(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】計量器具
(51)【国際特許分類】
G01F 19/00 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
G01F19/00 B
(21)【出願番号】P 2023046020
(22)【出願日】2023-03-03
【審査請求日】2023-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523102885
【氏名又は名称】藤原 崚凪
(73)【特許権者】
【識別番号】523102896
【氏名又は名称】山本 由乃
(73)【特許権者】
【識別番号】523102900
【氏名又は名称】バトサイハン トゥグレデル
(72)【発明者】
【氏名】藤原 崚凪
(72)【発明者】
【氏名】山本 由乃
(72)【発明者】
【氏名】バトサイハン トゥグレデル
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0222645(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0183565(US,A1)
【文献】中国実用新案第201160796(CN,Y)
【文献】実開昭50-52196(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F11/00-13/00
G01F17/00-22/02
B65D21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体で形成された円筒形状の第1円環部と、
該第1円環部下方に連接された、該第1円環部より径の小さい弾性体で形成された円筒形状の第2円環部と、
該第2円環部下方に連接された、該第2円環部より径の小さい弾性体で形成された円筒形状の第3円環部と、
該第3円環部下方に連接された底部とを有し、
前記第1円環部は、前記第2円環部の外周に折り畳むことができ、
前記第2円環部は、折り畳まれた前記第1円環部と共に前記第3円環部の外周に折り畳むことができることを特徴とする計量器具。
【請求項2】
前記底部は、該底部の円周に沿った溝を有し、
該溝と連結可能な嵌合部を有する持ち手部を備えることを特徴とする請求項1に記載の計量器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
計量器具として、計量カップや計量スプーンが知られているところ、計量スプーンは複数のスプーンがセットになっていることが多く、紛失する可能性もある。また、保管する際にも場所をとってしまう。
【0003】
1本のスプーンで様々な量を計量するために目盛りを付すことが行われている(非特許文献1)。
【0004】
また、計量部分の形状を変化させることで、様々な量を計量可能にする計量器具が知られている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実全平02-012626号公報
【文献】実全昭59-066116号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】「株式会社青芳オンラインストア レベルメジャーリングカップ」、[令和5年2月26日検索]、インターネット<URL:https://casualproduct.com/cp/074653/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1は、最大量以外の計量の際に計量する対象をすりきることができない。それに対して、特許文献1及び2の発明では弾性のある材料で作られた計量部自体の大きさを変えることができるため、非特許文献1のデメリットを解消することができる。しかし、特許文献1及び2の発明では計量部の大きさを変えるにあたっての計量部の折り方に問題がある。特許文献1の発明は規則性があるような折り方ではないため、使い方が難しい。また、特許文献2の発明は蛇腹折で計量部の大きさを変えるため、被計量物が溝に挟まりやすく正確な計量に支障を来すおそれがある。
【0008】
本発明は、被計量物をすりきりで量ることが可能であって、1つの計量器具で複数の量を正確に量ることができる計量器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1の発明に係る態様は、弾性体で形成された円筒形状の第1円環部と、第1円環部下方に連接された、第1円環部より径の小さい弾性体で形成された円筒形状の第2円環部と、第2円環部下方に連接された、第2円環部より径の小さい弾性体で形成された円筒形状の第3円環部と、第3円環部下方に連接された底部とを有し、第1円環部は、第2円環部の外周に折り畳むことができ、第2円環部は、折り畳まれた第1円環部と共に第3円環部の外周に折り畳むことができることを要旨とする。
【0010】
上記課題を解決するための第2の発明に係る態様は、第1の発明において、底部の円周に沿った溝を有し、その溝と連結可能な嵌合部を有する持ち手部を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、円環部を折り畳んでいない状態と、折り畳んだ状態とで、測定容量が変化するため、1つの計量器具で異なる量を量ることができ、また、外側に畳む構造により、計量器具の開口部の縁に相当する部分が変化するため、被計量物をすりきりによって正確に量ることができる計量器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る計量器具の一例を示す正面断面図である。
【
図2】第1円環部を折り畳んだ状態を示す正面断面図である。
【
