配置されたn*kの仮想チャネルを含む。
【0102】
垂直送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは仮想平面アレイを形成する。垂直送信アンテナアレイは、垂直方向に単一の線に配置されたmの送信アレイ素子を含み、受信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置されたkの受信アレイ素子を含むため、仮想平面アレイは、m*kの仮想チャネルを含み、水平方向にkの仮想チャネルがあり、垂直方向にmの仮想チャネルがある。
【0103】
例えば、送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイの分配方法が図8に示され得る。図8の例では、k=32、m=8、及びn=3である例が説明のために使用される。実際のアプリケーションでは、k、m、及びnの値は、図8に示す場合に限定されない。水平送信アンテナアレイにおける送信アレイ素子の間の間隔は1λ(λはレーダ信号の搬送波波長)であり、垂直送信アンテナアレイにおける送信アレイ素子の間の間隔は3λであり、受信アンテナアレイにおける受信アレイ素子の間の間隔は1.5λである。
【0104】
なお、垂直送信アンテナアレイにおける送信アレイ素子及び受信アンテナアレイにおける受信アレイ素子は、仮想チャネルを形成する必要があるため、垂直送信アンテナアレイは、通常、受信アンテナアレイの外側に分布しており、その結果、各送信アレイ素子及び任意の受信アレイ素子は、ブロッキングを回避するために仮想チャネルを形成し得る。
【0105】
図8に示す送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイを含む仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイは、図9に示され得る。図9において、仮想リニアアレイは、3*32=96の仮想チャネルを含む。仮想平面アレイでは、水平方向に32の仮想チャネルがあり、垂直方向に8の仮想チャネルがある。
【0106】
図9において、仮想リニアアレイの開口サイズは、水平方向における仮想平面アレイの開口サイズと同じであることを容易に知ることができる。仮想リニアアレイは、1つの均一なリニアアレイを含み、仮想平面アレイは、1つの均一な平面アレイを含む。均一なリニアアレイは、均一な平面アレイより密に配置されている。
【0107】
本出願のこの実施形態では、前述の2つの実装は単なる例であり、送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイの配置方法は、図6又は図8に示す方法に限定されないことに留意されたい。
【0108】
例えば、図6の例では、第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイは、それぞれ、垂直方向に単一の線に配置された8の送信アレイ素子の2つ又は3つの列を含み得る;又は第1の送信アンテナアレイ及び第2の送信アンテナアレイは、それぞれ、垂直方向に単一の線に配置された8つの送信アレイ素子の4つの列を含み得、水平方向の送信アレイ素子の間の間隔は1.5λ未満である。
【0109】
例えば、図8の例では、受信アンテナアレイは、水平方向に単一の線に配置された32の受信アンテナアレイ素子の2つの行を含み得る。
【0110】
加えて、レーダシステム400は、さらに、図10に示すように、エコー信号に基づいてターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定するように構成された処理ユニット403を含み得る。
【0111】
処理ユニット403は、図3の処理ユニットとみなされてもよいし、図3の処理ユニット及びマイクロ波集積回路のセットとみなされてもよい。処理ユニット403は、送信機401及び受信機402に結合される。
【0112】
具体的には、処理ユニット403は、次の方法でターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定し得る:エコー信号に基づいて、レーダ信号のものであり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果及びレーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果を別々に決定することと;レーダ信号のものであり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果及びレーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果並びにレーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果に基づいてターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定すること。
【0113】
受信アンテナアレイがエコー信号を受信した後、処理ユニット403は、受信アンテナアレイの各受信アンテナによって受信された信号に基づく計算により、レーダ信号のものであり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果と、レーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果とを得ることができる。
