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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
H02M3/28 M
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021508240
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2020005801
(87)【国際公開番号】W WO2020195305
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2019064603
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】崎山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】山川 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】西本 太樹
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-085447(JP,A)
【文献】特開2010-110069(JP,A)
【文献】実開昭55-051636(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0309375(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3361616(EP,A1)
【文献】米国特許第9246356(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の入力端子と、
第1及び第2の出力端子と、
前記第1及び第2の入力端子の間に直列接続された2つのスイッチング素子を含む少なくとも1つの第1のレッグ回路と、
一次巻線及び二次巻線を有するトランスと、
キャパシタと、
スイッチ回路と、
前記第1及び第2の出力端子に接続された出力回路とを備え、
前記キャパシタは、前記少なくとも1つの第1のレッグ回路のうちの1つと、前記一次巻線の一端との間に接続され、
前記スイッチ回路は、前記二次巻線の互いに異なる複数の巻線区間のうちの1つを前記出力回路に選択的に接続する、
電力変換装置。
【請求項2】
前記トランスは漏れインダクタンスを内蔵した、
請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記二次巻線は、互いに異なる巻数を有する第1及び第2の巻線区間を含む、
請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記トランスは、前記第1の巻線区間が前記出力回路に接続されているときの前記トランスの漏れインダクタンスと、前記第2の巻線区間が前記出力回路に接続されているときの前記トランスの漏れインダクタンスとが互いに異なるように構成された、
請求項3記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記二次巻線は、第1の端子と、第2の端子と、前記第1及び第2の端子の間に設けられた第3の端子とを有し、
前記スイッチ回路は、前記二次巻線の第1及び第2の端子の間の区間を前記第1の巻線区間として前記出力回路に接続し、前記二次巻線の第2及び第3の端子の間の区間を前記第2の巻線区間として前記出力回路に接続する、
請求項4記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記トランスは、前記一次巻線から前記二次巻線の第2及び第3の端子の間の区間までの距離が、前記一次巻線から前記二次巻線の第1及び第3の端子の間の区間までの距離よりも大きくなるように構成された、
請求項5記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記トランスは、前記一次巻線と、前記二次巻線の第1及び第3の端子の間の区間と、前記二次巻線の第2及び第3の端子の間の区間とが、所定の軸の長手方向に沿った互いに異なる位置に巻回されるように構成された、
請求項6記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記トランスは、前記一次巻線と、前記二次巻線の第1及び第3の端子の間の区間と、前記二次巻線の第2及び第3の端子の間の区間とが、所定の軸から互いに異なる距離の位置に巻回されるように構成された、
請求項6記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記トランスは、
前記第1の巻線区間の巻数が前記第2の巻線区間の巻数よりも大きく、かつ、
前記第2の巻線区間が前記出力回路に接続されているときの前記トランスの漏れインダクタンスが、前記第1の巻線区間が前記出力回路に接続されているときの前記トランスの漏れインダクタンスよりも大きくなるように構成された、
請求項4~8のうちの1つに記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記電力変換装置は、
前記第1及び第2の出力端子から出力される出力電圧を検出する電圧検出器と、
前記第1及び第2の出力端子から出力される出力電流を検出する電流検出器と、
前記出力電圧及び前記出力電流に基づいて、前記少なくとも1つの第1のレッグ回路の各スイッチング素子を制御し、かつ、前記スイッチ回路を制御するコントローラをさらに備えた、
請求項1~9のうちの1つに記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記出力電圧が予め決められたしきい値以上のとき、前記第1の巻線区間を前記出力回路に接続し、前記出力電圧が前記しきい値未満のとき、前記第2の巻線区間を前記出力回路に接続するように、前記スイッチ回路を制御する、
請求項9に従属した請求項10記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記コントローラは、
前記第1の入力端子から、前記コントローラによってオンされた前記各第1のレッグ回路の各スイッチング素子と、前記トランスの一次巻線とを介して、前記第2の入力端子に至る経路に含まれる容量及びインダクタンスと、
前記出力電圧及び前記出力電流と、
前記第1及び第2の出力端子から出力する目標電圧とに基づいて、
前記少なくとも1つの第1のレッグ回路の各スイッチング素子を動作させるスイッチング周波数を決定する、
請求項10又は11記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記出力回路は整流回路を含む、
請求項1~12のうちの1つに記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記二次巻線は、互いに異なる少なくとも3つの端子を有し、
前記スイッチ回路は、互いに直列接続された2つのスイッチング素子をそれぞれ含み、前記二次巻線の前記少なくとも3つの端子のうちの1つにそれぞれ接続された、少なくとも3つの第2のレッグ回路を備え、
前記スイッチ回路は、前記少なくとも3つの第2のレッグ回路のうちの2つを用いて、前記二次巻線の互いに異なる複数の巻線区間のうちの1つを前記出力回路に接続し、かつ、前記二次巻線の1つの巻線区間に発生する電流を同期整流して前記出力回路に供給する、
