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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】食器乾燥機
(51)【国際特許分類】
   A47L 19/00 20060101AFI20231020BHJP
   A47L 15/46 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
A47L19/00 B
A47L15/46 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020024494
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021126459
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 優介
(72)【発明者】
【氏名】神垣 智也
(72)【発明者】
【氏名】宗塚 任功
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-143682(JP,A)
【文献】特開平09-098934(JP,A)
【文献】特開2005-245753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 19/00
A47L 15/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の上方に設けられた扉部材と、
前記本体の内部に設けられ、加温装置を備えた加温庫室と、
前記本体の上方に設けられ前記扉部材で覆われる食器を収容する乾燥庫室と、
前記加温庫室と前記乾燥庫室とを仕切る仕切板と、
前記加温庫室に設けられた加温用ファンと、
前記加温庫室の内部温度を検出する温度センサと、
食器洗浄機と通信可能に構成され、前記食器洗浄機の運転状況に応じて前記加温装置および前記加温用ファンを駆動する予熱運転制御の開始時間を、前記温度センサによる検出温度に基づいて制御する制御部と、を備えていることを特徴とする食器乾燥機。
【請求項2】
前記制御部は、前記食器洗浄機からの運転開始信号に基づいて、前記予熱運転制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の食器乾燥機。
【請求項3】
前記制御部は、前記食器洗浄機からの運転開始信号に基づいて、食器洗浄機の洗浄運転終了時間を推定し、前記洗浄運転終了時間に合わせて前記予熱運転制御が完了するように、前記加温装置および前記加温用ファンを駆動制御することを特徴とする請求項2に記載の食器乾燥機。
【請求項4】
本体と、
前記本体の内部に設けられ、加温装置を備えた加温庫室と、
前記本体に設けられた食器を収容する乾燥庫室と、
前記加温庫室に設けられた加温用ファンと、
前記加温庫室の内部温度を検出する温度センサと、
食器洗浄機と通信可能に構成され、前記食器洗浄機の運転状況に応じて前記加温装置および前記加温用ファンを駆動する予熱運転制御の開始時間を、前記温度センサによる検出温度に基づいて制御する制御部と、を備えていることを特徴とする食器乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器乾燥機に係り、特に、業務用の食器乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、皿や茶碗などの食器類の洗浄および濯ぎを行う食器洗浄機が知られている。
このような食器洗浄機においては、洗浄ポンプの運転により洗浄ノズルから洗浄水が噴射されて食器類の洗浄が行われるが、この洗浄ポンプの運転中には、濯ぎポンプの第1の運転が行われて濯ぎノズルに濯ぎ水が供給され、この濯ぎ水の供給により、従来のように逆止弁を設けなくても、洗浄水の噴射中において濯ぎノズルから洗浄水が浸入するのを防止することができるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-205689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のような一般家庭用の食器洗浄機においては、食器の洗浄後、乾燥を行うものも知られている。
一般に、業務用の食器洗浄機では、比較的高温の温水で洗浄、すすぎを行うため、蓄熱しやすい陶器やガラスなどからなる食器は、洗浄後の予熱により比較的短い時間で乾燥を行うことが可能である。
