(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】自律走行型掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20231020BHJP
A47L 11/24 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L11/24
(21)【出願番号】P 2020128639
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 優
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-082639(JP,A)
【文献】特開2016-036725(JP,A)
【文献】国際公開第2020/093381(WO,A1)
【文献】特開2020-044196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除経路上の床面を自律的に走行しながら掃除する自律走行型掃除機であって、
前記床面を走行する本体と、
前記本体の下部に配置され、前記床面に対向する吸込口を用いて吸引することで、前記床面の吸込掃除をする吸込掃除部と、
前記本体の下部の前記吸込掃除部とは異なる位置に配置され、前記床面の拭き掃除をする拭き掃除部と、
前記本体の走行先の床面上に液体があるか否かを検知する液体検知部と、
前記本体が走行中に前記液体検知部が液体を検知した場合、前記吸込掃除部による吸込掃除をしながら前記本体を走行させる第1動作モードから、前記拭き掃除をしながら前記本体を走行させる第2動作モードに切り替える制御部と、を備える
自律走行型掃除機。
【請求項2】
前記制御部は、
(i)前記第1動作モードにおいて、前記本体の走行方向前側に前記吸込掃除部が位置する第1の向きで前記本体を走行させ、
(ii)前記第2動作モードにおいて、前記本体の走行方向前側に前記拭き掃除部が位置する第2の向きで前記本体を走行させ、
(iii)前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切り替えにおいて、前記本体の走行の向きを前記第1の向きから前記第2の向きへ変更する
請求項1に記載の自律走行型掃除機。
【請求項3】
前記吸込掃除部と、前記拭き掃除部とは、前記本体の走行方向の前後に並んで配置されており、
前記制御部は、前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切り替えにおいて、前記本体の走行の向きを180°反転させることで前記第1の向きから前記第2の向きへ変更する
請求項2に記載の自律走行型掃除機。
【請求項4】
前記拭き掃除部は、前記本体に対して昇降することで床面から離れた第1の位置と床面に接触している第2の位置とに昇降自在であり、
前記制御部は、
(i)前記第1動作モードにおいて前記吸込掃除部を駆動し、かつ、前記拭き掃除部を前記第1の位置に位置させ、
(ii)前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切り替えにおいて、前記吸込掃除部の駆動を停止し、かつ、前記拭き掃除部を前記第2の位置に位置させる
請求項1に記載の自律走行型掃除機。
【請求項5】
前記吸込掃除部は、前記本体に対して昇降することで床面から離れた第3の位置と床面に接触している第4の位置とに昇降自在であり、かつ、前記吸込口へ前記床面上の塵埃を集めるための回転ブラシを有し、
前記制御部は、
(i)前記第1動作モードにおいて前記回転ブラシを前記第4の位置に位置させた状態で駆動し、
(ii)前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切り替えにおいて、前記回転ブラシの駆動を停止し、かつ、前記回転ブラシを前記第3の位置に位置させる
請求項4に記載の自律走行型掃除機。
【請求項6】
前記制御部は、前記液体検知部の検知結果に基づいて、検知された前記液体を拭き取る
位置を特定し、特定した前記位置まで前記第2動作モードで前記本体を走行させ、その後前記第2動作モードから前記第1動作モードに切り替える
請求項1から5のいずれか1項に記載の自律走行型掃除機。
【請求項7】
前記液体検知部は、前記本体の周囲の床面を撮影するカメラと、前記カメラにより撮影された画像を画像処理することで前記本体から前記液体までの距離と、前記液体の範囲とを検知する画像処理部とを有し、
前記制御部は、前記液体検知部により検知された前記距離および前記範囲に基づいて、前記第2動作モードで前記本体を走行させる距離を決定し、決定した距離に基づいて前記第2動作モードで前記本体を走行させる
請求項6に記載の自律走行型掃除機。
【請求項8】
前記液体検知部は、前記本体における床面上の液体に接触可能な位置に配置される一対の電極と、前記一対の電極間の抵抗値の変化を用いて前記液体の有無を検知する検知処理部とを有し、
前記制御部は、前記液体検知部により液体があることが検知されている間、前記第2動作モードで前記本体を走行させ、前記液体検知部により液体があることが検知されている状態から液体がないことが検知されている状態に遷移した場合、前記第2動作モードから前記第1動作モードに切り替える
請求項6に記載の自律走行型掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は自律走行型掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、塵埃を吸引する吸引口と、床面を拭き清掃する拭き清掃モジュールとの両方を有する自律走行型掃除機が開示されている。
【0003】
特許文献2には、液体を吸い込んだことを検知すると、吸引ファンの回転を停止する自走式掃除機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-141318号公報
【文献】特開2005-211497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の自律走行型掃除機では、効率よく掃除を行うことは難しい。
【0006】
