(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20231020BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
(21)【出願番号】P 2019015484
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】514053169
【氏名又は名称】株式会社メルカリ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸明
(72)【発明者】
【氏名】今木 彩翔
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-312598(JP,A)
【文献】特開2004-127029(JP,A)
【文献】特許第6349450(JP,B1)
【文献】特開2002-312592(JP,A)
【文献】特開2004-252582(JP,A)
【文献】特開2007-233491(JP,A)
【文献】特開2009-116628(JP,A)
【文献】特許第6437155(JP,B1)
【文献】特表2010-529541(JP,A)
【文献】特開2015-049751(JP,A)
【文献】特開平10-171897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業に属する従業員に電子バリューでの給与の支払いを行うための情報処理方法であって、
情報処理装置が、
前記従業員の給与の振分割合を受信するステップと、
前記従業員の給与総額を受信するステップと、
前記給与総額と前記振分割合に基づいて振込額を算出するステップと、
前記振込額が上限値を超えない場合に、
前記企業に対応付けられた企業アカウントから前記従業員に対応付けられた従業員アカウントに前記振込額
に相当する電子バリューを
移動させるステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記振分割合は、前記従業員または前記企業によって決定される、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記給与総額
に相当する電子バリューを、前
記企業アカウントへ一時的に入金するステップをさらに有する、請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記情報処理装置が、前記従業員の要求に応じて、前記従業員による要求額
に相当する電子バリューを、前記企業アカウントから前記従業員アカウントへ移動させるステップをさらに実行する、請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記従業員の要求があった場合に、前記企業による承認を必要とする、請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
企業に属する従業員に電子バリューでの給与の支払いを行うための情報処理方法であって、
情報処理装置が、
前記従業員の給与の振分割合を受信するステップと、
前記従業員の給与総額を受信するステップと、
前記給与総額と前記振分割合に基づいて振込額を算出するステップと、
前記振込額が上限値を超えない場合に、前記従業員に対応付けられた従業員アカウントに前記振込額を入金するステップと、
一の前記従業員に対して前記従業員アカウントが複数対応付けられている場合
、前記従業員の端末へ、前記複数の従業員アカウント間における前記振分割合の変更の提案を送信するステップ
と、を実行す
る情報処理方法。
【請求項7】
前記情報処理装置が、
前記振分割合を指定するための振分割合指定オブジェクトを表示する指示を送信するステップと、
前記従業員からの前記振分割合指定オブジェクトへの操作に応答した振分割合を受信するするステップと、をさらに実行し、
前記操作は、前記振分割合に応じた領域の少なくとも一部の面積を増減させる操作を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記操作は、前記振分割合指定オブジェクトの全体面積を変更させることにより、前記従業員アカウントへ対応付ける金額を変更する操作を含む、請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記従業員アカウントは、前記企業によって認定された決済手段である、請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
企業に属する従業員に電子バリューでの給与の支払いを行うための情報処理プログラムであって、
情報処理装置に、
前記従業員の給与の振分割合を受信するステップと、
前記従業員の給与総額を受信するステップと、
前記給与総額と前記振分割合に基づいて振込額を算出するステップと、
前記振込額が上限値を超えない場合に、
前記企業に対応付けられた企業アカウントから前記従業員に対応付けられた従業員アカウントに前記振込額
に相当する電子バリューを
移動させるステップと、
を実行させる情報処理プログラム。
【請求項11】
企業に属する従業員に電子バリューでの給与の支払いを行うための情報処理装置であって、
前記従業員の給与の振分割合を受信する振分割合受信部と、
前記従業員の給与総額を受信する給与総額受信部と、
前記給与総額と前記振分割合に基づいて振込額を算出する振込額算出部と、
前記振込額が上限値を超えない場合に、
前記企業に対応付けられた企業アカウントから前記従業員に対応付けられた従業員アカウントに前記振込額
に相当する電子バリューを
移動させる入金処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項12】
前記情報処理装置に、
前記振分割合を指定するための振分割合指定オブジェクトを表示するステップと、
前記振分割合指定オブジェクト内に、第1決済事業者に対応付けられた第1表示領域を表示するステップと、
前記振分割合指定オブジェクト内に、第2決済事業者に対応付けられた第2表示領域を前記第1表示領域とともに表示するステップと、
前記第1表示領域を大きくする操作に応答して、前記振分割合における前記第1決済事業者の割合を大きくするステップと、
を実行させる、請求項10に記載の情報処理プログラム。
【請求項13】
前記情報処理装置に、前記第1表示領域を大きくする操作に応答して、前記振分割合における前記第2決済事業者の割合を小さくするステップをさらに実行させる、請求項12に記載の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理装置、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従業員などの労働者に対する賃金(給与)の支払いは、原則として、毎月一回以上、一定の期日を定めて現金で支払わなければならず、労働者の同意を得た場合には例外的に金融機関などへの入金で代替することができる。例えば特許文献1には、従業員(スタッフ)の給与を金融機関への振込みで支払う場合の支払管理システムに加え、給与をポイントで支払う場合の一例について記載されている。なお、この場合のポイントとは、例えば電子マネーや、各種決済に使用可能なウェブポイントサービスにおけるポイントであり、ポイント移動により決済などを行うことにより現金の代わりに使用可能なものであり、現金として払出しを行うことも可能なものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従業員へ給与の支払いは、その従業員の所属する企業が給与支払の決済事業を保有している場合、その企業が決済業務として現金の払出しや金融機関の従業員口座への振込みを実施することが一般的である。一方、企業が給与支払の決済事業を保有していない場合、例えば特許文献1に記載されているように、所定の管理事業者から支払事業者へ貸出しを行い、その支払会社から金融機関の従業員口座へ給与分の資金移動を行う手法が用いられる。いずれの場合においても、通常は、前述した原則どおり、毎月一回以上、一定の期日(給与支給日)に、金融機関の従業員口座に給与が支給されることが多い。
【0005】
これに対し、従業員によっては、例えば、現状の資産の状況や支払いの需要などに応じて、金融機関以外の他のアカウント(口座)への振込みを、適宜のタイミングで行うことを望む場合もある。しかし、上記従来の給与の支払い方法では、そのような従業員の希望に柔軟に対応することは困難であった。
【0006】
