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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】除湿装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20231020BHJP
   F24F 1/0358 20190101ALI20231020BHJP
   F24F 11/41 20180101ALI20231020BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20231020BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20231020BHJP
   F24F 11/72 20180101ALI20231020BHJP
   D06F 58/00 20200101ALI20231020BHJP
   D06F 58/34 20200101ALI20231020BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20231020BHJP
   F24F 140/20 20180101ALN20231020BHJP
【FI】
B01D53/26 220
B01D53/26 100
F24F1/0358
F24F11/41 120
F24F11/41 110
F24F11/61
F24F11/65
F24F11/72
D06F58/00 Z
D06F58/34
F24F110:10
F24F140:20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020043512
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021142486
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】源水 和夫
(72)【発明者】
【氏名】河本 亮太
(72)【発明者】
【氏名】下田 博樹
(72)【発明者】
【氏名】水谷 衣里
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕基
(72)【発明者】
【氏名】堀 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 広宣
【審査官】中村 泰三
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-28
D06F 58/00-52
F24F 1/02-04、3/14、11/00-89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口を有する本体ケースと、
前記本体ケース内に設けられたヒートポンプとを備え、
前記ヒートポンプは、圧縮機と、前記圧縮機の下流に順次設けた放熱器、膨張器、吸熱器とにより形成し、
前記本体ケース内には、
前記吸込口から前記本体ケース内に吸気した空気を前記放熱器、前記吸熱器を順次介して前記吹出口へと送風する送風部と、
前記送風部の風路であって、前記放熱器と前記吸熱器の間に設けた除湿ロータの放湿部と、前記吸熱器と前記吹出口の間に設けた前記除湿ロータの吸湿部と、
前記放熱器と前記除湿ロータの前記放湿部の間に設けた加熱部と、
前記除湿ロータを回転させる回転部と、
前記吸熱器の温度を測定する吸熱器温度センサーと、
前記圧縮機と、前記送風部と、前記加熱部と、前記回転部とを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記圧縮機と、前記送風部と、前記加熱部と、前記回転部とが運転する除湿運転を開始し、第1所定時間の後に、前記吸熱器温度センサーで測定した温度が、第1設定温度以下の場合には、第2所定時間の間、前記除湿運転に比べて除湿量が少ない除湿抑制運転を行い、前記除湿抑制運転の終了後に、第3所定時間の間、前記吸熱器に付着した霜を溶かす除霜運転を行い、前記除霜運転の終了後に、前記除湿運転を行うことを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
前記除湿抑制運転は、前記加熱部と前記回転部との運転を停止し、
前記圧縮機と前記送風部との運転を行うことを特徴とする請求項1に記載の除湿装置。
【請求項3】
