(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】読取システム、買物支援システム、読取方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20231020BHJP
G06Q 20/20 20120101ALI20231020BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q20/20 300
(21)【出願番号】P 2020533525
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2019029612
(87)【国際公開番号】W WO2020027034
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2018144591
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊川 正啓
(72)【発明者】
【氏名】八幡 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小島 優
(72)【発明者】
【氏名】中野 賢寛
(72)【発明者】
【氏名】緒方 伸輔
(72)【発明者】
【氏名】今村 幸司
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-299404(JP,A)
【文献】特開2011-001132(JP,A)
【文献】特開2018-041365(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0145965(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0019399(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの物品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品に関する物品情報を読み取る読取装置における、前記物品ごとの前記物品情報の読取りの回数と時間間隔と頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する評価値取得部と、
前記物品ごとに、前記評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、前記物品が読取対象であるか否かを判定する判定部と、を備える、
読取システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記物品ごとに、前記評価値の時間変化に伴う変化量が所定の範囲に属するか否かによって、前記物品が読取対象であるか否かを判定する、
請求項1に記載の読取システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記物品ごとに、第1期間における前記評価値と、前記第1期間の経過後に設定される第2期間における前記評価値と、の比較結果に基づいて、前記物品が読取対象であるか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の読取システム。
【請求項4】
前記第1期間及び前記第2期間の少なくとも一方は、前記物品の位置を検知する検知装置の検知結果に基づいて定まる期間である、
請求項3に記載の読取システム。
【請求項5】
前記検知装置が、前記物品と共に移動する移動体と前記物品との少なくとも一方の、所定エリアへの進入を検知すると、前記第2期間が開始する、
請求項4に記載の読取システム。
【請求項6】
前記検知装置が、前記物品と共に移動する移動体と前記物品との少なくとも一方の、前記所定エリアへの進入経路上に設定された進入エリアへの進入を検知すると、前記第1期間が開始する、
請求項5に記載の読取システム。
【請求項7】
前記第1期間及び前記第2期間の各々は、複数のタイムスロットを含んでおり、
前記判定部は、前記複数のタイムスロットにおける前記評価値の代表値を、前記第1期間及び前記第2期間の各々における前記評価値として用いる、
請求項3~6のいずれか1項に記載の読取システム。
【請求項8】
ある期間に前記読取装置にて前記物品情報の読取りが行われた前記物品の個数に応じて、前記判定部の判定条件を変化させる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の読取システム。
【請求項9】
ある期間に前記読取装置にて前記物品情報の読取りが行われた前記物品のうち、前記評価値と前記読取装置における無線通信時の受信信号強度との少なくとも一方が基準値以上である前記物品の個数に応じて、前記判定部の判定条件を変化させる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の読取システム。
【請求項10】
所定エリアに存在する前記物品の個数に応じて、前記判定部の判定条件を変化させる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の読取システム。
【請求項11】
前記読取装置における無線通信時の受信信号強度を取得する強度取得部を更に備え、
前記判定部は、前記評価値の時間経過に伴う変化と、前記受信信号強度との組み合わせに基づいて、前記物品が前記読取対象であるか否かを判定する、
請求項1~10のいずれかに記載の読取システム。
【請求項12】
前記読取装置を更に備える、
請求項1~11のいずれか1項に記載の読取システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の読取システムと、
前記判定部にて前記読取対象であると判定された前記物品について、前記物品情報を用いて精算処理を行う精算システムと、を備える、
買物支援システム。
【請求項14】
前記精算システムは、少なくとも前記物品が所定エリアに置かれている間に前記読取装置が読み取った前記物品情報を用いて前記精算処理を行う、
請求項13に記載の買物支援システム。
【請求項15】
少なくとも1つの物品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品に関する物品情報を読み取る読取装置における、前記物品ごとの前記物品情報の読取回数と読取間隔と読取頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得し、
前記物品ごとに、前記評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、前記物品が読取対象であるか否かを判定
し、
1以上のプロセッサで実行される、
読取方法。
【請求項16】
コンピュータシステムに、
少なくとも1つの物品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品に関する物品情報を読み取る読取装置における、前記物品ごとの前記物品情報の読取回数と読取間隔と読取頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する処理と、
前記物品ごとに、前記評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、前記物品が読取対象であるか否かを判定する処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、読取システム、買物支援システム、読取方法及びプログラムに関し、より詳細には、電子タグからの物品情報の読取りに用いられる読取システム、買物支援システム、読取方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも顧客が購入しようとする商品の精算(決済)処理を行うためのPOS(Point Of Sales)装置において、RF(Radio Frequency)タグ(電子タグ)の読取装置を用いることが記載されている。電子タグは、商品に付されており、電子タグが付された商品の価格情報又は識別情報を記憶している。
【0003】
特許文献1において、読取装置は、筐体の6面で構成されている箱型形状の収容室に商品が収容された状態で、電子タグから情報を読み取る。筐体には、収容室内へとつながる開口部が形成されている。開口部は、蓋体によって開閉される。つまり、蓋体が開いている状態で、顧客は、開口部から収容室内へ商品を入れることができる。収容室の外部の電子タグから読取装置が情報を読み取らないよう、筐体及び蓋体は、電波を反射する材料又は電波を吸収する材料で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の構成では、例えば、収容室の外部の電子タグからの電波が筐体又は蓋体を透過する場合、及び蓋体の閉め忘れが生じた場合等に、収容室の外部の電子タグから読取装置が情報を読み取る可能性がある。そのため、購入対象ではない収容室の外部にある物品(商品)についても、誤って読取対象として検出され、その結果、誤って購入対象と判断される可能性がある。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、読取対象の誤検出が生じにくい読取システム、買物支援システム、読取方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
本開示の一態様に係る読取システムは、評価値取得部と、判定部と、を備える。前記評価値取得部は、読取装置における、物品ごとの物品情報の読取りの回数と時間間隔と頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する。前記読取装置は、少なくとも1つの前記物品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品に関する前記物品情報を読み取る。前記判定部は、前記物品ごとに、前記評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、前記物品が読取対象であるか否かを判定する。
【0008】
本開示の一態様に係る買物支援システムは、前記読取システムと、前記物品についての精算処理を行う精算システムと、を備える。前記精算システムは、前記判定部にて前記読取対象であると判定された前記物品について、前記物品情報を用いて精算処理を行う。
【0009】
本開示の一態様に係る読取方法は、読取装置における、物品ごとの物品情報の読取回数と読取間隔と読取頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する。前記読取装置は、少なくとも1つの前記物品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品に関する前記物品情報を読み取る。上記読取方法は、前記物品ごとに、前記評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、前記物品が読取対象であるか否かを判定する。上記読取方法は、1以上のプロセッサで実行される。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、読取装置における、物品ごとの物品情報の読取回数と読取間隔と読取頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する処理を実行させるためのプログラムである。前記読取装置は、少なくとも1つの前記物品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記物品に関する前記物品情報を読み取る。上記プログラムは、コンピュータシステムに、前記物品ごとに、前記評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、前記物品が読取対象であるか否かを判定する処理を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る買物支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の買物支援システムを適用したレジカウンタの外観斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の買物支援システムを導入した店舗の見取り図である。
【
図4】
図4A~
図4Cは、同上の買物支援システムを用いた顧客の買物に係る動作を模式的に表す説明図である。
【
図5】
図5Aは、同上の買物支援システムにおける時間経過に伴う読取回数の変化の一例を示す波形図、
図5Bは、同上の買物支援システムにおける時間経過に伴う読取回数の変化の他の例を示す波形図である。
【
図6】
図6は、同上の買物支援システムを用いた顧客の買物に係る動作を模式的に表す説明図である。
【
図7】
図7Aは、実施形態1の第1比較例に係る買物支援システムを用いた顧客の買物に係る動作を模式的に表す説明図、
図7Bは、実施形態1の第
2比較例に係る買物支援システムを用いた顧客の買物に係る動作を模式的に表す説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る買物支援システムの動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、同上の買物支援システムにおける顧客の退店時の動作の説明図である。
【
図10】
図10は、同上の買物支援システムにおける時間経過に伴う読取回数の変化の一例を示す波形図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係る買物支援システムを適用したレジカウンタの外観斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態2の変形例に係る買物支援システムを適用したレジカウンタの要部を示す外観斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態3に係る買物支援システムを示す概略図である。
【
図14】
図14Aは、実施形態4に係る買物支援システムを適用したウォークスルーカウンタの正面図、
図14Bは、同上の買物支援システムを適用したウォークスルーカウンタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る読取システム100は、
図1に示すように、少なくとも1つの物品91に付された電子タグ93からの物品情報の読取りに用いられるシステムである。読取システム100は、読取装置2がいずれかの物品91に関する物品情報を読み取った場合において、物品91が読取対象であるか否かを判定する。
【0013】
読取装置2は、少なくとも1つの物品91に付された電子タグ93と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、物品91に関する物品情報を読み取る装置である。つまり、読取装置2は、物品91から直接的に物品情報を読み取るのではなく、物品91に付された電子タグ93から非接触で物品情報を読み取ることになる。本実施形態では、読取装置2は読取システム100の構成要素に含まれることとするが、読取装置2は読取システム100の構成要素に含まれなくてもよい。つまり、本実施形態では、読取システム100は読取装置2を備えている。
【0014】
本開示でいう「物品情報」は、物品91を識別するための情報であって、例えば、日本国で用いられているJAN(Japanese Article Number)コード等の商品識別コードである。この種の商品識別コードには、JANコードの他、EPC(Electronic Product Code)、欧州等で用いられているEAN(European Article Number)コード、及び米国等で用いられているUPC(Universal Product Code)等がある。また、物品情報は、物品91の品種(種類)を識別する情報に限らず、同一品種の物品91を個別に識別するシリアル情報等の情報を含んでいてもよい。これにより、同一品種の物品91が複数ある場合にも、これら同一品種の複数の物品91の各々を物品情報にて特定可能である。
【0015】
