(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04664 20160101AFI20231020BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20231020BHJP
H01M 8/04029 20160101ALI20231020BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20231020BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20231020BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20231020BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20231020BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20231020BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20231020BHJP
【FI】
H01M8/04664
H01M8/00 A
H01M8/04029
H01M8/04313
H01M8/0438
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/10 101
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2019139249
(22)【出願日】2019-07-29
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100163463
【氏名又は名称】西尾 光彦
(72)【発明者】
【氏名】三井 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 翔平
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-191298(JP,A)
【文献】特開2013-194514(JP,A)
【文献】特開2016-031197(JP,A)
【文献】特開2017-004629(JP,A)
【文献】特開2013-030285(JP,A)
【文献】特開2003-194395(JP,A)
【文献】特開2008-293996(JP,A)
【文献】特開2006-172736(JP,A)
【文献】特開2001-126741(JP,A)
【文献】特開2005-346986(JP,A)
【文献】特開2011-210449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
供給源から供給される原燃料ガス又は燃料ガスの供給圧力を検知する圧力検知器と、
前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの流れ方向において前記圧力検知器の下流に配置され、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスを前記燃料電池に向かって送る燃料ポンプと、
前記燃料ポンプが作動しており、かつ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力が第一所定圧力以下であるときに、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定する制御器と、を備
え、
前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定した後に、前記燃料ポンプが作動しており、かつ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力が第二所定圧力以上であるときに、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消していると判定する、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御器は、前記燃料ポンプが停止している期間に、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断しているか否かの問い合わせを受け付けたときに、前記燃料ポンプを作動させ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力をその後取得して、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断しているか否かを判定する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池で発生した熱を用いて温められた水を貯留する第一タンクと、
前記第一タンクに貯留される水を温めることが可能な電気ヒータと、をさらに備え、
前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定したときに、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断をユーザーに通知するとともに、前記第一タンクに貯留される水を温めるか否かをユーザーに問い合わせ、
前記制御器は、前記第一タンクに貯留される水を温める指示を受け付けたときに、前記電気ヒータを発熱させることを含む電気加温処理を実行する、
請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
一部が大気開放された水経路をさらに備え、
前記電気ヒータは、前記水経路における水を加熱し、
前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定したときに、前記電気加温処理における前記電気ヒータの累積発熱時間又は前記水経路における特定の部位の水温が所定温度以上に保たれた累積保温時間に基づいて、前記第一タンクに貯留される水を温めることが可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つを決定してユーザーに通知する、
請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
蓄電池をさらに備え、
前記制御器は、系統電力の供給が停止しており、かつ、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定したときに、前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーにより前記第一タンクに貯留される水を温めるか否かをユーザーに問い合わせ、
前記制御器は、前記第一タンクに貯留される水を温める指示を受け付けたときに、前記電気エネルギーを用いて前記電気加温処理を実行する、
請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御器は、前記電気加温処理を実行しているときに、前記蓄電池に蓄えられた前記電気エネルギーの残量に基づいて、前記第一タンクに貯留される水を温めることが可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つを決定してユーザーに通知する、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
一部が大気開放された水経路をさらに備え、
前記電気ヒータは、前記水経路における水を加熱し、
