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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】コジェネレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20220101AFI20231020BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20231020BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20231020BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20231020BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20231020BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20231020BHJP
   F24H 15/156 20220101ALI20231020BHJP
   F24H 15/225 20220101ALI20231020BHJP
   F24H 15/355 20220101ALI20231020BHJP
   F24H 15/37 20220101ALI20231020BHJP
   F24D 18/00 20220101ALI20231020BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20231020BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20231020BHJP
   F24D 101/30 20220101ALN20231020BHJP
   F24D 103/20 20220101ALN20231020BHJP
【FI】
F24H1/18 D
F24H1/00 631A
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
H01M8/04701
H01M8/0432
F24H15/156
F24H15/225
F24H15/355
F24H15/37
F24D18/00
H01M8/10 101
H01M8/12 101
F24D101:30
F24D103:20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020025471
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021131172
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100163463
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 光彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 恵伍
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-241145(JP,A)
【文献】特開2012-207829(JP,A)
【文献】特開2004-297905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
F24H 1/00
H01M 8/00
H01M 8/04
H01M 8/04701
H01M 8/0432
H01M 8/10
H01M 8/12
F24D 18/00
F24H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力及び熱を発生させる燃料電池ユニットと、
前記燃料電池ユニットで発生した熱によって加熱された温水を貯える貯湯ユニットと、
前記燃料電池ユニットを少なくとも第一制御に従って運転させることによって前記燃料電池ユニットを負荷追従させる制御部と、
前記貯湯ユニットに貯えられた水を前記燃料電池ユニット以外で生じた電力で加熱する第一ヒータと、
前記燃料電池ユニットで発生した電力が供給される第二ヒータと、
過去の電力負荷及び過去の熱負荷を示す履歴データを記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記履歴データに基づいて将来の所定期間における電力需要及び熱需要を予測し、前記第一ヒータの発熱が必要な熱不足状態が発生すると予測されるときに、前記貯湯ユニットで貯えられた温水の量及び前記熱需要に基づいて前記貯湯ユニットで不足する不足熱量を算出し、
前記制御部は、前記燃料電池ユニットを前記第一制御に従って運転したときに前記燃料電池ユニットで発生する第一熱量と、前記不足熱量とに基づいて前記燃料電池ユニットの発電量及び発電時間の少なくとも1つを前記第一制御に対して増加させる第二制御に従って前記燃料電池ユニットを運転させる、
コジェネレーションシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第二制御に従って前記燃料電池ユニットを運転した後に前記第一ヒータの発熱が必要か否かを判断する、請求項1に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記温水の量と、前記第二制御に従って前記燃料電池ユニットを運転したときに前記燃料電池ユニットで発生する第二熱量と、前記熱需要とに基づいて、前記第二制御に従って前記燃料電池ユニットを運転した後に前記貯湯ユニットに貯えられる温水の量が前記熱需要に対し不足するときに、前記第一ヒータを発熱させ、
