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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】延縄用スナップ取り外し装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/18 20060101AFI20231020BHJP
【FI】
A01K91/18 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020178775
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069871
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391043790
【氏名又は名称】株式会社小野寺鐵工所
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110722
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100213540
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 恵庭
(72)【発明者】
【氏名】畠山 隼人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敦
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-275864(JP,A)
【文献】特許第3003066(JP,B2)
【文献】実開昭60-100978(JP,U)
【文献】特開平4-349838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 91/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹縄に枝縄や浮縄を連結するために前記幹縄に取り付けられたスナップを、前記幹縄を巻き取る際に取り外す延縄用スナップ取り外し装置において、
巻き取られる前記幹縄を巻き取り位置が変わらないように保持する幹縄保持部と、
前記幹縄に取り付けられた前記スナップを保持するガイドと、
前記ガイドに保持された前記スナップを押圧することにより前記幹縄を挟持した前記スナップの連結部を開放する押圧部と、
前記ガイド及び前記押圧部を支持する追随台と、
前記追随台を所定方向に移動させることにより、開放された前記連結部から前記幹縄を離脱させて前記幹縄から前記スナップを取り外す駆動部と、
を備えていることを特徴とする延縄用スナップ取り外し装置。
【請求項2】
請求項1に記載の延縄用スナップ取り外し装置において、
さらに、前記駆動部によって動作するカム機構を備え、
前記押圧部は、前記カム機構によって前記スナップを押圧するように構成されていることを特徴とする延縄用スナップ取り外し装置。
【請求項3】
請求項2に記載の延縄用スナップ取り外し装置において、
前記ガイドは前記駆動部によって前記幹縄の巻取方向と交差する方向に移動する前記追随台に配置されていると共に、前記カム機構は前記追随台の移動に伴って動作することを特徴とする延縄用スナップ取り外し装置。
【請求項4】
請求項3に記載の延縄用スナップ取り外し装置において、
前記幹縄保持部、前記追随台及び前記駆動部は、架台に配置され、
前記架台は、前記幹縄に取り付けられた前記スナップが前記ガイドに保持されることによって巻き取られる前記幹縄と共に巻き取り方向に移動して前記駆動部を動作させるスイッチをONにすると共に、前記スナップが前記幹縄から取り外されると弾性部材によって元の位置に復帰することを特徴とする延縄用スナップ取り外し装置。
【請求項5】
請求項4に記載の延縄用スナップ取り外し装置において、
前記駆動部はシャフトを備えたシリンダ装置であり、前記スイッチがONされることにより前記シャフトを引き込んで前記追随台を前記幹縄の巻取方向と交差する方向に移動させると共に、前記スイッチがONされることによりタイマーが作動して前記スイッチがONされた時点から所定の時間が経過した時点で前記シャフトを伸ばして前記追随台を元の位置に戻すことを特徴とする延縄用スナップ取り外し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延縄用スナップ取り外し装置に関し、さらに詳しくは、枝縄や浮縄を幹縄に連結するために使用されるスナップを自動的に取り外すための延縄用スナップ取り外し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
延縄漁は、一本の長い幹縄に、針を取り付けた多数の枝縄を所定の間隔で連結して漁場に配置して魚を釣り上げる漁法である。延縄漁に使用される延縄(仕掛け)は、例えば、図11に示すように、一本の幹縄90に多数の枝縄91がスナップ80によって所定間隔で縄暖簾状に連結されており、各枝縄91の先端には針を介して餌92が取り付けられる。さらに、幹縄90には、浮玉93が取り付けられた浮縄94がスナップ80によって連結されており、この浮玉93によって幹縄90を海面から海中の所定の位置へ吊下される。他にも幹縄に沈子(図示せず)と呼ばれる重りを取り付けて、海底近くに延縄を張り、海底に生息している魚を釣り上げる場合もある。
