(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】部品実装システムおよびテープフィーダ並びに部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
H05K13/04 B
(21)【出願番号】P 2020559762
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2019040559
(87)【国際公開番号】W WO2020116029
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2018226323
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】礒端 美伯
(72)【発明者】
【氏名】堀江 敦行
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/063328(WO,A1)
【文献】特開2017-157654(JP,A)
【文献】特開2018-064045(JP,A)
【文献】特開2017-220685(JP,A)
【文献】国際公開第2015/121942(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置に前記ポケットを停止させるテープフィーダと、
ピックアップ位置へ移動し、前記目標停止位置に停止した前記ポケットから前記部品をピックアップし、ピックアップした前記部品を基板に装着する装着ヘッドを有する部品実装装置と、
複数の候補の中からひとつの前記目標停止位置を設定するために必要な情報を記憶する記憶部と、
前記テープフィーダに対し、前記記憶部に記憶された前記情報に基づいて前記目標停止位置を設定する目標停止位置設定部と、
前記記憶部に記憶された前記情報に基づいて求めた前記目標停止位置、若しくは、前記目標停止位置設定部が求めた前記目標停止位置に応じて前記テープフィーダから部品をピックアップする際のピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部と、
を備え
、
前記目標停止位置は、搬送される前記キャリアテープを押えるテープ押え部材に開口する開口部の後縁を起点に設定される、
部品実装システム。
【請求項2】
前記目標停止位置を設定するために必要な情報には、前記テープフィーダを特定するための情報と、前記テープフィーダに設定すべき前記目標停止位置を特定するための情報と、を含む
請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置に前記ポケットを停止させるテープフィーダと、
ピックアップ位置へ移動し、前記目標停止位置に停止した前記ポケットから前記部品をピックアップし、ピックアップした前記部品を基板に装着する装着ヘッドを有する部品実装装置と、
を備え、
前記テープフィーダは、操作部と、前記操作部からの入力に基づいて複数の候補の中から前記目標停止位置を設定する目標停止位置設定部とを有し、
前記部品実装装置は、前記目標停止位置設定部で設定した前記目標停止位置に応じて前記ピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部を有
し、
前記目標停止位置は、搬送される前記キャリアテープを押えるテープ押え部材に開口する開口部の後縁を起点に設定される、
部品実装システム。
【請求項4】
前記テープフィーダは、複数の前記目標停止位置を記憶した記憶部を有し、
前記目標停止位置設定部は、前記複数の目標停止位置のうち前記操作部からの入力によって選択されたひとつの前記目標停止位置を設定する
請求項3に記載の部品実装システム。
【請求項5】
部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置に前記ポケットを停止させるテープフィーダと、
ピックアップ位置へ移動して前記目標停止位置に停止した前記ポケットから前記部品をピックアップし、ピックアップした前記部品を基板に装着する装着ヘッドを有する部品実装装置と、
を備え、
前記テープフィーダは、複数の候補の中から設定されたひとつの前記目標停止位置に関する情報を記憶した記憶部を有し、
前記部品実装装置は、前記記憶部に記憶されている前記目標停止位置に応じて前記ピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部を有
し、
前記目標停止位置は、搬送される前記キャリアテープを押えるテープ押え部材に開口する開口部の後縁を起点に設定される、
部品実装システム。
【請求項6】
部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置に前記ポケットを停止させるテープフィーダと、
ピックアップ位置へ移動し、前記目標停止位置に停止した前記ポケットから前記部品をピックアップし、ピックアップした前記部品を基板に装着する装着ヘッドを有する部品実装装置と、
複数の候補の中からひとつの前記目標停止位置を設定するために必要な情報を記憶する記憶部と、
前記テープフィーダに対し、前記記憶部に記憶された前記情報に基づいて前記目標停止位置を設定する目標停止位置設定部と、
前記記憶部に記憶された前記情報に基づいて求めた前記目標停止位置、若しくは、前記目標停止位置設定部が求めた前記目標停止位置に応じて前記テープフィーダから部品をピックアップする際のピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部と、
を備えた部品実装システムで使用可能なテープフィーダであって、
前記目標停止位置設定部によって設定された前記目標停止位置に前記ポケットを停止させる制御部を備え
、
前記目標停止位置は、搬送される前記キャリアテープを押えるテープ押え部材に開口する開口部の後縁を起点に設定される、
テープフィーダ。
【請求項7】
前記制御部は、前記目標停止位置が設定されると、部品が収納された前記ポケットを設定された前記目標停止位置に停止させる頭出し作業を行う
、
請求項6に記載のテープフィーダ。
【請求項8】
部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置に前記ポケットを停止させるテープフィーダと、