図3】第2円環部を第1円環部と共に折り畳んだ状態を示す正面断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る持ち手部を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る上方斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る下方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る計量器具の実施の形態について説明する。なお、図面の形態は一例であり、本発明を限定するものではない。また、各図において同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書中の全文において共通している。さらに、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0014】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る計量器具は、円筒形状の第1円環部11と、第1円環部11下方に連接された、第1円環部11より径の小さい円筒形状の第2円環部12と、第2円環部12下方に連接された、第2円環部12より径の小さい円筒形状の第3円環部13と、第3円環部13下方に連接された底部14とを備える。これらから成る本発明の第1の実施形態は、粉体、液体を計量することができるいわゆる計量カップ型の計量器具である。なお、この第1の実施形態に係る計量器具は、第2の実施形態において計量部1として位置付けられる。また、下方とは本発明における底部14側に相当し、本発明における円環部の外周側を外側と呼ぶことがある。
【0015】
計量部1は、ある程度の硬度を持った弾性のある材料で構成される。材料としては、シリコーンゴムが好ましい。
【0016】
図2に示すように、硬度を持った弾性体から成る第1円環部11は、その特性を活かし、その下方に位置する第2円環部12の外周に沿うように折り畳むことができる。なお、第1円環部11の径は、第2円環部12の外周に折り曲げ可能になるよう第2円環部12の径より大なることを要する。
【0017】
図3に示すように、第2円環部12はその外周に折り畳まれた第1円環部11と共に、第3円環部13の外周に沿うように折り畳むことができる。なお、第3円環部13の径及び高さは、第1円環部11と第2円環部12を折り曲げる際に、相互の円環部が干渉しないように設計される必要がある。
【0018】
本発明の第1の実施形態に係る計量器具においては、全く折り畳まない状態では最大容量を計量することができ、第1円環部11を折り畳んだ状態では第1円環部11に収容される容量分を減じた容量を計量することができる。さらに、第1円環部11と共に第2円環部12を折り畳んだ状態にすることで、第3円環部13に収容される容量分の容量を計量することができる。第1円環部11、第2円環部12及び第3円環部13それぞれで計量できる量を等しいものとすれば、円環部の折畳み方によって、最小量の倍数での調整が可能となって、被計量物を掬う回数を減ずることができ、また、各円環部でそれぞれ計量できる量を異なったものとすれば、多種の量の組合せによる計量が可能である。
【0019】
上記したように段階を経て折り畳むことにより、1つの計量器具で3種の容量を計量することが可能になる。また、円環部を外側に畳む構造により、計量器具の開口部の縁に相当する部分自体が変化するため、被計量物をすりきりによって正確に量ることができる。
【0020】
(第2の実施形態)
図5及び6に示すように、本発明の第2の実施形態は、上述した第1の実施形態の計量部1と持ち手部2を連結可能にして構成されるスプーン型の計量器具である。
【0021】
図1に示すように、上述した第1の実施形態の計量部1の構造に加えて、計量部1の底部14には、その円周に沿った溝15が設けられる。また、
図1に示すように、底部14の形状はその下部が逆円錐台形状に形成されることが好ましい。底部14に傾斜が付くことにより計量部1と持ち手部2との脱着が容易となる。
【0022】
図4に示すように、持ち手部2は、フック21と嵌合部22を備える。嵌合部22は、底部14に設けられた溝15と嵌合可能に形成される。
図4では、持ち手部2は、全体形状が長方形の板状体の角部分が丸みを帯びたものとなっているが、必須の形状ではなく、底部14に設けられた溝15と嵌合可能な嵌合部22を備えるものであれば良い。また、
図4では、持ち手部2の嵌合部22と長手方向反対側に、持ち手部2の一部を切り欠くようにフック21が設けられているが、必須の形状ではなく、計量の前後において、所望の場所に係止可能な構造であることをもって足りる。さらに付言すると、本発明に係る計量器具を掛けて保管することを想定しない場合には、フック21を設けることを要しない。
【0023】
持ち手部2は、プラスチックなどスプーン型の計量器具の柄の機能を果たし得るものであって、嵌合部22が計量部1の底部14の溝15と脱着可能な程度の硬度があれば良い。
【0024】
図5及び6に示すように、計量部1の溝15と持ち手部2の嵌合部22とを嵌め合わせて連結させスプーン型の計量器具とするのが第2の実施形態である。手指が触れることが好ましくない被計量物の計量の場合や被計量物の収容体の開口部が狭い場合などを想定した実施形態となる。計量部1の円環部を外側に折り畳むことで測定量を変化させる方法については、上述した第1の実施形態と同様である。
【0025】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、計量部1を第1円環部11、第2円環部12及び第3円環部13により構成され、第1円環部11及び第2円環部12を折り畳むことで、測定容量を変化させるものとしたが、円環部の数はこの3つに限定されるものではない。円環部数を2とした場合には、2種類の量の計量が可能となり、円環部の数を増加させた場合には、その数に応じた量の計量が可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1 計量部
11 第1円環部
12 第2円環部
13 第3円環部
14 底部
15 溝
2 持ち手部
21 フック
22 嵌合部
【要約】
【課題】1つの計量器具で異なる粉体、液体の量を正確に計量できる計量器具を提供する。
【解決手段】弾性体で形成された円筒形状の第1円環部11と、第1円環部11下方に連接された、第1円環部11より径の小さい弾性体で形成された円筒形状の第2円環部12と、第2円環部12下方に連接された、第2円環部12より径の小さい弾性体で形成された円筒形状の第3円環部13と、第3円環部13下方に連接された底部14とを有し、第1円環部11は、第2円環部12の外周に折り畳むことができ、第2円環部12は、折り畳まれた第1円環部11と共に第3円環部13の外周に折り畳むことができるように構成した。
【選択図】
図1