前記制御器は、前記電気加温処理を実行しているときに、前記電気ヒータの累積発熱時間又は前記水経路における特定の部位の水温が所定温度以上に保たれた累積保温時間、及び前記蓄電池に蓄えられた前記電気エネルギーの残量に基づいて、前記第一タンクに貯留される水を温めることが可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つを決定してユーザーに通知する、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料電池を冷却する冷却水が循環する冷却水経路と、
前記第一タンクに貯留される前記水と前記冷却水とを熱交換させる熱交換器と、
前記第一タンクに貯留される前記水を前記第一タンクに向かって送る送水ポンプと、をさらに備え、
前記電気ヒータは、前記冷却水を直接的に加熱するとともに、前記熱交換器における前記第一タンクに貯留される前記水と前記冷却水との熱交換により前記第一タンクに貯留される前記水を間接的に加熱し、
前記電気加温処理は、前記送水ポンプを作動させることをさらに含む、
請求項3から7のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記冷却水経路は、前記冷却水を貯留する第二タンクを含み、
前記電気ヒータは、前記第二タンクに貯留された前記冷却水を直接的に加熱する、
請求項8に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定した後に、前記燃料ポンプが作動しており、かつ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力が第二所定圧力以上であるときに、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消していると判定し、前記電気加温処理を停止する、
請求項3から9のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記第二所定圧力は、前記第一所定圧力より高い、
請求項
1又は
10に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定した後に、前記燃料ポンプが停止している期間に、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断しているか否かの問い合わせを受け付けたときに、前記燃料ポンプを作動させ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力をその後取得して、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消しているか否かを判定する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定した後に、前記燃料ポンプが停止している期間に、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断しているか否かの問い合わせを受け付けたときに、前記燃料ポンプを作動させ、前記圧力検知器が検出した前記供給圧力をその後取得して、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消しているか否かを判定し、
前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消していると判定したときに、前記電気加温処理を停止する、
請求項3から9のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池システムにおいて燃料電池へのガスの供給が停止したことを判定する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、燃料電池の排熱を回収して貯湯タンク内の水を昇温する貯湯システムが記載されている。この貯湯システムにおいて、貯湯タンクの蓄熱量が所定の上限値未満であり、かつ、燃料電池の排熱を回収するための循環回路の所定箇所の温度が自然放熱に相当する温度低下を示した場合に、燃料電池へのガスの供給が停止したと判定されている。もしくは、貯湯タンクの蓄熱量が所定の上限値未満であり、かつ、出湯時に貯湯タンクから供給される湯を追加加熱するガス燃焼式の熱源機で点火エラーが生じた場合に、燃料電池へのガスの供給が停止したと判定されている。
【0004】
また、特許文献2には、燃料電池、ポンプ、ポンプ制御手段、及び判断手段を備えた燃料電池システムが記載されている。燃料電池は、原燃料ガスを改質してなる燃料ガスおよび酸素含有ガスを用いて発電する。ポンプは、供給源から供給される原燃料ガスを燃料電池側へと送り出す。ポンプ制御手段は、ポンプの動作状態を示す数値からなる動作状態情報に基づいてポンプの動作を制御する。判断手段は、動作状態情報と閾値とを比較することで、供給源からの原燃料ガスの供給が停止したか否かを判断する。動作状態情報は、例えば、原燃料ガスを送り出すときのポンプの出力値である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-31197号公報
【文献】特開2012-234690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載された技術によれば、燃料電池システムにおいて、供給源から供給される原燃料ガス又は燃料ガスの遮断を短時間で精度良く判定する観点から再検討の余地を有する。そこで、本開示は、燃料電池システムにおいて、供給源から供給される原燃料ガス又は燃料ガスの遮断を短時間で精度良く判定するのに有利な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、
燃料電池と、
供給源から供給される原燃料ガス又は燃料ガスの供給圧力を検知する圧力検知器と、
前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの流れ方向において前記圧力検知器の下流に配置され、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスを前記燃料電池に向かって送る燃料ポンプと、
前記燃料ポンプが作動しており、かつ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力が第一所定圧力以下であるときに、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定する制御器と、を備えた、
燃料電池システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術は、供給源から供給される原燃料ガス又は燃料ガスの遮断を短時間で精度良く判定するのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の燃料電池システムの一例を示す構成図である。
【
図2A】
図2Aは、原燃料ガスの供給の遮断を判定するための処理の一例を示すフローチャートである。
【
図2B】
図2Bは、原燃料ガスの供給の遮断を判定するための処理の別の一例を示すフローチャートである。
【
図3A】
図3Aは、原燃料ガスの供給の遮断判定後の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3B】
図3Bは、原燃料ガスの供給の遮断判定後の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3C】
図3Cは、原燃料ガスの供給の遮断判定後の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、原燃料ガスの供給の遮断判定後の別の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本開示の燃料電池システムの別の一例を示す構成図である。