ピックアップ位置へ移動し、前記目標停止位置に停止した前記ポケットから前記部品をピックアップし、ピックアップした前記部品を基板に装着する装着ヘッドを有する部品実装装置と、
を備え、
前記テープフィーダは、操作部と、前記操作部からの入力に基づいて複数の候補の中から前記目標停止位置を設定する目標停止位置設定部とを有し、
前記部品実装装置は、前記目標停止位置設定部で設定した前記目標停止位置に応じて前記ピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部を有する部品実装システムで使用可能なテープフィーダであって、
前記ポケットに前記部品が収納されたキャリアテープを走行路に沿ってピッチ送りするキャリアテープ搬送機構と、
操作部と、
前記操作部からの入力に基づいて複数の候補の中から前記目標停止位置を設定する前記目標停止位置設定部と、
前記目標停止位置設定部によって設定された目標停止位置に前記ポケットを停止させるように前記キャリアテープ搬送機構を制御する制御部と、
を備え
、
前記目標停止位置は、搬送される前記キャリアテープを押えるテープ押え部材に開口する開口部の後縁を起点に設定される、
テープフィーダ。
【請求項9】
前記制御部は、前記目標停止位置が設定されると、部品が収納された前記ポケットを設定された前記目標停止位置に停止させる頭出し作業を行う
請求項
8に記載のテープフィーダ。
【請求項10】
複数の前記目標停止位置を記憶した記憶部をさらに有し、
前記目標停止位置設定部は、前記複数の目標停止位置のうち前記操作部からの入力によって選択されたひとつの前記目標停止位置を設定する
請求項
8または
9に記載のテープフィーダ。
【請求項11】
部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置に前記ポケットを停止させるテープフィーダと、
ピックアップ位置へ移動して前記目標停止位置に停止した前記ポケットから前記部品をピックアップし、ピックアップした前記部品を基板に装着する装着ヘッドを有する部品実装装置と、
を備え、
前記テープフィーダは、複数の候補の中から設定されたひとつの前記目標停止位置に関する情報を記憶した記憶部を有し、
前記部品実装装置は、前記記憶部に記憶されている前記目標停止位置に応じて前記ピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部を有する部品実装システムで使用可能なテープフィーダであって、
前記ポケットに前記部品が収納されたキャリアテープを走行路に沿ってピッチ送りするキャリアテープ搬送機構と、
複数の候補の中から設定されたひとつの前記目標停止位置に関する情報を記憶した記憶部と、
前記目標停止位置に前記ポケットを停止させるように前記キャリアテープ搬送機構を制御する制御部と、
を備え
、
前記目標停止位置は、搬送される前記キャリアテープを押えるテープ押え部材に開口する開口部の後縁を起点に設定される、
テープフィーダ。
【請求項12】
前記制御部は、部品が収納された前記ポケットを設定された前記目標停止位置に停止させる頭出し作業を行う
請求項
11に記載のテープフィーダ。
【請求項13】
部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置に前記ポケットを停止させるテープフィーダを装着可能であり、ピックアップ位置へ移動し、前記目標停止位置に停止した前記ポケットから前記部品をピックアップし、ピックアップした前記部品を基板に装着する装着ヘッドを有する部品実装装置であって、
前記テープフィーダに対して複数の候補の中からひとつの前記目標停止位置を設定する目標停止位置設定部と、
前記目標停止位置に応じて前記ピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部と、
を備え
、
前記目標停止位置は、前記テープフィーダに設けられた搬送される前記キャリアテープを押えるテープ押え部材に開口する開口部の後縁を起点に設定される、
部品実装装置。
【請求項14】
前記目標停止位置を設定するために必要な情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記目標停止位置設定部は、前記記憶部に記憶された前記情報に基づいて前記目標停止位置を設定し、
前記ピックアップ位置設定部は、前記記憶部に記憶された前記情報に基づいて求めた前記目標停止位置、若しくは、前記目標停止位置設定部が求めた前記目標停止位置に応じて前記ピックアップ位置を設定する
請求項
13に記載の部品実装装置。
【請求項15】
前記目標停止位置を設定するために必要な情報には、前記テープフィーダを特定するための情報と、前記テープフィーダに設定すべき前記目標停止位置を特定するための情報と、を含む
請求項
14に記載の部品実装装置。
【請求項16】
部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置に前記ポケットを停止させるテープフィーダを装着可能であり、ピックアップ位置へ移動し、前記目標停止位置に停止した前記ポケットから前記部品をピックアップし、ピックアップした前記部品を基板に装着する装着ヘッドを有する部品実装装置であって、
前記テープフィーダから複数の候補の中から設定されたひとつの前記目標停止位置に関する情報を取得し、取得した前記目標停止位置に応じて前記ピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部を備え
、
前記目標停止位置は、前記テープフィーダに設けられた搬送される前記キャリアテープを押えるテープ押え部材に開口する開口部の後縁を起点に設定される、
部品実装装置。
【請求項17】
前記ピックアップ位置設定部は、前記テープフィーダの記憶部に記憶された前記目標停止位置に関する情報を取得する
、
請求項
