(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】制御装置、及び地図生成方法
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20231020BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20231020BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
G09B29/00 F
G08G1/01 A
G08G1/13
(21)【出願番号】P 2020510450
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2019006828
(87)【国際公開番号】W WO2019187855
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-02-27
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2018066042
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 一輝
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 仁
(72)【発明者】
【氏名】内田 嵩
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】古屋野 浩志
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-113836(JP,A)
【文献】特開2012-73181(JP,A)
【文献】特開2014-211756(JP,A)
【文献】特開2018-25957(JP,A)
【文献】特開2016-153832(JP,A)
【文献】特開2013-108820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00-29/14
G08G 1/00- 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの人力駆動力、又は、ユーザが車体を押す力に基づいて走行する自転車に搭載された検出装置から、前記
自転車の
1つの位置情報と、
1つの前記位置情報に対応する前記
自転車の動作によって得られた
1つの動作情報と、前記
自転車の動
作に対応した
1つの前記動作情報及び
1つの前記位置情報のそれぞれに紐付けられた
1つの時刻情報とを取得する取得部と、
1つの前記動作情報に基づいて、前記
自転車の走行環境を推定した
1つの環境情報を生成する演算部と、
1つの前記位置情報と、
1つの前記環境情報と、
1つの前記時刻情報とのそれぞれを前記
自転車の動
作に紐付けた状態で格納する記憶部とを備え、
前記検出装置は、前記
自転車の動作を検出することで
1つの前記動作情報を取得し、
1つの前記動作情報は、前記
自転車が走行する際の前記
自転車の動作を示す、加速度情報
、舵角情報、速度情報、振動情報、角速度情報、距離情報、トルク情報、地磁気情報、及びGPS情報の少なくとも1つを含み、
前記演算部は、
1つの前記位置情報と
1つの前記環境情報
とを対応付けて地図に反映することで、更新地図を生成し、
前記演算部は、所定期間間隔で、
1つの前記動作情報に基づく
1つの前記環境情報を反映することで前記更新地図を変更する
制御装置。
【請求項2】
さらに、前記更新地図を外部機器に送信する送信部を備える
請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
ユーザの人力駆動力、又は、ユーザが車体を押す力に基づいて走行する自転車に搭載された検出装置から、前記
自転車の
1つの位置情報と、
1つの前記位置情報に対応する前記
自転車の動作によって得られた
1つの動作情報と、前記
自転車の動
作に対応した
1つの前記動作情報及び
1つの前記位置情報のそれぞれに紐付けられた
1つの時刻情報とを取得部が取得する工程と、
前記取得部が取得した
1つの前記動作情報に基づいて、前記
自転車の走行環境を推定した
1つの環境情報を演算部が生成する工程と、
前記演算部が
1つの前記位置情報と、
1つの前記環境情報と、
1つの前記時刻情報とのそれぞれを前記
自転車の動
作に紐付けた状態で記憶部に格納する工程と、
前記演算部が
