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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】照明器具および照明制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/18 20200101AFI20231020BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20231020BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20231020BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231020BHJP
【FI】
H05B47/18
F21V23/00 140
F21S8/04
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020031578
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021136152
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】上田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 真一
(72)【発明者】
【氏名】林 洋平
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-62888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0175947(US,A1)
【文献】特表2018-524859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
F21V 23/00-99/00
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明制御装置と接続された照明器具であって、
光を照射する光源と、
前記照明制御装置と信号の送受信を行う信号送受信部と、
前記信号送受信部によって受信された前記信号が、互いに異なる2つ以上の通信プロトコルのいずれに対応するかを判別し、判別した通信プロトコルに基づいて前記信号を解析する信号解析部と、
前記信号解析部の行った解析結果に応じて、前記光源を制御する光源制御部と、を備え、
前記信号解析部は、前記2つ以上の通信プロトコルのボーレートの差異によって生じる信号の論理の差異に基づいて、前記信号が対応する通信プロトコルを判別する、
照明器具。
【請求項2】
前記信号解析部は、前記2つ以上の通信プロトコルのボーレートのうち、最も高いボーレートに合わせて前記信号のビットを検出し、
前記信号の最初の立ち下がりを検出した後、一番初めに信号の立ち上がりを検出したタイミングに基づいて、前記信号が対応する通信プロトコルを判別する、
請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記2つ以上の通信プロトコルのうち、第1の通信プロトコルは、DALI(Digital Addressable Lighting Interface)であり、
前記2つ以上の通信プロトコルのうち、第2の通信プロトコルは、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)に対応した、DALIとは異なる通信プロトコルであり、
前記第2の通信プロトコルの符号化方式は、前記信号が論理“1”または“0”のいずれを表す場合でも、前記信号に信号レベルHIGHが含まれる符号化方式である、
請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記第2の通信プロトコルのボーレートは、DALIのボーレートの4倍以上である整数倍であって、
前記第2の通信プロトコルの符号化方式は、前記信号の信号レベルがLOWの直後にHIGHであるとき、論理“0”、前記信号の信号レベルがHIGHの直後にHIGHのとき、論理“1”を表す符号化方式である、
請求項3に記載の照明器具。
【請求項5】
前記2つ以上の通信プロトコルは、ボーレートの異なるマンチェスター符号化方式の通信プロトコルである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の照明器具と、
前記照明制御装置とを備える、
