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特許7369993管理システム及び管理方法、学習システム及び学習方法、並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】管理システム及び管理方法、学習システム及び学習方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20230101AFI20231020BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
G06Q10/08
G06K7/10 244
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019105685
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2020201527
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】緒方 伸輔
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-301704(JP,A)
【文献】特開2009-120301(JP,A)
【文献】特開2011-186751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取部にて物品に付された物品タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品タグから読み取られる、前記物品に関する物品情報を取得する取得部と、
前記取得部にて前記物品情報を取得することで得られる読取情報に基づいて、所定のエリアにおける前記物品の運搬に関する運搬情報を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果を評価する入力を受け付ける入力受付部と、
前記取得部で取得した前記物品情報と、前記推定部が推定する前記運搬情報と、の組み合わせを表示部に表示させる表示制御部と、を備え
前記運搬情報は、前記物品が前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含み、
前記読取情報は、前記物品タグの前記読取部での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含み、
前記物品は、複数であって、
前記表示制御部は、前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であると推定される推定確率の高低に応じて、前記複数の物品の各々の前記物品情報及び前記推定情報を所定の位置関係で前記表示部に表示させる、
管理システム。
【請求項2】
前記推定部は、前記読取情報の変化を用いて、前記運搬情報を推定する、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記推定部は、前記読取情報を入力として、前記運搬情報を推定する機械学習された分類器を含む、
請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記分類器は、前記入力受付部に入力された情報を、前記分類器の機械学習における教師データとして用いる、
請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記推定確率の高低に応じて、前記複数の物品の各々の前記物品情報及び前記推定情報を視覚的に区別した態様で前記表示部に表示させる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記読取部にて前記物品の運搬に関わる関係者が所持する関係者タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記関係者タグから読み取られる、前記関係者に関する関係者情報を更に取得し、
前記取得部で取得された前記関係者情報に基づいて、前記関係者タグに直接的に又は間接的に関連付けられている通知先に、少なくとも前記物品情報の通知を行う通知部を更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項7】
前記取得部は、前記読取部にて前記物品の運搬に関わる関係者が所持する関係者タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記関係者タグから読み取られる、前記関係者に関する関係者情報を更に取得し、
前記推定部は、前記読取情報と前記関係者情報との相関に関する相関係数、及び前記物品タグから受信した電波の強度が大きい場合に、前記物品が前記所定のエリアから搬出されたと推定する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項8】
コンピュータシステムにより実行される管理方法であって、
読取部にて物品に付された物品タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品タグから読み取られる、前記物品に関する物品情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて前記物品情報を取得することで得られる読取情報に基づいて、所定のエリアにおける前記物品の運搬に関する運搬情報を推定する推定ステップと、
前記推定ステップの推定結果を評価する入力を受け付ける入力受付ステップと、
前記取得ステップで取得した前記物品情報と、前記推定ステップで推定する前記運搬情報と、の組み合わせを表示部に表示させる表示制御ステップと、を有し、
前記運搬情報は、前記物品が前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含み、
前記読取情報は、前記物品タグの前記読取部での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含み、
前記物品は、複数であって、
前記表示制御ステップは、前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であると推定される推定確率の高低に応じて、前記複数の物品の各々の前記物品情報及び前記推定情報を所定の位置関係で前記表示部に表示させる、
管理方法。
【請求項9】
読取部にて物品に付された物品タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品タグから読み取られる、前記物品に関する物品情報を取得する取得部と、
前記取得部にて前記物品情報を取得することで得られる読取情報を入力として、分類器により所定のエリアにおける前記物品の運搬に関する運搬情報を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果を評価する入力を受け付ける入力受付部と、
前記取得部で取得した前記物品情報と、前記推定部が推定する前記運搬情報と、の組み合わせを表示部に表示させる表示制御部と、
前記入力受付部にて入力された情報を教師データとして、前記分類器を機械学習させる学習部と、を備え、
前記運搬情報は、前記物品が前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含み、
前記読取情報は、前記物品タグの前記読取部での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含み、
前記物品は、複数であって、
前記表示制御部は、前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であると推定される推定確率の高低に応じて、前記複数の物品の各々の前記物品情報及び前記推定情報を所定の位置関係で前記表示部に表示させる、
学習システム。
【請求項10】
コンピュータシステムにより実行される学習方法であって、
読取部にて物品に付された物品タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品タグから読み取られる、前記物品に関する物品情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて前記物品情報を取得することで得られる読取情報を入力として、分類器により所定のエリアにおける前記物品の運搬に関する運搬情報を推定する推定ステップと、
前記推定ステップの推定結果を評価する入力を受け付ける入力受付ステップと、
前記取得ステップで取得した前記物品情報と、前記推定ステップで推定する前記運搬情報と、の組み合わせを表示部に表示させる表示制御ステップと、
前記入力受付ステップにて入力された情報を教師データとして、前記分類器を機械学習させる学習ステップと、を有し、
前記運搬情報は、前記物品が前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含み、
前記読取情報は、前記物品タグの前記読取部での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含み、
前記物品は、複数であって、
前記表示制御ステップは、前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であると推定される推定確率の高低に応じて、前記複数の物品の各々の前記物品情報及び前記推定情報を所定の位置関係で前記表示部に表示させる、
学習方法。
【請求項11】
1以上のプロセッサに、