【
図6】
図6は、原燃料ガスの供給の遮断判定後の処理の別の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、原燃料ガスの供給の遮断判定後の処理の別の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本開示の燃料電池システムのさらに別の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
特許文献1に記載の貯湯システムによれば、循環回路の所定箇所の温度が自然放熱に相当する温度低下を示した場合又はガス燃焼式の熱源機で点火エラーが生じた場合に、燃料電池へのガスの供給が停止したと判定されうる。加えて、燃料電池へのガスの供給が停止したと判定されるためには、貯湯タンクの蓄熱量が所定の上限値未満であることが確認される必要がある。このことは、燃料電池へのガスの供給が停止したことを短時間で精度良く判定する観点からは不利である。
【0011】
特許文献2に記載の燃料電池システムによれば、原燃料ガスの検出手段を増設することなく、供給源からの原燃料ガスの供給が停止したか否かを判断できる。一方、例えば、ポンプの出力値の変動がポンプの故障に起因する場合に、判断手段は原燃料ガスの供給が停止したと誤って判断する可能性がある。このことは、供給源からの原燃料ガスの供給が停止したことを精度良く判定する観点からは不利である。
【0012】
そこで、本発明者らは、供給源から供給される原燃料ガス又は燃料ガスの遮断を短時間で精度良く判定するのに有利な技術について日夜検討を重ねた。その結果、本発明者らはは、燃料ポンプが作動しているときに、圧力検知器を用いて原燃料ガス又は燃料ガスの供給圧力を検知することにより、供給源から供給される原燃料ガス又は燃料ガスの遮断を短時間で精度良く判定できることを見出した。この新たな知見に基づいて、本発明者らは、本開示の燃料電池システムを案出した。
【0013】
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る燃料電池システムは、
燃料電池と、
供給源から供給される原燃料ガス又は燃料ガスの供給圧力を検知する圧力検知器と、
前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの流れ方向において前記圧力検知器の下流に配置され、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスを前記燃料電池に向かって送る燃料ポンプと、
前記燃料ポンプが作動しており、かつ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力が第一所定圧力以下であるときに、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定する制御器と、を備える。
【0014】
燃料ポンプが停止した状態では、原燃料ガス又は燃料ガスの供給が遮断していても、原燃料ガス又は燃料ガスの供給のための配管の内部に残圧が生じている可能性がある。一方、第1態様によれば、燃料ポンプが作動している状態で、圧力検知器が検知した供給圧力に基づいて、原燃料ガス又は燃料ガスの供給が遮断しているか否かが判定される。換言すると、原燃料ガス又は燃料ガスの供給のための配管の内部の残圧の影響が排除された状態で、圧力検知器が検知した供給圧力に基づいて、原燃料ガス又は燃料ガスの供給が遮断しているか否かが判定される。このため、第1態様によれば、供給源から供給される原燃料ガス又は燃料ガスの遮断を短時間で精度良く判定できる。
【0015】
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る燃料電池システムでは、前記制御器は、前記燃料ポンプが停止している期間に、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断しているか否かの問い合わせを受け付けたときに、前記燃料ポンプを作動させ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力をその後取得して、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断しているか否かを判定してもよい。例えば、エラーの発生により燃料電池システムが起動しないときには、通常燃料ポンプは停止している。また、燃料電池システムでは、発電停止後の所定の時期に燃料ポンプを作動させて、燃料電池のアノードに向かって原燃料ガス又は燃料ガスを供給する保圧運転が行われる。しかし、燃料電池システムの発電が長期間停止していると、燃料電池の内部の温度が低下して安定し、燃料電池におけるアノード付近の圧力を高めなくても、燃料電池のアノード触媒が酸素ガスと反応しにくくなる。このため、燃料電池システムの発電停止期間が長くなると保圧運転の頻度が少なくなり、燃料電池システムの停止から所定期間が経過すると保圧運転がなされなくなり、燃料ポンプは停止状態となる。第2態様によれば、このような場合に、原燃料ガス又は燃料ガスの供給が遮断しているか否かの確認に関するユーザーの意向を踏まえて、原燃料ガス又は燃料ガスの供給が遮断しているか否かを短時間で精度良く判定できる。
【0016】
本開示の第3態様において、例えば、第1又は第2態様に係る燃料電池システムは、前記燃料電池で発生した熱を用いて温められた水を貯留する第一タンクと、前記第一タンクに貯留される水を温めることが可能な電気ヒータと、をさらに備えていてもよく、前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定したときに、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断をユーザーに通知するとともに、前記第一タンクに貯留される水を温めるか否かをユーザーに問い合わせてもよく、前記制御器は、前記第一タンクに貯留される水を温める指示を受け付けたときに、前記電気ヒータを発熱させることを含む電気加温処理を実行してもよい。第3態様によれば、原燃料ガス又は燃料ガスの供給の遮断をユーザーに通知できるとともに、ユーザーの意向を踏まえて電気加温処理を実行できる。
【0017】
本開示の第4態様において、例えば、第3態様に係る燃料電池システムは、一部が大気開放された水経路をさらに備えてもよく、前記電気ヒータは、前記水経路における水を加熱してもよく、前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定したときに、前記電気加温処理における前記電気ヒータの累積発熱時間又は前記水経路における特定の部位の水温が所定温度以上に保たれた累積保温時間に基づいて、前記第一タンクに貯留される水を温めることが可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つを決定してユーザーに通知してもよい。第4態様によれば、一部が大気開放された水経路における水を電気ヒータが加熱するので、電気ヒータによる水の加熱が所定期間続くと、水経路における水が燃料電池システムの外部に排出され、水経路における水の量が減少する。これにより、電気加温処理の実行が難しくなる。一方、累積発熱時間又は累積保温時間に基づいて第一タンクに貯留される水を温めることが可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つが決定されユーザーに通知される。これにより、電気加温処理が可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つをユーザーは容易に知ることができる。
【0018】
