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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】寸法表示システムおよび寸法表示方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20231020BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20231020BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20231020BHJP
   G05D 1/10 20060101ALN20231020BHJP
【FI】
H04N7/18 U
H04N7/18 E
B64C39/02
B64D47/08
G05D1/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019187029
(22)【出願日】2019-10-10
(62)【分割の表示】P 2019165084の分割
【原出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2021044793
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】717007295
【氏名又は名称】株式会社Liberaware
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野平 幸佑
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/150872(WO,A1)
【文献】特開2018-155726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0268225(US,A1)
【文献】特開平11-088867(JP,A)
【文献】特開2005-142938(JP,A)
【文献】特開2009-015730(JP,A)
【文献】特開2018-189536(JP,A)
【文献】特開2003-244501(JP,A)
【文献】特開2019-142714(JP,A)
【文献】特開2017-175517(JP,A)
【文献】特開2018-007051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B64C 39/02
B64D 47/08
G05D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法表示システムであって、
前記寸法表示システムは、
飛行体の撮像装置から取得した映像を演算処理する演算処理部と、
前記映像に重畳して表示される寸法表示が示す、少なくとも物体の位置における幅方向または高さ方向のいずれかの寸法値を予め記憶する寸法記憶部と、を備え、
前記演算処理部は、少なくとも前記飛行体のセンサにより取得した、前記飛行体から前記物体までの距離及び前記撮像装置の画角、前記寸法値に基づき、前記寸法表示を表示する位置を算出する寸法表示位置算出部を含み、
前記演算処理部は、前記算出された位置を基に、前記撮像装置から取得した映像上に前記寸法表示を重畳させて、前記演算処理された映像を生成する、
ことを特徴とする寸法表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の寸法表示システムであって、
前記寸法表示は、複数本の線を含み、
前記複数本の線の間隔が幅方向または高さ方向の特定の寸法を示す、
ことを特徴とする寸法表示システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の寸法表示システムであって、
前記演算処理部は、前記飛行体から前記物体までの距離を前記撮像装置から取得した映像に重畳して表示する、
ことを特徴とする寸法表示システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の寸法表示システムであって、
前記演算処理部は、少なくとも前記飛行体に関する情報または環境情報のいずれか1つを前記撮像装置から取得した映像に重畳して表示する、
ことを特徴とする寸法表示システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の寸法表示システムを備える、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れかに記載の寸法表示システムを備える、
ことを特徴とするユーザ端末。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れかに記載の寸法表示システムを備える、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項8】
飛行体の撮像装置から取得した映像を演算処理するステップと、
前記演算処理された映像を表示するステップと、
前記映像に重畳して表示される寸法表示が示す、少なくとも物体の位置における幅方向または高さ方向のいずれかの寸法値を予め記憶するステップと、
少なくとも前記飛行体のセンサにより取得した、前記飛行体から前記物体までの距離及び前記撮像装置の画角、前記寸法値に基づき、前記寸法表示を表示する位置を算出するステップと、
前記算出された位置を基に、前記撮像装置から取得した映像上に前記寸法表示を重畳させて、前記演算処理された映像を生成するステップと、