また、本開示でいう「読取対象」は、読取システム100による物品情報の読取りの対象となる物品91を意味し、読取装置2にて物品情報が読み取られた物品91のうち、0個ないし複数個の物品91が「読取対象」となる。すなわち、読取装置2にて物品情報が読み取られた物品91の全てが直ちに「読取対象」となる訳ではなく、読取装置2にて物品情報が読み取られた物品91と、「読取対象」である物品91とは必ずしも一致しない。例えば、読取装置2にて10個の物品91に関する物品情報が読み取られた場合に、これら10個の物品91のうち0個ないし10個の物品91が、読取システム100の「読取対象」となる。つまり、読取装置2にて物品情報が読み取られた10個の物品91のうち、1個も「読取対象」とならないこともあれば、1個ないし10個の物品91が「読取対象」となることもある。
【0016】
要するに、読取装置2は、電子タグ93と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、物品91に関する物品情報を読み取るので、読取システム100の「読取対象」でない物品91の物品情報を読み取る可能性がある。例えば、読取システム100の「読取対象」である物品91の周辺に、「読取対象」ではない物品91が存在する場合に、読取装置2では、「読取対象」である物品91だけでなく「読取対象」でない物品91についても、物品情報を読み取る場合がある。このような場合において、本実施形態に係る読取システム100によれば、物品91が読取対象であるか否かを判定するので、読取装置2にて物品情報が読み取られた物品91の中から、読取対象である物品91を選別することが可能である。
【0017】
本実施形態に係る読取システム100は、以下の構成により、物品91が読取対象であるか否かを判定する機能を実現する。すなわち、読取システム100は、
図1に示すように、評価値取得部11と、判定部12と、を備えている。評価値取得部11は、読取装置2における、物品91ごとの物品情報の読取りの回数と時間間隔と頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する。判定部12は、物品91ごとに、評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、物品91が読取対象であるか否かを判定する。
【0018】
つまり、本実施形態に係る読取システム100においては、物品91ごとに、評価値取得部11で取得される評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、物品91が読取対象であるか否かが判定される。本開示でいう「評価値」は、ある期間内に読取装置2が読み取った物品情報についての、読取りの回数と、時間間隔と、頻度と、の少なくとも1つに関する値である。ここで、読取システム100の「読取対象」である物品91は、読取装置2で物品情報を読み取りやすい位置(例えば読取装置2付近の所定エリア)に配置されることと仮定する。読み取りやすい位置に配置された物品91については、その他の物品91に比較して、読取装置2による物品情報の読取りの成功率が向上するため、結果的に、読取装置2における、物品情報の読取りの回数等の「評価値」が変化する。したがって、読取システム100は、評価値の時間経過に伴う変化を解析することで、「読取対象」である物品91を、他の物品91とは区別することが可能である。
【0019】
ところで、本実施形態では、読取システム100は、精算システム3と共に、買物支援システム1を構成する。精算システム3は、物品91についての精算処理を行うシステムである。言い換えれば、本実施形態に係る買物支援システム1は、読取システム100と、物品91についての精算処理を行う精算システム3と、を備えている。
【0020】
買物支援システム1は、例えば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店、ドラッグストア、家電量販店又はホームセンター等の小売店の店舗に導入され、顧客90(
図6参照)による商品の購入(つまり「買物」)を支援するシステムである。そのため、店舗に導入される買物支援システム1に読取システム100が用いられる場合、読取システム100を用いて物品情報が読み取られる物品91は、店舗で販売されている「商品」であって、物品91(商品)に関する物品情報は「商品情報」である。
【0021】
読取システム100が買物支援システム1に用いられる場合においては、読取装置2で読み取られた物品情報は、一例として、精算システム3での精算処理に使用される。このような場合において、「読取対象」は「購入対象」に等しい、つまり「読取対象」は「購入対象」と同一である。本開示でいう「購入対象」は、顧客90による購入の対象となる物品91を意味する。本開示でいう「購入」とは、売主(店舗)から買主(顧客)に物品91の所有権を移転し、これに対する対価(代金)を買主が売主に支払う行為(売買)における買主(顧客)側の行為を意味する。つまり、購入対象の物品91については、基本的に、精算処理が完了することで売主(店舗)から買主(顧客)へ所有権が移転し、顧客90が持ち帰ることになる。
【0022】
すなわち、精算システム3は、読取システム100で読取対象であると判定された物品91について、物品情報を用いて精算処理を行う。言い換えれば、精算システム3は、読取装置2にて物品情報が読み取られた物品91のうち、読取システム100にて読取対象(購入対象)の物品91として判定された物品91のみについて、精算処理を実行する。これにより、買物支援システム1では、読取システム100の読取対象、つまり購入対象である物品91のみについて、精算処理の対象としやすくなり、購入対象でない物品91が誤って精算処理の対象に含まることが生じにくくなる。
【0023】
買物支援システム1によれば、例えば、店舗のレジカウンタ8(
図2参照)に設置された読取装置2にて非接触で物品情報の読み取りが行われることにより、物品91の精算が可能な状態になる。そのため、例えば、複数の物品91について物品情報を一括して読取可能であり、また、買物袋(いわゆるレジ袋)等に物品91が収納された状態でも物品情報の読み取りが可能である。したがって、バーコード等を用いて物品情報の読み取りが行われる場合に比較して、顧客90の買物に掛かる店員及び顧客90の手間を軽減することができる。
【0024】
ここで、本実施形態に係る買物支援システム1では、読取装置2における物品情報の読取りの回数と時間間隔と頻度との少なくとも1つに関する評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、物品91ごとに、物品91が読取対象(購入対象)であるか否かを判定する。すなわち、買物支援システム1は、読取装置2が、物品91に付された電子タグ93との無線通信により物品情報を読み取る際の、物品情報の読取りの回数と時間間隔と頻度との少なくとも1つに関する評価値を、評価値取得部11にて取得する。そして、買物支援システム1は、物品91ごとに、取得した評価値の変動(時間経過に伴う変化)に基づいて、物品91が読取対象(購入対象)であるか否かを、判定部12にて判定する。
【0025】
例えば、読取装置2が店舗のレジカウンタ8に設置されている場合、顧客90は、店舗に陳列されている複数の物品91の中から、読取対象の物品91を、店内でピックアップし、レジカウンタ8に持って行って、レジカウンタ8上の所定エリアに置く。このような顧客90の一連の動作により、読取対象(物品91)を持つ顧客90がレジカウンタ8に近づくにつれて読取装置2から読取対象までの距離が縮まり、かつ読取対象が所定エリアに置かれた以降は読取装置2から読取対象までの距離は一定となる。そのため、上述したような顧客90の一連の動作に伴って、読取対象(購入対象)の物品91に関しては、読取装置2における物品情報の読取りの回数と時間間隔と頻度との少なくとも1つに関する評価値は、特定の変化パターンを示すことになる。一例として、読取対象(購入対象)の物品91についての物品情報の読取りの回数は、所定エリアに物品91が置かれた後では、所定エリアに物品91が置かれる前に比べて大幅に増加することになる。したがって、買物支援システム1は、評価値の時間経過に伴う変化を解析することで、所定エリアに置かれた物品91を、読取対象(購入対象)の商品として特定することが可能である。
【0026】
その結果、買物支援システム1によれば、例えば、レジカウンタ8付近に陳列されている物品91等、読取対象でない物品91についての物品情報を読取装置2が読み取ることがあっても、これらの物品91と読取対象の物品91とを区別可能となる。そして、買物支援システム1は、読取対象と判定された物品91についてのみ、例えば、精算システム3での精算処理の対象とすることで、読取対象でない物品91が精算処理の対象とされることを抑制できる。要するに、精算システム3は、少なくとも物品91が所定エリアに置かれている間に読取装置2が読み取った物品情報を用いて精算処理を行うことになる。よって、買物支援システム1では、仮に、所定エリアの外部の電子タグ93から読取装置2が物品情報を読み取ることがあっても、読取対象(購入対象)の誤検出が生じにくい、という利点がある。
【0027】
(2)構成
以下、本実施形態に係る読取システム100、及びこれを備える買物支援システム1について詳しく説明する。本実施形態では、買物支援システム1が導入される店舗としてコンビニエンスストアを例に説明する。
【0028】
(2.1)買物支援システム
ここではまず、本実施形態に係る買物支援システム1の全体構成について説明する。買物支援システム1は、上述したように、読取システム100と、物品91についての精算処理を行う精算システム3と、を備えている。
【0029】
読取システム100は、
図1及び
図2に示すように、メインコンピュータ10及び読取装置2を備えている。ただし、上述したように読取装置2が読取システム100の構成要素に含まれていることは必須ではない。また、本実施形態では、読取システム100は、遮蔽物検知装置18及び検知装置5を更に備えているが、これらの構成についても読取システム100に必須の構成ではない。買物支援システム1は、
図1及び
図2に示すように、読取システム100及び精算システム3に加えて、レジシステム4、ゲート装置61及び報知装置62を更に備えているが、これらの構成についても買物支援システム1に必須の構成ではない。
【0030】
メインコンピュータ10は、評価値取得部11と、判定部12と、情報取得部13と、選択部14と、強度取得部15と、記憶部16と、読取制御部17と、を有している。本実施形態では、メインコンピュータ10は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。このメインコンピュータ10では、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、評価値取得部11、判定部12、情報取得部13、選択部14、強度取得部15及び読取制御部17の機能が実現される。プログラムは、メインコンピュータ10のメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0031】
メインコンピュータ10は、読取装置2及び精算システム3に接続されている。さらに、メインコンピュータ10は、例えば、POS(Point Of Sales)端末からなる店舗端末と通信可能に構成されている。メインコンピュータ10は、情報取得部13にて読取装置2から受信した物品情報に基づいて、精算システム3での精算処理に必要な情報を精算システム3に送信する送信処理等、所定の処理を実行する。
【0032】
評価値取得部11は、読取装置2における、物品91ごとの評価値を取得する。評価値取得部11は、後述する情報取得部13での読取装置2からの物品情報の取得状況に基づいて算出される値を、評価値として取得する。本実施形態では、情報取得部13での物品情報の取得状況に基づく評価値の算出は、評価値取得部11にて実行されることとする。「評価値」は、上述したように、ある期間内に読取装置2が読み取った物品情報についての、読取りの回数と時間間隔と頻度との少なくとも1つに関する値である。そのため、同一の期間内に読取装置2が複数の物品91についての物品情報を読み取った場合には、評価値取得部11は、物品91ごとに区別して評価値を取得する。評価値取得部11は、取得した評価値を、物品91ごとに区別して記憶部16に記憶する。
【0033】
さらに、本実施形態では、時間経過に伴う評価値の変化を、後述する判定部12での判定に用いるため、評価値取得部11は、少なくとも後述の第1期間P1(
図5A参照)及び第2期間P2(
図5A参照)の2つの期間について評価値を取得する。第2期間P2は、第1期間P1の経過後に設定される期間である。
【0034】
本開示でいう「読取りの回数」は、ある期間(第1期間P1又は第2期間P2)内に、読取装置2にて物品情報の読取りが行われた回数を意味し、より詳細には、読取装置2にて物品情報の読取りに成功した回数である。そのため、読取装置2が、物品91に付された電子タグ93との無線通信により何らかの信号を受信したものの、物品情報の読取りに失敗した場合には、読取りの回数としてカウントする対象に含まれない。例えば、読取装置2が、ある期間内に、ある物品91についての物品情報、つまり同一の物品情報を正常に10回読み取った場合には、「読取りの回数」は「10回」となる。
【0035】
本開示でいう「読取りの時間間隔」は、ある期間(第1期間P1又は第2期間P2)内に、読取装置2にて物品情報の読取りが行われた時間間隔を意味する。より詳細には、読取装置2にて物品情報の読取りに2回成功したときの、これらの2回分の物品情報の読取りが行われた時間間隔、つまり1回目の物品情報の読取り時点から2回目の物品情報の読取り時点までの時間である。そのため、読取装置2が、物品91に付された電子タグ93との無線通信により何らかの信号を受信したものの、物品情報の読取りに失敗した場合には、読取りの時間間隔の始点又は終点にはならない。例えば、読取装置2が、ある期間内に、ある物品91についての物品情報、つまり同一の物品情報を0.05秒間隔で正常に2回読み取った場合には、「読取りの時間間隔」は「0.05秒」となる。
【0036】
本開示でいう「読取りの頻度」は、ある期間(第1期間P1又は第2期間P2)内に、読取装置2にて物品情報の読取りが行われた頻度を意味し、より詳細には、読取装置2にて物品情報の読取りに成功した頻度である。そのため、読取装置2が、物品91に付された電子タグ93との無線通信により何らかの信号を受信したものの、物品情報の読取りに失敗した場合には、読取りの頻度としてカウントする対象に含まれない。例えば、読取装置2が、ある期間内において、ある物品91についての物品情報、つまり同一の物品情報を、単位時間当たりで正常に10回読み取った場合には、「読取りの頻度」は「10回」となる。
【0037】
本実施形態では、一例として、評価値取得部11が取得する「評価値」が「読取りの回数」である場合について説明する。以下、評価値である読取りの回数を「読取回数」ともいう。
【0038】
判定部12は、物品91ごとに、評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、物品91が読取対象であるか否かを判定する。ここでは、判定部12は、判定期間における評価値の変化を物品91ごとに解析し、解析結果に基づいて、個々の物品91が読取対象であるか否かを判定する。本実施形態では、判定部12は、メインコンピュータ10の記憶部16に記憶されている判定期間における評価値の変化パターンを解析することによって、物品91が読取対象であるか否かを判定する。本開示でいう「判定期間」は、少なくとも第1期間P1及び第2期間P2の2つの期間を含み、有限の長さ(例えば、10秒間)を持つ期間である。
【0039】
本実施形態では、判定部12は、物品91ごとに、評価値の時間変化に伴う変化量が所定の範囲に属するか否かによって、物品91が読取対象であるか否かを判定する。本開示でいう「変化量」は、時間変化に伴って変化した評価値の大きさを意味する。期間Aから別の期間Bにかけての評価値の変化量は、期間Aの評価値と期間Bの評価値との差分値である。本開示でいう「所定の範囲」は、1ないし複数の閾値によって規定される数値範囲である。本実施形態では一例として、所定の範囲が1つの閾値によって規定される。この場合、閾値以上の範囲が「所定の範囲」となり、閾値未満の範囲が「所定の範囲」外となる。この場合、評価値の時間変化に伴う変化量が閾値以上であれば、この変化量は所定の範囲に属することとなり、判定部12は、物品91が読取対象であると判定する。一方、評価値の時間変化に伴う変化量が閾値未満であれば、この変化量は所定の範囲に属さないこととなり、判定部12は、物品91が読取対象でないと判定する。閾値は一例として「10回」に設定される。