本開示の第5態様において、例えば、第3態様に係る燃料電池システムは、蓄電池をさらに備えてもよく、前記制御器は、系統電力の供給が停止しており、かつ、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定したときに、前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーにより前記第一タンクに貯留される水を温めるか否かをユーザーに問い合わせてもよく、前記制御器は、前記第一タンクに貯留される水を温める指示を受け付けたときに、前記電気エネルギーを用いて前記電気加温処理を実行してもよい。第5態様によれば、ユーザーの意向を踏まえて蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて電気加温処理を実行できる。
【0019】
本開示の第6態様において、例えば、第5態様に係る燃料電池システムでは、前記制御器は、前記電気加温処理を実行しているときに、前記蓄電池に蓄えられた前記電気エネルギーの残量に基づいて、前記第一タンクに貯留される水を温めることが可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つを決定してユーザーに通知してもよい。蓄電池に蓄えられた電気エネルギーの残量がなくなると、電気加温処理の実行が難しくなる。第6態様によれば、蓄電池に蓄えられた電気エネルギーの残量に基づいて第一タンクに貯留される水を温めることが可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つが決定されユーザーに通知される。これにより、ユーザーは、電気加温処理が可能な時間及び電気加温処理において供給可能な湯量の少なくとも1つを容易に知ることができる。
【0020】
本開示の第7態様において、例えば、第5態様に係る燃料電池システムは、一部が大気開放された水経路をさらに備えてもよく、前記電気ヒータは、前記水経路における水を加熱してもよく、前記制御器は、前記電気加温処理を実行しているときに、前記電気ヒータの累積発熱時間又は前記水経路における特定の部位の水温が所定温度以上に保たれた累積保温時間、及び前記蓄電池に蓄えられた前記電気エネルギーの残量に基づいて、前記第一タンクに貯留される水を温めることが可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つを決定してユーザーに通知してもよい。第7態様によれば、累積発熱時間又は累積保温時間及び蓄電池に蓄えられた電気エネルギーの残量に基づいて第一タンクに貯留される水を温めることが可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つが決定されユーザーに通知される。このため、電気加温処理が可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つが的確に決定され、ユーザーに通知される。
【0021】
本開示の第8態様において、例えば、第3態様から第7態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池システムは、前記燃料電池を冷却する冷却水が循環する冷却水経路と、前記第一タンクに貯留される前記水と前記冷却水とを熱交換させる熱交換器と、前記第一タンクに貯留される前記水を前記第一タンクに向かって送る送水ポンプと、をさらに備えてもよく、前記電気ヒータは、前記冷却水を直接的に加熱するとともに、前記熱交換器における前記第一タンクに貯留される前記水と前記冷却水との熱交換により前記第一タンクに貯留される前記水を間接的に加熱してもよく、前記電気加温処理は、前記送水ポンプを作動させることをさらに含んでもよい。第8態様によれば、燃料電池を冷却するための冷却水を電気ヒータで直接的に加熱しつつ、熱交換器を用いて冷却水と第一タンクに貯留される水とを熱交換させて、電気加温処理を実行できる。
【0022】
本開示の第9態様において、例えば、第8態様に係る燃料電池システムでは、前記冷却水経路は、前記冷却水を貯留する第二タンクを含んでもよく、前記電気ヒータは、前記第二タンクに貯留された前記冷却水を直接的に加熱してもよい。第9態様によれば、電気ヒータが冷却水を効率的に加熱しやすい。このため、例えば、電気ヒータが配管を流れる冷却水を加熱する場合に比べて、冷却水が大きな熱容量を有しやすい。
【0023】
本開示の第10態様において、例えば、第1態様から第9態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池システムでは、前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定した後に、前記燃料ポンプが作動しており、かつ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力が第二所定圧力以上であるときに、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消していると判定してもよい。第10態様によれば、原燃料ガス又は燃料ガスの供給の遮断が解消していることを短時間で精度良く判定できる。
【0024】
本開示の第11態様において、例えば、第3態様から第9態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池システムでは、前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定した後に、前記燃料ポンプが作動しており、かつ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力が第二所定圧力以上であるときに、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消していると判定し、前記電気加温処理を停止してもよい。第11態様によれば、原燃料ガス又は燃料ガスの供給の遮断が解消していることを短時間で精度良く判定でき、電気加温処理を停止できる。
【0025】
本開示の第12態様において、例えば、第10態様又は第11態様に係る燃料電池システムでは、前記第二所定圧力は、前記第一所定圧力より高くてもよい。第12態様によれば、原燃料ガス又は燃料ガスの供給の遮断が解消していることをより的確に判定できる。例えば、判定結果が不安定になること及び誤判定を防止できる。
【0026】
本開示の第13態様において、例えば、第1態様から第9態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池システムでは、前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定した後に、前記燃料ポンプが停止している期間に、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断しているか否かの問い合わせを受け付けたときに、前記燃料ポンプを作動させ、前記圧力検知器が検知した前記供給圧力をその後取得して、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消しているか否かを判定してもよい。例えば、燃料電池システムが長期間停止しているときには、通常燃料ポンプは停止している。第13態様によれば、このような場合に、原燃料ガス又は燃料ガスの供給の遮断が解消しているか否かの確認に関するユーザーの意向を踏まえて、原燃料ガス又は燃料ガスの供給の遮断が解消しているか否かを短時間で精度良く判定できる。
【0027】
