(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】ケーブル支持器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231020BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20231020BHJP
H02G 15/08 20060101ALI20231020BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20231020BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20231020BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 301A
H02G3/04 062
H02G15/08
H02G3/30
B60L53/14
(21)【出願番号】P 2019159822
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 裕之
(72)【発明者】
【氏名】秋政 向志
(72)【発明者】
【氏名】花村 賢治
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠斗
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-207782(JP,A)
【文献】特開2013-031348(JP,A)
【文献】特開2014-140278(JP,A)
【文献】特開2016-140169(JP,A)
【文献】特開2015-061439(JP,A)
【文献】特開2010-239850(JP,A)
【文献】特開2010-110055(JP,A)
【文献】特開2019-129671(JP,A)
【文献】特開2015-096018(JP,A)
【文献】特許第6559391(JP,B1)
【文献】特開2012-147556(JP,A)
【文献】特開2019-129702(JP,A)
【文献】特開2014-011960(JP,A)
【文献】特表2015-532086(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107791880(CN,A)
【文献】急速充電器 据付要領書,日本,株式会社日立製作所,2014年09月30日,第10頁-第13頁,https://www.hitachi.co.jp/products/energy/EV/ev_quick_charger/pdf/separate_point_book_201409.pdf
【文献】急速充電器 利用者端末正面図,日本,株式会社日立製作所,2014年09月30日,https://www.hitachi.co.jp/products/energy/EV/ev_quick_charger/pdf/separate_terminal_form_201409.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 1/00
H02J 1/10
H02J 3/32
H02J 3/38
H02G 3/04
H02G 15/08
H02G 3/30
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に接続されて前記移動体の有する蓄電池に直流電力を供給するための第1ケーブルと、電力系統からの交流電力を直流電力に変換して前記蓄電池に対して出力する電力変換器に接続される第2ケーブルと、が接続される接続部を備え、
前記接続部は、
前記第1ケーブルが接続される第1端子と、
前記第2ケーブルが接続される第2端子と、を有しており、
前記第1端子と前記第2端子との間は、電気回路を介して接続されており、
前記接続部は、前記第1端子と前記第2端子との間に配置されるヒューズを有
し、
前記接続部は、温度センサを有しており、
前記温度センサは、検知した温度が閾値温度を上回ると、前記電力変換器からの直流電力の供給を停止するためのトリガを発生する、
ケーブル支持器。
【請求項2】
移動体に接続されて前記移動体の有する蓄電池に直流電力を供給するための第1ケーブルと、電力系統からの交流電力を直流電力に変換して前記蓄電池に対して出力する電力変換器に接続される第2ケーブルと、が接続される接続部を備え、
前記接続部は、
前記第1ケーブルが接続される第1端子と、
前記第2ケーブルが接続される第2端子と、を有しており、
前記第1端子と前記第2端子との間は、電気回路を介して接続されており、
前記接続部は、温度センサを有しており、
前記温度センサは、検知した温度が閾値温度を上回ると、前記電力変換器からの直流電力の供給を停止するためのトリガを発生し、
前記温度センサは前記第2端子の近傍に配置される、
ケーブル支持器。
【請求項3】
前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルは、互いに種類が異なっている、
請求項1又は2に記載のケーブル支持器。
【請求項4】
前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルは、互いに径寸法が異なっている、
請求項3記載のケーブル支持器。
【請求項5】
前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルは、互いに内包する電線の数が異なっている、
請求項3又は4に記載のケーブル支持器。
【請求項6】
前記第1ケーブルは、所定の硬度を有する配管に通される、
請求項1~5のいずれか1項に記載のケーブル支持器。
【請求項7】
前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルは、いずれも1以上の電力線と、1以上の通信線と、を有している、
請求項1~6のいずれか1項に記載のケーブル支持器。
【請求項8】
前記第2ケーブルは、前記第1ケーブルよりも耐荷重が大きい、
請求項1~7のいずれか1項に記載のケーブル支持器。
【請求項9】
前記温度センサは、検知した温度が前記閾値温度を上回ると、前記電力変換器の少なくとも一部の動作を停止させるためのトリガを発生する、
請求項1~8のいずれか1項に記載のケーブル支持器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にケーブル支持器に関し、より詳細には、移動体の有する蓄電池を充電する際に用いられるケーブルを支持するケーブル支持器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電池を搭載した電動車両が接続される電力変換システムが開示されている。この電力変換システムは、電力変換装置と、電力変換装置にケーブルを介して接続されているコネクタと、を備えている。電力変換装置は、蓄電池の充電時及び放電時に電力変換を行う主回路を有している。コネクタは、電動車両のインレットに装着されることによって電力変換装置と蓄電池との間に給電路を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電力変換システムでは、電力変換装置(ケーブル支持器)が1種類のケーブルのみを支持するため、設置環境に応じて適したケーブルを選択することが難しい、という問題があった。