そこで、本開示は、一側面では、かかる事情に鑑みてなされたものであり、従業員が希望する給与の支給方法に柔軟に対応することができ、利便性を向上させることが可能な情報処理方法、情報処理装置、および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、企業の従業員に対して給与を支給するための情報処理方法であって、情報処理装置に、前記従業員の端末から、前記給与の振分割合を受信するステップと、前記企業の端末から、前記従業員の給与総額を受信するステップと、前記給与の少なくとも一部を前記振分割合に基づいて算出された金額と、前記従業員に対応付けられた従業員アカウントとを対応付けるステップと、を有する。
【0008】
ここで、本開示における「企業」には、私法人(株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、合名会社などの営利法人、および、学校法人、医療法人、宗教法人、NPO法人などの非営利法人を含む)、ならびに、公法人(公団、公庫、公社など)が含まれ、さらに、個人事業主やフリーランスなどの個人も含まれる。また、本開示における「従業員」とは、企業活動として役務を提供し、その対価を受け取る者であり、例えば、企業との雇用契約に基づいて働く労働者(正社員、契約社員、パートタイマーなどを含む)、および、企業と雇用契約以外の形で契約して働く労働者(役員、業務委託先、外注先などを含む)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態の一態様に係る通信システムの構成を示す。
【
図2】
図2は、本開示に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る給与管理システムの構成の概要を模式的に示す概略図である。
【
図4】
図4は、従業員が所属する企業における月次の給与管理テーブルの一例である。
【
図5】
図5は、従業員が所属する企業における月次の給与管理テーブルの一例である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る給与管理システムを構成する情報処理装置の機能的な構成を示すブロック図の一例を示す。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るサーバと端末との処理のシーケンス図の一例を示す。
【
図8】
図8は、従業員が所属する企業における月次の給与支払テーブルの一例である。
【
図9】
図9は、従業員が所属する企業における月次の給与支払テーブルの一例である。
【
図10】
図10(A)および(B)は、第1実施形態の第2実施例に係る端末に表示される画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<法令遵守>
本明細書に記載の開示は、実施される場合、本開示を実施する各国の法令を遵守のうえで実施される。また、本明細書に記載の開示は、各国の法令を遵守するために必要な、当業者が成し得る全ての変更、置換、変形、改変、および修正をもって実施される。
【0011】
本開示に係る情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理装置を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
<システム構成>
図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理方法を有効に実施するための通信システム1の構成を示す。
図1に開示されるように、通信システム1では、ネットワーク130を介してサーバ110A,サーバ110B,サーバ110C,サーバ110Dと、端末120A,端末120B,端末120Cとが接続される。
【0013】
本開示において、サーバ110Aと、サーバ110Bと、サーバ110Cと、サーバ110Dとをそれぞれ区別する必要がない場合は、サーバ110Aとサーバ110Bとサーバ110Cとサーバ110Dとは、それぞれサーバ110と表現されてもよい。
【0014】
本開示において、端末120Aと、端末120Bと、端末120Cとをそれぞれ区別する必要がない場合は、端末120Aと端末120Bと端末120Cとは、それぞれ端末120と表現されてもよい。
【0015】
本開示において、サーバ110と、端末120とをそれぞれ区別する必要がない場合は、サーバ110と端末120とは、それぞれ情報処理装置200と表現されてもよい。なお、ネットワーク130に接続される情報処理装置200の数は限定されない。
【0016】
サーバ110は、ネットワーク130を介してユーザが利用する端末120に、所定のサービスを提供する。所定のサービスは、限定でなく例として、給与管理サービス、決済サービス、金融サービス、商取引サービス、インスタントメッセンジャーを代表とするSNS(Social Networking Service)、楽曲・動画・書籍などのコンテンツ提供サービスなどを含む。ユーザが端末120を介して所定のサービスを利用することで、サーバ110は1以上の端末120に所定のサービスを提供することができる。
【0017】
本開示において、決済サービスとは1以上のユーザが金銭または金銭相当物の授受ができるサービスを意味する。限定でなく例として、一次元コード(バーコードなど)、二次元コード(QRコード(登録商標)など)(以下で、一次元コードおよび二次元コードをまとめて「二次元コードなど」または「識別コード」と総称する。)、近距離無線通信(NFC (Near Field Communication)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)、超音波通信、赤外線通信など)を利用して決済を行うサービスを含む。また、代金の支払いを行うユーザ(支払者)の端末120が二次元コードなどを読み取ることで決済を行うことを「ユーザ読取型コード決済」または「MPM(Merchant Presented Mode)」と表現し、支払いを行うユーザの端末120が二次元コードなどを表示し、表示された二次元コードなどを、代金を請求する店舗側などのユーザ(販売者、請求者)の端末120が読み取ることで決済を行うことを「店舗読取型コード決済」または「CPM(Consumer Presented Mode)」と表現する。なお、MPMおよびCPMは、動的であってもよいし、静的であってもよい。
【0018】
必要に応じて、ユーザXが利用する端末を端末120Xと表現する。なお、ユーザ情報とは、所定のサービスにおいてユーザが利用するアカウントに対応付けられたユーザの情報である。ユーザ情報は、限定でなく例として、ユーザにより入力される、または、所定のサービスにより付与される、ユーザの名前、ユーザのアイコン画像、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザの住所、ユーザの趣味趣向、ユーザの識別子などのユーザに対応づけられた情報、ユーザに対応付けられた電子バリュー(電子マネー)の残高情報、ユーザに対応付けられたクレジットカード情報(クレジットカード番号など)を含み、これらのいずれか一つまたは、組み合わせであってもよい。
【0019】
ネットワーク130は、2以上の情報処理装置200を接続する役割を担う。ネットワーク130は、端末120がサーバ110に接続した後、データを送受信することができるように接続経路を提供する通信網を意味する。
【0020】
ネットワーク130のうちの1つまたは複数の部分は、有線ネットワークや無線ネットワークであってもよい。ネットワーク130は、限定でなく例として、アドホック・ネットワーク(Ad Hoc Network)、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network:LAN)、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、大都市圏ネットワーク(Metropolitan Area Network:MAN)、インターネットの一部、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)の一部、携帯電話網、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)、無線LANs、LTE(Long Term Evolution)、CDMA(Code Division Multiple Access)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、衛星通信など、または、これらの2つ以上の組合せを含むことができる。ネットワーク130は、1つまたは複数のネットワーク130を含むことができる。
【0021】