1つの前記位置情報と
1つの前記環境情報
とを対応付けて地図に反映することで、更新地図を生成する工程とを含み、
前記検出装置は、前記
自転車の動作を検出することで
1つの前記動作情報を取得し、
1つの前記動作情報は、前記
自転車が走行する際の前記
自転車の動作を示す、加速度情報
、舵角情報、速度情報、振動情報、角速度情報、距離情報、トルク情報、地磁気情報、及びGPS情報の少なくとも1つを含み、
前記演算部は、所定期間間隔で、
1つの前記動作情報に基づく
1つの前記環境情報を反映することで前記更新地図を変更する
地図生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、及び地図生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル地図を保存したデジタル地図データベースと、ユーザの運転する車両が走行した際の位置情報を所定のタイミング毎に位置情報データとして出力する位置情報取得手段と、位置情報データに基づいて車両が実際に走行した経路を作成し、予め定められた条件に基づいて分割した道路区間を、ユーザからの評価結果を道路評価情報として蓄積させる地図情報作成手段とを備える地図作成システムが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、ユーザの評価結果に基づいて地図を生成するために、地図を生成するに際し手間がかかるとともに、ユーザの評価結果に基づくために地図に入力される情報が限られてしまう。
【0005】
そこで、本開示は、情報を精度よく反映した地図を生成することができる制御装置、及び地図生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る制御装置は、ユーザの人力駆動力、又は、ユーザが車体を押す力に基づいて走行する自転車に搭載された検出装置から、前記自転車の1つの位置情報と、1つの前記位置情報に対応する前記自転車の動作によって得られた1つの動作情報と、前記自転車の動作に対応した1つの前記動作情報及び1つの前記位置情報のそれぞれに紐付けられた1つの時刻情報とを取得する取得部と、1つの前記動作情報に基づいて、前記自転車の走行環境を推定した1つの環境情報を生成する演算部と、1つの前記位置情報と、1つの前記環境情報と、1つの前記時刻情報とのそれぞれを前記自転車の動作に紐付けた状態で格納する記憶部とを備え、前記検出装置は、前記自転車の動作を検出することで1つの前記動作情報を取得し、1つの前記動作情報は、前記自転車が走行する際の前記自転車の動作を示す、加速度情報、舵角情報、速度情報、振動情報、角速度情報、距離情報、トルク情報、地磁気情報、及びGPS情報の少なくとも1つを含み、前記演算部は、1つの前記位置情報と1つの前記環境情報とを対応付けて地図に反映することで、更新地図を生成し、前記演算部は、所定期間間隔で、1つの前記動作情報に基づく1つの前記環境情報を反映することで前記更新地図を変更する。
【0007】
また、本開示の一態様に係る地図生成方法は、ユーザの人力駆動力、又は、ユーザが車体を押す力に基づいて走行する自転車に搭載された検出装置から、前記自転車の1つの位置情報と、1つの前記位置情報に対応する前記自転車の動作によって得られた1つの動作情報と、前記自転車の動作に対応した1つの前記動作情報及び1つの前記位置情報のそれぞれに紐付けられた1つの時刻情報とを取得部が取得する工程と、前記取得部が取得した1つの前記動作情報に基づいて、前記自転車の走行環境を推定した1つの環境情報を演算部が生成する工程と、前記演算部が1つの前記位置情報と、1つの前記環境情報と、1つの前記時刻情報とのそれぞれを前記自転車の動作に紐付けた状態で記憶部に格納する工程と、前記演算部が1つの前記位置情報と1つの前記環境情報とを対応付けて地図に反映することで、更新地図を生成する工程とを含み、前記検出装置は、前記自転車の動作を検出することで1つの前記動作情報を取得し、1つの前記動作情報は、前記自転車が走行する際の前記自転車の動作を示す、加速度情報、舵角情報、速度情報、振動情報、角速度情報、距離情報、トルク情報、地磁気情報、及びGPS情報の少なくとも1つを含み、前記演算部は、所定期間間隔で、1つの前記動作情報に基づく1つの前記環境情報を反映することで前記更新地図を変更する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る制御装置、及び地図生成方法によれば、情報を精度よく反映した地図を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る地図生成システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、電動自転車の構成を示す側面図である。