を備えることを特徴とする寸法表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法表示システムおよび寸法表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1に開示されるように、作業員等により点検が困難な場所において、飛行体により構造物の内部を飛行及び撮影することで、作業員等の代わりに点検することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-15628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、構造体によっては内部構造が複雑化しており、飛行体が通過可能な個所を確認しながら飛行する必要があるが、操縦者は現場で撮像装置から得られた映像のみを確認しながら飛行体が通過可能かどうかを判断しなければならず、十分な対応が難しい状況があった。そこで、事前に建物図面等により狭所や障害物を確認する対策があり得るが、飛行前の事前確認の負担が大きく、内部構造が建物図面等の状況と変化していることもあり得るため、この対策は十分とはいえなかった。また、構造体内部に限らず、屋外であっても、操縦者が現場で撮像装置から得られた映像のみを確認しながら飛行体が通過可能かどうかを判断しなければならない状況では、同様の課題が生じ得る。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、飛行体が通過可能な個所を現場で特定可能な撮影画像の寸法表示システムおよび寸法表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、寸法表示システムであって、前記寸法表示システムは、飛行体の撮像装置から取得した映像を演算処理する演算処理部と、前記映像に重畳して表示される寸法表示が示す、少なくとも前記飛行体の機体正面に位置する物体の位置における幅方向または高さ方向のいずれかの寸法値を記憶する寸法記憶部と、を備え、前記演算処理部は、少なくとも前記飛行体のセンサにより取得した、前記機体から前記物体までの正面距離及び前記撮像装置の画角、前記寸法値に基づき、前記寸法表示を表示する位置を算出する寸法表示位置算出部をさらに備え、前記演算処理部は、前記算出された位置を基に、前記撮像装置から取得した映像上に前記寸法表示を重畳させて、前記演算処理された映像を生成する、こととする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、飛行体が通過可能な個所を現場で特定可能な撮影画像の寸法表示システムおよび寸法表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
図2図1のユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図1の飛行体のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図1の飛行体の寸法表示にかかるハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】本実施形態にかかる飛行体3周辺の俯瞰図の例である。
図6図5の状況における本実施形態に係るシステムの表示例を示す図である。
図7図5の状況における本実施形態に係るシステムの表示例を示す図である。
図8図5の状況における本実施形態に係るシステムの表示例を示す図である。
図9】本実施形態にかかる飛行体3周辺の側面図の例である。
図10図9の状況における本実施形態に係るシステムの表示例を示す図である。
図11図9の状況における本実施形態に係るシステムの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以下のような構成を備える。
【0010】
[項目1]
寸法表示システムであって、
前記寸法表示システムは、
飛行体の撮像装置から取得した映像を演算処理する演算処理部と、
前記映像に重畳して前記ユーザ端末に表示される寸法表示が示す、少なくとも前記飛行体の機体正面に位置する物体の位置における幅方向または高さ方向のいずれかの寸法値を予め記憶する寸法記憶部と、を備え、
前記演算処理部は、少なくとも前記飛行体のセンサにより取得した、前記機体から前記物体までの正面距離及び前記撮像装置の画角、前記寸法値に基づき、前記寸法表示を表示する位置を算出する寸法表示位置算出部をさらに備え、
前記演算処理部は、前記算出された位置を基に、前記撮像装置から取得した映像上に前記寸法表示を重畳させて、前記演算処理された映像を生成する、
ことを特徴とする寸法表示システム。
[項目2]
項目1に記載の寸法表示システムであって、
前記演算処理部は、前記正面距離を前記撮像装置から取得した映像に重畳して表示する、
ことを特徴とする寸法表示システム。
[項目3]
項目1または2に記載の寸法表示システムであって、
前記演算処理部は、少なくとも前記飛行体の飛行体に関する情報またはまたは環境情報のいずれか1つを前記撮像装置から取得した映像に重畳して表示する、
ことを特徴とする寸法表示システム。
[項目4]
請求項1乃至3に記載の寸法表示システムを備える、
ことを特徴とする飛行体。
[項目5]
請求項1乃至3に記載の寸法表示システムを備える、
ことを特徴とするユーザ端末。
[項目6]
請求項1乃至3に記載の寸法表示システムを備える、
ことを特徴とするサーバ。
[項目7]
飛行体の撮像装置から取得した映像を演算処理するステップと、