本開示の第14態様において、第3態様から第9態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池システムでは、前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断していると判定した後に、前記燃料ポンプが停止している期間に、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給が遮断しているか否かの問い合わせを受け付けたときに、前記燃料ポンプを作動させ、前記圧力検知器が検出した前記供給圧力をその後取得して、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消しているか否かを判定してもよく、前記制御器は、前記原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消していると判定したときに、前記電気加温処理を停止してもよい。第14態様によれば、原燃料ガス又は燃料ガスの供給の遮断が解消しているか否かの確認に関するユーザーの意向を踏まえて、原燃料ガス又は燃料ガスの供給の遮断が解消しているか否かを短時間で精度良く判定できる。加えて、原燃料ガス又は前記燃料ガスの供給の遮断が解消したときに電気加温処理を停止できる。
【0028】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0029】
(実施形態)
図1に示す通り、本実施形態の燃料電池システム1aは、燃料電池10と、圧力検知器40と、燃料ポンプ30と、制御器50とを備えている。圧力検知器40は、供給源から供給される原燃料ガスGrの供給圧力Psを検知する。燃料ポンプ30は、原燃料ガスGrの流れ方向において圧力検知器40の下流に配置され、原燃料ガスGrを燃料電池10に向かって送る。
【0030】
燃料電池10は、典型的には、燃料ガスGf及び酸化剤ガスGoが供給されて発電する。燃料ガスGfは、水素ガスを含有する。酸化剤ガスは、典型的には、空気である。燃料電池10の型式は特に限定されない。燃料電池10は、固体高分子型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、リン酸型燃料電池、又は溶融炭酸塩型燃料電池でありうる。燃料電池10からは、アノード排ガス等の排ガスGwが排出される。
【0031】
燃料電池システム1aは、例えば、水素生成器20をさらに備えている。水素生成器20は、原燃料ガスGrから燃料ガスGfを生成する。典型的には、水素生成器20において原燃料ガスGrが改質されて燃料ガスGfが生成される。原燃料ガスGrは、都市ガスでありうる。水素生成器20には、原燃料ガスGrの改質のために酸化剤ガスGoが供給される。水素生成器20からは、排出ガスGeが排出される。
【0032】
自然災害又は原燃料ガスGrの供給設備の工事等の理由により、燃料電池システム1aへの原燃料ガスGrの供給が遮断されることがある。この場合、燃料電池システム1aにおいて発電を継続できないので、燃料電池システム1aを停止させる必要がある。また、原燃料ガスGrの供給が遮断していることをユーザーに通知することが望ましい。燃料電池システム1aにおいて、制御器50は、燃料ポンプ30が作動しており、かつ、圧力検知器40が検知した供給圧力Psが第一所定圧力P1以下であるときに、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定する。燃料ポンプ30が停止した状態では、原燃料ガスGrの供給が遮断していても、燃料電池システム1aにおける原燃料ガスGrの配管の内部に残圧が生じている可能性がある。一方、燃料ポンプ30が作動していると、原燃料ガスGrの配管の内部の残圧の影響が排除される。このため、制御器50は、供給源から供給される原燃料ガスGrの遮断を短時間で精度良く判定できる。
【0033】
制御器50は、典型的には、原燃料ガスGrの供給が遮断しているか否かの判定を実行するためのプログラムが実行可能に格納されたデジタルコンピュータである。制御器50には、燃料電池システム1aの運転のための他のプログラムが実行可能に格納されていてもよい。制御器50は、例えば、圧力検知器40が検知した供給圧力Psに関する情報等の所定の情報を取得し、制御器50は、このような情報に基づいて、所定の判定及び制御対象の制御を行う。
【0034】
図2Aは、原燃料ガスGrの供給の遮断を判定するための処理の一例を示すフローチャートである。所定の開始条件が成立すると、ステップS101において、制御器50は、燃料ポンプ30が作動中であるか否かを判断する。制御器50は、例えば、燃料ポンプ30から作動状態に関する信号を取得し、その信号に基づいて燃料ポンプ30が作動中であるか否かを判断する。ステップS101における判断結果が否定的なものである場合、処理が終了する。一方、ステップS101における判断結果が肯定的なものである場合、ステップS102に進み、制御器50は、圧力検知器40が検知した供給圧力Psを取得して、供給圧力Psが第一所定圧力P1以下であるか否かを判断する。ステップS101における判断結果が否定的なものである場合、処理が終了する。ステップS101における判断結果が肯定的なものである場合、ステップS103において、制御器50は、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定し、処理を終了する。
【0035】
燃料電池システム1aにおいて発電停止後に燃料電池10のアノード触媒が酸素ガスと反応するとアノード触媒が酸化されてしまう。このことは、燃料電池10のアノード触媒の劣化等の問題を生じさせる。このため、燃料電池システム1aにおいて、燃料電池10の劣化を防止するために、発電停止後の所定の時期に燃料ポンプ30を作動させて、燃料電池10のアノードに向かって燃料ガスGfを供給する保圧運転が行われる。これにより、燃料電池10におけるアノード付近の圧力が高まり、燃料電池10の外部から酸素ガスがアノード付近に侵入することを防止できる。燃料電池システム1aにおいて、例えば、保圧運転に伴う燃料ポンプ30の作動を利用して、燃料電池システム1aの発電停止後に原燃料ガスGrの供給が遮断しているか否かの判定がなされてもよい。
【0036】
制御器50は、燃料ポンプが停止している期間に、原燃料ガスGrの供給が遮断しているか否かの問い合わせQ1を受け付けたときに、燃料ポンプ30を作動させてもよい。この場合、制御器50は、圧力検知器40が検知した供給圧力Psをその後取得して、原燃料ガスGrの供給が遮断しているか否かを判定してもよい。
【0037】
燃料電池システム1aにおいて発電が長期間停止していると、燃料電池10及び水素生成器20の内部の温度が低下して安定し、燃料電池10におけるアノード付近の圧力を高めなくても、燃料電池10のアノード触媒が酸素ガスと反応しにくくなる。このため、燃料電池システム1aの発電停止期間が長くなると保圧運転の頻度が少なくなり、燃料電池システム1aの停止から所定期間が経過すると保圧運転がなされなくなる。このような場合に、原燃料ガスGrの供給が遮断しているか否かを確認したいユーザーが存在することが想定される。加えて、エラーの発生により燃料電池システム1aが起動しないときにも、そのようなユーザーが存在することが想定される。燃料電池システム1aによれば、原燃料ガスGrの供給が遮断しているか否かの確認に関するユーザーの意向を踏まえて、原燃料ガスGrの供給が遮断しているか否かを判定できる。
【0038】
図1に示す通り、燃料電池システム1aは、コントロールパネル55をさらに備えている。コントロールパネル55は、制御器50と通信可能に接続されており、燃料電池システム1aの運転状態等の所定の情報を通知する。加えて、コントロールパネル55には、燃料電池システム1aの運転に関するユーザーの指示を入力できる。例えば、燃料ポンプ30が停止している期間に、ユーザーは、コントロールパネル55に問い合わせQ1を入力できる。問い合わせQ1がコントロールパネル55に入力されると、制御器50が問い合わせQ1を受け付ける。例えば、燃料ポンプ30が停止している期間に、コントロールパネル55には、原燃料ガスGrの供給が遮断しているか否かの確認に関するユーザーの意向を尋ねるメッセージを表示してもよい。