請求項1~12のうちの1つに記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、所定電圧の入力電力を所定電圧の出力電力に変換する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧が正弦波状に変動する交流電源電圧から所定の電圧を出力するために、例えば、特許文献1の電源装置が提案されている。特許文献1によれば、スイッチング素子を制御することによって、一次巻線のうちの交流電源電圧を印加する巻線を、交流電源電圧の1周期中のその時々の電圧に対応して、1周期の間に2回以上切換え、交流電源電圧が低いタイミングでは、トランスの一次巻線と二次巻線の巻数比を高くし、交流電源電圧が高いタイミングでは、当該巻数比を低くする。一次巻線は、巻数の異なる複数の巻線によって構成され、当複数の巻線の組み合わせによってトランスの巻数比を任意に切換える。
【0003】
また、所定電圧の入力電力を所定電圧の出力電力に変換する電力変換装置の効率を向上するために、複数のスイッチ素子と、漏れインダクタンスを内蔵したトランスと、キャパシタとを備えるLLC共振型の電力変換装置が提案されている。トランスの一次巻線、トランスの漏れインダクタンス、及びキャパシタは、LLC共振回路を構成する。LLC共振型の電力変換装置では、スイッチ素子のスイッチング周波数を変化させることにより出力電圧を変化させることができる。概して、スイッチング周波数を低下させると出力電圧は増大し、スイッチング周波数を増大させると出力電圧は低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5911591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LLC共振型の電力変換装置では、トランスの漏れインダクタンスに応じて、スイッチング周波数に対する出力電圧の特性が変化する。同一のスイッチング周波数の場合、トランスの漏れインダクタンスが大きくなるほど、出力電圧は小さくなる。
【0006】
LLC共振型の電力変換装置において、特許文献1のようにトランスの一次巻線と二次巻線の巻数比を切り換える技術を適用する場合を考える。例えば、二次側の出力電圧を低減するとき、トランスの二次巻線に対する一次巻線の巻数比が大きくなるように巻線を切り換える。この巻線の切り換えに応じてトランスの漏れインダクタンスが小さくなる場合、巻数比が大きくなることによる効果が、漏れインダクタンスが小さくなることによる影響で相殺されてしまう。従って、効率を低下させることなく、広い電圧範囲にわたる出力電圧を発生することが困難となる。
【0007】
本開示の目的は、LLC共振型の電力変換装置であって、従来技術よりも高い効率で、広い電圧範囲にわたる出力電圧を発生することができる電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る電力変換装置は、
第1及び第2の入力端子と、
第1及び第2の出力端子と、
前記第1及び第2の入力端子の間に直列接続された2つのスイッチング素子を含む少なくとも1つの第1のレッグ回路と、
一次巻線及び二次巻線を有するトランスと、
キャパシタと、
スイッチ回路と、
前記第1及び第2の出力端子に接続された出力回路とを備え、
前記キャパシタは、前記少なくとも1つの第1のレッグ回路のうちの1つと、前記一次巻線の一端との間に接続され、
前記スイッチ回路は、前記二次巻線の互いに異なる複数の巻線区間のうちの1つを前記出力回路に選択的に接続する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る電力変換装置は、LLC共振型の電力変換装置であって、従来技術よりも高い効率で、広い電圧範囲にわたる出力電圧を発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る電力変換装置100の構成を示すブロック図である。
図2図1のトランスT1の例示的な構成を示す断面図である。
図3】第1の実施形態の変形例に係るトランスT1Aの例示的な構成を示す断面図である。
図4図1のトランスT1の一次側の漏れインダクタンスLa及び二次側の漏れインダクタンスLbを示す等価回路図である。
図5図4の二次側の漏れインダクタンスLbから換算された一次側の漏れインダクタンスn・Lbを示す等価回路図である。
図6図5の一次側の漏れインダクタンスからさらに換算された一次側の漏れインダクタンスL1を示す等価回路図である。
図7図1の電力変換装置100の基本的な動作を説明するための波形図である。
図8】二次巻線の端子T1eを整流回路104に接続してLLC共振回路を動作させるときの、電力変換装置100のスイッチング周波数fsに対する出力電圧Voutの特性を示すグラフである。
図9】二次巻線の端子T1cを整流回路104に接続してLLC共振回路を動作させるときの、電力変換装置100のスイッチング周波数fsに対する出力電圧Voutの特性を示すグラフである。
図10図1のコントローラ107によるLLC共振回路及びスイッチング周波数fsの決定を説明するためのグラフである。
図11図1のコントローラ107によって実行される電力変換処理を示すフローチャートである。
図12】第2の実施形態に係る電力変換装置200の構成を示すブロック図である。
図13】第3の実施形態に係る電力変換装置300の構成を示すブロック図である。
図14図13の整流回路304の実装例を示す回路図である。
図15図13の電力変換装置300において、二次巻線W2の区間W2a+W2bを出力回路に接続するときのスイッチング素子SW1~SW4,SW31~SW36の動作を示すタイミングチャートである。
図16図13の電力変換装置300において、二次巻線W2の区間W2bを出力回路に接続するときの整流回路304の動作を説明する回路図である。
図17図13の電力変換装置300において、二次巻線W2の区間W2bを出力回路に接続するときのスイッチング素子SW1~SW4,SW31~SW36の動作を示すタイミングチャートである。
図18図13の整流回路304の第1の変形例を示す回路図である。
図19図13の整流回路304の第2の変形例を示す回路図である。
図20】第4の実施形態に係る電力変換装置400の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0012】
[第1の実施形態]
[全体構成]
図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置100の構成を示すブロック図である。電力変換装置100は、直流の電源装置101及び直流の負荷装置102に接続される。電力変換装置100は、電源装置101から供給された所定電圧の入力電力を所定電圧の出力電力に変換し、出力電力を負荷装置102に供給する。
【0013】
電力変換装置100は、入力端子P1,P2、スイッチング素子群103、キャパシタC1、トランスT1、スイッチ回路SW10、整流回路104、キャパシタC10、出力端子P3,P4、電圧検出器105、電流検出器106、及びコントローラ107を備える。
【0014】
入力端子P1,P2は、電源装置101に接続される。
【0015】