照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具および照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明の制御に複数の通信プロトコルが使用される場合、照明器具側のスイッチを手動で切り替える必要があった。特許文献1には、照明制御機器からの1つの信号で複数の点灯制御部を個別に制御することができる照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-204718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される照明器具は、自身で対応する通信プロトコルを切り替えることはできない。
【0005】
そこで、本開示は、照明器具が制御装置と通信する際に用いられる通信プロトコルを切り替えることができる照明器具および照明制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る照明器具は、照明制御装置と接続された照明器具であって、光を照射する光源と、前記照明制御装置と信号の送受信を行う信号送受信部と、前記信号送受信部によって受信された前記信号が、互いに異なる2つ以上の通信プロトコルのいずれに対応するかを判別し、判別した通信プロトコルに基づいて前記信号を解析する信号解析部と、前記信号解析部の行った解析結果に応じて、前記光源を制御する光源制御部と、を備え、前記信号解析部は、前記2つ以上の通信プロトコルのボーレートの差異によって生じる信号の論理の差異に基づいて、前記信号が対応する通信プロトコルを判別する。
【0007】
本開示の一態様に係る照明制御システムは、照明器具と、照明制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様かかる照明器具等は、制御装置と通信する際に用いられる通信プロトコルを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、照明制御装置が複数ある場合における照明器具の通信プロトコルへの対応の可否の従来例を示す図である。
図2図2は、本開示の照明器具の複数の照明制御装置への対応を示す図である。
図3図3は、DALIおよびDALIと異なる通信プロトコルにおけるスタートコード、ならびに、論理値1および0を表す信号レベルを示す図である。
図4図4は、本開示の照明器具における通信プロトコルの判定の原理を示す図である。
図5図5は、本開示の照明器具における通信プロトコルの判定の概略を示す図である。
図6図6は、本開示の照明器具のブロック図である。
図7図7は、本開示の照明器具の行う処理を示すフローチャートである。
図8図8は、本開示の照明器具の別の例を示すブロック図である。
図9図9は、本開示の照明器具における通信プロトコルの判定の別の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[従来例および本開示の照明器具]
図1は、照明制御装置11が複数ある場合における照明器具10の通信プロトコルへの対応の可否の従来例を示す図である。従来は照明制御装置11を操作する操作者3が、複数の照明制御装置11を切り替えて、複数の照明器具20に信号を送信させていた。
【0013】
例えば、操作者3がDALI(Digital Addressable Lighting Interface)で信号を送信する照明制御装置11aに、複数の照明器具20に対して信号を送信させた場合、DALIに対応した照明器具20aおよび20bを含む複数の照明器具20が、照明制御装置11aからの信号を解析し、制御を受けることができる。
【0014】
しかしながら、操作者3がDALIとは異なる通信プロトコルで信号を送信する照明制御装置11bに、複数の照明器具20に対して信号を送信させた場合、20aおよび20bを含む複数の照明器具20は照明制御装置11bが対応している通信プロトコルに対応していないため、照明制御装置11bからの信号を解析し、制御を受けることができない。
【0015】
また、照明器具20が複数の通信プロトコルに対応している場合でも、例えば操作者3等が、手動で、照明器具20が備えるスイッチ等を切り替えて、対応する通信プロトコルを変更する必要があった。
【0016】
このように、従来は、照明器具20が対応している通信プロトコルを、照明制御装置11が対応している通信プロトコルに合わせて、自身で切り替えることはできなかった。
【0017】
次に、本開示の照明器具10が、対応する通信プロトコルを複数の通信プロトコルの中から自身で切り替えることについて説明する。図2は、本開示の照明器具10の複数の照明制御装置11への対応を示す図である。
【0018】
上記の場合と同様に、操作者3が、複数の照明制御装置11を切り替えて、複数の照明器具10に信号を送信させる場合について考える。例えば、操作者3がDALIで信号を送信する照明制御装置11aに、複数の照明器具10に対して信号を送信させた場合、DALIに対応した照明器具20cおよび20dを含む複数の照明器具10が、照明制御装置11aからの信号を解析し、制御を受けることができる。