前記除霜運転は、前記圧縮機の運転を停止し、前記送風部と前記加熱部と前記回転部との運転を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の除湿装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記除霜運転の途中に、第4所定時間の間、前記加熱部と前記回転部との運転を停止する温度上昇抑制運転を行うことを特徴とする請求項3に記載の除湿装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記温度上昇抑制運転中に、前記送風部の回転数を増加させることを特徴とする請求項4に記載の除湿装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記温度上昇抑制運転直後の前記除霜運転の運転時間である第5所定時間は、前記温度上昇抑制運転の直前の前記除霜運転の運転時間より長いことを特徴とする請求項4または5に記載の除湿装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記温度上昇抑制運転の直後の前記除霜運転における前記加熱部の温度は、
前記温度上昇抑制運転の直前の前記除霜運転における前記加熱部の温度より高いことを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の除湿装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記除湿運転を開始し、前記第1所定時間より短い第6所定時間の後に、前記本体ケース外の温度を測定する空気温度センサーで測定した温度が、第2設定温度以下であり、前記吸熱器温度センサーで測定した温度が、第3設定温度未満の場合には、第3所定時間の間、前記除霜運転を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば衣類乾燥用として用いられる除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の除湿装置は、吸込口と吹出口を有する本体ケース内に、圧縮機と放熱器と膨張器と吸熱器とを順次環状に連結した冷凍サイクルと、吸湿部で水分を吸着し放湿部で水分を放出する除湿ロータと、放湿部に供給される空気を加熱する加熱手段と、空気を送風する送風手段を備えたものとなっている。このとき、放熱器と吸熱器と除湿ロータと送風機を平行に配置する構成が知られている(例えば、これに関連する先行文献としては下記特許文献1がある)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4696482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の除霜運転の方法においては、室内温度が低温状態であるなどの着霜が起こりやすい条件では、除霜運転が終了後、再度着霜状態になり吸熱器が閉塞し、加熱部の温度が上昇し、安全装置が動作して加熱部の運転が停止され、除霜運転が十分にできなくなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、この目的を達成するために、本発明は、吸込口と吹出口を有する本体ケースと、前記本体ケース内に設けられたヒートポンプとを備え、前記ヒートポンプは、圧縮機と、前記圧縮機の下流に順次設けた放熱器、膨張器、吸熱器とにより形成し、前記本体ケース内には、前記吸込口から前記本体ケース内に吸気した空気を前記放熱器、前記吸熱器を順次介して前記吹出口へと送風する送風部と、前記送風部の風路であって、前記放熱器と前記吸熱器の間に設けた除湿ロータの放湿部と、前記吸熱器と前記吹出口の間に設けた前記除湿ロータの吸湿部と、前記放熱器と前記除湿ロータの前記放湿部の間に設けた加熱部と、前記除湿ロータを回転させる回転部と、前記吸熱器の温度を測定する吸熱器温度センサーと、前記圧縮機と、前記送風部と、前記加熱部と、前記回転部とを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記圧縮機と、前記送風部と、前記加熱部と、前記回転部とが運転する除湿運転を開始し、第1所定時間の後に、前記吸熱器温度センサーで測定した温度が、第1設定温度以下の場合には、第2所定時間の間、前記除湿運転に比べて除湿量が少ない除湿抑制運転を行い、前記除湿抑制運転終了後に、第3所定時間の間、前記吸熱器に付着した霜を溶かす除霜運転を行い、前記除霜運転終了後に、前記除湿運転を行うことを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、着霜が起こりやすい条件で吸熱器が閉塞し、加熱部の安全装置が動作して、加熱部の運転が停止し、除霜運転ができなくなることを抑制する除湿装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態1の除湿装置の外観斜視図