【0005】
本開示は、上記の点に鑑みてなされており、設置環境に応じて適したケーブルを選択しやすいケーブル支持器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るケーブル支持器は、第1ケーブルと、第2ケーブルと、が接続される接続部を備える。前記第1ケーブルは、移動体に接続されて前記移動体の有する蓄電池に直流電力を供給するためのケーブルである。第2ケーブルは、電力系統からの交流電力を直流電力に変換して前記蓄電池に対して出力する電力変換器に接続されるケーブルである。前記接続部は、前記第1ケーブルが接続される第1端子と、前記第2ケーブルが接続される第2端子と、を有している。前記第1端子と前記第2端子との間は、電気回路を介して接続されている。前記接続部は、前記第1端子と前記第2端子との間に配置されるヒューズを有する。前記接続部は、温度センサを有している。前記温度センサは、検知した温度が閾値温度を上回ると、前記電力変換器からの直流電力の供給を停止するためのトリガを発生する。
本開示の一態様に係るケーブル支持器は、第1ケーブルと、第2ケーブルと、が接続される接続部を備える。前記第1ケーブルは、移動体に接続されて前記移動体の有する蓄電池に直流電力を供給するためのケーブルである。第2ケーブルは、電力系統からの交流電力を直流電力に変換して前記蓄電池に対して出力する電力変換器に接続されるケーブルである。前記接続部は、前記第1ケーブルが接続される第1端子と、前記第2ケーブルが接続される第2端子と、を有している。前記第1端子と前記第2端子との間は、電気回路を介して接続されている。前記接続部は、温度センサを有している。前記温度センサは、検知した温度が閾値温度を上回ると、前記電力変換器からの直流電力の供給を停止するためのトリガを発生する。前記温度センサは前記第2端子の近傍に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、設置環境に応じて適したケーブルを選択しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る電力変換システムを含む全体構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、同上の電力変換システムの構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、同上の電力変換システムの設置例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、変形例の電力変換システムを含む全体構成を示す概略図である。
【
図5】
図5は、ケーブル支持器の変形例を示す概略図である。
【
図6】
図6は、ケーブル支持器の他の変形例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、ケーブル支持器の接続部の変形例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、ケーブル支持器の接続部の他の変形例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、ケーブル支持器の接続部の更に他の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)概要
本実施形態の電力変換システム100は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅の施設、又は事務所、店舗若しくは介護施設等の非住宅の施設に導入される。そして、電力変換システム100は、これらの施設にて移動体3の有する蓄電池31へ電力供給(充電)するためのシステムである(
図1参照)。本実施形態では、一例として、戸建住宅である住宅H1に電力変換システム100が導入される場合について説明する。
【0010】
移動体3は、電動機(モータ)等の動力部と、動力部に電力を供給する動力源としての蓄電池31と、を備えている。移動体3は、蓄電池31から入力される電気エネルギ(電力)を、動力部で機械エネルギ(駆動力)に変換し、この機械エネルギを利用して移動する。移動体3は、電力制御回路32を備えている。電力制御回路32は、蓄電池31を、所定の最大値を超えない充電電力で充電する。
【0011】
移動体3は、ここでは車両30である。車両30は、例えば、蓄電池31に蓄積された電気エネルギを用いて走行する電動車両である。本開示でいう「電動車両」は、例えば、電動機の出力によって走行する電気自動車、又はエンジンの出力と電動機の出力とを組み合わせて走行するプラグインハイブリッド車等である。電動車両は、シニアカー、二輪車(電動バイク)、三輪車又は電動自転車等であってもよい。
【0012】
電力変換システム100は、
図1に示すように、第1電力変換装置11と、第2電力変換装置12と、ケーブル支持器2と、を備えている。以下の説明では、第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12を一括して「電力変換器1」と称することもある。
【0013】
第1電力変換装置11は、電力系統4から入力される交流電力を直流電力に変換して直流バスDB1に出力する。つまり、第1電力変換装置11は、入力される交流電力を所定の大きさの直流電力に変換して出力するAC/DCコンバータの機能を有している。
【0014】
第2電力変換装置12は、直流バスDB1から入力される直流電力を、移動体3の有する蓄電池31の充電電力に変換して出力する。つまり、第2電力変換装置12は、入力される直流電力を所定の大きさの直流電力に変換して出力するDC/DCコンバータの機能を有している。
【0015】
ケーブル支持器2は、ケーブルC1を支持する。ケーブルC1は、移動体3と第2電力変換装置12との間に接続されて、蓄電池31と第2電力変換装置12との間の電力供給路を形成する。ケーブルC1の先端部には、コネクタCN1が取り付けられている。コネクタCN1は、移動体3のインレット34に接続可能に構成されている。つまり、第2電力変換装置12から出力される直流電力(充電電力)は、コネクタCN1がインレット34に接続された状態において、ケーブル支持器2により支持されたケーブルC1を介して、蓄電池31に供給されることになる。
【0016】
本開示でいう「ケーブル」は、1本以上の電線をシース(外皮)で保護した線状の部材をいう。また、本開示でいう「電線」は、電気導体のみの裸電線の他、電気導体を絶縁物で被覆した絶縁電線を含み得る。
【0017】
本開示でいうケーブル支持器2によるケーブルC1の支持は、例えばコネクタCN1の未使用時にユーザU1(
図3参照)の通行の妨げとならないように、ユーザU1がケーブルC1を引っ掛ける等することによりケーブルC1を一時的に支持する態様のみを意味するのではない。つまり、本開示でいうケーブル支持器2によるケーブルC1の支持は、原則としてユーザU1による着脱を伴わずに、ケーブルC1を恒久的に支持することも併せて意味する。
【0018】