【0040】
また、判定部12は、物品91ごとに、第1期間P1における評価値と、第1期間P1の経過後に設定される第2期間P2における評価値と、の比較結果に基づいて、物品91が読取対象であるか否かを判定する。すなわち、本実施形態では、判定部12は、時系列的にずれた第1期間P1及び第2期間P2の2つの期間の評価値を比較することによって、物品91が読取対象であるか否かを判定する。
【0041】
情報取得部13は、複数の物品91についての複数の物品情報を読取装置2から取得する。詳しくは後述するが、読取装置2は、物品91に付された電子タグ93との無線通信が確立した際に、電子タグ93が付された物品91についての物品情報を、電子タグ93から受信する。情報取得部13は、このようにして読取装置2が電子タグ93から読み出した(受信した)物品情報を、読取装置2から取得する。ここで、読取装置2が複数の物品91についての物品情報を同時に読み取った場合には、情報取得部13は、物品91ごとの物品情報を取得する。情報取得部13は、読取装置2から物品情報を一定時間(例えば、100ミリ秒)間隔で取得し、記憶部16に記憶する。
【0042】
選択部14は、判定部12の判定結果を基に、複数の物品情報の中から読取対象の物品情報を選択する。すなわち、情報取得部13が複数の物品91についての複数の物品情報を読取装置2から取得した場合に、選択部14は、これら複数の物品情報の中から購入対象の物品91の物品情報を選択する。本実施形態では、「読取対象」は「購入対象」に等しいので、選択部14は、判定部12で読取対象であると判定された物品情報を、購入対象として選択する。選択部14は、2つ以上の物品情報を、購入対象の物品情報として選択してもよい。
【0043】
さらに、選択部14は、物品91についての精算処理を行う精算システム3に、購入対象(読取対象)の物品情報を出力するように構成されている。つまり、精算システム3には、選択部14にて選択された購入対象の物品情報がメインコンピュータ10から出力されることになる。その結果、読取対象(購入対象)と判定された物品91についてのみ、精算システム3での精算処理の対象とすることが可能である。
【0044】
強度取得部15は、読取装置2における無線通信時の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を取得する。強度取得部15は、受信信号強度を読取装置2から取得する。ここで、読取装置2が複数の物品91についての物品情報を同時に読み取った場合には、強度取得部15は、物品91ごとの受信信号強度を取得する。強度取得部15は、読取装置2から受信信号強度を一定時間(例えば、100ミリ秒)間隔で取得し、メインコンピュータ10の記憶部16に記憶する。
【0045】
記憶部16は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的記録媒体にて実現される。記憶部16は、少なくとも、評価値取得部11が取得した評価値を記憶する。
【0046】
読取制御部17は、読取装置2を制御する。読取制御部17は、少なくとも読取装置2における電子タグ93との無線通信の開始及び終了の指示を出す。具体的には、読取制御部17は、読取装置2と電子タグ93との無線通信を開始させる際には、読取装置2から無線通信用の電波の出力を開始させるように読取装置2を制御する。読取制御部17は、読取装置2と電子タグ93との無線通信を終了させる際には、読取装置2から無線通信用の電波の出力を停止させるように読取装置2を制御する。
【0047】
具体的には、メインコンピュータ10は、情報取得部13にて読取装置2から物品情報を受信する度に、読取装置2における物品情報の読取回数を評価値取得部11にて計数(カウント)する。例えば、読取装置2が同一の物品情報をN回読み取った場合には、読取装置2における物品情報の読取回数として「N回」を表す情報が、物品情報と共に読取装置2からメインコンピュータ10に送信される。つまり、メインコンピュータ10は、読取装置2から、物品情報を一定時間(例えば、100ミリ秒)間隔で受信する。そして、メインコンピュータ10は、物品情報を受信すると、物品情報ごとに、ある期間(第1期間P1又は第2期間P2)における物品情報の読取回数を累計し、累計された回数を記憶部16に記憶する。さらに、メインコンピュータ10は、読取回数の累計値を、ある期間(第1期間P1又は第2期間P2)の時間長さで除算し、単位時間(例えば、1秒)当たりの読取回数、つまり、ある期間(第1期間P1又は第2期間P2)における読取回数の平均値を求める。
【0048】
その結果、メインコンピュータ10の記憶部16には、例えば、下記表1に示すように、物品91ごと、つまり物品情報(「aaaa」、「bbbb」、「cccc」)ごとに、単位時間当たりの読取回数(つまり読取回数の平均値)が、評価値として記憶されることになる。ここで、表1の「変化量(P2-P1)」は、第1期間P1から第2期間P2にかけての評価値の変化量、具体的には、第2期間P2における物品情報の読取回数と、第1期間P1における物品情報の読取回数と、の差分値を表している。例えば、物品情報「bbbb」については、第1期間P1における読取回数は「10」であるのに対し、第2期間P2における読取回数は「32」であるので、その差分値は「22」(=32-10)である。このようにメインコンピュータ10の記憶部16に記憶される評価値(読取回数)は、判定期間が経過した場合、及び、物品情報を一定時間以上、受信できなくなった場合等に、削除される。
【0049】
【0050】
メインコンピュータ10は、上記表1のように、物品情報ごとに記憶部16に記憶された判定期間の評価値(読取回数)を用いて、判定部12にて、判定期間における評価値の変化を物品91ごとに解析する。判定部12は、この解析結果を、所定の判定条件に照らして、物品91が読取対象であるか否かを判定する。本開示でいう「判定条件」とは、判定部12において、物品91が読取対象であると判定するための条件を意味する。詳しくは後述するが、本実施形態では、判定条件は、評価値の時間経過に伴う変化に関する第1条件と、受信信号強度に関する第2条件と、を含んでいる。すなわち、判定部12は、評価値の時間経過に伴う変化と、受信信号強度との組み合わせに基づいて、物品91が読取対象であるか否かを判定する。
【0051】
そのため、メインコンピュータ10は、情報取得部13にて読取装置2から物品情報を受信する際、物品情報と併せて受信信号強度を強度取得部15にて読取装置2から取得する。つまり、メインコンピュータ10は、読取装置2から、物品情報及び受信信号強度の組み合わせを一定時間(例えば、100ミリ秒)間隔で受信する。そして、メインコンピュータ10は、物品情報及び受信信号強度の組み合わせを受信すると、物品情報ごとに、判定期間分の受信信号強度を記憶部16に記憶する。その結果、メインコンピュータ10の記憶部16には、物品91ごと、つまり物品情報ごとに、例えば、上記表1のような評価値(読取回数)に加えて、受信信号強度が記憶されることになる。
【0052】
第1条件は、一例として、第1期間P1から第2期間P2にかけて評価値が増加し、かつ第1期間P1から第2期間P2にかけての評価値の変化量(つまり第1期間P1の評価値と第2期間P2の評価値との差分値)が閾値以上であること、を含んでいる。第2条件は、一例として、少なくとも第2期間P2における受信信号強度が強度閾値以上であること、を含んでいる。
【0053】
判定部12は、評価値の時間経過に伴う変化に関する第1条件と、受信信号強度に関する第2条件と、の両方を満たす場合に、判定条件を満たすと判断する。つまり、第1条件と第2条件との一方でも満たさない場合には、判定部12は判定条件を満たさないと判断する。そして、判定部12は、判定条件(第1条件と第2条件との両方)を満たすと判断したことをもって、物品91が読取対象であると判定する。判定部12にて物品91が読取対象であると判定された場合、メインコンピュータ10は、この物品91の物品情報を購入対象(読取対象)の物品情報として、選択部14にて精算システム3に出力する。
【0054】
さらに、メインコンピュータ10は、レジシステム4、ゲート装置61、報知装置62、遮蔽物検知装置18及び検知装置5とも通信を行うことにより、これらの装置を制御可能に構成されている。
【0055】
レジシステム4は、供給ユニット41、表示装置42、入力装置43、音声出力部44及び撮像装置45を有している。供給ユニット41、表示装置42、入力装置43、音声出力部44及び撮像装置45は、いずれもメインコンピュータ10の周辺装置であって、メインコンピュータ10に接続されている。
【0056】
供給ユニット41は、特定の商品(例えば煙草)を顧客90に供給する装置である。表示装置42は、顧客90に向けて各種の表示を行う装置である。入力装置43は、例えばジェスチャ検出等により、顧客90の操作を受け付ける装置である。さらに、入力装置43は、マイクロホンを含み、マイクロホンに入力された音声信号に対して音声認識及び意味解析の処理を施す機能を有している。そのため、顧客90においては音声による操作(音声入力)も可能である。音声出力部44は、スピーカを含み、音声によって顧客90に向けて各種の情報を提示する装置である。
【0057】
つまり、レジシステム4は、表示装置42、入力装置43及び音声出力部44をユーザインタフェースとして用いることにより、表示又は音声によって各種の情報を顧客90に提示したり、顧客90の操作(音声入力を含む)を受け付けたりすることができる。ただし、レジシステム4による情報の提示は、表示と音声との少なくとも一方で実現されればよく、表示と音声とのいずれか一方で実現されてもよいし、表示と音声との組み合わせで実現されてもよい。
【0058】
一例として、レジシステム4は、来客検知時及び精算処理の完了時に、「いらっしゃいませ。」、「ありがとうございました。」等のメッセージを顧客90に提示することができる。これにより、顧客90に対して、店員が接客するのに近い親近感を与えることができる。また、顧客90は、例えば、入力装置43を操作して支払方法を選択し、表示装置42に表示される精算金額を支払うことにより精算を行う。さらに、レジシステム4は、表示装置42及び音声出力部44にて、買物支援システム1の利用手順を顧客90に提示することも可能である。この場合に、表示装置42及び音声出力部44は、例えば、来客が有ると、まずは物品91を置くように促し、次にファストフード又は煙草等の購入の有無を確認するなど、順を追って、利用手順を説明することが好ましい。
【0059】
また、撮像装置45は、レジカウンタ8(
図2参照)の正面の空間及びレジカウンタ8の上面81(
図2参照)上の空間を撮像するカメラである。撮像装置45は、例えば、レジカウンタ8の正面に顧客90がいるときには顧客90を撮像し、レジカウンタ8上に物品91が置かれたときには物品91を撮像する。
【0060】
読取装置2は、物品91に付された電子タグ93と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、この物品91に関する物品情報を読み取る装置である。読取装置2は、アンテナ21及び通信部20を有している。詳しくは後述するが、読取装置2は矩形板状に形成されている。基本的には、読取装置2の表面(上面)に設定された所定エリアに物品91が置かれた状態で、読取装置2は、この物品91に付された電子タグ93と無線通信し、物品情報の読み取りを実行する。電子タグ93は、RF(Radio Frequency)タグであって、読取装置2は、物品91から直接的に物品情報を読み取るのではなく、物品91に付された電子タグ93から非接触で物品情報を読み取る。
【0061】
本実施形態では、読取装置2は、物品91が容器92(
図2参照)に収容(荷詰め)された状態で、物品91に付された電子タグ93から物品情報を読み取る。そのため、顧客90は、店内でピックアップした物品91について、先に、物品91を容器92に収納する作業を行い、その後、物品91を容器92ごと読取装置2上の所定エリアに置くことによって、読取装置2に物品情報の読み取りを行わせることができる。したがって、顧客90においては、物品情報の読み取り後に、荷詰めを行う必要がなく、容器92に収納された状態の物品91を、そのまま容器92ごと持ち帰ることができ、買物支援システム1によって買物を効率よく行うことができる。本開示でいう「容器」は、顧客90が少なくとも1つの商品を持ち帰るために使用する入れ物であって、物品91が入る大きさで、かつ物品91を出し入れするための開口を有する入れ物であればよく、例えば、バッグ、袋、かご、箱又はカート等である。ここで、バッグ、袋、かご、箱又はカートの材質は特に限定されず、例えば、袋であれば、ポリエチレン製又はポリプロピレン製等の「ビニール袋」、及び紙製の「紙袋」等を含む。
【0062】
特に、本実施形態では、容器92が顧客90の私物のバッグ(エコバッグ等を含む)であると仮定する。そのため、顧客90は、物品91をピックアップしながら容器92に収納できるので、物品91のピックアップと物品91の荷詰めと、を同時に行うことができる。したがって、買物支援システム1によれば、単独での「荷詰め」という作業が不要になり、買物の効率の更なる向上を図ることができる。ただし、顧客90が物品91のピックアップと物品91の荷詰めと、を同時に行うことは、買物支援システム1に必須の事項でない。例えば、顧客90は、物品91のピックアップ後、精算処理の開始までの間に、物品91の荷詰めを行ってもよいし、精算処理後に、物品91の荷詰めを行ってもよい。
【0063】
また、
図2に示すように、容器92に複数の物品91が収納されている場合には、読取装置2は、これら複数の物品91に付された複数の電子タグ93から、複数の物品91の物品情報をまとめて読み取ることが可能である。ここで、読取装置2は、複数の電子タグ93から、複数の物品情報を一括で取得してもよいし、物品情報を1つずつ取得してもよい。これにより、顧客90は、一旦、複数の物品91を容器92に収納すれば、その後、精算処理が完了してこれら複数の物品91を持ち帰るまで、これら複数の物品91をばらすことなく一まとめにして扱うことができる。
【0064】
ゲート装置61は、読取装置2と同様に、物品91に付された電子タグ93と、電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品情報を読み取るように構成されている。ゲート装置61は、例えば、売り場空間となる店舗の出入口101(
図3参照)に設置されている。ゲート装置61は、電波を媒体とする無線通信により、メインコンピュータ10との間で双方向の通信が可能である。ゲート装置61は、顧客90が出入口101を通って店舗から出る(退店する)際に、顧客90が持つ容器92内の物品91に付された電子タグ93と、非接触で通信を行う。このとき、ゲート装置61が電子タグ93から読み取った物品情報について、精算処理が実行されているか否かを判断する。本実施形態では、物品91についての精算処理が完了しているか否かは、例えば、メインコンピュータ10の記憶部16に物品情報に対応付けて記憶される精算済みフラグの値によって判断される。例えば、物品91についての精算処理が完了している場合には、この物品91についての精算済みフラグの値が「1」になる。そのため、ゲート装置61が電子タグ93から読み取った物品情報に対応する精算済みフラグが「0」であれば精算処理が未完了、物品情報に対応する精算済みフラグが「1」であれば精算処理が完了している、と判断される。
【0065】
報知装置62は、ゲート装置61で読み取られた物品情報について精算処理が実行されていない場合に報知処理を実行する。すなわち、ゲート装置61及び報知装置62によれば、店舗から持ち出される物品91について、精算処理が正常に完了していることを確認することができる。報知装置62は、例えば、ゲート装置61と一体に構成される。報知装置62が行う報知の態様は、特に限定しないが、例えば、報知装置62自体が表示又は音声によって報知してもよいし、報知装置62がメインコンピュータ10に報知信号を送信することで、レジシステム4等にて報知を行ってもよい。
【0066】