【
図3A】
図3Aは、動作情報、位置情報及び時刻情報を例示した図である。
【
図3B】
図3Bは、環境情報、位置情報及び時刻情報を例示した図である。
【
図4】
図4は、生成した更新地図の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る地図生成システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0012】
まず、本実施の形態に係る制御装置、及び地図生成方法について説明する。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
図1は、実施の形態に係る地図生成システム1を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、地図生成システム1は、端末装置70に対して地図を提供することができるシステムである。地図生成システム1は、乗り物と、制御装置5とを備える。
【0015】
乗り物は、使用者の操作によって、自在に道路を走行することができる。乗り物は、例えば、動力を備える自動車、自動二輪車等の車両、アシスト機能付きの電動自転車3、動力を備えない自転車等の車両である。本実施の形態では、乗り物として電動自転車3を用いている。
【0016】
電動自転車3の構成を説明する。
図2は、電動自転車3の構成を示す側面図である。
【0017】
図2に示すように、電動自転車3は、ペダル17へのユーザの踏力に基づく車体10の前進を補助したり、ユーザが電動自転車3を押して歩くときに、ユーザによる車体10を前へ押す力に基づいて、車体10の前進を補助したりする。
【0018】
電動自転車3は、車体10と、検出装置31と、駆動ユニット33と、通信部35とを備える。
【0019】
車体10は、フレーム11と、前輪12と、後輪13と、ハンドル14と、サドル15と、クランク16と、ペダル17と、チェーン19とを備える。
【0020】
フレーム11は、前輪12の軸を中心に前輪12を回転自在に支持し、かつ、後輪13の軸を中心に後輪13を回転自在に支持する。
【0021】
ハンドル14には、一対のブレーキレバー142が左右に設けられている。ハンドル14は、左右に回すことで、フレーム11に支持された前輪12の向きを左右に回転させることができる。一方のブレーキレバー142を操作することで前輪12に対して機械的な制動力を与え、他方のブレーキレバー142を操作することで後輪13に対して機械的な制動力を与える。ブレーキレバー142には、ブレーキセンサが設けられていてもよい。この場合、ブレーキセンサは、ブレーキレバー142に対する操作を検出するようになっている。
【0022】
サドル15は、ユーザが適切な姿勢で乗車した場合に、人が座る部分である。サドル15は、フレーム11の中央部分に着脱可能に支持されている。
【0023】
クランク16は、ペダル17に踏力が加えられた場合にクランク軸を中心に回転し、踏力に基づく人力駆動力がスプロケット及びチェーン19を介して後輪13に伝達される。
【0024】
駆動ユニット33は、バッテリーからの電力を受けてペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、補助駆動力を付加する装置である。駆動ユニット33は、バッテリー、電動モータ、電動モータの駆動制御する制御装置により実現する。
【0025】
検出装置31は、電動自転車3の動作を検出することが可能である。電動自転車3の動作は、電動自転車3の加速度、ブレーキの動作、ハンドルの舵角、電動自転車3の速度、電動自転車3の走行中に生じる振動、水平面に対する電動自転車3の角速度、モータトルク、地磁気、現在位置等である。
【0026】
検出装置31は、加速度センサ、ブレーキセンサ、舵角センサ、速度センサ、振動センサ、角速度センサ、距離センサ、トルクセンサ、地磁気センサ等のセンサ、GPS(Global Positioning System)装置等である。検出装置31は、これらセンサの少なくとも1つ以上を有し、電動自転車3に搭載されている。
【0027】