そして、本実施形態では、ケーブル支持器2は、第1ケーブルC11と、第2ケーブルC12と、が接続される接続部20を備えている。第1ケーブルC11は、移動体3に接続されて移動体3の有する蓄電池31に直流電力を供給するためのケーブルである。第2ケーブルC12は、電力系統4からの交流電力を直流電力に変換して蓄電池31に対して出力する電力変換器1に接続されるケーブルである。言い換えれば、第1ケーブルC11は、ケーブルC1のうちケーブル支持器2と移動体3との間に接続されるケーブルであり、第2ケーブルC12は、ケーブルC1のうちケーブル支持器2と電力変換器1との間に接続されるケーブルである。このため、本実施形態では、ケーブル支持器2の設置環境に応じて適したケーブルを選択することが可能である。
【0019】
(2)詳細
以下、本実施形態の電力変換システム100について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(2.1)全体構成
まず、電力変換システム100を含めた全体構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態では、電力変換システム100は、住宅H1の内部に設置された機器制御装置5と互いに連携することにより、電力変換システム100としての機能を実現する。
【0021】
電力変換システム100の電力変換器1と機器制御装置5とは、互いに通信可能に構成されている。本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。すなわち、電力変換器1と機器制御装置5とは、互いに情報を授受することができる。本実施形態では、電力変換器1と機器制御装置5とは、互いに双方向に通信可能であって、電力変換器1から機器制御装置5への情報の送信、及び機器制御装置5から電力変換器1への情報の送信の両方が可能である。
【0022】
機器制御装置5は、少なくとも電力変換器1を制御する装置である。機器制御装置5は、電力変換器1に対して、充電の開始を指示するための充電開始信号、及び充電の停止を指示するための充電停止信号を出力することにより、電力変換器1による移動体3の蓄電池31の充電の開始及び停止を制御する。したがって、例えばユーザU1が機器制御装置5にて所定の操作を行うことにより、電力変換器1に対して、蓄電池31の充電の開始を指示したり、蓄電池31の充電の停止を指示したりすることが可能である。
【0023】
本実施形態では、機器制御装置5は、ルータを介して、インターネット等のネットワークに接続されている。このため、機器制御装置5は、ルータ、又はルータ及びネットワークを介して、ユーザU1の所持する情報端末と通信可能である。情報端末は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等である。したがって、ユーザU1は、機器制御装置5を直接操作するのみならず、情報端末を操作することによっても、蓄電池31の充電の開始を指示したり、蓄電池31の充電の停止を指示したりすることが可能である。
【0024】
電力変換器1は、移動体3の蓄電池31を充電するための充電設備である。本実施形態では、電力変換器1は、住宅H1の内部に設置されている。電力変換器1には、ケーブルC1が接続されている。ケーブルC1の先端部には、移動体3のインレット34に対して取外し可能に接続されるコネクタCN1を有している。電力変換器1は、コネクタCN1がインレット34に接続されている状態で、ケーブルC1を介して移動体3と接続されるので、ケーブルC1を介して移動体3の蓄電池31に電力を供給可能になり、蓄電池31の充電が可能になる。
【0025】
移動体3は、蓄電池31と、電力制御回路32と、ECU(Electronic Control Unit)33と、を備えている。電力制御回路32は、電力変換器1からの電力の供給を受けて、蓄電池31の充電を実行する回路である。本実施形態では、電力制御回路32は、蓄電池31の充電を実行する機能の他に、蓄電池31の放電を実行する機能も有している。EUC33は、ケーブルC1の通信線L2(後述する)を介して伝送される信号(ここでは、一例としてCHAdeMO(登録商標)規格に基づく信号)に基づいて、電力制御回路32を制御する。
【0026】
(2.2)電力変換システム
次に、電力変換システム100について、
図1~
図3を参照して説明する。電力変換システム100は、電力変換器1としての第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12と、ケーブル支持器2と、を備えている。
【0027】
第1電力変換装置11は、
図2に示すように、主回路111と、制御回路112と、通信部113と、を備えている。また、第1電力変換装置11では、主回路111、制御回路112、及び通信部113は、いずれも直方体状の筐体11A(
図3参照)に収容されている。本実施形態では、筐体11Aは、
図3に示すように、住宅H1内に設置されている。
【0028】
主回路111は、双方向のAC/DCコンバータであって、一端が電力系統4に接続されており、他端が直流バスDB1である直流ケーブルC2を介して第2電力変換装置12の主回路121に接続されている。主回路111は、例えばフルブリッジ接続された複数のスイッチング素子を有しており、複数のスイッチング素子を制御回路112によりPWM(Pulse Width Modulation)制御されることで、直流電力から交流電力、又は交流電力から直流電力への変換を行う。
【0029】
本実施形態では、主回路111は、電力系統4の出力する交流電力を所定の大きさの直流電力に変換して第2電力変換装置12に出力する機能を有している。また、本実施形態では、主回路111は、第2電力変換装置12の出力する直流電力を所定の大きさの交流電力に変換して電力系統4に出力する機能を有している。言い換えれば、第1電力変換装置11は、直流ケーブルC2(直流バスDB1)から入力される直流電力を交流電力に変換して電力系統4に出力する機能を有している。
【0030】
制御回路112は、少なくとも一部が1以上のプロセッサ及びメモリを有するマイクロコントローラにて構成されている。言い換えれば、制御回路112の少なくとも一部は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されており、1以上のプロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御回路112の一部として機能する。プログラムは、ここでは制御回路112のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御回路112は、主回路111の有する複数のスイッチング素子を駆動するためのドライバを有している。制御回路112は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成されてもよい。
【0031】
制御回路112は、通信部113を介して機器制御装置5又は情報端末からの指令を受けることにより、主回路111を制御して蓄電池31の充電を開始したり、蓄電池31の充電を停止したりする機能を有する。本実施形態では、制御回路112は、例えば電力系統4の停電時において、主回路111を制御して、第2電力変換装置12からの直流電力を交流電力に変換して住宅H1内の負荷(分電盤を含む)に出力させる機能も有する。