本明細書では、入力端子P1を「第1の入力端子」ともいい、入力端子P2を「第2の入力端子」ともいう。
【0016】
スイッチング素子群103は、入力端子P1,P2の間で直列接続された2つのスイッチング素子をそれぞれ含む複数のレッグ回路を含む。図1の例では、スイッチング素子群103は、スイッチング素子SW1,SW2を含むレッグ回路Q1と、スイッチング素子SW3,SW4を含むレッグ回路Q2とを含む。図1の例では、スイッチング素子SW1~SW4はフルブリッジ回路を構成する。スイッチング素子SW1~SW4は、例えば、MOSFETである。
【0017】
トランスT1は、端子T1a,T1bを有する一次巻線W1と、端子T1c,T1d,T1eを有する二次巻線W2とを備える。二次巻線W2は、互いに異なる複数の巻線区間を含む。図1の例では、二次巻線W2は、二次巻線の端子T1c,T1dの間の区間W2a+W2bを第1の巻線区間として含み、二次巻線の端子T1d,T1eの間の区間W2bを第2の巻線区間として含む。従って、第1及び第2の巻線区間は互いに異なる巻数を有する。また、トランスT1は漏れインダクタンスL1を内蔵する。
【0018】
本明細書では、端子T1aをトランスT1の一次巻線の「第1の端子」ともいい、端子T1bをトランスT1の一次巻線の「第2の端子」ともいう。また、本明細書では、端子T1cをトランスT1の二次巻線の「第1の端子」ともいい、端子T1dをトランスT1の二次巻線の「第2の端子」ともいい、端子T1eをトランスT1の二次巻線の「第3の端子」ともいう。
【0019】
トランスT1の一次巻線の端子T1aは、スイッチング素子SW1,SW2の間のノードN1に接続される。トランスT1の一次巻線の端子T1bは、キャパシタC1を介して、スイッチング素子SW3,SW4の間のノードN2に接続される。
【0020】
トランスT1の二次巻線の端子T1c,T1eは、スイッチ回路SW10を介して整流回路104に接続され、トランスT1の二次巻線の端子T1dは、整流回路104に接続される。
【0021】
スイッチ回路SW10は、トランスT1の二次巻線の端子T1c,T1eのうちの一方を整流回路104に選択的に接続する。これにより、スイッチ回路SW10は、二次巻線の端子T1c,T1dの間の区間W2a+W2bを第1の巻線区間として二次側の出力回路に接続し、二次巻線の端子T1d,T1eの間の区間W2bを第2の巻線区間として二次側の出力回路に接続する。
【0022】
第1及び第2の実施形態では、整流回路104、キャパシタC10、電圧検出器105、及び電流検出器106をまとめて「出力回路」ともいう。
【0023】
整流回路104は、ダイオードD1~D4を含むダイオードブリッジであり、トランスT1の二次巻線と出力端子P3,P4との間に接続される。整流回路104は、トランスT1の二次巻線に生じた電流を整流する。
【0024】
キャパシタC10は、整流回路104によって整流された電流を平滑化する。
【0025】
出力端子P3,P4は、負荷装置102に接続される。
【0026】
本明細書では、出力端子P3を「第1の出力端子」ともいい、出力端子P4を「第2の出力端子」ともいう。
【0027】
電圧検出器105は、電力変換装置100から負荷装置102に出力される出力電圧Voutを検出し、検出した出力電圧Voutをコントローラ107に通知する。電流検出器106は、電力変換装置100から負荷装置102に出力される出力電流Ioutを検出し、検出した出力電流Ioutをコントローラ107に通知する。
【0028】
コントローラ107は、負荷装置102から、負荷装置102に出力すべき目標電圧Vreqの大きさを示す要求信号を受信する。コントローラ107は、目標電圧Vreq、出力電圧Vout、及び出力電流Ioutに基づいて、各スイッチング素子SW1~SW4のゲート端子に印加される制御信号を発生し、各スイッチング素子SW1~SW4を制御する。コントローラ107は、スイッチング素子SW1,SW2を含むレッグ回路Q1及びスイッチング素子SW3,SW4を含むレッグ回路Q2を所定のスイッチング周波数fsで動作させる。また、コントローラ107は、電圧検出器105より通知された出力電圧Voutに応じてスイッチ回路SW10を切り換え、整流回路104に接続する二次巻線の端子T1c,T1eを切り換える。
【0029】
[トランスT1の構成]
トランスT1は、二次巻線の端子T1cが整流回路104に接続されているとき(すなわち第1の巻線区間が接続されているとき)のトランスT1の漏れインダクタンスと、二次巻線の端子T1eが整流回路104に接続されているとき(すなわち第2の巻線区間が接続されているとき)のトランスT1の漏れインダクタンスとが互いに異なるように構成される。例えば、トランスT1は、第1の巻線区間の巻数Ns1が第2の巻線区間の巻数Ns2よりも大きく、かつ、第1の巻線区間が整流回路104に接続されているときのトランスT1の漏れインダクタンスL11が、第2の巻線区間が整流回路104に接続されているときのトランスT1の漏れインダクタンスL12よりも小さくなるように構成される。
【0030】
このような漏れインダクタンスを生じるために、例えば、トランスT1は、一次巻線W1から二次巻線W2の区間W2bまでの距離が、一次巻線W1から二次巻線W2の区間W2aまでの距離よりも大きくなるように構成される。
【0031】
図2は、図1のトランスT1の例示的な構成を示す断面図である。トランスT1は、コアX1、一次巻線W1、及び二次巻線W2を備える。一次巻線W1及び二次巻線W2は、軸A-Aの周りに巻回される。図2の例では、一次巻線W1と、二次巻線W2の区間W2aと、二次巻線W2の区間W2bとは、縦に配置される。すなわち、一次巻線W1と、二次巻線W2の区間W2aと、二次巻線W2の区間W2bとは、軸A-Aの長手方向に沿った互いに異なる位置に巻回される。これにより、一次巻線W1から二次巻線W2の区間W2bまでの距離が、一次巻線W1から二次巻線W2の区間W2aまでの距離よりも大きくなり、Ns1>Ns2かつL11<L12を満たすトランスT1を実現することができる。
【0032】
図3は、第1の実施形態の変形例に係るトランスT1Aの例示的な構成を示す断面図である。図3の例では、一次巻線W1と、二次巻線W2の区間W2aと、二次巻線W2の区間W2bとは、横に配置される。すなわち、一次巻線W1と、二次巻線W2の区間W2aと、二次巻線W2の区間W2bとは、軸A-Aから互いに異なる距離の位置に巻回される。これにより、一次巻線W1から二次巻線W2の区間W2bまでの距離が、一次巻線W1から二次巻線W2の区間W2aまでの距離よりも大きくなり、Ns1>Ns2かつL11<L12を満たすトランスT1を実現することができる。
【0033】
なお、トランスT1の構造は、図2及び図3に記載されるものに限定されず、Ns1>Ns2かつL11<L12を満たしていれば、本実施形態の効果が得られる。
【0034】
トランスT1は、一次側の漏れインダクタンス及び二次側の漏れインダクタンスの両方を有するが、二次側の漏れインダクタンスは一次側の漏れインダクタンスとして換算することができる。以下、図4図6を参照して、漏れインダクタンスの換算について説明する。
【0035】
図4は、図1のトランスT1の一次側の漏れインダクタンスLa及び二次側の漏れインダクタンスLbを示す等価回路図である。Laは一次側の漏れインダクタンスを示し、Lbは二次側の漏れインダクタンスを示し、Lm’は励磁インダクタンスを示す。トランスは、巻数Npの一次巻線W1と、巻数Nsの二次巻線W2とを備える。