情報処理装置200は、本開示に記載される機能および方法を実現できる情報処理装置であればどのような情報処理装置であってもよい。情報処理装置200は、限定でなく例として、スマートフォン、携帯電話(フィーチャーフォン)、コンピュータ(限定でなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、サーバ装置、メディアコンピュータプラットホーム(限定でなく例として、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダなど)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(限定でなく例として、PDA(Personal Digital Assistant)、電子メールクライアントなど)、ウェアラブル端末(限定でなく例として、メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)、他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームを含む。
【0022】
<ハードウェア構成>
図2を用いて、通信システム1に含まれる情報処理装置200のハードウェア構成について説明する。
【0023】
情報処理装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、ストレージ203と、入出力インタフェース(入出力I/F)204と、通信インタフェース(通信I/F)205とを含む。情報処理装置200のハードウェアの各構成要素は、限定でなく例として、バスBを介して相互に接続される。
【0024】
情報処理装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、ストレージ203と、入出力I/F204と、通信I/F205との協働により、本開示に記載される機能、および/または、方法を実現する。
【0025】
プロセッサ201は、ストレージ203に記憶されるプログラムに含まれるコードまたは命令によって実現する機能および方法を実行する。プロセッサ201は、限定でなく例として、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphic s Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))などに形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0026】
メモリ202は、ストレージ203からロードしたプログラムを一時的に記憶し、プロセッサ201に対して作業領域を提供する。メモリ202には、プロセッサ201がプログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ202は、限定でなく例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを含む。
【0027】
ストレージ203は、プログラムを記憶する。ストレージ203は、限定でなく例として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどを含む。
【0028】
通信I/F205は、ネットワーク130を介して各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。通信I/F205は、ネットワーク130を介して、他の情報処理装置との通信を実行する機能を有する。通信I/F205は、各種データをプロセッサ201からの指示にしたがって、他の情報処理装置に送信する。また、通信I/F205は、他の情報処理装置から送信された各種データを受信し、プロセッサ201に伝達する。
【0029】
入出力I/F204は、情報処理装置200に対する各種操作を入力する入力装置、および、情報処理装置200で処理された処理結果を出力する出力装置を含む。入出力I/F204は、入力装置と出力装置が一体化していてもよいし、入力装置と出力装置とに分離していてもよい。
【0030】
入力装置は、ユーザからの入力を受け付けて、当該入力に係る情報をプロセッサ201に伝達できる全ての種類の装置のいずれか、または、その組み合わせにより実現される。入力装置は、限定でなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、キーボードなどのハードウェアキーや、マウスなどのポインティングデバイス、カメラ(画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)を含む。
【0031】
出力装置は、プロセッサ201で処理された処理結果を出力することができる全ての種類の装置のいずれか、または、その組み合わせにより実現される。当該処理結果を映像または動画像として出力する場合、出力装置は、フレームバッファに書き込まれた表示データにしたがって、当該表示データを表示することができる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。出力装置は、限定でなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、モニタ(限定でなく例として、液晶ディスプレイ、OELD(Organic Electroluminescence Display)など)、ヘッドマウントディスプレイ(HDM:Head Mounted Display)、プロジェクションマッピング、ホログラム、空気中など(真空であってもよい)に画像やテキスト情報などを表示可能な装置、スピーカ(音声出力)、プリンタなどを含む。なお、これらの出力装置は、3Dで表示データを表示可能であってもよい。
【0032】
本開示の各実施形態のプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。 記憶媒体は、「一時的でない有形の媒体」に、プログラムを記憶可能である。プログラムは、限定でなく例として、ソフトウェアプログラムやコンピュータプログラムを含む。
【0033】
記憶媒体は適切な場合、1つまたは複数の半導体ベースの、または他の集積回路(IC)(限定でなく例として、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)など)、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、ハイブリッド・ハード・ドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピィ・ディスケット、フロッピィ・ディスク・ドライブ(FDD)、磁気テープ、固体ドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュア・デジタル・カードもしくはドライブ、任意の他の適切な記憶媒体、またはこれらの2つ以上の適切な組合せを含むことができる。記憶媒体は、適切な場合、揮発性、不揮発性、または揮発性と不揮発性の組合せでよい。
【0034】
また、本開示のプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波など)を介して、情報処理装置200に提供されてもよい。また、本開示の各実施形態は、プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0035】
なお、本開示のプログラムは、限定でなく例として、JavaScript(登録商標)、Pythonなどのスクリプト言語、C言語、Go言語、Swift Kotlin、Java(登録商標)などを用いて実装されてよい。
【0036】
情報処理装置200における処理の少なくとも一部は、1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。
【0037】
情報処理装置200における処理の少なくとも一部を、他の情報処理装置により行う構成としてもよい。この場合、プロセッサ201により実現される各機能部の処理のうち少なくとも一部の処理を、他の情報処理装置で行う構成としてもよい。
【0038】
<その他>
明示的な言及のない限り、本開示の実施形態における判定の構成は必須でなく、判定条件を満たした場合に所定の処理が動作されたり、判定条件を満たさない場合に所定の処理がされたりしてもよい。
【0039】
本開示では、明記されていない限り、または文脈によって示されない限り、「AおよびBの少なくとも一方」は、「A、B、またはその両方」を意味する。さらに、明記されない限り、または文脈によって示されない限り、「a」、「an」、または「the」は「1つまたは複数」を意味するものとする。したがって、本明細書では、別段に明記されない限り、または文脈によって示されない限り、「an A」または「the A」は「1つまたは複数のA」を意味する。
【0040】