【0019】
また、操作者3がDALIとは異なる通信プロトコルで信号を送信する照明制御装置11bに、複数の照明器具10に対して信号を送信させた場合でも、照明器具10が照明制御装置11bが対応している通信プロトコルにも対応できるため、照明器具20cおよび20dを含む複数の照明器具10が、照明制御装置11bからの信号を解析し、制御を受けることができる。
【0020】
すなわち、照明器具10は、複数の通信プロトコルに対して、送信された信号がいずれの通信プロトコルに基づいているかを判別し、判別された通信プロトコルに対応することができる。ここで、通信プロトコルに対応するとは、照明器具10が送信された信号を解析し、コマンドを実行すること、すなわち、照明器具10が信号を送信した照明制御装置11からの制御を受けることである。
【0021】
[DALI等における信号の詳細]
次に、照明器具10が受信し解析する信号の詳細について、DALI等の規格に基づいて説明する。図3は、DALIおよびDALIと異なる通信プロトコルにおけるスタートコード、ならびに、論理値1および0を表す信号レベルを示す図である。ここで、DALIと異なる通信プロトコルは、UARTに対応した通信プロトコルである。
【0022】
図3の(a)は、DALIにおける論理値“0”または“1”を表す信号レベルを示している。DALIにおいて、論理値“0”が表される場合は、信号レベルHIGHが1ビット送られた直後に、信号レベルLOWが1ビット送られる。また、DALIにおいて、論理値“1”が表される場合は、信号レベルLOWが1ビット送られた直後に、信号レベルHIGHが1ビット送られる。DALIにおいて、論理値“0”または“1”を表す2ビットの信号が送信されるのにかかる時間は、例えば、833us(μ秒)である。
【0023】
DALIにおいては、例えば、スタートビット(STR)が1ビット、アドレス(ADR)が8ビット、オペコード(OPC)が8ビットおよびストップビット(SPB)が2ビットである。また、DALIにおいて、データフォーマットは、STR、ADR、CMDおよびSTPの順で設定される。
【0024】
図3の(b)は、DALIと異なる通信プロトコルにおける論理値“0”または“1”を表す信号レベルを示している。DALIにおいて、論理値“0”が表される場合は、信号レベルLOWが1ビット送られた直後に、信号レベルHIGHが1ビット送られる。また、DALIと異なるある通信プロトコルにおいて、論理値“1”が表される場合は、信号レベルHIGHが2ビット送られる。DALIと異なる通信プロトコルにおいて、論理値“0”または“1”を表す2ビットの信号が送信されるのにかかる時間は、例えば、208us(μ秒)である。
【0025】
DALIと異なる通信プロトコルにおいては、例えば、スタートコード(STC)が1ビットであり、スタートコード(STC)のあとアドレス(ADR)などが任意のビット数続くように設定されている。
【0026】
図3の(c)は、DALIにおけるスタートビットを表す図である。DALIにおけるスタートビットは、信号レベルLOWが1ビット送られた直後に、信号レベルHIGHが1ビット送られる2ビットの信号である。
【0027】
図3の(d)は、DALIと異なる通信プロトコルにおけるスタートコードを表す図である。DALIと異なる通信プロトコルにおけるスタートコードは、信号レベルLOWが2ビット送られる信号である。
【0028】
なお、ここで、信号レベルHIGHおよび信号レベルLOWは、必ずしも電圧が高いことまたは電圧が低いことを意味しない。信号レベルHIGHおよび信号レベルLOWは、互いに電圧が異なることを表すにすぎない。
【0029】
[照明器具による通信プロトコル判定の原理]
次に、照明器具10による照明制御装置11から送信された信号が基づく通信プロトコルの判定の原理を説明する。図4は、本開示の照明器具10における通信プロトコルの判定の原理を示す図である。また、図6は、本開示の照明器具のブロック図である。
【0030】
まず、照明器具10の信号送受信部12は、DALIと異なる通信プロトコルのボーレートに合わせて、信号を読み取る。信号送受信部12がDALIと異なる通信プロトコルに基づく信号を受信した場合を考える。このとき、信号送受信部12がDALIと異なる通信プロトコルのボーレートに合わせて信号を読み取ると、1番目と2番目のビットはスタートコード(STC)である。DALIと異なる通信プロトコルのスタートコード(STC)は、信号レベルLOW2ビットが続く信号である。
【0031】
図4の(a)は、DALIと異なる通信プロトコルに基づく信号のアドレス(ADR)先頭が、0を表すときを示している。DALIと異なる通信プロトコルに基づく信号のアドレス(ADR)先頭が、0を表すとき、3番目のビットの信号レベルはLOWであり、4番目のビットの信号レベルはHIGHである。
【0032】