請求項8に記載の管理方法、又は請求項10に記載の学習方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に管理システム及び管理方法、学習システム及び学習方法、並びにプログラムに関する。より詳細には、本開示は、物品を管理する管理システム及び管理方法、学習システム及び学習方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物品管理システムが開示されている。この物品管理システムでは、ICタグと、ICタグリーダと、ICタグリーダの位置を計測する測位手段と、位置管理サーバと、を備えている。ICタグリーダは、ICタグに対して読み出し信号を送信し、ICタグからの応答信号を受信する。位置管理サーバは、応答信号の内容と自機に登録された内容が一致するときに、測位手段により得られる位置信号に基づいて、ICタグが貼り付けられた管理対象物品の位置を管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-046821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、物品の所在を管理しやすい管理システム及び管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る管理システムは、取得部と、推定部と、入力受付部と、表示制御部と、を備える。前記取得部は、物品情報を取得する。前記物品情報は、読取部にて物品に付された物品タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品タグから読み取られる、前記物品に関する情報である。前記推定部は、前記取得部にて前記物品情報を取得することで得られる読取情報に基づいて、所定のエリアにおける前記物品の運搬に関する運搬情報を推定する。前記入力受付部は、前記推定部の推定結果を評価する入力を受け付ける。前記表示制御部は、前記取得部で取得した前記物品情報と、前記推定部が推定する前記運搬情報と、の組み合わせを表示部に表示させる。前記運搬情報は、前記物品が前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含む。前記読取情報は、前記物品タグの前記読取部での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含む。前記物品は、複数である。前記表示制御部は、前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であると推定される推定確率の高低に応じて、前記複数の物品の各々の前記物品情報及び前記推定情報を所定の位置関係で前記表示部に表示させる。
【0006】
本開示の一態様に係る管理方法は、コンピュータシステムにより実行される管理方法である。前記管理方法は、取得ステップと、推定ステップと、入力受付ステップと、表示制御ステップと、を有する。前記取得ステップは、物品情報を取得するステップである。前記物品情報は、読取部にて物品に付された物品タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品タグから読み取られる、前記物品に関する情報である。前記推定ステップは、前記取得ステップにて前記物品情報を取得することで得られる読取情報に基づいて、所定のエリアにおける前記物品の運搬に関する運搬情報を推定するステップである。前記入力受付ステップは、前記推定ステップの推定結果を評価する入力を受け付けるステップである。前記表示制御ステップは、前記取得ステップで取得した前記物品情報と、前記推定ステップで推定する前記運搬情報と、の組み合わせを表示部に表示させるステップである。前記運搬情報は、前記物品が前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含む。前記読取情報は、前記物品タグの前記読取部での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含む。前記物品は、複数である。前記表示制御ステップは、前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であると推定される推定確率の高低に応じて、前記複数の物品の各々の前記物品情報及び前記推定情報を所定の位置関係で前記表示部に表示させる。
【0007】
本開示の一態様に係る学習システムは、取得部と、推定部と、入力受付部と、表示制御部と、学習部と、を備える。前記取得部は、物品情報を取得する。前記物品情報は、読取部にて物品に付された物品タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品タグから読み取られる、前記物品に関する情報である。前記推定部は、前記取得部にて前記物品情報を取得することで得られる読取情報を入力として、分類器により所定のエリアにおける前記物品の運搬に関する運搬情報を推定する。前記入力受付部は、前記推定部の推定結果を評価する入力を受け付ける。前記表示制御部は、前記取得部で取得した前記物品情報と、前記推定部が推定する前記運搬情報と、の組み合わせを表示部に表示させる。前記学習部は、前記入力受付部にて入力された情報を教師データとして、前記分類器を機械学習させる。前記運搬情報は、前記物品が前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含む。前記読取情報は、前記物品タグの前記読取部での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含む。前記物品は、複数である。前記表示制御部は、前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であると推定される推定確率の高低に応じて、前記複数の物品の各々の前記物品情報及び前記推定情報を所定の位置関係で前記表示部に表示させる。
【0008】
本開示の一態様に係る学習方法は、コンピュータシステムにより実行される学習方法である。前記学習方法は、取得ステップと、推定ステップと、入力受付ステップと、表示制御ステップと、学習ステップと、を有する。前記取得ステップは、物品情報を取得するステップである。前記物品情報は、読取部にて物品に付された物品タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品タグから読み取られる、前記物品に関する情報である。前記推定ステップは、前記取得ステップにて前記物品情報を取得することで得られる読取情報を入力として、分類器により所定のエリアにおける前記物品の運搬に関する運搬情報を推定するステップである。前記入力受付ステップは、前記推定ステップの推定結果を評価する入力を受け付けるステップである。前記表示制御ステップは、前記取得ステップで取得した前記物品情報と、前記推定ステップで推定する前記運搬情報と、の組み合わせを表示部に表示させるステップである。前記学習ステップは、前記入力受付ステップにて入力された情報を教師データとして、前記分類器を機械学習させるステップである。前記運搬情報は、前記物品が前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含む。前記読取情報は、前記物品タグの前記読取部での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含む。前記物品は、複数である、前記表示制御ステップは、前記所定のエリアにおける搬入又は搬出の対象であると推定される推定確率の高低に応じて、前記複数の物品の各々の前記物品情報及び前記推定情報を所定の位置関係で前記表示部に表示させる。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の管理方法、又は上記の学習方法を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、物品の所在を管理しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る管理システム及び読取システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、同上の管理システムが対象とするエリアの概要図である。
図3図3は、同上の管理システムにおける推定部の動作の説明図である。
図4図4は、同上の管理システムにおける表示部に表示される画面の概要図である。
図5図5は、同上の管理システムにおいて、端末の表示部に表示される画面の一例を示す概要図である。
図6図6は、同上の管理システムにおいて、端末の表示部に表示される画面の一例を示す概要図である。
図7図7は、同上の管理システムにおいて、端末の表示部に表示される画面の一例を示す概要図である。
図8図8は、同上の管理システムでの学習フェーズにおける動作を示すフローチャートである。
図9図9は、同上の管理システムでの推論フェーズにおける動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)概要
本実施形態に係る管理システム100は、図1及び図2に示すように、所定のエリアA1にある物品1の所在に関する情報を管理するために用いられるシステムである。以下、特に断りのない限り、「所定のエリアA1」を単に「エリアA1」という。本開示でいう「物品」とは、関係者2により運搬される対象となる物品1を意味する。ここで、物品1は、1つに限らず、複数個の場合もある。本開示でいう「関係者」とは、物品1をエリアA1外へ持ち出す、又は物品1をエリアA1内へ持ち込むことを許可された者であって、実際に物品1を運搬する者の他、物品1を運搬する者に付き添う者を含み得る。つまり、「関係者が運搬する」とは、実際に物品1を運搬することの他に、物品1を運搬する者に付き添うことも含み得る。ここで、関係者2は、1人に限らず、複数人の場合もある。
【0013】
管理システム100は、図1に示すように、取得部5と、推定部31と、入力受付部34と、を備えている。本実施形態では、後述する通信部5が取得部5を兼ねている。
【0014】
取得部5は、物品情報を取得する。物品情報は、読取部102にて物品1に付された物品タグ11と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、物品タグ11から読み取られる。ここで、読取部102は、エリアA1に設置されており、エリアA1内にある物品タグ11と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、物品1の物品情報を読み取る処理を実行する。つまり、読取部102は、物品1から直接的に物品情報を読み取るのではなく、物品1に付された物品タグ11から非接触で物品情報を読み取ることになる。
