(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】負荷制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 45/31 20200101AFI20231020BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20231020BHJP
H05B 45/315 20200101ALI20231020BHJP
H05B 45/395 20200101ALI20231020BHJP
H05B 45/37 20200101ALI20231020BHJP
【FI】
H05B45/31
H05B47/19
H05B45/315
H05B45/395
H05B45/37
(21)【出願番号】P 2020199097
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】前場 康太
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/022117(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/038097(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/003376(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/31
H05B 47/19
H05B 45/315
H05B 45/395
H05B 45/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に対して負荷と直列に接続され、前記負荷に供給する交流電圧の位相を制御するスイッチと、
前記スイッチを導通状態または非導通状態に制御する制御部と、
前記制御部の制御とは異なる処理を行う付加機能部と、
前記交流電源から供給される電力を受けて、前記制御部及び前記付加機能部に供給するための定電流電力を生成する定電流電源部と、を備え、
前記定電流電源部は、前記交流電源からの入力電流によって充電される
第1蓄電部を有し、前記
第1蓄電部を電源として前記制御部及び前記付加機能部に供給するための定電流電力を生成し、
前記制御部は、前記
第1蓄電部の電圧値に応じて、前記定電流電源部が前記交流電源から電力の供給を受ける供給期間を制御
し、
前記定電流電源部の後段に、前記定電流電源部の出力電流によって充電される第2蓄電部が設けられ、
前記第2蓄電部の充電電圧が一定電圧を超えると、前記第2蓄電部と並列にインピーダンス要素を接続するスイッチ回路が設けられ、
前記第2蓄電部から前記制御部及び前記付加機能部に給電される、
負荷制御システム。
【請求項2】
前記
第1蓄電部の電圧を検出する電圧検出部を更に備え、
前記制御部は、前記電圧検出部の検出電圧に応じて、前記供給期間を制御する、
請求項1に記載の負荷制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記電圧検出部の検出電圧が閾値より高い場合の前記供給期間に比べて、前記電圧検出部の検出電圧が前記閾値以下である場合の前記供給期間を長くする、
請求項2に記載の負荷制御システム。
【請求項4】
交流電源に対して負荷と直列に接続され、前記負荷に供給する交流電圧の位相を制御するスイッチと、
前記スイッチを導通状態または非導通状態に制御する制御部と、
前記制御部の制御とは異なる処理を行う付加機能部と、
前記交流電源から供給される電力を受けて、定電流電力を生成する定電流電源部と、を備え、
前記定電流電源部は、前記交流電源からの入力電流によって充電される第1蓄電部を有し、
前記定電流電源部の後段に、前記定電流電源部の出力電流によって充電される第2蓄電部が設けられ、
前記第2蓄電部の充電電圧が一定電圧を超えると、前記第2蓄電部と並列にインピーダンス要素を接続するスイッチ回路が設けられ、
前記第2蓄電部から前記制御部及び前記付加機能部に給電される、
負荷制御システム。
【請求項5】
前記スイッチ回路が、前記インピーダンス要素と直列に接続されるツェナーダイオードを含み、
前記第2蓄電部の充電電圧が前記一定電圧を超えると、前記ツェナーダイオードが導通状態になることで前記第2蓄電部と並列に前記インピーダンス要素を接続する、
請求項4に記載の負荷制御システム。
【請求項6】
前記交流電源から前記負荷へ給電する給電期間において、前記ツェナーダイオードが、前記第2蓄電部の充電電圧を前記一定電圧に保つ動作を行う、
請求項5に記載の負荷制御システム。
【請求項7】
前記交流電源から前記負荷へ給電する給電期間、及び、前記交流電源から前記負荷への給電が停止した給電停止期間のそれぞれで、前記ツェナーダイオードが、前記第2蓄電部の充電電圧を前記一定電圧に保つ動作を行う、
請求項6に記載の負荷制御システム。
【請求項8】
前記定電流電源部が第1電源であり、
前記第1電源からの定電流電力を受けて、前記制御部及び前記付加機能部に電力供給する第2電源と、
前記第2電源の入力電圧を検出する入力電圧検出部と、を更に備え、
前記制御部は、前記入力電圧検出部の検出電圧が停止閾値以下になると、前記付加機能部の動作を制限する、
請求項4~7のいずれか1項に記載の負荷制御システム。
【請求項9】
前記付加機能部は、間欠的な送受信が可能な無線通信部を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の負荷制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、負荷制御システムに関する。より詳細には、本開示は、交流電源と負荷との間に接続されるスイッチ部を備える負荷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、照明負荷を調光する調光装置が開示されている。この調光装置は、一対の端子と、制御回路部と、制御回路部に制御電源を供給する制御電源部とを備えている。
【0003】
一対の端子間には、制御回路部と制御電源部とが並列に接続されている。また、一対の端子間には、交流電源と照明負荷との直列回路が接続される。照明負荷は、複数のLED(Light Emitting Diode)素子と、各LED素子を点灯させる電源回路とを備えている。電源回路は、ダイオードと電解コンデンサとの平滑回路を備えている。
【0004】
制御回路部は、照明負荷に供給する交流電圧を位相制御するスイッチ部と、スイッチ部を駆動するスイッチドライブ部と、スイッチドライブ部及び制御電源部を制御する制御部と、を備えている。
【0005】
制御電源部は、スイッチ部に並列に接続されている。制御電源部は、スイッチ部(スイッチ)がオフの期間に、交流電源の交流電圧を制御電源に変換して、電解コンデンサに蓄積する。
【0006】
制御部には、制御電源部から電解コンデンサを通じて制御電源が供給される。制御部は、調光操作部で設定された調光レベルに応じて、交流電圧の半サイクルごとの期間途中で、照明負荷への給電を遮断する逆位相制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の調光装置では、照明負荷の調光レベルが明るくなり、交流電圧の各半周期においてスイッチ部がオフの期間が短くなると、電解コンデンサに蓄積される電荷量が減少するため、制御電源部の供給電力が不足する可能性がある。
【0009】
本開示の目的は、定電流電源部の供給電力が不足する可能性を低減した負荷制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様の負荷制御システムは、スイッチと、制御部と、付加機能部と、定電流電源部と、を備える。前記スイッチは、交流電源に対して負荷と直列に接続され、前記負荷に供給する交流電圧の位相を制御する。前記制御部は、前記スイッチを導通状態または非導通状態に制御する。前記付加機能部は、前記制御部の制御とは異なる処理を行う。前記定電流電源部は、前記交流電源から供給される電力を受けて、前記制御部及び前記付加機能部に供給するための定電流電力を生成する。前記定電流電源部は、前記交流電源からの入力電流によって充電される第1蓄電部を有し、前記第1蓄電部を電源として前記制御部及び前記付加機能部に供給するための定電流電力を生成する。前記制御部は、前記第1蓄電部の電圧値に応じて、前記定電流電源部が前記交流電源から電力の供給を受ける供給期間を制御する。前記定電流電源部の後段に、前記定電流電源部の出力電流によって充電される第2蓄電部が設けられ、前記第2蓄電部の充電電圧が一定電圧を超えると、前記第2蓄電部と並列にインピーダンス要素を接続するスイッチ回路が設けられ、前記第2蓄電部から前記制御部及び前記付加機能部に給電される。