16に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テープフィーダが供給する部品を装着ヘッドによりピックアップして基板に装着する部品実装システム、および、その部品実装システムで使用することができるテープフィーダ、並びに、部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装装置は、基板を搬送して作業位置に位置決めする基板搬送部を備えた基台と、基台に取り付けられた部品供給装置が供給する部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドを備えて構成されている。部品供給装置としては、ポケットに部品が収納されたキャリアテープをピッチ送りして所定の部品供給位置に部品を供給するテープフィーダが多用されている。
【0003】
テープフィーダは、キャリアテープの走行路であるテープ走行路が設けられた本体部の内部にスプロケットを有している。テープフィーダは、本体部の後端部からテープ走行路内に挿入されたキャリアテープを、本体部の前端側に位置するスプロケットによって前方に向けてピッチ送りする。テープ走行路内のキャリアテープのうち、スプロケットの外周歯と係合する部分の近傍一帯はテープ押さえ部材によって上方から押さえられている。ポケットに収納された部品は、テープ押さえ部材に設けられた開口部から装着ヘッドによってピックアップされる。テープフィーダは、ポケットのピッチに応じた送り量でキャリアテープをピッチ送りすることにより、ポケットを開口部内の目標停止位置に停止させ、その位置を部品供給位置として部品を供給する。そして、装着ヘッドが部品をピックアップするピックアップ位置を部品供給位置に定めておくことにより、テープフィーダが部品供給位置に供給した部品を装着ヘッドによりピックアップすることが可能となる。通常、テープフィーダにおける目標停止位置は、ポケットや部品のサイズ(以下、「サイズ」とは、キャリアテープの送り方向のサイズを指す)やポケットのピッチに関係なく、1箇所に固定されている。従って、複数のテープフィーダを並べて基台に取り付けると、目標停止位置、すなわちピックアップ位置は一直線上に揃うことになる。
【0004】
キャリアテープには、ポケットに収納された部品がポケットから脱落することを防止するトップテープが貼り付けられている。トップテープは、ポケットが開口部内に到達する前に剥ぎ取られるため、ポケットは開口部内では上方に開放された状態となる。開放状態となったポケットからの部品の不慮の脱落をできるだけ避けようとすると、部品供給位置には部品を収納したポケットを1つだけ位置させるのが好ましい。一方、ポケットのサイズやポケットのピッチは部品サイズやキャリアテープの種類によって様々であるが、開口部の寸法はあらゆる部品サイズやキャリアテープに対応させるため、想定されている最大の部品サイズを考慮した大きさになっている。このため、小さなサイズの部品やポケットのピッチの狭いキャリアテープの場合、目標停止位置に1つのポケットを停止させると、その上流側のポケットも同じ開口部に開口された状態で位置することがある。このため、作業者は供給する部品のサイズやキャリアテープの種類が変わると、本体部に対するテープ押さえ部材の取り付け位置をキャリアテープの送り方向にずらして、開口部の後縁の位置を調整する作業(テープ押さえ部材の位置調整作業)を行い、テープ押さえ部材が目標停止位置の上流側に隣接するポケットの上方を覆うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の形態の部品実装システムは、テープフィーダと、部品実装装置と、記憶部と、目標停止位置設定部と、ピックアップ位置設定部と、を有する。
【0007】
テープフィーダは、部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置にポケットを停止させる。
【0008】
部品実装装置は、ピックアップ位置へ移動し、目標停止位置に停止したポケットから部品をピックアップし、ピックアップした部品を基板に装着する装着ヘッドを有する。
【0009】
目標停止位置設定部は、テープフィーダに対して複数の候補の中からひとつの目標停止位置を設定する。
【0010】
ピックアップ位置設定部は、目標停止位置に応じてピックアップ位置を設定する。
【0011】
本開示の第2の形態の部品実装システムは、テープフィーダと、部品実装装置と、を有する。
【0012】
テープフィーダは、部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置にポケットを停止させる。
【0013】
部品実装装置は、ピックアップ位置へ移動し、目標停止位置に停止したポケットから部品をピックアップし、ピックアップした部品を基板に装着する装着ヘッドを有する。
【0014】
テープフィーダは、操作部と、操作部からの入力に基づいて複数の候補の中から目標停止位置を設定する目標停止位置設定部とを有する。
【0015】
部品実装装置は、目標停止位置設定部で設定した目標停止位置に応じてピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部を有する。
【0016】
本開示の第3の形態の部品実装システムは、テープフィーダと、部品実装装置と、を有する。
【0017】
テープフィーダは、部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置にポケットを停止させる。
【0018】
部品実装装置は、ピックアップ位置へ移動して、目標停止位置に停止したポケットから部品をピックアップし、ピックアップした部品を基板に装着する装着ヘッドを有する。
【0019】
テープフィーダは、複数の候補の中からひとつの目標停止位置に関する情報を記憶した記憶部を有する。
【0020】
部品実装装置は、記憶部に記憶されている目標停止位置に応じてピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部を有する。
【0021】
本開示の第1の形態のテープフィーダは、上記本開示の第1の形態の部品実装システムで使用可能なテープフィーダである。
【0022】
テープフィーダは、目標停止位置設定部によって設定された目標停止位置にポケットを停止させる制御部を有している。
【0023】
本開示の第2の形態のテープフィーダは、上記本開示の第2の形態の部品実装システムで使用可能なテープフィーダである。
【0024】
テープフィーダは、キャリアテープ搬送機構と、操作部と、目標停止位置設定部と、制御部と、を有している。
【0025】
キャリアテープ搬送機構は、ポケットに部品が収納されたキャリアテープを走行路に沿ってピッチ送りする。