しかしながら、樹脂製や金属の食器、トレイ、容器の場合は、食器が蓄熱しにくいので、洗浄後に乾燥しにくく、効率よく乾燥を行うことができなかった。また、業務用の食器乾燥機は、従来普及しておらず、食器洗浄機の運転状況に応じた乾燥を行うものも存在しなかった。
【0005】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、食器洗浄機の運転状況に応じて、効率よく食器の乾燥を行うことのできる食器乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明は、本体と、前記本体の上方に設けられた扉部材と、前記本体の内部に設けられ、加温装置を備えた加温庫室と、前記本体の上方に設けられ前記扉部材で覆われる食器を収容する乾燥庫室と、前記加温庫室と前記乾燥庫室とを仕切る仕切板と、前記加温庫室に設けられた加温用ファンと、前記加温庫室の内部温度を検出する温度センサと、食器洗浄機と通信可能に構成され、前記食器洗浄機の運転状況に応じて前記加温装置および前記加温用ファンを駆動する予熱運転制御の開始時間を、前記温度センサによる検出温度に基づいて制御する制御部と、を備えていることを特徴とする。
これにより、食器洗浄機による洗浄の運転状況に応じて、加温装置および加温用ファンを駆動することができ、食器洗浄機による食器の洗浄から乾燥までを連続して行うことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、食器洗浄機による洗浄の運転状況に応じて、加温装置および加温用ファンを駆動することができ、食器洗浄機による食器の洗浄から乾燥までを連続して行うことができ、効率のよい、乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態を示す食器乾燥機の正面図
図2】本実施の形態の食器乾燥機の側面図
図3】本実施の形態の食器乾燥機の斜視図
図4】本実施の形態の食器乾燥機の扉部材および本体の一部を除去した状態を示す斜視図
図5】本実施の形態の食器乾燥機の内部構造を示す概略縦断面図
図6】本実施の形態における食器洗浄機と併設した食器乾燥機を示す正面図
図7】本実施の形態の制御構成を示すブロック図
図8】本実施の形態の動作を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、本体と、前記本体の上方に設けられた扉部材と、前記本体の内部に設けられ、加温装置を備えた加温庫室と、前記扉部材の内部に設けられ食器を収容する乾燥庫室と、前記加温庫室と前記乾燥庫室とを仕切る仕切板と、前記加温庫室に設けられた加温用ファンと、食器洗浄機と通信可能に構成され、前記食器洗浄機の運転状況に応じて前記加温装置および前記加温用ファンを駆動制御する制御部と、を備えている。
これによれば、食器洗浄機による洗浄の運転状況に応じて、加温装置および加温用ファンを駆動することができ、食器洗浄機による食器の洗浄から乾燥までを連続して行うことができ、効率のよい、乾燥を行うことができる。
【0010】
第2の発明は、前記制御部は、前記食器洗浄機からの運転開始信号に基づいて、前記加温装置および前記加温用ファンを駆動する予熱運転制御を行う。
これによれば、食器洗浄機による洗浄の運転状況に応じて、ヒータユニットおよび加温用ファンを駆動することができ、食器洗浄機による食器の洗浄から乾燥までを連続して行うことができ、効率のよい、乾燥を行うことができる。
【0011】
第3の発明は、前記制御部は、前記食器洗浄機からの運転開始信号に基づいて、食器洗浄機の洗浄運転終了時間を推定し、前記洗浄運転終了時間に合わせて前記予熱運転制御が完了するように、前記加温装置および前記加温用ファンを駆動制御する。
これによれば、制御部により、洗浄運転終了時間に合わせて予熱運転制御が完了するように、ヒータユニットおよび加温用ファンを駆動制御するので、食器洗浄機による洗浄が完了した際に、食器乾燥機の予熱運転が完了した状態となり、食器洗浄機による食器の洗浄から乾燥までを連続して行うことができ、効率のよい、乾燥を行うことができる。
【0012】
第4の発明は、本体と、前記本体の内部に設けられ、加温装置を備えた加温庫室と、前記本体に設けられた食器を収容する乾燥庫室と、前記加温庫室に設けられた加温用ファンと、食器洗浄機と通信可能に構成され、前記食器洗浄機の運転状況に応じて前記加温装置および前記加温用ファンを駆動制御する制御部と、を備えている。
これによれば、食器洗浄機による洗浄の運転状況に応じて、加温装置および加温用ファンを駆動することができ、食器洗浄機による食器の洗浄から乾燥までを連続して行うことができ、効率のよい、乾燥を行うことができる。