遮蔽物検知装置18は、読取装置2と電子タグ93との間における電波の遮蔽物の有無を検知する。詳しくは後述するが、遮蔽物検知装置18により遮蔽物が検知された場合には、メインコンピュータ10は、判定部12での判定処理を一時的に中止する。本開示でいう「遮蔽物」は、読取装置2における電子タグ93からの受信信号強度を低下させる物体(人体を含む)であればよく、電波を完全に遮断しなくてもよい。遮蔽物の具体例としては、読取装置2と物品91(電子タグ93)との間を通過する人(顧客90を含む)及び物(台車等)がある。遮蔽物検知装置18は、例えば、レジカウンタ8の前方を通過する人を検知する人感センサ(一例として、焦電型センサ又はイメージセンサ等)で実現される。また、遮蔽物検知装置18は、例えば、レジカウンタ8の前方を通過する物を検知する対物センサ(一例として、光学式センサ又は電波センサ等)等で実現されてもよい。遮蔽物検知装置18は、レジシステム4の撮像装置45と兼用されてもよい。
【0067】
検知装置5は、物品91の位置を検知する。詳しくは後述するが、レジカウンタ8から一定距離の領域に物品91が進入したこと、及び所定エリアに物品91が置かれたことが検知装置5にて検知されたタイミングで、読取装置2における電子タグ93との無線通信が開始する。つまり、メインコンピュータ10は、検知装置5からのトリガを受けて、読取制御部17にて、読取装置2における電子タグ93との無線通信を開始させる。本開示でいう「所定エリア」は、読取装置2での物品情報の読取りが行われる物品91が置かれるエリアを意味し、一例として、読取装置2の表面(上面)に設定されたエリアである。
【0068】
本実施形態では、検知装置5は、第1センサ51と第2センサ52とを含んでいる。第1センサ51は、例えば、レジカウンタ8から顧客90までの距離を測定する測距センサで実現される。具体的には、第1センサ51は、例えば、超音波式、光学式、超音波式又は電波式等の非接触式の測距センサにて実現される。第1センサ51は、レジカウンタ8から物品91を持った顧客90までの距離を測定することで、レジカウンタ8から一定距離の領域に物品91が進入したことを検知する。第2センサ52は、例えば、所定エリアに物品91が置かれたことを検知する対物センサで実現される。具体的には、第2センサ52は、例えば、所定エリアの手前の領域を移動体が通過することを検知するライトカーテン又はエリアセンサの非接触式の対物センサにて実現される。第2センサ52は、所定エリアに物品91が置かれたことを検知する。
【0069】
読取制御部17は、読取装置2を制御する。読取制御部17は、少なくとも読取装置2における電子タグ93との無線通信の開始及び終了の指示を出す。具体的には、読取制御部17は、読取装置2と電子タグ93との無線通信を開始させる際には、読取装置2から無線通信用の電波の出力を開始させるように読取装置2を制御する。読取制御部17は、読取装置2と電子タグ93との無線通信を終了させる際には、読取装置2から無線通信用の電波の出力を停止させるように読取装置2を制御する。
【0070】
ところで、買物支援システム1は、
図2に示すように、例えば、店舗のレジカウンタ8周辺に設けられている。このようなレジカウンタ8は、1つの店舗に対して複数設置されていてもよい。
【0071】
以下では、特に断りがない限り、レジカウンタ8の上面81が水平面となる向きで、レジカウンタ8が設置されていることとして説明する。つまり、レジカウンタ8の上面81に直交する方向が上下方向(鉛直方向)となる。さらに、以下では、レジカウンタ8を正面から見た左右方向を「左右方向」とし、レジカウンタ8の奥行方向を「前後方向」として説明する。ただし、これらの方向は買物支援システム1の使用時の方向を限定する趣旨ではなく、例えば、レジカウンタ8の上面81が水平面に対して多少傾斜した状態で、買物支援システム1が使用されていてもよい。
【0072】
図2の例では、メインコンピュータ10はレジカウンタ8に内蔵される。
図2の例では、レジカウンタ8を正面から見て右端部寄りの位置に、メインコンピュータ10が内蔵されている。
【0073】
レジカウンタ8の上面81において幅方向(左右方向)の中央部と左端部との間の位置には、読取装置2が配置されている。ここでは、読取装置2は、定位置(レジカウンタ8の上面81上)に固定されている。そのため、顧客90は、例えば、レジカウンタ8の正面に立ち、レジカウンタ8の上面81上に設置された板状の読取装置2上に物品91を置くことで、読取装置2に物品91の物品情報を読みらせることができる。
【0074】
供給ユニット41は、レジカウンタ8の上方に位置するように、天井に吊り下げられている。表示装置42は、供給ユニット41の下面に固定されており、例えばプロジェクションマッピング技術により、スクリーンに対して映像を投影するように構成されている。ここでは、表示装置42は、レジカウンタ8の上面81のうち、レジカウンタ8を正面から見て読取装置2の右側の領域に映像を投影する。つまり、レジカウンタ8の上面81のうち読取装置2の右側の領域が、表示装置42のスクリーンとなる。入力装置43は、レジカウンタ8の上面81上であって、レジカウンタ8を正面から見てスクリーンの奥に設置されている。入力装置43には、音声出力部44が一体に設けられている。
【0075】
また、上述した買物支援システム1の各部の位置関係及び形状等は、一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、レジカウンタ8を正面から見て、読取装置2が右側、メインコンピュータ10が左側に配置されていてもよいし、レジカウンタ8が平面視でL字状であってもよい。さらに、例えば、読取装置2はレジカウンタ8とは別に設けられていてもよい。
【0076】
(2.2)読取装置
次に、読取装置2について、更に詳しく説明する。
【0077】
読取装置2は、物品91に付された電子タグ93から物品情報を読み取ることにより、物品情報を取得するように構成されている。すなわち、読取装置2は、物品91に付された電子タグ93との間で電波を媒体として無線通信を行うことにより、電子タグ93に記憶されている物品情報を取得する。
【0078】
電子タグ93は、例えば、パッシブ型のRFタグであって、少なくとも物品情報を記憶するメモリを有している。ここにおいて、複数の物品91には複数の電子タグ93が一対一で対応付けられている。電子タグ93には、対応する物品91についての物品情報が記憶されており、電子タグ93は、対応する物品91に付されている。
【0079】
電子タグ93は物品91と一体に取り扱い可能な状態で物品91に付されていればよく、電子タグ93が物品91に付される具体的な態様としては、様々な態様がある。本実施形態では一例として、電子タグ93はシール状であって物品91に貼り付けられている。その他、電子タグ93は、例えば、紐等で物品91に繋がっていてもよいし、物品91の梱包材に一体化されていてもよいし、物品91に埋め込まれていてもよいし、物品91に組み込まれていてもよい。さらに、例えば、塗布型半導体等の技術を用いることにより、電子タグ93は、物品91自体、又は物品91の梱包材等の表面に、印刷にて直接的に形成されていてもよい。
【0080】
本実施形態に係る読取装置2は、
図2に示すように、矩形板状に形成されており、レジカウンタ8の上面81に固定されている。読取装置2は、その内部にアンテナ21及び通信部20を有しており(
図1参照)、RFID(Radio Frequency Identification)システムを構成するリーダである。読取装置2は、基本的には、読取装置2の上方の所定エリアに置かれた物品91の電子タグ93と無線通信を行う。本実施形態では、読取装置2は、所定エリアからの電波の漏洩を低減するためのシールド等を有さない、いわゆる開放型の読取装置である。
【0081】
アンテナ21は、読取装置2上の所定エリアに位置する電子タグ93との間で、通信媒体となる電波を送受信し、無線通信を行う。すなわち、本実施形態では、アンテナ21は、処理エリアに対して下方から電波を送受信可能となるように配置されている。アンテナ21は、偏波面を考慮し、円偏波のアンテナにて構成されることが好ましい。アンテナ21は、通信部20と電気的に接続されている。アンテナ21は、例えば、パッチアンテナ、モノポールアンテナ、逆F形アンテナ又はスロットアンテナ等で構成される。
【0082】
ただし、本実施形態では読取装置2は開放型であるので、アンテナ21から送信される電波が届く範囲を規制する構造は特に設けられていない。そのため、アンテナ21から出た通信用の電波が、例えば、レジカウンタ8付近に置かれた商品等、所定エリア外に存在する商品に届くこともある。したがって、読取装置2では、レジカウンタ8付近に置かれた商品等、所定エリア外に存在する商品から、物品情報を読み取ることがある。
【0083】
通信部20は、アンテナ21から電子タグ93に電波を送信し、この電波によって起動された電子タグ93からの物品情報をアンテナ21にて受信する。通信部20は、少なくとも物品情報の受信時に、無線信号(電波)の受信信号強度を計測する。通信部20は、電子タグ93から物品情報を受信すると、物品情報に加えて、受信信号強度をメインコンピュータ10に送信する。
【0084】
また、読取装置2は、読取装置2上に置かれた物体の重量を計測する重量センサを有していてもよい。この場合、重量センサの計測結果から、読取装置2上に物品91が載っているか否かを判定することが可能であるので、重量センサが検知装置5として兼用されてもよい。
【0085】
(3)動作
次に、本実施形態に係る読取システム100及び買物支援システム1の動作について説明する。
【0086】
(3.1)買物支援システムの全体動作
まず、本実施形態に係る買物支援システム1の全体動作、つまり買物支援システム1を用いた買物支援方法について、
図3~
図9を参照して説明する。
図3は、買物支援システム1を導入した店舗の見取り図である。
図4A~
図4Cは、物品91を持った顧客90がレジカウンタ8に接近し、物品91を読取装置2上の所定エリアに置く様子を模式的に表す説明図である。
図5A及び
図5Bは、横軸を時間軸、縦軸を読取回数(評価値である読取回数)として、時間経過に伴う読取回数の変化の一例を示す波形図である。
図6は、買物支援システム1を用いた顧客90の買物に係る動作を模式的に表す説明図であって、
図7A及び
図7Bは、比較例に係る買物支援システム1X,1Yを用いた顧客90の買物に係る動作を模式的に表す説明図である。
図4A~
図4C、
図6、
図7A及び
図7Bでは、供給ユニット41等の図示を適宜省略している。
図8は、買物支援システム1の動作を示すフローチャートである。
図9は、買物支援システム1を用いた顧客90の買物に係る動作(退店時の動作)を模式的に表す説明図である。
【0087】
ここでは一例として、
図3に示すように、顧客90が、冷蔵庫から読取対象(購入対象)の物品91をピックアップし、一対の棚103の間を通ってレジカウンタ8に持って行って、レジカウンタ8上の所定エリアに物品91を置く場合を想定する。また、精算処理の完了後、顧客90が、レジカウンタ8上から物品91を持ち去り、一対のゲート装置61の間を通って出入口101から退店することを想定する。つまり、
図3の例では、顧客90は、「A」で示す位置で物品91をピックアップし、その後「B」で示す位置に移動し、その後「C」で示す位置に移動する。
【0088】
図3の例において、顧客90が、「A」で示す位置から「B」で示す位置に移動して物品91を読取装置2上の所定エリアに置くに際しては、
図4A~
図4Cに示すような顧客90の一連の動作が、検知装置5にて検知される。
【0089】
すなわち、
図4Aに示すように、顧客90がレジカウンタ8に接近し、検知装置5の第1センサ51で測定されるレジカウンタ8から顧客90までの距離が「L1」になると、検知装置5は、レジカウンタ8から一定距離の領域に物品91が進入したと判断する。このとき、読取制御部17は、読取装置2に電子タグ93との無線通信を開始させ、読取装置2が無線通信用の電波の出力を開始する。これにより、後述する第1期間P1が開始する。言い換えれば、検知装置5が、物品91と共に移動する移動体(ここでは顧客90)と物品91との少なくとも一方の、所定エリアへの進入経路上に設定された進入エリアへの進入を検知すると、第1期間P1が開始する。本開示でいう「移動体」は、物品91を持った顧客90の他、例えば、物品91を収容した容器92等を含む。また、本開示でいう「進入エリア」は、レジカウンタ8上の所定エリアへの進入経路上に設定されたエリアであって、具体的には、レジカウンタ8から距離L1内のエリアである。
【0090】
その後、
図4Bに示すように、物品91を持った顧客90がレジカウンタ8に更に接近すると、検知装置5の第1センサ51で測定されるレジカウンタ8から顧客90までの距離が「L2」になる。距離L2は距離L1よりも短い距離である(L2<L1)。このとき、読取制御部17は、読取装置2に電子タグ93との無線通信を終了させ、読取装置2が無線通信用の電波の出力を停止する。これにより、第1期間P1が終了する。
【0091】
その後、
図4Cに示すように、顧客90が物品91を読取装置2上の所定エリアに置くと、物品91又は顧客90の一部(腕等)が所定エリアの手前の領域を通過したことが第2センサ52にて検知される。そのため、検知装置5は、第2センサ52の出力から、所定エリアに物品91が置かれたと判断する。このとき、読取制御部17は、読取装置2に電子タグ93との無線通信を開始させ、読取装置2が無線通信用の電波の出力を開始する。これにより、後述する第2期間P2が開始する。言い換えれば、検知装置5が、物品91と共に移動する移動体(ここでは顧客90)と物品91との少なくとも一方の、所定エリアへの進入を検知すると、第2期間P2が開始する。
【0092】
以上説明したように、第1期間P1及び第2期間P2の少なくとも一方は、物品91の位置を検知する検知装置5の検知結果に基づいて定まる期間である。すなわち、検知装置5が、移動体(ここでは顧客90)と物品91との少なくとも一方の進入エリアへの進入を検知すると第1期間P1が開始するので、第1期間P1は、検知装置5の検知結果に基づいて規定されることになる。また、検知装置5が、移動体(ここでは顧客90)と物品91との少なくとも一方の所定エリアへの進入を検知すると第2期間P2が開始するので、第2期間P2は、検知装置5の検知結果に基づいて規定されることになる。本実施形態では、第1期間P1の始点が、検知装置5の第1センサ51の検知結果に基づいて定まり、第2期間P2の始点が、検知装置5の第2センサ52の検知結果に基づいて定まる。つまり、第1期間P1及び第2期間P2のいずれもが、物品91の位置を検知する検知装置5の検知結果に基づいて定まる期間である。
【0093】
この場合において、顧客90が持っている読取対象の物品91については、読取装置2での物品情報の読取回数は、例えば、
図5A及び
図5Bに「I1」で示すように変化する。
図5A及び
図5Bでは、読取対象の物品91以外に、例えば、レジカウンタ8付近に陳列されている他の物品(以下、「レジ周り商品」ともいう)についても、読取装置2での物品情報の読取りが行われる状況を想定している。そして、レジ周り商品については、読取装置2での物品情報の読取回数は、例えば、
図5及び
図5Bに「I2」で示すように変化することと仮定する。
【0094】
図5Aの例では、レジカウンタ8から顧客90までの距離が「L1」になった時点t1(
図4Aの状態)において、読取装置2が無線通信を開始し、第1期間P1が開始する。つまり、時点t1は第1期間P1の始点となる。第1期間P1が開始すると、読取装置2が無線通信を開始することで、読取対象の物品91及びレジ周り商品について、読取装置2での物品情報の読取りが開始する。そのため、時点t1では、読取対象の物品91及びレジ周り商品の両方について、
図5Aに示すように、物品情報の読取回数I1,I2が増加する。
【0095】
そして、レジカウンタ8から顧客90までの距離が「L2」になった時点t2(
図4Bの状態)において、読取装置2が無線通信を終了し、第1期間P1が終了する。つまり、時点t2は第1期間P1の終点となる。第1期間P1が終了すると、読取装置2が無線通信を終了することで、読取対象の物品91及びレジ周り商品について、読取装置2での物品情報の読取りが終了する。そのため、時点t2では、読取対象の物品91及びレジ周り商品の両方について、
図5Aに示すように、物品情報の読取回数I1,I2が低下する(0になる)。
【0096】
その後、所定エリアに物品91が置かれた時点t3(
図4Cの状態)において、読取装置2が無線通信を開始し、第2期間P2が開始する。つまり、時点t3は第2期間P2の始点となる。第2期間P2が開始すると、読取装置2が無線通信を開始することで、読取対象の物品91及びレジ周り商品について、読取装置2での物品情報の読取りが開始する。そのため、時点t3では、読取対象の物品91及びレジ周り商品の両方について、