図2】同除湿装置の分解斜視図
図3】同除湿装置の概略断面図
図4】同除湿装置の概略断面図
図5】同除湿装置の放熱器の外観斜視図
図6】同除湿装置の吸熱器の外観斜視図
図7】同除湿装置の運転モード別制御動作を示す図
図8】同除湿装置の運転モード別制御動作を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0009】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の除湿装置の外観斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1の除湿装置の分解斜視図である。なお、図1図2は、除湿装置を後面側から見た図である。図3図4は、本発明の実施の形態1の除湿装置の概略断面図である。なお、図3図1のA-A線断面図である。図4図1のB-B線断面図である。
【0010】
図1図2図3図4に示すように、本体ケース1は、奥行き方向D及び縦方向Hの大きさに比較して横方向Wの大きさが大きい形状であり、本体ケース1の後面(本体ケース1の奥行き方向における一方側の側面)には、吸込口2と本体ケース1の外から吸込む空気の温度を測定するために空気温度センサー26が配置されている。本体ケース1における上部には、吹出口3が配置されている。吹出口3は、横長四角形状で本体ケース1における上方と後面とに開口している。本体ケース1の天面における後面側(本体ケース1の奥行き方向における一方側の側面側)には、吹出口3からの風向を変化させるルーバー4を有し、本体ケース1の天面における前面側(本体ケースの奥行き方向における他方側)には操作部5を設けている。操作部5は、電源の入り切り、運転モードの変更等を行う複数のスイッチを有している。
【0011】
本体ケース1内には、ヒートポンプ6と、送風部7と、除湿ロータ部8と、取付台9と、貯水タンク部10と、制御部11と、を有している。
【0012】
ヒートポンプ6は、圧縮機12と、放熱器13と、膨張器14と、吸熱器15と、を順次環状に連結し冷媒を循環する構成である。
【0013】
圧縮機12は、本体ケース1の前面側から見ると本体ケース1における左面側(本体ケースの横方向における一方側の側面側)に配置されている。圧縮機12は、本体ケース1の底面上に固定されている。
【0014】
放熱器13は、本体ケース1における後面側(本体ケースの奥行き方向における一方側の側面側)に配置されている。放熱器13は、後述する放熱器13における隣り合う放熱フィンと放熱フィンとの隙間が、本体ケース1の吸込口2に対向するように、本体ケース1の底面上に配置されている。
【0015】
図5は、本発明の実施の形態1の除湿装置の放熱器の外観斜視図である。なお、図5は、除湿装置の放熱器を後面側から見た図である。
【0016】
図5に示すように放熱器13は、多数の放熱フィン13aと、放熱フィン13aを連結する連結管13bとを有している。
【0017】
放熱フィン13aは、縦長四角板形状であり、材質がアルミニウムである。多数の放熱フィン13aは、隣り合う放熱フィン13aの面と面とが対向するように配置されている。隣り合う放熱フィン13aと放熱フィン13aとの隙間が、風路となる。
【0018】
連結管13bは、円筒形状であり、材質が銅である。円筒である連結管13bは、放熱フィン13aにおける長手方向に複数段設けられ、かつ複数回蛇行状に曲げられている。連結管13bの直管部分には、多数の放熱フィン13aが固定されている。多数の放熱フィン13aは、連結管13bの直管部分の中心軸方向に、所定の間隔を有して積層されている。
【0019】
図2図3図4に示すように、吸熱器15は、本体ケース1の前面から見ると本体ケース1における右側(本体ケース1の横方向における他方側の側面側)に配置され、後述する吸熱器15における隣り合う吸熱フィン15aと吸熱フィン15aとの隙間である風路の中心軸が本体ケース1における左右方向に延びるように、取付台9に固定されている。
【0020】
また、吸熱器15の着霜状態を検知するために吸熱器15の温度を測定する吸熱器温度センサー25を吸熱器15に固定配置している。
【0021】
図6は、本発明の実施の形態1の除湿装置の吸熱器の外観斜視図である。なお、図6は、除湿装置の放熱器を本体ケースにおける左側から見た図である。