【0015】
本開示でいう「物品情報」は、物品1を識別するための情報であって、例えば、日本国で用いられているJAN(Japanese Article Number)コード等の識別コードである。この種の識別コードには、JANコードの他、EPC(Electronic Product Code)、欧州等で用いられているEAN(European Article Number)コード、及び米国等で用いられているUPC(Universal Product Code)等がある。EPCには、例えばGTIN(Global Trade Item Number)等の物品1を個々に識別するための識別コードの他、GRAI(Global Returnable Asset Identifier)等の企業が所有する資産(物品1)を管理するための識別コードを含み得る。また、物品情報は、物品1の品種(種類)を識別する情報に限らず、同一品種の物品1を個別に識別するシリアル情報等の情報を含んでいてもよい。これにより、同一品種の物品1が複数ある場合にも、これら同一品種の複数の物品1の各々を物品情報にて特定可能である。
【0016】
推定部31は、取得部5にて物品情報を取得することで得られる読取情報に基づいて、エリアA1における物品1の運搬に関する運搬情報を推定する。本実施形態では、取得部5にて取得される関係者情報も加味して、運搬情報を推定する。推定部31については、後述する「(2.2)管理システム」にて詳細に説明する。
【0017】
本開示でいう「読取情報」は、一例として、物品タグ11の読取部102での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含み得る。また、本開示でいう「関係者情報」は、関係者2を識別するための情報であって、関係者2ごとに割り当てられた固有の識別コードを含み得る。関係者情報は、一例として、関係者タグ21(後述する)の読取部102での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0018】
本開示でいう「読取りの回数」は、ある期間内に、読取部102にて物品情報(又は関係者情報)の読取りが行われた回数を意味し、より詳細には、読取部102にて物品情報(又は関係者情報)の読取りに成功した回数である。本開示でいう「読取りの時間間隔」は、ある期間内に、読取部102にて物品情報(又は関係者情報)の読取りが行われた時間間隔を意味する。より詳細には、読取部102にて物品情報(又は関係者情報)の読取りに2回成功したときの、1回目の物品情報(又は関係者情報)の読取り時点から2回目の物品情報(又は関係者情報)の読取り時点までの時間である。本開示でいう「読取りの頻度」は、ある期間内に、読取部102にて物品情報(又は関係者情報)の読取りが行われた頻度を意味し、より詳細には、読取部102にて物品情報(又は関係者情報)の読取りに成功した頻度である。本開示でいう「受信した電波の強度」は、後述する読取システム10のアンテナ101で受信した物品タグ11又は後述する関係者タグ21から送信される電波の強度であり、一例として、RSSI(Received Signal Strength Indication)値で表される。本開示でいう「受信した電波の位相」は、読取システム10のアンテナ101で受信した物品タグ11又は関係者タグ21から送信される電波の位相である。
【0019】
本開示でいう「運搬情報」は、物品1がエリアA1における搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含み得る。言い換えれば、「運搬情報」は、物品1が関係者2によりエリアA1から持ち出される物品1であるか否か、又は物品1が関係者2によりエリアA1に持ち込まれる物品1であるか否か、を推定した推定情報を含み得る。その他、「運搬情報」は、エリアA1からの搬出及びエリアA1への搬入を問わず、読取部102にて読み取られた物品情報の数(つまり、物品1の数)を含み得る。
【0020】
入力受付部34は、推定部31の推定結果を評価する入力を受け付ける。入力は、例えば関係者2が所持する端末6(例えば、パーソナルコンピュータ、又はスマートフォン等の携帯端末)、又は所定の場所に設置されたディスプレイ(例えば、タッチパネルディスプレイ)にて行われる。本開示でいう「推定結果を評価する入力」とは、推定部31により推定された運搬情報が正しいか否かを評価する入力である。一例として、推定部31により物品1がエリアA1から搬出されると推定された場合、関係者2は、物品1をエリアA1から搬出しようとしている場合は、推定結果が正しい、という入力を行う。一方、関係者2は、物品1をエリアA1から搬出しようとしていない、又は物品1をエリアA1に搬入しようとしている場合は、推定結果を修正する入力を行う。この場合、関係者2は、物品1が搬入及び搬出のいずれの対象でもない、又は物品1がエリアA1へ搬入される物品である、という入力を行う。
【0021】
上述のように、本実施形態では、推定部31により、物品1の運搬に関する運搬情報を推定する。そして、本実施形態では、入力受付部34にて関係者2からの入力を受け付けることにより、推定部31の推定結果を評価することができる。このため、本実施形態では、推定部31による運搬情報の推定結果に誤りがあった場合でも修正することができ、結果として物品1の所在を管理しやすい、という利点がある。
【0022】
(2)詳細
以下、本実施形態の管理システム100、及び管理システム100と共に用いられる読取システム10について詳細に説明する。管理システム100は、例えば、オフィス(シェアオフィスを含む)、工場、駅、学校、コンビニエンスストア及びスーパーマーケット等の小売店の店舗、福祉施設、病院又は体育館等の施設に導入される。また、管理システム100は、屋内に限らず、屋外に導入されてもよい。管理システム100は、上記のいずれかの施設において、施設全体、又は施設の一部(部屋等)を所定のエリアA1として、物品1の所在に関する情報を管理するために用いられる。本実施形態では、所定のエリアA1が1つである場合を想定しているが、所定のエリアA1は複数であってもよい。この場合、読取システム10は、所定のエリアA1ごとに設置されることになる。
【0023】
本実施形態では、一例として、管理システム100がオフィスに導入される場合を想定する。また、本実施形態では、図2に示すように、オフィス内を所定のエリアA1、オフィス外をエリアA2、と仮定する。さらに、本実施形態では、エリアA1とエリアA2との境界にゲート(例えば、自動扉)G1が設置されている、と仮定する。
【0024】
本実施形態では、読取システム10は、管理システム100の構成要素に含まれていないこととするが、読取システム10は、管理システム100の構成要素に含まれていてもよい。また、本実施形態では、物品タグ11及び関係者タグ21は、いずれも管理システム100の構成要素に含まれていないこととするが、物品タグ11及び関係者タグ21は、いずれも管理システム100の構成要素に含まれていてもよい。つまり、管理システム100は、物品タグ11と、関係者タグ21と、読取システム10(読取部102)と、を更に備えていてもよい。
【0025】
本実施形態では、管理システム100は、後述するように学習部35を備えている。学習部35は、管理システム100の推定部31が有する分類器310を機械学習させる場合に用いられる。つまり、学習部35は、基本的に、分類器310の学習が完了する前に用いられる。したがって、以下では、分類器310の学習が完了する前の管理システム100を「学習システム100」という。つまり、学習システム100は、取得部5と、推定部31と、入力受付部34と、学習部35と、を備える。推定部31は、取得部5にて物品情報を取得することで得られる読取情報を入力として、分類器310により所定のエリアA1における物品1の運搬に関する運搬情報を推定する。学習部35は、入力受付部34にて入力された情報を教師データとして、分類器310を機械学習させる。
【0026】
(2.1)読取システム
まず、読取システム10について、図1及び図2を用いて説明する。読取システム10は、図1に示すように、アンテナ101と、読取部102と、通信部103と、を備えている。本実施形態では、読取システム10は、アンテナ101、読取部102、及び通信部103を1つの筐体に収容して構成されている。そして、この筐体をエリアA1にある壁面に設置することで、読取システム10をエリアA1に設置している。
【0027】
アンテナ101は、電波(読取部102と物品タグ11及び関係者タグ21との無線通信に媒体として用いられる電波)を受信する。本実施形態では、アンテナ101は、電波の受信だけでなく、電波の送信にも用いられる。アンテナ101は、円偏波及び直線偏波のいずれであってもよいが、本実施形態では一例として、円偏波のアンテナにて構成される。アンテナ101は、一例として、プリント配線基板上に導電路が形成されたマイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)である。
【0028】
読取部102は、物品1に付された物品タグ11、及び関係者2が所持する関係者タグ21と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、物品情報及び関係者情報を読み取る読取処理を実行する装置である。読取部102は、アンテナ101を用いて、物品タグ11及び関係者タグ21と無線通信を行う。
【0029】
本実施形態では、読取部102は、RFID(Radio Frequency Identification)システムを構成するリーダである。すなわち、読取部102は、RFIDシステムにおける物品タグ11及び関係者タグ21との間で、無線通信を行うことにより、物品タグ11に記憶されている物品情報、及び関係者タグ21に記憶されている関係者情報を取得する。