検出装置31の一例である加速度センサは、電動自転車3の加速度を検出するセンサであってもよい。加速度センサは、電動自転車3の走行速度が加速した場合に、その加速度を示す加速度情報を検出し、通信部35を介して制御装置5に送信する。加速度情報は、動作情報の一例である。
【0028】
また、検出装置31の一例としてブレーキセンサは、ブレーキレバーに対する操作を検出するセンサであってもよい。ブレーキセンサは、ユーザがブレーキを操作した場合に、ブレーキレバーに対する操作を示すブレーキ情報を、通信部35を介して制御装置5に送信する。ブレーキ情報は、動作情報の一例である。
【0029】
さらに、検出装置31の一例として舵角センサは、電動自転車3のハンドルの舵角を検出することができるセンサであってもよい。舵角センサは、ユーザがハンドルを操作した場合に、電動自転車3の進行方向に対する角度(舵角)を示す舵角情報を、通信部35を介して制御装置5に送信する。舵角情報は、動作情報の一例である。
【0030】
また、速度センサは、電動自転車3の走行速度を検出するセンサであってもよい。速度センサは、ユーザの踏力に基づいて電動自転車3を前進させた場合に、電動自転車3の走行速度を示す速度情報を、通信部35を介して制御装置5に送信する。速度情報は、動作情報の一例である。
【0031】
なお、速度センサは、例えば、前輪12又は後輪13の回転数から、電動自転車3の走行速度を検出してもよい。速度センサは、これに限定されず、ペダル17への人力駆動力に基づいてクランク軸が回転することにより発生する人力駆動力を検出するトルクセンサであってもよい。電動自転車3の走行速度は、クランク軸の回転数を検出するクランク回転センサによって検出されたクランク16の回転数と、後輪13の大きさとに基づいて算出してもよい。この場合、速度センサは、クランク軸の近傍に配置されている。
【0032】
さらに、振動センサは、電動自転車3の走行中に生じる振動を検出するセンサであってもよい。振動センサは、電動自転車3の走行中に生じた振動を示す振動情報を、通信部35を介して制御装置5に送信する。振動情報は、動作情報の一例である。なお、電動自転車3が走行すれば、当然のことながら振動が生じるため、所定閾値以下の振動を検出しないとしてもよい。この場合、例えば、ハイパスフィルタ等を用いて実現してもよい。
【0033】
また、角速度センサは、水平面に対する電動自転車3の角速度を検出するセンサであってもよい。角速度センサは、電動自転車3の角速度を示す角速度情報を、通信部35を介して制御装置5に送信する。角速度情報は、動作情報の一例である。演算部53は、電動自転車3の角速度に基づいて、上り坂道であるか下り坂道であるかを判断したり、電動自転車3の傾きを算出したりすることができる。電動自転車3の傾きは、前輪12と後輪13とが同一の径である場合において、水平面に対する、前輪12の車軸と後輪13の車軸とを結ぶ直線との角度を示す。
【0034】
さらに、距離センサは、電動自転車3から対象物までの距離を検出するセンサであってもよい。距離センサは、電動自転車3の距離を示す距離情報を、通信部35を介して制御装置5に送信する。距離情報は、動作情報の一例である。
【0035】
また、トルクセンサは、ペダル17への人力駆動力に基づいてクランク軸が回転することにより発生する人力駆動力を検出するセンサであってもよい。トルクセンサは、電動自転車3のクランク軸のトルクを示すトルク情報を、通信部35を介して制御装置5に送信する。トルク情報は、動作情報の一例である。
【0036】
さらに、地磁気センサは、地磁気の向きを検出し、例えばX軸、Y軸、Z軸といった方位を直交3軸の値で算出するセンサであってもよい。地磁気センサは、電動自転車3の位置の地磁気を示す地磁気情報を、通信部35を介して制御装置5に送信する。地磁気情報は、動作情報の一例である。
【0037】
また、GPS装置は、電動自転車3の現在位置を取得する装置であってもよい。GPS装置は、電動自転車3の現在位置を示す位置情報を、通信部35を介して制御装置5に送信する。
【0038】
なお、加速度センサ、ブレーキセンサ、舵角センサ、速度センサ、振動センサ、角速度センサ、距離センサ、トルクセンサ、地磁気センサ等のセンサ、GPS装置等により、加速度情報、ブレーキ情報、舵角情報、速度情報、振動情報、角速度情報、距離情報、トルク情報、地磁気情報、位置情報等を取得することができればよいため、検出方式は限定されない。
【0039】
検出装置31は、電動自転車3のどの場所に配置されてもよい。つまり、検出装置31は、電動自転車3の進行方向側、中央部分、進行方向と反対側等に配置してもよい。本実施の形態では、検出装置31は、電動自転車3の進行方向側、例えば前照灯に配置されている。