【0022】
図6に示すように吸熱器15は、多数の吸熱フィン15aと、多数の吸熱フィン15aを連結する連結管15bとを有している。
【0023】
吸熱フィン15aは、縦長四角板形状であり、材質がアルミニウムである。多数の吸熱フィン15aは、隣り合う吸熱フィン15aの面と面とが対向するように配置されている。隣り合う吸熱フィン15aと吸熱フィン15aとの隙間が、風路となる。
【0024】
連結管15bは、円筒形状であり、材質が銅である。円筒である連結管15bは、吸熱フィン15aにおける長手方向に複数段設けられ、かつ複数回蛇行状に曲げられている。連結管15bの直管部分には、多数の吸熱フィン15aが固定されている。多数の吸熱フィン15aは、連結管15bの直管部分の中心軸方向に、所定の間隔を有して積層されている。
【0025】
図2図3図4に示すように、送風部7は、放熱器13に対向するように配置され、取付台9に固定されている。
【0026】
送風部7と、放熱器13と、本体ケース1の吸込口2とは、本体ケース1の奥行き方向において、一直線上に配置されている。送風部7は、モータ16と、モータ16によって回転するファン17と、ファン17を囲むケーシング18とを有している。
【0027】
ファン17は、ターボファンであり、主板17aと、多数の羽根17bと、吸込みリング17cとを有する。
【0028】
主板17aは、略円板形状で、中央部が下方へ凸形状となり、この中央部には、筒形状の回転軸固定部17dを設けている。回転軸固定部17dは、モータ16の回転軸が入り、この回転軸に固定可能な構造である。主板17aの周縁部には、主板17aから下方へ延びた複数の羽根17bを有し、羽根17bは、水平断面形状が翼形状である。羽根17bにおける主板17aの周縁側の端部は、ファン17の回転方向と反対方向に向いた形状である。複数の羽根17bの下端には、円環状の吸込みリング17cを有する。
【0029】
ケーシング18は、下面には吸気口18aを有し、上面には吐出口18bを有する。モータ16によってファン17が回転すると、ケーシング18の吸気口18aから吸い込まれた空気は、ファン17の吸込みリング17c内を介し、ファン17内に流れ込む。この流れ込んだ空気は、羽根17bに沿うように、ファン17の径方向に吹き出し、ケーシング18の吐出口18bを介して、本体ケース1の吹出口3に送風される。
【0030】
除湿ロータ部8は、送風部7と、吸熱器15との間に配置されている。吸熱器15と、除湿ロータ部8と、送風部7とは、本体ケース1の横方向において、一直線上に配置されている。除湿ロータ部8は、除湿ロータ19と、ロータ枠20と、回転部21と、加熱部22とを有している。
【0031】
除湿ロータ19は、全体形状としては円板体となっている。この円板体は、円形リング内に、通気体を設けたものである。通気体は、二枚の第1帯体(図示せず)間にジグザグ状に第2帯体(図示せず)を設けたものを、円形リング内において、内周から外周に向けて渦巻状に巻くことによって通気構造に構成したものである。
【0032】
これら第1帯体と第2帯体は耐熱繊維によって構成されており、その表面には、例えばゼオライトのような吸湿物質を、例えばシリカ系の接着剤で接着させた構成としている。
【0033】
除湿ロータ19は、円板体に形成され中心軸が本体ケース1における左右方向に延びるように、ロータ枠20に回転可能に立設され、回転部21により回転している。
【0034】
ロータ枠20は、取付台9に固定されている。除湿ロータ19は、空気から水分を吸着する吸湿部19aと、空気に水分を放出する放湿部19bとを有している。
【0035】
加熱部22は、除湿ロータ19の放湿部19bに対向するように設置されている。加熱部22は、後述する風路において、除湿ロータ19の放湿部19bの上流側に配置されている。
【0036】
取付台9は、本体ケース1における底面側と、前面側の面が開口した箱形状であり、取付板9aと、支持脚9bとを有する。
【0037】
取付板9aは、長方形の略板形状であり、上面には、送風部7と、除湿ロータ部8と、吸熱器15とが固定される。
【0038】
支持脚9bは、取付板9aの周縁から下方に延びる3枚の長方形の板であり、取付板の周縁における本体ケース1の後面側と、右面側と、左面側とから下方に延び、3枚の板は一体的に形成されている。支持脚9bは、取付板9aと、本体ケース1の底面との間には、略直方体形状の空間部9cを有している。空間部9cの高さは、ほぼ支持脚9bの高さ寸法であり、空間部9cには、貯水タンク部10が装着される構成である。