【0032】
通信部113は、機器制御装置5と通信する機能を有している。通信部113と機器制御装置5との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では、一例として、通信部113と機器制御装置5との間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信である。通信部113と機器制御装置5との間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、又はECHONET Lite(登録商標)等である。
【0033】
通信部113は、第2電力変換装置12の通信部123(後述する)と通信する機能も有している。通信部113と第2電力変換装置12の通信部123との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では、一例として、通信部113は、直流ケーブルC2の有する通信線L2を介して、第2電力変換装置12の通信部123と有線通信を行う。
【0034】
第2電力変換装置12は、
図2に示すように、主回路121と、制御回路122と、通信部123と、を備えている。また、第2電力変換装置12では、主回路121、制御回路122、及び通信部123は、いずれも直方体状の筐体12A(
図3参照)に収容されている。本実施形態では、筐体12Aは、
図3に示すように、住宅H1内に設置されている。
【0035】
主回路121は、双方向のDC/DCコンバータであって、一端が第1ケーブルC11に接続されており、他端が直流ケーブルC2を介して第1電力変換装置11の主回路111に接続されている。主回路121は、例えば1以上のスイッチング素子を有しており、1以上のスイッチング素子を制御回路122によりPWM制御されることで、入力された直流電力を調整して出力する。
【0036】
本実施形態では、主回路121は、第1電力変換装置11の出力する直流電力を所定の大きさの直流電力に変換して、第1ケーブルC11及びコネクタCN1を介して蓄電池31に出力する機能を有している。また、本実施形態では、主回路121は、第1ケーブルC11及びコネクタCN1を介して蓄電池31から放電される直流電力を所定の大きさの直流電力に変換して第1電力変換装置11に出力する機能を有している。言い換えれば、第2電力変換装置12は、蓄電池31から放電される放電電力(直流電力)を調整して直流バスDB1に出力する機能を有している。
【0037】
このように、本実施形態では、電力変換システム100は、蓄電池31の放電を制御する機能を有している。したがって、本実施形態では、移動体3の有する蓄電池31の放電電力を、住宅H1の負荷(分電盤を含む)に出力することで、V2H(Vehicle To Home)のシステムを構築可能である。
【0038】
制御回路122は、少なくとも一部が1以上のプロセッサ及びメモリを有するマイクロコントローラにて構成されている。言い換えれば、制御回路122の少なくとも一部は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されており、1以上のプロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御回路122の一部として機能する。プログラムは、ここでは制御回路122のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御回路122は、主回路121の有する1以上のスイッチング素子を駆動するためのドライバを有している。制御回路122は、例えば、FPGA、又はASIC等で構成されてもよい。
【0039】
制御回路122は、通信部123及び第1電力変換装置11の通信部113を介して機器制御装置5又は情報端末からの指令を受けることにより、主回路121を制御して蓄電池31の充電を開始したり、蓄電池31の充電を停止したりする機能を有する。本実施形態では、制御回路122は、例えば電力系統4の停電時において、主回路121を制御して、蓄電池31からの放電電力(直流電力)を調整して第1電力変換装置11へ出力させる機能も有する。
【0040】
通信部123は、第1電力変換装置11の通信部113と通信する機能を有している。通信部123と第1電力変換装置11の通信部113との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では、一例として、通信部123は、直流ケーブルC2の有する通信線L2を介して、第1電力変換装置11の通信部113と有線通信を行う。
【0041】
通信部123は、移動体3と通信する機能も有している。通信部123と移動体3との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では一例として、通信部123は、ケーブルC1の有する通信線L2を介して、移動体3と有線通信を行う。本実施形態では、一例として、通信部123は、少なくともCHAdeMO(登録商標)規格に基づく信号により、電力変換器1と移動体3との接続確認、及び移動体3の状態確認等のための通信を行う。
【0042】
ケーブル支持器2は、
図2に示すように、ケーブルC1の一部を支持する。また、ケーブル支持器2では、ケーブルC1の一部を、直方体状の筐体2A(
図3参照)に収容する形で支持している。本実施形態では、筐体2Aは、
図3に示すように、住宅H1の外側であって、移動体3の駐車スペースA1に設置されている。言い換えれば、ケーブル支持器2は、地面(ここでは、駐車スペースA1)に自立して設置されている。
【0043】
本実施形態では、ケーブルC1は、第1ケーブルC11と、第2ケーブルC12と、を有している。第1ケーブルC11は、移動体3とケーブル支持器2との間に接続される。第2ケーブルC12は、第1ケーブルC11とは異なる種類であって、ケーブル支持器2と第2電力変換装置12との間に接続される。つまり、実施形態では、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、互いに種類が異なっている。
【0044】
本実施形態では、1本のケーブルC1を切断して得られる2本のケーブルをそれぞれ第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12とする場合を除いて、基本的に、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、互いに種類が異なっている、と言える。具体的には、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、互いに径寸法が異なっていることで、互いに種類が異なっている、と言える。また、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、互いに内包する電線の数が異なっていることで、互いに種類が異なっている、と言える。その他、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、互いにケーブルの構造、材質、又は製造メーカが異なっている場合も、互いに種類が異なっている、と言える。