【0030】
物品タグ11及び関係者タグ21の各々は、例えば、パッシブ型のRF(Radio Frequency)タグである。物品タグ11は、少なくとも物品情報を記憶するメモリを有している。また、関係者タグ21は、少なくとも関係者情報を記憶するメモリを有している。ここにおいて、複数の物品1には複数の物品タグ11が一対一で対応付けられている。物品タグ11には、対応する物品1についての物品情報が記憶されており、物品タグ11は、対応する物品1に付されている。また、複数の関係者2には複数の関係者タグ21が一対一で対応付けられている。関係者タグ21には、対応する関係者2についての関係者情報が記憶されており、関係者タグ21は、対応する関係者2に所持される。
【0031】
物品タグ11は、物品1と一体に取り扱い可能な状態で物品1に付されていればよく、物品タグ11が物品1に付される具体的な態様としては、様々な態様がある。本実施形態では一例として、物品タグ11はシール状であって物品1に貼り付けられている。その他、物品タグ11は、例えば、紐等で物品1につながっていてもよいし、物品1の梱包材に一体化されていてもよいし、物品1に埋め込まれていてもよいし、物品1に組み込まれていてもよい。さらに、例えば、塗布型半導体等の技術を用いることにより、物品タグ11は、物品1自体、又は物品1の梱包材等の表面に、印刷にて直接的に形成されていてもよい。
【0032】
関係者タグ21は、関係者2に所持されていればよく、関係者タグ21が関係者2に所持される具体的な態様としては、様々な態様がある。本実施形態では一例として、関係者タグ21はシール状であって、関係者2の衣服に貼り付けられている。その他、関係者タグ21は、例えば、紐等で関係者2の所持品(例えば、携帯端末又は鞄等)につながっていてもよいし、所持品に埋め込まれていてもよいし、所持品に組み込まれていてもよい。
【0033】
読取部102は、アンテナ101から電波を送信し、この電波によって起動された物品タグ11及び関係者タグ21と、電波を通信媒体とする無線通信を行う。本実施形態では、読取部102は、物品タグ11との無線通信の成立時に、少なくとも物品情報を含む情報を物品タグ11から受信する。また、読取部102は、関係者タグ21との無線通信の成立時に、少なくとも関係者情報を含む情報を関係者タグ21から受信する。
【0034】
通信部103は、例えば有線通信モジュールを含んでいる。通信部103は、有線通信モジュールにより、例えばI2C等の信号線を用いた有線通信にて通信路N1を介して管理システム100の通信部5と通信する。
【0035】
(2.2)管理システム
次に、本実施形態の管理システム100について図1及び図2を用いて説明する。本実施形態では、管理システム100は、メインコンピュータ3と、通信部(取得部)5と、表示部51と、入力部52と、を1つの筐体に収容して構成されている。そして、この筐体がエリアA1にある壁面に設置されることで、管理システム100が読取システム10と共にエリアA1に設置されている。管理システム100は、図1に示すように、メインコンピュータ3と、通信部5と、表示部51と、入力部52と、を備えている。本実施形態では、表示部51及び入力部52は、いずれも管理システム100の構成要素に含まれることとするが、いずれも管理システム100の構成要素に含まれていなくてもよい。
【0036】
また、管理システム100には、第1記憶部41と、第2記憶部42と、第3記憶部43と、第4記憶部44と、が接続されている。本実施形態では、第1記憶部41~第4記憶部44は、いずれも管理システム100の構成要素に含まれないこととするが、いずれも管理システム100の構成要素に含まれていてもよい。
【0037】
本実施形態では、表示部51は、タッチパネルディスプレイで構成されている。このため、本実施形態では、表示部51は、関係者2による操作入力を受け付ける入力部52としての機能も兼ねている。もちろん、表示部51は、単なるディスプレイであってもよい。つまり、表示部51は、入力部52と別体であってもよい。
【0038】
通信部(取得部)5は、例えば有線通信モジュールと、無線通信モジュールと、を含んでいる。通信部5は、有線通信モジュールにより、通信路N1を介して読取システム10の通信部103と通信する。また、通信部5は、無線通信モジュールにより、例えば赤外線又は可視光等の光を媒体とする光無線通信、又は電波を媒体とする無線通信にて、インターネット等のネットワークN2を介して端末6と通信する。通信部5は、例えばルータ等の通信機器を介してネットワークN2に接続されてもよい。
【0039】
既に述べたように、通信部(取得部)5は、物品情報を取得する。つまり、通信部5は、通信路N1を介して読取システム10の通信部103と通信することにより、物品情報を取得する。また、本実施形態では、通信部(取得部)5は、関係者情報を取得する。関係者情報は、読取部102にて物品1の運搬に関わる関係者2が所持する関係者タグ21と電波を媒体とする無線通信を行うことにより関係者タグ21から読み取られる。つまり、通信部5は、通信路N1を介して読取システム10の通信部103と通信することにより、関係者情報を取得する。
【0040】
メインコンピュータ3は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。このメインコンピュータ3では、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、種々の機能が実現される。プログラムは、メインコンピュータ3のメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0041】
メインコンピュータ3は、推定部31と、通知部32と、表示制御部33と、入力受付部34と、学習部35と、を有している。具体的には、メインコンピュータ3は、1以上のプロセッサにより所定のプログラムを実行することで、推定部31、通知部32、表示制御部33、入力受付部34、及び学習部35の各々の機能を実現する。
【0042】
推定部31は、通信部(取得部)5にて物品情報を取得することで得られる読取情報に基づいて、エリアA1における物品1の運搬に関する運搬情報を推定する。本実施形態では、推定部31は、読取情報を入力として、運搬情報を推定する機械学習された分類器310を含んでいる。分類器310は、読取情報を入力データとして機械学習することで得られる。分類器310は、例えばSVM(Support Vector Machine)等の線形分類器の他、ニューラルネットワークを用いた分類器、又は多層ニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)により生成される分類器を含み得る。
【0043】
本実施形態では、分類器310は、学習済みのニューラルネットワークを用いた分類器である。学習済みのニューラルネットワークは、例えばCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)、又はBNN(Bayesian Neural Network:ベイズニューラルネットワーク)等を含み得る。推定部31は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路に、学習済みのニューラルネットワークを実装することで実現されている。
【0044】
推定部31(分類器310)に入力される読取情報は、一例として、物品タグ11の読取部102での読取りの回数の分散、受信した電波の強度(RSSI値)若しくは強度の分散、又は受信した電波の位相若しくは位相の分散を含み得る。読取情報が読取りの回数の分散、電波の強度の分散、又は電波の位相の分散を含む場合、推定部31は、読取情報の変化を用いて、運搬情報を推定している、と言える。
【0045】
本実施形態では、推定部31(分類器310)は、読取情報及び関係者情報に基づいて、運搬情報を推定する。より具体的には、本実施形態では、推定部31(分類器310)は、読取情報と関係者情報との相関を用いて、運搬情報を推定する。関係者情報は、一例として、関係者タグ21の読取部102での読取りの回数の分散、受信した電波の強度(RSSI値)若しくは強度の分散、又は受信した電波の位相若しくは位相の分散を含み得る。そして、「読取情報と関係者情報との相関」とは、一例として、物品タグ11の読取部102での読取りの回数と、関係者タグ21の読取部102での読取りの回数との共分散又は相関係数を含み得る。本実施形態では、推定部31には、読取情報及び関係者情報として、物品タグ11から受信した電波の強度(RSSI値)と、相関係数と、の2つのデータ(説明変数)が入力される。
【0046】
ここで、一例として、関係者2が物品1をエリアA1からエリアA2へと搬出しているか否かについての運搬情報を、推定部31(分類器310)により推定する場合について、図3を用いて説明する。図3において、縦軸は相関係数を、横軸はRSSI値を表している。また、図3においてプロットされた複数のドットは、それぞれ所定の期間において、通信部(取得部)5が取得した読取情報に基づくデータを表している。さらに、図3における線B1は、運搬情報(推定情報)を2つのパターンに分類する分離面を表している。線B1は、あらかじめ分類器310を機械学習させることにより求められる。
【0047】
図3に示す例では、推定部31(分類器310)は、線B1よりも上方の領域にドットが位置する場合、つまり相関係数及びRSSI値が比較的大きい場合、物品1がエリアA1から搬出された、と推定する。一方、推定部31(分類器310)は、線B1よりも下方の領域にドットが位置する場合、つまり相関係数及びRSSI値が比較的小さい場合、物品1が搬入及び搬出のいずれの対象でもない、と推定する。後者の状況は、例えば、読取部102の周辺に物品1が存在するが、関係者2はこの物品1を運搬せずに移動している場合に生じ得る。
【0048】