【0011】
本開示の一態様の負荷制御システムは、スイッチと、制御部と、付加機能部と、定電流電源部と、を備える。前記スイッチは、交流電源に対して負荷と直列に接続され、前記負荷に供給する交流電圧の位相を制御する。前記制御部は、前記スイッチを導通状態または非導通状態に制御する。前記付加機能部は、前記制御部の制御とは異なる処理を行う。前記定電流電源部は、前記交流電源から供給される電力を受けて、定電流電力を生成する。前記定電流電源部は、前記交流電源からの入力電流によって充電される第1蓄電部を有する。前記定電流電源部の後段に、前記定電流電源部の出力電流によって充電される第2蓄電部が設けられる。前記第2蓄電部の充電電圧が一定電圧を超えると、前記第2蓄電部と並列にインピーダンス要素を接続するスイッチ回路が設けられる。前記第2蓄電部から前記制御部及び前記付加機能部に給電される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、定電流電源部の供給電力が不足する可能性を低減した負荷制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係る負荷制御システムのブロック回路図である。
【
図2】
図2は、同上の負荷制御システムの各部の波形図である。
【
図3】
図3は、同上の負荷制御システムの動作を説明するタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、同上の負荷制御システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、同上の負荷制御システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、同上の負荷制御システムが備える入力電圧検出部の検出電圧を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
(1)概要
以下、一実施形態に係る負荷制御システム1の概要について、
図1を参照して説明する。
【0015】
本実施形態に係る負荷制御システム1は、
図1に示すように、交流電源2に対して負荷(図中「LD」と表記)3と直列に接続されるスイッチ11を備える。
【0016】
スイッチ11は、例えば、トランジスタ又は双方向サイリスタ等の半導体スイッチにて実現される。本実施形態では、負荷制御システム1は、スイッチ11を電子的に制御することにより、交流電源2と負荷3との間の導通/非導通を電子的に切り替える、いわゆる電子スイッチである。負荷制御システム1は、交流電源2及び負荷3の直列回路が接続される一対の接続端子TA1,TA2を備えており、スイッチ11は、一対の接続端子TA1,TA2の間に電気的に接続されている。言い換えれば、負荷制御システム1の内部において、接続端子TA1と接続端子TA2とは、スイッチ11を介して電気的に接続されている。一方の接続端子TA1が交流電源2に接続され、他方の接続端子TA2が負荷3に接続されることで、交流電源2と負荷3との間にスイッチ11が電気的に直列に接続されている。
【0017】
このような構成によれば、負荷制御システム1は、交流電源2から負荷3への通電状態(電力の供給状態)を、スイッチ11にて制御することできる。基本的には、スイッチ11の動作状態が導通状態にあれば、接続端子TA1と接続端子TA2との間がスイッチ11を介して導通し、スイッチ11の動作状態が遮断状態にあれば、接続端子TA1と接続端子TA2との間が非導通となる。つまり、スイッチ11が導通状態にあれば、負荷制御システム1を介して交流電源2から負荷3への電力の供給が行われる給電状態となる。また、スイッチ11が遮断状態にあれば、負荷制御システム1にて交流電源2から負荷3への電力の供給が遮断される遮断状態となる。つまり、本実施形態の負荷制御システム1は、負荷3に電力を供給する給電状態と、負荷3への電力供給を遮断する遮断状態とを切り替えるスイッチとして機能する。なお、負荷制御システム1は、調光レベルに応じてスイッチ11がオンするタイミング又はオフするタイミングを制御することによって、照明負荷である負荷3の明るさを調整する調光機能を備えてもよいが、負荷制御システム1が調光機能を備えることは必須ではない。
【0018】
ところで、本実施形態に係る負荷制御システム1は、スイッチ11と、制御部121と、付加機能部122と、定電流電源部13と、を備える。
【0019】
スイッチ11は、交流電源2に対して負荷3と直列に接続され、負荷3に供給する交流電圧の位相を制御する。
【0020】
制御部121は、スイッチ11を導通状態または非導通状態に制御する。
【0021】
付加機能部122は、制御部121の制御とは異なる処理を行う。
【0022】
定電流電源部13は、交流電源2から供給される電力を受けて、制御部121及び付加機能部122に供給するための定電流電力を生成する。
【0023】
定電流電源部13は、交流電源2からの入力電流によって充電される蓄電部(第1蓄電部C1)を有している。定電流電源部13は、蓄電部を電源として制御部121及び付加機能部122に供給するための定電流電力を生成する。
【0024】
制御部121は、蓄電部の電圧値に応じて、定電流電源部13が交流電源2から電力の供給を受ける供給期間を制御する。
【0025】
ここにおいて、付加機能部122が行う「制御部121の制御とは異なる処理」とは、制御部121がスイッチ11の導通状態又は遮断状態を制御するスイッチング動作以外の機能を実現するための処理である。以下では、付加機能部122が、間欠的な送受信が可能な無線通信部123を含み、制御部121の制御とは異なる処理が無線通信方式で通信を行う処理である形態について説明する。
【0026】
本実施形態では、定電流電源部13は、交流電源2からの入力電流によって充電される蓄電部を電源として、制御部121及び付加機能部122に供給するための定電流電力を生成する。そして、制御部121は、蓄電部の電圧値に応じて供給期間を制御しているので、蓄電部の充電状態に応じて、蓄電部が交流電源2からの入力電流によって充電される期間を制御することができる。よって、本実施形態の負荷制御システム1では、定電流電源部13の供給電力が不足する可能性を低減できる。
【0027】
また、本実施形態の負荷制御システム1では、交流電源2と負荷3との間にスイッチ11を挿入するための一対の接続端子TA1,TA2から、制御部121及び付加機能部122を有する処理回路12等の動作用の電力を確保している。すなわち、負荷制御システム1は、一対の接続端子TA1,TA2に接続される2本の電線にて、処理回路12等の動作用の電力を確保できる、いわゆる2線式の負荷制御システムである。このような2線式の負荷制御システム1においては、処理回路12等の動作用の電力を供給するための電源端子を、一対の接続端子TA1,TA2とは別に設ける必要がなく、負荷制御システム1を設置する際の配線作業が簡単になる。なお、「接続端子」は、電線等を接続するための部品(端子)でなくてもよく、例えば電子部品のリードや、回路基板に含まれる導体の一部であってもよい。
【0028】
(2)詳細
本実施形態に係る負荷制御システム1は、上述したように、スイッチ11と、処理回路12と、定電流電源部13を含む電源回路24と、一対の接続端子TA1,TA2と、を備える。また、負荷制御システム1は、ダイオードD1,D2と、第2リニア電源18と、レベルシフト回路191,192と、ゼロクロス検出回路(図中はZCと表記)201,202と、第1電圧検出部21及び第2電圧検出部22と、インタフェース部25と、を更に備えている。処理回路12は、上述した制御部121及び付加機能部122の機能を有している。
【0029】
本実施形態の負荷制御システム1は、一例として壁スイッチ等に適用可能である。負荷制御システム1は、住宅用又は非住宅用の施設の壁等に取り付けられた状態で使用される。負荷制御システム1は、施設の壁等に取り付けられる器体を有しており、この器体には、
図1に示す回路の構成部品が保持されている。
【0030】
スイッチ11は、例えば、接続端子TA1,TA2間に電気的に直列に接続された2個のスイッチ素子Q1,Q2を含む。例えば、スイッチ素子Q1,Q2の各々はMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)からなる半導体スイッチ素子である。
【0031】