そこで、本開示は、効率よく掃除を行うことができる自律走行型掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る自律走行型掃除機は、掃除経路上の床面を自律的に走行しながら掃除する自律走行型掃除機であって、前記床面を走行する本体と、前記本体の下部に配置され、前記床面に対向する吸込口を用いて吸引することで、前記床面の吸込掃除をする吸込掃除部と、前記本体の下部の前記吸込掃除部とは異なる位置に配置され、前記床面の拭き掃除をする拭き掃除部と、前記本体の走行先の床面上に液体があるか否かを検知する液体検知部と、前記液体検知部が液体を検知した場合、前記吸込掃除部による吸込掃除をしながら前記本体を走行させる第1動作モードから、前記拭き掃除をしながら前記本体を走行させる第2動作モードに切り替える制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の自律走行型掃除機は、効率よく掃除を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る自律走行型掃除機を底面側から見た図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る自律走行型掃除機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、自律走行型掃除機の第2の向きを説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る液体検知について説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る自律走行型掃除機の掃除動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る第2動作モードの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る自律走行型掃除機を底面側から見た図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る自律走行型掃除機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2に係る自律走行型掃除機の掃除動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態2に係る第2動作モードの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態3に係る自律走行型掃除機を底面側から見た図である。
【
図12】
図12は、実施の形態3に係る自律走行型掃除機を側方から見た図である。
【
図13】
図13は、実施の形態3に係る自律走行型掃除機を拭き掃除部を格納している時において側方から見た図である。
【
図14】
図14は、実施の形態3に係る自律走行型掃除機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、実施の形態3に係る自律走行型掃除機の掃除動作の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施の形態3に係る第2動作モードの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、自律走行型掃除機に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0011】
特許文献1に開示されている自律走行型掃除機では、吸引口を用いた吸込掃除を行っている場合に、走行経路上の床面上に液体があると、この液体を吸引することで自律走行型掃除機に搭載される吸引ファンの故障の原因となるおそれがある。
【0012】
そこで、特許文献2に開示されている自走式掃除機は、液体を吸引することで自律走行型掃除機に搭載される吸引ファンの故障を抑制するために、液体を検知すると共に吸引ファンを停止することで故障を防ぎ、液体がない別エリアへ移動する。
【0013】
上記のような自律走行型掃除機において、吸込掃除は、床面の塵埃に対しては効率的に掃除できるが、床面の液体に対しては故障の原因となるため液体の掃除は難しいという特徴がある。一方で、拭き掃除は、床面の液体の掃除を効率的に行うことができるが、床面の塵埃を拭き取ることは難しく効率よく掃除できないという特徴がある。
【0014】
床面上に塵埃と液体とがある場合、従来の自律走行型掃除機では、床面の塵埃に対して拭き掃除を行う場合があったり、床面の液体に対して吸込掃除を行う場合があったりするため、効率よく掃除を行うことができないという課題がある。
【0015】
そこで、本発明者らは、効率よく掃除を行うために、下記の構成自律走行型掃除機を見出すに至った。
【0016】
本開示の一態様に係る自律走行型掃除機は、掃除経路上の床面を自律的に走行しながら掃除する自律走行型掃除機であって、前記床面を走行する本体と、前記本体の下部に配置され、前記床面に対向する吸込口を用いて吸引することで、前記床面の吸込掃除をする吸込掃除部と、前記本体の下部の前記吸込掃除部とは異なる位置に配置され、前記床面の拭き掃除をする拭き掃除部と、前記本体の走行先の床面上に液体があるか否かを検知する液体検知部と、前記液体検知部が液体を検知した場合、前記吸込掃除部による吸込掃除をしながら前記本体を走行させる第1動作モードから、前記拭き掃除をしながら前記本体を走行させる第2動作モードに切り替える制御部と、を備える。
【0017】
これによれば、走行先の床面上に液体を検知した場合、吸込掃除をしながら本体を走行させる第1動作モードから、拭き掃除をしながら本体を走行させる第2動作モードに切り替える。このため、床面上の塵埃を吸込掃除している間に、床面に液体があれば拭き掃除に切り替えることができ、床面を効率よく掃除することができる。
【0018】
また、前記制御部は、(i)前記第1動作モードにおいて、前記本体の走行方向前側に前記吸込掃除部が位置する第1の向きで前記本体を走行させ、(ii)前記第2動作モードにおいて、前記本体の走行方向前側に前記拭き掃除部が位置する第2の向きで前記本体を走行させ、(iii)前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切り替えにおいて、前記本体の走行の向きを前記第1の向きから前記第2の向きへ変更してもよい。