【0013】
以下、本発明に係る食器乾燥機の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態を示す食器乾燥機1の正面図である。図2は、本実施の形態の食器乾燥機1の側面図である。図3は、本実施の形態の食器乾燥機1の斜視図である。
【0014】
本実施の形態の食器乾燥機1は、図1から図3に示すように、箱型の本体10を備えている。本体10の上面には開口11が形成されており、本体10の下方には、4本の脚12が取付けられている。
本体10の後方には、上方に延在する背面板13が取付けられている。背面板13には、扉部材20が昇降動作自在に取付けられている。
扉部材20は、下方が開放された箱型に形成されており、扉部材20の平面形状は、本体10の平面形状と略同一形状またはわずかに小さい形状に形成されている。
背面板13の両側には、上方に延在するガイド板14が一体に形成されている。背面板13には、扉部材20がガイド板14により案内されながら昇降自在に取付けられている。
【0015】
ガイド板14の上方には、平面視で略U字状のハンドル21が揺動自在に取付けられている。ハンドル21は、扉部材20の両側に沿って延在する揺動アーム22と、扉部材20の前方に位置し揺動アーム22の先端部を連結する操作アーム23と、を備えている。
ハンドル21の揺動アーム22と、扉部材20の両側面との間には、連結アーム24が連結されており、ハンドル21の操作アーム23を操作してハンドル21を上下方向に揺動させることにより、揺動アーム22および連結アーム24によるリンク機構を介して扉部材20をガイド板14に沿って昇降操作することができるように構成されている。
ハンドル21が上方に位置した状態で、図1から図3に示すように、扉部材20が開いた開状態となり、ハンドル21が下方に位置した状態で、扉部材20が本体10の開口11を被覆する閉状態となる。
【0016】
図4は、本実施の形態の食器乾燥機1の扉部材20および本体10の一部を除去した状態を示す斜視図である。図5は、本実施の形態の食器乾燥機1の内部構造を示す概略縦断面図である。
図4および図5に示すように、本体10の上面には、仕切板30が設けられている。仕切板30の前端部は、本体10の前端部に対して所定間隔を有するように形成されている。仕切り板30は、本実施の形態においては、上下に通風が可能な多数の通風孔30aが形成されている。
仕切板30の上面側には、食器31が収容されたトレイ32を載置するためのトレイ載置台33が設けられている。
トレイ載置台33は、例えば、食器を並べるラックを移動させるために金属のレール状になったものや複数のローラを並列配置したローラ台などがあり、複数のローラを並列配置したローラ台とされており、トレイ載置台33に載置したトレイ32を転動移動可能に構成されている。
【0017】
仕切板30の下方には、断熱材からなるヒータ載置板34が仕切板30の下面に対して所定間隔をもって設けられている。
ヒータ載置板34の前側には、上方に立ち上がる前部壁35が形成されており、前部壁35の上端部には、前方上方に向けて傾斜して延在するガイド板36が形成されている。ガイド板36と仕切り板との間の開口は、空気取入口37とされている。
ヒータ載置板34の後側には、上方に立ち上がる後部壁38が形成されている。
【0018】
ヒータ載置板34には、加温装置としてのヒータユニット40が設けられている。
なお、本実施の形態においては、加温装置としてヒータユニット40を用いるようにしたが、これに限定されない。例えば、圧縮機により冷媒を循環させて熱を得るヒートポンプを用いるようにしてもよいし、食器乾燥機1が設置される厨房内の排熱などを利用するようにしてもよい。
そして、扉部材20が閉じた状態で、仕切板30の上方の空間は、乾燥庫室50とされており、仕切板30とヒータ載置板34との間の空間は、加温庫室51とされている。ヒータ載置板34の下方の空間は、所定の制御ユニットなどの電装品が収容される機械室52とされている。
【0019】
仕切板30の後端側であって幅方向における中央部には、上方に延在する送風ダクト41が立設されている。送風ダクト41の上端部には、乾燥庫室50の前方に延在する吹出口42が一体に連結されている。
吹出口42は、上下、左右の各面に形成されている。
【0020】
ヒータユニット40の近傍には、ヒータユニット40により加温された空気を加温庫室51の内部に循環させる加温用ファン43が設けられている。加温庫室51と送風ダクト41との境界部分には、加温庫室51で加温された空気を送風ダクト41に送る送風用ファン44が設けられている。吹出口42には、送風ダクト41から吹出口42に送られる加温された空気を乾燥庫室50の下方に向けて吹き出す吹出用ファン45が配けられている。
