(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】燃料給油管
(51)【国際特許分類】
B60K 15/04 20060101AFI20231020BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
B60K15/04 E
F02M37/00 301M
(21)【出願番号】P 2018121811
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】590000721
【氏名又は名称】株式会社キーレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】塩川 智之
(72)【発明者】
【氏名】中崎 篤
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-023168(JP,A)
【文献】特開2009-220590(JP,A)
【文献】特開2005-199757(JP,A)
【文献】特表2011-511906(JP,A)
【文献】特開2015-157494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/035 - 15/04
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクに一端が接続される円筒状の樹脂製給油管本体と、
一端側が上記給油管本体の他端開口に組み付けられる一方、他端開口に給油キャップが着脱可能に取り付けられ、当該給油キャップが取り外された状態で、給油ガンのノズルを上記給油管本体の内側に案内する円筒状の金属製ノズルガイドとを備えた燃料給油管であって、
上記給油管本体の他端側外周面には、外側方に張り出す張出部が設けられ、
上記ノズルガイドには、当該ノズルガイドの外周面を構成する第1円筒体と、当該第1円筒体の一端側内方に配設された第2円筒体と、上記第1円筒体の一端側から当該第1円筒体の内方に上記給油管本体の他端開口側を挿入した状態で当該給油管本体が上記第1円筒体における他端開口側へ移動することを規制する規制部と、上記第1円筒体の一端側に設けられ、上記規制部に規制される上記給油管本体の他端開口側外周面を環状に覆う環状カバー部と、該環状カバー部に形成され、上記張出部における上記給油管本体の他端開口周縁から遠い側に係合する係合部とが設けられ、
上記第1円筒体
の中途部に
は、当該第1円筒
体の
一端側から他端側に行くにつれて次第に縮径する環状の上記規制部
が設けられ、当該規制部の内周面と上記第2円筒体の他端開口周縁との間に溶接部が形成され、
上記規制部は、当該規制部の内周面における上記溶接部よりも上記第1円筒体における一端側の部位が上記給油管本体の他端開口周縁と接触することにより、上記給油管本体が上記第1円筒体における他端開口側へ移動することを規制するように構成されていることを特徴とする燃料給油管。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料給油管において、
上記環状カバー部には、当該環状カバー部の開口周縁に開放する切欠凹部が形成され、
上記給油管本体の他端側外周面には、上記環状カバー部が上記給油管本体の他端開口側外周面を覆う状態で上記切欠凹部に嵌合する嵌合突起が形成されていることを特徴とする燃料給油管。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燃料給油管において、
上記規制部は、上記環状カバー部に連続して設けられ、当該環状カバー部から離れるにつれて次第に縮径する環状部分で構成され、
上記係合部は、上記環状カバー部をU字状に切り抜くことにより切り残った部分で構成される切抜部分の内方に飛び出す突出部分を、上記給油管本体の他端側が上記環状カバー部の内方に挿入されて上記規制部に規制された状態において上記環状カバー部の内方に向けて折り曲げることにより形成されていることを特徴とする燃料給油管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の燃料タンクにガソリン等の燃料を給油する際の通路となる燃料給油管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の軽量化や低コスト化を目的として、燃料給油管の全部又は一部を樹脂材で形成する取り組みがなされている。例えば、特許文献1に開示されている燃料給油管は、燃料タンクに一端が接続される樹脂材で形成された円筒状の給油管本体と、該給油管本体の他端開口に組み付けられ、給油ガンのノズルを給油管本体の内側に案内する円筒状のノズルガイドとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、ノズルガイドを給油管本体の他端開口に圧入することにより給油管本体に組み付けている。したがって、燃料給油管とノズルガイドとの間の気密性を高めるために、外径が給油管本体の内径よりも大きく設計されたノズルガイドを給油管本体に圧入させる必要があり、組立作業に大きな力を必要とするので、組立作業が煩雑であるという問題がある。