【0003】
延縄漁では約3000本の枝縄が幹縄に取り付けられており、その際に使用されるスナップも約3000個となり、1回の揚縄作業でその約3000個のスナップを手作業にて幹縄から外す作業を行うこととなる。そのため、例えば、特許文献1に示すような、幹縄からスナップを自動的に取り外す延縄用漁労設備(スナップ取外し装置)が提供されている。
【0004】
特許文献1に示された延縄用漁労設備は、幹縄が船内に繰り込まれることによりスナップがスナップ取外し装置の2つの回転体(押し輪と下輪)の間に挟持され、一方の回転体(押し輪)によりスナップの可動片が圧下可動されて幹縄とのロックが解除される。これにより、幹縄は自からの張力によってスナップから離脱し、スナップは回転体の回転に伴い落下するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3003066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような延縄用漁労設備(スナップ取外し装置)の場合、縄への連結を2つの回転体によって一度解除しても、スナップの連結部が解除時と同じ位置に保持されているため、言い換えれば、幹縄に対してスナップの連結部がオフセット(離間)していないため、スナップが2つの回転体を通り過ぎたときに連結部が閉じて再び幹縄と連結してしまい、枝縄が付いた状態で幹縄を巻き取ってしまうことがある。また、特許文献1のような延縄用漁労設備が提供されているものの、実際の船では手作業でスナップの取り外しが行われていることもある。スナップを手作業で外す場合もスナップを掴みそこねるとスナップが幹縄に付いた状態でラインホーラによって巻き取られてしまうことになり、スナップが付いた状態の幹縄をラインホーラで巻き取ると、引きローラの破損やスナップの破損等が発生する。
【0007】
そこで、本発明は、幹縄に取り付けられたスナップを確実に取り外すことが可能な延縄用スナップ取り外し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、幹縄に枝縄や浮縄を連結するために前記幹縄に取り付けられたスナップを、前記幹縄を巻き取る際に取り外す延縄用スナップ取り外し装置において、巻き取られる前記幹縄を巻き取り位置が変わらないように保持する幹縄保持部と、前記幹縄に取り付けられた前記スナップを保持するガイドと、前記ガイドに保持された前記スナップを押圧することにより前記幹縄を挟持した前記スナップの連結部を開放する押圧部と、 前記ガイド及び前記押圧部を支持する追随台と、前記追随台を所定方向に移動させることにより、開放された前記連結部から前記幹縄を離脱させて前記幹縄から前記スナップを取り外す駆動部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の延縄用スナップ取り外し装置において、さらに、前記駆動部によって動作するカム機構を備え、前記押圧部は、前記カム機構によって前記スナップを押圧するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の延縄用スナップ取り外し装置において、前記ガイドは前記駆動部によって前記幹縄の巻取方向と交差する方向に移動する前記追随台に配置されていると共に、前記カム機構は前記追随台の移動に伴って動作することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するため請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の延縄用スナップ取り外し装置において、前記幹縄保持部、前記追随台及び前記駆動部は、架台に配置され、前記架台は、前記幹縄に取り付けられた前記スナップが前記ガイドに保持されることによって巻き取られる前記幹縄と共に巻き取り方向に移動して前記駆動部を動作させるスイッチをONにすると共に、前記スナップが前記幹縄から取り外されると弾性部材によって元の位置に復帰することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の延縄用スナップ取り外し装置において、前記駆動部はシャフトを備えたシリンダ装置であり、前記スイッチがONされることにより前記シャフトを引き込んで前記追随台を前記幹縄の巻取方向と交差する方向に移動させると共に、前記スイッチがONされることによりタイマーが作動して前記スイッチがONされた時点から所定の時間が経過した時点で前記シャフトを伸ばして前記追随台を元の位置に戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る延縄用スナップ取り外し装置によれば、幹縄からスナップを取り外す際に駆動部によって幹縄に対しスナップをオフセットさせながら連結部を開くこととしたので幹縄から取り外されたスナップの連結部が閉じた場合でもスナップは幹縄から離れた位置にあるため再度幹縄と連結してしまうことを防止することができ、スナップを幹縄から確実に取り外すことができるという効果がある。