図4の(b)は、DALIと異なる通信プロトコルに基づく信号のアドレス(ADR)先頭が、1を表すときを示している。DALIと異なる通信プロトコルに基づく信号のアドレス(ADR)先頭が、1を表すとき、3番目のビットの信号レベルはHIGHであり、4番目のビットの信号レベルはHIGHである。
【0033】
すなわち、信号送受信部12がDALIと異なる通信プロトコルのボーレートで信号を読み取った場合、送信された信号がDALIと異なる通信プロトコルに基づいたものであれば、4番目のビットは必ずHIGHになる。
【0034】
次に、信号送受信部12がDALIに基づく信号を受信した場合を考える。このとき、信号送受信部12がDALIと異なる通信プロトコルのボーレートに合わせて信号を読み取ると、DALIのボーレートがDALIと異なる通信プロトコルのボーレートの4倍以上の整数倍である場合、1番目から4番目のビットはスタートビット(STB)である。例えば、DALIのボーレートが、DALIと異なる通信プロトコルのボーレートの4倍である場合、信号送受信部12がDALIと異なる通信プロトコルのボーレートに合わせて信号を読み取る場合、DALIのスタートビット(STB)は、信号レベルLOW4ビットの直後に信号レベルHIGH4ビットが続く信号である。図4の(a)および(b)において、DALIに基づく信号は、信号の開始(信号レベルの最初の立下り)から4ビットは、いずれも信号レベルLOWである。
【0035】
したがって、照明器具10の信号解析部13は、4番目に読み取ったビットがHIGHか否かを判定することで、送信された信号が基づくプロトコルがDALIかDALIと異なる通信プロトコルかを判定する。当該判定は、信号送受信部12がDALIと異なる通信プロトコルのボーレートにあわせて、信号を読み取り、かつ、DALIのボーレートがDALIと異なる通信プロトコルのボーレートの4倍以上の整数倍であることが前提とされる。具体的には、信号解析部13は、信号の開始から4番目のビットがHIGHである場合に、受信した信号がDALIと異なる通信プロトコルに基づくと判定する。反対に、信号解析部13は、信号の開始から4番目のビットがLOWである場合に、受信した信号がDALIに基づくと判定する。
【0036】
[照明器具による通信プロトコル判定の概略]
次に、照明器具10による照明制御装置11から送信された信号が基づく通信プロトコルの判定の概略について説明する。図5は、本開示の照明器具10における通信プロトコルの判定の概略を示す図である。
【0037】
照明制御装置11がDALIに基づいた信号を照明器具10に送信する場合を考える。まず、照明制御装置11は、STB、ADR、CMDおよびSTPの順で構成されるデータフォーマットに基づいた信号を送信する。送信される信号は、例えば、「1 11111111 10011001 HH」である。この信号は、マンチェスター符号化される。また、ボーレートは、1200bpsで送信される。
【0038】
マンチェスター符号化された後の信号は、「01 0101010101010101 0110100101101001 1111」となる。このマンチェスター符号化された後の信号を、信号送受信部12は、4880bpsのボーレートで読み取る。信号送受信部12が、上記のマンチェスター符号化された後の信号を4880bpsで読み取ると、マンチェスター符号化された後の信号のボーレートが、信号送受信部12が信号を読み取るボーレートの4倍遅いため、ビット列は「00001111・・・」となる。
【0039】
つまり、信号送受信部12が4880bpsで信号を読み取ったときに、4番目に検出したビットが0となる。ここで、ビットが0であるとは、信号レベルがHIGHであることを示してもよい。また、反対に、ビットが0であるとは、信号レベルがLOWであることを示してもよい。いずれにしろ、DALIと異なる通信プロトコルが4880bpsで信号が読み取られたときに検出される4番目のビットで必ず取ることになる信号レベルを表していれば、いずれでもよい。よって、信号解析部13は、照明制御装置11から送信された信号がDALIに基づく信号であると判定する。そして、信号解析部13は、以降に送られてくる信号を、DALIに基づく信号として解析する。
【0040】
上記の処理は、コントローラから信号読み取り用ポートを通じて信号を送信されたマイコンによって実現される。マイコンは灯具に解析した信号を送信し、灯具を制御する。
【0041】
なお、上記で説明された通信プロトコルの判定は、スタートビットまたはスタートコードが送信されるたびに行われる。または、上記で説明された通信プロトコルの判定は、一度当該判定が行われた後に、スタートコードまたはスタートビットが送信されたとしても、所定期間行われなくてもよい。その場合、所定期間の最初に、照明制御装置11から送信された信号が基づいていると判定された通信プロトコルを用いて、所定期間の間信号の解析が行われる。
【0042】
[照明器具の構成]