【0039】
図2Bは、原燃料ガスGrの供給の遮断を判定するための処理の別の一例を示すフローチャートである。ステップS111において、制御器50が問い合わせQ1を受け付けると、制御器50は、ステップS112に進み、燃料ポンプ30を起動する。次に、ステップS113に進み、制御器50は、圧力検知器40から供給圧力Psを取得する。次に、ステップS114に進み、制御器50は、供給圧力Psが第一所定圧力P1以下であるか否かを判断する。ステップS114における判断結果が否定的なものである場合、処理が終了する。ステップS114における判断結果が肯定的なものである場合、ステップS115において、制御器50は、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定し、処理を終了する。
【0040】
図1に示す通り、燃料電池システム1aは、第一タンク60と、電気ヒータ15とを備えている。第一タンク60は、燃料電池10で発生した熱を用いて温められた水を貯留する。電気ヒータ15は、第一タンク60に貯留される水を温めることが可能なヒータである。電気ヒータ15は、第一タンク60に貯留された水又は第一タンク60に貯留されるべき水を直接的に温めるヒータであってもよい。電気ヒータ15は、第一タンク60に貯留されるべき水と熱交換する別の流体を直接的に温めて第一タンク60に貯留されるべき水を間接的に温めるヒータであってもよい。制御器50は、例えば、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定したときに、原燃料ガスGrの供給の遮断をユーザーに通知するとともに、第一タンク60に貯留される水を温めるか否かをユーザーに問い合わせる。この通知及び問い合わせは、例えば、コントロールパネル55に表示される。制御器50は、第一タンク60に貯留される水を温める指示を受け付けたときに、電気ヒータ15を発熱させることを含む電気加温処理を実行する。これにより、原燃料ガスGrの供給が遮断しているときに、ユーザーの意向を踏まえて電気加温処理を実行できる。
【0041】
図1に示す通り、燃料電池システム1aは、例えば、水経路11をさらに備えている。水経路11の一部は、大気開放されている。換言すると、水経路11における水は、蒸発して燃料電池システム1aの外部に排出されうる。電気ヒータ15は、例えば、水経路11における水を加熱する。制御器50は、例えば、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定したときに、累積発熱時間Th又は累積保温時間Tmに基づいて第一タンク60に貯留される水を温めることが可能な時間Tp及び供給可能な湯量Lpの少なくとも1つを決定してユーザーに通知する。累積発熱時間Thは、電気ヒータ15の累積発熱時間である。累積保温時間Tmは、水経路11における特定の部位の水温が所定温度以上に保たれた時間である。制御器50は、例えば、累積発熱時間Th又は累積保温時間Tmの計時が可能なタイマを備えている。
【0042】
電気加温処理において、電気ヒータ15による水経路11における水の加熱が所定期間続くと、水経路11における水は水経路11の大気開放された部分から蒸発により燃料電池システム1aの外部に排出され、水経路11における水の量が減る。これにより、電気加温処理の実行が困難になることが想定される。累積発熱時間Th又は累積保温時間Tmが長くなると、水経路11における水の量が減少する。このため、累積発熱時間又は累積保温時間に基づいて、第一タンク60に貯留される水を温めることが可能な時間及び供給可能な湯量の少なくとも1つを決定できる。その結果、ユーザーは、電気加温処理が可能な時間及び電気加温処理において供給可能な湯量の少なくとも1つを容易に知ることができる。
【0043】
制御器50は、例えば、電気ヒータ50の発熱状態を示す情報を取得する。制御器50は、例えば、電気ヒータ50の発熱状態を示す情報及びタイマの計時結果に基づいて、累積発熱時間Thを決定できる。
【0044】
燃料電池システム1aは、例えば、温度センサ16をさらに備えている。温度センサ16は、水経路11における特定の部位の水温を検出する。制御器50は、温度センサ16によって検出された水温を取得し、その水温及びタイマの計時結果に基づいて、累積保温時間Tmを決定できる。温度センサ16は、例えば、サーミスタを用いた温度センサ又は熱電対を用いた温度センサである。
【0045】
図1に示す通り、水経路11は、燃料電池10を冷却する冷却水が循環する冷却水経路であってもよい。燃料電池システム1aは、例えば、冷却水経路11と、熱交換器17と、送水ポンプ62とをさらに備えている。冷却水経路11は、燃料電池10を冷却する冷却水が循環する経路である。熱交換器17は、第一タンク60に貯留される水と燃料電池10を冷却する冷却水とを熱交換させる。送水ポンプ62は、第一タンク60に貯留される水を第一タンク60に向かって送る。電気ヒータ15は、燃料電池10を冷却する冷却水を直接的に加熱する。加えて、電気ヒータ15は、熱交換器17における第一タンク60に貯留される水と燃料電池10を冷却する冷却水との熱交換により、第一タンク60に貯留される水を間接的に加熱する。この場合、電気加温処理は、送水ポンプ62を作動させることをさらに含む。
【0046】
燃料電池システム1aは、例えば、第一タンク60と熱交換器17との間で水が循環するように構成された排熱回収経路61を備えている。送水ポンプ62は、例えば、排熱回収経路61に配置されている。熱交換器17は、例えば、二重管式熱交換器及びプレート式熱交換器などの液-液熱交換器である。
【0047】
冷却水経路11は、例えば、冷却水を貯留する第二タンク12をさらに備えている。電気ヒータ15は、例えば、第二タンク12に貯留された冷却水を直接的に加熱する。この場合、電気ヒータ15が冷却水を効率的に加熱しやすい。このため、例えば、電気ヒータ15が配管を流れる冷却水を加熱する場合に比べて、冷却水が大きな熱容量を有しやすい。電気ヒータ15が第二タンク12に貯留された冷却水に接触していてもよいし、電気ヒータ15が第二タンク12の外面に接触していてもよい。
【0048】
冷却水経路11は、例えば、燃料電池10と第二タンク12との間で冷却水が循環するように構成されている。冷却水経路11には、例えば、冷却水ポンプ13が配置されている。
【0049】
制御器50は、例えば、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定した後に、所定の条件が成立すると、原燃料ガスGrの供給の遮断が解消していると判定する。所定の条件は、燃料ポンプ30が作動しており、かつ、圧力検知器40が検知した供給圧力Psが第二所定圧力P2以上であることである。これにより、制御器50は、原燃料ガスGrの供給の遮断が解消していることを短時間で精度良く判定できる。
【0050】
電気加温処理が実行されているときに、制御器50が原燃料ガスGrの供給の遮断が解消していると判定した場合、例えば、制御器50は、電気加温処理を停止する。これにより、原燃料ガスGrの供給の遮断の解消に伴い、電気加温処理が自動的に停止する。
【0051】
第二所定圧力P2は、例えば、第一所定圧力P1より高い。これにより、原燃料ガスGrの遮断が解消していることを的確に判定できる。例えば、第二所定圧力P2と第一所定圧力P1との間にヒステリシスを設けることにより、判定結果が不安定になること及び誤判定を防止できる。
【0052】