【0114】
レーダ信号のものであり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果及びレーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果を得た後、処理ユニット403の処理プロセスは、3つのステップに分けられ得る:ステップ1:レーダ信号のものであり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果に基づいて、ターゲットの第1の候補水平方位角を決定する。ステップ2:レーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果に基づいてターゲットの第2の候補水平方位角候補及び候補垂直方位角を決定する。ステップ3:第1の候補水平方位角、第2の候補水平方位角、及び候補垂直方位角に基づいてターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定する。以下は、3つのステップを詳細に説明する。
【0115】
ステップ1
【0116】
水平方位角がθであるターゲットについて、仮想リニアアレイの位相応答ベクトルは、a(θ)である:
【数2】
【0117】
ターゲット信号がs(t)であると仮定すると、仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果x(t)は、次のようになる:
【数3】
【0118】
ここでは、u(t)はノイズであり、
【数4】
は仮想リニアアレイの各仮想チャネルのシーケンス番号であり、Nは仮想リニアアレイに含まれる仮想チャネルの量であり、θはターゲットの第1の候補水平方位角であり、dは均一なリニアアレイの2つの隣接する仮想チャネル間の第1の間隔であり、λはレーダ信号の搬送波波長である。レーダ信号ものであり且つ仮想リニアアレイに基づいて得られた観測結果を決定した後、処理ユニット403は、デジタルビームフォーミング(digital beam forming、DBF)又は高速フーリエ変換(fast Fourier transform、FFT)などの一般的な角度推定アルゴリズムを使用することによって、ターゲットの第1の候補水平方位角を取得し得る。具体的な手順については、従来技術の説明を参照のこと。本明細書には、詳細は記載しない。
【0119】
なお、上述のように、ターゲットの水平方位角測定値が仮想リニアアレイを使用することによって決定されるとき、角度の曖昧さが生じることがある。言い換えれば、第1の候補水平方位角は、複数の方位角を含むことがあり、いくつかの水平方位角のみが、ターゲットの実際の水平方位角である。
【0120】
ステップ1では、d=λ/2の場合、角度の曖昧さは存在せず、1つのターゲットはシステムのFOV範囲内で1つの測定値しか持たない。言い換えれば、前記式によって決定される第1の候補水平方位角θは、ターゲットの実際の水平方位角である。あるいは、d>λ/2の場合、角度の曖昧さが存在し得、1つのターゲットは、システムのFOV範囲内に複数の測定値を有し得る。言い換えれば、前述の式によって決定された第1の候補水平方位角θは、複数の測定値を含むことがあり、測定値のいくつかは、ターゲットの実際の水平方位角である。この場合、ターゲットの実際の水平方位角はさらに、仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果を使用することによって決定される必要がある。
【0121】
例えば、図11は、仮想リニアアレイに基づいて得られた第1の候補水平方位角を示す。角度の曖昧さが存在しない場合、決定された第1の候補水平方位角は、図11のθであり得る。この場合、θはターゲットの実際の水平方位角である。あるいは、角度の曖昧さが存在する場合、決定された第1の候補水平方位角は、図11のθ1,1、θ1,2、θ1,3、及びθ1,4であり得、いくつかの水平方位角は、ターゲットの実際の水平方位角である。
【0122】
ステップ2
【0123】
垂直方位角がφであるターゲットについて、仮想平面アレイの位相応答ベクトルは、以下の通りである:
【数5】
【0124】
ここでは、mは垂直方向の仮想平面アレイにおける仮想チャネルの量であり、dは垂直方向の仮想チャネル間の間隔であり、λはレーダ信号の搬送波波長である。
【0125】
水平方向において仮想平面アレイにkの仮想チャネルがある場合、ターゲットに対する仮想平面アレイの位相応答行列は以下のように得られる:
【数6】
【0126】
ここでは、
【数7】
である。水平方位角がθであり垂直方位角がφであるターゲットについて、仮想平面アレイの測定結果
【数8】
は次のようになる:
【数9】
【0127】
レーダ信号のものであり且つ仮想平面アレイに基づいて得られた観測結果を決定した後、処理ユニット403は、2次元DBF又は2次元FFTなどの一般的な角度推定アルゴリズムを使用することによって、第2の候補水平方位角θ及び候補垂直方位角φを取得し得る。具体的な手順については、従来技術の説明を参照のこと。本明細書には、詳細は記載しない。仮想平面アレイの仮想チャネル間には水平方向に大きな間隔があるので、仮想平面アレイのみに基づいて得られる第2の候補水平方位角θは曖昧であることが理解されるべきである。