図5Aに示すように、物品情報の読取回数I1,I2が増加する。顧客90が読取対象とする複数の物品91を複数回に分けて所定エリアに置く場合、最後の読取対象の物品91が所定エリアに物品91が置かれた時点を、所定エリアに物品91が置かれた時点t3(第2期間P2の始点)とすることが好ましい。例えば、顧客90が複数の物品91を2回に分けて所定エリアに置く場合、2回目に物品91が置かれたことをもって、所定エリアに物品91が置かれたこととし、読取装置2での物品情報の読取りを開始させることが好ましい。
【0097】
そして、時点t3から一定時間が経過した時点t4においては、読取装置2が無線通信を終了し、第2期間P2が終了する。つまり、時点t4は第2期間P2の終点となる。第2期間P2が終了すると、読取装置2が無線通信を終了することで、読取対象の物品91及びレジ周り商品について、読取装置2での物品情報の読取りが終了する。そのため、時点t4では、読取対象の物品91及びレジ周り商品の両方について、
図5Aに示すように、物品情報の読取回数I1,I2が低下する(0になる)。
【0098】
上記動作により、評価値取得部11では、第1期間P1、及び第1期間P1の経過後に設定される第2期間P2の2つの期間について、評価値(物品情報の読取回数)を算出可能である。本実施形態では、第1期間P1における単位時間当たりの読取回数が、第1期間P1の評価値として算出され、第2期間P2における単位時間当たりの読取回数が、第2期間P2の評価値として算出される。
図5Aの例では、読取対象の物品91について、第2期間P2の評価値は第1期間P1の評価値より大きく、かつ第2期間P2の評価値と第1期間P1の評価値との差分値は変化量ΔI1で表される。言い換えれば、第1期間P1の終点(時点t2)と、第2期間P2の始点(時点t3)との間の休止期間P3において、読取対象の物品91についての評価値である読取回数I1は、変化量ΔI1の分だけ増加する。一方、レジ周り商品について、第2期間P2の評価値は第1期間P1の評価値と略同じである。言い換えれば、第1期間P1の終点(時点t2)と、第2期間P2の始点(時点t3)との間の休止期間P3において、レジ周り商品についての評価値である読取回数I2は、殆ど変化しない。
【0099】
判定部12は、第1期間P1から第2期間P2にかけての評価値の変化量と閾値とを比較する。ここでは、第1期間P1から第2期間P2にかけて評価値が増加しており、かつ読取対象の物品91についての変化量ΔI1は、閾値(例えば、10回)以上であると仮定する。したがって、判定部12は、判定条件のうち、評価値の時間経過に伴う変化に関する第1条件を満たすと判断する。
【0100】
また、本実施形態では、判定部12は、評価値の時間経過に伴う変化に関する第1条件と、受信信号強度に関する第2条件と、の両方を満たす場合に、判定条件を満たすと判断する。そのため、判定部12は、受信信号強度に伴う変化についても判定を行う。
【0101】
すなわち、顧客90がレジカウンタ8上の所定エリアに物品91を置く動作に伴って、この物品91についての受信信号強度は、急激に立ち上がることになる。これにより、受信信号強度は所定値以上の傾きを持って増加し、少なくとも第2期間P2における受信信号強度が強度閾値(例えば、-55dBm)以上となる。したがって、判定部12は、判定条件のうち、受信信号強度に関する第2条件を満たすと判断する。
【0102】
その結果、判定部12は、第1条件と第2条件との両方を満たす、つまり判定条件を満たすと判断し、この物品91が読取対象であると判定する。
【0103】
これに対して、レジ周り商品については、読取装置2での物品情報の読取回数は、例えば、
図5Aに「I2」で示すように略一定の値を維持することになる。そのため、レジ周り商品については、そもそも評価値(読取回数)に関する判定条件(第1条件)を満たすことがない。さらには、レジ周り商品については、受信信号強度に関する判定条件(第2条件)を満たすこともない。その結果、判定部12は、レジ周り商品については判定条件を満たさないと判定し、このレジ周り商品が読取対象でないと判定する。
【0104】
また、
図5Bの例では、レジ周り商品についての物品情報の評価値(読取回数I2の平均値)が、第2期間P2における読取対象の物品91の評価値(読取回数I1の平均値)よりも大きい場合を想定する。つまり、例えば、レジ周り商品が読取装置2の直近に存在するか、レジ周り商品に付された電子タグ93が読取りやすい状況にある場合には、判定期間(第1期間P1及び第2期間P2を含む)におけるレジ周り商品についての物品情報の評価値は大きくなる。
図5Bの例においても、
図5Aの例と同様に、読取対象の物品91については、第2期間P2の評価値は第1期間P1の評価値より大きく、かつ第2期間P2の評価値と第1期間P1の評価値との差分値は変化量ΔI1で表される。言い換えれば、第1期間P1の終点(時点t2)と、第2期間P2の始点(時点t3)との間の休止期間P3において、読取対象の物品91についての評価値である読取回数I1は、変化量ΔI1の分だけ増加する。一方、レジ周り商品について、第2期間P2の評価値は第1期間P1の評価値と略同じである。言い換えれば、第1期間P1の終点(時点t2)と、第2期間P2の始点(時点t3)との間の休止期間P3において、レジ周り商品についての評価値である読取回数I2は、殆ど変化しない。
【0105】
その結果、
図5Bに示す場合においても、判定部12は、第1条件と第2条件との両方を満たす、つまり判定条件を満たすと判断し、この物品91が読取対象であると判定する。一方、判定部12は、レジ周り商品については判定条件を満たさないと判定し、このレジ周り商品が読取対象でないと判定する。
【0106】
したがって、本実施形態に係る買物支援システム1によれば、
図6に示すように、レジカウンタ8上の所定エリア、つまり読取装置2上に置かれた物品91Xについては、読取対象であると判定される。一方、上記レジ周り商品のように、レジカウンタ8付近に陳列されているだけの物品91Yについては、買物支援システム1は、読取対象でないと判定する。よって、買物支援システム1によれば、例えば、レジカウンタ8付近に陳列されている物品91Y等、読取対象でない物品91Yについての物品情報を読取装置2が読み取ることがあっても、これらの物品91Yと読取対象の物品91Xとを区別可能となる。
図6においては、買物支援システム1にて読取対象(購入対象)であると判定された物品91を吹き出しの中に概念的に記載している。
【0107】
これに対して、比較例に係る買物支援システム1X,1Yによれば、以下のような問題がある。ここで、比較例に係る買物支援システム1X,1Yは、いずれも評価値及び受信信号強度に基づいて物品91が読取対象であるか否かを判定する機能を有さない。また、第1比較例に係る買物支援システム1Xは、
図7Aに示すように、電波遮蔽性を有する筐体を含む密閉型の読取装置2Xを備えている。第2比較例に係る買物支援システム1Yは、
図7Bに示すように、本実施形態と同様の開放型の読取装置2Yを備えている。
図7A及び
図7Bにおいては、買物支援システム1X,1Yにて読取対象(購入対象)であると判定された物品91を吹き出しの中に概念的に記載している。
【0108】
第1比較例に係る買物支援システム1Xでは、密閉型の読取装置2Xが、電波遮蔽性を有する筐体の内部空間内にある電子タグ93との通信を行う。そのため、筐体の内部空間からの電波の漏洩が生じにくく、読取装置2Xが物品情報を読み取る対象を、読取対象の物品91Xのみに限定することが可能である。ただし、この種の密閉型の読取装置2Xでは、筐体の内部空間に物品91Xを投入する作業が必要である。特に、顧客90が両手に荷物を抱えているような状況では、顧客90が筐体の扉の開け閉め作業を行うことは困難である、という問題がある。さらに、筐体の外部の電子タグ93からの電波が筐体を透過する場合、及び扉の閉め忘れが生じた場合等に、筐体の外部の物品91Yの電子タグ93から読取装置2Xが物品情報を読み取る可能性がある。そのため、読取対象ではない物品91Yについても、誤って読取対象として検出される可能性がある。
【0109】
第2比較例に係る買物支援システム1Yでは、開放型の読取装置2Yが、レジカウンタ8上の所定エリア、つまり読取装置2Y上に置かれた物品91Xだけでなく、レジカウンタ8付近に陳列されている物品91Yについても、物品情報を読み取ることがある。そのため、読取対象ではない物品91Yについても、誤って読取対象として検出される可能性がある。
【0110】
本実施形態に係る買物支援システム1では、上述したようにレジカウンタ8付近に陳列されている物品91Y(レジ周り商品)等、読取対象でない物品91Yと読取対象の物品91Xとを区別可能である。つまり、買物支援システム1によれば、読取対象(購入対象)の誤検出が生じにくい、という利点がある。しかも、買物支援システム1は、開放型の読取装置2を備えるので、第1比較例に係る買物支援システム1Xのような筐体の扉の開け閉め作業も必要なく、使い勝手がよい。
【0111】
次に、本実施形態に係る買物支援システム1の全体的な動作について
図8を参照して説明する。
【0112】
買物支援システム1は、まずは検知装置5にて、物品91と共に移動する移動体(ここでは顧客90)と物品91との少なくとも一方の、所定エリアへの進入経路上に設定された進入エリアへの進入の有無を検知する(S1)。顧客90がレジカウンタ8に接近するまでは、検知装置5にて進入エリアへの進入が検知されないため、買物支援システム1は、進入エリアへの進入無し、と判断し(S1:No)、処理S1を繰り返し実行する。一方、顧客90がレジカウンタ8に接近すると、検知装置5にて進入エリアへの進入が検知されるため、買物支援システム1は、進入エリアへの進入有り、と判断し(S1:Yes)、読取装置2に電子タグ93との無線通信を開始させる。これにより、第1期間P1が開始し、情報取得部13は、物品情報を読取装置2から取得する(S2)。そして、顧客90がレジカウンタ8に更に接近することをもって、第1期間P1が終了する。第1期間P1が終了すると、評価値取得部11は、第1期間P1における評価値(物品情報の読取回数)を取得する(S3)。
【0113】
その後、買物支援システム1は、検知装置5にて、物品91と共に移動する移動体(ここでは顧客90)と物品91との少なくとも一方の、所定エリアへの進入の有無を検知する(S4)。物品91が所定エリアに置かれるまでは、検知装置5にて所定エリアへの進入が検知されないため、買物支援システム1は、所定エリアへの進入無し、と判断し(S4:No)、処理S4を繰り返し実行する。一方、物品91が所定エリアに置かれると、検知装置5にて所定エリアへの進入が検知されるため、買物支援システム1は、所定エリアへの進入有り、と判断し(S4:Yes)、読取装置2に電子タグ93との無線通信を開始させる。これにより、第2期間P2が開始し、情報取得部13は、物品情報を読取装置2から取得する(S5)。そして、第2期間P2の開始から一定時間が経過することをもって、第2期間P2が終了する。第2期間P2が終了すると、評価値取得部11は、第2期間P2における評価値(物品情報の読取回数)を取得する(S6)。
【0114】
その後、判定部12は、判定処理を実行する(S7)。ただし、判定処理は、常に実行されるのではなく、遮蔽物検知装置18により遮蔽物が検知された場合には、メインコンピュータ10は、判定部12での判定処理を一時的に中止する。具体的には、判定部12は、遮蔽物検知装置18により遮蔽物が検知された時点から一定時間の期間を、判定処理の対象とする判定期間(第1期間P1及び第2期間P2)から除外する。例えば、レジカウンタ8付近に陳列されている物品91と読取装置2との間を、遮蔽物となる人(顧客90)が通過した場合、この物品91についての物品情報の読取回数が一時的に低下し、その後立ち上がることになる。このように遮蔽物に起因した評価値(読取回数)の変化の影響を受けないように、遮蔽物検知装置18により遮蔽物が検知された場合、一定時間、判定処理が中止されることが好ましい。
【0115】
判定処理では、買物支援システム1は、判定部12にて、物品91ごとに、第1期間P1から第2期間P2にかけての評価値の変化量と閾値とを比較し、第1条件を満たすか否かを判断する。さらに、本実施形態では、判定部12は、物品91ごとに、受信信号強度に基づいて、第2条件を満たすか否かを判断する。
【0116】
買物支援システム1は、判定処理の結果、読取対象となる物品91が有るか否かを判断する(S8)。このとき、判定条件(第1条件及び第2条件)を満たさない、つまり読取対象が無いと判断されれば(S8:No)、買物支援システム1は、処理S1に戻る。一方、判定条件(第1条件及び第2条件)を満たす、つまり読取対象が有ると判断されれば(S8:Yes)、買物支援システム1は、選択部14にて、読取対象(購入対象)である物品91についての物品情報を精算システム3に出力する(S9)。
【0117】
物品情報を受信した精算システム3は、精算処理を実行する(S10)。買物支援システム1は、精算システム3での精算処理が完了したか否かを判断する(S11)。精算処理が完了していなければ(S11:No)、買物支援システム1は、処理S10に戻る。一方、顧客90が精算を行うことによって、物品91の精算が完了すると、精算システム3はメインコンピュータ10に対して精算処理の完了の通知を行う。このとき、買物支援システム1は、例えば、表示又は音声によって、「商品をお取りください。ありがとうございました。」等のメッセージを顧客90に提示する。買物支援システム1は、メインコンピュータ10にて精算処理の完了の通知を受け付けると、精算処理が完了したと判断し(S11:Yes)、記憶部16に物品情報に対応付けて記憶される精算済みフラグの値を「1」に変更する(S12)。
【0118】
精算済みフラグは、ゲート装置61が電子タグ93から読み取った物品情報について、精算処理が実行されているか否かを判断する際に利用される。すなわち、
図9に示すように、ゲート装置61は、顧客90が出入口101を通って店舗から出る(退店する)際に、顧客90が持つ容器92内の物品91に付された電子タグ93と、非接触で通信を行う。このとき、ゲート装置61が電子タグ93から読み取った物品情報について、精算処理が完了しているか否かは、メインコンピュータ10の記憶部16に物品情報に対応付けて記憶される精算済みフラグの値によって判断される。つまり、ゲート装置61が電子タグ93から読み取った物品情報に対応する精算済みフラグの値が「1」であれば、この物品91についての精算処理が完了していると判断されるので、報知装置62での報知処理は実行されない。一方、ゲート装置61が電子タグ93から読み取った物品情報に対応する精算済みフラグの値が「0」であれば、この物品91についての精算処理が未完了と判断されるので、報知装置62での報知処理が実行される。
【0119】
ここで、精算済みフラグの値は、メインコンピュータ10の記憶部16に限らず、例えば、ネットワークを介して買物支援システム1に接続されるサーバ装置又はクラウド(クラウドコンピューティング)上に構築されたデータベースに記憶されてもよい。この場合、ゲート装置61が電子タグ93から読み取った物品情報について、精算処理が完了しているか否かは、買物支援システム1が、例えば、ネットワークを介してデータベースに問い合わせを行うことにより判断される。
【0120】
さらに、買物支援システム1は、ゲート装置61が電子タグ93から読み取った物品情報について、精算処理が完了していない場合、出入口101の自動扉が開かないように、ゲート装置61と出入口101の自動扉とを連動させてもよい。
【0121】
上記より、顧客90が読取対象の物品91をレジカウンタ8上に置くだけで、買物支援システム1は読取対象(購入対象)の物品91を識別することができる。したがって、買物支援システム1によって買物を効率よく行うことができる。
【0122】
(3.2)評価値の算出方法
評価値の算出方法は、上述したように第1期間P1又は第2期間P2の各々について平均値(単位時間当たりの読取回数)を算出する方法に限らず、適宜変更可能である。
【0123】
例えば、評価値取得部11は、
図10に示すように、第1期間P1及び第2期間P2の各々に、複数のタイムスロットTs11~Ts15,Ts21~Ts25を設定した上で、第1期間P1又は第2期間P2の各々の評価値を算出してもよい。
図10の例では、第1期間P1及び第2期間P2の各々は、複数のタイムスロットTs11~Ts15,Ts21~Ts25を含んでいる。判定部12は、複数のタイムスロットTs11~Ts15,Ts21~Ts25における評価値の代表値を、第1期間P1及び第2期間P2の各々における評価値として用いる。本開示でいう「代表値」は、最大値、平均値、中央値、最頻値及び最小値を含み、本実施形態では、一例として代表値は最大値である。