次に、照明器具10の構成要素について説明する。図6では、照明器具10だけでなく照明制御装置11も図示され、照明器具10及び照明制御装置11は、照明制御システム30を構成する。つまり、照明制御システム30は、照明器具10と、照明制御装置11とを備える。
【0043】
照明器具10は、信号送受信部12と信号解析部13と光源制御部14とを備える。照明器具10は、室内を照明するいわゆるシーリングライトであり、図5に図示されるコントローラによって調光制御される。なお、照明器具10の態様は、平面視形状が長方形のシーリングライトに限られず、平面視形状が円形のシーリングライト、スポットライト、ベースライトまたはダウンライト等であってもよい。照明器具10は、照明制御装置11からの信号を受信して光を照射する。
【0044】
信号送受信部12は、照明制御装置11から送信された信号を受信し、照明制御装置11に対して受信した信号に応じて返信となる信号を送信する。信号送受信部12は、無線通信を行う通信回路であってもよいし、有線通信を行う通信回路であってもよい。信号送受信部12は、照明器具10が対応している複数の通信プロトコルのボーレートのうち、最も高いボーレートに合わせて、信号を受信する。
【0045】
信号解析部13は、信号送受信部12が受信した信号を解析する。信号解析部13は、特定のビットが表す信号レベルがHIGHかLOWかによって、受信した信号が基づく通信プロトコルを判定する。例えば、信号解析部13は、受信した信号の4番目のビットの信号レベルがHIGHであるか否かを判定してもよい。信号解析部13は、受信した信号が基づいていると判定した通信プロトコルに基づいて、信号送受信部12が受信した信号を解析し、解析した結果を光源制御部14に送信する。信号解析部13は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または、専用回路と、それらが実行するためのプログラムによって実現される。
【0046】
光源制御部14は、信号解析部13から送信された信号の解析結果に基づいて、光源の制御を行う。光源制御部14は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または、専用回路と、それらが実行するためのプログラムによって実現される。なお、図示されないが、光源制御部14は、駆動回路を介して光源を駆動する。光源は、白色光を発する照明用光源である。光源は、例えば、LED(Light Emitting Diode)によって実現されるが、有機EL(Electro-Luminescence)などのその他の発光素子によって実現されてもよい。
【0047】
照明制御装置11は、特定の通信プロトコルに基づいて、照明器具10を制御する為の信号を、照明器具10に送信する。照明制御装置11は、通信回路と、メモリと、プロセッサ、マイクロコンピュータまたは専用回路を備えている。照明制御装置11は、1台で複数の通信プロトコルに対応していてもよい。
【0048】
[照明器具の処理]
次に、照明器具10が行う処理について説明する。図7は、本開示の照明器具10の行う処理を示すフローチャートである。
【0049】
まず、信号送受信部12が照明制御装置11から信号を受信する(ステップS100)。
【0050】
次に、信号解析部13が、信号の最初の立下りを検出する(ステップS101)。すなわち、信号解析部13がスタートコードまたはスタートビットを検出する。スタートコードまたはスタートビットは、送信される信号の先頭を表す信号であれば、どのようなものでもよい。
【0051】
続いて、信号解析部13は、受信した信号の最初の立ち下がりを検出した後、一番初めの信号の立ち上がりを検出したか否かを判定する(ステップS102)。すなわち、信号解析部13は、ステップS101で、スタートコードまたはスタートビットを受信した後、信号の最初の立ち上がりを検出したか否かを判定する。
【0052】
信号解析部13が、信号解析部13は、受信した信号の最初の立ち下がりを検出した後、一番初めの信号の立ち上がりを検出したと判断した場合(ステップS102でYes)、信号解析部13は、受信した信号の4ビット目の信号レベルがHIGHであるか否かを判定する(ステップS103)。
【0053】
信号解析部13が、信号解析部13は、受信した信号の最初の立ち下がりを検出した後、一番初めの信号の立ち上がりを検出していないと判断した場合(ステップS102でNo)、照明器具10はステップS100の処理に戻る。
【0054】
信号解析部13が、受信した信号の4ビット目の信号レベルがHIGHであると判定した場合(ステップS103でYes)、信号解析部13は、受信した信号がDALIとは異なる通信プロトコルに基づいていると判定する(ステップS104)。
【0055】
信号解析部13が、受信した信号の4ビット目の信号レベルがHIGHでないと判定した場合(ステップS103でNo)、信号解析部13は、受信した信号がDALIに基づいていると判定する(ステップS105)。