【0040】
通信部35は、検出装置31が検出した動作情報及び動作情報に対応する位置情報を制御装置5に対して送信する通信モジュールである。位置情報は、例えば、電動自転車3に搭載されたGPS機能により実現する。
【0041】
位置情報は、動作情報に対応している。つまり、動作情報が示す電動自転車3の動作ごとに、位置情報が紐付けられている。紐付けは、動作情報が示す時刻情報と位置情報が示す時刻情報とで行われてもよい。位置情報は、xyz座標値で表された3次元の位置情報である。なお、位置情報は、xy座標値で表された2次元の位置情報でもよい。
【0042】
制御装置5は、取得部51と、演算部53と、記憶部55と、送信部57とを備える。
【0043】
取得部51は、例えば、ネットワークと接続することができる通信モジュール等である。取得部51は、電動自転車3の位置情報、及び電動自転車3によって得られた動作情報を取得する。具体的には、取得部51は、電動自転車3の位置を示す位置情報、及び電動自転車3によって得られた動作情報を、ネットワークを介して取得する。取得部51は、位置情報を記憶部55に出力し、動作情報を演算部53に出力する。
【0044】
なお、取得部51は、検出装置31であってもよい。つまり、制御装置5は、検出装置31を搭載していてもよい。
【0045】
演算部53は、動作情報に基づいて、電動自転車3の走行環境を推定した環境情報を生成する。
【0046】
動作情報と環境情報とについて説明する。
【0047】
動作情報は、上述したように、加速度情報、ブレーキ情報、舵角情報、速度情報、振動情報、角速度情報、距離情報、トルク情報、地磁気情報、位置情報等の少なくとも1つである。
【0048】
例えば、加速度情報からは、凹凸のある道路であること、人等で混雑していること等を推定できる。例えば、電動自転車3が通常に走行する際に、凹凸のある道路、人等で混雑している箇所に侵入すれば、走行に際する加速度が低下すると考えられる。演算部53は、加速度が所定の閾値以上であるか否かで、電動自転車3の周囲の混雑具合を推定できる。
【0049】
なお、加速度情報とブレーキ情報とを合わせることで、坂道の長さ等を推定することができる。例えば、加速度が上昇すれば電動自転車3が下り坂道に侵入して下降していると考えられ、加速度が下降すれば電動自転車3が上り坂道に侵入して上降していると考えられる。電動自転車3が下り坂道に侵入する場合は、走行速度が上昇するため、ブレーキを操作すると考えられる。ブレーキの操作が終了すれば、電動自転車3が下り坂道を通過したと考えられる。また、電動自転車3が上り坂道に侵入する場合は、加速度が減少するため、ブレーキを操作しないと考えられる。電動自転車3の加速度が上昇すれば、電動自転車3が上り坂道を通過したと考えられる。
【0050】
例えば、ブレーキ情報からは、周囲に人が存在していること等を推定できる。例えば、ブレーキを行う場所は、周囲に歩行者、バイクなどの移動体が存在しているため、ブレーキを行うことが考えられる。信号機の無い歩道でのブレーキ回数が多ければ、人が混雑していると考えられる。演算部53は、ブレーキ回数が所定の閾値以上であるか否かで、電動自転車3の周囲の混雑具合を推定できる。
【0051】
例えば、舵角情報からは、道路が凍結していたり、道路の一部が損壊していたりすること等を推定できる。道路の凍結、道路の損壊等が発生していれば、ユーザは、このような箇所を迂回すると考えられる。例えば、演算部53は、舵角情報から電動自転車3の迂回を検知した場合に、迂回するような舵角の変化から道路の凍結、道路の損壊等を推定できる。
【0052】
例えば、速度情報からは、電動自転車3が走行する道路から、周囲に歩行者、バイクなどの移動体の混雑具合等を推定できる。走行速度が他の道路での走行速度に比べて遅くなった場合には、電動自転車3の周囲が移動体で混雑していると考えられ、走行速度が他の道路での走行速度に比べて速くなった場合には、電動自転車3の周囲に移動体が存在していない又は閑散としていることが考えられる。演算部53は、走行速度が所定の閾値以上であるか否かで、電動自転車3の周囲の混雑具合を推定できる。
【0053】
なお、速度情報とブレーキ情報とを合わせることで、混雑具合の精度を高めることができる。つまり、走行速度が他の道路での走行速度に比べて遅く、かつ、ブレーキ回数が多い場合は、電動自転車3の周囲が混雑していると考えられ、走行速度が他の道路での走行速度に比べて速く、かつ、ブレーキ回数が少ない場合は、電動自転車3の周囲が閑散としていると考えられる。