【0124】
より詳細には、
図10において、第1期間P1は5つのタイムスロットTs11~Ts15を含んでおり、第2期間P2は5つのタイムスロットTs21~Ts25を含んでいる。まず、第1期間P1については、評価値取得部11は、5つのタイムスロットTs11~Ts15の各々において、物品情報ごとに、読取回数を累計し、累計された読取回数を記憶部16に記憶する。評価値取得部11は、これら5つのタイムスロットTs11~Ts15の読取回数のうちの最大値(代表値)、つまり読取回数が最大となるタイムスロットTs11~Ts15の読取回数を、第1期間P1における評価値として算出する。同様に、第2期間P2については、評価値取得部11は、5つのタイムスロットTs21~Ts25の各々において、物品情報ごとに、読取回数を累計し、累計された読取回数を記憶部16に記憶する。評価値取得部11は、これら5つのタイムスロットTs21~Ts25の読取回数のうちの最大値(代表値)、つまり読取回数が最大となるタイムスロットTs21~Ts25の読取回数を、第2期間P2における評価値として算出する。判定部12は、このようにして算出された第1期間P1及び第2期間P2の各々における評価値を、物品91が読取対象か否かの判定に用いる。
【0125】
図10の例では、複数のタイムスロットTs11~Ts15,Ts21~Ts25の各々の幅は、所定時間(例えば、500ミリ秒)である。ただし、複数のタイムスロットTs11~Ts15,Ts21~Ts25の幅は、同一でなくてもよい。
【0126】
また、
図10の例では、第1期間P1内のタイムスロットTs11~Ts15同士、及び第2期間P2内のタイムスロットTs21~Ts25同士の重なり合いは生じないように、タイムスロットが設定されている。ただし、この例に限らず、第1期間P1内のタイムスロットTs11~Ts15同士、又は第2期間P2内のタイムスロットTs21~Ts25同士が互いに少なくとも一部において重なり合うように、タイムスロットが設定されていてもよい。
【0127】
また、判定部12は、第1期間P1に含まれる複数のタイムスロットTs11~Ts15と、第2期間P2に含まれる複数のタイムスロットTs21~Ts25とのうち、対応するタイムスロット同士で評価値の比較を行ってもよい。例えば、
図10の例では、判定部12は、タイムスロットTs11とタイムスロットTs21とで評価値を比較し、タイムスロットTs12とタイムスロットTs22とで評価値を比較する。このようにタイムスロット同士で評価値の比較を行った上で、例えば、全てのタイムスロットにおいて、第1期間P1よりも第2期間P2で評価値が増加している場合に、判定部12は、第1条件を満たすと判断する。
【0128】
(3.3)判定条件の変更
判定部12での判定に用いられる判定条件は随時変更されてもよい。以下に、判定条件を変更するための構成例を3つ例示する。
【0129】
第1の構成例として、ある期間に読取装置2にて物品情報の読取りが行われた物品91の個数に応じて、判定部12の判定条件を変化させる。ここで、ある期間に読取装置2にて物品情報の読取りが行われた物品91の個数は、読取装置2又は判定部12にて計数される。個数を計数する対象となる「ある期間」は、例えば、第1期間P1又は第2期間P2である。そして、物品91の個数に応じて、例えば、第1期間P1から第2期間P2にかけての評価値の変化量と比較される「閾値」が変化する。具体的には、物品91の個数が多い程に、閾値を小さくすることが好ましい。
【0130】
第2の構成例として、ある期間に読取装置2にて物品情報の読取りが行われた物品91のうち、評価値と読取装置2における無線通信時の受信信号強度との少なくとも一方が基準値以上である物品91の個数に応じて、判定部12の判定条件を変化させる。ここで、評価値(読取回数)と読取装置2における無線通信時の受信信号強度との少なくとも一方が基準値以上である物品91の個数は、読取装置2又は判定部12にて計数される。つまり、第1の構成例では、ある期間に物品情報の読取りが行われた物品91については全て個数が計数されるのに対して、第2の構成例では、評価値と受信信号強度との少なくとも一方が基準値以上である物品91についてのみ個数が計数される。そのため、第2の構成例では、ある期間に読取装置2にて物品情報の読取りが行われたものの、例えば、読取装置2から離れた位置にあって受信信号強度が基準値を下回るような物品91については、判定条件を決定するための個数から除外される。そして、物品91の個数に応じて、例えば、第1期間P1から第2期間P2にかけての評価値の変化量と比較される「閾値」が変化する。具体的には、物品91の個数が多い程に、閾値を小さくすることが好ましい。
【0131】
第3の構成例として、所定エリアに存在する物品91の個数に応じて、判定部12の判定条件を変化させる。ここで、所定エリアに存在する物品91の個数は、例えば、所定エリアとなる読取装置2の表面(上面)を撮像する撮像装置45、又は読取装置2に含まれる重量センサ等の出力に基づいて計数される。つまり、第1及び第2の構成例では、ある期間に物品情報の読取りが行われた物品91の個数が計数されるのに対して、第3の構成例では、実際に所定エリアに置かれた物品91の個数が計数される。そして、物品91の個数に応じて、例えば、第1期間P1から第2期間P2にかけての評価値の変化量と比較される「閾値」が変化する。具体的には、物品91の個数が多い程に、閾値を小さくすることが好ましい。
【0132】
すなわち、読取装置2が物品情報の読取りを行う物品91の個数が多くなる程に、信号同士の衝突等により、個々の物品情報の読取り確率が低下するため、1個の物品91についての単位時間当たりの物品情報の読取回数は、少なくなる。そのため、物品91の個数に応じて、判定基準を下げる(つまり閾値を小さくする)ように、判定条件を変更することで、読取対象の判定精度が向上する。一例として、単位時間当たりに読取装置2が読取可能な物品情報の数を「A」、衝突による検出回数の減数率を「α」、物品91の個数を「n」とした場合に、閾値Thは「Th=A・α/n」で表される。このような数式により、物品91の個数に応じて、判定基準(つまり閾値)が自動的に決定してもよいし、物品91の個数と閾値との対応関係とを定めたテーブルにて、判定基準(つまり閾値)が自動的に決定してもよい。さらに、物品91の個数については、1個刻みではなく、複数個刻みで、判定基準(つまり閾値)が変化してもよい。この場合、一例として、物品91の個数が20個未満のときには閾値を「20」とし、物品91の個数が20個以上かつ50個未満のときには閾値を「15」とするように、閾値は段階的に変化する。
【0133】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、読取システム100と同様の機能は、読取方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。また、買物支援システム1と同様の機能は、買物支援方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る読取方法は、読取装置2における、物品91ごとの物品情報の読取回数と読取間隔と読取頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する。読取装置2は、少なくとも1つの物品91に付された電子タグ93と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品91に関する物品情報を読み取る。この読取方法では、物品91ごとに、評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、物品91が読取対象であるか否かを判定する。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、読取装置2における、物品91ごとの物品情報の読取回数と読取間隔と読取頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する処理(
図8の「S3」、「S6」参照)を実行させるためのプログラムである。読取装置2は、少なくとも1つの物品91に付された電子タグ93と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品91に関する物品情報を読み取る。このプログラムは、コンピュータシステムに、物品91ごとに、評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、物品91が読取対象であるか否かを判定する処理(
図8の「S7」参照)を更に実行させるためのプログラムである。
【0134】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0135】
本開示における読取システム100及び買物支援システム1は、例えば、メインコンピュータ10等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における読取システム100及び買物支援システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0136】
また、読取システム100又は買物支援システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは読取システム100又は買物支援システム1に必須の構成ではない。読取システム100又は買物支援システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、読取システム100又は買物支援システム1の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている読取システム100又は買物支援システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0137】
また、読取システム100及び買物支援システム1の用途はコンビニエンスストアに限らず、コンビニエンスストア以外の店舗に買物支援システム1が設置されていてもよい。
【0138】
また、読取システム100の用途は店舗に限らず、例えば、工場、倉庫、事務所、配送センター又は税関等、店舗以外の施設に読取システム100が設置されていてもよい。この場合、例えば、商品ではない物品91の棚卸管理及び検品等に、読取システム100が使用される。このように、読取システム100が精算システム3と共に買物支援システム1を構成することは、読取システム100にとって必須ではない。
【0139】
また、第1期間P1の終了時点は、第1センサ51で測定される距離に基づいて規定されることに限らず、例えば、この場合、第1期間P1の時間長さは一定長(一定時間)となる。また、第2期間P2の終了時点は、第2期間P2の開始時点から一定時間が経過した時点に限らず、例えば、第2センサ52の検知結果、又は精算システム3の処理状況等に基づいて規定されてもよい。
【0140】
また、評価値取得部11が取得する「評価値」は、読取回数であることに限らず、上述したように、ある期間内に読取装置2が読み取った物品情報についての、読取りの回数と時間間隔と頻度との少なくとも1つに関する値であればよい。例えば、「評価値」は、読取回数に代えて、読取りの時間間隔であってもよいし、又は読取りの頻度であってもよいし、これら(回数、時間間隔及び頻度)の組み合わせであってもよい。そして、評価値が読取りの時間間隔であれば、時間間隔が短い程に評価値は大きくなり、時間間隔が長い程に評価値は小さくなる。評価値が読取りの頻度であれば、頻度が高い程に評価値は大きくなり、頻度が低い程に評価値は小さくなる。
【0141】
また、評価値の算出は読取装置2にて実行されてもよい。すなわち、読取装置2は、物品情報の読取りの実行する度に、物品情報の読取りの回数と、時間間隔と、頻度と、の少なくとも1つに関する評価値を求めていてもよい。この場合、評価値取得部11は、情報取得部13での読取装置2からの物品情報の取得状況に基づいて算出される値に代えて、読取装置2から直接的に評価値を取得すればよい。
【0142】
また、実施形態1では、判定部12は、評価値の時間経過に伴う変化と、受信信号強度との組み合わせに基づいて、物品91が読取対象であるか否かを判定しているが、受信信号強度を判定に用いることは、読取システム100に必須の構成ではない。すなわち、判定部12は、受信信号強度にはよらず、評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、物品91が読取対象であるか否かを判定してもよい。
【0143】
また、判定部12は、評価値の時間経過に伴う変化の他、受信信号強度に代えて、又は受信信号強度と共に、例えば、ドップラシフト、又は位相信号等を読取対象の判定に使用してもよい。すなわち、読取装置2は、電波を媒体とする無線通信により電子タグ93と通信するので、読取装置2に対する電子タグ93の相対的な移動速度によって、読取装置2で受信される電波の周波数、又は位相が変化する。そのため、ドップラシフト、又は位相信号等により、電子タグ93を付した物品91が読取装置2に対して相対的に移動しているか否かを判断し、物品91が読取装置2に対して相対的に移動していること、を第3条件として判定条件に含めることができる。この場合、レジ周り商品のように、読取装置2に対して相対的に移動していない物品、つまり静止している物品については、読取対象から除外することが可能である。
【0144】
また、検知装置5の第1センサ51は、超音波式、光学式、超音波式又は電波式等の非接触式の測距センサに限らず、例えば、レジカウンタ8の周辺の床に設置された圧電センサ又は加速度センサ等を採用可能である。この種のセンサであっても、顧客90の体重が床にかかることで、レジカウンタ8の周辺における顧客90の位置を検知することが可能である。同様に、検知装置5の第2センサ52は、ライトカーテン又はエリアセンサの非接触式の測距センサに限らず、例えば、所定エリアに設置された重量センサ又は加速度センサ等を採用可能である。この種のセンサであっても、物品91の重量が所定エリアにかかることで、所定エリアに物品91が置かれたことを検知可能である。さらには、レジシステム4の撮像装置45が、検知装置5(第1センサ51又は第2センサ52)として兼用されてもよい。
【0145】
また、検知装置5が第1センサ51と第2センサ52との2つのセンサを含むことは、読取システム100に必須の構成ではなく、例えば、検知装置5は1つのセンサのみを含んでいてもよい。検知装置5は、例えば、1つのセンサにて、レジカウンタ8から一定距離の領域に物品91が進入したこと、及び所定エリアに物品91が置かれたことの両方を検知してもよい。
【0146】
また、判定部12にて物品91が読取対象であるか否かの判定に用いられる「所定の範囲」は、1つの閾値に限らず、第1閾値及び第2閾値を含む複数の閾値で規定される規定されていてもよい。この場合、一例として、第1閾値以上かつ第2閾値未満の範囲が「所定の範囲」となり、第1閾値未満の範囲及び第2閾値以上の範囲が「所定の範囲」外となる。
【0147】
また、判定部12は、1つの物品91に着目した場合の評価値の変化だけでなく、他の物品91についての評価値の変化との相関に基づいて、物品91が読取対象であるか否かを判定してもよい。すなわち、例えば、10個の物品91のうち1個の物品91のみが読取対象である場合、読取対象である1個の物品91については、他の9個の物品91に比較して、評価値の変化量は格段に大きくなる。そこで、判定部12は、このような複数の物品91間の相関を考慮して、物品91が読取対象であるか否かを判定してもよい。
【0148】
また、判定条件のうち、受信信号強度に関する第2条件は、少なくとも第2期間P2における受信信号強度が強度閾値以上であることに限らず、適宜設定可能である。例えば、第2条件は、第1期間P1から第2期間P2にかけて受信信号強度が増加し、かつ第1期間P1から第2期間P2にかけての受信信号強度の変化量が強度閾値(例えば、5dB)以上であること、を含んでいてもよい。
【0149】
また、評価値取得部11が取得する「評価値」は、読取装置2における物品情報の読取りの回数に限らず、例えば、読取装置2における物品情報の読取りの時間間隔若しくは頻度、又はこれら(回数、時間間隔、頻度)の組み合わせであってもよい。
【0150】