通知部32は、推定部31にて1以上の物品1が運搬されていると推定されると、所定の通知先に通知する。本実施形態では、通知部32は、通知先として、管理システム100自体、及び関係者タグ21を所持する関係者2の端末6に向けて通知する。言い換えれば、通知部32は、取得部5で取得された関係者情報に基づいて、関係者タグ21に直接的に又は間接的に関連付けられている通知先に、少なくとも物品情報の通知を行う。
【0049】
通知部32は、管理システム100自体に対しては、関係者情報を管理システム100の表示部51に表示させる指令を含む信号を送信する。つまり、通知部32は、通知先(管理システム100)の有する表示部51に少なくとも関係者情報を表示させる信号を、通知先に送信する。これにより、表示部51には、例えば図4に示すように、関係者2を含む氏名のリストが表示される(同図の一点鎖線510で示す領域を参照)。
【0050】
このリストには、通知先の対象となり得る1以上の関係者タグ21の所持者(つまり、関係者2)の氏名が表示される。すなわち、通信部(取得部)5は、実際に物品1を運搬している関係者2の関係者情報の他に、この関係者2と同様の動きをしている他の関係者タグ21の所持者の関係者情報を取得する場合がある。この場合、表示部51には、上記のように複数の関係者2の関係者情報が表示されることになる。そこで、実際に物品1を運搬している関係者2は、表示部51に表示されている複数の関係者2の氏名のうち、自身の氏名を選択する操作を行う(ここでは、入力部52として機能するタッチパネルディスプレイに触れる)。選択された関係者2の関係者情報は、通信路N1を介してメインコンピュータ3へ送信される。これにより、メインコンピュータ3は、物品1の物品情報と、実際に物品1を運搬している関係者2の関係者情報と、を紐付けて管理することが可能である。なお、実際に物品1を運搬している関係者2が複数人いる場合は、入力部52にて、該当する複数の関係者2の氏名を選択する操作を行えばよい。
【0051】
そして、通知部32は、入力部52にて選択された関係者2の所持する端末6に対して、ネットワークN2を介してメールを送信する。メールには、通信部(取得部)5にて取得された1以上の物品1の物品情報と、推定部31により推定された1以上の物品1の運搬情報と、を確認するための専用のウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)が含まれる。メールを受け取った関係者2は、メールに含まれるURLにアクセスすることで、実際に運搬している1以上の物品1に関する物品情報及び運搬情報を、表示部60を見ることで確認することができる。表示部60に表示される内容については、後述する表示制御部33の説明にて、詳細に説明する。
【0052】
表示制御部33は、通信部(取得部)5で取得した物品情報と、推定部31が推定する運搬情報と、の組み合わせを表示部60に表示させる。本実施形態では、表示部60は、関係者2が所持する端末6(ここでは、スマートフォン)の有するディスプレイである。表示制御部33は、上記の専用のウェブサイトに関係者2がアクセスした際に、表示部60に表示される物品情報及び運搬情報の組み合わせの情報を生成する。これにより、関係者2が端末6を操作して、メールに含まれる専用のウェブサイトのURLにアクセスすることにより、表示部60に上記の組み合わせを表示させることが可能である。
【0053】
具体的には、図5に示すように、表示部60には、第1領域C1と、第2領域C2と、第3領域C3と、第4領域C4と、第5領域C5と、第6領域C6と、が表示される。なお、図5における破線は、第1領域C1~第6領域C6の各々が占める範囲を明確にするために記載しているに過ぎず、実際には、表示部60には表示されない。
【0054】
第1領域C1には、「決定」という文字列を有するボタンC11が表示される。ボタンC11を関係者2が選択することにより、物品1ごとの物品情報及び運搬情報が確定され、確定した物品1ごとの物品情報及び運搬情報がネットワークN2を介してメインコンピュータ3に送信される。
【0055】
第2領域C2には、物品1ごとの推定情報が表示される。ここでは、推定情報として、「対象外」、「持ち込み」、及び「持ち出し」のそれぞれに対応した3つのラジオボタンC21~C23が、物品1ごとに第2領域C2に表示される。「対象外」は、物品1がエリアA1における搬入及び搬出のいずれの対象でもないことを表す。「持ち込み」は、物品1がエリアA1に搬入される対象であることを表す。「持ち出し」は、物品1がエリアA1から搬出される対象であることを表す。
【0056】
関係者2がURLにアクセスした時点では、第2領域C2には、推定部31により推定された物品1の状態に応じたラジオボタンC21~C23が選択されている。そして、関係者2は、実際の物品1の状態に応じて、いずれかのラジオボタンC21~C23を選択することにより、推定部31による推定結果を修正することが可能である。
【0057】
例えば、任意の物品1について、関係者2がURLにアクセスした時点では「持ち出し」のラジオボタンC23が選択されていると仮定する。ここで、関係者2は、この物品1を持ち出していなければ(つまり、エリアA1から搬出していなければ)、「対象外」のラジオボタンC21を選択することにより、推定部31による推定結果を修正することが可能である。なお、推定部31による推定結果が正しい場合、関係者2は、ラジオボタンC21~C23を操作する必要はない。
【0058】
第3領域C3には、物品1の名称と、物品1の品番と、が物品1ごとに表示される。物品1の名称及び品番は、物品タグ11から取得される物品情報に含まれる。物品1の名称は、図5に示す「書籍1」のように簡略化された名称であってもよいし、より具体的な名称(例えば、物品1が書籍であれば、書籍の題名等)であってもよい。
【0059】
第4領域C4には、物品1の移動場所、つまり物品1の搬入先又は搬出先が物品1ごとに表示される。図5に示す例では、第4領域C4には、あらかじめ設定された複数の移動場所を含むドロップダウンリストC41が、物品1ごとに表示される。関係者2は、物品1ごとにドロップダウンリストC41にて移動場所を選択することにより、実際の物品1の移動場所を入力することが可能である。
【0060】
なお、表示制御部33は、ドロップダウンリストC41の代わりに、ドロップダウンリストとテキストボックスとを組み合わせたコンボボックスを、第4領域C4に表示させてもよい。この態様であれば、関係者2は、実際の物品1の移動場所を、規定の複数の移動場所から選択するだけでなく、直接入力することも可能である。
【0061】
第5領域C5には、物品1の物品タグ11に印字されているEPC-URI(Uniform Resource Identifier)を入力可能なテキストボックスC51が、物品1ごとに表示される。例えば表示部60に表示されていない物品1(つまり、取得部5が物品情報を取得していない物品1)が存在する場合、関係者2は、この物品1のEPC-URIをテキストボックスC51に入力することで、物品1を追加することが可能である。
【0062】
第6領域C6には、推定部31により推定された物品1の個数、言い換えれば、読取部102にて物品情報を読み取られた物品タグ11の個数が表示される。図5に示す例では、第6領域C6には、エリアA1における搬入又は搬出の対象であるか否かを問わず、物品1の個数が表示されているが、搬入又は搬出の対象となる物品1の個数が表示されてもよい。
【0063】
本実施形態では、表示制御部33は、所定のエリアA1における搬入又は搬出の対象であると推定される推定確率の高低に応じて、複数の物品1の各々の物品情報及び推定情報を表示部60に表示させてもよい。以下では、「ノートPC」、「カメラ用レンズ」、「実験器具」、「台車」、「書籍1」、「書籍2」、及び「オフィスチェア」の順に、エリアA1における搬入又は搬出の対象であると推定される確率が低い、と仮定する。また、以下では、「ノートPC」、「カメラ用レンズ」、「実験器具」、及び「台車」がエリアA1から搬出される物品1であると推定部31により推定されている、と仮定する。また、以下では、「書籍1」、「書籍2」、及び「オフィスチェア」がエリアA1における搬入及び搬出のいずれの対象でもない物品1であると推定部31により推定されている、と仮定する。
【0064】
一例として、表示制御部33は、推定確率の高低に応じて、複数の物品1の各々の物品情報及び推定情報を所定の位置関係で表示部60に表示させてもよい。具体的には、図6に示すように、表示部60には、横長の線分C70を境界として上下に分けられた2つの領域C71,C72が表示される。上側の領域C71には、推定部31によりエリアA1から搬出されると推定された物品1が表示される。下側の領域C72には、推定部31によりエリアA1における搬入及び搬出のいずれの対象でもないと推定された物品1が表示される。また、2つの領域C71,C72のいずれにおいても、推定確率が高い物品1ほど上側に表示される。この態様では、上記の確率の高低に依らず複数の物品1がランダムに表示部60に表示される場合と比較して、関係者2が推定部31による推定結果が正しいか否かを把握しやすい、という利点がある。
【0065】
なお、表示部60において、2つの領域C71,C72は、縦長の線分C70を境界として左右に分かれていてもよい。また、2つの領域C71,C72は、それぞれ2つのページに分かれていてもよい。さらに、表示部60において、複数の物品1は、推定確率の高低に応じて3つ以上の領域に分かれて表示されてもよい。
【0066】
また、一例として、表示制御部33は、推定確率の高低に応じて、複数の物品1の各々の物品情報及び推定情報を視覚的に区別した態様で表示部60に表示させてもよい。具体的には、図7に示すように、表示部60には、複数の物品1が推定確率の高低に応じて色分けされて表示される。図7において、ドットで表された範囲は、その範囲の色が黒色以外の色(例えば、青色)であることを表している。推定部31によりエリアA1から搬出されると推定された物品1については、黒色以外の色で表されている。また、推定部31によりエリアA1における搬入及び搬出のいずれの対象でもないと推定された物品1については、黒色で表されている。さらに、推定確率が高いほど色が濃くなっている(図7では、ドットの密度が大きい程、色が濃いことを表している)。この態様では、上記の確率の高低に依らず複数の物品1がいずれも同じ態様で表示される場合と比較して、関係者2が推定部31による推定結果が正しいか否かを把握しやすい、という利点がある。