スイッチ素子Q1,Q2は、接続端子TA1,TA2間において、いわゆる逆直列に接続されている。つまり、スイッチ素子Q1,Q2はソース同士が互いに接続されている。スイッチ素子Q1のドレインは接続端子TA1に接続され、スイッチ素子Q2のドレインは接続端子TA2に接続されている。両スイッチ素子Q1,Q2のソースは、負荷制御システム1の基準電位(後述する電源回路24の基準電位)に接続されている。
【0032】
スイッチ11は、スイッチ素子Q1,Q2のオン、オフの組み合わせにより、4つの状態を切替可能である。スイッチ素子Q1,Q2は、それぞれ、制御部121によってオン又はオフに制御される。ここで、4つの状態には、両スイッチ素子Q1,Q2が共にオフである「双方向オフ状態」と、両スイッチ素子Q1,Q2が共にオンである「双方向オン状態」と、スイッチ素子Q1,Q2の一方のみがオンである2種類の「一方向オン状態」とがある。一方向オン状態では、スイッチ素子Q1,Q2のうち、オンの方のスイッチ素子から、オフの方のスイッチ素子のボディダイオードを通して一対の接続端子TA1,TA2間が一方向に導通することになる。例えば、スイッチ素子Q1がオン、スイッチ素子Q2がオフの状態では、接続端子TA1から接続端子TA2に向けて電流を流す「第1の一方向オン状態」となる。また、スイッチ素子Q2がオン、スイッチ素子Q1がオフの状態では、接続端子TA2から接続端子TA1に向けて電流を流す「第2の一方向オン状態」となる。そのため、接続端子TA1,TA2間に交流電源2から交流電圧Vacが印加される場合、交流電圧Vacの正極性、つまり接続端子TA1の電圧が接続端子TA2の電圧よりも高い半周期においては、第1の一方向オン状態が「順方向オン状態」、第2の一方向オン状態が「逆方向オン状態」となる。交流電圧Vacの負極性、つまり接続端子TA2の電圧が接続端子TA1の電圧よりも高い半周期においては、第2の一方向オン状態が「順方向オン状態」、第1の一方向オン状態が「逆方向オン状態」となる。
【0033】
ここで、スイッチ11は、「双方向オン状態」及び「順方向オン状態」の両状態がスイッチ11を介して負荷3に電流が流れる「導通状態」である。スイッチ11は、「双方向オフ状態」及び「逆方向オン状態」の両状態がスイッチ11を介して負荷3に電流が流れない「非導通状態」である。したがって、制御部121は、交流電圧Vacの正極性の半周期又は負極性の半周期において、スイッチ素子Q1,Q2をそれぞれオン又はオフに制御することで、スイッチ11を「導通状態」又は「非導通状態」に制御することができる。
【0034】
各スイッチ素子Q1,Q2のゲート端子は、レベルシフト回路191,192に電気的に接続されている。レベルシフト回路191,192は、制御部121から入力される制御信号S1,S2に応じて、各スイッチ素子Q1,Q2のゲート端子に駆動信号を出力して、各スイッチ素子Q1,Q2を駆動する。
【0035】
インタフェース部25には、交流電圧Vacの各半周期において負荷3への通電を開始又は終了する位相角(導通角)を規定する入力レベルが入力される。つまり、入力レベルは、交流電圧Vacの各半周期においてスイッチ11が導通状態になるタイミング又は非導通状態になるタイミングを規定する。本実施形態では、負荷制御システム1は調光装置であるから、インタフェース部25は、ユーザによる操作を受け付け、入力レベルとしての調光レベルの入力を受け付ける。インタフェース部25は、処理回路12に対し調光レベルを表す調光信号を出力する。調光信号とは、負荷3の光出力の大きさを指定する数値等であって、負荷3を消灯状態とする「OFFレベル」を含む場合もある。本実施形態では一例として、インタフェース部25は、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルを有している。タッチパネルは、負荷制御システム1の器体の前側に配置されており、施設の壁等に負荷制御システム1の器体が取り付けられた状態でユーザのタッチ操作を受け付け可能に構成されている。なお、インタフェース部25は、入力レベル(調光レベル)を表す信号を出力する構成であればよく、例えば可変抵抗器又はロータリスイッチ等であってもよい。
【0036】
インタフェース部25は、入力された入力レベル(調光レベル)を表示する表示部(インジケータ)を更に有していることが好ましい。インタフェース部25は、例えば、複数個のLED素子からなる表示部を含み、LED素子の点灯数によって入力レベルを表示する。
【0037】
処理回路12は、上述のように、制御部121及び付加機能部122等の機能を有している。処理回路12は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成とする。マイクロコントローラのメモリに記録されたプログラムを、マイクロコントローラのプロセッサが実行することにより、処理回路12の各機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。以下、処理回路12が備える各機能について説明する。なお、本実施形態では、処理回路12が、制御部121、及び、付加機能部122の機能を有しているが、制御部121と付加機能部122とは別々の部品で構成されていてもよい。
【0038】
処理回路12は、制御部121の制御とは異なる処理として、無線通信方式で通信処理を行う付加機能部122を備えている。具体的には、付加機能部122は、無線局の免許が不要な近距離の無線通信方式で通信を行う無線通信部123を含んでいる。本実施形態では、付加機能部122は、例えば特定小電力無線の通信規格に準拠した無線通信部123を含む。無線通信部123は、例えば、制御親機との間で無線通信方式で間欠的に通信を行う。無線通信部123は、制御親機から任意のタイミングで送信される無線信号の受信待ちを間欠的に行う。無線通信部123が制御親機から無線信号を受信すると、処理回路12は無線通信部123が受信した無線信号に応じた動作を行う。また、処理回路12は、制御親機からの無線信号に対する応答信号を無線通信部123から制御親機に送信させる場合もある。例えば、制御親機が負荷3の制御信号(例えば負荷3の調光信号)を含む無線信号を送信した場合、処理回路12は、無線通信部123が受信した制御信号に応じて負荷3を制御し、制御結果を応答信号として無線通信部123から制御親機に送信させる。本実施形態では、無線通信部123が間欠的に動作するため、無線通信部123を含む付加機能部122の消費電力は一定ではない。無線通信部123の送信時には無線通信部123の消費電力が増加する。また、周囲のノイズ環境の悪化により通信エラーが増加すると、無線通信部123の受信回数や送信回数が増えることで、無線通信部123の消費電力が更に増加する。なお、無線通信部123は、特定小電力無線の通信規格に準拠した通信モジュールに限定されず、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信方式に準拠した通信モジュールでもよい。
【0039】
ゼロクロス検出回路201,202は、接続端子TA1,TA2間に印加される交流電圧Vac(以下、スイッチ間電圧ともいう)の大きさを検出することで、スイッチ間電圧のゼロクロス点を検出するように構成されている。
【0040】
ゼロクロス検出回路201は、接続端子TA1に電気的に接続されている。ゼロクロス検出回路201は、負荷制御システム1の基準電位に対する接続端子TA1の電圧の絶対値と、基準値(例えば、10〔V〕)とを比較することにより、スイッチ間電圧が負極性から正極性に切り替わる際のゼロクロス点を検出する。つまり、ゼロクロス検出回路201は、正極性のスイッチ間電圧の絶対値が基準値未満の状態から基準値以上の状態に移行したことを検出すると、ゼロクロス点と判断し、検出信号ZC1を処理回路12に出力する。
【0041】
ゼロクロス検出回路202は、接続端子TA2に電気的に接続されている。ゼロクロス検出回路202は、負荷制御システム1の基準電位に対する接続端子TA2の電圧の絶対値と、基準値(例えば、10〔V〕)とを比較することにより、スイッチ間電圧が正極性から負極性に切り替わる際のゼロクロス点を検出する。つまり、ゼロクロス検出回路202は、負極性のスイッチ間電圧の絶対値が基準値未満の状態から基準値以上の状態に移行したことを検出すると、ゼロクロス点と判断し、検出信号ZC2を処理回路12に出力する。
【0042】
したがって、ゼロクロス検出回路201,202で検出されるゼロクロス点の検出タイミングは、厳密な意味でのゼロクロス点(0〔V〕)から少し時間が遅れることになる。
【0043】