【0019】
このため、本体の走行の向きを第1の向きから第2の向きに変更することで、容易に第1動作モードから第2動作モードへ切り替えることができる。また、吸込掃除部よりも先に拭き掃除部が液体を拭き取ることができるため、吸込掃除部の故障を抑制することができる。
【0020】
また、前記吸込掃除部と、前記拭き掃除部とは、前記本体の走行方向の前後に並んで配置されており、前記制御部は、前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切り替えにおいて、前記本体の走行の向きを180°反転させることで前記第1の向きから前記第2の向きへ変更してもよい。
【0021】
このため、本体の走行の向きを第1の向きから第2の向きに180°反転させることで、容易に第1動作モードから第2動作モードへ切り替えることができる。また、吸込掃除部よりも先に拭き掃除部が液体を拭き取ることができるため、吸込掃除部の故障を抑制することができる。
【0022】
また、前記拭き掃除部は、前記本体に対して昇降することで床面から離れた第1の位置と床面に接触している第2の位置とに昇降自在であり、前記制御部は、(i)前記第1動作モードにおいて前記吸込掃除部を駆動し、かつ、前記拭き掃除部を前記第1の位置に位置させ、(ii)前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切り替えにおいて、前記吸込掃除部の駆動を停止し、かつ、前記拭き掃除部を前記第2の位置に位置させしてもよい。
【0023】
このため、吸込掃除部の駆動を停止し、かつ、拭き掃除部を第2の位置に降ろすことで、容易に第1動作モードから第2動作モードへ切り替えることができる。また、このとき、吸込掃除部の駆動を停止するため、吸込掃除部の故障を抑制することができる。
【0024】
また、前記吸込掃除部は、前記本体に対して昇降することで床面から離れた第3の位置と床面に接触している第4の位置とに昇降自在であり、かつ、前記吸込口へ前記床面上の塵埃を集めるための回転ブラシを有し、前記制御部は、(i)前記第1動作モードにおいて前記回転ブラシを前記第4の位置に位置させた状態で駆動し、(ii)前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切り替えにおいて、前記回転ブラシの駆動を停止し、かつ、前記回転ブラシを前記第3の位置に位置させてもよい。
【0025】
これによれば、走行先の床面上に液体を検知した場合、回転ブラシを上昇させるため、液体で回転ブラシが濡れることを抑制することができる。
【0026】
また、前記制御部は、前記液体検知部の検知結果に基づいて、検知された前記液体を拭き取る位置を特定し、特定した前記位置まで前記第2動作モードで前記本体を走行させ、その後前記第2動作モードから前記第1動作モードに切り替えてもよい。
【0027】
このため、走行先の床面上の液体の全部を拭き取るように制御することができる。
【0028】
また、前記液体検知部は、前記本体の周囲の床面を撮影するカメラと、前記カメラにより撮影された画像を画像処理することで前記本体から前記液体までの距離と、前記液体の範囲とを検知する画像処理部とを有し、前記制御部は、前記液体検知部により検知された前記距離および前記範囲に基づいて、前記第2動作モードで前記本体を走行させる距離を決定し、決定した距離に基づいて前記第2動作モードで前記本体を走行させてもよい。
【0029】
これによれば、カメラにより撮影された画像に基づいて液体を検知するため、液体から離れた位置で液体を検知することができる。
【0030】
また、前記液体検知部は、前記本体における床面上の液体に接触可能な位置に配置される一対の電極と、前記一対の電極間の抵抗値の変化を用いて前記液体の有無を検知する検知処理部とを有し、前記制御部は、前記液体検知部により液体があることが検知されている間、前記第2動作モードで前記本体を走行させ、前記液体検知部により液体があることが検知されている状態から液体がないことが検知されている状態に遷移した場合、前記第2動作モードから前記第1動作モードに切り替えてもよい。
【0031】
これによれば、電極が直接液体に接触しているか否かを検知するため、液体の存在の有無を精度よく検知することができる。
【0032】
以下、本開示の一態様に係る自律走行型掃除機について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0033】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0034】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る自律走行型掃除機は、掃除経路上の床面を自律的に走行しながら掃除する。この自律走行型掃除機は、床面上の塵埃を吸い込むことで掃除する吸込掃除の機能と、床面上の液体を拭き取ることで掃除する拭き掃除の機能とを有する。
【0035】
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1に係る自律走行型掃除機を底面側から見た図である。
図2は、実施の形態1に係る自律走行型掃除機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
図1に示すように、自律走行型掃除機10は、本体1と、吸込掃除部2と、拭き掃除部3と、2つの駆動輪4と、サイドブラシ5と、カメラ6と、制御回路7とを備える。
【0037】
本体1は、扁平形の略円柱形状を有する筐体である。本体1の形状は、上記に限らずに角柱形状であってもよい。本体1は、2つの駆動輪4が回転することで、床面を走行する。
【0038】
吸込掃除部2は、本体1の下部に配置され、床面に対向する吸込口2aを有する。吸込掃除部2は、吸込口2aを用いて吸引することで、吸込掃除をする。また、吸込掃除部2は、吸込口2aに配置され、吸込口2aへ床面上の塵埃を掻き上げることで、吸込口2aへ塵埃を集めるための回転ブラシ2bを有していてもよい。回転ブラシ2bには、ブラシ用モータ13が接続されている。回転ブラシ2bは、ブラシ用モータ13が駆動することで、回転する。
【0039】