制御器50は、原燃料ガスGrが遮断していると判定した後に、原燃料ガスGrが遮断しているか否かの問い合わせQ2を受け付けたときに、原燃料ガスGrの供給の遮断が解消しているか否かを判定してもよい。例えば、問い合わせQ2がコントロールパネル55に入力されると、制御器50が問い合わせQ2を受け付ける。制御器50は、例えば、燃料ポンプ30が停止している期間に問い合わせQ2を受け付けたときに、燃料ポンプ30を作動させ、圧力検知器40が検知した供給圧力Psをその後取得する。そのうえで、制御器50は、原燃料ガスの供給の遮断が解消しているか否かを判定する。
【0053】
制御器50は、燃料ポンプ30が停止している期間に問い合わせQ2を受け付けて、原燃料ガスGrの供給の遮断が解消していると判定したときに、例えば、電気加温処理を停止する。これにより、原燃料ガスGrの供給の遮断の解消に伴い、電気加温処理が自動的に停止する。
【0054】
図3A、
図3B、及び
図3Cは、燃料電池システム1aにおける、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定された後の処理の一例を示す。
図3Aに示す通り、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定されて開始条件が成立すると、制御器50は、ステップS201において原燃料ガスGrの供給の遮断をユーザーに通知する。例えば、制御器50は、コントロールパネル55を用いて「原燃料ガスGrの供給の遮断」を通知する。通知の態様は、特定の態様に限定されない。通知の態様は、所定のメッセージの表示、通知音、又は警告灯による表示でありうる。
【0055】
次に、ステップS202に進み、制御器50は、電気加温処理の要否を問い合わせる。この問い合わせは、例えば、コントロールパネル55に所定のメッセージを表示することにより行われる。その後、ステップS203に進み、制御器50は、電気加温処理の指示を受け付けたか否かを判断する。ステップS203における判断結果が肯定的である場合、ステップS204に進み、制御器50は、電気加温処理の実行を開始する。例えば、制御器50は、電気ヒータ15を発熱させる。必要に応じて、制御器50は、送水ポンプ62を作動させる。次に、ステップS205に進み、制御器50は、所定時間が経過したか否かを判断する。ステップS205における判断結果が肯定的である場合、ステップS206に進み、制御器50は、累積発熱時間Th又は累積保温時間Tmを決定する。次に、ステップS207に進み、制御器50は、累積発熱時間Th又は累積保温時間Tmに基づいて電気加温処理が可能な時間Tp及び供給可能な湯量Lpの少なくとも1つを決定する。次に、ステップS208に進み、制御器50は、例えば、時間Tpが0分より大きいか否かを判断する。制御器50は、ステップS208において供給可能な湯量Lpが0リットルより大きいか否かを判断してもよい。ステップS208における判断結果が否定的である場合、ステップS209に進み、電気加温処理を停止して処理を終了する。一方、ステップS208における判断結果が肯定的である場合、ステップS210に進み、制御器50は、時間Tp及び湯量Lpの少なくとも1つをユーザーに通知し、ステップS205に戻る。この通知は、例えば、コントロールパネル55に所定の表示を行うことによりなされる。
【0056】
図3A及び
図3Bに示す通り、ステップS203の判断結果が否定的である場合、ステップS231に進み、制御器50は、燃料ポンプ30が作動しているか否か判断する。ステップS231における判断結果が肯定的である場合、ステップS232に進み、制御器50は、圧力検知器40から供給圧力Psを取得する。次に、ステップS233において、制御器50は、供給圧力Psが第二所定圧力P2以上であるか否か判断する。ステップS233における判断結果が肯定的である場合、ステップS234に進み、制御器50は、原燃料ガスGrの供給の遮断が解消していると判定する。次に、ステップS235に進み、制御器50は、原燃料ガスGrの供給の遮断の解消をユーザーに通知し、処理を終了する。この通知は、例えば、コントロールパネル55に所定の表示を行うことによりなされる。この通知は、コントロールパネル55から通知音を発することによってなされてもよい。もしくは、コントロールパネル55において「原燃料ガスGrの供給の遮断」の通知を消去することによって「原燃料ガスGrの供給の遮断の解消」を間接的に通知してもよい。
【0057】
図3A及び
図3Bに示す通り、ステップS231又はステップS233における判断結果が否定的である場合、ステップS203に戻る。
【0058】
図3A及び
図3Cに示す通り、ステップS205における判断結果が否定的である場合、ステップS251に進み、制御器50は、燃料ポンプ30が作動しているか否か判断する。ステップS251における判断結果が肯定的である場合、ステップS252に進み、制御器50は、圧力検知器40から供給圧力Psを取得する。次に、ステップS253において、制御器50は、供給圧力Psが第二所定圧力P2以上であるか否か判断する。ステップS253における判断結果が肯定的である場合、ステップS254に進み、制御器50は、原燃料ガスGrの供給の遮断が解消していると判定する。次に、ステップS255に進み、制御器50は電気加温処理を停止する。次に、ステップS256に進み、制御器50は、原燃料ガスGrの供給の遮断の解消をユーザーに通知し、処理を終了する。
【0059】
図3A及び
図3Cに示す通り、ステップS251又はステップS253における判断結果が否定的である場合、ステップS205に戻る。
【0060】
図4は、燃料電池システム1aにおける、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定された後の処理の別の一例を示す。原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定されて開始条件が成立すると、ステップS301において、制御器50は、問い合わせQ2を受け付けた否かを判断する。問い合わせQ2は、原燃料ガスGrが遮断しているか否かの問い合わせである。ステップS301における判断結果が肯定的である場合、ステップS302に進み、制御器50は、燃料ポンプ30が作動しているか否か判断する。ステップS302における判断結果が肯定的である場合、ステップS303に進み、制御器50は、圧力検知器40から供給圧力Psを取得する。一方、ステップS302における判断結果が否定的である場合、ステップS304に進み、燃料ポンプ30を起動する。その後、ステップS303に進み、制御器50は、圧力検知器40から供給圧力Psを取得する。次に、ステップS305において、制御器50は、供給圧力Psが第二所定圧力P2以上であるか否か判断する。ステップS305における判断結果が肯定的である場合、ステップS306に進み、制御器50は、原燃料ガスGrの供給の遮断が解消していると判定する。次に、ステップS307に進み、制御器50は、電気加温処理が実行中であるか否かを判断する。ステップS307における判断が肯定的である場合、ステップS308に進んで電気加温処理を停止し、その後ステップS309に進む。一方、ステップS307における判断が否定的である場合、ステップS308をスキップして、ステップS309に進む。ステップS309において、制御器50は、原燃料ガスGrの供給の遮断の解消をユーザーに通知し、処理を終了する。
【0061】
燃料電池システム1aは、様々な観点から変更可能である。燃料電池システム1aは、例えば、
図5に示す燃料電池システム1b又は
図8に示す燃料電池システム1cのように変更されてもよい。燃料電池システム1b及び燃料電池システム1cは、特に説明する部分を除き、燃料電池システム1aと同様に構成されている。燃料電池システム1aの構成要素と同一又は対応する燃料電池システム1b及び燃料電池システム1cの構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。燃料電池システム1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り、燃料電池システム1b及び1cにも当てはまる。