【0036】
図5は、図4の二次側の漏れインダクタンスLbから換算された一次側の漏れインダクタンスn・Lbを示す等価回路図である。ここで、nは、巻数比n=Np/Nsを示す。
【0037】
図6は、図5の一次側の漏れインダクタンスからさらに換算された一次側の漏れインダクタンスL1を示す等価回路図である。図4の一次側の漏れインダクタンスLa及び二次側の漏れインダクタンスLbに等価な漏れインダクタンスL1は、次式によって表される。
【0038】
【数1】
【0039】
[電力変換装置100の動作]
図7は、図1の電力変換装置100の基本的な動作を説明するための波形図である。図7の1段目から4段目は、スイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4のゲート端子に印加される制御信号を示す。図7の5段目は、スイッチング素子SW1の両端に印加される電圧Vds(ドレイン・ソース電圧)を示す。図7の6段目は、スイッチング素子SW1に流れる電流Ids(ドレイン・ソース電流)を示す。
【0040】
図7の時刻t1~t2の時間期間において、スイッチング素子SW2,SW3がオンされている。このとき、「P1→SW3→C1→T1→SW2→P2」の経路で電流が流れる。
【0041】
図7の時刻t2においてスイッチング素子SW2,SW3がオフされ、その後、「P2→SW4のボディーダイオード→C1→T1→SW1のボディーダイオード→P1」の経路で電流が流れる。スイッチング素子SW1のボディーダイオード,SW4のボディーダイオードに電流が流れている時間期間のうち、時刻t3においてスイッチング素子SW1,SW4がオンされる。これにより、スイッチング素子SW1,SW4はゼロ電圧スイッチングで動作する。
【0042】
図7の時刻t3~t4の時間期間において、スイッチング素子SW1,SW4がオンされている。このとき、「P1→SW1→T1→C1→SW4→P2」の経路で電流が流れる。
【0043】
図7の時刻t4においてスイッチング素子SW1,SW4がオフされ、その後、「P2→SW2のボディーダイオード→T1→C1→SW3のボディーダイオード→P1」の経路で電流が流れる。スイッチング素子SW2のボディーダイオード,SW3のボディーダイオードに電流が流れている時間期間のうち、時刻t5においてスイッチング素子SW2,SW3がオンされる。これにより、スイッチング素子SW2,SW3はゼロ電圧スイッチングで動作する。
【0044】
電力変換装置100は、トランスT1の一次巻線の端子T1a又はT1bと、レッグ回路Q1,Q2における2つのスイッチング素子の間のノードN1,N2との間に接続された少なくとも1つのキャパシタC1を備える。これにより、トランスT1の一次巻線、漏れインダクタンスL1、及びキャパシタC1は、LLC共振回路を構成する。
【0045】
ここで、従来技術に係るLLC共振型の電力変換装置の動作について説明する。
【0046】
LLC共振型の電力変換装置では、広い電圧範囲にわたる出力電圧を発生するためには、広い周波数範囲にわたるスイッチング周波数で各スイッチング素子を動作させる必要がある。スイッチング周波数を低下させるとトランスのコアの鉄損が増大し、スイッチング周波数を増大させるとトランスの巻線の銅損が増大する。トランスの鉄損及び銅損を緩和するためには、トランスのサイズを増大させる必要がある。また、スイッチング周波数を増大させると各スイッチング素子の損失も増大する。
【0047】
従来技術に係る例示的な電力変換装置として、トランスと、トランスの一次側に設けられた4つのスイッチング素子、及びキャパシタと、トランスの二次側に設けられた整流回路及びキャパシタとを備える回路を想定する。4つのスイッチング素子はブリッジ接続される。一次側のキャパシタは、いずれかのレッグ回路Q1,Q2における2つのスイッチング素子の間のノードと、トランスの一次巻線との間に接続される。
【0048】
この電力変換装置について、以下のパラメータを導入する。
【0049】
fs:各スイッチング素子のスイッチング周波数
L1:トランスの漏れインダクタンス
Np:トランスの一次巻線の巻数
Ns:トランスの二次巻線の巻数
Ae:トランスの実効断面積
Lp:トランスの一次巻線のインダクタンス
Vf:整流回路の各ダイオードの順方向電圧
Vo:電力変換装置の出力電圧
【0050】
このとき、トランスの磁束密度の最大変化量ΔBは、次式で表される。
【0051】
【数2】
【0052】
ここで、n=Np/Nsである。また、Mvは、結合度の逆数に相当し、次式で表される。
【0053】
【数3】
【0054】
トランスの鉄損Pcvは、以下のスタインメッツの式により近似的に算出される。
【0055】
【数4】
【0056】
ここで、Cm、x、及びyは、トランスのコアの種類に依存する係数である。leは実効磁路長を示す。
【0057】
数2~数4によれば、前述したように、スイッチング周波数fsを低下させるほど、トランスのコアの鉄損が増大することがわかる。
【0058】
また、前述したように、スイッチング周波数を増大させるほど、トランスの巻線の銅損が増大し、さらに、各スイッチング素子の損失も増大する。
【0059】
以下、第1の実施形態に係る電力変換装置100により、従来技術よりも高い効率で、広い電圧範囲にわたる出力電圧を発生することについて説明する。
【0060】
図8は、二次巻線の端子T1eを整流回路104に接続してLLC共振回路を動作させるときの、電力変換装置100のスイッチング周波数fsに対する出力電圧Voutの特性を示すグラフである。すなわち、図8は、巻数Ns2を有する二次巻線W2の区間W2bが整流回路104に接続され、トランスT1が漏れインダクタンスL12を有するときの、電力変換装置100のスイッチング周波数fsに対する出力電圧Voutの特性を示す。図8によれば、電力変換装置100は、負荷装置102のインピーダンスZ1~Z7に応じて異なる特性を有する。
【0061】
電力変換装置100は、入力端子P1からオンされたスイッチング素子とトランスT1の一次巻線とを介して入力端子P2に至る経路に含まれる容量及びインダクタンスに応じて異なり、かつ、負荷装置102のインピーダンス又は抵抗に応じて異なる、入力電圧Vinに対する出力電圧Voutの比、すなわち利得を有する。
【0062】
電力変換装置100の利得Kは、例えば、次式のように定式化される。
【0063】
【数5】
【0064】
ここで、以下のパラメータを用いる。
【0065】
Q:キャパシタC1及び漏れインダクタンスL1に係るQ値
m:漏れインダクタンスL1に対するトランス一次巻線のインダクタンスLpの比
f:正規化されたスイッチング周波数
【0066】
Q値は、次式で与えられる。
【0067】
【数6】
【0068】
【数7】
【0069】
ここで、Roは負荷装置102のインピーダンス又は抵抗を示し、Racは一次側で観察される等価負荷抵抗を示す。
【0070】
インダクタンスの比mは、次式で与えられる。
【0071】
【数8】
【0072】
正規化されたスイッチング周波数fは、次式で与えられる。
【0073】
【数9】
【0074】
ここで、frはキャパシタC1及び漏れインダクタンスL1に係る共振周波数を示し、次式で与えられる。
【0075】
【数10】
【0076】