【0026】
目標停止位置設定部は、操作部からの入力に基づいて複数の候補の中から目標停止位置を設定する。
【0027】
制御部は、目標停止位置設定部によって設定された目標停止位置にポケットを停止させるようにキャリアテープ搬送機構を制御する。
【0028】
本開示の第3の形態のテープフィーダは、上記本開示の第3の形態の部品実装システムで使用可能なテープフィーダである。
【0029】
テープフィーダは、キャリアテープ搬送機構と、記憶部と、制御部と、を有する。
【0030】
キャリアテープ搬送機構は、ポケットに部品が収納されたキャリアテープを走行路に沿ってピッチ送りする。
【0031】
記憶部は、複数の候補の中から設定されたひとつの目標停止位置に関する情報を記憶している。
【0032】
制御部は、目標停止位置にポケットを停止させるようにキャリアテープ搬送機構を制御する。
【0033】
本開示の第1の部品実装装置は、部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置にポケットを停止させるテープフィーダを装着可能であり、ピックアップ位置へ移動し、目標停止位置に停止したポケットから部品をピックアップし、ピックアップした部品を基板に装着する装着ヘッドを有する。
【0034】
部品実装装置は、目標停止位置設定部と、ピックアップ位置設定部と、を有する。
【0035】
目標停止位置設定部は、テープフィーダに対して複数の候補の中からひとつの目標停止位置を設定する。
【0036】
ピックアップ位置設定部は、目標停止位置に応じてピックアップ位置を設定する。
【0037】
本開示の第2の部品実装装置は、部品が収納されたポケットを有するキャリアテープを搬送して、予め設定された目標停止位置にポケットを停止させるテープフィーダを装着可能であり、ピックアップ位置へ移動し、目標停止位置に停止したポケットから部品をピックアップし、ピックアップした部品を基板に装着する装着ヘッドを有する。
【0038】
部品実装装置は、テープフィーダから複数の候補の中から設定されたひとつの目標停止位置に関する情報を取得し、取得した目標停止位置に応じてピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部を有している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、実施の形態1における部品実装システムの側面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1におけるテープフィーダの斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1におけるテープフィーダの部分拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1におけるテープフィーダの部分拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1におけるテープフィーダの部分拡大図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1におけるテープフィーダの部分平面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1におけるテープフィーダの部分側断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1における部品実装システムの制御系統を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2における部品実装システムの制御系統を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態3における部品実装システムの制御系統を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
従来のテープ押さえ部材の位置調整作業は非常に面倒であり、時間がかかるものであった。しかも、ひとつの部品実装装置に使用されるテープフィーダの数は複数であるのが通常であることから、作業者の作業負担は極めて大きかった。
【0041】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本開示の実施の形態1について説明する。
図1において、実施の形態1における部品実装システム1は、部品実装装置2と、部品実装装置2に部品を供給するテープフィーダ3と、部品実装装置2と、通信可能な情報管理装置4とを備えている。
【0042】
部品実装システム1は、部品実装装置2と、テープフィーダ3と、情報管理装置4とを有している。部品実装装置2は、基台11、基板搬送部12、ヘッド移動機構13、装着ヘッド14、および部品カメラ15を有する。テープフィーダ3は、部品実装装置2に部品を供給する。情報管理装置4は、部品実装装置2と通信可能である。部品実装装置2は、図示しない上流工程側の装置(例えば半田印刷機や他の部品実装装置)から送られてきた基板KBを搬入して作業位置に位置決めする。そして、部品実装装置2は、基板KB上に設けられた複数の電極(図示せず)のそれぞれに部品BHを装着したうえで、下流工程側の装置(例えば他の部品実装装置や検査機、リフロー炉等)に搬出する動作を繰り返し実行する。
【0043】
情報管理装置4は部品実装装置2と通信可能に接続されている。情報管理装置4は、部品実装装置2の動作に必要な動作プログラムや、部品ライブラリ等の生産データを、部品実装装置2へダウンロードする。部品実装装置2は、情報管理装置4からダウンロードした生産データに従って作動する。
【0044】
図1において、基板搬送部12は、基台11上を作業者OPから見た左右方向(X軸方向とする)に延びる一対のベルトコンベア12aを有している。基板搬送部12は、これら一対のベルトコンベア12aが同時に駆動されることで基板KBをX軸方向に搬送し、所定の作業位置に基板KBを位置決めする。
【0045】
図1において、基台11の作業者OPから見た前後方向(Y軸方向とする)の端部には床面F上を移動自在なフィーダ台車21が連結されている。フィーダ台車21はその上部にフィーダベース22を備えており、テープフィーダ3はフィーダベース22のスロット22Sに着脱自在に取り付けられている(