制御部121は、ゼロクロス検出回路201,202によるゼロクロス点の検出結果と、負荷3の調光レベルとに基づいて、スイッチ11を導通状態又は非導通状態に制御することで、負荷3に供給する交流電圧Vacを位相制御する。制御部121は、スイッチ素子Q1,Q2の各々を別々に制御することで、スイッチ11を導通状態又は非導通状態に制御する。具体的には、制御部121は、制御信号S1,S2をレベルシフト回路191,192に出力し、レベルシフト回路191,192を介してスイッチ素子Q1,Q2の各々を別々に制御する。
【0044】
本実施形態では、制御部121は、交流電圧Vacの半周期ごとの期間途中で、負荷3への給電を遮断する「逆位相制御」を行っている。
図2は、制御部121が逆位相制御を行っている場合の交流電圧「Vac」、負荷3に印加される負荷電圧「VL」、スイッチ11の両端間の電圧「V10」を示している。制御部121は、交流電圧Vacの半サイクルごとにゼロクロス点(時間t0,t3)から、第1供給期間TA1が経過したタイミング(時間t1,t4)でスイッチ11を導通状態に制御して負荷3に電力を供給する。制御部121は、スイッチ11を導通状態に制御してから、期間T10が経過したタイミング(時間t2,t5)で、スイッチ11を非導通状態に制御し、負荷3への給電を遮断する。期間T10の時間幅は、負荷3の調光レベルに応じた時間幅である。これにより、制御部121は、インタフェース部25又は付加機能部122からの調光信号に基づいて、交流電圧Vacの半サイクルごとに、調光レベルに応じた時間幅の期間T10だけ負荷3に電力を供給でき、負荷3を調光点灯することができる。
【0045】
次に、電源回路24について説明する。電源回路24は、交流電源2から供給される電力を受けて、制御部121及び付加機能部122を有する処理回路12に供給する電力を生成する。
【0046】
本実施形態では、電源回路24は、定電流電源部13と、定電圧制御部16と、第2電源であるDC/DCコンバータ(図中「DC/DC」と表記)17と、を備えている。また、定電流電源部13は、第1リニア電源14と、第1蓄電部C1と、電流制限回路15と、を備えている。
【0047】
定電流電源部13の第1リニア電源14は、ダイオードD1を介して接続端子TA1に電気的に接続され、ダイオードD2を介して接続端子TA2に電気的に接続されている。これにより、ダイオードD1,D2と、スイッチ素子Q1,Q2の各々のボディダイオードとで構成されるダイオードブリッジにて、接続端子TA1,TA2間に印加される交流電圧Vacが全波整流されて、第1リニア電源14に供給される。したがって、スイッチ11が非導通状態にある場合、第1リニア電源14には、全波整流された交流電圧Vac(ダイオードブリッジから出力される脈流電圧)が印加されることになる。
【0048】
第1リニア電源14は、例えば、シリーズレギュレータ方式のドロッパ電源である。第1リニア電源14に全波整流された交流電圧Vacが印加されると、第1リニア電源14は印加された電圧の降圧及び平滑を行い、直流電圧を生成する。また、本実施形態では、処理回路12が、第1リニア電源14に含まれている半導体スイッチの制御端子に制御信号S3を出力することによって、第1リニア電源14(すなわち電源回路24)の入力インピーダンスを変化させることができる。処理回路12は、第1リニア電源14の入力インピーダンスを相対的に高い第1状態と相対的に低い第2状態とのいずれかに切り替えることができる。処理回路12が、信号レベルが「Hi」の制御信号S3を第1リニア電源14に出力すると、第1リニア電源14の入力インピーダンスが第1状態に切り替わり、電源回路24が電力の生成動作を停止する状態となる。また、処理回路12が、信号レベルが「Lo」の制御信号S3を第1リニア電源14に出力すると、第1リニア電源14の入力インピーダンスが第2状態に切り替わり、電源回路24が電力の生成動作を実行する状態となる。
【0049】
第1蓄電部C1は例えば電解コンデンサのようなコンデンサを含む。第1蓄電部C1は、第1リニア電源14の出力側に接続されている。第1リニア電源14に全波整流された交流電圧Vacが印加されると、第1リニア電源14は入力電圧を降圧及び平滑した直流電圧を出力し、第1リニア電源14の出力電圧によって第1蓄電部C1が充電され、第1蓄電部C1の両端に充電電圧VC1が発生する。
【0050】
本実施形態の負荷制御システム1は、第1蓄電部C1の充電電圧VC1を検出する第1電圧検出部(電圧検出部)21を備えている。第1電圧検出部21は、第1蓄電部C1の充電電圧VC1を所定の分圧比で分圧した電圧を制御部121に出力する。制御部121は、第1電圧検出部21の検出結果に応じて、定電流電源部13が交流電源2から電力の供給を受ける供給期間を制御する。具体的には、制御部121は、第1電圧検出部21の検出電圧が所定の閾値より高い場合の供給期間に比べて、第1電圧検出部21の検出電圧が閾値以下である場合の供給期間を長くする。これにより、第1蓄電部C1の電圧が閾値以下に低下すると、制御部121は、供給期間を長くすることで、第1蓄電部C1の電圧を上昇させることができ、定電流電源部13の供給電力が不足する可能性を低減できる。
【0051】
第1蓄電部C1には第2リニア電源18が接続されており、第2リニア電源18は、第1蓄電部C1の充電電圧VC1を降圧及び平滑して、レベルシフト回路191,192の動作用の電圧V4を生成する。
【0052】
また、第1蓄電部C1には電流制限回路15が接続されており、電流制限回路15の出力側には定電圧制御部16が接続されている。電流制限回路15は、第1蓄電部C1から定電圧制御部16に流れる電流を所定の電流値以下に制限する。ここで、電流制限回路15によって電流値が例えば1.5〔mA〕以下に制限される。
【0053】
定電流電源部13の後段には、定電圧制御部16が設けられている。定電圧制御部16は、電流制限回路15の出力電流によって充電される第2蓄電部C2と、第2蓄電部C2の両端電圧を定電圧に保つ定電圧デバイスと、を含み、第2蓄電部C2から制御部121及び付加機能部122に給電される。第2蓄電部C2は例えば電解コンデンサのようなコンデンサを含む。定電圧デバイスは例えばツェナーダイオードZD1であり、第2蓄電部C2と並列に、ツェナーダイオードZD1と抵抗R1との直列回路が接続されている。第1蓄電部C1の充電電圧VC1によって第2蓄電部C2が充電され、第2蓄電部C2の両端電圧がツェナーダイオードZD1のツェナー電圧(例えばDC18V)を超えると、ツェナーダイオードZD1が導通して抵抗R1に電流が流れる。つまり、定電圧デバイスは、第2蓄電部C2の充電電圧VC2が定電圧(ツェナー電圧)に達すると両端電圧V2を定電圧にクランプすることによって、定電流電源部13が定電流を出力する動作を継続させるツェナーダイオードZD1を含む。換言すると、第2蓄電部C2の充電電圧VC2が一定電圧(ツェナー電圧)を超えると、第2蓄電部C2と並列にインピーダンス要素である抵抗R1を接続するスイッチ回路としてツェナーダイオードZD1を備えている。第2蓄電部C2がツェナーダイオードZD1のツェナー電圧まで充電されると、電流制限回路15の出力電流がツェナーダイオードZD1を介して流れることによって、処理回路12(制御部121及び付加機能部122)での消費電流に関係無く、電流制限回路15は所定の電流値の電流を定常的に流す状態となる。これにより、付加機能部122を含む処理回路12の消費電力が低い場合でも、電流制限回路15が所定の電流値の電流を定常的に流すことによって、定電流電源部13が交流電源2から電力供給を受ける供給期間が固定の期間に制限されるのを抑制できる。なお、電流制限回路15が所定の電流値の電流を定常的に流すことによって、電流制限回路15に流れる電流が所定の電流値以下に制限されることになる。
【0054】
第2蓄電部C2の出力側には、第2電源であるDC/DCコンバータ17が接続されている。DC/DCコンバータ17は、第2蓄電部C2を電源として、安定化した電圧V3(例えばDC3.3V)を出力する。つまり、第2電源であるDC/DCコンバータ17は、第1電源である定電流電源部13からの定電流電力を受けて、制御部121及び付加機能部122に電力供給する。このように、第2蓄電部C2の出力側に、第2蓄電部C2を電源として安定化した電圧を出力するDC/DCコンバータ17が接続され、DC/DCコンバータ17の出力側に付加機能部122を含む処理回路12が接続される。したがって、DC/DCコンバータ17によって安定化された電圧が付加機能部122を含む処理回路12に供給されるので、処理回路12の動作が安定する。
【0055】