【0039】
貯水タンク部10は、本体ケース1の下部の空間部9cに配置され、本体ケース1の前面(本体ケースの奥行き方向における一方側の側面)から着脱自在な構成である。貯水タンク部10の着脱方向は、本体ケース1における前後方向(本体ケースの奥行き方向)である。貯水タンク部10の上方には、送風部7と、除湿ロータ部8と、吸熱器15とが配置されている。貯水タンク部10は、天面が開口した偏平な箱形状のタンク10aと、漏斗状の集水カバー10bとを有している。集水カバー10bは、タンク10aの上部に着脱可能に設けられている。つまり、吸熱器15で結露をさせ、その結露水を漏斗状の集水カバー10bで集めてタンク10aに流入させる構成である。
【0040】
制御部11は、本体ケース1の前面側から見ると本体ケース1における左面側(本体ケース1の横方向における一方側の側面側)に配置されている。制御部11は、本体ケース1の底面上に固定されている。制御部11は、送風部7のモータ16と、圧縮機12と、除湿ロータ部8の回転部21と、加熱部22とを、使用者によって押された操作部5のスイッチに基づいて制御する。
【0041】
本体ケース1内には、第1送風路23と、第2送風路24とを備えている。
【0042】
第1送風路23は、送風部7によって、吸込口2から空気を吸引し放熱器13、加熱部22、放湿部19b、吸熱器15、吸湿部19aの順に供給し、送風部7を介して吹出口3から排出する風路である。
【0043】
第2送風路24は、送風部7によって、吸込口2から空気を吸引し放熱器13に供給し、送風部7を介して吹出口3から排出する風路である。
【0044】
詳細に説明すると、第1送風路23においては、放熱器13によって温められた室内空気は、更に加熱部22によって温められ、除湿ロータ19の放湿部19bに供給される。
【0045】
放湿部19bでは、吸湿部19aで吸着した水分が除湿ロータ19の回転駆動により放湿部19bに移動し、加熱部22の加熱により供給された空気に放出される。この高湿の空気が吸熱器15に供給され、冷却されることにより結露し、水分は水滴として取出される。この後、冷却された空気は、除湿ロータ19の吸湿部19aに供給され、更に空気中の水分が吸湿部19aに吸着され、乾燥した空気となる。さらに、水分を吸着する際の吸着熱が発生するので、室内空気は湿度が低減し、温度が上昇した状態で、送風部7に吸引され、吹出口3から室内へ送風されることになる。なお、吸熱器15において結露した水分は水滴として下方に滴下し、貯水タンク部10のタンク10a内に流れ込む。
【0046】
第2送風路24においては、放熱器13によって温められた室内空気は、送風部7に吸引され、吹出口3から室内へ送風されることになる。つまり、第1送風路23を通過する空気と、第2送風路24を通過する空気とは、送風部7で混ざり合った状態となり、送風部7によって吹出口3から吹き出す。
【0047】
本実施形態の特徴は、図7で示すように、制御部11が、除霜運転の直前に、除湿抑制運転を行う点である。具体的には、まず、制御部11は、圧縮機12(ヒートポンプ6)と、送風部7と、加熱部22と、回転部21と、を連動して運転することで除湿運転を開始する。次に、制御部11は、除湿運転の開始から第1所定時間(20分)の後に、吸熱器温度センサー25によって、吸熱器15の温度を測定する。制御部11は、吸熱器温度センサー25が測定した温度が、第1設定温度(0.5℃)以下の場合には、吸熱器15に着霜がある状態で徐々に霜が吸熱器15に蓄積され着霜量が増加すると判断し、第2所定時間(5分)の間、除湿運転に比べて除湿量が少ない除湿抑制運転を行う。
【0048】
除湿抑制運転は、加熱部22と回転部21との運転を停止し、圧縮機12(ヒートポンプ6)と送風部7による除湿運転のことである。この運転では、加熱部22と回転部21の運転を停止することで、除湿ロータ19による除湿機能が無くなるため吸熱器15に蓄積される着霜量が減る効果がある。また、吸熱器15に蓄積される着霜量をコントロールすることで、除霜運転での融け残りの発生を回避することができる。
【0049】
除湿抑制運転終了後に、第3所定時間(10分)の間、吸熱器15に付着した霜を溶かす除霜運転を行う。この除湿運転は、圧縮機12(ヒートポンプ6)の運転を停止し、送風部7と加熱部22と回転部21の連動した運転による加熱部22を利用した温風による除霜方法である。温風を利用することで吸熱器15に付着した霜を効率良く溶かす除霜運転を行うことができる。
【0050】