図2)。フィーダベース22には複数のテープフィーダ3をX軸方向に並べて取り付けることができる。フィーダベース22に取り付けられたそれぞれのテープフィーダ3は、フィーダ台車21が基台11に連結されることで基台11に取り付けられる。
【0046】
図1において、フィーダ台車21にはキャリアテープ23が巻き付けられたリール24が回転自在に保持されている。リール24から引き出されたキャリアテープ23はテープフィーダ3の後端部から挿入される。テープフィーダ3は後端部から挿入されたキャリアテープ23をピッチ送りすることで所定の目標位置(後述する目標停止位置3a)に部品BHを供給する。リール24はフィーダベース22に取り付けられた各々のテープフィーダ3に対応して設けられている。
【0047】
図2において、テープフィーダ3は、全体としてY軸方向に延びた形状を有する本体部31を有している。本体部31には、キャリアテープ23の走行路であるテープ走行路32が設けられており、本体部31の内部にはテープ走行路32に沿ってキャリアテープ23をピッチ送り(搬送)するキャリアテープ搬送機構を備えている。キャリアテープ搬送機構は、スプロケット33とそのスプロケット33を間欠回転させるスプロケット駆動モータ34を含んでいる(
図2中に示す領域Rの拡大図である
図3参照)。本体部31の後端部にはテープ走行路32に繋がるテープ挿入口35が設けられており、スプロケット33とスプロケット駆動モータ34は、本体部31の前端側(基板搬送部12に近い側)の上部に設けられている。
【0048】
図2および
図3において、本体部31の前端側の上部のスプロケット33の上方の位置にはテープ押さえ部材36が設けられている。テープ押さえ部材36は、テープ走行路32を走行するキャリアテープ23のうち、スプロケット33の外周歯と係合する部分の近傍一帯を上方から押さえている。本体部31の前端部では、本体部31の上面31Mとテープ押さえ部材36との間の空間がテープ走行路32の一部となっている。
【0049】
図4において、キャリアテープ23は、長手方向に一定間隔で一列に並んだ多数のポケット23Pを有している。各々のポケット23Pにはひとつずつ部品BHが収納されている。キャリアテープ23の上面には透明なフィルム状のテープ部材から成るトップテープ23Tが貼り付けられており、各々の部品BHはトップテープ23Tによってポケット23P内に封止されている。キャリアテープ23のポケット23Pの列と平行する位置には、複数の送り孔23Kが一列に並んで設けられている。
【0050】
スプロケット33の外周には多数の送りピン33Pが半径方向外側に延びて設けられている。スプロケット33はスプロケット駆動モータ34によって、最上部の送りピン33Pが前方へ移動する方向(
図2、
図3および
図4中に示す矢印A)に間欠的に回転駆動される。スプロケット33の最上部に当たる送りピン33Pは、本体部31の上面31Mとテープ押さえ部材36との間の空間を通るキャリアテープ23の送り孔23Kに引っ掛かるようになっている(
図4)。そして、スプロケット33が間欠回転すると、キャリアテープ23はテープ走行路32内を前方に向けて搬送される(
図2、
図3および
図4中に示す矢印B)。テープ押さえ部材36を通過したキャリアテープ23は、本体部31の前端部から外部に排出される。
【0051】
図3おいて、テープ押さえ部材36には上方に開口した開口部37が設けられている。テープ押さ部材36の開口部37の後縁(開口部後縁37Eと称する)よりも後側の位置には本体部31の幅方向(X軸方向)に延びたスリット状のトップテープ引出し口38が設けられている。キャリアテープ23の上面に貼り付けられたトップテープ23Tはトップテープ引出し口38から後方に引き出され(
図5の(a),(b)も参照)、本体部31の前後方向の中間部に設けられたトップテープ回収部39に掛け渡されている。
【0052】
スプロケット駆動モータ34によって駆動されたスプロケット33がキャリアテープ23を前方にピッチ送りすると、そのピッチ送りに合わせてトップテープ回収部39がトップテープ23Tを後方に引っ張るように動作する(
図2および
図3中に示す矢印C)。これによりトップテープ23Tは開口部37に到達する前にキャリアテープ23の上面から剥ぎ取られ、ポケット23Pは開口部37内では上方に開放された状態となる。
【0053】
図5は、本実施の形態のテープフィーダの部分拡大図である。
図5の(a)は、平面図を示しており、
図5の(b)は、断面側面図を示している。
図5の(a),(b)に示すように、テープ走行路32上の開口部37内には目標停止位置3aが設定されており、スプロケット33は、各々のポケット23Pの中心が(すなわち部品BHの中心が)目標停止位置3aに停止するように、キャリアテープ23のピッチ送り動作が制御される。これによりテープフィーダ3の目標停止位置3aには部品BHが連続的に供給される。
【0054】
実施の形態1では、キャリアテープ23のピッチ送りによって開口部37内に到達したポケット23Pの後縁(ポケット後縁23Eと称する)と、ポケット23Pよりも上流側に隣接するポケット23Pの前縁(上流側ポケット前縁23Fと称する)の間にテープ押さえ部材36の開口部後縁37Eが位置するときのポケット23Pの中心位置を目標停止位置3aとしている(
図5の(a),(b))。このような目標停止位置3aにポケット23Pを停止させるようにすれば、部品BHを収納したポケット23Pを開口部37内に1つだけ位置させることができる。これにより、目標停止位置3aの上流側に位置するトップテープ23Tが剥離されて開放状態となったポケット23Pが開口部37に長時間とどまることが回避され、開放状態のポケット23Pから部品BHが不慮に脱落してしまう事態を極力避けることができる。
【0055】
図6は、実施の形態1におけるテープフィーダの部分平面図である。
図7は、実施の形態1におけるテープフィーダの部分側断面図である。目標停止位置3aは、ポケット23Pのサイズやポケット23Pの間隔(ピッチ)によって異なる。例えば、キャリアテープ23が供給する部品BHが3種類あり、その3種類の部品BHのサイズが相対的に小(
図6の(a)および
図7の(a))、中(
図6の(b)および
図7の(b))、大(