ここで、本実施形態の負荷制御システム1は、第2電源(DC/DCコンバータ17)の入力電圧(つまり、第2蓄電部C2の充電電圧VC2)を検出する第2電圧検出部(入力電圧検出部)22を備えている。第2電圧検出部22は、第2蓄電部C2の充電電圧VC2を所定の分圧比で分圧した電圧を制御部121に出力する。制御部121は、第2電圧検出部22の検出結果に応じて、付加機能部122の動作を制御する。具体的には、制御部121は、第2電圧検出部(入力電圧検出部)22の検出電圧が停止閾値以下になると、付加機能部122の動作を制限する。なお、付加機能部122の動作を制限するとは、付加機能部122の動作を停止することでもよいし、付加機能部122を消費電流が制限された省電力モードで動作することでもよい。第2電圧検出部22の検出電圧が停止閾値以下になると、制御部121が付加機能部122の動作を制限することによって、供給電力が不足した状態で付加機能部122が動作する可能性を低減できる。
【0056】
ここで、第2蓄電部C2の充電電圧VC2が18V、電流制限回路15に流れる電流の制限値が1.5mA、DC/DCコンバータ17の出力電圧V3が3.3V、変換効率が80%である場合、DC/DCコンバータ17から供給可能な電流I1は6.5mAとなる。すなわち、I1=18×1.5×0.8/3.3=6.5(mA)となる。電流制限回路15での電圧降下を3Vと想定すると、第1蓄電部C1の充電電圧が21V以上であれば、第2蓄電部C2の充電電圧VC2を18Vとすることができ、DC/DCコンバータ17から供給可能な電流I1として6.5mAを確保できる。つまり、付加機能部122を含む処理回路12の消費電流の最大値が6.5mAである場合、第1蓄電部C1の充電電圧が21V以上であれば、処理回路12の動作に必要な電力を確保できる。よって、本実施形態では、処理回路12は、第1蓄電部C1の充電電圧VC1が21V以上となるように、第1リニア電源14が交流電源2から電力の供給を受ける供給期間を制御するのである。
【0057】
ここで、定電流電源部13の出力電力は処理回路12の平均的な消費電力を賄える程度に設定されており、処理回路12の消費電力が平均値に収まっていれば、定電流電源部13からの出力電力で処理回路12に電力が供給される。一方、処理回路12の消費電力が平均値を超えた場合は、定電流電源部13からの出力電流に加えて第2蓄電部C2からの放電電流が処理回路12に供給されることで、処理回路12に必要な電力が供給される。よって、定電流電源部13の出力容量は、処理回路12の最大消費電力よりも低く設定でき、負荷制御システム1の小型化を図ることができる。
【0058】
(3)動作
(3.1)電源部の動作
本実施形態の負荷制御システム1の施工時に、接続端子TA1,TA2間に負荷3を介して交流電源2が接続されると、交流電源2から交流電圧Vacが接続端子TA1,TA2間に印加される。接続端子TA1,TA2間に印加された交流電圧Vacは、ダイオードD1,D2とスイッチ素子Q1,Q2のボディダイオードとで構成される全波整流器によって全波整流され、整流後の脈流電圧が定電流電源部13に入力される。定電流電源部13では、整流後の脈流電圧が第1リニア電源14に入力され、第1リニア電源14によって所定の電圧値の直流電圧に変換され、第1蓄電部C1の両端に充電電圧VC1が発生する。このとき、電流制限回路15から所定の電流値の電流が出力されて第2蓄電部C2が充電され、第2蓄電部C2の充電電圧VC2がツェナーダイオードZD1のツェナー電圧を超えると、ツェナーダイオードZD1が導通することによって、定電流電源部13から定電流が出力される状態が継続する。このように、第2蓄電部C2の充電電圧VC2は定電圧制御部16によって定電圧に制御され、DC/DCコンバータ17によって安定化された後、制御部121及び付加機能部122を含む処理回路12に供給される。
【0059】
処理回路12が起動すると、処理回路12は、例えば、ゼロクロス検出回路201,202の検出信号ZC1,ZC2に基づいて、交流電源2の周波数の判定を行う。そして、処理回路12は、判定した周波数に応じて、予めメモリに記憶されている数値テーブルを参照し、各種の時間等のパラメータの設定を行う。ここで、施工時にはインタフェース部25から処理回路12に例えばOFFレベルの調光信号が入力されており、制御部121はスイッチ11を非導通状態に制御して負荷3を消灯させる。
【0060】
制御部121が、インタフェース部25からの調光信号を受けて、負荷3を調光信号に応じた調光レベルで点灯させる場合の動作を
図3に基づいて説明する。ここでは、
図3を参照して、交流電圧Vacの正極性の半周期における動作を説明する。なお、交流電圧Vacの負極性の半周期における動作は、正極性の半周期における動作と同様であるのでその説明は省略する。
図3は逆位相制御の動作例であるが、正位相制御の場合も同様の動作となる。
【0061】
交流電圧Vacの極性が時点t10において負極性から正極性に切り替わり、時点t11においてゼロクロス検出回路201の検出信号ZC1が「Hi」から「Lo」に変化すると、制御部121は、時点t12において制御信号S3を「Lo」に切り替える。これにより、第1リニア電源14の入力インピーダンスが第2状態となり、第1リニア電源14を介して第1蓄電部C1が充電される。電流制限回路15は、第1蓄電部C1を電源として、第2蓄電部C2に定電流を流して第2蓄電部C2を充電し、第2蓄電部C2に充電された電荷によって第2蓄電部C2に充電電圧VC2が発生する。そして、DC/DCコンバータ17が、第2蓄電部C2の充電電圧VC2を、所定の電圧値の電圧V3に変換して処理回路12等に供給する。
【0062】
その後、制御部121が、時点t13においてスイッチ素子Q2をオン、時点t14にスイッチ素子Q1をオンに制御すると、スイッチ11が導通状態に切り替わる。制御部121は、スイッチ素子Q1をオンに制御した時点t14から、調光レベルに応じた期間T10が経過した時点t16になると、スイッチ素子Q1をオフに切り替えて、負荷3への給電を停止する。これにより、交流電圧Vacの各半周期において調光レベルに応じた期間T10だけ負荷3に給電されるので、負荷3が調光レベルに応じた明るさで点灯する。また、制御部121は、スイッチ素子Q1をオンに制御した時点t14から所定の待機時間dt1が経過した時点t15において、制御信号S3を「Hi」に切り替える。待機時間dt1は、制御部121がスイッチ11をオフからオンに制御した時点から、スイッチ11が実際にオン状態に切り替わる時点までの時間よりも長い時間に設定されている。これにより、第1リニア電源14の入力インピーダンスが第1状態となり、第1蓄電部C1の充電が停止するが、この状態でも、電流制限回路15は、第1蓄電部C1を電源として、第2蓄電部C2に定電流を流して第2蓄電部C2を充電する。このとき、第2蓄電部C2に充電された電荷によって第2蓄電部C2に充電電圧VC2が発生し、DC/DCコンバータ17が、第2蓄電部C2の充電電圧VC2を、所定の電圧値の電圧V3に変換して処理回路12等に供給する。
【0063】
ここで、制御部121は、次にゼロクロス検出回路201又は202がゼロクロス点を検出するまでは、制御信号S3を「Hi」として、第1リニア電源14の入力インピーダンスを第1状態とし、電源回路24に電力の生成動作を停止させている。したがって、電源回路24が交流電源2から切り離された状態で、ゼロクロス検出回路201及び202がゼロクロス点を検出できるので、ゼロクロス点の検出精度が向上するという利点がある。
【0064】
次に、制御部121が、第1蓄電部C1の電圧値に応じて、定電流電源部13が交流電源2から電力の供給を受ける供給期間を制御する動作について
図4を参照して説明する。なお、制御部121が、供給期間を変更する制御は、スイッチ11のオン/オフを制御する制御サイクルの数倍~数十倍の期間である所定の変更時間間隔(例えば10mS)で行う。制御部121は、上記の変更時間間隔が経過するごとに第1蓄電部C1の充電電圧VC1を監視し、充電電圧VC1が閾値よりも低い場合は、供給期間を所定時間(例えば10μS)ずつ延ばす動作を繰り返すことによって、供給期間を制御する。
【0065】
制御部121は、負荷3を点灯させている状態で、インタフェース部25又は付加機能部122からの調光信号に基づいて、調光レベルが変化したか否かを監視する(ステップST1)。
【0066】
ステップST1において調光レベルが変化した場合(ST1:Yes)、制御部121は、第1電圧検出部21によって検出された第1蓄電部C1の充電電圧VC1に基づいて、供給期間の変更処理を行う(ステップST2)。ここで、制御部121は、充電電圧VC1と所定の閾値とを比較し、充電電圧VC1が閾値以下になると、供給期間を所定時間だけ長くする。例えば、