【0054】
例えば、振動情報からは、電動自転車3が走行する道路が凹凸している等の段差があることが推定できる。演算部53は、振動情報が示す振動が所定の閾値以上であれば、道路の一部が損壊、舗装されていない道路等であると推定できる。
【0055】
例えば、角速度情報からは、電動自転車3が走行する道路が坂道であることを推定できる。演算部53は、角速度情報が示す角速度が所定の閾値以上であれば、急な坂道であり、角速度が所定の閾値未満であれば、緩やかな坂道であると推定できる。
【0056】
例えば、距離情報からは、電動自転車3の周囲に人等の対象物が存在していることを推定できる。演算部53は、距離情報が示す距離が所定の閾値以下であれば、電動自転車3の近くに人等の対象物が存在していると推定できる。
【0057】
例えば、トルク情報からは、上述の速度情報での説明と同様に、電動自転車3の周囲の混雑具合を推定できる。
【0058】
例えば、地磁気情報からは、電動自転車3が走行する道路が坂道であることを推定できる。地磁気情報が示す電動自転車3の進行方向を示す方位からは、電動自転車3の水平面に対する傾きを推定できる。演算部53は、この傾きから、上り坂道、下り坂道、坂道の勾配等を推定できる。
【0059】
例えば、位置情報からは、電動自転車3の周囲の混雑具合を推定できる。具体的には、所定期間に、特定の位置周辺から複数の位置情報を制御装置5が取得した場合では、電動自転車3の周辺が混雑していると考えられる。つまり、演算部53は、電動自転車3と制御装置5との間で行われる通信の混雑状況によっても、電動自転車3の周囲の混雑具合を推定できる。
【0060】
動作情報、環境情報、位置情報及び時刻情報を、具体的に例を挙げて説明する。
【0061】
図3Aは、動作情報、位置情報及び時刻情報を例示した図である。
図3Bは、環境情報、位置情報及び時刻情報を例示した図である。
【0062】
図3Aに示すように、取得部51が取得したデータ1では、動作情報が速度情報であり、速度情報を検出した位置が(x1,y1,z1)であり、これら対応する時刻情報がt1である。また、取得部51が取得したデータ2では、動作情報が振動情報であり、
振動情報を検出した位置が(x2,y2,z2)であり、これら対応する時刻情報がt2である。
【0063】
演算部53は、
図3Aの各々のデータから、位置情報及び時刻情報を紐付けた状態で、
図3Bに示す環境情報を生成する。
【0064】
これらのことから、環境情報は、人及び車両等の移動体の混雑具合、道路の凍結、凹凸のある道路、坂道の勾配の度合い等を推定した情報を意味する。
【0065】
なお、上述の加速度情報、ブレーキ情報、舵角情報、速度情報、振動情報、角速度情報、距離情報、トルク情報、地磁気情報、位置情報等を用いて、人及び車両等の移動体の混雑具合、道路の凍結、凹凸のある道路、坂道の勾配の度合い等を推定しているが、あくまでも一例であり、上述の内容に限定されない。また、上述の複数の情報から任意に組み合わることで、環境情報の精度を高めてもよい。
【0066】
演算部53は、動作情報に対応した環境情報のテーブルを用いて、環境情報を生成する。このことから、位置情報と環境情報とは対応付けられている。つまり、環境情報には、動作情報に紐付けられた位置情報が引き継がれている。
【0067】
演算部53は、位置情報と環境情報とを対応付けて地図に反映することで、
図4に示す更新地図を生成する。
図4は、生成した更新地図の一例を示す模式図である。
【0068】
具体的には、演算部53は、他のサーバに格納されている地図情報を取得し、更新前の地図情報をxyz座標値で表し、更新前の地図情報に対応する位置に、取得部51が取得した位置情報に紐付けられた環境情報を反映する。そして、演算部53は、所定期間ごとに、
図4に示すような更新地図を生成し、送信部57を介して、生成した更新地図を端末装置70等に送信する。なお、本実施の形態では、地図情報は、他のサーバから取得するが、記憶部55に地図情報が格納されていてもよい。
【0069】
図1に示すように、記憶部55は、位置情報、環境情報、及び動作情報に対応する環境情報のテーブルを格納する装置である。また、記憶部55には、更新前の地図情報を格納していてもよく、更新地図を格納していてもよい。記憶部55は、例えばRAM(Random access memory)等のメモリや、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ等のストレージからなる。