図6の(c)および
図7の(c))であったとする。この場合、目標停止位置3aに位置したポケット23Pの中心位置と開口部後縁37Eとの間の距離を「離間距離D」と称すると(
図5の(a),(b))、離間距離Dは、ポケット23Pのサイズが大きいほど大きな値となる。小サイズの部品BHに対応する離間距離DであるD1、中サイズの部品BHに対応する離間距離DであるD2、大サイズの部品に対応する離間距離DであるD3の大小関係は、D1<D2<D3となる。また、ポケット23PのサイズをL、ポケット23PのピッチをQとすると(
図5(b))、離間距離Dは、(L/2)<D<Q-(L/2)で示す範囲で設定可能である。
【0056】
実施の形態1では、テープフィーダ3によって供給される可能性のある複数種の部品BHそれぞれのサイズ(すなわちポケット23Pのサイズ)に応じた目標停止位置3aが上記離間距離Dによって表される位置データの形で予め求められており、これら複数の位置データが目標停止位置3aの候補として用意されている。そして、テープフィーダ3が供給する部品BHのサイズに応じて複数の目標停止位置3aの候補の中からひとつの目標停止位置3aが選択されて設定されると、その設定された目標停止位置3aにポケット23Pが停止するようにキャリアテープ23のピッチ送りが制御されるようになっている(詳細は後述)。
【0057】
図1において、ヘッド移動機構13は直交座標ロボットから成り、装着ヘッド14を水平面内で移動させる。装着ヘッド14には上下方向(Z軸方向とする)への移動動作とZ軸回りの回転動作が可能な複数のノズル14aが下向きに取り付けられている。装着ヘッド14は、テープフィーダ3が目標停止位置3aに供給した部品BHにノズル14aの下端部を上方から近接させて吸引することで、部品BHを吸着してピックアップする。
【0058】
図1において、部品カメラ15は撮像視野を上方に向けた姿勢で基台11に取り付けられている。部品BHをピックアップした装着ヘッド14は部品カメラ15の上方を通過し、部品カメラ15は部品BHを認識する。装着ヘッド14は部品カメラ15に部品BHを認識させた基板KBの上方に移動し、その部品BHを作業位置に位置決めされた基板KB上の電極に装着する。
【0059】
このような部品実装装置2の一連の部品実装動作は、部品実装装置2が備える制御装置40(
図1)が実行する。
図8に示すように、制御装置40は、記憶部41、動作制御部42、目標停止位置設定部43およびピックアップ位置設定部44を備えている。記憶部41には、テープフィーダ3および装着ヘッド14の動作を規定した動作プログラム41aが記憶されている。動作制御部42は、動作プログラム41aに従って、基板搬送部12による基板KBの搬送および位置決め、テープフィーダ3による部品BHの供給、ヘッド移動機構13による装着ヘッド14の移動、装着ヘッド14による部品BHのピックアップと基板KBへの装着、部品カメラ15による部品BHの撮像(認識)等の制御を実行する。
【0060】
図8に示すように、各々のテープフィーダ3はスプロケット駆動モータ34およびトップテープ回収部39の作動制御を行う制御部3Cを備えている。各々のテープフィーダ3の制御部3Cは、フィーダ台車21が基台11に接続されて、テープフィーダ3が基台11に取り付けられると、部品実装装置2の制御装置40と電気的に接続された状態となる。動作制御部42は、各々のテープフィーダ3が備える制御部3Cに指令を行うことで、テープフィーダ3を作動させる。
【0061】
図8において、記憶部41には上記の動作プログラム41aのほか、部品ライブラリ41bと目標停止位置データ41cが記憶されている。部品ライブラリ41bには、部品実装装置2が取り扱う(基板KBに装着する)可能性のある部品BHの形状やサイズ等のデータが記録されており、動作制御部42が動作プログラム41aを実行する過程で、必要に応じて部品BHのデータ等を参照できるようになっている。目標停止位置データ41cには、部品ライブラリ41bに記録された複数のサイズの部品BHそれぞれに応じた複数の目標停止位置3aが位置データの形で記録されている。上述の例では、3つの離間距離Dに対応する位置データ「D1,D2,D3」が目標停止位置データ41cに記録された複数の目標停止位置3aに相当する。
【0062】
目標停止位置設定部43は、テープフィーダ3における目標停止位置3aを可変に設定する。テープフィーダ3への目標停止位置3aの設定は、部品実装装置2の生産が開始される前や、機種切り替えが行われたタイミングで実行される。
【0063】
具体的には、目標停止位置設定部43は、記憶部41に記憶された目標停止位置3aを設定するために必要な情報に基づいて、各々のテープフィーダ3に対して目標停止位置3aを設定する。目標停止位置3aを設定するために必要な情報にはテープフィーダ3を特定するための情報と、そのテープフィーダ3に設定すべき目標停止位置を特定するための情報が含まれる。
【0064】
目標停止位置設定部43は、記憶部41の動作プログラム41aや部品ライブラリ41b等から、テープフィーダ3を特定するための情報と、テープフィーダ3に設定すべき目標停止位置3aを特定するための情報を読み取り、テープフィーダ3と目標停止位置3aの対応関係を特定する。すなわち、各々のテープフィーダ3に設定すべき目標停止位置3aを特定する。そして、部品実装装置2に装着されているテープフィーダ3の制御部に目標停止位置3aの情報を送信する。これにより目標停止位置設定部43によるテープフィーダ3への目標停止位置3aの設定処理は完了する。
【0065】
テープフィーダ3を特定するための情報としては、テープフィーダ3を識別するためのテープフィーダ識別情報、部品実装装置2におけるテープフィーダ3の装着位置情報(例えばフィーダベース22のスロット22Sの位置情報等)を利用することができる。目標停止位置3aを特定するための情報としては、位置データ「D1,D2,D3」や位置データを識別するための文字や数字からなるコードなどがある。テープフィーダ3と目標停止位置3aを特定するための情報の対応関係は、動作プログラム41aや部品ライブラリ41b等をたどれば特定することができる。
【0066】