利得Kは、等価的に、トランスT1の一次側のLLC共振回路への交流の入力電圧に対する、トランスT1の二次側における交流の出力電圧の比を表す。
【0077】
利得Kに対して電力変換装置100の入力電圧Vinを乗算することにより、図8の出力電圧Voutが得られる。
【0078】
数5によれば、電力変換装置100は、LLC共振回路の容量及びインダクタンスに応じて異なり、負荷装置102のインピーダンス又は抵抗に応じて異なり、かつ、スイッチング周波数fsに応じて異なる出力電圧Voutを発生することがわかる。
【0079】
負荷装置102のインピーダンス又は抵抗は、電圧検出器105及び電流検出器106によって検出された出力電圧Vout及び出力電流Ioutに基づいて、出力電流Ioutに対する出力電圧Voutの比Vout/Ioutとして得られる。負荷装置102のインピーダンス又は抵抗は、出力電力Poutに基づいて、Vout/Poutとして得られてもよい。
【0080】
図8では、負荷装置102のインピーダンスZ1~Z7を以下のように設定した。なお、このとき、電力変換装置100が一定の出力電力Pout=Vout×Iout=7040Wを発生するという条件下で、電圧検出器105及び電流検出器106によって以下の出力電圧Vout及び出力電流Ioutが検出される。
【0081】
Z1= 5.7Ω(Vout=200V,Iout=35.2A)
Z2= 8.9Ω(Vout=250V,Iout=28.2A)
Z3=12.8Ω(Vout=300V,Iout=23.4A)
Z4=17.4Ω(Vout=350V,Iout=20.1A)
Z5=22.7Ω(Vout=400V,Iout=17.6A)
Z6=28.8Ω(Vout=450V,Iout=15.6A)
Z7=35.5Ω(Vout=500V,Iout=14.1A)
【0082】
図9は、二次巻線の端子T1cを整流回路104に接続してLLC共振回路を動作させるときの、電力変換装置100のスイッチング周波数fsに対する出力電圧Voutの特性を示すグラフである。すなわち、図9は、巻数Ns1を有する二次巻線W2の区間W2a+W2bが整流回路104に接続され、トランスT1が漏れインダクタンスL11を有するときの、電力変換装置100のスイッチング周波数fsに対する出力電圧Voutの特性を示す。本実施形態においてはL11=0.7×L12、Ns1=1.6×Ns2となるように値を設定した。図9の場合、入力電圧Vin、一次巻線のインダクタンスLp、キャパシタC1、一次巻線の巻数Npに関しては、図8の場合と同じ条件を設定した。
【0083】
図9でも、図8の場合と同じ負荷装置102のインピーダンスZ1~Z7を設定した。
【0084】
図8及び図9によれば、電力変換装置100は、LLC共振回路の漏れインダクタンスL1に応じて異なり、トランスT1の二次巻線W2の巻数Nsに応じて異なり、負荷装置102のインピーダンスZ1~Z7に応じて異なり、かつ、スイッチング周波数fsに応じて異なる出力電圧Voutを発生することがわかる。同じスイッチング周波数fsで動作するとき、二次巻線の端子T1cを整流回路104に接続してLLC共振回路を動作させる場合(すなわち、二次巻線W2の巻数Ns1かつ漏れインダクタンスL11の場合)の出力電圧Voutは、二次巻線の端子T1eを整流回路104に接続してLLC共振回路を動作させる場合(すなわち、二次巻線W2の巻数Ns2かつ漏れインダクタンスL12の場合)の出力電圧Voutよりも高くなる。また、同じ出力電圧Voutで動作するとき、二次巻線の端子T1cを整流回路104に接続してLLC共振回路を動作させる場合(すなわち、二次巻線W2の巻数Ns1かつ漏れインダクタンスL11の場合)のスイッチング周波数fsは、二次巻線の端子T1eを整流回路104に接続してLLC共振回路を動作させる場合(すなわち、二次巻線W2の巻数Ns2かつ漏れインダクタンスL12の場合)のスイッチング周波数fsよりも高くなる。従って、電力変換装置100は、スイッチ回路SW10により二次巻線W2の互いに異なる複数の巻線区間のうちの1つを出力回路に選択的に接続することにより、従来技術よりも高い効率で、広い電圧範囲にわたる出力電圧を発生することができる。
【0085】
コントローラ107は、出力電圧Voutが予め決められた複数の電圧範囲のうちのいずれに含まれるかに基づいて、整流回路104に接続する二次巻線の端子を決定し、SW10を制御する。これにより、コントローラ107は、二次巻線W2の巻数Ns1及び漏れインダクタンスL11を有するLLC共振回路と、二次巻線W2の巻数Ns2及び漏れインダクタンスL12を有するLLC共振回路とを選択的に動作させる。
【0086】
また、コントローラ107は、入力端子P1から、コントローラ107によってオンされたスイッチング素子SW1~SW4と、トランスT1の一次巻線とを介して、入力端子P2に至る経路に含まれる容量及びインダクタンスと、出力電圧Vout及び出力電流Ioutと、負荷装置102に出力する目標電圧Vreqとに基づいて、スイッチング周波数fsを決定する。
【0087】
また、出力電圧Vout及び出力電流Ioutから、前述のように、負荷装置102のインピーダンス又は抵抗がわかる。使用中のLLC共振回路と、負荷装置102のインピーダンス又は抵抗とに基づいて、現時点での、電力変換装置100のスイッチング周波数fsに対する出力電圧Voutの特性が決まる。このとき、目標電圧Vreqに基づいて、スイッチング周波数fsを増大させるか、それとも減少させるかを決めることができる。
【0088】
電力変換装置100のスイッチング周波数fsに対する出力電圧Voutの特性は、整流回路104と接続する二次巻線の端子がT1cの場合についても、T1eの場合についても、電力変換装置100の設計及び製造の時点で既知である。コントローラ107は、複数のLLC共振回路の特性を比較し、動作させるLLC共振回路を決定する。動作させるLLC共振回路を決定する条件は、スイッチング周波数fsに対する出力電圧Voutの特性(例えば、カーブの傾き)、電力変換装置100の出力電圧Voutの範囲、トランスT1の特性、などを考慮して決められる。例えば、トランスT1の損失のトレードオフを考慮して、出力電圧Voutの範囲の中間電圧(すなわち、(最大電圧+最小電圧)÷2)を、動作させるLLC共振回路を決定するしきい値とする。最小電圧~中間電圧では、より低いスイッチング周波数の範囲において最小電圧~中間電圧が出力できるLLC共振回路を用いる。中間電圧~最大電圧では、より高いスイッチング周波数の範囲において中間電圧~最大電圧が出力できるLLC共振回路を用いる。これにより、トランスT1の損失を生じにくくすることができる。動作させるLLC共振回路の特性に応じて、中間電圧とは異なるしきい値を用いてもよい。
【0089】
例えば、電圧検出器105より通知された出力電圧Voutがコントローラ107に設定されているしきい値電圧Vcthより大きいときは、整流回路104に二次巻線の端子T1cが接続されるようにスイッチ回路SW10を切り換える。すなわち、出力電圧Voutがしきい値電圧Vcthより大きいときは、トランスT1の二次巻線W2の巻数がNs1になり、漏れインダクタンスがL11になる。電圧検出器105より通知された出力電圧Voutがコントローラ107に設定されているしきい値電圧Vcthより小さいときは、整流回路104に二次巻線の端子T1eが接続されるようにスイッチ回路SW10を切り換える。すなわち、出力電圧Voutがしきい値電圧Vcthより小さいときは、トランスT1の二次巻線W2の巻数がNs2になり、漏れインダクタンスがL12になる。