また、吸込掃除部2は、吸込用のファン(図示せず)に接続されている吸込用モータ12が接続されている。吸込用のファンは、吸込用モータ12が駆動することで吸込口2aにおいて吸引風を発生させる。これにより、回転ブラシ2bにより掻き上げられた塵埃は、吸込口2aから吸い込まれる。
【0040】
拭き掃除部3は、本体1の下部の吸込掃除部2とは異なる位置に配置され、床面の拭き掃除をする。具体的には、拭き掃除部3は、本体1の下部の、走行方向における吸込掃除部2よりも後側に配置される。つまり、吸込掃除部2と、拭き掃除部3とは、本体1の走行方向の前後に並んで配置されている。拭き掃除部3は、例えば、床面に接触した状態で配置されている布状の部材を有する。布状の部材は、例えば、繊維が織り込まれることで形成された部材であってもよいし、多孔質の樹脂(スポンジ)により形成された部材であってもよい。
【0041】
2つの駆動輪4のそれぞれには、走行用モータ11が接続されている。2つの駆動輪4は、本体1の左右方向に並んで配置され、当該左右方向に沿って延びる回転軸で回転する。各駆動輪4は、それぞれに対応する走行用モータ11により独立して駆動される。このため、例えば、2つの駆動輪4が順方向に駆動すると、本体1は前方に走行する。2つの駆動輪4が逆方向に駆動すると、本体1は後方に走行する。左側の駆動輪4が順方向に駆動し、かつ、右側の駆動輪4が逆方向に駆動すると、本体1は床面に対して右回転方向に回転する。左側の駆動輪4が逆方向に駆動し、かつ、左側の駆動輪4が順方向に駆動すると、本体1は床面に対して左回転方向に回転する。2つの駆動輪4とは、回転方向が同じで、互いに異なる回転速度で回転してもよい。また、2つの駆動輪4は、一方が回転して、他方が停止していてもよい。このように、2つの駆動輪4は、走行用モータ11により独立して駆動されることで、本体1は、直進したり、回転したり、旋回したりすることができる。
【0042】
サイドブラシ5は、本体1の下部の左側前方の位置に設けられており、吸込口2aよりも左側の領域の床面の塵埃を吸込口2aに向かって集めるように回転する。これにより、本体1の前方に左右方向に幅広く存在する塵埃を吸込口2aに向けて集めることができる。サイドブラシ5には、ブラシ用モータ14が接続されている。サイドブラシ5は、ブラシ用モータ14が駆動することで、回転する。
【0043】
なお、サイドブラシ5は、本体1の下部の左側前方の位置に設けられているが、これに限らずに、本体1の下部の右側前方の位置にも設けられてもよい。
【0044】
カメラ6は、本体1の前部に配置されており、本体1の前方を撮影する。具体的には、カメラ6は、本体1の前方の床面を含む領域を撮影する。カメラ6は、本体1の前方の画像を撮影する。画像は、動画像であってもよいし、静止画像であってもよい。例えば、カメラ6は、自律走行型掃除機10の駆動中において、動画像を撮影し続けるか、静止画像を逐次的に撮影し続けることで、自律走行型掃除機10の駆動中における本体1の前方の床面を含む領域の画像を出力してもよい。
【0045】
なお、カメラ6は、本体1の前部に配置されていなくてもよく、本体1の前方の床面を含む領域を撮影できれば、本体1のどの位置に配置されていてもよい。カメラ6は、1つのカメラにより構成されることに限らずに、複数のカメラにより構成されていてもよい。
【0046】
制御回路7は、走行用モータ11、吸込用モータ12、及びブラシ用モータ13、14の駆動を制御することで、自律走行型掃除機10の動作を制御する。自律走行型掃除機10の動作モードには、吸込掃除部2による吸込掃除をしながら本体1を走行させる第1動作モードと、拭き掃除部3による拭き掃除をしながら本体1を走行させる第2動作モードとがある。
【0047】
具体的には、制御回路7は、第1動作モードにおいて、走行用モータ11、吸込用モータ12、及びブラシ用モータ13、14の全てを同時に駆動する。制御回路7は、例えば、第1動作モードにおいて、本体1の走行方向前側に吸込掃除部2が位置する第1の向きで本体1を走行させる。つまり、制御回路7は、第1動作モードにおいて、本体1の前方向に走行する回転方向(順方向)に走行用モータ11を駆動する。そして、制御回路7は、第1動作モードにおいて、吸込用モータ12及びブラシ用モータ13、14を駆動することで、吸込掃除部2を駆動する。
【0048】
また、制御回路7は、第2動作モードにおいて、走行用モータ11、吸込用モータ12、及びブラシ用モータ13、14のうちの走行用モータ11のみを駆動する。制御回路7は、例えば
図3に示すように、第2動作モードにおいて、本体1の走行方向前側に拭き掃除部3が位置する第2の向きで本体1を走行させる。つまり、制御回路7は、第2動作モードにおいて、本体1の後方向に走行する回転方向(逆方向)に走行用モータ11を駆動する。そして、制御回路7は、第2動作モードにおいて、吸込用モータ12及びブラシ用モータ13、14を停止する。なお、制御回路7は、第2動作モードにおいて、吸込用モータ12及びブラシ用モータ13、14を駆動したままとしてもよい。
【0049】
また、制御回路7は、カメラ6により撮影された画像を画像処理することで、本体1の前方の床面上にある液体を検知する。制御回路7は、例えば、カメラ6により撮影された画像に対して液体を認識する液体認識アルゴリズムを実行することで、床面上の液体を認識する。制御回路7は、自律走行型掃除機10の駆動中において、カメラ6により逐次撮影された画像を逐次に画像処理することで、本体1の前方の床面上にある液体を逐次検知する。
【0050】
また、制御回路7は、液体の検知結果に基づいて、検知された液体を拭き取る位置を特定し、特定した位置まで第2動作モードで本体1を走行させ、その後第2動作モードから第1動作モードに切り替える。具体的には、制御回路7は、
図4に示すように、本体1から床面上の液体100までの距離Lと、この液体100の範囲Rとを検知する。制御回路7は、検知された距離Lおよび範囲Rに基づいて第2動作モードで走行させる距離を決定し、決定した距離に基づいて第2動作モードで本体1を走行させる。。換言すると、制御回路7は、液体が検知されたときの本体1の位置から決定した距離だけ離れた位置を、液体を拭き取る位置として特定する。液体100までの距離Lは、本体1の走行方向における液体100までの距離である。液体100の範囲Rは、本体1の走行方向における液体100の幅である。カメラ6および制御回路7は、本体1の走行先の床面上に液体があるか否かを検知する液体検知部の一例である。なお、走行先とは、例えば1回の掃除動作において掃除経路の全てを掃除する場合、掃除経路のうちで1回の掃除動作において吸込掃除部2または拭き掃除部3による掃除がまだ終わっていない部分である。