前記制御部は、前記温水の量と、前記第二制御に従って前記燃料電池ユニットを運転したときに前記燃料電池ユニットで発生する第二熱量と、前記熱需要とに基づいて、前記第二制御に従って前記燃料電池ユニットを運転した後に前記貯湯ユニットに貯えられる温水の量が前記熱需要に対し足りるときに、前記第一ヒータを発熱させない、
請求項1又は2に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項4】
前記第二ヒータは、前記燃料電池ユニットで発生した熱を回収する熱媒体を前記燃料電池ユニットで発生した電力で加熱し
前記第一熱量は、前記第二ヒータで発生する熱量を含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項5】
前記第二ヒータは、前記燃料電池ユニットで発生した熱を回収する熱媒体を前記燃料電池ユニットで発生した電力で加熱し
前記第二熱量は、前記第二ヒータで発生する熱量を含む、
請求項3に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項6】
前記貯湯ユニットは、温水を貯えるタンクと、前記タンクの内部と前記タンクの外部との間で水を循環させる循環路とを有し、
前記第一ヒータは、前記循環路における水を加熱する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のコジェネレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コジェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池の排熱を回収した湯を貯える貯湯ユニットを備えたコジェネレーションシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、発電ユニットと、貯湯ユニットと、加熱器と、制御手段とを備えたコジェネレーションシステムが記載されている。発電ユニットは、燃料電池ユニットであり、電力及び熱を発生させる。貯湯ユニットは、発電ユニットで発生した熱により温められた湯を貯える。加熱器は、貯湯ユニットで貯えられる湯の温度を上昇させる。制御手段は、貯湯ユニットにおける蓄熱量の予測値に基づいて加熱器を制御する。貯湯ユニットは、バックアップボイラを有する。バックアップボイラは、原燃料を燃焼させるバーナを有し、出湯される湯の温度が所望の温度に達しない場合にその湯を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-207829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術は、エネルギー消費量を低減する観点から再検討の余地を有する。そこで、本開示は、エネルギー消費量を低減する観点から有利なコジェネレーションシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示におけるコジェネレーションシステムは、
電力及び熱を発生させる燃料電池ユニットと、
前記燃料電池ユニットで発生した熱によって加熱された温水を貯える貯湯ユニットと、
前記燃料電池ユニットを少なくとも第一制御に従って運転させることによって前記燃料電池ユニットを負荷追従させる制御部と、
前記貯湯ユニットに貯えられた水を電力で加熱する第一ヒータと、
過去の電力負荷及び過去の熱負荷を示す履歴データを記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記履歴データに基づいて将来の所定期間における電力需要及び熱需要を予測し、前記第一ヒータの発熱が必要な熱不足状態が発生すると予測されるときに、前記貯湯ユニットで貯えられた温水の量及び前記熱需要に基づいて前記貯湯ユニットで不足する不足熱量を算出し、
前記制御部は、前記燃料電池ユニットを前記第一制御に従って運転したときに前記燃料電池ユニットで発生する第一熱量と、前記不足熱量とに基づいて前記燃料電池ユニットの発電量及び発電時間の少なくとも1つを前記第一制御に対して増加させる第二制御に従って前記燃料電池ユニットを運転させる。
【発明の効果】
【0007】
上記のコジェネレーションシステムは、エネルギー消費量を低減する観点から有利である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1におけるコジェネレーションシステムの構成図
図2】コジェネレーションシステムの制御の一例を示すフローチャート
図3】コジェネレーションシステムの制御の一例を示すフローチャート
図4】コジェネレーションシステムの制御の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者らが本開示を想到するに至った当時、コジェネレーションシステムとして、燃料電池の排熱を回収した湯を貯える貯湯ユニットを備えたシステムがあった。このようなシステムでは、貯湯ユニットがバックアップボイラを有し、バックアップボイラを用いて出湯される湯の温度を所望の温度に調節していた。このようなコジェネレーションシステムにおいて、燃料電池を負荷追従するように発電させる制御を行う場合、燃料電池の排熱を回収した湯が給湯需要に対し不足する可能性がある。この場合には、バックアップボイラを用いて貯湯ユニットから出湯される湯を加熱する必要がある。