【0005】
また、圧入によりノズルガイドを給油管本体に組み付ける場合、組立後の給油管本体に対するノズルガイドの取付位置にばらつきが生じ易いという問題もある。
【0006】
これを回避するために、給油管本体とノズルガイドとを溶着等の接合によって一体にすることも考えられるが、ノズルガイドが金属体である場合には、樹脂材からなる給油管本体とノズルガイドとの間の接合が技術的に困難で実現が難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂材からなる給油管本体と金属材からなるノズルガイドとの間における組立作業が簡単であり、しかも給油管本体に対してノズルガイドを正確な位置に組み付けた状態にすることができる燃料給油管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、給油管本体にノズルガイドを挿入した状態において、給油管本体に対してノズルガイドが筒中心線に沿って移動するのを規制する構造を給油管本体及びノズルガイドの互いに対向する位置に設けたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、燃料タンクに一端が接続される円筒状の樹脂製給油管本体と、一端側が上記給油管本体の他端開口に組み付けられる一方、他端開口に給油キャップが着脱可能に取り付けられ、当該給油キャップが取り外された状態で、給油ガンのノズルを上記給油管本体の内側に案内する円筒状の金属製ノズルガイドとを備えた燃料給油管において、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明では、上記給油管本体の他端側外周面には、外側方に張り出す張出部が設けられ、上記ノズルガイドには、当該ノズルガイドの外周面を構成する第1円筒体と、当該第1円筒体の一端側内方に配設された第2円筒体と、上記第1円筒体の一端側から当該第1円筒体の内方に上記給油管本体の他端開口側を挿入した状態で当該給油管本体が上記第1円筒体における他端開口側へ移動することを規制する規制部と、上記第1円筒体の一端側に設けられ、上記規制部に規制される上記給油管本体の他端開口側外周面を環状に覆う環状カバー部と、該環状カバー部に形成され、上記張出部における上記給油管本体の他端開口周縁から遠い側に係合する係合部とが設けられ、上記第1円筒体の中途部には、当該第1円筒体の一端側から他端側に行くにつれて次第に縮径する環状の上記規制部が設けられ、当該規制部の内周面と上記第2円筒体の他端開口周縁との間に溶接部が形成され、上記規制部は、当該規制部の内周面における上記溶接部よりも上記第1円筒体における一端側の部位が上記給油管本体の他端開口周縁と接触することにより、上記給油管本体が上記第1円筒体における他端開口側へ移動することを規制するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、上記環状カバー部には、当該環状カバー部の開口周縁に開放する切欠凹部が形成され、上記給油管本体の他端側外周面には、上記環状カバー部が上記給油管本体の他端開口側外周面を覆う状態で上記切欠凹部に嵌合する嵌合突起が形成されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、上記規制部は、上記環状カバー部に連続して設けられ、当該環状カバー部から離れるにつれて次第に縮径する環状部分で構成され、上記係合部は、上記環状カバー部をU字状に切り抜くことにより切り残った部分で構成される切抜部分の内方に飛び出す突出部分を、上記給油管本体の他端側が上記環状カバー部の内方に挿入されて上記規制部に規制された状態において上記環状カバー部の内方に向けて折り曲げることにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、ノズルガイドを給油管本体に組み付ける際、特許文献1の如き圧入作業を行わずにノズルガイドを給油管本体から外れないようにすることができ、燃料給油管の組立作業が簡単である。また、ノズルガイドが給油管本体の一端側に向かって移動しようとすると、ノズルガイドの規制部が給油管本体の他端開口周縁に接触する一方、ノズルガイドが給油管本体から外れる方向に移動しようとしても、ノズルガイドの係合部が給油管本体の張出部に接触する。このように、ノズルガイドの給油管本体に対する筒中心線方向の位置が正確に決まるので、給油管本体に対してノズルガイドを正確な位置に組み付けた状態にすることができる。さらに、給油管本体が樹脂体で、且つ、ノズルガイドが金属体であっても、本発明の構造を適用することにより、給油管本体にノズルガイドを圧入させることなく組み付けることができる。