【0051】
制御回路7は、本体1の走行先の床面上に液体があることを検知した場合、第1動作モードから、第2動作モードに切り替える。具体的には、制御回路7は、第1動作モードから第2動作モードの切り替えにおいて、本体1の走行の向きを第1の向きから第2の向きへ変更する。本実施の形態では、制御回路7は、第1動作モードから第2動作モードへの切り替えにおいて、本体1の走行の向きを180°反転させることで第1の向きから第2の向きへ変更する。例えば、制御回路7は、2つの駆動輪4のうちの一方を順方向に駆動し、他方を逆方向に駆動することで、本体1の走行の向きを180°反転させる。制御回路7は、制御部の一例である。
【0052】
制御回路7は、例えば、プロセッサ及びプロセッサにより実行されるプログラムを格納しているメモリなどの半導体素子により実現される。
【0053】
なお、制御回路7は、外部装置と通信可能であってもよい。
【0054】
[1-2.動作]
次に、自律走行型掃除機10の動作について
図5及び
図6を用いて説明する。
【0055】
図5は、実施の形態1に係る自律走行型掃除機の掃除動作の一例を示すフローチャートである。
図6は、実施の形態1に係る第2動作モードの処理の一例を示すフローチャートである。
【0056】
自律走行型掃除機10は、掃除動作が開始されると、予め取得した掃除経路を取得する(S11)。自律走行型掃除機10は、例えば、初期動作を行うことにより、掃除する対象の空間を走行しながら、当該空間の平面的な形状を取得し、取得した空間の形状に基づいて掃除する経路を生成することで掃除経路を取得してもよい。また、自律走行型掃除機10は、他の装置により生成された掃除経路を外部装置と通信することにより取得してもよい。
【0057】
次に、自律走行型掃除機10は、取得した掃除経路を第1動作モードで掃除する(S12)。
【0058】
このとき、自律走行型掃除機10は、カメラ6で本体1の前方の床面を含む領域を撮影し、本体1の走行先の床面上に液体があるか否かを検知する(S13)。
【0059】
自律走行型掃除機10は、床面上に液体があると検知した場合(S13でYes)、第1動作モードから第2動作モードの処理を開始する(S14)。この処理の具体例について、
図6を用いて説明する。
【0060】
自律走行型掃除機10は、第2動作モードの処理が開始されると、拭き取りに要する距離を推定する(S21)。具体的には、自律走行型掃除機10は、本体1から床面上の液体100までの距離Lと、この液体100の範囲Rと、自律走行型掃除機10の走行方向における幅Wとの和を、拭き取りに要する距離として算出する。なお、自律走行型掃除機10は、第2動作モードの処理が開始されると、走行を停止してもよい。
【0061】
次に、自律走行型掃除機10は、本体1の走行の向きを回転させることで、180°反転させる(S22)。これにより、自律走行型掃除機10は、その動作モードを、第1動作モードから第2動作モードに切り替える。
【0062】
次に、自律走行型掃除機10は、第2動作モードにおいて、ステップS21で推定した距離だけ移動する(S23)。これにより、自律走行型掃除機10は、拭き掃除部3で液体を拭き取ることができる。
【0063】
次に、自律走行型掃除機10は、本体1の走行の向きを回転させることで、180°反転させる(S24)。これにより、自律走行型掃除機10は、その動作モードを、第2動作モードから第1動作モードに切り替える。ステップS24が終了すると、第2動作モードの処理を終了する。
【0064】
【0065】
自律走行型掃除機10は、床面上に液体がないと検知した場合、または、第2動作モードの処理が終了した場合、掃除経路の掃除が完了したか否かを判定する(S15)。
【0066】
自律走行型掃除機10は、掃除経路の掃除が完了したと判定した場合(S15でYes)、掃除動作を終了する。自律走行型掃除機10は、掃除経路の掃除が完了していないと判定した場合(S15でNo)、ステップS13に戻る。
【0067】
[1-3.効果など]
本実施の形態に係る自律走行型掃除機10によれば、走行先の床面上に液体を検知した場合、吸込掃除をしながら本体1を走行させる第1動作モードから、拭き掃除をしながら本体1を走行させる第2動作モードに切り替える。このため、床面上の塵埃を吸込掃除している間に、床面に液体があれば拭き掃除に切り替えることができ、床面を効率よく掃除することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る自律走行型掃除機10において、制御回路7は、(i)第1動作モードにおいて、本体1の走行方向前側に吸込掃除部2が位置する第1の向きで本体1を走行させ、(ii)第2動作モードにおいて、本体1の走行方向前側に拭き掃除部3が位置する第2の向きで本体1を走行させ、(iii)第1動作モードから第2動作モードへの切り替えにおいて、本体1の走行の向きを第1の向きから第2の向きへ変更する。
【0069】
このため、本体1の走行の向きを第1の向きから第2の向きに変更することで、容易に第1動作モードから第2動作モードへ切り替えることができる。また、吸込掃除部2よりも先に拭き掃除部3が液体を拭き取ることができるため、吸込掃除部2の故障を抑制することができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る自律走行型掃除機10において、吸込掃除部2と、拭き掃除部3とは、本体1の走行方向の前後に並んで配置されている。制御回路7は、第1動作モードから第2動作モードへの切り替えにおいて、本体1の走行の向きを180°反転させることで第1の向きから第2の向きへ変更する。
【0071】
このため、本体1の走行の向きを第1の向きから第2の向きに180°反転させることで、容易に第1動作モードから第2動作モードへ切り替えることができる。また、吸込掃除部2よりも先に拭き掃除部3が液体を拭き取ることができるため、吸込掃除部2の故障を抑制することができる。