除霜運転終了後には、元の除湿運転に自動で戻ることで、着霜が起こりやすい条件で吸熱器15が閉塞し、加熱部22の安全装置が動作して除霜運転ができなくなることがなく、信頼性の高い除湿装置を提供することができる。なお、加熱部22には、安全装置(図示せず)が設けられ、加熱部22が所定の温度より高い温度になると、制御部は、加熱部22の動作を停止する。また、確実な除霜運転により、融け残りが成長して吸熱器15が閉塞、氷により排水路が塞がれて水漏れ等の不具合を起こすことがなく、信頼性の高い除湿装置を提供することができる。
【0051】
なお、温度上昇抑制運転の際に送風部7の回転数を除湿運転時と除霜運転時の回転数より増加させることで、加熱部22を通過する風量を増加させることで、より効果的に安全装置の温度上昇を抑制することができる。また、同時に吸熱器15に付着した霜をより多く溶かすことができる。
【0052】
なお、温度上昇抑制運転直後の除霜運転における加熱部22の温度は、温度上昇抑制運転の直前の除霜運転における加熱部22の温度より高く設定することで、より短時間で吸熱器15に付着した霜の融け残りをなくすことができる。
【0053】
また、図7で示すように、制御部11は、除湿装置の電源を入れ、除湿運転を開始し、第1所定時間(20分)より短い第6所定時間(5分)の後に、本体ケース1の外から吸込む空気の温度を測定する空気温度センサー26で測定した温度が、第2設定温度(9℃)以下であり、かつ吸熱器15の温度を測定する吸熱器温度センサー25で測定した温度が、第3設定温度(2℃)未満の場合には、第3所定時間(10分)の間、除霜運転を行うことで、除霜運転、除湿運転を交互に繰り返すうちに融け残りが成長して吸熱器15が閉塞して氷により排水路が塞がれて水漏れ等の不具合が発生する可能性を限りなく減らすことができる。
【0054】
上記は、第1所定時間を20分、第2所定時間を5分、第3所定時間を10分、第6所定時間を5分、第1設定温度を0.5℃、第2設定温度を9℃、第3設定温度を2℃とする1例にて説明した。
【0055】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施形態2の除湿装置の運転モード別制御動作を示す図である。実施の形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0056】
図8に示すように、実施の形態1と相違する点は、除霜運転途中に、温度上昇抑制運転を設けた点である。具体的には、除霜運転途中に、第4所定時間(3分)の間、加熱部22と回転部21の運転を停止する温度上昇抑制運転を行うことで、より確実に加熱部22の安全装置が動作して除霜運転ができなくなる可能性を回避することができる。
【0057】
温度上昇抑制運転は、圧縮機12(ヒートポンプ6)と加熱部22と回転部21の運転を停止し、送風部7のみの運転による除霜方法である。従って、加熱部22の出力がOFFのため安全装置の温度上昇を抑制することができる。
【0058】
温度上昇抑制運転直後の除霜運転の運転時間である第5所定時間(4分)を温度上昇抑制運転の直前の除霜運転の運転時間より長くすることで、より確実に吸熱器15に付着した霜の融け残りをなくすことができる。
【0059】
上記は、第4所定時間を3分、第5所定時間を4分とする1例にて説明した。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明にかかる除湿装置は、吸熱器の霜を確実に除去する除霜運転の制御に関するものであり除霜性能が向上するとともに、安定的に吸熱器の霜を除去できるので、衣類乾燥や除湿用に使用される除湿装置等として有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 本体ケース
2 吸込口
3 吹出口
4 ルーバー
5 操作部
6 ヒートポンプ
7 送風部
8 除湿ロータ部
9 取付台
9a 取付板
9b 支持脚
9c 空間部
10 貯水タンク部
10a タンク
10b 集水カバー
11 制御部
12 圧縮機
13 放熱器
13a 放熱フィン
13b 連結管
14 膨張器
15 吸熱器
15a 吸熱フィン
15b 連結管
16 モータ
17 ファン
17a 主板
17b 羽根
17c 吸込みリング
17d 回転軸固定部
18 ケーシング
18a 吸気口
18b 吐出口
19 除湿ロータ
19a 吸湿部
19b 放湿部
20 ロータ枠
21 回転部
22 加熱部
23 第1送風路
24 第2送風路
25 吸熱器温度センサー
26 空気温度センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8