本開示は、本開示の実施形態および実施例に対して、当業者が成し得る全ての変更、置換、変形、改変、または修正を包含する。また、添付の特許請求の範囲は、本開示の実施形態および実施例に対して、当業者が成し得る全ての変更、置換、変形、改変、または修正を包含する。さらに、本開示は、当業者が成し得る、本開示における実施形態または実施例の1以上の特徴と、本開示における他の実施形態または実施例の1以上の特徴との任意の組合せを包含する。
【0041】
加えて、特定の機能を実施するように適合される、配置される、能力を有する、構成される、使用可能である、動作可能である、または動作できる装置またはシステムあるいは装置またはシステムの構成要素に対する添付の特許請求の範囲での参照は、その装置、システム、または構成要素がそのように適合される、配置される、能力を有する、構成される、使用可能にされる、動作可能にされる、または動作できる限り、その装置、システム、構成要素またはその特定の機能がアクティベートされ、オンにされ、またはロック解除されているか否かに関わらず、その装置、システム、構成要素を包含する。
【0042】
本開示は、明示されない限り、いずれの実施形態または実施例を実施するに際して、事前に、または、実施の直前にユーザからの同意を取得してもよい。また、取得する同意は、包括的なものでもよく、都度取得するものでもよい。
【0043】
以下、本開示の一例に係る実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図ではない。すなわち、本開示の一例は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付しており、図面は模式的なものであって、必ずしも実際の寸法や比率などとは一致しない。さらに、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0044】
<第1実施形態>
第1実施形態は、従業員への給与支払いの決済事業を保有していない企業COが、給与支払いを代行する決済事業者KAを通じて、従業員へ給与を支給するシステムへの適用例を示す実施形態である。本実施形態では、例えば従業員Aの給与が複数の口座、すなわち、限定でなく例として、決済事業者KAに開設された従業員アカウントJAに関連付けられた口座(「従業員アカウント口座JA」という場合がある。)、決済事業者KBに開設された従業員アカウントJBに関連付けられた口座(「従業員アカウント口座JB」という場合がある。)、および、従業員Aが指定する金融機関の従業員口座JDに、従業員のAの給与総額の少なくとも一部が、所定の振分割合で支給される場合について説明する。
【0045】
図3は、第1実施形態に係る給与管理システムの構成の概要を模式的に示す概略図である。当該構成においては、複数の情報処理装置200、例えば、従業員Aの端末120A、決済事業者KAのサーバ110A、決済事業者KBのサーバ110B、従業員Aが所属する企業COのサーバ110C、および、従業員Aが指定する金融機関のサーバ110Dによって、給与管理システム1000が構築される。
【0046】
給与管理システム1000では、各従業員のユーザ情報が、各従業員の端末120から、または、適宜の手段により企業COへ提供される。また、各従業員は、給与の受取決済手段としての各決済事業者における従業員アカウントおよび金融機関の従業員口座に配分する給与の振分割合Wを、ユーザ情報の一部として、従業員の端末120から、または、適宜の手段により企業COへ通知する。また、企業COは、それらのユーザ情報と、企業内における各従業員の内部情報とを併せて、各従業員のユーザ情報J10としてサーバ110Cに保持する(ユーザ情報テーブル)。また、企業COのサーバ110Cは、企業COに関する種々の情報を企業情報J20として、サーバ110Cに保持する(企業情報テーブル)。
【0047】
企業のサーバ110Cは、ユーザ情報J10および企業情報J20のうち必要な情報を決済事業者KAのサーバ110Aへ送信する。サーバ110Aは、給与管理システム1000における給与管理サーバ(メインサーバ)として機能し、給与管理サービスを利用する各企業の企業情報J20、および、各企業に所属する各従業員のユーザ情報J10に基づいて、例えば、
図4に示す形式の給与管理テーブルT10を作成する。なお、
図4は、従業員Aが所属する企業COにおける月次の給与管理テーブルT10の一例である。同図に示す給与管理テーブルT10では、各従業員または従業員IDに、給与総額および給与の振分割合Wが対応付けられており、この例では、金融機関分が金額の絶対値で指定され、決済事業者KA,KB分が金融機関分を除く金額に対する相対値(百分率)で指定されている。なお、振分割合Wは、金融機関分を含めて全て相対値(百分率など)で指定してもよい。
【0048】
決済事業者KAのサーバ110Aは、その給与管理テーブルT10に基づいて、各企業の各従業員について、その給与総額のうち、決済事業者KAにおける従業員アカウントJAに配分される金額MAと、決済事業者KBにおける従業員アカウントJBに配分される金額MBを算出する。そして、サーバ110Aは、それらの金額MA,MBと金融機関の従業員口座JDに配分される金額MDを、従業員アカウントJA,JBおよび従業員口座JDに対応付ける。ここで、サーバ110Aは、算出された金額MA,MBを
図4に示す給与管理テーブルT10に加えた形式で管理してもよいし、
図5に示すように、
図4における振分割合Wの相対値を金額MA,MBで書き換えた形式の給与管理テーブルT11として管理してもよい。
【0049】
ここで、
図4に示す従業員Bの振分割合W(給与総額:40万円、決済事業者KA分:60%、決済事業者KB分:40%、金融機関分:4万円)から、金額MA,MBを算出すると、MA=(40-4)×0.6=21.6万円、および、MB=(40-4)×0.4=14.4万円となるが、
図5では、万円単位で端数処理を行い、それぞれ、MA=22万円およびMB=14万円とした。このとおり、金額MA,MBを算出するときに端数が生じる場合には、所定の単位で適宜の端数処理を行うようにしてもよい。
【0050】
それから、所定の処理を行った後、決済事業者KAのサーバ110Aは、適宜の企業アカウントから金額MAの少なくとも一部を出金し、従業員アカウント口座JAへ入金する。また、決済事業者KBのサーバ110Bは、適宜の企業アカウントから金額MBの少なくとも一部を出金し、従業員アカウント口座JBへ入金する。さらに、金融機関のサーバ110Dは、金融機関における適宜の企業口座から金額MDの少なくとも一部を出金し、従業員口座JDへ入金する(振り込む)。なお、口座からの「出金」は、残高またはバリュー(電子バリュー、ポイント、現金など)を減算するなどと表現されてもよく、口座への「入金」および「振込」は残高またはバリューを加算するなどと表現されてもよい。
【0051】
また、限定でなく例として、本実施形態では、所定の処理として、従業員の給与のうち金額MAを含むバリューを、決済事業者KAに開設された企業アカウントKACOに関連付けられた口座(「企業アカウント口座KACO」という場合がある。)へ一時的に入金し、従業員の給与のうち金額MBを含むバリューを、決済事業者KBに開設された企業アカウントKBCOに関連付けられた口座(「企業アカウント口座KBCO」という場合がある。)へ一時的に入金にしてもよい。この場合、例えば、従業員Aからの給与支払要求があったときに、従業員Aの給与の要求額を、企業アカウント口座KACO,KBCOから従業員アカウント口座JA,JBへ移動することにより給与の支給が可能となる。
【0052】
以上のとおり、「従業員アカウントJA,JB」が、本開示における「従業員に対応付けられた従業員アカウント」の一例に相当し、「振分割合W」が、本開示における「振分割合」の一例に相当する。
【0053】
<第1実施形態の効果>
本実施形態によれば、企業の従業員の給与を、金融機関における従業員口座のみではなく、給与管理サービスを提供する決済事業者における従業員アカウント口座へも配分し、その際に、給与を所定の振分割合に基づいて算出されたバリューを、決済事業者における従業員アカウントへ対応付けて処理する。したがって、従業員による給与の決済手段を多様化させ、かつ、従業員が希望する給与の支給金額および支給方法に柔軟に対応することができ、その結果、従業員および企業の利便性を向上させることが可能となる。
【0054】
また、従業員の給与の相当額を、企業アカウント口座KACO,KBCOへ一旦入金し、従業員Aの給与支払要求に応じて、従業員アカウント口座JA,JBへ入金するように構成すれば、従業員からの給与支払要求がない場合、企業アカウントKACO,KBCOに所定のバリューを内部留保として保持することができる。よって、その内部留保分のバリューを投資、運用、および他の従業員の給与の支払いに充当することができる。さらに、企業アカウント口座KACO,KBCO、および、従業員アカウント口座JB,JBへの入金に電子バリューやポイントなどを用いることにより、金融機関の口座への現金の振込みに比して、送金コストを軽減または削減することができる。