【0072】
また、本実施の形態に係る自律走行型掃除機10において、制御回路7は、液体の検知結果に基づいて、検知された液体を拭き取る位置を特定し、特定した位置まで第2動作モードで本体1を走行させ、その後第2動作モードから第1動作モードに切り替える。このため、走行先の床面上の液体の全部を拭き取るように制御することができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る自律走行型掃除機10において、カメラ6は、本体1の周囲の床面を撮影し、制御回路7は、カメラ6により撮影された画像を画像処理することで本体1から液体100までの距離Lと、液体100の範囲Rとを検知する。そして、制御回路7は、検知された距離Lおよび範囲Rに基づいて、第2動作モードで本体1を走行させる距離を決定し、決定した距離に基づいて第2動作モードで本体1を走行させる。これによれば、カメラ6により撮影された画像に基づいて液体を検知するため、液体から離れた位置で液体を検知することができる。
【0074】
(変形例1)
実施の形態1に係る自律走行型掃除機10は、吸込掃除部2と拭き掃除部3とが本体1の前後方向に並ぶ構成としたが、これに限らずに、吸込掃除部と拭き掃除部とが本体1の下部の異なる位置に配置されていればよい。この場合、制御回路は、第2動作モードにおいて、拭き掃除部が吸込掃除部よりも前側に位置する向きで走行するように制御することで、拭き掃除を吸込掃除よりも優先して行うことができる。
【0075】
(変形例2)
上記実施の形態では、自律走行型掃除機10は、走行用モータ11、吸込用モータ12、及びブラシ用モータ13、14を備える構成であるとしたが、いずれかのモータの動力を他の要素の駆動力として利用してもよい。つまり、一つのモータの駆動力を複数の要素を駆動する駆動力として利用する構成としてもよい。
【0076】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る自律走行型掃除機について説明する。
【0077】
実施の形態に2に係る自律走行型掃除機は、実施の形態1に係る自律走行型掃除機と比較して、カメラ6の代わりに電極9を備える点で構成が異なる。つまり、実施の形態2に係る自律走行型掃除機は、電極9を用いて本体1の走行先の床面上に液体があるか否かを検知する。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0078】
[2-1.構成]
図7は、実施の形態2に係る自律走行型掃除機を底面側から見た図である。
図8は、実施の形態2に係る自律走行型掃除機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図1及び
図2と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明を省略する。
【0079】
図7に示すように、自律走行型掃除機10Aは、本体1と、吸込掃除部2と、拭き掃除部3と、2つの駆動輪4と、サイドブラシ5と、制御回路7Aと、2つの電極9とを備える。
【0080】
2つの電極9は、本体1の下部に配置され、床面上の液体に接触可能な位置に配置される。2つの電極9の一方は、本体1の下部の、走行方向における吸込掃除部2よりも前側に配置され、他方は、本体1の下部の、走行方向における拭き掃除部3よりも後側に配置される。2つの電極9のそれぞれは、一対の電極を有する。
【0081】
制御回路7Aは、2つの電極9のそれぞれの一対の電極に所定の電圧を印加することで、一対の電極間の抵抗値の変化を取得する。制御回路7Aは、この抵抗値の変化を用いて液体の有無を検知する。制御回路7Aは、例えば、抵抗値が所定の閾値未満である場合、電極9が液体に触れていること、つまり、床面上に液体があることを検知する。制御回路7Aは、抵抗値が所定の閾値以上である場合、電極9が液体に触れていないこと、つまり、床面上に液体がないことを検知する。
【0082】
制御回路7Aは、床面上に液体があることが検知されている間、第2動作モードで本体1を走行させ、床面上に液体があることが検知されている状態から液体がないことが検知されている状態に遷移した場合、第2動作モードから第1動作モードに切り替える。
【0083】
[2-2.動作]
次に、自律走行型掃除機10Aの動作について
図9及び
図10を用いて説明する。
【0084】
図9は、実施の形態2に係る自律走行型掃除機の掃除動作の一例を示すフローチャートである。
図10は、実施の形態2に係る第2動作モードの処理の一例を示すフローチャートである。
【0085】
自律走行型掃除機10Aは、ステップS11及びステップS12を行う。ステップS11及びステップS12は、実施の形態1において説明したため説明を省略する。
【0086】
ステップS12の後、自律走行型掃除機10は、電極9を用いて、本体1の走行先の床面上に液体があるか否かを検知する(S33)。
【0087】
自律走行型掃除機10Aは、床面上に液体があると検知した場合(S33でYes)、第1動作モードから第2動作モードの処理を開始する(S34)。この処理の具体例について、
図10を用いて説明する。
【0088】
自律走行型掃除機10Aは、第2動作モードの処理が開始されると、本体1の走行の向きを回転させることで、180°反転させる(S41)。これにより、自律走行型掃除機10Aは、その動作モードを、第1動作モードから第2動作モードに切り替える。なお、電極9は、本体1の前側と後側との両方に配置されているため、180°反転した場合でも、拭き掃除部3に液体が接触するより前に液体があるか否かを検知することができる。
【0089】
次に、自律走行型掃除機10Aは、床面上に液体があることを検知しているか否かを判定する(S42)。
【0090】
自律走行型掃除機10Aは、床面上に液体があることを検知している場合(S42でYes)、第2動作モードでの移動を行う(S43)。そして、その後、自律走行型掃除機10Aは、ステップS42の処理を行う。つまり、自律走行型掃除機10Aは、床面上に液体がないことを検知するまで、第2の向きで移動を続ける。これにより、自律走行型掃除機10Aは、拭き掃除部3で液体を拭き取ることができる。
【0091】