また、目標停止位置3aを特定するための情報としては、部品名などの部品識別情報、部品サイズ、キャリアテープ23の種類、ポケット23PのサイズL、キャリアテープ23におけるポケット23PのピッチQなども利用できる。部品サイズを例にとれば、テープフィーダ3が供給する部品BHのサイズが「小サイズ」であった場合には、その「小サイズ」の部品BHの目標停止位置3aの位置データ「D1」を選択し、「中サイズ」であれば位置データ「D2」、「大サイズ」であれば位置データ「D3」を選択する。部品識別情報、部品サイズ、キャリアテープ23の種類、サイズL、ピッチQのいずれかとテープフィーダ3との対応関係も動作プログラム41aや部品ライブラリ41b等をたどれば特定することができる。そのため、部品識別情報、部品サイズ、キャリアテープ23の種類、サイズL、ピッチQのいずれかより目標停止位置3aを特定すれば、テープフィーダ3と目標停止位置3aの対応関係を導くことができる。
【0067】
目標停止位置設定部43が目標停止位置3aを設定すると、動作制御部42はテープフィーダ3が備える制御部3Cに指令を出し、キャリアテープ23が収納する部品BHのひとつを目標停止位置3aに位置させる頭出し作業を行わせる。これによりそのテープフィーダ3は、部品BHを供給する準備が整った状態となる。
【0068】
ピックアップ位置設定部44は、目標停止位置設定部43によってテープフィーダ3の目標停止位置3aが設定された後、その設定された目標停止位置3aに応じて、ピックアップ位置を設定する。ここで、ピックアップ位置とは、装着ヘッド14が部品BHをピックアップする位置であり、テープフィーダ3ごとに設定される。ピックアップ位置が目標停止位置設定部43によって設定された目標停止位置3aに応じて設定されることにより、テープフィーダ3の目標停止位置3aが変更された場合であっても、装着ヘッド14は必ずそのテープフィーダ3の目標停止位置3aから部品BHをピックアップすることが可能となる。
【0069】
目標停止位置設定部43によってテープフィーダ3の目標停止位置3aが設定され、更に、ピックアップ位置設定部44によって、そのテープフィーダ3の目標停止位置3aに応じたピックアップ位置が設定されたら、そのテープフィーダ3から部品BHをピックアップする準備が整った状態となる。部品実装装置2に装着された全てのテープフィーダ3についてピックアップ位置の設定が完了すると基板KBへの部品実装作業の準備が完了する。部品実装作業の準備が完了したら、制御装置40の動作制御部42は、動作プログラム41aに従ってテープフィーダ3に部品BHを供給させ、装着ヘッド14による部品実装作業を実行する。
【0070】
テープフィーダ3は、制御装置40の動作制御部42からキャリアテープ23をピッチ送りする旨の指令を受け取ると、テープフィーダ3が供給するキャリアテープ23におけるポケット23PのピッチQに応じた送り量でスプロケット33を駆動してキャリアテープ23をピッチ送りする。例えば、上述の小サイズの部品BHを供給するケースでは2ピッチ(1ピッチは送り孔23Kのピッチと同じ)、中サイズの部品BHを供給するケースでは3ピッチ、大サイズの部品BHを供給するケースでは4ピッチでピッチ送りされる。これにより部品BHを収納したポケット23Pがひとつ分ずつ送られて目標停止位置3aに位置決めされる。
【0071】
このように実施の形態1では、テープフィーダ3が、ポケット23Pを停止させる目標停止位置3aを自在に設定することができる構成となっているので、供給する部品BHのサイズやキャリアテープ23の種類(ポケット23Pのピッチ)が変わった場合であっても、従来必要であった作業者OPによるテープ押さえ部材36の位置調整作業は不要である。
【0072】
また、実施の形態1では、目標停止位置設定部43と、目標停止位置3aに応じてピックアップ位置を設定するピックアップ位置設定部44を部品実装装置2に設け、テープフィーダ3に対する目標停止位置3aの設定処理を自動的に行うので、作業者OPによる作業を削減することができる。なお、実施の形態1では、目標停止位置設定部43とピックアップ位置設定部44を部品実装装置2に設けているが、その全部若しくは一部を情報管理装置4に設け、情報管理装置4で設定した目標停止位置3aを部品実装装置2経由でテープフィーダ3に設定するようにしてもよい。
【0073】
(実施の形態2)
図9は実施の形態2を示す部品実装システム1の制御系統をブロック図により示したものである。実施の形態2では、部品実装装置2で目標停止位置3aを設定するのではなく、テープフィーダ53側で目標停止位置3aを設定するようになっている。そして、部品実装装置2がテープフィーダ53から目標停止位置3aを読み取って、テープフィーダ53に対するピックアップ位置を設定するようになっている。テープフィーダ53の基本的な構造や機能は実施の形態1のテープフィーダ3と同じである。
【0074】
図9に示すように、各々のテープフィーダ53は、操作部51を有するほか、制御部53Cに記憶部52を有している。操作部51は、例えばテープフィーダ53に設けられた操作ボタンおよび表示装置から成り、目標停止位置3aを設定するための操作若しくは入力を行うことができる。
【0075】
操作ボタンによる操作内容は表示部に表示される。表示部はランプや文字や数字等を表示可能なディスプレイで構成される。各々のテープフィーダ53はスプロケット駆動モータ34およびトップテープ回収部39の作動制御を行う制御部53Cを備えている。制御部53Cは、フィーダ台車21が基台11に接続されてそのテープフィーダ53が基台11に取り付けられると、部品実装装置2の制御装置40と電気的に接続された状態となる。
【0076】
制御部53Cは、操作部51からの入力を受け付ける。制御部53Cは、記憶部52と目標停止位置設定部54を備えている。記憶部52には複数の目標停止位置3aからなる目標停止位置データが記憶されている。この目標停止位置データは実施の形態1で説明した目標停止位置データ41cと同じである。目標停止位置設定部54は、操作部51からの入力に基づいて記憶部52に記憶されている複数の目標停止位置3aの中のひとつを選択して設定する。制御部53Cは、目標停止位置設定部54によって設定済みの目標停止位置3aにキャリアテープ23のポケット23Pが停止するようにスプロケット駆動モータ34を制御する。
【0077】