【0055】
<第1実施形態の機能構成>
図6を用いてサーバ110および端末120の機能構成を説明する。
図6は、第1実施形態に係る給与管理システムを構成する情報処理装置の機能的な構成を示すブロック図の一例を示し、情報処理装置200(サーバ110および端末120)によって構築される給与管理システム1000の全体的な概略構成を示す図でもある。
図6に開示の機能部は、情報処理装置200が備えるプロセッサ201と、メモリ202と、ストレージ203と、入出力I/F204と、通信I/F205との協働により実現される。すなわち、
図2に示す情報処理装置200のプロセッサ201は、ストレージ203に記憶された各種プログラム(給与管理サービス、およびその他のサービスに係る制御プログラム、演算プログラムなど)をメモリ202(例えばRAM)に展開する。そして、プロセッサ201は、メモリ202に展開された各種プログラムを解釈および実行して、各ハードウェア構成要素を制御することにより、以下に説明する機能構成が実現される。
【0056】
なお、情報処理装置200で実現される各機能は、汎用のCPUなどのプロセッサ201で実現されてもよく、あるいは、機能の一部または全部が、単数または複数の専用のプロセッサ201によって実現されてもよい。さらに、情報処理装置200によって実現される機能構成は、実施形態や実施例に応じて、適宜、機能の省略、置換、および追加が行われてももちろんよい。
【0057】
(1)サーバの機能構成
図6に示すとおり、サーバ110は、入出力I/F311と、通信I/F312と、制御部313と、記憶部314とを有し、給与管理サービスの関連サーバとして機能する。入出力I/F311は、
図2の入出力I/F204に相当し、通信I/F312は、
図2の通信I/F205に相当する。また、制御部313は、情報管理部315、口座管理部316と、入出金管理部317と、表示管理部318とを有する。なお、各機能部の機能または処理は、実現可能な範囲において、機械学習またはAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。なお、
図6においては、便宜的に、サーバ110として110Aを想定しているが、他の各サーバ(サーバ110B,100C,110D)においても、基本的な機能構成は共通しており、制御部313によって各サーバに固有の機能を発現させることができる。
【0058】
サーバ110では、記憶部314に記憶された給与管理システム用プログラムがプロセッサ201で実行されることにより、上述のとおり、企業の従業員の給与を、決済事業者の従業員アカウント口座と金融機関の従業員口座へ所定の振分割合Wで配分する給与管理システム1000が構築される。また、記憶部314は、従業員に関する情報(ユーザ情報J10)と、企業に関する情報(企業情報J20)と、その他の各種情報J30を記憶している。
【0059】
ここで、ユーザ情報J10には、限定でなく例として、各企業に所属する各従業員の従業員ID、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの基本情報、および、限定でなく例として、従業員の所属、勤怠状況(労働日、労働時間など)、職種・職能、時給、日給、月給、給与総額、人事評価、金融機関の従業員口座、従業員の決済事業者における従業員アカウントなどに関する情報が含まれる。また、企業情報J20としては、限定でなく例として、本社所在地、業種、電話番号、資本金、売上高、利益、従業員数、設立年月、調査会社による評点、格付、格付の推移・分布、与信、取引関係、主要株主、業界内順位、その企業が給与管理システム1000において利用する決済事業者およびその決済事業者における企業アカウントなどが含まれる。さらに、各種情報J30には、限定でなく例として、給与管理システム1000によって実行される処理に必要な種々の設定パラメータや演算パラメータ、給与管理システム1000における操作ログなどが含まれる。
【0060】
サーバ110における制御部313の情報管理部315は、以下に示す給与管理サービスに係る適宜の処理を実行する。すなわち、情報管理部315は、従業員IDに対応付けられたユーザ情報J10および企業IDに対応付けられた企業情報J20の保持、管理、送受信など、ならびに、企業、従業員、決済事業者、および金融機関の間で必要となる各種要求(リクエスト)や通知などの送受信を行う機能を有する。また、口座管理部316は、従業員アカウント口座、企業アカウント口座、ならびに、金融機関における企業口座および従業員口座の残高や入出金情報などの口座情報の更新・管理など行う機能を有する。さらに、入出金管理部317は、企業、従業員、決済事業者、および金融機関の間で必要となる入出金の要求の受信およびそれに伴う処理ならびに管理を行う機能を有する。
【0061】
また、表示管理部318は、必要に応じて、給与管理システム1000による各種処理にかかるユーザインターフェイス(UI)を、従業員の端末120の入出力I/F321(出力装置)を介して表示するための画像データの作成に関する処理、ならびに、その管理を行う機能を有する。そのUIには、限定でなく例として、ユーザ情報J10、企業情報J20、各種情報J30、および端末120の画面上の操作状態などが含まれる。
【0062】
(2)端末の機能構成
図6に示すとおり、従業員の端末120は、入出力I/F321と、通信I/F322と、制御部323と、記憶部324とを有する。入出力I/F321は、
図2の入出力I/F204に相当し、通信I/F322は、
図2の通信I/F205に相当する。また、制御部323は、情報管理部325と、指示処理部326と、表示処理部327とを有する。なお、各機能部の機能または処理は、実現可能な範囲において、機械学習またはAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。
【0063】
従業員の端末120では、記憶部324に記憶された給与管理システムアプリケーション(プログラム)がプロセッサ201で実行されることにより、従業員が給与管理システム1000へアクセスして、ユーザ情報J10の送信、給与支払(入金)要求の送信、および各種通知の受領などを含む給与管理サービスを利用することができる。
【0064】
端末120において、制御部323の情報管理部325は、給与管理システム1000において実行される各種処理に必要な従業員による入力情報(ユーザ情報J10を含む。)および入力パラメータの管理、端末120における各種設定処理および各種演算処理の制御、給与管理サービスの関連サーバ(各サーバ110)への要求の送信および各種通知の受信などを行う機能を有する。
【0065】
また、指示処理部326は、サーバ110へのユーザ情報J10、各種要求、およびその他給与管理サービスの利用に必要な従業員による指示(例えば各種設定および変更の指示など)に関する処理を行う機能を有する。さらに、表示処理部327は、サーバ110から送信される画像データに基づいて、従業員の端末120側で実行される給与管理システム1000における各種設定や各種処理におけるUI画像を、端末120の入出力I/F321(出力装置)を介して表示する機能、加えて、必要に応じて、サーバ110の表示管理部318で行われる各種画像データの作成に関する処理、ならびに、その管理を、サーバ110に替えて行う機能を有する。
【0066】
<第1実施形態の動作処理>
図7を参照し、本実施形態に係る給与管理システム1000の処理について説明する。
図7は、第1実施形態に係る各サーバ110と端末120との処理のシーケンス図の一例を示し、また、本開示に係る情報処理方法における処理手順の一例を示す図でもある。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は、本開示の技術思想の範囲内において可能な限り変更されてよく、また、適宜、ステップの省略、置換、および追加が可能である。
【0067】
(ステップSP10)
まず、従業員Aが端末120Aを起動し、任意のタイミングにおいて、給与管理システムアプリケーション(プログラム)を実行させると、端末120Aの入出力I/F321を介して所定のログイン画面が表示される。従業員Aが入出力I/F321(入力装置)から自身のログイン情報を入力すると、指示処理部326がその情報を、給与管理システム1000の運用サーバであるサーバ110(例えばサーバ110A,110B,110Cのいずれか)へ送信してログインが許可され、表示管理部318が生成した初期画面の画像データを端末120Aへ送信する。端末120Aの表示処理部327は、その画像データに基づいて、入出力I/F321(出力装置)を介して初期画面を表示する。