【0070】
送信部57は、生成された更新地図を、ネットワークを介して端末装置70に送信する。送信部57は、例えば、ネットワークと接続して、情報を送信することができる通信モジュール等である。
【0071】
このような地図生成システム1では、生成した更新地図を端末装置70に対して提供する。端末装置70は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等である。端末装置70は、外部機器の一例である。
【0072】
端末装置70は、更新地図を表示する表示部71と、更新地図を受信する通信部73とを有する。
【0073】
表示部71は、通信部73を介して、制御装置5から受信した更新地図を表示する、液晶パネル等のディスプレイである。通信部73は、ネットワークを介して制御装置5から更新地図を受信することができる通信モジュール等である。
【0074】
なお、端末装置70は、さらに、現在位置からユーザの目的地までのルートを選択するルート選択部を有していてもよい。
図4の太い破線で示すように、ルート選択部は、更新地図を受信すると、現在位置からユーザの目的地までのルートを受信した更新地図に反映し、ルート表示された更新地図を表示部71に表示させてもよい。例えば、ルート選択部は、現在位置からユーザの目的地までの経路の間に、混雑している箇所、道路の損傷している箇所等があれば、これらを迂回するルートを選択し、ルート選択した更新地図に反映してもよい。ルート選択部は、制御装置5に備えられていてもよく、端末装置70に備えられることに限定されない。
【0075】
また、端末装置70は、音声によりルートの案内を行ってもよく、
図4に示す地図の位置に表示された見出しによって、動作情報を表示したり、時間帯ごとに表示する見出しを変更して表示したりしてもよい。
【0076】
なお、本実施の形態では、検出装置31は、電動自転車3に搭載されているが、端末装置70に搭載されていてもよい。つまり、端末装置70を所持したユーザ又は端末装置70を装着した電動自転車3によって、上述の動作情報を取得してもよい。
【0077】
[動作]
図5は、実施の形態に係る地図生成システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0078】
ここでは、ユーザが電動自転車3で、道路を走行している場合を想定している。
【0079】
図5に示すように、まず、検出装置31は、電動自転車3が走行することによって、動作情報を検出する(S31)。また、電動自転車3は、自身の位置を示す位置情報を取得する(S31)。例えば、動作情報と位置情報とには時刻情報が付加されており、動作情報と位置情報とは紐付けられている。電動自転車3は、制御装置5に対して、動作情報と位置情報とを送信する。
【0080】
次に、演算部53は、動作情報と位置情報とを受信する(S21)。ステップS21は、動作情報を取得する工程の一例である。
【0081】
次に、演算部53は、動作情報に基づいて、電動自転車3の走行環境を推定した環境情報を生成する(S22)。ステップS22は、環境情報を生成する工程の一例である。
【0082】
次に、演算部53は、位置情報及び環境情報を記憶部55に格納する(S23)。ステップS23は、位置情報及び環境情報を格納する工程の一例である。
【0083】
次に、演算部53は、位置情報と環境情報とを対応付けて地図に反映することで、更新地図を生成する(S24)。演算部53は、生成した更新地図を、送信部57を介して端末装置70に送信する。ステップS24は、更新地図を生成する工程の一例である。
【0084】
次に、端末装置70は、制御装置5から更新地図を受信すると、表示部71に更新地図を表示する(S11)。そして、この処理は終了する。
【0085】
[作用効果]
次に、本実施の形態における制御装置5、及び地図生成方法の作用効果について説明する。
【0086】
上述したように、本実施の形態に係る制御装置5は、電動自転車3の位置情報、及び電動自転車3によって得られた動作情報を取得する取得部51と、動作情報に基づいて、電動自転車3の走行環境を推定した環境情報を生成する演算部53と、位置情報及び環境情報を格納する記憶部55とを備える。そして、演算部53は、位置情報と環境情報とを対応付けて地図に反映することで、更新地図を生成する。
【0087】