図3に示すように、交流電圧Vacの正極性では、制御部121は、スイッチ素子Q1がオンになる時点を時点t14から所定時間dt2だけ遅らせることによって、供給期間を時間dt3だけ長くしている。つまり、交流電圧Vacの各半周期において、制御部121は、スイッチ11が非導通状態から導通状態に切り替わる時点を遅らせることによって、供給期間を長くしている。このように、第1蓄電部C1の充電電圧VC1が閾値以下になると、制御部121は供給期間を所定時間だけ長くするように制御するので、充電電圧VC1が上昇し、定電流電源部13の供給電力が不足する可能性を低減できる。また、供給期間を長くするために、制御部121は、スイッチ素子Q1がオンになる時点を時間dt2だけ遅らせているので、負荷3の明るさにちらつきが発生する可能性があるが、制御部121は、調光レベルが変化するタイミングで、スイッチ素子Q1がオンになる時点を遅らせることで供給期間を長くしているので、負荷3の明るさに発生するちらつきが目立ちにくいという利点もある。本実施形態では、第1蓄電部C1の容量を大きくすることで、第1蓄電部C1の充電電圧VC1の変化を緩やかにしており、制御部121が、所定の変更時間間隔が経過するごとに供給期間を調整する制御を行うことで、供給期間を緩やかに変化させている。
【0067】
なお、第1蓄電部C1の両端電圧VC1が上昇して閾値を超えると、制御部121は、供給時間を変更前の時間に戻しており、所定の調光レベルで負荷3を点灯させることができる。
【0068】
なお、制御部121は、調光レベルが変化するタイミング以外でも、第1蓄電部C1の充電電圧VC1が閾値以下に下がるのを検知すると、供給期間を長くする制御を行ってもよく、定電流電源部13の供給電力が不足する可能性を低減できる。
【0069】
また、制御部121は、想定外の無線ノイズの発生、又は、交流電源2の交流電圧Vacの電圧変動等によって、処理回路12が必要な電力を一時的に得られない給電不可状態が発生すると、消費電力を抑制する制御を行っている。制御部121が、給電不可状態で消費電力を抑制する動作について
図5のフローチャートを参照して説明する。
図5に示すフローチャートは、制御部121が給電不可状態で消費電力を抑制する動作の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0070】
制御部121は、第2蓄電部C2の充電電圧VC2と停止閾値VL3との高低を比較することによって、処理回路12等への供給電力が不足する給電不可状態が発生しているか否かを判定する(ステップST11)。
【0071】
ステップST11の判定において、第2蓄電部C2の充電電圧VC2が停止閾値VL3以上であれば(ステップST11:No)、制御部121は、電源回路24が処理回路12に供給する電力が不足していないと判断して、処理を終了する。
【0072】
一方、第2蓄電部C2の充電電圧VC2が停止閾値VL3を下回っていれば(ステップST11:Yes)、制御部121は、負荷3の明るさの変化が目立たない範囲で、交流電源2から電力の供給を受ける供給時間を長くする。制御部121は、供給時間を変化させることによって第2蓄電部C2の充電電圧VC2が停止閾値VL3以上になれば、処理回路12に供給する電力が不足していない、つまり給電可能と判断し(ステップST12:Yes)、処理を終了する。
【0073】
一方、制御部121は、供給時間を変化させても第2蓄電部C2の充電電圧VC2が停止閾値VL3を下回っていれば、処理回路12に供給する電力が不足している、つまり給電不能と判断する(ステップST12:No)。このとき、制御部121は、付加機能部122の消費電力を低減させる処理を行う(ステップST13)。具体的には、制御部121は、付加機能部122が備える無線通信部123を間欠動作させる周期を長くする、又は、無線通信部123を間欠動作させる場合の動作時間を短くすることで、付加機能部122の消費電力を低減させる処理を行って、処理を終了する。これにより、制御部121は、供給電力が不足した状態で処理回路12が動作する可能性を低減できる。
【0074】
ここで、
図6は、第2蓄電部C2の充電電圧VC2を示すグラフである。
図6中のVL1は第2蓄電部C2が満充電の時の充電電圧(つまりツェナー電圧)であり、VL2は復旧閾値、VL3は停止閾値である。なお、第2蓄電部C2が満充電の時の充電電圧は、高温時の電圧レベルVL11と低温時の電圧レベルVL12との間で温度に応じて変化し得る。
【0075】
時点t21から時点t22までの期間E1では無線通信部123が受信動作を行い、時点t23から時点t24までの期間E2では無線通信部123が送信動作を行うため、一時的に第2蓄電部C2の充電電圧VC2が低下するが、充電電圧VC2は停止閾値VL3よりも高いため、制御部121は付加機能部122の動作を制限はしない。一方、通信環境の悪化などの原因で受信処理が正常に行えず、時点t25から時点t26までの期間E3に無線通信部123が受信処理を継続したために、時点t26において充電電圧VC2が停止閾値VL3を下回ると、制御部121は、無線通信部123の通信処理を停止させる。無線通信部123が通信処理を停止すると、処理回路12での消費電力が低下するため、第2蓄電部C2の充電電圧VC2が徐々に上昇する。これにより、供給電力が不足する状態で処理回路12が動作する可能性を抑制できる。その後、時点t27において充電電圧VC2が復旧閾値VL2を超えると、制御部121は、付加機能部122の動作の制限を解除し、無線通信部123の送受信を許可する。
【0076】
負荷制御システム1の使用中は、制御部121が、ステップST1~ST2、ステップST11~ST13の処理を定期又は不定期に実行することで、定電流電源部13が交流電源2から電力の供給を受ける供給期間が調整され、給電能力が不足する場合は付加機能部122の消費電流を抑制する処理が行われる。
【0077】
(4)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、負荷制御システム1と同様の機能は、負荷制御システム1の制御用のコンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。
【0078】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0079】
本開示における負荷制御システム1、又は負荷制御システム1の制御方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における負荷制御システム1、又は負荷制御システム1の制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムで読み取り可能な非一時的な記録媒体は、メモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等である。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものでもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ使い方が可能である。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0080】
また、上記の実施形態では、負荷制御システム1は、1つの器体に収まる1つの装置にて実現されているが、負荷制御システム1の各機能が2以上の装置に分散して設けられてもよい。負荷制御システム1の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
【0081】
上記実施形態では、付加機能部122が無線通信部123であったが、付加機能部122は無線通信部123に限定されない。付加機能部122は、例えば、ユーザが音声で発した命令を認識する音声認識機能でもよい。付加機能部122が音声認識機能である場合、スイッチング動作とは異なる処理とは、ユーザが発した音声を認識して、ユーザの命令を取得する処理である。ここにおいて、ユーザの命令が負荷3を制御するための制御命令である場合、処理回路12は、ユーザの命令に基づいて負荷3を制御する。また、ユーザの命令が、ユーザの質問に対する応答を要求する命令である場合、処理回路12は、外部のサーバ装置と通信する通信機能を用いて外部のサーバ装置と通信を行って、サーバ装置から質問に対する応答の内容を取得する。そして、処理回路12は、取得した応答の内容を例えばスピーカから出力したり、表示モニタに出力させたりする。ここで、付加機能部122である音声認識機能がユーザの発した音声の認識処理を行い、処理回路12が認識結果に基づく動作を行うことで、音声認識機能を含む処理回路12の消費電力が増加する。
【0082】