【0014】
また、本発明に係る延縄用スナップ取り外し装置によれば、幹縄からスナップを自動的に外すことができるため、作業員の労力を軽減すると共に、作業員を他の作業に転用することができるので効率的な揚縄作業を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明に係る延縄用スナップ取り外し装置の一実施形態の平面図である。
図2図2は、図1に示す延縄用スナップ取り外し装置の側面図である。
図3図3は、押圧部によってスナップを押圧した状態を示す説明図である。
図4図4は、幹縄からスナップが取り外された状態を示す説明図である。
図5図5は、スナップの一実施形態の正面図である。
図6図6(a)~(c)はスナップの取り外しの概要図であり、(a)はガイドに保持されたスナップを示す概要図、(b)はスナップが押圧された状態を示す概要図、(c)は幹縄から取り外されたスナップを示す概要図である。
図7図7は架台の移動を示す斜視図である。
図8図8は、架台が幹縄の巻き取り方向に移動した状態を示す斜視図である。
図9図9は、追随台が幹縄の巻き取り方向と交差する方向に移動した状態を示す斜視図である。
図10図10は、架台が元に位置に復帰した状態を示す斜視図である。
図11図11は、延縄漁の延縄(仕掛け)の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る延縄用スナップ取り外し装置について好ましい一実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る延縄用スナップ取り外し装置の一実施形態の平面図、図2図1に示す延縄用スナップ取り外し装置の側面図である。
【0017】
[1.延縄用スナップ取り外し装置の概要]
図示された延縄用スナップ取り外し装置(以下「取り外し装置」という。)1は、巻き取られる幹縄90を巻き取り位置が変わらないように保持する幹縄保持部70と、幹縄90に取り付けられたスナップ80を保持するガイド10と、ガイド10に保持されたスナップ80を幹縄90からオフセットさせる駆動部20と、ガイド10に保持されたスナップ80を押圧することにより幹縄90を挟持したスナップ80の連結部85を開放して幹縄90からスナップ80を取り外す押圧部30(図参照)を備えている。また、取り外し装置1は、駆動部20によって動作するカム機構50を備え、押圧部30は、カム機構50によってスナップ80を押圧するように構成されている。
【0018】
そして、ガイド10は駆動部20によって幹縄90の巻取方向(A方向)と交差する方向、本実施形態では直交する方向(B方向)に移動する追随台60に配置されており、カム機構50は追随台60の移動に伴って動作するようになっている。追随台60は幹縄90の巻取方向(A方向)と直交する方向(B方向)に移動することが好ましいが、交差方向であれば必ずしも直交でなくてもよい。さらに、幹縄保持部70、追随台60及び駆動部20は、架台65に配置され、架台65は、幹縄90に取り付けられたスナップ80がガイド10に保持されることによって巻き取られる幹縄90と共に巻き取り方向(A方向)に移動して駆動部20を動作させるスイッチ40をONにすると共に、スナップ80が幹縄90から取り外されると弾性部材67によって元の位置に復帰するようになっている。
【0019】
[2.スナップの構成]
スナップ80は、図5に示すように、金属製の線状部材を折り曲げることによって弾性力を有して形成されており、一端側に略U字状の第一連結片83と第二連結片84を備えている。第一連結片83と第二連結片84は弾性力によって通常状態では互いに近接して位置しており、互いの略U字状部分である第一連結片83と第二連結片84とが交差する部分が連結部85とされ、この部分で幹縄90を挟持するようになっている。そして、押圧片81を押し込むことにより第一連結片83が第二連結片84から移動して連結部85が開放され、この状態で挟持していた幹縄90から離脱するようになっている。幹縄90から離脱したスナップ80は弾性力によってもとの状態へ復帰する。
【0020】
[3.取り外し装置の各部の構成]
次に取り外し装置1の各部の構成について説明する。
ガイド10は、図6に示すように、巻き取られる幹縄90に取りけられたスナップ80を保持する部材であり、複数のガイド片11,11によって構成されている。具体的には、スナップ80の基端側(リング状に巻回された部分)を取り囲むようにして保持する3つのガイド片11,11と、スナップ80の支持片82を保持するガイド片11を備えている。そして、各ガイド片11,11の先端側は、外側に向かって拡開して形成されており、巻き取られる幹縄90に取り付けられたスナップ80が拡開部分によって案内されて所定位置に嵌合配置されるようになっている。尚、本実施形態ではスナップ80は、幹縄90の巻き取り方向(A方向)に対してほぼ直交する姿勢で、且つ、連結部85側を斜め上方に位置するような姿勢でガイド10に保持される。