【0014】
第2の発明では、ノズルガイドに対して給油管本体の周方向に不意に力が加わったとしても、切欠凹部に嵌合突起が引っ掛かっているので、ノズルガイドを給油管本体に対してその筒中心線周りに確実に回転させないようにすることができる。
【0015】
第3の発明では、給油管本体に対してノズルガイドを組み付ける際、突出部を環状カバー部の内方に向けて折り曲げる前に、ノズルガイドの一端開口に給油管本体の他端側を挿入させることにより、給油管本体をノズルガイドの内方に簡単に挿入することができる。ノズルガイドの内方に給油管本体を挿入すると、ノズルガイドの規制部に給油管本体の他端開口周縁が接触するので、ノズルガイドに対する給油管本体の挿入位置を正確に決めることができる。そして、ノズルガイドに対する給油管本体の挿入位置が決まった状態で、突出部を環状カバー部の内方に折り曲げることにより、給油管本体からノズルガイドを外れない状態にすることができる。このように、ノズルガイドを給油管本体の正確な位置に簡単に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態における燃料給油管、燃料給油管が接続された燃料タンク及び燃料給油管に取り付けられる給油キャップを示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態における燃料給油管のノズルガイド側の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用の燃料給油管1を示す。該燃料給油管1は、車両の燃料タンク3に燃料を給油する際の燃料の通路となるものであり、燃料タンク3に一端が接続される円筒状の樹脂製給油管本体2を備えている。
【0019】
給油管本体2は、ブロー成形により製造されたブロー成形体であり、
図5に示すように、給油管本体2の厚み方向中途部には、耐燃料透過性を有するエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなる樹脂バリア層2aが給油管本体2の一端開口周縁から他端開口周縁に亘って連続的に設けられている。
【0020】
樹脂バリア層2aの外側には、高密度ポリエチレンからなる外側樹脂層2bが図示しない接着性樹脂層を介して積層され、外側樹脂層2bは、耐低温衝撃性を有している。
【0021】
また、樹脂バリア層2aの内側には、高密度ポリエチレンからなる内側樹脂層2cが図示しない接着性樹脂層を介して積層され、内側樹脂層2cは、外側樹脂層2bと同様に、耐低温衝撃性を有している。
【0022】
給油管本体2の他端側には、給油管本体2の一端から中途部に亘る部分よりも径が大きい拡管部20が形成されている。尚、以下では、給油管本体2の他端開口を拡管開口部20aと呼ぶことにする。
【0023】
拡管部20における拡管開口部20a寄りの外周面には、
図4及び
図5に示すように、筒中心線C1周りに環状に延びる環状凹条溝21が形成されている。
【0024】
また、拡管部20における環状凹条溝21の拡管開口部20aから遠い側に連続する部分には、外側方に張り出す環状張出部22が形成されている。
【0025】
さらに、拡管部20における環状張出部22よりも拡管開口部20aから遠い部分には、外側方に略円盤状に膨出する膨出部23が形成され、該膨出部23には、
図4に示すように、給油管本体2の内側と外側とを連通させる取付孔23aが形成されている。
【0026】
それに加えて、拡管部20の外周面における膨出部23近傍には、
図3に示すように、略直方体形状をなす嵌合突起24が突設されている。
【0027】
燃料給油管1は、
図1に示すように、短い略円筒状をなすノズルガイド4を備え、該ノズルガイド4の一端側が給油管本体2の拡管開口部20aに組み付けられている。
【0028】
ノズルガイド4の他端開口には、給油キャップ11が着脱可能に取り付けられ、ノズルガイド4は、
図4に示すように、当該給油キャップ11が取り外された状態で、給油ガンGのノズルG1を給油管本体2の内側に案内するようになっている。
【0029】