【0010】
バックアップボイラの使用は、コジェネレーションシステムの製造コストを低減する観点から有利とは言い難い。そこで、燃料電池ユニットを負荷追従するように運転するときに、予測される給湯需要を踏まえて、予め貯湯ユニットに貯えられた水を電力で加熱するヒータを使用して加熱し、貯湯ユニットに所望の量の温水を貯えることが考えられる。
【0011】
一方、本発明者は、コジェネレーションシステムがそのようなヒータを備えた場合に、エネルギー消費量を低減する余地があるという課題を発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0012】
そこで、本開示は、エネルギー消費量を低減する観点から有利なコジェネレーションシステムを提供する。
【0013】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細な説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0014】
(実施の形態1)
以下、図1図2図3、及び図4を用いて、実施の形態1を説明する。
【0015】
[1-1.構成]
図1に示す通り、コジェネレーションシステム1は、燃料電池ユニット10と、貯湯ユニット20と、制御部30と、第一ヒータ40と、記憶部35とを備えている。燃料電池ユニット10は、電力及び熱を発生させる。燃料電池ユニット10において、電力及び熱は、水素等の燃料ガスと空気等の酸化剤との反応によって発生する。この反応のための燃料電池は、例えば、固体高分子形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、又はリン酸形燃料電池である。貯湯ユニット20は、燃料電池ユニット10で発生した熱によって加熱された温水を貯える。図1に示す通り、コジェネレーションシステム1は、例えば、水回路15及び熱交換器15aを備えている。水回路15は、燃料電池ユニット10と、貯湯ユニット20とを接続している。水回路15によって、燃料電池ユニット10と貯湯ユニット20との間を水が循環する。熱交換器15aは、燃料電池ユニット10の内部に配置されており、水回路15を通過する水を燃料電池ユニット10で発生した熱を用いて加熱する。熱交換器15aは、例えば、燃料電池ユニット10で発生した熱によって加熱された熱媒体と水回路15における水とを熱交換するように構成されている。
【0016】
制御部30は、燃料電池ユニット10を少なくとも第一制御に従って運転させることによって燃料電池ユニット10を負荷追従させる。制御部30は、典型的には、燃料電池ユニット10の運転のためのプログラムを実行可能なマイクロコンピュータである。制御部30は、例えば、燃料電池ユニット10に配置されている。
【0017】
第一ヒータ40は、貯湯ユニット20に貯えられた水を電力で加熱する。第一ヒータ40は、例えば抵抗加熱式の電気ヒータである。第一ヒータ40は、例えば貯湯ユニット20に配置されている。
【0018】
図1に示す通り、貯湯ユニット20は、例えば、タンク21と、循環路22と、複数の温度センサ24とを備えている。タンク21には、温水が貯えられる。循環路22は、タンク21の内部とタンク21の外部との間で温水を循環させる。第一ヒータ40は、例えば、循環路22における水を加熱する。例えば、循環路22の両端はタンク21に接続されている。例えば、循環路22の一端はタンク21の底部付近に接続されており、循環路22の他端は循環路22の一端より上方でタンク21に接続されている。例えば、循環路22の一端からタンク21の内部の水が抜き出され、循環路22の他端から第一ヒータ40によって加熱された水がタンク21に戻される。タンク21の底部には、タンク21に市水を供給するための供給路が接続されていてもよい。
【0019】
複数の温度センサ24は、例えば、タンク21の内部において異なる高さに配置されている。各温度センサ24は、例えば、熱電対又はサーミスタを備える。制御部30は、各温度センサ24における検出結果を示すデータを取得できるように各温度センサ24と通信可能に接続されている。
【0020】
記憶部35は、履歴データを記憶している。履歴データは、過去の電力負荷及び過去の熱負荷を示すデータである。記憶部35は、例えば不揮発性メモリである。制御部30は、記憶部35から履歴データを取得できるように記憶部35と通信可能に接続されている。
【0021】
燃料電池ユニット10は、例えば、第二ヒータ12をさらに有する。第二ヒータ12は、燃料電池ユニット10で発生した熱を回収する熱媒体を電力で加熱する。第二ヒータ12は、例えば、水回路15における水を加熱する。第二ヒータ12は、例えば抵抗加熱式の電気ヒータである。第二ヒータ12には、燃料電池ユニット10で発生した電力が供給されうる。
【0022】
図1に示す通り、コジェネレーションシステム1は、例えば、電力計測ユニット32をさらに備えている。電力計測ユニット32は、例えば、コジェネレーションシステム1が電力を供給する対象の家庭又は施設における消費電力を計測する。制御部30は、電力計測ユニット32から計測結果を示すデータを取得できるように電力計測ユニット32と通信可能に接続されている。
【0023】
[1-2.動作]