【0067】
入力受付部34は、推定部31の推定結果を評価する入力を受け付ける。本実施形態では、入力は、関係者2が所持する端末6(ここでは、スマートフォン)にて行われる。具体的には、入力は、表示部60に表示されたボタンC11を選択すること、ラジオボタンC21~C23のいずれかを選択すること、ドロップダウンリストC41にて移動場所を選択すること、及びテキストボックスC51に文字列を入力すること等を含み得る。本実施形態では、入力は、関係者2が端末6の表示部60(タッチパネルディスプレイ)に触れることにより行われる。端末6に入力された情報は、ネットワークN2を介してメインコンピュータ3へ送信され、入力受付部34にて受け付けられる。
【0068】
一例として、表示部60に表示されている運搬情報(推定情報)が正しい場合、関係者2は、ボタンC11を選択する。これにより、入力受付部34には、推定部31による推定結果が正しいという情報が入力されることになる。また、一例として、表示部60に表示されている運搬情報(推定情報)の一部又は全部が間違っている場合、関係者2は、ラジオボタンC21~C23のうち物品1の実際の状態を表すラジオボタンを選択した上で、ボタンC11を選択する。これにより、入力受付部34には、推定部31による推定結果を修正した情報が入力されることになる。
【0069】
学習部35は、入力受付部34にて入力された情報を教師データとして、分類器310を機械学習させる。本開示でいう「機械学習」は、学習済みの分類器310に対して実行される再学習を含み得る。学習部35は、1以上のプロセッサにより構成される。ここでいう「プロセッサ」は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用のプロセッサの他に、ニューラルネットワークでの演算に特化した専用のプロセッサを含み得る。
【0070】
本実施形態では、学習部35は、分類器310で用いられるニューラルネットワークの機械学習を行うことで、分類器310の機械学習を行う。機械学習は、学習用データセットを用いて行われる。本開示でいう「学習用データセット」は、ニューラルネットワークの入力層に入力される入力情報と、入力情報に対応する教師データとの組み合わせを1つの学習用データとした、複数の学習用データの集合である。本実施形態では、入力情報は、一例として、読取情報としての物品タグ11から受信した電波の強度(RSSI値)と、関係者情報としての相関係数と、を含む。学習用データにおいて、教師データは、通信部(取得部)5にて物品情報を取得された物品1の実際の状態である。
【0071】
学習部35は、複数の学習用データの各々について、ニューラルネットワークの入力層に入力情報を入力して演算を実行する。そして、学習部35は、ニューラルネットワークの出力層の複数のニューロンの出力値と、教師データとを用いて、バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)処理を実行する。ここで、出力層の複数のニューロンは、それぞれ物品1のとり得る複数の状態に対応している。ここでいう「複数の状態」は、物品1がエリアA1における搬入及び搬出のいずれの対象でもない状態と、物品1がエリアA1に搬入される対象である状態と、物品1がエリアA1から搬出される対象である状態と、を含む。
【0072】
バックプロパゲーション処理においては、学習部35は、出力層の複数のニューロンのうち、教師データと対応するニューロンの出力値の最大化を図るように、ニューラルネットワークの重み付け係数を更新する。学習部35は、全ての学習用データについてバックプロパゲーション処理を実行することにより、ニューラルネットワークの重み付け係数の最適化を図る。これにより、ニューラルネットワークの学習が完了する。
【0073】
第1記憶部41~第4記憶部44の各々は、一例として、ハードディスク等の非一時的記録媒体、及び書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的記録媒体の少なくとも一方により構成される。
【0074】
第1記憶部41は、1以上の物品1の物品情報と、対応する物品1の所在に関する情報と、を紐付けて記憶する。本実施形態では、1以上の物品1の物品情報は、EPCに基づいている。本実施形態では、第1記憶部41は、物品1の所在に関する情報として、物品1の移動先を更に記憶する。物品1の移動先は、例えば管理システム100のオペレータ等が入力作業を行うことで、あらかじめ第1記憶部41に記憶される。つまり、物品1が運搬される前において第1記憶部41に記憶されている物品1の移動先は、将来、物品1が運搬されることが予定されている移動先である。
【0075】
第2記憶部42は、1以上の物品1の物品情報と、対応する物品1を取り扱う資格を有する関係者2の関係者情報と、を紐付けて記憶する。つまり、第2記憶部42は、物品情報と関係者情報とをあらかじめ関連付けて記憶する。例えば、管理システム100のオペレータ等が入力作業を行うことで、物品情報と関係者情報とが関連付けられる。
【0076】
第3記憶部43は、例えばEPCIS(EPC Information Service)の仕様に基づいて、物品タグ11の物品情報を読み取った読取部102の識別情報と、読み取った物品情報と、物品情報を読み取った時刻と、を紐付けて記憶する。つまり、第3記憶部43は、物品タグ11から読み取った物品情報の履歴を記憶する。第3記憶部43は、物品タグ11から物品情報を読み取った時点での電波の受信信号強度、又は電波の位相を、物品情報に紐付けて記憶してもよい。
【0077】
第4記憶部44は、例えばEPCISの仕様に基づいて、関係者タグ21の関係者情報を読み取った読取部102の識別情報と、読み取った関係者情報と、関係者情報を読み取った時刻と、を紐付けて記憶する。つまり、第4記憶部44は、関係者タグ21から読み取った関係者情報の履歴を記憶する。第4記憶部44は、関係者タグ21から関係者情報を読み取った時点での電波の受信信号強度、又は電波の位相を、関係者情報に紐付けて記憶してもよい。
【0078】
(3)動作
以下、本実施形態の管理システム100の動作の一例について説明する。本実施形態では、管理システム100は、既に述べたように再学習の機能も有しているが、基本的に、分類器310の学習が完了した後に推論フェーズにて使用される。そして、管理システム100は、分類器310の学習が完了するまでは、学習システム100として学習フェーズにて使用される。
【0079】
(3.1)学習フェーズ
まず、管理システム100の使用前において、分類器310を機械学習させる学習フェーズについて説明する。つまり、学習システム100の動作について説明する。学習フェーズにおける機械学習は、例えば学習用のセンターで実行される。学習用のセンターでは、学習部35を用いて、分類器310で用いるニューラルネットワークの機械学習を行う。機械学習を行うに当たり、ニューラルネットワークの重み付け係数は、初期化されている。
【0080】
まず、エリアA1に設置されている読取部102にて、物品1に付された物品タグ11の物品情報が読み取られると、読み取られた物品情報が通信路N1を介してメインコンピュータ3へ送信される。これにより、メインコンピュータ3の通信部(取得部)5は、物品1の物品情報を取得する(S1)。通信部5は、読取部102にて物品1の物品情報が読み取られるごとに、物品1の物品情報を取得する。つまり、物品1が読取部102の読取り可能な範囲内にいる間は、通信部5は、物品1の物品情報を取得し続けることになる。
【0081】
同様に、エリアA1に設置されている読取部102にて、関係者2が所持する関係者タグ21の関係者情報が読み取られると、読み取られた関係者情報が通信路N1を介してメインコンピュータ3へと送信される。これにより、メインコンピュータ3の通信部(取得部)5は、関係者2の関係者情報を取得する(S2)。通信部5は、読取部102にて関係者2の関係者情報が読み取られるごとに、関係者2の関係者情報を取得する。つまり、関係者2が読取部102の読取り可能な範囲内にいる間は、通信部5は、関係者2の関係者情報を取得し続けることになる。
【0082】
メインコンピュータ3の推定部31の分類器310は、取得した物品情報から得られる読取情報と、取得した関係者情報とに基づいて、物品1の運搬情報を推定する(S3)。本実施形態では、既に述べたように、読取情報は、物品タグ11から受信した電波の強度(RSSI値)であり、関係者情報は、相関係数である。そして、メインコンピュータ3の通知部32は、物品1の物品情報及び推定した運搬情報を確認するための専用のウェブサイトのURLを含むメールを、所定の通知先(ここでは、端末6)へ送信する(つまり、所定の通知先へ通知する)(S4)。
【0083】
端末6を所持する関係者2は、受信したメールに含まれる専用のウェブサイトのURLにアクセスし、物品1の物品情報及び推定した運搬情報を確認する。そして、表示部60に表示されている運搬情報が正しければ、関係者2は、ボタンC11(図5参照)を選択する。また、表示部60に表示されている運搬情報の一部又は全部が間違っている場合、関係者2は、ラジオボタンC21~C23のうち物品1の実際の状態を表すラジオボタンを選択した上で、ボタンC11を選択する。これにより、入力受付部34には、推定部31による推定結果を評価した情報が入力される(S5)。そして、メインコンピュータ3の学習部35は、分類器310に入力される入力情報(読取情報及び関係者情報)と、入力受付部34に入力された情報(つまり、教師データ)との組み合わせを、1つの学習用データとして取得する(S6)。
【0084】
以下、メインコンピュータ3の学習部35は、蓄積された学習用データのデータ数が所定数に達していなければ(S7:No)、上記の処理S1~S6を繰り返すことで、学習用データを蓄積する。そして、メインコンピュータの学習部35は、蓄積された学習用データのデータ数が所定数に達すると(S7:Yes)、蓄積された学習用データを用いて、分類器310で用いられるニューラルネットワークの機械学習を行う(S8)。そして、例えば分類器310による物品1の運搬情報の推定結果の正答率が所定値以上に達すれば、分類器310の機械学習が完了する。