前記演算処理された映像を表示するステップと、
前記映像に重畳して表示される寸法表示が示す、少なくとも前記飛行体の機体正面に位置する物体の位置における幅方向または高さ方向のいずれかの寸法値を予め記憶するステップと、
少なくとも前記飛行体のセンサにより取得した、前記機体から前記物体までの正面距離及び前記撮像装置の画角、前記寸法値に基づき、前記寸法表示を表示する位置を算出するステップと、
前記算出された位置を基に、前記撮像装置から取得した映像上に前記寸法表示を重畳させて、前記演算処理された映像を生成するステップと、
を備えることを特徴とする寸法表示方法。
【0011】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による飛行体の撮影画像を表示する表示システム(以下「本システム」という)について説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0012】
<構成>
図1に示されるように、本システムは、ユーザ端末1、2と、飛行体3とを有している。ユーザ端末1、2と、飛行体3とは、ネットワークNWを介して互いに通信可能に接続されている。なお、図示された構成は一例であり、ユーザ端末や飛行体の数や種類は任意である。
【0013】
<ユーザ端末1、2>
図2は、図1のユーザ端末1、2のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示されるユーザ端末1、2は、演算処理部10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0014】
演算処理部10は、ユーザ端末1、2全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えば演算処理部10はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開された本システムのためのプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0015】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、演算処理部10のワークエリア等として使用され、また、ユーザ端末1、2の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0016】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ12に構築されていてもよい。
【0017】
送受信部13は、ユーザ端末1、2をネットワークNWに接続する。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インターフェースを備えていてもよい。
【0018】
入出力部14は、キーボード・マウス類等の入力機器、及び表示部141(例えば、ディスプレイ)等の出力機器である。なお、本実施形態における表示部は、ユーザ端末1、2が備えている表示部141に限らず、ユーザ端末1、2に直接または間接的に接続される外部の表示装置の表示部であってもよい。
【0019】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0020】
なお、図1では、ユーザ端末1、2として、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータや、スマートフォンやタブレットPC等の携帯端末を図示しているが、これに限らず、例えばヘッドマウントディスプレイ(HMD)のような、一人称視点で操作可能な装置であってもよく、この場合、本実施形態の表示システムの効果を一層奏する。
【0021】
<飛行体3>
図3は、飛行体3のハードウェア構成を示すブロック図である。フライトコントローラ31は、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))などの1つ以上の演算処理部を有することができる。
【0022】
フライトコントローラ31は、メモリ311を有しており、当該メモリにアクセス可能である。メモリ311は、1つ以上のステップを行うためにフライトコントローラが実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。また、フライトコントローラ31は、慣性センサ(例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging))等のセンサ類312を含みうる。
【0023】
メモリ311は、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。撮像装置32/センサ類33から取得したデータは、メモリ311に直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、撮像装置等で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。
【0024】
フライトコントローラ31は、飛行体の状態を制御するように構成された図示しない制御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θ、θ及びθ)を有する飛行体の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために、ESC34(Electric Speed Controller)を経由して飛行体の推進機構(モータ35等)を制御する。バッテリー38から給電されるモータ35によりプロペラ36が回転することで飛行体の揚力を生じさせる。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。