【0056】
このように、照明器具10は、受信した信号の特定のビットの信号レベルを判定することで、受信した信号が基づく通信プロトコルの種類を判定することができる。
【0057】
(実施の形態2)
[照明器具の別の構成]
次に、照明器具10aの構成要素について説明する。図8は、本開示の照明器具10の別の例を示すブロック図である。照明器具10aの構成要素のうち、照明器具10の構成要素と共通の部分は説明を省略する。
【0058】
照明器具10aは、信号送受信部12、第1信号解析部13a、第2信号解析部13bおよび光源制御部14を備える。
【0059】
第1信号解析部13aは、信号送受信部12が受信した信号をDALIに基づく信号として解析する。第1信号解析部13aは、受信した信号を解析した結果を光源制御部14に送信する。
【0060】
第2信号解析部13bは、信号送受信部12が受信した信号をDALIと異なる通信プロトコルに基づく信号として解析する。第2信号解析部13bは、受信した信号を解析した結果を光源制御部14に送信する。
【0061】
光源制御部14は、第1信号解析部13aおよび第2信号解析部13bから受信した解析結果に基づいて、光源を制御する。信号送受信部12が受信した信号がDALIに基づいていた場合、第1信号解析部13aが解析した結果が正しい内容となるため、光源制御部14は、第1信号解析部13aの解析結果に基づいて光源を制御することができる。
【0062】
このとき、光源制御部14には第2信号解析部13bの解析結果も送信される。しかしながら、信号送受信部12が受信した信号がDALIに基づいているため、DALIと異なる通信プロトコルに基づいて、信号を解析した第2信号解析部13bからの解析結果は制御のための信号としては、意味をなさない。よって、光源制御部14は、第2信号解析部13bの解析結果を受信しても、その解析結果に応じて光源を制御することはできない。
【0063】
反対に、信号送受信部12が受信した信号がDALIと異なる通信プロトコルに基づいていた場合、第2信号解析部13bが解析した結果が正しい内容となるため、光源制御部14は、第2信号解析部13bの解析結果に基づいて光源を制御することができる。
【0064】
このとき、光源制御部14には第1信号解析部13aの解析結果も送信される。しかしながら、信号送受信部12が受信した信号がDALIと異なる通信プロトコルに基づいているため、DALIに基づいて信号を解析した第1信号解析部13aからの解析結果は制御のための信号としては、意味をなさない。よって、光源制御部14は、第1信号解析部13aの解析結果を受信しても、その解析結果に応じて光源を制御することはできない。
【0065】
(実施の形態3)
[照明器具による通信プロトコル判定の別の方法]
次に、照明器具10による通信プロトコル判定の別の方法について説明する。図9は、本開示の照明器具10における通信プロトコルの判定の別の方法を示す図である。
【0066】
判別される2つの通信プロトコルのボーレートの差異が整数倍であるときについて考える。ここで、判別される2つの通信プロトコルは、同じ種類のマンチェスター符号化方式の通信プロトコルであり、互いにボーレートのみが異なる。図9において、実線で表された信号が基づく通信プロトコルのボーレートは、点線で表された信号が基づく通信プロトコルのボーレートよりも高い。図9に示された例では、点線で表された信号は、1番目から4番目の間に検出されたビットの中で、信号レベルが変化しない。また、同じく、点線で表された信号は、5番目から8番目の間に検出されたビットの中で、信号レベルが変化しない。しかしながら、実線で表された信号は、1番目から4番目の間に検出されたビットの中で信号レベルが変化する。また、実線で表された信号は、5番目から8番目の間に検出されたビットの中で、信号レベルが変化する。上記のような、点線で表された信号と実線で表された信号の特性の差異を利用して、通信プロトコルの種類が判定される。
【0067】
すなわち、2つの異なるボーレートで、互いに異なる通信プロトコルに基づく信号が送信されるときに、信号解析部13は、特定の2つのビットの信号レベルの差異に基づいて通信プロトコルの種類を判定する。具体的には、2n+1番目と2n+2番目のビットの信号レベルが互いに異なる場合、信号解析部13は、信号送受信部12が受信した信号をボーレートの高い通信プロトコルに基づいた信号であると判定する。反対に、2n+1番目と2n+2番目のビットの信号レベルが同一の場合、信号解析部13は、信号送受信部12が受信した信号をボーレートの低い通信プロトコルに基づいた信号であると判定する。
【0068】
ここで、判定に用いられるビットが2n+1番目と2n+2番目としたが、判定に用いられるビットはこれに限らない。2つの通信プロトコルのボーレートの差異に基づいて発生する、互いに異なる通信プロトコルに基づいた信号同士の周期的な差異が生じるビットを比較するのであれば、いずれのビットが判定に用いられてもよい。