【0068】
なお、給与管理システムアプリケーションは、限定でなく例として、端末120Aにインストールして実行されるアプリケーション、Webブラウザで実行されるオンラインアプリケーション、端末120Aが近距離無線通信で接続できる他の端末120やサーバ110にインストールされているアプリケーション、端末120AがVPN経由でアクセスできる仮想ネットワーク上で動作するアプリケーションなどとして提供することができる。
【0069】
初期画面としては、限定でなく例として、デフォルトとして用意されている特定の画面、各種設定画面、各種サービスやe-コマースのポータルサイト画面、それらの個々のサイト画面、メニュー選択画面、従業員Aが最終ログイン時に表示していた画面、従業員Aによるカスタム画面、および、これらを組み合わせた画面などが挙げられる。それから、ステップSP10において、従業員Aが、自分の個人情報などを入力するための画面からユーザ情報J10を入力すると、情報管理部325および指示処理部326がそのユーザ情報J10を、従業員Aが所属する企業COのサーバ110Cへ送信する。
【0070】
(ステップSP30)
ステップSP30では、端末120Aから従業員Aのユーザ情報J10を受信した企業のサーバ110Cは、そのユーザ情報と、従業員Aの企業内における内部情報とを併せて、従業員Aのユーザ情報J10として保持し、そのユーザ情報J10および企業情報J20のうち必要な情報を決済事業者KAのサーバ110Aへ送信する。このとおり、ステップSP30が、本開示における「企業の端末から、従業員の前記給与の総額を受信するステップ」の一例に相当する。
【0071】
(ステップSP50)
ステップSP50では、決済事業者KAのサーバ110Aは、決済事業者KAが提供する給与管理サービスにおける企業COの企業アカウントKACO、および、従業員Aの従業員アカウントJAの登録の有無を確認(認証)する。それらのアカウントが登録されていない場合、サーバ110Aは、それらの企業アカウントKACOおよび従業員アカウントJAを新たに生成する。また、決済事業者KAのサーバ110Aは、企業COが利用する決済事業者KBのサーバ110Bへ、決済事業者KBが提供する給与管理サービスにおける企業COの企業アカウントKBCO、および、従業員Aの従業員アカウントJBの登録の有無を確認(認証)するための要求を送信する。さらに、サーバ110Bは、それらのアカウントが登録されていない場合には、それらの企業アカウントKBCOおよび従業員アカウントJBを新たに生成する要求を、サーバ110Bへ送信する。
【0072】
なお、決済事業者KA,KBは、企業COによって予め認定された事業者であり、それらの間では、従業員の給与管理サービスの利用に関する契約がなされており、また、従業員Aは、企業COとの間で、給与管理システム1000による給与の支払いに予め同意している。これにより、企業COによる従業員Aの給与管理を効率よく確実に実施することができる。
【0073】
(ステップSP51)
次に、ステップSP51では、決済事業者KAのサーバ110Aは、企業COのサーバ110Cから送信されたユーザ情報J10および企業情報J20に基づいて、決済事業者KA,KBの給与管理サービスを利用する企業COの各従業員について、
図4に例示する給与管理テーブルT10を作成する。
【0074】
(ステップSP52,SP11,SP53)
なお、この時点で、従業員Aなどのユーザ情報J10に給与の振分割合Wが含まれていない場合には、ステップSP52において、サーバ110Aは、企業COのサーバ110Aまたは従業員Aの端末120Aへ、振分割合Wの設定要求を送信する。ここでは、例えば、
図7に示すように、ステップSP11において、従業員Aが振分割合Wを適宜設定し、端末120Aからサーバ110Aへその振分割合Wを送信する。サーバ110Aは、ステップSP53において、給与管理テーブルT10を例えば
図4に示すように作成または更新する。なお、従業員Aなどのユーザ情報J10に給与の振分割合Wが含まれている場合であっても、ステップSP52,SP11,SP53の一連の処理を実行し、従業員Aに対して振分割合Wの見直しを促すようにしてもよい。このとおり、ステップSP11が、本開示における「従業員の端末から、給与の振分割合を受信するステップ」の一例に相当する。また、振分割合Wを従業員Aが設定する場合、従業員Aの要望を反映し易くなる一方、振分割合Wを企業COが設定する場合、企業COによる給与管理が行い易くなる利点がある。
【0075】
さらに、決済事業者KAのサーバ110Aは、ステップSP53において、
図4に例示する給与管理テーブルT10に基づいて、企業COの従業員Aの給与総額のうち、決済事業者KAの従業員アカウントJAに配分される金額MAと、決済事業者KBの従業員アカウントJBに配分される金額MBを算出する(他の従業員についても同様である。)。そして、サーバ110Aは、それらの金額MA,MBを、従業員アカウントJA,JBに対応付け、例えば
図5に示すように、金額MA,MBを含む給与管理テーブルT11を作成する。ここで、前述したように、
図4に示す振分割合Wの相対値(百分率)から金額MA,MBを算出したときに端数が生じる場合には、所定の単位で適宜の端数処理を行うようにしてもよい(
図5では万円単位で端数処理を行っている。)。このとおり、ステップSP53が、本開示における「給与の少なくとも一部に対して振分割合に基づいて算出された金額と、従業員に対応付けられた従業員アカウントとを対応付けるステップ」の一例に相当する。
【0076】
(ステップSP31,SP54,SP55,SP70)
次に、ステップSP31において、企業COのサーバ110Cから決済事業者KAのサーバ110Aへ従業員Aの給与の入金要求が送信されると、ステップSP54では、サーバ110Aは、例えば
図5に示す給与管理テーブルT11にリストされている従業員Aの決済事業者KA分の金額MA(24万円)を、一旦、企業COの企業アカウントKA
COへ全額入金する。また、ステップSP55では、サーバ110Aは、例えば
図5に示す給与管理テーブルT11にリストされている従業員Aの決済事業者KB分の金額MB(6万円)の入金要求を、決済事業者KBのサーバ110Bへ送信する。ステップSP70では、その入金要求を受信したサーバ110Bは、従業員Aの決済事業者KB分の金額MB(6万円)を、一旦、企業COの企業アカウントKB
COへ全額入金する。
【0077】
(ステップSP56,SP32)
企業アカウントKACO,KBCOへの入金が完了すると、ステップSP56において、決済事業者KA,KBのサーバ110A,110Bから企業COのサーバ110Cへ入金完了通知を送信する。このとき、決済事業者KBからの入金完了通知の送信は、サーバ110Cへ直接的に行ってもよいし、決済事業者KAのサーバ110Aを経由して行ってもよい。それから、ステップSP32では、企業COのサーバ110Cから従業員Aの端末120Aへ給与通知を送信する。なお、ステップSP56では、決済事業者KA,KBのサーバ110A,110Bからの入金完了通知を、従業員Aの端末120Aへ直接送信してもよく、この場合、入金完了通知が従業員Aへの給与通知を兼ねるので、ステップSP32は不要となる。
【0078】
(ステップSP12,SP13)
ステップSP12では、従業員Aが所望のタイミングで、例えばその時点で必要になった金額を給与総額として決定し、ステップSP13で、その給与総額における振分割合Wsを設定する。ここでの振分割合Wsは、前出の振分割合Wと同一でも異なっていてもよい。このとおり、「振分割合Ws」も本開示における「振分割合」の一例に相当する。
【0079】
(ステップSP13)
次に、スッテプSP13で、従業員Aの端末120Aから決済事業者KAのサーバ110Aへ、給与総額の情報を含む給与支払の要求を送信する。ここで、従業員が支払いを要求できる給与総額は、例えば
図4および
図5における月次の給与総額と同じでもよいし、その時点までに企業アカウントKA
CO,KB
COにおいて従業員アカウントJA,JB分として留保されている金額(これまでに支給された給与のうち未だ支払いを受けておらず貯留されている金額)の範囲内の額とすることもできる。また、ここでの給与支払の要求時に、
図4および
図5に示す振分割合Wと異なる振分割合Wsを指定することができるようにしてもよいし、企業COが振分割合Wを決定する場合には、従業員による振分割合Wsの指定はしなくてもよい。さらに、支払を要求する給与総額および振分割合Wが、例えば
図4および
図5で既に設定されている条件と同じであれば、給与支払の要求指示のみを送信するように構成してもよい。
【0080】
(ステップSP57)
支払要求における給与総額および振分割合Wが、例えば
図4および