【0025】
フライトコントローラ31は、1つ以上の外部のデバイス(例えば、送信機(プロポ)39、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを受け取るように構成された受信部37と通信可能である。送信機39は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。
【0026】
受信部37は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。
【0027】
受信部37は、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を受け取ることができる。
【0028】
本実施の形態によるセンサ類33は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging))、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、撮像装置32)を含み得るが、本実施形態では、特に飛行体3の機体から飛行体3の正面の物体までの正面距離を測定するセンサ(例えば、レーザセンサなど)を含んでいる。
【0029】
図4は、本実施の形態の寸法表示にかかるハードウェア構成を示すブロック図である。寸法表示システム4は、例えば飛行体3において図3に示した構成とは別に備えられており、記憶部40、演算処理部42、送信部44、バス46を有しており、バス46を介して撮像装置32/センサ類33と相互に電気的に接続されている。なお、寸法表示システム4は、飛行体3に備えられる形態に限らず、例えば、ユーザ端末1、2に別途設けられる、または、ユーザ端末1、2の演算処理部及び記憶部に相当する構成の一部または全部を利用して構成される形態や、ネットワークNWを介して接続されるサーバ(不図示)に備える形態であってもよく、その場合、飛行体3の撮像装置32/センサ類33からのデータを受信することで寸法表示のための処理を行う。また、記憶部40と演算処理部42がそれぞれ別の装置(例えば、飛行体3やユーザ端末1、2、サーバ)に備えられていてもよい。
【0030】
記憶部40は、正面距離記憶部401と、寸法記憶部402を備えている。正面距離記憶部401は、センサ類33から取得した、飛行体の機体から飛行体の正面の物体までの正面距離を記憶する。寸法記憶部402は、撮像装置32から取得した映像に重畳して表示される寸法表示が示す、少なくとも物体の位置における幅方向または高さ方向の寸法値を記憶する。なお、本実施の形態の具体例では、正面距離記憶部401に正面距離を記憶しているが、これに限らず、センサ類33から演算処理部42に正面距離を送信するように構成してもよい。
【0031】
演算処理部42は、寸法表示位置算出部421を備えている。寸法表示位置算出部421は、少なくとも正面距離及び撮像装置の画角、寸法値(いずれも後述する)に基づき、上述の正面の物体位置における幅方向または高さ方向の寸法値を示す寸法表示を表示する位置を算出する。この寸法表示位置算出部421による算出方法については、後述する。そして、演算処理部42は、寸法表示位置算出部421により算出された位置を基に、撮像装置32からの取得した映像上に寸法表示を重畳する。
【0032】
送信部44は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができ、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。上述の寸法表示が重畳された映像は、送信部44を介してユーザ端末1、2に送信される。
【0033】
図5は、本実施形態にかかる飛行体3周辺の俯瞰図を例示する。なお、この俯瞰図は、本実施形態を説明するために本明細書において用いられるものであり、本実施形態にかかるシステム上で表示されなくてもよい。
【0034】
図5では、例示的な実施形態として非GPS下での屋内点検について説明するが、実施形態はこれに限らず、飛行状況は、例えばGPS下や屋外等であってもよく、飛行目的は、例えば測量や空撮等であってもよく、飛行体が一般的に用いられる如何なる状況や目的であっても適用され得る。この例では、通路に円柱状の障害物(例えば、配管等)が存在し、それらにより狭所が形成されている。より具体的な例として、点線矢印で示されるように、飛行体3が通路を飛行している際に障害物を発見し、一旦左側に水平飛行した後、前進飛行して狭所を通過することを想定している。
【0035】
図6から図8は、本実施形態にかかる表示システムの入出力部14の表示部141(例えば、ディスプレイ等)による表示例である。
【0036】
図6では、通路上に円柱状の障害物が存在することが確認できる。ディスプレイ上には、正面の障害物の位置における幅方向の寸法(例えば、1.0m)を示す、2本の縦の点線が表示されている。この2つの縦の点線間の幅が、正面の障害物の位置における幅方向の寸法を示している。
【0037】
また、図6には、表示の一例として、画面中心の正面距離(例えば、2.8m)を表示したり、バッテリー残量(例えば、7.0V)を表示したりしているが、この限りではなく、どちらかの表示または両方の表示が示されていなくてもよく、反対に、その他の飛行体3に関する情報(例えば、バッテリー消費量、飛行高度、飛行可能時間など)、環境情報(例えば、一酸化炭素濃度や酸素濃度など)がさらに表示されていてもよい。