ここで、本実施の形態においては、吹出用ファン45は、乾燥庫室50の前後方向に2つ設けられており、吹出用ファン45による風量は、加温用ファン43および送風用ファン44の風量に比較して、大きくなるように構成されている。
【0021】
そして、ヒータユニット40を駆動するとともに加温用ファン43を駆動することにより、加温庫室51の内部にヒータユニット40により加温された空気が循環する。
加温庫室51内の温度が所定温度まで上昇したら、送風用ファン44および吹出用ファン45を駆動することにより、加温庫室51の内部の空気を、送風ダクト41を介して吹出口42に送り、吹出口42から加温庫室51の内部に吹き出すように構成されている。
このとき、加温庫室51の内部の上限温度は、例えば、60℃程度に設定される。これは、食器31である食器31が、例えば、陶磁器、金属、ガラスなど比較的耐熱効果の高い材料で形成されている場合は、問題ないが、食器31が樹脂により形成されている場合には、樹脂の種類により耐熱温度が60℃程度のものが存在するためである。
【0022】
次に、食器洗浄機と併設した食器乾燥機の例について説明する。
図6は、食器洗浄機70と併設した食器乾燥機1を示す正面図である。
食器洗浄機70は、公知の食器洗浄機70であり、食器乾燥機1と同様に、本体71と、蓋部材72と、脚73と、ハンドル74とを備えている。
本実施形態においては、食器洗浄機70の本体71の高さ寸法は、食器乾燥機1の本体10の高さ寸法と同一に形成されている。
食器洗浄機70の本体71の上縁部と、食器乾燥機1の本体71の上縁部との間には、載置移動台75が設けられている。
載置移動台75は、食器洗浄機70のトレイ載置台(図示せず)と、食器乾燥機1のトレイ載置台33と同一高さに形成されている。
これにより、食器洗浄機70のトレイ載置台に載置されたトレイ32は、載置移動台75を介して食器乾燥機1のトレイ載置台33に転動移動可能に構成されている。すなわち、使用者は、食器洗浄機70により洗浄された後の食器31が収容されたトレイ32を、載置移動台75を介して食器乾燥機1のトレイ載置台33まで、移動可能とされている。
【0023】
次に、本実施の形態における制御構成について説明する。
図7は、本実施の形態の制御構成の概略を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施の形態の食器乾燥機1は、制御部60を備えている。制御部60は、例えば、CPUなどからなり、メモリを備えている。
食器乾燥機1は、加温庫室51の内部温度を検出する温度センサ61と、乾燥庫室50の湿度を検出する湿度センサ62と、を備えている。なお、乾燥庫室50に温度センサ61を設けるようにしてもよい。
食器乾燥機1は、加温庫室51の内部温度を検出する温度センサ61と、乾燥室庫の湿度を検出する湿度センサ62と、を備えている。なお、乾燥庫室50に温度センサ61を設けるようにしてもよい。
【0024】
制御部60は、温度センサ61による検出温度および湿度センサ62による検出湿度に基づいて、ヒータユニット40、加温用ファン43、送風用ファン44および吹出用ファン45の駆動制御を行うように構成されている。
具体的には、制御部60は、まず最初に、ヒータユニット40を駆動するとともに加温用ファン43を駆動することにより、加温庫室51の内部にヒータユニット40により加温された空気を循環させる予熱運転制御を行う。この予熱運転制御では、吹出用ファン45の駆動は行わない。
【0025】
制御部60は、温度センサ61により加温庫室51の空気温度を検出し、加温庫室51の空気温度が所定温度に達したら、吹出用ファン45を駆動する乾燥運転制御を行う。そして、制御部60は、加温庫室51の空気の温度が所定温度に達した場合には、制御部60は、ヒータユニット40および加温用ファン43を停止する。
なお、温度センサ61により、加温庫室51の内部温度が所定温度に達した場合に、ヒータユニット40を停止するようにしているが、これに限定されない。例えば、制御部60により、ヒータユニット40のヒータのデューティーを監視し、ヒータがONとなるデューティーが既定以下になったときに、加温庫室51の内部温度が所定温度に達したと判断するようにしてもよい。
【0026】