ノズルガイド4は、
図2乃至
図4に示すように、鉄板をプレス成形することにより得られた金属体であり、ノズルガイド4の外周面を構成する第1円筒体5と、該第1円筒体5の一端側内方に配設された第2円筒体6とを備え、第1円筒体5及び第2円筒体6の筒中心線は、筒中心線C1に一致している。
【0030】
第1円筒体5の中途部には、当該第1円筒体5の一端側から他端側に行くにつれて次第に縮径する環状規制部5eが設けられ、該環状規制部5eによって第1円筒体5の一端側半分の外径が他端側半分の外径よりも大きくなっている。
【0031】
環状規制部5eは、第1円筒体5の一端側から当該第1円筒体5の内方に給油管本体2の他端開口側を挿入した状態で給油管本体2における第1円筒体5(ノズルガイド4)の他端開口側への移動を規制するようになっている。
【0032】
第1円筒体5の一端側略半分には、当該第1円筒体5の内方に挿入されて環状規制部5eによって規制される給油管本体2の他端開口側外周面(拡管部20)を環状に覆う環状カバー部5aが環状規制部5eに連続して設けられている。
【0033】
該環状カバー部5aの開口周縁寄りの位置には、側面視で略U字状に切り抜かれた第1切抜部5bが筒中心線C1周りに複数形成されている。
【0034】
各第1切抜部5bには、
図5に示すように、環状カバー部5aの開口周縁から離れるように、且つ、環状カバー部5aの内方に向かうように斜めに突出する突出部5c(係合部)が設けられている。
【0035】
該突出部5cは、環状カバー部5aをU字状に切り抜くことにより切り残った部分で構成される切抜部分の内方に飛び出す部分であり、給油管本体2の他端側が環状カバー部5aの内方に挿入されて環状規制部5eに規制された状態において環状カバー部5aの内方に向けて折り曲げることにより形成されている。
【0036】
各突出部5cは、給油管本体2の他端側が第1円筒体5の内方に位置する状態において、環状張出部22における拡管開口部20aから遠い側に係合しており、ノズルガイド4が給油管本体2から外れるのを防ぐようになっている。
【0037】
また、環状カバー部5aには、
図3に示すように、環状カバー部5aの開口周縁に開放する切欠凹部5dが形成されている。
【0038】
切欠凹部5dに給油管本体2の嵌合突起24を対応させた状態において給油管本体2の他端側を環状カバー部5aの内方に挿入すると、当該環状カバー部5aが給油管本体2の他端開口側外周面を覆う状態で嵌合突起24が切欠凹部5dに嵌合するようになっている。
【0039】
第1円筒体5の他端開口周縁部分には、径方向外側に折り返された環状の折返部5fが形成され、第1円筒体5の他端側における折返部5f寄りの位置には、一条の雌螺子部5gが形成されている。
【0040】
第2円筒体6の一端には、
図4に示すように、給油ガンGのノズルG1の外径に対応するノズル差込口6aが形成され、該ノズル差込口6aは、ノズルガイド4に挿入したノズルG1を給油管本体2の内方に案内するようになっている。
【0041】
一方、第2円筒体6の他端開口周縁には、外側方に拡がるフランジ部6bが設けられている。
【0042】
第2円筒体6は、
図5に示すように、フランジ部6bの外周縁部と第1円筒体5の環状規制部5eの内周面との間にレーザ溶接で環状の溶接部6eを形成することにより第1円筒体5に組み付けられ、第2円筒体6と環状カバー部5aとの間には、給油管本体2の他端側が位置する筒中心線C1周りに延びる環状の空間S1が形成されている。
【0043】
すなわち、第2円筒体6は、給油管本体2の他端側内方に配設され、一端開口周縁が第1円筒体5の一端開口周縁から離間する一方、他端開口周縁が第1円筒体5の中途部内周面に接続されている。
【0044】
第2円筒体6のフランジ部6b寄りの位置には、
図4に示すように、側面視で略U字状に切り抜かれた第2切抜部6cが形成されている。
【0045】
第2切抜部6cには、フランジ部6bに近づくように、且つ、給油管本体2の他端側に向かうように斜めに突出するアース部6dが設けられている。
【0046】
該アース部6dは、給油管本体2の他端側内周面に接触しており、給油作業者が給油キャップ11に手を掛けた際に給油作業者に帯電している静電気を給油管本体2側に逃がすようになっている。
【0047】
給油管本体2の環状凹条溝21には、環状のシール部材10が嵌合している。該シール部材10は、耐燃料透過性を有するフッ素ゴムからなるゴム体であり、
図5に示すように、環状凹条溝21の内周面と環状カバー部5aの内周面との間をシールしている。
【0048】
給油管本体2の側方には、