【0038】
図7では、図6の後に前方に飛行した際の表示例である。画面中心の正面距離が更新される(例えば、2.5m)とともに、正面の障害物の位置における幅方向の寸法(例えば、1.0m)が示されている。図6よりもさらに飛行体3が障害物に近づいたため、図6よりも2つの縦線間の幅が広くなっている。
【0039】
図8では、図7の後に左に水平飛行した際の表示例である。左側の障害物と正面の障害物との間(狭所)が映されているものの、画面中心の正面距離が更新されないため(例えば、2.5m)正面の障害物の位置における幅方向の寸法(例えば、1.0m)が図7と同じ幅で示されている。このように、飛行体3により撮像された映像内に狭所が映し出されている際に、狭所の位置における幅方向の寸法表示も補助的に表示されていることにより、飛行体3が通過可能な個所を現場で特定を容易に行うことが可能である。
【0040】
ここで、具体的な寸法表示位置算出部421の算出方法として、寸法値が1.0mを示す、2つの縦の点線の位置を演算処理部42の寸法表示位置算出部421により算出する方法の一例を、以下で説明する。
【0041】
まず、センサ類43に含まれるレーザセンサ等の正面距離センサにより、飛行体3の正面距離aを取得し、正面距離記憶部401に記憶する。
【0042】
次に、寸法表示位置算出部421において、取得した正面距離aと、撮像装置32の画角θとに基づき、表示部141の表示画像幅の半分が対応する正面の物体位置における長さb=a×tanθを求める。
【0043】
そして、寸法表示位置算出部421において、求めた長さbと、表示部141の画像幅の半分の画素数nとに基づき、単位画素数当たりの正面の物体位置における長さb’=b/nを求める。
【0044】
最後に、寸法表示位置算出部421において、寸法値の半分の値(0.5m)を求めた長さb’で除算して必要な画素数mを算出し、表示部141の中心線から画素数m離れた位置に縦の点線を、飛行体3の撮像装置32から取得した映像に重畳して表示する。
【0045】
なお、この計算方法は一例にすぎず、上述の縦の点線位置が算出できるのであれば、これに限らないし、例えば、上記計算方法に関するテーブルを予め設け、ある範囲の正面距離に対応した画素数mを設定しておく(例えば、正面距離が2.1~2.5mの場合は、画素数m、正面距離が2.6~3.0の場合は、画素数m’など)ことで、計算速度を向上させるとともに、逐次更新による表示処理の負荷を減らすことも可能である。また、より正確な正面の物体位置における幅方向の寸法値を示すために、縦の点線位置を算出時に既知の補正方法を利用してもよい。また、本実施形態においては、幅方向の寸法値を表示したが、これに限らず、例えば、高さ方向の画素を基に寸法表示位置を算出して、高さ方向の寸法表示を重畳してもよい。
【0046】
図9は、図5とは異なる状況における、本実施形態にかかる飛行体3周辺の側面図を例示する。なお、この側面図は、本実施形態を説明するために本明細書において用いられるものであり、本実施形態にかかるシステム上で表示されなくてもよい。
【0047】
図9では、例示的な実施形態として非GPS下での屋内点検について説明するが、実施形態はこれに限らず、飛行状況は、例えばGPS下や屋外等であってもよく、飛行目的は、例えば測量や空撮等であってもよく、飛行体が一般的に用いられる如何なる状況や目的であっても適用され得る。この例では、具体的な例として、点線矢印で示されるように、飛行体3が通路を飛行している際に行き止まりとなり、通路に沿って上昇した後、前進飛行して狭所を通過することを想定している。
【0048】
図10から図11は、本実施形態にかかる表示システムの入出力部14の表示部141(例えば、ディスプレイ等)による他の表示例である。
【0049】
図10では、通路を壁面に沿って上昇している状況である。ディスプレイ上には、正面の壁の位置における幅方向の寸法(例えば、1.0m)を示す、2本の縦の点線が表示されている。例えば、正面の壁までの距離は、2.0mである。
【0050】
図11では、通路を壁面に沿って上昇している途中で狭所が現れた状況である。ディスプレイ上には、正面の壁の位置における幅方向の寸法(例えば、1.0m)を示す、2本の縦の点線が表示されており、狭所の幅と寸法表示を目視で比較することにより、右に水平移動することで、狭所を通過することができると判断できる。このように、飛行体3により撮像された映像内に狭所が映し出されている際に、狭所の位置における幅方向の寸法表示も補助的に表示されていることにより、飛行体3が通過可能な個所を現場で特定を容易に行うことが可能である。
【0051】
なお、本実施形態においては、飛行体3のセンサ類33により正面距離取得することで、正面の物体の位置における幅方向または高さ方向の寸法を算出しているが、これに限らず、例えば、同種または異種の複数のセンサ(例えば、レーザセンサ、超音波センサ、画像センサなど)を備えたり、放射状に広がるxy平面で位置を感知する測域センサを備えたりすることにより、飛行体3が撮像する映像内で機体に最も近い物体の位置における幅方向または高さ方向の寸法を算出、表示するように構成をなすことも可能である。
【0052】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 ユーザ端末
2 ユーザ端末
3 飛行体
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11