以上のように構成されたコジェネレーションシステム1について、その動作を図2図3、及び図4を参照しつつ説明する。コジェネレーションシステム1は、例えば、図2に示す処理に従って運転される。
【0024】
ステップS101において、制御部30は、電力負荷及び熱負荷の履歴データを取得する。次に、ステップS102において、制御部30は、取得した履歴データに基づいて将来の所定期間における電力需要及び熱需要を予測する。次に、制御部30は、ステップS103において、第一ヒータ40が発熱する時間帯を算出する。次に、制御部30は、ステップS104において、第一ヒータ40が発熱する時間帯があるか否かを判断する。ステップS104における判断結果が否定的な場合、ステップS105に進み、制御部30は、第一制御に従って燃料電池ユニット10を運転させる。これにより、燃料電池ユニット10が負荷追従するように運転される。電力需要及び熱需要の予測における将来の所定期間は、例えば、第一制御のための発電計画における燃料電池ユニット10の運転開始予定時刻と、その発電計画における燃料電池ユニット10の運転終了予定時刻との間の期間を含む。電力需要及び熱需要の予測における将来の所定期間は、連続する2つの発電計画において、先行する発電計画の運転開始予定時刻と、後続の発電計画の運転開始予定時刻又は後続の発電計画の運転終了予定時刻との間の期間であってもよい。
【0025】
ステップS104における判断結果が肯定的な場合、制御部30は、ステップS106に進み、貯湯ユニット20で不足する不足熱量を算出する。次に、制御部30は、ステップS107において、貯湯ユニット20で不足する不足熱量及び第一ヒータ40の発熱までの時間から必要な発電パラメータを算出する。この発電パラメータには、例えば、燃料電池ユニット10の発電量及び発電時間が含まれる。この発電パラメータによれば、燃料電池ユニットの発電量及び発電時間の少なくとも1つを第一制御に対して増加させた第二制御が実現される。
【0026】
次に、制御部30は、ステップS108に進み、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転させる。その後、ステップS109に進み、制御部30は、第一ヒータ40が発熱する時間帯があるか否かを判断する。ステップS109における判断結果が否定的である場合、一連の処理を終了する。
【0027】
ステップS109における判断結果が肯定的である場合、次に、制御部30は、ステップS110に進む。ステップS110において、制御部30は、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転した後に貯湯ユニット20に貯えられる温水の量が熱需要に対し不足するか否かを判断する。ステップS110における判断結果が肯定的である場合、ステップS111に進み第一ヒータ40を発熱させて一連の処理が終了する。一方、ステップS109における判断結果が否定的である場合、第一ヒータ40を発熱させずに一連の処理を終了する。
【0028】
ステップS103からS106における「第一ヒータ40が発熱する時間帯の算出」及び「不足熱量の算出」は、例えば、図3に示す処理に従ってなされる。
【0029】
図3に示す通り、制御部30は、ステップS201において、履歴データに基づく熱需要の予測値及び貯湯ユニット20に貯えられた現在の温水量H1を取得する。温水量H1は、例えば、複数の温度センサ24における検出結果を示すデータに基づいて決定されうる。
【0030】
例えば、タンク21の内部には温度成層をなすように水が貯められており、タンク21の上部には温水が存在しやすい。一方、市水等の低温の水は、例えば、タンク21の底部から供給される。複数の温度センサ24において特定温度以上の温度を検出するセンサ24の数が多いほど、温水量H1が高い値に決定される。また、複数の温度センサ24において検出される温度が高いほど温水量H1が高い値に決定されうる。このように、温水量H1は、タンク21の内部に貯められた温水の熱量に相当する物理量であってもよい。
【0031】
次に、制御部30は、ステップS202において検索対象時刻nを現在時刻に設定する。次に、制御部30は、ステップS203に進み、現在時刻から検索対象時刻nまでの熱需要の予測値の積算値Aを算出する。次に、制御部30は、ステップS204に進み、現在の温水量H1から積算値Aを差し引いて検索対象時刻nにおける貯湯ユニット20に貯えられた温水量Bを算出する。次に、制御部30は、ステップS205に進み、温水量Bが閾値Lt未満であるか否かを判断する。なお、貯湯ユニット20に貯えられた温水の量が閾値Lt未満になると、通常、第一ヒータ40が発熱して水が加熱され貯湯ユニット20に所定の量の温水が貯められる。
【0032】
ステップS205における判断結果が否定的である場合、ステップS206に進み、検索対象時刻nが検索予定時刻N以上であるか否かを判断する。換言すると、検索対象時刻nが検索予定時刻Nと同一であるか否か及び検索対象時刻nが検索予定時刻Nを過ぎているか否かを判断する。ステップS206における判断結果が否定的である場合、ステップS207に進み、制御部30は、検索対象時間nを所定時間インクリメントしてステップS203に戻る。その後、ステップS205における判断結果が肯定的になるまで、又は、ステップS206における判断結果が肯定的になるまでステップS203からS207の処理が繰り返される。
【0033】