また、電子タグ93は、パッシブ型のRFタグに限らず、アクティブ型のRFタグであってもよい。読取装置2は、画像認識等の手段と電子タグ93から読み取った情報とを組み合わせて、物品情報の読み取りを行ってもよい。
【0151】
また、買物支援システム1は、実施形態1のように店員の操作を必要とせずに物品91の購入が可能な態様に限らず、例えば、いわゆる有人レジのようにレジカウンタに店員が居る状況で使用されてもよい。
【0152】
また、物品91を収容する容器92は、バッグに限らず、例えば、袋(レジ袋)、かご、箱又はカート等であってもよい。物品91を容器92に収納する荷詰めの作業は、店員又は顧客90が行わなくてもよく、例えば、物品91が容器92に収納された状態で店舗に陳列されていてもよいし、袋詰装置等を用いて自動的に荷詰めが行われてもよい。さらに、読取装置2は、物品91が容器92に収容された状態で、物品91に付された電子タグ93から物品情報を読み取る構成に限らず、容器92に収容されていない状態の物品91の電子タグ93から物品情報を読み取ってもよい。この場合、読取装置2で物品情報が読み取られた後、物品91は容器92に収容されてもよいし、容器92に収容されなくてもよい。
【0153】
また、メインコンピュータ10が精算システム3と通信可能であることは、買物支援システム1に必須の構成ではなく、メインコンピュータ10が精算システム3と通信可能でなくてもよい。例えば、メインコンピュータ10自体に、物品情報に基づいて物品91についての精算処理を行う機能があってもよい。
【0154】
また、精算処理は、店舗にて行われなくてもよく、例えば、店舗では物品91を購入する顧客90の特定のみを行い、クレジットカード決済等により、事後的に、精算処理が実行されてもよい。顧客90の特定は、例えば、顧客90が所持する携帯情報端末(スマートフォン等)との通信、又は生体認証(顔認証を含む)等によって実現可能である。
【0155】
また、表示装置42は、プロジェクションマッピング技術により対象物に対して映像を投影する構成に限らず、例えば、タッチパネルディスプレイであってもよい。さらに、入力装置43は、例えば、メカニカルスイッチを有する入力装置43が、買物支援システム1に対する顧客90の入力手段の少なくとも一部に採用されてもよい。
【0156】
また、買物支援システム1は、物品91に付された電子タグ93に対して書込情報の書き込みを行う書込装置を更に備えていてもよい。具体的には、電子タグ93を対象にしてデータ(情報)の読み取り及び書き込みが可能なリーダライタからなる読取装置2が、書込装置に兼用されてもよい。書込装置は、一例として、電子タグ93が付された物品91について精算処理が完了していることを表す清算済み情報を電子タグ93に書き込む。この場合に、ゲート装置61にて精算済み情報が電子タグ93に書き込まれているか否かを判断し、精算済み情報が書き込まれていなければ報知装置62にて報知を行うことが可能である。すなわち、書込装置にて、いわゆる「キルタグ」の機能を実現する場合には、メインコンピュータ10にて精算済みフラグの値を「1」にする処理を実行しなくても、店舗から持ち出される物品91について、精算処理が正常に完了していることを確認可能である。
【0157】
また、検知装置5は買物支援システム1に必須の構成ではなく、メインコンピュータ10は、例えば、入力装置43が顧客90の特定の操作を受け付けたことをトリガにして、判定部12での判定処理を開始してもよい。つまり、判定処理の開始タイミングは、対物センサ等によって自動で決定される構成に限らず、顧客90の操作にて決定されてもよい。
【0158】
また、読取装置2は、開放型に限らず、所定エリアからの電波の漏洩を低減するためのシールド等を有していてもよい。この場合に、所定エリアの全周がシールドで完全に塞がれている必要はない。例えば、所定エリアの前方及び上方が開放されていてもよい。さらに、シールドは、電波遮蔽性を有していればよいので、例えば、網形状(又は貫通孔を有する形状)であってもよい。アンテナ21は、円偏波に限らず、例えば、楕円偏波又は直線偏波等のアンテナであってもよい。
【0159】
(実施形態2)
本実施形態に係る買物支援システム1Aは、
図11に示すように、読取装置2Aが位置と向きとの少なくとも一方が異なる複数のアンテナ21にて電子タグ93と無線通信を行うように構成されている点で、実施形態1に係る買物支援システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0160】
読取装置2Aは、例えば、
図11に示すように、レジカウンタ8の上面81上に設置された筐体22を有している。ただし、筐体22が読取装置2Aの構成要素に含まれることは買物支援システム1に必須の事項ではなく、筐体22は読取装置2Aの構成要素に含まれなくてもよい。
【0161】
筐体22は、電波遮蔽性を有しており、所定エリアを囲むように設けられている。言い換えれば、所定エリアは筐体22にて規定され、筐体22にて囲まれた範囲(空間)が所定エリアとして機能する。これにより、筐体22は、所定エリアからの電波の漏洩を低減するためのシールドとして機能する。
【0162】
本実施形態では、筐体22は、上面及び前面が開放された箱状に形成されている。つまり、筐体22は、後壁221、左側壁222、右側壁223及び底板224を有している。所定エリアは、これら後壁221、左側壁222、右側壁223及び底板224で囲まれた空間である。
【0163】
複数のアンテナ21は、後壁221、左側壁222、右側壁223及び底板224に設けられている。本実施形態では、複数のアンテナ21は、後壁221、左側壁222、右側壁223及び底板224の内側面(つまり所定エリア側の面)に設けられた4枚のパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)である。そのため、後壁221に設けられたアンテナ21は前後方向に指向性を有し、左側壁222及び右側壁223に設けられた一対のアンテナ21は左右方向に指向性を有し、底板224に設けられたアンテナ21は上下方向に指向性を有する。アンテナ21の表面は電気絶縁性を有するスペーサ膜で覆われていてもよい。これにより、後壁221等の内側面に設けられたアンテナ21と電子タグ93との接触を低減でき、電子タグ93からの物品情報の読取率を向上させることができる。
【0164】
言い換えれば、複数のアンテナ21のうち少なくとも2つのアンテナ21は互いに向きが異なっている。本実施形態では、複数のアンテナ21は、互いに直交する3軸に沿った指向性を有する3つ以上のアンテナ21を含んでいる。これら複数のアンテナ21により、読取装置2Aは、筐体22で囲まれた所定エリアに位置する電子タグ93との間で、通信媒体となる電波を送受信し、無線通信を行う。つまり、複数のアンテナ21は物品91を囲むように配置されている。
【0165】
ただし、読取装置2Aは、4つのアンテナ21を有する構成に限らず、2つ、3つ、又は5つ以上のアンテナ21を有していてもよい。例えば、筐体22は、後壁221が省略され、左側壁222及び右側壁223が斜めに向けられ、平面視においてV字状となるように、左側壁222及び右側壁223の後端部同士が繋がった形状であってもよい。この場合、左側壁222及び右側壁223に設けられた2つのアンテナ21は、所定エリアの左後方及び右後方に位置することになる。また、他の例として、筐体22は、左側壁222及び右側壁223が省略され、後壁221の中央部が後方に凸となるように後壁221が湾曲した形状であってもよい。この場合、後壁221に設けられたアンテナ21は曲面状になる。また、更に他の例として、筐体22は、左側壁222及び右側壁223が省略され、底板224と対向する位置に天板を有し、天板の内側面(つまり所定エリア側の面)にアンテナ21が設けられていてもよい。この場合、後壁221、底板224及び天板に設けられた3つのアンテナ21が、所定エリアの後方、下方及び上方に位置することになる。
【0166】
本実施形態では、評価値取得部11は、アンテナ21ごとに評価値(読取回数)を取得する。すなわち、本実施形態では読取装置2Aは複数のアンテナ21を有するので、評価値取得部11は、これら複数のアンテナ21の各々について個別に評価値(読取回数)を取得する。評価値取得部11は、読取装置2Aから取得した評価値(読取回数)をアンテナ21ごとに、メインコンピュータ10のメモリに記憶する。
【0167】
判定部12は、複数のアンテナ21についての評価値(読取回数)に基づいて、判定を行うように構成されている。すなわち、本実施形態では評価値取得部11が複数のアンテナ21の各々について個別に評価値を取得しているので、判定部12は、これら複数のアンテナ21についての評価値の組み合わせによって、個々の物品91が読取対象であるか否かを判定する。
【0168】
ここで、複数のアンテナ21についての評価値の組み合わせから判定処理を実行する際の判定部12の判定アルゴリズムには、種々のアルゴリズムがある。一例として、判定部12は、少なくとも2つのアンテナ21について、時間経過に伴う評価値の変化が判定条件(第1条件)を満たす場合に、判定条件を満たすと判定する。他の例として、判定部12は、全てのアンテナ21について、時間経過に伴う評価値の変化が判定条件(第1条件)を満たす場合に、判定条件を満たすと判定する。更に他の例として、複数のアンテナ21を、所定エリア内からの電波を受信する内向きのアンテナ21と、所定エリア外からの電波を受信する外向きのアンテナ21とで区別して、判定部12が判定処理を実行してもよい。つまり、例えば、内向きのアンテナ21でのみ時間経過に伴う評価値の変化が判定条件(第1条件)を満たす場合に、判定部12は、判定条件を満たすと判定する。
【0169】
以上説明した構成によれば、買物支援システム1Aは、複数のアンテナ21についての評価値に基づいて、物品91が読取対象であるか否かを判定するので、物品91が読取対象であるか否かの判定精度が向上する。
【0170】
実施形態2の変形例に係る買物支援システム1Bとして、読取装置2Bは、
図12に示すように、1つのアンテナ部材211と、アンテナ部材211を移動させる移動機構212と、を有していてもよい。この場合、アンテナ部材211が移動機構212によって移動させられることにより、アンテナ部材211が複数のアンテナ21のうち少なくとも2つのアンテナ21として利用される。
図12の例では、移動機構212は、所定エリアを囲む略C字状のレールに沿って、棒状のアンテナ部材211を移動させる。これにより、時間経過に伴って、アンテナ部材211の位置及び向きが変化する。読取装置2Bは、各時点でのアンテナ部材211を複数のアンテナ21と見立てて、これら複数のアンテナ21にて電子タグ93と無線通信を行う。さらにまた、ビームフォーミングにてアンテナ21の通信領域を移動させてもよい。
【0171】
実施形態2の他の変形例として、複数のアンテナ21は、全てレジカウンタ8に設けられていなくてもよく、例えば、店舗の天井等に分散して設置されていてもよい。この場合、判定部12は、例えば、複数のアンテナ21についての時間経過に伴う評価値の変化から、物品91を持った顧客90の移動経路を推定することができる。そこで、判定部12は、物品91を持った顧客90がレジカウンタ8に正面から近づいてきた場合に、判定条件を満たすと判定することが好ましい。
【0172】
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0173】
(実施形態3)
本実施形態に係る買物支援システム1Cは、
図13に示すように、読取装置2Cが定位置に固定されるのではなくカート94に設けられている点で、実施形態1に係る買物支援システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0174】
すなわち、本実施形態では、読取装置2Cは定位置に固定されるのではなく、店舗内を移動可能なカート94(買物カート)に設けられている。
図13の例では、読取装置2Cは、カート94の荷台の下面に取り付けられており、カート94の荷台上に設定された所定エリア内の電子タグ93と無線通信を行う。つまり、カート94の荷台上に物品91が置かれた状態で、読取装置2Cは、この物品91に付された電子タグ93と無線通信し、物品情報の読み取りを実行する。本実施形態では、読取装置2は、レジカウンタ8に設けられたメインコンピュータ10との間で、電波を媒体とする無線通信により双方向の通信が可能である。
【0175】
この買物支援システム1Cでは、顧客90は、カート94を押しながら店舗内を移動し、所望の物品91を棚103等からピックアップしてカート94の荷台に載せる。そのため、カート94に設けられた読取装置2Cにおいては、荷台に置かれた物品91について、物品情報の読取回数等の評価値が、特定の変化パターンを示すことになる。したがって、判定部12では、顧客90がカート94の荷台に置いた物品91についての評価値(読取回数)が判定条件を満たすと判定し、この物品91が読取対象であると判定する。
【0176】
以上説明した構成によれば、顧客90は、レジカウンタ8に物品91を置く必要がなく、例えば、レジカウンタ8を通らずに物品91の購入を済ませることも可能である。
【0177】
実施形態3で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0178】
(実施形態4)
本実施形態に係る買物支援システム1Dは、
図14A及び
図14Bに示すように、読取装置2Dが通り抜けタイプの装置である点で、実施形態1に係る買物支援システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0179】
本実施形態に係る読取システム100Dは、商品通路401と、通り抜けタイプの読取装置2Dと、を備えている。商品通路401は、顧客通路402を通過する顧客90が保持している物品91を通過させるための通路である。通り抜けタイプの読取装置2Dは、商品通路401を物品91が通過中に、この物品91に付された電子タグ93と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品91に関する物品情報を読み取る。本開示でいう「通路」は、物体の「とおりみち」となる空間であって、例えば、壁、柱、紐若しくは網等の構造物、又は床面に描かれた線等によって、周囲の空間から区切られた空間を意味する。すなわち、本実施形態における商品通路401は、少なくとも物品91が通過できるだけの幅を有するように、周囲の空間から区切られた空間である。同様に、顧客通路402は、少なくとも顧客90が通過できるだけの幅を有するように、周囲の空間から区切られた空間である。
【0180】
具体的には、読取システム100D及び精算システム3は、店舗に設置されるウォークスルーカウンタ8Dに設けられている。ウォークスルーカウンタ8Dには、
図14Aに示すように、商品通路401が形成されている。読取装置2Dは、複数のアンテナ21を有している。これら複数のアンテナ21は、ウォークスルーカウンタ8Dにおける商品通路401に臨む部位に配置されている。読取装置2Dは、これら複数のアンテナ21により、商品通路401内に位置する電子タグ93との間で、通信媒体となる電波を送受信し、無線通信を行う。ウォークスルーカウンタ8Dの側方には、商品通路401に沿って顧客通路402が形成されている。
【0181】
本実施形態に係る買物支援システム1Dによれば、読取装置2Dにて、読取対象の物品91について、非接触で物品情報の読み取りが行われることにより、物品91の精算が可能な状態になる。そのため、例えば、複数の物品91について物品情報を一括して読取可能であり、また、容器92に物品91が収容されたままの状態でも物品情報の読み取りが可能である。したがって、バーコード等を用いて物品情報の読み取りが行われる場合に比較して、顧客90の買物に掛かる店員及び顧客90の手間を軽減することができる。
【0182】
本実施形態に係る読取システム100Dでは、上述のように、商品通路401を物品91が通過中に、読取装置2Dが、この物品91に付された電子タグ93と無線通信を行うことにより物品91に関する物品情報を読み取る。そして、顧客90が物品91を保持した状態で顧客通路402を通過することにより、顧客90に保持されている物品91は、顧客90の移動に伴って商品通路401を通過する。すなわち、物品91を保持した顧客90が、厳密には物品91が収容された容器92を保持した顧客90が顧客通路402を通過する際、物品91が商品通路401を通過することで、この物品91に関する物品情報が読取装置2Dにて読み取られることになる。そのため、読取装置2Dにて物品91の物品情報を読み取るに際し、顧客90においては、物品91を保持した状態で顧客通路402を通過すればよい。したがって、顧客90は、読取装置2Dの前で立ち止まる必要がなく、読取装置2Dの前を素通りするような動作で、読取装置2Dでの物品情報の読み取りを実現することができる。