図5で既に設定されている条件と異なる場合、ステップSP57では、サーバ110Aは、従業員Aの他の従業員についての情報を含め、例えば
図8および
図9に示す形式の給与支払テーブルT20,T21を作成または更新する。支払要求における給与総額および振分割合Wが、
図4および
図5に示す値と同じ場合には、ステップSP57の処理は不要である。このとおり、ステップSP57も、本開示における「給与の少なくとも一部に対して振分割合に基づいて算出された金額と、従業員に対応付けられた従業員アカウントとを対応付けるステップ」の一例に相当する。なお、これらの給与支払テーブルT20,T21は従業員ごとに作成してもよい。ここで、
図8および
図9に示す給与支払テーブルT20,T21は、前出の
図4および
図5に示す給与管理テーブルT10,T11の形式に対応する。それから、サーバ110Aは、給与支払の承認要求を企業COのサーバ110Cへ送信する。
【0081】
(ステップSP33)
ステップSP33では、サーバ110Cは、支払いを要求された給与総額および振分割合Wsが所定の条件(例えば、給与総額ならびに決済事業者KA,KBおよび金融機関分の振込額がそれぞれの上限値を超過していないかなど。)を満たす場合、従業員Aからの給与支払要求を承認する旨をサーバ110Aへ送信する。ただし、振込額が上限値を超過している場合であっても、従業員Aへの貸付けとして払い出すように構成してもよい。この場合、従業員Aの次月の給与から引き去ったり、他の従業員アカウントから補填したりといった適宜の処理が可能である。
【0082】
(ステップSP58,SP59,SP71,SP90)
次に、ステップSP58では、サーバ110Aは、例えば
図9に示す給与支払テーブルT21にリストされている従業員Aの決済事業者KA分の金額MA’(9万円)を、企業COの企業アカウントKA
COから従業員Aの従業員アカウント口座JAへ入金する。また、ステップSP59では、サーバ110Aは、例えば
図9に示す給与支払テーブルT21にリストされている従業員Aの決済事業者KB分の金額MB’(1万円)の入金要求、および、従業員Aの金融機関の金額MD’(10万円)の入金要求を、決済事業者KBのサーバ110Bへ送信する。ステップSP71では、その入金要求を受信したサーバ110Bは、従業員Aの決済事業者KB分の金額MB’(6万円)を、企業COの企業アカウントKB
COから従業員Aの従業員アカウント口座JBへ入金する。また、ステップSP90では、その入金要求を受信した金融機関のサーバ110Dは、従業員Aの金融機関分の金額MD’(10万円)を、金融機関における企業COの適宜の企業口座から従業員Aの従業員口座へ入金(振込)する。
【0083】
(ステップSP60,SP34)
従業員アカウント口座JA,JBおよび金融機関の従業員口座JDへの入金が完了すると、ステップSP60において、決済事業者KA,KBのサーバ110A,110Bおよび金融機関のサーバ110Dから企業COのサーバ110Cへ支払完了通知を送信する。このとき、決済事業者KBおよび金融機関からの支払完了通知の送信は、サーバ110Cへ直接的に行ってもよいし、決済事業者KAのサーバ110Aを経由して行ってもよい。それから、ステップSP34では、企業COのサーバ110Cから従業員Aの端末120Aへ支払通知を送信する。なお、ステップSP60では、決済事業者KA,KBのサーバ110A,110Bおよび金融機関のサーバ110Dからの支払完了通知を、従業員Aの端末120Aへ直接送信してもよく、この場合、支払完了通知が従業員Aへの支払通知を兼ねるので、ステップSP34は不要となる。
【0084】
<<第1実施例>>
第1実施形態の第1実施例は、従業員Aなどのユーザ情報を、企業COのサーバ110Cではなく、決済事業者KAのサーバ110Aで管理する実施例である。本実施例では、従業員Aが、従業員アカウントJAの生成を、端末120Aから決済事業者KAのサーバ110Aへ直接要求することができる。また、決済事業者KAのサーバ110Aは、生成した従業員アカウントJAを、予め用意されている企業COの企業アカウントKACOに関連付けて管理する。これにより、本実施例の構成では、従業員Aの端末120A、決済事業者KAのサーバ110A、決済事業者KBのサーバ110B、および、金融機関のサーバ110Dによって、給与管理システム1000が構築され、従業員Aの従業員アカウントJAを、端末120Aから、決済事業者KAが運用する給与管理サービスに直接的に作成して管理することができる。
【0085】
<<第1実施例の効果>>
本実施例によれば、企業COのサーバ110Cを従業員Aなどの給与管理サーバとして設ける必要がなく、それに伴って、給与管理に関してサーバ110Cを介した通信が不要となり、また、給与管理に関してサーバ110Cからの通信を省略してもよい。その結果、従業員の手間をさらに軽減して利便性をさらに向上させるとともに、情報処理装置のリソースの使用量やデータ通信量を一層節減することができる。
【0086】
<<第1実施例の動作処理>>
本実施例では、例えば、
図7に示すステップSP30における従業員情報J10の送信、ステップSP52の振分割合Wの設定要求のサーバ110Cによる受信、ステップSP31の給与入金要求、ステップSP32の給与通知、ステップSP57における承認依頼のサーバ110Cによる受信、ステップSP33の承認、ステップSP60の支払完了通知のサーバ110Cによる受信、および、ステップSP34の支払通知といったサーバ110Cによる給与管理に関する処理が不要となること以外は、
図7に示す台1実施形態における処理と同等の処理を行う。なお、ステップSP32の給与通知、ステップSP57における承認依頼のサーバ110Cによる受信、およびステップSP33の承認などの一部の処理を、台1実施形態と同様にサーバ110Cで実施してもよい。
【0087】
<<第2実施例>>
第1実施形態の第2実施例は、
図7に示すシーケンスにおけるステップSP11やステップSP12において、従業員Aが給与の振分割合W,Ws、および給与総額の設定処理を、端末120Aに表示されるユーザインターフェイスを用いて行う実施例である。
【0088】
<<第2実施例の効果>>
本実施例によれば、従業員Aが振分割合W,Ws、および給与総額を設定するときに、例えば数値入力を用いる場合に比して、操作を簡易にかつ直感的に行うことができ、かつ、従業員Aによる視認性を高め得るので、給与管理システム1000を利用する従業員Aの利便性を一層向上させることができる。また、従業員Aによる操作が煩雑となることを防止することができ、これにより、給与管理システム1000におけるなめらかな処理を実現することができる。さらに、例えば、振分割合W,Ws、および給与総額のそれぞれの入力欄や数値テーブル形式の入力フォーマットなどを表示する場合に比して、簡潔な画面表示を実現することができ、その結果、情報処理装置のリソースの使用量やデータ通信量を節減することができる。
【0089】
<<第2実施例の動作処理>>
図10(A)および(B)は、本実施例に係る端末120に表示される画面の一例を示し、また、本開示に係る情報処理方法における一部の処理の一例を示す図でもある。
図10(A)に示すように、本実施例では、ステップSP11やステップSP12において、従業員Aの端末120Aに、給与総額を示すテキストTX1、および、円グラフオブジェクトOB1が表示される。
図10(A)におけるテキストTX1および円グラフオブジェクトOB1は、例えば、
図8に示す形式の給与支払テーブルT20における従業員Aについての給与総額および振分割合Wsに対応する。すなわち、従業員Aが振込みを希望する給与総額が100万円であり、振分割合Wsは、決済事業者KA,KB分がそれぞれ50%ずつであり、かつ、金融機関分が30万円であることが、ケース(1)として
図10(A)に表示されている。
【0090】
従業員Aは、このケース(1)の状態から、例えば以下の操作によって、振分割合Wsを変更することができる。すなわち、金融機関分と決済事業者KA分とを仕切る線分R10をロングタップした状態で図示下方にスワイプ(操作OP1)して線分R11(破線)位置でタップを解除すると、金融機関分の振込額を(1)30万円から(2)40万円へ変更することができる。同様に、決済事業者KA,KB分を仕切る線分R20をロングタップした状態で図示左上にスワイプ(操作OP2)して線分R21(破線)の位置でタップを解除すると、決済事業者KA,KBの振分割合を(1)50%,50%から(2)60%,40%へ変更することができる。それぞれに対応する金額MA,MBは、ケース(2)として
図10(A)に表示されている。なお、線分R11,R21の厳密な位置によって金額に端数が生じる場合には、適宜の単位で端数処理を行うことができる。
【0091】
一方、
図10(A)に示すケース(1)の円グラフオブジェクトOB1を全体的にピンチイン(操作OP3)することにより、円グラフオブジェクトOB1の全体を、例えば