【0045】
本実施形態では、第1ケーブルC11は、一例として、キャブタイヤケーブルである。また、本実施形態では、第2ケーブルC12は、一例として、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVケーブル)である。また、本実施形態では、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、いずれも1以上(ここでは、2本)の電力線L1と、1以上(ここでは、複数本)の通信線L2と、を有している。さらに、本実施形態では、直流ケーブルC2は、第2ケーブルC12と同様にCVケーブルであって、1以上の電力線L1と、1以上の通信線L2と、を有している。
【0046】
そして、ケーブル支持器2(電力変換システム100)は、第1ケーブルC11と第2ケーブルC12とを互いに接続する接続部20を更に備えている。本実施形態では、接続部20は、ケーブル支持器2の筐体2Aの内部に収容されている。つまり、接続部20は、ケーブル支持器2の内側に設けられている。
【0047】
言い換えれば、ケーブル支持器2は、第1ケーブルC11と、第2ケーブルC12と、が接続される接続部20を備えている。第1ケーブルC11は、移動体3に接続されて移動体3の有する蓄電池31に直流電力を供給するためのケーブル、とも言える。第2ケーブルC12は、電力系統4からの交流電力を直流電力に変換して蓄電池31に対して出力する電力変換器1に接続されるケーブル、とも言える。
【0048】
本実施形態では、接続部20は、第1ケーブルC11が接続される第1端子21と、第2ケーブルC12が接続される第2端子22と、を有している。つまり、本実施形態では、第1ケーブルC11は、その一端が第1端子21に接続されることにより、ケーブル支持器2に固定(支持)されることになる。また、第2ケーブルC12は、その一端が第2端子22に接続されることにより、ケーブル支持器2に固定(支持)されることになる。
【0049】
そして、第1端子21と第2端子22との間は、電気回路23を介して接続されている。電気回路23は、例えば第1ケーブルC11の有する1以上の電力線L1及び1以上の通信線L2を、第2ケーブルC12の有する1以上の電力線L1及び1以上の通信線L2に接続できるように、電気的な接続を変換する変換回路である。もちろん、電気回路23は、第1ケーブルC11の有する1以上の電力線L1及び1以上の通信線L2と、第2ケーブルC12の有する1以上の電力線L1及び1以上の通信線L2と、を互いに繋ぐ単なる電気導体であってもよい。
【0050】
本実施形態では、
図3に示すように、ケーブル支持器2と第1電力変換装置11との間において、ケーブルC1の一部が地中に配線されている。同様に、第1電力変換装置11と第2電力変換装置12との間において、直流ケーブルC2の一部が地中に配線されている。そして、地中においては、ケーブルC1は、例えば金属製の電線管等の配管C3に通されている。配管C3の硬度は、ケーブルC1のシース(外皮)の硬度よりも高い。
【0051】
(3)利点
以下、本実施形態の電力変換システム100の利点について、第1比較例の電力変換システム及び第2比較例の電力変換システムとの比較を交えて説明する。
【0052】
第1比較例の電力変換システムは、ケーブル支持器に電力変換器(第1電力変換装置及び第2電力変換装置)が内蔵されている、つまり、ケーブル支持器、第1電力変換装置、及び第2電力変換装置が一体に構成されている点で、本実施形態の電力変換システム100と相違する。第1比較例の電力変換システムでは、電力変換器がケーブル支持器に内蔵されていることから、ケーブル支持器の筐体の大型化が避けられない。そして、このケーブル支持器の筐体は、移動体の有する蓄電池を充電する用途のために、駐車スペースに設置する必要がある。
【0053】
このため、第1比較例の電力変換システムでは、ケーブル支持器の筐体が比較的大きいことから、筐体を駐車スペースに設置するために必要な施工者が多くなりがちであり、かつ、筐体を設置可能な場所が制限されてしまう、という問題が生じ得る。そして、駐車スペースの面積によっては、そもそもケーブル支持器を駐車スペースに設置できない可能性もある。また、第1比較例の電力変換システムでは、ケーブル支持器に電力変換器が内蔵されていることから、日照による電力変換器の温度上昇を抑制する措置をとらなければならない、という問題が生じ得る。さらに、第1比較例の電力変換システムでは、日照により電力変換器の温度が上昇することで、本来の性能を発揮できない可能性もある。
【0054】
第2比較例の電力変換システムは、ケーブル支持器と電力変換器とが別体に構成されている、つまり、第1電力変換装置及び第2電力変換装置が一体に構成されている点で、本実施形態の電力変換システム100と相違する。第2比較例の電力変換システムでは、第1比較例の電力変換システムとは異なり、ケーブル支持器に電力変換器が内蔵されていないことから、電力変換器を例えば北向きの家屋側に設置することにより、上記のような日照に伴う問題は解消することが可能である。しかしながら、第2比較例の電力変換システムでは、第1電力変換装置及び第2電力変換装置が一体に構成されていることから、電力変換器の筐体の大型化が避けられない。このため、第2比較例の電力変換システムでは、電力変換器の筐体を設置するために必要な施工者が多くなりがちであり、かつ、筐体を設置可能な場所が制限されてしまう、という問題が生じ得る。
【0055】
これに対して、本実施形態の電力変換システム100では、第1電力変換装置11、第2電力変換装置12、及びケーブル支持器2が互いに別体に構成されている。このため、本実施形態では、第1電力変換装置11の筐体11A、第2電力変換装置12の筐体12A、及びケーブル支持器2の筐体2Aの各々のサイズを、各筐体11A,12A,2Aが一体である場合と比較して小さくすることが可能である。また、各筐体11A,12A,2Aのサイズを小さくすることで、重量も小さくすることが可能である。
【0056】
したがって、本実施形態では、電力変換システム100の施工がしやすくなる、という利点がある。具体的には、本実施形態では、各筐体11A,12A,2Aのサイズ及び重量が比較的小さいことから、少人数の施工者で施工を行うことが可能である。
【0057】
また、本実施形態では、各筐体11A,12A,2Aが占有するスペースが比較的小さいことから、各筐体11A,12A,2Aを設置する場所の選択肢が多くなる、という利点がある。例えば、ケーブル支持器2と、第1電力変換装置11と、第2電力変換装置12とが別体であるため、駐車スペースA1の面積が小さい場合であっても、ケーブル支持器2のみを駐車スペースA1に設置することが可能である。そして、例えば住宅H1内等、駐車スペースA1以外の設置スペースに余裕がある場所に、第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12を設置することが可能である。この場合、筐体11A,12Aは別体であるため、住宅H1内においても、設置スペースの状況に合わせて第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12を設置することが可能である。