【0090】
図10は、図1のコントローラ107によるLLC共振回路及びスイッチング周波数fsの決定を説明するためのグラフである。図10は、図8及び図9の各プロットのうち、図示の簡単化のため、負荷装置102のインピーダンスZ1、Z4、及びZ7を設定した場合のみを示す。図10の例では、Vout=350Vをしきい値として、出力電圧Voutが350V以上の電圧範囲と350V未満の電圧範囲とのいずれに含まれるかに基づいて、整流回路104に接続する二次巻線の端子をT1cにするかT1eにするかを決定する。
【0091】
電力変換装置100は、例えば、初期状態の出力電圧Vout=200がしきい値の電圧350Vよりも低く、目標電圧Vreq=500がしきい値の電圧350Vよりも高いとき、以下のように動作する。まず、出力電圧Voutがしきい値の電圧350V未満であるとき(点A1~A2)、コントローラ107は、整流回路104と二次巻線の端子T1eを接続するようにスイッチ回路SW10を制御し、LLC共振回路を動作させる。これにより、電力変換装置100は、比較的に低いスイッチング周波数fsで動作しながら、低い出力電圧Voutを発生することができる。コントローラ107は、スイッチング周波数fsを次第に低下させることにより、出力電圧Voutを次第に増大させる。出力電圧Voutがしきい値の電圧350Vに達したとき(点A2)、コントローラ107は、整流回路104と二次巻線の端子T1cを接続するようにスイッチ回路SW10を制御しLLC共振回路を動作させる。それと同時に、コントローラ107は、キャパシタC1を含むLLC共振回路の特性に応じて、スイッチング周波数fsを変化させる(点A2→点A3)。これにより、電力変換装置100は、比較的に高いスイッチング周波数fsで動作しながら、高い出力電圧Voutを発生することができる。コントローラ107は、スイッチング周波数fsを次第に低下させることにより、出力電圧Voutを目標電圧Vreqまで次第に増大させる(点A3~A4)。
【0092】
二次巻線の端子T1eを整流回路104に接続したLLC共振回路のみで動作させる場合、例えば200V~500Vの範囲で出力電圧Voutを発生するためには、スイッチング周波数fsを約120~260kHzの範囲にわたって変化させなければならない。また、二次巻線の端子T1cを整流回路104に接続したLLC共振回路のみで動作させる場合、例えば200V~500Vの範囲で出力電圧Voutを発生するためには、スイッチング周波数fsを約140~620kHz(400kHz以上は図示せず。)の範囲にわたって変化させなければならない。一方、電力変換装置100によれば、整流回路104に接続する二次巻線の端子をT1c又はT1eに切り換えてLLC共振回路を選択的に動作させることにより、スイッチング周波数fsを約140~260kHzの範囲にわたって変化させることで、200V~500Vの範囲で出力電圧Voutを発生することができる。このように、電力変換装置100によれば、スイッチング周波数fsを変化させる範囲を縮小することにより、低いスイッチング周波数fs及び高いスイッチング周波数fsに関連付けられた損失を生じにくくすることができる。
【0093】
図11は、図1のコントローラ107によって実行される電力変換処理を示すフローチャートである。
【0094】
図11の電力変換処理の初期状態では、コントローラ107のみが動作し、各スイッチング素子SW1~SW4は動作せず、出力電圧Voutはゼロである。
【0095】
ステップS1において、コントローラ107は、負荷装置102から目標電圧Vreqの要求信号を受信する。ステップS2において、コントローラ107は、目標電圧Vreqが予め決められた複数の電圧範囲のうちのいずれに含まれるか(例えば、しきい値の電圧350V以上であるか否か)に基づいて、整流回路104に接続する二次巻線の端子を決定する。ステップS3において、コントローラ107は、目標電圧Vreqに基づいてスイッチング周波数fsを決定する。このとき、負荷装置102のインピーダンス又は抵抗は未知であるが、コントローラ107は、負荷装置102のインピーダンスZの何らかの初期値に基づいて決められた、スイッチング周波数fsに対する出力電圧Voutの特性を用いて、スイッチング周波数fsを決定する。ステップS4において、コントローラ107は、スイッチング素子SW1~SW4のスイッチング動作を開始する。
【0096】
ステップS5において、コントローラ107は、出力電圧Vout及び出力電流Ioutを検出する。ステップS6において、コントローラ107は、出力電圧Voutが使用中のLLC共振回路の動作範囲内にあるか否か(例えば、しきい値の電圧350V以上であるか否か)を判断し、YESのときはステップS7に進み、NOのときはステップS9に進む。
【0097】
ステップS7において、コントローラ107は、目標電圧Vreq、出力電圧Vout、及び出力電流Ioutに基づいてスイッチング周波数fsを決定する。ステップS8において、コントローラ107は、スイッチング周波数fsを変更する。
【0098】
ステップS9において、コントローラ107は、スイッチング素子SW1~SW4のスイッチング動作を停止する。ステップS10において、コントローラ107は、出力電圧Voutに基づいて整流回路104に接続する二次巻線の端子を決定する。ステップS11において、コントローラ107は、目標電圧Vreq、出力電圧Vout、及び出力電流Ioutに基づいてスイッチング周波数fsを決定する。ステップS12において、コントローラ107は、スイッチング素子SW1~SW4のスイッチング動作を開始する。
【0099】
ステップS13において、コントローラ107は、スイッチング動作の停止条件を満たすか否かを判断し、YESのときはステップS14に進み、NOのときはステップS5に戻る。停止条件は、例えば負荷装置102が充電装置である場合、コントローラ107が負荷装置102から満充電を示す通知信号を受信すること、などを含む。また、停止条件は、何らかの異常を検出すること(保護回路の動作)、外部からの停止信号を受信すること、などを含んでもよい。ステップS14において、コントローラ107は、スイッチング素子SW1~SW4のスイッチング動作を停止する。
【0100】
以上説明したように、第1の実施形態に係る電力変換装置100によれば、LLC共振型の電力変換装置であって、従来技術よりも高い効率で、広い電圧範囲にわたる出力電圧を発生することができる。
【0101】
第1の実施形態に係る電力変換装置100によれば、過度に低いスイッチング周波数fsで動作することも、過度に高いスイッチング周波数fsで動作することも回避することができる。従って、トランスT1のサイズを増大させることなく、コアの鉄損及び巻線の銅損を生じにくくすることができる。また、過度に高いスイッチング周波数fsで動作することを回避できるので、スイッチング素子SW1~SW4の損失も生じにくくすることができる。
【0102】
例えば負荷装置102が充電装置である場合、充電開始から時間が経過するにつれて負荷装置102の内部電圧が上昇するので、負荷装置102に供給する電圧を増大させる必要がある。第1の実施形態に係る電力変換装置100は、このような負荷装置102の状態の変化に追従して、出力電圧Voutを変化させることができる。