図1に示すように、一端が給油管本体2の拡管部20に接続される一方、他端が燃料タンク3に接続されたブリーザチューブ7が並設され、該ブリーザチューブ7は、給油管本体2を用いて燃料を燃料タンク3に給油する際において、気化した燃料を含む空気を燃料タンク3から給油管本体2のノズルガイド4側に抜くようになっている。
【0049】
ブリーザチューブ7は、一端が燃料タンク3に接続された細長い円筒状をなす樹脂製のチューブ本体8と、該チューブ本体8の他端側に接続され、該チューブ本体8を給油管本体2に接続する樹脂製のジョイント部材9とを備えている。
【0050】
該ジョイント部材9は、
図2乃至
図4に示すように、側面視で略L字状をなしており、給油管本体2に沿って延びる第1ジョイント部9aと、該第1ジョイント部9aから給油管本体2に向かって延びる第2ジョイント部9bとを有している。
【0051】
第1ジョイント部9aは、環状に延びる複数の山が並設されたタケノコ状の接続面部9cを有し、該接続面部9cにOリング12を外嵌合させるとともに、第1ジョイント部9aをチューブ本体8の他端側内方に圧入することにより、気密性が保たれた状態でチューブ本体8とジョイント部材9とが接続されるようになっている。
【0052】
第2ジョイント部9bの中途部には、外側方に突出する環状突条部9dが形成され、第2ジョイント部9bを給油管本体2の取付孔23aに圧入するとともに、環状突条部9dと膨出部23とを溶着させることによってジョイント部材9と給油管本体2とが接続されている。
【0053】
以上より、本発明の実施形態によると、ノズルガイド4を給油管本体2に組み付ける際、特許文献1の如き圧入作業を行わずにノズルガイド4を給油管本体2から外れないようにすることができ、燃料給油管1の組立作業が簡単である。
【0054】
また、ノズルガイド4が給油管本体2の一端側に向かって移動しようとすると、ノズルガイド4の環状規制部5eが給油管本体2の他端開口周縁に接触する一方、ノズルガイド4が給油管本体2から外れる方向に移動しようとしても、ノズルガイド4の突出部5cが給油管本体2の環状張出部22に接触する。このように、ノズルガイド4の給油管本体2に対する筒中心線C1方向の位置が正確に決まるので、給油管本体2に対してノズルガイド4を正確な位置に組み付けた状態にすることができる。
【0055】
さらに、給油管本体2が樹脂体で、且つ、ノズルガイド4が金属体であっても、本発明の構造を適用することにより、給油管本体2にノズルガイド4を圧入させることなく組み付けることができる。
【0056】
また、ノズルガイド4に対して給油管本体2の周方向に不意に力が加わったとしても、切欠凹部5dに嵌合突起24が引っ掛かっているので、ノズルガイド4を給油管本体2に対してその筒中心線C1周りに確実に回転させないようにすることができる。
【0057】
さらに、給油管本体2に対してノズルガイド4を組み付ける際、突出部5cを環状カバー部5aの内方に向けて折り曲げる前に、ノズルガイド4の一端開口に給油管本体2の他端側を挿入させることにより、給油管本体2をノズルガイド4の内方に簡単に挿入することができる。ノズルガイド4の内方に給油管本体2を挿入すると、ノズルガイド4の環状規制部5eに給油管本体2の他端開口周縁が接触するので、ノズルガイド4に対する給油管本体2の挿入位置を正確に決めることができる。そして、ノズルガイド4に対する給油管本体2の挿入位置が決まった状態で、突出部5cを環状カバー部5aの内方に折り曲げることにより、給油管本体2からノズルガイド4を外れない状態にすることができる。このように、ノズルガイド4を給油管本体2の正確な位置に簡単に組み付けることができる。
【0058】
尚、本発明の実施形態では、ノズルガイド4は、鉄板から形成された金属体であるが、ステンレス鋼材等の金属材で形成してもよい。
【0059】
また、本発明の実施形態では、ノズルガイド4に対する給油管本体2の位置を決める環状規制部5eが環状をなしているが、環状であることが必須ではなく、給油管本体2の他端開口周縁が接触可能な形状であればよい。
【0060】
さらに、本発明の実施形態では、給油管本体2の環状張出部22が環状をなしているが、環状であることが必須ではなく、突出部5cが係合可能な形状であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、車両の燃料タンクにガソリン等の燃料を給油する際の通路となる燃料給油管に適している。
【符号の説明】
【0062】
1 燃料給油管
2 給油管本体
3 燃料タンク
4 ノズルガイド
5c 突出部(係合部)
5d 切欠凹部
5e 環状規制部
11 給油キャップ
22 環状張出部
24 嵌合突起
51a 環状カバー部
C1 筒中心線
G 給油ガン
G1 ノズル