【0058】
また、本実施形態では、ケーブル支持器2と、第1電力変換装置11と、第2電力変換装置12とが別体であるため、例えば住宅H1の内側又は軒先等、直射日光の当たりにくい場所に第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12を設置することが可能である。このため、本実施形態では、第1比較例の電力変換システムのように、電力変換器1の温度上昇を抑制する措置をとる必要がないので、措置に要する手間及びコストを低減することができる、という利点がある。
【0059】
ここで、本実施形態では、ケーブル支持器2(電力変換システム100)は、接続部20を備えている。以下、接続部20を備えることの利点について、比較例のケーブル支持器との比較を交えて説明する。比較例のケーブル支持器は、接続部20を備えていない、つまり、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12ではなく、1本のケーブルを支持する点で、本実施形態のケーブル支持器2と相違する。
【0060】
比較例のケーブル支持器では、例えばキャブタイヤケーブルを用いることが考えられる。キャブタイヤケーブルは、蓄電池の充電等、屋外で使用する場合に取り回しやすく、耐衝撃性、耐摩耗性、並びに耐候性等の屋外向けの特性に優れているが、屋内にて固定的に設置する用途には適していない。したがって、例えばキャブタイヤケーブルの一部を屋内の固定配線に用いることは、施工性及びコストの点から好ましくない。
【0061】
また、比較例のケーブル支持器では、例えばCVケーブルを用いることが考えられる。CVケーブルは、固定的に設置する用途には適しているが、蓄電池の充電等、屋外で使用する場合に取り回しにくく、また、耐衝撃性、耐摩耗性、及び耐候性等の屋外向けの特性に乏しい。したがって、例えばCVケーブルの一部を屋外で用いることは好ましくない。このように、比較例のケーブル支持器では、1種類のケーブルのみを支持するため、ケーブル支持器の設置環境に応じて適したケーブルを選択することが難しい、という問題がある。
【0062】
これに対して、本実施形態のケーブル支持器2では、接続部20を備えているので、ケーブル支持器2の設置環境に応じて適したケーブルを選択することが可能である。一例として、接続部20にて、第1ケーブルC11としてキャブタイヤケーブルを、第2ケーブルC12としてCVケーブルを接続することが可能である。つまり、本実施形態では、第1ケーブルC11では蓄電池の充電等、屋外での使用に適した取り回しのしやすさ、及び屋外向けの特性を有するケーブルを選択しつつ、第2ケーブルC12では、固定的に設置する用途に適したケーブルを選択することが可能である。また、ケーブル支持器2の設置環境に応じて第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12を選択できることから、1種類のケーブルを配線する場合と比較して、省コスト性、施工性、及び見栄え等の向上を期待できる。
【0063】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0064】
上述の実施形態において、電力変換システム100は、
図4に示すように、分散電源6から入力される直流電力を調整して直流バスDB1に出力する第3電力変換装置13を更に備えていてもよい。第3電力変換装置13は、DC/DCコンバータであって、直流バスDB1に接続されている。第3電力変換装置13は、分散電源6の出力する直流電力を所定の大きさの直流電力に変換して、直流バスDB1を介して第1電力変換装置11に出力する機能を有している。
【0065】
この態様では、パワーコンディショナを介して分散電源6と連系する場合と比較して、第1電力変換装置11(つまり、AC/DCコンバータ)を介さずに分散電源6から蓄電池31へ電力供給を行うことが可能である。したがって、この態様では、パワーコンディショナを介して分散電源6と連系する場合と比較して、電力の変換ロスを低減することができる。なお、第3電力変換装置13は、
図4に示すように第1電力変換装置11と別体に構成されていてもよいし、これに限らず、第1電力変換装置11と同じ筐体内に構成されていてもよい。
【0066】
ここで、分散電源6は、太陽電池を含んでいてもよい。この態様では、太陽電池で発電した電力のうち、住宅H1の負荷で消費されなかった余剰電力を蓄電池31に充電することで、電力系統4からの買電による蓄電池31の充電電力を減らす等して、電力系統4から蓄電池31への電力供給をサポートすることが可能である。
【0067】
また、分散電源6は、蓄電池31とは異なるバッテリを含んでいてもよい。そして、第3電力変換装置13は、直流バスDB1から入力される直流電力をバッテリの充電電力に変換してバッテリに出力する機能を有していてもよい。この態様では、バッテリに蓄えた電力を利用することで、電力系統4から蓄電池31への電力供給をサポートすることが可能である。例えば、比較的安価な時間帯(例えば、深夜)にて蓄電池31を充電したいが、移動体3が不在である場合でも、バッテリを充電しておくことで、移動体3が戻ってきた際にバッテリに蓄えた電力により蓄電池31を充電することが可能である。また、この態様では、バッテリに蓄えた電力と、電力系統4から第1電力変換装置11を介して供給される直流電力とを合算することにより、第1電力変換装置11の定格電力を上回る電力で蓄電池31を充電することが可能である。さらに、蓄電池31を充電する際に、バッテリに蓄えた電力を利用することで、電力系統4から第1電力変換装置11を介して供給される直流電力を抑えることができるので、住宅H1内への引き込みブレーカを遮断しにくくすることが可能である。
【0068】
上述の実施形態において、ケーブル支持器2は、地面に自立して設置する態様に限らず、住宅H1(建物)の一部に取り付けられることで設置される態様であってもよい。例えば、
図5に示すように、ケーブル支持器2は、住宅H1の壁H11に取り付けられてもよい。また、
図6に示すように、ケーブル支持器2は、住宅H1の天井H12の裏側に取り付けられてもよい。この場合、ケーブルC1(第1ケーブルC11)は、天井H12から吊り下げられることになる。その他、ケーブル支持器2は、建物に限らず、地面に立てられた柱状の部材に取り付けられてもよい。この態様では、例えばケーブル支持器2を自立して設置させることが難しい比較的狭小な駐車スペースA1においても、設置スペースを取らずに見栄えよくケーブル支持器2を設置しやすい、という利点がある。
【0069】
上述の実施形態において、ケーブルC1及び直流ケーブルC2の少なくとも一方は、ケーブルC1の長さに対する直流ケーブルC2の長さを調整可能に構成されていてもよい。直流ケーブルC2は、第1電力変換装置11と第2電力変換装置12との間を接続して直流バスDB1を構成する。この態様では、システムの設置される環境に応じて、ケーブルC1及び直流ケーブルC2の長さを最適化することができる、という利点がある。具体的には、この態様では、以下の2つの利点が期待できる。
【0070】