【0062】
図5に示す通り、燃料電池システム1bは、蓄電池70をさらに備えている。制御器50は、系統電力の供給が停止しており、かつ、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定したときに、蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーにより第一タンク60に貯留される水を温めるか否かをユーザーに問い合わせる。この問い合わせは、例えば、コントロールパネル55に所定のメッセージを表示することにより行われる。制御器50は、その後、第一タンク60に貯留される水を温める指示を受け付けたときに、蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーを用いて電気加温処理を実行する。このように、燃料電池システム1bにおいて、ユーザーの意向を踏まえて蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーを用いて電気加温処理を実行できる。
【0063】
制御器50は、例えば、電気加温処理を実行しているときに、蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーの残量に基づいて第一タンク60に貯留される水を温めることが可能な時間Tp及び供給可能な湯量Lpの少なくとも1つを決定してユーザーに通知する。この通知は、例えば、コントロールパネル55に所定の表示を行うことによりなされる。蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーの残量がなくなると、電気加温処理の実行が難しくなる。一方、蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーの残量Erに基づいて時間Tp及び湯量Lpの少なくとも1つが決定されユーザーに通知される。このため、ユーザーは電気加温処理が可能な時間及び電気加温処理において供給可能な湯量の少なくとも1つを容易に知ることができる。
【0064】
図5に示す通り、燃料電池システム1bは、例えば、水経路11をさらに備えている。水経路11の一部は、例えば大気開放されている。電気ヒータ15は、水経路11における水を加熱する。制御器50は、例えば、蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーを用いて電気加温処理を実行するときに、累積発熱時間Th又は累積保温時間Tm及び電気エネルギーの残量Erに基づいて時間Tp及び湯量Lpの少なくとも1つを決定してユーザーに通知する。
【0065】
電気ヒータ15による水経路11における水の加熱が所定期間続くと、水経路11における水は水経路11の大気開放された部分から蒸発により燃料電池システム1bの外部に排出され、水経路11における水の量が減る。これにより、電気加温処理の実行が困難になることが想定される。加えて、蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーの残量がなくなると、電気加温処理の実行が難しくなる。そこで、制御器50は、例えば、累積発熱時間Th又は累積保温時間Tmに基づいて得られた時間Tpと、電気エネルギーの残量Erに基づいて得られた時間Tpとを比較して、より短い時間をユーザーに通知すべき時間Tpと決定する。また、制御器50は、決定した時間Tpに基づいて供給可能な湯量Lpを決定してもよい。なお、燃料電池システム1bにおいて、電気ヒータ15の加熱の対象によっては、制御器50は、電気エネルギーの残量Erのみに基づいて時間Tpを決定してもよい。例えば、電気ヒータ15が、第一タンク60に貯留される水を直接加熱する場合、制御器50は、電気エネルギーの残量Erのみに基づいて時間Tpを決定してもよい。
【0066】
図6は、燃料電池システム1bにおける、原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定された後の処理の一例を示す。原燃料ガスGrの供給が遮断していると判定されて開始条件が成立すると、制御器50は、ステップS211において原燃料ガスGrの供給の遮断をユーザーに通知する。次に、ステップS212に進み、制御器50は、系統電力の供給が停止しているか否かを判断する。
図6及び
図7に示す通り、ステップS212における判断結果が否定的である場合、ステップS202に進み、
図3Aに示すステップS202以降の処理が行われる。
【0067】
ステップS212における判断結果が肯定的である場合、ステップS213に進み、制御器50は、蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーを用いた電気加温処理の要否を問い合わせる。その後、ステップS214に進み、制御器50は、電気加温処理の指示を受け付けたか否かを判断する。ステップS214における判断結果が肯定的である場合、ステップS215に進み、制御器50は、蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーを用いた電気加温処理の実行を開始する。次に、ステップS216に進み、制御器50は、所定時間が経過したか否かを判断する。ステップS216における判断結果が肯定的である場合、ステップS217に進み、制御器50は、累積発熱時間Th又は累積保温時間Tmを決定する。次に、ステップS218に進み、制御器50は、蓄電池70に蓄えられた電気エネルギーの残量Erを取得する。次に、ステップS219に進み、制御器50は、累積発熱時間Th又は累積保温時間Tmを及び電気エネルギーの残量Erに基づいて電気加温処理が可能な時間Tp及び供給可能な湯量Lpの少なくとも1つを決定する。制御器50は、決定した時間Tpに基づいて供給可能な湯量Lpを決定してもよい。次に、ステップS220に進み、制御器50は、時間Tpが0分より大きいか否かを判断する。ステップS220において、制御器50は、湯量Lpが0リットルより大きいか否かを判断してもよい。ステップS220における判断結果が否定的である場合、電気加温処理を停止して処理を終了する。一方、ステップS220における判断結果が肯定的である場合、制御器50は、時間Tp及び湯量Lpの少なくとも1つを通知し、ステップS216に戻る。
【0068】
ステップS214における判断結果が否定的である場合、
図3Bに示すステップS231に進む。ステップS216における判断結果が否定的である場合、
図3Cに示すステップS251に進む。
【0069】
図8に示す通り、燃料電池システム1cには、供給源から燃料ガスGfが供給されている。このため、燃料電池システム1cは、水素生成器20を備えていない。圧力検知器40は、供給源から供給される燃料ガスGfの供給圧力Psを検知する。加えて、燃料ポンプ30は、燃料ガスGfの流れ方向において圧力検知器40の下流に配置され、燃料ガスGfを燃料電池10に向かって送る。制御器50は、燃料ポンプ30が作動しており、かつ、圧力検知器40が検知した燃料ガスGfの供給圧力Psが第一所定圧力以下であるときに、燃料ガスGfの供給が遮断していると判定する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示の技術は、燃料電池システムなどのコジェネレーションシステムに有用である。
【符号の説明】
【0071】
1a、1b、1c 燃料電池システム
10 燃料電池
11 水経路(冷却水経路)
12 第二タンク
15 電気ヒータ
17 熱交換器
30 燃料ポンプ
40 圧力検知器
50 制御器
60 第一タンク
62 送水ポンプ
70 蓄電池
Gr 原燃料ガス
Gf 燃料ガス