【0021】
駆動部20は、ガイド10に保持されたスナップ80を幹縄90からオフセットさせると共に、カム機構50を動作させて押圧部30でスナップ80の押圧片81を押圧することにより幹縄90からスナップ80の取り外しを行う。本実施形態では、駆動部20は、シャフト21を備えたシリンダ装置であり、シャフト21の先端は幹縄90の巻き取り方向(A方向)と交差する方向(本実施形態では直交する方向)(B方向)へ直線移動可能に配置された追随台60に取り付けられている。尚、シリンダ装置としては、例えば、油圧シリンダやエアシリンダなどを利用することができるが、追随台60を直線移動可能に動作させることができるものであれば必ずしもシリンダ装置に限るものではない。
【0022】
追随台60は、架台65上に配置されており、シャフト21の伸縮動作に伴って架台65上を幹縄90の巻取方向(A方向)と交差する方向(本実施形態では直交する方向)(B方向)へ直線移動する。そして、追随台60にはガイド10が配置されていると共に、追随台60の直線移動によってカム機構50が動作する。
【0023】
カム機構50は、駆動部20のシャフト21の伸縮運動によってスナップ80の押圧片81を押圧部30で押圧し、幹縄90を挟持している連結部85を開放して幹縄90からスナップ80の取り外しを行う。カム機構50は、追随台60に取り付けられた中心軸52と、中心軸52の下方側に取り付けられた90°屈曲した略L字状の第1リンク片54と、中心軸52の上方側に取り付けられた直線状の第2リンク片56とを備え、第1リンク片54の一端側及び第1リンク片54の一端側はそれぞれ中心軸52に取り付けられている。そして、第1リンク片54の他端側にはローラ51が取り付けられており、第2リンク片56の他端側には押圧部30が取り付けられている。また、架台65にはローラ51を案内する溝57が設けられており、この溝57は途中部分が上方に向かって傾斜した側面視略山型(「ヘ」の字状)に形成されている。これにより、ローラ51はシャフト21の伸縮に伴って溝57内を移動する。
【0024】
追随台60及び駆動部20は、いずれも架台65上に配置されている。架台65は、巻き取られる幹縄90と共に巻き取り方向(A方向)に移動可能とされており、架台65の移動方向(A方向)には駆動部20の動作を開始させるためのスイッチ40が配置されている。幹縄90に取り付けられたスナップ80がガイド10に保持された状態で幹縄90の巻き取りが行われると、架台65も一緒に幹縄90の巻き取り方向(A方向)に移動し、その際にスイッチ40に接触してON状態とし、駆動部20の動作を開始させ、シャフト21の引き込みが開始される。
【0025】
また、架台65は、幹縄90の巻き取り方向(A方向)と平行な位置に配置された丸棒68に沿って移動可能とされており、移動方向の丸棒68にはその周囲を巻回するようにして弾性部材67が配置されている。架台65は弾性部材67によって所定位置に保持されており、スナップ80がガイド10に保持された状態で架台65が幹縄90の巻き取り方向(A方向)に移動する際には、架台65は弾性部材67の弾性力に抗して移動するようになっている。そして、スナップ80が幹縄90から外れると、架台65は幹縄90に対してフリーな状態となるため、弾性部材67の弾性力によって架台65は元の位置に復帰する。そして、取り外し装置1はこの動作を順次繰り返す。尚、本実施形態では弾性部材67はバネ(スプリング)を用いているが、伸縮性のある合成ゴムのようなものであってもよい。
【0026】
架台65には、巻き取られる幹縄90を巻き取り位置が変わらないように保持する幹縄保持部70が取り付けられている。幹縄保持部70は、図2に示すように、先端に幹縄90に当接して保持する略Y字状の当接部71を備えており、駆動部20のシャフト21が伸長した位置にあるときに、ガイド10に保持されたスナップ80の連結部85に挟持された幹縄90がスナップ80の手前側と反対側で屈曲することなく一直線状となる位置で幹縄90を保持する。スナップ80を取り外す位置までシャフト21を引き込んだ場合でも幹縄保持部70の当接部71の位置は変わらない。従って、スナップ80を取り外す位置までガイド10が引き込まれた状態にあるときには幹縄90は連結部85を起点として屈曲した状態となる。しかし、スナップ80が幹縄90から外れれば幹縄90は幹縄保持部70の当接部71を通る直線位置に戻る。従って、スナップ80と幹縄90は互いにオフセットした(離れた)位置にあるため、一度開放されたスナップが再び幹縄90を挟持することが防止される。
【0027】
架台65の移動方向には駆動部20を動作させるためのスイッチ40が配置されている。スイッチ40は架台65の一部と接触してスイッチ40をON状態とする接触部41を備えている。架台65が接触部41に接触することによりスイッチ40がON状態となって駆動部20が駆動を開始する。また、スイッチ40はON状態にされた時点で作動するタイマー(図示せず)を備えており、スイッチ40がONされた時点から所定の時間が経過した時点でシャフト21を再び伸ばして追随台60を元の位置に戻し、スイッチ40はOFF状態となる。尚、いうまでもないが、所定時間はスイッチ40がONとなった時点からスナップ80が幹縄90から取り外されるまでの時間である。この時間は約2~3秒である。