上記実施形態の負荷制御システム1は、光源としてLED素子を用いた負荷3に限らず、コンデンサインプット型の回路を搭載し、インピーダンスが高く、少ない電流で点灯する光源に適用可能である。この種の光源としては、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子が挙げられる。また、負荷制御システム1は、例えば放電灯など、様々な光源の負荷3に適用可能である。
【0083】
さらに、負荷制御システム1によって制御される負荷3は、照明負荷に限らず、例えば、ヒータ、又はファン等であってもよい。負荷3がヒータである場合、負荷制御システム1は、ヒータに供給する平均電力を調節することでヒータの発熱量を調節する。また、負荷3がファンである場合、負荷制御システム1は、ファンの回転速度を調節するレギュレータを構成する。
【0084】
また、スイッチ11は、MOSFETからなるスイッチ素子Q1,Q2で構成されるものに限らず、例えば、逆直列に接続された2つのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等で構成されていてもよい。さらに、スイッチ11において、一方向オン状態を実現するための整流素子(ダイオード)は、スイッチ素子Q1,Q2のボディダイオードに限らず、外付けのダイオードであってもよい。ダイオードは、スイッチ素子Q1,Q2の各々と同一パッケージに内蔵されていてもよい。また、スイッチ11は、例えば、GaN(窒化ガリウム)等のワイドバンドギャップの半導体材料を用いたダブルゲート(デュアルゲート)構造の半導体素子であってもよい。この構成によれば、スイッチ11の導通損失の低減を図ることができる。
【0085】
また、スイッチ11の制御においては、「双方向オン状態」の代わりに「順方向オン状態」に制御することも可能であり、逆に「順方向オン状態」の代わりに「双方向オン状態」に制御することも可能である。また、「双方向オフ状態」の代わりに「逆方向オン状態」に制御することも可能であり、「逆方向オン状態」の代わりに「双方向オフ状態」に制御することも可能である。すなわち、スイッチ11が、導通状態又は非導通状態の状態が変わらなければよい。
【0086】
また、制御部121によるスイッチ11の制御方式は、上述した例に限らず、交流電圧Vacの半周期の途中から次のゼロクロス点までの期間に一対の接続端子TA1,TA2間が導通する、正位相制御方式でもよい。
【0087】
さらに、負荷制御システム1の制御部121の制御方式は、正位相制御方式及び逆位相制御方式のいずれにも対応可能なユニバーサル制御方式であってもよい。
【0088】
また、上記の実施形態では、負荷制御システム1が2線式の場合について説明したが、この構成に限らず、負荷制御システム1は、例えば、3本の電線を接続可能な、いわゆる三路スイッチ、又は4本の電線を接続可能な、いわゆる四路スイッチ等であってもよい。負荷制御システム1が三路スイッチを構成する場合、2つの負荷制御システム1を組み合わせることにより、負荷3への通電状態を、例えば、建物における階段の上階部分と下階部分との2箇所で切り替えることが可能である。
【0089】
また、電圧などの2値の比較において、「以上」としているところは「より大きい」であってもよい。つまり、2値の比較において、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「超える」としているところは「以上」であってもよい。同様に、「下回る」又は「未満」としているところは「以下」であってもよいし、「以下」としているところは「未満」であってもよい。
【0090】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る負荷制御システム1について説明する。なお、実施形態2の負荷制御システム1の回路構成は実施形態1の負荷制御システム1の回路構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0091】
実施形態2の負荷制御システム1は、
図1に示すように、スイッチ11と、制御部121と、付加機能部122と、定電流電源部13と、を備える。スイッチ11は、交流電源2に対して負荷3と直列に接続され、負荷3に供給する交流電圧Vacの位相を制御する。制御部121は、スイッチ11を導通状態または非導通状態に制御する。付加機能部122は、制御部121の制御とは異なる処理を行う。定電流電源部13は、交流電源2から供給される電力を受けて、定電流電力を生成する。定電流電源部13は、交流電源2からの入力電流によって充電される第1蓄電部C1を有する。定電流電源部13の後段に、定電流電源部13の出力電流によって充電される第2蓄電部C2が設けられる。第2蓄電部C2の充電電圧が一定電圧を超えると、第2蓄電部C2と並列にインピーダンス要素(抵抗R1)を接続するスイッチ回路が設けられている。第2蓄電部C2から制御部121及び付加機能部122に給電される。
【0092】
ここで、インピーダンス要素は例えば抵抗R1であるが、インピーダンス要素は抵抗R1に限らず、一定の抵抗値を有する回路要素であればよい。
【0093】
また本実施形態では、スイッチ回路が、インピーダンス要素(抵抗R1)と直列に接続されるツェナーダイオードZD1を含む。第2蓄電部C2の充電電圧VC2が一定電圧(ツェナー電圧)を超えると、ツェナーダイオードZD1が導通状態になることで第2蓄電部C2と並列にインピーダンス要素(R1)を接続する。これにより、第2蓄電部C2がツェナーダイオードZD1のツェナー電圧まで充電されると、電流制限回路15の出力電流がツェナーダイオードZD1を介してインピーダンス要素(R1)に流れることによって、処理回路12(制御部121及び付加機能部122)での消費電流に関係無く、電流制限回路15は所定の電流値の電流を定常的に流す状態となる。
【0094】
なお、制御部121及び付加機能部122の消費電力が変動した場合には第2蓄電部C2から電力が供給されるので、定電流電源部13の供給電力が不足する可能性を低減することができる。よって、定電流電源部13の出力容量が処理回路12の最大消費電力に合わせて設定される場合に比べて、定電流電源部13の小型化を図ることができる。
【0095】
ここで、本実施形態ではスイッチ回路がツェナーダイオードZD1で構成されているが、スイッチ回路はトランジスタなどのスイッチ素子で構成されてもよい。第2蓄電部C2の充電電圧VC2が一定電圧を超えると、制御部121がスイッチ素子をオフからオンに切り替えることで、第2蓄電部C2と並列にインピーダンス要素を接続する。このとき、電流制限回路15の出力電流がスイッチ素子を介してインピーダンス要素(R1)に流れるので、処理回路12(制御部121及び付加機能部122)での消費電流に関係無く、電流制限回路15は所定の電流値の電流を定常的に流す状態となる。
【0096】
また、負荷制御システム1は、交流電源2から負荷3へ給電する給電期間、及び、交流電源2から負荷3への給電が停止した給電停止期間のそれぞれで、ツェナーダイオードZD1が、第2蓄電部C2の両端電圧を定電圧に保つ動作を行う。この場合、負荷3の動作状態に関係無く、ツェナーダイオードZD1が、第2蓄電部C2の両端電圧を定電圧に保つ動作を行うことで、制御部121及び付加機能部122の消費電力に関係無く、定電流電源部13は定電流を出力することができる。
【0097】
また、本実施形態においても、制御部121は、第2電圧検出部(入力電圧検出部)22の検出電圧が停止閾値以下になると、付加機能部122の動作を制限する。なお、付加機能部122の動作を制限するとは、付加機能部122の動作を停止することでもよいし、付加機能部122を消費電流が制限された省電力モードで動作することでもよい。第2電圧検出部22の検出電圧が停止閾値以下になると、付加機能部122の動作を制限することによって、供給電力が不足した状態で付加機能部122が動作する可能性を低減できる。
【0098】
なお、負荷制御システム1は、交流電源2から負荷3へ給電する給電期間のみに、ツェナーダイオードZD1が、第2蓄電部C2の両端電圧を定電圧に保つ動作を行ってもよい。例えば、給電期間以外は、制御部121が、ツェナーダイオードZD1と直列に接続されるスイッチをオフにすることで、ツェナーダイオードZD1を介して電流が流れる経路を遮断してもよい。給電期間以外は、ツェナーダイオードZD1を介して電流が流れる経路を遮断することで消費電力を低減できる。
【0099】
なお、実施形態2で説明した構成はそれ単独でも実行し得る態様であり、実施形態1の構成を前提とすることは必須ではない。