第1に、ケーブルC1及び直流ケーブルC2のうち高電圧が印加される方のケーブルの長さを短くすることで、高電圧が印加されるケーブルを外部に露出しにくくすることができる、という利点がある。また、高電圧が印加されるケーブル、つまり高耐圧が要求されるケーブルの長さを短くすることで、コストを低減することができる、という利点がある。
【0071】
第2に、ケーブルC1及び直流ケーブルC2のそれぞれに同等の電力が供給されている場合、高電圧が印加される方のケーブルでは、相対的に電流が小さくなる。このため、高電圧が印加されるケーブルの長さを短くすることで、配線インピーダンスによる損失を低減することができる、という利点がある。
【0072】
上述の実施形態において、接続部20は、ケーブル支持器2の外側に設けられていてもよい。例えば、接続部20は、ケーブル支持器2の外側であって、ケーブル支持器2の筐体2Aの一面に設けられていてもよい。
【0073】
上述の実施形態において、第1ケーブルC11と第2ケーブルC12とは、互いに種類が異なっていなくてもよい。例えば、第1ケーブルC11と第2ケーブルC12とは、同じ種類のケーブルであって、接続部20にて接続されている態様であってもよい。
【0074】
上述の実施形態において、電力変換システム100は、第1電力変換装置11を備えていなくてもよい。つまり、電力変換システム100は、第2電力変換装置12と、ケーブル支持器2と、のみを備えていてもよい。第2電力変換装置12は、電力系統4から入力される交流電力を直流電力に変換して直流バスDB1に出力する第1電力変換装置11とは別体に構成され、直流バスDB1から入力される直流電力を移動体3の有する蓄電池31の充電電力に変換して出力する。ケーブル支持器2は、移動体3と第2電力変換装置12との間に接続されて蓄電池31と第2電力変換装置12との間の電力供給路を形成するケーブルC1を支持する。そして、第2電力変換装置12及びケーブル支持器2は、互いに別体に構成されている。
【0075】
この電力変換システム100においては、上述の実施形態と同様に、第2電力変換装置12は、蓄電池31から放電される直流電力を調整して直流バスDB1に出力する機能を有していてもよい。また、この電力変換システム100は、第1電力変換装置11だけでなく、第3電力変換装置13にも接続されていてもよい。この場合、第3電力変換装置13は、第1電力変換装置11と別体に構成されていてもよいし、これに限らず、第1電力変換装置11と同じ筐体内に構成されていてもよい。
【0076】
上述の実施形態において、電力変換システム100は、以下の施工方法により施工されてもよい。つまり、電力変換システム100の施工方法は、第1ステップと、第2ステップと、を有していてもよい。第1ステップは、第2電力変換装置12にケーブルC1を接続するステップである。第2ステップは、第1電力変換装置11と第2電力変換装置12との間を直流バスDB1を構成する直流ケーブルC2により接続するステップである。
【0077】
上述の実施形態において、電力変換システム100は、V2Hのシステムを構築可能であるが、構築可能でなくてもよい。つまり、電力変換システム100は、蓄電池31を充電する充電システムとしてのみ構築されてもよい。この場合、電力変換システム100において、電力変換器1は、電力系統4から蓄電池31への一方向における電力変換機能さえ有していればよい。
【0078】
上述の実施形態において、ケーブル支持器2には、蓄電池31の充電の開始及び停止を指示するための操作部が設けられていてもよい。この場合、ユーザU1は、機器制御装置5を直接操作せずとも、操作部を操作することにより、蓄電池31の充電の開始及び停止を指示することが可能である。また、操作部は、ケーブル支持器2ではなく、コネクタCN1に設けられていてもよい。
【0079】
上述の実施形態において、第1電力変換装置11の筐体11A、第2電力変換装置12の筐体12A、及びケーブル支持器2の筐体2Aは、互いに別体に構成されていればよく、これらの筐体11A,12A,2Aは、どのように配置されていてもよい。例えば、第2電力変換装置12の筐体12Aは、第1電力変換装置11の筐体11Aに積み上げて配置されていてもよい。
【0080】
上述の実施形態において、ケーブルC1及び直流ケーブルC2は、いずれも地中ではなく、地上に配線されていてもよい。この場合、ケーブルC1及び直流ケーブルC2のうち少なくとも一方は、さらに言えば、ケーブルC1のうち第1ケーブルC11は、所定の硬度を有する配管C3に通されることにより、簡易接触防護措置を施されるのが好ましい。配管C3としては、例えば金属製の電線管の他に、合成樹脂製の可とう電線管等を採用し得る。つまり、第1ケーブルC11は、所定の硬度を有する配管(電線管)C3に通されていてもよい。この態様では、住宅H1(建物)の外部に配置され得る第1ケーブルC11にユーザU1が触れにくくすることができる、という利点がある。
【0081】
上述の実施形態において、第2ケーブルC12は、第1ケーブルC11よりも耐荷重が大きくてもよい。この態様では、第1ケーブルC11よりも高電圧が印加され得る第2ケーブルC12の耐衝撃性を確保しやすい、という利点がある。
【0082】
上述の実施形態において、第1ケーブルC11は、第2ケーブルC12よりも屈曲性が高い(言い換えれば、最小屈曲半径が小さい)のが好ましい。この態様では、蓄電池31の充電時に取り回され得る第1ケーブルC11を扱いやすくすることができる、という利点がある。
【0083】
上述の実施形態において、
図7に示すように、接続部20は、温度センサ24を有していてもよい。温度センサ24は、例えば第1端子21及び第2端子22のいずれか一方の近傍に配置される。ここでは、温度センサ24は、電力変換システム100の現地での施工時にケーブルの接続不良が生じる可能性がある第2端子22の近傍に配置される。なお、第1端子21には、ケーブル支持器2の出荷時において第1ケーブルC11が既に接続されており、出荷前の検査結果が良好であるならば、接続不良が生じる可能性は低いと考えられる。
【0084】
温度センサ24は、例えば第2ケーブルC12の通信線L2を介して、第2電力変換装置12の制御回路122に検知結果を送信する。制御回路122は、温度センサ24の検知結果を監視し、温度センサ24で検知した温度が閾値温度を上回ると、電力線L1に接続されたリレーを制御することにより、第2電力変換装置12から蓄電池31への電力供給を停止させる。つまり、温度センサ24は、検知した温度が閾値温度を上回ると、電力変換器1(ここでは、第2電力変換装置12)からの直流電力の供給を停止するためのトリガを発生する。
【0085】
この態様では、仮にケーブルの接続不良が生じた場合でも、接続不良による接触抵抗の増大に伴う温度上昇を温度センサ24にて検知することで、ケーブルの接続不良を早期に検知して電力供給を停止することができる、という利点がある。
【0086】