これによれば、演算部53は、動作情報に基づいて、電動自転車3の走行環境を推定した環境情報を生成する。これにより、電動自転車3が移動した際に得られた動作情報を具体化することで、走行環境を推定することができる。これにより演算部53は、位置情報と環境情報とを対応付けて地図に反映することで、更新地図を生成することができる。
【0088】
したがって、この制御装置5では、情報を精度よく反映した地図を生成することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係る地図生成方法は、電動自転車3の位置情報、及び電動自転車3によって得られた動作情報を取得する工程と、動作情報に基づいて、電動自転車3の走行環境を推定した環境情報を生成する工程と、位置情報及び環境情報を格納する工程と、位置情報と環境情報とを対応付けて地図に反映することで、更新地図を生成する工程とを含む。
【0090】
この方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0091】
また、本実施の形態に係る制御装置5において、動作情報は、電動自転車3が走行する際の電動自転車3の動作を示す、加速度情報、ブレーキ情報、舵角情報、速度情報、振動情報、角速度情報、距離情報、トルク情報、地磁気情報、及びGPS情報の少なくとも1つを含む。
【0092】
これによれば、動作情報が加速度情報、ブレーキ情報、舵角情報、速度情報、振動情報、角速度情報、距離情報、トルク情報、地磁気情報、及びGPS情報の少なくとも1つを含むため、このような情報に基づいて、電動自転車3の走行環境をより精度よく推定した環境情報を生成することができる。
【0093】
また、本実施の形態に係る制御装置5は、さらに、更新地図を端末装置70に送信する送信部57を備える。
【0094】
これによれば、制御装置5が生成した更新地図を端末装置70に対して送信することで、端末装置70は、更新地図を表示部71に表示することができる。また、更新地図を端末装置70に対して送信することで、端末装置70が更新地図を生成するよりも、端末装置70の処理負担を軽減することができる。
【0095】
例えば、ユーザは、更新地図を閲覧することで、更新地図に表示されている種々の情報に基づいて、道路を修復する箇所を認知したり、混雑具合を把握して経路を迂回することで、適切なルートを選択したりすることができる。
【0096】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記制御装置、及び地図生成方法に限定されるものではない。
【0097】
例えば、上記実施の形態に係る制御装置は、サーバ装置に搭載されていてもよく、乗り物に搭載されていてもよく、端末装置に搭載されていてもよい。
【0098】
また、上記実施の形態に係る制御装置、及び地図生成方法において演算部は、道路の混雑状況を検出装置から取得した動作情報に基づいて推定するだけでなく道路等に設置されている路側機等のセンサから取得した動作情報を用いて、電動自転車の走行環境を推定することができる。
【0099】
また、上記実施の形態に係る制御装置、及び地図生成方法において、演算部は、現在より所定日数が経過した環境情報を地図に反映しなくてもよい。つまり、演算部は、現在より所定日数が経過した古い環境情報を、更新地図から削除してもよい。これにより、演算部は、更新地図のデータ量の増大化を抑制することができる。
【0100】
また、上記実施の形態に係る地図生成方法は、コンピュータを用いて実現するプログラムであってもよい。
【0101】
また、上記実施の形態に係る制御装置に含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0102】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0103】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0104】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0105】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0106】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0107】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
3 電動自転車(乗り物)
5 制御装置
31 検出装置
51 取得部
53 演算部
55 記憶部
57 送信部
70 端末装置(外部機器)