【0103】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、一次側において、フルブリッジ回路として構成された複数のスイッチング素子を備える電力変換装置について説明した。第2の実施形態では、一次側において、ハーフブリッジ回路として構成された複数のスイッチング素子を備える電力変換装置について説明する。
【0104】
図12は、第2の実施形態に係る電力変換装置200の構成を示すブロック図である。電力変換装置200は、図1のスイッチング素子群103及びコントローラ107に代えて、スイッチング素子群203及びコントローラ207を備える。電力変換装置200は、図1の電力変換装置100からスイッチング素子SW3,SW4を除去した構成を有する。トランスT1の一次巻線の端子T1aはスイッチング素子SW1,SW2の間のノードN1に接続される。トランスT1の一次巻線の端子T1bは、キャパシタC1を介して入力端子P2に接続される。この場合もまた、第1の実施形態に係る電力変換装置と同様に、LLC共振型の電力変換装置であって、従来技術よりも高い効率で、広い電圧範囲にわたる出力電圧を発生することができる。
【0105】
[第3の実施形態]
第1及び第2の実施形態では、二次側において、ダイオードブリッジの整流回路を備え、また、二次巻線の複数の巻線区間のうちの1つを出力回路に選択的に接続するために、二次巻線と整流回路との間にスイッチ回路を備える電力変換装置について説明した。一方、第3の実施形態では、二次側において、複数のスイッチング素子を含む整流回路(同期整流回路)を備え、この整流回路を用いて、二次巻線の複数の巻線区間のうちの1つを出力回路に選択的に接続する電力変換装置について説明する。
【0106】
[全体構成]
図13は、第3の実施形態に係る電力変換装置300の構成を示すブロック図である。電力変換装置300は、図1のスイッチ回路SW10、整流回路104、及びコントローラ107に代えて、整流回路304及びコントローラ307を備える。
【0107】
整流回路304は、互いに直列接続された2つのスイッチング素子をそれぞれ含み、二次巻線W2の少なくとも3つの端子T1c~T1eのうちの1つにそれぞれ接続された、少なくとも3つのレッグ回路を備える。図13の例では、整流回路304は、スイッチング素子SW31,SW32を含むレッグ回路Q3と、スイッチング素子SW33,SW34を含むレッグ回路Q4と、スイッチング素子SW35,SW36を含むレッグ回路Q5とを含む。トランスT1の二次巻線W2の端子T1cは,スイッチング素子SW31,SW32の間のノードN3に接続される。トランスT1の二次巻線W2の端子T1eは,スイッチング素子SW33,SW34の間のノードN4に接続される。トランスT1の二次巻線W2の端子T1dは,スイッチング素子SW35,SW36の間のノードN5に接続される。
【0108】
図14は、図13の整流回路304の実装例を示す回路図である。スイッチング素子SW31~SW36は、例えば、ボディダイオードを含むMOSFETである。
【0109】
整流回路304は、コントローラ307の制御下で、3つのレッグ回路Q3~Q5のうちの2つを用いて、二次巻線W2の区間W2a+W2b(第1の巻線区間)及び区間W2b(第2の巻線区間)のうちの一方を二次側の出力回路に接続し、かつ、二次巻線W2の1つの巻線区間に発生する電流を同期整流して二次側の出力回路に供給する。
【0110】
第3及び第4の実施形態では、キャパシタC10、電圧検出器105、及び電流検出器106をまとめて「出力回路」ともいう。
【0111】
コントローラ307は、図1のコントローラ107と同様に、各スイッチング素子SW1~SW4のゲート端子に印加される制御信号を発生し、各スイッチング素子SW1~SW4を制御する。
【0112】
また、コントローラ307は、電圧検出器105より通知された出力電圧Voutに応じて、二次巻線W2の区間W2a+W2b及び区間W2bのうちの一方を出力回路に接続するように、整流回路304を制御する。区間W2a+W2bを出力回路に接続する場合、コントローラ307は、スイッチング素子SW33,SW34をオフする。区間W2bを出力回路に接続する場合、コントローラ307は、スイッチング素子SW31,SW32をオフする。
【0113】
また、コントローラ307は、二次巻線W2の1つの巻線区間に発生する電流を同期整流して出力回路に供給するように、整流回路304を制御する。区間W2a+W2bに発生する電流を同期整流する場合、コントローラ307は、図14及び図15を参照して後述するように、一次側の各スイッチング素子SW1~SW4に同期して、整流回路304のスイッチング素子SW31,SW32,SW35,SW36をオン/オフする。このとき、前述のように、コントローラ307はスイッチング素子SW33,SW34をオフしている。また、区間W2bに発生する電流を同期整流する場合、コントローラ307は、図16及び図17を参照して後述するように、一次側の各スイッチング素子SW1~SW4に同期して、整流回路304のスイッチング素子SW33,SW34,SW35,SW36をオン/オフする。このとき、前述のように、コントローラ307はスイッチング素子SW31,SW32をオフしている。
【0114】
図13の電力変換装置300の他の構成要素は、図1の電力変換装置100の対応する構成要素と同様に構成され、同様に動作する。
【0115】
整流回路304は、実質的に、第1及び第2の実施形態の整流回路104として動作するとともに、スイッチ回路SW10としても動作する。従って、第3及び第4の実施形態では、整流回路304を「スイッチ回路」ともいう。
【0116】
第3及び第4の実施形態では、スイッチング素子群103,203の各レッグ回路Q1,Q2を「第1のレッグ回路」ともいう。また、第3及び第4の実施形態では、整流回路304の各レッグ回路Q3~Q5を「第2のレッグ回路」ともいう。
【0117】
[電力変換装置300の動作]
図13はまた、二次巻線W2の区間W2a+W2bを出力回路に接続するときの整流回路304の動作を示す。図13に示すように、区間W2a+W2bを出力回路に接続するために、スイッチング素子SW33,SW34はオフされている。図15は、図13の電力変換装置300において、二次巻線W2の区間W2a+W2bを出力回路に接続するときのスイッチング素子SW1~SW4,SW31~SW36の動作を示すタイミングチャートである。図15の1段目から4段目は、一次側のスイッチング素子SW1~SW4のゲート端子に印加される制御信号を示す。図15の5段目は、トランスT1の二次巻線の端子T1dからみた端子T1cの電圧の波形を、矩形波により概略的に示す。図15の6段目から11段目は、整流回路304のスイッチング素子SW31~SW36のゲート端子に印加される制御信号を示す。図15において、図示の簡単化のため、各制御信号のデッドタイムは省略している。
【0118】
図15の時刻t11~t12の時間期間において、スイッチング素子SW1,SW4がオンされ、スイッチング素子SW2,SW3がオフされ、このとき、トランスT1の二次巻線の端子T1dからみた端子T1cの電圧は正になる。従って、スイッチング素子SW31,SW36をオンし、スイッチング素子SW32,SW35をオフすることで、出力端子P4からみた出力端子P3の電圧は正になる。
【0119】