【0128】
ステップ3
【0129】
ターゲットの2次元角度情報(θ、φ)が、ステップ1で得られた第1の候補水平方位角と、ステップ2で得られた第2の候補水平方位角及び候補垂直方位角とを使用することによって、得られ得る。
【0130】
ケース1
【0131】
仮想リニアアレイに基づく測定によって得られる第1の候補水平方位角θが明確である場合、θは、ターゲットの2次元角度情報(θ、φ)を直接得るために、仮想平面アレイの応答行列に代入され得る。
【0132】
ケース2
【0133】
リニアアレイに基づく測定によって得られた第1の候補水平方位角θが曖昧である場合、第1の候補水平方位角θ及び第2の候補水平方位角θの両方が、中国の余剰定理を使用することによってターゲットの実際の水平方位角θを決定するために使用される必要がある。次いで、θは、ターゲットの2次元角度情報(θ、φ)を得るために、仮想平面アレイの応答行列に代入される。
【0134】
例えば、図12に示されるように、仮想リニアアレイに基づいて決定される第1の候補水平方位角は、θ1,1、θ1,2、θ1,3、及びθ1,4であり得、仮想平面アレイに基づいて決定される第2の候補水平方位角は、θ2,1、θ2,2、θ2,3、及びθ2,4であり得、θ1,2、及びθ2,2は一致する。したがって、ターゲットのものであり且つ中国の余剰定理を使用することによって決定される実際の水平方位角θは、θ1,2、(すなわち、θ2,2)である。次いで、θは、φを得るために、仮想平面アレイの応答行列に代入される。このようにして、ターゲットの2次元角度情報(θ、φ)を得ることができる。
【0135】
なお、ステップ1及びステップ2の実行シーケンスは交換されてもよく、又は、ステップ1及びステップ2は並列に処理されてもよい。ステップ3は、ステップ1及び2が実行された後に実行される必要がある。加えて、水平方位角及び垂直方位角を計算する前述のステップは、独立して実行されても良く、又は、ターゲットの範囲及び速度が計算されるときに存在するRD-CELL(範囲-速度セル)上にターゲットが存在し得るRD-MAP(範囲-速度マップ)に基づいて実行されても良い。水平方位角及び垂直方位角がRD-CELLで計算されるとき、複数のターゲットが存在する場合、角度エイリアシングにより複数のターゲットがオーバーラップする確率が低くなり、その結果、RD-MAPに基づく水平方位角及び垂直方位角の計算効果が向上する。
【0136】
レーダシステム400の周囲に複数のターゲットがある場合、エイリアシングのために2つのターゲットの方位角が区別できないとき、マッチングがレーダ断面積(radar cross-section、RCS)又は他の情報を使用することによって実行され得る。
【0137】
具体的には、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイに基づく計算により、ターゲットの得られた水平方位角が第1の水平方位角及び第2の水平方位角を含み、かつ、ターゲットの垂直方位角が第1の垂直方位角及び第2の垂直方位角を含む場合、処理ユニット403は、さらに:第1の水平方位角に対応するRCSが第2の水平方位角に対応するRCSより大きいことを決定し;第1の垂直方位角に対応するRCSが第2の垂直方位角に対応するRCSより大きいことを決定し;第1の水平方位角及び第1の垂直方位角がターゲット内の第1のサブターゲットの位置であり、第2の水平方位角及び第2の垂直方位角がターゲット内の第2のサブターゲットの位置であることを決定する;ように構成される。
【0138】
第1のサブターゲット及び第2のサブターゲットは、レーダシステムの周囲に存在する2つのターゲットである。
【0139】
言い換えれば、2つの水平方位角及び2つの垂直方位角が計算により得られる場合(つまり、2つのターゲットがある場合)、大きいRCSに対応する水平方位角及び垂直方位角がグループであり、ターゲットのうちの1つの2次元角度情報を表し;小さいRCSに対応する水平方位角及び垂直方位角がグループであり、他方のターゲットの2次元角度情報を表す。確かに、2つ以上のターゲットがある場合、マッチングは同様の方法で実行されてもよい。代替的には、マッチングは、RCS以外のパラメータに基づいて代替的に実行されてもよい。これは、本出願のこの実施態様において特に限定されない。
【0140】
例えば、レーダシステムの周囲に2つのターゲットが存在すると仮定すると、レーダシステムのアンテナアレイは、図6に示す配置方法で配置され、仮想リニアアレイに基づいて得られる第1の候補水平方位角(すなわち、ターゲットの水平方位角推定結果)と、仮想平面アレイに基づいて得られた第2の候補水平方位角(すなわち、ターゲットの水平方位角推定結果)とが図13に示され得る。図13から、水平方位角が3°及び4°である位置のそれぞれに1つのターゲットがあり、これらのターゲットは、それぞれ、A及びBと称されることを知ることができる。
【0141】
仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイの開口は、水平方向において同じサイズを有するので、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイは、同じ水平角度分解能を有する。従って、仮想リニアアレイに基づいて得られた第1の候補水平方位角は、各ターゲットに対応する水平方位角と垂直方位角を得るために、垂直角度推定のための仮想平面アレイの応答行列に代入される。図14に示されるように、仮想平面アレイの応答が2次元角度を計算するために使用されるとき、2つのターゲットA及びBは、それぞれ、4つの異なるピーク値(図13の仮想平面アレイのスペクトル線における4つの異なるピーク値に対応する)を有する。ターゲットの2次元角度推定は、図15に示すように、仮想リニアアレイの応答を使用することによって完了され得る。
【0142】
加えて、水平方向の2つのターゲットの間の角度差が、水平方向の仮想平面アレイにおける繰り返し間隔と正確に等しいとき(図16に示すように、2つのターゲットの水平方位角はそれぞれ-26.6°と3°である)、仮想リニアアレイに基づく計算により得られた2つの角度が、垂直方位角推定のための仮想平面アレイの応答行列に代入する場合、2つの角度が垂直方向に得られる(図17に示すように、2°と6°にスペクトルピークがある)。この場合、水平方位角と垂直方位角との間の対応は区別できない。
【0143】
この場合、ターゲットのRCSは、水平方位角及び垂直方位角とをマッチングさせるために使用され得る。例えば、3°のターゲット情報を持つターゲットのRCSは、-26.6°のターゲット情報を持つターゲットのRCSより大きく、2°のターゲット情報を持つターゲットのRCSは、6°のターゲット情報を持つターゲットのRCSより大きい。したがって、図18に示すように、水平方位角が3°であるターゲットAの垂直方位角は2°であり、水平方位角が-26.6°であるターゲットBの垂直方位角は6°である。
【0144】
例えば、レーダシステムの周囲に2つのターゲットA及びBが存在し、レーダシステムのアンテナアレイが図8に示す配置方法で配置されていると仮定すると、仮想リニアアレイに基づいて得られる第1の候補水平方位角(すなわち、ターゲットの水平方位角推定結果)及び仮想平面アレイに基づいて得られる第2の候補水平方位角(すなわち、ターゲットの水平方位角推定結果)が図19に示され得る。
【0145】
仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイの開口は、水平方向において同じサイズを有するので、仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイは、同じ水平角度分解能を有する。従って、仮想リニアアレイに基づいて得られた第1の候補水平方位角は、各ターゲットに対応する水平方位角及び垂直方位角を得るために、垂直角度推定のための仮想平面アレイの応答行列に代入される。ターゲットの2次元角度推定は、図20に示されるように、仮想リニアアレイの応答及び仮想平面アレイの応答を使用することによって完了され得る。
【0146】
結論として、本出願のこの実施形態で提供されるレーダシステム400では、送信機401の送信アンテナアレイ及び受信機402の受信アンテナアレイは、1つの仮想リニアアレイ及び1つの仮想平面アレイを仮想化するために使用され得る。2つの仮想アレイ間のマッチング度合いは、従来の技術における仮想アンテナアレイ間のマッチング度合いよりも複雑であるため、少量のアンテナが送信機401及び受信機402に配置されて、本出願における仮想リニアアレイ及び仮想平面アレイを実装し得る。加えて、仮想リニアアレイと仮想平面アレイとの間のマッチング度合いは複雑であるため、高い角度分解能が2つのアレイに基づく計算により得られ得る。言い換えれば、本出願のこの実施形態に提供されるソリューションによれば、垂直方位角及び水平方位角の高い分解能が、少量の送信アンテナと少量の受信アンテナを使用することによる計算により得られ得、その結果、レーダシステムの角度分解能が増加するとき、アンテナアレイの設計及び処理の困難性が軽減され、レーダシステムのコストが低減される。
【0147】
同じ発明概念に基づいて、本出願の実施形態は、さらに、車両を提供する。図21に示すように、車両は、レーダシステム400及び電子制御ユニット(electronic control unit、ECU)2101を含む。レーダシステム400は:レーダ信号を送信し、レーダ信号がターゲットによって反射された後に得られたエコー信号を受信し、エコー信号に基づいてターゲットの水平方位角及び垂直方位角を決定するように構成され;ECU2101は、ターゲットの水平方位角及び垂直方位角に基づいて車両の運転ルートを決定するように構成される。
【0148】
当業者は、本出願の範囲から逸脱することなく、本出願の実施形態に対して種々の修正及び変更を行うことができることは明らかである。本出願は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等な技術によって規定される保護の範囲内にあることを条件として、本出願の実施形態のこれらの修正及び変形をカバーすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21