また、制御部60は、湿度センサ62により乾燥庫室50の内部湿度を検出し、乾燥庫室50の内部の湿度が所定値より低くなった場合には、制御部60は、食器31が乾燥したものと判断し、加温用ファン43および送風用ファン44、吹出用ファン45およびヒータユニット40を停止する制御を行う。
【0027】
また、本実施の形態においては、制御部60は、食器洗浄機70の制御部76(図7を参照)と通信可能に構成されている。通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
制御部60は、食器洗浄機70の制御部76と通信を行うことにより、食器洗浄機70の運転状態を判断可能に構成されている。
すなわち、食器洗浄機70の制御部76から食器洗浄機70の運転を開始する運転開始信号が制御部60に送られると、制御部60は、運転開始信号から食器31の洗浄運転の終了時間を予測する。通常、食器洗浄機70の洗浄運転時間は、あらかじめ決められているため、洗浄運転の終了時間は、運転開始信号を取得してから何分後という具合にタイマ計測により判断することができる。
制御部60は、この洗浄運転の終了時間に基づいて、洗浄運転終了時間に合わせて食器乾燥機1の予熱運転制御が完了するように、ヒータユニットおよび加温用ファンを駆動制御する。
このとき、乾燥運転制御あるいは予熱運転制御が行われた後、あまり時間が経過していない場合には、加温庫室51の内部温度は、外気温度までは低下していないことがあるので、予熱運転制御の時間を調整することで、予熱運転制御の完了を洗浄運転の終了時間に合わせるようにすればよい。
【0028】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
図8は、本実施の形態の動作を示すタイミングチャートである。
図8に示すように、まず、食器洗浄機70に食器31を収容したトレイ32を搬入して扉部材72を閉じると、食器洗浄機70は洗浄運転を開始し、食器洗浄機70の制御部76は、食器乾燥機1の制御部60に洗浄開始信号を送る(T1)。
制御部60は、洗浄運転の運転開始信号から食器31の洗浄運転の終了時間を予測し、この洗浄運転の終了時間に基づいて、洗浄運転終了時間に合わせて食器乾燥機1の予熱運転制御が完了するように、ヒータユニット40および加温用ファン43を駆動制御する(T2)。
【0029】
予熱運転制御を行う場合、制御部60は、ヒータユニット40を駆動するとともに加温用ファン43を駆動することにより、加温庫室51の内部にヒータユニット40により加温された空気を循環させる。この場合に、吹出用ファン45は駆動されておらず、加温庫室51の内部のみで空気を加温する予熱運転制御が行われる。
このため、予熱運転制御を行う際に、吹出用ファン45を駆動しないので、省電力化を図ることができる。吹出用ファン45を運転させると大風量のため本体10からの放熱量が多くなったり、外部の空気を吸い込むため予熱運転制御時は吹出用ファン45を駆動しないことで省電力化を図ることができる。
【0030】
予熱運転制御を開始すると、加温庫室51の内部温度は徐々に上昇し、食器洗浄機70の洗浄運転が完了する時に(T3)、加温庫室51の内部温度は、設定温度(P)に達することになる。
続いて、使用者は、ハンドル21を上方に揺動操作し、扉部材20を上方に移動させて扉部材20を開状態にする(T3)。
この状態で、載置移動台75を介してトレイ32をトレイ載置台33に載置した後、ハンドル21を下方に揺動操作し、扉部材20を下方に移動させて扉部材20を閉状態にする(T4)。
食器乾燥機1の扉部材20の開閉動作により、加温庫室51が外気に晒されるため、加温庫室51の内部温度は、若干低下する。
【0031】
そして、制御部60は、温度センサ61による検出値に基づいて、加温庫室51の空気温度が所定温度に達したら、送風用ファン44および吹出用ファン45を駆動するように乾燥運転制御が行われる。このとき、加温庫室51の空気の温度が所定温度に達した場合には、制御部60は、ヒータユニット40および加温用ファン43を停止する。
これにより、加温庫室51の加温された空気が送風ダクト41および吹出口42を介して乾燥庫室50に吹き出される。
乾燥庫室50に吹き出された空気は、食器31に直接当たるか、または、乾燥庫室50の内部を循環され、この乾燥庫室50の加温空気により、食器31の乾燥が行われる。
【0032】
そして、乾燥庫室50の内部の空気の一部は、吸込口から加温庫室51の内部に吸い込まれ、ヒータユニット40により再び加温される。また、乾燥庫室50の内部の空気の一部は、本体10と扉部材20との間の隙間から外部に排出される。
湿度センサ62による検出値に基づいて、乾燥庫室50の内部の湿度が所定値より低くなった場合には、制御部60は、食器31が乾燥したものと判断し、吹出用ファン45を停止する(T5)。