図15の時刻t12~t13の時間期間において、スイッチング素子SW2,SW3がオンされ、スイッチング素子SW1,SW4がオフされ、このとき、トランスT1の二次巻線の端子T1dからみた端子T1cの電圧は負になる。従って、スイッチング素子SW32,SW35をオンし、スイッチング素子SW31,SW36をオフすることで、出力端子P4からみた出力端子P3の電圧は正になる。
【0120】
図15の時刻t11~t13の時間期間にわたって、区間W2a+W2bを出力回路に接続するために、スイッチング素子SW33,SW34はオフされている。
【0121】
図16は、図13の電力変換装置300において、二次巻線W2の区間W2bを出力回路に接続するときの整流回路304の動作を説明する回路図である。図16に示すように、区間W2bを出力回路に接続するために、スイッチング素子SW31,SW32はオフされている。図17は、図13の電力変換装置300において、二次巻線W2の区間W2bを出力回路に接続するときのスイッチング素子SW1~SW4,SW31~SW36の動作を示すタイミングチャートである。図17の各段は、図15の各段と同じ信号を示す。
【0122】
図17の時刻t11~t12の時間期間において、スイッチング素子SW1,SW4がオンされ、スイッチング素子SW2,SW3がオフされ、このとき、トランスT1の二次巻線の端子T1dからみた端子T1cの電圧は正になる。従って、スイッチング素子SW33,SW36をオンし、スイッチング素子SW34,SW35をオフすることで、出力端子P4からみた出力端子P3の電圧は正になる。
【0123】
図17の時刻t12~t13の時間期間において、スイッチング素子SW2,SW3がオンされ、スイッチング素子SW1,SW4がオフされ、このとき、トランスT1の二次巻線の端子T1dからみた端子T1cの電圧は負になる。従って、スイッチング素子SW34,SW35をオンし、スイッチング素子SW33,SW36をオフすることで、出力端子P4からみた出力端子P3の電圧は正になる。
【0124】
図17の時刻t11~t13の時間期間にわたって、区間W2bを出力回路に接続するために、スイッチング素子SW31,SW32はオフされている。
【0125】
第3の実施形態に係る電力変換装置300によれば、第1の実施形態に係る電力変換装置100と同様に、LLC共振型の電力変換装置であって、従来技術よりも高い効率で、広い電圧範囲にわたる出力電圧を発生することができる。
【0126】
また、第3の実施形態に係る電力変換装置300によれば、同期整流を行う整流回路304を備えたことにより、ダイオードブリッジの整流回路を用いる場合よりも損失を低減することができる。
【0127】
[整流回路の変形例]
図18は、図13の整流回路304の第1の変形例を示す回路図である。図18の整流回路304Aは、図14のMOSFETであるスイッチング素子SW31,SW32に代えて、逆バイアス電圧に対して十分な耐圧を有する逆阻止型のスイッチング素子SW31a,SW32aを備える。スイッチング素子SW31aは、オンしたとき上向きにのみ電流を流れさせ、オフしたとき電流を阻止する。スイッチング素子SW32aは、オンしたとき下向きにのみ電流を流れさせ、オフしたとき電流を阻止する。スイッチング素子SW31a,SW32aは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。
【0128】
図19は、図13の整流回路304の第2の変形例を示す回路図である。図19の整流回路304Bは、図18のMOSFETであるスイッチング素子SW33,SW34に代えて、逆バイアス電圧に対して十分な耐圧を有する逆阻止型のスイッチング素子SW33a,SW34aを備える。スイッチング素子SW33aは、オンしたとき上向きにのみ電流を流れさせ、オフしたとき電流を阻止する。スイッチング素子SW34aは、オンしたとき下向きにのみ電流を流れさせ、オフしたとき電流を阻止する。スイッチング素子SW33a,SW34aは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。
【0129】
整流回路304は、MOSFET又はIGBTであるスイッチング素子に代えて、他の任意のスイッチング素子を用いてもよい。
【0130】
[第4の実施形態]
第3の実施形態では、一次側において、フルブリッジ回路として構成された複数のスイッチング素子を備える電力変換装置について説明した。第4の実施形態では、一次側において、ハーフブリッジ回路として構成された複数のスイッチング素子を備える電力変換装置について説明する。
【0131】
図20は、第4の実施形態に係る電力変換装置400の構成を示すブロック図である。電力変換装置400は、図13のスイッチング素子群103及びコントローラ307に代えて、スイッチング素子群203及びコントローラ407を備える。電力変換装置400は、図13の電力変換装置300からスイッチング素子SW3,SW4を除去した構成を有する。トランスT1の一次巻線の端子T1aはスイッチング素子SW1,SW2の間のノードN1に接続される。トランスT1の一次巻線の端子T1bは、キャパシタC1を介して入力端子P2に接続される。この場合もまた、第3の実施形態に係る電力変換装置と同様に、LLC共振型の電力変換装置であって、従来技術よりも高い効率で、広い電圧範囲にわたる出力電圧を発生することができる。
【0132】
[他の変形例]
本開示の各実施形態では、トランスT1の二次巻線W2が3つの端子T1c~T1dを備える場合について説明したが、二次巻線W2の互いに異なる複数の巻線区間のうちの1つを出力回路に選択的に接続できるのであれば、二次巻線W2は4つ以上の端子を備えてもよい。
【0133】
本開示の第3及び第4の実施形態では、整流回路304が3つのレッグ回路Q3~Q5を備える場合について説明したが、二次巻線W2は4つ以上の端子を備える場合、整流回路は、これらの端子にそれぞれ接続された4つ以上のレッグ回路を備えてもよい。整流回路は、そのレッグ回路のうちの2つを用いて、二次巻線の互いに異なる複数の巻線区間のうちの1つを出力回路に接続し、かつ、二次巻線の1つの巻線区間に発生する電流を同期整流して出力回路に供給する。
【0134】
本開示の第1及び第2の実施形態において、電力制御回路は、ダイオードブリッジの整流回路に代えて、複数のスイッチング素子を用いて同期整流を行う整流回路を備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本開示に係る電力変換装置は、例えば、電気自動車又はハイブリッド自動車のバッテリーに充電するための、車載の電力変換装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0136】
100,200,300,400 電力変換装置
101 電源装置
102 負荷装置
103,203 スイッチング素子群
104,304 整流回路
105 電圧検出器
106 電流検出器
107,207,307,407 コントローラ
C1,C10 キャパシタ
D1~D4 ダイオード
L1 漏れインダクタンス
P1,P2 入力端子
P3,P4 出力端子
Q1~Q5 レッグ回路
SW1~SW4,SW31~SW36 スイッチング素子
SW10 スイッチ回路
T1 トランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20