自律走行型掃除機10Aは、床面上に液体があることを検知していない場合(S42でNo)、つまり、床面上に液体があることが検知されている状態から液体がないことが検知されている状態に遷移したことを検知した場合、本体1の走行の向きを回転させることで、180°反転させる(S44)。これにより、自律走行型掃除機10Aは、その動作モードを、第2動作モードから第1動作モードに切り替える。ステップS44が終了すると、第2動作モードの処理を終了する。
【0092】
【0093】
そして、自律走行型掃除機10Aは、床面上に液体がないと検知した場合、または、第2動作モードの処理が終了した場合、ステップS15を行う。ステップS15は、実施の形態1において説明したため説明を省略する。
【0094】
[2-3.効果など]
本実施の形態に自律走行型掃除機10Aによれば、走行先の床面上に液体を検知した場合、吸込掃除をしながら本体1を走行させる第1動作モードから、拭き掃除をしながら本体1を走行させる第2動作モードに切り替える。このため、床面上の塵埃を吸込掃除している間に、床面に液体があれば拭き掃除に切り替えることができ、床面を効率よく掃除することができる。
【0095】
また、本実施の形態に係る自律走行型掃除機10Aにおいて、電極9は、本体1における、床面上の液体に接触可能な位置に配置される。制御回路7Aは、一対の電極9間の抵抗値の変化を用いて床面上の液体の有無を検知する。制御回路7Aは、床面上に液体があることが検知されている間、第2動作モードで本体1を走行させ、床面上に液体があることが検知されている状態から液体がないことが検知されている状態に遷移した場合、第2動作モードから第1動作モードに切り替える。これによれば、電極9が直接液体に接触しているか否かを検知するため、液体の存在の有無を精度よく検知することができる。
【0096】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る自律走行型掃除機について説明する。
【0097】
実施の形態に3に係る自律走行型掃除機は、実施の形態1に係る自律走行型掃除機と比較して、拭き掃除部を昇降する昇降部を備える点で構成が異なる。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0098】
[3-1.構成]
図11は、実施の形態3に係る自律走行型掃除機を底面側から見た図である。
図12は、実施の形態3に係る自律走行型掃除機を側方から見た図である。
図13は、実施の形態3に係る自律走行型掃除機を拭き掃除部を格納している時において側方から見た図である。
図14は、実施の形態3に係る自律走行型掃除機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0099】
図7に示すように、自律走行型掃除機10Bは、本体1と、吸込掃除部2と、拭き掃除部3Bと、2つの駆動輪4と、サイドブラシ5と、カメラ6と、制御回路7Bと、昇降部20とを備える。自律走行型掃除機10Bは、さらに、可動カバー30を備えていてもよい。
【0100】
拭き掃除部3Bは、本体1に対して昇降することで、
図13に示すような床面40から離れた第1の位置と、
図12に示すような床面40に接触している第2の位置とに昇降自在である。拭き掃除部3Bは、第2の位置に位置する場合、本体1の開口3aから本体1の下方に突出する。拭き掃除部3Bは、第1の位置に位置する場合、本体1の開口3aから突出せずに、本体1に内部に収容される。具体的には、拭き掃除部3Bは、昇降部20により昇降される。
【0101】
昇降部20は、昇降用モータ21と、ギヤボックス22と、昇降用シャフト23と、開閉用シャフト24と、レール25とを有する。昇降用モータ21は、ギヤボックス22に接続されており、ギヤボックス22に動力を伝える。ギヤボックス22は、昇降用シャフト23及び開閉用シャフト24に昇降用モータ21からの動力を伝える。
【0102】
昇降用シャフト23は、レール25に昇降用モータ21からの動力を伝え、レール25に接続された拭き掃除部3Bを昇降させる。開閉用シャフト24は、可動カバー30に動力を伝え、本体1の開口3aを開閉する。例えば、開閉用シャフト24は、拭き掃除部3Bが降りる方向に移動する(つまり、下降する)場合、開口3aを塞いでいる可動カバー30を開く方向に移動させる。開閉用シャフト24は、拭き掃除部3Bが昇る方向に移動する(つまり、上昇する)場合、可動カバー30を、開口3aを閉じる方向に移動させる。このように、昇降用シャフト23及び開閉用シャフト24は、ギヤボックス22により昇降用モータ21からの動力を受けるため、連動して動作する。
【0103】
なお、自律走行型掃除機10Bは、可動カバー30を備えていなくてもよい。自律走行型掃除機10Bが可動カバー30を備えていない場合、自律走行型掃除機10Bの昇降部20は、ギヤボックス22と、開閉用シャフト24とを有していなくてもよい。つまり、昇降部20では、昇降用モータ21からの動力が直接昇降用シャフト23に伝えられてもよい。
【0104】
制御回路7Bは、走行用モータ11、吸込用モータ12、ブラシ用モータ13、14及び昇降用モータ21の駆動を制御することで、自律走行型掃除機10Bの動作を制御する。自律走行型掃除機10Bの動作モードには、実施の形態1と同様に、吸込掃除部2による吸込掃除をしながら本体1を走行させる第1動作モードと、拭き掃除部3Bによる拭き掃除をしながら本体1を走行させる第2動作モードとがある。
【0105】
具体的には、制御回路7Bは、第1動作モードにおいて、走行用モータ11、吸込用モータ12、及びブラシ用モータ13、14の全てを同時に駆動する。この時、制御回路7Bは、拭き掃除部3Bの位置が第1の位置にない場合、つまり、拭き掃除部3Bが本体1の内部に収容されていない場合、昇降用モータ21を駆動させることで、拭き掃除部3Bを上昇させることで第1の位置に位置させてもよい。そして、制御回路7Bは、第1動作モードにおいて、吸込用モータ12及びブラシ用モータ13、14を駆動することで、吸込掃除部2を駆動する。
【0106】
また、制御回路7Bは、第2動作モードにおいて、走行用モータ11、吸込用モータ12、及びブラシ用モータ13、14のうちの走行用モータ11のみを駆動する。この時、制御回路7Bは、拭き掃除部3Bの位置が第2の位置にない場合、つまり、拭き掃除部3Bが本体1の開口3aから突出していない場合、昇降用モータ21を駆動させることで、拭き掃除部3Bを降下させることで第2の位置に位置させてもよい。そして、制御回路7Bは、第2動作モードにおいて、吸込用モータ12及びブラシ用モータ13、14を停止する。つまり、制御回路7Bは、吸込掃除部2の駆動を停止する。