【0028】
[4.延縄用スナップ取り外し装置の動作]
次に、図6図10を参照しつつ、取り外し装置1の動作について説明する。幹縄90の巻き取りを開始する際には、予め幹縄90が幹縄保持部70の当接部71に当接するように位置合わせを行う。そして、図示しないラインホーラによって幹縄90の巻き取りを開始する。幹縄90の巻き取りが開始されると、幹縄90に取り付けられているスナップ80がガイド10の先端部分に案内されて所定位置に保持される(図2図7の状態)。スナップ80がガイド10に保持されるとスナップ80がガイド10に係止された状態となり、幹縄90の巻き取りが継続して行われているのでその状態のままで架台65が幹縄90の巻き取り方向(A方向)へ移動を開始する。架台65が移動を開始すると架台65はスイッチ40の接触部41に接触してON状態とし、駆動部20の動作を開始させる。駆動部20動作を開始するとシャフト21が引き込まれ、追随台60が駆動部20方向に移動する。これに伴ってカム機構50の動作が開始される。
【0029】
次に図6を参照しつつカム機構50の動作を説明する。図6(a)~(c)はスナップの取り外しの概要図であり、(a)はガイドに保持されたスナップを示す概要図、(b)はスナップが押圧された状態を示す概要図、(c)は幹縄から取り外されたスナップを示す概要図である。上述のように、スナップ80は、幹縄90の巻き取りによって拡開したガイド10の先端に案内されるようにしてガイド10の所定位置に配置される。スナップ80がガイド10に保持された最初の状態ではシャフト21は伸長した状態にある(図6(a))。そして、駆動部20が駆動を開始すると伸長状態にあったシャフト21が駆動部20側に引き込まれ、追随台60を駆動部20側に引き込む。これにより、中心軸52も駆動部20側に引き込まれるのでローラ51が溝57の傾斜面を登るようにして駆動部20側に移動する(図6(b))。これに伴って、第2リンク片56が中心軸52を中心に回転(揺動)し、押圧部30がスナップ80の押圧片81を押圧する。すなわち、カム機構50はシャフト21の直動力を第2リンク片56の回転力に変換し、押圧部30によってスナップ80の押圧片81を押圧する。
【0030】
シャフト21がさらに引き込まれるとローラ51は溝57の頂部から傾斜を下るようにして溝57の反対側の端部に至る。すると押圧部30は押圧片81から離れ、スナップ80は第一連結片83と第二連結片84は再び近接して連結部85を形成する。しかし、このときには連結部85は幹縄90から大きくオフセット(離間)した位置にあるのでスナップ80の連結部85が再び幹縄90を挟持することが防止される(図6(c))。これにより、連結部85が開放されてスナップ80が幹縄90から確実に取り外される。取り外されたスナップ80は自然落下により幹縄90から外れる。
【0031】
カム機構50が上述の一連の動作を行っているときに架台65は幹縄90の巻き取り方向(A方向)に移動しているが(図8)、追随台60が駆動部20側(B方向)に引き込まれスナップ80が幹縄90から外れると(図9、)架台65と幹縄90はフリーの状態となるので架台65は弾性部材67によって再び元の位置に押し戻される(図10)。一方で、スイッチ40がONとなった時点で図示しないタイマーが作動しており、所定時間が経過した時点で駆動部20のシャフト21を伸長させ、追随台60を元の位置に復帰させる。これにより、取り外し装置1は当初の状態に戻り、次のスナップ80の取り外しのために待機する。以後上記の各ステップを繰り返す。
【0032】
以上のように、取り外し装置1は、スナップ80を自動的に幹縄90から取り外すことができ、しかも、スナップ80を取り外す際にはスナップ80と幹縄90とがオフセット(離間)しているので、スナップ80が再び幹縄90を挟持してしまうことを確実に防止することができる。
【0033】
以上のように、本発明について好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱或いは変更しない範囲内で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 取り外し装置
10 ガイド
11 ガイド片
20 駆動部
21 シャフト
30 押圧部
40 スイッチ
41 接触部
50 カム機構
51 ローラ
52 中心軸
54 第1リンク片
56 第2リンク片
57 溝
60 追随台
65 架台
67 弾性部材
68 丸棒
70 幹縄保持部
71 当接部
80 スナップ
81 押圧片
82 支持片
83 第一連結片
84 第二連結片
85 連結部
90 幹縄
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11