ここで、制御回路122は、リレーを制御する代わりに、主回路121を制御することにより、第2電力変換装置12の動作を停止させることで第2電力変換装置12から蓄電池31への電力供給を停止させてもよい。つまり、温度センサ24は、検知した温度が閾値温度を上回ると、電力変換器1の少なくとも一部(ここでは、第2電力変換装置12)の動作を停止させるためのトリガを発生する態様であってもよい。さらに、温度センサ24は、検知した温度が閾値温度を上回ると、第2ケーブルC12の通信線L2に含まれる許可信号線の接続を開放させるためのトリガを発生する態様であってもよい。ここでいう許可信号線は、一例として、CHAdeMO規格において移動体3が発生する作動許可禁止信号が流れる信号線である。この場合、第2電力変換装置12にあらかじめ備わっている信号の常時監視機能を用いて、蓄電池31の充電動作又は放電動作の停止を促すことが可能である。これらの態様では、ケーブルC1(第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12)に高電圧が印加される部位が発生し続けるのを回避しやすい、という利点がある。
【0087】
上述の実施形態において、
図8に示すように、接続部20は、第1端子21と第2端子22との間に配置されるヒューズ25を有していてもよい。ここでは、ヒューズ25は、第1端子21と第2端子22との間において、電気回路23に直列に接続されている。この態様では、仮にケーブルの接続不良、又は異物の混入等により短絡が発生した場合でも、ヒューズ25が切断されることにより、短絡状態で電力供給が継続するのを回避することができる、という利点がある。
【0088】
上述の実施形態において、
図9に示すように、接続部20は、第1端子21及び第2端子22を有していなくてもよい。つまり、接続部20において、第1ケーブルC11と第2ケーブルC12とは、電気回路23を介さずに直接的に接続されていてもよい。
【0089】
上述の実施形態では、第1電力変換装置11と第2電力変換装置12とが別体に構成されているが、第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12は、一体に構成されていてもよい。
【0090】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係るケーブル支持器(2)は、第1ケーブル(C11)と、第2ケーブル(C12)と、が接続される接続部(20)を備えている。第1ケーブル(C11)は、移動体(3)に接続されて移動体(3)の有する蓄電池(31)に直流電力を供給するためのケーブルである。第2ケーブル(C12)は、電力系統(4)からの交流電力を直流電力に変換して蓄電池(31)に対して出力する電力変換器(1)に接続されるケーブルである。
【0091】
この態様によれば、設置環境に応じて適したケーブルを選択しやすい、という利点がある。
【0092】
第2の態様に係るケーブル支持器(2)では、第1の態様において、第1ケーブル(C11)及び第2ケーブル(C12)は、互いに種類が異なっている。
【0093】
この態様によれば、設置環境に応じて適したケーブルを選択しやすい、という利点がある。
【0094】
第3の態様に係るケーブル支持器(2)では、第2の態様において、第1ケーブル(C11)及び第2ケーブル(C12)は、互いに径寸法が異なっている。
【0095】
この態様によれば、設置環境に応じて適したケーブルを選択しやすい、という利点がある。
【0096】
第4の態様に係るケーブル支持器(2)では、第2又は第3の態様において、第1ケーブル(C11)及び第2ケーブル(C12)は、互いに内包する電線の数が異なっている。
【0097】
この態様によれば、設置環境に応じて適したケーブルを選択しやすい、という利点がある。
【0098】
第5の態様に係るケーブル支持器(2)では、第1~第4のいずれかの態様において、第1ケーブル(C11)は、所定の硬度を有する配管(C13)に通される。
【0099】
この態様によれば、住宅(H1)(建物)の外部に配置され得る第1ケーブル(C11)にユーザ(U1)が触れにくくすることができる、という利点がある。
【0100】
第6の態様に係るケーブル支持器(2)では、第1~第5のいずれかの態様において、第1ケーブル(C11)及び第2ケーブル(C12)は、いずれも1以上の電力線(L1)と、1以上の通信線(L2)と、を有している。
【0101】
この態様によれば、電力線(L1)及び通信線(L2)を一括して施工することができる、という利点がある。
【0102】
第7の態様に係るケーブル支持器(2)では、第1~第6のいずれかの態様において、第2ケーブル(C12)は、第1ケーブル(C11)よりも耐荷重が大きい。
【0103】
この態様によれば、第1ケーブル(C11)よりも高電圧が印加され得る第2ケーブル(C12)の耐衝撃性を確保しやすい、という利点がある。
【0104】
第8の態様に係るケーブル支持器(2)では、第1~第7のいずれかの態様において、接続部(20)において、第1ケーブル(C11)と第2ケーブル(C12)とは、電気回路(23)を介さずに直接的に接続される。
【0105】
この態様によれば、設置環境に応じて適したケーブルを選択しやすい、という利点がある。
【0106】
第9の態様に係るケーブル支持器(2)では、第1~第7のいずれかの態様において、接続部(20)は、第1ケーブル(C11)が接続される第1端子(21)と、第2ケーブル(C12)が接続される第2端子(22)と、を有する。第1端子(21)と第2端子(22)との間は、電気回路(23)を介して接続されている。
【0107】
この態様によれば、設置環境に応じて適したケーブルを選択しやすい、という利点がある。
【0108】
第10の態様に係るケーブル支持器(2)では、第9の態様において、接続部(20)は、温度センサ(24)を有する。温度センサ(24)は、検知した温度が閾値温度を上回ると、電力変換器(1)からの直流電力の供給を停止するためのトリガを発生する。
【0109】
この態様によれば、仮にケーブルの接続不良が生じた場合でも、接続不良による接触抵抗の増大に伴う温度上昇を温度センサ(24)にて検知することで、ケーブルの接続不良を早期に検知して電力供給を停止することができる、という利点がある。
【0110】
第11の態様に係るケーブル支持器(2)では、第10の態様において、温度センサ(24)は、検知した温度が閾値温度を上回ると、電力変換器(1)の少なくとも一部の動作を停止させるためのトリガを発生する。
【0111】
この態様によれば、第1ケーブル(C11)及び第2ケーブル(C12)に高電圧が印加される部位が発生し続けるのを回避しやすい、という利点がある。
【0112】
第12の態様に係るケーブル支持器(2)では、第9~第11のいずれかの態様において、接続部(20)は、第1端子(21)と第2端子(22)との間に配置されるヒューズ(25)を有する。
【0113】
この態様によれば、仮にケーブルの接続不良、又は異物の混入等により短絡が発生した場合でも、ヒューズ(25)が切断されることにより、短絡状態で電力供給が継続するのを回避することができる、という利点がある。
【0114】
第2~第12の態様に係る構成については、ケーブル支持器(2)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 電力変換器
2 ケーブル支持器
20 接続部
21 第1端子
22 第2端子
23 電気回路
24 温度センサ
25 ヒューズ
3 移動体
31 蓄電池
C11 第1ケーブル
C12 第2ケーブル
C3 配管
L1 電力線
L2 通信線