【0107】
制御回路7Bは、カメラ6により撮影された画像を画像処理することで、本体1の前方の床面上にある液体を検知する。そして、制御回路7Bは、液体の検知結果に応じて、自律走行型掃除機10Bの動作モードを切り替える。液体を検知する方法および動作モードを切り替える方法は、実施の形態1と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0108】
[3-2.動作]
次に、自律走行型掃除機10Bの動作について
図15及び
図16を用いて説明する。
【0109】
図15は、実施の形態3に係る自律走行型掃除機の掃除動作の一例を示すフローチャートである。
図16は、実施の形態3に係る第2動作モードの処理の一例を示すフローチャートである。
【0110】
自律走行型掃除機10Bは、掃除動作が開始されると、ステップS11~ステップS13を行う。ステップS11~ステップS13は、実施の形態1において説明したため説明を省略する。
【0111】
自律走行型掃除機10Bは、床面上に液体があると検知した場合(S13でYes)、第1動作モードから第2動作モードの処理を開始する(S54)。この処理の具体例について、
図16を用いて説明する。
【0112】
自律走行型掃除機10Bは、第2動作モードの処理が開始されると、拭き取りに要する距離を推定する(S61)。ステップS61は、ステップS21と同じ処理である。
【0113】
次に、自律走行型掃除機10Bは、吸込用モータ12を停止し、かつ、拭き掃除部3Bを降ろす制御を行う(S62)。自律走行型掃除機10Bは、ブラシ用モータ13、14を停止させてもよい。これにより、自律走行型掃除機10Bは、その動作モードを、第1動作モードから第2動作モードに切り替える。
【0114】
次に、自律走行型掃除機10Bは、第2動作モードにおいて、ステップS61で推定した距離だけ移動する(S63)。ステップS63は、ステップS23と同じ処理である。
【0115】
次に、自律走行型掃除機10Bは、拭き掃除部3Bを上昇させ、かつ、吸込用モータ12を駆動させる(S64)。自律走行型掃除機10Bは、ブラシ用モータ13、14を駆動させてもよい。これにより、自律走行型掃除機10は、その動作モードを、第2動作モードから第1動作モードに切り替える。ステップS64が終了すると、第2動作モードの処理を終了する。
【0116】
[3-3.効果など]
本実施の形態に係る自律走行型掃除機10によれば、走行先の床面上に液体を検知した場合、吸込掃除をしながら本体1を走行させる第1動作モードから、拭き掃除をしながら本体1を走行させる第2動作モードに切り替える。このため、床面上の塵埃を吸込掃除している間に、床面に液体があれば拭き掃除に切り替えることができ、床面を効率よく掃除することができる。
【0117】
また、本実施の形態に係る自律走行型掃除機10Bにおいて、吸込掃除部2の駆動を停止し、かつ、拭き掃除部3Bを第2の位置に降ろすことで、容易に第1動作モードから第2動作モードへ切り替えることができる。また、このとき、吸込掃除部2の駆動を停止するため、吸込掃除部2の故障を抑制することができる。
【0118】
(変形例1)
実施の形態3では、拭き掃除部3Bを昇降させるとしたが、回転ブラシ2bを昇降させてもよい。つまり、自律走行型掃除機10Bは、回転ブラシ2bを昇降させる昇降部をさらに備えていてもよい。この回転ブラシ2bは、本体1に対して昇降することで床面から離れた第3の位置と床面に接触している第4の位置とに昇降自在であってもよい。この場合、制御回路7Bは、第1動作モードにおいて回転ブラシ2bを第4の位置に位置させた状態で駆動し、第1動作モードから第2動作モードへの切り替えにおいて、回転ブラシ2bの駆動を停止し、かつ、回転ブラシ2bを第3の位置に位置させる。回転ブラシ2bを昇降させる昇降部としては、昇降部20と同様の構成を用いることができる。
【0119】
これによれば、自律走行型掃除機10Bは、走行先の床面上に液体を検知した場合、回転ブラシ2bを上昇させるため、液体で回転ブラシ2bが濡れることを抑制することができる。
【0120】
(変形例2)
実施の形態3では、カメラ6により撮影された画像を用いて本体1の走行先の床面上に液体を検知するとしたが、実施の形態2と同様に、電極9を用いて本体1の走行先の床面上に液体を検知してもよい。拭き掃除部3Bを昇降させることで、動作モードを切り替える形態において、実施の形態2と同様に、電極9を用いて本体1の走行先の床面上に液体を検知する場合、電極9は、本体1の走行方向の後側に設けられていなくてもよく、前側に設けられていればよい。
【0121】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態1では、自律走行型掃除機10が自律走行型掃除機10の周囲の床面上の液体を検知するとしたが、これに限らずに、自律走行型掃除機10とは異なる他の装置が自律走行型掃除機10の周囲の床面上の液体を検知してもよい。この場合、他の装置は、自律走行型掃除機10の周囲の床面上の液体の検知結果を通信により自律走行型掃除機10に通知してもよい。これにより、自律走行型掃除機10は、周囲の床面上の液体を検知することができる。
【0122】
以上、本開示の一つまたは複数の態様に係る自律走行型掃除機について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本開示は、効率よく掃除を行うことができる自律走行型掃除機等として有用である。
【符号の説明】
【0124】
1 本体
2 吸込掃除部
2a 吸込口
2b 回転ブラシ
3、3B 拭き掃除部
3a 開口
4 駆動輪
5 サイドブラシ
6 カメラ
7、7A、7B 制御回路
9 電極
10、10A、10B 自律走行型掃除機
11 走行用モータ
12 吸込用モータ
13、14 ブラシ用モータ
20 昇降部
21 昇降用モータ
22 ギヤボックス
23 昇降用シャフト
24 開閉用シャフト
25 レール
30 可動カバー
40 床面
100 液体