ステップS205における判断結果が肯定的である場合、制御部30は、ステップS208に進み、検索対象時刻nを第一ヒータ40が発熱する時刻に設定する。次に、制御部30は、ステップS209に進み、不足熱量cを算出する。その後、ステップS107に移行する。不足熱量cは、貯湯ユニット20において熱需要に対し不足する温水の量に対応している。例えば、温水量Bが負の値である場合、不足熱量cは、温水量Bの絶対値に閾値Ltを加えた値に対応する。
【0034】
ステップS206における判断結果が肯定的である場合、第一ヒータ40が発熱する時間帯がないこと及び不足熱量がないことを決定し、ステップS107に移行する。
【0035】
ステップS107における「発電パラメータの算出」は、例えば、図4に示す処理に従ってなされる。
【0036】
図4に示す通り、制御部30は、ステップ301において、第一ヒータ40が発熱する時刻a、電力需要の予測値b、及び不足熱量cを取得する。時刻a及び不足熱量cは、ステップS201からS210において算出された値であり、予測値bは、ステップS102において予測された値である。
【0037】
次に、制御部30は、ステップS302に進み開始対象時刻dを時刻aから所定時間tを差し引いた差(a-t)に設定する。加えて、制御部30は、発電増加量αを0に設定する。
【0038】
次に、制御部30は、時刻dから時刻aまでに燃料電池ユニット10での発電によって発生する熱量の合計値eを算出する。この算出において、発電量の値としてb+αが用いられる。なお、b+αが最大発電量以下となるようにαの値が調整される。第一制御においては、予測値bに従って燃料電池ユニット10が発電する。
【0039】
次に、ステップS304に進み、制御部30は、不足熱量cが熱量の合計値eより小さいか否かを判断する。ステップS304における判断結果が否定的である場合、ステップS305に進み、制御部30は、発電増加量αが上限値であるか否か判断する。ステップS305における判断結果が否定的である場合、制御部30は、ステップS306において発電増加量αをインクリメントし、ステップS303に戻る。
【0040】
ステップS305における判断結果が肯定的である場合、ステップS307に進み、制御部30は、開始対象時刻dが現在時刻であるか否かを判断する。この判断結果が否定的である場合、制御部30は、ステップS308に進み、開始対象時刻dを所定時間tだけデクリメントしつつ発電増加量αを0に変更してステップS303に進む。
【0041】
ステップS303からステップS308の処理は、ステップS304における判断結果が肯定的になるまで、又は、ステップS307における判断結果が肯定的になるまで繰り返される。
【0042】
ステップS304における判断結果が肯定的である場合、又は、ステップS307における判断結果が肯定的である場合、制御部30は、ステップS309に進む。ステップS309において、制御部30は、発電時間帯を時刻dから時刻aに設定し、発電増加量αを決定する。その後、制御部30は、ステップS108に移行し、時刻dから時刻aの発電時間帯及び発電増加量αによって定義される第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転させる。
【0043】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、コジェネレーションシステム1は、燃料電池ユニット10と、貯湯ユニット20と、制御部30と、第一ヒータ40と、記憶部35とを備えている。燃料電池ユニット10は、電力及び熱を発生させる。貯湯ユニット20は、燃料電池ユニット10で発生した熱によって加熱された温水を貯える。制御部30は、燃料電池ユニット10を少なくとも第一制御に従って運転させることによって燃料電池ユニット10を負荷追従させる(ステップS105参照)。第一ヒータ40は、貯湯ユニット20に貯えられた水を電力で加熱する。記憶部35は、過去の電力負荷及び過去の熱負荷を示す履歴データを記憶する。加えて、制御部30は、履歴データに基づいて将来の所定期間における電力需要及び熱需要を予測する(ステップS102参照)。制御部30は、第一ヒータ40の発熱が必要な熱不足状態が発生すると予測されるときに、貯湯ユニット20に貯えられた温水の量及び熱需要に基づいて貯湯ユニット20で不足する不足熱量を算出する(ステップS105参照及び図3参照)。この場合、制御部30は、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転させる(ステップS108参照)。第二制御において、第一熱量と、不足熱量とに基づいて燃料電池ユニット10の発電量及び発電時間の少なくとも1つを第一制御に対して増加させる(ステップS107及び図4参照)。第一熱量は、燃料電池ユニット10を第一制御に従って運転したときに燃料電池ユニット10で発生する熱量である。
【0044】
これにより、燃料電池ユニット10を負荷追従させる制御に対して、燃料電池ユニット10の発電量及び発電時間の少なくとも1つが増加するので、第一ヒータ40の発熱量を低減できる。そのため、コジェネレーションシステム1は、エネルギー消費量を低減する観点から有利である。
【0045】
本実施の形態のように、制御部30は、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転した後に第一ヒータ40の発熱が必要か否かを判断してもよい(ステップS109参照)。
【0046】
これにより、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転した後に第一ヒータ40を必要な場合にのみ発熱させることができる。そのため、コジェネレーションシステム1は、エネルギー消費量を低減する観点からより有利である。