【0085】
(3.2)推論フェーズ
次に、分類器310の機械学習が完了した後の、管理システム100を使用した推論フェーズについて説明する。なお、推論フェーズにおける処理S10~S14は、それぞれ学習フェーズにおける処理S1~S5と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0086】
入力受付部34に推定部31による推定結果を評価した情報が入力されると、メインコンピュータ3は、入力された情報に基づいて、第1記憶部41に記憶されている物品1の所在に関する情報を更新する(S15)。具体的には、推定部31による推定結果に対して修正がなければ、推定部31による推定結果に基づいて更新する。一方、推定部31による推定結果に対して修正があれば、修正された推定結果に基づいて更新する。
【0087】
上述のように、本実施形態では、推定部31により、物品1の運搬に関する運搬情報を推定する。そして、本実施形態では、入力受付部34にて関係者2からの入力を受け付けることにより、推定部31の推定結果を評価することができる。このため、本実施形態では、推定部31による運搬情報の推定結果に誤りがあった場合でも修正することができ、結果として物品1の所在を管理しやすい、という利点がある。
【0088】
つまり、入力受付部34が存在しない場合、推定部31による運搬情報の推定結果の是非に依らず、この推定結果に基づいて物品1の所在が管理されるため、物品1の所在を正しく管理できない可能性がある。一方、本実施形態では、入力受付部34が存在するので、実際に物品1を運搬する関係者2が推定部31による運搬情報の推定結果に対してフィードバックするため、物品1の所在を正しく管理しやすい、という利点がある。
【0089】
また、本実施形態では、機械学習された分類器310を用いて、物品1の運搬情報を推定している。このため、本実施形態では、十分な数の学習用データを用いて機械学習させた分類器310を用いれば、分類器310を有さない推定部を用いる場合と比較して、運搬情報の推定精度が向上しやすい、という利点がある。また、本実施形態では、管理システム100が管理している既存の物品1だけでなく、新たに追加された未知の物品1についても運搬情報を推定しやすい、という利点がある。
【0090】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、管理システム100と同様の機能は、管理方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。同様に、学習システム100と同様の機能は、学習方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0091】
一態様に係る管理方法は、取得ステップと、推定ステップと、入力受付ステップと、を有する。取得ステップは、物品情報を取得するステップである。物品情報は、読取部102にて物品1に付された物品タグ11と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品タグ11から読み取られる、物品1に関する情報である。推定ステップは、取得ステップにて物品情報を取得することで得られる読取情報に基づいて、所定のエリアA1における物品1の運搬に関する運搬情報を推定するステップである。入力受付ステップは、推定ステップの推定結果を評価する入力を受け付けるステップである。
【0092】
一態様に係る学習方法は、取得ステップと、推定ステップと、入力受付ステップと、学習ステップと、を有する。取得ステップは、物品情報を取得するステップである。物品情報は、読取部102にて物品1に付された物品タグ11と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品タグ11から読み取られる、物品1に関する情報である。推定ステップは、取得ステップにて物品情報を取得することで得られる読取情報を入力として、分類器310により所定のエリアA1における物品1の運搬に関する運搬情報を推定するステップである。入力受付ステップは、推定ステップの推定結果を評価する入力を受け付けるステップである。学習ステップは、入力受付ステップにて入力された情報を教師データとして、分類器310を機械学習させるステップである。
【0093】
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の管理方法、又は上記の学習方法を実行させる。
【0094】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0095】
本開示における管理システム100(又は学習システム100)は、例えば、メインコンピュータ3等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における管理システム100(又は学習システム100)としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0096】
また、管理システム100(又は学習システム100)における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは管理システム100(又は学習システム100)に必須の構成ではない。管理システム100(又は学習システム100)の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、管理システム100(又は学習システム100)の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0097】
上述の実施形態では、管理システム100(学習システム100)は所定のエリアA1に設置されているが、これに限らず、エリアA1を含む施設から離れた遠隔地にあるサーバにより実現されていてもよい。この場合、管理システム100と読取システム10との間の通信に用いる通信路N1は、一例として、インターネット等のネットワークである。つまり、この場合、読取システム10の通信部103と、管理システム100の通信部5とは、例えば赤外線又は可視光等の光を媒体とする光無線通信、又は電波を媒体とする無線通信にて、通信路N1を介して通信する。読取システム10の通信部103と、管理システム100の通信部5とは、例えばルータ等の通信機器を介して通信路N1に接続されてもよい。
【0098】
上述の実施形態において、読取部102は、所定のエリアA1にある壁面に限らず、ゲートG1に設置されてもよい。
【0099】
上述の実施形態において、推定部31(分類器310)には、読取情報として、1つのデータ(説明変数)が入力されてもよいし、3つ以上のデータ(説明変数)が入力されてもよい。
【0100】
上述の実施形態において、推定部31は、学習済みのニューラルネットワークを用いた分類器310を用いて運搬情報を推定しているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、推定部31は、物品タグ11の読取部102での読取りの回数の分散を閾値と比較することにより、運搬情報を推定してもよい。
【0101】
上述の実施形態において、通知部32は、メール以外の手段として、例えばSNS(Social Networking Service)のメッセージ、自動電話通報サービス、又はスマートスピーカ等を用いて通知先に通知してもよい。
【0102】
上述の実施形態において、表示制御部33による表示の態様は、例えば関係者2が端末6を操作することにより、適宜変更することが可能であってもよい。
【0103】
上述の実施形態において、表示制御部33は、エリアA1における搬入又は搬出の対象である確率が所定値(例えば、数%)よりも低いと推定された物品1については、表示部60に表示させなくてもよい。この態様において、仮に表示部60に表示されなかった物品1が、実際にはエリアA1における搬入又は搬出の対象であった場合には、関係者2がEPC-URIを入力する等して追加することが可能である。
【0104】
上述の実施形態において、入力受付部34にて入力された情報は、機械学習における教師データとして用いられなくてもよい。例えば、入力受付部34にて入力された情報は、単に推定部31での推定結果を修正するためだけに用いられてもよい。
【0105】
上述の実施形態において、入力受付部34は、関係者2による端末6を用いた音声入力を受け付けてもよい。
【0106】
上述の実施形態において、管理システム100では、学習フェーズと同様に、推論フェーズにおいても学習部35を用いて分類器310を機械学習(再学習)させてもよい。つまり、分類器310は、入力受付部34に入力された情報を、分類器310の機械学習(再学習)における教師データとして用いてもよい。再学習する場合は、学習部35は、例えば学習フェーズにおける処理S6~S8を実行すればよい。すなわち、管理システム100を使用するエリアA1によって、取り扱う物品1及び環境が異なることから、エリアA1によっては、学習フェーズにて機械学習した分類器310では十分な推定結果を得られない可能性がある。そこで、管理システム100を使用しながら学習用データを蓄積し、蓄積した学習用データを用いて分類器310を再学習させることで、管理システム100を使用するエリアA1ごとに、分類器310の最適化を図ることが可能である。
【0107】
上述の実施形態において、管理システム100は、小売業における商品(物品1)の管理のために用いることも可能である。例えば、管理システム100は、顧客(関係者2)が購入した商品(物品1)がどのように転々流通するのか、追跡することが可能である。