【0069】
なお、図1から図9の説明において、DALIと異なる通信プロトコルとして説明されている通信プロトコルは、一貫して1種類の通信プロトコルを指す。ただし、本開示に適用されるDALIと異なる通信プロトコルの候補は、複数あってもよい。
【0070】
[効果等]
照明器具10は、照明制御装置11と接続された照明器具10であって、光を照射する光源と、照明制御装置11と信号の送受信を行う信号送受信部12と、信号送受信部12によって受信された信号が、互いに異なる2つ以上の通信プロトコルのいずれに対応するかを判別し、判別した通信プロトコルに基づいて信号を解析する信号解析部13と、信号解析部13の行った解析結果に応じて、光源を制御する光源制御部14と、を備え、信号解析部13は、2つ以上の通信プロトコルのボーレートの差異によって生じる信号の論理の差異に基づいて、信号が対応する通信プロトコルを判別する。
【0071】
これにより、照明器具10は、複数の異なる通信プロトコルに基づく信号を受信したときに、受信した信号が基づいている通信プロトコルに応じて信号を解析し、光源を制御することができる。よって、照明器具10は、複数の照明制御装置11にそれぞれ対応したり、複数の通信プロトコルに対応した照明制御装置11に対応することができる。
【0072】
また、例えば、照明器具10は、信号解析部13は、2つ以上の通信プロトコルのボーレートのうち、最も高いボーレートに合わせて信号のビットを検出し、信号の最初の立ち下がりを検出した後、一番初めに信号の立ち上がりを検出したタイミングに基づいて、信号が対応する通信プロトコルを判別する。
【0073】
これにより、照明器具10は、的確に、2つ以上の通信プロトコルを判別することができる。
【0074】
また、例えば、照明器具10は、2つ以上の通信プロトコルのうち、第1の通信プロトコルは、DALIであり、2つ以上の通信プロトコルのうち、第2の通信プロトコルは、UARTに対応した、DALIとは異なる通信プロトコルであり、第2の通信プロトコルの符号化方式は、前記信号が論理“1”または“0”のいずれを表す場合でも、前記信号に信号レベルHIGHが含まれる符号化方式である。
【0075】
これにより、照明器具10は、受信した信号の特定のビットにおける信号レベルを判定することで、受信した信号が基づく通信プロトコルを判別することができる。
【0076】
また、例えば、照明器具10は、第2の通信プロトコルのボーレートは、DALIのボーレートの4倍以上である整数倍であって、第2の通信プロトコルの符号化方式は、信号の信号レベルがLOWの直後にHIGHであるとき、論理“0”、前記信号の信号レベルがHIGHの直後にHIGHのとき、論理“1”を表す符号化方式である。
【0077】
これにより、照明器具10は、受信した信号の特定のビットにおける信号レベルを判定するまた、例えば、照明器具10は、2つ以上の通信プロトコルは、ボーレートの異なるマンチェスター符号化方式の通信プロトコルである。
【0078】
これにより、照明器具10は、受信した信号の特定のビットの信号レベルを判定することで、同種類の通信プロトコルであってもボーレートが異なる信号を判別することができる。
【0079】
また、照明制御システム30は、照明器具10と、照明制御装置11とを備える。
【0080】
これにより、照明制御システム30は、照明器具10と同様の効果を奏することができる。
【0081】
[その他]
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0082】
例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0084】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0085】
また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0086】
例えば、本開示は、上記実施の形態の照明器具10が実行する通信プロトコル判別方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本開示は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0087】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
11、11a、11b 照明制御装置
10、10a、20、20a、20b、20c、20d 照明器具
12 信号送受信部
13 信号解析部
14 光源制御部
30 照明制御システム
図1
図2
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図9