【0047】
本実施の形態のように、制御部30は、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転した後に貯湯ユニット20に貯えられる温水の量が熱需要に対し不足するときに、第一ヒータ40を発熱させてもよい。一方、制御部30は、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転した後に貯湯ユニット20に貯えられる温水の量が熱需要に対し足りるときに、第一ヒータ40を発熱させなくてもよい。これらの処理は、貯湯ユニット20に貯えられた温水の量と、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転したときに燃料電池ユニット10で発生する第二熱量と、熱需要とに基づいてなされてもよい(ステップS110参照)。
【0048】
これにより、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転した後に貯湯ユニット20に貯えられた温水が熱需要に対し足りるときに第一ヒータ40が発熱しない。例えば、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転した後に、給湯及び暖房等の熱需要がない又は少ない場合には、貯湯ユニット20に貯えられた温水の量が閾値Lt未満であっても第一ヒータは発熱しない。そのため、第一ヒータ40の発熱量を低減でき、コジェネレーションシステム1は、エネルギー消費量を低減する観点からより有利である。
【0049】
本実施の形態のように、燃料電池ユニット10は、燃料電池ユニット10で発生した熱を回収する熱媒体を電力で加熱する第二ヒータ12を有していてもよい。この場合、燃料電池ユニット10を第一制御に従って運転したときに燃料電池ユニット10で発生する第一熱量には、第二ヒータ12で発生する熱量が含まれていてもよい。
【0050】
これにより、第二ヒータ12によって熱媒体を所望の温度に加熱できるとともに、第一制御に従って運転したときに燃料電池ユニット10で発生する第一熱量を第二ヒータ12で発生する熱量を考慮して決定できる。そのため、第二制御の詳細を適切に決定できる。
【0051】
本実施の形態のように、燃料電池ユニット10は、燃料電池ユニット10で発生した熱を回収する熱媒体を電力で加熱する第二ヒータ12を有していてもよい。この場合、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転したときに燃料電池ユニット10で発生する第二熱量には、第二ヒータ12で発生する熱量が含まれていてもよい。
【0052】
これにより、第二ヒータ12によって熱媒体を所望の温度に加熱できるとともに、第二制御に従って運転したときに燃料電池ユニット10で発生する第二熱量を第二ヒータ12で発生する熱量を考慮して決定できる。そのため、第二制御に従って燃料電池ユニット10を運転した後に貯湯ユニット20に貯えられた温水の量が熱需要に対し不足するか否かを適切に判断できる。
【0053】
本実施の形態のように、貯湯ユニット20は、温水を貯えるタンク21と、タンク21の内部とタンク21の外部との間で水を循環させる循環路22を有していてもよい。第一ヒータ40は、循環路22における水を加熱してもよい。
【0054】
これにより、第一ヒータ40は循環路22における水を加熱し、加熱された水が循環路22を通ってタンク21に戻される。これにより、貯湯ユニット20における温水の状態を、温度成層を乱すことなく速やかに所望の状態に近づけることができる。
【0055】
(他の実施の形態)
実施の形態1では、制御部30が燃料電池ユニット10の内部に配置されている例を説明した。しかし、制御部30は、燃料電池ユニット10の外部に配置されていてもよい。
【0056】
実施の形態1では、熱交換器15aは、燃料電池ユニット10で発生した熱によって加熱された熱媒体と水回路15における水とを熱交換させる熱交換器である例を説明した。しかし、熱交換器15aは、例えば、燃料電池ユニット10で発生する熱の熱源に接して配置されていてもよい。熱源の一例は燃料電池セルである。
【0057】
実施の形態1では、第二ヒータ12が水回路15における水を加熱するヒータである例を説明した。しかし、第二ヒータ12の加熱対象は、水回路15における水以外であってもよい。例えば、第二ヒータ12は、熱交換器15aにおいて水回路15における水と熱交換するとともに燃料電池ユニット10で発生した熱によって加熱される熱媒体を加熱してもよい。
【0058】
実施の形態1では、発電増加量αが上限値に達するまで開始対象時刻dが一定に保たれるように発電パラメータが算出されていた。しかし、発電増加量αが上限値に達する前に開始対象時刻dを早めるように発電パラメータが算出されてもよい。
【0059】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、燃料電池の排熱を回収した湯を貯えるコジェネレーションシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 コジェネレーションシステム
10 燃料電池ユニット
12 第二ヒータ
20 貯湯ユニット
21 タンク
22 循環路
30 制御部
35 記憶部
40 第一ヒータ
図1
図2
図3
図4