図10(B)に示す円グラフオブジェクトOB2の大きさに縮小することができる。このとき、円グラフオブジェクトOB2の全体面積に応じて、給与総額を減少させることができ、
図10(B)には、変更された給与総額を示すテキストTX2が表示される。すなわち、従業員Aが振込みを希望する給与総額を60万円へ変更し、振分割合Wsは、決済事業者KA,KB分がそれぞれ50%ずつであり、かつ、金融機関分が18万円であることが表示されている。この
図10(B)に示す状態においても、
図10(A)の説明と同様に、振分割合Wsをさらに変更することもできる。逆に、
図10(B)に示す円グラフオブジェクトOB2を全体的にピンチアウト(操作OP4)することにより、円グラフオブジェクトOB2の全体を、例えば
図10(A)に示す円グラフオブジェクトOB1の大きさへ拡大することができる。
【0092】
以上のとおり、「円グラフオブジェクトOB1,OB2」が、本開示における「振分割合指定オブジェクト」の一例に相当する。また、
図10(A)および(B)の状態を表示することが、本開示における「振分割合を指定するための振分割合指定オブジェクトを表示する指示を送信するステップ」の一例、「前記振分割合指定オブジェクト内に、第1決済事業者に対応付けられた第1表示領域を表示するステップ」、および、「前記振分割合指定オブジェクト内に、第2決済事業者に対応付けられた第2表示領域を前記第1表示領域とともに表示するステップ」の一例に相当する。さらに、
図10(A)に示す操作OP1,OP2が、本開示における「振分割合に応じた領域の少なくとも一部の面積を増減させる操作」の一例に相当し、その結果としてケース(2)の状態を表示することが、本開示における「従業員からの振分割合指定オブジェクトへの操作に応答した振分割合を受信するステップ」の一例に含まれる処理に相当する。
【0093】
また、
図10(A)に示す操作OP2およびその結果が、「前記従業員の前記第1表示領域を大きくする操作に応答して、前記給与の振分割合における前記第1決済事業者の割合を大きくするステップ」の一例、および、「前記従業員の前記第1表示領域を大きくする操作に応答して、前記給与の振分割合における前記第2決済事業者の割合を小さくするステップ」の一例に相当する。またさらに、操作OP3,OP4による円グラフオブジェクトの拡大・縮小が、本開示における「振分割合指定オブジェクトの全体面積を変更させること」の一例に相当する。
【0094】
<<第3実施例>>
第1実施形態の第3実施例は、給与管理システム1000における給与管理サーバ(メインサーバ)を運用する決済事業者KAが、従業員Aが設定する振分割合Wに基づいて、従業員Aに対してその振分割合Wの見直しを提案または推奨する実施例である。本実施例では、決済事業者KAのサーバ110Aが、振分割合Wにおける決済事業者KA,KB間の配分を確認し、自社(決済事業者KA)以外の決済事業者KBへの配分が自社の配分よりも多い場合、従業員Aの端末120Aに対して、自社(決済事業者KA)への振分金額を増分する旨の提案または推奨を送信する。
【0095】
<<第3実施例の効果>>
本実施例によれば、給与管理サーバとしてのサーバ110Aを運用する決済事業者KAは、従業員Aなどの給与の振分割合Wを給与管理テーブルとして保持しているので、その確認が平易であり、自社(決済事業者KA)への配分が少ない場合には、従業員Aにその割合の見直しを提案し易い環境にある。また、そのようにして振分割合Wの見直しを提案した結果、自社(決済事業者KA)の従業員アカウントJAへの配分が増大することにより、その預り金を資金として自社の事業に活用することができる利点がある。
【0096】
<<第3実施例の動作処理>>
本実施例では、例えば、決済事業者KAのサーバ110Aは、
図7に示すステップSP51において作成した給与管理テーブルT10,T11に基づいて、振分割合Wにおける自社(決済事業者KA)分の相対値と決済事業者KB分の相対値とを対比する。その結果、自社(決済事業者KA)分の相対値が決済事業者KB分の相対値よりも小さい場合、ステップSP52において、企業COのサーバ110Aまたは従業員Aの端末120Aへ、振分割合Wの設定要求とともに、決済事業者KAへの配分を増大することを推奨する旨を同時に送信する。
【0097】
<<第4実施例>>
第1実施形態の第4実施例は、従業員Aからの給与支払要求の頻度または間隔に応じて、その要求の処理に伴って発生する手数料を課金する実施例である。
【0098】
<<第4実施例の効果>>
本実施例によれば、給与支払要求の頻度が高かったり間隔が短かったりすること(例えば月払いではなく日払いの場合など)に起因して不可避的に生じてしまうトランザクション(取引の処理回数)の増加に見合った手数料を回収することができる。また、課金により、そのようなトランザクションの増加を抑制し得る効果も期待できるので、情報処理装置のリソースの使用量やデータ通信量をさらに軽減することができる。
【0099】
<<第4実施例の動作処理>>
本実施例では、例えば、
図7に示すステップSP13において、従業員Aから給与支払要求が決済事業者KAのサーバ110Aへ送信されたときに、ステップSP57で、サーバ110Aが、給与支払テーブルT20などの作成とともに、前回の給与支払からの経過期間を計測する。そして、その経過期間が所定値よりも短い場合に、企業COのサーバ110Cまたは従業員Aの端末120Aに、課金(手数料)が発生する旨とその承認依頼を送信する。決済事業者KAのサーバ110Aは、サーバ110Cまたは端末120Aから課金を承認する旨が送信されてきた場合にのみ、その後の給与の入金処理を続行する。なお、課金は、事前の取極めや契約に基づいて、従業員Aに対して行ってもよいし、企業COに対して行ってもよい。
【0100】
以上、本開示の一例としての上記実施形態および各実施例について詳細に説明してきたが、前述した説明はあらゆる点において本開示の一例を示すに過ぎず、本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもなく、また、上記実施形態および上記各実施例は、部分的に置換してもよく、適宜組み合わせて構成することも可能であり、さらに、例えば、各実施形態および各実施例において適宜言及したような変更が可能である。
【0101】
例えば、給与管理システム1000は、金融機関のサーバ110Dを含まなくてもよく、つまり、給与管理システム1000において、金融機関への給与の振込みを行わなくてもよい。また、振分割合W,Wsにおける金融機関分も金額絶対値ではなく、相対値であってもよい。さらに、給与管理サーバである110Aを運用する決済事業者KAは、他の決済事業者(例えば決済事業者KB)への入金処理に対して、課金をするように構成してもよい。この場合、限定でなく例として、決済事業者KBを利用する従業員(ユーザ)の人数、決済事業者KBにおける従業員アカウント数、または流通金額に応じて、課金額を決定することができる。また、決済事業者KAは、企業COに課金をするように構成してもよい。この場合も同様に、限定でなく例として、給与管理サービスを利用する従業員(ユーザ)の人数、決済事業者KAにおける従業員アカウント数、または流通金額に応じて、課金額を決定することができる。さらに、個々の決済事業者KA,KBにおいて、各従業員について複数の従業員アカウントを登録できるように構成してもよい。またさらに、課金が生じない従業員に対して、適宜の手数料相当分のバリューを支給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…通信システム、110,110A,110B,110C,110D…サーバ、120,120A,120B,120C…端末、130…ネットワーク、200…情報処理装置、201…プロセッサ、202…メモリ、203…ストレージ、204…入出力インタフェース(入出力I/F)、205…通信インタフェース(通信I/F)、313…制御部、314…記憶部、315…情報管理部、316…口座管理部、317…入出金管理部、318…表示管理部、323…制御部、324…記憶部、325…情報管理部、326…指示処理部、327…表示処理部、1000…給与管理システム、A…従業員、B…バス、CO…企業、J10…ユーザ情報、J20…企業情報、J30…各種情報、JA…従業員アカウント,従業員アカウント口座、B…従業員アカウント,従業員アカウント口座、JD…金融機関の従業員口座、KA…決済事業者、KACO…企業アカウント,企業アカウント口座、KB…決済事業者、KBCO…企業アカウント,企業アカウント口座、OB1,OB2…円グラフオブジェクト、OP1~OP4…操作、R10,R11,R20,R21…線分、T10,T11…給与管理テーブル、T20,T21…給与支払テーブル、TX1,TX2…テキスト、W,Ws…振分割合。