【0108】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る管理システム(100)は、取得部(5)と、推定部(31)と、入力受付部(34)と、を備える。取得部(5)は、物品情報を取得する。物品情報は、読取部(102)にて物品(1)に付された物品タグ(11)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品タグ(11)から読み取られる、物品(1)に関する情報である。推定部(31)は、取得部(5)にて物品情報を取得することで得られる読取情報に基づいて、所定のエリア(A1)における物品(1)の運搬に関する運搬情報を推定する。入力受付部(34)は、推定部(31)の推定結果を評価する入力を受け付ける。
【0109】
この態様によれば、物品(1)の所在を管理しやすい、という利点がある。
【0110】
第2の態様に係る管理システム(100)では、第1の態様において、運搬情報は、物品(1)が所定のエリア(A1)における搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含む。
【0111】
この態様によれば、物品(1)が運搬されているか否かを推定するため、物品(1)の所在を管理しやすい、という利点がある。
【0112】
第3の態様に係る管理システム(100)では、第1又は第2の態様において、読取情報は、物品タグ(11)の読取部(102)での読取りの回数、時間間隔、頻度、受信した電波の強度、及び受信した電波の位相のうちの少なくとも1つを含む。
【0113】
この態様によれば、運搬情報の推定精度が向上しやすい、という利点がある。
【0114】
第4の態様に係る管理システム(100)では、第1~第3のいずれかの態様において、推定部(31)は、読取情報の変化を用いて、運搬情報を推定する。
【0115】
この態様によれば、運搬情報の推定精度が向上しやすい、という利点がある。
【0116】
第5の態様に係る管理システム(100)では、第1~第4のいずれかの態様において、推定部(31)は、読取情報を入力として、運搬情報を推定する機械学習された分類器(310)を含む。
【0117】
この態様によれば、管理システム(100)が管理している既存の物品(1)だけでなく、新たに追加された未知の物品(1)についても運搬情報を推定しやすい、という利点がある。
【0118】
第6の態様に係る管理システム(100)では、第5の態様において、分類器(310)は、入力受付部(34)に入力された情報を、分類器(310)の機械学習における教師データとして用いる。
【0119】
この態様によれば、管理システム(100)の使用中においても、分類器(310)を再学習することができ、分類器(310)による推定精度が向上しやすい、という利点がある。
【0120】
第7の態様に係る管理システム(100)は、第1~第6の態様において、表示制御部(33)を更に備える。表示制御部(33)は、取得部(5)で取得した物品情報と、推定部(31)が推定する運搬情報と、の組み合わせを表示部(60)に表示させる。
【0121】
この態様によれば、表示部(60)を見た関係者(2)が、推定部(31)による推定結果が正しいか否かを把握することができる、という利点がある。
【0122】
第8の態様に係る管理システム(100)では、第7の態様において、運搬情報は、物品(1)が所定のエリア(A1)における搬入又は搬出の対象であるか否かを推定した推定情報を含む。物品(1)は、複数である。表示制御部(33)は、所定のエリア(A1)における搬入又は搬出の対象であると推定される推定確率の高低に応じて、複数の物品(1)の各々の物品情報及び推定情報を表示部(60)に表示させる
この態様によれば、表示部(60)を見た関係者(2)が、推定部(31)による推定結果が正しいか否かを把握しやすい、という利点がある。
【0123】
第9の態様に係る管理システム(100)では、第8の態様において、表示制御部(33)は、推定確率の高低に応じて、複数の物品(1)の各々の物品情報及び推定情報を所定の位置関係で表示部(60)に表示させる。
【0124】
この態様によれば、表示部(60)を見た関係者(2)が、推定部(31)による推定結果が正しいか否かを把握しやすい、という利点がある。
【0125】
第10の態様に係る管理システム(100)では、第8又は第9の態様において、表示制御部(33)は、推定確率の高低に応じて、複数の物品(1)の各々の物品情報及び推定情報を視覚的に区別した態様で表示部(60)に表示させる。
【0126】
この態様によれば、表示部(60)を見た関係者(2)が、推定部(31)による推定結果が正しいか否かを把握しやすい、という利点がある。
【0127】
第11の態様に係る管理システム(100)では、第1~第10のいずれかの態様において、取得部(5)は、関係者情報を更に取得する。関係者情報は、読取部(102)にて物品(1)の運搬に関わる関係者(2)が所持する関係者タグ(21)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより関係者タグ(21)から読み取られる、関係者(2)に関する情報である。管理システム(100)は、通知部(32)を更に備える。通知部(32)は、取得部(5)で取得された関係者情報に基づいて、関係者タグ(21)に直接的に又は間接的に関連付けられている通知先に、少なくとも物品情報の通知を行う。
【0128】
この態様によれば、関係者(2)に物品(1)の所在の確認作業を促しやすい、という利点がある。
【0129】
第12の態様に係る管理システム(100)では、第1~第11のいずれかの態様において、取得部(5)は、関係者情報を更に取得する。関係者情報は、読取部(102)にて物品(1)の運搬に関わる関係者(2)が所持する関係者タグ(21)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより関係者タグ(21)から読み取られる、関係者(2)に関する情報である。推定部(31)は、読取情報及び関係者情報に基づいて、運搬情報を推定する。
【0130】
この態様によれば、読取情報のみを用いる場合と比較して、運搬情報の推定精度が向上しやすい、という利点がある。
【0131】
第13の態様に係る管理システム(100)では、第12の態様において、推定部(31)は、読取情報と関係者情報との相関を用いて、運搬情報を推定する。
【0132】
この態様によれば、読取情報のみを用いる場合と比較して、運搬情報の推定精度が向上しやすい、という利点がある。
【0133】
第14の態様に係る管理方法は、取得ステップと、推定ステップと、入力受付ステップと、を有する。取得ステップは、物品情報を取得するステップである。物品情報は、読取部(102)にて物品(1)に付された物品タグ(11)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品タグ(11)から読み取られる、物品(1)に関する情報である。推定ステップは、取得ステップにて物品情報を取得することで得られる読取情報に基づいて、所定のエリア(A1)における物品(1)の運搬に関する運搬情報を推定するステップである。入力受付ステップは、推定ステップの推定結果を評価する入力を受け付けるステップである。
【0134】
この態様によれば、物品(1)の所在を管理しやすい、という利点がある。
【0135】
第15の態様に係る学習システム(100)は、取得部(5)と、推定部(31)と、入力受付部(34)と、学習部(35)と、を備える。取得部(5)は、物品情報を取得する。物品情報は、読取部(102)にて物品(1)に付された物品タグ(11)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品タグ(11)から読み取られる、物品(1)に関する情報である。推定部(31)は、取得部(5)にて物品情報を取得することで得られる読取情報を入力として、分類器(310)により所定のエリア(A1)における物品(1)の運搬に関する運搬情報を推定する。入力受付部(34)は、推定部(31)の推定結果を評価する入力を受け付ける。学習部(35)は、入力受付部(34)にて入力された情報を教師データとして、分類器(310)を機械学習させる。
【0136】
この態様によれば、物品(1)の所在を管理しやすい、という利点がある。
【0137】
第16の態様に係る学習方法は、取得ステップと、推定ステップと、入力受付ステップと、学習ステップと、を有する。取得ステップは、物品情報を取得するステップである。物品情報は、読取部(102)にて物品(1)に付された物品タグ(11)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品タグ(11)から読み取られる、物品(1)に関する情報である。推定ステップは、取得ステップにて物品情報を取得することで得られる読取情報を入力として、分類器(310)により所定のエリア(A1)における物品(1)の運搬に関する運搬情報を推定するステップである。入力受付ステップは、推定ステップの推定結果を評価する入力を受け付けるステップである。学習ステップは、入力受付ステップにて入力された情報を教師データとして、分類器(310)を機械学習させるステップである。
【0138】
この態様によれば、物品(1)の所在を管理しやすい、という利点がある。
【0139】
第17の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第14の態様の管理方法、又は第16の態様の学習方法を実行させる。
【0140】
この態様によれば、物品(1)の所在を管理しやすい、という利点がある。
【0141】
第2~第13の態様に係る構成については、管理システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 物品
11 物品タグ
2 関係者
21 関係者タグ
31 推定部
310 分類器
32 通知部
33 表示制御部
34 入力受付部
35 学習部
5 通信部(取得部)
60 表示部
100 管理システム(学習システム)
102 読取部
A1 所定のエリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9