【0183】
よって、顧客90が買物をする際には、顧客90は、店舗に陳列されている複数の物品91の中から読取対象の物品91をピックアップし、物品91を保持した状態で、顧客通路402を素通りするように移動すればよい。このような顧客90の一連の動作により、読取対象の物品91に関する物品情報を読取装置2Dにて読み取ることが可能である。そして、買物支援システム1Dでは、読取装置2Dで読み取られた物品情報に従って精算システム3での精算処理が行われ、精算処理が完了すれば、顧客90が物品91を持ち帰ることで顧客90による買物が完了する。このように、顧客90は、少なくとも物品情報の読み取りのためだけに立ち止まる必要がなく、物品91をピックアップして顧客通路402を通過する、という一連の流れで、スムーズに精算処理まで到達することができる。結果的に、本実施形態に係る読取システム100D及びそれを備える買物支援システム1Dによれば、物品91の購入のための顧客90の待ち時間の短縮を図ることができる。
【0184】
ところで、本実施形態に係る買物支援システム1Dによれば、例えば、
図15A~
図15Bに示すように、商品通路401を通過中の物品91については、読取装置2Dでの物品情報の読取回数が増加する。
図15A、
図15C及び
図15Eは、物品91を持った顧客90がウォークスルーカウンタ8Dに接近し、顧客通路402を通過する様子を模式的に表す説明図である。
図15B、
図15D及び
図15Fは、それぞれ
図15A、
図15C及び
図15Eに対応し、横軸を時間軸、縦軸を読取回数(評価値である読取回数)として、時間経過に伴う読取回数の変化の一例を示す波形図である。
【0185】
この場合において、顧客90が持っている読取対象の物品91については、読取装置2での物品情報の読取回数は、例えば、
図15B、
図15D及び
図15Fに「I1」で示すように変化する。
図15B、
図15D及び
図15Fでは、読取対象の物品91以外に、例えば、ウォークスルーカウンタ8D付近に陳列されている他の物品(以下、「レジ周り商品」ともいう)についても、読取装置2Dでの物品情報の読取りが行われる状況を想定している。そして、レジ周り商品については、読取装置2Dでの物品情報の読取回数は、例えば、
図15B、
図15D及び
図15Fに「I2」で示すように変化することと仮定する。
【0186】
すなわち、
図15C及び
図15Dに示すように、物品91が商品通路401を通過中には、この物品91についての物品情報の読取回数が増加する(
図15Dの「I1」参照)。そのため、例えば、物品91が商品通路401に進入した時点t1から、物品91が商品通路401を脱した時点t2までの通過期間における物品情報の読取回数は、通過期間の前後の期間、つまり時点t1以前及び時点t2以降に比較して多くなる。したがって、通過期間の評価値(読取回数)と、通過期間の前後の期間の評価値(読取回数)と、を比較すると、通過期間の評価値は大きく、かつその差分値(変化量)は閾値以上となる。そのため、判定部12は、商品通路401を通過した物品91が読取対象であると判定する。
【0187】
また、本実施形態に係る買物支援システム1Dによれば、例えば、
図16A~
図16Bに示すように、ウォークスルーカウンタ8Dから顧客90までの距離に応じて、物品情報の読取回数を取得する期間を決定してもよい。
図16A、
図16C及び
図16Eは、物品91を持った顧客90がウォークスルーカウンタ8Dに接近し、顧客通路402を通過する様子を模式的に表す説明図である。
図16B、
図16D及び
図16Fは、それぞれ
図16A、
図16C及び
図16Eに対応し、横軸を時間軸、縦軸を読取回数(評価値である読取回数)として、時間経過に伴う読取回数の変化の一例を示す波形図である。
【0188】
この場合において、
図16Aに示すように、ウォークスルーカウンタ8Dから顧客90までの距離が「L1」になると、検知装置5は、物品91と共に移動する移動体(ここでは顧客90)と物品91との少なくとも一方の、進入エリアへの進入を検知する。このとき、第1期間P1が開始する。その後、
図16Cに示すように、顧客90がウォークスルーカウンタ8Dに更に接近すると、ウォークスルーカウンタ8Dから顧客90までの距離が「L2」になる。このとき、第1期間P1が終了して、第2期間P2が開始する。つまり、
図16Fにおける、時点t1以前の第1期間P1と、時点t1から時点t2までの第2期間P2とで比較すると、第2期間P2の方が、物品91についての物品情報の読取回数が多くなる(
図16Fの「I1」参照)。したがって、第1期間P1の評価値(読取回数)と、第2期間P2の評価値(読取回数)と、を比較すると、第2期間P2の評価値は大きく、かつその差分値(変化量)は閾値以上となる。そのため、判定部12は、商品通路401を通過した物品91が読取対象であると判定する。
【0189】
実施形態4で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1、実施形態2又は実施形態3で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0190】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る読取システム(100,100D)は、評価値取得部(11)と、判定部(12)と、を備える。評価値取得部(11)は、読取装置(2,2A,2B,2C,2D)における、物品(91)ごとの物品情報の読取りの回数と時間間隔と頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する。読取装置(2,2A,2B,2C,2D)は、少なくとも1つの物品(91)に付された電子タグ(93)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品に関する物品情報を読み取る。判定部(12)は、物品(91)ごとに、評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、物品(91)が読取対象であるか否かを判定する。
【0191】
この態様によれば、例えば、読取装置(2,2A,2B,2C,2D)付近に配置されている物品(91)等、読取対象でない物品(91)についての物品情報を読取装置(2,2A,2B,2C,2D)が読み取ることがあっても、これらの物品(91)を読取対象と区別可能になる。よって、読取システム(100,100D)によれば、読取対象の誤検出が生じにくい、という利点がある。
【0192】
第2の態様に係る読取システム(100,100D)では、第1の態様において、判定部(12)は、物品(91)ごとに、評価値の時間変化に伴う変化量が所定の範囲に属するか否かによって、物品(91)が読取対象であるか否かを判定する。
【0193】
この態様によれば、評価値の時間変化に伴う変化量が所定の範囲に属するか否かによって、物品(91)が読取対象であるか否かを判定できるので、所定の範囲の設定次第で、読取対象の判定精度を調整可能である。
【0194】
第3の態様に係る読取システム(100,100D)では、第1又は2の態様において、判定部(12)は、物品(91)ごとに、第1期間(P1)における評価値と、第1期間(P1)の経過後に設定される第2期間(P2)における評価値と、の比較結果に基づいて、物品(91)が読取対象であるか否かを判定する。
【0195】
この態様によれば、第1期間(P1)と第2期間(P2)との間で評価値に比較的大きな変化が生じるような場合に、物品(91)が読取対象であると判定しやすくなる。
【0196】
第4の態様に係る読取システム(100,100D)では、第3の態様において、第1期間(P1)及び第2期間(P2)の少なくとも一方は、物品(91)の位置を検知する検知装置(5)の検知結果に基づいて定まる期間である。
【0197】
この態様によれば、第1期間(P1)及び第2期間(P2)の少なくとも一方は、検知装置(5)の検知結果に基づいて自動的に設定される。
【0198】
第5の態様に係る読取システム(100,100D)では、第4の態様において、検知装置(5)が、物品(91)と共に移動する移動体と物品(91)との少なくとも一方の、所定エリアへの進入を検知すると、第2期間(P2)が開始する。
【0199】
この態様によれば、第2期間(P2)の開始時点が自動的に設定される。
【0200】
第6の態様に係る読取システム(100,100D)では、第5の態様において、検知装置(5)が、物品(91)と共に移動する移動体と物品(91)との少なくとも一方の、進入エリアへの進入を検知すると、第1期間(P1)が開始する。進入エリアは、所定エリアへの進入経路上に設定されたエリアである。
【0201】
この態様によれば、第1期間(P1)の開始時点が自動的に設定される。
【0202】
第7の態様に係る読取システム(100,100D)では、第3~6のいずれかの態様において、第1期間(P1)及び第2期間(P2)の各々は、複数のタイムスロット(Ts11~Ts15,Ts21~Ts25)を含んでいる。判定部(12)は、複数のタイムスロット(Ts11~Ts15,Ts21~Ts25)における評価値の代表値を、第1期間(P1)及び第2期間(P2)の各々における評価値として用いる。
【0203】
この態様によれば、第1期間(P1)及び第2期間(P2)の各々における評価値を、比較的精度よく求めることができる。
【0204】
第8の態様に係る読取システム(100,100D)は、第1~7のいずれかの態様において、ある期間に読取装置(2,2A,2B,2C,2D)にて物品情報の読取りが行われた物品(91)の個数に応じて、判定部(12)の判定条件を変化させる。
【0205】
この態様によれば、物品情報の読取りが行われた物品(91)の個数に応じて、自動的に判定部(12)の判定条件が変化するので、読取対象の判定精度の向上を図ることができる。
【0206】
第9の態様に係る読取システム(100,100D)は、第1~7のいずれかの態様において、物品(91)の個数に応じて、判定部(12)の判定条件を変化させる。上記物品(91)は、ある期間に読取装置(2,2A,2B,2C,2D)にて物品情報の読取りが行われた物品(91)のうち、評価値と読取装置(2,2A,2B,2C,2D)における無線通信時の受信信号強度との少なくとも一方が基準値以上である物品(91)である。
【0207】
この態様によれば、物品情報の読取りが行われた物品(91)の個数に応じて、自動的に判定部(12)の判定条件が変化するので、読取対象の判定精度の向上を図ることができる。
【0208】
第10の態様に係る読取システム(100,100D)は、第1~7のいずれかの態様において、所定エリアに存在する物品(91)の個数に応じて、判定部(12)の判定条件を変化させる。
【0209】
この態様によれば、所定エリアに存在する物品(91)の個数に応じて、自動的に判定部(12)の判定条件が変化するので、読取対象の判定精度の向上を図ることができる。
【0210】
第11の態様に係る読取システム(100,100D)は、第1~10のいずれかの態様において、読取装置(2,2A,2B,2C,2D)における無線通信時の受信信号強度を取得する強度取得部(15)を更に備える。判定部(12)は、評価値の時間経過に伴う変化と、受信信号強度との組み合わせに基づいて、物品(91)が読取対象であるか否かを判定する。
【0211】
この態様によれば、物品(91)が読取対象であるか否かの判定に、評価値の時間経過に伴う変化に加えて、受信信号強度が用いられるため、読取対象の判定精度の向上を図ることができる。
【0212】
第12の態様に係る読取システム(100,100D)は、第1~11のいずれかの態様において、読取装置(2,2A,2B,2C,2D)を更に備える。
【0213】
この態様によれば、読取装置(2,2A,2B,2C,2D)を別途用意することなく、読取システム(100,100D)としての動作を実現できる。
【0214】
第13の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C,1D)は、第1~12のいずれかの態様に係る読取システム(100,100D)と、物品(91)についての精算処理を行う精算システム(3)と、を備える。精算システム(3)は、判定部(12)にて読取対象であると判定された物品(91)について、物品情報を用いて精算処理を行う。
【0215】
この態様によれば、例えば、読取装置(2,2A,2B,2C,2D)付近に配置されている物品(91)等、読取対象でない物品(91)についての物品情報を読取装置(2,2A,2B,2C,2D)が読み取ることがあっても、これらの物品(91)を読取対象と区別可能になる。よって、買物支援システム(1,1A,1B,1C,1D)によれば、読取対象の誤検出が生じにくい、という利点がある。しかも、読取対象と判定された物品(91)の物品情報を、精算システム(3)での精算処理に利用できる。
【0216】
第14の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C,1D)では、第13の態様において、精算システム(3)は、少なくとも物品(91)が所定エリアに置かれている間に読取装置(2,2A,2B,2C,2D)が読み取った物品情報を用いて精算処理を行う。
【0217】
この態様によれば、顧客(90)は、購入対象の物品(91)を所定エリアに置くだけで、物品(91)を精算処理の対象とすることが可能である。
【0218】
第15の態様に係る読取方法は、読取装置(2,2A,2B,2C,2D)における、物品(91)ごとの物品情報の読取回数と読取間隔と読取頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する。読取装置(2,2A,2B,2C,2D)は、少なくとも1つの物品(91)に付された電子タグ(93)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品(91)に関する物品情報を読み取る。上記読取方法は、物品(91)ごとに、評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、物品(91)が読取対象であるか否かを判定する。
【0219】
この態様によれば、読取対象の誤検出が生じにくい、という利点がある。
【0220】
第16の態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、読取装置(2,2A,2B,2C,2D)における、物品(91)ごとの物品情報の読取回数と読取間隔と読取頻度との少なくとも1つに関する評価値を取得する処理を実行させるためのプログラムである。読取装置(2,2A,2B,2C,2D)は、少なくとも1つの物品(91)に付された電子タグ(93)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品に関する物品情報を読み取る。上記プログラムは、コンピュータシステムに、物品(91)ごとに、評価値の時間経過に伴う変化に基づいて、物品(91)が読取対象であるか否かを判定する処理を実行させるためのプログラムである。
【0221】
この態様によれば、読取対象の誤検出が生じにくい、という利点がある。
【0222】
上記態様に限らず、実施形態1、実施形態2、実施形態3及び実施形態4に係る読取システム(100,100D)の種々の構成(変形例を含む)は、読取方法又はプログラムにて具現化可能である。
【0223】
第2~12の態様に係る構成については、読取システム(100,100D)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0224】
第13の態様に係る構成については、買物支援システム(1,1A,1B,1C,1D)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0225】
1,1A,1B,1C,1D 買物支援システム
2,2A,2B,2C,2D 読取装置
3 精算システム
5 検知装置
11 評価値取得部
12 判定部
15 強度取得部
91 物品
93 電子タグ
100,100D 読取システム
P1 第1期間
P2 第2期間
Ts11~Ts15,Ts21~Ts25 タイムスロット