次に、目標停止位置3aの設定手順について説明する。作業者OPは、操作部51を操作してテープフィーダ53で供給予定の部品BHやキャリアテープ23に適した目標停止位置3aを設定する。すなわち、作業者OPは、記憶部52に記憶された複数の目標停止位置3aからひとつの目標停止位置3aを選択することによって、テープフィーダ3の目標停止位置3aを設定する入力を行う。
【0078】
具体的には、作業者OPは、操作部51を操作して表示部に表示される数字や文字を切り替える。この数字や文字は、個々の目標停止位置3aを意味しており、作業者OPは所望の目標停止位置3aを意味する情報を表示部に表示させて操作部51の確定ボタンを押す。目標停止位置設定部54は、確定ボタンが押されると表示部に表示されている情報が意味する目標停止位置3aをテープフィーダ53の目標停止位置3aとして設定する。実施の形態2のテープフィーダ53は部品実装装置2に装着する前の外段取り作業で目標停止位置3aを設定することが可能である。
【0079】
次に、目標停止位置3aが設定されたテープフィーダ53が装着された部品実装装置2におけるピックアップ位置の設定について説明する。テープフィーダ53が部品実装装置2に装着されて制御装置40と制御部53Cとの間で通信可能な状態になると、制御装置40は制御部53Cからテープフィーダ53に設定されている目標停止位置3aの情報を参照する。そして、テープフィーダ53におけるピックアップ位置をテープフィーダ53に設定済みの目標停止位置3aに応じて設定する。これにより、部品実装装置2はそのテープフィーダ53から部品BHをピックアップする準備が整った状態となる。
【0080】
このように、実施の形態2では、実施の形態1と同様、テープ押さえ部材36の位置調整作業が不要になる。
【0081】
(実施の形態3)
図10は実施の形態3を示す部品実装システム1の制御系統をブロック図により示したものである。実施の形態3は、テープフィーダ63に設定済みの目標停止位置3aを部品実装装置2で参照してピックアップ位置を設定する。
【0082】
図10に示すように、各々のテープフィーダ63は、制御部63Cを備えている。更に制御部63Cは、記憶部62を有している。記憶部62は、外部装置(部品実装装置2を含む)との通信によって内容を書き換え可能な記憶部である。記憶部62には、テープフィーダ63に設定済みの目標停止位置3aが記憶されている。
【0083】
記憶部62への目標停止位置3aの書き込みは、外段取りの段階で制御部63Cと通信可能な外部装置によって行う。制御部63Cは、既に設定済みの目標停止位置3aにキャリアテープ23のポケット23Pが停止するようにスプロケット駆動モータ34を制御する。テープフィーダ63のそれ以外の基本的な構造や機能は実施の形態1のテープフィーダ3と同じである。
【0084】
次に、目標停止位置3aが設定されたテープフィーダ63が装着された部品実装装置2におけるピックアップ位置の設定について説明する。テープフィーダ63が部品実装装置2に装着されて制御装置40と制御部63Cとの間で通信可能な状態になると、制御装置40は制御部63Cの記憶部62から目標停止位置3aの情報を参照する。そして、そのテープフィーダ63におけるピックアップ位置をテープフィーダ63に設定済みの目標停止位置3aに応じて設定する。これにより、部品実装装置2はそのテープフィーダ63から部品BHをピックアップする準備が整った状態となる。
【0085】
このように実施の形態3では、実施の形態2と同様、テープ押さえ部材36の位置調整作業が不要になる。
【0086】
以上説明したように、実施の形態1~3における部品実装装置2のテープフィーダ3が、ポケット23Pを停止させる目標停止位置3aを自在に設定することができる構成となっている。そのため、供給する部品BHのサイズが変わった場合であってもテープ押さえ部材36の位置調整作業が不要であり、供給する部品BHのサイズの変更に伴う作業者OPの作業負担を大幅に軽減できる。
【0087】
これまで本実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、トップテープ23Tをキャリアテープ23から剥ぎ取って本体部31の後方に引き出す構成となっていた。しかし、トップテープ23Tを剥ぎ取らず、切れ目を入れるだけでポケット23Pを開放状態にするタイプや、トップテープ23Tの一部だけ剥離してポケット23Pを開放状態にするタイプのテープフィーダ3に対しても本発明を適用できる。
【0088】
また、上述の実施の形態では、キャリアテープ23のポケット23Pを停止させる目標停止位置3aが、テープ押さえ部材36の開口部後縁37Eを基準とする離間距離Dによって定められるようになっていた。しかし、これは一例に過ぎず、目標停止位置3aを定める基準は特に限定されない。例えば、スプロケット33の回転角度やスプロケット33の回転に連動するエンコーダ等の位置検出器の情報で目標停止位置3aを設定するものであってもよい。
【0089】
以上のように、本開示によれば、供給する部品のサイズやキャリアテープの種類の変更に伴う作業者の作業負担を軽減できる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
供給する部品のサイズの変更に伴う作業者の作業負担を軽減できる部品実装システムおよびテープフィーダ並びに部品実装装置を提供する。
【符号の説明】
【0091】
1 部品実装システム
2 部品実装装置
3,53,63 テープフィーダ
3a 目標停止位置
3C 制御部
4 情報管理装置
11 基台
12 基板搬送部
12a ベルトコンベア
13 ヘッド移動機構
14 装着ヘッド
14a ノズル
15 部品カメラ
21 フィーダ台車
22 フィーダベース
22S スロット
23 キャリアテープ
23E ポケット後縁
23F 上流側ポケット前縁
23K 孔
23P ポケット
23T トップテープ
24 リール
31 本体部
31M 上面
32 テープ走行路
33 スプロケット
33P ピン
34 スプロケット駆動モータ
35 テープ挿入口
36 部材
37 開口部
37E 開口部後縁
38 口
39 トップテープ回収部
40 制御装置
41、52、62 記憶部
41a 動作プログラム
41b 部品ライブラリ
41c 目標停止位置データ
42 動作制御部
43,54 目標停止位置設定部
44 ピックアップ位置設定部
51 操作部
53C 制御部
63C 制御部
BH 部品
KB 基板
OP 作業者