【0100】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の負荷制御システム(1)は、スイッチ(11)と、制御部(121)と、付加機能部(122)と、定電流電源部(13)と、を備える。スイッチ(11)は、交流電源(2)に対して負荷(3)と直列に接続され、負荷(3)に供給する交流電圧(Vac)の位相を制御する。制御部(121)は、スイッチ(11)を導通状態または非導通状態に制御する。付加機能部(122)は、制御部(121)の制御とは異なる処理を行う。定電流電源部(13)は、交流電源(2)から供給される電力を受けて、制御部(121)及び付加機能部(122)に供給するための定電流電力を生成する。定電流電源部(13)は、交流電源(2)からの入力電流によって充電される蓄電部(C1)を有し、蓄電部(C1)を電源として制御部(121)及び付加機能部(122)に供給するための定電流電力を生成する。制御部(121)は、蓄電部(C1)の電圧値に応じて、定電流電源部(13)が交流電源(2)から電力の供給を受ける供給期間を制御する。
【0101】
この態様によれば、制御部(121)が蓄電部(C1)の電圧値に応じて供給期間を制御することによって、蓄電部(C1)の充電量を調整できるから、定電流電源部(13)の供給電力が不足する可能性を低減することができる。
【0102】
第2の態様の負荷制御システム(1)は、第1の態様において、蓄電部(C1)の電圧を検出する電圧検出部(21)を更に備える。制御部(121)は、電圧検出部(21)の検出電圧に応じて、供給期間を制御する。
【0103】
この態様によれば、制御部(121)が電圧検出部(21)の検出電圧に応じて供給期間を制御することによって、定電流電源部(13)の供給電力が不足する可能性を低減することができる。
【0104】
第3の態様の負荷制御システム(1)では、第2の態様において、制御部(121)は、電圧検出部(21)の検出電圧が閾値より高い場合の供給期間に比べて、電圧検出部(21)の検出電圧が閾値以下である場合の供給期間を長くする。
【0105】
この態様によれば、電圧検出部(21)の検出電圧が閾値以上である場合は制御部(121)が供給期間を長くするので、定電流電源部(13)の供給電力が不足する可能性を低減することができる。
【0106】
第4の態様の負荷制御システム(1)では、第1~3のいずれかの態様において、蓄電部(C1)が第1蓄電部(C1)である。定電流電源部(13)の後段に、定電流電源部(13)の出力電流によって充電される第2蓄電部(C2)が設けられる。第2蓄電部(C2)の充電電圧が一定電圧を超えると、第2蓄電部(C2)と並列にインピーダンス要素(R1)を接続するスイッチ回路が設けられる。第2蓄電部(C2)から制御部(121)及び付加機能部(122)に給電される。
【0107】
この態様によれば、第2蓄電部(C2)の充電電圧が一定電圧を超えると、スイッチ回路が、第2蓄電部(C2)と並列にインピーダンス要素(R1)を接続するので、定電流電源部(13)は定電流を出力する動作を継続して行い、第2蓄電部(C2)の充電電圧が一定電圧に保たれる。よって、定電流電源部(13)から一定の電力を制御部(121)及び付加機能部(122)に供給できる。また、制御部(121)及び付加機能部(122)の消費電力が変動した場合には第2蓄電部(C2)から電力が供給されるので、定電流電源部(13)の供給電力が不足する可能性を低減することができる。
【0108】
第5の態様の負荷制御システム(1)は、スイッチ(11)と、制御部(121)と、付加機能部(122)と、定電流電源部(13)と、を備える。スイッチ(11)は、交流電源(2)に対して負荷(3)と直列に接続され、負荷(3)に供給する交流電圧(Vac)の位相を制御する。制御部(121)は、スイッチ(11)を導通状態または非導通状態に制御する。付加機能部(122)は、制御部(121)の制御とは異なる処理を行う。定電流電源部(13)は、交流電源(2)から供給される電力を受けて、定電流電力を生成する。定電流電源部(13)は、交流電源(2)からの入力電流によって充電される第1蓄電部(C1)を有する。定電流電源部(13)の後段に、定電流電源部(13)の出力電流によって充電される第2蓄電部(C2)が設けられる。第2蓄電部(C2)の充電電圧(VC2)が一定電圧を超えると、第2蓄電部(C2)と並列にインピーダンス要素(R1)を接続するスイッチ回路が設けられる。第2蓄電部(C2)から制御部(121)及び付加機能部(122)に給電される。
【0109】
この態様によれば、第2蓄電部(C2)の充電電圧が一定電圧を超えると、スイッチ回路が、第2蓄電部(C2)と並列にインピーダンス要素(R1)を接続するので、定電流電源部(13)は定電流を出力する動作を継続して行い、第2蓄電部(C2)の充電電圧が一定電圧に保たれる。よって、定電流電源部(13)から一定の電力を制御部(121)及び付加機能部(122)に供給できる。また、制御部(121)及び付加機能部(122)の消費電力が変動した場合には第2蓄電部(C2)から電力が供給されるので、定電流電源部(13)の供給電力が不足する可能性を低減することができる。
【0110】
第6の態様の負荷制御システム(1)では、第5の態様において、スイッチ回路が、インピーダンス要素(R1)と直列に接続されるツェナーダイオード(ZD1)を含む。第2蓄電部(C2)の充電電圧が一定電圧を超えると、ツェナーダイオード(ZD1)が導通状態になることで第2蓄電部(C2)と並列にインピーダンス要素(R1)を接続する。
【0111】
この態様によれば、第2蓄電部(C2)の充電電圧が一定電圧を超えると、ツェナーダイオード(ZD1)が導通状態となることで、定電流電源部(13)に定電流を出力する動作を継続して行わせることができる。
【0112】
第7の態様の負荷制御システム(1)では、第6の態様において、交流電源(2)から負荷(3)へ給電する給電期間において、ツェナーダイオード(ZD1)が、第2蓄電部(C2)の充電電圧を一定電圧に保つ動作を行う。
【0113】
この態様によれば、ツェナーダイオード(ZD1)が、第2蓄電部(C2)の充電電圧を一定電圧に保つ動作を行うことで、制御部(121)及び付加機能部(122)の消費電力に関係無く、定電流電源部(13)は定電流を出力することができる。
【0114】
第8の態様の負荷制御システム(1)では、第7の態様において、交流電源(2)から負荷(3)へ給電する給電期間、及び、交流電源(2)から負荷(3)への給電が停止した給電停止期間のそれぞれで、ツェナーダイオード(ZD1)が、第2蓄電部(C2)の充電電圧を一定電圧に保つ動作を行う。
【0115】
この態様によれば、ツェナーダイオード(ZD1)が、第2蓄電部(C2)の充電電圧を一定電圧に保つ動作を行うことで、制御部(121)及び付加機能部(122)の消費電力に関係無く、定電流電源部(13)は定電流を出力することができる。
第9の態様の負荷制御システム(1)では、第5~8のいずれかの態様において、定電流電源部(13)が第1電源である。負荷制御システム(1)は、第1電源からの定電流電力を受けて、制御部(121)及び付加機能部(122)に電力供給する第2電源(17)と、第2電源(17)の入力電圧を検出する入力電圧検出部(22)と、を更に備える。制御部(121)は、入力電圧検出部(22)の検出電圧が停止閾値以下になると、付加機能部(122)の動作を制限する。
【0116】
この態様によれば、入力電圧検出部(22)の検出電圧が停止閾値以下になると、付加機能部(122)の動作を制限することによって、供給電力が不足した状態で付加機能部(122)が動作する可能性を低減できる。
【0117】
第10の態様の負荷制御システム(1)では、第1~9のいずれかの態様において、付加機能部(122)は、間欠的な送受信が可能な無線通信部(123)を含む。
【0118】
この態様によれば、無線通信部(123)が間欠的な送受信を行うことによって、無線通信部(123)での消費電力が変動するとしても定電流電源部(13)の供給電力が不足する可能性を低減することができる。
【0119】
第2~4及び10の態様に係る構成については、第1の態様に係る負荷制御システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。また、第6~第10の態様に係る構成については、第5の態様に係る負荷制御システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0120】
1 負荷制御システム
2 交流電源
3 負荷
11 スイッチ
13 定電流電源部(第1電源)
17 DC/DCコンバータ(第2電源)
21 第1電圧検出部(電圧検出部)
22 第2電圧検出部(入力電圧検出部)
122 付加機能部
123 無線通信部
C1 第1蓄電部(蓄電部)
C2 第2蓄電部
R1 抵抗(インピーダンス要素)
Vac 交流電圧
ZD1 ツェナーダイオード(スイッチ回路)