【0033】
食器31の乾燥が完了した場合には、扉部材20を開いて乾燥後の食器31が収容されたトレイ32を搬出する。
この扉部材20の開閉により、加温庫室51の内部温度は低下し、ヒータユニット40を停止していることから、外気との熱伝導により、加温庫室51の内部温度は、さらに低下していく。
そして、食器洗浄機70に、次の洗浄すべき食器31を収容したトレイ32が搬入されたら、食器洗浄機70は洗浄運転を開始し、食器洗浄機70の制御部76は、食器乾燥機1の制御部60に洗浄開始信号を送る(T6)。
【0034】
前述のように制御部60は、洗浄運転の運転開始信号から食器31の洗浄運転の終了時間を予測し、この洗浄運転の終了時間に基づいて、洗浄運転終了時間に合わせて食器乾燥機1の予熱運転制御が完了するように、ヒータユニット40および加温用ファン43を駆動制御する。
この場合、乾燥運転を行った後、あまり時間が経過していないことから、加温庫室51の内部温度は、外気より高い温度となっている。
そのため、制御部60は、の洗浄運転の終了時間に基づいて、洗浄運転終了時間に合わせて食器乾燥機1の予熱運転制御の完了時間を、加温庫室51の内部温度を考慮して、予熱運転制御の開始時間を遅らせるように制御する(T7)。
以降は、前述の動作と同様である。
【0035】
以上述べたように、本実施の形態においては、本体10と、本体10の上方に設けられた扉部材20と、本体10の内部に設けられ、ヒータユニット40(加温装置)を備えた加温庫室51と、扉部材20の内部に設けられ食器31を収容する乾燥庫室50と、加温庫室51と乾燥庫室50とを仕切る仕切板30と、加温庫室51に設けられた加温用ファン43と、食器洗浄機70と通信可能に構成され、食器洗浄機70の運転状況に応じてヒータユニット40および加温用ファン43を駆動制御する制御部60と、を備えている。
これにより、食器洗浄機70による洗浄の運転状況に応じて、ヒータユニット40および加温用ファン43を駆動することができ、食器洗浄機70による食器31の洗浄から乾燥までを連続して行うことができ、効率のよい、乾燥を行うことができる。
【0036】
また、本実施の形態においては、制御部60は、食器洗浄機70からの運転開始信号に基づいて、ヒータユニット40および加温用ファン43を駆動する予熱運転制御を行う。
これにより、食器洗浄機70による洗浄の運転状況に応じて、ヒータユニット40および加温用ファン43を駆動することができ、食器洗浄機70による食器31の洗浄から乾燥までを連続して行うことができ、効率のよい、乾燥を行うことができる。
【0037】
また、本実施の形態においては、制御部60は、食器洗浄機70からの運転開始信号に基づいて、食器洗浄機70の洗浄運転終了時間を推定し、洗浄運転終了時間に合わせて予熱運転制御が完了するように、ヒータユニット40および加温用ファン43を駆動制御する。
これにより、制御部60により、洗浄運転終了時間に合わせて予熱運転制御が完了するように、ヒータユニット40および加温用ファン43を駆動制御するので、食器洗浄機70による洗浄が完了した際に、食器乾燥機1の予熱運転が完了した状態となり、食器洗浄機70による食器31の洗浄から乾燥までを連続して行うことができ、効率のよい、乾燥を行うことができる。
【0038】
なお、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明したが、本発明は、前記実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明に係る食器乾燥機は、食器洗浄機の運転状況に応じて、洗浄後の食器を効率よく乾燥することのできる食器乾燥機として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 食器乾燥機
10 本体
11 開口
13 背面板
14 ガイド板
20 扉部材
21 ハンドル
22 揺動アーム
23 操作アーム
24 連結アーム
30 仕切板
31 食器
32 トレイ
33 トレイ載置台
34 ヒータ載置板
35 前部壁
36 ガイド板
37 空気取入口
38 後部壁
40 ヒータユニット
41 送風ダクト
42 吹出口
43 加温用ファン
44 送風用ファン
45 吹出用ファン
50 乾燥庫室
51 加温庫室
52 機械室
60 制御部
61 温度センサ
62 湿度センサ
70 食器洗浄機
76 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8